JP4906789B2 - 液滴分光システムと分光法 - Google Patents

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本発明は、撥水基板上に水を溶媒とする試料を極微量滴下すると、撥水基板上で液滴となる現象を利用し、極微量の液量での分光的溶質の測定とその装置システムに関する。
溶媒中に含まれる溶質の量を測定する方法に分光吸光光度計や蛍光光度計などの光計測を用いる方法がある。分光吸光光度計においては、溶媒に含まれる溶質が光を吸収する波長の光を照射し、その波長の光が溶質に吸収されて減少した量を吸光度として測定する。蛍光光度計においては、特定の波長の光を溶質に吸収させて溶質分子を励起状態にし、励起状態から基底状態に電子状態が変化するときに発する光の強度を検出する。いずれにせよ、一定の光路長のキュベットに試料用液を入れて測定を行う。光路長が変動すると光の吸収量が変化するので、吸光度測定や蛍光測定では一定の光路長を確保することが重要となる。分光吸光光度計を用いた溶液での吸光度測定では、一般的には1cmの光路長を有するキュベットを用いる。
最近では、試料用液の微量化に対応するために、5μlの微量試料用液での吸光度測定が可能な微量キュベットがすでに市販されている。微量キュベットでは、光路長を0.5mm程度の箔層にして用いるが、キュベットの洗浄がし難い、操作性が悪い、多検体の計測に時間がかかる等の問題がある。スループットをあげるために、フローセルを用いて、試料を連続的に投入して測定する方法もとられるが、キュベットの洗浄が不十分だと前の試料が次の試料に影響するキャリーオーバーが起きる。また、基本的にシリアルに試料を測定するので、スループットはさほどあがらない。
パラレル処理でスループットを上げる技術としては、マイクロプレートを用いる技術が確立している。これは96ウェルや384ウェルの各ウェルをキュベットとして用いる。これらの各ウェルに試料用液を一定量入れて吸光度を測定するのでスループットの観点からは優れた技術である。
蛍光光度計においても状況は吸光度測定と同様である。
吸光度測定にせよ、蛍光強度測定にせよ、試料の微量化とハイスループット化に対応することが重要な課題である。近年の生化学分野では、反応の微量化が進み、ほとんどの酵素反応は数μlから多くても数十μlで反応が行われるようになってきた。生化学分野では、反応させたい試料の組み合わせが多岐にわたり、反応の微量化と、マルチ同時反応によるハイスループット化が主流である。
さらに、微量化が進むと試料の容積に対するキュベットの表面積の比が大きくなる点も問題である。キュベットの表面積が大きくなると、溶質が壁に吸着する現象が顕著になる場合が多々ある。また、溶液と壁での光の散乱が散乱光として測定に影響するケースもある。また、分光測定や蛍光測定は測定の前に別の容器で種々反応を行ったものを測定用のキュベットに移し変えて測定を行うのが一般的である。検体数が多くなると移し変えの操作だけでも大変である上に、移し変えの間違いなど人為的なミスが発生する恐れを排除できない点が、特に医療用の生体物質検査において問題となっている。ロボットを用いた自動化によって解決できる問題ではあるが、装置が大掛かりとなり、コストもかかる。
本発明は、計測の微量化とキュベット化のニーズに応えるため、また、上記のように微量化に伴う問題点を解決するために極微量な分光システムと分光法を提案する。
本発明は、撥水基板上で水を主体とする溶媒がほぼ真円に近い液滴となる現象を利用する。疎水性の基板上に液滴を生成し、この液滴の移動をガイドする親水性のラインを設けて、ライン上を順次液滴を搬送する。親水性のラインと交差する形で検出システムを構成し、液滴が検出システムを横切るときに吸光度や蛍光強度を測定する。親水性のライン上の液滴に白色光あるいは励起光を照射し、透過してくる光を分光し吸光度を測定する、あるいは蛍光を検出する。吸光度測定や蛍光測定に必要となる光路長については、液滴の大きさを測定することにより光路長を導き出す。
すなわち、本発明は、下記のシステムおよび方法を提供する。
(1)溶質を含む液滴を基板上に形成させる手段、上記液滴を光線を横切って移動させる手段、上記光線の光源と上記液滴が光線を横切ることで得られる信号を検出する光検出器を有する吸光分光システム。
(2)溶質を含む液滴を基板上に形成させる手段、液滴に光線を集光させる手段、上記集光光線が液滴に入射し、液滴を通り抜ける光の強度を検出する光検出器を有する吸光分光システム。
(3)溶質を含む液滴を基板上に形成させる手段、上記液滴を光線を横切って移動させる手段、上記光線の光源と上記液滴が光線を横切ることで得られる信号を検出する光検出器を有する蛍光分光システム。
(4)撥水性面に液滴を保持する親水性のパターンを配した基板、該基板上に形成した液滴を上記親水性のパターン上で光線を横切って移動させる手段、上記光線の光源と上記液滴が光線を横切ることで得られる信号を検出する光検出器を有する吸光分光システムであって、上記親水性のパターン上で光線を横切って移動する液滴の大きさを測定する測定手段、測定した液滴の大きさをもとに光路長を演算する演算装置とを有する吸光分光システム。
(5)撥水性面に液滴を保持する親水性のパターンを配した基板、該基板上に形成した液滴を表面弾性波を用いて上記親水性のパターン上で光線を横切って移動させる手段、上記光線の光源と上記液滴が光線を横切ることで得られる信号を検出する光検出器を有する吸光分光システム、液滴の位置の時間変化から液滴の大きさを推定し光路長を演算する演算装置とを有する分光システム。
(6)表面弾性波を発生させる手段が、液滴搬送路に配した圧電基板と4硼酸リチウムあるいはタンタル酸リチウムあるいはニオブ酸リチウムのくし型電極であることを特徴とする上記(5)記載の分光システム。
(7)上記基板が、基板に接する温調板を備える上記(4)記載の吸光分光システム。
(8)撥水性面に液滴を保持する親水性のラインパターンを配した基板のライン上に液滴を配し、親水性のラインパターンに従い液滴を移動させ、上記液滴が移動時に光源から照射される光を横切ることで液滴の情報を含む信号を光検出器で検出し、上記信号から液滴の大きさを測定し、測定した液滴の大きさをもとに上記液滴を通る光の光路長を演算し、上記液滴の光吸収あるいは蛍光を測定する分光法。
(9)上記親水性のラインパターンが複数の親水性のラインが一つに合流するパターンを有するものであり、複数の親水性のラインに保持されたそれぞれの液滴をパターンの合流点で混合させる上記(5)記載の液滴の光吸収あるいは蛍光を測定する分光システム。
(10)上記複数の親水性のラインが一つに合流するパターンを有するとともに、更なる合流点が合流点の下流側にあり、複数の親水性のラインに保持されたそれぞれの液滴の合流点での混合を時系列的に複数回行えるパターンを有する上記(6)記載の液滴の光吸収あるいは蛍光を測定する分光法。
近代生化学で必須となっているサブマイクロリットルオーダーでのハイスループットな吸光度計測や蛍光強度計測が可能となる。試料の液量が極微量なので貴重な試料の使用量を少なくできる。さらに、チップを使い捨てとし、液滴を親水性ラインに沿ってころがすことができ、ラインの終点に回収用のエリアを設けておくことで、貴重な試料用液を回収することもできる。
(実施例1)
タンパク質の濃度測定を行うことを例に説明する。ここでは一般的なタンパク質吸収帯である280nmの波長でのタンパク質定量を試みる。タンパク質としてはニワトリ卵白リゾチームで分子吸光係数はE1%280=26.6である。濃度はあらかじめ、0.05mg/mlから10mg/mlに調製した希釈列として用いる。
図1(A)は、実施例1に好適な測定基板100の平面図と、この測定基板を基礎として構成される計測システムの概念図、(B)は測定基板100の平面図のA−A位置で矢印方向に見たときの測定基板100の断面図である。1はシリコン基板であり、例えば、その厚さは1mm、大きさは40mm×40mmである。シリコン基板1の表面は疎水性領域2とされ、そのなかに、親水性ライン4が設けられる。親水性ライン4の長さは、例えば、20mm、幅は0.1mmである。親水性ライン4の終点には液溜3が形成されている。5は位置決め用のマーカーであり、シリコン基板1の一面に形成される。後述するように、親水性ライン4の左端に液滴が形成されて、この液滴は、所定の速度で親水性ライン4上を液溜3まで移動させられる。図面のサイズは説明のためデフォルメされている。
親水性ライン4のほぼ中央位置に、親水性ライン4と交差する形で計測システム50が設けられる。計測システム50は、紫外域から可視域まで発光する広域光源10、該広域光源10の白色光を導いて親水性ライン4上を移動する液滴の近傍で測定基板100の面と平行に前記白色光を液滴に照射する光ファイバー11、親水性ライン4を挟んで光ファイバー11と対向して設けられ前記液滴を透過した白色光を受ける光ファイバー12、および、光ファイバー12で導かれる液滴を透過した白色光を入力とする検出器13から構成される。ここで、親水性ライン4を挟んで対向して配置される光ファイバー11と12の先端は、親水性ライン4上を移動する液滴と接触しないように配置されるのは言うまでもない。検出器13は、分光器14とCCDラインセンサー15とから構成される。
計測システム50の左側に、親水性ライン4と交差する形で測定基板100の面と平行にレーザービーム20が照射される。21はレーザー源、22,23はレーザービーム20の反射ミラー、24はレーザービーム20の検出器である。このレーザービーム20は親水性ライン4上を移動する液滴径の測定用である。したがって、レーザービーム20の照射は計測システム50の右側で行われても良い。
図1(B)において、断面位置が親水性ライン4の位置であるため、基板1の中央部の全部が親水性領域となっている。この親水性ライン4の右端部に液溜3が設けられている。
親水性ライン4(親水性領域)と疎水性領域の作成方法は、例えば、疎水性のシリコン基板1の上面を酸化して、一旦、全領域を親水性のSiO2薄膜とする。その後、疎水性とすべき領域のSiO2薄膜をフッ酸で溶解除去して疎水性領域を作成すれば良い。あるいは、基板1の材質が表面があらかじめSiO2薄膜形成してある親水性表面の場合、フッ素系樹脂,シリコン系樹脂等の疎水性材料を、その上に配置することで、疎水性領域を形成すれば良い。この場合は、疎水性領域中に存在する親水性領域が、疎水性材料の厚さだけ低くなったものとなる。図1の例は後者方法によって疎水性領域3、親水性ライン4を形成した例である。
実施例1では、予め、親水性ライン4の左端に、測定対象となる液の液滴を形成しておき、親水性ライン4上を所定の速度で右側に移動させ、その過程で液滴の大きさを測定し、液滴の分析を行う。
図2は、本発明の実施に好適な測定基板100の親水性ライン4の左端に液滴を構成し、これを計測するシステム構成の例を説明する概念図である。
まず、測定基板100の親水性ライン4の左端に測定対象となる液の液滴36を形成する操作について以下説明する。システムが起動されると、使用者は、図1(A)で説明したマーカー5に着目して、測定基板100が所定の起動位置にあるように、パソコン26に操作信号28を与え、駆動装置27によりステージ19を操作して位置決めする。ステージ19は信号に応じてXY方向に駆動されるものである。次に、測定対象となる液の液滴36の載置位置(親水性ライン4の左端)が、ピペット33の先端部に対応する位置になるように、パソコン26に操作信号28を与え、駆動装置27によりステージ19を操作して位置決めする。この際、必要なら、ピペット33の先端部を光学系でモニターしながら、位置信号をパソコン26にフィードバックして精度よく合わせることができる。なお、ピペット33には、あらかじめ、測定対象となる液を吸引しておく。
測定基板100が所定の位置まで来る、すなわち、親水性ライン4の左端とピペット33の先端部が対応する位置になると、これを検出し、あるいは、操作者の指示で、パソコン26から駆動装置32に測定対象となる液34を排出する信号を送り、シリンジポンプ31を駆動して、ピペット33内の測定対象となる液を排出し、ピペット33の先端に液滴36を形成する。ピペット33の先端に形成される液滴36の大きさは、測定対象となる液の密度、比重およびピペット33の先端のサイズ等によって定まり、ある大きさになれば自ずと親水性ライン4の左端に落下するので、シリンジポンプ31の停止はパソコンにプログラムをしておくだけで、必ずしも制御する必要は無い。
制御する方がよければ、ピペット33の先端部に形成された液滴36を光学系によってモニターし、これの与える信号に応じて、駆動装置32を制御し、所定の大きさとなったところで、これを検出し、あるいは、操作者の指示で、シリンジポンプ31を停止し、ピペット33を押し下げる操作(図示しないが、このために、後述するロッド41の制御のための駆動装置37と同様な駆動装置が必要である)をして、ピペット33の先端部に形成された液滴36を測定基板100の親水性ライン4の左端に接触させ、親水性ライン4上に移せばよい。なお、ピペット33の根元部とチューブ30との接続部が離れたように図示されているのは、ピペット33を拡大して表示するためである。
次に、測定基板100の親水性ライン4の左端に載置された測定対象となる液の液滴35の計測について説明する。ここでは、タンパク質を含む1μlの溶液(溶媒:150mMのNaClを含むpH7.4の50mMリン酸緩衝液)を測定対象となる液とする。次に、直径が0.1mmで先端が親水性のガラス、側面が疎水性のポリイミドでできたロッド41を液滴35の上部に接触させる。ここで、ロッド41は、ロッド41を上下動させるとともに、親水性ライン4上を水平に移動させる駆動装置37に連係するものとする。ロッド41を親水性ライン4の左端に位置させ、使用者により、パソコン26にロッド41を下げる信号が与えられると、動駆動装置37により、ロッド41は下に動く。ロッド41の先端が液滴35に接触した段階で動駆動装置37を停止させ、次いで、ロッド41を親水性ライン4上を所定の速度で水平に右側に移動させる。したがって、測定基板100の親水性ライン4上の液滴35は親水性ライン4上を、これに沿って、所定の速度で水平に右側に移動し、液溜3に落ちる。
液滴35は親水性ライン4上を所定の速度で水平に右側に移動する過程で、レーザービーム20を通過し、液滴35の直径が計測される。例えば、ロッド41を2mm/秒の速度で移動させると、液滴35はロッド41の先端にまとわりついて、同じ速度で移動する。すなわち、液滴35もロッド41の移動速度で2mm/秒で移動する。液滴35がレーザービーム20を横切ると、液滴35の界面で光が屈折し、検出器24に到達する光量が変化する。液滴35がレーザービーム20を通り過ぎると、検出器24に到達する光量は元の光量に戻る。レーザービームを横切る時間が1.22秒であれば、液滴35の直径はレーザービームを横切る位置で0.61(=1.22/2)mmと計算される。この場合、レーザービーム20の測定基板100からの高さは液滴35の直径の半分であることが前提である。従って、液滴35の直径が大きく変わるときは、レーザービーム20の測定基板100からの高さも、これに合わせて調整する必要がある。
液滴35は、次に、検出器系の光ファイバー11と12が対向している位置を通過する。この場合、光ファイバー11と12の測定基板100からの高さも、レーザービーム20の測定基板100からの高さと等しく設定されるので、測定対象となる液の光路長も0.61mmとなる。検出器系の光ファイバー11と12の間を通り抜けたときの最大吸光度を測定し、光路長が1cmのときの値に換算する。
図3は、実施例1による測定吸光度をプロットしたときの特性図である。図に示すような直線部分21と非直線部分22とからなる特性が得られる。非直線部分22はリゾチーム濃度が高すぎるために一般的におきる現象である。この計測結果を、既知のタンパク質濃度に対する公知の値と比較すると、良く一致する。
液溜3に落ちた液滴35は、実施例1の計測では、レーザービーム20が透過し、検出器系の光ファイバー11から照射される白色光が透過しているにすぎず、化学的な変化を伴う操作を受けていない。したがって、液溜3に落ちた液滴35を吸引して、他の計測に使用することができる。
さらに、実施例1の計測では、計測により汚染されるのは、測定基板100の親水性ライン4のみである。従って、親水性ライン4の左端に、新しい試料の液滴を滴下させて、計測を繰り返しても、新しい試料の液滴が、先の計測の試料により汚染されることは無いから、希釈列すべての試料を測定基板100の親水性ライン4上に順次滴下し、測定を行うことができ、スループットをあげることができる。
本発明による計測は、瞬時にスペクトルを測定することができるものであるとともに、当てる光は経時的に波長成分の強度に変動が無いものであれば良く、オープンスペースでの測定も可能である。もちろん、単一波長に分光した光を液滴に照射し、吸光度を測定する従来の分光光学系を採用しても良い。この場合はオープンスペースでの使用ができず、暗箱中での測定となる。
さらに、実質的にキュベットを用いないため、液滴と空気にしか光が当たらない。このため、キュベットが光を吸収するような波長でも分光測定ができるメリットがある。たとえば、210nmの光吸収でタンパク質の量を測定しようとすると、通常のガラスキュベットやプラスチックキュベットは使用できない。高価な溶融石英でできたキュベットを使用すれば良いが、本発明を用いることで高価な溶融石英キュベットを排除できる。
(実施例2)
実施例2は蛍光測定を行う例である。測定の前に測定対象となる液に試薬を混合し、反応を行う前処理を含む例である。
図4(A)は、実施例2に好適な測定基板200の平面図と、この測定基板を基礎として構成される計測システムの概念図、(B)は測定基板200の平面図のA−A位置で矢印方向に見たときの測定基板100の断面図である。図面のサイズは説明のためデフォルメされている。
測定基板200は、実施例1の測定基板100と同様、1はシリコン基板であり、例えば、その厚さは1mm、大きさは40mm×40mmである。シリコン基板1の表面は疎水性領域2とされ、そのなかに、液滴の保持のための親水性領域52−54と親水性ライン56−59が設けられる。親水性ライン59の末端(右端)には液溜3が形成されている。親水性領域52−55の大きさは、この領域に保持する液滴の大きさによって決定されるが、例えば、400μm×400μm程度である。親水性ライン56−59の幅は0.1mm程度である。5は位置決め用のマーカーであり、シリコン基板1の一面に形成される。8は温調板であり、シリコン基板1の裏面に設けられる。図面のサイズは説明のためデフォルメされている。
親水性ライン59と交差する形で計測システム51が設けられる。計測システム51は、蛍光励起用レーザー源21’、該レーザー源21’のレーザービームを導いて親水性ライン59上を移動する液滴の近傍で測定基板100の面と平行に前記レーザービームを液滴に照射する光ファイバー11、親水性ライン59を挟んで光ファイバー11と対向して設けられ前記液滴の発する蛍光を受ける光ファイバー12、および、光ファイバー12で導かれる液滴の発する蛍光を入力とする検出器13’から構成される。光ファイバー12は、液滴に照射されるレーザービームの液滴表面の反射光が入らないように、光ファイバー11と120度の角度をなすように設置されている。ここでも、光ファイバー11と対向して設けられる光ファイバー12とは、その先端が、親水性ライン59上を移動する液滴に接触しないだけの距離を置いて設けられる。
実施例1で、図2を参照して説明したと同様に、親水性領域52−54に液滴が形成される。親水性領域54にはmRNAより逆転写した1本鎖cDNA混合物を含む液滴を、親水性領域53には特定cDNAにハイブリダイズする60塩基のプローブ溶液からなる液滴を、親水性領域52には2本鎖に特異的にインターカレートするサイバーグリーンI溶液からなる液滴を、それぞれ、形成する。それぞれの液滴は、0.5μlである。ここではモデル系として、cDNA0.2pmol/μlに対し、5pmol/μlの相補プローブと比相補プローブで検討する。溶媒は、50mMのNaClを含む10mMのTris−HCl(pH8.0)である。
まず親水性領域54に形成した液滴と親水性領域53に形成した液滴とを、実施例1と同様な方法で親水性領域55に移動させ、ここで混合する。混合は液滴の搬送に使用したロッド41を軸方向に回転させて行うことができる。もちろん、親水性領域55が形成されている位置のシリコン基板1の背面に、ピエゾ素子を設けておき、これによる超音波を親水性領域55に置かれた液滴に作用させて比接触で攪拌してもよい。30秒間の攪拌の後、親水性領域52に形成した液滴を親水性領域55で攪拌された液滴に加え、再度攪拌する。30秒間の攪拌の後、親水性領域55で攪拌された3液滴からなる液滴を、親水性ライン59上を、所定の速度、例えば、2mm/秒の速度で移動させる。親水性ライン59上を移動する液滴は、光ファイバー11と対向して設けられる光ファイバー12の先端の間を通過するとき、レーザー源21’のレーザービームを受け蛍光を発する。このときの蛍光強度を光ファイバー12を介して、検出器13’で測定する。
試料用液中にプローブと相補的なcDNAが存在するとその量に応じた強度の蛍光が得られる。相補なcDNAが無いと、蛍光強度は1/20の強度以下である。
実施例2では、実施例1よりも、液滴の大きさを厳密に管理した方が良いので、図2で説明した液滴の形成時に、図示しない光学系を利用してCCDカメラで測定して、パソコン26に入力し、所定の処理をして、シリンジポンプ31の駆動装置32を制御するのが良い。この光学系は、簡単に言えば、ピペット33の先端部をモニターするものであれば良い。また、測定基板200の背面に設けられた温調板8を制御して、測定基板200の温度を42℃から46℃、雰囲気を45℃で湿潤状態として操作を行うのが良い。液滴の移動や攪拌後の液滴サイズを、光学系のCCDカメラでモニターしながら、液滴径に変化がある場合は、温調板8にフィードバック制御をかけ、液滴径が10%以上変動しないようにコントロールするのが良い。
実施例2では、親水性領域54に形成した液滴と親水性領域53に形成した液滴とを、実施例1と同様な方法で親水性領域55に移動させ、ここで混合することにより反応前処理を実行し、次いで、この混合液滴に、親水性領域52に形成した液滴を反応させることで、処理を一体化することができるので、上記人為的なミスを防ぐことができる。なお、この処理を、一つの測定基板200上で行わせるので、コンタミを防ぐために、反応後、直ちに測定する一回使用使いきりのチップとするのが良い。
色々な反応と組み合わせて反応生成物を検出する目的に利用でき、試料反応と検出を一体としたシステムオンチップとすることで解決できる。反応前駆体をいくつかの液滴に分けておき、親水性のライン上を各液滴を所定の順序で衝突合体させて反応を行う。反応時間は、たとえば、親水性ライン上にライン幅の2〜4倍程の径の親水性領域を設けてそこに液滴が滞在するようにしても良いし、わずかにへこみのある部位をもうけ、そこに所定の時間だけ液滴を滞在させることで解決できる。
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施例の構成に限らず、種々の形で実施できる。
例えば、図2を参照して説明したロッド41による液滴の移動は、ガスの噴射に置き換えることができる。例えば、親水性ライン4の延長線上にガス噴射ノズルを配置し、ガス噴射ノズルには、ガス圧力タンクに接続されたチューブと、バルブを設け、バルブ開閉により、ガス噴射ノズルによる噴射ガスで液滴35の移動を制御しても良い。液滴のサイズ、質量を考慮したガス噴射とすれば、液滴35は、親水性ライン4にガイドされて所定の速度で親水性ライン4上を移動し、液溜3に落ちる。実施例2でも、親水性領域55から液溜3への移動は同様にすることができる。このようにガス噴射とするときは、測定基板200の上面を移動する構造物が減るので、装置の構成が簡単になる。
液滴の移動に表面弾性波を用いることができる。図5は、親水性ライン4の左端に液滴を構成し、これを表面弾性波を用いて移動させて計測するシステム構成の例を説明する概念図である。基板1の液滴が移動する疎水性ライン4の下に圧電素子205とくし型電極206からなる表面弾性波発生器を配する。くし型電極としては、4硼酸リチウムあるいはタンタル酸リチウムあるいはニオブ酸リチウムなどのリチウム化合物を用いることができる。これら圧電素子205と電極206の表面は疎水性コーティングがなされ、液滴搬送方向に親水性のライン4が設置されているのは上記実施例1で説明したとおりである。くし型電極206の対向電極間に電圧をかけることにより位相のそろった表面弾性波を親水性ライン4にそって発生させることができる。液滴202は表面弾性波に乗り移動する。ここでくし型デバイスは液滴を作成する親水性ライン4の上流部に設置する。圧電基板部は基板1の親水性ライン全体に設置していてもよいし、図5のように液滴202を滴下する部位近傍のみに設置してもよい。くし型電極間に電圧をかけることにより表面弾性波が発生し液滴が矢印204方向に打ち出され移動する。
一般に従来吸光度測定に使用した試料はそのまま破棄される。このため測定に使用する液量が多いと試料が無駄になる。
例えば、図1で説明した、親水性ライン4と液溜3の系統を複数個並列に設け、それぞれの親水性ライン4の左端に測定したい試料の溶液を液滴にして配置し、これをガス噴射により、順次検出部に転がして測定を行うことでハイスループット化を達成できる。この場合、ガス噴射系は一つとし、ステージ19を移動させることが現実的である。
液滴を移動させる力としては、その他、微小磁石を液滴に一個入れ、微小磁石を基板の裏から磁場で動かすことで液滴を動かすことができる。この場合、微小磁石は親水性とし、液滴がまとわりつくようにする。微小磁石は液滴径の半分以下の大きさとすることで後の吸光度測定を妨害しないようにすることができる。
(A)は、実施例1に好適な測定基板100の平面図と、この測定基板を基礎として構成される計測システムの概念図、(B)は測定基板100の平面図のA−A位置で矢印方向に見たときの測定基板100の断面図である。 本発明の実施に好適な測定基板100の親水性ライン4の左端に液滴を構成し、これを計測するシステム構成の例を説明する概念図である。 実施例1による測定吸光度をプロットしたときの特性図である。 (A)は、実施例2に好適な測定基板200の平面図と、この測定基板を基礎として構成される計測システムの概念図、(B)は測定基板200の平面図のA−A位置で矢印方向に見たときの測定基板100の断面図である。 親水性ライン4の左端に液滴を構成し、これを表面弾性波を用いて移動させて計測するシステム構成の例を説明する概念図である。
符号の説明
1…シリコン基板、2…疎水性領域、3…液溜、4…親水性ライン、5…位置決め用のマーカー、8…温調板、10…広域光源、10’…レーザー源、11,12…光ファイバー、13,13’…検出器、14…分光器、15…CCDラインセンサー、20…レーザービーム、21…レーザー源、22,23…反射ミラー、26…パソコン、27,32,37…駆動装置、28…操作信号、33…ピペット、34…測定対象となる液、31…シリンジポンプ、35,36,202…液滴、52−55…親水性領域、56−59…親水性ライン、50,51…計測システム、100,200…測定基板、205…圧電素子、206…くし型電極。

Claims (3)

  1. 撥水性面に液滴を保持する親水性のパターンを配された基板、
    溶質分子を含む液滴を前記基板上に形成させる手段、
    前記基板上に形成した前記液滴を前記親水性のパターン上で移動させる手段、
    前記パターン上を移動する前記液滴にレーザービームを照射するためのレーザー光源、
    前記液滴を透過した前記レーザービームの光の強度を検出する第1の光検出器、
    前記パターン上を移動する前記液滴に白色光を照射するための光源、
    前記液滴を透過した前記白色光を検出する第2の光検出器、および
    前記液滴が前記レーザービームおよび前記白色光を横切って移動する際の、前記レーザービームの強度の変化に基づいて前記液滴の大きさを算出し、前記白色光の変化に基づいて前記液滴の吸光度を算出する演算手段を備える、吸光分光システム。
  2. 溶質分子の定量に用いる、請求項1に記載のシステム。
  3. 前記溶質分子が、タンパク質、RNA、またはDNAである、請求項に記載のシステム。
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