JP4916596B1 - 脂質二重膜の表側から裏側にカリウムイオンを輸送する方法 - Google Patents

脂質二重膜の表側から裏側にカリウムイオンを輸送する方法 Download PDF

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Abstract

本発明の目的は、特定の化学物質を高感度かつ高精度に検出することである。
特定の脂質二重膜を利用することにより、化学物質が高感度かつ高精度に検出される。ここで、前記特定の脂質二重膜は、化学物質の受容体、キメラGタンパク質、およびカリウムイオンチャネルを具備する。前記キメラGタンパク質は、キメラGαサブユニットおよびGβγサブユニット複合体を具備し、前記キメラGαサブユニットは、Gi/olf13(配列番号:04)、Gi/olf28(配列番号:05)、Gi/olf94(配列番号:07)、Gi/olf113(配列番号:08)、Gi/olf
α3−β5,C(配列番号:12)、またはGi/olfα4−β6,C(配列番号:15)からなる群より選択される。
【選択図】図2

Description

本発明は、脂質二重膜の表側から裏側にカリウムイオンを輸送する方法に関する。
細胞の脂質二重膜に存在するGタンパク質結合型受容体(G protein-coupled receptor)(以下、場合により『GPCR』と称される。)は、細胞の脂質二重膜に存在するGタンパク質と連動して機能する。図1に示されるように、神経伝達物質のような化学物質がGPCRに結合すると、細胞内においてGPCRと共役している三量体Gタンパク質が活性化され、Gαサブユニットと、GβサブユニットおよびGγサブユニットからなる二量体(以下、場合により『Gβγサブユニット複合体』と称される。)とに解離する。それらは各々、種々のシグナルを伝達する。
図2に示されるように、Gβγサブユニット複合体のGタンパク質共役型内向整流カリウムイオンチャネル(G protein-coupled inwardly rectifying potassium channel)(以下、場合により『GIRK』と称される。)への結合は、GIRKのゲートが開放することをもたらす。GIRKのゲートが開放されると、脂質二重膜の表側に存在するカリウムイオンが当該ゲートを通って脂質二重膜の裏側へ移動する。当該カリウムイオンの移動は、イオン電流測定法を使用することにより検出又は定量され得る。
GαサブユニットがキメラGαサブユニットであると、場合によってはカリウムイオンはより効率的に表側から裏側へと移動する。キメラGαサブユニットを具備するGタンパク質が発現した脂質二重膜を、化学物質センサーとして使用することが提案されている。
下記の非特許文献1〜6は、本発明に関連する。
Gloriam D., Fredriksson R., Schioth H., (2007) "The G protein-coupled receptor subset of the rat genome" BMC Genomics 8, 338 - 405 Oldham, W. M. and H. E. Hamm (2008)."Heterotrimeric G protein activation by G-protein-coupled receptors."Nat. Rev. Mol. Cell Biol. 9, 60-71. Kim W. Chan, Jin-Liang Sui, Michel Vivaudou, and Diomedes E. Logothetis , (1996) "Control of channel activity through a unique amino acid residue of a G protein-gated inwardly rectifying K+ channel subunit" Proc. Natl. Acad. Sci., 93, 14193 - 14198 Gregory J. Digby, Pooja R. Sethi, and Nevin A. Lambert , (2008), "Differential dissociation of G protein heterotrimers" J. Physiol, 586, 3325 - 3335 Thomsen W., Frazer J., Unett D., (2005), "Functional assays for screening GPCR targets" Curr. Opin. Biotech.,16, 655 - 665 Leaney J.L., Milligan G., Tinker A., (2000) "The G Protein a Subunit Has a Key Role in Determining the Specificity of Coupling to, but Not the Activation of, G Protein-gated Inwardly Rectifying K1 Channels" J. Biol. Chem., 275, 921 - 929
本発明の目的は、より高感度に化学物質に応答する、脂質二重膜の表側から裏側にカリウムイオンを輸送する方法を提供することである。
本発明者らは、特定のキメラGαサブユニットを具備するキメラGタンパク質が上記課題を解決することを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明は下記項目1〜9を提供する。
項目1:
脂質二重膜の表側から裏側にカリウムイオンを輸送する方法であって、以下の工程(a)および工程(b)を具備する:
前記脂質二重膜を用意する工程(a)
ここで、前記脂質二重膜は、化学物質の受容体、Gタンパク質、およびカリウムイオンチャネルを具備し、
前記Gタンパク質は、キメラGαサブユニット、およびGβγサブユニット複合体を具備し、
前記キメラGαサブユニットは、Gi/olf13(配列番号:04)、Gi/olf28(配列番号:05)、Gi/olf94(配列番号:07)、Gi/olf113(配列番号:08)、Gi/olfα3-β5,C(配列番号:12)、またはGi/olf α4-β6,C(配列番号:15)のいずれかからなり、および
前記化学物質および前記カリウムイオンを前記表側から供給し、前記キメラGαサブユニットおよび前記Gβγサブユニット複合体の放出、および前記Gβγサブユニット複合体の前記カリウムイオンチャネルへの結合により、前記表側から前記裏側に前記カリウムイオンを輸送する工程(b)。
項目2:
前記化学物質が、アドレナリン受容体作動薬である項目1に記載の方法。
項目3:
前記カリウムイオンチャネルが、Gタンパク質共役型内向き整流カリウムイオンチャネルである、項目1に記載の方法。
項目4:
化学物質を検出又は定量する方法であって以下の工程(c)〜(e)を具備する:
脂質二重膜、前記脂質二重膜の表側に位置する第1液体、および前記脂質二重膜の裏側に位置する第2液体を用意する工程(c)、
ここで、前記脂質二重膜は、化学物質の受容体、Gタンパク質、およびカリウムイオンチャネルを具備し、
前記Gタンパク質は、キメラGαサブユニット、およびGβγサブユニット複合体を具備し、
前記キメラGαサブユニットは、Gi/olf13(配列番号:04)、Gi/olf28(配列番号:05)、Gi/olf94(配列番号:07)、Gi/olf113(配列番号:08)、Gi/olfα3-β5,C(配列番号:12)、またはGi/olf α4-β6,C(配列番号:15)のいずれかからなり、
前記第1液体はカリウムイオンを含有し、
前記第1液体に前記化学物質を供給する工程(d)、および
前記第1および第2液体の少なくともいずれか一方のカリウムイオンの量を測定し、前記カリウムイオンの量に基づいて前記化学物質を検出又は定量する工程(e)。
項目5:
前記化学物質が、アドレナリン受容体作動薬である項目4に記載の方法。
項目6:
前記カリウムイオンチャネルが、Gタンパク質共役型内向き整流カリウムイオンチャネルである、項目4に記載の方法。
項目7:
化学物質を検出または定量する方法であって、以下の工程(f)〜(h)を具備する:
脂質二重膜を用意する工程(f)、
ここで、前記脂質二重膜は、化学物質の受容体、Gタンパク質、およびカリウムイオンチャネルを具備し、
前記Gタンパク質は、キメラGαサブユニットおよび前記Gβγサブユニット複合体を具備し、
前記キメラGαサブユニットは、Gi/olf13(配列番号:04)、Gi/olf28(配列番号:05)、Gi/olf94(配列番号:07)、Gi/olf113(配列番号:08)、Gi/olfα3-β5,C(配列番号:12)、またはGi/olfα4-β6,C(配列番号:15)のいずれかからなり、
前記脂質二重膜の表側および裏側にそれぞれ位置する第1および第2液体を供給し、前記第1および第2液体の間に前記脂質二重膜を挟む工程(g)、
ここで、前記第1液体はカリウムイオンおよび化学物質を含有し、および
前記第1および第2液体の少なくともいずれか一方のカリウムイオンの量を測定し、前記カリウムイオンの量に基づいて前記化学物質を検出または定量する工程(h)。
項目8:
前記化学物質が、アドレナリン受容体作動薬である、項目7に記載の方法。
項目9:
前記カリウムイオンチャネルが、Gタンパク質共役型内向き整流イオンチャネルである、項目7に記載の方法。
本発明によれば、脂質二重膜の表側から裏側に輸送されるカリウムイオンの量が増加する。これにより、高感度に標的化学物質の検出がなされる。
三量体Gタンパク質によるシグナル伝達を示す模式図 GIRKの働きを利用した、化学物質センサを示す模式図 Gタンパク質の2次元構造を示す模式図 Gαiの二次元構造を示す模式図 Gαolfの二次元構造を模式的に示す図 i/olf5の二次元構造を模式的に示す図 i/olf13の二次元構造を模式的に示す図 i/olf28の二次元構造を模式的に示す図 i/olf45の二次元構造を模式的に示す図 i/olf94の二次元構造を模式的に示す図 i/olf113の二次元構造を模式的に示す図 i/olf156の二次元構造を模式的に示す図 i/olf195の二次元構造を模式的に示す図 i/olf α 3-β5の二次元構造を模式的に示す図 i/olfα3-β5,Cの二次元構造を模式的に示す図 i/olfα4-β6の二次元構造を模式的に示す図 i/olfα3-β5,α4-β6の二次元構造を模式的に示す図 i/olfα4-β6,Cの二次元構造を模式的に示す図 i/olfα3-β5,α4-β6,Cの二次元構造を模式的に示す図 β1アドレナリン受容体発現プラスミドの作製方法を概念的に示す図 Kir3.1発現プラスミドの作製方法を概念的に示す図 Kir3.1(F137S)発現プラスミドの作製方法を概念的に示す図 キメラGタンパク質発現プラスミドの作製方法を概念的に示す図 キメラGタンパク質発現プラスミドの作製方法を概念的に示す図 キメラGタンパク質発現プラスミドの作製方法を概念的に示す図 Gαi(C351G)タンパク質発現細胞のイオン電流を示す図 i/olf13タンパク質発現細胞のイオン電流を示す図 野生型Gαolfタンパク質発現細胞のイオン電流を示す図 キメラGタンパク質発現細胞のイオン電流の変化を示す図 Gタンパク質発現細胞のイオン電流の変化を示す図 Gタンパク質発現細胞のイオン電流の変化を示す図 本発明の構成による化学センサの、従来の化学物質検出方法に対する優位性を示す図 キメラGタンパク質発現細胞のカリウムイオン電流の、各種化学物質に対する濃度依存性を示す図
(用語の定義)
本明細書において用いられる用語は以下の通り定義される。
用語『脂質二重膜』は、細胞の表面を構成する膜、すなわち細胞膜を意味する。
用語『キメラGαサブユニット』は、あるGαタンパク質(例えば、Gαi)の特定の領域を、異なるGαタンパク質(例えば、Gαolf)の対応する領域で置換したGαサブユニットを意味する。
用語『キメラGタンパク質』は、αサブユニットがキメラGαサブユニットであるGタンパク質を意味する。
本発明で使用される脂質二重膜は、化学物質受容体、キメラGタンパク質、およびカリウムイオンチャネルを具備する。
脂質二重膜を具備する細胞の一例は、ヒト由来株化細胞である。
(化学物質の受容体)
化学物質の受容体として、Gタンパク質共役型受容体が採用される。Gタンパク質共役型受容体には、ホルモン受容体、神経伝達物質受容体、フェロモン受容体、嗅覚受容体、および味覚受容体に加えて、種々のオーファンGタンパク質共役型受容体が含まれる。ホルモン受容体の一例は、アドレナリン受容体である。
(キメラGタンパク質)
キメラGタンパク質は、キメラGαサブユニットおよびGβγサブユニット複合体を具備する。
本発明において、キメラGαサブユニットは、Gi/olf13、Gi/olf28、Gi/olf94、Gi/olf113、Gi/olfα3-β5,C、およびGi/olfα4-β6,Cからなる群より選択される。キメラGαサブユニットの名称中に含まれる添え字が、Gαiタンパク質のアミノ酸配列が、対応するGαolfのアミノ酸配列と置換された領域を示している。これらのキメラGαサブユニットが用いられた場合、化学物質の接触に応答してより多量のカリウムイオンが、脂質二重膜の表側から裏側へ輸送される。各キメラGαサブユニットのアミノ酸配列が以下に示される。
(Gi/olf13
MGCTLSAEDKAAVERSKMIDRNLREDGEKAAREVKLLLLGAGESGKSTIVKQMKIIHEAGYSEEECKQYKAVVYSNTIQSIIAIIRAMGRLKIDFGDSARADDARQLFVLAGAAEEGFMTAELAGVIKRLWKDSGVQACFNRSREYQLNDSAAYYLNDLDRIAQPNYIPTQQDVLRTRVKTTGIVETHFTFKDLHFKMFDVGGQRSERKKWIHCFEGVTAIIFCVALSDYDLVLAEDEEMNRMHESMKLFDSICNNKWFTDTSIILFLNKKDLFEEKIKKSPLTICYPEYAGSNTYEEAAAYIQCQFEDLNKRKDTKEIYTHFTCATDTKNVQFVFDAVTDIIQRMHLKQYELL(配列番号:04)
(Gi/olf28
MGCTLSAEDKAAVERSKMIDRNLREDGEKAAREVKLLLLGAGESGKSTIVKQMKIIHEAGYSEEECKQYKAVVYSNTIQSIIAIIRAMGRLKIDFGDSARADDARQLFVLAGAAEEGFMTAELAGVIKRLWKDSGVQACFNRSREYQLNDSAAYYLNDLDRIAQPNYIPTQQDVLRTRVKTTGIVETHFTFKDLHFKMFDVGGQRSERKKWIHCFEGVTAIIFCVALSDYDLVLAEDEEMNRMHESMKLFDSICNNKWFTDTSIILFLNKKDLFEEKIKKSPLTICYPEYAGSNTYEEAAAYIQCQFEDLNKRKDTKEIYTHFTCAVDTENIRRVFNDCRDIIQRMHLKQYELL(配列番号:05)
(Gi/olf94
MGCTLSAEDKAAVERSKMIDRNLREDGEKAAREVKLLLLGAGESGKSTIVKQMKIIHEAGYSEEECKQYKAVVYSNTIQSIIAIIRAMGRLKIDFGDSARADDARQLFVLAGAAEEGFMTAELAGVIKRLWKDSGVQACFNRSREYQLNDSAAYYLNDLDRIAQPNYIPTQQDVLRTRVKTTGIVETHFTFKDLHFKMFDVGGQRSERKKWIHCFEGVTAIIFCVALSDYDLVLAEDEEMNRMHESMKLFDSICNNKWFTDTSIILFLNKKDLFEEKVLAGKSKIEDYFPEYANYTVPEDATPDAGEDPKVTRAKFFIRDLFLRISTATGDGKHYCYPHFTCAVDTENIRRVFNDCRDIIQRMHLKQYELL(配列番号:07)
(Gi/olf113
MGCTLSAEDKAAVERSKMIDRNLREDGEKAAREVKLLLLGAGESGKSTIVKQMKIIHEAGYSEEECKQYKAVVYSNTIQSIIAIIRAMGRLKIDFGDSARADDARQLFVLAGAAEEGFMTAELAGVIKRLWKDSGVQACFNRSREYQLNDSAAYYLNDLDRIAQPNYIPTQQDVLRTRVKTTGIVETHFTFKDLHFKMFDVGGQRSERKKWIHCFEGVTAIIFCVALSDYDLVLAEDEEMNRMHESMKLFDSICNNKWLRTISIILFLNKQDMLAEKVLAGKSKIEDYFPEYANYTVPEDATPDAGEDPKVTRAKFFIRDLFLRISTATGDGKHYCYPHFTCAVDTENIRRVFNDCRDIIQRMHLKQYELL(配列番号:08)
(Gi/olfα3-β5,C
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(Gi/olfα4-β6,C
MGCTLSAEDKAAVERSKMIDRNLREDGEKAAREVKLLLLGAGESGKSTIVKQMKIIHEAGYSEEECKQYKAVVYSNTIQSIIAIIRAMGRLKIDFGDSARADDARQLFVLAGAAEEGFMTAELAGVIKRLWKDSGVQACFNRSREYQLNDSAAYYLNDLDRIAQPNYIPTQQDVLRTRVKTTGIVETHFTFKDLHFKMFDVGGQRSERKKWIHCFEGVTAIIFCVALSDYDLVLAEDEEMNRMHESMKLFDSICNNKWFTDTSIILFLNKKDLFEEKIKKSPLTICYPEYAGSNTYEEAAAYIQCQFEDLNTATGDGKHYCYTHFTCATDTKNVQFVFDAVTDIIQRMHLKQYELL(配列番号15)
図3に示されるように、Gαサブユニットを構成するタンパク質は、GTPアーゼドメイン(GTPase domain)と称される領域と、らせん領域(helical domain)と称される領域とを具備する。両領域は、リンカー1、リンカー2とそれぞれ称される2つのαヘリックス(α-helix)を介して互いに連結されている。GTPアーゼドメインは5本のαヘリックス、6本のβシート、およびこれらを連結するループを含む。
図7に示されるように、Gi/olf13の二次元構造は、Gαi(C351G)のC末端から13アミノ酸が、Gαolfの対応するアミノ酸で置換された構造である。
図8に示されるように、Gi/olf28の二次元構造は、Gαi(C351G)のβ6−α5ループを含むC末端側の領域が、Gαolfの対応する領域で置換された構造である。
図10に示されるように、Gi/olf94の二次元構造は、Gαi(C351G)のαG−α4ループを含むC末端側の領域が、Gαolfの対応する領域で置換された構造である。
図11に示されるように、Gi/olf113の二次元構造は、Gαi(C351G)のα3−β5ループを含むC末端側の領域が、Gαolfの対応する領域で置換された構造である。
図15に示されるように、Gi/olfα3-β5,Cの二次元構造は、Gαi(C351G)のα3−β5ループ、およびα5−C末端ループが、Gαolfの対応するループで置換された構造である。
図18に示されるように、Gi/olfα4-β6,Cの二次元構造は、Gαi(C351G)のα3−β5ループおよびα5−C末端ループが、Gαolfの対応するループで置換された構造である。
(カリウムイオンチャネル)
カリウムイオンチャネルとしては、Gタンパク質共役型内向き整流性カリウムチャネル(GIRK)が用いられる。GIRKは、Kir3.1、Kir3.2、Kir3.3およびKir3.4の4つのサブタイプに分類される。本発明において、Kir3.1の137番目のフェニルアラニンがセリンで置換された変異型Kir3.1(F137S)が好ましく用いられる。その理由が以下に記述される。サブタイプKir3.1〜Kir3.4は、相異なるサブタイプとヘテロ多量体を形成する。換言すると、GIRKは2種のサブタイプを含む。しかしながら、変異型Kir3.1(F137S)はホモ4量体を形成し、当該4量体がカリウムイオンチャネルを構成する。従って、変異型Kir3.1(F137S)を用いた場合はカリウムイオンチャネルの構成に必要とされるタンパク質の種類は1種類である。
化学物質の受容体、キメラGタンパク質、およびカリウムイオンチャネルを具備する脂質二重膜は、例えば、以下に記述される方法により調製される。化学物質の受容体をコードする発現プラスミド、キメラGタンパク質をコードする発現プラスミド、およびカリウムイオンチャネルをコードする発現プラスミドが作製される。作製された各プラスミドが細胞に導入され、発現される。当該方法の具体的な手順は実施例で詳述される。
(カリウムイオンの輸送)
化学物質の受容体、キメラGタンパク質、およびカリウムイオンチャネルを具備する脂質二重膜の表側と裏側は、それぞれ、適宜な緩衝液に接触している。当該脂質二重膜の表側に接触する緩衝液は、カリウムイオンを濃度1〜1000Mで含有する。
化学物質が当該脂質二重膜の表側に供給され、化学物質の受容体と結合すると、脂質二重膜の裏側において化学物質受容体と結合しているキメラGタンパク質が、キメラGαサブユニットと、Gβγサブユニット複合体とに分割され、放出される。Gβγサブユニット複合体のカリウムイオンチャネルへの接触は、カリウムイオンチャネルのゲートの開放をもたらす。カリウムイオンチャネルのゲートが開放されると、カリウムイオンが脂質二重膜の表側から裏側へと輸送される。
(化学物質の検出又は定量)
上述の脂質二重膜の表側から裏側にカリウムイオンを輸送する方法を利用して、化学物質が検出又は定量され得る。カリウムイオンの輸送により生じたイオン電流の変化を測定し、脂質二重膜の表側に存在する化学物質が検出又は定量される。具体的には、化学物質は以下に記述されるように検出又は定量される。まず、上述の化学物質の受容体、キメラGタンパク質、およびカリウムイオンチャネルを具備する脂質二重膜の表側にカリウムイオンが供給される。具体的には、例えば、脂質二重膜の表側に第1液体を、裏側に第2液体を供給する。すなわち、当該脂質二重膜は、第1液体と第2液体との間に挟まれる。第1液体、および第2液体は通常、pH7付近である緩衝液である。第1液体はカリウムイオンを含有する。第2液体もカリウムイオンを含有していてもよい。
標的化学物質もまた、当該脂質二重膜の表側に供給される。具体的には、第1液体および第2液体との間に脂質二重膜が挟まれた状態で、第1液体に標的化学物質が供給される。標的化学物質は、化学物質の受容体に供給される。化学物質の受容体に標的化学物質が供給されることが、キメラGタンパク質のサブユニットの放出をもたらし、脂質二重膜の表側に存在する(第1液体に含有される)カリウムイオンが、脂質二重膜の裏側(第2液体)に輸送される。カリウムイオンの輸送によって生じたイオン電流の変化が測定され、当該測定結果に基づいて化学物質が検出又は定量される。上述の化学物質の供給は、脂質二重膜の表側に最初に供給された第1液体を、化学物質を含有する以外は第1液体と同一の組成を有する溶液で置換することにより行われてもよい。
化学物質の定量の目的で、検量線が一般的に用いられる。
(化学物質)
化学物質としては、化学物質の受容体の作動薬として機能しうる化学物質がいずれも使用でき、特に制限されない。化学物質の受容体としてアドレナリン受容体が用いられる場合には、化学物質としては、イソプロテレノール(isoproterenol)、ドーパミン(dopamine)、ドブタミン(dobutamine)等が例示される。
[プラスミドの作製]
実施例および比較例で用いられたプラスミドの作製方法が以下に示される。
(アドレナリン受容体発現プラスミドの作製)
図20はアドレナリン受容体発現プラスミドの作製手順を示す。βアドレナリン受容体の遺伝子(GenBank登録番号:J05561.1)は、次の手順により増幅された。ラット心臓由来のcDNA(rat heart cDNA)が2断片に分けて、PCR法の実施により増幅された。一方の断片の増幅に用いたプライマーは、プライマー1(配列番号17)およびプライマー2(配列番号18)であった。他方の断片の増幅に用いたプライマーは、プライマー3(配列番号19)およびプライマー4(配列番号20)であった。得られた2つの断片が、それぞれプラスミドへライゲーションされた。この2つのプラスミドを鋳型にして、PCRを実施した。一方のプラスミドの増幅に用いられたプライマーは、プライマー5(配列番号21)およびプライマー2(配列番号18)であった。他方のプラスミドの増幅に用いられたプライマーは、プライマー3(配列番号19)およびプライマー6(配列番号22)であった。これにより、増幅断片の末端に制限酵素サイトが付加された。得られた2種の断片の一方がEcoRIおよびHindIIIで処理された。他方がHindIIIおよびSalIで処理された。処理後の断片が、あらかじめEcoRIおよびSalIで処理された発現プラスミドにライゲーションされ、β1アドレナリン受容体発現プラスミド(以下、『plasmid(βAR)』と称される。)を得た。用いられたプライマーの配列が表1に示される。
(変異型カリウムイオンチャネルKir3.1(F137S)発現プラスミドの作製)
変異型カリウムイオンチャネルKir3.1(F137S)の遺伝子は、マウスKir3.1の遺伝子を部分的に変異させることにより構築された。図21は、マウスKir3.1発現プラスミドの作製手順を示す。マウスKir3.1の遺伝子は、2断片に分けて増幅された。Mouse Brain cDNA Library(クロンテック製)が鋳型として用いられた。一回目のPCRで、一方の断片の増幅に用いられたプライマーは、プライマー7(配列番号23)およびプライマー8(配列番号24)であった。他方の断片の増幅に用いられたプライマーは、プライマー9(配列番号25)およびプライマー10(配列番号26)であった。2回目のPCRで、一方の断片の増幅に用いられたプライマーは、プライマー11(配列番号27)およびプライマー12(配列番号28)であった。PCR産物を切り出す制限酵素としてNhe IおよびCla Iが用いられた。他方の断片の増幅に用いられたプライマーは、プライマー13(配列番号29)およびプライマー14(配列番号30)であった。PCR産物を切り出す制限酵素としてはCla IおよびNot Iが用いられた。得られた遺伝子断片はあらかじめNhe IおよびNot Iで処理した発現プラスミドにライゲーションされ、マウスKir3.1発現プラスミド(以下、『plasmid(Kir3.1)』と称される。)が得られた。用いられたプライマーの配列が表2に示される。
図22は、変異型カリウムイオンチャネルKir3.1(F137S)発現プラスミドの作製手順を示す。Kir3.1(F137S)遺伝子は、次の手順で作製された。plasmid(Kir3.1)を鋳型として、Kir3.1の遺伝子は、2断片に増幅された。これらの断片は、オーバーラップ・エクステンションPCR法の実施により連結された。一方の断片の増幅にはプライマー11(配列番号27)とプライマー16(配列番号32)が用いられ、もう一方の断片の増幅には、プライマー15(配列番号31)とプライマー14′(配列番号78)が用いられた。PCR産物らは混合させられ、熱変性させられ、さらにPCRを実施することにより増幅された。このPCR反応にはプライマー11(配列番号27)およびプライマー14′(配列番号78)が用いられた。得られた断片はNhe IおよびXho Iで処理された。処理後の断片は、あらかじめNhe IおよびXho Iで処理されたプラスミドにライゲーションされ、発現プラスミド(以下『plasmid(Kir3.1(F137S))』と称される。)を得た。
(野生型Gタンパク質(Gαolf)発現プラスミドの作製)
マウス嗅球から単離されたRNAを、逆転写酵素を用いて逆転写することによって、マウス嗅細胞の全cDNAが得られた。得られたcDNAが鋳型として用いられ、PCRによりGαolfの遺伝子が増幅された。プライマー17(配列番号33)およびプライマー18(配列番号34)が用いられた。得られた遺伝子断片をプラスミドがプラスミドにライゲーションされ、Gαolf遺伝子(GenBank登録番号:AY179168.1)がクローニングされた。得られたGαolf断片が、PCRによりさらに増幅された。プライマー19(配列
番号35)およびプライマー20(配列番号36)が用いられた。これにより、増幅断片の末端に制限酵素サイトが付加された。当該制限酵素サイトを有する増幅断片が発現プラスミドにライゲーションされ、野生型Gタンパク質(Gαolf)発現プラスミド(以下『plasmid(Gαolf)』と称される。)を得た。
(Gタンパク質(Gαi(C351G))発現プラスミドの作製)
Gαiの351番目のシステインがグリシンで置換されたGαi(C351G)タンパク質発現プラスミドの作製手順が図23に示される。Gαi(C351G)は、Gαi選択的阻害剤である百日咳毒素に対して抵抗性があること以外は野生型のGαiと同じ機能を有することが明らかとなっている。Gαi(mouse Gil:NM-010305)遺伝子が増幅された手順が以下に示される。マウス脾臓由来のcDNA(mouse spleen cDNA)は2断片に分けて、PCRにより増幅された。一方の断片の増幅に用いたプライマーは、プライマー21(配列番号37)およびプライマー22(配列番号38)であった。他方の断片の増幅に用いたプライマーは、プライマー23(配列番号39)およびプライマー24(配列番号40)であった。得られた2つの断片が、それぞれプラスミドにライゲーションされた。この2つのプラスミドを鋳型にして、PCRを実施した。一方のプラスミドの増幅に用いられたプライマーは、プライマー25(配列番号41)およびプライマー26(配列番号42)であった。他方のプラスミドの増幅に用いられたプライマーは、プライマー27(配列番号43)およびプライマー28(配列番号44)であった。これにより、増幅断片の末端に制限酵素サイトが付加された。得られた2種の断片の一方がEcoRIおよびBamHIで処理された。他方がBamHIおよびEcoRIで処理された。処理後の断片が、あらかじめEcoRIで処理された発現プラスミドにライゲーションされ、野生型Gタンパク質(Gαi)発現プラスミド(以下、『plasmid(Gαi)』と称される。)が得られた。用いられたプライマーの配列が表3に示される。
(キメラGタンパク質(Gi/olf5)発現プラスミドの作製)
キメラGタンパク質(Gi/olf5)発現プラスミド(以下、『plasmid(Gi/olf5)』と称される。)は、プライマー28に換えてプライマー29(配列番号45)が用いられた以外は、plasmid(Gαi)の作製と同じ手順により作製された。作製手順が図23に示される。
(キメラGタンパク質(Gi/s13)発現プラスミドの作製)
キメラGタンパク質(Gi/s13)発現プラスミド(以下、『plasmid(Gi/s13)』と称される。)は、プライマー28に換えてプライマー30(配列番号46)が用いられた以外は、plasmid(Gαi)の作製と同じ手順により作製された。作製手順が図23に示される。
(キメラGタンパク質(Gi/olf13)発現プラスミドの作製)
キメラGタンパク質(Gi/olf13)発現プラスミド(以下、『plasmid(Gi/olf13)』と称される。)は、プライマー28に換えてプライマー31(配列番号47)が用いられた以外は、plasmid(Gαi)の作製と同じ手順により作製された。作製手順が図23に示される。用いられたプライマーの配列が表4に示される。
(キメラGタンパク質(Gi/olf28)発現プラスミドの作製)
キメラGタンパク質(Gi/olf28)発現プラスミド(以下、『plasmid(Gi/olf28)』と称される。)は、鋳型Iとしてplasmid(Gi/olf13)を、鋳型IIとしてplasmid(Gαolf)をそれぞれ用い、オーバーラップエクステンションPCRによって作製された。図24に示されるように、鋳型Iを用いたPCRのために、プライマーとしてA-PRIMERおよびB-PRIMERが用いられた。A-PRIMERおよびB-PRIMERを用いると、Gαiの特定の領域のアミノ酸をコードする塩基配列を選択的に増幅させることができる。得られた断片の一部がB-PRIMERの相補的配列に付加され、付着末端が形成された。鋳型IIを用いたPCRのために、プライマーとしてC-PRIMERおよびD-PRIMERが用いられた。C-PRIMERおよびD-PRIMERを用いると、Gαolfの特定の領域のアミノ酸をコードする塩基配列を選択的に増幅させることができる。得られた断片の一部がC-PRIMERの相補的配列に付加され、付着末端が形成された。具体的には、A-PRIMERとしてプライマー32(配列番号48)が、B-PRIMERとしてプライマー33(配列番号49)が用いられた。C-PRIMERとしてはプライマー34(配列番号50)が、D-PRIMERとしてはプライマー35(配列番号51)が用いられた。オーバーラップエクステンションPCRによって、各PCR産物は付着末端を介して互いに連結された。プライマーとしてA-PRIMERおよびD-PRIMERが用いられた。得られた断片はEcoRIおよびSalIにより処理され、あらかじめEcoRIおよびSalIで処理された発現プラスミドにライゲーションされ、plasmid(Gi/olf28)を得た。plasmid(Gi/olf28)で形質転換された大腸菌が培養された。大腸菌から精製されたplasmid(Gi/olf28)が細胞への導入に用いられた。
(キメラGタンパク質(Gi/olf45)発現プラスミドの作製)
表5に示す各プライマーが用いられた以外は、plasmid(Gi/olf28)の作製と同じ手順でキメラGタンパク質(Gi/olf48)発現プラスミド(以下『plasmid(Gi/olf48)』と称される。)が作製された。
(キメラGタンパク質(Gi/olf94)発現プラスミドの作製)
表5に示す各プライマーが用いられた以外は、plasmid(Gi/olf28)の作製と同じ手順でキメラGタンパク質(Gi/olf94)発現プラスミド(以下『plasmid(Gi/olf94)』と称される。)が作製された。
(キメラGタンパク質(Gi/olf113)発現プラスミドの作製)
表5に示す各プライマーが用いられた以外は、plasmid(Gi/olf28)の作製と同じ手順でキメラGタンパク質(Gi/olf113)発現プラスミド(以下『plasmid(Gi/olf113)』と称される。)が作製された。
(キメラGタンパク質(Gi/olf156)発現プラスミドの作製)
表5に示す各プライマーが用いられた以外は、plasmid(Gi/olf28)の作製と同じ手順でキメラGタンパク質(Gi/olf156)発現プラスミド(以下『plasmid(Gi/olf156)』と称される。)が作製された。
(キメラGタンパク質(Gi/olf195)発現プラスミドの作製)
表5に示す各プライマーが用いられた以外は、plasmid(Gi/olf28)の作製と同じ手順でキメラGタンパク質(Gi/olf195)発現プラスミド(以下『plasmid(Gi/olf195)』と称される。)が作製された。
各プライマーによって増幅されるアミノ酸配列の領域が表6に示される。
(キメラGタンパク質(Gi/olfα3-β5)発現プラスミドの作製)
キメラGタンパク質(Gi/olfα3-β5)発現プラスミド(以下、『plasmid(Gi/olfα3-β5)』と称される。)は、鋳型Iとしてplasmid(Gi/olf13)を、鋳型IIとしてplasmid(Gαi)をそれぞれ用い、オーバーラップエクステンションPCRによって作製された。図25に示されるように、鋳型Iを用いたPCRのために、プライマーとしてプライマ
ー36(配列番号52)およびE-PRIMERが用いられた。具体的には、E-PRIMERとしてプライマー37(配列番号53)が用いられた。得られた断片の一部がE-PRIMERの相補的配列に付加され、付着末端が形成された。鋳型IIを用いたPCRのために、プライマーとしてプライマー39(配列番号55)およびF-PRIMERが用いられた。具体的には、F-PRIMERとしてプライマー38(配列番号54)が用いられた。得られた断片の一部がF-PRIMERの相補的配列に付加され、付着末端が形成された。プライマー36およびプライマー39を用いたオーバーラップエクステンションPCRによって、各PCR産物は付着末端を介して互いに連結された。得られた断片はEcoRIにより処理され、あらかじめEcoRIで処理された発現プラスミドにライゲーションされ、plasmid(Gi/olfα3-β5)を得た。plasmid(Gi/olfα3-β5)で形質転換された大腸菌が培養された。大腸菌から精製されたplasmid(Gi/olfα3-β5)が細胞への導入に用いられた。
(キメラGタンパク質(Gi/olfα3-β5,C)発現プラスミドの作製)
キメラGタンパク質(Gi/olfα3-β5,C)発現プラスミド(以下、『plasmid(Gi/olfα3-β5,C)』と称される。)は、鋳型、および制限酵素として表7に記載されたものが使用された以外は、plasmid(Golfα3-β5)の作製と同じ手順により作製された。
(キメラGタンパク質(Gi/olfα4-β6)発現プラスミドの作製)
キメラGタンパク質(Gi/olfα4-β6)発現プラスミド(以下、『plasmid(Gi/olfα4-β6)』と称される。)は、鋳型、E-PRIMER、F-PRIMER、および制限酵素として表7に
記載されたものが使用された以外は、plasmid(Golfα3-β5)の作製と同じ手順により
作製された。
(キメラGタンパク質(Gi/olfα4-β6,C)発現プラスミドの作製)
キメラGタンパク質(Gi/olfα4-β6,C)発現プラスミド(以下、『plasmid(Gi/olfα4-β6,C)』と称される。)は、鋳型、E-PRIMER、F-PRIMER、および制限酵素として表
7に記載されたものが使用された以外は、plasmid(Golfα3-β5)の作製と同じ手順に
より作製された。
(キメラGタンパク質(Gi/olfα3-β5,α4-β6)発現プラスミドの作製)
キメラGタンパク質(Gi/olfα3-β5,α4-β6)発現プラスミド(以下、『plasmid(
i/olfα3-β5,α4-β6)』と称される。)は、鋳型、E-PRIMER、F-PRIMER、および制限酵素として表7に記載されたものが使用された以外は、plasmid(Golfα3-β5)の作製
と同じ手順により作製された。
(キメラGタンパク質(Gi/olfα3-β5,α4-β6,C)発現プラスミドの作製)
キメラGタンパク質(Gi/olfα3-β5,α4-β6,C)発現プラスミド(以下、『plasmid(Gi/olfα3-β5,α4-β6,C)』と称される。)は、鋳型、E-PRIEMR、F-PRIMER、および制限酵素として表7に記載されたものが使用された以外は、plasmid(Golfα3-β5)の作製と同じ手順により作製された。
[電気生理活性の測定]
キメラGタンパク質と、カリウムイオンチャネルと、化学物質受容体とが発現した細胞(以下、『キメラGタンパク発現細胞』と称される。)を得た。当該キメラGタンパク発現細胞の電気生理活性をパッチクランプ法を使用して測定した。キメラGタンパク発現細胞は以下の手順により作製した。第1に、キメラGタンパク質発現プラスミドと、カリウムイオンチャネル発現プラスミドと、化学物質受容体発現プラスミドとを作製した。次に、当該3つの発現プラスミドがHEK293T細胞に導入され、当該細胞中に発現した。
(実施例1)
キメラGαサブユニットとしてGi/olf13を具備する、キメラGタンパク質が採用された。カリウムイオンチャネルとしては、変異型カリウムイオンチャネルKir3.1(F137S)が採用された。化学物質受容体としては、β1アドレナリン受容体が採用された。
(キメラGタンパク質発現細胞の調製)
HEK293T細胞に、plasmid(βAR)、plasmidKir3.1(F137S)、およびplasmid(Gi/olf13)を発現させた。当該発現の手順が以下に示される。約80%コンフルエントに培養したHEK293T細胞を回収し、新たな培養シャーレに蒔いた。使用した細胞の継代数は10代以内であった。DMEM(10%FBS(fetal bovine serum)、ストレプトマイシン)が用いられた。24時間培養後、トランスフェクション試薬を用いて当該細胞にプラスミドが導入された。当該細胞はプラスミド導入後48時間培養され、キメラGタンパク質発現細胞が調製された。
(電流変化量の測定)
パッチクランプ法を使用して、キメラGタンパク発現細胞の膜電流が測定された。測定は、β1アドレナリン受容体作動薬であるイソプロテレノール(以下、『ISO』と称される。)が供給されない場合と、ISOが供給された場合において行われた。測定の手順が以下に示される。
(測定のためのサンプル)
PLL(poly−L−lysin)で処理されたカバーガラス(3mm×10mm、松浪ガラス株式会社製)上にキメラGタンパク発現細胞を蒔き、4時間静置して計測用サンプルを得た。
(ガラス電極)
測定に用いられたガラス電極の作製手順が以下に記述される。ガラス電極作製装置(Sutter Instrument社製『レーザープラ−P−2000』)を使用して(ガラス管(外径1.5mm、内径0.86mm、長さ100mm)から一端の径が1μmであるガラスピペットを作製した。当該ガラスピペットに銀/塩化銀(Ag/AgCl)電極を挿入した。当該ガラスピペットは緩衝液Aで満たされた。緩衝液Aの組成は細胞内液の組成と類似である。緩衝液Aの組成が表8に示される。
(測定)
測定作業は顕微鏡(オリンパス株式会社製『IX71』)下で行われた。銀/塩化銀(Ag/AgCl)電極上に環流チャンバが設置された。Tyroad緩衝液で満たされた環流チャンバ中に計測用サンプルが配置された。単一の細胞とガラス電極の先端とが接触した状態でガラス電極内を陰圧にした。細胞膜のガラス電極の先端と接触した部分が破断され、等価回路が形成された(全細胞状態(Whole-cell mode))。細胞の内と外との間の電位差が、パッチクランプアンプ(HEKA Instrument Inc.製『EPC10』)を用いて0mVに保持された。この状態下で、環流チャンバ中のTyroad緩衝液がGIRK緩衝液で置換された。10秒おきにパルス電位(電位:−50mV、継続時間:100m秒)が印加され、当該印加時に生じた膜電流が測定された。Tyroad緩衝液およびGIRK緩衝液の組成が表8に示される。
続いて、β1アドレナリン受容体作動薬であるイソプロテレノール(isoproterenol)(以下、場合により『ISO』と称される。)が細胞に接触した場合の膜電流が以下の手順で測定された。環流チャンバ内のGIRK緩衝液が試料溶液に置換された。細胞の内と外との間の電位差が0mVに保持された条件下で、10秒おきにパルス電位(電位:−50mV、継続時間:100m秒)が印加され、当該印加時に生じた膜電流が測定された。試料溶液の組成が表8に示される。
(実施例2〜6)
i/olf13を具備するキメラGタンパク質に換えて、それぞれ、表9中に記載されたGαサブユニットを具備するキメラGタンパク質が採用されたこと以外は、実施例1と同様にキメラGタンパク発現細胞が調製され、膜電流が測定された。
(比較例1〜10)
i/olf13を具備するキメラGタンパク質に換えて、それぞれ、表10中に記載された
Gαサブユニットを具備するキメラGタンパク質が採用されたこと以外は、実施例1と同様にキメラGタンパク発現細胞が調製され、膜電流が測定された。
(比較例11)
キメラGタンパク質発現細胞の調製において、plasmid(Gi/olf13)が導入されなかったこと以外は、実施例1と同様に細胞が調製され、膜電流が測定された。
比較例1で用いられたGαサブユニット(Gαi(C351G))のアミノ酸配列が以下に示される。図4は(Gαi(C351G))の二次元構造を模式的に示す。
MGCTLSAEDKAAVERSKMIDRNLREDGEKAAREVKLLLLGAGESGKSTIVKQMKIIHEAGYSEEECKQYKAVVYSNTIQSIIAIIRAMGRLKIDFGDSARADDARQLFVLAGAAEEGFMTAELAGVIKRLWKDSGVQACFNRSREYQLNDSAAYYLNDLDRIAQPNYIPTQQDVLRTRVKTTGIVETHFTFKDLHFKMFDVGGQRSERKKWIHCFEGVTAIIFCVALSDYDLVLAEDEEMNRMHESMKLFDSICNNKWFTDTSIILFLNKKDLFEEKIKKSPLTICYPEYAGSNTYEEAAAYIQCQFEDLNKRKDTKEIYTHFTCATDTKNVQFVFDAVTDVIIKNNLKDIGLF(配列番号1)
比較例2で用いられたGαサブユニット(Gαolf)のアミノ酸配列が以下に示される。図5は(Gαolf)の二次元構造を模式的に示す。
MGCLGNSSKTAEDQGVDEKERREANKKIEKQLQKERLAYKATHRLLLLGAGESGKSTIVKQMRILHVNGFNPEEKKQKILDIRKNVKDAIVTIVSAMSTIIPPVPLANPENQFRSDYIKSIAPITDFEYSQEFFDHVKKLWDDEGVKACFERSNEYQLIDCAQYFLERIDSVSLVDYTPTDQDLLRCRVLTSGIFETRFQVDKVNFHMFDVGGQRDERRKWIQCFNDVTAIIYVAACSSYNMVIREDNNTNRLRESLDLFESIWNNRWLRTISIILFLNKQDMLAEKVLAGKSKIEDYFPEYANYTVPEDATPDAGEDPKVTRAKFFIRDLFLRISTATGDGKHYCYPHFTCAVDTENIRRVFNDCRDIIQRMHLKQYELL(配列番号2)
比較例3で用いられたキメラGαサブユニット(Gi/olf5)のアミノ酸配列が以下に示される。 i/olf5 はGαiタンパク質のC末端側から5アミノ酸が、Gαolfの対応するアミノ酸で置換したされたキメラGαサブユニットである。図6はGi/olf5の二次元構造を模式的に示す。
MGCTLSAEDKAAVERSKMIDRNLREDGEKAAREVKLLLLGAGESGKSTIVKQMKIIHEAGYSEEECKQYKAVVYSNTIQSIIAIIRAMGRLKIDFGDSARADDARQLFVLAGAAEEGFMTAELAGVIKRLWKDSGVQACFNRSREYQLNDSAAYYLNDLDRIAQPNYIPTQQDVLRTRVKTTGIVETHFTFKDLHFKMFDVGGQRSERKKWIHCFEGVTAIIFCVALSDYDLVLAEDEEMNRMHESMKLFDSICNNKWFTDTSIILFLNKKDLFEEKIKKSPLTICYPEYAGSNTYEEAAAYIQCQFEDLNKRKDTKEIYTHFTCATDTKNVQFVFDAVTDVIIKNNLKQYELL(配列番号3)
比較例4で用いられたキメラGαサブユニット(Gi/olf45)のアミノ酸配列が以下に示される。図9はGi/olf45の二次元構造を模式的に示す。
MGCTLSAEDKAAVERSKMIDRNLREDGEKAAREVKLLLLGAGESGKSTIVKQMKIIHEAGYSEEECKQYKAVVYSNTIQSIIAIIRAMGRLKIDFGDSARADDARQLFVLAGAAEEGFMTAELAGVIKRLWKDSGVQACFNRSREYQLNDSAAYYLNDLDRIAQPNYIPTQQDVLRTRVKTTGIVETHFTFKDLHFKMFDVGGQRSERKKWIHCFEGVTAIIFCVALSDYDLVLAEDEEMNRMHESMKLFDSICNNKWFTDTSIILFLNKKDLFEEKIKKSPLTICYPEYAGSNTYEEAAAYIQCQFEDLNTATGDGKHYCYPHFTCAVDTENIRRVFNDCRDIIQRMHLKQYELL(配列番号6)
比較例5で用いられたGαサブユニット(Gi/olf156)のアミノ酸配列が以下に示される。図12はGi/olf156の二次元構造を模式的に示す。
MGCTLSAEDKAAVERSKMIDRNLREDGEKAAREVKLLLLGAGESGKSTIVKQMKIIHEAGYSEEECKQYKAVVYSNTIQSIIAIIRAMGRLKIDFGDSARADDARQLFVLAGAAEEGFMTAELAGVIKRLWKDSGVQACFNRSREYQLNDSAAYYLNDLDRIAQPNYIPTQQDVLRTRVKTTGIVETHFTFKDLHFKMFDVGGQRSERKKWIHCFNDVTAIIYVAACSSYNMVIREDNNTNRLRESLDLFESIWNNRWLRTISIILFLNKQDMLAEKVLAGKSKIEDYFPEYANYTVPEDATPDAGEDPKVTRAKFFIRDLFLRISTATGDGKHYCYPHFTCAVDTENIRRVFNDCRDIIQRMHLKQYELL(配列番号9)
比較例6で用いられたキメラGαサブユニット(Gi/olf195)のアミノ酸配列が以下に示される。図13はGi/olf195の二次元構造を模式的に示す。
MGCTLSAEDKAAVERSKMIDRNLREDGEKAAREVKLLLLGAGESGKSTIVKQMKIIHEAGYSEEECKQYKAVVYSNTIQSIIAIIRAMGRLKIDFGDSARADDARQLFVLAGAAEEGFMTAELAGVIKRLWKDSGVQACFNRSREYQLNDSAAYYLNDLDRIAQPNYIPTQQDVLRCRVLTSGIFETRFQVDKVNFHMFDVGGQRDERRKWIQCFNDVTAIIYVAACSSYNMVIREDNNTNRLRESLDLFESIWNNRWLRTISIILFLNKQDMLAEKVLAGKSKIEDYFPEYANYTVPEDATPDAGEDPKVTRAKFFIRDLFLRISTATGDGKHYCYPHFTCAVDTENIRRVFNDCRDIIQRMHLKQYELL(配列番号10)
比較例7で用いられたキメラGαサブユニット(Gi/olfα3-β5)のアミノ酸配列が以下に示される。図14はGi/olfα3-β5の二次元構造を模式的に示す。
MGCTLSAEDKAAVERSKMIDRNLREDGEKAAREVKLLLLGAGESGKSTIVKQMKIIHEAGYSEEECKQYKAVVYSNTIQSIIAIIRAMGRLKIDFGDSARADDARQLFVLAGAAEEGFMTAELAGVIKRLWKDSGVQACFNRSREYQLNDSAAYYLNDLDRIAQPNYIPTQQDVLRTRVKTTGIVETHFTFKDLHFKMFDVGGQRSERKKWIHCFEGVTAIIFCVALSDYDLVLAEDEEMNRMHESMKLFDSICNNKWLRTISIILFLNKKDLFEEKIKKSPLTICYPEYAGSNTYEEAAAYIQCQFEDLNKRKDTKEIYTHFTCATDTKNVQFVFDAVTDVIIKNNLKDCGLF(配列番号11)
比較例8で用いられたキメラGαサブユニット(Gi/olfα4-β6)のアミノ酸配列が以下に示される。図16はGαi/olfα4-β6の二次元構造を模式的に示す。
MGCTLSAEDKAAVERSKMIDRNLREDGEKAAREVKLLLLGAGESGKSTIVKQMKIIHEAGYSEEECKQYKAVVYSNTIQSIIAIIRAMGRLKIDFGDSARADDARQLFVLAGAAEEGFMTAELAGVIKRLWKDSGVQACFNRSREYQLNDSAAYYLNDLDRIAQPNYIPTQQDVLRTRVKTTGIVETHFTFKDLHFKMFDVGGQRSERKKWIHCFEGVTAIIFCVALSDYDLVLAEDEEMNRMHESMKLFDSICNNKWFTDTSIILFLNKKDLFEEKIKKSPLTICYPEYAGSNTYEEAAAYIQCQFEDLNTATGDGKHYCYTHFTCATDTKNVQFVFDAVTDVIIKNNLKDCGLF(配列番号13)
比較例9で用いられたキメラGαサブユニット(Gi/olfα3-β5,α4-β6)のアミノ酸配列が以下に示される。図17はGαi/olfα3-β5,α4-β6の二次元構造を模式的に示す。
MGCTLSAEDKAAVERSKMIDRNLREDGEKAAREVKLLLLGAGESGKSTIVKQMKIIHEAGYSEEECKQYKAVVYSNTIQSIIAIIRAMGRLKIDFGDSARADDARQLFVLAGAAEEGFMTAELAGVIKRLWKDSGVQACFNRSREYQLNDSAAYYLNDLDRIAQPNYIPTQQDVLRTRVKTTGIVETHFTFKDLHFKMFDVGGQRSERKKWIHCFEGVTAIIFCVALSDYDLVLAEDEEMNRMHESMKLFDSICNNKWLRTISIILFLNKKDLFEEKIKKSPLTICYPEYAGSNTYEEAAAYIQCQFEDLNTATGDGKHYCYTHFTCATDTKNVQFVFDAVTDVIIKNNLKDCGLF(配列番号14)
比較例10で用いられたキメラGαサブユニット(Gi/olfα3-β5,α4-β6,C)のアミノ酸配列が以下に示される。図19はGi/olfα3-β5,α4-β6,Cの二次元構造を模式的に示す。
MGCTLSAEDKAAVERSKMIDRNLREDGEKAAREVKLLLLGAGESGKSTIVKQMKIIHEAGYSEEECKQYKAVVYSNTIQSIIAIIRAMGRLKIDFGDSARADDARQLFVLAGAAEEGFMTAELAGVIKRLWKDSGVQACFNRSREYQLNDSAAYYLNDLDRIAQPNYIPTQQDVLRTRVKTTGIVETHFTFKDLHFKMFDVGGQRSERKKWIHCFEGVTAIIFCVALSDYDLVLAEDEEMNRMHESMKLFDSICNNKWLRTISIILFLNKKDLFEEKIKKSPLTICYPEYAGSNTYEEAAAYIQCQFEDLNTATGDGKHYCYTHFTCATDTKNVQFVFDAVTDIIQRMHLKQYELL(配列番号:16)
実施例1〜4、比較例1〜6、および比較例11の測定結果が表11および図30に示される。測定結果は、電流密度の変化量、すなわち、ISOが供給されていない場合に測定された膜電流の電流密度(電流値/細胞膜容量)とISOが供給された場合に測定された膜電流の電流密度の差として示される。
実施例1、実施例5、実施例6、比較例1、および比較例7〜10の測定結果が表12および図30に示される。測定結果は、電流密度の変化量、すなわち、ISOが供給されていない場合に測定された膜電流の電流密度(電流値/細胞膜容量)とISOが供給された場合に測定された膜電流の電流密度の差として示される。
(cAMP法との比較)
本発明による化学物質の検出感度を、慣用の化学物質検出方法であるcAMP法の検出感度と比較した。cAMP法は、作動薬と受容体との相互作用により増加した細胞内液中のcAMP濃度が測定され、該測定値に基づいて作動薬の濃度が定量される方法である。具体的には、β1アドレナリン受容体とカリウムイオンチャネルKir3.1(F137S)とを発現
した細胞が、ISOを含む緩衝液に接触した後に破砕された。得られた破砕液に含有されるcAMPの濃度が測定された。当該濃度測定は、測定用キッ(assay designs社製;cyclic AMP EIA kit)を用いて測定された。当該キッは競合EIA(competitive enzyme immunoassay)を用いてcAMP濃度を測定する。緩
衝液中のISO濃度が1000nMである場合のcAMP濃度を100とした、各ISO濃度でのcAMP濃度の比が算出された。一方、ISO濃度を変化させて測定を行った以外は、実施例3と同様の測定が行われた。ISO濃度が30nMである場合の電流密度の変化値を100とした、各ISO濃度における電流密度の変化値の比が算出された。結果が表13および図32に示される。
表13および図32から理解されることが以下に記述される。cAMP法を用いた場合に検出可能なISO濃度の下限は約10nMであると考えられる。なぜならば、ISO濃度0〜1nMの緩衝液に接触した場合は、cAMP濃度の、ISO濃度に依存的な上昇は観測されなかったからである。ISOの検出感度の指標となる、β1アドレナリン受容体
に対するISOの半数効果濃度(EC50)は135nMであった。一方、キメラαサブユニットGi/olf94タンパク質を用いた本発明の方法では、ISOの検出下限濃度は0.3
nMであった。イオン電流の変化量は、ISO濃度約30nMで飽和した。この場合のβ1アドレナリン受容体に対するISOの半数効果濃度は1nMであった。本発明のキメラGαサブユニットタンパク質を用いた化学物質の検出方法によれば、従来、一般的に用いられてきたcAMP法に比して、約100倍の感度で、ISOが検出され得る。細胞内の複雑な分子間反応に依拠することなく、化学物質の受容体への結合を、キメラGタンパク質を介して直接イオンチャネルに伝達したことが、当該高感度な検出を可能にしたと考えられえる。
(βアドレナリン受容体作動薬の検出)
イソプロテレノール以外のβ1アゴニストの検出を行った。化学物質として、ISOに加えて、β1アドレナリン受容体選択的な作動薬であるドブタミン(dobutamine)、およびβアドレナリン受容体の作動薬であるドーパミン(dopamine)を用いた以外は実施例3と同様の測定を行った。測定結果が表14および図33に示される。測定結果は、ドーパミンについては30000nM、ドブタミンについては100nM、ISOについては濃度30nMで観測された電流密度の変化値を100とした相対値として記載される。
いずれの作動薬を用いた場合においても作動薬濃度の増加に伴い、電流密度の変化値が増加した。ドーパミン、およびドブタミンのEC50値は、それぞれ、1000nMおよび50nMであった。電流密度の変化は、作動薬が化学物質の受容体を介して、キメラGタンパク質を活性化させ、イオンチャネルのゲートを開かせることによって生じていることが合理的に推測される。なぜならば、作動薬の種類によってEC50値が異なるからである。すなわち、作動薬は直接ではなく、間接的にキメラGタンパク質を活性化している。
(参考例)
本発明者らは、本発明に先立って以下の検討を行い、キメラGαサブユニットの設計方針を決定した。Gαサブユニットとして、Gαi(C351G)、Gαolf、およびGi/olf13を使用して、ISOとの接触により生じるイオン電流を測定した。測定は、実施例1と同様の方法により行われた。
図26に示されるように、キメラGαサブユニットとしてGαi(C351G)が用いられ、ISOが供給されていない場合、パルス波が印加された直後に約−0.2nAの電流値が計測された。ここで、電流値が−(マイナス)であることは、カリウムイオンが脂質二重膜の表側から裏側(細胞外から細胞内)へ移動したことを示している。ISOが供給された場合、電流値は変化し、約0.5nAとなった。
図27に示されるように、キメラGαサブユニットとしてGi/olf13が用いられた場合、ISOの供給により電流値は変化し、約−2.5nAとなった。図28に示されるように、キメラGαサブユニットとしてGαolfタンパク質が用いられた場合、Gαi(C351G)が用いられた場合と同様に、約0.5nAの電流値が測定され、ISO添加による電流値の変化量は小さかった。
本発明者らは、上記測定結果から以下の結論を導いた。Gαi(C351G)はカリウムイオンチャネルを活性化することができるが、化学物質の受容体と結合することはできない。Gαolfは化学物質の受容体と結合することができるが、カリウムイオンチャネルを活性化することはできない。そのためISO添加による電流変化量は小さかった。一方、Gi/olf13が用いられた場合、キメラGαサブユニットはC末端のGαolf領域を介して化学物質の受容体と結合することができるとともに、Gαi領域がカリウムイオンチャネルを活性化するため、ISOの添加によって大きな電流変化が観察された。従って、Gαサブユニットのキメラ化は、ISO添加による電流変化量を増加させる。
さらに、キメラGαサブユニットとしてGi/s13が用いられた場合と、Gi/olf13が用いられた場合における、電流変化量が比較された。測定結果が表15および図29に示される。Gαi(C351G)およびGolfが用いられた場合の測定結果が参考のために並べて示される。
i/ofl13が用いられた場合の方が電流変化量はGi/s13が用いられた場合の電流変化量よりも大きかった。従って、GαiとGαolfとのキメラが用いられた場合、より大きな電流変化が期待できると判断された。従って、Gαiのアミノ酸配列で、化学物質の受容体との連動に関与すると一般に考えられている領域が、対応するGαolfのアミノ酸配列で置換された、キメラGαサブユニットを作製することを決定した。
本発明のキメラGタンパク質によれば、化学物質受容体と結合する化学物質を検出することができる。

Claims (9)

  1. 脂質二重膜の表側から裏側にカリウムイオンを輸送する方法であって、以下の工程(a)および工程(b)を具備する:
    前記脂質二重膜を用意する工程(a)
    ここで、前記脂質二重膜は、化学物質の受容体、Gタンパク質、およびカリウムイオンチャネルを具備し、
    前記Gタンパク質は、キメラGαサブユニット、およびGβγサブユニット複合体を具備し、
    前記キメラGαサブユニットは、Gi/olf13(配列番号:04)、Gi/olf28(配列番号:05)、Gi/olf94(配列番号:07)、Gi/olf113(配列番号:08)、Gi/olfα3-β5,C(配列番号:12)、またはGi/olfα4-β6,C(配列番号:15)のいずれかからなり、および
    前記化学物質および前記カリウムイオンを前記表側から供給し、前記キメラGαサブユニットおよび前記Gβγサブユニット複合体の放出、および前記Gβγサブユニット複合体の前記カリウムイオンチャネルへの結合により、前記表側から前記裏側に前記カリウムイオンを輸送する工程(b)。
  2. 前記化学物質が、アドレナリン受容体作動薬である請求項1に記載の方法。
  3. 前記カリウムイオンチャネルが、Gタンパク質共役型内向き整流カリウムイオンチャネルである、請求項1に記載の方法。
  4. 化学物質を検出又は定量する方法であって以下の工程(c)〜(e)を具備する:
    脂質二重膜、前記脂質二重膜の表側に位置する第1液体、および前記脂質二重膜の裏側に位置する第2液体を用意する工程(c)、
    ここで、前記脂質二重膜は、化学物質の受容体、Gタンパク質、およびカリウムイオンチャネルを具備し、
    前記Gタンパク質は、キメラGαサブユニット、およびGβγサブユニット複合体を具備し、
    前記キメラGαサブユニットは、Gi/olf13(配列番号:04)、Gi/olf28(配列番号:05)、Gi/olf94(配列番号:07)、Gi/olf113(配列番号:08)、Gi/olfα3-β5,C(配列番号:12)、またはGi/olf α4-β6,C(配列番号:15)のいずれかからなり、
    前記第1液体はカリウムイオンを含有し、
    前記第1液体に前記化学物質を供給する工程(d)、および
    前記第1および第2液体の少なくともいずれか一方のカリウムイオンの量を測定し、前記カリウムイオンの量に基づいて前記化学物質を検出又は定量する工程(e)。
  5. 前記化学物質が、アドレナリン受容体作動薬である請求項4に記載の方法。
  6. 前記カリウムイオンチャネルが、Gタンパク質共役型内向き整流カリウムイオンチャネルである、請求項4に記載の方法。
  7. 化学物質を検出または定量する方法であって、以下の工程(f)〜(h)を具備する:
    脂質二重膜を用意する工程(f)、
    ここで、前記脂質二重膜は、化学物質の受容体、Gタンパク質、およびカリウムイオンチャネルを具備し、
    前記Gタンパク質は、キメラGαサブユニットおよび前記Gβγサブユニット複合体を具備し、
    前記キメラGαサブユニットは、Gi/olf13(配列番号:04)、Gi/olf28(配列番号:05)、Gi/olf94(配列番号:07)、Gi/olf113(配列番号:08)、Gi/olfα3-β5,C(配列番号:12)、またはGi/olfα4-β6,C(配列番号:15)のいずれかからなり、
    前記脂質二重膜の表側および裏側にそれぞれ位置する第1および第2液体を供給し、前記第1および第2液体の間に前記脂質二重膜を挟む工程(g)、
    ここで、前記第1液体はカリウムイオンおよび化学物質を含有し、および
    前記第1および第2液体の少なくともいずれか一方のカリウムイオンの量を測定し、前記カリウムイオンの量に基づいて前記化学物質を検出または定量する工程(h)。
  8. 前記化学物質が、アドレナリン受容体作動薬である、請求項7に記載の方法。
  9. 前記カリウムイオンチャネルが、Gタンパク質共役型内向き整流イオンチャネルである、請求項7に記載の方法。
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