JP4906229B2 - ブリスクをニアネットシェイプ高速荒加工するための方法及び装置 - Google Patents

Description

本発明は、一般的に電気加工方法に関し、より具体的には、旋削加工、フライス加工、ＥＤＭ（放電加工）、又はＥＣＭ（電解加工）と比較して高い金属除去速度でかつ低い工具費用で、ブレード付きディスク（すなわち、いわゆるブリスク）上の翼形部をニアネットシェイプ（ネットシェイプに近い状態）に荒加工するために用いることができる装置に関する。

電気加工は、輪郭成形した電極の回転運動を用いて、制御された電食により加工物から材料を除去する技術である。機械加工の運動学は、フライス加工又は研削加工に類似している。工具電極は、陰極に接続され、一方、加工物は、パルス発生器又は連続直流電源の陽極に接続される。電極間の間隙により、電解液を流すことが可能になる。

電解液又は加工界面において発生する気化ガス層の電気分解によって、また電極間の瞬間的なアーク発生又は一過性の短絡によって電食を生じさせることが可能である。全てケースにおいて、決定的因子となるのは、電流と侵食過程の時間とである。しかしながら、加工表面の電食は、比較的粗く、多数のクレータが侵食ゾーン内に形成される。従って、この技術は、精巧に加工された加工物を製作するのには用いることができない。
米国特許 3642601号明細書 米国特許 5861608号明細書 米国特許 6156188号明細書 米国特許 6416650号明細書 米国特許 6562227号明細書 米国特許出願公開 2003/0024825号明細書 米国特許出願 10/248,214号明細書 米国特許出願 10/248,216号明細書 Aerospace Engineering Online, http://www.sae.org/aeromag/techupdate 4-00/14.htm, "Improving engine blisk manufacturing", Frank Bokulich, Aerospace Engineering, Apr. 2000..

本発明の第１の態様は、ブリスク上の翼形部を加工するための装置に在り、該装置は、回転軸線の周りで回転するように支持されかつ電気加工を行うようになった環状切削要素を含む。

本発明の第２の態様は、ブリスク上の翼形部を加工する方法に在り、該方法は、その軸線の周りで回転するように環状切削要素を駆動する段階と、該環状切削要素に電源を供給する段階と、該環状切削要素との間の電極間隙に電解液を供給する段階と、プログラム可能制御装置を用いて該環状切削要素を多数の相互に対向する方向に移動させて、ブリスクを形成するように加工物から材料を侵食する段階とを含む。

本発明の第３の態様は、ブリスク上の翼形部を加工するための装置に在り、該装置は、その軸線の周りで回転するように環状切削要素を駆動するための手段と、該環状切削要素に電源を供給するための手段と、電極間隙に流体源を供給するための手段と、ブリスクを形成するように加工物から材料を侵食するために、プログラム可能制御装置を用いて該環状切削要素を多数の相互に対向する方向に移動させるための手段とを含む。

本発明は、ブレード付きディスク及び複雑な構造体のような構成部品を製造することに関連する加工の困難さを回避することを目的とする。

航空機用エンジン及び産業用ガスタービンは、伝統的に、個々の翼形部がスロット付きの中心保持体内にナット及びボルトにより固定されているようなブレード付き圧縮機ディスクを用いてきた。エンジンにおける空気力学的損失、重量及び複雑さを減らすために、これらのディスク組立体は、「ブリスク」と呼ばれる一体形のブレード付きディスクと置き換えられるようになってきた。１つのブリスクは、エンジン内の最大１２０個又はそれ以上の部品と置き換わることができる。

しかしながら、ブリスクは、機械加工するのが困難である。ブリスクの製造時、加工物は一般的に、最初は円形ディスクである。２つの隣接する翼形部上の凹面形の表面と凸面形の表面との間にポケットを形成するような方法で、材料が除去される。全てのポケットが完成して残りの材料が予備形成翼形部とブリスクの残部とを形成するまで、この処理は繰り返される。

本発明の開示した実施形態は、ブリスク等を製造する場合に、困難さを減らしかつ効率を高めることを目的とする。

より具体的には、本発明の実施形態は、電気加工処理を用いて高速でブリスク予備形成品からこの材料を除去するための方法及び装置の両方を含む。図１に示す第１の実施形態では、全体を符号１００で示す切削ツールは、軟鋼のような適当な導電性材料で作られた円形リング状又はリング状工具１０２を含む。このリング状工具１０２は、複数の案内ローラセット１０６により実質的にＣ形状の支持プレート１０４上に回転可能に支持される。リング状工具１０２の厚さ、幅、及び直径は、残りの材料（予備形成翼形部）が仕上げ加工のために残された幾分かの厚さ余裕代を有しかつ予備形成品の最終形状内にガウジングがないネットシェイプに近似するような状態で、ポケットが該リング状工具１０２により加工されることになるように選択される。支持プレートの形状は、図示した構成に限定されるものではなく、装置が適用される加工作業に応じて変更することができる。

切削ツール１００は、支持／移動（並進）装置１０８を用いることにより支持されかつ位置決め制御され、該装置１０８は、市販されている装置とすることができ、また４つの運動軸線のような多数の運動軸線に沿った移動を可能にする。この支持／移動装置１０８は、コンピュータ数値制御（ＣＮＣ）の駆動及び制御装置を含むのが好ましい。Ｘ、Ｙ、及びＺ軸に沿った運動の制御は、Ｚ軸での送り速度がプログラムされかつ制御されるのを可能にするこの装置により達成される。Ｘ及びＹ軸方向の移動もまた、プログラムされ、制御され、かつ補間されることができる。これは、工具のリングの内径（ＩＤ）又は外径（ＯＤ）のいずれかが、幾分かの仕上げ代を残した状態で、翼形部断面輪郭にできるだけ近似するように切削されることを可能にする。

それが加工処理に役立つことになる場合には、付加的な運動（すなわち、長手方向軸線に沿った回転及び傾斜）軸線を、加工物に与えることができる。切削ツールは、環状であり、従って中央の円形開口を有しているので、該切削ツールは、例えば平坦な無開口ディスクタイプの切削要素では可能でないような、加工物に対する位置に動かされることができる。

リング状工具１０２のＷで示す方向への回転を用いて、静止した円形スラブ、素材片、又は加工物に対して切削作用を行うことができる。図１に示すように、リングのＺ軸に沿った移動を用いて、ブリスクの２つの翼形部間において円形スラブ上にスロットを切削しながら下方への送りを行うことができる。Ｘ及びＹ軸に沿った位置調整を用いて、翼形部の必要とされる曲率を荒加工することが可能になる。

工具リング１０２の回転は、駆動源１１０により与えられ、該駆動源１１０は、回転エネルギー源を含みかつ変速機を組み込まれることができる。回転源は、速度制御装置を備えた電気モータとすることができる。変速機は、減速歯車機構のような歯車伝達装置、ベルト、又は回転運動を駆動源から切削ツールに伝達する他の手段とすることができる。

切削面速度を決めるリング状工具１０２の回転速度は、モータ速度制御装置と所望に応じて可変速歯車装置を備えることができる変速機とのうちの１つ又はその両方を用いることにより、適当なレベルに設定しかつ制御することができる。

上記に加えて、第１の実施形態は更に、電気加工切削に適した電源をリング状工具１０２に供給する電源装置１１２を含む。回転リング１０２への電気の伝達は、ブラシシステム又は導電性ローラ装置１１４により達成することができる。

浅いスロット１０２Ｓ（図３参照）をリング状工具１０２の切削面に切り込んで、電気加工切削処理の間の連続アークを防止するようにすることができる。切削ゾーンは、切削剤が流体源１１６から該切削ゾーンに容易に供給されることができるように露出される。この流体源は、流体の流れを生じさせるポンプ又は類似のものを含む。この流体は、水、脱イオン水、或いは、水溶性の電解溶液、分散液、又は適当な電解物質／液体等の混合物とすることができる。例を挙げるだけであるが、ＮａＮＯ_２、ＮａＯＨの溶液、又は、Ｎａ_２ＣＯ_３及びＮａＮｏ_２の混合物を用いることができる。

リング状工具ホルダ設計が切削ゾーンを露出しない場合には、リング状工具１０２（図３のこの流路構造と関連した供給口１０２Ｐを参照）内／上に内部流路を設けて、充分な量の切削流体を切削ゾーンに供給することができる。

他の代りの設計を実施することができる。例えば、図２に示すように、本発明の第2の実施形態は、逆円形カップ（すなわち、中空の切頭円錐形構成）２０２を用いる。上に開示したようなモータ及び／変速機を有する駆動装置が、カップの上端と駆動結合した状態で配置される。理解されるであろうが、カップの開口端部（リップ部）は、実際には環状部材であり、第1の実施形態（図１）と関連して上に開示したリング状カッタとして働く。

特許請求の範囲に示す参照符号は、本発明の技術的範囲を制限するのではなくそれらを容易に理解するためのものである。

本発明の第1の実施形態を示す斜視図。 本発明の第2の実施形態を示す概略斜視図。 アーク制御用の浅いスロットと流体供給用の流路構造とが形成されている環状切削要素を概略的に示す斜視図。

符号の説明

１００ 切削ツール
１０２ リング状工具
１０４ 支持プレート
１０６ 案内ローラセット
１０８ 支持兼移動装置
１１０ 駆動装置
１１２ 電源
１１４ 導電性ローラ装置
１１６ 流体源

Claims (7)

1. ブリスク上の複数の翼形部を加工するための装置であって、
   電食により加工物から材料を除去する電気加工処理を行うための環状電極工具（１０２）を含み、
   前記環状電極工具（１０２）は、円形開口を有し、該円形開口の中央に位置する回転軸線の周りで回転するように支持され、
   前記環状電極工具には、該環状電極工具と該電極工具により材料が除去される加工物との間の連続アークを防止するようになった浅いスロット（１０２Ｓ）が、該環状電極工具の切削面に形成されており、
   前記環状電極工具は、前記複数の翼形部のうち２つの隣接する翼形部の一方を前記円形開口内に位置させて該２つの隣接する翼形部間に挿入され、該２つの隣接する翼形部間の材料を除去して該２つの隣接する翼形部間にポケットを形成するよう構成されている
   ことを特徴とする装置。
2. 前記加工するための装置が、逆カップ形状部材（２０２）を備え、該逆カップ形状部材（２０２）の環状リップ部が前記環状電極工具（１０２）を構成することを特徴とする、請求項１に記載の装置。
3. 前記環状電極工具を支持しかつ該環状電極工具を少なくとも３つの相互に対向する軸線に沿って移動させるための支持兼移動装置（１０８）と、
   前記環状電極工具（１０２）を前記回転軸線の周りで回転させる駆動装置（１１０）と、
   前記環状電極工具に電気を供給する電源（１１２）と、
   を含むことを特徴とする、請求項１に記載の装置。
4. 前記環状電極工具に流体を供給する流体源（１１６）を更に含むことを特徴とする、請求項３に記載の装置。
5. 前記流体源が、流体を電極加工ゾーンに導くようになった、前記環状電極工具内の流路構造を含むことを特徴とする、請求項４に記載の装置。
6. 前記環状電極工具が、成形支持プレート（１０４）上に支持され、かつ複数のローラ（１０６）により該成形支持プレートに対して回転可能になるように支持されていることを特徴とする、請求項１に記載の装置。
7. 電食により加工物から材料を除去する電気加工処理によって、ブリスク上の複数の翼形部を加工するための装置であって、
   電食により加工物から材料を除去する電気加工処理を行うための、円形開口を有する環状電極工具（１０２）と、
   前記円形開口の中央に位置する軸線の周りで前記環状電極工具を駆動するための手段（１１０、１０６）と、
   前記環状電極工具に電源を供給するための手段（１１２、１１４）と、
   前記環状電極工具に流体源を供給するための手段（１１６）と、
   前記ブリスクを形成するように加工物から材料を侵食するために、プログラム可能制御装置を用いて前記環状電極工具（１０２）を３つの相互に対向する方向に移動させるための手段（１０８）と、
   を含み、
   前記環状電極工具の切削面には、該環状電極工具と該電極工具により材料が侵食される加工物との間の連続アークを防止するようになった浅いスロット（１０２Ｓ）が形成されており、
   前記環状電極工具は、前記複数の翼形部のうち２つの隣接する翼形部の一方を前記円形開口内に位置させて該２つの隣接する翼形部間に挿入され、該２つの隣接する翼形部間の材料を除去して該２つの隣接する翼形部間にポケットを形成するよう構成されている
   いることを特徴とする装置。