JP4911514B2 - マイクロチップ、液体分注方法 - Google Patents

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Description

本発明は細胞培養や生化学分析、化学反応などを効率良く行う生化学試験用マイクロチップを用いて微量液体を分注する液体分注方法および、微量液体の分注を可能とするマイクロチップに関する。
コンビナトリアル・ケミストリーや生化学スクリーニングにおいては、微少量の液体を正確に秤取し、複数の液体を混合する技術が必要とされている。従来、少量の液体を秤量し、混合する場合、ピペットマン等のような、液体を定量的に秤取し、マイクロプレートやマイクロチューブに分注し、数種類の液体を混合する方法などがあるが、非常に手間がかかり、かつ多量のサンプルが必要になるという問題点があった。
一方、近年、半導体微細加工技術を応用して、ある特定の形状を有するマイクロ流体デバイス(以下、マイクロデバイス、または単にデバイスと呼ぶ)を作製し、そのデバイスにパルス圧などを用いて液体を流すだけで、流路構造の容積に応じた体積の液体を簡便かつ定量的に秤取できることが報告されている(例えば特許文献1−3、非特許文献1)。
また、これらのデバイスを使用することにより、2種類以上の液体を混合することが可能となる。
しかし上記の技術では、3種類以上の液体を混合するためには流路構造の立体交差が必要となるため、デバイスの作製が困難になり、また混合する液体の種類が増える場合には圧力印加の回数が増加し、操作が煩雑になるという問題があった。
また、下記特許文献4にはデバイスの構造を工夫して複数の液体の混合を可能とする構造が開示されているが、混合される液体の数はデバイスの構造に依存してしまう。さらに、この方法を用いても5種類以上の液体を混合することは現実的に困難である。
また、いずれの技術も、秤量した複数の液体を混合するためのチャンバーを多数設けるとなると、デバイス構造がかなり複雑になり、デバイスの無用な大型化、コスト上昇を招く。混合する各液体の秤量、混合のための操作も複雑化する。
一方、放射状に加工された複数のチャンバーを有するチップ状のデバイス(以下、マイクロチップ、あるいは、単にチップとも言う)の中心部に液体を導入し遠心力を用いて各チャンバーに液体を遠心分注する方法も報告されている(例えば特許文献5)。
しかしながら、この方法では複数の液体を秤量し、混合することは困難であり、これを実現した技術は発見できない。特許文献5においても、複数の液体を秤量し、混合するための技術は開示されていない。
例えば、遠心力付与装置に対するチップのセット位置のずれ等によって、チャンバーにチップの回転中心からの距離のバラツキが発生したり、チップ中心部に導入する液体の量が充分でなかった場合では、分注される液体の量に偏りが生じてしまう。また、遠心力付与装置の精度に起因する遠心力のバラツキも、チャンバーに分注される液体の量のバラツキの原因になるため、チャンバーの液体導入量に高い精度が要求される場合などでは、高精度の高価な装置が必要となる。すなわち、マイクロチップの中心部に導入した液体を、遠心力を用いて各チャンバーに分注する従来技術では、個々のチャンバーに遠心分注される液体の量が、遠心力付与装置に対するチップのセット位置のずれ等に影響を受けやすい。このため、個々のチャンバーについての液体導入量の安定化が難しく、したがって、チャンバーにて複数の液体を混合することに応用しようとしても、所望の混合比を安定に得ることが容易でなく、複数の液体を混合する技術への応用の障害になっていた。
また、例えば前記特許文献5のように、放射状に加工された流路の先にチャンバーを加工するチップ構造では、個々のチャンバーに分注される液体の量の安定化に鑑みて、チャンバーを同心円上に配置する必要があり、チャンバー位置等のチップ設計の制約が大きかった。このため、チャンバーを集積化することが困難であった。
特開2004−163104号公報 特開2004−157097号公報 特開2002−357616号公報 特開2006−263695号公報 特開2006−126010号公報 「アナリティカル・ケミストリー(Analytical Chemistry)」(2004)、76、pp.895−899
特許文献5のように、マイクロチップの中心部に液体を導入し遠心力を用いて各チャンバーに液体を遠心分注する技術では、多数のチャンバーへの液体の分注を、簡単に、効率良く行える、といった利点がある。しかしながら、上述のように、これまで、複数の液体の秤量、所望の混合比での混合を実現することが難しく、実現のための技術を開示する提案も見られない。
複数の液体の秤量、混合の効率化の要求に鑑みると、既述の特許文献1−5、非特許文献1等の周知技術は一長一短であり、要求を満たせるものは無い。
このため、複数の液体の秤量、混合を、簡単に効率良く実現できる適切な技術の開発が求められていた。
本発明は、前記課題に鑑みて、複数の液体の秤量、混合を、簡単に効率良く実現でき、また、チャンバー位置等のチップ設計の自由度向上によりチャンバーの集積化も容易に実現できるマイクロチップ、液体分注方法の提供を目的としている。
上記課題を解決するために、本発明では以下の構成を提供する。
第1の発明では、送液空間と該送液空間に連通する複数の秤量空間とからなる複数の送液秤量部と、複数のマイクロチャンバーとを具備し、
前記複数の送液秤量部は、前記秤量空間に該秤量空間を介して前記マイクロチャンバーとは反対の側に位置する送液秤量部の前記秤量空間を連通させて、前記マイクロチャンバーを起点として多段に接続され、
前記マイクロチャンバーから1番目の送液秤量部の前記秤量空間から前記マイクロチャンバーへ液体を導入する際の毛細管現象に起因する流入抵抗圧力を、前記1番目の送液秤量部の前記送液空間から前記秤量空間へ液体を導入する際の流入抵抗圧力よりも大きい流入抵抗圧力とする一の流入抑制手段と、前記マイクロチャンバーからa番目(但し、aは1以上の整数)の送液秤量部の前記秤量空間にa+1番目の前記送液秤量部の前記秤量空間から液体を導入する際の毛細管現象に起因する流入抵抗圧力を、前記a+1番目の送液秤量部の前記送液空間から前記秤量空間へ液体を導入する際の流入抵抗圧力よりも大きい流入抵抗圧力とする二の流入抑制手段とが、各送液秤量部の秤量空間に対応させて前記マイクロチャンバーを起点として多段に設けられ
多段の前記流入抑制手段は、前記マイクロチャンバーから遠いもの程、液体に与える流入抵抗圧力が大きく設定してあることを特徴とするマイクロチップを提供する。
第2の発明は、ひとつの前記マイクロチャンバーに多段に接続されている前記秤量空間の合計容量が、前記マイクロチャンバーの液体容量以下であり、
しかも、ひとつの前記マイクロチャンバーに多段に接続されている前記秤量空間の相互の容量比が、前記マイクロチャンバー毎に異ならせてあることを特徴とする第1の発明のマイクロチップを提供する
第3の発明は、前記マイクロチャンバーの内面の内、少なくとも前記秤量空間側からの液体の導入口付近が、秤量空間内面に比べて液体に対する親和性を低くした低親和性面とされ、この低親和性面が、前記一の流入抑制手段として機能することを特徴とする第1又は2の発明のマイクロチップを提供する。
第4の発明は、前記マイクロチャンバーから1番目の送液秤量部の前記秤量空間と前記マイクロチャンバーとが、秤量空間内面に比べて液体に対する親和性が低い内面を持つ流路を介して互いに連通され、前記流路が前記一の流入抑制手段として機能することを特徴とする第1〜3のいずれか1つの発明のマイクロチップを提供する。
第5の発明は、前記マイクロチップは、前記マイクロチャンバーから1番目の送液秤量部の前記秤量空間と前記マイクロチャンバーとの間に設けられて両者を連通させるチャンバー接続流路を具備し、
前記チャンバー接続流路は、該チャンバー接続流路と前記マイクロチャンバーから前記1番目の送液秤量部の前記秤量空間とによって構成されて前記送液空間から前記マイクロチャンバーへ液体を流入させる流路において、前記マイクロチャンバーから前記1番目の送液秤量部の前記秤量空間に比べて流路断面積が小さい狭隘部であり、前記一の流入抑制手段として機能することを特徴とする第1〜4のいずれか1つの発明のマイクロチップを提供する。
第6の発明は、前記二の流入抑制手段が、前記マイクロチャンバーからb番目の送液秤量部の前記秤量空間とb+1番目の前記送液秤量部の前記秤量空間との間を連通させて、両秤量空間の間の液流路において流路断面積が最も小さい狭隘部として機能する接続流路であることを特徴とする第1〜5のいずれか1つの発明のマイクロチップを提供する。
第7の発明は、前記マイクロチャンバーからc番目の送液秤量部の前記秤量空間とc+1番目の前記送液秤量部の前記秤量空間との間が接続流路を介して連通され、該接続流路は、両秤量空間の間の液流路において液体に対する流路内面の親和性が最も低く、前記二の流入抑制手段として機能することを特徴とする第1〜6のいずれか1つの発明のマイクロチップを提供する。
第8の発明は、前記一の流入抑制手段及び/又は前記二の流入抑制手段が、前記送液秤量部の前記秤量空間からマイクロチャンバー側への液体送出口に連通し前記秤量空間よりも流路断面積が小さい狭隘流路であり、
前記マイクロチャンバーに連通する多段の前記送液秤量部の内の複数に設けられた前記狭隘流路が、前記マイクロチャンバーから遠いもの程、流路長が長く形成されていることを特徴とする第1〜7のいずれか1つの発明のマイクロチップを提供する。
第9の発明は、前記マイクロチャンバーと、前記接続流路とに、排気用のガス抜き流路が連通されていることを特徴とする第又はの発明のマイクロチップを提供する。
第10の発明は、前記マイクロチャンバーと、前記マイクロチャンバーから1番目の送液秤量部を除く全ての送液秤量部の前記秤量空間とに、排気用のガス抜き流路が連通されていることを特徴とする第22〜31のいずれかの発明のマイクロチップを提供する。
第11の発明は、前記各送液秤量部の前記送液空間が、一の位置から二の位置へ前記液体を流通させる流路とされ、
前記送液空間は、前記液体の流通方向の両端部の一方に気体入口、他方に気体出口を備え、前記送液空間の前記気体入口と前記気体出口との間に前記複数の秤量空間が接続されており、
前記送液空間から前記秤量空間に液体を導入した後に、前記気体入口から、前記秤量空間から前記マイクロチャンバーへの液体の流入を可能にする圧力よりも弱い圧力で気体を前記送液空間に圧送して前記送液空間内の液体を取り除くことにより、前記秤量空間の容積に応じた液体を秤量できることを特徴とする第1〜10のいずれか1つの発明のマイクロチップを提供する。
第12の発明は、前記送液空間が、一の位置に設けられている液入口から二の位置に設けられている液出口へ前記液体を流通させる流路とされ、
前記液入口から前記送液空間を介して前記秤量空間に液体を導入した後に、前記マイクロチャンバーへの液体の流入を可能にする力よりも弱い遠心力を作用させ、送液空間内の液体を前記液出口から排出して前記送液空間から液体を取り除くことにより、前記液入口と前記液出口との間に接続されている前記秤量空間の容積に応じた液体を秤量できることを特徴とする第1〜11のいずれか1つの発明のマイクロチップを提供する。
第13の発明は、1本の送液空間について設けられる前記複数の秤量空間が、前記一の位置と前記二の位置との間にて前記送液流路の前記液体の流通方向に沿った複数箇所に接続されていることを特徴とする第11又は12の発明のマイクロチップを提供する。
第14の発明は、前記送液空間は、液入口が設けられている導入空間部と、この導入空間部から延在し前記導入空間部に連通する基端から液出口が設けられている終端へ前記液体を流通させる配液流路とを具備し、
前記配液流路は、前記基端からの流路長が大きい所ほど前記基端からの直線距離が大きくなるように延在形成され、
複数の前記秤量空間が、前記配液流路の前記基端と前記終端との間にて、前記配液流路の前記液体の流通方向に沿った複数箇所に接続されていることを特徴とする第1〜13のいずれか1つの発明のマイクロチップを提供する。
第15の発明は、第1〜14のいずれか1項に記載のマイクロチップに遠心力を作用させて、前記マイクロチップの複数のマイクロチャンバーに液体を分注する液体分注方法であって、
前記送液空間から前記秤量空間に液体を導入した後に、前記送液空間の液体を取り除くことにより前記秤量空間の容積に応じた液体を秤量する秤量工程を各送液秤量部について行い、前記秤量工程にて秤量された液体を、前記各送液秤量部の前記秤量空間から、前記マイクロチップに作用させた遠心力により前記マイクロチャンバーに分注することを特徴とする液体分注方法を提供する。
本発明によれば、個々の秤量空間に液体を導入した後に、個々の秤量空間内の液体を送液空間内の液体から切り離す。これにより、秤量空間の容積に応じた量の液体を確実に秤量できる。その後に、秤量済みの液体を、マイクロチップに遠心力を作用させることにより、複数のマイクロチャンバー(以下、単にチャンバーとも言う)に分注するので、秤量済みの液体を、複数のチャンバーへの液体導入のための操作が簡単である。秤量空間の容積に応じた量の液体を分注するので、個々のチャンバーに導入される液量の安定化を図れることも言うまでも無い。また、これにより、複数の液体を、所望の混合比で混合することも容易になる。
また、秤量済みの液体を、マイクロチップに遠心力を作用させることにより、複数のチャンバーに分注する構成であれば、マイクロチップの構造も簡素化できる。複数のチャンバーにて、秤量した複数の液体を所望の混合比で混合することを、マイクロチップを無用に複雑化、大型化することなく実現できる。例えば、特許文献1−3、非特許文献1に記載の技術と比較して、簡単なチップ構造によって3種類以上の液体を混合することが可能となり、秤量する際の圧力操作も簡便になる。特許文献4に記載の技術と比較しても複数の液体の秤量及び混合は容易となる。
また、本発明では、秤量空間の容積に応じた量の秤量済みの液体を遠心力によりチャンバーに送液するので、チャンバーごとの液量の偏りが生じにくい。例えば、遠心力付与装置に対するチップのセット位置のずれや、チップ中心部に導入する液体の量、遠心力付与装置の精度等(その他には、チップにおけるチャンバーの形成位置のバラツキ等も挙げられる)に、チャンバーごとの分注液量が影響を受けにくく、秤量によって決まった量の液体を確実に分注できる。遠心力付与装置に対するチップのセット位置の精度緩和によって、マイクロチップを用いた液体の秤量、分注の作業の効率化も実現できる。
さらには、マイクロチャンバーを同心円上に配置する必要がないのでマイクロチャンバーの集積化が可能といった利点もある。
以下、本発明を実施したマイクロチップ(以下、単にチップとも言う)、液体分注方法について、図面を参照して説明する。
ここで説明するチップは、細胞培養や生化学分析、化学反応などを行うための生化学試験用マイクロチップである。
例えば図1等に示すように、このチップ11は、内部に、微細加工技術により形成した微細流路状の送液分注部12を有する。
送液分注部12は、液体が導入される送液空間と、この送液空間に連通する複数の秤量空間と、前記秤量空間に連通する複数のマイクロチャンバー(以下、単に、チャンバーとも言う)とを具備し、送液空間に設けられている液入口からチャンバーまで連続する流路状の空間になっている。送液空間から導入された液体を、複数のチャンバーに送液、分注できる。
上述のように微細な流路形状の送液分注部12を有する前記チップ11は、例えば、RIE(Reactiveionetching)、レーザー、NC加工機などを使用して作製することができる。
また、レプリカモールディング法を用いてPDMS(Polydimethylsiloxane)にて微細な流路形状を持ったマイクロチップを作製する(マイクロチップの製造方法)こともできる。例えば、Rapid Prototypingを用いて、厚膜フォトレジスト(SU−8)による型をSi基板上に作成し、これをPDMSに転写し、流路となるチャンネルパターンが形成された一方側のポリマー基材(下方側のチップ)を作成し、他方、平らなポリマー基板を下部とし、Oプラズマにより貼り合わせて検体試料用マイクロチップを作成する。
但し、本明細書にて説明する本発明に係るチップの構造は、上述の製造方法によって製造されるものに限定されないことは言うまでも無い。
(第1参考例
本発明の第1参考例を説明する。
図1はチップ11の構造を説明する説明図(平面図。但し、チップ11内の送液分注部12、ガス抜き流路13を透視して図示した)、図2は前記チップ11の送液分注部12の秤量空間122及びチャンバー123の付近を拡大して示した図、図3(a)−(c)はチップ11に本発明に係る液体分注方法を適用したときの、送液分注部12内の液体8の移動を説明する図、図4はチップ11の断面構造を示す図である。
また、図5(a)、(b)は、前記チップ11と、該チップ11に遠心力を作用させる遠心力付与装置9との関係を示す。
(チップ構造)
図5(a)に示すように、チップ11は外観板状に形成されている。
図1、図2に示すように、前記チップ11の内部に設けられている送液分注部12は、送液流路121(送液空間)と、この送液流路121に連通させて該送液流路121の延在方向(流路長の方向)の複数箇所に設けられた秤量空間122と、個々の秤量空間122に連通させて設けられたチャンバー123と、を具備する概略構成になっている。送液分注部12は、さらに、秤量空間122とチャンバー123との間、あるいは、チャンバー123内に、流入抑制手段(後述)を備えている。
前記送液流路121は、チップ11において互いに離隔させて設けられた液入口124と液出口125との間を連通させ、前記液入口124(一の位置)から前記液出口125(二の位置)へ液体8を流通させる流路である。
この送液流路121は、液入口124から液出口125に向かって延在し、液出口125に到達している。
図1においては、液入口124と液出口125とは、板状のチップ11の面方向において互いに異なる位置に形成されており、前記送液流路121は、チップ11の面方向に沿って延在形成されている。
図4に示すように、秤量空間122及びチャンバー123は、チップ11内において、一平面(仮想平面。以下、配列平面2S)に沿って配列形成されている。前記送液流路121も、配列平面2Sに沿って延在形成されている。
図4に示すように、送液分注部12において送液流路121からチャンバー123側に位置して、秤量空間122とチャンバー123とを両端とする流路状部分である秤量分注ユニット126は、前記送液流路121から、該送液流路121の延在方向(液体流通方向)に直交する方向へ前記配列平面2Sに沿って延在形成されている。また、図4において、前記送液流路121は配列平面2S上(配列平面2Sと重なっている)に延在形成されており、前記配列平面2Sは送液流路121を介して両側に延在するが、秤量分注ユニット126は、送液流路121を介して両側の内の片側に、前記配列平面2Sに沿って設けられている。
つまり、チップ11においては、流路状の秤量分注ユニット126の送液流路121からの延出方向が、全ての秤量分注ユニット126について、同じに揃えられている。送液流路121からチャンバー123へ送液される液体の秤量分注ユニット126における流通方向が、全ての秤量分注ユニット126について同じに揃っている。
図1−図4に例示したチップ11においては、配列平面2Sは、板状のチップ11の表裏両面に沿って延在している。このため、前記送液分注部12は全体としてチップ11の面方向に沿って延在するようにして形成されている。
流入抑制手段は、前記秤量空間122から前記チャンバー123へ液体8を導入する際の毛細管現象に起因する流入抵抗圧力を、前記送液流路121から前記秤量空間122へ液体8を導入する際の流入抵抗圧力よりも大きい流入抵抗圧力とするものである。この流入抑制手段によって、秤量空間122に比べてチャンバー123の方が、液体8が入りにくくしてある。流入抵抗圧力に対して液体8の導入を可能にするために液体8に作用させる力は、秤量空間122に比べてチャンバー123の方が、より大きい力を要する。
以下、流入抑制手段の具体例(流入抑制手段の第1−4例)を説明する。
なお、説明の便宜上、秤量分注ユニット126についても、流入抑制手段の構成の違いに対応させて、区別のため、126−1、126−2、…の符号を付して説明する。
(流入抑制手段の第1例、秤量分注ユニット126−1)
図1、図2、図3(a)−(c)では、流入抑制手段として、秤量空間122とチャンバー123との間に設けられて両者を連通させる接続流路127(連通接続部)を例示している。図示例の接続流路127は、秤量分注ユニット126において、送液流路121側からチャンバー123への送液のための流路断面積が前記秤量空間122に比べて小さい狭隘部になっている。接続流路127は、該接続流路127と前記秤量空間122とによって構成されて、前記送液流路121から前記チャンバー123へ液体8を流入させる導入流路において、流路断面積が最小の部分として機能する。したがって、前記秤量空間122から前記チャンバー123へ液体8を導入する際の毛細管現象に起因する流入抵抗圧力が、前記送液流路121から前記秤量空間122へ液体8を導入する際の流入抵抗圧力よりも大きくなっている。
(流入抑制手段の第2例、秤量分注ユニット126−2)
図6に示すように、秤量空間122とチャンバー123とを、秤量空間122内面に比べて液体8に対する親和性が低い内面を持つ接続流路128(連通接続部)を介して互いに連通させる。接続流路128が、流入抑制手段として機能する。
この場合、図6に示すように、接続流路128の太さ(秤量分注ユニットにおける流路断面積)を秤量空間122と同じに揃えることも可能である。秤量空間122と接続流路128とは、液体流通方向に沿って断面形状が一定の1本の流路を構成し、しかも、秤量空間122と接続流路128とが構成する流路のチャンバー123側端部は、秤量分注ユニットの第1例に例示したような狭隘な接続流路を介することなく、直接、チャンバー123に連通されている。この構成の場合、秤量分注ユニットの第1例に比べて、秤量分注ユニットの形状が単純になるため、チップ11の製造上、送液分注部の形成が容易になるといった利点がある。
(流入抑制手段の第3例、秤量分注ユニット126−3)
流入抑制手段の第1例、秤量分注ユニット126−1の接続流路の内面の液体8に対する親和性を、秤量空間122内面に比べて低くする。この場合も、接続流路が流入抑制手段として機能することは言うまでもない。
(流入抑制手段の第4例、秤量分注ユニット126−4)
前記マイクロチャンバーの内面の内、少なくとも前記秤量空間側からの液体の導入口付近を、秤量空間内面に比べて液体に対する親和性を低くした低親和性面とし、前記低親和性面を前記流入抑制手段として機能させる。
この場合は、図7に示すように、秤量空間122を直接、チャンバー123に連通させた構成を採用できる。
図7は、チャンバー123内面全体を低親和性面129とした構成を例示している。
ここで説明するチップ11にあっては、上述のいずれの構成の秤量分注ユニットも採用可能である。このことは、後述する他の参考例及び実施形態でも同様である。
また、流入抑制手段は、前記秤量空間122から前記チャンバー123へ液体8を導入する際の毛細管現象に起因する流入抵抗圧力を、前記送液空間121から前記秤量空間122へ液体8を導入する際の流入抵抗圧力よりも大きい流入抵抗圧力とするものであれば良く、上述の構成に限定されない。
前記チップ11は、前記秤量空間122の液体容量が、前記チャンバー123の液体容量の半分以下になっている。
後述のように、チップ11を用いた液体分注方法にあっては、秤量空間122の液体容量に応じた液量の液体8を定量的に秤量し、この秤量済みの液体8を秤量空間122からチャンバー123へ送液して、導入する。したがって、秤量空間122の液体容量が、前記チャンバー123の液体容量の半分以下になっている構成であれば、秤量済みの液体8を秤量空間122からチャンバー123へ送液して、導入する操作を複数回行える。これにより、複数種の液体8の混合も容易に実現できる。チップ11の設計上、秤量空間122の液体容量と、前記チャンバー123の液体容量とを調整することで、10種類以上の液体の混合も容易に実現できる。
(ガス抜き流路)
前記送液分注部12の複数のチャンバー123には、それぞれ、チップ11内部に形成された、排気用のガス抜き流路13が連通されている。
液体導入前の空のチャンバー123(例えば、空気のみが入っている状態)に、秤量空間122から送液した液体8を導入する際に、ガス抜き流路13からチャンバー123内の空気を排気できる。チャンバー123からの空気の排気は、チャンバー123に導入される液体8の流入圧によるガス抜き流路13への押し出しの他、このガス抜き流路13内の気体をチップ11の外へ排気するためのガス出口131から吸引することによっても実現できる。
なお、液体導入前の空のチャンバー123内に入っている気体としては空気に限定されない。例えば、液体の酸化防止等に鑑みて、送液分注部12への液体の導入を、不活性ガス、その他、空気以外の雰囲気中にて行う場合などでは、液体導入前の送液秤量部2に入り込んだ雰囲気の気体が、秤量空間122から送液した液体8をチャンバー123へ導入する際に、チャンバー123からガス抜き流路13を介して排気すべき気体となることもあり得る。
前記ガス抜き流路13は、チャンバー123からの液体8の流入を防ぐために、例えば、チャンバー123に連通する流路端部内面の液体8に対する親和性の調整(親和性を低くする)や、流路断面積を小さくする(特に、チャンバー123に連通する流路端部における流路断面積の縮小)こと、などによって、前記チャンバー123からガス抜き流路13へ液体8が流入する際の毛細管現象に起因する流入抵抗圧力を、前記秤量空間122から前記チャンバー123へ液体8を導入する際の流入抵抗圧力よりも大きい流入抵抗圧力とすることが好ましい。
(液体分注方法)
次に、上述のチップ11を用いて、液体8を複数のチャンバー123に分注する液体分注方法を、図3(a)−(c)を参照して説明する。
この液体分注方法の概略は、以下の通りである。
まず、前記送液流路121から前記秤量空間122に液体8を導入(図3(a))した後に、前記送液流路121の液体8を取り除く(図3(b))。これにより前記秤量空間122の容積に応じた液体8を秤量する(秤量工程)。
次いで、秤量された液体を前記チップ11に作用させた遠心力により複数のチャンバー123に分注する(図3(c)。分注工程)。
秤量工程において、送液流路121の液体8を取り除くための手法(液除去操作)としては、以下の(a)、(b)を挙げることができる。
(a)液入口124(ここでは、気体入口を兼ねる)から導入した気体による液出口125(ここでは、気体出口を兼ねる)への圧送。
(b)遠心力による液出口125からの排出。
液除去操作としては、(a)、(b)のいずれか一方の採用の他、(a)、(b)の液除去操作の併用も可能である。
上記(a)の手法では、気体導入用の気体入口は、液入口124とは別に設けられていても良い。気体導入用の気体入口を液入口124とは別に設ける場合も、複数の秤量分注ユニット126の送液流路121との連通位置が、送液流路121の延在方向において、気体入口と気体出口(液出口を兼ねる)との間になっている構成であれば、上記(a)の手法によって送液流路121の液体8を取り除くことができることは言うまでも無い。
上記(b)の手法は、例えば、図5(a)、(b)に示すように、チップ11を、遠心力付与装置9の回転テーブル91に取り付けて、回転テーブル91と一体に回転させることで、遠心力を作用させる。なお、図中、符号92は回転テーブル91に取り付けたチップホルダであり、チップ11を回転テーブル91に着脱可能に保持する。チップホルダ92は、回転テーブル91に対する取り付け位置、及び、取り付け向きを適宜、変更できる。また、チップホルダ92は、チップ11の構造、サイズ等に対応するために、適宜、交換することも可能である。また、チップホルダ92自体が、該チップホルダ92に対するチップ11の取り付け位置、取り付け向きが変更可能な構造になっている、構成であっても良い。
チップ11の回転テーブル91(詳細には回転中心93)に対する取り付け位置、取り付け向きは、回転テーブル91の回転中心93と、送液流路121の液出口125側の端部との間に、送液流路121の液入口124側の端部が配置されるようにする。また、送液流路121内の液体8を液出口125から効率良く排出させることに鑑みて、チップ11の送液流路121の延在方向を、回転テーブル91の回転中心93(チップ11の回転中心)を中心とする半径方向に一致、あるいは、出来るだけ近付けることが良い。チップ11の回転テーブル91に対する取り付け位置、取り付け向きは、チップホルダ92の回転テーブル91に対する取り付け位置、取り付け向きの調整、あるいは、交換等により、チップ11のサイズ、チップ11内の送液流路121の配置等に、適宜対応することができる。
送液流路121の液体8を取り除くための上述の(a)、(b)の手法にあっては、送液流路121から取り除くために送液流路121内の液体8に作用させる力の強さを、前記流入抑制手段によって与えられた流入抵抗圧力に対して前記チャンバー123への液体の流入を可能にする力よりも弱くする。これにより、秤量空間122内の液体8が秤量工程の完了前にチャンバー123に流入してしまうことを防ぐことができ、秤量空間122の液体容積に応じた量の液体を確実に秤量できる。
上述の(a)の手法では、前記送液流路121から前記秤量空間122に液体8を導入した後に、前記液入口124から、前記秤量空間122から前記チャンバー123への液体の流入を可能にする圧力よりも弱い圧力で気体を前記送液流路121に圧送して前記送液流路121内の液体を取り除く。
上述の(b)の手法では、前記液入口124から前記送液流路121を介して前記秤量空間122に液体を導入した後に、前記流入抑制手段によって与えられた流入抵抗圧力に対して前記マイクロチャンバーへの液体の流入を可能にする力よりも弱い遠心力を液体に作用させ、送液流路121内の液体を前記液出口125から排出して前記送液流路121から取り除く。
分注工程では、遠心力を作用させるための回転中心93とチャンバー123との間に秤量空間122が配置されるように、前記回転中心93に対するチップ11の位置、向きを設定して、チップ11を回転させ、遠心力を作用させる(図5(b)の想像線で示したチップ11の位置、向きを参照)。
秤量工程において、液除去操作として(b)の遠心力による液出口125からの排出を採用した場合は、チップホルダ92の回転テーブル91に対する取り付け位置、取り付け向きの調整、あるいは、交換等によって、回転テーブル91に対するチップ11の取り付け位置、取り付け向きを変更する。
この分注工程では、秤量空間122内の液体8に、前記流入抑制手段によって与えられた流入抵抗圧力に対して前記秤量空間122から前記マイクロチャンバーへの液体の流入を可能にする力を作用させる。これにより、秤量空間122の液体容積に応じた液量の液体8をチャンバー123に導入できる。
秤量工程の完了後、チップ11に遠心力を作用させて、秤量済みの液体8を秤量空間122からチャンバー123に導入する構成であれば、複数のチャンバー123への液体8の分注を一挙に簡単に行うことができる。
また、秤量済みの液体8を秤量空間122からチャンバー123に導入するので、特許文献5のように、複数のチャンバーを同心円上に配置したチップ構造としなくても、秤量空間122の液体容積に応じた液量の液体を確実にチャンバー123に導入できる。このため、チップ11の設計自由度が向上する。これにより、チャンバー123の集積化も可能となる。
分注工程の完了後、秤量工程及び分注工程を再度実行することで、チャンバー123にて複数の液体を混合することができる。
例えば、チャンバー123の液体容量が秤量空間122の液体容量の5倍以上であれば、秤量工程と分注工程とからなる分注プロセスを5回以上を行うことができ、チャンバー123にて5種類以上の液体を混合することが可能である。
以下に説明する各参考例及び実施形態のチップにおいては、上述の第1参考例と同様の構成部分に共通の符号を用い、説明を省略する場合がある。
(第2参考例
図8は、本発明に係る第2参考例のチップ構造を示す。
図8に示すチップ21は、屈曲部を複数有する送液流路22を採用している点が、上述の第1参考例のチップ11と異なる。
チップ21は、屈曲部を複数有する1本の送液流路22に多数の秤量分注ユニット126が設けられた構成の送液秤量部23を具備する。
送液流路22の延在方向の片端は、液入口124に連通され、他端は液出口125に連通されている。
前記送液流路22は、互いに並行に設けられた複数の並行流路部221と、並行流路部221同士間を連通させる複数の縦続流路部222とを具備し、全体として1本の流路になっている。
秤量分注ユニット126は、並行流路部221に連通している。但し、全ての秤量分注ユニット126の送液流路22からの延出方向は一定に揃えられている。
なお、各秤量分注ユニット126のチャンバー123には、第1参考例のチップ11と同様に、ガス抜き流路13が連通されている。
このチップ21を用いた液体分注方法は、第1参考例と同様に、秤量工程及び分注工程を実施する。
但し、秤量工程においては、液除去操作として(a)の液入口124(ここでは、気体入口を兼ねる)から導入した気体による液出口125(ここでは、気体出口を兼ねる)への圧送、を採用することが適している。
(第3参考例
図9は、本発明に係る第3参考例のチップ構造を示す。
図9に示すチップ31は、送液流路32として、液入口124が設けられている導入流路321(導入空間部)と、この導入流路321から延在し前記導入流路321に連通する基端から液出口125が設けられている終端へ液体を流通させる複数の配液流路322とを具備する構成のものを採用している点が、上述の第1参考例のチップ11と異なる。
複数の配液流路322は、互いに並行に形成されている。導入流路321は直線状に形成されており、該導入流路321の延在方向に沿った複数箇所に、前記配液流路322が連通されている。但し、複数の配液流路322は、導入流路321の延在方向の片端に設けられている液入口124と、他端に設けられている液出口323との間にて、導入流路321に連通されている。
各配液流路322は、前記基端からの流路長が大きい所ほど前記基端からの直線距離が大きくなるように延在形成されている。
秤量分注ユニット126は、配液流路322に連通させて設けられている。但し、全ての秤量分注ユニット126の配液流路322からの延出方向は一定に揃えられている。
なお、各秤量分注ユニット126のチャンバー123には、第1参考例のチップ11と同様に、ガス抜き流路13が連通されている。
このチップ31を用いた液体分注方法は、第1参考例と同様に、秤量工程及び分注工程を実施する。
秤量工程において、液除去操作として、(b)の遠心力による液出口125からの排出、を採用する場合は、送液流路32の内、導入流路321の液入口124が、回転中心に最も接近した部分となるようにして、チップ31を回転させることで、送液流路32内の液体を一挙に取り除くことができる。
また、液除去操作として(a)の液入口124(ここでは、気体入口を兼ねる)から導入した気体による液出口125(ここでは、気体出口を兼ねる)への圧送、を採用する場合は、栓等を用いて液出口323を閉じておく。
なお、(a)、(b)の液除去操作の併用も可能である。
(第4参考例
図10に示すように、本発明では、円弧状の送液流路42を具備するチップ41も採用可能である。
このチップ41では、円弧状の送液流路42の湾曲中心とは反対の側に、秤量分注ユニット126を設ける。秤量分注ユニット126は、それぞれ送液流路42に連通させて、送液流路42の延在方向の複数箇所に設けられる。図10では、送液流路42と、複数の秤量分注ユニット126とが、同心円状に環状配置されており、チップ41に遠心力を作用させることによって、秤量分注ユニット126の秤量空間122内の秤量済み液体をチャンバー123へ送液、分注する際には、送液流路42、秤量分注ユニット126の環状配置の仮想円の中心付近を中心としてチップ41を回転させる。
図10では、複数の秤量分注ユニット126は、同心円上に配列させて設けられているが、複数の秤量分注ユニット126の位置は、1円周上に揃っている必要はない。
(第実施形態)
次に、本発明の第実施形態を説明する。
ここで説明するチップは、図11に示すように、送液流路と該送液流路に連通する複数の秤量空間とからなる複数(図では2つ)の送液秤量部51、52を、一の送液秤量部51の前記秤量空間51bに対し、他の送液秤量部52の前記秤量空間52bを連通させた状態で、前記チャンバー123を起点として多段に接続した構成を持つものである。
チャンバー123に対して、複数の送液秤量部51、52の秤量空間が直列に接続されている。
図11では、チャンバー123に接続されている送液秤量部は2つであるので、以下、2つの送液秤量部51、52の内、チャンバー123から近い側の送液秤量部51を第1送液秤量部、遠い側の送液秤量部52を第2送液秤量部とも言う。また、第1送液秤量部51の送液流路51a(送液空間)を第1送液流路、第1送液秤量部51の秤量空間52bを第1秤量空間、第2送液秤量部52の送液流路52a(送液空間)を第2送液流路、第2送液秤量部52の秤量空間52bを第2秤量空間とも言う。
図11に示す構成は、例えば第1−4参考例に例示したように、1本の送液流路を秤量空間を介してチャンバーに接続した構成の送液分注部に、送液流路と秤量空間とからなる送液秤量部を一つ追加、つまり、第2送液秤量部52を追加した概略構成になっている。第1送液流路51a及び第2秤量空間52bに連通している第1秤量空間51bとチャンバー123とを両端とする流路状部分は、秤量分注ユニット126を構成している。
例えば、図17に示すように、2つの送液秤量部51、52に対応する2本の送液流路51a、52aは、互いに並行に設けられる。2本の送液流路51a、52aは、それぞれ、延在方向(液体流通方向。流路長方向)の片端に液入口124(気体入口を兼ねる)、他端に液出口125(気体出口を兼ねる)が設けられている。
さらに、各チャンバー123にはガス抜き流路13が連通されている。
なお、図17に例示した構造のチップにおいては、第1送液流路51a及び第2送液流路52aが、それぞれ、既述の第2参考例(図8参照)にて説明したチップの送液流路22と同様に、互いに並行に設けられた複数の並行流路部221と、並行流路部221同士間を連通させる複数の縦続流路部222とを具備し、全体として1本の流路になっているものである。
また、秤量分注ユニット126は、第1送液流路51aの並行流路部221に連通させて、この並行流路部221の延在方向に沿った複数箇所に設けられている。しかも、秤量分注ユニット126の並行流路部221からの延出方向は、全ての秤量分注ユニット126について同じに揃えられており、第1秤量空間51b内の秤量済みの液体をチップに遠心力を作用させることにより第1秤量空間51bからチャンバー123へ分注するために適した構成になっている。
個々の送液秤量部について行う秤量工程においては、液除去操作として(a)の液入口124(ここでは、気体入口を兼ねる)から導入した気体による液出口125(ここでは、気体出口を兼ねる)への圧送、を採用することが適していることも、第2参考例のチップと同様である。
また、本実施形態の構成は、例えば、図1に例示したチップ構成、すなわち、液除去操作として、(a)の液入口124(ここでは、気体入口を兼ねる)から導入した気体による液出口125(ここでは、気体出口を兼ねる)への圧送、の他、(b)の遠心力による液出口125からの排出、も可能なように、送液流路、秤量流路、チャンバーの配置が調整されたチップ構成にも適用可能であることは言うまでも無い。図1に例示したチップの場合は、例えば、送液分注部12の送液流路121に並行する送液流路を持つ送液秤量部を、送液分注部12の送液流路121を介してチャンバー123とは反対の側に追加する。後述のように、第2秤量空間52bを、第1送液流路121を介することなく、第1秤量空間122に連通させる場合は、追加する送液秤量部は、秤量空間122を介してチャンバー123とは反対の側に設ける。
第1送液秤量部51においては、送液流路51aの延在方向片端に設けられている液入口(図示略。一の位置)と、他端に設けられている液出口(図示略)との間にて、前記送液流路51aの前記液体の流通方向に沿った複数箇所に、秤量空間51bが接続されている。
第2送液秤量部52においても、送液流路52aの延在方向片端に設けられている液入口(図示略。一の位置)と、他端に設けられている液出口(図示略)との間にて、前記送液流路52aの前記液体の流通方向に沿った複数箇所に、秤量空間52bが接続されている。
さらに、第2送液秤量部52の秤量空間52bは、第1送液秤量部51の秤量空間52bに対して、二の流入抑制手段として機能する接続流路53(後述)を介して連通されている。
図11に示す構成においては、詳細には、複数の第2秤量空間52bは、それぞれ、前記接続流路53を介して、第1送液流路51aに連通されている。第1送液流路51aには、第1送液流路51aの延在方向片端に設けられている液入口と、他端に設けられている液出口との間にて、該第1送液流路51aの前記液体の流通方向に沿った複数箇所に、前記接続流路53が連通されている。
第1送液流路51aには、第1秤量空間51bと接続流路53とが、対向する両側から連通されており、しかも、第1送液流路51aにおける接続流路53の連通位置は、第1送液流路51aの延在方向において、第1秤量空間51bと第1送液流路51aとの連通位置と揃えられている。つまり、第1秤量空間51bと接続流路53とは、第1送液流路1に対して、該第1送液流路51aを介して互いに向かい合うようにして連通されている。このため、第1秤量空間51bと接続流路53とは、第1送液流路51aを介して、接続流路53から第1秤量空間51bへ送液可能に連通されている。
また、この結果、第2秤量空間52bは、接続流路53及び第1送液流路51a介して、第1秤量空間51bに対して連通されている。
なお、本発明では、第1送液流路51aを介することなく、接続流路53を、直接、第1秤量空間51bに連通させた構成も採用可能である。
ひとつのチャンバーに多段に接続されている前記秤量空間の合計容量は、前記チャンバー123の液体容量以下とする。
二の流入抑制手段は、第1秤量空間51bに第2秤量空間52bから液体を導入する際の毛細管現象に起因する流入抵抗圧力を、前記第2送液流路52aから第2秤量空間52bへ液体を導入する際の流入抵抗圧力よりも大きい流入抵抗圧力とするものである。
図11に例示した接続流路53(二の流入抑制手段)は、第2秤量空間52bから第1秤量空間51bの間の液流路において流路断面積が最も小さい狭隘部として機能している。二の流入抑制手段が液体に与える流入抵抗圧力の大きさは、秤量分注ユニット126の流入抑制手段である一の流入抑制手段が液体に与える流入抵抗圧力と同じか、一の流入抑制手段が液体に与える流入抵抗圧力よりも大きくする。
なお、二の流入抑制手段としては、接続流路53にかえて、第1参考例にて説明した流入抑制手段の第2例、第3例の技術を適用して、第2秤量空間52b内面に比べて液体8に対する親和性が低い内面を持つ接続流路を用いることも可能である。
図12(a)〜(f)は、図11の構成を持つチップを用いて、複数の液体を秤量し、チャンバーに分注する手順(液体分注方法)の一例を示す。
まず、第1送液秤量部51について、第1参考例にて説明した液体分注方法と同様に、送液流路51aから前記秤量空間51bに液体8を導入(図12(a))した後に、前記送液流路51aの液体を取り除く(図12(b))ことにより前記秤量空間51bの容積に応じた液体8を秤量し、次いで、秤量された液体8を前記マイクロチップに作用させた遠心力によりチャンバー123に分注する(図12(c))。
次に、第2送液秤量部52についても同様に、送液流路52aから前記秤量空間52bに液体8を導入(図12(d))した後に、前記送液流路52aの液体を取り除く(図12(e))ことにより前記秤量空間52bの容積に応じた液体8を秤量し、次いで、秤量された液体8を前記マイクロチップに作用させた遠心力によりチャンバー123に分注する(図12(f))。
これにより、第1送液流路51aに導入される液体と、第2送液流路52aに導入される液体とを、チャンバー123にて混合することができる。
図13は、図11の構成において、二の流入抑制手段が液体に与える流入抵抗圧力の大
きさを、秤量分注ユニット126の流入抑制手段である一の流入抑制手段が液体に与える流入抵抗圧力よりも大きくした構成を例示する。
図13では、一の流入抑制手段として機能する接続流路127の流路断面積(太さ)に比べて、二の流入抑制手段として機能する接続流路53の流路断面積(太さ)を小さくすることで、二の流入抑制手段が液体に与える流入抵抗圧力の大きさを、秤量分注ユニット126の流入抑制手段である一の流入抑制手段が液体に与える流入抵抗圧力よりも大きくした構成を例示している。
なお、二の流入抑制手段として、接続流路53にかえて、第1参考例にて説明した流入抑制手段の第2例、第3例の技術を適用して、第2秤量空間52b内面に比べて液体8に対する親和性が低い内面を持つ接続流路も採用可能である。
図14(a)〜(f)は、図13の構成を持つチップを用いた液体分注方法の一例を説明する図である。
図14(a)〜(f)に示す液体分注方法は、まず、第1送液秤量部51について、送液流路51aから前記秤量空間51bに液体8を導入(図14(a))した後に、前記送液流路51aの液体を取り除く(図14(b))ことにより前記秤量空間51bの容積に応じた液体8を秤量する(1段目秤量工程)。
次に、第2送液秤量部52についても同様に、送液流路52aから前記秤量空間52bに液体8を導入(図14(c))した後に、前記送液流路52aの液体を取り除く(図14(d))ことにより前記秤量空間52bの容積に応じた液体8を秤量する(2段目秤量工程)。
次に、第1秤量空間51b内の秤量済みの液体8を、前記マイクロチップに作用させた遠心力によりチャンバー123に分注する(図14(e)。1段目分注工程)。
次いで、第2秤量空間52b内の秤量済みの液体8を、前記マイクロチップに作用させた遠心力によりチャンバー123に分注する(図14(f)。2段目分注工程)。ここでは、チップに遠心力を作用させることで、第2秤量空間52b内の秤量済みの液体8に、二の流入抑制手段が液体に与える流入抵抗圧力に対して第2秤量空間52bから第1秤量空間51bへの液体の流入を可能にする力よりも強い力を作用させる。
既述の通り、図13の構成を持つチップについては、二の流入抑制手段が液体に与える流入抵抗圧力の大きさが、秤量分注ユニット126の流入抑制手段である一の流入抑制手段が液体に与える流入抵抗圧力よりも大きい。
一方、第1送液秤量部51について行う1段目秤量工程にて送液流路51aの液体を取り除く際に、第1送液秤量部51内の液体に作用させる力は、一の流入抑制手段が液体に与える流入抵抗圧力に対して第1秤量空間51bからチャンバー123への液体の流入を可能にする力よりも弱くする。必然的に、1段目秤量工程にて、第1送液秤量部51内の液体に作用する力は、二の流入抑制手段が液体に与える流入抵抗圧力に対して第2秤量空間52bから第1秤量空間51bへの液体の流入を可能にする力よりも弱い。
このため、図13の構成を持つチップを用いて行う液体分注方法にあっては、二の流入抑制手段によって、第1送液秤量部51側から第2秤量空間52bへの液体の流入が阻止される。その結果、例えば、第2送液流路52aから第2秤量空間52bに液体8を導入した後に、第2秤量空間52bに液体8が入ったままの状態で、1段目秤量工程を実行し、1段目秤量工程の完了後に、第2送液流路52aの液体を取り除いて前記秤量空間52bの容積に応じた液体8を秤量するといった手順を採っても、第2秤量空間52bの液体容量に応じた液量の液体の秤量を確実に行える。
図13の構成を持つチップを用いて行う液体分注方法にあっては、液体の確実な秤量、分注を実現するための、手順の自由度が大きい。
図13の構成を持つチップを用いる複数液体の秤量、分注では、複数の送液秤量部にて液体の秤量を完了した状態から、チップに作用させた遠心力により、二の流入抑制手段(接続流路53)が液体に与える流入抵抗圧力に対して第2の秤量空間52bから第1秤量空間51bへの液体の流入を可能にする力よりも強い力を液体に作用させて、各秤量済み液体を一括して分注することも可能であるが、各秤量済み液体の液量を確実にチャンバーに導入する点では、分注工程を、チャンバーから近い側の送液秤量部の秤量空間内の秤量済み液体について行ってから、チャンバーから遠い側の送液秤量部の秤量空間内の秤量済み液体に移行していくことが好ましい。
図14に例示した手順(液体分注方法)において、第1秤量空間51b内の秤量済みの液体8を、前記マイクロチップに作用させた遠心力によりチャンバー123に分注する1段目分注工程(図14(e))では、チップに遠心力を作用させることによって第1秤量空間51b内の秤量済みの液体に与える力を、一の流入抑制手段が液体に与える流入抵抗圧力に対してチャンバーへの液体の流入を可能にする力よりも強く、かつ、二の流入抑制手段(接続流路53)が液体に与える流入抵抗圧力に対してチャンバーへの液体の流入を可能にする力よりも弱い、範囲とする。
一の流入抑制手段、二の流入抑制手段は、接続流路である場合は、接続流路の流路長によって与えられる管路抵抗によって、分注工程において秤量された液体がチャンバー123に導入するスピードを規定することができる。
例えば、一の流入抑制手段と二の流入抑制手段とが断面積が同じ接続流路である場合は、二の流入抑制手段として機能する接続流路の流路長を、一の流入抑制手段として機能する接続流路の流路長よりも長くすることで、分注工程において第1秤量空間51b内の秤量済みの液体がチャンバー123に導入されるスピードを第2秤量空間52b内の秤量済みの液体が第1秤量空間51bを介してチャンバー123に導入されるスピードよりも速くすることができる。この場合、分注工程において一および二の流入抑制手段が液体に与える流入抵抗圧力に対してチャンバーへの液体の流入を可能にする力よりも強い遠心力を作用させ、第1秤量空間51b内の液体と第2秤量空間52b内の液体を一挙にチャンバー123に導入した場合においても、各秤量済みの液体を確実にチャンバーに導入することができる。
図15は、図13に例示した構成において、ひとつの前記チャンバー123に多段に接続されている前記秤量空間の相互の容量比を、前記チャンバー123毎に異ならせた構成を例示する。
図16は、図15に示す構成を持つチップを用いた液体分注方法の一例を説明する図である。
図15に示す構成を持つチップを用いる、複数液体の秤量、分注にて採り得る手順は、図13に示す構成を持つチップを用いた複数液体の秤量、分注にて採り得る手順と同じである。
図15に示す構成を持つチップを用いる、複数液体の秤量、分注では、チャンバー123毎に、チャンバー123にて混合される液体の混合比が異なる。このため、混合比が互いに異なる複数種類の試料を、一回の分注によって得ることができる。
図18は、接続流路53に連通するガス抜き流路54を設けた構成を示す。
この構成であれば、第1送液流路51aに液体が入っている状態であっても、第2送液流路52aから第2秤量空間52bへの液体の導入を円滑に行える。
なお、第1送液秤量部51について、前記送液空間から前記秤量空間に液体を導入した後に、前記送液空間の液体を取り除くことにより前記秤量空間の容積に応じた液体を秤量する工程(秤量工程)が完了した状態であるときは、第1送液流路51aをガス抜き流路として機能させることができるため、第1秤量空間51bに秤量済みの液体が入っている状態であっても、第2送液流路52aから第2秤量空間52bへの液体の導入を円滑に行える。ガス抜き流路54は、第1送液流路51aに液体が入っている状態であるときに、第2送液流路52aから第2秤量空間52bへの液体の導入を円滑に行えるようにする点で、有効に機能するものである。
また、チャンバーに対して直列に接続した送液秤量部の段数が3段以上である場合は、送液秤量部間に設けられる各接続流路にガス抜き流路54を連通させておくことが好ましい。
チャンバーに対して直列に接続する送液秤量部の段数は、2段に限定されず、送液秤量部を3段以上、直列に接続した構成も採用可能であるが、この場合は、前記マイクロチャンバーから1番目の送液秤量部の前記秤量空間から前記マイクロチャンバーへ液体を導入する際の毛細管現象に起因する流入抵抗圧力を、前記1番目の送液秤量部の前記送液空間から前記秤量空間へ液体を導入する際の流入抵抗圧力よりも大きい流入抵抗圧力とする一の流入抑制手段と、前記マイクロチャンバーからa番目(但し、aは1以上の整数)の送液秤量部の前記秤量空間にa+1番目の前記送液秤量部の前記秤量空間から液体を導入する際の毛細管現象に起因する流入抵抗圧力を、前記a+1番目の送液秤量部の前記送液空間から前記秤量空間へ液体を導入する際の流入抵抗圧力よりも大きい流入抵抗圧力とする二の流入抑制手段とが、各送液秤量部の秤量空間に対応させて前記マイクロチャンバーを起点として多段に設けられた構成を採用する。
より好ましくは、多段の前記流入抑制手段は、前記マイクロチャンバーから遠いもの程、液体に与える流入抵抗圧力が大きく設定してある、構成である。
また、ひとつの前記マイクロチャンバーに多段に接続されている前記秤量空間の合計容量が、前記マイクロチャンバーの液体容量以下であり、しかも、ひとつの前記マイクロチャンバーに多段に接続されている前記秤量空間の相互の容量比が、前記マイクロチャンバー毎に異ならせてある、構成も採用可能である。
また、前記一の流入抑制手段及び/又は前記二の流入抑制手段が、前記送液秤量部の前記秤量空間からマイクロチャンバー側への液体送出口に連通し前記秤量空間よりも流路断面積が小さい狭隘流路であり、前記マイクロチャンバーに連通する多段の前記送液秤量部の内の複数に設けられた前記狭隘流路が、前記マイクロチャンバーから遠いもの程、流路長が長く形成されている、構成も採用可能である。
本発明者等は、チップを試作して試験を行った。
分注されるマイクロチャンバーは直径1000マイクロメートル、深さ50マイクロメートルの構造を有しており、マイクロチャンバーには幅400マイクロメートル、深さ50マイクロメートルの秤量流路が幅50マイクロメートル、深さ50マイクロメートルの接続流路を介して接続している。秤量流路には送液流路より液体を導入することができる。また、分注チャンバーには幅30マイクロメートル、深さ50マイクロメートルの空気抜き流路が接続している。溶液を秤量流路に導入する際に空気抜き流路から空気が抜けることにより秤量流路の体積分の液体が秤量流路に導入される。
この様な送液流路より1.5kPaの圧力で溶液を導入したところ、秤量流路に溶液が導入され、その後に送液流路の液体を取り除くことにより、秤量流路の体積に相当する液体を切り離すことができる。溶液を切り離した後に1000gの遠心力を加えることにより、秤量された溶液を個別の分注チャンバーに導入することが可能であった。
送液流路の液体を取り除く工程では、送液流路に空気を送り込むことにより送液流路の液体を取り除くこともできるし、接続流路に液体が導入されない程度の弱い遠心力を加え
ることにより送液流路の液体を取り除くこともできる。
一方、送液流路の液体を取り除く工程を省いて、送液流路より秤量流路に液体を導入した後に遠心力により分注チャンバーに送液した場合は、送液流路に含まれる液体も分注チャンバーに導入されてしまい、液量を秤量することができず、チャンバーごとに異なる体積の液体が注入されてしまった。
マイクロチップ上で細胞を培養したり、バイオアッセイを行ったりするための細胞培養チップ、分析チップをはじめとした研究用ツールや創薬支援ツールとして製品化することが期待できる。特に、コンビナトリアル・ケミストリーや生化学スクリーニングを行うためのチップ上に本発明で開示する構造を加工することにより多種類の反応を並列に処理することが可能となる。
本発明の第1参考例のチップの構造を示す平面図であり、チップ内の送液分注部、ガス抜き流路を透視して図示したものである。 図1のチップの送液分注部の秤量空間及びチャンバーの付近を拡大して示した図である。 (a)−(c)は図1のチップを用いた液体分注方法の手順を順番に説明する図である。 図1のチップの断面構造を示す図である。 (a)、(b)は、図1のチップと、該チップに遠心力を作用させる遠心力付与装置との関係を示す図であり、(a)は正面図、(b)は遠心力付与装置の回転テーブルに対するチップの取り付け状態を示す平面図である。 本発明に係る流入抑制手段の例を示す図であって、秤量空間とチャンバーとの間に、流入抑制手段として、液体に対する親和性が低い内面を持つ接続流路を設けた構成を示す図である。 本発明に係る流入抑制手段の例を示す図であって、チャンバー内面を液体に対する親和性が低い低親和性面(流入抑制手段)とした構成を示す図である。 本発明に係る第2参考例のチップを示す図である。 本発明に係る第3参考例のチップを示す図である。 本発明に係る第4参考例のチップを示す図である。 送液流路と秤量空間とからなる送液秤量部を、チャンバーに対して、複数、直列に接続して多段に設けた構成を示す図である。 (a)−(f)は、図11の構成を持つチップを用いた液体分注方法を、手順に従って説明する図である。 図11の構成において、二の流入抑制手段(接続流路53)として、液体に与える流入抵抗圧力が、一の流入抑制手段に比べて大きいものを採用した構成を示す図である。 (a)−(f)は、図12の構成を持つチップを用いた液体分注方法を、手順に従って説明する図である。 図13の構成において、送液秤量部の複数の秤量空間の液体容量を互いに異ならせた構成を示す図である。 (a)−(f)は、図15の構成を持つチップを用いた液体分注方法を、手順に従って説明する図である。 図11の構成のチップの例を示す図である。 図11の構成において、二の流入抑制手段として機能する接続流路に連通するガス抜き流路を設けた構成を示す図である
符号の説明
11…マイクロチップ、12…送液分注部、121…送液空間(送液流路)、122…秤量空間、123…チャンバー、124…液入口、125…液出口、126…秤量分注ユニット、127…流入抑制手段(接続流路)、128…流入抑制手段(接続流路)、129…流入抑制手段(低親和性面)、13…ガス抜き流路、131…ガス出口、21…マイクロチップ、22…送液流路、221…並行流路部、222…縦続流路部、23…送液秤量部、31…マイクロチップ、32…送液流路、321…導入流路(導入空間部)、322…配液流路、323…液出口、41…マイクロチップ、42…送液流路、51…第1送液秤量部、51a…第1送液流路、51b…第1秤量空間、52…第2送液秤量部、52a…第2送液流路、52b…第2秤量空間、53…二の流入抑制手段(接続流路)、54…ガス抜き流路、61,62…送液秤量部、61a,62a…送液流路、61b,62b…秤量空間、8…液体、9…遠心力付与装置、91…回転テーブル、92…チップホルダ、93…回転中心。

Claims (15)

  1. 送液空間と該送液空間に連通する複数の秤量空間とからなる複数の送液秤量部と、複数のマイクロチャンバーとを具備し、
    前記複数の送液秤量部は、前記秤量空間に該秤量空間を介して前記マイクロチャンバーとは反対の側に位置する送液秤量部の前記秤量空間を連通させて、前記マイクロチャンバーを起点として多段に接続され、
    前記マイクロチャンバーから1番目の送液秤量部の前記秤量空間から前記マイクロチャンバーへ液体を導入する際の毛細管現象に起因する流入抵抗圧力を、前記1番目の送液秤量部の前記送液空間から前記秤量空間へ液体を導入する際の流入抵抗圧力よりも大きい流入抵抗圧力とする一の流入抑制手段と、前記マイクロチャンバーからa番目(但し、aは1以上の整数)の送液秤量部の前記秤量空間にa+1番目の前記送液秤量部の前記秤量空間から液体を導入する際の毛細管現象に起因する流入抵抗圧力を、前記a+1番目の送液秤量部の前記送液空間から前記秤量空間へ液体を導入する際の流入抵抗圧力よりも大きい流入抵抗圧力とする二の流入抑制手段とが、各送液秤量部の秤量空間に対応させて前記マイクロチャンバーを起点として多段に設けられ
    多段の前記流入抑制手段は、前記マイクロチャンバーから遠いもの程、液体に与える流入抵抗圧力が大きく設定してあることを特徴とするマイクロチップ。
  2. ひとつの前記マイクロチャンバーに多段に接続されている前記秤量空間の合計容量が、前記マイクロチャンバーの液体容量以下であり、
    しかも、ひとつの前記マイクロチャンバーに多段に接続されている前記秤量空間の相互の容量比が、前記マイクロチャンバー毎に異ならせてあることを特徴とする請求項1に記載のマイクロチップ。
  3. 前記マイクロチャンバーの内面の内、少なくとも前記秤量空間側からの液体の導入口付近が、秤量空間内面に比べて液体に対する親和性を低くした低親和性面とされ、この低親和性面が、前記一の流入抑制手段として機能することを特徴とする請求項1又は2に記載のマイクロチップ。
  4. 前記マイクロチャンバーから1番目の送液秤量部の前記秤量空間と前記マイクロチャンバーとが、秤量空間内面に比べて液体に対する親和性が低い内面を持つ流路を介して互いに連通され、前記流路が前記一の流入抑制手段として機能することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のマイクロチップ。
  5. 前記マイクロチップは、前記マイクロチャンバーから1番目の送液秤量部の前記秤量空間と前記マイクロチャンバーとの間に設けられて両者を連通させるチャンバー接続流路を具備し、
    前記チャンバー接続流路は、該チャンバー接続流路と前記マイクロチャンバーから前記1番目の送液秤量部の前記秤量空間とによって構成されて前記送液空間から前記マイクロチャンバーへ液体を流入させる流路において、前記マイクロチャンバーから前記1番目の送液秤量部の前記秤量空間に比べて流路断面積が小さい狭隘部であり、前記一の流入抑制手段として機能することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のマイクロチップ。
  6. 前記二の流入抑制手段が、前記マイクロチャンバーからb番目の送液秤量部の前記秤量空間とb+1番目の前記送液秤量部の前記秤量空間との間を連通させて、両秤量空間の間の液流路において流路断面積が最も小さい狭隘部として機能する接続流路であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のマイクロチップ。
  7. 前記マイクロチャンバーからc番目の送液秤量部の前記秤量空間とc+1番目の前記送液秤量部の前記秤量空間との間が接続流路を介して連通され、該接続流路は、両秤量空間の間の液流路において液体に対する流路内面の親和性が最も低く、前記二の流入抑制手段として機能することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のマイクロチップ。
  8. 前記一の流入抑制手段及び/又は前記二の流入抑制手段が、前記送液秤量部の前記秤量空間からマイクロチャンバー側への液体送出口に連通し前記秤量空間よりも流路断面積が小さい狭隘流路であり、
    前記マイクロチャンバーに連通する多段の前記送液秤量部の内の複数に設けられた前記狭隘流路が、前記マイクロチャンバーから遠いもの程、流路長が長く形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のマイクロチップ。
  9. 前記マイクロチャンバーと、前記接続流路とに、排気用のガス抜き流路が連通されていることを特徴とする請求項又は7に記載のマイクロチップ。
  10. 前記マイクロチャンバーと、前記マイクロチャンバーから1番目の送液秤量部を除く全ての送液秤量部の前記秤量空間とに、排気用のガス抜き流路が連通されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のマイクロチップ。
  11. 前記各送液秤量部の前記送液空間が、一の位置から二の位置へ前記液体を流通させる流路とされ、
    前記送液空間は、前記液体の流通方向の両端部の一方に気体入口、他方に気体出口を備え、前記送液空間の前記気体入口と前記気体出口との間に前記複数の秤量空間が接続されており、
    前記送液空間から前記秤量空間に液体を導入した後に、前記気体入口から、前記秤量空間から前記マイクロチャンバーへの液体の流入を可能にする圧力よりも弱い圧力で気体を前記送液空間に圧送して前記送液空間内の液体を取り除くことにより、前記秤量空間の容積に応じた液体を秤量できることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のマイクロチップ。
  12. 前記送液空間が、一の位置に設けられている液入口から二の位置に設けられている液出口へ前記液体を流通させる流路とされ、
    前記液入口から前記送液空間を介して前記秤量空間に液体を導入した後に、前記マイクロチャンバーへの液体の流入を可能にする力よりも弱い遠心力を作用させ、送液空間内の液体を前記液出口から排出して前記送液空間から液体を取り除くことにより、前記液入口と前記液出口との間に接続されている前記秤量空間の容積に応じた液体を秤量できることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のマイクロチップ。
  13. 1本の送液空間について設けられる前記複数の秤量空間が、前記一の位置と前記二の位置との間にて前記送液流路の前記液体の流通方向に沿った複数箇所に接続されていることを特徴とする請求項11又は12に記載のマイクロチップ。
  14. 前記送液空間は、液入口が設けられている導入空間部と、この導入空間部から延在し前記導入空間部に連通する基端から液出口が設けられている終端へ前記液体を流通させる配液流路とを具備し、
    前記配液流路は、前記基端からの流路長が大きい所ほど前記基端からの直線距離が大きくなるように延在形成され、
    複数の前記秤量空間が、前記配液流路の前記基端と前記終端との間にて、前記配液流路の前記液体の流通方向に沿った複数箇所に接続されていることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載のマイクロチップ。
  15. 請求項1〜14のいずれか1項に記載のマイクロチップに遠心力を作用させて、前記マイクロチップの複数のマイクロチャンバーに液体を分注する液体分注方法であって、
    前記送液空間から前記秤量空間に液体を導入した後に、前記送液空間の液体を取り除くことにより前記秤量空間の容積に応じた液体を秤量する秤量工程を各送液秤量部について行い、前記秤量工程にて秤量された液体を、前記各送液秤量部の前記秤量空間から、前記マイクロチップに作用させた遠心力により前記マイクロチャンバーに分注することを特徴とする液体分注方法。
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