JP4922167B2 - ガンの治療方法 - Google Patents
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Description
本出願は、現在特許番号6,139,845である1999年12月7日出願の出願番号09/454,842の一部継続出願である、現在放棄された2000年8月2日出願の出願番号09/631,221の一部継続出願である、2002年2月8日出願の出願番号10/071,826の一部継続出願である。これらの出願および特許はすべて、これらは、全体として参照することにより本発明に援用される。
本発明は、過形成性組織などの異型組織、嚢胞および新生物(腫瘍およびガンを含む)の治療方法および発症の予防方法、または異型組織、過形成性組織、嚢胞および新生物の退行もしくは寛解を引き起こす方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、発症している異型組織または異型組織近傍へのクロストリジウム毒素の局所投与による、良性およびガン性の両方の種々のガン型(乳腺嚢胞および新生物などの乳腺障害を含む)の治療方法ならびに過形成性および/または高張性、性腺細胞の治療方法に関する。
ヒトの女性の乳房(同義語として、乳腺)は、新生児に栄養素を提供するという特殊化した機能をもつ高度に変形されたアポクリン汗腺である。乳房は、管胞型の上皮腺組織、腺組織の周囲の線維性結合性組織(支質)および葉間脂肪組織からなる。乳房の神経分布は、感覚および交感神経の遠心性線維を有する第四から第六肋間神経の前枝および外側枝に由来する。腺組織の分泌活性は、遠心性運動神経線維よりもむしろ卵巣および下垂体ホルモンによって大きく制御される。女性において、乳房は、思春期に発達し、閉経期に退行する。妊娠中、乳房中の分泌成分は、泌乳の準備中、大きさおよび数において大きく増える。各乳房は、それぞれ複合した管胞腺からなる乳葉と呼ばれる15−25個の独立した腺単位からなる。各葉は、乳頭において他の乳管と収束する乳管に至る。葉は、コラーゲン中隔によって細分される脂肪組織の塊に埋まっている。皮膚の特殊化した領域である乳輪は、乳頭の付け根を取り囲む。乳房は、胸筋および前鋸筋の上にある深在胸筋筋膜上にある。
神経芽腫は、通常は乳児または幼児に見られる小児期早期の最も一般的な充実性腫瘍の1つである。症例の約96%が、10歳前に生じる神経芽腫は、全小児ガン死の約15%を占める。この疾患は、一般に副腎髄質または交感神経組織の他の部位から発生する。最も頻繁に神経芽腫が発生する部位は、腹部(副腎付近)であるが、胸部、頸部、骨盤または他の部位でも見出される。ほとんどの神経芽腫ガン患者は、診断時に広範な発生が見られる。神経芽腫の最も一般的な症状は、腫瘍による圧力または骨に広がっているガンからの骨の痛みの結果である。眼球突出および目の回りのくまが、一般的であり、目の裏側の領域に広がっているガンによって引き起こされる。神経芽腫は、脊椎を圧迫し、麻痺を引き起こす。発熱、貧血および高血圧が見られることもある。まれに、児童に重篤な水性下痢、非協調性もしくは痙攣様筋肉運動または非協調性眼球運動が見られる。
平均的成人の血液は、約5リットルであり、その機能として、必須要素のデリバリー、酸素化および老廃物の除去が挙げられる。血液は、赤血球、白血球、血小板および血漿を含む。白血球は、感染との戦いに役立つ。血小板は、創傷からの血液の喪失を妨げるための血餅の形成に関与する。血液の約55パーセントが、全身に血液細胞および血小板を運び、消化からの栄養分および腺からのホルモンを輸送する淡黄色の透明な液体である血漿である。
前立腺は、男性生殖器官の一部である。健康な前立腺は、およそクルミ大で、ドーナツのような形状をしている。直腸正面および膀胱の下に位置し、尿道を取り巻いている。前立腺は、精嚢液の一部を生成する腺であり、射精中の精液の一部として精子を運ぶ補助をする。肥大した前立腺は、尿道を圧迫し、膀胱から陰茎への尿の流れを遅延化または停止することによって泌尿器系問題を引き起こす。
皮膚は身体の最大の臓器である。皮膚は、熱、日光、傷害および感染から保護する。皮膚は、体温調節、水分および脂肪を貯蔵し、ビタミンDを産生する。皮膚は、2つの主要な層:外側の表皮と内側の真皮をもつ。表皮は、大部分が扁平細胞と呼ばれる平坦な鱗状細胞でできている。基底細胞と呼ばれる円形細胞が、表皮の扁平細胞の下にある。表皮の下層部分は、メラニン細胞も含む。真皮は、血管、リンパ管、毛嚢および腺を含む。これらの腺は、体温調節に役立つ汗を生成するものもある。その他の腺は、皮膚の乾燥を防ぐのに役立つ油性物質である皮脂を生成する。汗および皮脂は、孔と呼ばれる小さな開口を通って皮膚の表面に到達する。
結腸および直腸は、消化器系の部分である。それらは、大腸と呼ばれる長い筋肉の管である。結腸は、大腸の最初の4−5フィートであり、直腸は、最後の4−5インチである。直腸に結合する結腸の部分がS字結腸である。小腸に結合する部分あ盲腸である。部分的に消化された食物は、小腸から結腸に入る。結腸は、食物から水分および栄養素を取り除き、老廃物として貯蔵する。老廃物は結腸から直腸へ、次いで、肛門を通って体外へ移動する。
乳ガン、神経芽腫、白血病、前立腺ガン、黒色腫または直腸結腸ガンなどのガンの治療は、局所または全身のいずれかで行うことができる。外科手術および放射線照射などの局所的治療は、腫瘍およびその近くの領域のガン細胞に影響を及ぼす。化学療法、ホルモン療法および生物療法などの全身的治療は、血流を通って移動して、全身のガン細胞に達する。
嫌気性グラム陽性菌であるボツリヌス菌は、ヒトおよび動物において神経麻痺の病気を引き起こす強力なポリペプチド神経毒であるボツリヌス毒素を産生する。ボツリヌス菌の胞子は、土壌中に見出され、自営缶詰工場の不完全に滅菌および密封された食品容器内で成長することができ、多くのボツリヌス中毒の症例の原因である。通常はボツリヌス中毒の影響は、ボツリヌス菌培養物または胞子で汚染された食料を食べた後18−36時間で現れる。ボツリヌス毒素は、弱毒化されずに胃の内張を通過し、末梢運動神経を攻撃することができるようである。ボツリヌス毒素中毒の症状は、歩行、嚥下および会話困難から呼吸筋麻痺および死亡へ進行することができる。
(1)頸部ジストニアを治療するための1筋肉内注入(複数の筋肉)当たり約75−250単位のボトックス(登録商標);
(2)眉間のしわ(額のしわ)を治療するための1筋肉内注入当たり5−10単位のボトックス(登録商標)(鼻根筋に5単位の筋肉内注入および各皺眉筋に10単位の筋肉内注入);
(3)便秘を治療するための恥骨直腸筋の括約筋内注入による、約30−80単位のボトックス(登録商標);
(4)上眼瞼の外側瞼板前部眼輪筋および下眼瞼の外側瞼板前部眼輪筋への注入による、眼瞼痙攣を治療するための1筋肉当たり約1−5単位の筋肉内注入されるボトックス(登録商標);
(5)斜視の治療のために、外眼筋は、約1−5単位のボトックス(登録商標)を筋肉内注入されており、注入量は、注入される筋肉の大きさおよび所望の筋肉麻痺の範囲(すなわち、所望の眼屈折矯正の量)に応じて変化する;
(6)脳卒中後の上肢痙直の治療のための下記の5つの異なる上肢屈筋へのボトックス(登録商標)の筋肉内注入による注入:
(a)深指屈筋:7.5 U−30 U
(b)表在屈筋(flexor digitorum sublimus):7.5 U−30 U
(c)尺側手根屈筋:10 U−40 U
(d)橈側手根屈筋:15 U−60 U
(e)上腕二頭筋:50 U−200 U。
患者が、治療セッション毎に筋肉内注入によって90 U−360 Uの上肢屈筋ボトックス(登録商標)を受けるように、上記の5つの筋肉には、同じ治療セッションにおいて注入を行っている。
液体安定製剤および純ボツリヌス毒素製剤の両方(たとえば、WO 00/15245およびWO 74703を参照)ならびにボツリヌス毒素の局所適用(たとえば、DE 198 52 981を参照)が、開示されている。
主としてまたは一般に、単一タイプの小分子神経伝達物質のみが、哺乳類神経系の各タイプのニューロンによって放出される。神経伝達物質アセチルコリンは、脳の多くの領域におけるニューロンによって分泌されるが、特に、運動皮質の大錐体細胞、大脳基底核における数種の異なるニューロン、骨格筋を神経支配する運動神経、自律神経系(交感神経と副交感神経の両方)の節前ニューロン、副交感神経系の節後ニューロンおよび交感神経系の節後ニューロンのいくつかによって分泌される。本質的に、汗腺への節後交感神経線維、立毛筋および少数の血管のみが、コリン作動性であり、大部分の交感神経系の節後ニューロンは神経伝達物質ノルエピネフリンを分泌する。ほとんどの場合、アセチルコリンは、興奮作用を有する。しかし、アセチルコリンは、迷走神経による心臓の阻害などの末梢副交感神経末端のいくつかにおける阻害作用を有することが知られている。
ボツリヌス毒素が、筋細胞を麻痺させて、神経筋接合部におけるニューロンからのアセチルコリン放出のシナプス前抑制による弛緩性麻痺を引き起こしうることが知られている。ボツリヌス毒素のタンパク質分解ドメインは、標的細胞の細胞質ゾル中の特定の基質に作用し、基質の切断が、膜ドッキングおよびアセチルコリン含有分泌小胞のエキソサイトーシスを妨げる。支配ニューロンと筋細胞との間のシナプス間隙におけるアセチルコリンの不在は、筋細胞の刺激を妨げ、それによって麻痺が引き起こされる。
、Eur J.Cell Bio 79、781−789:Nov 2000。
(1)膵臓(Sadoul K.ら、「SNAP−25は、ランゲルハンス島に発現し、インスリンの放出に関与する」、J.Cell Biology 128;1019−1029:1995;
(2)脳下垂体(Dayanithi G.ら、「単離された透過処理された神経分泌性神経末端からのバソプレッシンの放出は、ボツリヌスA型毒素の軽鎖によって遮断される」、Neuroscience 1990;39(3):711−5);
(3)副腎髄質(Lawrence G.ら、「ボツリヌス毒素AまたはBによる25−kDaシナプトソーム関連タンパク質(SNAP−25)またはシナプトブレビンの切断後の無傷および透過処理されたクロム親和性細胞の別個のエキソサイトーシス応答」、Eur J.Biochem 236;877−886:1996);
(4)胃細胞(Hohne−Zell B.ら、「ラット胃腸クロム親和性細胞様細胞によるヒスタミンのエキソサイトーシス中のシナプトブレビンおよびSNAP−25の機能的重要性」、Endocrinology 138;5518−5526:1997;
(5)肺腫瘍(Graff、L.ら、「小胞モノアミン輸送体、シナプトソーム関連タンパク質25およびシンタキシンの発現:ヒト小肺ガンの徴候」、Cancer Research 61 、2138−2144、March 1 、2001(小細胞肺ガン(SCLCsは、SNAP−25を含む);
(6)腸腫瘍(Maksymowych A.ら、「極性ヒト結腸ガン細胞によるボツリヌス神経毒の結合およびトランスサイトーシス」、J of Bio.Chem、273(34);21950−21957:1998)(ボツリヌス毒素は、ヒト結腸ガン細胞によって内部移行する);
(7)膵臓腫瘍(Huang、X.ら、「ボツリヌス神経毒Aのように、切断された(truncated)SNAP−25(1−197)は、HIT−T15膵島細胞腺腫細胞からのインスリン分泌を阻害することができる」、MoI.Endo.12(7);1060−1070:1998、“...機能的SNAP−25タンパク質がインスリン分泌のために必要である...”、同書、p1060参照)。Boyd R.ら、「膵島細胞腺腫細胞からのインスリンの放出におけるボツリヌス神経毒の作用」、J.Bio Chem.270(31);18216−18218:1995および;Cukan M.ら、「膵腺房腫瘍細胞系AR42JにおけるSNAP−23およびSNAP−25の発現」、Molec Biol Cell 20(suppl);398a、番号2305:1999、“SNAP−25は、神経および内分泌系におけるエキソサイトーシスイベントを媒介するSNAREタンパク質である”も参照);
(8)下垂体腫瘍ならびに正常下垂体細胞(Majo G.ら、「ヒト下垂体腺腫におけるシナプスタンパク質SNAP−25およびRab3Aの免疫細胞化学的分析。プロラクチン・成長ホルモン産生細胞系譜におけるSNAP−25の過剰発現」、J.Pathol 1997 Dec;183(4):440−446);
(9)神経芽腫(Goodall、A.ら、「ヒト神経芽腫SH−SY5Yにおける2つのタイプの分泌小胞の出現」、J.of Neurochem 68;1542− 1552:1997。Oyler、G.A、「ラット脳、ラットPC−12細胞およびヒトSMS−KCNR神経芽細胞におけるSNAP−25免疫活性の分布および発現」、Dev.Brain Res.65(1992);133−146も参照。Goodall(1992)が、単一の神経芽腫細胞系におけるある種の小胞ドッキングタンパク質のインビトロ同定のみを論じていることに留意。);
(10)腎臓細胞(Shukla A.ら、「ラット腎集合管主催棒において、SNAP−25関連Hrs−2タンパク質は、AQP2と共局在化する」、Am J Physiol Renal Physiol 2001 Sep;281(3):F546−56、(SNAP−25は、腎細胞“調節エキソサイトーシス”に関与する);および
(11)正常肺細胞(Zimmerman UJ.ら、「肺胞上皮II型細胞におけるシナプトブレビン、シンタビンおよびSNAP−25のタンパク質分解」、IUBMB Life 1999 Oct;48(4):453−8);および
(12)すべての卵巣細胞(Grosse J.ら、「ラットおよびヒト卵巣の卵母細胞およびステロイド産生細胞中の25キロダルトンのシナプトソーム関連タンパク質:分子分析およびゴナドトロピンによる調節」、Biol Reprod 2000 Aug;63(2):643−50、(SNAP−25は、“すべての卵母細胞および大胞状卵胞の顆粒膜細胞(GC)および黄体細胞などのステロイド産生細胞”に見出される))。
多様な過形成および新形成乳腺細胞が、コリン作動性メカニズムによって影響を受ける。したがって、「胞巣状細胞活性におけるコリン作動性メカニズム」があることが発見されている。Balakina G.B.ら、「ホワイトマウスの乳腺の胞巣状部分におけるコリンアセチルトランスフェラーゼの局在化」、Arkh Anat Gistol Embriol 1986 Apr;90(4):73−7。さらに、乳腺異形成(線維嚢胞)および乳ガン組織におけるコリン作動性の影響(Dorosevich A.E.ら、「乳房異形成およびガンにおける間質成分の不可欠部分の1つとしての自律神経末端およびその細胞微小環境」、Arkh Patol 1994 Nov−Dec;56(6):49−53)ならびに乳腺動脈における“平滑筋の直接コリン作動性刺激”(Pesic S.ら、「ブタ内胸動脈におけるアセチルコリン誘発性収縮;ムスカリン受容体の可能な役割」、Zentralbl Veterinarmed A 1999 Oct;46(8):509−15)がある。
副腎または腎上体は、腎臓の上部に位置する小さい三角形の構造体である。各副腎は、副腎皮質または外側部分および副腎髄質または内側部分を含む。皮質は、髄質を取り囲み、封じている。
クロム親和性細胞(副腎髄質のクロム親和性細胞など)および交感神経節細胞は、下記の図表で示すように、どちらも共通の胚原細胞である神経提のシンパサゴニウム(sympathagonium)から誘導されるので共通点が多い。これらの細胞型のそれぞれから発生しうる新生物の型の例を括弧内に示す。それぞれの細胞型は、潜在的にカテコールアミンを分泌することができる。
傍神経節(同義語として、クロム親和性体)は、心臓、大動脈近傍、腎臓、肝臓、生殖腺およびその他の場所において発見でき、神経提細胞を起源とすると思われ、自律神経系神経節細胞に密接な関連を持つようになっているクロム親和性細胞を含む。傍神経節腫は、傍神経節から誘導されたクロム親和性細胞を含む新生物である。頸動脈小体傍神経節腫は、頸動脈傍神経節腫と称されるが、副腎髄質傍神経節腫は、褐色細胞腫またはクロム親和性細胞腫と呼ばれる。
褐色細胞腫は、副腎髄質に発生し、突発性高血圧(高血圧)、頭痛、頻脈、休息中の多汗、前屈姿勢から急に起きあがった後の症状の発生および不安発作などの過剰なカテコールアミン産生に関連する症状を引き起こす。腹部画像化およびカテコールアミン用の24時間採尿で、通常の診断は十分である。通常はフェノキシベンズアミンおよびメチロシンによるカテコールアミン封鎖は、症状を改善し、外科手術中の高血圧性クリーゼを予防するために必要であり、現行の最適療法である。家族型褐色細胞腫に対して部分的副腎摘出が用いられることが多いが、標準的治療は腹腔鏡副腎摘出である。悪性(ガン性)の褐色細胞腫は、希な腫瘍である。
副腎髄質における変化は、正常な副腎髄質から副腎髄質過形成(腫瘍の特別な発達をともなわない細胞数および副腎髄質の大きさの一般的増加)へ、副腎髄質の腫瘍(褐色細胞腫)へと進行しうる。
グロムス腫瘍(傍神経節腫の一種)は、一般に良性の新生物であり、神経外胚葉組織からも生じ、身体の種々の部分に見出される。グロムス腫瘍は、側頭骨に生じる最も一般的な良性腫瘍であり、それらの5%以下が悪性になり、転移する。グロムス腫瘍は、頭蓋底、胸郭および頸部における副交感神経系の神経に沿って分布するグロムスから発生する。各耳に典型的な3つのグロムス体がある。グロムス体は通常、ジャコブセン(CN IX)またはアーノルド(CN X)の神経に伴って、もしくは頸静脈球の外膜に見出される。しかし、通常の身体的位置は、岬角(グロムス鼓室)の粘膜または頸静脈球(頸静脈小体)である。
グロムス腫瘍は、神経堤組織から発生し、カテコールアミンを分泌することもできる副腎髄質と同様に、カテコールアミンを分泌する能力がある。副腎におけるグロムス腫瘍の新生物同等物は、褐色細胞腫であり、グロムス腫瘍は、副腎外褐色細胞腫と称されている。カテコールアミン分泌グロムス腫瘍は、不整脈、過度の発汗、頭痛、吐き気および蒼白を引き起こしうる。
本発明は、この必要性を満たし、様々なガンならびにガン性組織を治療するための有効な非外科的切除、非放射線療法的治療方法を提供する。したがって、本発明は、過形成性組織、嚢胞および新生物(腫瘍およびガンなど)などの異型組織の治療方法および異型組織、嚢胞および新生物の発生の予防方法またはそれらの退行もしくは寛解の誘発方法を包含する。特に、本発明は、患っている腺組織またはその近傍へのクロストリジウム毒素の局所投与による、良性およびガン性の乳腺嚢胞および新生物などの特定のガンの治療方法ならびに過形成および/または高張性、性腺組織の治療方法を包含する。
用語「治療する」、「治療すること」または「治療」は、ガンなどの疾患、障害もしくは状態の低減化もしくは消散、または傷害もしくは損傷組織の治癒の促進を意味する。
用語「治療有効量」は、治療組織に重大な有害な副作用を引き起こすことなく、疾患、障害もしくは状態を治療するのに必要な、または疾患、障害もしくは状態を低減化もしくは予防するのに必要な薬剤(すなわち、ボツリヌス毒素などの有効医薬成分)のレベル、量または濃度を意味する。
「局所投与」は、標的組織の局所領域内へのボツリヌス毒素などの神経毒の直接注入を意味する。
本発明は、過形成性、高張性、嚢胞性および/または新生物性組織を、クロストリジウム毒素で処置することによって、過形成、高張、嚢胞性および/または新生物性状態を低減化または消散することができるという発見に基づく。治療される組織は、良性または悪性であってよく、過形成は高張状態を含む。したがって、本発明は、乳ガン、嚢胞性乳房疾患、肺ガン、腺ガン、卵巣ガン、口腔および 口腔咽頭ガン、膵臓嚢胞および膵臓ガン、前立腺ガン、腎臓ガン、胃腸管ガン、精巣ガンおよび嚢胞、リンパ節ガン、子宮内膜ガン、神経芽腫、黒色腫、結腸直腸ガン、白血病ならびにこのような臓器および腺の過形成性、異型、化生および異形成性前ガン性組織などの状態の治療に適用することができる。
治療は、体循環に毒素が侵入するのを実質的に回避するように行う(すなわち、静脈内投与ではなく、皮下または筋肉内注入を用いる)。
したがって、本発明の実施によって、非コリン作動性神経線維ならびに非神経支配もしくは神経支配の程度が少ない分泌性新生物を、適切に高い濃度のボツリヌス毒素の使用によって処置して、分泌性新生物(すなわち、機能性(カテコールアミン分泌)傍神経節腫)およびクロム親和性細胞の治療的萎縮を引き起こすことができる。
以下の実施例のそれぞれにおいて、投与されるボツリヌス毒素(ボトックス(登録商標)など)の特定の量は、主治医の判断において評価し、考慮される種々の因子に応じて変わり、実施例のそれぞれにおいて、わずかな量のボツリヌス毒素が、有意な悪影響をともなわずに全身に現れる可能性がある。
前ガン性乳腺障害を治療するためのボツリヌス毒素の使用
1.嚢胞の治療
46歳の女性は、他の点では正常な乳房に慢性嚢胞性疾患を患っている。線維嚢胞性変化は、全体の大きさが直径1.2 cmであり、充実性の線維脂肪組織組織を含む多くの良性実体と様々な大きさの嚢胞との混合物として現れる。超音波および画像化を用いる検査により、嚢胞形成および微小石灰化が明らかである。組織学的検査により、アポクリン異型(過形成および化生の両方)が明らかであり、したがって、患者は、アポクリンガンまたは髄様ガンの発生のリスクがあると決定される。
乳房痛の病状を有する59歳の閉経後女性を検査する。マンモグラフィーは、末端管小葉単位から生じ、特に着色がない臨床的に触診可能な直径1.3 cmの塊を含む増殖性病変を明らかにする。塊は境界が不鮮明であり、疼痛および圧痛もある。組織学的に、一群の小葉の正常な形態が、腺房および小葉内間質細胞の無秩序な増殖によって歪められる。10単位−100単位のボトックス(登録商標)などのA型ボツリヌス毒素の局所投与(注入)を行う。投与後28日以内に、塊は実質的に消失し(直径が少なくとも80%減少した)、次の2−24ヶ月はそのままの状態である。別法として、A型毒素と比べて異なる効力を反映するように調節した投与量で、B、C、D、E、FまたはG型ボツリヌス毒素を投与することができる。したがって、たとえば、B型ボツリヌス毒素は、A型ボツリヌス毒素の約50分の1の効力であることがわかっているので、500−5000単位のB型毒素を局所投与する。
乳頭からの血液混入分泌の病歴がある50歳の女性を検査する。触診可能な塊は無いが、乳房の腺管上皮の良性新生物が明らかにされる。10単位−100単位のボトックス(登録商標)などのA型ボツリヌス毒素の局所投与(注入)を行う。投与後28日以内に、分泌は解消し、次の2−24ヶ月患者は、無症状のままの状態である。別法として、A型毒素と比べて異なる効力を反映するように調節した投与量で、B、C、D、E、FまたはG型ボツリヌス毒素を投与することができる。したがって、たとえば、B型ボツリヌス毒素は、A型ボツリヌス毒素の約50分の1の効力であることがわかっているので、500−5000単位のB型毒素を局所投与する。
36歳の女性は、乳房にしこりが見られる。臨床検査、画像化(マンモグラフィー)および微細針吸引細胞診断から、直径1.5 cmの充実性、移動性、境界鮮明、無痛、弾性の塊が明らかになる。病変が良性なので、患者は切除術の代わりにボツリヌス毒素の局所注入を提示され、それに対するインフォームド・コンセントが得られる。10単位−100単位のボトックス(登録商標)などのA型ボツリヌス毒素のしこりへの局所投与(注入)を行う。投与後28日以内に、塊は実質的に消失し(直径が少なくとも80%減少した)、次の2−24ヶ月はそのままの状態である。別法として、A型毒素と比べて異なる効力を反映するように調節した投与量で、B、C、D、E、FまたはG型ボツリヌス毒素を投与することができる。したがって、たとえば、B型ボツリヌス毒素は、A型ボツリヌス毒素の約50分の1の効力であることがわかっているので、500−5000単位のB型毒素を局所投与する。
カフェイン摂取歴(過去約10年間にわたって1日当たり4−6杯のコーヒー)がある54歳の女性は、基底部限局性の核および細胞質性頂端尖先をもつ、より高い柱状上皮細胞の単層による正常な内腔上皮層の変性または置換を示す個々の末端管小葉単位をもつ微小嚢胞形成の境界不鮮明な領域として決定される小葉の柱状変性を有する。10単位−100単位のボトックス(登録商標)などのA型ボツリヌス毒素のしこりへの局所投与(注入)を行う。投与後28日以内に、腺疾患は解消し、次の2−24ヶ月はそのままの状態である。別法として、A型毒素と比べて異なる効力を反映するように調節した投与量で、B、C、D、E、FまたはG型ボツリヌス毒素を投与することができる。したがって、たとえば、B型ボツリヌス毒素は、A型ボツリヌス毒素の約50分の1の効力であることがわかっているので、500−5000単位のB型毒素を局所投与する。
64歳の女性からの生検標本における組織診断から、正常な内腔上皮細胞および筋上皮細胞の正常二重層の上の細胞数の増加によって示される上皮過形成(異型をともなう増殖性のもの)が明らかになる。10単位−100単位のボトックス(登録商標)などのA型ボツリヌス毒素のしこりへの局所投与(注入)を行う。投与後28日以内に、生検および組織学的検査から、患者に異型が無くなっていることが決定され、次の2−24ヶ月はそのままの状態である。別法として、A型毒素と比べて異なる効力を反映するように調節した投与量で、B、C、D、E、FまたはG型ボツリヌス毒素を投与することができる。したがって、たとえば、B型ボツリヌス毒素は、A型ボツリヌス毒素の約50分の1の効力であることがわかっているので、500−5000単位のB型毒素を局所投与する。
高張または過形成性組織のボツリヌス毒素による治療
高張または過形成標的組織への直接またはその近傍へのボツリヌス毒素の局所投与は、数種類の方法によって達成することできる。上述したように、乳房組織などの皮膚または皮下標的組織は、直接注入または毒素インプラントの設置によって治療することができる。内臓神経芽腫などの内臓部位は、容易に接近することもできる。たとえば、診断および治療目的の内視鏡検査が公知である。
神経毒水溶液またはインプラントとしての正確な頭蓋内投与のために定位手順を用いて、過形成または視床下部または下垂体標的組織を治療することができる。頭蓋神経芽腫をこの方法で治療することもできる。したがって、ボツリヌス毒素の頭蓋内投与を以下のように行うことができる。
患者の予備的MRI走査を行って、前交連−後交連線の長さおよび外側骨性指標(external bony landmark)に対するその方向性を得ることができる。次いで、フレームのベースを前交連−後交連線の平面に対して位置を調整することができる。CT誘導を用い、脳室撮影法を補充することができる。2−mm CT切片において後交連を視覚化し、参照点として用いることができる。
様々なガンの治療のためのボツリヌス毒素の使用
序論
様々なガンにおけるボツリヌス毒素の抗ガン効果を決定するために実験を行った。Oncotech EDR(登録商標)アッセイ(Oncotech、Inc.、Tustin、California)を用いて実験を行った。このアッセイを用いて、ガン細胞の分裂および成長を停止するための作用剤の測定された能力(有るとすれば)によって決定される、作用剤の抗ガン活性を評価することができる。したがって、Oncotech EDR(登録商標)アッセイは、試験されている作用剤に対する種々のガン細胞系のインビトロ耐性を測定するのに用いるインビトロ薬物耐性アッセイである。
1.ガン細胞系
アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC、P.O.Box 1549、Manassas、VA 20108)から入手した8つの異なるガン細胞系およびカリフォルニア・ユニバーシティ(Los Angeles)から入手した1つの細胞系をこの実験で用いた。9つのガン細胞型実験は、1)IMR−32、13月齢の白人男性に由来する腹部腫瘤からの神経芽腫細胞系;2)ジャーカット、14歳の男性の末梢血に由来するT細胞白血病細胞系;3)LNCAP、左上部鎖骨リンパ節に転移する前立腺ガン細胞系;4)SK−CO−1、65歳の白人男性に由来する腹水に転移する直腸結腸腺ガン細胞系;5)SK−N−MC、14歳の白人女性に由来する上部眼窩部に転移する神経芽腫細胞系;6)SK−N−SH、4歳の女性に由来する骨髄に転移する神経芽腫細胞系;7)T−47D、54歳の女性に由来する胸水に転移する乳房腺管ガン細胞系;8)ZR−75、63歳の白人女性に由来する腹水に転移する乳房腺管ガン細胞系;および9)M14、カリフォルニア・ユニバーシティ(Los Angeles)によって提供された無色素性黒色腫細胞系であった。
21または22ゲージの注射器を用いて、0.9%生鮮滅菌生理食塩水0.475 mLで100 Uを再構成してボトックス(登録商標)の希釈標準溶液(210 U/mL)を調製し、穏やかに回旋させ、冷蔵庫で4時間まで2℃−8℃にて貯蔵した。ボトックス(登録商標)は常に再構成から4時間以内に用いた。7つのプラスブミン(plasbumin)(ロット# 684X022のバイアルを用いた。プラスブミン(ヒトアルブミン)の各バイアルは、25%アルブミン、USP、50 mLを含むものであった。各濃度におけるボトックス(登録商標)中に存在するアルブミンの量に対応するようにアルブミンの希釈標準溶液(1.05 mg/mL)を調製した。貯蔵濃度のプラスブミン(12.5 g/50 mLまたは0.25 g/mL)を0.9%生鮮滅菌生理食塩水で1.05 mg/mLに希釈した。
およそのIC50を決定するために試験した濃度は、ボトックス(登録商標)0.001 U/mL−20 U/mLおよびアルブミン0.000005 mg/mL−0.1 mg/mLの範囲であった。調製した希釈標準溶液を、ボトックス(登録商標)20 U/mLおよびアルブミン0.1 mg/mLを除いて(ここでは、1:10希釈物(0.9 mLの培地+細胞中、100 μLの化合物)を用いた)、ウエル内で1:21(1 mlの培地+細胞中、50 μLの薬物)に希釈した。
Oncotech標準操作手順にしたがってEDRアッセイを行った。DMSO中で凍結した細胞系を、生存率を維持するやり方で解凍した。ボトックス(登録商標)またはアルブミンの存在下で軟寒天上にプレーティングする前に、トリパンブルー排除法を用いて生存率について腫瘍細胞を評価し、サイトスピン標本を用いて腫瘍細胞密度を評価した。約2−1O x 104細胞/ウエルが得られるように、EDR組織培養培地中で生存細胞の希釈物を調製した。
ポジティブコントロールとしてシスプラチンの細胞毒性用量を2回分析し、リファレンスネガティブコントロールとして非処置ウエルを用いた。ポジティブコントロールからの毎分のカウント(CPM)が非処置コントロールの30%以上ならば、分析を却下した。非処置の半分細胞コントロールウエルには、オーバープレーティングに対するコントロールのために半分の細胞密度でプレーティングした。半分細胞コントロールの成長パーセントが非処置ネガティブコントロールの成長の85%以上ならば、そのプレートを過成長として分類し、分析に含めなかった。各作用剤および各コントロールの複製物を調製し、計算のために値を平均した。
24ウエルのクラスタープレートにて腫瘍細胞を培養した。最初に、0.4%の精製低融点アガロースを含む0.5 mLのEDR組織培養培地を各ウエルにピペット分注することによって、培養プレートの各ウエル中の寒天の底層を作成した。硬化のために、アガロースを簡単に固めてもよい。次に、ボトックス(登録商標)またはアルブミンの適当な濃度の希釈標準溶液21倍(50 μl)を各ウエルに加えた(21倍の100 μlを各ウエルに加える、20 U/mL ボトックス(登録商標)および0.1 mg/mLのアルブミンを除く)。0.2%アガロースを含むEDR組織培養培地に、セクション2にしたがって調製した腫瘍細胞を懸濁した。細胞懸濁液を混合し、0.2%アガロースを含むEDR組織培養培地に懸濁した腫瘍細胞のアリコート0.5 mlを各ウエルの底層に加え、アガロースを固めるために4℃にてプレートを静置した。次いで、37℃、5% CO2に設定したインキュベーターに、プレートを配置した。プレートを72時間インキュベートした後、5.0 μCiの3H−チミジンを含むEDR組織培養培地100 μlを各ウエルに加えた。次いで、プレートをインキュベーターに戻し、さらに48時間インキュベートした。インキュベーション期間の終了時に、各ウエルに脱イオン水0.5 mlを加えることによって腫瘍細胞膜を破壊し、95℃にて加熱した。Brandel自動細胞ハーベスターを用いて、Reeve Angel 934AH濾紙上に細胞DNAを集めた。濾紙を入れた液体シンチレーションバイアルに、Cytoscintシンチレーション液を加え、バイアルのフタを堅く閉めた。次いで、Beckman LS−6500シンチレーションカウンターでバイアルを分析し、3Hについて毎分のカウント(CPM)を記録した。
各処置サンプルであるシスプラチンの細胞毒性用量(2OX CP)とともにインキュベートしたウエルおよび2つの非処置コントロールサンプルについて、トリチウム標識チミジンのカウントを複製ウエルに対して記録した。処置サンプルからの補正平均カウントを、非処置コントロールサンプルからの補正平均カウントで割ることによって、阻害パーセントを計算した。いくつかの細胞系について、2つのネガティブコントロールを分析した。第2のコントロールが第1のコントロールの10%以下である場合、第2のコントロールを用いて阻害パーセントを計算した。
マイクロソフト・エクセル2000(9.0.2720)を用いて、データから平均および標準偏差を計算した。機能「=平均(...)」を用いて平均を計算し、「=標準偏差(...)」を用いて、標準偏差を計算し、「=T検定(...)」を用いて等分散を仮定した2標本両側t検定を計算した。
滴定分析
9つのガン細胞系において、適切なIC50を決定するために0.001 U/mL−20 U/mLの濃度範囲にわたってボトックス(登録商標)を試験した。ボトックス(登録商標)の単位濃度における変化を図1に示す。
この実験は、異なるボツリヌス毒素濃度により、少なくとも9つのガン細胞系において、細胞分裂を阻害することができることを明らかにした。特に、腹部組織に転移した乳房腺管ガン細胞、肺組織に転移した乳房腺管ガン細胞および骨髄に転移した神経芽腫が、特定のボツリヌス毒素濃度において、それぞれ28%、25%および20%のガン細胞増殖の阻害を示した。
図2に示すように、ボトックスは、腹部組織に転移した乳房腺管ガン細胞において細胞分裂を阻害した。ボトックスに対する一次応答は、0.1 U/mlにおいて起こり、27.7%の細胞分裂の阻害がもたらされた。5 U/mlのボトックスにおいて二次応答が起こり、15.9%の細胞分裂の阻害がもたらされた
図3に示すように、ボトックスは、肺組織に転移した乳房腺管ガン細胞において細胞分裂を阻害した。25.3%の阻害ピークが0.1 U/mlのボトックスにおいて起こった。
図5に示すように、ボトックスは、末梢血に由来するT細胞白血病において細胞分裂を阻害した。17.9%のピーク阻害は、2.5 U/mlのボトックスにおいて起こり、ボトックスの濃度減少にともなって、効果は用量依存性で減少した。
図6に示すように、ボトックスは、腹部組織に由来する神経芽腫細胞において細胞分裂を阻害した。ボトックスは、試験したすべての濃度において細胞分裂を阻害し、ピーク阻害は、0.001 U/mlにおける15.0%であった。
図8に示すように、ボトックスは、腹部組織に転移した直腸結腸ガン細胞の細胞分裂の阻害において有効であった。0.1 U/mlのボトックスにおいて12.4%の単一の阻害ピークがあった。
図9に示すように、ボトックスは、無色素性黒色腫において細胞分裂を阻害した。9.8%の阻害ピークが、1 U/mlのボトックスにおいて起こり、その後は、ボトックスの濃度減少にともなって、効果は用量依存性で減少した。
図10に示すように、ボトックスは、左鎖骨リンパ節に転移した前立腺細胞の細胞分裂の阻害において有効であった。0.1 U/mlのボトックスにおいて約6.1の単一の阻害ピークがあった。
この実験では、Oncotech EDR(登録商標)アッセイを用いて、9つの異なるガン細胞系におけるボトックス(登録商標)の効果を比較した。ボトックス(登録商標)の存在下で軟寒天にプレーティングする前に、生存率および細胞密度について腫瘍細胞を評価した。細胞を72時間インキュベートし、トリチウム化チミジンを加え、次いで、さらに48時間インキュベートした後、細胞を収集し、トリチウム化チミジンの組み込みを定量した。ボトックス(登録商標)処置ウエルを同じ数の培地処置コントロール細胞と比較することにより成長阻害パーセントを計算した。この実験により、種々の濃度における阻害ならびに0.1 U/mlのボトックスにおいて最も頻繁に阻害ピークが起こることが明らかになった。最高レベルの阻害は、2つの乳房腺管ガン細胞において起こり、細胞分裂が28%および25%阻害された。9つのガン細胞系すべてについてボトックス(登録商標)用量反応を再検討することにより、個々の細胞系が、ボトックス(登録商標)に対する異なる感受性を示すことが明らかになり、28%もの成長阻害パーセントが起こった。
(1)本発明は、乳腺ガン、中枢神経系ガン、血液細胞ガン、胃腸ガン(結腸または直腸ガンなど)、皮膚ガンおよび前立腺ガンなどの様々なガンの有効な治療のための不必要な外科手術を回避する;
(2)本発明にしたがって、ボツリヌス毒素などの神経毒を直接局所適用することによって全身性薬物効果を回避することができる;
(3)本明細書に記載するように、本発明の改善効果は、ボツリヌス毒素などの神経毒の単回局所適用から2年間またはそれ以上持続しうる。
したがって、請求項の精神と範囲は、前述の好ましい具体例の記載に限定されるべきではない。
Claims (23)
- 中枢神経系の患っている領域へのA型ボツリヌス菌神経毒の投与により、中枢神経系障害を治療する、中枢神経系ガンの治療用医薬の製造におけるA型ボツリヌス菌神経毒の使用。
- 10−2 U/kg−200 U/kgの量でA型ボツリヌス毒素を投与する請求項1に記載の使用。
- 10−1 U/kg−35 U/kgの量でA型ボツリヌス毒素を投与する請求項1に記載の使用。
- 中枢神経系ガンが神経芽腫である請求項1に記載の使用。
- 中枢神経系の患っている領域または前ガン性中枢神経系組織の近傍への10−2 U/kg−200 U/kgの量のA型ボツリヌス毒素の局所投与により、過形成性、高張性または新生物性中枢神経系組織の大きさおよび/または活性の減少をひきおこす、中枢神経系ガンの治療用医薬の製造におけるA型ボツリヌス菌神経毒の使用。
- 血液細胞へのA型ボツリヌス菌神経毒の投与により、血液細胞ガンを治療する、血液細胞ガンの治療用医薬の製造におけるA型ボツリヌス菌神経毒の使用。
- 10−2 U/kg−200 U/kgの量でA型ボツリヌス毒素を投与する請求項6に記載の使用。
- 10−1 U/kg−35 U/kgの量でA型ボツリヌス毒素を投与する請求項6に記載の使用。
- 血液細胞ガンが白血病である請求項6に記載の使用。
- 血液細胞への10−2 U/kg−200 U/kgの量のA型ボツリヌス毒素の局所投与により、過形成性、高張性または新生物性血液細胞の大きさおよび/または活性の減少をひきおこす、血液細胞障害の治療用医薬の製造におけるA型ボツリヌス菌神経毒の使用。
- 結腸へのA型ボツリヌス菌神経毒の投与により、結腸ガンを治療する、結腸ガンの治療用医薬の製造におけるA型ボツリヌス菌神経毒の使用。
- 10−2 U/kg−200 U/kgの量でA型ボツリヌス毒素を投与する請求項11に記載の使用。
- 10−1 U/kg−35 U/kgの量でA型ボツリヌス毒素を投与する請求項11に記載の使用。
- 結腸または前ガン性結腸組織の近傍への10−2 U/kg−200 U/kgの量のA型ボツリヌス毒素の局所投与により、過形成性、高張性または新生物性結腸組織の大きさおよび/または活性の減少をひきおこす、結腸ガンの治療用医薬の製造におけるA型ボツリヌス菌神経毒の使用。
- 直腸へのA型ボツリヌス菌神経毒の投与により、直腸ガンを治療する、直腸ガンの治療用医薬の製造におけるA型ボツリヌス菌神経毒の使用。
- 10−2 U/kg−200 U/kgの量でA型ボツリヌス毒素を投与する請求項15に記載の使用。
- 10−1 U/kg−35 U/kgの量でA型ボツリヌス毒素を投与する請求項15に記載の使用。
- 直腸または前ガン性直腸組織の近傍への10−2 U/kg−200 U/kgの量のA型ボツリヌス毒素の局所投与により、過形成性、高張性または新生物性直腸組織の大きさおよび/または活性の減少をひきおこす、直腸ガンの治療用医薬の製造におけるA型ボツリヌス菌神経毒の使用。
- 皮膚へのA型ボツリヌス菌神経毒の投与により、皮膚ガンを治療する、皮膚ガンの治療用医薬の製造におけるA型ボツリヌス菌神経毒の使用。
- 10−2 U/kg−200 U/kgの量でA型ボツリヌス毒素を投与する請求項19に記載の使用。
- 10−1 U/kg−35 U/kgの量でA型ボツリヌス毒素を投与する請求項19に記載の使用。
- 皮膚ガンが黒色腫である請求項19に記載の使用。
- 皮膚または前ガン性皮膚組織の近傍への10−2 U/kg−200 U/kgの量のA型ボツリヌス毒素の局所投与により、過形成性、高張性または新生物性皮膚組織の大きさおよび/または活性の減少をひきおこす、皮膚ガンの治療用医薬の製造におけるA型ボツリヌス菌神経毒の使用。
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