JP4915849B2 - 磁気通信アンテナ及び装置 - Google Patents

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Description

本発明は磁気通信アンテナ及び装置に関し、とくに磁界を搬送波として用いる磁気通信アンテナ及び装置に関する。本発明の磁気通信アンテナ及び装置は、土中、水中又は土木・建築構造物内に埋設する計測器からの無線通信に利用することができる。
例えばフィルダムや堤防等の土木構造物やコンクリート建物等の建築構造物を構築する場合に、その構造物の内部又は周辺にセンサその他の計測器を埋設して各種の物理量(変形量、力学的挙動、水圧、土圧等)を計測し、その計測値により土木・建築構造物の安全性・健全性のモニタリング(例えば土木構造物の老朽化診断や建築構造物の地震被災度評価等)をすることがある。また最近では、例えば図6に示すように、原子力発電所から生じる放射性廃棄物その他の不要な物質を地下深部の岩盤中に構築した処分坑道(地下空洞)36に閉じ込めて処分する地層処分施設30等の地下施設の建設が計画されており、そのような地下施設の建設中及び供用中における安全性を確保するため、地下施設内部又はその周辺の地盤内部(例えば図6に示す処分坑道36から周辺地盤中に穿ったボーリング孔37の内部)に計測器を埋設して力学的挙動、水理環境、地質環境等をモニタリングすることが求められることがある。
従来、このように土中又は水中に埋設した計測器の計測信号は、ケーブルを用いて地上又は水上まで有線通信する方法が一般的である。しかし有線通信には、ケーブルの敷設に手間やコストがかかり、ケーブルの切断や絶縁不良による故障が生じやすく、構造物内部に埋設したケーブルが強度上の弱部や水みちの原因となりうる等の問題点がある。そこで、例えば特許文献1及び2が開示するように、土中又は水中の計測器の計測信号を数Hz〜10kHz程度の低周波電磁波に乗せて無線通信する方法が開発されている。地上の移動体通信等の無線通信で用いられる数百MHz〜数GHzの高周波数電磁波は、地中又は水中のように導電率の高い媒体中では減衰が大きく、地中又は水中の無線通信に用いることは難しい。これに対し数Hz〜10kHz程度の低周波電磁波は磁界成分が卓越しており、導電率の高い媒質中でも小さな減衰で伝播させることができる特徴を有している。
特許文献2に開示された低周波電磁波(以下、磁界ということがある)利用の無線通信装置を、図7を参照して、本発明の理解に必要な程度において説明する。図示例の通信装置は、水底に向けて送信指令を発すると共に水底からの地盤情報を受信する水上側通信装置40と、その送信指令に応答して水底に設置した計測器17からの地盤情報を水上に向けて伝送する水底側通信装置50とを有する。水上側通信装置40は、容器43に収容されたソレノイドコイル42と、そのコイル42の内側に配置された中空磁性体(例えば円筒形の珪素鋼板製ボビン)44と、中空磁性体44内に配置された通信回路41とを有し、通信回路41において所定搬送波信号をコンピュータ45からの送信指令で変調(例えば2値位相変調又は2値周波数変調)し、変調された電気信号をソレノイドコイル42で低周波の磁気信号に変換して放射する。水上側通信装置40から放射された磁気信号は水中を小さな減衰で伝播して水底側通信装置50に到達する。
図7の水底側通信装置50は、耐圧容器54に収容されたソレノイドコイル53と、そのコイル53の内側に配置された中空磁性体55と、中空磁性体55内に配置された通信回路52及び電源(図示せず)とを有し、水上から到着した磁気信号をソレノイドコイル53で吸収して電気信号に変換し、その電気信号を通信回路52において復調して送信指令を得る。通信回路52は、計測器17からの地盤情報で所定搬送波信号を変調(例えば2値位相変調又は2値周波数変調)する変調回路を有し、送信指令を入力すると地盤情報で変調した電気信号をソレノイドコイル53に出力する。変調された電気信号は、コイル53において低周波の磁気信号に変換されて水中に放射される。水底側通信装置50から放射された磁気信号は、送信指令と同様に水中を伝播して水上側通信装置40に到達し、通信装置40のコイル53に吸収されて電気信号に変換され、通信回路41により地盤情報に復調されてコンピュータ45に出力される。
図7の通信装置のように磁界を搬送波として用いることにより、地中又は水中の例えば100m程度に埋設した計測器17の計測信号を地上又は水上まで無線通信することができる。また図示例のように地中又は水中の通信装置50を地上又は水上からの送信指令に応答して駆動することにより、常時連続的に駆動する方法に比して消費電力を小さく抑え、通信装置50の電源寿命の長期化を図ることができる。更に、ソレノイドコイル42、53を中空磁性体44、55の外側に配置すると共に、通信回路41、52を中空磁性体44、55の内側に配置することにより、コイル42、53の発生する強い磁界から通信回路41、52を保護し、通信回路41、52による磁気信号から電気信号への変換時における信号対雑音比の低下を避けることが期待できる。
特開平9−053958号公報 特開2004−096182公報
例えば図6のような地層処分施設30は地下300〜1000m程度の深部に構築することが想定されており、そのような地下深部の施設内部又は周辺に埋設した計測器の計測信号を地上まで無線通信するためには、図7のソレノイドコイル42、53に大きな磁界(磁束)を発生させて無線通信装置40、50の通信距離を延ばす必要がある。一般にコイルの発生する磁束を大きくするためには、コイルの入力電力を大きくするか又はコイルの断面積S、巻数N、長さEによりインダクタンスL(L=μSN2/E、μは透磁率)を大きくすればよい。ただし、入力電力を大きくすると電源寿命が短くなることから、電池交換等が容易でない地中又は水中に埋設する無線通信装置では、断面積S等の増加すなわちコイル自体を大きくすることで通信距離を延ばす方法が選択されている。
しかし、地下施設内の設置スペースが限られている場合は、大きなコイルを含む無線通信装置50(図7参照)を地下施設に設置できない場合がある。例えば図6の地層処分施設30において地下深部の処分坑道36のモニタリングが要求される場合に、モニタリング用計測器17とそれに接続した無線通信装置50とを処分坑道36の内部又は周辺に設置する必要があるが、処分坑道36の形状・規模は岩盤の力学的安定性等により設定されるので、コイル53が大き過ぎると通信装置50が処分坑道36内又はその周辺に穿ったボーリング孔37内に入らなくなり、無線通信によるモニタリングができなくなる。地下深部の施設の安全性等を磁界利用の無線通信によりモニタリングするためには、長い通信距離を有し且つ限られたスペースに設置できる磁気通信アンテナを開発する必要がある。
そこで本発明の目的は、限られたスペースに設置できる通信距離の長い磁気通信アンテナ及び装置を提供することにある。
本発明者は、磁気通信アンテナを単独のコイルではなく独立した一対のコイルにより構成し、その一対のコイルを相互誘導により磁気的に結合して等価的な1つの共振回路を形成し、その共振回路により磁束を放射又は吸収することに着目した。一対のコイルを用いた場合、一方のコイルのみを計測器17(図7参照)に接続し、他方のコイルを計測器17から離すことができるので、アンテナの形状及び大きさを計測器17の設置環境に応じて変更することができる。また、各コイルの形状、大きさ、相互間隔等を適切に選択して磁束の放射又は吸収効率を高めれば、設計の自由度を残しつつ、アンテナの通信距離を十分延ばすことが期待できる。本発明は、この着想に基づく研究開発により完成に至ったものである。
図1(A)の実施例を参照するに、本発明による磁気通信アンテナは、信号源(例えば同図(B)の送信回路14)に接続する給電端子12と第1コイル3とを含む所定共振周波数f0の直列共振回路2、及び第1コイル3に磁気的に結合する第2コイル6を含む所定共振周波数f0の直列共振閉回路5を備え、両コイル3、6を磁気的に結合した共振回路のピーク周波数が所定共振周波数f0と一致し且つその所定共振周波数f 0 において第1コイル3の電流が極小となるように両コイル3、6の径D、δの比(=δ/D)及び相互間隔Wを定め、信号源からの電気信号を所定共振周波数f0の磁界Bに変換して放射してなるものである。第1コイル3には、軟質磁性材料製の芯材16を含めることができる。
好ましくは、第2コイル6の軸線を第1コイル3の軸線と平行に配置する。例えば図示例のように、第2コイル6を第1コイル3と同軸線上に配置することができ、第2コイル6と第1コイル3とを軸線方向に隔てて配置することができる。この場合は、第2コイル6と第1コイル3との軸線方向間隔Wを、放射又は吸収する磁界Bのピーク周波数が所定共振周波数f0と一致するように定めることができる。更に好ましくは、第2コイル6を第1コイル3より大径とする。この場合は、第2コイル6の径δと第1コイル3の径Dとの比(=δ/D)を、放射又は吸収する磁界Bのピーク周波数が所定共振周波数f0と一致するように定めることができる。
また図1(B)の実施例を参照するに、本発明による磁気通信装置は、計測器17に接続されその計測器17の計測信号で所定低周波数f0の搬送波を変調して出力する送信回路14、送信回路14に接続する給電端子12と第1コイル3とを含み共振周波数が所定低周波数f0に調整された直列共振回路2、及び第1コイル3と磁気的に結合する第2コイル6を含み共振周波数が所定低周波数f0に調整された直列共振閉回路5を備え、両コイル3、6を磁気的に結合した共振回路のピーク周波数が所定低周波数f0と一致し且つその所定低周波数f 0 において第1コイル3の電流が極小となるように両コイル3、6の径D、δの比(=δ/D)及び相互間隔Wを定め、計測器17の計測信号を所定低周波数f0の磁界Bに乗せて放射してなるものである。
好ましくは、第1コイル3と第2コイル6とを同軸線上に配置し、第1コイル3及び第2コイル6の軸線方向間隔W及び/又は径の比(=δ/D)を、放射又は吸収する磁界Bのピーク周波数が所定共振周波数f0と一致するように定める。更に好ましくは、図3に示すように、送信回路14と第1コイル3を含む直列共振回路2とを計測器17と共に地中(例えば同図(A)のような地層処分施設30の処分坑道36又はボーリング孔37の内部)又は構造物39内(例えば同図(B)のような土木・建築構造物39の内部)に埋設し、第2コイル6を含む直列共振閉回路5を地表又は構造物表面に配置する。
本発明による磁気通信アンテナは、給電端子12及び第1コイル3を含む所定共振周波数f0の直列共振回路2と、第1コイル3に磁気的に結合する第2コイル6を含む所定共振周波数f0の直列共振閉回路5とを備え、両コイル3、6を磁気的に結合した共振回路のピーク周波数が所定共振周波数f0と一致し且つその所定共振周波数f 0 において第1コイル3の電流が極小となるように両コイル3、6の径D、δの比(=δ/D)及び相互間隔Wを定め、信号源からの電気信号を入力し所定共振周波数f0の磁界Bに変換して放射するので、次の顕著な効果を奏する。
(イ)磁気通信アンテナを一対の独立した第1コイル3及び第2コイル6により形成するので、両コイル3、6の形状や大きさ、相互間隔をそれぞれ選択することにより、設置環境やスペースの制約に応じて多彩な形状及び大きさのアンテナを設計することができる。
(ロ)また、第1コイル3を含む直列共振回路2の共振周波数f0と第2コイル6を含む直列共振閉回路5の共振周波数f0とを一致させ、アンテナから放射される磁界Bのピーク周波数をその共振周波数f0と一致させることにより、電気信号を効率的に磁界Bに変換して放射する磁束密度を大きくすることができ、第1コイル3のみを用いた場合に比し通信距離を長くすることができる。
(ハ)アンテナのピーク周波数を両共振回路2、5の共振周波数f0と一致させることにより、従来のコイル1個の磁気通信アンテナに比し小さな電流で磁束密度の大きな磁界Bを放射することができ、省電力で電源寿命が長くメンテナンスの少ない又は不要なアンテナとすることができる。
(ニ)地中に埋設する計測器17の計測信号を無線通信する場合に、第1コイル3のみを計測器と共に埋設すれば足り、第2コイル5は計測器から分離して地表に配置できるので、埋設スペースが限られた地下空洞やボーリング孔等にも設置可能なアンテナとすることができる。
(ホ)また、土木・建築構造物等の内部に埋設する計測器17の計測信号を無線通信する場合にも、第1コイル3のみを計測器と共に埋設すれば足りるので、第1コイル3の小型化を図ることでアンテナの埋設に伴う構造物の断面欠損等を小さく抑えることができる。
図1(A)は本発明の磁気通信アンテナ1の一実施例を示し、同図(B)はその回路図を示す。磁気通信アンテナ1は、径Dの第1コイル3、コンデンサ4、及び給電端子12を含む直列共振回路2と、径δの第2コイル6及びコンデンサ7を含む直列共振閉回路5とからなる一対の共振回路により構成される。直列共振回路2は、第1コイル3のインダクタンスL1とコンデンサ4の容量C1とで所定共振周波数f0(=1/2π(L1・C1)1/2)となるように調整され、直列共振閉回路5も、その第2コイル6のインダクタンスL2とコンデンサ7の容量C2とで直列共振回路2と同じ所定共振周波数f0(=1/2π(L2・C2)1/2)となるように調整されている。給電は、第1コイル3を含む直列共振回路2に対してのみ行う。
図示例の磁気通信アンテナ1は、直列共振回路2の給電端子12を信号源に接続し、直列共振回路2の第1コイル3と直列共振閉回路5の第2コイル6とを磁気的に結合して等価的な1つの共振回路を形成し、その等価的な共振回路により信号源からの電気信号を磁界Bに変換して放射する。独立した共振回路2と共振回路5とを磁気的に結合させたアンテナ1の放射する磁界Bのピーク周波数(以下、アンテナ1のピーク周波数ということがある)は両共振回路2、5に共通の共振周波数f0と一致するとは限らないが、本発明者の実験的知見によれば、第1コイル3の径Dと第2コイル6の径δと両コイル3、6の相互間隔Wとを適当に調整することにより、アンテナ1のピーク周波数を両共振回路2、5の共振周波数f0と一致させることができる(後述の実験例1及び2参照)。アンテナ1のピーク周波数を両共振回路2、5の共振周波数f0と一致させることにより、その共振周波数f0において電気信号から磁界Bへの変換効率を高め、一対の共振回路2、5を含む磁気通信アンテナ1の通信距離を一方の共振回路2だけの場合に比して延ばすことができる。
図1(B)の回路図に示すように、磁気通信アンテナ1の給電端子12に所定低周波数f0(例えば、上述した数Hz〜10kHz程度の低周波数)の搬送波を発生して変調する送信回路14を接続し、アンテナ1の共振回路2、5の共振周波数をそれぞれ搬送波周波数f0と一致するように調整し、更にアンテナ1のピーク周波数が搬送波周波数f0と一致するように第1コイル3の径D、第2コイル6の径δ、及び両コイル3、6の相互間隔Wを調整することにより、計測器17の計測信号を磁界Bに乗せて通信する磁気通信装置を形成することができる。第1コイル3及び第2コイル6のインダクタンスL1、L2はコイル径D、δ(すなわちコイルの断面積)に応じて変化するが、コンデンサ4、7の容量C1、C2を適当に選択することにより、両共振回路2、5の共振周波数を所定低周波数f0となるように調整することができる。図示例の送信回路14は、計測回路18を介して地中又は構造物内に埋設する計測器17と接続されており、その計測器17からの計測信号で低周波数f0の搬送波信号を変調して磁気通信アンテナ1の給電端子12に供給する。低周波数f0において磁界Bへの変換効率(磁束発生効率)が高いアンテナ1を用いることにより、低周波数f0の磁界Bに乗せて計測器17の計測信号の長距離通信が実現できる。
なお、図示例の磁気通信アンテナ1では、第1コイル3に軟質磁性材料製の芯材16を含めている。軟質磁性材料は保磁力が極端に小さく透磁率μが大きな磁性体であり、そのような芯材16を第1コイル3に含めてインダクタンスL1を大きくすることにより、磁気通信アンテナ1による磁束発生効率を更に高めることができる。軟質磁性材料の一例は、ケイ素鋼板(鉄とシリコン数%の合金)、フェライト、ファインメット、パーマロイ、アモルファス金属合金等の薄泊又は無垢材である。
[実験例1]
本発明の磁気通信アンテナ1による電気信号から磁界Bへの変換効率を確認するため、径D=100mm、コイル長さE=250mmの第1コイル3を含む共振周波数f0=1250Hzの直列共振回路2と、径δ1=400mm、コイル長さE=50mmの第2コイル6を含む共振周波数f0=1250Hzの直列共振閉回路5とを用いて実験を行った。本実験では、先ず図4(A)に示すように共振回路2のみを用い、その給電端子12に信号発生器21(例えば周波数シンセサイザ)から増幅器22経由で振幅一定・周波数可変の電圧を周波数掃引しながら印加し、共振回路2の駆動電流I(mA)を電流計23で計測すると共に、第1コイル3の軸線(z軸)上の距離P(=1.5m)隔てた位置に設置した磁気センサ24で共振回路2から放射される磁束密度B(μG、z軸方向のみ)を計測した。この実験結果を図5の電流I(A)及び磁束密度B(A)のグラフに示す。同図のグラフI(A)及びグラフB(A)は、単独の共振回路2を用いた場合に、共振周波数f0において電流I及び放射磁束密度Bが共に最大(ピーク)となることを示している。
次に、図4(C)に示すように共振回路2と共振回路5とを第1コイル3及び第2コイル6とが同軸線上で入れ子状に重なるように(軸線方向間隔W=0となるように)配置し、上記と同様に振幅一定・周波数可変の電流を印加しながら、共振回路2の駆動電流Iと、コイル軸線方向の距離P(=1.5m)隔てた位置の磁束密度Bとを計測した。この実験結果を図5の電流I(C)及び磁束密度B(C)のグラフに示す。グラフI(C)及びグラフB(C)は、アンテナ1の両共振回路2、5を図4(C)のように配置した場合に、アンテナ1から放射される磁束密度Bのピーク周波数(1050Hz付近)が両共振回路2、5の共振周波数f0と異なることを示している。
そこで、第1コイル3及び第2コイル6を同軸線上に配置したまま、両コイル3、6の軸線方向の軸線方向間隔Wを大きくして両コイル3、6の磁気的結合を弱めながら駆動電流I及び磁束密度Bを計測する実験を繰り返したところ、図4(B)に示すように、両コイル3、6の軸線方向間隔Wを17cm程度とすることによりアンテナ1のピーク周波数を両共振回路2、5の共振周波数f0と一致させることができた。この実験から、本発明の磁気通信アンテナ1の放射する磁界Bのピーク周波数は、第1コイル3及び第2コイル6の軸線方向間隔Wの調整により、両共振回路2、5の共振周波数f0と一致させることができることを確認できた。
また、両コイル3、6の軸線方向間隔Wを17cmとしたときの実験結果を示す図5のグラフI(B)及びグラフB(B)は、アンテナ1のピーク周波数を両共振回路2、5の共振周波数f0と一致させた場合に、その共振周波数f0において電流Iが極小になると共に放射磁束密度Bが最大となることを示す。その電流Iの極小値は共振回路2のみを用いたグラフI(A)の電流Iより小さく、磁束密度Bの最大値(ピーク値)はグラフB(A)の磁束密度Bより大きい。すなわち、アンテナ1のピーク周波数を両共振回路2、5の共振周波数f0と一致させることにより、共振回路2のみを用いた場合に比してアンテナ1の磁束発生効率を飛躍的に高め、小さな消費電力で通信距離の長いアンテナ1が得られることを確認できた。
[実験例2]
更に、図4(C)に示す両共振回路2、5の配置において、同図(D)に示すように共振回路5の径δ1のコイル6をより小さい径δ2(=300mm)のコイル6に交換したところ、図5のグラフI(D)及びグラフB(D)に示す実験結果が得られた。グラフI(D)及びグラフB(D)は、両コイル3、6の径の比(=δ/D)を小さくして磁気的結合を強めた場合に、グラフI(C)及びグラフB(C)に比してアンテナ1のピーク周波数と両共振回路2、5の共振周波数f0との差が拡大したことを示している。このことは逆に、両コイル3、6の径の比(=δ/D)を大きくして磁気的結合を弱めることにより、アンテナ1のピーク周波数と両共振回路2、5の共振周波数f0との差が小さくし、両者を一致させることができることを示唆している。
そこで本発明者は、図4(C)における共振回路5の径δ1のコイル6をより大きい径δ3のコイル6(図示せず)に交換して駆動電流I及び磁束密度Bを計測する実験を行ったところ、両コイル3、6の径の比(=δ/D)を大きくして磁気的結合を弱めることにより、アンテナ1のピーク周波数と両共振回路2、5の共振周波数f0との差が小さくなることを確認することができた。アンテナ1のピーク周波数と両共振回路2、5の共振周波数f0とが一致するような両コイル3、6の径の比(=δ/D)を見出すまでには至らなかったが、この実験により、本発明の磁気通信アンテナ1が放射する磁界Bのピーク周波数は、両コイル3、6の軸線方向間隔Wの調整だけでなく、両コイル3、6の径の比(=δ/D)の調整によっても、両共振回路2、5の共振周波数f0と一致させることができることを確認できた。
上述したように本発明の磁気通信アンテナは、一対の独立した第1コイル3及び第2コイル6により構成されているので、両コイル3、6の形状や大きさ、軸線方向間隔をそれぞれ選択することができ、設置環境や設置スペースに応じて形状及び大きさを適当に設計することが可能である。例えば、設置スペースが限られたボーリング孔等に埋設する第1コイル3は小型化を図り、第2コイル6はボーリング孔の外部に配置して大型化を図ることができる。また、たとえ第1コイル3を小型化した場合でも、第1コイル3を含む共振回路2の共振周波数f0と第2コイル6を含む共振回路5の共振周波数f0とを一致させると共にアンテナのピーク周波数を共振周波数f0と一致させることにより、磁束発生効率を高めてアンテナ1の通信距離を十分長くすることができる。
なお、上述した実験例では第2コイル6の軸線と第1コイル3の軸線とを平行とし且つ同軸線上に重なるように配置しているが、設置環境やスペースに制限があって両コイル3、6の軸線を同軸線上に配置できない場合は、多少の伝送損失が発生するものの、両コイル3、6の軸線を平行にずらして又は交差するように配置してもよい。本発明者は、このように両コイル3、6の軸線をずらして又は交差するように配置した場合でも、上述したように両コイル3、6の相互間隔W(例えばコイル中心の相互間隔)及び径の比(=δ/D)を調整することにより、磁気通信アンテナ1のピーク周波数を両共振回路2、5の共振周波数f0と一致させることができることを実験的に確認することができた。
こうして本発明の目的である「限られたスペースに設置できる通信距離の長い磁気通信アンテナ及び装置」を達成することができる。
図3(A)は、本発明による磁気通信アンテナ1を、地層処分施設30の処分坑道36又はボーリング孔37(図6参照)の内部に埋設する計測器17の計測信号の通信に適用した実施例を示す。上述したように地層処分施設30の処分坑道36は地下300〜1000m程度の深部に構築することが想定され、しかも放射性廃棄物等を閉じ込めるため止水プラグ38等で密閉しなければならない場合がある。本発明のアンテナ1は、電気的な配線等を必要としない独立した第1コイル3及び第2コイル6の相互間隔W及び径の比(=δ/D)を調整することで通信距離を延ばすことができるので、例えば第1コイル3のみを計測器17と共に処分坑道36の内側に埋設し、止水プラグ38を介して処分坑道36の反対側(外側又は地表)に第2コイル6を配置することができる。両コイル3、6の間に止水プラグ38を貫くような配線ケーブル等を設ける必要はない。その上で、両コイル3、6の大きさ及び形状を適当に選択すると共に磁気的結合の最適化を図ることで、地下深部から地上まで届くような長い通信距離を確保することが期待できる。
図3(B)は、本発明による磁気通信アンテナ1を、コンクリート建物や土構造物等の土木・建築構造物39の内部に埋設する計測器17の計測信号の通信に適用した実施例を示す。この場合も、第1コイル3のみを計測器17と共に構造物39の内部に埋設し、第2コイル6は構造物39の表面又は外部に配置することができる。埋設機器は構造物39に対する異物として作用するので、構造物39の安定を図るためには埋設機器をできるだけ小さくすることが望ましい。本発明のアンテナ1によれば、構造物39に埋設する第1コイル3の小型化を図り、構造物39の表面又は外部に配置した第2コイル6との相互間隔Wや径の比(=δ/D)を調整して通信距離を延ばすことにより、構造物39の安定性の欠損を最小限に抑えつつ構造物39の安全性・健全性等を無線通信によりモニタリングすることができる。
本発明による送信用磁気通信アンテナの一実施例の説明図である 本発明による受信用磁気通信アンテナの一実施例の説明図である 本発明による磁気通信装置の実施例の説明図である 本発明による磁気通信アンテナの磁束発生効率を確認する実験方法の説明図である。 図4の実験によるアンテナ入力電流I及び発生磁束密度Bの測定結果を示すグラフである。 地下深部に構築する地層処分施設の説明図である。 従来の磁束を用いた水中又は地中通信装置の一例の説明図である。
符号の説明
1…磁気通信アンテナ 2…直列共振回路
3…第1コイル 4…コンデンサ
5…直列共振閉回路 6…第2コイル
7…コンデンサ 8…並列共振回路
12…給電端子 13…受電端子
14…送信回路 15…受信回路
16…芯材 17…計測器
18…計測回路 19…送受切替回路
21…信号発生器(周波数シンセサイザ)
22…増幅器 23…電流計
24…磁気センサ
30…地層処分施設 31…地表
32…地上設備 32…アクセス立孔
33…アクセス斜孔 35…連絡坑道
36…処分坑道(空洞) 37…ボーリング孔
38…止水プラグ 39…土木・建築構造物
40…水上側通信装置 41…通信回路
42…ソレノイドコイル 43…容器
44…中空磁性体 45…コンピュータ
50…水底側通信装置 52…通信回路
53…ソレノイドコイル 54…容器
55…中空磁性体
B…磁界 C…容量
D…コイル径 δ…コイル径
E…コイル長さ f0…所定共振周波数
L…インダクタンス N…コイル巻数
P…距離 S…コイル断面積
W…コイル相互間隔(軸線方向間隔)

Claims (9)

  1. 信号源に接続する給電端子と第1コイルとを含む所定共振周波数の直列共振回路、及び前記第1コイルに磁気的に結合する第2コイルを含む前記所定共振周波数の直列共振閉回路を備え、前記両コイルを磁気的に結合した共振回路のピーク周波数が前記所定共振周波数と一致し且つその所定共振周波数において前記第1コイルの電流が極小となるように両コイルの径の比及び相互間隔を定め、前記信号源からの電気信号を前記所定共振周波数の磁界に変換して放射してなる磁気通信アンテナ。
  2. 請求項のアンテナにおいて、前記第1コイルに軟質磁性材料製の芯材を含めてなる磁気通信アンテナ。
  3. 請求項1又は2のアンテナにおいて、前記第2コイルの軸線を第1コイルの軸線と平行に配置してなる磁気通信アンテナ。
  4. 請求項のアンテナにおいて、前記第2コイルを第1コイルと同軸線上に配置してなる磁気通信アンテナ。
  5. 請求項3又は4のアンテナにおいて、前記第2コイルと第1コイルとを軸線方向に隔てて配置してなる磁気通信アンテナ。
  6. 請求項1から5の何れかのアンテナにおいて、前記第2コイルを第1コイルより大径としてなる磁気通信アンテナ。
  7. 計測器に接続されその計測器の計測信号で所定低周波数の搬送波を変調して出力する送信回路、前記送信回路に接続する給電端子と第1コイルとを含み共振周波数が前記所定低周波数に調整された直列共振回路、及び前記第1コイルと磁気的に結合する第2コイルを含み共振周波数が前記所定低周波数に調整された直列共振閉回路を備え、前記両コイルを磁気的に結合した共振回路のピーク周波数が前記所定低周波数と一致し且つその所定低周波数において前記第1コイルの電流が極小となるように両コイルの径の比及び相互間隔を定め、前記計測器の計測信号を前記所定低周波数の磁界に乗せて放射してなる磁気通信装置。
  8. 請求項の通信装置において、前記第1コイルと第2コイルとを同軸線上に配置してなる磁気通信装置。
  9. 請求項7又は8の通信装置において、前記送信回路と第1コイルを含む直列共振回路とを計測器と共に地中又は構造物内に埋設し、前記第2コイルを含む直列共振閉回路を地表又は構造物表面に配置してなる磁気通信装置。
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