JP4918341B2 - 二重機構タービンエンジンの付属装置を駆動するシステム - Google Patents

Description

本発明は、航空機に適用される複数機構ガスタービンエンジンの分野に関し、ロータシャフトから機械力を取り出す手段を目的とする。この手段の特定の目的は、付属装置の駆動である。

タービンエンジンは通常、少なくとも部分的に燃焼室に供給する空気圧縮機を備える。燃焼室からのガスは、圧縮機に機械的に接続される１つまたは複数のタービンステージを駆動し、推進力の少なくとも一部を供給する。二重機構エンジンは、同心のシャフトを有し、相互に対して機械的に自由に回転する２組のロータを備える。低圧（ＬＰ）機構と、高圧（ＨＰ）機構がある。民間航空機のターボジェットまたはターボプロップは、ＬＰ機構により駆動され、エンジン推進力の大部分を供給するファンまたはプロペラを備える。

エンジンにより供給される動力の一部は、エンジン自体、およびこれが推進する航空機の付属装置に供給するために使用される。

現在ではこの動力は、付属装置を駆動するギアボックスの入力シャフトを駆動するために、一部は機械的に、エンジンのＨＰステージのシャフトから取り出される。このギアボックスは、ＡＧＢ（アクセサリギアボックス）とも呼ばれる。フロントファンを有するターボジェットでは、このギアボックスはそのケーシング上に配置される。その入力シャフトは通常、中間ケーシングの構造アームの１つに収容される伝動シャフトにより駆動され、ＨＰシャフトに固定的に取り付けられる運動取出かさ歯車に角度伝達ギアボックスを介して接続される。発電機や油圧オイルポンプまたは燃料ポンプなどの様々な付属装置が設置されており、このギアボックスにより駆動される。その他に、特に航空機キャビンの加圧および空調等、または除氷のため、エネルギー取出には、ＨＰ圧縮機から出される圧縮空気も含まれる。

現在では、より多目的に使用可能であるとみなされている電動手段の割合の拡大により機械力の取出の割合を高める傾向にある。このように航空機の設備用の電力供給の必要性が高まることにより、エンジン動作および性能の理由から、主に低回転数では、ＨＰ機構のみから動力を取り出すことはもはや不可能となっている。

したがって、タービンエンジンの新たな利用法における動力取出の増加には、ＨＰ機構およびＬＰ機構から機械力を取り出すためのシステムの採用が必要である。本発明の主題は、２つのロータから動力を取り出す手段であり、この動力は速度に応じてこの２つのロータのいずれか、または同時に両方から取り出すことが可能である。

しかし、ＨＰ機構とＬＰ機構は個別に異なる速度で回転し、動作範囲も異なる。アイドリング速度と全速との間ではＨＰシャフトの速度比は２倍である。すなわち、回転速度はたとえば、１００００ｒｐｍから２００００ｒｐｍへ増加する。他方で、ＬＰシャフトの速度比では５倍であり、たとえば回転速度は、アイドリング時の９００ｒｐｍから全速時の４５００ｒｐｍへ増加する。したがって、これら２つの異なる動作範囲に対応して取出を行わなければならないという問題がある。ギアボックスに設置される装置はＨＰ機構の速度範囲に対応する範囲内で作動するよう適合されているため、この問題を解決することはますます重要である。これは、ＬＰ機構より著しく少ないことが認められている。

よって、本発明の主題は、ＡＧＢギアボックスに取り付けられる機器または付属装置の作動に対応する動作範囲を有するＡＧＢに動力供給を行い、ＨＰ機構およびＬＰ機構から機械力を取り出す複合手段でもある。

この目的を達成するために、本発明は第１の付属装置と第２の付属装置とを区別する。また、上記装置を駆動するためのシステムは、ＨＰロータのシャフトと第１の装置との間に後者を機械的に駆動するように配置される第１の伝動機構を備えることを特徴とする。これはさらに、第１の結合手段と、ＬＰロータのシャフトと第２の装置との間にこの第２の装置を駆動するように配置される第２の伝動機構とを備える。

このシステムはまた、第１の伝動機構と第２の伝動機構との間に第２の結合手段を有し、これは、特にエンジンが高速、より詳細には全速で作動している時に第２の付属装置がＨＰロータにより駆動されることを可能にする。有利には、第１の結合手段は、第２の結合手段が結合されると切り離されるように構成される。

このように、結合手段があるため、取り出された動力をエンジン速度に応じて２つのロータ間で簡単に配分することが可能である。

好適には、システムは少なくとも２つの速度比を有し、ＬＰロータシャフトの入力部と第２の伝動機構の出力部に接続されるギアボックスを備える。第１の結合手段は、選択的に２つの速度比のいずれかに結合するか、またはＬＰロータからの機械伝動を切り離すように構成される。

より詳細には、トルクの伝達が妨げられることなく速度比の変更が荷重下で行われるように結合手段が構成される。また、好適には、第１の結合手段はそれ自体公知である二重結合要素伝動装置である。速度は結合要素の作動によってのみ変更される。続く変速比は必ず利用可能である。

駆動システムは、ＬＰ機構およびＨＰ機構両方の速度信号を入力パラメータとして、また２つの結合手段の制御信号を出力パラメータとして備える制御手段を備える。

本発明は、このシステムの作動形態にも関する。エンジン回転数が低い場合は、ギアボックスの第１の速度比が結合され、回転数が高くなると第２の速度比が結合される。好適には、第２の結合手段は、第１の結合手段が結合されると切り離され、高速、特に全速の際に第２の結合手段が結合され、第１の結合手段が切り離される。

始動時には、第１または第２の装置のいずれかまたは両方がエンジンを始動させる手段を備え、第１の結合要素が切り離され、第２の結合要素が結合されており、そのためＨＰロータが駆動される。

結合要素は、始動時の応力に反応し、また第３速度比を使用することによりシステムを最適化することが可能になる。

本発明のその他の特徴および長所は、以下の限定的ではない実施形態の説明および添付の図面を参照することにより明らかになる。

図１に示される要素は概略的に示されている。これらは機能的要素であり、その実際の構造の詳細はここに示されていない。当業者であれば従来技術に属する手段を関連付けることが可能であろう。

タービンエンジンのうち、図示されるのはＨＰロータのシャフト２とＬＰロータのシャフト３のみである。２つのシャフトは、同心であり相互に自由に回転する。エンジンの他の部品は本発明に関係がなく、いかなる形のものでもよい。各シャフトはかさ歯車２１および３１に固定的に取り付けられている。歯車２１は伝動シャフト４をかさ歯車４１を介して駆動する。

シャフト４は、第１の伝動機構８を介して、ここでは２つの第１の付属装置、Ａ１およびＡ２を駆動する。この伝動機構はＡＧＢのような固定歯車装置である。

ＬＰロータのシャフト３は、かさ歯車５１を介してシャフト５を駆動する。このシャフト５は、ギアボックス６の入力シャフトを形成する。ギアボックスの出力シャフト７は、好適にはこれも固定歯車装置である第２の伝動機構９を介して第２の付属装置Ａ３、Ａ４を駆動する。

この実施形態に係り、ギアボックス６は、２つの速度比６３および６５を有する。これは、ここでは二重結合要素である第１の結合手段６１を介して入力シャフト５に接続される。しかし、速度比の数はこれよりも多くてもよい。

第２の結合手段１０は、伝動機構８を伝動機構９と接続する。これは、それ自体公知の油圧結合器、フリーホイールまたはその他の単一結合要素であることが可能である。

制御ユニット２０は、それぞれのロータの回転速度を表す信号ＮｈｐおよびＮｂｐを受信し、組み込まれるプログラムに応じて適切な制御信号を第１および第２の結合手段６１または１０を起動するための部材に送る。

この駆動システムの作動形態を以下に説明する。

始動モードでは、始動手段の動力は全てエンジンのＨＰ機構に供給される。このために、第１の結合手段６１は切り離され、第２の結合手段１０が結合されている。２つの伝動機構は接続されている。図２の矢印Ｆ１およびＦ２は、始動手段からの第１および第２の装置間の動力伝達を示す。これにより、始動用の付属装置の位置とは無関係に、始動動力全体がＨＰ機構に供給される。

エンジンの低回転数に対応する複数機構取出モードでは、２つの速度比を有するギアボックスにより、ＬＰロータの速度範囲を第２の伝動機構に設置される付属装置のものと適合させることが可能である。

第１のエンジン速度範囲では、制御部２０によって第１の結合手段６１が第１の速度比６３とシャフト５を結合させる。図３では、矢印Ｆ３は、第２の付属装置を駆動するためのＬＰロータのシャフト３から動力機構９への動力伝達を示す。

矢印Ｆ４は、ＨＰシャフトにより駆動される第１の伝動機構８を示す。

第２の結合手段１０は切り離されている。

図４は、矢印Ｆ５およびＦ４により、後者は変わらずに、エンジンの高回転数におけるロータと装置との間の動力伝達を示す。ギアボックス６の第２の速度比６５が使用される。第２の結合手段１０は切り離されたままである。２つの速度比を有するギアボックスにより、第２の速度比が常に利用可能であり、これを二重結合要素の簡単な制御によってギアを変更することなく結合することが可能になる。

高速の範囲に対応する単一機構取出モードでは、第１の結合手段６１が切り離され、システムとＬＰ機構との間の接続を遮断する。第２の結合手段１０のの結合により、伝動機構８および９が接続される。付属装置の動力は全てＨＰ機構から取り出される。これは図５において二重矢印Ｆ６で示される。

図６は、伝動機構９の第２の装置の回転速度のエンジン速度に応じた変化を示す図である。

第１のギアボックス速度比６３と共に速度は上昇し、その後規定の速度で第２の速度比６５が結合されると、この新しい原理に応じて速度は上昇する。最後に、第２の結合要素が結合される際に結合要素６１が切り離され、すると付属装置の速度はＨＰ機構の原理に従う。

適切な制御法則により、１つの速度比から別の速度比への移行は、動力伝達が妨げられることなく行われる。

したがって、本発明のシステムは、エンジンおよび航空機装置と適合する２つの伝動機構を駆動する供給手段が、
ＬＰ機構から付属装置へ動力を伝達することと、
ＨＰ機構のみへ動力を供給することによりエンジン始動に備えることと、を可能にする。

本発明に係る付属装置を駆動するためのシステムの概略図である。 始動時の作動を示す。 ギアボックスの２つの速度比それぞれに関するシステムの複数機構作動を示す。 ギアボックスの２つの速度比それぞれに関するシステムの複数機構作動を示す。 単一機構取出におけるシステムの作動を示す。 エンジン速度に応じた第２の伝動機構の速度の変化を示す。

符号の説明

２ ＨＰシャフト
３ ＬＰシャフト
４ 伝動シャフト
５ 入力シャフト
６ ギアボックス
７ 出力シャフト
８ 第１の伝動機構
９ 第２の伝動機構
１０ 第２の結合手段
２０ 制御ユニット
２１、３１、４１、５１ かさ歯車
６１ 第１の結合手段
６３ 第１の速度比
６５ 第２の速度比

Claims (7)

1. 低圧ＬＰロータのシャフト（３）と高圧ＨＰロータのシャフト（２）とを有する二重機構タービンエンジンの第１（Ａ１、Ａ２）および第２（Ａ３、Ａ４）の付属装置を駆動するためのシステムであって、
   ＨＰロータのシャフト（２）と第１の付属装置（Ａ１、Ａ２）との間に後者を機械的に駆動するように配置される第１の伝動機構（８）と、
   ＬＰロータのシャフト（３）と第２の付属装置（Ａ３、Ａ４）との間に上記第２の付属装置（Ａ３、Ａ４）を駆動するように配置される第１の結合手段（６１）と第２の伝動機構（９）と、
   第１の伝動機構（８）と第２の伝動機構（９）との間にあり、特にエンジンが高速で作動する際に、第２の付属装置（Ａ３、Ａ４）がＨＰロータのシャフト（２）により駆動されることを可能にする第２の結合手段（１０）と、
   を備え、前記第１の結合手段（６１）が、第２の結合手段（１０）が結合されると切り離されるように構成されることを特徴とする、システム。
2. ＬＰロータのシャフト（３）からの入力部および第２の伝動機構（９）への出力部に接続される少なくとも２つの速度比（６３、６５）を有するギアボックス（６）を備え、第１の結合手段（６１）が、選択的に２つの速度比のいずれかを結合するか、またはＬＰロータのシャフト（３）からの機械伝動を切り離す、請求項１に記載のシステム。
3. 入力パラメータとしてＬＰ機構およびＨＰ機構の２つのシャフトの速度信号を、また出力パラメータとして２つの結合手段（６１、１０）の制御信号を備える制御手段（２０）を備える、請求項１に記載のシステム。
4. タービンエンジンの低回転時にはギアボックス（６）の第１の速度比（６３）が結合され、タービンエンジンの作動が高速になると第２の速度比（６５）が結合される、請求項２に記載のシステムの作動形態。
5. 第２の結合手段（１０）が、第１の結合手段（６１）が結合されると切り離される、請求項１に記載のシステムの作動形態。
6. タービンエンジンの高速回転時には第２の結合手段（１０）が結合され、第１の結合手段（６１）が切り離されている、請求項５に記載の作動形態。
7. 第１または第２の付属装置のいずれかが、エンジン始動手段を備え、その際第１の結合手段（６１）が切り離され、第２の結合手段（１０）が結合されている、請求項１に記載のシステムの始動時の作動形態。

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