以下、本発明の一実施形態であるパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)を、図面に基づいて詳細に説明する。
[パチンコ機の全体構成について]
図1及び図2に基づき説明する。図1はパチンコ機の前側全体を示す正面図であり、図2はパチンコ機の外枠の一側に本体枠が開かれ、その本体枠の一側に更に前面枠が開かれた状態を示す斜視図である。なお、図1及び図2においては遊技領域における装飾部材を省略して示している。
パチンコ機1は、外枠2、本体枠3、前面枠4、及び遊技盤5等を備えて構成されている。外枠2は、上下左右の木製の枠材によって縦長四角形の枠状に形成され、同外枠2の前側下部には、本体枠3の下面を受ける下受板6を有している。外枠2の前面の片側には、ヒンジ機構7によって本体枠3が前方に開閉可能に装着されている。なお、外枠2は、樹脂やアルミニウム等の軽金属によって形成されていてもよい。
[本体枠の構成について]
図1及び図3に基づき説明する。図3はパチンコ機の本体枠と遊技盤とを分離して斜め右上前方から示す斜視図である。
本体枠3は、前枠体11、遊技盤装着枠12及び機構装着体13を合成樹脂材によって一体成形することで構成されている。本体枠3の前枠体11は、外枠2(図2参照)の前側の下受板6を除く外郭形状に対応する大きさの矩形枠状に形成されている。そして、前枠体11の片側の上下部には、本体枠側ヒンジ具15が固定されており、外枠2の片側の上下部に固定された外枠側ヒンジ具14に対してヒンジピン及びヒンジ孔によって開閉回動可能に装着されている。すなわち、外枠側ヒンジ具14、本体枠側ヒンジ具15、ヒンジピン及びヒンジ孔によってヒンジ機構7が構成されている。
前枠体11の前側において、遊技盤装着枠12よりも下方に位置する前枠体11の前下部左側領域にはスピーカボックス部16が一体に形成され、そのスピーカボックス部16の前側開口部には、同開口部を塞ぐようにしてスピーカ装着板17が装着されている。そして、スピーカ装着板17にはスピーカ18が装着されている。また、前枠体11前面の下部領域内において、その上半部分には発射レール19が傾斜状に装着されている。また、前枠体11前面の下部領域内の下半部分には下部前面板30が装着されている。そして、下部前面板30の前面の略中央部には、遊技球を貯留可能な下皿31が設けられ、右側寄りには操作ハンドル32が設けられ、左側寄りには灰皿33が設けられている。なお、下皿31には、遊技球を下方に排出するための球排出レバー34が配設されている。
[前面枠の構成について]
図1及び図2に基づき説明する。前枠体11の前面の片側には、その前枠体11の上端から下部前面板30の上縁にわたる部分を覆うようにして、前面枠4がヒンジ機構36によって前方に開閉可能に装着されている。また、前面枠4の略中央部には、遊技盤5の遊技領域37を前方から透視可能な略円形の開口窓38が形成されている。また、前面枠4の後側には開口窓38よりも大きな矩形枠状をなす窓枠39が設けられ、その窓枠39にはガラス板、透明樹脂板等の透明板50が装着されている。また、前面枠4の前面の略全体は、ランプ等が内設された前面装飾部材によって装飾され、同前面枠4の前面の下部には上皿51が形成されている。詳しくは、開口窓38の周囲において、左右両側部にサイド装飾装置52が、下部に上皿51が、上部に音響電飾装置53が装着されている。サイド装飾装置52は、ランプ基板が内部に配置され且つ合成樹脂材によって形成されたサイド装飾体54を主体として構成されている。サイド装飾体54には、横方向に長いスリット状の開口孔が上下方向に複数配列されており、該開口孔には、ランプ基板に配置された光源に対応するレンズ55が組み込まれている。音響電飾装置53は、透明カバー体56、スピーカ57、スピーカカバー58、及びリフレクタ体(図示しない)等を備え、これらの構成部材が相互に組み付けられてユニット化されている。また、上皿51の左側には、遊技者が操作可能なボタン59が設けられている。
[施錠装置の構成について]
図2及び図3に基づき説明する。前枠体11のヒンジ機構36に対して反対側となる自由端側の後側には、外枠2に対し本体枠3を施錠する機能と、本体枠3に対し前面枠4を施錠する機能とを兼ね備えた施錠装置70が装着されている。すなわち、この実施形態において、施錠装置70は、外枠2に設けられた閉止具71に係脱可能に係合して本体枠3を閉じ状態に施錠する上下複数の本体枠施錠フック72と、前面枠4の自由端側の後側に設けられた閉止具73に係脱可能に係合して前面枠4を閉じ状態に施錠する上下複数の扉施錠フック74と、パチンコ機1の前方から鍵が挿入されて解錠操作可能に、前枠体11及び下部前面板30を貫通して露出されたシリンダー錠75とを備えている。そして、シリンダー錠75の鍵穴に鍵が挿入されて一方向に回動操作されることで本体枠施錠フック72と外枠2の閉止具71との係合が外れて本体枠3が解錠され、これとは逆方向に回動操作されることで、扉施錠フック74と前面枠4の閉止具73との係合が外れて前面枠4が解錠されるようになっている。
[遊技盤装着枠の構成について]
図2乃至図4に基づき説明する。図4はパチンコ機の後側全体を示す背面図である。
図2及び図3に示すように、本体枠3の遊技盤装着枠12は、前枠体11の後側に設けられかつ遊技盤5が前方から着脱交換可能に装着されるようになっている。遊技盤5は、遊技盤装着枠12の前方から嵌込まれる大きさの略四角板状に形成されている(図9参照)。遊技盤5の盤面(前面)には、外レール76と内レール77とを備えた案内レール78が設けられ、その案内レール78の内側に遊技領域37が区画形成されている。なお、発射レール19と案内レール78との間には、所定の隙間が設けられており、発射された遊技球が案内レール78を逆戻りした場合には、その遊技球は、その隙間から排出され下皿31に案内されるように構成されている。また、遊技盤5の前面には、その案内レール78の外側領域において、合成樹脂製の前構成部材79が装着されている。
一方、図4に示すように、遊技盤5の後側下部には、その中央部から下部にわたる部分において、各種入賞装置に流入した遊技球を受けかつその遊技球を所定位置まで導く集合樋としての機能とボックス装着部としての機能を兼ね備えた基板ホルダ91が設けられている。この基板ホルダ91の後側には、波形制御基板、電飾制御基板等の周辺制御基板92が収納された周辺制御基板ボックス93が装着され、その周辺制御基板ボックス93の後側に重ね合わされた状態で、主制御基板94が収納された主制御基板ボックス95が装着されている。さらに、遊技盤5の後側に対し基板ホルダ91、周辺制御基板ボックス93及び主制御基板ボックス95がそれぞれ装着された状態において、本体枠3の遊技盤装着枠12の前方から遊技盤5を嵌込んで装着できるように、遊技盤5の外郭より外側にはみ出すことなく基板ホルダ91、周辺制御基板ボックス93及び主制御基板ボックス95が配置されている。
[本体枠の機構装着体、球タンク及びタンクレールの構成について]
図7及び図8に基づき説明する。図7はパチンコ機の本体枠に各種部材が組み付けられた状態を斜め右上後方から示す斜視図であり、図8は本体枠単体を斜め右上後方から示す斜視図である。
本体枠3の機構装着体13には、タンク装着部111、レール装着部112、及び払出装置装着部113等がそれぞれ形成され、タンク装着部111には球タンク114が装着されている。球タンク114は、透明な合成樹脂材よりなり、島設備(パチンコ島設備)から供給される多数の遊技球が貯留可能な上方に開口する箱形状に形成されている。そして、球タンク114の遊技球の貯留状態が球タンク114の後側壁を透して視認可能となっている。また、球タンク114の底板部115の後側隅部には遊技球を放出する放出口116が形成されるとともに、底板部115は放出口116に向けて下傾する傾斜面に形成されている。
本体枠3の機構装着体13には、そのタンク装着部111に下方に接近してレール装着部112が一体に形成され、そのレール装着部112にレール構成部材117が装着されることでタンクレール118が構成されるようになっている。すなわち、この実施形態において、レール装着部112は、本体枠3の上部横方向部分が所定深さ凹まされた状態で形成されており、その凹部の奥側壁をタンクレール118の前壁部119とし、その凹部の下縁部に沿って一端(図8に向かって左端)から他端(図8に向かって右端)に向けて下傾する傾斜状のレール棚120が形成されている。そして、レール棚120の横方向に延びる上向き面をレール受け部121としている。
レール装着部112に装着されてタンクレール118を構成するレール構成部材117は、レール装着部112の前壁部119との間にレール通路を構成する後壁部122と、傾斜状をなす下板部と、その下板部の上面の前後方向中央部に沿って突設されレール通路を前後複数列(この実施形態では前後2列)に区画する仕切り壁(いずれも図示しない)とを一体に備えて形成されている。このレール構成部材117は、レール装着部112に対し適宜の取付手段によって装着され、これによって、前後複数列のレール通路を備えたタンクレール118が構成されている。そして、球タンク114の放出口116から放出(自重によって落下)された遊技球がタンクレール118の前後複数列のレール通路の一端部においてそれぞれ受けられた後、遊技球が自重によってレール通路に沿って転動することでレール通路の他端部に向けて流れるようになっている。また、この実施形態において、レール構成部材117は、透明な合成樹脂材より形成され、これによって、レール通路内の遊技球の流れ状態が、レール構成部材117の後壁部122を透して視認可能となっている。
タンクレール118(レール装着部112)の前壁部119は、遊技盤5の後側に突出する装備品(例えば役物)における後部の上端部との干渉を避けるため第1空間部を隔てた状態で設けられている。また、この実施形態において、本体枠3の後端部となるレール棚120の後端と、タンクレール118の後壁部は、球タンク114の後側壁と略同一面をなしている。言い換えると、球タンク114の後壁部に対しタンクレール118の後壁部が略同一面となる位置までタンクレール118が遊技盤5の後面より後方に離隔して配置されている。これによって、遊技盤5の後側とタンクレール118の前壁部119との間に装備品(例えば役物)の後部との干渉を避けるための第1空間部が設けられるようになっている。
また、タンクレール118の上方には、レール通路を流れる遊技球を上下に重なることなく整列させる整流体123がその上部において軸124を中心として揺動可能に装着されている。この整流体123には、その中央部から下部において錘が設けられている。
[払出装置装着部及び球払出装置の構成について]
図7及び図8に基づき説明する。本体枠3の機構装着体13の片側寄りの上下方向には、次に述べる球払出装置(球払出ユニット)125に対応する縦長の払出装置装着部113が形成されている。払出装置装着部113は、後方に開口部をもつ凹状に形成されている。また、払出装置装着部113の段差状をなす奥壁部(図示しない)の所定位置には、球払出装置125の払出用モータ126(図3参照)が突出可能な開口部127が形成されている。
払出装置装着部113の凹部に球払出装置125が装着された状態において、遊技盤5との間には、第1空間部と前後方向に略同一レベルとなる第2空間部が設けられている。これによって、レール通路と球通路とが前後方向に略同一レベルで配置されている。また、本体枠3の後端、すなわち払出装置装着部113の周壁部後端、レール棚120の後端、球タンク114、タンクレール118及び球払出装置125のそれぞれの後面は略同一面をなしている。
球払出装置125は、払出装置装着部113の凹部と略同じ大きさの縦長のボックス形状をなし、払い出しに関する各種部品が装着されることでユニット化されている。なお、球払出装置125は、払出装置装着部113の凹部の後方開口部から嵌込まれて適宜の取付手段(例えば、弾性クリップ、係止爪、ビス等の取付手段)によって装着されるようになっている。
また、図示しないが、球払出装置125は、タンクレール118におけるレール通路の出口にそれぞれ連通する流入口を有する球通路が前後複数列(例えば前後2列)に区画されて形成されている。また、その内部に形成された前後複数列の球通路の下流部が二股状に分岐されて前後複数列の賞球及び貸球用球通路と球抜き用球通路とがそれぞれ形成されている。そして賞球及び貸球用球通路と球抜き用球通路との分岐部には、遊技球をいずれかの通路に振り分けて払い出すための回転体よりなる払出部材(図示しない)が正逆回転可能に配設されている。
[本体枠の後側下部の装備について]
図3及び図4に基づき説明する。本体枠3の前枠体11の後側において、遊技盤装着枠12よりも下方に位置する前枠体11の後下部領域の片側(図4に向かって左側)には、発射レール19の下傾端部の発射位置に送られた遊技球を発射するための発射ハンマー(図示しない)、その発射ハンマーを作動する発射モータ128等が取付基板129に組み付けられてユニット化された発射装置ユニット130が装着されている。また、前枠体11の後下部領域の略中央部には、電源基板131を収容する電源基板ボックス132が装着され、その電源基板ボックス132の後側に重ね合わされた状態で払出制御基板133を収容する払出制御基板ボックス134が装着されている。払出制御基板133は、遊技球を払い出す数を記憶するRAMを備え、主制御基板94から送信される払出用信号に従って遊技球を払い出す制御信号を中継用回路基板(図示しない)に伝達して払出用モータ126を作動制御するようになっている。
[後カバー体の構成について]
図4及び図5に基づき説明する。図5はパチンコ機の後側全体を右上後方から示す斜視図である。
遊技盤5後面に配置された表示装置制御基板ボックス135(図6参照)及び主制御基板ボックス95の後端部は機構装着体13の中央部に開口された窓開口部に向けて突出している。そして、機構装着体13の窓開口部の一側壁を構成する側壁部と他側壁を構成する払出装置装着部113の片側壁との間には、不透明な合成樹脂材によって略方形の箱形状に形成された後カバー体136がカバーヒンジ機構137によって開閉並びに着脱可能に装着されている。
後カバー体136は、略四角形状の後壁部138と、その後壁部138の外周縁から前方に向けて突出された周壁部139とから一体に構成されている。後カバー体136の周壁部139のうち、一側の壁部139aには、機構装着体13の側壁部の上下及び中間の計3箇所に形成されたヒンジ体140のヒンジ孔の上方からそれぞれ着脱可能に嵌込まれるヒンジピン141を下向きに有するヒンジ体142が一体に形成されている。また、後カバー体136の周壁部139のうち、他側の壁部139bには、払出装置装着部113の片側壁に形成された係止孔に弾性的に係合可能な係止爪を有する弾性閉止体143が一体に形成されている。
すなわち、後カバー体136は、その上下及び中間のヒンジ体142の各ヒンジピン141が機構装着体13の側壁部のヒンジ体140のヒンジ孔の上方からそれぞれ嵌込まれる。この状態で、ヒンジピン141を中心として後カバー体136が機構装着体13の他側に向けて回動されながら、その弾性閉止体143を払出装置装着部113の片側壁の係止孔に差し込んで弾性的に係合させることで、機構装着体13の後側に後カバー体136が閉じ状態で保持される。そして、後カバー体136によって、遊技盤5後面の表示装置制御基板ボックス135(図6参照)全体及び主制御基板ボックス95の略中間部から上端にわたる部分が後カバー体136によって覆われるようになっている。これによって、主制御基板ボックス95の上部に露出された主制御基板94の基板コネクタ(主として表示装置制御基板と接続するための基板コネクタ)が後方から視認不能に隠蔽されている。
また、主制御基板ボックス95の略中間部から下端にわたる部分は後カバー体136によって覆われることなく露出されている。そして、主制御基板ボックス95の下部には、その主制御基板94上に配置された検査用コネクタ144が露出されており、後カバー体136が閉じられた状態で主制御基板94上の検査用コネクタ144に基板検査装置(図示しない)を接続して検査可能となっている。
後カバー体136には、多数の放熱孔145、146、147、148が貫設されており、これら多数の放熱孔145、146、147、148から内部の熱が放出されるようになっている。この実施形態において、後カバー体136には、その周壁部139から後壁部138に延びる多数のスリット状の放熱孔145が貫設され、後壁部138の略中間高さ位置から上部においては多数の長円形、楕円形等の放熱孔146が貫設され、後壁部138の下部には多数の長円形、楕円形等の放熱孔147と所定数の横長四角形状の放熱孔148が貫設されている。
また、横長四角形状の放熱孔148は、主制御基板ボックス95の封印ねじ(封印部材)によって封印される複数の並列状の封印部149の列の大きさ及び配設位置に対応する大きさ及び位置に貫設されている。これによって、不透明な後カバー体136が閉じられた状態であっても、主制御基板ボックス95の複数の並列状の封印部149が放熱孔148の部分において視認可能に露出される。このため、後カバー体136が閉じられた状態であっても、主制御基板ボックス95の封印部149の封印状態を容易に視認することができる。また、不透明な合成樹脂材は、透明な合成樹脂材と比べ、リサイクル使用される合成樹脂材を材料として用いることが容易であるため、後カバー体136を安価に製作することができる。
後カバー体136の周壁部139のうち、上側壁部139cの所定位置(この実施形態では左右2箇所)には、電源コード(図示しない)を適宜に折り畳んだ状態で保持する略C字状でかつ弾性変形可能なコード保持体150が上方のタンクレール118の後壁面(レール構成部材117の後壁面)に向けて延出されている。このコード保持体150の先端部には、同コード保持体150を弾性変形させて電源コードを取り外すためのつまみが形成されている。
電源コードは、その一端が分電基板151の基板コネクタ152に取り外し可能に接続され、他端の電源プラグが電源コンセントに差し込まれる。前記したように、後カバー体136にコード保持体150を一体に形成して電源コードを保持することで、パチンコ機1を運搬、保管する際に電源コードがぶらついて邪魔になったり、異物に引っ掛かる不具合を防止することができる。
[本体枠の後側下部の下皿用球誘導体等の構成について]
図1及び図6に基づき説明する。図6は、図5に示すパチンコ機の斜視図から後カバー体及び各種制御基板等を取り外した状態を示す斜視図である。
本体枠3の後下部領域の他側寄り部分(ヒンジ寄り部分)には、そのスピーカボックス部16の後段差部の凹み部分において下皿用球誘導体153が装着されている。この下皿用球誘導体153は、球払出装置125の賞球及び貸球用球通路から上皿連絡路(図示しない)を経て上皿51に払い出された遊技球が満杯になったときに、上皿連絡路の遊技球を下皿31に導くためのものである。
なお、この実施形態において、下皿用球誘導体153の後壁外面には、インタフェース基板154を収納している基板ボックス155が装着されている。なお、インタフェース基板154は、パチンコ機1に隣接して設置される球貸機と払出制御基板133との間に介在され、球貸に関する信号を球貸機と払出制御基板133との間で送受信可能に電気的に接続するようになっている。
[遊技盤の概略構成について]
図9乃至図16に基づき説明する。図9は、遊技領域を有した遊技盤の正面図である。図10は遊技盤を右上斜め前方から示す斜視図であり、図11は遊技盤を左上斜め前方から示す斜視図である。図12は、遊技盤を斜め後方から示す斜視図である。図13は図9におけるA−A断面図であり、図14は図9におけるB−B断面図である。図15は遊技盤を主要な構成部品毎に分解して斜め前方から示す分解斜視図であり、図16は遊技盤を主要な構成部品毎に分解して斜め後方から示す分解斜視図である。
本例の遊技盤5には、上述した通り外レール76、及び内レール77からなる案内レール78が備えられており、この案内レール78の内側には、遊技領域37が区画形成されている。換言すると、前構成部材79の案内レール78によって遊技領域37の外周が区画形成されている。この遊技領域37には、その略中央部分に枠状の中央役物200が配設されていると共に、中央役物200の後方に中央役物200の枠内を通して前方(遊技者)から視認可能とされた演出表示装置202が備えられている。また、遊技領域37には、中央役物200の左側に、遊技球が通貨可能なゲート204が設けられており、このゲート204内には、ゲート204を通過した遊技球を検出するゲートセンサ206が設けられている(図10及び図11参照)。
また、遊技領域37には、中央役物200の中央下方には、可変入賞球装置210が配設されている。この可変入賞球装置210は、上方に常時開口し遊技球が入球可能な第一始動口212と、第一始動口212の下方に設けられた第二始動口214と、第一始動口212に入球した遊技球を検出する第一始動口センサ216(図40参照)と、第二始動口214に入球した遊技球を検出する第二始動口センサ218(図40参照)と、第二始動口214の両側に配置され始動口ソレノイド220(図40参照)により下部を支点として回動し第二始動口214を開閉可能な一対の可動片222とを備えている。
この可変入賞球装置210における第二始動口214は、通常、上方に位置する第一始動口212と、第二始動口214の両側に位置する可動片222により塞がれて遊技球が入球困難な閉鎖状態となっており、始動口ソレノイド220の駆動によって一対の可動片222を拡開するように回動させ、遊技球が左右方向から入球可能な開放状態に制御する。この可動片222の開閉制御は、ゲート204を遊技球が通過してゲートセンサ206によって検出されたことに基づいて、制御されるようになっている。なお、本例では、第一始動口212に遊技球が入球し、第一始動口センサ216によって検出されたことに基づいて所定数(例えば、3個)の遊技球の払い出しが行われ、第二始動口214に遊技球が入球し、第二始動口センサ218によって検出されたことに基づいて所定数(例えば、4個)の遊技球の払い出しが行われる。
また、遊技領域37には、常時開口し遊技球が入球可能な複数の一般入賞口224も設けられており、一般入賞口224に遊技球が入球したことに基づいて所定数の遊技球の払い出しが行われる。なお、一般入賞口224に入球した遊技球は一般入賞口センサ226(図34及び図40参照)によって検出され、一般入賞口224に遊技球が入球し、一般入賞口センサ226によって検出されたことに基づいて所定数(例えば、10個)の遊技球の払い出しが行われる。また、遊技領域37には、その最下部に、流下していずれの入賞口や入賞装置にも入球しなかった遊技球を遊技領域37から排出するアウト口228が設けられている。
なお、本例では、上記の可変入賞球装置210及び各一般入賞口224が、入賞口ユニット234として、一体に組立てられたものとされている。
更に、遊技領域37には、図9に示すように、その前面に多数の障害釘230が所定のゲージ配列をなして設けられていると共に、中央役物200前面の適宜位置に風車232が設けられており、遊技球の流下方向を変化させて、遊技球の挙動が面白くなるようにしている。なお、障害釘230については、図9のみに示すものとし他の図については省略してある。
また、本例の遊技盤5は、図13乃至図16に示すように、正面視における大きさが遊技領域37と略対応した大きさとされると共に前後方向に所定量の奥行きを有し発光可能な発光装飾体238を備えた枠状の装飾ユニット240と、装飾ユニット240の前側に配置され遊技領域37に配置される中央役物200、ゲート204、入賞口ユニット234、及び所定のゲージ配列で配置される複数の障害釘230等を前面側に保持可能な透明板状の保持板242と、保持板242の外周を支持すると共に前側に保持板242を挟むように前構成部材79が取付けられ後面側に装飾ユニット240が取付けられる枠状の保持板支持枠244とを更に備えている。
この装飾ユニット240の後側に、その枠内を通して遊技者から視認可能となるように演出表示装置202が取付けられるようになっており、装飾ユニット240の枠の内形と中央役物200の枠の内形が略同じ大きさとされている。
この遊技盤5は、図9乃至図11に示すように、障害釘230等を保持する保持板242が、透明な板材とされているので、保持板242の後側に配置された装飾ユニット240の全体(前面側)を遊技者側(前側)から視認できるようになっていると共に、保持板242に保持される障害釘230等が空中に浮いたように視認させられるようになっている。
また、遊技盤5には、アウト口から排出される遊技球や、入賞口等に入球して遊技領域37外へ排出する遊技球を遊技盤5の後側外部へ誘導排出するための基板ホルダ91が、保持板支持枠244の後面側の下部に取付けられている。この基板ホルダ91の後側には、周辺制御基板ボックス93と主制御基板ボックス95とが前から順番に取付けられている(図13参照)。なお、基板ホルダ91には、遊技盤5から排出される遊技球を検出可能な球排出センサ248が備えられている。
演出表示装置202は、本例では、液晶を用いたLCDとされており、種々の演出画像を表示することができると共に、第一始動口212又は第二始動口214への遊技球の入球を契機として、複数の装飾図柄が所定の順序で列設された三つの図柄列を変動表示させた上で夫々を停止表示させ、停止表示された装飾図柄の組合せによって、第一始動口212又は第二始動口214への始動入賞に係る抽選結果を表示できるようになっている(図36乃至図39参照)。
[遊技盤における保持板の保持構造について]
図17乃至図20に基づいて説明する。図17は、遊技盤における前構成部材、保持板、及び保持板支持枠の関係を示す正面図である。図18は、図17における断面側面図である。図19は、図17を分解して示す分解斜視図である。図20は、保持板支持枠と装飾ユニットとの関係を示す分解斜視図である。
保持板支持枠244は、遊技領域37に対応する位置に配置されると共に正面視において遊技領域37を略包含する大きさとされ前後方向に貫通する貫通口250と、貫通口250内に向かって突出し平面視で遊技領域37内にかからないように形成された複数の突出片252と、及び複数の突出片252のうち本例では三つの突出片252に夫々形成された突出ピン254とを備えている。この突出ピン254は、上側の突出片252と、左右下側の突出片252に夫々前方側に突出するように形成されている(図19参照)。
また、保持板支持枠244は、前方側から貫通口250内に保持される保持板242を係止可能な複数の係止爪255を更に備えている(図19参照)。この係止爪255は、前方側から貫通口250内に保持板242を挿入嵌合させると、弾性変形して保持板242を着脱可能に係止保持するものである。
また、保持板支持枠244は、後面側に開口する凹部256が複数形成されており、この凹部256により後面側から肉抜きされた形態とされ、中実無垢に形成した場合と比較して保持板支持枠244の重量が大幅に軽減されている(図18及び図20参照)。なお、本例の保持板支持枠244は、所定の樹脂材(例えば、ポリプロピレン、ABS樹脂など)にて成形されている。また、保持板支持枠244の厚さW1は、従来のパチンコ機における遊技盤ベースの厚さと略同じ厚さの約20mmとされている。
更に、保持板支持枠244の後面側には、図20に詳しく示すように、その四隅と貫通口250との間に、斜めに列設された複数の取付孔258が形成されており、各取付孔258が所定径のボスの略中心に形成されていると共に、各ボスが壁状のリブによって夫々連結された状態となっており、取付孔258を有したボスが変形し難いようになっている。つまり、取付孔258の取付強度が高められている。この取付孔258は、装飾ユニット240や基板ホルダ91等、保持板支持枠244の後面側に取付固定される各種部材を取付固定するためのものである。
保持板242は、保持板支持枠244の貫通口250の内周形状と略対応した外周形状とされ、保持板支持枠244における上側の突出ピン254と嵌合する嵌合孔260と、保持板支持枠244における左右の突出ピン254が挿入され上下方向に延びる長孔262とを備えている。この保持板242は、ポリカーボネイト樹脂、ポリアリレート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂等の透明な樹脂を、押出し成形した透明樹脂板により形成されている。また、保持板242の厚さW2は、打設される障害釘などを充分に保持することのできる必要最低限の厚さ(8〜10mm)とされており、保持板支持枠244の厚さW1の略半分の厚さとされている。
また、保持板242には、その外周に保持板支持枠244の係止爪255と係合する係合段部264が、各係止爪255と対応するように形成されている。この係合段部264は、保持板242の前面側が陥没したような形態とされている(図19参照)。また、保持板242には、中央役物200、ゲート204、及び入賞口ユニット234等を所定位置に保持し前後方向に貫通する複数の開口266を備えている。この開口266の前面側から中央役物200等が開口266内に挿入されるようになっている。
この遊技盤5では、枠状の保持板支持枠244の枠内、つまり、保持板支持枠244の貫通口250内に保持板242を挿入した状態で、前方から保持板支持枠244に前構成部材79を固定することで、保持板242を保持板支持枠244の各突出片252と前構成部材79とで挟持するようになっている。つまり、保持板242の後面側が突出片252と当接し、保持板242の前面側が前構成部材79と当接することで、突出片252と前構成部材79とで挟持されるようになっている。
図18に示すように、本例では、保持板242の前面と、保持板支持枠244の前面とは、略面一となるように配置されている。つまり、保持板支持枠244の突出片252の前面位置が、保持板242の厚さW2に対応して、保持板242と保持板支持枠244の前面が略面一となる位置に配置されている。これにより、保持板支持枠244と保持板242との間で前後方向の段差が生じないようになっている。
また、保持板242と保持板支持枠244とは、保持板242を貫通口250内に挿入する際に、保持板支持枠244の上側の突出ピン254がベース本体の嵌合孔260と嵌合すると共に、保持板支持枠244の左右の突出ピン254が保持板242の左右の長孔262に夫々挿入され、嵌合孔260においては移動不能に固定され、長孔262においては移動可能に固定されるようになっている。
図17及び図18に示すように、保持板支持枠244における貫通口250の内周と、保持板242の外周との間には、所定量のクリアランス(隙間)が形成されるようになっており、気温やパチンコ機1の環境温度などの温度変化や、経時変化などによる保持板242や保持板支持枠244の相対伸縮が許容されて、保持板242等が歪んだりするのを防止できるようになっている。
また、本例の保持板242及び保持板支持枠244は、前方から保持板支持枠244の貫通口250内へ保持板242を嵌合挿入して、係止爪255と係合段部264とを係合させることで、保持板支持枠244に保持板242を保持させることができると共に、保持板242と保持板支持枠244の前面側が略面一となるようになっており、従来より用いられている障害釘植設装置を改造等しなくても保持板242を保持板支持枠244に保持した状態で従前の障害釘植設装置にセットすることが可能となり、障害釘の植設にかかるコストが増加するのを抑制することができるようになっている。
更に、遊技領域37を有した遊技盤5を、保持板242、保持板支持枠244、及び前構成部材79に分割するようにしているので、パチンコ機1の機種によって障害釘230や入賞口等の位置が変化する保持板242を交換パーツとすると共に、保持板支持枠244及び前構成部材79を共通パーツとすることができ、保持板支持枠244や前構成部材79等をリサイクル可能とすることができると共に保持板242のみを交換するだけで種々の機種に対応可能な遊技盤5を備えたパチンコ機1となっている。
また、保持板支持枠244に予め複数の取付孔258が所定配列で備えられているので、機種に応じて保持板支持枠244の後面側に取付固定される装飾ユニット240や基板ホルダ91等の種々の所定の部材の取付固定位置が異なる位置となっていても、各種部材の固定部を取付孔258の位置と対応させるように設計することで、保持板支持枠244を機種に依存しないパチンコ機1の共通パーツとすることができるようになっている。
[遊技盤における中央役物の構造について]
図21乃至図23に基づいて説明する。図21(A)は中央役物の正面図であり、(B)は隔壁板を外した状態で示す中央役物の背面図である。図22は、中央役物を右上斜め前方から示す斜視図である。図23は、中央役物に備えられたアタッカ装置の概略構成を示す正面図である。
本例の中央役物200は、遊技領域37の幅方向のうち3分の2以上の幅を占める大きさであり(図9等参照)、後側に配置された演出表示装置202が遊技者から視認可能となるように略矩形状の開口部268を有している。この開口部268によって中央役物200が枠状に形成されており、その前面側が略全周に亘って岩を模したように造形されている。
この中央役物200の上縁部には、アタッカ装置270が配置されており、このアタッカ装置270には、遊技球が入球可能な大入賞口272と、大入賞口272を開閉可能な一対の開閉部材274と、開閉部材274を開閉動作させるためのアタッカソレノイド276(図23参照)とから構成されている。また、アタッカ装置270には大入賞口272に入球した遊技球をカウントするカウントセンサ278が備えられており、遊技球がカウントセンサ278に検出されることで、所定数(例えば、13個)の遊技球を払出すようにしている。なお、アタッカ装置270には、カウントセンサ278によって検出された遊技球を、中央役物200の後側に配置された装飾ユニット240へ受渡すための受渡口279が更に備えられている(図21(B)等参照)。
このアタッカ装置270は、図23に示すように、開閉部材274の所定位置に一端が固定された回転軸280と、回転軸280の他端側に固定され回転軸280の軸芯に対して偏芯した位置に伝達ピン282を有した回転リンク部材284と、回転リンク部材284の伝達ピン282が挿通されると共に略水平方向に摺動可能な長孔状の伝達孔286を有しアタッカソレノイド276の駆動によって上下方向に移動するリンク部材288とを更に備えている。
この、回転軸280は、一対の開閉部材274に対して、それら開閉部材274の下部で互いに遠ざかった位置に配置されており、回転軸280の他端側に固定された回転リンク部材284の伝達ピン282が、互いに接近する方向に回転軸280より偏芯した位置に夫々配置されている。なお、図示するように、一対の開閉部材274が閉鎖状態の時は、回転軸280と伝達ピン282と略水平方向に並ぶように回転リンク部材284が回転軸280に固定されている。
このアタッカ装置270は、一対の開閉部材274が夫々独立したアタッカソレノイド276により駆動されるようになっており、アタッカソレノイド276によってリンク部材288が上昇すると、一対の開閉部材274の上端が互いに離反した状態となり(図21(A)参照)、大入賞口272へ遊技球が入球可能な開放状態となる。一方、リンク部材288が下降すると、一対の開閉部材274の上端が互いに接近した状態となり(図23等参照)、大入賞口272へ遊技球が入球不能な閉鎖状態となる。
なお、本例では、図示するように、アタッカ装置270における一対の開閉部材274が、夫々その前面側が木製看板を模したような形状に造形されているので、従来の遊技機における左右に開閉する可変入賞球装置(所謂、電動チューリップ)とは異なる形態となっており、これまでと違うアタッカ装置の形態によって、遊技者の関心を引き付けられるようになっている。
また、本例では、アタッカソレノイド276へ通電させることで、リンク部材288を上昇駆動させるようにしており、非通電時には、開閉部材274やアタッカソレノイド276のプランジャ等の自重等によって、一対の開閉部材274が自動的に閉鎖状態となるようになっており、アタッカソレノイド276等の不具合によってアタッカ装置270が開放状態となり続けるのを防止するようになっている。
本例のアタッカ装置270は、詳細は後述するが、遊技球が第一始動口212や第二始動口214への入球によって当り判定用乱数が抽出(抽選)され、その当り判定用乱数が「2R大当り」、「15R大当り」及び「小当り」等の「当り」を示唆するものであると、その「当り」に応じて開閉部材274が所定の開閉動作をするようになっている。
ここで、「当り」とは、アタッカ装置270の開閉部材274を開放状態として、その間に所定数の遊技球が大入賞口272に入球するか、又は所定時間経過すると開閉部材274を閉鎖状態とし、その開閉部材274の開閉動作を複数回繰り返すことで、遊技球が大入賞口272に入球し易くしてより多くの遊技球が払い出されるようにするものであり、開閉部材274の一回の開閉動作を1ラウンドと呼ぶものである。
具体的には、本実施形態では、「15R大当り」の場合は、開閉部材231が開放状態の時に大入賞口272に所定数として例えば10個の遊技球が入球するか、又は所定時間として例えば30秒経過すると1ラウンドとして開閉部材274を閉鎖状態とするものであり、そのラウンドを15回繰り返すものである。また、「2R大当り」の場合は、開閉部材231が開放状態の時に大入賞口272に所定数として例えば10個の遊技球が入球するか、又は所定時間として例えば1.3秒が経過すると1ラウンドとして開閉部材274を閉鎖状態とするものであり、そのラウンドを2回繰り返すものである。なお、「15R大当り」と比較して「2R大当り」は蓋然的に大入賞口272に入球させる機会が少なく、遊技球の払い出しが少ないものとなっている。
なお、本例では、「2R大当り」及び「15R大当り」には、「2R大当り」及び「15R大当り」が抽選される確率を、次回の抽選から通常時の確率よりも高確率に変更する「2R確変大当り」及び「15R確変大当り」を有している。なお、本例では、通常時の確率を「1/319.25」とした場合、確変時の高確率状態の確率を「1/31.925」としている。
中央役物200の上縁部には、アタッカ装置270の他に、中央役物200の上側に流下供給された遊技球を、中央役物200の左右へと導く誘導棚289を備えている。この誘導棚289は、アタッカ装置270より左側に流下した遊技球を中央役物200の左側へ、アタッカ装置270よりも右側に流下した遊技球を中央役物200の右側へ、夫々導くようになっている。なお、本例では、アタッカ装置270よりも右側へは殆んど遊技球が流下しないようになっている。
この中央役物200には、その左縁部の上部で外周側に開口するワープ口290と、ワープ口290に入球した遊技球を中央役物200の内周に沿って略垂直に下方へ誘導するワープ誘導路292と、ワープ誘導路292によって誘導された遊技媒体が左右方向に転動可能とされ中央役物200における下縁部の内周側(上面側)に配置されたステージ294とを更に備えている。このステージ294は、図示するように、第一始動口212の直上部分が最も下がった湾曲面とされており、遊技領域37内で中央役物200の左側を流下する遊技球が、ワープ口290に入球すると、ワープ誘導路292を介してステージ294上へと送られ、遊技球が第一始動口212や第二始動口214へ高い確率で入球できるように放出することができるようになっている。
また、中央役物200には、アタッカ装置270よりも右側に流下した遊技球を遊技者から視認不能な状態で中央役物200の右縁部に沿って誘導する縁部誘導路296と、縁部誘導路296によって誘導された遊技球を遊技者から視認可能な状態として中央役物200における下縁部の内周側(上面側)でステージ294とは異なる位置を転動させて第一始動口212に入球できないように下流側へ放出する下縁転動部298とを更に備えている。
なお、本例では、ワープ誘導路292、ステージ294、及び下縁転動部298が、透明な部材により構成されており、転動流通する遊技球が視認できると共に、後側に配置される装飾ユニット240や演出表示装置202等が視認できるようになっている。
また、中央役物200には、開口部268を閉鎖するように後側に取付けられる透明な板状の隔壁板300を更に備えており、この隔壁板300によって、ステージ294や下縁転動部298を転動する遊技球が、中央役物200の後側に流出するのを防止している。また、この隔壁板300によって、遊技領域37と中央役物200よりも後側の空間とが分離区画されるようになっている。
更に、中央役物200には、その下縁部の下部に、特別図柄表示器302と、特別図柄保留表示器304、及び状態表示器306が更に備えられており、詳細は後述するが、特別図柄表示器302及び特別図柄保留表示器304が夫々四つのLEDからなり、状態表示器306が一つのLEDによって構成されている。
[遊技盤における装飾ユニットの構成について]
図24乃至図35に基づいて説明する。図24は、装飾ユニットの正面図である。図25は、装飾ユニットを斜め前方から示す斜視図である。図26は、装飾ユニットを主要な構成部材毎に分解して示す分解斜視図である。図27は、演出空間を主に構成する主要な構成部材毎に分解して示す分解斜視図である。図28(A)は演出ユニットを示す斜視図であり、(B)は(A)とは異なる方向から示す演出ユニットの斜視図である。図29は、演出ユニットにおける振分装置を分解して示す分解斜視図である。図30は、図29とは異なる方向から示す振分装置の分解斜視図である。図31は、振分装置における振分動作を説明する説明図である。図32は、図31から続く振分装置における振分動作を説明する説明図である。図33は、図14におけるC−C断面図である。図34は、ユニット支持部材を外した状態で装飾ユニットを斜め後方から示す斜視図である。図35は、装飾体の一部を演出ユニットの一部と共に後方から示す斜視図である。
本例の装飾ユニット240は、上述したように、前面側に障害釘230等が備えられる保持板242及び保持板支持枠244の後側に配置されるものであり、遊技領域37とは独立した空間とされアタッカ装置270の大入賞口272に入球した遊技球が流通可能とされた遊技球演出空間308を有した演出空間310と、演出空間310の外周部に配置される複数の装飾体312と、装飾体312の後側に配置され前方に向かって発光可能な発光手段314(図40参照)と、発光手段314と装飾体312との間に配置され発光手段314からの光を拡散させる拡散装飾部材316と、大入賞口272に入球した遊技球に対して所定の演出動作を付与可能な演出ユニット318と、少なくとも、遊技球演出空間308、装飾体312、発光手段314、拡散装飾部材316、演出ユニット318、及び演出表示装置202を夫々所定位置に保持した状態で保持板支持枠244の後面側に取付固定されるユニット支持部材320とを備えている。
この装飾ユニット240における演出空間310は、前側が保持板242及び中央役物200の隔壁板300によって遊技領域37と仕切られ、上下左右の外周がユニット支持部材320に、そして、後側がユニット支持部材320と演出表示装置202によって夫々仕切られた空間とされており、遊技球の外形に対して約2〜10倍の奥行きとされている。この演出空間310内に、各種装飾体312、発光手段314、拡散装飾部材316、及び演出ユニット318が収容されている。
この装飾体312は、複数の部材からなり、演出空間310の外周部に沿って配置されることで、全体的に枠状となり、その枠内を通して後側に配置された演出表示装置202が遊技者から視認可能となっている。これら装飾体312は、図24等に示すように、左上に配置され「プロゴルファー猿」の文字が形成されたロゴ装飾体312a、ゲート204の左側に配置され岩を模したような背景装飾体312b、入賞口ユニット234の左右両端とロゴ装飾体312aの上側に配置され水しぶきを具象化した背景装飾体312c、ロゴ装飾体312aとは対角線上の右下に配置されゴルフボールを模したようなキャラクタ装飾体312dを有している。
また、装飾体312は、ロゴ装飾体312a及び背景装飾体312b,312cの後側に配置され、略透明で演出ユニット318の上側から左側を通って下側へ続くように水の流れを具象化した流水紋状の背景装飾体312eを更に有している。つまり、この背景装飾体312eは、ゴルフボールを模したキャラクタ装飾体312dに向かって流れる水を表現している。なお、本例では、ロゴ装飾体312aを挟んで上下に分割されている。この背景装飾体312eの左側内周から下側内周へと続き演出ユニット318の後側には、岩を模した背景装飾体312fが配置されている。また、装飾体312は、演出ユニット318の上部下側と装飾ユニット240の右内側に配置され、夫々岩を模した背景装飾体312g,312hを更に有している。
更に、装飾体312は、装飾ユニット240の左右方向の中央を中心としてロゴ装飾体312aとは反対側、つまり、装飾ユニット240の右上に配置され岩を模した背景装飾体312iを更に備えている。この背景装飾体312iには、二つのLEDからなる普通図柄表示器322と、同じく二つのLEDからなる普通図柄保留表示器324とが備えられている。
本例の装飾体312における岩を模した背景装飾体312b,312f,312g,312hは、透光性の低い部材により構成されており、これら透光性の低い背景装飾体312f,312g,312hによって演出表示装置202の外周が囲まれた状態となっている。これにより、発光手段314からの光が背景装飾体312f,312g,312hを介して演出表示装置202に照射されるのを防止して、演出表示装置202に表示される演出画像が見辛くなるのを防止するようにしていると共に、演出表示装置202の表示と、その周りに配置された装飾体312による発光装飾との間に区切りを付けて、演出表示装置202の演出画像が際立つようにしている。
また、装飾体312における水しぶきを具象化した背景装飾体312cは、透光性が抑えられた部材とされており、発光手段314による発光装飾によって全体が光りすぎるのを抑制し、発光装飾によるアクセントを加えて装飾効果が高められるようになっている。
発光手段314は、装飾体312の後側に配置され、具体的な構成については図示を省略するが、任意の色に発光可能な複数のLEDと、複数のLEDを保持するLED基板とから構成されており、遊技状況に応じて、所定の色で発光させたり、点滅させたり、調光点灯させたりすることができ、例えば、流水紋状の背景装飾体312eの後側に配置された発光手段314の各LEDを、上側から下側(キャラクタ装飾体312d)に向かって順次点灯、消灯させることで、光の流れを作ることで発光演出させることができるようになっている。
拡散装飾部材316は、主に流水紋状の背景装飾体312eの後側に配置された発光手段314の前側に配置されており、図示するように、表面が細かな多面体形状とされており、後側に配置された発光手段314におけるLEDの光軸が当該パチンコ機1で遊技する遊技者の目に直接かからないように拡散させるものである。これにより、遊技者に対する眩しさを抑えることができるようになっている。
また、拡散装飾部材316によって、その後側に配置された部材からの間接光も拡散されるので、遊技者から拡散装飾部材316の後側を見難くすることができ、後側に配置された基板等の部材が見えて意匠性が損なわれるのを防止できるようになっている。
なお、装飾体312及び拡散装飾部材316は、基本的に、透光性を有した部材からなり、前面が装飾ユニット240の外周側から中央方向へ向かうに従って遊技者から遠ざかる(後側に向かう)ように形成されている。これにより、遊技者に対して、装飾ユニット240の外周側が手前に、中心側が奥に配置されるようになり、擬似的に遊技者の遠近感を錯覚させて、演出空間310の奥行きが実際よりも広いように見せることができ、これまでにない奥行き感のあるパチンコ機1となっている。
また、遊技球演出空間308は、背景装飾体312f,312g,312hによって区画される空間と正面視において略同じ空間とされている。
次に、装飾ユニット240における演出ユニット318について説明する。本例の演出ユニット318は、中央役物200におけるアタッカ装置270の後側に配置され、アタッカ装置270の大入賞口272に入球した遊技球を受入れて、四方向のうち何れか一つに振分可能な振分装置330を備えている(図28参照)。
この振分装置330は、図29乃至図32に示すように、遊技球の外形よりも若干大きい幅で上下方向に延びる軸芯を中心として円環状に延びる案内通路332、案内通路332と連通しアタッカ装置270における大入賞口272に入球しカウントセンサ278によって検出された遊技球が侵入可能な侵入口334、侵入口334から案内通路332の周方向に沿って平面視時計回りの方向へ順次配置され遊技球が通過可能な第一振分口336、第二振分口338、及び第三振分口340、第一振分口336とは侵入口334を挟んで反対側から第二振分口338及び第三振分口340の間へ案内通路332を短絡するように連絡する連絡通路342を備えた振分ベース部材344と、振分ベース部材344の軸芯周りに回転可能に保持され回転角度に応じて侵入口334、第一振分口336、第二振分口338、第三振分口340、及び連絡通路342の何れか一つと連通可能な遊技球収容部346(図30参照)を備えた回転体348と、回転体348を回転駆動させる振分モータ350と、振分モータ350を所定位置に保持すると共に振分ベース部材344の上側を覆う振分カバー部材352とを備えている。
この振分装置330における振分ベース部材344は、その円環状の案内通路332が、振分装置330の左右方向右端に配置されており、その外周径が遊技球の外径に対して、3〜5倍の径とされている(図31及び図32参照)。また、回転体348の外径は、案内通路332の外径より若干小さい径とされており、従来のパチンコ機で用いられる回転体の径よりも小径とされている。従って、図示するように、本例の振分装置330は前後方向の奥行きが小さく、左右方向に長い形態となっている。
なお、本例では、侵入口334、第一振分口336、第二振分口338、第三振分口340、及び連絡通路342の周方向の位置関係は、第一振分口336の中心が侵入口334の中心に対して約45゜平面視時計回りの方向へ移動した位置に配置されており、第二振分口338の中心が第一振分口336の中心に対して約40゜平面視時計回りの方向へ移動した位置に配置され、第三振分口340の中心が第二振分口338の中心に対して約60゜更に平面視時計回りの方向へ移動した位置に配置されている。また、連絡通路342の中心が第二振分口338及び第三振分口340の中心を通る位置に配置され、詳しくは、連絡通路342の中心が第二振分口338の中心に対して約30゜平面視時計回りの方向へ移動した位置に配置されている。つまり、連絡通路342の中心が侵入口334の中心に対して約65゜平面視反時計回りの方向へ移動した位置に配置されている。なお、連絡通路342の中心線は、パチンコ機1の前後方向を向くように配置されている。
この振分ベース部材344には、遊技領域37に対して左右方向略中央に配置されアタッカ装置270の受渡口279と対向するように前側に開口し侵入口334と連通可能な侵入受入口354が備えられている。この侵入受入口354は、遊技領域37に対して左右方向の略中央に配置されている。
また、振分ベース部材344には、侵入受入口354と案内通路332の侵入口334とを連通し左右方向に延びると共に所定数(例えば、5球(案内通路332内を含めると6球))の遊技球を貯留可能な貯留通路356が更に備えられている。この貯留通路356は、侵入口334へ向かって低くなるように傾斜しており、侵入受入口354に受入れられた遊技球を重力により転動させて侵入口334へ送るようになっている。
また、振分ベース部材344には、侵入受入口354に受入れられたものの貯留通路356に貯留されなかった遊技球を、遊技球演出空間308や遊技領域37内に戻すことなく外部へ排出するための排出通路358を更に備えている。この排出通路358は、図示するように、侵入受入口354から貯留通路356とは反対方向の左方向へ延びる通路とされ、その左端へ向かうに従って低くなるように傾斜している。そして、貯留通路356内に遊技球が侵入受入口354付近まで貯留された状態で侵入受入口354に遊技球が受入れられると、貯留通路356への行き場を失った遊技球が自然と排出通路358へと移行し、排出通路358内を転動して振分ベース部材344の左端より排出される。
この振分ベース部材344は、図示するように、侵入口334及び第一振分口336が案内通路332の外周に開口するように配置されており、第二振分口338及び第三振分口340が案内通路332上に開口する貫通孔とされている。
また、振分ベース部材344は、案内通路332上に第一振分口336へ向かって低くなるように形成された案内傾斜面360と、貯留通路356の後側に配置され第一振分口336から侵入口334よりも左側へ延び第一振分口336へ振分けられた遊技球が転動可能な第一振分通路362とを備えている。この第一振分通路362は、左方向へ向かうに従って低くなるように形成されており、その左端には振分ベース部材344の下側へ遊技球を受渡すための開口部364が形成されている(図30参照)。
更に、振分ベース部材344は、案内通路332の遊技球を少なくとも侵入口334が配置された位置で軸芯方向(案内通路332の内周側)へ移動するのを阻止する内周壁366を備えている。本例では、この内周壁366を貫通するように連絡通路342が形成されていると共に、連絡通路342が第二振分口338及び第三振分口340の方向へ向かって低くなるように傾斜している。
振分装置330における回転体348は、図30に示すように、その遊技球収容部346が、回転体348の中心を通り直径方向に延びると共にその一端側(回転体348の外周の一端側)と下側が開放された形態とされている。この遊技球収容部346は、その幅が案内通路332の幅と略同じ幅とされ、遊技球が流通可能とされている。なお、本例では、回転体348の遊技球収容部346内に振分ベース部材344の内周壁366を収容できるようになっている。
この回転体348は、遊技球収容部346と振分ベース部材344の侵入口334とが互いに連通しない回転位置の時に、遊技球が侵入口334を通過するのを妨げる障壁部368を備えている。この障壁部368によって回転体348が、外周に遊技球収容部346の一端が開口した円筒状の形態となっている。また、回転体348には、遊技球収容部346及び障壁部368の上側に配置され、障壁部368よりも小径で周方向の所定位置に切欠き状のスリット370を有した円筒状の検出部372と、回転体348の中心で上方へ延びるように配置され振分モータ350の駆動軸374と接続可能な軸部376とを備えている。
振分装置330における振分カバー部材352は、振分モータ350を固定保持するためのモータ固定部378と、モータ固定部378に固定された振分モータ350の駆動軸374が通過可能な挿通孔380とを備えている。本例では、振分カバー部材352の上部に所定のビスを用いて振分モータ350がモータ固定部378に固定されるようになっている。
また、本例の振分装置330は、貯留通路356上に配置され侵入口334へ侵入する遊技球を検出可能な侵入検出センサ382を備えており、この侵入検出センサ382は、振分ベース部材344と振分カバー部材352によって挟持されることで固定されるようになっている。また、振分装置330は、振分モータ350によって回転駆動される回転体348の回転位置を検出するための回転位置検出センサ384を更に備えており、振分カバー部材352のセンサ固定部386に固定され、回転体348の検出部372に形成されたスリット370を検出することで回転体348の回転位置を検出するものである。なお、本例では、回転体348の遊技球収容部346が、侵入口334と連通する回転位置の時に、回転位置検出センサ384が検出部372のスリット370を検出するようになっており、回転体348の原位置となる(図31(ア)参照)。
更に、振分装置330は、振分ベース部材344の下側に配置固定され、第一振分口336に振分けられた遊技球を振分装置330の左端前側から下方へ放出する第一放出部材388と、第二振分口338に振分けられた遊技球を遊技領域37に対して左右方向略中央で振分装置330の略中央前側から下方へ放出すると共に第三振分口340に振分けられた遊技球を振分装置330の右端前側から下方へ放出する第二放出部材390とを更に備えている。これら、第一放出部材388及び第二放出部材390は、透明樹脂によって形成されており、放出される遊技球を外部から視認できるようになっている。
この第一放出部材388は、第一振分通路362の開口部364から遊技球を受取る第一放出受取部392と、第一放出受取部392に受取られた遊技球を振分装置330の左端前側へ誘導する第一放出誘導路394と、第一放出誘導路394によって誘導された遊技球を渦巻状に回転させた上で下方へ落下放出可能なクルーンからなる第一放出部396とを備えている。なお、第一放出誘導路394は、第一放出部396に向かって低くなるように傾斜している。
また、第二放出部材390は、振分ベース部材344の第二振分口338から落下する遊技球を受取る第二放出受取部398と、第二放出受取部398に受取られた遊技球を振分装置330の略中央前側で遊技領域37に対して左右方向略中央へ誘導する第二放出誘導路400と、第二放出誘導路400によって誘導された遊技球を渦巻状に回転させた上で下方へ落下放出可能なクルーンからなる第二放出部402と、振分ベース部材344の第三振分口340から落下する遊技球を受取る第三放出受取部404と、第三放出受取部404に受取られた遊技球を振分装置330の右端前側へ誘導する第三放出誘導路406と、第三放出誘導路406によって誘導された遊技球を渦巻状に回転させた上で下方へ落下放出可能なクルーンからなる第三放出部408とを備えている。なお、第二放出誘導路400及び第三放出誘導路406は、夫々第二放出部402及び第三放出部408に向かって低くなるように傾斜している。
本例の振分装置330は、全体的に演出表示装置202の上端よりも上側に配置され、第一放出部396、第二放出部402、及び第三放出部408が、演出表示装置202の上端と略同じ高さに配置されている。なお、第一放出部材388及び第二放出部材390は、第一放出部396、第二放出部402、及び第三放出部408を除いて背景装飾体312gにより隠蔽された状態となっている(図24等参照)。
本例の演出ユニット318は、振分装置330の他に、遊技球演出空間308の下部で遊技領域37に対して左右方向中央から左方向へ偏った位置に配置され振分装置330によって第一振分口336、第二振分口338、及び第三振分口340の何れかに振分けられた遊技球が受入可能とされた第一受入口410(図28等参照)と、振分装置330によって第一振分口336、第二振分口338、及び第三振分口340の何れかに振分けられ第一受入口410に受入れられなかった遊技球を受入れる第二受入口412(図27、図34、及び図35等参照)とを更に備えている。
また、演出ユニット318は、遊技球演出空間308の下部でその中央よりも左側に偏った位置に配置され低部付近に第一受入口410が開口し湾曲状に形成された転動受舞台414と、転動受舞台414よりも右側且つ第二放出部402の垂直下で第一受入口410よりも若干高い位置に配置された中央舞台416と、中央舞台416から転動受舞台414へ向かって遊技球を誘導案内可能な誘導案内舞台418と、中央舞台416よりも左側で少なくとも一部が第三放出部408の垂直下に配置される反発飛翔舞台420と、転動受舞台414、中央舞台416、誘導案内舞台418、及び反発飛翔舞台420よりも下側に配置され最底部に第二受入口412が開口し湾曲状に形成された回収舞台422(図34等参照)と、振分装置330の第一放出部396から放出された遊技球を受取って、回収舞台422よりも上側で転動受舞台414及び中央舞台416よりも下側を通るように反発飛翔舞台420へ転動案内する転動案内部材424とを更に備えている。
演出ユニット318における第一受入口410は、遊技球演出空間308の下部で転動受舞台414上に配置されており、図示するように、遊技者から非常に目立つ位置に配置されている。一方、第二受入口412は、遊技者からは殆んど見ることができない位置に配置されており、遊技球演出空間308において、第一受入口410が特別な意味合いを持った受入口であることを遊技者に認識できるようになっている。
転動受舞台414は、前後方向の中心よりも後側に第一受入口410が配置されており、第一受入口410よりも左側が高くなるような湾曲状に形成されている。この転動受舞台414には、第一受入口410の左側に左端から第一受入口410へ向かって転動する遊技球を転動受舞台414の前後方向中心よりも前側へ誘導する堰部426と、第一受入口410よりも右側で前後方向中心よりも前側に右側へ向かうに従って反上る反上り部428とを備えている。この反上り部428の右側延長上に中央舞台416が展開されている。
この転動受舞台414は、堰部426よりも上側(左側)に供給された遊技球が、堰部426によって反上り部428へと誘導されるようになっており、反上り部428に供給された遊技球の転動速度によっては、反上り部428から飛出して中央舞台416上に落下することもあり得るようになっている。なお、反上り部428から飛出さなかった遊技球は、転動受舞台414上を第一受入口410の方向へ転動するようになっている。
中央舞台416は、その上面に第二放出部402から落下してきた遊技球が殆んど反発することなく受取れるような低反発性部材が配置されていると共に、中央舞台416の上面が誘導案内舞台418に向かって低くなるように傾斜しており、第二放出部402から放出された遊技球を反発させることなく受取って誘導案内舞台418へ受渡せられるようになっている。なお、低反発性部材としては、「粘弾性を有したゴムや樹脂」、「発泡成形されたゴムや樹脂」、「液体や粘性流体を内包したもの」、「ゲル状物質を内包したもの」、「粉体又は粒状体を内包したもの」、「不織布」、「モケット」、「パイル織状物又はパイル状物」、等を用いることができ、本例では、例えば、内外ゴム株式会社の「ハネナイト(登録商標)」が用いられている。
誘導案内舞台418は、中央舞台416の前後方向後側と転動受舞台414とを繋ぐように配置され、その幅が遊技球の外径と略同じ幅とされた橋状に形成されている。この誘導案内舞台418には、転動受舞台414との境目に前側に向かって広がるように切欠かれた分岐部430が形成されており、誘導案内舞台418上を転動案内される遊技球の前後方向の位置や遊技球の転動速度等によっては、案内誘導される遊技球が分岐部430により、転動受舞台414の方向ではなく誘導案内舞台418の外側、つまり、誘導案内舞台418の下方に配置された回収舞台422へと誘導案内されるようになっている。
なお、本例では、第二放出部402から放出されて中央舞台416に受取られた遊技球が、高い確率で誘導案内舞台418を介して転動受舞台414の第一受入口410へ受入れられるようになっている。
転動案内部材424は、透明な樹脂部材からなり、振分装置330の第一放出部396から放出された遊技球を受取る受部432と、受部432によって受取られた遊技球を遊技球演出空間308の左端に沿うように略垂直に案内した上で、所定の曲率で曲線案内させ、中央舞台416の下側で略水平な右方向に案内されるように転動案内する転動案内レール434と、転動案内レール434の右端に転動案内された遊技球を略水平右方向へ放出する放出口436とを備えている。なお、本例では、放出口436から水平方向よりも若干上向きの方向へ遊技球が放出されるようになっている。
反発飛翔舞台420は、転動案内部材424の放出口436から放出された遊技球を、中央舞台416の上を飛越して転動受舞台414上へ反発飛翔可能とされた第一反発飛翔部438と、第一反発飛翔部438よりも右側で第三放出部408の略垂直下に配置され第三放出部408から放出された遊技球を第一受入口410が配置された方向へ反発飛翔可能とされた第二反発飛翔部440とを備えている。これら第一反発飛翔部438及び第二反発飛翔部は、所定速度で衝突する遊技球を高い弾性反発力で反発飛翔させることのできる高反発性部材によって構成されており、高反発性部材として、ゴム、バネ(金属製、樹脂製など)、等の弾性部材を適宜用いることができ、本例では、高反発性樹脂が用いられている。
図示するように、第一反発飛翔部438は、右端が高く立上った傾斜面(第一傾斜面)とされている。これにより、転動案内部材424の放出口436から放出された遊技球が、折り返すように中央舞台416の上側を飛越して転動受舞台414に受取られ、第二放出部402から放出されて中央舞台416に受取られた遊技球が第一受入口410に受入れられる確率よりも低い確率で、第一受入口410に受入れられるようになっている。
また、第二反発飛翔部440は、左端が僅かに下がった傾斜面(第二傾斜面)と、その傾斜面の左端と第一反発飛翔部438の右端とをスムーズに繋ぐ曲面部とを備えている。これにより、第三放出部408から放出された遊技球が、第二反発飛翔部440の傾斜面か曲面部の何れかに衝突して、第一受入口410のある左方向へ反発飛翔することとなり、第一反発飛翔部438によって反発飛翔した場合よりも更に低い確率で第一受入口410へ受入れられるようになっている。
この演出ユニット318には、第一受入口410に受入れられた遊技球を検出可能な第一受入検出センサ442(図35参照)と、第二受入口412に受入れられた遊技球を検出可能な第二受入検出センサ444(図34参照)とが更に備えられている。なお、第二受入検出センサ444は、詳細は後述するが、ユニット支持部材320に支持されるようになっている。
この第一受入口410の下流には、図34及び図35に図示するように、回収舞台422が配置されており、第一受入口410に受入れられた遊技球が、第一受入検出センサ442で検出された後に、回収舞台422へと送られて第二受入口412を介して第二受入検出センサ444で再び検出されるようになっている。つまり、遊技球が第一受入口410に受入れられた場合は、第一受入検出センサ442と第二受入検出センサ444の両方で検出され、遊技球が第一受入口410に受入れられなかった場合は、第二受入検出センサ444のみで検出されるようになっている。
次に、装飾ユニット240におけるユニット支持部材320について説明する。このユニット支持部材320は、各装飾体312、発光手段314、拡散装飾部材316、及び演出ユニット318等を収容可能な演出空間310を有すると共にそれらを所定位置に保持可能とされている。図26に示すように、ユニット支持部材320は、その外形が障害釘230等を保持する保持板242の外形と略同じ大きさとされ、外周を覆い後側へ所定量延びる外套部450と、外套部450の後側開口を閉鎖すると共に矩形状で演出表示装置202と略同じ大きさの開口窓452を有した背板部454と、外套部450の外周四隅に配置され外方へ延びだし夫々に複数の挿通孔456を有したフランジ状の取付固定部458とを備えている。
このユニット支持部材320における取付固定部458は、保持板支持枠244における後面側に取付孔258が列設された四隅と対応する位置に夫々配置されていると共に、挿通孔456が取付孔258に螺合される所定のビスを挿通可能な大きさとされている。この取付固定部458を、所定のビスを介して保持板支持枠244の取付孔258に取付固定することで、ユニット支持部材320が保持板支持枠244の後面側に取付固定されるようになっている。
また、ユニット支持部材320は、遊技球演出空間308内へ供給された遊技球を遊技領域37内へ戻すことなく外部へ排出するための演出球排出通路460を更に備えている。この演出球排出通路460は、演出ユニット318における振分装置330によって遊技球演出空間308内へ振分けられた遊技球が所定の演出動作をした後に、回収舞台422によって回収されて第二受入口412に受入れられた遊技球を排出するものである。なお、本例では、この演出球排出通路460の途中に第二受入検出センサ444が配置されている(図33参照)。
本例の装飾ユニット240は、図33に示すように、振分装置330によってその排出通路358へ振分けられた遊技球を受取って遊技領域37内へ戻すことなく遊技盤5の下方へ誘導排出するための誘導排出通路462を備えている。この誘導排出通路462は、正面視において演出表示装置202の左端に略沿うように、背景装飾体312fの左側に配置されており、誘導排出通路462内を流通する遊技球が遊技者から視認できないようになっている。
この誘導排出通路462は、演出表示装置202の左端に沿う部分では、略垂直に延びるように形成されており、その垂直部分の左右の内壁面には速度抑制手段としての複数の突起464が交互に形成されている。この誘導排出通路462では、これら交互に配置された複数の突起464に遊技球が当接することで、遊技球の流下速度が上昇するのを抑制することができるようになっており、遊技球が所定以上の速度で流通するのを防止して、下流側に配置された各種部材が遊技球の衝突によって破損するのを防止することができるようになっている。
また、誘導排出通路462は、その殆んどの部分において略垂直に遊技球が流下するようにしているので、遊技球演出空間308の上方から遊技盤5の下方へ遊技球を誘導排出する誘導排出通路462の占める割合を可及的に少なくすることができ、誘導排出通路462が他の部材の邪魔にならないようになっている。
本例の誘導排出通路462は、その一部が、背景装飾体312fとユニット支持部材320とで構成されている。具体的には、図33に示すように、誘導排出通路462の背景装飾体312fの左側で略垂直に形成された部分において、その右側の内壁が背景装飾体312fと一体に形成されており、左側の内壁がユニット支持部材320に形成されている。また、それよりも下流側の誘導排出通路462は、ユニット支持部材320に形成されている。
なお、図33に示すように、誘導排出通路462には、ユニット支持部材320に固定され、誘導排出通路462の内部を流通する遊技球を検出可能な誘導排出検出センサ466が備えられている。
ところで、本例の装飾ユニット240における装飾体312及び拡散装飾部材316には、装飾ユニット240の前面側に配置される保持板242に保持されたゲート204や入賞口ユニット234等の保持板242の後面から後方に突出した部分を挿通可能、或いは、一般入賞口224や第一始動口212及び第二始動口214へ入球した遊技球を通過可能な開口部470,472が夫々対応するように形成されている(図26及び図35参照)。これら装飾体312(背景装飾体312e)及び拡散装飾部材316に夫々形成された開口部470,472内に、ゲート204や入賞口ユニット234における保持板242の後面から後方に突出した部分を挿通させることで、ゲート204や入賞口ユニット234と接続される所定の配線コードを後方へ延び出させることができるようになっていると共に、保持板242、装飾体312、及び拡散装飾部材316を透明樹脂により構成しても、ゲート204や入賞口ユニット234等の保持板242よりも後側に突出した部分を遊技者から目立ち難くすることができるようになっている。
本例の装飾ユニット240は、演出ユニット318の下部に配置された転動受舞台414が第一受入口410をカップとしたグリーンとされ、中央舞台416、誘導案内舞台418、及び反発飛翔舞台420がフェアウェイとされると共に、回収舞台422がバンカーとされている。また、各舞台414,416,418,420,422を囲むように岩を模した背景装飾体312f,312g,312hと、流水紋状の背景装飾体312eとが配置されている。そして、これらによって、岩と水に囲まれたゴルフ場のジオラマが演出空間310内に展開されており、遊技者に対して、本パチンコ機1のコンセプトを一見して認識させることができると共に、本パチンコ機1による遊技への期待感を高められるようになっている。
続いて、装飾ユニット240における演出ユニット318による遊技球の演出動作について詳細に説明する。まず、遊技領域37内に配置されたアタッカ装置270の一対の開閉部材274が開放状態の時(後述する大当り遊技状態の時)に、アタッカ装置270の大入賞口272に入球した遊技球が、その受渡口279を介して演出ユニット318における振分装置330の侵入受入口354へと受渡される。
振分装置330の侵入受入口354に受渡された遊技球Bは、図31(ア)に示すように、貯留通路356内に所定数の遊技球Bが貯留されていなければ、貯留通路356を介して案内通路332の侵入口334へと送られる。その際に、貯留通路356内に配置された侵入検出センサ382によって遊技球Bが検出されるようになっている。そして、図示するように、回転体348の遊技球収容部346が侵入口334と連通する回転位置に位置すると共に、案内通路332内に遊技球Bがなければ、貯留通路356から侵入口334を通過して案内通路332上で遊技球収容部346内に遊技球Bが収容される。
この時、案内通路332の内周には、内周壁366が備えられており、この内周壁366によって侵入口334から案内通路332内へ侵入した遊技球Bが、案内通路332の内周側へ移動するのを阻止されると共に、案内通路332及び遊技球収容部346の幅が遊技球Bの外径よりも若干大きい幅とされているので、侵入口334からは一つのみ遊技球Bが案内通路332内へ侵入する。つまり、回転体348の遊技球収容部346に遊技球Bが一つのみ収容される。
そして、遊技球収容部346内に遊技球Bを収容した状態で、この遊技球Bが第一振分口336へ振分けられる場合は、まず、同図(イ)に示すように、回転体348を平面視時計回りの方向へ約45゜回転移動させて、遊技球収容部346と第一振分口336とが互いに連通した状態とする。この第一振分口336が開口する案内通路332上の周方向位置には、第一振分口336へ向かって低くなる案内傾斜面360が形成されており、この案内傾斜面360によって遊技球Bが第一振分口336へ向かって自然と転動し、第一振分口336へ遊技球Bが振分けられることとなる。そして、第一振分口336へ振分けられた遊技球Bは、第一振分通路362を介して第一放出部396から下方へ放出されることとなる。
一方、同図(ア)に示すような遊技球収容部346内に遊技球Bを収容した状態で、第二振分口338又は第三振分口340へ遊技球を振分ける場合は、同図(エ)に示すように、回転体348を平面視反時計回りの方向へ約65゜回転移動させて、遊技球収容部346と連絡通路342とが互いに連通した状態とする。この連絡通路342はその前側端部よりも第二振分口338及び第三振分口340の配置された後側端部の方が低くなるように傾斜しており、連絡通路342の前側端部に送られた遊技球Bは、自然と後側端部へ向かって転動することとなる。なお、この連絡通路342は、案内通路332の内周壁366を貫通するように形成されており、遊技球Bが円環状の案内通路332を短絡するようにその内側を通って前側端部とは反対側の後側端部へ移動できるようになっている。
そして、図32(エ)に示すように、遊技球Bは、連絡通路342の後側端部、つまり、第二振分口338と第三振分口340との間に移動した状態となる。この状態では、回転体348の遊技球収容部346が、第二振分口338及び第三振分口340と夫々部分的に連通した状態となるが、遊技球Bが通過できるほどには何れの振分口338,340に対しても連通した状態とはならず、第二振分口338と第三振分口340との間に遊技球Bが留まった状態となる。
この同図(エ)に示すような状態から、回転体348を平面視反時計回りの方向へ約30゜回転移動させてその遊技球収容部346が第二振分口338と完全に連通した状態とすると、遊技球Bが第二振分口338へと振分けられ、第二振分口338を通って落下し第二放出部402を介し下方へ放出されることとなる(同図(オ)参照)。また、同図(エ)に示すような状態から、回転体348を平面視時計回りの方向へ約30゜回転移動させてその遊技球収容部346が第三振分口340と完全に連通した状態とすると、遊技球Bが第三振分口340へと振分けられ、第三振分口340を通って落下し第三放出部408を介し下方へ放出されることとなる(同図(カ)参照)。
なお、同図(イ)に示すように、回転体348の外周には円筒状の障壁部368が備えられているので、回転体348が回転することでこの障壁部368によって侵入口334が閉鎖され、貯留通路356内の遊技球Bが侵入口334を通過するのを阻止し、貯留通路356内に遊技球Bを留めておくことができるようになっている。
また、貯留通路356内に所定数(例えば、5個)の遊技球Bが貯留されると、貯留された左端側の遊技球Bは侵入受入口354の近傍にまで達し、それ以上遊技球Bが侵入受入口354に受入れられると、受入れられた遊技球Bは左側が低くなる排出通路358上に位置することとなり、排出通路358上を左方向へ転動して外部へ排出されることとなる。
次に、演出ユニット318における振分装置330よりも下流側での遊技球Bの演出動作について説明する。
まず、振分装置330によって第一振分口336へ振分けられた遊技球Bは、第一放出部396を介して、チューブ状の転動案内レール434(転動案内部材424)内に受取られ、遊技球演出空間308の左端を一気に下降して転動受舞台414及び中央舞台416の下側へ送られ、転動案内レール434の放出口436から反発飛翔舞台420の第一反発飛翔部438に向かって勢い良く放出される。そして、第一反発飛翔部438に向かって放出された遊技球Bは、第一反発飛翔部438を構成する高反発性部材によって、放出された方向とは逆方向(左方向)で、中央舞台416をジャンプするように飛越して転動受舞台414上へ落下するような動作をし、パチンコ機1内でダイナミックに飛び跳ねる遊技球Bを遊技者に見せることで、その動きを楽しませられるようになっている(図24中、一点鎖線で示したルート、「左ルート」という)。
一方、振分装置330によって第二振分口338へ振分けられた遊技球Bは、遊技球演出空間308の左右方向略中央に配置された第二放出部402から落下放出され、演出表示装置202の前面側を縦断するようにして中央舞台416上へ落下する(図24中、破線で示したルート、「中ルート」という)。そして、この中央舞台416へ落下した遊技球Bは、殆んど跳ねることなく中央舞台416に受取られ、誘導案内舞台418を介して転動受舞台414へ転動移動することとなる。これにより、遊技球Bは、中央舞台416上へは速い動きをし、中央舞台416から転動受舞台414までは比較的ゆっくりした動きとなり、遊技球Bに動と静の動きを付与して楽しませられるようになっている。
他方、振分装置330によって第三振分口340へ振分けられた遊技球Bは、遊技球演出空間308の中央よりも右側に配置された第三放出部408から反発飛翔舞台420の第二反発飛翔部440上に落下放出される。そして、第二反発飛翔部440に落下した遊技球Bは、その高反発性部材によって転動受舞台414の方向(左方向)へ直ちに反発飛翔することとなる(図24中、二点鎖線で示したルート、「右ルート」という)。この落下と反発飛翔による連続した動きを遊技球Bに付与することで、遊技球Bにリズミカルな動きをさせて遊技者を楽しませられるようになっている。なお、第二反発飛翔部440には曲面部が備えられているので、遊技球Bが落下する位置によって反発飛翔する方向や位置が異なるようになっており、遊技球Bの落下具合によってランダムに飛び跳ねる遊技球Bの動きを楽しませられるようになっている。
なお、反発飛翔舞台420(第一反発飛翔部438及び第二反発飛翔部440)から反発飛翔された遊技球が、転動受舞台414の左側へ飛ぶほど転動受舞台414上での転動が強くなり、転動受舞台414の右側に配置された反上り部428から中央舞台416へ向かってジャンプすることとなり、ジャンプした遊技球Bが中央舞台416に乗るか、はたまた回収舞台422へ転落してしまうかで、遊技者を楽しませられるようになっている。
ところで、パチンコ機1はパチンコ島設備に背向で列設されているため、演出表示装置202、電源基板131等から発する熱によってパチンコ島設備内の温度が高くなっている。この熱が、例えば遊技の進行を制御する主制御基板94に備えたマイクロプロセッサである主制御MPU504に伝わり、この主制御MPU504の動作温度の上限温度まで上がると、主制御MPU504が誤動作(熱暴走)したり、チップの接合部温度がジャンクション温度まで上がると、壊れたりする。そうすると、遊技者は遊技の中断を余儀なくされ、遊技者に不快な思いさせてしまうこととなる。このため、パチンコ機1に取り付ける部材には発熱をともなうものをできるだけ抑え、パチンコ島設備の温度上昇を抑制する必要がある。
本実施形態では、振分装置330には振分モータ350が1台のみ備えており、この振分モータ350の回転方向を制御することで複数の振分口である、第一振分口336、第二振分口338及び第三振分口340のうちいずれか1つの振分口に振り分けることができる。これにより、第一振分口336、第二振分口338及び第三振分口340に振り分けるための振分モータをそれぞれ設ける場合に比べて振分モータの発熱を抑えることができ、パチンコ島設備の温度上昇の抑制に寄与することができる。
[遊技盤の特徴について]
図36乃至図39に基づいて説明する。図36(A)は発光手段等を点灯させた状態で遊技盤を正面から写した図面代用写真であり、(B)は発光手段等を消灯させた状態で遊技盤を正面から写した図面代用写真である。図37(A)は遊技盤のロゴ装飾体付近を斜め横から写した図面代用写真であり、(B)は遊技盤の一部を上方から写した図面代用写真である。図38(A)は本発明に係る遊技盤を正面から写した図面代用写真であり、(B)は従来の遊技盤を正面から写した図面代用写真である。図39(A)は本発明に係る遊技盤を左斜め前から写した図面代用写真であり、(B)は従来の遊技盤を左斜め前から写した図面代用写真である。
ところで、図38(B)及び図39(B)に示すように、従来のパチンコ機における遊技盤は、所定厚さの木製合板からなり前面側に所定のゲージ配列で障害釘が植設される遊技盤ベースと、遊技盤ベースの前側に固定され遊技領域の外周を区画形成すると共に遊技領域内に打ち込まれる遊技球を案内する案内レールを有した前構成部材とを備えている。この遊技盤ベースには前後方向に貫通する貫通孔が形成されており、遊技盤ベースの前側から枠状の中央役物が貫通孔に固定されていると共に、中央役物の枠内を通して遊技盤ベースの後側に固定された演出表示装置の表示画面が遊技者から視認できるようになっている。このように、従来の遊技盤が構成されているので、中央役物の枠内においては、遊技盤ベースの前面よりも後側へ延びる空間を形成することができ、演出表示装置までの間の空間内で、ステージ等の役物や立体的に造形された装飾体を配置して、遊技盤が平面的なものとなるのを防止するようにしていた。
そして、従来の遊技盤に対して差別化を図るためには、演出表示装置をより大型のもの、つまり、より枠の大きい中央役物を遊技盤ベースに取付けることが考えられる。しかしながら、中央役物を大型化すると、その周りに形成される遊技領域が相対的に小さくなるので、遊技球の流下する範囲が狭くなり、遊技球の動きの変化が乏しくなって、遊技球の動きを楽しむことができなくなり、遊技に対する興趣を低下させてしまう恐れがある。
本例の遊技盤5は、上述した構成としているので、図36乃至図39に示すように、障害釘230等を保持する透明な保持板242の後側に配置された装飾ユニット240の立体的に造形された装飾体312等を視認することができ、遊技盤5全体が奥行きのあるものとなり、遊技者に対して、一見して従来の遊技盤と違った印象を与えることができると共に、種々のパチンコ機が設置されるホールの島設備(パチンコ島設備)において、本実施形態のパチンコ機1のより目立たせて遊技者の関心を強く引き付けることができるようになっている。
詳述すると、図38(B)及び図39(B)に示すように、従来の遊技盤では、障害釘が植設される遊技盤ベースの前面に、そのパチンコ機を特徴付ける所定の図柄が施されているが、その図柄は遊技盤の正面から見た時に立体的に見えるように描かれており(図38(B)参照)、遊技盤を正面以外の例えば横から見ると、図39(B)に示すように、その図柄が立体的には見えず平面上に施された図柄であることが、一見して判別できるものとなっていた。そして、従来の遊技盤は、どれもこのような構成となっており、遊技者にとっては、見慣れた周知のものであった。
しかしながら、本例のパチンコ機1における遊技盤5は、障害釘230を保持する保持板242を透明な部材とし、その後側に配置された装飾体312等を立体的に造形した部材としているので、図36乃至図39に示すように、どの角度から遊技盤5を見ても、そこに見える装飾体312が立体的に見え、奥行きがあり深みのある遊技盤5となっており、従来の遊技盤とは一見して明らかに異なる印象を与えられるようになっている。また、障害釘230を保持する保持板242が透明とされているので、遊技者からは保持板242が殆ど見えず、図37等に示すように、障害釘230が、立体的に造形された装飾体312の表面に植設されているように見せることができ、従来の遊技盤とは全く違った態様の遊技盤5となっている。そして、これらにより、従来の遊技盤に見慣れた遊技者にとっては、全く未見の遊技盤5となっており、遊技者の関心を強く引き付けて本例のパチンコ機1で遊技させることができるようになっている。
また、本例の遊技盤5は、装飾体312の後側に拡散装飾部材316を配置した上で、更にその後側に発光手段314を配置しており、装飾体312(背景装飾体312e)及び拡散装飾部材316を透明な部材として多層構造としているので、夫々の部材が奥行き方向に配置されているのが視認でき、より深みのある装飾となっている。また、最も後側に配置された発光手段314を、点状に発光させており、面状に発光させた場合と比較して発光手段314の前後方向の位置を認識させ易くすることができるので、拡散装飾部材316の更に後側の所定距離はなれた位置に発光手段314が配置されているのを認識させることができ、より深みを増させて奥行き感の強い遊技盤5となっている。このことは、図36の(A)と(B)とを比較することでも判るように、発光手段314を発光させることで、奥行き感が高められている。
更に、従来の遊技機では障害釘が植設された遊技盤ベースに施された図柄を発光させることができなかったが、本例の遊技盤5では、図示するように、障害釘230を保持する保持板242を透明な部材として、その後側に配置された発光可能な装飾ユニット240の装飾体312を配置しているので、障害釘230が保持された部分も発光装飾することができ、これまでにない、遊技盤5として遊技者の関心を引き付けることができるようになっている。
また、図37(B)に示すように、遊技盤5内に、ゴルフ場をイメージした大型のジオラマが備えられており、本パチンコ機1のコンセプトに係る舞台設定が一見して認識できるようになっていると共に、ジオラマ内のグリーン(転動受舞台414)上に備えられたカップ(第一受入口410)が目立つように配置されているので、そのカップ内に遊技球を受入れさせると、遊技者にとって良いこと(本例では、高確率状態の制御が実行されている可能性が高い特別モード2に制御される)があるのを想起させることができ、パチンコ機1の遊技に対する期待感を高められるようになっている。
[主基板及び周辺基板の機能的な構成について]
図40に基づいて説明する。図40は、パチンコ機の制御構成を概略的に示すブロック図である。
パチンコ機1の制御は、大きく分けて主基板500のグループと周辺基板502のグループとで分担されており、このうち主基板500のグループが遊技動作(入賞検出や当り判定、特別図柄表示、賞球払出等)を制御しており、周辺基板502のグループが演出動作(発光装飾や音響出力、液晶表示等)を制御している。
主基板500は、主制御基板94および払出制御基板133により構成されている。主制御基板94は、図示するように、マイクロプロセッサとしての主制御MPU504と、入出力デバイス(I/Oデバイス)としての主制御I/Oポート506と、を備えている。主制御MPU504には、各種処理プログラムや各種コマンドを記憶するROMと、一時的にデータを記憶するRAMと、が内蔵されている。また、不正を防止するための機能も内蔵されている。
主制御I/Oポート506を介して、カウントセンサ278、第一始動口センサ216、第二始動口センサ218、ゲートセンサ206、各一般入賞口センサ226、全入賞口入賞数計数センサ508、磁気検知センサ510、球排出センサ248等からの検出信号がそれぞれ入力されるようになっている。
なお、全入賞口入賞数計数センサ508は、具体的な配置位置については省略するが、遊技領域37に設けられた複数種類の入賞口(この例では、一般入賞口224、第一始動口212、第二始動口214、および大入賞口272)に入球した全ての遊技球を検出するセンサであり、この全入賞口入賞数計数センサ508によって遊技球が検出されたことに基づいて入球した遊技球の球数を、主制御MPU504によって計数するようになっている。また、磁気検知センサ510は、遊技盤5の後面側であって、遊技領域37における第一始動口212及び第二始動口214の近傍に設けられ、磁気変化を検出するものである。すなわち、磁気検知センサ510は、磁石等を用いて遊技球を第一始動口212及び第二始動口214に不正に入球させる不正行為がなされたことを検出するセンサであり、この磁気検知センサ510によって磁気が変化したことを検出すると、主制御MPU504によって不正がなされたことを報知する処理を行うようになっている。
また、主制御MPU504は、上記した検出信号にもとづき、主制御I/Oポート506を介して始動口ソレノイド220、アタッカソレノイド276、特別図柄表示器302、特別図柄保留表示器304、状態表示器306、普通図柄表示器322、普通図柄保留表示器324、を駆動する駆動信号を出力する。
主制御基板94と払出制御基板133との基板間では、互いに、つまり双方向に各種コマンドがやり取りされ、主制御基板94と周辺制御基板92との基板間では、主制御基板94から周辺制御基板92へ、つまり一方向に各種コマンドが出力されている。
払出制御基板133は、図示するように、マイクロプロセッサとしての払出制御MPU512と、I/Oデバイスとしての払出制御I/Oポート514と、を備えている。払出制御MPU512には、各種処理プログラムや各種コマンドを記憶するROMと、一時的にデータを記憶するRAMと、が内蔵されている。また、不正を防止するための機能も内蔵されている。
主制御基板94から出力された球払出装置125(払出用モータ126)を駆動するコマンドは払出制御I/Oポート514を介して入力され、払出制御MPU512は、このコマンドにもとづき、払出制御I/Oポート514を介して球払出装置125の払出用モータ126を駆動する駆動信号を出力する。これにより、球払出装置125は、所定数の賞球を払い出す。なお、払出制御MPU512は、図示しないプリペイドカードユニットから貸球要求信号が入力されると、貸球を払い出す。また、払出制御MPU512は、主制御基板94から出力された異常発生時(例えば、磁気検知センサ510により磁気変化を検出した)のコマンドが払出制御I/Oポート514を介して入力されると、このコマンドにもとづいて発射装置ユニット130における発射モータ128の駆動を停止する駆動停止信号を、払出制御I/Oポート514を介して出力する。これにより、発射モータ128は、異常発生時にその駆動が停止されるようになっている。
周辺基板502は、周辺制御基板92により構成されており、この周辺制御基板92は、図示するように、マイクロプロセッサとしてのサブ統合MPU520と、各種処理プログラムや各種コマンドを記憶するサブ統合ROM522と、高音質の演奏を行う音源IC524と、この音源IC524が参照する音楽および効果音等の音情報が記憶されている音源ROM526、を備えている。
サブ統合MPU520は、主制御基板94からコマンドを受け取ると、このコマンドにもとづいて表示演出に関する表示コマンドを作成し、液晶制御基板528に出力する。液晶制御基板528は、サブ統合MPU520から出力された表示コマンドに応じてLCDからなる演出表示装置202を制御して装飾図柄の変動表示、キャラクタ等の画像表示等を行う。
また、サブ統合MPU520は、パラレル入出力ポートやシリアル入出力ポート等を内蔵しており、主制御基板94からコマンドを受け取ると、このコマンドにもとづいて、演出に関する演出コマンドを作成し、この演出コマンドを、パラレル入出力ポートから音源IC524に出力する。音源IC524は、サブ統合MPU520から出力された演出コマンドに応じて、音源ROM526から音情報を読み込み、上述したスピーカ18,57から各種演出に合わせた音楽および効果音等が出るような制御を行う。また、サブ統合MPU520は、演出コマンドに合わせて、前面枠4に配置されたサイド装飾装置52等の装飾ランプ530を駆動する駆動データを出力する。
また、サブ統合MPU520は、演出コマンドに合わせて、シリアル入出力ポートからランプ駆動基板532に、遊技盤5に配置された各種発光手段314に搭載されるLEDを点灯/消灯(ON/OFF)するON/OFFデータと、振分モータ350を駆動する駆動データと、を出力する。
また、振分モータ350の回転位置を検出する回転位置検出センサ384、侵入検出センサ382、誘導排出検出センサ466、第一受入検出センサ442、第二受入検出センサ444、等からの検出信号は、ランプ駆動基板532を介して周辺制御基板92に入力される。サブ統合MPU520は、回転位置検出センサ384、侵入検出センサ382、誘導排出検出センサ466、第一受入検出センサ442、第二受入検出センサ444からの検出信号が入力されると、振分モータ350、液晶制御基板528等に制御信号を出力する。
このように本実施形態では、特別図柄を変動表示する特別図柄表示器302を主基板500に搭載される主制御MPU504で制御する一方、演出表示装置202、装飾ランプ530、各種発光手段314等を周辺基板502に搭載されるサブ統合MPU520で制御するようになっている。このため、主基板500(主制御MPU504)の制御負担を軽減することができるとともに、周辺基板502(サブ統合MPU520)の制御によって演出表示装置202や装飾ユニット240等によって多彩な演出を実行することができ、演出に対する興趣が低下するのを防止することができるようになっている。
[ランプ駆動基板について]
次に、ランプ駆動基板532について説明する。図41はランプ駆動基板のブロック図である。ランプ駆動基板532は、上述した周辺制御基板92からシリアル出力されたランプデータ及び駆動データに基づいて発光手段314を階調点灯する階調点灯信号を出力したり、振分モータ350を励磁して駆動する励磁信号を出力したりする。まず、ランプ駆動基板532の構成について説明し、ランプ駆動基板532に入力される各種信号について説明し、発光手段314の階調制御を行うランプ制御部について説明し、続いて振分モータ350の駆動制御を行うシリアルパラレル変換部について説明する。
[ランプ駆動基板の構成について]
ランプ駆動基板532は、図41に示すように、ランプ制御部532a、シリアルパラレル変換部532bを備えて構成されている。ランプ制御部532aは、発光手段314の階調制御を行う。シリアルパラレル変換部532bは、振分モータ350の駆動制御を行う。
[ランプ駆動基板に入力される各種信号について]
ランプ駆動基板532は、図41に示すように、ランプ制御部532aには転送クロックLP−CLK、ランプデータLP−DAT、ラッチ信号LP−LAT及びMODE信号が入力されており、一方、シリアルパラレル変換部532bには転送クロックMT−CLK、駆動データMT−DAT及びラッチ信号MT−LATが入力されている。
周辺制御基板92のサブ統合MPU520には、ランプ用シリアル出力送信ポート520a、振分モータ用シリアル出力送信ポート520b、パラレル出力ポート(以下、単に「出力ポート」と記載する。)520c、及びパラレル入力ポート(以下、単に「入力ポート」と記載する。)520d等が内蔵されている。ランプ用シリアル出力送信ポート520aは、転送クロックLP−CLKと同期してランプデータLP−DATをランプ制御部532aに1ビットずつ出力(シリアル出力)する。振分モータ用シリアル出力送信ポート520bは、転送クロックMT−CLKと同期して駆動データMT−DATをシリアルパラレル変換部532bにシリアル出力する。出力ポート520cは、ラッチ信号LP−LAT及びMODE信号をランプ制御部532aに出力したり、ラッチ信号MT−LATをシリアルパラレル変換部532bに出力したりする。なお、入力ポート520dには振分モータ350の原位置を検出する回転位置検出センサ384からの検出信号RT−SENがランプ駆動基板532を介して入力されている。
[ランプ制御部について]
ランプ制御部532aは、図示しない階調制御ICを複数備えている。これらの階調制御ICはデイジーチェーン接続されており、図示しない外付け抵抗がそれぞれ1つ接続されている。階調制御ICは、外付け抵抗により出力する最大電流が決まり、この最大出力電流を、0〜127、つまり128段階で出力する出力電流を設定することができる。本実施形態では、階調制御ICとしてテキサス・インスツルメント(TI)製のTLC5922を用いている。このTLC5922には16チャンネルの出力があり、各出力チャンネルは個別のON/OFF制御に加え、チャンネルごとに、0〜80ミリアンペア(mA)の範囲でプログラム可能な定電流を流すことができる(これらの設定はMODE信号に基づいて行われる)。また、1個の外付け抵抗により最大出力電流を設定し、この最大出力電流に対して、0〜127の128段階で出力電流を、チャンネルごとに出力することができる。
階調制御ICは、周辺制御基板92からシリアル出力されたランプデータLP−DATを取り込み、ラッチ信号LP−LATが入力されると、これを契機として取り込んだランプデータLP−DATに基づいて発光手段314に階調点灯信号を出力する。この階調点灯信号は、設定された階調データに基づいて最大出力電流に対して0〜127段階の出力電流が出力されている。
[シリアルパラレル変換部について]
シリアルパラレル変換部532bは、周辺制御基板92からシリアル出力された駆動データMT−DATを取り込み、ラッチ信号MT−LATが入力されると、これを契機として取り込んだ駆動データMT−DATに基づいて振分モータ350の各相(φ1,φ2,φ3,φ4)に駆動信号(励磁信号)を出力する
振分モータ350の駆動軸374には、上述したように、回転体348が接続されており、振分モータ350の駆動軸374が回転し、回転体348の検出部372に形成されたスリット370が回転位置検出センサ384によって検出されると、回転体348の現在位置が図31(ア)に示した回転体348の原位置となる。
[遊技内容について]
次に、上述したパチンコ機1によって実現される遊技内容について詳細に説明する。図2及び図9等に示すように、遊技者が操作ハンドル32を操作することによりパチンコ機1の裏面側に設けられる発射装置ユニット130によって遊技球が打ち出される。発射装置ユニット130から打ち出された遊技球は、発射レール19及び案内レール78の外レール76と内レール77とによって囲まれる領域を通って遊技領域37の上部に放出され、遊技領域37を障害釘230等に衝突しながらアウト口228に向かって流下する。そして、遊技領域37を流下する遊技球がゲート204を通過し、ゲートセンサ206によって検出されると、普通図柄表示器322で普通図柄の変動表示が開始される。
なお、ゲートセンサ206により遊技球が検出されると、所定範囲の普通図柄当り判定用乱数を更新するカウンタから普通図柄当り判定用乱数を抽出する。そして、普通図柄表示器322にて普通図柄の変動表示を開始するときに、普通図柄当り判定用乱数にもとづいて当りとするか否かの判定を行い、変動表示の結果、判定結果に応じた態様でLEDを停止表示する。具体的には、当りと判定された場合には、普通図柄表示器322の上側のLEDを点灯した状態で普通図柄の変動表示を停止させ、はずれと判定された場合には、普通図柄表示器322の下側のLEDを点灯した状態で普通図柄の変動表示を停止させる。
また、普通図柄表示器322にて普通図柄の変動表示を実行中、および、普通図柄表示器322の表示結果が当りとなったことにもとづいて可変入賞球装置210を開閉制御しているときに遊技球がゲート204を通過し、ゲートセンサ206により遊技球が検出されたことにもとづいて抽出された普通図柄当り判定用乱数は、所定個数(この実施の形態では、4個)まで記憶可能とされ、記憶される普通図柄当り判定用乱数の個数(普図保留記憶数)は普通図柄保留表示器324によって表示される。上述したように、普通図柄保留表示器324は、2個のLEDによって構成される。この例では、上側のLEDを点灯させることにより普図保留記憶数が1であることを示し、上下2個のLEDを点灯させることにより普図保留記憶数が2であることを示し、上側のLEDを点滅させて下側のLEDを点灯させることにより普図保留記憶数が3であることを示し、上下2つのLEDを点滅させることにより普図保留記憶数が4であることを示す。
また、普通図柄表示器322における普通図柄の変動表示は、所定期間経過後に停止し、停止時の普通図柄の表示結果が「当り」となったときに可変入賞球装置210を所定時間(例えば、0.5秒)開放状態に制御する。一方、普通図柄表示器322の表示結果が「はずれ」となった場合には、可変入賞球装置210を開放状態に制御することなく第二始動口214に遊技球を入球困難な閉鎖状態を維持するが、第一始動口212は遊技球を入球可能な状態となっている。
すなわち、第二始動口214は、普通図柄表示器322に当りとなる表示結果が停止表示されたときに所定時間(例えば、0.5秒)開放状態に制御される。具体的には、普通図柄表示器322に当りとなる表示結果が停止表示されたことにもとづいて始動口ソレノイド220を可動して可動片222を回動し、可変入賞球装置210を開放状態に制御する。そして、所定期間経過したときに再び始動口ソレノイド220を可動して可動片222を回動し、可変入賞球装置210を閉鎖状態に制御する。可変入賞球装置210を開放状態に制御することにより第二始動口214に遊技球を入球可能な状態になり、可変入賞球装置210を閉鎖状態に制御することにより遊技球を入球困難な状態になる。
また、遊技領域37を流下する遊技球が第一始動口212、又は、第二始動口214に入球すると、特別図柄表示器302にて特別図柄の変動表示を開始可能な状態(例えば、大当り遊技中でない状態、および、特別図柄および装飾図柄の変動表示中でない状態)であれば、特別図柄表示器302にて特別図柄の変動表示を開始するとともに、演出表示装置202にて所定の装飾図柄の変動表示を開始し、所定期間経過後に特別図柄表示器302における特別図柄の変動表示、および、演出表示装置202における装飾図柄の変動表示を停止して表示結果を導出する。
なお、本実施形態では、特別図柄の変動表示が許可される入賞口として、可変入賞球装置210に設けられる第一始動口212及び第二始動口214の2つの始動口が設けられているが、可変入賞球装置210に設けられる始動口の設置個数はこれらに限られず、例えば、第一始動口212又は第二始動口214の何れか一方のみ設ける構成であってもよい。また、第一始動口212に遊技球が入球して第一始動口センサ216によって検出されたこと、及び、第二始動口214に遊技球が入球して第二始動口センサ218によって検出されたことにもとづいて所定数(例えば、3個)の遊技球の払い出しが行われる。
また、第一始動口212に遊技球が入球し、第一始動口センサ216によって遊技球が検出されたときと、第二始動口214に遊技球が入球し、第二始動口センサ218によって遊技球が検出された時と、で異なる個数の遊技球を払い出すようにしてもよい。例えば、第一始動口212に遊技球が入球し、第一始動口センサ216によって遊技球が検出された時に3個の遊技球を払い出し、第二始動口214に遊技球が入球し、第二始動口センサ218によって遊技球が検出された時に4個の遊技球を払い出すようにしてもよい。
また、第一始動口センサ216及び第二始動口センサ218により遊技球が検出されると、所定範囲の当り判定用乱数を更新するカウンタから当り判定用乱数を抽出する。また、特別図柄表示器302にて特別図柄の変動表示を開始するとき(及び、演出表示装置202にて装飾図柄の変動表示を開始するとき)に、当り判定用乱数に基づいて当り(15R大当り、2R大当り、小当り)とするか否かの判定を行い、変動表示の結果、判定結果に応じた態様で特別図柄表示器302のLEDを点灯制御するとともに、演出表示装置202に装飾図柄を導出表示する。具体的には、当り(15R大当り、2R大当り、小当り)とする判定がなされた場合には、特別図柄表示器302の4個のLEDを特定の態様で点灯表示するとともに、演出表示装置202に装飾図柄の特定表示結果を導出表示する。一方、はずれと判定された場合には、特別図柄表示器302の4個のLEDを特定の態様とは異なる態様(はずれ図柄)で点灯表示するとともに、演出表示装置202にはずれ状態となる表示結果(はずれ図柄:非特定表示結果、この実施の形態では、少なくとも2種類以上の識別情報(図柄)の組み合わせ)を導出表示する。このように、特別図柄表示器302における特別図柄の表示結果と、演出表示装置202における装飾図柄の表示結果と対応している。
また、演出表示装置202にて変動表示される装飾図柄は特別図柄表示器302にて変動表示される特別図柄とは異なる演出用の図柄であり、特別図柄表示器302にて行われる変動表示の内容を、演出用の装飾図柄を用いてより演出効果を高めて遊技者に表示するものである。つまり、特別図柄表示器302の4個のLEDを特定の態様で点灯表示した場合には大当り遊技状態(15R大当り遊技状態、2R大当り遊技状態)または小当り遊技状態に移行制御するが、万が一、演出表示装置202にて装飾図柄の表示結果が特定表示結果となっても特別図柄表示器302の4個のLEDを特定の態様とは異なる態様で点灯表示した場合には大当り遊技状態および小当り遊技状態に移行制御されないようになっている。
更に、この実施の形態では、特別図柄表示器302の4個のLEDによって点灯表示する特定の態様は、特別態様(確変図柄)と、特別態様とは異なる非特別態様(非確変図柄)と、特殊態様(小当り図柄)を含み、さらに、特別態様(確変図柄)には、高利益特別態様(15R確変図柄)と、低利益特別態様(2R確変図柄)と、を含み、非特別態様(非確変図柄)には、低利益非特別態様(2R非確変図柄)を含むものとなっている。
そして、特別図柄表示器302の4個のLEDを特定の態様のうち高利益特別態様(15R確変図柄)で点灯表示する場合には、演出表示装置202に装飾図柄の表示結果として特定表示結果のうち高利益特別表示結果(15R確変図柄:この実施の形態では、同一の図柄の組み合わせ)を導出表示し、特別図柄表示器302の4個のLEDを特定の態様のうち低利益特別態様(2R確変図柄)で点灯表示する場合には、演出表示装置202に装飾図柄の表示結果として特定表示結果のうち低利益特別表示結果(2R確変図柄(はずれ図柄のうち予め定められた装飾図柄の組み合わせ):この実施の形態では、「1」と「2」と「3」を含む図柄の組み合わせ、例えば、「213」等)を導出表示するようになっている。
また、特別図柄表示器302の4個のLEDを特定の態様のうち低利益非特別態様(2R非確変図柄)で点灯表示する場合には、演出表示装置202に装飾図柄の表示結果として特定表示結果のうち低利益非特別表示結果(2R非確変図柄(はずれ図柄のうち予め定められた装飾図柄の組み合わせ):この実施の形態では、2R確変図柄と同様に「1」と「2」と「3」を含む図柄の組み合わせ、例えば、「213」等)を導出表示し、特別図柄表示器302の4個のLEDを特定の態様のうち特殊態様(小当り図柄)で点灯表示する場合には、演出表示装置202に装飾図柄の表示結果として特定表示結果のうち特殊表示結果(小当り図柄(はずれ図柄のうち予め定められた装飾図柄の組み合わせ):この実施の形態では、2R確変図柄及び2R非確変図柄と同様に「1」と「2」と「3」を含む図柄の組み合わせ、例えば、「213」等)を導出表示するようになっている。
この実施の形態では、特別図柄表示器302に低利益特別態様が導出表示されるときに演出表示装置202に導出表示される低利益特別表示結果と、特別図柄表示器302に低利益非特別態様が導出表示されるときに演出表示装置202に導出表示される低利益非特別表示結果と、特別図柄表示器302に特殊態様が導出表示されるときに演出表示装置202に導出表示される特殊表示結果と、を同一の図柄の組み合わせ(「1」と「2」と「3」を含む図柄の組み合わせ、例えば、「213」等)としている。そのため、演出表示装置202を視認している遊技者にとっては、小当り遊技状態であるか2R大当り遊技状態であるを把握することが困難になるとともに、2R確変大当りであるか非2R確変大当りであるかを把握することが困難になる。
特別図柄表示器302の4個のLEDを特別態様(高利益特別態様および低利益特別態様)で点灯表示した場合には、大当り遊技状態に制御し、該大当り遊技状態終了後に通常状態よりも高い確率(この例では、通常状態の10倍の確率)で大当りと判定される高確率状態(この実施の形態では、高確率状態では、31.925分の1の確率で大当りと判定、通常状態では、319.25分の1の確率で大当りと判定)に制御するようになっている。一方、特別図柄表示器302の4個のLEDを非特別態様(低利益非特別態様)で点灯表示した場合には、高確率状態に制御しない。
また、特別図柄表示器302の4個のLEDを特別態様(高利益特別態様、低利益特別態様)及び非特別態様(低利益非特別態様)で点灯表示して大当り遊技状態に制御した場合には、後述する所定条件が成立していることを条件に、大当り遊技状態終了後に特別図柄の変動表示を開始してから特別図柄を停止表示するまでの変動時間と、普通図柄表示器322により普通図柄の変動表示を開始してから普通図柄を停止表示するまでの変動時間と、を通常状態よりも短縮する時短状態に制御するようになっている。
なお、演出表示装置202による装飾図柄の変動表示は特別図柄表示器302による特別図柄の変動表示と同期している。具体的には、特別図柄表示器302により特別図柄の変動表示を開始するときに演出表示装置202により装飾図柄の変動表示を開始し、特別図柄表示器302により特別図柄を停止表示(特別図柄の表示結果を導出表示)するときに演出表示装置202により装飾図柄を停止表示(装飾図柄の表示結果を導出表示)する。すなわち、特別図柄表示器302による特別図柄の変動時間と、演出表示装置202による装飾図柄の変動時間とは同一の時間とされ、時短状態において特別図柄表示器302による特別図柄の変動時間が短縮されることに伴って演出表示装置202による装飾図柄の変動時間も短縮されるようになっている。
また、時短状態では、さらに、第二始動口214が開放状態にされる開放時間を通常状態よりも延長する制御(この実施の形態では、通常状態では0.5秒、時短状態では5秒)と、普通図柄表示器322における普通図柄の変動表示の結果が当り(この実施の形態では、普通図柄表示器322の上側のLEDを点灯表示)となる確率を高める制御と、が実行される。なお、通常状態とは、高確率状態および時短状態とは異なる遊技状態のことである。
また、時短状態の制御は、上記高確率状態の制御と並行して実行される場合がある。この場合には、大当りと判定される確率が通常状態よりも高められるとともに、時短状態の制御が実行されるため遊技者に極めて有利な状態である。一方、時短状態の制御が上記高確率状態の制御と並行して実行されない場合には、大当りと判定される確率は通常状態と同一であるが、時短状態の制御が実行されるため通常状態よりも遊技者に有利な状態である。このように、この実施の形態では、時短状態として高確率状態の制御が並行して実行される高確率時短状態と、高確率状態の制御が並行して実行されない低確率時短状態と、の一方に制御する。
また、高確率状態の制御が実行されているときに上記時短状態の制御が並行して実行されない場合には、時短状態の制御は実行されないが、大当りと判定される確率が通常状態よりも高められるため遊技者に有利な状態である。このように、この実施の形態では、高確率状態として時短状態の制御が並行して実行される高確率時短状態と、時短状態の制御が並行して実行されない高確率非時短状態と、の一方に制御する。なお、上記低確率時短状態では、大当りと判定される確率が通常状態と同一であるため、低確率時短状態と通常状態とを総称して低確率状態と呼ぶことがある。
この実施の形態では、特別図柄表示器302の4個のLEDを高利益特別態様(15R確変図柄)で点灯表示した場合には、大当り遊技状態の終了後に高確率時短状態に制御する。また、特別図柄表示器302の4個のLEDを低利益特別態様で点灯表示した場合には、遊技状態に応じて高確率時短状態に制御する場合と、高確率非時短状態に制御する場合と、がある。具体的には、大当り遊技状態を終了するときに後述する時短状態の終了条件が成立しているか否かを判別し、時短状態の終了条件が成立していなければ高確率時短状態に制御し、時短状態の終了条件が成立していれば高確率非時短状態に制御する。
また、特別図柄表示器302の4個のLEDを低利益非特別態様(2R非確変図柄)で点灯表示した場合には、遊技状態に応じて低確率時短状態に制御する場合と、通常状態に制御する場合と、がある。具体的には、大当り遊技状態を終了するときに後述する時短状態の終了条件が成立しているか否かを判別し、時短状態の終了条件が成立していなければ低確率時短状態に制御し、時短状態の終了条件が成立していれば通常状態に制御する。また、この実施の形態では、特別図柄表示器302の4個のLEDを低利益非特別態様(2R非確変図柄)で点灯表示したことに基づいて大当り遊技状態終了後に低確率時短状態に制御した場合には、特別図柄表示器302で所定回数(この例では100回)の特別図柄の変動表示が実行されたときに時短終了条件が成立したと判断し、低確率時短状態の制御を終了して通常状態に移行制御する。
また、上記低利益特別態様(2R確変図柄)には、第1低利益特別態様(2R確変図柄A)と、第2低利益特別態様(2R確変図柄B)と、を含み、特別図柄表示器302の4個のLEDを第2低利益特別態様(2R確変図柄B)で点灯表示したことに基づいて大当り終了後に高確率時短状態に制御した場合には、特別図柄表示器302で所定回数(この例では100回)の特別図柄の変動表示が実行されたとき(時短終了条件が成立したとき)に高確率時短状態の制御を終了して高確率非時短状態に移行制御する。このように、第1低利益特別態様は、第2低利益特別態様よりも遊技者に有利な態様である。
なお、上述した例に限らず、時短状態(高確率時短状態、低確率時短状態)では、特別図柄表示器302および演出表示装置202における特別図柄および装飾図柄の変動時間を通常状態よりも短縮する制御、普通図柄表示器322における普通図柄の変動時間を通常状態よりも短縮する制御、普通図柄表示器322における普通図柄の変動表示の結果が当りとなる確率を通常状態よりも高める制御、可変入賞球装置210が開放状態にされる開放時間を通常状態よりも延長する制御、可変入賞球装置210が開放状態にされる回数を通常状態よりも増加する制御、のうち何れか一つ、又は、任意の組み合わせ(全部でもよい)を実行するようにしてもよい。
また、特別図柄表示器302の4個のLEDを特殊態様(小当り図柄)で点灯表示した場合には、小当り遊技状態に制御する。そして、小当り遊技状態の終了後には、小当り遊技状態を開始する以前の遊技状態を継続させる。具体的には、小当り遊技状態を開始する以前に高確率状態の制御が実行されていれば小当り遊技状態の終了後にも高確率状態の制御が実行され、小当り遊技状態を開始する以前に時短状態の制御が実行されている場合に上記時短終了条件が成立していなければ小当り遊技状態の終了後に時短状態の制御が実行される。例えば、遊技状態が上記高確率時短状態である場合に小当りとなったときに時短終了条件が成立していなければ小当り遊技状態終了後に高確率時短状態に制御し、時短終了条件が成立していれば(100回目の特別図柄の変動表示で小当りとなった場合には)小当り遊技状態終了後に高確率非時短状態に制御する。すなわち、小当り遊技状態は、大当り遊技状態とは異なり、遊技状態の変化に直接起因するものではなく、単に賞球の払い出しを得る機会を与えるものである。
また、本例では、演出表示装置202の3つの表示領域に対応する左・中・右の装飾図柄(図36乃至図39参照)は、左装飾図柄→右装飾図柄→中装飾図柄の順に停止するように制御されるようになっている。この装飾図柄の停止図柄とは、左・中・右の装飾図柄の変動表示を開始してから中装飾図柄が停止表示されることにより左・中・右の装飾図柄全てが停止表示された状態の図柄の組み合わせをいう。なお、この例では、中装飾図柄の変動表示が停止していない状態で、左装飾図柄と右装飾図柄が同一の図柄で停止した状態をリーチ又はリーチ状態と呼び、リーチ状態(リーチ)となってから中装飾図柄を停止表示するまでに演出表示装置202で実行される演出表示をリーチ演出と呼ぶ。
また、特別図柄表示器302にて特別図柄の変動表示を実行中、または、大当り遊技状態(15R大当り遊技状態、2R大当り遊技状態)及び小当り遊技状態の実行中、に第一始動口212又は第二始動口214に遊技球が入球し、第一始動口センサ216又は第二始動口センサ218により遊技球が検出された(所定条件成立)ことに基づいて抽出された当り判定用乱数は、所定個数(この実施の形態では、4個)まで記憶可能とされ、記憶される当り判定用乱数の個数(特図保留記憶数)は、特別図柄保留表示器304によって表示される。上述したように、特別図柄保留表示器304は、4つのLEDによって構成される。この例では、1個のLEDを点灯させることにより特図保留記憶数が1であることを示し、2個のLEDを点灯させることにより特図保留記憶数が2であることを示し、3個のLEDを点灯させることにより特図保留記憶数が3であることを示し、4個のLEDを点灯させることにより特図保留記憶数が4であることを示す。このように、特別図柄保留表示器304は、所定条件が成立(第一始動口212又は第二始動口214に遊技球が入球)したが未だ特別図柄の変動表示が開始されていない記憶数(特図保留記憶数)を表示するものである。
本例では、特別図柄表示器302の4個のLEDを特定の態様で点灯表示したことに基づく大当り遊技状態及び小当り遊技状態では、アタッカソレノイド276により大入賞口272の左右両側に配置する開閉部材274を回動して大入賞口272に遊技球を入球可能な開放状態に制御するようになっている。なお、特別図柄表示器302の4個のLEDを特定の態様のうち高利益特別態様で点灯表示したときには、15R大当り遊技状態に制御し、大入賞口272を開放状態に制御してから所定時間(例えば、30秒)が経過した時、或いは、所定個数(例えば、10個)の遊技球が大入賞口272に入球したとき、にアタッカソレノイド276により再び大入賞口272の左右両側に配置する開閉部材274を回動して大入賞口272に遊技球を入球困難な閉鎖状態に制御するようになっている。
この大入賞口272に遊技球を入球可能な開放状態に制御してから大入賞口272に遊技球を入球困難な閉鎖状態に制御するまでが大当り遊技状態及び小当り遊技状態における1ラウンド(1R)であり、15R大当り遊技状態では、15ラウンド(15R)を実行したときに終了するものである。
また、特別図柄表示器302の4個のLEDを特定の態様のうち低利益特別態様及び低利益非特別態様で点灯表示したときには、2R大当り遊技状態に制御し、大入賞口272を開放状態に制御してから所定時間(例えば、1.3秒)が経過したときにアタッカソレノイド276により再び大入賞口272の左右両側に配置する開閉部材274を回動して大入賞口272に遊技球を入球困難な閉鎖状態に制御するようになっている。2R大当り遊技状態では、2ラウンド(2R)を実行したときに終了するものである。
また、特別図柄表示器302の4個のLEDを特定の態様のうち特殊態様で点灯表示したときには、小当り遊技状態に制御し、大入賞口272を開放状態に制御してから所定時間(例えば、1.3秒)が経過したときにアタッカソレノイド276により再び大入賞口272の左右両側に配置する可動片を回動して大入賞口272に遊技球を入球困難な閉鎖状態に制御するようになっている。小当り遊技状態では、2ラウンド(2R)を実行したときに終了するものである。
なお、状態表示器306は、遊技状態に応じて所定の態様で駆動制御するものであり、具体的には、15R大当り遊技状態であれば、状態表示器306を点灯させ、2R大当り遊技状態であれば、所定間隔で点灯及び消灯させることにより状態表示器306を点滅させ、小当り遊技状態であれば、前記所定間隔とは異なる間隔で点灯及び消灯させることにより状態表示器306を点滅させる。なお、通常状態、時短状態、及び高確率状態のうち実行中の遊技状態に応じた態様で駆動制御されるLED等の表示器を状態表示器306とは別個に設けるように構成してもよい。例えば、通常状態すなわち時短状態の制御及び高確率状態の制御が実行されていない場合には、2個のLEDを消灯状態で駆動制御し、時短状態の制御が実行されている場合には、2個のLEDのうち一方を点灯状態で駆動制御し、高確率状態の制御が実行されている場合には、2個のLEDのうち他方を点灯状態で駆動制御する表示器を設けてもよいし、フルカラーLEDによって構成されるLEDにより、通常状態では、1個のLEDを消灯状態で駆動制御し、時短状態の制御が単独で実行されている場合には、緑色の点灯状態で駆動制御し、高確率状態の制御が単独で実行されている場合には、赤色の点灯状態で駆動制御し、時短状態の制御と高確率状態の制御とが並行して実行されている場合には、赤色の点滅状態で駆動制御する表示器を設けてもよい。
なお、本例では、2R大当り遊技状態で大入賞口272を開放状態にしてから閉鎖状態にするまでの期間と、小当り遊技状態で大入賞口272を開放状態にしてから閉鎖状態にするまでの期間と、を同一(見分けが付かない程度(例えば、100ms以内の差)であれば同一とみなす)としている。また、2R大当り遊技状態で大入賞口272を閉鎖状態にしてから再び開放状態にするまでの待機時間と、小当り遊技状態で大入賞口272を閉鎖状態にしてから再び開放状態にするまでの待機時間と、を同一(見分けが付かない程度(例えば、100ms以内の差)であれば同一とみなす)としている。そのため、2R大当り遊技状態に制御されているのか小当り遊技状態に制御されているのかを把握することが困難になり、小当り遊技状態であると把握されたときに高確率状態に対する期待が薄れ、遊技者の興趣を低下させることを防止できる。
また、状態表示器306は、遊技状態に応じて所定の態様で駆動制御するが、遊技者に積極的に遊技状態を報知するために設けられているものではない。すなわち、この実施の形態では、遊技領域37の右下方端部に状態表示器306が配置するため、演出表示装置202に注目している遊技者は状態表示器306が駆動制御されていることに気付き難い。また、状態表示器306の駆動態様と遊技状態との対応関係を遊技者に知らせないため、状態表示器306が駆動していることに気付いたとしても遊技状態に応じて駆動制御されていることに気付き難い。また、本例では、2R大当り遊技状態の終了後に時短状態の制御を実行するか、高確率状態の制御を実行するかを遊技者に報知しない。そのため、現在の遊技状態を把握することが困難となり、遊技をやめ難くなる。
本例のパチンコ機1には、上述したように、アタッカ装置270の大入賞口272に入球した遊技球を用いて演出動作をさせる演出ユニット318を備えている。この演出ユニット318では、2R大当り遊技状態及び小当り遊技状態の終了後に、大当りと判定される確率を通常状態から、高確率状態に変更される可能性が高いこと、或いは、高確率状態が継続される可能性が高いことを、遊技球を用いて遊技者に認識させるものである。
具体的には、第一始動口212又は第二始動口214への遊技球の入球によって抽出(抽選)される当り判定用乱数に基づいて「2R大当り」又は「小当り」とする判定がなされたときに、アタッカ装置270の開閉部材274が、2回(2ラウンド)開放状態となり、開放状態の時に大入賞口272へ入球した遊技球が振分装置330へ送られる。この時、振分装置330の貯留通路356には最大で5個(又は6個)まで遊技球が貯留される。なお、貯留通路356に遊技球が貯留されたか否かは侵入検出センサ382によって検出できるようになっている。
そして、2R大当り遊技状態及び小当り遊技状態の2ラウンドが終了すると、開閉部材274が駆動されて大入賞口272への入球が不能な状態にすると共に、振分モータ350を回転駆動させて、貯留通路356に貯留された遊技球を一つのみ回転体348の遊技球収容部346に収容させ、当り判定用乱数に基づいて、具体的には、2R大当り遊技状態及び小当り遊技状態の終了後に高確率状態に制御するか否かに基づいて、第一振分口336、第二振分口338、及び第三振分口340の何れかに振分ける。なお、ラウンド中に遊技球を振分装置330で振分けるようにしても良い。
この振分装置330による遊技球の振分制御は、周辺制御基板92におけるサブ統合MPU520の所定の演算処理によって制御されており、主制御基板94から送られる当り判定用乱数に基づいた所定の制御コマンドを受信すると、その制御コマンドに従って所定の振分判定用乱数を抽出し、その振分判定用乱数に基づいて第一振分口336、第二振分口338、及び第三振分口340の何れかに振分けるようになっている。
この演出ユニット318では、上述したように、遊技球が、第二振分口338へ振分けられると第一受入口410へ受入れられる確率が最も高く、第三振分口340へ振分けられると第一受入口410へ受入れられる確率が最も低くなっている。そして、例えば、抽選された当り判定用乱数が、「2R確変大当りA」又は「2R確変大当りB」等の「確変大当り」を示唆する場合、及び高確率状態の制御を実行中に小当り遊技状態となった場合には、高い確率で第一受入口410へ遊技球が受入れられるように、第二振分口338へ遊技球を振分けるようになっている。つまり、2R大当り遊技状態及び小当り遊技状態のラウンド終了後に、大入賞口272に入球した遊技球が第一受入口410へ受入れられると、大当り遊技状態及び小当り遊技状態の終了後に高確率状態(確変状態)の制御が実行される可能性が高いことを示唆するものである。
なお、2R大当り遊技状態及び小当り遊技状態の終了後に高確率状態の制御を実行するときに、必ずしも遊技球を第二振分口338へ振分けるようにしているものではなく、周辺制御基板92で抽出される振分判定用乱数によっては第一振分口336や第三振分口340へも振分けられるものである。
一方、例えば、2R大当り遊技状態及び小当り遊技状態の終了後に高確率状態の制御を実行しないときには、第一受入口410に遊技球が受入れられないように、主に第三振分口340又は第一振分口336へ遊技球を振分けるようになっている。
ところで、振分装置330によって遊技球を振分ける際に、サブ統合MPU520によって各種発光手段314を発光制御して、興趣を高められる効果的な発光演出を行うようになっている。例えば、第一受入口410へ遊技球が受入れられる可能性が高い場合は、ゴルフボールを模したキャラクタ装飾体312dを種々の色に発光させて、第一受入口410へ遊技球が受入れられる可能性が高いことを示唆して、興趣を高められるようになっている。或いは、第一振分口336へ振分ける場合は、流水紋状の背景装飾体312e後方の発光手段314のLEDを上側から下側に向かってその光が流れるように点滅させて、第一振分口336へ振分けられた遊技球を、発光手段314の光の流れに沿うように転動案内レール434により転動させて期待感を高められるようになっている。
これにより、遊技球の始動入賞によって、「確変大当り」が抽選されると、アタッカ装置270の開閉部材274の開閉動作の際に大入賞口272に入球した遊技球が、遊技球演出空間308内の第一受入口410に受入れられるように振分けられるので、あたかも遊技球が第一受入口410に受入れられたことで、抽選確率が高確率状態に変更されたように思わせることができ、演出画像を用いたものと比較して遊技球が第一受入口410に受入れられるのを直接見せるので、確実に「確変大当り」であると遊技者に認識させることができ、物理的な安心感を与えて、興趣が低下するのを抑制することができるようになっている。
また、遊技者は「確変大当り」が抽選されて抽選確率が高確率状態に変更されることを強く望み、第一受入口410へ遊技球が受入れられると抽選確率が変更されるような遊技球による演出をしているので、第一受入口410に受入れられるのを期待させることができ、第一受入口410に遊技球受入れられるか否かで、ハラハラ、ドキドキさせることが可能となり、遊技球が何れの振分口336,338,340に振分けられても興趣を高めることができるようになっている。
[主制御基板の各種制御処理について]
次に、パチンコ機1の遊技の進行に応じて主制御基板94が行う各種制御処理について説明する。最初に、遊技制御に用いられる各種乱数について説明し、電源投入時処理、続いてタイマ割り込み処理について順に説明する。図42は電源投入時処理の一例を示すフローチャートであり、図43は図42の電源投入時処理のつづきを示すフローチャートである。
[各種乱数について]
遊技制御に用いられる各種乱数として、大当り遊技状態を発生させるか否かの決定に用いられる当り判定用乱数と、この当り判定用乱数の初期値の決定に用いられる当り判定用初期値決定用乱数と、当りの種類の決定に用いられる付与価値決定用乱数と、大当り遊技状態を発生させないときにリーチを発生させるか否かの決定に用いられるリーチ判定用乱数と、図9に示した特別図柄表示器302に表示する変動表示パターンの決定に用いられる変動表示パターン用乱数と、大当り遊技状態を発生させるときに特別図柄表示器302に表示する特別図柄の組み合わせを決定するのに用いられる当り図柄用乱数と、この当り図柄用乱数の初期値の決定に用いられる当り図柄用初期値決定用乱数等が用意されている。またこれらの乱数に加えて、図9に示した、第二始動口214の可動片222を開閉動作させるか否かの決定に用いられる普通図柄当り判定用乱数と、この普通図柄当り判定用乱数の初期値の決定に用いられる普通図柄当り判定用初期値決定用乱数と、図9に示した普通図柄表示器322に表示する変動表示パターンの決定に用いられる普通図柄変動表示パターン用乱数等が用意されている。
[電源投入時処理について]
パチンコ機1に電源が投入されると、主制御基板94の主制御MPU504は、図42及び図43に示すように、電源投入時処理を行う。この電源投入時処理が開始されると、主制御MPU504は、割り込みモードの設定を行う(ステップS2010)。この割り込みモードは、主制御MPU504の割り込みの優先順位を設定するものである。本実施形態では、後述するタイマ割り込み処理が優先順位として最も高く設定されており、このタイマ割り込み処理の割り込みが発生すると、主制御MPU504は優先的にタイマ割り込み処理を行う。
ステップS2010に続いて、入出力設定(I/Oの入出力設定)を行う(ステップS2012)。このI/Oの入出力設定では、主制御MPU504のI/Oの設定を行う。例えば図23に示した、開閉部材274の開閉動作を行うアタッカソレノイド276に駆動信号を出力する端子は出力端子(Output)として設定される。一方、大入賞口272に入球した遊技球を検出するカウントスイッチ278からの検出信号が入力される端子は入力端子(Input)として設定される。
ステップS2012に続いて、主制御MPU504に内蔵されたウォッチドックタイマを有効に設定する(ステップS2014)。このウォッチドックタイマは、主制御MPU504の動作(システム)を監視するためのものであり、一定期間にクリアされないときには主制御MPU504にリセットをかける(主制御MPU504のシステムが暴走していないかを定期的に診断している)。
ステップS2014に続いて、ウェイトタイマ処理1を行う(ステップS2016)。電源投入時から所定電圧となるまでの間では電圧がすぐに上がらない。一方、停電又は瞬停(突発的に電力の供給が一時停止する現象)となるときでは電圧が下がり、停電予告電圧以下となると停電予告として停電信号が入力される。電源投入時から所定電圧に上がるまでの間では電圧が停電予告電圧以下となると停電信号が入力される。そこで、ウェイトタイマ処理1では、電源投入後、電圧が停電予告電圧より高くなるまで待っている。本実施形態では、この待ち時間(ウェイトタイマ)として200ミリ秒(ms)が設定されている。
ステップS2016に続いて、RAMクリアスイッチ94aが操作されているか否かを判定する(ステップS2018)。この判定は、主制御基板94のRAMクリアスイッチ94aが操作され、その操作信号(検出信号)が主制御MPU504に入力されているか否かにより行う。検出信号が入力されているときにはRAMクリアスイッチ94aが操作されていると判定し、一方、検出信号が入力されていないときにはRAMクリアスイッチ94aが操作されていないと判定する。
ステップS2018でRAMクリアスイッチ94aが操作されているときには、RAMクリア報知フラグRCL−FLGに値1をセットし(ステップS2020)、一方、ステップS2018でRAMクリアスイッチ94aが操作されていないときには、RAMクリア報知フラグRCL−FLGに値0をセットする(ステップS2022)。このRAMクリア報知フラグRCL−FLGは、主制御MPU504に内蔵されたRAM(以下、「内蔵RAM」と記載する。)に記憶されている、確率変動、未払い出し賞球等の遊技に関する遊技情報を消去するか否かを示すフラグであり、遊技情報を消去するとき値1、遊技情報を消去しないとき値0にそれぞれ設定されている。なお、ステップS2020及びステップS2022でセットされたRAMクリア報知フラグRCL−FLGは、主制御MPU504の汎用記憶素子(汎用レジスタ)に記憶される。
ステップS2020又はステップS2022に続いて、ウェイトタイマ処理2を行う(ステップS2024)。このウェイトタイマ処理2では、図40に示した、液晶制御基板528による液晶表示装置202の表示制御を行うシステムが起動する(ブートする)まで待っている。例えば、液晶制御基板528に備えた、図示しない液晶制御ROMから圧縮されたオープニング用画像を読み出して、図示しない液晶制御MPUに内蔵されたRAMに展開して記憶する等。本実施形態では、ブートするまでの時間(ブートタイマ)として2秒(s)が設定されている。
ステップS2024に続いて、内蔵RAMへのアクセスを許可する設定を行う(ステップS2026)。この設定により内蔵RAMへのアクセスができ、例えば遊技情報の書き込み(記憶)又は読み出しを行うことができる。
ステップS2026に続いて、スタックポインタの設定を行う(ステップS2028)。スタックポインタは、例えば、使用中の記憶素子(レジスタ)の内容を一時記憶するためにスタックに積んだアドレスを示したり、サブルーチンを終了して本ルーチンに復帰するときの本ルーチンの復帰アドレスを一時記憶するためにスタックに積んだアドレスを示したりするものであり、スタックが積まれごとにスタックポインタが進む。ステップS2028では、スタックポインタに初期アドレスをセットし、この初期アドレスから、レジスタの内容、復帰アドレス等をスタックに積んで行く。そして最後に積まれたスタックから最初に積まれたスタックまで、順に読み出すことによりスタックポインタが初期アドレスに戻る。
ステップS2028に続いて、RAMクリア報知フラグRCL−FLGが値0である否かを判定する(ステップS2030)。上述したように、RAMクリア報知フラグRCL−FLGは、遊技情報を消去するとき値1、遊技情報を消去しないとき値0にそれぞれ設定されている。
ステップS2030でRAMクリア報知フラグRCL−FLGが値0であるとき、つまり遊技情報を消去しないときには、チェックサムの算出を行う(ステップS2032)。このチェックサムは、内蔵RAMに記憶されている遊技情報を数値とみなしてその合計を算出するものである。
ステップS2032に続いて、算出したチェックサムの値が後述する電源断時処理(電源断時)において記憶されているチェックサムの値と一致しているか否かを判定する(ステップS2034)。一致しているときには、バックアップフラグBK−FLGが値1であるか否かを判定する(ステップS2036)。このバックアップフラグBK−FLGは、遊技情報、チェックサムの値及びバックアップフラグBK−FLGの値等のバックアップ情報を後述する電源断時処理において内蔵RAMに記憶保持したか否かを示すフラグであり、電源断時処理を行ったとき値1、電源断時処理を行っていないとき値0にそれぞれ設定されている。
ステップS2036でバックアップフラグBK−FLGが値1であるとき、つまり電源断時処理を行ったときには、復電時として内蔵RAMの作業領域を設定する(ステップS2038)。この設定は、バックアップフラグBK−FLGを値0にセットするほか、主制御MPU504に内蔵されたROM(以下、「内蔵ROM」と記載する。)から復電時情報を読み出し、この復電時情報を内蔵RAMの作業領域にセットする。ここで「復電時」とは、電源を遮断した状態から電源を投入した状態に加えて、停電又は瞬停からその後の電力の復旧した状態も含める。
ステップS2038に続けて、電源投入時コマンド作成処理を行う(ステップS2040)。この電源投入時コマンド作成処理では、バックアップ情報から遊技情報を読み出してこの遊技情報に応じた各種コマンドを内蔵RAMの所定記憶領域に記憶する。
一方、ステップS2030でRAMクリア報知フラグRCL−FLGが値0でない(値1である)とき、つまり遊技情報を消去するときには、又はステップS2034でチェックサムの値が一致していないときには、又はステップS2036でバックアップフラグBK−FLGが値1でない(値0である)とき、つまり電源断時処理を行っていないときには、内蔵RAMの全領域をクリアし(ステップS2042)、初期設定として内蔵RAMの作業領域を設定する(ステップS2044)。この設定は、内蔵ROMから初期情報が読み出され、この初期情報が内蔵RAMの作業領域にセットされる。
ステップS2044に続けて、RAMクリア報知及びテストコマンド作成処理を行う(ステップS2046)。このRAMクリア報知及びテストコマンド作成処理では、内蔵RAMをクリアして初期設定を行った旨を、図40に示した周辺制御基板92に報知するためのRAMクリア報知コマンドと、周辺制御基板92の各種検査を行うためのテストコマンドと、を作成し、送信情報として内蔵RAMの送信情報記憶領域に記憶する。なお、周辺制御基板92がRAMクリア報知コマンドを受信すると、このRAMクリア報知コマンドを液晶制御基板528に送信し、一方テストコマンドを受信すると、各種検査を行うためのテストコマンドを、図40に示した、音源IC524、液晶制御基板528及びランプ駆動基板532に送信する。
ステップS2040又はステップS2046に続いて、割り込み初期設定を行う(ステップS2048)。この設定は、後述するタイマ割り込み処理が行われるときの割り込み周期を設定するものである。本実施形態では4msに設定されている。
ステップS2048に続いて、割り込み許可設定を行う。(ステップS2050)。この設定によりステップS2048で設定した割り込み周期、つまり4msごとにタイマ割り込み処理を繰り返し行う。
ステップS2050に続いて、停電信号が入力されているか否かを判定する(ステップS2054)。上述したように、パチンコ機1の電源を遮断したり、停電又は瞬停したりするときには、電圧が停電予告電圧以下となると停電予告として停電信号が入力される。ステップS2054の判定は、この停電信号に基づいて行う。
ステップS2054で停電信号の入力がないときには非当落乱数更新処理を行う(ステップS2056)。この非当落乱数更新処理では、上述した、当り判定用初期値決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動表示パターン用乱数及び当り図柄用初期値決定用乱数等を更新する。例えば、当り判定用乱数を更新するカウンタは、当り判定用乱数の下限値から上限値までの範囲を、後述するタイマ割り込み処理が行われるごとに値1ずつ増える(カウントアップする)。このカウンタは、非当落乱数更新処理により当り判定用初期値決定用乱数が設定(更新)されると、この当り判定用初期値決定用乱数から上限値までカウントアップし、続けて下限値から当り判定用初期値決定用乱数までカウントアップする。そして再び非当落乱数更新処理により当り判定用初期値決定用乱数が更新される。このように、非当落乱数更新処理では、当落判定(当り判定)にかかわらない乱数を更新する。なお、上述した、普通図柄当り判定用乱数、普通図柄当り判定用初期値決定用乱数及び普通図柄変動表示パターン用乱数等もこの非当落乱数更新処理により更新される。普通図柄当り判定用乱数等は、上述した当り判定用乱数の更新方法と同一であり、その説明を省略する。
ステップS2056に続けて、再びステップS2054に戻り、停電信号があるか否かを判定し、この停電信号の入力がなければ、ステップS2056で非当落乱数更新処理を行い、ステップS2054〜ステップS2056を繰り返し行う。なお、このステップS2054〜ステップS2056の処理を「メイン処理」という。
一方、ステップS2054で停電信号の入力があったときには、割り込み禁止設定を行う(ステップS2058)。この設定により後述するタイマ割り込み処理が行われなくなり、内蔵RAMへの書き込みを防ぎ、遊技情報の書き換えを保護している。
ステップS2058に続いて、チェックサムの算出を行ってこの算出した値を記憶する(ステップS2060)。このチェックサムは、上述したチェックサムの値及びバックアップフラグBK−FLGの値の記憶領域を除く、内蔵RAMの作業領域の遊技情報を数値とみなしてその合計を算出する。
ステップS2060に続いて、バックアップフラグBK−FLGに値1をセットする(ステップS2062)。これにより、バックアップ情報の記憶が完了する。
ステップS2062に続いて、内蔵RAMへのアクセスの禁止設定を行う(ステップS2064)。この設定により内蔵RAMへのアクセスが禁止され書き込み及び読み出しができなくなり、内蔵RAMに記憶されているバックアップ情報が保護される。
ステップS2064に続いて、無限ループに入る。この無限ループでは、主制御MPU504にリセットがかかり、その後主制御MPU504は、この電源投入時処理を再び行う。なお、ステップS2058〜ステップS2064の処理及び無限ループを「電源断時処理」という。
パチンコ機1(主制御MPU504)は、停電したとき又は瞬停したときにはリセットがかかり、その後の電力の復旧により電源投入時処理を行う。
なお、ステップS2034では内蔵RAMに記憶されているバックアップ情報が正常なものであるか否かを検査し、続いてステップS2036では電源断時処理が行われたか否かを検査している。このように、内蔵RAMに記憶されているバックアップ情報を2重にチェックすることによりバックアップ情報が不正行為により記憶されたものであるか否かを検査している。
[タイマ割り込み処理について]
図44は、上記主制御基板94の主制御MPU504によって定期的に行われるタイマ割込制御についてその処理手順を示すフローチャートである。
同図44に示されるように、この割込制御ではまず、ステップS11の処理として、レジスタの退避処理が行われる。次いで、ステップS12の処理として、上記ゲートセンサ206、上記第一始動口センサ216、上記第二始動口センサ218、上記カウントセンサ278、各一般入賞口センサ226、全入賞口入賞数計数センサ508等からの検出信号が入力される。そして次に、ステップS13の処理として、上記乱数カウンタの値を更新するための乱数更新処理が行われる。なお、このステップS13の処理では、上述の乱数のうち、上記特別図柄及び上記普通図柄の変動表示停止時における表示態様に関わる乱数(当り判定用乱数、付与価値決定用乱数、普通図柄当り判定用乱数)が更新されるかたちで上記乱数カウンタのカウンタ操作が行われる。
そして、こうして乱数の更新が行われた後、当該主制御基板94の主制御MPU504は、ステップS14の処理として、上記特別図柄の変動表示停止時における表示態様にかかる抽選処理を含む特別図柄プロセス処理を実行する。なお、この特別図柄プロセス処理については後述するが、ここでは、基本的に、上記主制御MPU504のRAMに格納されている遊技の進行状況を示す特別図柄プロセスフラグに基づいて該当する処理が選択的に実行されることとなる。
そして次に、同主制御基板94の主制御MPU504は、ステップS15の処理として、上記可動片222の動作契機となる当りの当落にかかる抽選処理を含む普通図柄プロセス処理を実行する。なお、この普通図柄プロセス処理についても後述することとするが、ここでも、基本的に、遊技の進行状況を示す普通図柄プロセスフラグに従って該当する処理が選択的に実行されることとなる。また、上記主制御基板94の主制御MPU504は、大当り遊技状態(2R大当り遊技状態の一部を除く)の終了後には、上記可動片222の駆動頻度がより高くなるように当該抽選処理を実行する構成となっている(いわゆる時短状態)。なお、この実施の形態では、上記普通図柄の変動表示制御に要する時間を上記大当り遊技状態の終了後の所定期間だけ短縮するとともに、上記可動片222の開放時間を延長することによって、こうした時短状態を実現するようにしている。
また、上記特別図柄プロセス処理(ステップS14)及び普通図柄プロセス処理(ステップS15)が行われると、上記主制御基板94の主制御MPU504は、次にステップS16の処理として、同特別図柄プロセス処理にてRAMの所定の領域に設定されたコマンドを上記周辺基板502などに送信する処理を行う。なお、ステップS16の特別図柄コマンド制御処理では、ステップS12のスイッチ処理で上記第一始動口センサ216、上記第二始動口センサ218及び上記カウントセンサ278の検出信号に基づいて遊技球の入球を検出したことを示すコマンドを上記周辺基板502などに送信する処理も行う。例えば、カウントセンサ278の検出信号に基づいて大入賞口272への遊技球の入球を検出した場合にはカウント検出コマンドを周辺基板502などに送信する処理を行う。次いで、ステップS17の処理として、上記普通図柄プロセス処理にて同じくRAMの所定の領域に設定されたコマンドを例えば上記周辺基板502などに送信する処理を行う。
また、同主制御基板94の主制御MPU504は、次にステップS18の処理として、例えばホール管理用コンピュータに供給される当り情報(15R大当り、2R大当り、小当り)などのデータを出力する情報出力処理を行う。
そして次に、同主制御基板94の主制御MPU504は、ステップS19の処理として、上記第一始動口センサ216、上記第二始動口センサ218、上記カウントセンサ278、各一般入賞口センサ226などの検出信号がオン状態にあるときは、それら信号に応じた賞球が遊技者に払い出されるよう上記払出制御基板133に払出制御コマンドを出力する。これにより、上記払出制御基板133に搭載される払出制御MPU512は、払出制御I/Oポート514から球払出装置125に駆動信号を出力し、遊技者に賞球を払い出すようになる。
また、同主制御基板94の主制御MPU504は、次にステップS20の処理として、保留記憶数の増減をチェックする記憶処理を実行する。次いで、ステップS21の処理として、パチンコ機1の制御状態を遊技機外部で確認できるようにするための試験信号を出力する処理である試験端子処理を実行する。そしてその後、アクチュエータの駆動制御を行うとともに(ステップS22)、上記レジスタの内容を復帰させ(ステップS23)、割込許可状態に設定した時点で(ステップS24)、この制御が終了することとなる。
以上の制御によって、この実施の形態では、遊技制御処理は4ms毎に起動されることになる。なお、この実施の形態では、タイマによる割込処理によって遊技制御処理を実行することとしたが、当該割込処理では例えば割り込みが発生したことを示すフラグのセットのみを行うようにしてもよい。ただしこの場合、遊技制御処理をメイン処理にて実行することとなる。
このように、本実施形態では、主制御基板94の主制御MPU504が4msごとにタイマ割り込み処理を行うことによって遊技の進行を行う。これから詳細に説明する各種処理は、パチンコ機1の仕様を分かりやすく説明するために、シーケンシャル的に示したフローチャートを用いている。
[特別図柄プロセス処理について]
図45は、上記特別図柄プロセス処理(ステップS14)についてその手順を示すフローチャートである。
いま、各種の抽選処理に供される乱数が更新されたとすると(ステップS13)、同図45に示されるように、この主制御基板94の主制御MPU504はまず、上記第一始動口センサ216又は上記第二始動口センサ218による検出信号がオン状態(始動口への入球あり)にあることを条件に(ステップS30)、例えば特別図柄の当り判定用乱数を上記乱数カウンタから取得してこれをRAMに格納するなどの始動口通過処理を実行する(ステップS40)。そしてその後は、上述の特別図柄プロセスフラグに応じて、以下の8つのプロセス処理の1つを選択的に実行することとなる。
1.主制御MPU504のRAMに格納されている特別図柄の当り判定用乱数、付与価値決定用乱数などを読み出し、読み出した当り判定用乱数に基づいて上記特別図柄の変動制御停止時における表示態様についての抽選処理などが行われる特別図柄通常処理(ステップS50)
2.上記付与価値決定用乱数に基づいて大当りの種類についての決定処理と、特別図柄の変動制御停止時における表示態様についての抽選処理の結果及び大当りの種類についての決定処理の結果に基づいて特別図柄の変動制御停止時の態様の決定処理などが行われる特別図柄停止図柄設定処理(ステップS51)
3.上記変動表示パターン用乱数に基づいて上記特別図柄表示器302に表示される特別図柄の変動態様や、上記演出表示装置202に特別図柄に対応して実行される演出表示の変動態様についての抽選処理などが行われる変動パターン設定処理(ステップS52)
4.特別図柄表示器302における上記特別図柄の変動表示が停止されるまで待機する特別図柄変動処理(ステップS53)
5.特別図柄の変動制御停止時における表示態様についての抽選処理の結果及び大当りの種類についての決定処理の結果に基づいて決定された特別図柄の変動制御停止時の態様が上記特別図柄表示器302に表示されるように上記特別図柄の変動表示を停止させる特別図柄停止処理(ステップS54)
6.特別図柄の変動表示停止時における表示態様についての抽選処理の結果が予め決められた特定の態様となったとき(15R大当り、2R大当り、小当り)、上記大当り遊技状態及び小当り遊技状態に移行する旨などの遊技者への報知が上記周辺基板502によって行われるまで待機する大入賞口開放前処理(ステップS55)
7.特別図柄の変動表示停止時における表示態様についての抽選処理の結果が予め決められた特定の態様となったとき(15R大当り、2R大当り、小当り)、アタッカ装置270により上記大入賞口272が開放状態に制御される大入賞口開放中処理(ステップS56)
8.大当り遊技状態及び小当り遊技状態が終了する旨の遊技者への報知が上記周辺基板502によって行われるまで待機する大入賞口開放後処理(ステップS57)
次に、上記始動口通過処理(ステップS40)、及びこうした8つのプロセス処理(ステップS50〜S57)の具体的態様についてそれら処理の別に詳述する。
[始動口通過処理について]
図46は、上記始動口通過処理(ステップS40)についてその手順を示すフローチャートである。
いま、上記ステップS30の処理において、上記第一始動口センサ216又は第二始動口センサ218がオン状態にあり、上記第一始動口212又は上記第二始動口214への遊技球の入球があったと判断されたとすると、同図46に示されるように、上記主制御基板94の主制御MPU504は、ステップS41の処理として、まず、上記特別保留数カウンタによるカウンタ値を主制御MPU504のRAMから取得する。そして、このカウンタ値に基づいて上述の特別図柄の保留数がその最大値である「4」であるか否かの判断を行う。
このステップS41の処理において、上記特別図柄の保留数がその最大値でないと判断された場合には、上記特別図柄の変動表示制御を新たに保留の状態とすべく、以下のステップS42〜S44の処理を行うこととなる。すなわち、まず、上記ステップS42の処理として、上記特別保留数カウンタをカウントアップする。次いで、ステップS43の処理として、上記当り判定用乱数及び付与価値決定用乱数を上記乱数カウンタから取得する。そして次に、ステップS44の処理として、こうして取得された各乱数を、上記主制御MPU504のRAMの記憶領域のうちの上記特別保留数カウンタによるカウンタ値に対応する乱数記憶領域に格納する。
ただし、上記ステップS41の処理において、上記特別図柄の保留数がその最大値であると判断された場合には、上記特別図柄の変動表示制御は新たに保留されない。すなわち、上記特別図柄の変動表示制御を新たに保留の状態とすることなく、上記特別図柄の保留数がその最大値であると判断した時点で、この処理を終了する。
[特別図柄通常処理について]
図47は、上記特別図柄通常処理(ステップS50)についてその手順を示すフローチャートである。
上記特別図柄プロセスフラグが当該特別図柄通常処理を行うべき旨を示しているときは、同図47に示されるように、上記主制御基板94の主制御MPU504は、まず、ステップS101の処理として、上記主制御基板94の主制御MPU504は、上記特別保留数カウンタによるカウンタ値に基づいて保留の状態にある特別図柄の変動表示制御があるか否かの判断を行う。この結果、保留の状態にある特別図柄の変動表示制御があると判断された場合には、次にステップS102の処理として、上記主制御MPU504のRAMの乱数記憶領域に格納されている特別図柄の変動表示停止時における表示態様に関わる乱数(例えば、当り判定用乱数、付与価値決定用乱数)のうちの最先に格納された乱数を同RAMから読み出す。そして次に、ステップS103及びS104の処理として、上記特別保留数カウンタをカウントダウンするとともに、上記主制御MPU504のRAMの乱数記憶領域に格納されている上記特別図柄の変動表示停止時における表示態様に関わる乱数を先入れ先出し(First−In First−Out)の態様にてシフト操作する。これにより、上記特別図柄の変動表示制御の保留が解除されるようになる。
そしてその後、ステップS105の処理として、上記読み出された特別図柄の当り判定用乱数に基づいて上記小当り及び上記大当りの当落についての抽選処理を行う。この抽選処理では、上記読み出された当り判定用乱数と上記主制御MPU504のROMに格納されている当り判定値(図示略)とが比較される。そして、この比較の結果、上記読み出された当り判定用乱数が上記大当りに当選したことを示す当り判定値と一致するときは、上記大当りの状態にあることを示す大当りフラグをセットする(ステップS107)。一方、上記読み出された当り判定用乱数が上記小当りに当選したことを示す当り判定値と一致するときは(ステップS108)、上記主制御MPU504のRAMに上記小当りの状態にあることを示す小当りフラグをセットする(ステップS109)。そして通常は、こうして大当りフラグや小当りフラグがセットされ、その後に上記特別図柄停止図柄設定処理(ステップS51)にプロセス移行されるよう上述の特別図柄プロセスフラグが更新され時点で(ステップS110)、この処理を終了する。ただし、上記読み出された当り判定用乱数が上記小当り及び上記大当りのいずれにも該当しないはずれであることを示す当り判定値と一致するときもあり、この場合には、この判定値と一致した時点で、上記特別図柄停止図柄設定処理(ステップS51)にプロセス移行されるよう上述の特別図柄プロセスフラグが更新されることとなる。
[低確率時及び高確率時における当り判定用乱数について]
なお、この実施の形態では、図48に示されるように、上記特別図柄の当り判定用乱数の値は1277種類だけ用意されている。これに対し、図48(A)に示すように上記主制御MPU504のROMには、低確率時(通常状態及び低確率時短状態)では、そのうちの7種類の乱数値が小当りに当選したことを示す当り判定値と一致し、4種類の乱数値が大当りに当選したことを示す当り判定値と一致し、1266種類の乱数値が上記はずれであることを示す当り判定値と一致するように上記当り判定値がそれぞれ登録されている。また、図48(B)に示すように高確率時(高確率時短状態、高確率非時短状態)では、そのうちの7種類の乱数値が小当りに当選したことを示す当り判定値と一致し、40種類の乱数値が大当りに当選したことを示す当り判定値と一致し、1230種類の乱数値が上記はずれであることを示す当り判定値と一致するように上記当り判定値がそれぞれ登録されている。このように、この実施の形態では、高確率時に用いられる当り判定テーブル(高確率時当り判定テーブル)には、低確率時に用いられる当り判定テーブル(低確率時当り判定テーブル)に設定される大当りに当選したことを示す当り判定値の10倍の個数が設定され、高確率時では大当りに当選する確率が低確率時の10倍に高められている。
この実施の形態では、高確率時に用いられる当り判定テーブル(高確率時当り判定テーブル)には、低確率時に用いられる当り判定テーブル(低確率時当り判定テーブル)に設定される小当りに当選したことを示す当り判定値と同数の判定値が設定され、高確率時に小当りに当選する確率と低確率時に小当りに当選する確率とを同一としているが、これに限らず、高確率時に用いられる当り判定テーブルに設定される小当りに当選したことを示す当り判定値の個数と、低確率時に用いられる当り判定テーブルに設定される小当りに当選したことを示す当り判定値の個数と、を異ならせることにより、高確率時に小当りに当選する確率と、低確率時に小当りに当選する確率と、を異ならせるように構成してもよい。例えば、高確率時に用いられる当り判定テーブルに低確率時に用いられる当り判定テーブルに設定される小当りに当選したことを示す当り判定値よりも多い個数の小当りに当選したことを示す当り判定値を設定することにより、高確率時では低確率時よりも小当りに当選する確率を高めるように構成してもよいし、高確率時に用いられる当り判定テーブルに低確率時に用いられる当り判定テーブルに設定される小当りに当選したことを示す当り判定値よりも少ない個数の小当りに当選したことを示す当り判定値を設定することにより、高確率時では低確率時よりも小当りに当選する確率を低下させるように構成してもよい。
[特別図柄停止図柄設定処理について]
図49は、上記特別図柄停止図柄設定処理(ステップS51)についてその手順を示すフローチャートである。
上記特別図柄プロセスフラグが当該特別図柄停止図柄設定処理を行うべき旨を示しているときは、同図49に示されるように、上記主制御基板94の主制御MPU504は、まず、特別図柄の変動表示停止時における表示態様の抽選処理の結果を判別する。抽選処理の判別は、大当りフラグがセットされているか否か(ステップS121)、小当りフラグがセットされているか否か(ステップS124)、を判別することにより行う。
主制御MPU504は、大当りフラグがセットされていれば、付与価値決定用乱数と図50に示す大当り種類決定テーブルとに基づいて大当りの種類を決定する(ステップS122)。大当り種類決定テーブルは、主制御MPU504のROMに格納されている。図50に示すように、
1.15R大当り遊技状態に制御し、該15R大当り遊技状態の終了後に前記高確率時短状態に制御する15R確変大当り
2.2R大当り遊技状態に制御し、該2R大当り遊技状態の終了後に上記時短終了条件が成立していなければ前記高確率時短状態に制御する2R確変大当りA
3.2R大当り遊技状態に制御し、該2R大当り遊技状態の終了後に上記時短終了条件が成立していなければ前記高確率時短状態に制御し、特別図柄表示器302で所定回数(この例では100回)の特別図柄の変動表示が実行されたときに高確率非時短状態に移行制御する2R確変大当りB
4.2R大当り遊技状態に制御し、該2R大当り遊技状態の終了後に上記時短終了条件が成立していなければ前記低確率時短状態に制御し、特別図柄表示器302で所定回数(この例では100回)の特別図柄の変動表示が実行されたときに通常状態に移行制御する2R非確変大当り
の4種類の大当りのうちいずれかに決定し、決定した大当りの種類に応じた特別図柄の変動制御停止時の態様(特別図柄の停止図柄)を決定する(ステップS123)。
この実施の形態では、図50に示されるように、上記付与価値決定用乱数の値は200種類だけ用意されている。これに対し、図50に示すように上記主制御MPU504のROMには、そのうちの122種類の乱数値が15R確変大当りに当選したことを示す付与価値判定値と一致し、14種類の乱数値が2R確変大当りAに当選したことを示す付与価値判定値と一致し、12種類の乱数値が2R確変大当りBに当選したことを示す付与価値判定値と一致し、52種類の乱数値が2R非確変大当りに当選したことを示す付与価値判定値と一致するように上記付与価値判定値がそれぞれ登録されている。また、大当りとなった場合に大当り遊技状態の終了後に高確率状態の制御を実行する大当り(15R確変大当り、2R確変大当りA、2R確変大当りB)が発生する割合は74%に設定され、大当りとなった場合に大当り遊技状態の終了後に高確率状態の制御を実行しない大当り(2R非確変大当り)が発生する割合は26%に設定されている。
また、主制御MPU504は、小当りフラグがセットされていれば(ステップS124)、小当りに応じた特別図柄の変動制御停止時の態様(特別図柄の停止図柄)に決定する(ステップS125)。
また、主制御MPU504は、大当りフラグ及び小当りフラグがセットされていなければ、はずれに応じた特別図柄の変動制御停止時の態様(特別図柄の停止図柄)を決定する(ステップS126)。
ここで、この特別図柄の変動制御停止時の態様(特別図柄の停止図柄)についての決定処理は、上記付与価値決定用乱数に基づいて行われる。図51は、特別図柄の変動停止時の態様を示す一覧表図である。なお、この図柄決定テーブルにおいて、「1〜4」の数字は、上記特別図柄表示器302を構成する4つのLED(7セグメントLED、ドットLED)を各々示すものである。
特別図柄の変動停止時の態様として、当り判定用乱数及び付与価値決定用乱数に基づく抽選結果(大当りの種類(15R確変大当り、2R確変大当りA、2R確変大当りB、2R非確変大当り)、小当り、はずれ)それぞれに対応して複数種類の表示態様情報(上記特別図柄の変動表示停止時における表示態様(4つのLEDの点灯、消灯)を示す情報)が関連付けされ、各表示態様情報は、上記付与価値決定用乱数と関連付けされるかたちで上記主制御MPU504のROMに記憶されている。すなわち、上記付与価値判定値は、表示態様情報に対応付けされ、上記大当り種類決定テーブルに示す比率で振分けられている。具体的には、図51に示す特別図柄の停止図柄の態様のうち15R確変大当り図柄には、122種類の付与価値判定値が対応付けされ、2R確変大当りA図柄には、14種類の付与価値判定値が対応付けされ、2R確変大当り図柄Bには、12種類の付与価値判定値が対応付けされ、2R非確変大当り図柄には、52種類の付与価値判定値が対応付けされている。しかして、付与価値判定値に基づいて特別図柄の停止時の態様を決定することにより大当りの種類が決定される。
そして、こうして停止図柄についての決定処理が行われた後は、ステップS128の処理として、これら抽選結果(15R確変大当り、2R確変大当りA、2R確変大当りB、2R非確変大当り、はずれのいずれかを指示)と該抽選結果に基づく決定事項(特別図柄の停止図柄等)などが上記周辺基板502に送信されるようコマンドをセットする。そしてその後は、ステップS129の処理として、上記変動パターン設定処理(ステップS52)にプロセス移行されるよう上述の特別図柄プロセスフラグを更新した時点で、この処理を終了する。
なお、この実施の形態では、特別図柄通常処理のステップS105で同一の当り判定用乱数を用いて大当りとするか否か及び小当りとするか否かを判定するように構成されるが、大当りとするか否かの判定に用いる乱数と小当りとするか否かの判定に用いる乱数とを個々に設けるように構成してもよい。
[変動パターン設定処理について]
図52は、上記変動パターン設定処理(ステップS52)についてその手順を示すフローチャートである。
上記特別図柄プロセスフラグが当該変動パターン設定処理を行うべき旨を示しているときは、同図52に示されるように、上記主制御基板94の主制御MPU504は、まず、ステップS141の処理として、上記乱数カウンタから上記変動表示パターン用乱数を取得する。そして、上記大当りフラグがセットされているときは(ステップS142)、上記取得した変動表示パターン用乱数に基づいて上記特別図柄の変動パターン(特別図柄の変動態様)についての抽選処理を行う(ステップS143)。なおここでは、上記主制御MPU504のROMに格納されている大当り時の変動パターンテーブル(図示略)に基づいて上記特別図柄の変動パターンについての抽選処理が行われる。また、大当り時の変動パターンテーブルは、15R大当り(15R確変大当り)と2R大当り(2R確変大当りA、2R確変大当りB、2R非確変大当り)とで別々に設けられ、ステップS143では、15R大当りであれば15R大当り時変動パターンテーブルに基づいて変動パターンについての抽選処理を行い、2R大当りであれば2R大当り時変動パターンテーブルに基づいて変動パターンについての抽選処理を行う。ここで、このテーブルには、上記特別図柄の変動表示制御に要する所定の時間(変動時間)を示す複数の変動時間情報が上記変動表示パターン用乱数にそれぞれ対応して関連付けされるかたちで記憶されている。この点、この実施の形態にかかる主制御基板94の主制御MPU504では、上記取得された変動表示パターン用乱数に対応して関連付けされている変動時間情報をこのテーブルから取得することで、上記特別図柄の変動パターンを決定する。これにより、上記特別図柄の変動パターンについての抽選処理が行われるようになる。
また、上記ステップS142の処理において、上記大当りフラグがセットされていない場合に、上記小当りフラグがセットされているときは(ステップS144)、上記取得した変動表示パターン用乱数に基づいて上記特別図柄の変動パターンについての抽選処理を行う(ステップS145)。ただしここでは、上記主制御MPU504のROMに格納されている小当り時の変動パターンテーブル(図示略)に基づいて上記特別図柄の変動パターンについての抽選処理を行うこととなる。ここで、このテーブルには、上記特別図柄の変動表示制御に要する所定の時間(変動時間)を示す複数の変動時間情報が上記変動表示パターン用乱数にそれぞれ対応して関連付けされるかたちで記憶されている。この点、この実施の形態にかかる主制御基板94の主制御MPU504では、上記取得された変動表示パターン用乱数に対応して関連付けされている変動時間情報をこのテーブルから取得することで、上記特別図柄の変動パターンを決定する。これにより、上記特別図柄の変動パターンについての抽選処理が行われるようになる。
また、上記ステップS142及びステップS144で上記大当りフラグ及び小当りフラグがセットされていないときは、特別図柄の変動表示を開始してから特別図柄を停止表示するまでの変動時間を通常状態よりも短縮させる時短状態の制御(高確率時短状態、低確率時短状態)が実行されているか否か判別する(ステップS146)。時短状態の制御が実行されているか否かの判別は、後述する時短フラグがオンしているか否かを判別することによって行われる。すなわち、時短フラグは時短状態の制御が実行されていることを示すフラグであり、時短フラグがオンしていれば時短状態の制御が実行されていると判別され、時短フラグがオンしていなければ(時短フラグがオフしていれば)時短状態の制御が実行されていないと判別される。そして、時短状態の制御が実行されていれば、通常状態よりも短い変動時間が設定される短縮はずれの変動パターンに決定し(ステップS147)、時短状態の制御が実行されていなければ通常はずれの変動パターンに決定する(ステップS148)。
なお、この実施の形態では、時短状態の制御が実行され、且つ上記大当りフラグ及び小当りフラグがセットされていないとき、すなわち、はずれとなる場合に通常状態よりも短い変動時間の変動パターンに決定するようにしているが、時短状態の制御が実行されている場合に、大当り及び小当りとなるときにも大当りまたは小当りに応じた変動パターンのうち時短状態の制御が実行されていない場合に決定される変動パターンよりも短い変動時間が設定される変動パターンに決定するようにしてもよい。
そして、こうして特別図柄の変動パターンについての抽選処理が行われると、次にステップS149の処理として、上記特別図柄表示器302における上記特別図柄の変動表示制御を開始するとともに、上記決定された特別図柄の変動パターンを上記周辺基板502へのコマンド(変動パターンコマンド)としてセットするとともに、決定した変動パターンの変動時間を変動タイマに設定する(ステップS150)。これにより、こうして決定された変動時間だけ上記演出表示装置202にて演出制御が行われるようになる。また、特別図柄の変動表示制御が開始されると、次にステップS151の処理として、後述する制限時短フラグがオンしているか否かを判別する。制限時短フラグは、時短状態の制御を実行する期間に制限があることを示すフラグである。この実施の形態では、時短状態の制御を実行する期間が特別図柄表示器302にて100回の変動表示を実行するまでの期間に制限されていることを示している。そして、制限時短フラグがオンしていれば、時短状態の制御を実行可能な変動表示回数(特別図柄表示器302にて実行される変動表示の実行回数)を計数する時短回数カウンタをカウントダウンした後(ステップS152)、同時短回数カウンタのカウンタ値が「0」であるか否かをさらに判断する(ステップS153)。そしてこの結果、同カウンタ値が「0」であれば、上記時短状態の制御を終了することを示す時短終了フラグをセットする(ステップS154)。
上記ステップS151の処理にて制限時短フラグがオンしていないと判断された場合や、ステップS153の処理にて時短回数カウンタが「0」でないと判断された場合には、その時点で上記ステップS155の処理に移行する。そして、上記特別図柄変動処理(ステップS53)にプロセス移行されるよう上述の特別図柄プロセスフラグを更新した時点で(ステップS155)、この処理を終了する。
なお、この実施の形態では、時短状態の制御を開始するときに時短状態の制御を実行可能な変動表示回数、すなわち、時短状態の制御を実行可能な残りの変動表示回数として100回を時短回数カウンタにセットし、時短状態の制御を実行中に特別図柄の変動表示を開始する毎に時短回数カウンタをカウントダウンすることによって時短状態の制御を実行可能な残りの変動表示回数を計数し、時短回数カウンタが「0」になったときに時短状態の制御を終了すると判断するように構成しているが、これに限らず、時短状態の制御を開始するときに時短回数カウンタに初期値(例えば、0)をセットし、時短状態の制御を実行中に特別図柄の変動表示を開始する毎に時短回数カウンタをカウントアップして時短回数カウンタの値が所定値(例えば、初期値として0をセットした場合には100)に達したときに時短状態の制御を終了すると判断するように構成してもよい。
[特別図柄変動処理について]
図53は、上記特別図柄変動処理(ステップS53)についてその手順を示すフローチャートである。
上記特別図柄プロセスフラグが当該特別図柄変動処理を行うべき旨を示しているときは、同図53に示されるように、上記主制御基板94の主制御MPU504は、まず、ステップS171の処理として、上記変動パターンについての抽選処理(ステップS52)で決定した変動パターンに応じた変動時間が設定される変動タイマを1減算する。そして、変動時間タイマが0、すなわち、上記抽選された変動時間が経過したと判断されると(ステップS172)、次にステップS173の処理に移行する。すなわち、このステップS173の処理において、上記特別図柄停止処理(ステップS54)にプロセス移行されるよう上述の特別図柄プロセスフラグを更新した時点で、この処理を終了する。
[特別図柄停止処理について]
図54は、上記特別図柄停止処理(ステップS54)についてその手順を示すフローチャートである。
上記特別図柄プロセスフラグが当該特別図柄停止処理を行うべき旨を示しているときは、同図54に示されるように、上記主制御基板94の主制御MPU504は、まず、ステップS181の処理として、上記特別図柄停止図柄設定処理にて決定された停止図柄を上記特別図柄表示器302に表示させるための表示制御を行うとともに、上記演出表示装置202に特別図柄の停止図柄に応じた表示結果の導出表示を指示する停止表示コマンドを上記周辺基板502へのコマンドとしてセットする(ステップS182)。
次いで、主制御基板94の主制御MPU504は、上記時短終了フラグがセットされているときには(ステップS183)、時短終了フラグをオフした後(ステップS184)、時短フラグをオフするとともに制限時短フラグをオフする(ステップS185)。これにより時短状態の制御を終了させる。
また、上記主制御基板94の主制御MPU504は、上記大当りフラグがセットされているときは(ステップS186)、大当り遊技状態を開始することを示す大当り開始コマンドをセットし(ステップS187)、大当り遊技状態の開始までの待機時間(大当り遊技状態を開始する旨の表示等を行う時間)をインターバルタイマにセットする(ステップS188)。そして、上記大入賞口開放前処理(ステップS55)にプロセス移行されるよう上述の特別図柄プロセスフラグを更新した時点で(ステップS189)、この処理を終了する。大当り開始コマンドは、周辺基板502に送信されるコマンドであり、大当りの種類(15R確変大当り、2R確変大当りA、2R確変大当りB、2R非確変大当り)に応じて個々に用意されている。ステップS187では、大当りの種類(15R確変大当り、2R確変大当りA、2R確変大当りB、2R非確変大当り)に応じた大当り開始コマンド(15R大当り開始コマンド、2R大当り開始コマンド)をセットする。これにより、大当り開始コマンドによって指示された大当りの種類に応じた大当り遊技状態の演出が演出表示装置202、装飾ランプ530及びスピーカ18,57等により実行される。また、インターバルタイマには、大当りの種類に応じた大当り遊技状態の開始までの待機時間がセットされる。
また、上記大当りフラグがセットされていないときに小当りフラグがセットされていれば(ステップS190)、小当り遊技状態を開始することを示す小当り開始コマンドをセットし(ステップS191)、小当り遊技状態の開始までの待機時間(小当り遊技状態を開始する旨の表示等を行う時間)をインターバルタイマにセットする(ステップS192)。そして、上記大入賞口開放前処理(ステップS55)にプロセス移行されるよう上述の特別図柄プロセスフラグを更新した時点で(ステップS189)、この処理を終了する。小当り開始コマンドは、周辺基板502に送信されるコマンドである。これにより、演出表示装置202、装飾ランプ530及びスピーカ18,57等により小当り遊技状態の演出が実行される。
なお、インターバルタイマにセットされる小当り遊技状態の開始までの待機時間として実行するラウンド数が同じ大当りに応じた大当り遊技状態の開始までの待機時間と同一の時間をセットするようにしてもよく、例えば、2R確変大当りA、2R確変大当りB、2R非確変大当り及び小当りを開始するときには共通の待機時間をインターバルタイマにセットするようにしてもよい。
また、上記大当りフラグ及び上記小当りフラグがセットされていなければ(ステップS190)、特別図柄通常処理(ステップS50)にプロセス移行されるよう上述の特別図柄プロセスフラグを更新した時点で(ステップS193)、この処理を終了する。
[大入賞口開放前処理について]
図55は、上記大入賞口開放前処理(ステップS55)についてその手順を示すフローチャートである。
上記特別図柄プロセスフラグが当該大入賞口開放前処理を行うべき旨を示しているときは、同図55に示されるように、上記主制御基板94の主制御MPU504は、まず、ステップS201の処理として、アタッカ装置270によって大入賞口272を開放状態にするまでの待機時間を示すインターバルタイマを1減算し、インターバルタイマが0、すなわち、インターバルタイマにセットされた待機時間が経過したか否かを判別する(ステップS202)。
インターバルタイマにセットされた待機時間が経過したら上記主制御基板94の主制御MPU504は、大当りであれば(ステップS203)、大当り遊技状態のラウンドを開始することを示すラウンド開始コマンドをセットする(ステップS204)。ラウンド開始コマンドは、周辺基板502に送信されるコマンドであり、大当りの種類(15R確変大当り、2R確変大当りA、2R確変大当りB、2R非確変大当り)及び実行するラウンドに応じて個々に用意されている。ステップS204では、大当りの種類(15R確変大当り、2R確変大当りA、2R確変大当りB、2R非確変大当り)及び実行するラウンド(ステップS204では、1ラウンド)に応じたラウンド開始コマンドをセットする。これにより、ラウンド開始コマンドによって指示された大当りの種類及び実行するラウンドに応じた大当り遊技状態の演出が演出表示装置202、装飾ランプ530及びスピーカ18,57等により実行される。
なお、15R大当り(15R確変大当り)のラウンド開始コマンド(15R大当りラウンド開始コマンド)として、15R大当り1ラウンド開始コマンド、15R大当り2ラウンド開始コマンド、15R大当り3ラウンド開始コマンド、15R大当り4ラウンド開始コマンド、15R大当り5ラウンド開始コマンド、15R大当り6ラウンド開始コマンド、15R大当り7ラウンド開始コマンド、15R大当り8ラウンド開始コマンド、15R大当り9ラウンド開始コマンド、15R大当り10ラウンド開始コマンド、15R大当り11ラウンド開始コマンド、15R大当り12ラウンド開始コマンド、15R大当り13ラウンド開始コマンド、15R大当り14ラウンド開始コマンド、及び15R大当り15ラウンド開始コマンドが用意されている。また、2R大当り(2R確変大当りA、2R確変大当りB、2R非確変大当り)のラウンド開始コマンド(2R大当りラウンド開始コマンド)として、2R大当り1ラウンド開始コマンド及び2R大当り2ラウンド開始コマンドが用意されている。すなわち、実行するラウンド数が同じ大当りに応じたラウンド開始コマンドとして共通のコマンドを使用するように構成される。
次いで、上記主制御基板94の主制御MPU504は、大当りの種類に応じたラウンドの実行回数を開放カウンタにセットし(ステップS205)、大当りの種類に応じた開放時間(アタッカ装置270により大入賞口272を開放状態に制御してから閉鎖状態に制御するまでの時間)を開放タイマにセットする(ステップS206)。なお、開放タイマには実行するラウンド数が同じ大当りに応じた開放時間として共通の開放時間がセットされ、例えば、2R確変大当りA、2R確変大当りB及び2R非確変大当りに応じて共通の開放時間が開放タイマにセットされる。
また、上記主制御基板94の主制御MPU504は、インターバルタイマにセットされた待機時間が経過したときに大当りでなければ、すなわち、小当りであれば、小当り遊技状態のラウンドを開始することを示すラウンド開始コマンドをセットする(ステップS207)。ラウンド開始コマンドは、周辺基板502に送信されるコマンドである。これにより、ラウンド開始コマンドによって指示された小当りのラウンドに応じた小当り遊技状態の演出が演出表示装置202、装飾ランプ530及びスピーカ18,57等により実行される。なお、小当りのラウンド開始コマンド(小当りラウンド開始コマンド)として、小当り1ラウンド開始コマンド及び小当り2ラウンド開始コマンドが用意されている。
次いで、上記主制御基板94の主制御MPU504は、小当りに応じたラウンドの実行回数(この例では、2回)を開放カウンタにセットし(ステップS208)、小当りに応じた開放時間(アタッカ装置270により大入賞口272を開放状態に制御してから閉鎖状態に制御するまでの時間)を開放タイマにセットする(ステップS209)。なお、開放タイマには実行するラウンド数が同じ大当りに応じた開放時間と共通の開放時間がセットされ、例えば、2R確変大当りA、2R確変大当りB、2R非確変大当り及び小当りに応じて共通の開放時間が開放タイマにセットされる。
以上の設定処理を終了すると、上記主制御基板94の主制御MPU504は、開放カウンタを1減算し(ステップS210)、大入賞口272に入球した遊技球の球数を計数する入球カウンタを0にセットして(ステップS211)、アタッカ装置270を駆動して大入賞口272を開放状態に制御する(ステップS212)。その後、上記大入賞口開放中処理(ステップS56)にプロセス移行されるよう上述の特別図柄プロセスフラグを更新した時点で(ステップS213)、この処理を終了する。
なお、インターバルタイマが0でない、すなわち、インターバルタイマにセットした待機時間が経過していないと判断したときには、その後の処理を実行することなく大入賞口開放前処理を終了する。
[大入賞口開放中処理について]
図56は、上記大入賞口開放中処理(ステップS56)についてその手順を示すフローチャートである。なお上述の通り、この大入賞口開放中処理は、上記ラウンド遊技が繰り返し実行されることによって行われる。
上記特別図柄プロセスフラグが当該大入賞口開放中処理を行うべき旨を示しているときは、同図56に示されるように、上記主制御基板94の主制御MPU504は、まず、ステップS221の処理として、カウントセンサ278による検出信号に基づいて大入賞口272への遊技球の入球があったか否かを判別する。そして、この入球があることを条件に、ステップS222の処理として、大入賞口272に入球した遊技球の球数をカウンタ値として得る入球カウンタをカウントアップし、入球カウンタの値が10以上であれば(ステップS223)、ステップS226に進み、ラウンドを終了するための処理を行う。
また、入球カウンタの値が10未満であれば、開放タイマを1減算し(ステップS224)、開放タイマの値が0、すなわち、開放タイマにセットされた大入賞口272の開放時間が経過した場合には(ステップS225)、アタッカ装置270を駆動して大入賞口272を閉鎖状態に制御する(ステップS226)。次いで、上記主制御基板94の主制御MPU504は、開放カウンタが0、すなわち、大当りの種類及び小当りに応じてセットされたラウンドの実行回数を終了したか否かを判別する(ステップS227)。
開放カウンタが0である場合に、大当り遊技状態を実行していれば(ステップS228)、上記主制御基板94の主制御MPU504は、大当り終了コマンドをセットする(ステップS229)。大当り終了コマンドは、周辺基板502に送信されるコマンドであり、大当りの種類(15R確変大当り、2R確変大当りA、2R確変大当りB、2R非確変大当り)に応じて個々に用意されている。
ステップS229では、15R大当り遊技状態を終了する場合には15R確変大当りに応じた大当り終了コマンド(15R確変大当り終了コマンド)をセットし、2R大当り遊技状態を終了する場合には大当りの種類(2R確変大当りA、2R確変大当りB、2R非確変大当り)に応じた大当り終了コマンド(2R確変大当りA終了コマンド、2R確変大当りB終了コマンド、2R非確変大当り終了コマンド)をセットする。これにより、大当りの種類に応じた大当り遊技状態を終了するときの演出が演出表示装置202、装飾ランプ530及びスピーカ18,57等により実行される。
次いで、上記主制御基板94の主制御MPU504は、大当りの種類に応じた終了待機時間をインターバルタイマにセットし(ステップS230)、上記大入賞口開放後処理(ステップS57)にプロセス移行されるよう上述の特別図柄プロセスフラグを更新した時点で(ステップS231)、この処理を終了する。なお、インターバルタイマには実行するラウンド数が同じ大当りに応じた終了待機時間として共通の終了待機時間がセットされ、例えば、2R確変大当りA、2R確変大当りB及び2R非確変大当りに応じて共通の終了待機時間がインターバルタイマにセットされる。
また、ステップS227で開閉カウンタが0である場合に、小当り遊技状態を実行していれば(ステップS228)、上記主制御基板94の主制御MPU504は、小当り終了コマンドをセットする(ステップS232)。小当り終了コマンドは、周辺基板502に送信されるコマンドである。これにより、小当り遊技状態を終了するときの演出が演出表示装置202、装飾ランプ530及びスピーカ18,57等により実行される。
次いで、上記主制御基板94の主制御MPU504は、小当りに応じた終了待機時間をインターバルタイマにセットし(ステップS233)、上記大入賞口開放後処理(ステップS57)にプロセス移行されるよう上述の特別図柄プロセスフラグを更新した時点で(ステップS231)、この処理を終了する。なお、インターバルタイマには実行するラウンド数が同じ大当りに応じた終了待機時間と共通の終了待機時間がセットされ、例えば、2R確変大当りA、2R確変大当りB、2R非確変大当り及び小当りに応じて共通の終了待機時間がインターバルタイマにセットされる。
また、ステップS227で開閉カウンタが0でない場合に、大当り遊技状態を実行していれば(ステップS234)、ラウンド終了コマンドをセットする(ステップS235)。ラウンド終了コマンドは、周辺基板502に送信されるコマンドであり、大当りの種類(15R確変大当り、2R確変大当りA、2R確変大当りB、2R非確変大当り)及び終了するラウンドに応じて個々に用意されている。ステップS235では、大当りの種類(15R確変大当り、2R確変大当りA、2R確変大当りB、2R非確変大当り)及び実行するラウンドに応じたラウンド終了コマンドをセットする。これにより、ラウンド終了コマンドによって指示された大当りの種類及び終了するラウンドに応じた大当り遊技状態の演出が演出表示装置202、装飾ランプ530及びスピーカ18,57等により実行される。
なお、15R大当り(15R確変大当り)のラウンド終了コマンド(15R大当りラウンド終了コマンド)として、15R大当り1ラウンド終了コマンド、15R大当り2ラウンド終了コマンド、15R大当り3ラウンド終了コマンド、15R大当り4ラウンド終了コマンド、15R大当り5ラウンド終了コマンド、15R大当り6ラウンド終了コマンド、15R大当り7ラウンド終了コマンド、15R大当り8ラウンド終了コマンド、15R大当り9ラウンド終了コマンド、15R大当り10ラウンド終了コマンド、15R大当り11ラウンド終了コマンド、15R大当り12ラウンド終了コマンド、15R大当り13ラウンド終了コマンド、及び15R大当り14ラウンド終了コマンドが用意されている。また、2R大当り(2R確変大当りA、2R確変大当りB、2R非確変大当り)のラウンド終了コマンド(2R大当りラウンド終了コマンド)として、2R大当り1ラウンド終了コマンドが用意されている。すなわち、実行するラウンド数が同じ大当りに応じたラウンド終了コマンドとして共通のコマンドを使用するように構成される。
次いで、上記主制御基板94の主制御MPU504は、大当りの種類に応じたラウンド待機時間(アタッカ装置270によって大入賞口272を閉鎖状態に制御してから再び大入賞口272を開放状態に制御するまでの時間)をインターバルタイマにセットし(ステップS236)、上記大入賞口開放後処理(ステップS57)にプロセス移行されるよう上述の特別図柄プロセスフラグを更新した時点で(ステップS231)、この処理を終了する。なお、インターバルタイマには実行するラウンド数が同じ大当りに応じたラウンド待機時間として共通のラウンド待機時間がセットされ、例えば、2R確変大当りA、2R確変大当りB及び2R非確変大当りに応じて共通のラウンド待機時間がインターバルタイマにセットされる。
また、ステップS227で開閉カウンタが0でない場合に、小当り遊技状態を実行していれば(ステップS234)、ラウンド終了コマンドをセットする(ステップS237)。ラウンド終了コマンドは、周辺基板502に送信されるコマンドである。これにより、ラウンド終了コマンドによって指示されたラウンドに応じた小当り遊技状態の演出が演出表示装置202、装飾ランプ530及びスピーカ18,57等により実行される。なお、小当りのラウンド終了コマンド(小当りラウンド終了コマンド)として、小当り1ラウンド終了コマンドが用意されている。
次いで、上記主制御基板94の主制御MPU504は、小当りに応じたラウンド待機時間(アタッカ装置270によって大入賞口272を閉鎖状態に制御してから再び大入賞口272を開放状態に制御するまでの時間)をインターバルタイマにセットし(ステップS238)、上記大入賞口開放後処理(ステップS57)にプロセス移行されるよう上述の特別図柄プロセスフラグを更新した時点で(ステップS231)、この処理を終了する。なお、インターバルタイマには実行するラウンド数が同じ大当りに応じたラウンド待機時間と共通のラウンド待機時間がセットされ、例えば、2R確変大当りA、2R確変大当りB、2R非確変大当り及び小当りに応じて共通のラウンド待機時間がインターバルタイマにセットされる。
なお、ステップS225で開放タイマが0でない、すなわち、開放タイマにセットされた開放時間が経過していないと判断した場合には、以降の処理を実行することなく処理を終了する。これにより、次にタイマ割込が発生した場合に、再び大入賞口開放中処理が実行される。
このように、この実施の形態では、大当り遊技状態及び小当り遊技状態において、開放タイマにセットされた開放時間が経過したこと及び大入賞口272に入球した遊技球の球数が所定数(この例では、10個)に達したことの一方が成立した場合に実行中のラウンドを終了する。すなわち、開放タイマにセットされた開放時間が経過した場合及び大入賞口272に入球した遊技球の球数が所定数(この例では、10個)に達した場合にラウンドの終了条件が成立したと判断し、実行中のラウンドを終了する処理を行う。なお、小当り遊技状態及び2R大当り遊技状態では、大入賞口272に入球した遊技球の球数が所定数(この例では、10個)に達したときにはラウンドの終了条件が成立したと判断せずに、開放タイマにセットされた開放時間が経過したときにだけラウンドの終了条件が成立したと判断して実行中のラウンドを終了させるようにしてもよい。
[大入賞口開放後処理について]
図57は、上記大入賞口開放後処理(ステップS57)についてその手順を示すフローチャートである。
上記特別図柄プロセスフラグが当該大入賞口開放後処理を行うべき旨を示しているときは、同図57に示されるように、上記主制御基板94の主制御MPU504は、まず、ステップS251の処理として、アタッカ装置270によって大入賞口272を開放状態にするまでの待機時間を示すインターバルタイマを1減算し、インターバルタイマが0、すなわち、インターバルタイマにセットされた待機時間が経過したか否かを判別する(ステップS252)。インターバルタイマが0でなければ、インターバルタイマにセットされた待機時間が経過していないと判断し、以降の処理を実行することなく処理を終了する。
上記主制御基板94の主制御MPU504は、インターバルタイマにセットされた待機時間が経過したと判断し(ステップS252)、開放カウンタの値が0であることに基づいて(ステップS253)、大当り遊技状態を終了する場合には(ステップS254)、時短状態の制御を実行するか否かの設定を行う時短設定処理を実行した後(ステップS255)、大当りフラグをオフする(ステップS256)。次いで、大当り遊技状態の終了後に高確率状態の制御を実行する場合、すなわち、15R確変大当り、2R確変大当りA、及び2R確変大当りBを終了する場合には(ステップS257)、確変フラグをオンし(ステップS258)、大当り遊技状態の終了後に高確率状態の制御を実行しない場合、すなわち、2R非確変大当りを終了する場合には(ステップS257)、確変フラグをオフする(ステップS259)。そして、ステップS261に進む。
また、上記主制御基板94の主制御MPU504は、インターバルタイマにセットされた待機時間が経過したと判断し(ステップS252)、開放カウンタの値が0であることに基づいて(ステップS253)、小当り遊技状態を終了する場合には(ステップS254)、小当りフラグをオフし(ステップS260)、上記特別図柄通常処理(ステップS50)にプロセス移行されるよう上述の特別図柄プロセスフラグを更新した時点で(ステップS261)、この処理を終了する。
また、ステップS253で開放カウンタが0でない場合に、大当り遊技状態を実行していれば(ステップS262)、大当りの種類(15R確変大当り、2R確変大当りA、2R確変大当りB、2R非確変大当り)及び実行するラウンドに応じたラウンド開始コマンドをセットする(ステップS263)。そして、大当りの種類に応じた開放時間を開放タイマにセットし(ステップS264)、ステップS267に進む。
また、ステップS253で開放カウンタが0でない場合に、小当り遊技状態を実行していれば(ステップS262)、実行するラウンド(ステップS265の場合は2ラウンド)に応じたラウンド開始コマンドをセットする(ステップS265)。そして、小当りの開放時間を開放タイマにセットし(ステップS266)、開放カウンタを1減算し(ステップS267)、アタッカ装置270を駆動して大入賞口272を開放状態に制御する(ステップS268)。そして、上記大入賞口開放中処理(ステップS56)にプロセス移行されるよう上述の特別図柄プロセスフラグを更新した時点で(ステップS269)、この処理を終了する。
ステップS269で大入賞口開放中処理にプロセス移行されるように特別図柄プロセスフラグを更新することにより、次にタイマ割込が発生した場合に大入賞口開放中処理が実行される。また、大入賞口開放中処理では、ラウンドの終了条件が成立したことに基づいて大入賞口開放後処理にプロセス移行されるように特別図柄プロセスフラグを更新する。つまり、大当り遊技状態及び小当り遊技状態では、大入賞口開放前処理で設定した内容に基づいて大入賞口開放中処理を実行して最初のラウンド(1ラウンド)を実行した後、大入賞口開放後処理と大入賞口開放中処理とを繰り返し実行することにより大当り遊技状態及び小当り遊技状態のラウンドが実行される。
[時短設定処理について]
図58は、上記時短設定処理(ステップS255)についてその手順を示すフローチャートである。
時短設定処理において上記主制御基板94の主制御MPU504は、2R大当り遊技状態を終了するか否か判別する(ステップS291)。上述したようにこの実施の形態では、15R大当り遊技状態の終了後には常に時短状態の制御を実行するが、2R大当り遊技状態の終了後には、時短状態の制御を実行する場合と時短状態の制御を実行しない場合とがある。具体的には、2R大当り遊技状態を終了するときに時短終了条件が成立していなければ、すなわち、2R大当り遊技状態を終了する場合に時短フラグがセットされていれば(ステップS292)、2R確変大当りAが実行されたか否かを判別する(ステップS293)。2R確変大当りAが実行されていない場合、すなわち、2R確変大当りB及び2R非確変大当りの一方が実行された場合には、時短回数カウンタに「100回」をセットし(ステップS294)、時短状態の制御を実行することを示す時短フラグをオンするとともに時短状態の制御を実行する期間に制限があることを示す制限時短フラグをオンした後(ステップS295)、処理を終了する。
一方、ステップS293で2R確変大当りAが実行されたと判別した場合及びステップS291で15R大当り(15R確変大当り)が実行されたと判別した場合には、時短フラグをオンするとともに制限時短フラグをオフした後(ステップS296)、処理を終了する。また、ステップS292で時短フラグがオンしていないと判別した場合、すなわち、時短終了条件が成立していることによって時短フラグ及び制限時短フラグがオンしていない場合には、そのまま処理を終了する。
なお、制限時短フラグ及び時短フラグが共にオンしている場合には、特別図柄表示器302にて特別図柄の変動表示が100回実行されるまで、または特別図柄表示器302にて特別図柄の変動表示が100回実行される以前に大当りとなるまで時短状態の制御が実行される。一方、時短フラグだけがオンし、制限時短フラグがオフしている場合には、大当りとなるまで時短状態の制御が実行される。すなわち、時短フラグだけがオンしている場合には、制限時短フラグ及び時短フラグが共にオンしている場合よりも有利な状態で時短状態の制御が実行されている。
このように、この実施の形態では、15R大当り(15R確変大当り)となった場合には、大当り遊技状態の終了後に次に大当り(15R大当り、2R大当り)となるまで時短状態の制御が実行される。また、2R大当り(2R確変大当りA、2R確変大当りB、2R非確変大当り)となった場合には、大当り遊技状態を終了するときに時短終了条件が成立していないことを条件に、大当り遊技状態の終了後に時短状態の制御が実行され、2R確変大当りAであれば次に大当りとなるまで時短状態の制御が実行され、2R確変大当りB及び2R非確変大当りであれば特別図柄表示器302にて特別図柄の変動表示が100回実行されるまでまたは特別図柄表示器302にて特別図柄の変動表示が100回実行される以前に大当り(2R大当り、15R大当り)となるまで時短状態の制御が実行される。
また、2R大当り(2R確変大当りA、2R確変大当りB、2R非確変大当り)となった場合に大当り遊技状態を終了するときに時短終了条件が成立していれば、大当り遊技状態の終了後に時短状態の制御を実行しない。上述したように、小当り遊技状態及び2R大当り遊技状態では同様の制御が実行され、小当り遊技状態が実行されているか2R大当り遊技状態が実行されているかを判別することは困難にされている。また、2R大当り遊技状態の終了後には高確率状態に制御されるのに対し、小当り遊技状態の終了後には以前の遊技状態を継続させるため、以前の遊技状態として時短状態及び高確率状態の制御が実行されていなければ(通常状態であれば)時短状態及び高確率状態の制御を実行することなく通常状態に制御し、以前の遊技状態として時短状態の制御が実行されかつ高確率状態の制御が実行されていなければ低確率時短状態であれば)時短状態の制御を実行して高確率状態の制御を実行しない低確率時短状態に制御する。
ここで、2R大当り遊技状態の終了後に常に時短状態の制御が実行されてしまうと時短状態の制御が実行されない場合には小当り遊技状態が実行されたことが把握されてしまい、高確率状態に対する期待が薄れることにより興趣を低下させる虞がある。そのため、2R大当り遊技状態を終了するときに以前の遊技状態を判別し、時短終了条件が成立していなければ2R大当り遊技状態の終了後に時短状態の制御を実行し、時短終了条件が成立していれば2R大当り遊技状態の終了後に時短状態の制御を実行しないように制御することにより、小当り遊技状態が実行されたか2R大当り遊技状態が実行されたかを判別することを困難になるため、高確率状態に対する期待を低下させることを防止できるとともに興趣の低下を抑制できる。
[普通図柄プロセス処理について]
図59は、上記普通図柄プロセス処理(ステップS15)についてその手順を示すフローチャートである。
いま、上述の特別図柄プロセス処理が実行されたとすると(ステップS14)、同図59に示されるように、この主制御基板94の主制御MPU504はまず、上記ゲートセンサ206による検出信号がオン状態(ゲート204での通過あり)にあることを条件に(ステップS300)、例えば普通図柄当り判定用乱数を上記乱数カウンタから取得してこれを上記主制御MPU504のRAMに格納するなどの始動ゲート通過処理を実行する(ステップS310)。そしてその後は、上述の普通図柄プロセスフラグに応じて、以下の4つのプロセス処理の1つが選択的に実行されることとなる。
1.上記主制御MPU504のRAMに格納されている普通図柄当り判定用乱数に基づいて上記当りの当落にかかる抽選処理などが行われる普通図柄待機中処理(ステップS320)
2.上記普通図柄表示器322における上記普通図柄の変動表示が停止されるまで待機する普通図柄変動処理(ステップS330)
3.上記当落にかかる抽選処理の結果に応じた普通図柄が上記普通図柄表示器322に表示されるように上記普通図柄の変動表示を停止させる普通図柄停止処理(ステップS340)
4.上記可動片222の駆動制御が行われる可動片駆動処理(ステップS350)
次に、上記始動ゲート通過処理(ステップS310)、及びこうした4つのプロセス処理(ステップS320〜S350)の具体的態様についてそれら処理の別に詳述する。
[始動ゲート通過処理について]
図60は、上記始動ゲート通過処理(ステップS310)についてその手順を示すフローチャートである。
いま、上記ステップS300の処理において、上記ゲートセンサ206がオン状態にあり、遊技球が上記ゲート204を通過したと判断されたとすると、同図60に示されるように、上記主制御基板94の主制御MPU504は、ステップS311の処理として、まず、上記普通保留数カウンタによるカウンタ値を主制御MPU504のRAMから取得する。そして、このカウンタ値に基づいて上述の普通図柄の保留数がその最大値である「4」であるか否かの判断を行う。
このステップS311の処理において、上記普通図柄の保留数がその最大値でないと判断された場合には、上記普通図柄の変動表示制御を新たに保留の状態とすべく、以下のステップS312〜S314の処理を行うこととなる。すなわち、まず、上記ステップS312の処理として、上記普通保留数カウンタをカウントアップする。次いで、ステップS313の処理として、上記普通図柄当り判定用乱数を上記乱数カウンタから取得する。そして次に、ステップS314の処理として、こうして取得された普通図柄当り判定用乱数を、上記主制御MPU504のRAMの記憶領域のうちの上記普通保留数カウンタによるカウンタ値に対応する乱数記憶領域に格納した時点で、この処理を終了する。
ただし、上記ステップS311の処理において、上記普通図柄の保留数がその最大値であると判断された場合には、上記普通図柄の変動表示制御は新たに保留されない。すなわち、上記ステップS312〜S314の処理を行うことなく、上記普通図柄の保留数がその最大値であると判断された時点で、この処理を終了する。
[普通図柄待機中処理について]
図61は、上記普通図柄待機中処理(ステップS320)についてその手順を示すフローチャートである。
上記普通図柄プロセスフラグが当該普通図柄待機中処理を行うべき旨を示しているときは、同図61に示されるように、上記主制御基板94の主制御MPU504は、まず、ステップS401の処理として、上記普通保留数カウンタによるカウンタ値に基づいて保留の状態にある普通図柄の変動表示制御があるか否かの判断を行う。この結果、保留の状態にある普通図柄の変動表示制御があると判断された場合には、次にステップS402の処理として、上記主制御MPU504のRAMの乱数記憶領域に格納されている普通図柄当り判定用乱数のうちの最先に格納された乱数を同主制御MPU504のRAMから読み出す。そして次に、ステップS403及びS404の処理として、上記普通保留数カウンタをカウントダウンするとともに、上記主制御MPU504のRAMの乱数記憶領域に格納されている上記普通図柄当り判定用乱数を先入れ先出し(First−In First−Out)の態様にてシフト操作する。これにより、上記普通図柄の変動表示制御の保留が解除されるようになる。
そしてその後、ステップS405の処理として、上記読み出された普通図柄当り判定用乱数に基づいて上記当りの当落についての抽選処理を行う。この抽選処理では、上記読み出された普通図柄当り判定用乱数と上記主制御MPU504のROMに格納されている当り判定値(図示略)とが比較される。そして、この比較の結果、上記読み出された普通図柄当り判定用乱数が上記当りに当選したことを示す当り判定値と一致するときは(ステップS406)、上記当りの状態にあることを示す当りフラグをセットする(ステップS407)。
そして、こうして上記当りフラグの操作が行われると、次にステップS408〜S410の処理として、上記普通図柄の変動パターン(普通図柄の変動表示制御に要する変動時間や上記可動片222の開放時間など)を上記時短フラグによって示される情報に応じて決定することとなる。
例えば、上記時短フラグが上記時短状態の制御を実行していないことを示している(時短フラグがオフ)ときは(ステップS408)、予め定められた通常時用の変動パターンを設定する(ステップS410)。なお、この通常時用の変動パターンには、例えば上記普通図柄の変動表示制御に要する変動時間として「21700」ms、上記可動片222の開放時間として「500」ms、などが設定されている。
一方、上記時短フラグが上記時短状態の制御を実行していることを示している(時短フラグがオン)ときは(ステップS408)、予め定められた時短時用の変動パターンを設定する(ステップS409)。なお、この時短時用の変動パターンには、例えば上記普通図柄の変動表示制御に要する変動時間として「4512」ms、上記可動片222の開放時間として「1700」ms、などが設定されている。これにより、上記時短状態の制御を実行していないときよりも上記時短状態の制御を実行しているときのほうがより有利な抽選(普通図柄抽選)が行われるようになる。
そして、こうして上記普通図柄の変動パターンが決定されると、次にステップS411の処理として、この決定された変動パターンに応じて上記普通図柄の変動表示制御を実行する。次いで、ステップS412の処理として、上記普通図柄変動処理(ステップS330)にプロセス移行されるよう上述の普通図柄プロセスフラグを更新した時点で、この処理を終了する。
[普通図柄変動処理について]
図62は、上記普通図柄変動処理(ステップS330)についてその手順を示すフローチャートである。
上記普通図柄プロセスフラグが当該普通図柄変動処理を行うべき旨を示しているときは、同図62に示されるように、上記主制御基板94の主制御MPU504は、まず、ステップS421の処理として、上記変動パターンについての抽選処理(ステップS320)が行われてから当該処理にて抽選された変動時間が経過するまで待機する。そして、このステップS421の処理において、上記抽選された変動時間が経過したと判断されると、次にステップS422の処理に移行する。すなわち、このステップS422の処理において、上記普通図柄停止処理(ステップS340)にプロセス移行されるよう上述の普通図柄プロセスフラグを更新した時点で、この処理を終了する。
[普通図柄停止処理について]
図63は、上記普通図柄停止処理(ステップS340)についてその手順を示すフローチャートである。
上記普通図柄プロセスフラグが当該普通図柄停止処理を行うべき旨を示しているときは、同図63に示されるように、上記主制御基板94の主制御MPU504は、まず、ステップS431の処理として、上記当りフラグの状態に応じた図柄を上記普通図柄表示器322(図9参照)に表示させるための表示制御を行う。
そしてその後は、上記当りフラグがセットされているときは(ステップS432)、上記可動片駆動処理(ステップS350)にプロセス移行されるよう上述の普通図柄プロセスフラグを更新した時点で(ステップS433)、この処理を終了する。一方、上記当りフラグがセットされていないときは(ステップS432)、上記普通図柄待機中処理(ステップS320)にプロセス移行されるよう上述の普通図柄プロセスフラグを更新した時点で(ステップS434)、この処理を終了する。
[可動片駆動処理について]
図64は、上記可動片駆動処理(ステップS350)についてその手順を示すフローチャートである。
上記普通図柄プロセスフラグが当該可動片駆動処理を行うべき旨を示しているときは、同図64に示されるように、上記主制御基板94の主制御MPU504は、まず、ステップS441の処理として、上記始動口ソレノイド220がオン状態にあるか否かを判断する。そして、この始動口ソレノイド220がオフ状態であるときは、上記可動片222を駆動すべく、同始動口ソレノイド220をオン状態とする(ステップS445)。
一方、上記ステップS441の処理において、上記始動口ソレノイド220がオン状態にあれば、次にステップS442の処理として、上記可動片222の駆動終了条件が成立するまで待機する。なお、この駆動終了条件とは、例えば上記第二始動口214に遊技球が所定個だけ入球すること、及び上記始動口ソレノイド220がオン状態とされてから予め定められた時間が経過すること、のいずれかの条件が満たされることである。そして、こうした駆動終了条件が満たされるようになると、次にステップS443の処理として、始動口ソレノイド220をオフ状態とする。そしてその後に、上記普通図柄待機中処理(ステップS320)にプロセス移行されるよう上述の普通図柄プロセスフラグを更新した時点で(ステップS444)、この処理を終了する。
[周辺制御基板の各種制御処理について]
次に、主制御基板94から各種コマンドを受け取る周辺制御基板92の各種処理について説明する。図65はリセット処理の一例を示すフローチャートであり、図66はサブ側タイマ割り込み処理の一例を示すフローチャートであり、図67はコマンド受信割り込み処理の一例を示すフローチャートであり、図68はコマンド受信終了割り込み処理の一例を示すフローチャートである。
[リセット処理について]
まず、リセット処理が開始されると、図65に示すように、周辺制御基板92のサブ統合MPU520は、初期設定処理を行う(ステップS2100)。この初期設定処理は、サブ統合MPU520を初期化する処理と、リセット後のウェイトタイマを設定する処理等が行われる。なお、この初期設定処理中では割り込み禁止となっており、初期設定処理のあと割り込み許可となる。
ステップS2100に続いて、16ms経過フラグT−FLGが値0であるか否かを判定する(ステップS2102)。この16ms経過フラグT−FLGは、後述する2msごとに処理されるタイマ割り込み処理で16msを計測するフラグであり、16ms経過したとき値1、16ms経過していないとき値0にそれぞれ設定される。
ステップS2102で16ms経過フラグT−FLGが値1であるとき、つまり16ms経過したときには、16ms経過フラグT−FLGに値0をセットし(ステップS2104)、16ms処理中フラグP−FLGに値1をセットする(ステップS2106)。この16ms処理中フラグP−FLGは、後述する16ms定常処理を開始するとき値1、終了するとき値0にそれぞれ設定される。
ステップS2106に続いて、16ms定常処理を行う(ステップS2108)。この16ms定常処理は、主制御基板94から送信された送信情報から各種コマンドを解析するコマンド解析処理と、図40に示した、装飾ランプ530の点灯制御及び発光手段314の階調制御を行うランプ処理と、16ms定常処理が行われているか監視するウォッチドックタイマ処理の他に、例えば、その詳細な説明については後述するが、図40に示した、振分モータ350の駆動パターンをスケジューラにセットする16ms用振分モータのスケジューラ起動処理等を行う。
ステップS2108に続いて、16ms処理中フラグP−FLGに値0(16ms定常処理の終了)をセットし(ステップS2110)、再びステップS2102に戻り、16ms経過フラグT−FLGが値1になるごとに、つまり16ms経過ごとにステップS2104〜ステップS2110を繰り返し行う。一方、ステップS2102で16ms経過フラグT−FLGが値1でない(16ms経過フラグT−FLGが値0)とき、つまり16ms経過していないときには、16ms経過フラグT−FLGが値1になるまで、つまり16ms経過するまで待機する。
[サブ側タイマ割り込み処理について]
次に、サブ側タイマ割り込み処理が開始されると、図66に示すように、周辺制御基板92のサブ統合MPU520は、2msタイマ割り込み処理を行う(ステップS2120)。この2msタイマ割り込み処理は、図40に示した回転位置検出センサ384からの検出信号から検出履歴(サンプリング履歴)を作成する履歴作成処理等の他に、例えば、その詳細な説明については後述するが、図40に示した振分モータ350を駆動する振分モータの駆動処理等を行う。
ステップS2120に続いて、2ms更新カウンタCに値1を加算する(ステップS2122)。この2ms更新カウンタCは、このサブ側タイマ割り込み処理が行われた回数をカウントするカウンタであり、2ms更新カウンタCの値1は2msの時間に相当する。
ステップS2122に続いて、2ms更新カウンタCが値8、つまり16ms(=2ms更新カウンタC×2ms)であるか否かを判定する(ステップS2124)。16msであるときには、16ms経過フラグT−FLGに値1をセットし(ステップS2126)、16ms処理中フラグP−FLGが値0、つまり図65に示したリセット処理におけるステップS2108の16ms定常処理を行っているか否かを判定する(ステップS2128)。16ms処理中フラグP−FLGが値0であるとき、つまり16ms定常処理を行っていないときには、作業領域のバックアップを行い(ステップS2130)、このルーチンを終了する。この作業領域のバックアップは、図65に示したリセット処理におけるステップS2108の16ms定常処理で処理した情報を作業領域上に設けられたコピー領域にコピーする。
一方、ステップS2124で16ms経過していないとき又はステップS2128で16ms定常処理中に情報の設定がなかったときには、そのままこのルーチンを終了する。
[コマンド受信割り込み処理について]
次に、コマンド受信割り込み処理が開始されると、図67に示すように、周辺制御基板92のサブ統合MPU520は、主制御基板94からのコマンドを受信開始する信号(以下、「WR信号」という。)と、主制御基板94からの各種基板をセレクトする信号(以下、「SEL信号」という。)と、がともに値1であるか否かを判定する(ステップS2140)。主制御基板94の主制御MPU504は、まず周辺制御基板92に対応するSEL信号を値1、そしてWR信号を値1にそれぞれセットして周辺制御基板92にコマンドを送信する。
このコマンドは、1パケット4ニブルにより構成されている。この「ニブル」とは、4ビットを意味し、2ニブルでは8ビット(1バイト)、つまり4ニブルでは16ビット(2バイト)となる。1ニブルのデータの抽出は、WR信号が値0から値1に立ち上がって(「アップエッジ」という。)、所定時間(例えば、20μs〜50μs)保持された後、WR信号が値1から値0に立ち下がる(「ダウンエッジ」という。)ことにより行われ、1パケットでは合計4回行われる。
ステップS2140でWR信号及びSEL信号がともに値1であるとき、つまり主制御MPU504が周辺制御基板92にコマンドを送信するときには、コマンド受信処理を行い(ステップS2142)、このルーチンを終了する。このコマンド受信処理は、受信した1ニブル分のコマンド(4分割されたコマンドのうち1つ)をサブ統合MPU520に内蔵されたRAMのリングバッファに記憶する。この「リングバッファ」とは、バッファの最後と先頭が繋がっているように使われるバッファのことであり、バッファの先頭から順次データを記憶し、バッファの最後まできたら最初に戻って記憶する。リングバッファに記憶したあと、続いてバッファライトカウンタを値1だけ加算する。このバッファライトカウンタは、コマンド受信処理を行うごとに値1ずつ加算する。このため、1パケット(4ニブル)を記憶するとバッファライトカウンタは値4になる。
一方、ステップS2140でSEL信号及びWR信号がともに値0であるとき、つまり主制御MPU504が周辺制御基板92にコマンドを出力しないときには、そのままこのルーチンを終了する。なお、主制御基板94から周辺制御基板92へのコマンド送信時には、上述したようにWR信号のアップエッジからダウンエッジまでの所定時間(例えば、20μs〜50μs)、SEL信号、WR信号、データ(4ビット)が一定に保持されているが、ノイズの影響により信号が乱れ、コマンドを正常に受信できないおそれがある。そこで、このノイズ対策として、サブ統合MPU520は、SEL信号、WR信号、データ(4ビット)を受信(1回目)すると所定時間経過(例えば、1μs)後、再びSEL信号、WR信号、データ(4ビット)を受信する。そして、1回目に受信したSEL信号、WR信号、データ(4ビット)と一致しているか否かを判定する。1回目に受信したSEL信号、WR信号、データ(4ビット)と一致しているときには、ステップS2140でWR信号及びSEL信号がともに値1であるか否かを判定する。一方、1回目に受信したSEL信号、WR信号、データ(4ビット)と一致していないときには、所定時間経過後、再びSEL信号、WR信号、データ(4ビット)を受信し、1回目に受信したSEL信号、WR信号、データ(4ビット)と一致するまで判定を繰り返し行う。
[コマンド受信終了割り込み処理について]
次に、コマンド受信終了割込み処理が開始されると、図68に示すように、周辺制御基板92のサブ統合MPU520は、WR信号及びSEL信号がともに値0であるか否かを判定する(ステップS2150)。主制御基板94の主制御MPU504は、周辺制御基板92にコマンドの送信が完了すると、WR信号に値0をセットした後、SEL信号を値0にセットする(ダウンエッジ)。ステップS2150でWR信号及びSEL信号がともに値0であるとき、つまり主制御MPU504が周辺制御基板92にコマンドの送信が完了したときには、コマンド受信終了処理を行い(ステップS2152)、このルーチンを終了する。このコマンド受信終了処理は、上述したコマンド受信割り込み処理で加算されたバッファライトカウンタに値0をセットする。コマンドを正常に受信できたときには、1パケット4ニブルであるため、バッファライトカウンタは値4になる。また、1パケット分の受信を行えなかったとき、つまりバッファライトカウンタが値4未満のときには、受信したコマンドを破棄する。
一方、ステップS2150でWR信号及びSEL信号がともに値0でないとき、つまり主制御MPU504が周辺制御基板92にコマンドの送信が完了していないときには、そのままこのルーチンを終了する。なお、上述したように、ノイズ対策として、サブ統合MPU520は、SEL信号を受信(1回目)すると所定時間経過(例えば、1μs)後、再びSEL信号を受信し、1回目に受信したSEL信号と一致しているか否かを判定する。1回目に受信したSEL信号と一致しているときには、ステップS2150でWR信号及びSEL信号がともに値0であるか否かを判定する。一方、1回目に受信したSEL信号と一致していないときには、所定時間経過後、再びSEL信号を受信し、1回目に受信したSEL信号と一致するまで判定を繰り返し行う。
なお、本実施形態では、コマンド受信割り込み処理、コマンド受信終了割り込み処理、サブ側タイマ割り込み処理、そして16ms定常処理の順で各処理の優先順位が設定されている。
このように、本実施形態では、周辺制御基板92のサブ統合MPU520が16msごとにサブ側タイマ割り込み処理を行うことによって各種処理を行う。これから詳細に説明する各種処理は、パチンコ機1の仕様を分かりやすく説明するために、シーケンシャル的に示したフローチャートを用いている。
[演出制御処理について]
図69は、演出制御処理の一例を示すフローチャートである。演出制御処理において、サブ統合MPU520は、内蔵されるRAMに格納されている遊技の進行状況を示す演出制御プロセスフラグに応じて、以下の4つのプロセス処理の1つを選択的に実行することとなる。
1.上記コマンド解析処理にて解析された特別図柄の変動パターンを指示する演出コマンド(変動パターンコマンド)に基づいて演出表示装置202、装飾ランプ530、発光手段314の各LED、スピーカ18,57等を制御する処理などが行われる変動演出開始処理(ステップS700)
2.演出表示装置202、装飾ランプ530、発光手段314の各LED、スピーカ18,57等の制御を開始してからの経過時間を計測し、経過時間に応じて演出表示装置202、装飾ランプ530、発光手段314の各LED、スピーカ18,57等を制御する処理などが行われる変動演出中処理(ステップS701)
3.上記大当り開始コマンド及び小当り開始コマンドを受信したことに基づいて所定の表示結果を導出表示するとともにラウンド演出処理が開始されるように演出制御プロセスフラグを更新する処理を行う変動演出終了処理(ステップS702)。
4.大当り遊技状態及び小当り遊技状態の演出を実行し、大当り遊技状態及び小当り遊技状態を終了するときに変動演出開始処理が開始されるように演出制御プロセスフラグを更新する処理を行うラウンド演出処理(ステップS703)。
なお、上記演出制御プロセスフラグは、上述のステップS501の処理(図65参照)において、上記変動演出開始処理(ステップS700)を行うべき旨を示すよう操作されている。
また、この実施の形態では、上記変動演出終了処理で15R大当り(15R確変大当り)に応じた大当り開始コマンド(15R大当り開始コマンド)を受信したことに基づいてサブ統合MPU520は、演出表示装置202、装飾ランプ530、発光手段314の各LED、スピーカ18,57等を制御して15R確変大当りを開始することを報知する。一方、上記変動演出終了処理で2R大当り(2R確変大当りA、2R確変大当りB、2R非確変大当り)に応じた大当り開始コマンド(2R大当り開始コマンド)及び小当りに応じた小当り開始コマンドを受信した場合には、サブ統合MPU520は、2R大当りであるか小当りであるかを報知することなく演出表示装置202、装飾ランプ530、発光手段314の各LED、スピーカ18,57等を制御して所定の演出を実行する。そのため、遊技者は2R大当りであるか小当りであるかを判別することが困難である。
[変動演出開始処理について]
図70は、上記変動演出開始処理(ステップS700)についてその手順を示すフローチャートである。
上記演出制御プロセスフラグが当該変動演出開始処理を行うべき旨を示しているときには、同図70に示されるように、上記周辺制御基板92のサブ統合MPU520は、まず、ステップS901の処理として、変動パターンコマンドを受信したか否か判別する。変動パターンコマンドを受信していれば、通常時モード演出設定処理を実行する(ステップS902)。この実施の形態では、サブ統合MPU520は、演出表示装置202に表示する画像や、装飾ランプ530及び各種発光手段314の駆動態様、スピーカ18,57の音出力態様が異なる複数種類のモードのいずれかに制御する。通常時モード演出設定処理では、モードの実行回数を計数するとともに該実行回数がモードの継続回数(当該モードで実行される変動表示の回数)に達している場合には次に制御するモードと該モードの継続回数とを決定する。なお、パチンコ機1に電源を投入したとき、具体的には、上記初期設定処理(ステップS501)を実行したときには、前記複数種類のモードのうち所定のモード(例えば、モード1)に設定されるようになっている。
次いで、サブ統合MPU520は、受信した変動パターンコマンドに基づく変動表示の結果として15R確変大当りとなるか否かを判別する(ステップS903)。そして、変動表示の結果として15R確変大当りとなる場合には、停止図柄としての15R確変図柄を決定する(ステップS904)。上記したように、この実施の形態では、演出表示装置202に停止表示される15R確変図柄として同一の図柄の組み合わせのいずれかに決定する。そして、サブ統合MPU520は、ラウンド演出フラグをセットし(ステップS905)、ステップS906に進む。なお、ラウンド演出フラグは、当該可変表示の終了後に大当り遊技状態または小当り遊技状態に制御されることを示すフラグである。
また、受信した変動パターンコマンドに基づく変動表示の結果として15R大変大当りとならない場合に(ステップS903)、2R大当り(2R確変大当りA、2R確変大当りB、2R非確変大当り)または小当りとなる場合には(ステップS910)、停止図柄としての2R大当り図柄及び小当り図柄を決定する(ステップS911)。上記したように、この実施の形態では、演出表示装置202に停止表示される2R大当り図柄及び小当り図柄として「1」と「2」と「3」を含む図柄の組み合わせのうちいずれかに決定する。そして、サブ統合MPU520は、遊技球振分判定処理を実行し(ステップS912)、ステップS905に進む。
この実施の形態では、2R大当り遊技状態及び小当り遊技状態の実行中に大入賞口272に入球した遊技球は、上記振分装置330によって第一振分口336、第二振分口338、及び第三振分口340のいずれかに振分けられて上記第一放出部396、第二放出部402及び第三放出部408から放出され、演出ユニット318上を転動する。そして、演出ユニット318上を転動する遊技球が上記第一受入口410に受入れられたことに基づいて2R大当り遊技状態及び小当り遊技状態の終了後に通常とは異なるモード(特別モード2)に制御する。なお、振分装置330によって第一振分口336に振分けられた遊技球は第一放出部396から放出され、第二振分口338に振分けられた遊技球は第二放出部402から放出され、第三振分口340に振分けられた遊技球は第三放出部408から放出される。また、上述したように遊技球が第二放出部402から放出されたときに第一受入口410に最も受入れられ易く、遊技球が第三放出部408から放出されたときに第一受入口410に最も受入れられ難い。振分判定処理では上記振分装置330によって第一振分口336、第二振分口338、及び第三振分口340のいずれに振分けるかを判定する処理を行う。
また、受信した変動パターンコマンドに基づく変動表示の結果として15R大当り(15R確変大当り)、2R大当り(2R確変大当りA、2R確変大当りB、2R非確変大当り)及び小当りとならない場合には、停止図柄としてのはずれ図柄を決定する(ステップS913)。上記したように、この実施の形態では、演出表示装置202に停止表示されるはずれ図柄として少なくとも2種類以上の図柄の組み合わせのうちいずれかに決定する。そして、ステップS906に進む。
その後、サブ統合MPU520は、受信した変動パターンコマンドによって指示される変動時間を演出タイマにセットし(ステップS906)、上記モードに対応する制御態様(演出表示装置202、装飾ランプ530、各種発光手段314、スピーカ18,57の制御態様)が設定される複数種類のプロセスデータのうち受信した変動パターンコマンドに応じたプロセスデータを選択する(ステップS907)。そして、選択したプロセスデータに基づいて演出表示装置202の表示制御を開始する(ステップS908)。
なお、プロセスデータは、周辺制御基板92のサブ統合MPU520に主制御基板94の主制御MPU504から受信した変動パターンコマンドと、上記モードに対応付けされるかたちで記憶されている。サブ統合MPU520は、制御しているモードに応じた複数種類のプロセスデータのうち、主制御基板94の主制御MPU504から受信した変動パターンコマンドに関連付けされているプロセスデータを選択し、選択したプロセスデータに基づいて演出表示装置202の表示制御を実行する。
そして、サブ統合MPU520は、変動演出中処理(ステップS701)にプロセス移行されるよう上述の演出制御プロセスフラグが更新された時点で(ステップS909)、この処理を終了する。なお、ステップS901で変動パターンコマンドを受信していなければ、以降の処理を実行することなく処理を終了する。
[通常時モード演出設定処理について]
図71は、上記通常時モード演出設定処理(ステップS902)についてその手順を示すフローチャートである。
通常時モード演出設定処理において、上記周辺制御基板92のサブ統合MPU520は、まず、前記モードとして通常とは異なる特別モード1に制御していることを示す特別モード1フラグがオンしているか否かを判別する(ステップS1001)。そして、特別モード1フラグがオンしている場合には、以降の処理を行うことなく処理を終了する。なお、特別モード1は、上記高確率時短状態であって時短状態の制御を実行する期間として100回の制限がない場合に実行されるモードであり、2R確変大当りB及び2R非確変大当りとなったことに基づいて特別モード1を終了し、2R大当り遊技状態の終了後に特別モード2に制御する。すなわち、特別モード1は、遊技者に極めて有利な状態を示すモードである。
また、特別モード1フラグがオンしていない場合に特別モード2フラグがオンしていれば(ステップS1002)、モード回数カウンタを1減算し(ステップS1003)、モード回数カウンタが0になったら(ステップS1004)、特別モード2フラグをオフし(ステップS1005)、ステップS1008に進む。ステップS1004でモード回数カウンタが0でなければ以降の処理を行うことなく処理を終了することで継続してモード2に制御する。なお、特別モード2は、上記2R大当り遊技状態及び小当り遊技状態の実行中に大入賞口272に入球した遊技球が上記第一受入口410に受入れられた場合、上記特別モード1の実行中に2R確変大当りB及び2R非確変大当りとなった場合に実行されるモードであり、遊技者に有利な状態である可能性(この例では、高確率状態の制御が実行されている可能性)が高いことを示すモードである。また、この例では、所定回数の変動表示が実行されたときに特別モード2を終了し、通常のモードに制御する。
また、特別モード1フラグ及び特別モード2フラグがオンしていなければ(ステップS1001、ステップS1002)、モード回数カウンタを1減算し(ステップS1006)、モード回数カウンタが0でなければ(ステップS1007)、以降の処理を行うことなく処理を終了することで継続して現在のモードに制御する。一方、ステップS1007でモード回数カウンタが0になったら、モードを設定するための処理を行う。
この例では、通常のモード(特別モード1及び特別モード2以外のモード)として、モード1、モード2、モード3、及び特殊モードの4種類のモードのうちいずれかに制御する。図72に通常モード決定テーブルを示す。図72(A)は、高確率状態の制御を実行中に使用する高確率時通常モード決定テーブルであり、図72(B)は、高確率状態の制御を実行していないときに使用する低確率時通常モード決定テーブルである。
図72に示すように、この例では、現在のモードに応じて異なる割合で変更先のモード(次に制御するモード)を決定する。また、変更先のモードには実行回数が設定され、変更先のモードを決定することにより同時に該モードでの実行回数も決定される。また、図72(A)に示す高確率時通常モード決定テーブルにおいては、現在のモードにかかわらず変更先のモードとして特殊モードに決定する割合が高く設定されるのに対し、図72(B)に示す低確率時通常モード決定テーブルにおいては、高確率時通常モード決定テーブルに比べて特殊モードに決定する割合が低くなるように設定されている。上述したように、この実施の形態では、高確率状態に制御しているか否かを遊技者に報知しないため、遊技者は高確率状態に制御さているか否かを判別することが困難であるが、高確率状態の制御が実行されているときには特殊モードに決定され易いため、特殊モードに制御されたときに高確率状態に対する期待を抱かせることができる。
なお、通常時モード演出設定処理でステップS1007を経由してきた場合には、現在のモードとしてモード1、モード2、モード3及び特殊モードのいずれかのテーブルが選択され、ステップS1005を経由してきた場合には特別モード2のテーブルが選択される。
モードを設定するための処理として、上記周辺制御基板92のサブ統合MPU520は、高確率状態に制御しているか否かを判別し(ステップS1008)、高確率状態に制御していれば上記高確率時通常モード決定テーブルを選択し(ステップS1009)、高確率状態に制御していなければ上記低確率時通常モード決定テーブルを選択する(ステップS1010)。そして、モード決定用乱数を取得し(ステップS1011)、選択した通常時モード決定テーブルと取得したモード決定用乱数とに基づいて変更先のモードと実行回数とを決定する(ステップS1012)。
なお、この実施の形態では、変更先のモードに実行回数が設定され、変更先のモードを決定することによって該モードでの実行回数が決定されるが、変更先のモードを決定した後、該モードでの実行回数を複数の実行回数のうちいずれかに決定するようにしてもよい。このように構成することにより、遊技のバリエーションを増加することができ、遊技興趣を向上させることができる。
上記周辺制御基板92のサブ統合MPU520は、変更先のモード及び該モードでの実行回数を決定すると、該実行回数をモード回数カウンタにセットし(ステップS1013)、決定したモードに切り替えて制御する(ステップS1014)。
[遊技球振分判定処理について]
図73は、上記遊技球振分判定処理(ステップS912)についてその手順を示すフローチャートである。
遊技球振分判定処理において、上記周辺制御基板92のサブ統合MPU520は、まず、ステップS1201の処理としてモード1、モード2及びモード3のいずれかを実行していなければ以降の処理を実行することなく処理を終了する。すなわち、この例では、2R大当り及び小当りとなった場合に特別モード1、特別モード2及び特殊モードに制御している場合には2R大当り遊技状態及び小当り遊技状態の実行中に大入賞口272に入球した遊技球を上記第一放出部396、第二放出部402及び第三放出部408のいずれかから放出する演出を行わない。
また、モード1、モード2及びモード3のいずれかを実行している場合に(ステップS1201)、2R確変大当り(2R確変大当りA、2R確変大当りB)であれば(ステップS1202、ステップS1203)、高確率時振分テーブルを選択し(ステップS1204)、ステップS1205に進む。一方、2R非確変大当りであれば(ステップS1202、ステップS1203)、低確率時振分テーブルを選択し(ステップS1210)、ステップS1205に進む。すなわち、2R大当り遊技状態の終了後に高確率状態の制御を実行する場合には高確率時振分テーブルを選択し、2R大当り遊技状態の終了後に高確率状態の制御を実行しない場合には低確率時振分テーブルを選択する。
また、2R大当りでない場合、すなわち小当りであれば(ステップS1202)、高確率状態に制御しているか否かを判別し(ステップS1209)、高確率状態に制御していれば、高確率時振分テーブルを選択し(ステップS1204)、ステップS1205に進む。一方、高確率状態に制御していなければ(ステップS1209)、低確率時振分テーブルを選択し(ステップS1210)、ステップS1205に進む。すなわち、小当り遊技状態の終了後に高確率状態の制御を実行する場合には高確率時振分テーブルを選択し、小当り遊技状態の終了後に高確率状態の制御を実行しない場合には低確率時振分テーブルを選択する。
振分テーブルを選択すると、上記周辺制御基板92のサブ統合MPU520は、振分判定用乱数を取得し(ステップS1205)、選択した振分テーブルと取得した振分判定用乱数とに基づいて振分口(第一振分口336、第二振分口338、及び第三振分口340のいずれか)を決定し(ステップS1206)、2R大当り遊技状態及び小当り遊技状態の実行中に、大入賞口272に遊技球の入球を検出するカウントセンサ278の検出に基づいて主制御基板94から出力されるカウント検出コマンドを受信したことを条件に、上記第一放出部396、第二放出部402及び第三放出部408のいずれかから放出する演出を行うことを示す振分実行フラグをオンするとともに(ステップS1207)、上記振分装置330の駆動を開始するまでの期間を示す振分開始タイマをセットする(ステップS1208)。これにより、振分開始タイマがタイムアウト(振分開始タイマの値が0になった)したときに上記振分装置330が駆動される。
ここで、上記振分テーブルについて説明する。図74(A)は、2R大当り遊技状態及び小当り遊技状態の終了後に高確率状態の制御を実行する場合に使用する高確率時振分テーブルであり、図74(B)は、2R大当り遊技状態及び小当り遊技状態の終了後に高確率状態の制御を実行しない場合に使用する低確率時振分テーブルである。
図74に示すように、高確率時振分テーブルにおいては、低確率時振分テーブルよりも第二振分口338に決定される割合が高くなるように設定されるとともに、低確率時振分テーブルよりも第三振分口340に決定される割合が低くなるように設定される。なお、上述したように、第二振分口338に振分けられた遊技球は第二放出部402から放出され、遊技球が第二放出部402から放出されたときに第一受入口410に最も受入れられ易く、第三振分口340に振分けられた遊技球は第三放出部408放出され、遊技球が第三放出部408から放出されたときに第一受入口410に最も受入れられ難い。すなわち、2R大当り遊技状態及び小当り遊技状態の終了後に高確率状態の制御を実行する場合には遊技球が第一受入口410に受入れられ易い振分口(第二振分口338)に決定される割合が高く、2R大当り遊技状態及び小当り遊技状態の終了後に高確率状態の制御を実行しない場合には遊技球が第一受入口410に受入れられ難い振分口(第三振分口340)に決定される割合が高くなるように振分テーブルを構成している。このように構成することにより、高確率状態の制御されている場合には2R大当り遊技状態及び小当り遊技状態の実行中に大入賞口272に入球した遊技球が第一受入口410に受入れられたことに基づいて2R大当り遊技状態及び小当り遊技状態の終了後に特別モード2に制御される割合が高くなり、特別モード2に制御されたときに高確率状態に対する期待を抱かせることができ、遊技興趣を向上できる。
[変動演出中処理について]
図75は、上記変動演出中処理(ステップS701)についてその手順を示すフローチャートである。
上記演出制御プロセスフラグが当該変動演出中処理を行うべき旨を示しているときは、同図75に示されるように、上記周辺制御基板92のサブ統合MPU520は、まず、ステップS921の処理として、主制御基板94の主制御MPU504から受信した変動パターンによって指示される変動時間が設定される演出タイマを1減算する。そして、演出タイマが0でない場合、すなわち、主制御基板94の主制御MPU504から指示される変動時間が経過していないと判断されると(ステップS922)、次にステップS923の処理に移行する。すなわち、このステップS923の処理においてプロセスデータに基づいて演出表示装置202の表示制御を継続して実行することにより装飾図柄の可変表示が実行される。
一方、演出タイマが0、すなわち、主制御基板94の主制御MPU504から指示される変動時間が経過したと判断されると(ステップS922)、次にステップS924の処理に移行する。すなわち、このステップS924の処理において、上記変動演出終了処理(ステップS702)にプロセス移行されるよう上述の演出制御プロセスフラグを更新した時点で、この処理を終了する。
[変動演出終了処理について]
図76は、上記変動演出終了処理(ステップS702)についてその手順を示すフローチャートである。
上記演出制御プロセスフラグが当該変動演出終了処理を行うべき旨を示しているときは、同図76に示されるように、上記周辺制御基板92のサブ統合MPU520は、まず、ステップS931の処理として、主制御基板94の主制御MPU504から停止表示コマンドを受信していれば、演出表示装置202に変動演出開始処理のステップS904、ステップS911及びステップS913で決定した停止図柄を導出表示する(ステップS932)。
次いで、上記周辺制御基板92のサブ統合MPU520は、上記ラウンド演出フラグがセットされているときは(ステップS933)、15R大当り開始コマンドを受信しているか否かを判別する(ステップS934)。15R大当り開始コマンドを受信していれば(ステップS934)、15R大当りフラグをセットし(ステップS935)、演出表示装置202にて15R大当りを開始することを通知する表示を行う(ステップS936)。その後、ラウンド演出フラグをオフし(ステップS937)、ラウンド演出処理(ステップS703)にプロセス移行されるよう上述の演出制御プロセスフラグを更新した時点で、この処理を終了する(ステップS938)。
また、15R大当り開始コマンドを受信していない場合に(ステップS934)、2R大当り開始コマンドを受信していれば(ステップS940)、2R大当りフラグをセットした後(ステップS941)、ステップS936に進んで演出表示装置202にて所定の演出表示を行う。また、15R大当り開始コマンド及び2R大当り開始コマンドを受信していない場合に(ステップS934、ステップS940)、小当り開始コマンドを受信していれば(ステップS942)、小当りフラグをセットした後(ステップS943)、ステップS936に進んで演出表示装置202にて所定の演出表示を行う。なお、この実施の形態では、2R大当りを開始するとき及び小当りを開始するときに演出表示装置202で実行される演出表示は同一である。そのため、演出表示装置202で実行される演出表示の態様から2R大当りが開始されるか小当りが開始されるかを判別することは困難である。
また、15R大当り開始コマンド、2R大当り開始コマンド及び小当り開始コマンドを受信していなければ(ステップS934、ステップS940、ステップS942)、以降の処理を実行することなく処理を終了する。
また、ステップS933で上記ラウンド演出フラグがセットされていなければ、変動演出開始処理(ステップS700)にプロセス移行されるよう上述の演出制御プロセスフラグを更新した時点で、この処理を終了する(ステップS939)。また、ステップS931で主制御基板94の主制御MPU504から停止表示コマンドを受信していなければ、移行の処理を実行することなく処理を終了する。このように、周辺制御基板92のサブ統合MPU520は、主制御基板94の主制御MPU504から受信したコマンド(演出コマンド)に基づいて演出表示装置202の表示制御を行って装飾図柄を変動表示して装飾図柄の停止図柄を導出表示する。
[ラウンド演出処理について]
図77は、上記ラウンド演出処理(ステップS703)についてその手順を示すフローチャートである。
上記プロセスフラグが当該ラウンド演出処理を行うべき旨を示しているときには、同図77に示されるように、上記周辺制御基板92のサブ統合MPU520は、主制御基板94の主制御MPU504からラウンド開始コマンド(15R大当りラウンド開始コマンド、2R大当りラウンド開始コマンド、小当りラウンド開始コマンド)を受信していれば(ステップS971)、受信したラウンド開始コマンドによって指示されるラウンド及び大当りの種類(2R大当り、15R大当り)に応じたラウンド開始時の演出又はラウンド開始コマンドによって指示されるラウンド及び小当りに応じたラウンド開始時の演出を実行する(ステップS972)。
また、主制御基板94の主制御MPU504からラウンド終了コマンド(15R大当りラウンド終了コマンド、2R大当りラウンド終了コマンド、小当り終了コマンド)を受信していれば(ステップS973)、上記周辺制御基板92のサブ統合MPU520は、受信したラウンド終了コマンドによって指示されるラウンド及び大当りの種類(2R大当り、15R大当り)に応じたラウンド開始時の演出又はラウンド開始コマンドによって指示されるラウンド及び小当りに応じたラウンド終了時の演出を実行する(ステップS974)。
また、上記周辺制御基板92のサブ統合MPU520は、振分実行フラグがオンしていれば(ステップS975)、振分開始タイマを1減算し(ステップS976)、振分開始タイマが0になったら(ステップS977)、侵入検出センサ382が遊技球の入球を検出したか否か(遊技球が貯留されているか否か)を条件に(ステップS978)、振分モータ350を駆動して振分装置330によって振分判定処理(ステップS912)で決定した振分口に遊技球を振分ける(ステップS979)。振分モータ350を駆動すると、第二受入検出センサ444が遊技球の排出を検出したことを条件に、振分実行フラグをオフするとともに振分済フラグをオンする(ステップS980)。
なお、この例では、ステップS977で振分開始タイマが0になったときにカウント検出コマンドを受信していることを条件に振分モータ350を駆動して振分装置330によって遊技球を振分け、振分開始タイマが0になったときにカウント検出コマンドを受信していなければ振分モータ350を駆動しない。すなわち、振分開始タイマが0になったときに大入賞口272に遊技球が入球していなければ振分モータ350を駆動しない。上記したように、貯留通路356内に所定数の遊技球が貯留されている。そのため、ステップS977で振分開始タイマが0になったときに振分モータ350を駆動してしまうと大入賞口272に遊技球が入球していないにも関わらず遊技球が振分けられてしまい、演出ユニット318で所定の演出が実行されてしまう。大入賞口272に遊技球が入球していないにも関わらず振分モータ350が駆動されることによって演出ユニット318で所定の演出が頻繁に実行されてしまい、該演出に対しての新鮮さが失われ、興趣が低下する虞がある。この例では、大入賞口272に遊技球が入球したことを条件に振分モータ350を駆動するため、演出ユニット318で実行される演出に対して格別な演出としての印象を与えることができ、2R大当り遊技状態及び小当り遊技状態となったときに積極的に大入賞口272への入球を狙って遊技を行わせることができるとともに、該演出が実行されたときに興趣を向上させることができる。
また、上記したように振分フラグは、2R大当り遊技状態及び小当り遊技状態の実行中に大入賞口272に入球した遊技球を上記第一放出部396、第二放出部402及び第三放出部408のいずれかから放出する演出を行うことを示すフラグである。ステップS975で振分実行フラグがセットされていなければステップS981に進む。また、上記したように振分開始タイマは、上記振分装置330の駆動を開始するまでの期間を示し、ステップS977で振分開始タイマがタイムアウトしていなければ振分モータ350を駆動することなくステップS981に進む。
また、主制御基板94の主制御MPU504から大当り終了コマンド(15R確変大当り終了コマンド、2R確変大当りA終了コマンド、2R確変大当りB終了コマンド、2R非確変大当り終了コマンド)又は小当り終了コマンドを受信していれば(ステップS981)、上記周辺制御基板92のサブ統合MPU520は、終了時モード演出設定処理を実行する(ステップS982)。終了時モード演出設定処理では、大当り遊技状態及び小当り遊技状態の終了後に制御するモードを決定するための処理を行う。
その後、上記周辺制御基板92のサブ統合MPU520は、大当りの種類に応じた大当り終了時の演出又は小当りに応じた小当り終了時の演出を実行し(ステップS983)、変動演出開始処理(ステップS700)にプロセス移行されるよう上述の演出制御プロセスフラグを更新した時点で、この処理を終了する(ステップS984)。大当り終了時の演出及び小当り終了時の演出では、例えば制御するモードの開始を通知する演出等を実行する。
[終了時モード演出設定処理について]
図78乃至図80は、上記終了時モード演出設定処理(ステップS982)についてその手順を示すフローチャートである。
終了時モード演出設定処理において、上記周辺制御基板92のサブ統合MPU520は、まず、ステップS1301の処理として15R大当りフラグがセットされていれば、上記特別モード1に決定し(ステップS1302)、上記特別モード1に制御することを示す特別モード1フラグをオンするとともに上記特別モード2に制御することを示す特別モード2フラグをオフする(ステップS1303)。そして、15R大当りフラグをオフした後(ステップS1304)、処理を終了する。
また、15R大当りフラグがセットされていなければ(ステップS1301)、2R大当り遊技状態及び小当り遊技状態の実行中に大入賞口272に入球した遊技球を上記第一放出部396、第二放出部402及び第三放出部408のいずれかから放出する演出を実行したことを示す振分済フラグがオンしているか否かを判別し(ステップS1305)、振分済フラグがオンしていれば振分済フラグをオフする(ステップS1306)。そして、第一受入検出センサ442がオンしたか判別し(ステップS1307)、第一受入検出センサ442がオンしていれば(ステップS1307)、上記特別モード2に決定し(ステップS1308)、上記特別モード2に制御することを示す特別モード2フラグをオンする(ステップS1309)。その後、モード回数カウンタに実行回数(この例では20回)をセットし(ステップS1310)、2R大当りフラグ及び小当りフラグをオフする(ステップS1311)。
また、振分済フラグがオンしていなければ(ステップS1305)、特別モード1フラグがオンしているか否かを判別する(ステップS1401)。特別モード1フラグがオンしている場合に(ステップS1401)、2R確変大当りB又は2R非確変大当りであれば(ステップS1402)、特別モード2に決定し(ステップS1403)、特別モード1フラグをオフするともに特別モード2フラグをオンする(ステップS1404)。その後、モード回数カウンタに実行回数(この例では100回)をセットし(ステップS1405)、ステップS1311に進む。
また、特別モード1フラグがオンしていない場合には(ステップS1401)、特別モード2フラグがオンしているか否かを判別する(ステップS1406)。特別モード2フラグがオンしている場合に(ステップS1406)、2R確変大当りであれば(ステップS1407)、特別モード1に決定し(ステップS1408)、特別モード1フラグをオンするとともに特別モード2フラグをオフした後、ステップS1311に進む。
また、特別モード1フラグ及び特別モード2フラグがオンしていなければ(ステップS1406)、ステップS1311に進む。また、特別モード2フラグがオンしている場合に(ステップS1406)、2R確変大当りでなければ(ステップS1407)、ステップS1311に進む。
また、第一受入検出センサ442がオンしていなければ(ステップS1307)、2R大当り遊技状態及び小当り遊技状態の終了後に高確率状態の制御を実行するか否かを判別する(ステップS1501)。高確率状態の制御を実行する場合には高確率時特殊モード決定テーブルを選択し(ステップS1502)、高確率状態の制御を実行しない場合には低確率時特殊モード決定テーブルを選択する(ステップS1503)。
ここで、特殊モード決定テーブルについて説明する。図81(A)は、2R大当り遊技状態及び小当り遊技状態の終了後に高確率状態の制御を実行する場合に使用する高確率時特殊モード決定テーブルであり、図81(B)は、2R大当り遊技状態及び小当り遊技状態の終了後に高確率状態の制御を実行しない場合に使用する低確率時特殊モード決定テーブルである。
図81に示すように、この例では、現在のモードに応じて異なる割合で変更先のモード(次に制御するモード)を決定する。また、変更先のモードには実行回数が設定され、変更先のモードを決定することにより同時に該モードでの実行回数も決定される。また、図81(A)に示す高確率時特殊モード決定テーブルにおいては、現在のモードにかかわらず変更先のモードとして特殊モードに決定する割合が高く設定されるのに対し、図81(B)に示す低確率時特殊モード決定テーブルにおいては、高確率時特殊モード決定テーブルに比べて特殊モードに決定する割合が低くなるように設定されている。上述したように、この実施の形態では、高確率状態に制御しているか否かを遊技者に報知しないため、遊技者は高確率状態に制御さているか否かを判別することが困難であるが、2R大当り遊技状態及び小当り遊技状態の終了後に高確率状態の制御が実行されるときには特殊モードに決定され易いため、2R大当り遊技状態及び小当り遊技状態の終了後に特殊モードに制御されたときには高確率状態に対する期待を抱かせることができる。
なお、この実施の形態では、制御するモードに実行回数が設定され、制御するモードを決定することによって該モードでの実行回数が決定されるが、制御するモードを決定した後、該モードでの実行回数を複数の実行回数のうちいずれかに決定するようにしてもよい。このように構成することにより、遊技のバリエーションを増加することができ、遊技興趣を向上させることができる。
上記周辺制御基板92のサブ統合MPU520は、特殊モード決定テーブルを選択すると、上記周辺制御基板92のサブ統合MPU520は、モード決定用乱数を取得し(ステップS1504)、選択した特殊モード決定テーブルと取得したモードけってい用乱数とに基づいて制御するモードと実行回数とを決定する(ステップS1505)。そして、モード回数カウンタに実行回数をセットし(ステップS1506)、ステップS1311に進む。
このように、この実施の形態では、2R大当り遊技状態及び小当り遊技状態の実行中に大入賞口272に入球した遊技球を上記振分装置330によって第一振分口336、第二振分口338、及び第三振分口340のいずれかに振分けることにより、上記第一放出部396、第二放出部402及び第三放出部408から放出し、演出ユニット318上を転動する遊技球が上記第一受入口410に受入れられたことに基づいて2R大当り遊技状態及び小当り遊技状態の終了後に通常とは異なるモード(特別モード2)に制御する。以下、2R大当り遊技状態及び小当り遊技状態にて演出表示装置202で実行される演出表示について説明する。
[演出表示装置で実行される演出について]
図82及び図83は、上記主制御基板94の主制御MPU504から受信した変動パターンコマンドに基づく変動表示の結果として上記2R大当り又は小当りとなる場合に演出表示装置202で実行される演出の一例である。
図82(A)に示すようにこの例では、上記主制御基板94の主制御MPU504から受信した変動パターンコマンドに基づく変動表示の結果として上記2R大当り又は小当りとなる場合には、上記周辺制御基板92のサブ統合MPU520は、演出表示装置202に「猿丸CHANCE」と表示制御することによって有利な状態が発生することを遊技者に通知する。その後、上記主制御基板94の主制御MPU504から停止表示コマンドを受信したことに基づいて上記周辺制御基板92のサブ統合MPU520は、変動演出開始処理のステップS911で決定した2R大当り図柄又は小当り図柄を導出表示する。
また、上記周辺制御基板92のサブ統合MPU520は、上記主制御基板94の主制御MPU504から上記2R大当り又は小当りとなる変動パターンコマンドを受信したことに基づいて変動演出開始処理のステップS912で遊技球振分判定処理を実行し、2R大当り遊技状態及び小当り遊技状態の実行中に大入賞口272に入球した遊技球を上記振分装置330によって第一振分口336、第二振分口338、及び第三振分口340のいずれに振分けるかを決定するとともに、振分モータ350の駆動を開始するまでの期間を示す振分開始タイマをセットする。
次いで、上記周辺制御基板92のサブ統合MPU520は、上記主制御基板94の主制御MPU504から2R大当り開始コマンド及び小当り開始コマンドを受信したことに基づいて図82(B)に示すように、演出表示装置202に「上を狙ってくれ!」と表示制御することによってアタッカ装置270の開閉部材274が開放状態に制御されることを通知する。また、上記周辺制御基板92のサブ統合MPU520は、上記主制御基板94の主制御MPU504から2R大当り開始コマンド及び小当り開始コマンドを受信したことに基づいて上記振分開始タイマの計測を開始し、振分開始タイマがタイムアウトしたときに、大入賞口272に遊技球の入球を検出するカウントセンサ278の検出に基づいて主制御基板94から出力されるカウント検出コマンドを受信し、かつ、侵入検出センサ382が遊技球の入球を検出したか否か(遊技球が貯留されているか否か)を条件に(ステップS978)、振分モータ350を駆動して振分装置330によって遊技球振分判定処理で決定した振分口(第一振分口336、第二振分口338、及び第三振分口340のいずれか)に遊技球を振分ける。
なお、振分開始タイマがタイムアウトしたときにカウント検出コマンドを受信していない場合、すなわち、2R大当り遊技状態及び小当り遊技状態の実行中に大入賞口272に遊技球が入球しなかった場合には、上記周辺制御基板92のサブ統合MPU520は、振分モータ350を駆動せずに演出表示装置202にて所定の演出(この例では、演出表示装置202に表示されるキャラクタが空振りする演出)を実行する(図82(C))。
また、振分開始タイマがタイムアウトしたときにカウント検出コマンドを受信した場合であっても、大入賞口272に入球した遊技球が、誘導排出通路462に流れてしまったとしても、侵入検出センサ382が遊技球を検出していれば、つまり、すでに遊技球が貯留されている状態にあるときには、その貯留されている遊技球(今回の抽選以前に、2R大当りおよび小当りに当選し、大入賞口272に複数の遊技球が入球して貯留された遊技球)を用いて振分装置330による演出を実行する。このように、遊技球を大入賞口272に入球させる機会を与えたにもかかわらず、遊技球が大入賞口272に入球しなかった場合には、すでに貯留されている遊技球を用いることによって振分装置330による演出を実行する(つまり、振分装置330による演出が実行されないことを回避する)。
本実施形態では、貯留通路356に少なくとも2球の遊技球が貯留可能に構成されており、侵入検出センサ382は貯留通路356に貯留されている遊技球を検出可能に配置されている。振分装置330は、カウントセンサ278により大入賞口272に遊技球が入球したことを検出したあと、入球した遊技球が貯留通路356で貯留されずに排出通路358を通って排出された場合であっても、貯留通路356にすでに貯留された遊技球を、第一振分口336、第二振分口338及び第三振分口340のうちいずれか1つの振分口に振り分けている。このため、大入賞口272に入球した遊技球が貯留通路356に何らかの原因により貯領されなかった場合でも、振分装置330がすでに貯留通路356に貯留された遊技球を用いて、第一振分口336、第二振分口338及び第三振分口340のうちいずれか1つの振分口に振り分けることができる。したがって、遊技者が大入賞口272に遊技球を入球させて貯留通路356に貯留されなくても、振分装置330がすでに貯留された遊技球を用いて振分口から遊技球演出空間308に誘導することができ、遊技者に不安感を与えない。
上記周辺制御基板92のサブ統合MPU520は、振分モータ350を駆動するときに振分装置330による振分先(第一振分口336、第二振分口338、及び第三振分口340のいずれか)に応じて演出表示装置202を表示制御する。具体的には、遊技球を上記第一振分口336に振分けて上記第一放出部396から放出する場合に演出表示装置202に「炸裂岩返し!」と表示制御し(図83(D1))、遊技球を上記第二振分口338に振分けて上記第二放出部402から放出する場合に演出表示装置202に「疾風!モズ落とし!」と表示制御し(図83(D2))、遊技球を上記第三振分口340に振分けて上記第三放出部408から放出する場合に演出表示装置202に「飛打!あばれゴマ!」と表示制御する(図83(D3))。これにより、遊技球の挙動に同期して演出表示装置202にて演出表示を実行でき、いずれの放出口から遊技球が放出されるのかを遊技者に認識させることができる。
このように、振分装置330は、貯留通路356に貯留された遊技球を、第一振分口336、第二振分口338及び第三振分口340のうちいずれか1つの振分口に振り分ける際に、演出表示装置202に表示する演出画像に対応する振分口に振り分けるため、大入賞口272に入球した遊技球が演出表示装置202に表示する演出画像に対応する振分口に振り分けられて遊技球演出空間308に誘導されると、遊技者は、演出表示装置202に表示される演出画像に加えて遊技球演出空間308に誘導された遊技球の行き先に興味がわき、新鮮味を失いにくくなる。これにより、遊技者の遊技の低下を抑制することができる。
また、上記周辺制御基板92のサブ統合MPU520は、2R確変大当りA終了コマンド、2R確変大当りB終了コマンド、2R非確変大当り終了コマンド及び小当り終了コマンドを受信したときにラウンド演出処理のステップS982で終了時モード演出設定処理を実行し、振分装置330によって振分けられた遊技球が第一受入口410に受入れられると、2R大当り遊技状態及び小当り遊技状態の終了後に特別モード2に制御し、振分装置330によって振分けられた遊技球が第一受入口410に受入れられないと、2R大当り遊技状態及び小当り遊技状態の終了後にモード1、モード2、モード3及び特殊モードのいずれかに制御する。
具体的には、2R確変大当りA終了コマンド、2R確変大当りB終了コマンド、2R非確変大当り終了コマンド及び小当り終了コマンドを受信したときに第一受入検出センサ442によって遊技球が検出されていれば、上記周辺制御基板92のサブ統合MPU520は、演出表示装置202に「雷電モード突入」と表示制御した後(図83(E1))、特別モード2の制御を行う(図83(F1))。一方、2R確変大当りA終了コマンド、2R確変大当りB終了コマンド、2R非確変大当り終了コマンド及び小当り終了コマンドを受信したときに第一受入検出センサ442によって遊技球が検出されていなければ所定の演出(この例では、演出表示装置202に表示されるキャラクタが打った球がカップに入らない演出)を実行した後(図83(E2))、終了時モード演出設定処理で決定したモードの制御を行う(図83(F2))。
また、図83(F1)及び図83(F2)に示すように、この例では、モード毎に演出表示装置202の表示態様(演出表示装置202における装飾図柄以外の領域に表示制御される背景画像の態様、装飾図柄として表示制御されるキャラクタの態様など)が異なる。そのため、演出表示装置202を視認することによりいずれのモードに制御されているかを容易に把握できる。
なお、上述したように2R確変大当りA終了コマンド、2R確変大当りB終了コマンド、2R非確変大当り終了コマンド及び小当り終了コマンドを受信したときに第一受入検出センサ442によって遊技球が検出されていないときに、2R大当り遊技状態及び小当り遊技状態の終了後に高確率状態に制御する場合には高い割合で特殊モードに制御する。具体的には、特殊モードに決定する割合が高く設定される高確率時特殊モード決定テーブルに基づいて2R大当り遊技状態及び小当り遊技状態の終了後に制御するモードを決定する。
また、上記周辺制御基板92のサブ統合MPU520は、2R大当り遊技状態及び小当り遊技状態の終了後に特殊モードに制御する場合には図83(F2)に示す所定の演出を表示した後、2R大当り遊技状態及び小当り遊技状態を開始する以前のモードに制御する。そして、図84(A)に示すように上記主制御基板94の主制御MPU504から変動パターンコマンドを受信したことに基づいて所定の演出(この例では、演出表示装置202にキャラクタを登場させる演出)を実行した後、演出表示装置202に「Xモード突入」と表示制御することにより特殊モードに制御することを遊技者に通知する(図84(B))。このように、2R大当り遊技状態及び小当り遊技状態の終了後に一旦他のモードの制御を行い、該モードの制御途中で特殊モードへの切り替える演出を実行するため、遊技者に特別な演出が実行されたという認識を与え、大当りに対する期待感を向上させることができる。
この例では、特殊モードとして通称「ミッション演出」と呼ばれる演出を実行する。ミッション演出とは、遊技者にミッション(例えば、「5のリーチを掛けろ!」など)を通知し、該ミッションを達成したとき(5のリーチになった)に大当り(この例では、15R確変大当り)となる演出である。上記周辺制御基板92のサブ統合MPU520は、特殊モードに制御するときに複数種類のミッションのうちいずれかのミッションに決定し、該ミッションを遊技者に通知する(図84(C))。
上記周辺制御基板92のサブ統合MPU520は、特殊モードに制御しているときに上記主制御基板94の主制御MPU504から変動表示の結果として15R確変大当りとなる変動パターンを受信したことに基づいてミッションを達成する演出(図85(A)に示す例では、演出表示装置202に「おめでとう猿君。」と表示制御する演出)を実行するとともに、ミッションを達成したことを通知する表示(図85(B)に示す例では、演出表示装置202に「勝利」と表示制御)を行う。その後、上記主制御基板94の主制御MPU504から受信した変動パターンに応じた変動態様で演出表示装置202を表示制御して15R確変大当り図柄を導出表示する。
なお、上記周辺制御基板92のサブ統合MPU520によって特殊モードに制御しているときに上記主制御基板94の主制御MPU504から変動表示の結果として15R確変大当りとなる変動パターンを受信しなければ、ミッションを達成する演出を実行しない。具体的には、上記周辺制御基板92のサブ統合MPU520によって特殊モードに制御しているときに上記主制御基板94の主制御MPU504から変動表示の結果として2R大当り及び小当りとなる変動パターンを受信した場合にはミッションを達成する演出とは異なる演出(例えば、演出表示装置202にキャラクタを表示制御するとともに所定の表示(「もうそろそろだな・・・」など)を行う演出)を行う。また、上記主制御基板94の主制御MPU504から変動表示の結果として15R確変大当りとなる変動パターンを受信する以前に特殊モードの実行回数が経過するときには特殊モードを終了する演出(例えば、演出表示装置202にキャラクタを表示制御するとともに所定の表示(「また会おう」など)を行う演出)を実行した後、変更先のモードに制御する。
このように、ミッション演出は、上記周辺制御基板92のサブ統合MPU520によって実行される演出であるが、上記主制御基板94の主制御MPU504による大当りとするか否かの抽選結果に基づいて実行される。そのため、ミッションを達成したにもかかわらず15R確変大当りとならないという不具合が生じない。また、ミッション演出は、大当りとなることが確定していない状態で上記周辺制御基板92のサブ統合MPU520によって実行される演出であり、上記主制御基板94の主制御MPU504によって大当りとする判定がなされた場合にミッションを達成する演出を実行するものであるため、特殊モードに制御しているときに高確率状態の制御が実行されている場合にはミッションを達成する確率が高くなるが、高確率状態の制御が実行されていない場合にはミッションを達成する確率が低い。
また、特殊モードに制御しているときに高確率状態の制御が実行されていない場合には、ミッションを達成する以前に特殊モードが終了してしまう割合が高い。そのため特殊モードに対する期待感が低下し、興趣を低下させる虞がある。上記したようにこの例では、モード1、モード2及びモード3のいずれかに制御しているときに高確率状態の制御を実行している場合には特殊モードに制御する割合を高く設定しているため、特殊モードに制御しているときには高確率状態に制御している割合が高くなり、特殊モードでミッションを達成する演出が実行される割合が高くなる。そのため、特殊モードに制御されたときに遊技者の15R確変大当りに対する期待感を向上でき、興趣が向上する。
このように、本実施形態のパチンコ機1によると、遊技領域37内に打ち込まれた遊技球が振分装置330へ送られると、まず、貯留通路356を通って侵入口334へと送られることとなるが、この際に、貯留通路356内に所定数の遊技球が貯留されていると、振分装置330へ送られた遊技球は振分けられることなく排出通路358を介して排出される。そして、貯留通路356に貯留された遊技球は、回転体348が回転してその遊技球収容部346が侵入口334と連通すると、侵入口334を通って一つのみ案内通路332内で且つ遊技球収容部346内に侵入し収容される。そして、遊技球収容部346に遊技球を収容させた状態で回転体348を第一振分口336の方向へ回転させて、第一振分口336と遊技球収容部346とを互いに連通させると、遊技球収容部346に収容された遊技球が第一振分口336へと振分けられる。一方、遊技球収容部346に遊技球を収容させた状態で回転体348を第一振分口336とは反対の方向へ回転させて遊技球収容部346を連絡通路342と連通させると、遊技球収容部346に収容された遊技球が第二振分口338及び第三振分口340の方向へ向かって下がるように傾斜する連絡通路342を通って第二振分口338と第三振分口340との間に送られる。この状態で、回転体348を第一振分口336へ振分けた方向とは反対方向に回転させて遊技球収容部346を第二振分口338と連通させると、遊技球収容部346に収容された遊技球が第二振分口338へと振分けられ、回転体348を第一振分口336へ振分けた方向と同じ方向に回転させて遊技球収容部346を第三振分口340と連通させると、遊技球収容部346に収容された遊技球が第三振分口340に振分けられる。その後、何れかの振分口336,338,340へ振分けられた遊技球は、各振分口336,338,340の下流側に配置されたクルーンからなる第一放出部396、第二放出部402、及び第三放出部408へと送られ、そのクルーン内で渦巻状に回転して放出部396,402,408の略中心から下方へ放出される。なお、回転体348に備えられた障壁部368によって侵入口334が遊技球収容部346以外と連通しないようになっている。また、案内通路332の外周に開口している第一振分口336に対しては、案内通路332の対応する位置に形成された案内傾斜面360によって遊技球が第一振分口336へ転動するようになっている。
これにより、一つの回転体348を回転させるだけで三つの振分口336,338,340の何れかに遊技球を振分けることのできる振分装置330とすることができ、この振分装置330をパチンコ機1に用いることで、上述したような、第一受入口410へ向かう流路のうち、第一受入口410へ最も高い確率で受入れられる流路、次に高い確率で第一受入口410に受入れられる流路、第一受入口410へ殆んど受入れられない流路の何れかに遊技球を振分けることができる。
また、従来の振分装置を用いた場合のように複数の振分装置を用いる必要がなく、遊技球を振分ける振分装置330が大型化するのを抑制してパチンコ機1に占める割合が増加するのを防止することができ、遊技領域37が減少するのを抑制してより広い範囲に遊技球を流下させて遊技球の動きが単調となるのを防止して、遊技者の興趣が低下するのを抑制することができる。また、振分装置330が大型化するのを抑制することができるので、振分装置330がパチンコ機1に備えられたアタッカ装置270等の他の部材と干渉し難くすることができ、他の部材と干渉することで他の部材を配置することができなくなって変化に乏しいパチンコ機1となるのを防止して、遊技者の興趣が低下するのを抑制することができる。
更に、侵入口334から回転体348の遊技球収容部346内に侵入した遊技球が案内通路332内に留まると共に、案内通路332の幅が遊技球の外形よりも若干大きい幅とされているので、侵入口334から遊技球収容部346内へ遊技球が一つのみ侵入することとなり、遊技球を一つずつ何れかの振分口336,338,340に振分けることができ、一度の振分で複数の振分口336,338,340に遊技球が振分けられるのを防止して、振分装置330により振分けられた遊技球の動きを一つずつ確実に視認させて、その動きを充分に楽しませて遊技者の興趣を高められるものとすることができる。
また、回転体348に侵入口334への遊技球の侵入を阻止する障壁部368を備えるようにしているので、侵入口334と回転体348の遊技球収容部346とが連通していない時には、回転体348の障壁部368によって侵入口334を閉鎖することができ、遊技球が侵入口334を通って、遊技球収容部346以外の場所に侵入して不具合の原因となったり、遊技球が振分けられずに排出されてしまったりするのを防止することができる。
更に、案内通路332の外周又は軸芯方向下側(案内通路332上)に侵入口334や振分口336,338,340を開口配置するようにしているので、案内通路332の内周側に侵入口334等を開口させた場合と比較して、内周側のスペースを可及的に小さくすることができる。つまり、案内通路332の内径を可及的に小さくすることができるので、振分装置330をより小型化することができ、パチンコ機1における振分装置330の占めるスペースを可及的に少なくして、遊技球の流通空間を広くしたり、演出用役物や装飾体等の他の部材を配置可能としたりすることができ、より遊技者の興趣を高められるものとすることができる。
また、回転体348の軸芯を上下方向に延びるようにしているので、回転体348の回転面が略水平方向となり、振分装置330の上下方向の高さを可及的に少なくすることができ、相対的に振分装置330よりも下流側の高さが高くなり、遊技球の流路を含んだ遊技球演出空間308を広くして、遊技球に種々の動き(転動演出)をさせることが可能となり、より遊技球の動きを楽しませて遊技者の興趣を高められるものとすることができる。
また、連絡通路342が第二振分口338及び第三振分口340の方向に向かって低くなるように形成されているので、侵入口334から連絡通路342の端部に送られた遊技球が、重力によって自然と第二振分口338及び第三振分口340の方向へ転動し、第二振分口338と第三振分口340との間へ確実に移動させることができ、軸芯を上下方向に延びるように配置しても、遊技球を確実に何れかの振分口336,338,340へ振分けることができる。
更に、案内通路332の外周に開口する第一振分口336に向かって低くなる案内傾斜面360を備えているので、案内通路332が略水平方向に延びるように配置されていても、案内通路332上に形成された案内傾斜面360に遊技球を移動させると、案内傾斜面360に沿って遊技球が第一振分口336へと転動して第一振分口336を通過させることができるので、遊技球を確実に第一振分口336へ振分けることができる。
また、回転体348の回転位置を検知可能な回転位置検知手段としての検出部372と回転位置検出センサ384とを備えているので、回転位置検知手段によって回転体348の回転位置を検知することができ、回転体348の遊技球収容部346を侵入口334や振分口336,338,340等と確実に連通するように回転させることができる。
また、一度に多くの遊技球が侵入口334の上流側に供給されても、供給された遊技球を所定数まで貯留通路356に貯留させると共に、貯留通路356から溢れた遊技球を排出通路358によって排出するようにしているので、侵入口334の上流側で遊技球が不要に滞るのを防止することが可能となり、滞った遊技球によって不具合が発生するのを防止して、不具合によって遊技が中断して遊技者の興趣が低下するのを抑制することができる。
更に、振分口336,338,340に振分けられた遊技球を、各放出部396,402,408のクルーンによって渦巻状に回転させた後に下方へ放出するようにしており、このクルーンによって遊技球の動きが整流されるので、振分装置330から下流側への遊技球の受渡しを均一化することが可能となり、下流側の流路で遊技球に所望の演出動作を確実に付与させることができ、その演出動作によって遊技者を楽しませて、興趣が低下するのを防止することができる。また、各クルーンにおいて、渦巻状に回転する遊技球を視認することができるので、クルーン内での遊技球の動きを楽しませることができると共に、クルーン内で回転することによって遊技球が放出されるまでに一瞬遊技球の流れが停止したような状態となり、その一瞬の時間によって下流側で演出動作する遊技球への期待感を高めてより興趣を高められる効果を期待することができる。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
すなわち、上記の実施形態では、遊技機としてパチンコ遊技機1を示したが、パチンコ機以外の遊技機、例えば、スロットマシンや、パチンコ機とスロットマシンとを融合させてなる遊技機等であっても本発明を適用することができる。
また、本実施形態では、パチンコ機1のコンセプトとしてゴルフをイメージしたものを示したが、例えば、野球、テニス、バスケットボール、バレーボール、等の球技の他に、格闘技、アドベンチャー映画やゲームのシーン等をイメージしたものでも良く、躍動感に溢れた遊技媒体の動きを見せることで、興趣が低下するのを抑制することができる。
更に、本実施形態では、パチンコ機1における遊技盤5の後側に固定された装飾ユニット240の演出空間310内に、各種装飾体312、発光手段314、及び演出ユニット318等によって立体的に構成されたジオラマを配置したものを示したが、演出空間310内に、例えば、遊技状況によって可動する可動演出役物や可動装飾体などを配置しても良く、これにより、他のパチンコ機との差別化を図ることができると共に、可動する演出役物や装飾体の動きを楽しませて、興趣が低下するのを防止することができる。
また、本実施形態では、振分装置330における回転体348の軸芯を上下方向に延びるように配置したものを示したが、例えば、その軸芯を略水平方向に延びるように配置しても良い。
[振分モータの駆動制御について]
次に、図40に示した振分モータ350の駆動制御について説明する。ここでは、シーケンシャル的なフローチャートではなく、タイマ割り込みの発生ごとに実際に行うフローチャートを用いる。図86は16ms用振分モータのスケジューラ起動処理の一例を示すフローチャートであり、図87は振分モータのスケジューラの駆動パターンの一例を示すテーブルであり、図88は2ms用振分モータのスケジューラ起動処理の一例を示すフローチャートであり、図89は2ms用振分モータのスケジューラ進行処理の一例を示すフローチャートであり、図90は振分モータの駆動処理の一例を示すフローチャートである。16ms用振分モータのスケジューラ起動処理は図65に示したリセット処理におけるステップS2108の16ms定常処理の一処理として行われ、振分モータの駆動処理は図66に示したサブ側タイマ割り込み処理におけるステップS2120の2msタイマ割り込み処理の一処理として行われる。
なお、振分モータ350の駆動軸374の回転方向は、図31及び図32に示したように、回転体348が同図中時計方向に回転する場合をCW(Clock Wise)と表記し、反時計方向に回転する場合をCCW(Counter Clock Wise)と表記する。
[16ms用振分モータのスケジューラ起動処理について]
16ms用振分モータのスケジューラ起動処理が開始されると、図40に示した周辺制御基板92のサブ統合MPU520は、図86に示すように、回転体348が原位置(図31(ア)に示した回転体348の位置が原位置となる。)にある状態か否かを判定する(ステップS2170)。この判定は、回転体348の検出部372に形成されたスリット370が回転位置検出センサ384で検出されたか否かにより行う。具体的には、回転位置検出センサ384の光軸が遮断された状態から遮断されていない状態に遷移した履歴(サンプリング履歴)に基づいて行う。このサンプリング履歴は、図66で示したサブ側タイマ割り込み処理におけるステップS2120の2msタイマ割り込み処理の一処理として作成されている。
サンプリング履歴と、図40に示したサブ統合ROM522に予め記憶された履歴判定値と、が一致しているときには、回転体348が原位置にある状態と判定する。一方、一致していないときには、回転体348が原位置にない状態と判定する。
ステップS2170で回転体348が原位置にある状態のときには、図65に示したリセット処理におけるステップS2108の16ms定常処理の一処理として行われたコマンド解析処理の解析結果に基づいて後述する振分モータのスケジューラの駆動パターンを設定し(ステップS2172)、このルーチンを終了する。
一方、ステップS2170で回転体348が原位置にない状態のときには、原位置復帰動作処理を行い(ステップS2174)、このルーチンを終了する。この原位置復帰処理は、後述する原位置復帰用駆動パターンに基づいて振分モータ350を駆動制御し、回転体348を原位置に復帰させる処理である。
[振分モータのスケジューラの駆動パターンについて]
振分モータのスケジューラの駆動パターンは、図87(a)に示す原位置復帰用駆動パターン、図87(b)に示すRAMクリア時用駆動パターン、図87(c)に示すテスト用駆動パターン、図87(d)に示す左ルート用駆動パターン、図87(e)に示す中ルート用駆動パターン、図87(f)に示す右ルート用駆動パターン、の計7つが用意されており、データ0、データ1、データ2、・・・、データnという時系列のデータ配列でそれぞれ構成されている。図86に示した16ms用振分モータのスケジューラ起動処理におけるステップS2172では、例えば、左ルート用駆動パターンを、振分モータのスケジューラの駆動データとして設定する。なお、各駆動パターンのデータ0は、振分モータ350の駆動開始時に当たるため脱調しないように最初の10ステップ、つまり40ms(=4ms×10ステップ)間をスローアップさせるデータとして駆動時間が設定されている。
原位置復帰用駆動パターンは、回転体348を原位置に復帰させるための駆動パターンである。具体的には、振分モータ350を1回転させる。これにより、回転体348の案内通路332内に貯留された遊技球(1球)が外部に排出される。なお、パチンコ機1の電源投入時には、回転体348の原位置復帰処理が必ず行われるため、まず、原位置復帰用駆動パターンが読み出される。
RAMクリア時用駆動パターンは、図40に示したRAMクリアスイッチ94aが操作された旨を伝えるコマンドが主制御基板94から送信され、このコマンドを受信すると、図31及び図32に示した、振分装置330の貯留通路356に貯留された遊技球を排出して原位置に復帰するための駆動パターンである。具体的には、図32(オ)に示した中ルートから遊技球を排出するように振分モータ350を回転させる。ここで、RAMクリアスイッチ94aが操作されると、その後、遊技を再開できる状態に復帰するが、貯留通路356は、上述したように、5球の遊技球を貯留することができるため、貯留している遊技球をできるだけ速く外部に排出しないと、排出している状態又は排出しきれない状態(遊技球が貯留された状態)で復帰することとなる。これにより、RAMクリアスイッチ94aを操作して主制御基板92の主制御MPU504の内蔵RAMから遊技情報を消去しても、RAMクリアスイッチ94aが操作される前の遊技によって貯留された遊技球が残ることとなり、遊技内容の全消去にならないおそれがある。これを回避するために、貯留通路356に貯留された遊技球を中ルートから外部に排出することで対応している。この中ルートは、左ルート及び右ルートに比べて落下後の遊技球が演出ユニット318内を転動等する時間が短くなるように設計されている。なお、RAMクリアスイッチ94aが操作するときには、パチンコ機1の電源投入を行う時であるため、電源投入時における回転体348の原位置復帰処理で原位置復帰用駆動パターンが読み出されて1球の遊技球が外部に排出され、続いてRAMクリア時用駆動パターンが読み出された5球の遊技球が外部に排出される。このように、最大で6球の遊技球が排出できるようになっている。これは、上述したように、貯留通路356に貯留できる遊技球の球数と案内通路332に取り込んだ遊技球とを合わせると、6球となるからである。
テスト用駆動パターンは、製造ラインの検査工程において、振分装置330の左ルート、中ルート及び右ルートから遊技球が排出されるか否かを検査するための駆動パターンである。具体的には、具体的には、図31(イ)に示した左ルートから遊技球を排出するように振分モータ350を回転させ、図32(オ)に示した中ルートから遊技球を排出するように振分モータ350を回転させ、図32(カ)に示した右ルートから遊技球を排出するように振分モータ350を回転させ、もう一度、中ルートから遊技球を排出するように振分モータ350を回転させ、更にもう一度、中ルートから遊技球を排出するように振分モータ350を回転させる。製造ラインの検査人は、検査時には3球の遊技球を用いて行うが、4球又は5球を用いる場合もあるため、余分な遊技球をできるだけ速く外部に排出するため、余分な遊技球を、つまり余分に貯留された遊技球を中ルートから外部に排出することで対応している。この中ルートは、上述したように、左ルート及び右ルートに比べて落下後の遊技球が演出ユニット318内を転動等する時間が短くなるように設計されている。
左ルート用駆動パターンは、振分装置330の貯留通路356に貯留された遊技球を左ルートから排出して原位置に復帰するための駆動パターンである。具体的には、図31(イ)に示した左ルートから遊技球を排出するように振分モータ350を回転させる。
中ルート用駆動パターンは、振分装置330の貯留通路356に貯留された遊技球を中ルートから排出して原位置に復帰するための駆動パターンである。具体的には、図32(オ)に示した中ルートから遊技球を排出するように振分モータ350を回転させる。
右ルート用駆動パターンは、振分装置330の貯留通路356に貯留された遊技球を右ルートから排出して原位置に復帰するための駆動パターンである。具体的には、図32(カ)に示した右ルートから遊技球を排出するように振分モータ350を回転させる。
[2ms用振分モータのスケジューラ起動処理について]
2ms用振分モータのスケジューラ起動処理が開始されると、周辺制御基板92のサブ統合MPU520は、図88に示すように、アドレスセットフラグST−FLGが値0であるか否かを判定する(ステップS2180)。このアドレスセットフラグST−FLGは、上述した振分モータのスケジューラの駆動パターンの先頭アドレスがセットされているとき値1、セットされていないとき(セットする準備が整ったとき)値0にそれぞれ設定される。
ステップS2180でアドレスセットフラグST−FLGが値0であるとき、つまり振分モータのスケジューラの駆動パターンの先頭アドレスがセットされていないときには、振分モータのスケジューラの駆動パターンの先頭アドレスをセットする(ステップS2182)。この振分モータのスケジューラの駆動パターンの先頭アドレスは、図86に示した16ms用振分モータのスケジューラ起動処理におけるステップS2172で設定した振分モータのスケジューラの駆動パターンのデータ0を示す(例えば、図87で示した左ルート用駆動パターンのデータ0)。
ステップS2182に続いて、振分モータのスケジューラの駆動パターンの先頭アドレスをセットしたとしてST−FLGに値1をセットし(ステップS2184)、このルーチンを終了する。
一方、ステップS2180でアドレスセットフラグが値0でない(値1である)とき、つまり振分モータのスケジューラの駆動パターンの先頭アドレスがセットされているときには、そのままこのルーチンを終了する。
[2ms用振分モータのスケジューラ進行処理について]
2ms用振分モータのスケジューラ進行処理が開始されると、周辺制御基板92のサブ統合MPU520は、図89に示すように、駆動時間が終了したか否かを判定する(ステップS2190)。この判定は、振分モータのスケジューラの駆動パターンのデータに設定された駆動時間が経過したか否かにより行う。具体的には、例えば、図87に示した左ルート用駆動パターンのデータ0に設定された駆動時間40msを、後述する振分モータの駆動処理における2msタイマ一括減算処理で減算し、その後、値0になったか否かにより行う。
ステップS2190で駆動時間が経過したときには、振分モータのスケジューラの駆動パターンのデータを1つ進め(例えば、図87に示した左ルート用駆動パターンのデータ0からデータ1に進め、ステップS2192)、データがあるか否かを判定する(ステップS2194)。この判定は、進めたデータに駆動データ終了因子が含まれているか否かにより行う。例えば、図87に示した左ルート用駆動パターンの最終データ10に駆動データ終了因子が含まれていると、左ルート用駆動パターンが終了することを意味する。
ステップS2194で駆動データ終了因子が含まれているときには、次の振分モータのスケジューラの駆動パターンの先頭アドレスをセットする準備が整ったとしてアドレスセットフラグST−FLGに値0をセットし(ステップS2196)、このルーチンを終了する。
一方、ステップS2190で駆動時間が経過していないとき又はステップS2194で駆動データ終了因子が含まれていないときには、そのままこのルーチンを終了する。
[振分モータの駆動処理について]
振分モータの駆動処理が開始されると、周辺制御基板92のサブ統合MPU520は、図90に示すように、2msタイマ一括減算処理を行う(ステップS2200)。この2msタイマ一括減算処理では、上述した振分モータのスケジューラの駆動パターンの駆動時間を2msずつ減算する処理を行う。例えば、図87で示した左ルート用駆動パターンのデータ0では、駆動時間40msから2msずつ、38ms、36ms、・・・、そして0msと、この2msタイマ一括減算処理が行われるごとに減算される。
ステップS2200に続いて、2ms用振分モータのスケジューラ起動処理を行う(ステップS2202)。この2ms用振分モータのスケジューラ起動処理では、図88で示したように、振分モータ350を駆動する振分モータのスケジューラの駆動パターンの先頭アドレスをセットする処理を行う。
ステップS2202に続いて、2ms用振分モータのスケジューラ進行処理を行う(ステップS2204)。この2ms用振分モータのスケジューラ進行処理では、図89に示したように、振分モータ350を振分モータのスケジューラの駆動パターンに基づいて進行する処理を行う。
ステップS2204に続いて、振分モータ駆動データの作成を行い(ステップS2206)、作成した振分モータ駆動データをランプ駆動基板532に駆動データMT−DATとして出力し(ステップS2208)、このルーチンを終了する。
サブ統合MPU520は、図41に示した振分モータ用シリアル出力送信ポート520bから転送クロックMT−CLKと同期して、上述したステップS2208で駆動データMT−DATとしての振分モータ駆動データの最上位ビットから最下位ビットまでを順に1ビットずつランプ駆動基板532に出力する。これにより、振分モータ駆動データはランプ駆動基板532のシリアルパラレル変換部532bにシフトされる。このシリアルパラレル変換部532bは、図41に示した、サブ統合MPU520のパラレル出力ポート(出力ポート)520cからラッチ信号MT−LATが入力されると、シリアルパラレル変換部532bが振分モータ350の各相(φ1,φ2,φ3,φ4)に駆動信号(励磁信号)を出力し、振分モータ350のCW又はCCWの回転運動となる。
以上説明した本実施形態のパチンコ機1によれば、遊技盤5、第一始動口212、第二始動口214、中央役物200を備えている。遊技盤5は遊技球が打ち込まれる遊技領域37が形成されており、第一始動口212及び第二始動口214は遊技領域37内に配置されている。中央役物200は遊技領域37内のほぼ中央に配置されており、種々の演出画像を表示する演出表示装置202が組み付けられている。
中央役物200は、少なくとも、アタッカ装置270、遊技球演出空間308、振分装置330を備えている。アタッカ装置270は大入賞口272が設けられている。遊技球演出空間308は大入賞口272に入球した遊技球が流通可能となっており、遊技領域37と分離区画され、視認可能となっている。振分装置330は大入賞口272に入球した遊技球を貯留し、その貯留した遊技球を、第一振分口336、第二振分口338及び第三振分口340のうちいずれか1つの振分口に振り分けて遊技球演出空間308に誘導する。
アタッカ装置270は、少なくとも、アタッカソレノイド276、カウントセンサ278を備えている。アタッカソレノイド276は開閉部材274を開閉動作させて大入賞口272に遊技球が入球可能な開放状態又は入球困難な閉鎖状態にし、カウントセンサ278は大入賞口272に遊技球が入球したことを検出する。
振分装置330は、少なくとも、貯留通路356、排出通路358、侵入検出センサ382、振分モータ350を備えている。貯留通路356はカウントセンサ278で検出された遊技球を貯留し、排出通路358は貯留通路356で貯留されなかった遊技球を遊技領域37内に戻すことなく外部に排出し、侵入検出センサ382は貯留通路356に遊技球が侵入したことを検出する。振分モータ350は、その回転方向の切り替えが制御されて貯留通路356に貯留された遊技球を、第一振分口336、第二振分口338及び第三振分口340のうちいずれか1つの振分口に振り分けて遊技球演出空間308に誘導する。
このように、振分装置330には振分モータ350が1台のみ備えており、この振分モータ350の回転方向を制御することで複数の振分口である、第一振分口336、第二振分口338及び第三振分口340のうちいずれか1つの振分口に振り分けることができる。これにより、第一振分口336、第二振分口338及び第三振分口340に振り分けるための振分モータをそれぞれ設ける場合に比べて振分モータの発熱を抑えることができ、パチンコ島設備の温度上昇の抑制に寄与することができる。
また、振分装置330は、貯留通路356に貯留された遊技球を、第一振分口336、第二振分口338及び第三振分口340のうちいずれか1つの振分口に振り分ける際に、演出表示装置202に表示する演出画像に対応する振分口に振り分けるため、大入賞口272に入球した遊技球が演出表示装置202に表示する演出画像に対応する振分口に振り分けられて遊技球演出空間308に誘導されると、遊技者は、演出表示装置202に表示される演出画像に加えて遊技球演出空間308に誘導された遊技球の行き先に興味がわき、新鮮味を失いにくくなる。これにより、遊技者の遊技の低下を抑制することができる。
更に、貯留通路356は少なくとも2球の遊技球を貯留可能に構成されており、侵入検出センサ382は貯留通路356に貯留されている遊技球を検出可能に配置されている。振分装置330は、カウントセンサ278により大入賞口272に遊技球が入球したことを検出したあと、入球した遊技球が貯留通路356で貯留されずに排出通路358を通って排出された場合であっても、貯留通路356にすでに貯留された遊技球を、第一振分口336、第二振分口338及び第三振分口340のうちいずれか1つの振分口に振り分けている。このため、大入賞口272に入球した遊技球が貯留通路356に何らかの原因により貯領されなかった場合でも、振分装置330がすでに貯留通路356に貯留された遊技球を用いて、第一振分口336、第二振分口338及び第三振分口340のうちいずれか1つの振分口に振り分けることができる。したがって、遊技者が大入賞口272に遊技球を入球させて貯留通路356に貯留されなくても、振分装置330がすでに貯留された遊技球を用いて振分口から遊技球演出空間308に誘導することができ、遊技者に不安感を与えない。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、パチンコ機1を例にとって説明したが、本発明が適用できる遊技機はパチンコ機に限定されるものではなく、パチンコ機以外の遊技機、例えばスロットマシン又はパチンコ機とスロットマシンとを融合させた融合遊技機(遊技球を用いてスロット遊技を行うもの。)などにも適用することができる。