偏光子は、特に制限されず、各種のものを使用できる。偏光子としては、たとえば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性材料を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等があげられる。これらのなかでもポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素、二色性染料などの二色性物質からなる偏光子が好適である。
ポリビニルアルコール系フィルムとしては、ポリビニルアルコール系樹脂を、水またはは有機溶媒に溶解した原液を流延成膜する流延法、キャスト法、押出法等の任意の方法で成膜されたものを適宜使用することができる。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は100〜5000程度が好ましく、1400〜4000がより好ましい。
ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素等で染色し一軸延伸した偏光子は、たとえば、以下の方法により作成できる。
染色工程においては、ポリビニルアルコール系フィルムを、ヨウ素が添加された20〜70℃程度の染色浴に1〜20分間程度浸漬し、ヨウ素を吸着させる。染色浴中のヨウ素濃度は、通常水100重量部あたり0.1〜1重量部程度である。染色浴中には、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタン等のヨウ化物等の助剤を0.02〜20重量部程度、好ましくは2〜10重量部添加してもよい。これら添加物は、染色効率を高める上で特に好ましい。また水溶媒以外に、水と相溶性のある有機溶媒が少量含有されていてもよい。
またポリビニルアルコール系フィルムは、ヨウ素または二色性染料含有水溶液中で染色させる前に、水浴等で20〜60℃程度で0.1〜10分間程度膨潤処理されていてもよい。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。
染色処理したポリビニルアルコール系フィルムは、必要に応じて架橋することができる。架橋処理を行う架橋水溶液の組成は、通常水100重量部あたりホウ酸、ホウ砂、グリオキザール、グルタルアルデヒド等の架橋剤を単独又は混合して1〜10重量部程度である。架橋剤の濃度は、光学特性とポリビニルアルコール系フィルムに発生する延伸力により生じる偏光板収縮のバランスを考慮して決定される。
架橋浴中には、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタン等のヨウ化物等の助剤を0.05〜15重量%、好ましくは0.5〜8重量%添加してもよい。これら添加剤は、偏光子の面内の均一な特性を得る点で特に好ましい。水溶液の温度は通常20〜70℃程度、好ましくは40〜60℃の範囲である。浸漬時間は、特に限定されないが、通常1秒〜15分間程度、好ましくは5秒〜10分間である。水溶媒以外に、水と相溶性のある有機溶媒が少量含有されていてもよい。
ポリビニルアルコール系フィルムの総延伸倍率は元長の3〜7倍程度、好ましくは5〜7倍である。総延伸倍率が7倍を超える場合はフィルムが破断しやすくなる。延伸はヨウ素で染色した後に行っても良いし、染色または架橋しながら延伸してもよし、また延伸してからヨウ素で染色してもよい。延伸方法や延伸回数等は、特に制限されるものではなく、いずれか一工程でのみ行ってもよい。また、同一工程で複数回行ってもよい。
またヨウ素吸着配向処理を施したポリビニルアルコール系フィルムには、さらに水温10〜60℃程度、好ましくは30〜40℃程度、濃度0.1〜10質量%のヨウ化カリウム等のヨウ化物水溶液に1秒〜1分間浸漬する工程を設けることができる。ヨウ化物水溶液中には、硫酸亜鉛、塩化亜鉛物等の助剤を添加してもよい。また、ヨウ素吸着配向処理を施したポリビニルアルコール系フィルムには、水洗工程、20〜80℃程度で1分〜10分間程度の乾燥工程を設けることができる。
これら偏光子の厚さは特に制限されないが、一般的に、5〜80μm程度である。偏光子の厚みが薄くなると、偏光板の製造工程中において、透明保護フィルムと貼り合せる際の乾燥工程等において、偏光子中の水分が揮発しやすくなる。そのため偏光子の伸度が低減し、顕著なスジ状外観欠点が発生しやすくなる。このような現象は偏光子の厚さが薄くなるほど顕著に表れるが、本発明の偏光板の製造方法によれば、偏光子の厚さが35μm以下、さらには20μm以下の場合であってもスジ状外観欠点の発生を抑えることができる。
透明保護フィルムを形成する、透明ポリマーまたはフィルム材料としては、適宜な透明材料を用いうるが、透明性や機械的強度、熱安定性や水分遮断性などに優れるものが好ましく用いられる。前記透明保護フィルムを形成する材料としては、例えばポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、二酢酸セルロースや三酢酸セルロース等のセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマーなどがあげられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、あるいは前記ポリマーのブレンド物なども前記透明保護フィルムを形成するポリマーの例としてあげられる。透明保護フィルムは、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型、紫外線硬化型の樹脂の硬化層として形成することもできる。
また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルム、たとえば、(A)側鎖に置換および/または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、(B)側鎖に置換および/または非置換フェニルならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物があげられる。具体例としてはイソブチレンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物のフィルムがあげられる。フィルムは樹脂組成物の混合押出品などからなるフィルムを用いることができる。これらのフィルムは位相差が小さく、光弾性係数が小さいため偏光板の歪みによるムラなどの不具合を解消することができ、また透湿度が小さいため、加湿耐久性に優れる。
透明保護フィルムの厚さは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄層性などの点より1〜500μm程度である。特に1〜300μmが好ましく、5〜200μmがより好ましい。透明保護フィルムの厚さは、50μm以下であるものが好ましく用いられる。
また、透明保護フィルムは、できるだけ色付きがないことが好ましい。したがって、Rth=[(nx+ny)/2−nz]・d(ただし、nx、nyはフィルム平面内の主屈折率、nzはフィルム厚方向の屈折率、dはフィルム厚みである)で表されるフィルム厚み方向の位相差値が−90nm〜+75nmである透明保護フィルムが好ましく用いられる。かかる厚み方向の位相差値(Rth)が−90nm〜+75nmのものを使用することにより、透明保護フィルムに起因する偏光板の着色(光学的な着色)をほぼ解消することができる。厚み方向位相差値(Rth)は、さらに好ましくは−80nm〜+60nm、特に−70nm〜+45nmが好ましい。
透明保護フィルムとしては、偏光特性や耐久性などの点より、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマーからなるセルロース系透明保護フィルムが好ましい。特にトリアセチルセルロースフィルムが好適である。なお、偏光子の両側に透明保護フィルムを設ける場合、その表裏で同じポリマー材料からなる透明保護フィルムを用いてもよく、異なるポリマー材料等からなる透明保護フィルムを用いてもよい。
透明保護フィルムの偏光子と接着する面には、易接着処理を施すことができる。易接着処理としては、プラズマ処理、コロナ処理等のドライ処理、アルカリ処理等の化学処理、易接着剤層を形成するコーティング処理等があげられる。これらのなかでも、易接着剤層を形成するコーティング処理が好適である。易接着剤層の形成には、ポリオール樹脂、ポリカルボン酸樹脂、ポリエステル樹脂等の各種の易接着材料を使用することができる。なお、易接着剤層の厚みは、通常、0. 01〜10μm程度、さらには0.05〜5μm程度、特に0.1〜1μm程度とするのが好ましい。
前記透明保護フィルムの偏光子を接着させない面には、ハードコート層や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないしアンチグレアを目的とした処理を施したものであってもよい。
ハードコート処理は偏光板表面の傷付き防止などを目的に施されるものであり、例えばアクリル系、シリコーン系などの適宜な紫外線硬化型樹脂による硬度や滑り特性等に優れる硬化皮膜を透明保護フィルムの表面に付加する方式などにて形成することができる。反射防止処理は偏光板表面での外光の反射防止を目的に施されるものであり、従来に準じた反射防止膜などの形成により達成することができる。また、スティッキング防止処理は隣接層との密着防止を目的に施される。
またアンチグレア処理は偏光板の表面で外光が反射して偏光板透過光の視認を阻害することの防止等を目的に施されるものであり、例えばサンドブラスト方式やエンボス加工方式による粗面化方式や透明微粒子の配合方式などの適宜な方式にて透明保護フィルムの表面に微細凹凸構造を付与することにより形成することができる。前記表面微細凹凸構造の形成に含有させる微粒子としては、例えば平均粒径が0.5〜20μmのシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等からなる導電性のこともある無機系微粒子、架橋又は未架橋のポリマー等からなる有機系微粒子などの透明微粒子が用いられる。表面微細凹凸構造を形成する場合、微粒子の使用量は、表面微細凹凸構造を形成する透明樹脂100重量部に対して一般的に2〜70重量部程度であり、5〜50重量部が好ましい。アンチグレア層は、偏光板透過光を拡散して視角などを拡大するための拡散層(視角拡大機能等)を兼ねるものであってもよい。
なお、前記反射防止層、スティッキング防止層、拡散層やアンチグレア層等は、透明保護フィルムそのものに設けることができるほか、別途光学層として透明透明保護フィルムとは別体のものとして設けることもできる。
偏光子と透明保護フィルムとの貼り合わせに用いる接着剤は特に制限されないが、ポリビニルアルコール系接着剤が好適に用いられる。ポリビニルアルコール系接着剤は、通常、ポリビニルアルコール系樹脂と架橋剤を含有するものが用いられる。ただし、水性液として、架橋剤を含有する水溶液を用いる場合には、接着剤中には架橋剤を含有していてもよく、また含有していなくてもよい。
ポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリビニルアルコール樹脂や、アセトアセチル基を有するポリビニルアルコール樹脂があげられる。アセトアセチル基を有するポリビニルアルコール樹脂は、反応性の高い官能基を有するポリビニルアルコール系接着剤であり、偏光板の耐久性が向上し好ましい。
ポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニルをケン化して得られたポリビニルアルコール;その誘導体;更に酢酸ビニルと共重合性を有する単量体との共重合体のケン化物;ポリビニルアルコールをアセタール化、ウレタン化、エーテル化、グラフト化、リン酸エステル化等した変性ポリビニルアルコールがあげられる。前記単量体としては、(無水)マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸及びそのエステル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン、(メタ)アリルスルホン酸(ソーダ)、スルホン酸ソーダ(モノアルキルマレート)、ジスルホン酸ソーダアルキルマレート、N−メチロールアクリルアミド、アクリルアミドアルキルスルホン酸アルカリ塩、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピロリドン誘導体等があげられる。これらポリビニルアルコール系樹脂は一種を単独でまたは二種以上を併用することができる。
前記ポリビニルアルコール系樹脂は特に限定されないが、接着性の点からは、平均重合度100〜3000程度、好ましくは500〜3000、平均ケン化度85〜100モル%程度、好ましくは90〜100モル%である。
アセトアセチル基を含有するポリビニルアルコール系樹脂は、ポリビニルアルコール系樹脂とジケテンとを公知の方法で反応して得られる。たとえば、ポリビニルアルコール系樹脂を酢酸等の溶媒中に分散させておき、これにジケテンを添加する方法、ポリビニルアルコール系樹脂をジメチルホルムアミドまたはジオキサン等の溶媒にあらかじめ溶解しておき、これにジケテンを添加する方法等があげられる。またポリビニルアルコールにジケテンガスまたは液状ジケテンを直接接触させる方法があげられる。
アセトアセチル基を含有するポリビニルアルコール系樹脂のアセトアセチル基変性度は、0.1モル%以上であれば特に制限はなない。0.1モル%未満では接着剤層の耐水性が不充分であり不適当である。アセトアセチル基変性度は、好ましくは0.1〜40モル%程度、さらに好ましくは1〜20モル%、特に好ましくは2〜7モル%である。アセトアセチル基変性度が40モル%を超えると架橋剤との反応点が少なくなり、耐水性の向上効果が小さい。アセトアセチル基変性度はNMRにより測定した値である。
架橋剤としては、ポリビニルアルコール系接着剤に用いられているものを特に制限なく使用できる。前記ポリビニルアルコール系樹脂と反応性を有する官能基を少なくとも2つ有する化合物を使用できる。たとえば、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアルキレン基とアミノ基を2個有するアルキレンジアミン類;トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、トリメチロールプロパントリレンジイソシアネートアダクト、トリフェニルメタントリイソシアネート、メチレンビス(4−フェニルメタントリイソシアネート、イソホロンジイソシアネートおよびこれらのケトオキシムブロック物またはフェノールブロック物等のイソシアネート類;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジまたはトリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン等のエポキシ類;ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド等のモノアルデヒド類;グリオキザール、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、マレインジアルデヒド、フタルジアルデヒド等のジアルデヒド類;メチロール尿素、メチロールメラミン、アルキル化メチロール尿素、アルキル化メチロール化メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミンとホルムアルデヒドとの縮合物等のアミノ−ホルムアルデヒド樹脂、;更にナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、鉄、ニッケル等の二価金属、又は三価金属の塩及びその酸化物があげられる。これらのなかでもアミノ−ホルムアルデヒド樹脂、特に、メチロール基を有するメチロール化合物が好適である。
前記架橋剤の配合量は、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、通常、0.1〜35重量部程度、好ましくは10〜25重量部である。かかる範囲において、均一な偏光特性を有し、かつ耐久性の優れた偏光板が得られる。
一方、耐久性をより向上させるには、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、架橋剤を、30重量部を超え46重量部以下の範囲で配合することができる。特に、アセトアセチル基を含有するポリビニルアルコール系樹脂を用いる場合には、架橋剤の使用量を、30重量部を超えて用いるのが好ましい。架橋剤を、30重量部を超え46重量部以下の範囲で配合することにより、耐水性が飛躍的に向上させることができる。架橋剤の配合量は、前記範囲内で多いほど好ましく、31重量部以上、さらには32重量部以上、特に35重量部以上が好ましい。一方、架橋剤の配合量が多くなりすぎると、架橋剤の反応が短時間で進行し、接着剤がゲル化する傾向がある。その結果、接着剤としての可使時間(ポットライフ)が極端に短くなり、工業的な使用が困難になる。かかる観点からは、架橋剤の配合量は、46重量部以下、さらには45重量部以下、特に40重量部以下とするのが好ましい。
前記接着剤(ポリビニルアルコール系接着剤,架橋剤を含有する場合を含む)は、通常、水溶液として用いられる。水溶液濃度は特に制限はないが、塗布性や放置安定性等を考慮すれば、0.1〜15重量%、好ましくは0.5〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜2重量%程度である。溶液濃度が高くなると、粘度が上がることによって、スジ状のムラが発生し易くなる。溶液濃度が低くなりすぎると、粘度が低くなって塗布性が悪くなる。
なお、前記接着剤には、さらにシランカップリング剤、チタンカップリング剤などのカップリング剤、各種粘着付与剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐加水分解安定剤などの安定剤等を配合することもできる。
なお、偏光板の製造方法において、前記接着剤として、アセトアセチル基を含有するポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、架橋剤を、30重量部を超え46重量部以下の範囲で含有するものを用いる場合には、当該接着剤を塗布する前の4時間以内に当該接着剤を調製するのが好ましい。アセトアセチル基を含有するポリビニルアルコール系樹脂に、架橋剤を配合した接着剤を、長時間放置しておくとゲル化する傾向がある。そのため、接着剤の調製は、接着剤を塗布する前のできるだけ短時間内にするのが好ましい。接着剤の調製は、接着剤を塗布する前4時間以内が好ましい。さらには3時間以内が好ましく、特に30分間以内とするのが好ましい。
本発明の偏光板の製造方法では、まず、透明保護フィルムの接着剤層を形成する面または/および偏光子の接着剤層を形成する面に、接着剤を塗布して接着剤層を形成する。接着剤層の厚みは、耐水性や耐湿熱性に影響し、接着剤層の厚みが厚いほど、耐久性は向上する。しかしながら、接着剤層を厚くする場合は、その製造工程において粘度の高い溶液が必要となり、このためPVA系偏光子になんらかの物理的応力がかかり偏光子としての均一性、特にスジ状外観欠点発生をともなう。かかる観点から接着剤層の厚さが30〜300nmであるのが好ましい。前記接着剤層の厚さは、さらに好ましくは60〜250nmである。30nm未満では塗布が困難になる場合があり、また外観欠点が生じやすくなる場合がある。一方300nmを超える場合には外観欠点が生じ易くなり、また耐熱性の点でも好ましくない。
前記接着剤の塗布は、透明保護フィルム、偏光子のいずれに行ってもよく、両者に行ってもよい。前記接着剤の塗布は、乾燥後の厚みが30〜300nm程度になるように行なうのが好ましい。
塗布操作は特に制限されず、ロール法、噴霧法、浸漬法等の各種手段を採用できる。接着剤を塗布した後には、乾燥工程を施し、塗布乾燥層からなる接着剤層を形成する。乾燥温度は、5〜150℃程度、好ましくは30〜120℃程度で、120秒間以上、さらには300秒間以上である。
前記接着剤は、調製時から塗布するまでの温度を管理することが好ましい。接着剤の温度を管理することにより耐水性をより向上することができる。接着剤の管理温度は、30〜50℃の範囲とするのが好ましい。さらに好ましくは30〜45℃、さらに好ましくは30〜40℃である。30℃以上が耐水性の点で好ましい。一方50℃を超えると架橋剤を混ぜた直後にゲル化しやすくなるため、接着剤として使用し難くなる。特に、接着剤の温度管理は、アセトアセチル基を含有するポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、架橋剤を、30重量部を超え46重量部以下の範囲で含有するものを用いる場合に有効である。
なお、前述の通り、前記接着剤として、アセトアセチル基を含有するポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、架橋剤を、30重量部を超え46重量部以下の範囲で含有するものを用いる場合には、当該接着剤の調製は、接着剤を塗布する前の4時間以内に行なうのが好ましい。接着剤の調製から、塗布までを4時間以内の短時間に行なうには、接着剤の調製工程を、偏光板の製造工程の一連の工程の一部に組み込むか、または適当な調製装置を配置することにより行なうことができる。
次いで、本発明の製造方法では、透明保護フィルムと偏光子とを接着剤層により連続的に貼り合わせる。透明保護フィルムまたは偏光子の少なくともいずれかの表面には、予め、接着剤層が形成されている。
貼り合わせ方法は特に制限されない。たとえば、透明保護フィルムと偏光子とを接着剤層を介して連続的に一対のロール間を通過させる方法があげられる。かかる方法は、たとえば図1、図2に示される。図1は、偏光子1の片面に、接着剤層3を設けた透明保護フィルム2を、これらをロールRの間を通過させることにより貼り合わせ、その後に偏光子1の他の片面に同様にして接着剤層3を設けた透明保護フィルム2を貼り合わせる場合である。一方、図2は、偏光子1の両面に、接着剤層3を設けた透明保護フィルム2を、これらをロールRの間を通過させることにより貼り合わせる場合である。
ロールRは、偏光子1と接着剤層3を設けた透明保護フィルム2とが一対のロールを通過する際に、ロール圧によって貼り合わせを行うことができるものであれば特に制限はない。たとえば、ラミネートニップロールが用いられる。また、ロールの材質も特に制限されず、ゴム製、金属製のいずれでもよい。
透明保護フィルムと偏光子(いずれか少なくとも一方には接着剤層が形成されている)の搬送速度は特に制限されないが、通常、0.03〜0.6m/s程度、好ましくは0.08〜0.5m/s程度、より好ましくは0.11〜0.34m/s程度である。
本発明の製造方法では、前記透明保護フィルムと偏光子とを接着剤層を介して貼り合わせる際に、貼り合わせ面に、水性液を存在させる。
水性液としては、たとえば、水が用いられる。この水としては純水が好ましい。また水性液としては、架橋剤を溶解する水溶液が用いられる。架橋剤としては、接着剤の種類に応じた架橋剤が用いられる。ポリビニルアルコール系の接着剤が用いられる場合には、架橋剤としては、メチロール化合物が好適である。架橋剤の含有量は特に制限されないが、通常、40重量%以下、好ましくは5〜40重量%、さらに好ましくは10〜35重量%である。なお、水性液として、架橋剤を含有する水溶液を用いる場合には、架橋剤の量は接着剤中に含有させる場合より少なくても効果を有するため、2〜40重量%であればよく、4〜35重量%であることが好ましい。また水性液として、架橋剤を含有する水溶液を用いる場合には、接着剤溶液中に架橋剤に添加する必要がなくなり、接着剤のポットライフを著しく向上させることができる。前記接着剤として、反応性の高い官能基を有する、アセトアセチル基を含有するポリビニルアルコール系樹脂を用いる場合に有効である。
前記水性液の粘度は、通常、0.1〜10cPであり、好ましくは0.5〜5cPである。前記水性液の粘度は、実施例に記載の方法で測定した値である。0.1cP未満では塗布が困難になる場合があり、一方10cPを超えると外観欠点を生じ易くなる。
水性液の供給量は、搬送速度等により適宜に調整されるが、通常、0.5〜3.4ml/s程度、好ましくは0.5〜1.7ml/sである。水性液の供給量は、原反フィルムの幅によって適宜に調整できる。
前記水性液は、透明保護フィルムと偏光子とを接着剤層を介して貼り合わせる際に、その貼り合わせ面に存在していれば、その供給方法は特に制限されない。たとえば、透明保護フィルムと偏光子の貼り合わせ面に対して、水性液を供給することができる。貼り合わせ面に対して水性液を貼り合わせ直前に供給すれば、貼り合わせの直前まで、接着剤層は水性液と接触しないため、接着剤の耐久性およびスジ状ムラが発生し難い点で好ましい。
また、搬送される、透明保護フィルムまたは偏光子(いずれか少なくとも一方には接着剤層が形成されている)に供給することにより、搬送とともに水性液を貼り合わせ面に導くことができる。
本発明では、透明保護フィルム側にのみ接着剤を塗布し、この塗布により形成された接着剤層上に水性液を供給することにより、貼り合わせ面に水性液を存在させることが好ましい。特に、図2のような状態で偏光子の両面に透明保護フィルムを貼り合わせる場合に好適である。図2の例において、偏光子側に接着剤層を設けることは接着剤がたれてしまうおそれがあるためである。また同様の理由から、水性液の供給は、透明保護フィルムに形成した接着剤層上に行なうことが好ましい。
また透明保護フィルム側にのみ接着剤を塗布して接着剤層を形成した場合には、水性液を偏光子側に供給することができる。かかる方法によれば、前記同様に貼り合わせの直前まで、接着剤層は水性液と接触しない。また偏光子の内部または表面の水分率が小さくなると、スジ状外観欠点の発生に大きく寄与する。一方、偏光子の水分率を高くすればスジ状外観欠点が発生しにくい。偏光子側に水性液を供給しておけば、貼り合わせロールに導かれるまでの間に、偏光子の水分率が高くなって、スジ状外観欠点の発生をより有効に抑えることができる。
また、偏光子側にのみ接着剤を塗布して接着剤層を形成した場合には、水性液は透明保護フィルム側に供給することが好ましい。かかる方法によれば、前記同様に貼り合わせの直前まで、接着剤層は水性液と接触しない。また、透明保護フィルムへの水性液の供給は、偏光子の両面への透明保護フィルムの同時連続貼り合わせが可能であり、接着剤等のたれなく行なうことができ製造装置上有利である。
前記接着剤層を介して透明保護フィルムと偏光子とを連続的に貼り合わせる際には、貼り合わせ面に対して、貼り合わせ直前に水性液を供給することが好ましい。貼り合わせ直前とは、水性液を供給してから30秒間程度以内の短時間に貼り合わせることを意味する。この時間は短ければ短いほど好ましく、水性液を供給してから5秒間以内、さらには2秒間以内、さらには1秒間以内、さらには0.5秒間以内に貼り合わせを行なうのが好ましい。貼り合わせまでの時間が長すぎると、接着剤層上に水性液を供給する場合には、必要以上に接着剤が溶解してしまうことからムラの原因となりやすい。また透明保護フィルム上または偏光子上に水性液を供給する場合には水分率が大きくなりすぎるため乾燥後にムラが出やすくなる。また、このように貼り合わせ直前に水性液を供給する場合に、その供給場所は、いずれの側に接着剤層を設けるかにより制限されず、透明保護フィルム側、偏光子側の片側または両側のいずれでもよい。さらには貼り合わせ部分に液だまりを設けて、貼り合わせ直前に通過させる方法を用いてもよい。
図1、図2では、透明保護フィルム2に設けた接着剤層3と偏光子1の貼り合わせ面に対して、水性液4を供給している。図1、図2においては、一対のロールRの間において水性液が存在していればよく、適宜に水性液4の設定箇所を変更することができる。図1、図2では、水性液4の供給箇所は、一組の搬送フィルム(偏光子と透明保護フィルムの組み合わせ)に対して一つであるが、水性液4の供給箇所は複数箇所設けることができる。また、各搬送フィルムに対して水性液4の供給箇所を設けることもできる。水性液の供給方法は、たとえば、滴下方法、塗布方法、噴射方法などがあげられる。これら供給方法には、ノズル、スプレー、コーター等が適宜に選択して用いられる。
なお、透明保護フィルムと偏光子の貼り合わせ面において、水性液が過剰に存在して、貼り合わせ面の端部から漏れるような場合には、吸引ノズル等により過剰量を除去したり、エアノズル等により貼り合わせ面の中央部に寄せることにより、水性液の漏れによる汚染を防止することができる。
前記のようにして、偏光子と透明保護フィルムとを、水性液を存在させながら接着剤層を介してロールラミネーター等に貼り合わせた後は、乾燥工程を施す。乾燥温度は、5〜150℃程度、好ましくは30〜120℃で、120秒間以上、さらには300秒間以上である。
本発明の偏光板は、実用に際して他の光学層と積層した光学フィルムとして用いることができる。その光学層については特に限定はないが、例えば反射板や半透過板、位相差板(1/2や1/4等の波長板を含む)、視角補償フィルムなどの液晶表示装置等の形成に用いられることのある光学層を1層または2層以上用いることができる。特に、本発明の偏光板に更に反射板または半透過反射板が積層されてなる反射型偏光板または半透過型偏光板、偏光板に更に位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板、偏光板に更に視角補償フィルムが積層されてなる広視野角偏光板、あるいは偏光板に更に輝度向上フィルムが積層されてなる偏光板が好ましい。
反射型偏光板は、偏光板に反射層を設けたもので、視認側(表示側)からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置などを形成するためのものであり、バックライト等の光源の内蔵を省略できて液晶表示装置の薄型化を図りやすいなどの利点を有する。反射型偏光板の形成は、必要に応じ透明保護層等を介して偏光板の片面に金属等からなる反射層を付設する方式などの適宜な方式にて行なうことができる。
反射型偏光板の具体例としては、必要に応じマット処理した透明保護フィルムの片面に、アルミニウム等の反射性金属からなる箔や蒸着膜を付設して反射層を形成したものなどがあげられる。また前記透明保護フィルムに微粒子を含有させて表面微細凹凸構造とし、その上に微細凹凸構造の反射層を有するものなどもあげられる。前記した微細凹凸構造の反射層は、入射光を乱反射により拡散させて指向性やギラギラした見栄えを防止し、明暗のムラを抑制しうる利点などを有する。また微粒子含有の透明保護フィルムは、入射光及びその反射光がそれを透過する際に拡散されて明暗ムラをより抑制しうる利点なども有している。透明保護フィルムの表面微細凹凸構造を反映させた微細凹凸構造の反射層の形成は、例えば真空蒸着方式、イオンプレーティング方式、スパッタリング方式等の蒸着方式やメッキ方式などの適宜な方式で金属を透明保護層の表面に直接付設する方法などにより行うことができる。
反射板は前記の偏光板の透明保護フィルムに直接付与する方式に代えて、その透明フィルムに準じた適宜なフィルムに反射層を設けてなる反射シートなどとして用いることもできる。なお反射層は、通常、金属からなるので、その反射面が透明保護フィルムや偏光板等で被覆された状態の使用形態が、酸化による反射率の低下防止、ひいては初期反射率の長期持続の点や、保護層の別途付設の回避の点などより好ましい。
なお、半透過型偏光板は、上記において反射層で光を反射し、かつ透過するハーフミラー等の半透過型の反射層とすることにより得ることができる。半透過型偏光板は、通常液晶セルの裏側に設けられ、液晶表示装置などを比較的明るい雰囲気で使用する場合には、視認側(表示側)からの入射光を反射させて画像を表示し、比較的暗い雰囲気においては、半透過型偏光板のバックサイドに内蔵されているバックライト等の内蔵光源を使用して画像を表示するタイプの液晶表示装置などを形成できる。すなわち、半透過型偏光板は、明るい雰囲気下では、バックライト等の光源使用のエネルギーを節約でき、比較的暗い雰囲気下においても内蔵光源を用いて使用できるタイプの液晶表示装置などの形成に有用である。
偏光板に更に位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板について説明する。直線偏光を楕円偏光または円偏光に変えたり、楕円偏光または円偏光を直線偏光に変えたり、あるいは直線偏光の偏光方向を変える場合に、位相差板などが用いられる。特に、直線偏光を円偏光に変えたり、円偏光を直線偏光に変える位相差板としては、いわゆる1/4波長板(λ/4板とも言う)が用いられる。1/2波長板(λ/2板とも言う)は、通常、直線偏光の偏光方向を変える場合に用いられる。
楕円偏光板はスーパーツイストネマチック(STN)型液晶表示装置の液晶層の複屈折により生じた着色(青又は黄)を補償(防止)して、前記着色のない白黒表示する場合などに有効に用いられる。更に、三次元の屈折率を制御したものは、液晶表示装置の画面を斜め方向から見た際に生じる着色も補償(防止)することができて好ましい。円偏光板は、例えば画像がカラー表示になる反射型液晶表示装置の画像の色調を整える場合などに有効に用いられ、また、反射防止の機能も有する。上記した位相差板の具体例としては、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレンやその他のポリオレフィン、ポリアリレート、ポリアミドの如き適宜なポリマーからなるフィルムを延伸処理してなる複屈折性フィルムや液晶ポリマーの配向フィルム、液晶ポリマーの配向層をフィルムにて支持したものなどがあげられる。位相差板は、例えば各種波長板や液晶層の複屈折による着色や視角等の補償を目的としたものなどの使用目的に応じた適宜な位相差を有するものであってよく、2種以上の位相差板を積層して位相差等の光学特性を制御したものなどであってもよい。
また上記の楕円偏光板や反射型楕円偏光板は、偏光板又は反射型偏光板と位相差板を適宜な組み合わせで積層したものである。かかる楕円偏光板等は、(反射型)偏光板と位相差板の組み合わせとなるようにそれらを液晶表示装置の製造過程で順次別個に積層することによっても形成しうるが、前記の如く予め楕円偏光板等の光学フィルムとしたものは、品質の安定性や積層作業性等に優れて液晶表示装置などの製造効率を向上させうる利点がある。
視角補償フィルムは、液晶表示装置の画面を、画面に垂直でなくやや斜めの方向から見た場合でも、画像が比較的鮮明にみえるように視野角を広げるためのフィルムである。このような視角補償位相差板としては、例えば位相差フィルム、液晶ポリマー等の配向フィルムや透明基材上に液晶ポリマー等の配向層を支持したものなどからなる。通常の位相差板は、その面方向に一軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムが用いられるのに対し、視角補償フィルムとして用いられる位相差板には、面方向に二軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムとか、面方向に一軸に延伸され厚さ方向にも延伸された厚さ方向の屈折率を制御した複屈折を有するポリマーや傾斜配向フィルムのような二方向延伸フィルムなどが用いられる。傾斜配向フィルムとしては、例えばポリマーフィルムに熱収縮フィルムを接着して加熱によるその収縮力の作用下にポリマーフィルムを延伸処理又は/及び収縮処理したものや、液晶ポリマーを斜め配向させたものなどが挙げられる。位相差板の素材原料ポリマーは、先の位相差板で説明したポリマーと同様のものが用いられ、液晶セルによる位相差に基づく視認角の変化による着色等の防止や良視認の視野角の拡大などを目的とした適宜なものを用いうる。
また良視認の広い視野角を達成する点などより、液晶ポリマーの配向層、特にディスコティック液晶ポリマーの傾斜配向層からなる光学的異方性層をトリアセチルセルロースフィルムにて支持した光学補償位相差板が好ましく用いうる。
偏光板と輝度向上フィルムを貼り合わせた偏光板は、通常液晶セルの裏側サイドに設けられて使用される。輝度向上フィルムは、液晶表示装置などのバックライトや裏側からの反射などにより自然光が入射すると所定偏光軸の直線偏光または所定方向の円偏光を反射し、他の光は透過する特性を示すもので、輝度向上フィルムを偏光板と積層した偏光板は、バックライト等の光源からの光を入射させて所定偏光状態の透過光を得ると共に、前記所定偏光状態以外の光は透過せずに反射される。この輝度向上フィルム面で反射した光を更にその後ろ側に設けられた反射層等を介し反転させて輝度向上フィルムに再入射させ、その一部又は全部を所定偏光状態の光として透過させて輝度向上フィルムを透過する光の増量を図ると共に、偏光子に吸収させにくい偏光を供給して液晶表示画像表示等に利用しうる光量の増大を図ることにより輝度を向上させうるものである。すなわち、輝度向上フィルムを使用せずに、バックライトなどで液晶セルの裏側から偏光子を通して光を入射した場合には、偏光子の偏光軸に一致していない偏光方向を有する光は、ほとんど偏光子に吸収されてしまい、偏光子を透過してこない。すなわち、用いた偏光子の特性によっても異なるが、およそ50%の光が偏光子に吸収されてしまい、その分、液晶画像表示等に利用しうる光量が減少し、画像が暗くなる。輝度向上フィルムは、偏光子に吸収されるような偏光方向を有する光を偏光子に入射させずに輝度向上フィルムで一旦反射させ、更にその後ろ側に設けられた反射層等を介して反転させて輝度向上フィルムに再入射させることを繰り返し、この両者間で反射、反転している光の偏光方向が偏光子を通過し得るような偏光方向になった偏光のみを、輝度向上フィルムは透過させて偏光子に供給するので、バックライトなどの光を効率的に液晶表示装置の画像の表示に使用でき、画面を明るくすることができる。
輝度向上フィルムと上記反射層等の間に拡散板を設けることもできる。輝度向上フィルムによって反射した偏光状態の光は上記反射層等に向かうが、設置された拡散板は通過する光を均一に拡散すると同時に偏光状態を解消し、非偏光状態となる。すなわち、拡散板は偏光を元の自然光状態にもどす。この非偏光状態、すなわち自然光状態の光が反射層等に向かい、反射層等を介して反射し、再び拡散板を通過して輝度向上フィルムに再入射することを繰り返す。このように輝度向上フィルムと上記反射層等の間に、偏光を元の自然光状態にもどす拡散板を設けることにより表示画面の明るさを維持しつつ、同時に表示画面の明るさのむらを少なくし、均一で明るい画面を提供することができる。かかる拡散板を設けることにより、初回の入射光は反射の繰り返し回数が程よく増加し、拡散板の拡散機能と相俟って均一の明るい表示画面を提供することができたものと考えられる。
前記の輝度向上フィルムとしては、例えば誘電体の多層薄膜や屈折率異方性が相違する薄膜フィルムの多層積層体の如き、所定偏光軸の直線偏光を透過して他の光は反射する特性を示すもの、コレステリック液晶ポリマーの配向フィルムやその配向液晶層をフィルム基材上に支持したものの如き、左回り又は右回りのいずれか一方の円偏光を反射して他の光は透過する特性を示すものなどの適宜なものを用いうる。
従って、前記した所定偏光軸の直線偏光を透過させるタイプの輝度向上フィルムでは、その透過光をそのまま偏光板に偏光軸を揃えて入射させることにより、偏光板による吸収ロスを抑制しつつ効率よく透過させることができる。一方、コレステリック液晶層の如く円偏光を透過するタイプの輝度向上フィルムでは、そのまま偏光子に入射させることもできるが、吸収ロスを抑制する点よりその円偏光を位相差板を介し直線偏光化して偏光板に入射させることが好ましい。なお、その位相差板として1/4波長板を用いることにより、円偏光を直線偏光に変換することができる。
可視光域等の広い波長範囲で1/4波長板として機能する位相差板は、例えば波長550nmの淡色光に対して1/4波長板として機能する位相差層と他の位相差特性を示す位相差層、例えば1/2波長板として機能する位相差層とを重畳する方式などにより得ることができる。従って、偏光板と輝度向上フィルムの間に配置する位相差板は、1層又は2層以上の位相差層からなるものであってよい。
なお、コレステリック液晶層についても、反射波長が相違するものの組み合わせにして2層又は3層以上重畳した配置構造とすることにより、可視光領域等の広い波長範囲で円偏光を反射するものを得ることができ、それに基づいて広い波長範囲の透過円偏光を得ることができる。
また、偏光板は上記の偏光分離型偏光板の如く、偏光板と2層又は3層以上の光学層とを積層したものからなっていてもよい。従って、上記の反射型偏光板や半透過型偏光板と位相差板を組み合わせた反射型楕円偏光板や半透過型楕円偏光板などであってもよい。
偏光板に前記光学層を積層した光学フィルムは、液晶表示装置等の製造過程で順次別個に積層する方式にても形成することができるが、予め積層して光学フィルムとしたのものは、品質の安定性や組立作業等に優れていて液晶表示装置などの製造工程を向上させうる利点がある。積層には粘着層等の適宜な接着手段を用いうる。前記の偏光板やその他の光学フィルムの接着に際し、それらの光学軸は目的とする位相差特性などに応じて適宜な配置角度とすることができる。
前述した偏光板や、偏光板を少なくとも1層積層されている光学フィルムには、液晶セル等の他部材と接着するための粘着層を設けることもできる。粘着層を形成する粘着剤は特に制限されないが、例えばアクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、アクリル系粘着剤の如く光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れるものが好ましく用いうる。
また上記に加えて、吸湿による発泡現象や剥がれ現象の防止、熱膨張差等による光学特性の低下や液晶セルの反り防止、ひいては高品質で耐久性に優れる液晶表示装置の形成性などの点より、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着層が好ましい。
粘着層は、例えば天然物や合成物の樹脂類、特に、粘着性付与樹脂や、ガラス繊維、ガラスビーズ、金属粉、その他の無機粉末等からなる充填剤や顔料、着色剤、酸化防止剤などの粘着層に添加されることの添加剤を含有していてもよい。また微粒子を含有して光拡散性を示す粘着層などであってもよい。
偏光板や光学フィルムの片面又は両面への粘着層の付設は、適宜な方式で行ないうる。その例としては、例えばトルエンや酢酸エチル等の適宜な溶剤の単独物又は混合物からなる溶媒にベースポリマーまたはその組成物を溶解又は分散させた10〜40重量%程度の粘着剤溶液を調製し、それを流延方式や塗布方式等の適宜な展開方式で偏光板上または光学フィルム上に直接付設する方式、あるいは前記に準じセパレータ上に粘着層を形成してそれを偏光板上または光学フィルム上に移着する方式などがあげられる。
粘着層は、異なる組成又は種類等のものの重畳層として偏光板や光学フィルムの片面又は両面に設けることもできる。また両面に設ける場合に、偏光板や光学フィルムの表裏において異なる組成や種類や厚さ等の粘着層とすることもできる。粘着層の厚さは、使用目的や接着力などに応じて適宜に決定でき、一般には1〜500μmであり、5〜200μmが好ましく、特に10〜100μmが好ましい。
粘着層の露出面に対しては、実用に供するまでの間、その汚染防止等を目的にセパレータが仮着されてカバーされる。これにより、通例の取扱状態で粘着層に接触することを防止できる。セパレータとしては、上記厚さ条件を除き、例えばプラスチックフィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体等の適宜な薄葉体を、必要に応じシリコーン系や長鎖アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン等の適宜な剥離剤でコート処理したものなどの、従来に準じた適宜なものを用いうる。
なお本発明において、上記した偏光板を形成する偏光子や透明保護フィルムや光学フィルム等、また粘着層などの各層には、例えばサリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などの方式により紫外線吸収能をもたせたものなどであってもよい。
本発明の偏光板または光学フィルムは液晶表示装置等の各種装置の形成などに好ましく用いることができる。液晶表示装置の形成は、従来に準じて行ないうる。すなわち液晶表示装置は一般に、液晶セルと偏光板または光学フィルム、及び必要に応じての照明システム等の構成部品を適宜に組立てて駆動回路を組込むことなどにより形成されるが、本発明においては本発明による偏光板または光学フィルムを用いる点を除いて特に限定はなく、従来に準じうる。液晶セルについても、例えばTN型やSTN型、π型などの任意なタイプのものを用いうる。
液晶セルの片側又は両側に偏光板または光学フィルムを配置した液晶表示装置や、照明システムにバックライトあるいは反射板を用いたものなどの適宜な液晶表示装置を形成することができる。その場合、本発明による偏光板または光学フィルムは液晶セルの片側又は両側に設置することができる。両側に偏光板または光学フィルムを設ける場合、それらは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えば拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
次いで有機エレクトロルミネセンス装置(有機EL表示装置)について説明する。一般に、有機EL表示装置は、透明基板上に透明電極と有機発光層と金属電極とを順に積層して発光体(有機エレクトロルミネセンス発光体)を形成している。ここで、有機発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えばトリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層と、アントラセン等の蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、あるいはこのような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層の積層体や、またあるいはこれらの正孔注入層、発光層、および電子注入層の積層体等、種々の組み合わせをもった構成が知られている。
有機EL表示装置は、透明電極と金属電極とに電圧を印加することによって、有機発光層に正孔と電子とが注入され、これら正孔と電子との再結合によって生じるエネルギーが蛍光物資を励起し、励起された蛍光物質が基底状態に戻るときに光を放射する、という原理で発光する。途中の再結合というメカニズムは、一般のダイオードと同様であり、このことからも予想できるように、電流と発光強度は印加電圧に対して整流性を伴う強い非線形性を示す。
有機EL表示装置においては、有機発光層での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透明でなくてはならず、通常酸化インジウムスズ(ITO)などの透明導電体で形成した透明電極を陽極として用いている。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に仕事関数の小さな物質を用いることが重要で、通常Mg−Ag、Al−Liなどの金属電極を用いている。
このような構成の有機EL表示装置において、有機発光層は、厚さ10nm程度ときわめて薄い膜で形成されている。このため、有機発光層も透明電極と同様、光をほぼ完全に透過する。その結果、非発光時に透明基板の表面から入射し、透明電極と有機発光層とを透過して金属電極で反射した光が、再び透明基板の表面側へと出るため、外部から視認したとき、有機EL表示装置の表示面が鏡面のように見える。
電圧の印加によって発光する有機発光層の表面側に透明電極を備えるとともに、有機発光層の裏面側に金属電極を備えてなる有機エレクトロルミネセンス発光体を含む有機EL表示装置において、透明電極の表面側に偏光板を設けるとともに、これら透明電極と偏光板との間に位相差板を設けることができる。
位相差板および偏光板は、外部から入射して金属電極で反射してきた光を偏光する作用を有するため、その偏光作用によって金属電極の鏡面を外部から視認させないという効果がある。特に、位相差板を1/4波長板で構成し、かつ偏光板と位相差板との偏光方向のなす角をπ/4に調整すれば、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
すなわち、この有機EL表示装置に入射する外部光は、偏光板により直線偏光成分のみが透過する。この直線偏光は位相差板により一般に楕円偏光となるが、とくに位相差板が1/4波長板でしかも偏光板と位相差板との偏光方向のなす角がπ/4のときには円偏光となる。
この円偏光は、透明基板、透明電極、有機薄膜を透過し、金属電極で反射して、再び有機薄膜、透明電極、透明基板を透過して、位相差板に再び直線偏光となる。そして、この直線偏光は、偏光板の偏光方向と直交しているので、偏光板を透過できない。その結果、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。なお、各例中、部および%は特記ない限り重量基準である。
(水性液の粘度測定方法)
23℃の条件下で、粘度測定装置(Thermo Haake社製,Rheometer Rheostress1)を用いて、せん断速度82000(1/s)における粘度を測定した。
(接着剤層の厚み測定方法)
SEMによる断面観察により測定した。
(偏光子Aの作製)
平均重合度2400、ケン化度99.9モル%の厚み80μmのポリビニルアルコール(PVA)フィルムを、25℃の純水中に60秒間浸漬して膨潤させるとともに、流れ方向に延伸倍率2倍まで一軸延伸した。次いで、ヨウ素/ヨウ化カリウム(重量比=1/10)の濃度5%の水溶液に浸漬するとともに総延伸倍率が2.5倍となるように延伸した後、40℃のホウ酸濃度4重量%、ヨウ化カリウム濃度3重量%の水溶液中で総延伸倍率が3倍となるまで延伸した。その後、25℃のヨウ化カリウム濃度5重量%の水溶液中で、総延伸倍率が5.5倍となるように延伸を行い、純水中で洗浄した。次いで、40℃のオーブンにて3分間乾燥を行い、厚さ30μmの偏光子Aを得た。
(偏光子Bの作製)
上記(偏光子Aの作製)において、PVAフィルムとして、平均重合度2400、ケン化度99.9モル%の厚み50μmのPVAフィルムを用いたこと以外は上記と同様にして厚さ19μmの偏光子Bを得た。
(透明保護フィルム)
厚さ40μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルムを用いた。
実施例1
(接着剤の調製)
アセトアセチル(AA)基を含有するPVA系樹脂(平均重合度:1200,ケン化度:98.5モル%,AA基変性度:5モル%,(表1中ではAA変性PVAと示す。))100部に対し、メチロールメラミン20部を、30℃の温度条件下に、純水に溶解し、固形分濃度0.5%に調整した水溶液を調製した。これを接着剤として、30℃の温度条件下に用いた。
(偏光板の作製a)
上記透明保護フィルムの片面に、上記接着剤をダイコーターで塗布した。接着剤の塗布は、その調製から30分間後に行なった。次いで、50℃で3分間乾燥して、乾燥後の厚みが31nmの接着剤層を形成した。
次いで、前記接着剤層付きのTACフィルムを、図2に示すように、厚さ30μmの偏光子Aの両面に、粘度1cP(23℃)の純水を供給しながらにロール機で貼り合せた。フィルムの搬送速度は0.25m/s、純水の供給量は0.80ml/sとした。純水の供給場所は、透明保護フィルム上(貼り合わせまでの時間が0.5秒間になる位置)になるように行なった。その後55℃で6分間乾燥を行い、偏光板を作製した。
実施例2〜4
実施例1の(接着剤の調製)において、接着剤の濃度を表1に示すように変えたものを用いたこと以外は実施例1と同様にして偏光板を得た。接着剤層の厚さは表1に示す通りである。
実施例5〜12
実施例1の(接着剤の調製)において、接着剤に用いる架橋剤の種類、接着剤の濃度を表1に示すように変えたものを用いたこと以外は実施例1と同様にして偏光板を得た。接着剤層の厚さは表1に示す通りである。
実施例13〜16
実施例1の(接着剤の調製)において、接着剤に用いる樹脂をポリビニルアルコール系樹脂(平均重合度:1200,ケン化度:98.5モル%)に代え、接着剤の濃度を表1に示すように変えたものを用いたこと以外は実施例1と同様にして偏光板を得た。接着剤層の厚さは表1に示す通りである。
実施例17
実施例1の(偏光板の作製)において、純水の代わりに、粘度3cP(23℃)のメチロールメラミン5重量%を含有する水溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして偏光板を得た。接着剤層の厚さは表1に示す通りである。
実施例18〜20
実施例1の(接着剤の調製)において、接着剤に架橋剤を用いなかったこと、実施例1の(偏光板の作製)において純水の代わりに、表1に示す水溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして偏光板を得た。接着剤層の厚さは表1に示す通りである。
実施例21
実施例3において、接着剤に架橋剤を用いなかったこと以外は実施例3と同様にして偏光板を得た。接着剤層の厚さは表1に示す通りである。
実施例22〜24
実施例3において、接着剤に架橋剤を用いなかったこと、純水の代わりに、表1に示す水溶液を用いたこと以外は実施例3と同様にして偏光板を得た。接着剤層の厚さは表1に示す通りである。
実施例25
実施例3において、接着剤に架橋剤を用いなかったこと以外は実施例3と同様にして偏光板を得た。接着剤層の厚さは表1に示す通りである。
実施例26〜28
実施例3において、接着剤に架橋剤を用いなかったこと、純水の代わりに、表1に示す水溶液を用いたこと以外は実施例3と同様にして偏光板を得た。接着剤層の厚さは表1に示す通りである。
実施例29
実施例3において、接着剤層付きのトリアセチルセルロースフィルムと偏光子とを貼り合せる直前(貼り合わせまでの時間が0.5秒間になる位置)に純水を滴下する代わりに、貼り合わせ位置1m手前のフィルム上に純水を滴下したこと、フィルムの搬送速度を0.25m/sとして、貼り合わせまでの時間を4秒間になるようにしたこと以外は、実施例3と同様にして偏光板を得た。接着剤層の厚さは表1に示す通りである。
実施例30
実施例3において、接着剤層付きのトリアセチルセルロースフィルムと偏光子とを貼り合せる直前(貼り合わせまでの時間が0.5秒間になる位置)に純水を滴下する代わりに、貼り合わせ位置1m手前のフィルム上に純水を滴下したこと、フィルムの搬送速度を0.1m/sとして、貼り合わせまでの時間を10秒間になるようにしたこと以外は、実施例3と同様にして偏光板を得た。接着剤層の厚さは表1に示す通りである。
実施例31
実施例3において、接着剤層付きのトリアセチルセルロースフィルムと偏光子とを貼り合せる直前(貼り合わせまでの時間が0.5秒間になる位置)に純水を滴下する代わりに、貼り合わせ位置1m手前のフィルム上に純水を滴下したこと、フィルムの搬送速度を0.04m/sとして、貼り合わせまでの時間を25秒間になるようにしたこと以外は、実施例3と同様にして偏光板を得た。接着剤層の厚さは表1に示す通りである。
実施例32
実施例3において、偏光子Aの代わりに、偏光子Bを用いたこと以外は、実施例3と同様にして偏光板を得た。接着剤層の厚さは表1に示す通りである。
比較例1
実施例1の(偏光板の作製a)を下記の(偏光板の作製b)としたこと以外は実施例1と同様にして偏光板を作成した。
(偏光板の作製b)
図4に示すように、偏光子Aの両面に、上記接着剤を供給しながらロール機で貼り合せた後、55℃で6分間乾燥して偏光板を作製した。フィルムの搬送速度は0.35m/s、接着剤の供給量は0.60ml/sとした。供給場所は、透明保護フィルム上(貼り合わせまでの時間が0.5秒間になる位置)になるように行なった乾燥後の厚みが16nmの接着剤層を形成した。
比較例2〜20
比較例1において、接着剤に用いるポリビニルアルコール系樹脂の種類、架橋剤の種類、接着剤の濃度を表1に示すように変えたものを用いたこと以外は比較例1と同様にして偏光板を得た。接着剤層の厚さは表1に示す通りである。なお、比較例17〜20では、ポリビニルアルコール系樹脂(平均重合度:1200,ケン化度:98.5モル%)を用いた。
比較例21
比較例3において、偏光子Aの代わりに、偏光子Bを用いたこと以外は、比較例3と同様にして偏光板を得た。接着剤層の厚さは表1に示す通りである。
(評価)
実施例および比較例で得られた偏光板を、偏光子の吸収軸方向に50mm、吸収軸に直交する方向に25mmになるように切り出して偏光板サンプルとした。このサンプルについて以下の評価を行なった。結果を表1に示す。
(外観欠点評価)
得られた偏光板サンプルに蛍光灯照射光を反射させて以下の基準で目視評価を行なった。
○:スジ状、点状欠陥およびムラなし。
△:一部分にスジ状、点状欠陥およびムラあり。
×:全面にスジ状、点状欠陥およびムラあり。
(光抜け評価)
得られた偏光板サンプル2枚を、その吸収軸が直交するようにクロスニコルに重ね合わせた状態で、蛍光灯照射光を透過させて以下の基準で光抜けを目視評価した。
○:光抜けなし。
×:光抜けあり。
(耐久性)
得られた偏光板サンプルを、60℃の温水に3時間浸漬した後に、サンプルの端部の剥がれ量(mm)を測定し、以下の基準で評価した。剥がれ量(mm)の測定は、ノギスおよび金尺を用いて行なった。
◎:剥がれなし。
○:剥がれ3mm未満。
△:剥がれ3〜30mm。
×:31mm以上。
表1中、PVA:ポリビニルアルコール、AA変性PVA:アセトアセチル基を含有するポリビニルアルコール系樹脂である。