JP4905282B2 - 皺画像生成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、皺画像生成装置に関し、特に、皮革の表面に特有の革シボパターンを構成する多数の皺からなる画像を人為的に作成するのに適した装置に関する。
皮革は、財布、鞄、靴などの身のまわりの物から、ソファーなどの家具、そして自動車の内装材に至るまで、様々な製品に利用されている。この皮革は、多数の皺からなる独特の模様を有しており、この皮革特有の凹凸模様は、一般に「革シボ」と呼ばれている。最近は、天然の皮革を用いる代わりに、様々な合成材料を用いて作成した人工皮革も盛んに利用されるようになってきているが、人工皮革では、表面に革シボパターンを人工的に形成する必要がある。
このような革シボパターンは、自然界の生物によって生み出された自然な風合いをもった独特のパターンであるため、従来は、天然皮革から抽出したパターンを転用して作成するのが一般的であった。具体的には、天然皮革の表面を写真撮影し、当該撮影画像の中から意匠的に優れた部分を切り出し、これを繰り返し配置して、繋ぎ目を目立たなくするシームレス処理を施すことにより、必要な大きさの革シボパターンを作成することができる。
一方、最近では、CG技術の発達により、コンピュータを用いた演算処理のみで、自然な風合いをもった革シボパターンの皺画像を作成する技術も提案されている。たとえば、下記の非特許文献1には、ランダムに配置した母点に基づくボロノイ分割を利用して革シボパターンを疑似的に生成する手法が開示されており、下記の特許文献1には、同様の手法で爬虫類の皮膚や植物の組織などの表現に適した不定形セルからなる皺模様を生成する手法が開示されている。また、下記の非特許文献2には、生物の皮膚細胞をパーティクルに見立て、パーティクルの配向を制御するポテンシャル場を定義し、Runge-Kutta法を用いて皮革細胞の成長シミュレーションを行い、細胞形状をメタボールで表現することにより革シボパターンを疑似的に生成する手法が開示されている。
特開平9−265542号公報 石井、安田、横井、鳥脇、"表面の微細形状に注目した皮膚の質感表現の一手法"、情処論誌、Vol. 32、No. 5、pp.645-654 (1991) 宮田、坂口、今尾、須崎、"パーティクルとメタボールを用いた皮革テクスチャの生成法"、情処研報、Vol. 2006、No. 119、pp.13-18 (2006)
上述した天然皮革の撮影画像を利用して革シボパターンを作成する従来の手法は、撮影時の照明環境と天然皮革の凹凸模様の位置関係により、撮影画像上に光沢や陰影が付加されてしまうため、天然皮革の凹凸模様を忠実に再現することが困難である。また、革シボパターンの特徴は、用いた天然皮革の特徴に依存したものになり、用途に応じた嗜好に合致した革シボパターン等の皺画像を作成することもできない。
これに対して、前掲の各文献に記載されたCG技術を用いた手法では、パラメータの設定値を変えることにより、ある程度、好みに応じた革シボパターン等の自然な風合いをもった皺画像を作成することが可能になる。しかしながら、設定可能なパラメータの数は限られているため、自由度の高い皺画像(特に異方性をもった画像)の作成は困難である。
そこで本発明は、CG技術を用いた手法により、自然な風合いをもちつつ、非常に自由度の高い革シボパターン等の皺画像を生成できる皺画像生成装置を提供することを目的とする。
(1) 本発明の第1の態様は、皺画像生成装置において、
二次元平面上の作業領域内に多数の母点を定義する母点定義部と、
作業領域内に定義された個々の母点について、隣接する母点との間にそれぞれ連結線を定義する連結線定義部と、
作業領域に対応する参照領域内にスカラー場を定義するスカラー場定義部と、
個々の連結線上に、スカラー場上の当該連結線の位置に対応する位置に定義されたスカラー値に応じた物理的特性をもった仮想ばねを定義する仮想ばね定義部と、
個々の母点を質点とみなし、各連結線の両端に位置する一対の母点が当該連結線上に定義された仮想ばねで連結されているとみなしたときに、各仮想ばねによって作用する力に基く各質点の運動シミュレーションを実行するシミュレーション実行部と、
運動シミュレーションによって運動中の母点の所定時点における位置を変位母点の位置と決定する変位母点決定部と、
各変位母点についての連結線上にその中点を求め、当該連結線に対して直交し、当該連結線と同じ長さをもつ皺構成線分を、当該皺構成線分の中点が当該連結線の中点に重なるように配置する皺構成線分配置部と、
皺構成線分の集合体に基づいて、皺画像を生成する皺画像生成部と、
を設けるようにしたものである。
(2) 本発明の第2の態様は、上述の第1の態様に係る皺画像生成装置において、
仮想ばね定義部が、ばね定数kおよび自然長Lを物理的特性として有する仮想ばねを定義し、ばね定数kおよび自然長Lのいずれか一方もしくは双方を、当該仮想ばねが配置される連結線の位置に対応する位置に定義されたスカラー値に基づいて決定するようにしたものである。
(3) 本発明の第3の態様は、上述の第2の態様に係る皺画像生成装置において、
スカラー場定義部が、参照領域内に配列された画素の集合からなる参照画像の画像データを格納しており、個々の画素の画素値を当該画素位置についてのスカラー値とすることにより、スカラー場の定義を行い、
仮想ばね定義部が、参照領域内の対応位置に連結線を描画したときに、当該連結線上もしくはその近傍に位置する画素の画素値の和もしくは平均に基づいて仮想ばねの物理的特性値を決定するようにしたものである。
(4) 本発明の第4の態様は、皺画像生成装置において、
二次元平面上の作業領域内に多数の母点を定義する母点定義部と、
作業領域内に定義された個々の母点について、隣接する母点との間にそれぞれ連結線を定義する連結線定義部と、
作業領域に対応する参照領域内にスカラー場を定義するスカラー場定義部と、
個々の連結線上に、所定の物理的特性をもった仮想ばねを定義する仮想ばね定義部と、
個々の母点をスカラー場上の当該母点の位置に対応する位置に定義されたスカラー値に応じた質量をもった質点とみなし、各連結線の両端に位置する一対の母点が当該連結線上に定義された仮想ばねで連結されているとみなしたときに、各仮想ばねによって作用する力に基く各質点の運動シミュレーションを実行するシミュレーション実行部と、
運動シミュレーションによって運動中の母点の所定時点における位置を変位母点の位置と決定する変位母点決定部と、
各変位母点についての連結線上にその中点を求め、当該連結線に対して直交し、当該連結線と同じ長さをもつ皺構成線分を、当該皺構成線分の中点が当該連結線の中点に重なるように配置する皺構成線分配置部と、
皺構成線分の集合体に基づいて、皺画像を生成する皺画像生成部と、
を設けるようにしたものである。
(5) 本発明の第5の態様は、上述の第4の態様に係る皺画像生成装置において、
スカラー場定義部が、参照領域内に配列された画素の集合からなる参照画像の画像データを格納しており、個々の画素の画素値を当該画素位置についてのスカラー値とすることにより、スカラー場の定義を行い、
シミュレーション実行部が、参照領域内の対応位置に母点を配置したときに、当該母点上の画素の画素値、または当該母点の近傍に位置する複数の画素の画素値の和もしくは平均に基づいて、当該母点の質量を決定するようにしたものである。
(6) 本発明の第6の態様は、上述の第1〜第5の態様に係る皺画像生成装置において、
母点定義部が、縦横格子状に母点を規則的に初期配置して定義するようにしたものである。
(7) 本発明の第7の態様は、上述の第6の態様に係る皺画像生成装置において、
母点定義部が、規則的に初期配置した母点の各位置を、乱数を用いて変動させることにより、揺らぎの成分をもった配置がなされた母点の定義を行うようにしたものである。
(8) 本発明の第8の態様は、上述の第6または第7の態様に係る皺画像生成装置において、
連結線定義部が、初期配置時の格子配列において、縦横4方向もしくは斜めも含めた8方向に隣接する母点との間に、それぞれ連結線の定義を行うようにしたものである。
(9) 本発明の第9の態様は、上述の第1〜第8の態様に係る皺画像生成装置において、
スカラー場定義部が、線状模様をもった参照画像によってスカラー場を定義するようにしたものである。
(10) 本発明の第10の態様は、上述の第9の態様に係る皺画像生成装置において、
スカラー場定義部が、
空間周波数を示すパラメータFを設定するとともに、角度の範囲「θ1〜θ2」、幅の範囲「U1〜U2」、長さの範囲「H1〜H2」をパラメータとして設定するパラメータ設定部と、
参照領域内にXY二次元座標系を定義し、−0.5〜+0.5の範囲内のランダム値Rndと整数iおよびjを用いて、X=(F×i)+(F×Rnd)およびY=(F×j)+(F×Rnd)なる演算によって求まる座標値(X,Y)で示される位置に核点P(X,Y)をプロットする処理を、iの値を1から所定の最大値Iまで1ずつ変え、jの値を1から所定の最大値Jまで1ずつ変えた各組み合わせについて実行し、合計(I×J)個の核点Pを設定する核点設定部と、
個々の核点Pについて、θ1〜θ2内のランダム値θ、U1〜U2内のランダム値U、H1〜H2内のランダム値Hを定め、核点Pを中心点として、基準となる座標軸に対して角度θをなす方向を向き、幅U,長さHをもった参照帯状領域を定める処理を行い、合計(I×J)個の参照帯状領域を設定する参照帯状領域設定部と、
各参照帯状領域の外部の画素には背景部分を示す画素値を与え、各参照帯状領域の内部の画素には線状模様部分を示す画素値を与えることにより、線状模様をもった参照画像を生成する参照画像生成部と、
を有するようにしたものである。
(11) 本発明の第11の態様は、上述の第10の態様に係る皺画像生成装置において、
参照画像生成部が、内側から外側に向かって画素値がなだらかに変化するように、各参照帯状領域の内部の画素に画素値を与えるようにしたものである。
(12) 本発明の第12の態様は、上述の第1〜第8の態様に係る皺画像生成装置において、
スカラー場定義部が、実在の物体表面の画像を取り込む画像取込装置を有し、取り込んだ画像もしくはこれを加工して得られた画像によってスカラー場を定義するようにしたものである。
(13) 本発明の第13の態様は、上述の第1〜第12の態様に係る皺画像生成装置において、
シミュレーション実行部が、両母点間の距離Dと当該両母点間に連結される仮想ばねの自然長Lとの差を(D−L)とし、当該両母点間に当該仮想ばねに起因したF=−k(D−L)なる力が作用するものとし、各母点の質量をmとしてF=mαなる式に基づいて各母点の運動加速度αを求め、各母点の運動シミュレーションを実行するようにしたものである。
(14) 本発明の第14の態様は、上述の第13の態様に係る皺画像生成装置において、
シミュレーション実行部が、第k番目の時点tkにおいて、各母点のそれぞれについて、その時点の仮想ばねに起因して作用する力の合力を求め、第k番目の時点tkから第(k+1)番目の時点t(k+1)に至るまでの時間δの間における各母点の合力に基づく移動経路を求め、時点t(k+1)における各母点の位置を決定する処理を、k=0からkを1ずつ増加させながら繰り返し実行し、
変位母点決定部が、kの値が所定値Kに達した時点における各母点の位置を変位母点の位置と決定するようにしたものである。
(15) 本発明の第15の態様は、上述の第1〜第14の態様に係る皺画像生成装置において、
シミュレーション実行部が、作業領域の輪郭近傍に位置する母点を不動の固定点として、運動シミュレーションを実行するようにしたものである。
(16) 本発明の第16の態様は、上述の第1〜第15の態様に係る皺画像生成装置において、
シミュレーション実行部が、特定の両母点間に作用する力Fが所定のしきい値Fthを超えた場合に、当該特定の両母点間を連結する仮想ばねが破断したものと判断し、以後、当該特定の両母点間には仮想ばねが存在しないものとして、運動シミュレーションを実行するようにしたものである。
(17) 本発明の第17の態様は、上述の第1〜第16の態様に係る皺画像生成装置において、
皺画像生成部が、各皺構成線分に幅をもたせる処理を行い、皺構成帯状領域を形成し、各皺構成帯状領域の外部の画素には背景部分を示す画素値を与え、各皺構成帯状領域の内部の画素には皺部分を示す画素値を与えることにより皺画像を生成するようにしたものである。
(18) 本発明の第18の態様は、上述の第17の態様に係る皺画像生成装置において、
皺画像生成部が、幅の範囲「W1〜W2」をパラメータとして設定し、個々の皺構成線分について、それぞれW1〜W2内のランダム値Wを定め、幅Wをもった皺構成帯状領域を形成するようにしたものである。
(19) 本発明の第19の態様は、上述の第17または第18の態様に係る皺画像生成装置において、
皺画像生成部が、内側から外側に向かって画素値がなだらかに変化するように、各皺構成帯状領域の内部の画素に画素値を与えるようにしたものである。
(20) 本発明の第20の態様は、上述の第1〜第19の態様に係る皺画像生成装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムを用意するようにしたものである。
本発明の皺画像生成装置では、多数の母点間に仮想ばねを連結し、コンピュータ上で力学的シミュレーションを行うことにより、革シボパターン等の皺画像を生成することができる。各母点間に仮想ばねに基づく力を作用させるシミュレーションを行うため、生物の皮膚の成長過程に似た現象をシミュレートすることができるので、CG技術を用いた手法を採りながら、天然皮革などの自然な風合いをもつ皺画像の生成が可能になる。また、力学的シミュレーションのパラメータとなるばねの物理的特性や母点の質量を、二次元画像として与えられるスカラー場によって設定することができるため、非常に自由度の高い皺画像の生成が可能になる。
以下、本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。
<<< §1.本発明に係る皺画像生成手法の基本概念 >>>
本発明に係る皺画像生成装置は、主として天然皮革に特有な革シボパターンを、コンピュータを用いた演算処理によって生成するために開発されたものである。したがって、この演算処理のアルゴリズムの根底には、革シボパターンに固有の特徴を表現する上で好都合な要素が盛り込まれている。そこで、まず、本発明の着想を得るきっかけとなった一般的な革シボパターンに固有の特徴を簡単に述べておく。
既に述べたとおり、「革シボパターン」とは、皮革特有の凹凸模様、すなわち、多数の皺からなる独特の模様であるが、その実体は、動物の種類によって様々であり、また、同じ動物でも皮膚の部位によって様々である。ただ、一般的には、細かな不定形のセル状要素の集合体として把握できるパターンであり、個々のセルの境界部分に皺が生じることになる。
図1は、革シボパターンの基本構成例を示す平面図である。この平面図は、説明の便宜上、出願人が作成した人為的な図であり、個々のセルがほぼ完全な閉領域を構成している。すなわち、図の白い部分が個々のセルを構成し、黒い部分がその境界部分となっている。もちろん、実際の天然皮革の表面に現れる革シボパターンは、このように個々のセルが完全な閉領域を構成するものにはならず、白い部分と黒い部分とが、かなり乱雑に入り乱れたものになるが、ここでは、図に白い部分として示される皮丘部と、図に黒い部分として示される皮溝部とを対比する上で、個々のセル(皮丘部)とその境界部分(皮溝部)という明確な区分けがなされた例を示すことにする。
また、実際の革シボパターンは、平面的な模様ではなく、凹凸構造をもった立体模様である。すなわち、図示の黒い部分は溝を形成し、図示の白い部分は丘を形成する。白い部分(セルの部分)を皮丘部と呼び、黒い部分(セルの境界部分)を皮溝部と呼ぶのは、このような立体構造において、両者が溝と丘の関係をなすためである。また、図1にも例示したとおり、このような皮溝部がある程度の長さにわたって連なって見える箇所は、一般に血筋と呼ばれている。
なお、図1では、便宜上、白黒の二値画像を示したが、実際の天然皮革の凹凸構造は、凹と凸の2通りの高さをもつわけではなく、なだらかな高低をもつ構造であり、たとえば、皮溝部の部分であっても、浅い部分から深い部分に至るまで様々な深さを有している。このような連続的な高低情報を示すには、図1のような二値画像ではなく、濃淡の情報をもった階調画像が用いられる。
このように、革シボパターンに、皮丘部や皮溝部が生じるのは、皮革表面の生体構造に由来する。図2は、天然皮革表面の一般的な構造を示す拡大斜視図である。皮革は生物の皮膚の表面部分であり、図示のとおり、皮丘と皮溝とによって構成されている。そして、通常、皮溝の交差部分に汗腺や毛根が位置し、そこから体毛が育成されることになる。図1に示す皮丘部および皮溝部は、図2に示す皮丘および皮溝に対応する部分である。
天然皮革の革シボパターンに自然の風合いが感じられるのは、個々の皮丘部や皮溝部の形状・大きさ・向きなどに、自然の揺らぎ要素が盛り込まれているためと考えられる。生物の皮膚の各部位によって、このような揺らぎが生じる理由は、生物学的な探究のテーマであるが、いずれにしても、このような揺らぎが生じるのは、生物の成長過程において、各部分の成長速度がそれぞれ異なるためと考えられる。本願発明者が知る限り、皮膚の各部位によって成長速度に差が生じる正確なメカニズムは、現段階では解明されていないようである。ただ、一般論的には、何らかの要因で皮膚細胞内の保湿力に差が生じ、保湿力の高い部位は芳しい成長を遂げるが、保湿力の低い部位は緩慢な成長を遂げる、とする説が唱えられている。
天然皮革の表面に生じる革シボパターンを、人為的に生成するためには、本来、このような生物学的な成長過程を詳細に把握し、当該生物学的な成長過程をコンピュータ上でシミュレートするべきである。しかしながら、現時点では、このような生物学的な成長過程の正確なメカニズムは不明であり、そのようなシミュレーションを行うことは非常に困難である。そこで、本願発明者は、このような生物学的な皮膚の成長過程を、より単純な物理学的現象に置き換えることにより、革シボパターンに類似したパターンを人為的に発生できるのではないかと考えた。
本願発明者が着目した物理学的現象は、相互にばねで連結された多数の質点の挙動である。たとえば、規則的に配列された多数の質点を用意し、個々の質点について、その四方もしくは八方に隣接する別な質点との間にばねを連結したものとする。このとき、個々のばねを強いばねにしたり、弱いばねにしたりすれば、強いばねで連結された2つの質点は相互に接近しようとするが、弱いばねで連結された2つの質点は、結果的に相互の距離が離されてしまうことになろう。つまり、ある領域については強いばねを用い、別なある領域については弱いばねを用いる、というように、領域ごとにばねの条件を変えてやれば、質点を密集させたり、離散させたり制御することができる。
本願発明者は、このように、相互にばねで連結された多数の質点の挙動に関する物理学的なシミュレーションは、前述した生体の皮膚の成長過程のシミュレーションと似た結果を生む可能性があるのではないかと考えた。すなわち、生体の皮膚の成長過程において、保湿力の高い部位は著しい成長を遂げ、保湿力の低い部位は緩慢な成長を遂げる、とすれば、これを質点とばねのモデルに置き換え、保湿力をばね定数として取り扱えば、類似した結果が得られるのではないかと考えたのである。
このような基本概念に基づいて質点とばねのモデルについてのシミュレーションを行った結果、自然な風合いを有する疑似的な革シボパターンの皺画像を生成することに成功した。しかも、この手法では、生物学的なモデルにおける「保湿力分布」に相当するパラメータとなる「ばね定数分布」を二次元スカラー場(二次元画像)として用意することができるので、この二次元スカラー場を変えることにより、非常に自由度の高い皺画像の生成が可能になる。
<<< §2.本発明に係る皺画像生成装置の基本構成 >>>
図3は、本発明に係る皺画像生成装置の基本構成を示すブロック図である。図示のとおり、この装置は、母点定義部10、連結線定義部20、仮想ばね定義部30、スカラー場定義部40、シミュレーション実行部50、変位母点決定部60、皺構成線分配置部70、皺画像生成部80によって構成されている。もっとも、実際には、これらの各構成要素は、コンピュータに専用のプログラムを組み込むことによって実現されるものである。なお、図3に示す実線の矢印は、各構成要素間の情報の流れを示す。また、破線の矢印は、§6で述べる変形例における情報の流れを示している。
母点定義部10は、二次元平面上の作業領域内に多数の母点を定義する機能を有している。ここで定義した個々の母点は、所定の質量をもった質点として取り扱われることになる。連結線定義部20は、この作業領域内に定義された個々の母点について、隣接する母点との間にそれぞれ連結線を定義する機能を有している。
仮想ばね定義部30は、この個々の連結線上に仮想ばねを定義する処理を行うが、このとき、スカラー場定義部40によって定義されたスカラー場を参照して、個々の仮想ばねの物理的特性を決定する。スカラー場定義部40は、作業領域に対応する参照領域内に二次元のスカラー場を定義する機能を有している。ここで定義される二次元のスカラー場は、二次元平面上の個々の位置に何らかのスカラー値を特定することができるような場であれば、どのような場であってもかまわないが、実用上は、後述するように、二次元画像を用いてスカラー場の定義がなされる。ここで定義されるスカラー場は、§1で述べた生物学的なモデルにおける「保湿力分布」を示す場である。
仮想ばね定義部30は、連結線定義部20によって定義された個々の連結線上に、スカラー場定義部40によって定義されたスカラー場上の当該連結線の位置に対応する位置に定義されたスカラー値に応じた物理的特性をもった仮想ばねの定義を行うことになる。具体的には、後述するように、スカラー値に応じて、仮想ばねの「ばね定数k」もしくは「自然長L」が設定されることになる。§1で述べた生物学的なモデルとの関係においては、個々の場所における「保湿力」に応じて、仮想ばねの物理的特性が設定されることになる。
シミュレーション実行部50は、母点定義部10が定義した個々の母点を質点とみなし、各連結線の両端に位置する一対の母点が当該連結線上に定義された仮想ばねで連結されているとみなしたときに、各仮想ばねによって作用する力に基く各質点の運動シミュレーションを実行する。そして、変位母点決定部60は、この運動シミュレーションによって運動中の母点の所定時点における位置を変位母点の位置と決定する。
皺構成線分配置部70は、個々の変位母点の位置に基づいて、作業領域内に皺構成線分を配置する処理を実行する。具体的には、各変位母点についての連結線上にその中点を求め、当該連結線に対して直交し、当該連結線と同じ長さをもつ皺構成線分を、当該皺構成線分の中点が当該連結線の中点に重なるように配置する。そして、皺画像生成部80は、この皺構成線分の集合体に基づいて、皺画像を生成する。生成された皺画像は、皺画像データとして出力される。
以上、図3のブロック図を参照しながら、本発明に係る皺画像生成装置の基本構成を説明したが、図にブロックとして示される個々の構成要素の詳細な動作については、以下に述べる§3以降で実例を挙げながら説明する。
<<< §3.母点および連結線の定義 >>>
ここでは、図3に示す母点定義部10によって定義される母点および連結線定義部20で定義される連結線について、実例を挙げながら、より詳細な説明を行う。
図4は、図3に示す装置の母点定義部10で定義された母点Mの一例を示す平面図である。上述したとおり、母点定義部10は、二次元平面上の作業領域内に多数の母点を定義する機能を有している。図4に示す例では、ハッチングを施して示す作業領域A内に、5行5列の規則的な格子点配置をもった母点M(白丸で示す)が定義された例が示されている。すなわち、図示の例では、縦横の寸法がaである正方形からなる作業領域A内に、ピッチdの間隔で合計25個の母点Mが配置されている。
ここでは、図示の便宜上、5行5列という小規模な母点配置を行った例を示すが、実際には、たとえば、100行100列といったより大きな配列上に母点の定義が行われる。ピッチdは、図1に示す皮シボパターンにおける皮丘部のピッチを左右するパラメータとなるので、最終的に生成させたい皺画像に応じて、適当な寸法に設定すればよい。また、作業領域Aは、皺画像の形成領域に対応する領域であるので、その寸法aは、最終的に生成させたい皺画像のサイズに応じて、適当な寸法に設定すればよい。ピッチdおよび寸法aを定めれば、母点定義部10は、作業領域A内に多数の母点Mを自動的に定義することができる。
なお、図示の例では、作業領域Aを正方形状の領域にしているが、作業領域Aは長方形であってもよいし、矩形以外の任意の形状であってもかまわない。ピッチdも縦横で同一にする必要はなく、縦ピッチと横ピッチとを別個に設定してもよい。あるいは、六角形を平面状に隙間なく敷き詰め、各六角形の頂点位置に母点を配置するような形態をとってもかまわない。また、図4に示す例では、縦横格子状に母点Mを規則的に配置しているが、母点Mは必ずしも規則的に配置する必要はなく、乱数を用いてランダムな位置に母点を配置するようにしてもかまわない。
要するに、母点定義部10は、所定の二次元作業領域内に、全体的にほぼ一様に分布するように、多数の母点Mを定義することができれば、どのようなアルゴリズムに基づいて母点の定義を行ってもかまわない。
もちろん、図4に示す例のように、縦横格子状に母点Mを規則的に初期配置して定義した後、この規則的に初期配置した母点の各位置を、乱数を用いて変動させることにより、揺らぎの成分をもった配置がなされた母点の定義を行うことも可能である。たとえば、−0.5〜+0.5の間のランダムな値を示す乱数Rndを生成し、1つの母点Mについて、横方向の変動成分ΔXを、ΔX=(d×Rnd)と定義し、縦方向の変動成分ΔYを、ΔY=(d×Rnd)と定義し、規則的に初期配置された母点Mの位置を、右方向にΔXだけ移動させ(ΔXが負の場合は左方向へ移動させる)、上方向にΔYだけ移動させると(ΔYが負の場合は下方向へ移動させる)、規則的な初期配置がランダムに乱されることになる。その結果、作業領域Aを全体的に観察した場合、母点Mはほぼ一様に分布しているが、個々の母点は規則的ではなく、ランダムな揺らぎの成分をもった配置をとることになる。
後述する§5の力学的な運動シミュレーションを行うことにより、個々の母点Mは変位することになるので、母点定義部10によって規則的な母点の定義を行ったとしても、結局、変位後の母点の分布の規則性は失われることになる。しかしながら、母点定義部10によって定義された各母点の配置は、運動シミュレーションにおける最初の母点位置を与えることになるので、より揺らぎ成分の強い皺画像を生成したい場合には、母点定義部10で母点を定義する段階から、不規則配置をとる母点を定義しておくのが好ましい。
なお、図4では、説明の便宜上、平面図として各母点Mの配置を示したが、母点定義部10による母点定義の実際の作業は、個々の母点についての座標値を決定する作業ということになる。すなわち、1つの母点Mの座標値を、M(x,y)のようなX座標値とY座標値との組み合わせで表現することにすれば、図4に示す母点定義は、全25個の母点のそれぞれについて、M(x,y)のような座標値を算出する処理として実行され、個々の座標値は、各母点の位置を示すデータとして、母点定義部10内に格納されることになる。具体的には、全25個の母点をM1〜M25とすれば、母点定義部10内には、M1(x,y),M2(x,y),... ,M25(x,y)といったデータが用意されることになる。
続いて、連結線定義部20の機能を説明する。この連結線定義部20は、作業領域A内に定義された個々の母点Mについて、隣接する母点との間にそれぞれ連結線を定義する処理を実行する。図5は、図3に示す装置の連結線定義部20で定義された連結線Cの一例を示す平面図である。図に実線で示す線分が連結線Cを示しており、この例では、縦横の他、斜め方向に隣接する母点との間にも連結線Cが定義されている。
図6は、特定の着目母点M0(ここでは、便宜上、二重丸で示す)について定義された8本の連結線C1〜C8を示す平面図である。図示のとおり、この例では、着目母点M0の縦横4方向に隣接する4個の母点M2,M4,M5,M7と、斜め4方向に隣接する4個の母点M1,M3,M6,M8という合計8個の隣接母点との間に、それぞれ連結線C1〜C8が定義されている。
もちろん、連結線の定義は、縦横4方向に隣接する4個の母点M2,M4,M5,M7との間の4本だけを定義するようにしてもよいし、図示の例のように、斜めも含めた8方向に隣接する母点との間の8本を定義するようにしてもよい。あるいは、母点定義部10による母点定義の形態が、平面状に隙間なく敷き詰めた六角形の頂点位置に母点を配置するような形態を採った場合は、各六角形の辺をそのまま連結線とする定義を行うこともできる。
また、母点定義部10による母点定義の方法として、まず、母点を規則的に格子状に並べて初期配置とした後、乱数を用いて各母点の位置を変動させ、揺らぎの成分をもった配置をなす母点を得る方法を採用した場合は、初期配置時の格子配列において、縦横4方向もしくは斜めも含めた8方向に隣接する母点との間に、それぞれ連結線の定義を行うようにすればよい。また、母点定義部10による母点定義の方法として、最初から全くランダムな座標値をもつ母点を発生させる方法を採った場合には、各母点間に規則的な格子を前提とした縦横斜めの関係を定義することはできないが、そのような場合には、個々の母点をそれぞれ着目母点M0とし、当該着目母点M0から所定の半径をもった円内に位置する他の母点を隣接母点と認識し、当該着目母点M0と当該隣接母点との間に連結線を定義するようにすればよい。
なお、図5では、説明の便宜上、各母点M間を結ぶ線分として各連結線Cを示したが、連結線定義部20による実際の連結線定義作業は、このような連結線を構成する図形としての線分を発生させる作業ではなく、「ある特定の母点と別なある特定の母点との間に、概念的な連結線が存在する」ことを示すデータを作成する作業になる。たとえば、図6に示す例の場合、「連結線C1を定義する」作業は、「連結線C1」という図形としての線分を発生させたり、描画したりする作業ではなく、「母点M0と母点M1との間に、連結線C1が存在する」ことを示すデータ、たとえば、「C1=M0,M1」のようなデータを作成して格納する作業ということになる。
結局、図6に示す連結線C1〜C8を定義する作業は、「C1=M0,M1」,「C2=M0,M2」,「C3=M0,M3」,... ,「C8=M0,M8」といったデータを作成し、これを格納する作業ということになる。このように、各連結線は、2つの母点の連結関係を示す概念的な線であるから、後述する運動シミュレーションにより、個々の母点の位置が変動したとしても、各連結線それ自体は何ら変わることはない。別言すれば、図5に実線で示す各連結線Cは、個々の母点Mが移動すると、伸びたり縮んだりする仮想の線ということになる。
<<< §4.スカラー場と仮想ばねの定義 >>>
続いて、図3に示す装置における仮想ばね定義部30およびスカラー場定義部40の機能について詳述する。
スカラー場定義部40は、作業領域Aに対応する参照領域内にスカラー場を定義する機能を果たす。このスカラー場の実体は、実質的には、二次元画像というべきものである。ただ、一般に「画像」とは、本来、ディスプレイ画面や紙面といった媒体上に提示し、人間が視覚的に把握することを前提とした対象物を指す言葉であるのに対し、スカラー場定義部40によって定義されるべきスカラー場は、後述する力学的な運動シミュレーションにおけるパラメータを設定するために利用されるスカラー値の二次元平面上の分布を示すものであるため、ここでは、「画像」という用語の代わりに「スカラー場」という用語を用いている。
図7は、図3に示す装置のスカラー場定義部40で定義されたスカラー場を示すための参照画像Rの一例を示す平面図である。この参照画像Rは、一辺の寸法がaの正方形の参照領域内の画像であり、この参照領域の大きさは、図4に示す作業領域Aの大きさに一致する。したがって、図7の参照画像Rを、図4の作業領域Aに重ねると、両者はぴったりと一致し、作業領域A内の任意の1点は、参照画像R内の特定の1点に対応することになる。
図7では、参照画像Rが二値画像から構成される単純な例が示されている。すなわち、この参照画像Rは、ハッチングを施した楕円状の特定領域Eと白地の背景領域とによって構成されており、特定領域E内の画素には画素値”1”が与えられ、背景領域内の画素には画素値”0”が与えられている。別言すれば、この参照画像Rは、二次元平面上の各位置に、”0”か”1”かのいずれかのスカラー値を与える二次元スカラー場を定義していることになる。このスカラー値は、§1で述べた生物学的なモデルにおける「保湿力」を示す値になる。たとえば、スカラー値”0”が定義された領域は、高い保湿力が与えられた部分であり、細胞が十分に成長する部分となり、スカラー値”1”が定義された領域は、低い保湿力しか与えられなかった部分であり、細胞の成長が不十分な部分となる(もちろん、これと逆の定義を行ってもよい)。
一方、仮想ばね定義部30は、連結線定義部20で定義された個々の連結線C上に、それぞれ所定の物理的特性をもった仮想ばねの定義を行う。たとえば、図6には、着目母点M0に関して定義された8本の連結線C1〜C8が示されているが、これらの各連結線C1〜C8上には、図8に示すように、それぞれ仮想ばねS1〜S8が定義されることになる。結局、図5に実線で示されている個々の連結線C上に、それぞれ独立した仮想ばねSが定義されることになる。
一般に「ばね」は、「自然長L」と「ばね定数k」という物理的特性を有している。そこで、ここでは、個々の仮想ばねSごとに、それぞれ別個独立した物理的特性の定義を行うことにする。すなわち、仮想ばね定義部30は、特定の連結線C上に仮想ばねを定義する際に、スカラー場定義部40によって定義されたスカラー場上の当該連結線Cの位置に対応する位置に定義されたスカラー値に応じた物理的特性をもった仮想ばねの定義を行うのである。
図9は、各仮想ばねSの物理的特性を決定するために、図5に示す連結線Cが定義された作業領域A上に、図7に示す参照画像Rを重ね合わせた状態を示す平面図である。このように重ね合わせれば、各連結線C上に位置するスカラー場のスカラー値を認識することができる。たとえば、図9に太線で示す連結線C9は、ハッチングを施して示す特定領域E内に位置するので、この連結線C9上には、スカラー値”1”に応じた物理的特性をもった仮想ばねS9が定義される。これに対して、同じく図9に太線で示す連結線C10は、特定領域E外に位置するので、この連結線C10上には、スカラー値”0”に応じた物理的特性をもった仮想ばねS10が定義される。
たとえば、仮想ばねの物理的特性として、「ばね定数k」の値をスカラー値に応じて定義することにし、スカラー値”0”に応じた「ばね定数k」として、k=4を与え、スカラー値”1”に応じた「ばね定数k」として、k=8を与えることにすれば、連結線C9上の仮想ばねS9のばね定数kは8になり、連結線C10上の仮想ばねS10のばね定数kは4になる。
なお、図9に示す例を見ればわかるとおり、特定領域Eの内側部分(スカラー値”1”)から外側部分(スカラー値”0”)に跨がる連結線も多数存在するので、そのような連結線上の仮想ばねに対しては、k=4またはk=8のいずれか一方のばね定数を与えることはできない。このような場合は、スカラー値”1”の領域に係る部分とスカラー値”0”に係る部分との按分比に応じて、中間的なばね定数を与えるようにすればよい。
実際には、スカラー場定義部40には、参照領域内に配列された画素の集合からなる参照画像Rの画像データが格納されており、個々の画素の画素値を当該画素位置についてのスカラー値とすることにより、スカラー場の定義が行われている。したがって、たとえば、図7に示す参照画像Rも、それぞれ所定の画素値(”1”または”0”)をもつ画素の集合からなるデータである。したがって、仮想ばね定義部30は、参照領域内の対応位置に連結線を描画したときに、当該連結線上もしくはその近傍に位置する画素の画素値の平均に基づいて、当該連結線上に配置する仮想ばねの物理的特性値(ここで述べる例の場合は、ばね定数kの値)を決定すればよい、
図10は、作業領域Aに重ね合わせた参照画像R内の画素の画素値に基づいて、各仮想ばねの物理的特性を決定する具体的な方法の一例を示す平面図である。図に示す細かな升目は、参照画像Rを構成する個々の画素を示している。ここで、たとえば、母点M11とM12との間の連結線C11上に配置する仮想ばねS11の物理的特性値は、連結線C11上の6個の画素(連結線C11に接触している斜線ハッチングを施した6個の画素)の画素値の平均に基づいて決定すればよい。同様に、母点M13とM15との間の連結線C12上に配置する仮想ばねS12の物理的特性値は、連結線C12上の6個の画素(連結線C12に接触しているドットハッチングを施した6個の画素)の画素値の平均に基づいて決定すればよい。
たとえば、連結線C12上の6個の画素のうち、3個の画素が画素値”0”、残りの3個の画素が画素値”1”であった場合、その平均値である”0.5”を連結線C12の位置に定義されたスカラー値であるものとして取り扱い、スカラー値”0.5”に基づいて、仮想ばねC12のばね定数kを決定すればよい。上述した例のように、スカラー値”0”に対してはk=4なるばね定数を与え、スカラー値”1”に対してはk=8なるばね定数を与えるようにした場合は、スカラー値「0〜1」を、kの値「4〜8」に線形対応させ、仮想ばねC12のばね定数kとしては、スカラー値”0.5”に対応する「6」を与えるようにすればよい。
なお、連結線上に位置する画素の画素値の平均に基づいて仮想ばねのばね定数kを決定する代わりに、連結線上に位置する画素の画素値の和に基づいて仮想ばねのばね定数kを決定するようにしてもよい。ただ、このように和を用いると、連結線上に位置する画素の数も、スカラー値を決定する要因の1つになるので、一般的に、長い連結線については、より大きなスカラー値が与えられることになる。このように、画素の数に左右されずにスカラー値を決定したい場合は、上述の例のように、和ではなく、平均を用いるようにすればよい。もっとも、図10に示す例の場合、連結線C11の全長に比べて、連結線C12の全長の方が長くなっているが、連結線C12が画素配列に対して斜め方向の線であるため、いずれも連結線上に位置する画素の数は6個となっている。
また、図10に示す例では、連結線上に位置する画素の画素値のみを参照するようにしているが、連結線上に位置する画素のみならず、連結線の近傍に位置する画素(たとえば、画素の中心位置と連結線との距離が所定の値以下となるような画素)の画素値の和もしくは平均に基づいて仮想ばねの物理的特性値を決定するようにすることも可能である。
図11は、図3に示す装置の仮想ばね定義部30において定義される仮想ばねSの概念図であり、図11(a) は、仮想ばねSが単独で置かれている状態、図11(b) は、この仮想ばねSを2つの母点M10,M20間に接続した状態を示す。図11(a) に示すように、仮想ばねSが単独で置かれている状態では、ばねに対する外力は加わっていないので、仮想ばねSは自然長Lの状態を維持している。本発明における仮想ばねSは、この自然長Lとばね定数kとを物理的特性値としてもつ仮想のばねである。
このような仮想ばねSを、2つの母点M10,M20間に接続すると、図11(b) に示すように、母点M10,M20には、それぞれ力Fが作用することになる。この力Fの大きさは、母点M10,M20間の距離をDとすると、フックの法則により、F=−k(D−L)で示される。すなわち、作用する力の大きさは、ばねの伸び量(D−L)に比例する。ここで、kはばね定数、Lは仮想ばねSの自然長であり、kの前のマイナス符号は、変位が生じた方向と逆向きの力が生じることを示している。図11に示す例の場合、D>Lの例であるため、母点M10,M20間に作用する力の向きは、白矢印で示すとおり互いに引っ張り合う方向になるが、D<Lの場合、力の向きは逆向きになる。
前述したとおり、ここで述べる実施形態の場合、個々の仮想ばねSのばね定数kは、スカラー場上の対応する位置に定義されたスカラー値に応じて決定される。一方、個々の仮想ばねSの自然長は、次のように定めている。
まず、図5に示すような母点の初期配置状態(格子状に規則的配置がなされた状態)において、母点間を水平に連結する連結線および垂直に連結する連結線(図6に示す例における連結線C2,C4,C5,C7)の上に配置される仮想ばね(以下、「縦横連結ばね」という)については、その長さLを0に設定している。もちろん、自然長L=0になるようなばねは実在しないが、ここで定義する仮想ばねは、後述する運動シミュレーションを実施するためにコンピュータ上で定義されるばねであるので、自然長L=0なる設定を行っても支障はない。したがって、もし個々の母点Mが、図5に示す例のように、一定ピッチdで規則的に配置されている状態であったとすると、すべての「縦横連結ばね」の伸び量は「d(母点間隔)−0(ばねの自然長)=d」ということになり、各母点Mが、1本の「縦横連結ばね」から受ける力は、F=−kdになる。
一方、図5に示すような母点の初期配置状態において、母点間を斜めに連結する連結線(図6に示す例における連結線C1,C3,C6,C8)の上に配置される仮想ばね(以下、「斜め連結ばね」という)については、その長さLを「(d×√2)−d」に設定している。したがって、もし個々の母点Mが、図5に示す例のように、一定ピッチdで規則的に配置されている状態であったとすると、すべての「斜め連結ばね」の伸び量は「(d×√2)(母点間隔)−((d×√2)−d)(ばねの自然長)=d」ということになり、各母点Mが、1本の「斜め連結ばね」から受ける力は、F=−kdになる。
結局、上述した例のように、「縦横連結ばね」の自然長L=0、「斜め連結ばね」の自然長L=「(d×√2)−d」という設定を行えば、もし個々の母点Mが、図5に示す例のように、一定ピッチdで規則的に配置されている状態であったとすると、各母点Mが、1本の「仮想ばね」から受ける力は、すべてF=−kdになり、ばね定数kが等しければ、どのばねからも同じ力を受けることになる。したがって、このような設定を行えば、一定ピッチdで規則的に配置されている母点Mに対して作用する力の大きさは、専ら、ばね定数kに依存して定まることになる。そして、ここで述べる実施形態の場合、各仮想ばねSのばね定数kは、スカラー場定義部40で定義されたスカラー場(すなわち、図7に示すような参照画像Rの画素値分布)に基づいて決められるので、スカラー場定義部40においてどのようなスカラー場を定義するかによって、各母点Mに対して作用する力を制御することが可能になる。
既に述べたとおり、仮想ばね定義部30の機能は、個々の連結線C上に、スカラー場上の当該連結線Cの位置に対応する位置に定義されたスカラー値に応じた物理的特性をもった仮想ばねを定義することにある。ここで仮想ばねの物理的特性とは、上述したとおり、自然長Lとばね定数kであるから、スカラー値に応じて定める物理的特性として、ばね定数kを用いる代わりに、自然長Lを用いるようにしてもよい。
たとえば、すべての仮想ばねSのばね定数kを一定値に固定し、「縦横連結ばね」の基準自然長Lstd=0、「斜め連結ばね」の基準自然長Lstd=「(d×√2)−d」と設定した上で、対応位置に定義されたスカラー値に応じて、これら基準自然長Lstdを増減するようにして自然長Lを定め(負の値になってもかまわない)、個々の仮想ばねSの定義を行うようにしてもよい。このような実施形態を採った場合、一定ピッチdで規則的に配置されている母点Mに対して作用する力の大きさは、専ら、各仮想ばねの自然長Lに依存して定まることになる。したがって、この自然長Lを、スカラー場定義部40で定義されたスカラー場に基づいて決めるようにすれば、スカラー場定義部40においてどのようなスカラー場を定義するかによって、各母点Mに対して作用する力を制御することが可能になる。
もちろん、スカラー値に応じて定める物理的特性として、ばね定数kと自然長Lの双方を用いるようにしてもかまわない。この場合、ばね定数kと自然長Lの双方が、スカラー場定義部40で定義されたスカラー場に基づいて決定されることになり、やはりスカラー場定義部40においてどのようなスカラー場を定義するかによって、各母点Mに対して作用する力を制御することが可能になる。要するに、仮想ばね定義部30は、ばね定数kおよび自然長Lを物理的特性として有する仮想ばねを定義し、ばね定数kおよび自然長Lのいずれか一方もしくは双方を、当該仮想ばねが配置される連結線の位置に対応する位置に定義されたスカラー値に基づいて決定すればよい。
<<< §5.運動シミュレーション >>>
ここでは、図3に示す装置におけるシミュレーション実行部50および変位母点決定部60の機能について詳述する。シミュレーション実行部50の基本機能は、母点定義部10で定義された個々の母点Mを質点とみなし、連結線定義部20で定義された各連結線Cの両端に位置する一対の母点が、仮想ばね定義部30によって当該連結線C上に定義された仮想ばねSで連結されているとみなしたときに、各仮想ばねSによって作用する力に基く各質点の運動シミュレーションを実行することであり、変位母点決定部60の基本機能は、この運動シミュレーションによって運動中の母点Mの所定時点における位置を変位母点の位置と決定することである。
そこで、まず、ある1つの母点に着目し、当該着目母点に作用する力を求める手法を説明する。図12は、図8に示す特定の着目母点M0に対して、その八方に定義された仮想ばねS1〜S8によって加わる力を示す平面図である。図示のとおり、着目母点M0に対しては、仮想ばねS1によって、隣接母点M1の方向に向かう力F1が作用する。もちろん、この場合、隣接母点M1に着目すれば、仮想ばねS1によって、母点M0の方向に向かう力(図のF1と逆方向の力)が作用していることになる。
図11(b) に示すとおり、1本の仮想ばねSに起因して、当該仮想ばねSの両端に位置する2つの母点M10,M20間に働く力Fの大きさは、両母点間の距離をDとし、当該両母点間に連結される仮想ばねSの自然長をLとすれば、その差(D−L)を用いて、F=−k(D−L)なる式で求められる。ここで行う運動シミュレーションは、図11(b) に示すような系において、両母点M10,M20間に仮想ばねSに起因したF=−k(D−L)なる力が作用するものとし、更に、各母点の質量をmとして、ニュートンの運動方程式「F=mα」に基づいて各母点の運動加速度αを求め、各母点の運動をシミュレートするものである。
実際には、図12に示すように、ある1つの着目母点M0に対しては、図示のとおり、その八方向に向かって、力F1〜F8が作用することになるので、着目母点M0に関する力学的な運動シミュレーションを行う上では、これら八方向への力F1〜F8の合力を求めればよい。図13は、図3に示す装置のシミュレーション実行部50において、着目母点M0に対して行われる動作シミュレーションの様子を示す平面図である。
シミュレーションの開始時点t0において、各母点はすべて静止状態であるものとすると、図13(a) に示すように、静止状態の着目母点M0(質量mをもった質点)に対して、ΣFなる力が作用し、その結果、ΣF=mαで示される加速度αが作用することになる。ここで、ΣFは、図12に示す八方向への力F1〜F8の合力であり、力F1〜F8をベクトルとして表した場合、これら8個のベクトルのベクトル和として求まる値である。
ここで、たとえば、全母点Mの質量mに一定値(たとえば、m=1)を与えるようにすれば、結局、加速度αの大きさは合力ΣFの大きさにのみ依存して定まる量になり、加速度αの向きは合力ΣFの向きに一致する。そこで、あるステップ時間δを設定し、シミュレーションの開始時点t0から時間δだけ経過した時点t1までの着目母点M0の運動をシミュレートする。すなわち、時点t0における着目母点M0の位置、速度(=0)と、その時点に加わった合力ΣFに基づいて生じる加速度αを用いて、時間δだけ経過した時点t1における着目母点M0の新たな位置と速度Vとを求める。同様の処理を、すべての母点をそれぞれ着目母点として実行する。
かくして、時点t0から時点t1に至る期間の運動シミュレーションが完了し、すべての母点の時点t1における新たな位置が決定する。なお、シミュレーションの開始時点t0では、すべての母点は静止状態であり、その速度成分はいずれも0であったが、時点t1では、すべての母点はそれぞれ固有の速度成分を有していることになる。したがって、シミュレーション実行部50は、時点t1において、各母点の位置(たとえば、XY座標値)と速度(たとえば、速度ベクトルV)とをデータとして格納していることになる。
もちろん、時点t0〜t1に至る期間における各母点の運動を厳密に捉えると、隣接する母点の位置も連続的に変化し、その結果、着目母点M0に作用する合力ΣFの大きさや向きも連続的に変化してゆくので、着目母点M0に加わる加速度αも連続的に変化してゆくことになる。しかしながら、コンピュータ上のシミュレーションとしては、個々の母点の加速度αを、時点t0において算出し、その後、時点t1に至るまでは、当該加速度αが一定であるものとして、上述のような運動シミュレーションを行っても問題はない。
続いて、時点t1から時間δだけ経過した時点t2までの各母点の運動を、同様の方法でシミュレートする。すなわち、図13(b) に示すように、時点t1における着目母点M0の位置、速度Vと、当該時点t1に加わった合力ΣF(これは、時点t1において、各母点Mが新たな位置まで移動し、その結果、各仮想ばねSに伸縮が生じ、仮想ばねに起因する力に変動が生じたものとして、新たに算出された合力である)に基づいて生じる加速度α(時点t1における加速度)を用いて、時間δだけ経過した時点t2における着目母点M0の新たな位置と速度Vとを求めるのである。同様の処理を、すべての母点をそれぞれ着目母点として実行する。
かくして、時点t1から時点t2に至る期間の運動シミュレーションが完了し、すべての母点の時点t2における新たな位置が決定する。この時点t2でも、すべての母点はそれぞれ固有の速度成分を有していることになる。したがって、シミュレーション実行部50は、今度は、時点t2における、各母点の位置と速度とをデータとして格納することになる。
このようにして、ステップ時間δごとに、各母点の新たな位置および速度を求めてゆく処理を、所定回数だけ繰り返し実行してゆけば、各母点の位置は徐々に変化してゆくことになる。こうして、予め設定された所定回数だけ上記処理を繰り返したら、その時点における最終的な母点の位置を、変位母点の位置と決定する。
なお、上記シミュレーションに相当する現実の物理的現象を考えると、各ばねは所定のダンパー係数をもった実在の物体であり、運動には様々な抵抗が加わるため、ばねで連結された多数の母点からなる系全体は、やがて安定した状態で収束することになり、最終的には各母点は静止状態となる。ところが、上記シミュレーションでは、各仮想ばねSは、各時点での実際の長さと自然長との差に基づいて力を発生させる概念的な要素であり、個々の母点Mは、体積をもたない質点であるため、ステップ時間δごとの運動シミュレーションを繰り返したとしても、運動が収束することはない。したがって、予め所定の実行回数を定めておき、当該実行回数分だけ繰り返し処理を完了したら、その時点における最終的な母点の位置を、変位母点の位置とするようにしている。
もちろん、各仮想ばねにそれぞれダンパー係数を定義し、各母点を所定の形状および体積をもった物体として取り扱い、様々な抵抗要素を考慮したシミュレーションを実行し、全体の系がある程度収束した状態になるまで、シミュレーションを続行するようにしてもかまわない。ただ、実用上は、上述した例のように、単純な系でシミュレーションを実行し、所定の実行回数分だけ繰り返した時点で、その時点における最終的な母点の位置を、変位母点の位置とする方が、演算負担を軽くする上で好ましい。
要するに、上述した実施形態では、シミュレーション実行部50は、第k番目の時点tkにおいて、各母点のそれぞれについて、その時点の仮想ばねに起因して作用する力の合力を求め、第k番目の時点tkから第(k+1)番目の時点t(k+1)に至るまでの時間δの間における各母点の合力に基づく移動経路を求め、時点t(k+1)における各母点の位置を決定する処理を、k=0からkを1ずつ増加させながら繰り返し実行することになる。そして、変位母点決定部60は、kの値が所定値Kに達した時点における各母点の位置を変位母点の位置と決定することになる。
図14は、こうして変位母点決定部60によって決定された変位母点の位置を示す平面図である。この図14に示す例は、図5に示す規則的配置がなされた母点Mについて、上述した運動シミュレーションを行うことにより得られた最終結果を示している。なお、この例では、作業領域Aの輪郭近傍に位置する母点を不動の固定点として、運動シミュレーションを実行しているため、作業領域Aの輪郭上の16個の母点の位置は、初期設定の状態のままとなっており、内部の9個の母点の位置のみが変動している。
もちろん、全母点を変動の対象としたシミュレーションを行ってもかまわないが、最終的に利用する皺画像は、実用上、その輪郭線が矩形であることが好ましい。そこで、ここで述べる実施形態の場合、作業領域Aの輪郭近傍に位置する母点を不動の固定点として取り扱い、最終的に得られる皺画像の輪郭線が矩形となるよう配慮している。このように、作業領域Aの輪郭近傍に位置する母点を固定点とする取り扱いを行うと、シミュレーションの途中で、母点が作業領域Aを超えて発散してしまう現象を防止するメリットも得られる。
なお、前述したとおり、各母点M間を連結する連結線Cは、2つの母点の連結関係を示す概念的な線であるから、上述した運動シミュレーションにより、個々の母点の位置が変動したとしても、各連結線Cそれ自体は何ら変わることはない。すなわち、図14に示す各連結線Cは、個々の母点Mの移動に伴い伸縮したことになる。
<<< §6.運動シミュレーションの変形例 >>>
ここでは、§5で述べた運動シミュレーションの変形例をいくつか述べておく。
(1) 母点の質量mをスカラー値に応じて決定する変形例
これまで述べた実施形態では、仮想ばね定義部30によって、個々の連結線C上に、スカラー場定義部40で定義されたスカラー場を利用して、対応位置のスカラー値に応じた物理的特性をもった仮想ばねを定義していた。この場合、スカラー値に応じて定める物理的特性としては、ばね定数kを用いてもよいし、自然長Lを用いてもよいが、いずれにせよ、スカラー値に応じて特性が定められる対象は、「仮想ばね」であった。
すなわち、§5で述べた運動シミュレーションでは、すべての母点に同一の質量mを与え、ある母点に作用する合力ΣFに基づいて、ΣF=mαなる式を用いて、当該母点に作用する加速度αを求め、時間δ経過後の当該母点の位置を求めていた。この場合、仮想ばねの物理的特性(ばね定数kもしくは自然長L)が、スカラー値に応じて定められるため、各母点に作用する力Fがスカラー場の影響を受け、最終的な変位母点の位置が、スカラー場の影響を受ける結果となる。
これに対して、ここで述べる変形例では、スカラー値に応じて定められる対象を、「仮想ばねの物理的特性」ではなく、「母点の質量m」にするのである。この場合、仮想ばね定義部30が定義する仮想ばねの物理的特性は、スカラー場とは全く無関係に定めてかまわない。したがって、図3において、仮想ばね定義部30は、スカラー場定義部40内に定義されたスカラー場を参照する必要はない(図3のブロック40から30へ向かう矢印は不要になる)。
ただ、1つの母点に作用するすべての力が釣り合ってしまうと(たとえば、図12において、力F1〜F8の大きさがすべて等しくなってしまうと)、合力ΣFが0となり、母点が移動しなくなってしまう。したがって、仮想ばね定義部30は、各母点に作用する力が釣り合わないように、各仮想ばねの物理的特性(ばね定数kや自然長L)が互いに適宜異なるように設定するようにする(たとえば、各ばね定数kを、乱数を用いて決定すればよい)。
一方、シミュレーション実行部50は、運動シミュレーションを行う上で、個々の母点をスカラー場定義部40で定義されたスカラー場上の、当該母点のシミュレーション開始時の位置に対応する位置に定義されたスカラー値に応じた質量をもった質点とみなし、各連結線の両端に位置する一対の母点が当該連結線上に定義された仮想ばねで連結されているとみなしたときに、各仮想ばねによって作用する力に基く各質点の運動シミュレーションを実行する。図3に示すブロック40からブロック50に向かう破線の矢印は、ここで述べる変形例を実施する場合に必要な情報の流れを示しており、スカラー場定義部40で定義されたスカラー場の情報が、シミュレーション実行部50におけるシミュレーション実行時に参照されることを示している。
具体的には、図9に示すように、作業領域A上に参照画像Rを重ね、ある母点の質量mを、当該母点上に位置する画素の画素値、または当該母点の近傍に位置する複数の画素の画素値の和もしくは平均に基づいて決定するようにすればよい。なお、各母点の質量mは、シミュレーション開始時の当該母点の位置に基づいて一度決定した後は不変とする取り扱いをしてもよいし、その代わりに、ステップ時間δごとの新たな母点位置に基づいてその都度更新するようにしてもかまわない。現実の物理現象としては、時々刻々と質量が変化してゆく物体は考えにくいが、本発明でのシミュレーションでは、そのような取り扱いをしても問題はない。
このように、各母点の質量mを、スカラー場定義部40で定義されたスカラー場(すなわち、図7に示すような参照画像Rの画素値分布)に基づいて決めるようにすれば、スカラー場定義部40においてどのようなスカラー場を定義するかによって、各母点Mの運動を制御することが可能になり、§5で述べた実施形態と同様に、スカラー場の影響を受けた変位母点の分布を得ることができるようになる。
もちろん、必要があれば、「仮想ばねの物理的特性(ばね定数kや自然長L)」と「母点の質量m」との双方を、スカラー場定義部40で定義されたスカラー場に基づいて決めるようにしてもよい。
(2) ばねの破断を考慮する変形例
これまで述べた実施形態では、仮想ばねSは、どのような大きな力が加わろうと、常に、加えられた力に応じた伸びを生じる仮想のばねであった。これに対して、ここで述べる変形例では、各仮想ばねSを、所定のしきい値Fth(各ばねごとに異なる値を設定してもよい)を超える力が作用した場合には破断するばねとして取り扱うのである。すなわち、シミュレーション実行部50は、特定の両母点間に作用する力Fが所定のしきい値Fthを超えた場合に、当該特定の両母点間を連結する仮想ばねSが破断したものと判断し、以後、当該特定の両母点間には仮想ばねが存在しないものとして、運動シミュレーションを実行するようにすればよい。なお、前述したとおり、両母点間を連結する連結線Cは、2つの母点の連結関係を示す概念的な線であるから、仮想ばねSが破断したとしても、連結線C自体はそのまま残ることになる。
このように、ある特定の母点間を連結する仮想ばねが破断し、当該両母点間には仮想ばねが存在しないものとすると、当該両母点間の距離は、運動シミュレーションを実行してゆく過程で増大してゆく可能性が高い。したがって、運動シミュレーションが完了し、変位母点決定部60によって、各母点の最終的な位置が決定した段階において、仮想ばねが破断した両母点間の距離、すなわち、当該両母点を連結する連結線Cの長さは、非常に長くなっている可能性が高い。後の§7のプロセスで述べるように、このように非常に長い連結線の存在は、非常に長い皮溝部を形成する要因になり、図1に示すような血筋を形成する要因になる。
<<< §7.皺画像の生成 >>>
ここでは、図3に示す装置における皺構成線分配置部70および皺画像生成部80の機能について詳述する。まず、皺構成線分配置部70の基本機能は、図1に示す皮シボパターンにおける皮溝部の芯となるべき皺構成線分を作業領域A上に配置する処理を行うことにある。この皺構成線分は、運動シミュレーションによって変位した後の個々の母点間を連結する連結線C(たとえば、図14に示す各連結線)を利用して作成される。
皺構成線分配置部70による皺構成線分の配置アルゴリズムは、各変位母点Mについての連結線C上にその中点Gを求め、当該連結線Cに対して直交し、当該連結線Cと同じ長さをもつ皺構成線分Tを、当該皺構成線分Tの中点が当該連結線Cの中点Gに重なるように配置するというものである。図15は、このような皺構成線分Tの配置原理を示す平面図である。
いま、図15に示すように、2つの母点M10,M20(いずれも、§5,§6で述べた運動シミュレーションによって変位した後のもの)の間に連結線Cが存在するものとし、この連結線Cに基づいて、皺構成線分Tを作成して配置することを考える。この場合、まず、連結線C上にその中点Gを求める。そして、この連結線Cと同じ長さをもつ皺構成線分Tを作成し、これを連結線Cに対して直交するように配置する。しかも、この皺構成線分Tの中点が連結線Cの中点Gに重なるように配置するのである。いわば、皺構成線分Tは、2点M10,M20を結ぶ連結線Cの垂直二等分線に相当する。
皺構成線分配置部70は、変位母点決定部60によって位置が決定された変位母点に関するすべての連結線Cについて、それぞれ上述のアルゴリズムに基づいて、皺構成線分Tを作成して配置する処理を行う。図16は、図14に示す変位母点に基づいて配置された皺構成線分Tを示す平面図である。すなわち、図16に示されている各皺構成線分Tは、図14に示されている連結線Cのいずれか1つに対応している。たとえば、皺構成線分T1は連結線C1に対応し、皺構成線分T2は連結線C2に対応し、皺構成線分T3は連結線C3に対応している。そして、ある皺構成線分Tと、これに対応する連結線Cとは、互いに同一の長さを有し、互いにその中点において直交する関係にある。図17は、図16から変位母点Mを削除した平面図であり、作業領域A内に、皺構成線分Tのみが配置された状態を示している。なお、皺構成線分Tによっては、その一部分が作業領域Aの輪郭線を食み出して外側へと伸びるものもあるが、ここに示す実施形態は、皺構成線分Tのうち、作業領域Aの輪郭線を食み出た部分はカットしている。
前述した§6(2)では、「ばねの破断を考慮する変形例」を説明した。この変形例の場合、ある特定の母点間を連結する仮想ばねが破断すると、当該両母点を連結する連結線Cの長さは、非常に長くなっている可能性が高い。そのため、当該連結線Cに対応する皺構成線分Tも非常に長いものになる。そして、このような長い皺構成線分Tは、図1に示すような血筋を形成する要因になるのである。したがって、部分的に血筋を含む皮シボパターンを生成するためには、この「ばねの破断を考慮する変形例」を実施し、部分的にばねの破断が生じるような条件設定を行い、運動シミュレーションを行うようにするとよい。
さて、こうして配置された多数の皺構成線分Tは、皮シボパターンにおける皮溝部の芯となるべき線分であり、この芯の部分に肉付けを行うことにより、皮溝部(皺部分)の形成が行われる。図3に示す皺画像生成部80は、図17に示すような皺構成線分Tの集合体に基づいて、皺画像を生成する機能を果たす。
各皺構成線分Tに対して肉付けして、皮溝部を形成するには、各皺構成線分Tに幅をもたせる処理を行い、皺構成帯状領域Vを形成し、各皺構成帯状領域Vの外部の画素には背景部分を示す画素値を与え、各皺構成帯状領域Vの内部の画素には皺部分を示す画素値を与える処理を行えばよい。このような画素値をもった画素の集合体が、本発明に係る装置を用いて生成する目的となる皺画像(皮シボパターン)である。
図18(a) は、1本の皺構成線分Tに幅Wをもたせる処理を行い、皺構成帯状領域Vを形成する最も簡単な方法の一例を示す平面図である。この方法では、皺構成線分Tを中心線として、幅Wをもった矩形図形を生成し、当該矩形図形の内部(図にハッチングを施す部分)の画素には皺部分を示す画素値を与え、外部の画素には背景部分を示す画素値を与えればよい。幅Wは任意に設定することができ、たとえば、1画素分の幅に設定すれば、非常に細い皺構成帯状領域Vが形成される。
なお、幅Wは、個々の皺構成線分Tごとにバラバラな値に設定するのが好ましい。そのためには、幅の範囲「W1〜W2」をパラメータとして設定し、個々の皺構成線分Tについて、それぞれW1〜W2内のランダム値Wを定め、それぞれランダムな幅Wをもった皺構成帯状領域Vを形成するようにすればよい。
図18(a) に示す例では、皺構成帯状領域Vの内部か外部かを識別するための2通りの画素値しか用いられていないため、生成される皺画像は二値画像になる。そこで、階調をもった皺画像を生成するためには、内側から外側に向かって画素値がなだらかに変化するように、各皺構成帯状領域Vの内部の画素に画素値を与えるようにすればよい。図18(b) は、皺構成線分Tの位置を中心として、上下方向になだらかに変化するような画素値を定義した例である。いわば、上下方向にグラデーションがかかった皺構成帯状領域Vが形成されている。
このように階調をもった二次元の皺画像は、階調値を高さ(深さ)を示す情報として取り扱えば、実質的に三次元の形状を表現した三次元画像としての機能を果たすことができる。一般に、皮シボパターンは、凹凸をもったエンボス加工などにも利用されるが、階調をもった二次元皺画像を生成すれば、凹凸をもったエンボス加工にもそのまま利用することが可能である。たとえば、図18(b) の上下方向に関する画素値の分布が、ガウス分布となるように設定しておけば、凹凸をもったエンボス加工により、深さの分布がガウス分布となるような皮溝部を形成することができるようになり、非常に自然な深さ分布を得ることができる。
もちろん、図18(a) ,(b) に示す例は、皺構成線分Tに対して肉付けして、皺構成帯状領域V(皮溝部などの皺の部分となる領域)を形成する単純な方法の一例を示すものであり、実際には、この他にも様々な方法を利用して、皺構成帯状領域Vを形成することができる。また、1本の線分を加工して、帯状の閉領域を形成するアルゴリズムも種々のものが知られており、このようなアルゴリズムを利用した画像処理ソフトウエアも種々の製品が市販されている。
図19は、このような市販の画像処理ソフトウエアを利用して、図17に示す各皺構成線分Tに肉付け処理を施し、皺構成帯状領域Vを形成した一例を示す平面図である。この画像処理ソフトウエアは、1本の線からなる線画に対して毛筆調の肉付けを施すためのアルゴリズムを用いた処理を行う機能を有しており、各皺構成帯状領域Vは、それぞれ毛筆で描いた線のような形態をなしている。もちろん、皺構成線分Tに対して肉付けして、皺構成帯状領域Vを形成する手法としては、この他にも種々のアルゴリズムを利用することが可能である。要するに、皺画像生成部は、各皺構成線分Tに対して肉付けして、帯状の領域Vを形成する処理を行うことができれば、どのようなアルゴリズムで肉付けを行ってもかまわない。
この図19に示す例は、もともと図4に示すような25個の母点配置から出発して得られた皺画像であるが、わずか25個(そのうちの16個は固定点)の母点を用いた単純な実施例であるにもかかわらず、ある程度自然な風合いをもった皺画像となっており、皮シボパターンとして十分に利用可能である。
図20は、天然皮革の表面に現れる皮シボパターンを写真撮影し、これに画像処理(二値画像に変換する処理)を施して得られた画像を示す拡大平面図である。別言すれば、天然の皮革に表現された皺画像ということになる。これに対して、図21は、図3に示す本発明に係る皺画像生成装置を用いて人為的に作成した皮シボパターンに画像処理(二値画像に変換する処理)を施して得られた画像を示す拡大平面図である。この図21に示す皺画像の生成には、100行100列に配置された10000個の母点が用いられている。図20と図21とを比較すれば、本発明に係る装置によって生成された皺画像は、天然皮革の革シボパターンに比べても遜色のない意匠性を有していることがわかる。しかも、用いるスカラー場(参照画像R)を変更することにより、異なる革シボパターンを容易に生成することができ、非常に自由度の高い皺画像の生成が可能である。
<<< §8.好ましいスカラー場の例 >>>
最後に、図3に示すスカラー場定義部40におけるスカラー場の定義方法について、いくつかの実例を示しておく。既に述べたとおり、スカラー場定義部40で定義されるスカラー場とは、実質的に、作業領域Aに対応する参照領域と同じサイズの参照画像Rと言うべきものであり、スカラー場定義部40は、このような参照画像Rを定義する機能を有していればよい。
もっとも、参照画像Rは、仮想ばねの物理的特性値もしくは母点に与えるべき質量を決定するために用いられるものであり、所定の位置に所定の値(スカラー値)が定義されていれば、本発明に係る装置に利用可能である。したがって、原理的には、世の中に存在するあらゆる画像が、本発明において参照画像Rとして利用可能である。ただ、自然な風合いをもった皺画像を得るためには、より適切な画像を用いるのが好ましい。
本発明に係る装置に参照画像Rとして用いるのに適した第1の候補画像は、天然の皮革などの表面画像である。そこで、スカラー場定義部40に、実在の物体表面の画像を取り込む画像取込装置を設けておき、取り込んだ画像もしくはこれを加工して得られた画像を参照画像Rとして利用するようにするとよい。たとえば、牛や豚などの天然皮革の画像を画像取込装置を用いて取り込み、トリミング処理やフィルタリング処理などを施したものを参照画像Rとして利用すれば、自然な風合いをもった皺画像を得るために好ましい。取り込んだ画像それ自身は、皺画像として利用されるものではなく、あくまでもスカラー場を与える参照画像として用いられるものであるから、照明むらや影が混在していても問題はない。
もちろん、スカラー場定義部40に、人為的にスカラー場を定義する機能(すなわち、
人為的に何らかの参照画像Rを生成する機能)をもたせておくこともできる。上述したとおり、原理的には、どのような画像でも、本発明において参照画像Rとして利用することが可能である。しかしながら、本願発明者が、種々の画像を参照画像Rとして用いて試したところ、自然な風合いをもった革シボパターンを生成する上では、線状模様をもった参照画像Rを用いるのが好ましいことが判明した。特に、ある共通した方向を向いた複数の帯状領域から構成される画像を参照画像Rとして用いると、革シボパターンとして好ましい皺画像が得られることがわかった。
そこで、以下、このような線状模様をもった参照画像Rを作成する機能をスカラー場定義部40にもたせた実施形態を述べる。図22は、このような実施形態に係るスカラー場定義部40の基本構成を示すブロック図である。図示のとおり、このスカラー場定義部40は、パラメータ設定部41、核点設定部42、参照帯状領域設定部43、参照画像生成部44によって構成されている。もっとも、これらの各構成要素も、実際には、コンピュータに所定のプログラムを組み込むことによって構成される。
パラメータ設定部41は、空間周波数を示すパラメータFを設定するとともに、角度の範囲「θ1〜θ2」、幅の範囲「U1〜U2」、長さの範囲「H1〜H2」をパラメータとして設定する機能を有する。これらのパラメータは予め既存値として記憶させておいてもよいし、オペレータの入力操作に基づいて、適宜設定できるようにしておいてもよい。ここで、パラメータFは、生成される線状模様の空間周波数(配置ピッチに相当)を決めるためのものである。また、角度の範囲「θ1〜θ2」、幅の範囲「U1〜U2」、長さの範囲「H1〜H2」は、生成される線状模様の向き、幅、長さの範囲を決めるためのものである。上述したとおり、自然な風合いをもった皺画像を得るための参照画像Rを生成する上では、ある共通した方向を向いた複数の帯状領域を配置するのが効果的であるので、角度の範囲「θ1〜θ2」は、あまり大きくしないようにするのが好ましい(具体的には、θ1−θ2<30°程度がよい)。
核点設定部42は、参照領域内にXY二次元座標系を定義し、多数の核点P(X,Y)をプロットする処理を行う。ここで、核点Pとは、線状模様を形成するための個々の帯状領域の核となる点である。
図23は、この核点設定部42の具体的な処理手順を示す流れ図である。まず、ステップS1において、変数iおよびjを初期値0に設定する。変数iはX軸方向に関する配置位置を示すパラメータであり、変数jはY軸方向に関する配置位置を示すパラメータである。続くステップS2では、変数jを1だけ増加させ、更にステップS3では、変数iを1だけ増加させる。次のステップS4では、核点Pを配置するためのY座標値が、Y=(F×j)+(F×Rnd)なる演算式で求められ、ステップS5では、核点Pを配置するためのX座標値が、X=(F×i)+(F×Rnd)なる演算式で求められる。ここで、Fは、パラメータ設定部41で設定された空間周波数を示すパラメータであり、Rndは、−0.5〜+0.5の範囲内の乱数値である。たとえば、F=10に設定されていた場合、i=1,j=1では、Xは5〜15の範囲内の値をとり、Yも5〜15の範囲内の値をとる。
こうして、座標値X,Yが決まると、ステップS6,S7を経て、ステップS8へと進み、核点P(X,Y)のプロットが行われる。そして、ステップS3へと戻り、変数iの値が1だけ更新され、ステップS4,S5へと進む。今度は、i=2,j=1であるから、Xは15〜25の範囲内の値をとり、Yは5〜15の範囲内の値をとるので、ステップS8では、この範囲内の座標位置に次の核点P(X,Y)のプロットが行われる。再びステップS3へと戻り、変数iの値が1だけ更新され、ステップS4,S5へと進む。今度は、i=3,j=1であるから、Xは25〜35の範囲内の値をとり、Yは5〜15の範囲内の値をとるので、ステップS8では、この範囲内の座標位置に次の核点P(X,Y)のプロットが行われる。
やがて、Xの値が最大値Xmaxを超えると(この時点でi=最大値Iとなっている)、ステップS7からステップS9へと分岐し、変数i=0にリセットされ、ステップS2からの処理が繰り返される。今回は、j=2となるので、Yは15〜25の範囲内の値をとることになる。こうして、最後に、Yの値が最大値Ymaxを超えると(この時点でj=最大値Jとなっている)、ステップS6を経て処理は終了する。図24は、このような処理によって、XY二次元座標系上に複数の核点Pがプロットされた状態を示す平面図である。上述の手順により核点の設定を行えば、ほぼ空間周波数Fで示されるピッチで、ほぼ一様に分布するように、ランダムに核点Pを配置することが可能になる。
このように、図22に示す核点設定部42の基本機能は、−0.5〜+0.5の範囲内のランダム値Rndと整数iおよびjを用いて、X=(F×i)+(F×Rnd)およびY=(F×j)+(F×Rnd)なる演算によって求まる座標値(X,Y)で示される位置に核点P(X,Y)をプロットする処理を、iの値を1から所定の最大値Iまで1ずつ変え、jの値を1から所定の最大値Jまで1ずつ変えた各組み合わせについて実行し、合計(I×J)個の核点Pを設定することである。
参照帯状領域設定部43は、こうして設定された個々の核点Pについて、それぞれ参照帯状領域Bを設定する処理を行う。具体的には、個々の核点Pについて、θ1〜θ2内のランダム値θ、U1〜U2内のランダム値U、H1〜H2内のランダム値Hを定め、核点Pを中心点として、基準となる座標軸(たとえば、X軸)に対して角度θをなす方向を向き、幅U,長さHをもった参照帯状領域Bを定める処理を行い、合計(I×J)個の参照帯状領域を設定する処理が行われる。
図25は、図24に示す個々の核点Pについて、それぞれ参照帯状領域Bを設定した状態を示す平面図である。図に描かれた個々の矩形が、各核点Pを中心として設定された参照帯状領域Bである。この参照帯状領域Bは、X軸に対して角度θをなす方向を向き、幅U、長さHをもった矩形であるが、角度θはθ1〜θ2内のランダム値として定められ、幅UはU1〜U2内のランダム値として定められ、長さHはH1〜H2内のランダム値として定められるため、それぞれバラバラな形状を有し、バラバラな向きを向いている。ただ、θ1−θ2<30°程度に設定しておけば、向きに関するバラつきは、角度30°程度に抑えられ、ある程度共通した方向を向いた複数の帯状領域が配置されることになる。
参照画像生成部44は、各参照帯状領域Bの外部の画素には背景部分を示す画素値(たとえば、”0”)を与え、各参照帯状領域Bの内部の画素には線状模様部分を示す画素値(たとえば、”1”)を与えることにより、線状模様をもった参照画像を生成する処理を行う。結局、図25に示すような参照画像Rが二値画像として生成されることになる。なお、二値画像ではなく、階調画像を生成する場合には、参照画像生成部44が、内側から外側に向かって画素値がなだらかに変化するように、各参照帯状領域Bの内部の画素に画素値を与えるようにすればよい。
このような線状模様をもった参照画像Rを、スカラー場定義部40内で自動生成し、これをスカラー場として用いるようにすると、革シボパターンとして好ましい皺画像を得ることができる。
革シボパターンの基本構成例を示す平面図である。 天然皮革表面の一般的な構造を示す拡大斜視図である。 本発明に係る皺画像生成装置の基本構成を示すブロック図である。 図3に示す装置の母点定義部10で定義された母点Mの一例を示す平面図である。 図3に示す装置の連結線定義部20で定義された連結線Cの一例を示す平面図である。 特定の着目母点M0について定義された8本の連結線C1〜C8を示す平面図である。 図3に示す装置のスカラー場定義部40で定義されたスカラー場を示すための参照画像Rの一例を示す平面図である。 図3に示す装置の仮想ばね定義部30において、図6に示す各連結線C1〜C8上に定義された仮想ばねS1〜S8を示す平面図である。 各仮想ばねの物理的特性を決定するために、図5に示す連結線Cが定義された作業領域A上に、図7に示す参照画像Rを重ね合わせた状態を示す平面図である。 作業領域Aに重ね合わせた参照画像R内の画素の画素値に基づいて、各仮想ばねの物理的特性を決定する具体的な方法の一例を示す平面図である。 図3に示す装置の仮想ばね定義部30において定義される仮想ばねSの概念図である。 図8に示す特定の着目母点M0に対して、その八方に定義された仮想ばねS1〜S8によって加わる力を示す平面図である。 図3に示す装置のシミュレーション実行部50において、着目母点M0に対して行われる動作シミュレーションの様子を示す平面図である。 図3に示す装置の変位母点決定部60によって決定された変位母点の位置を示す平面図である。 図3に示す装置の皺構成線分配置部70による皺構成線分Tの配置原理を示す平面図である。 図3に示す装置の皺構成線分配置部70によって、図14に示す変位母点に基づいて配置された皺構成線分Tを示す平面図である。 図16の皺構成線分Tのみを示す平面図である。 図3に示す装置の皺画像生成部80による皺画像生成処理の原理を示す平面図である。 図3に示す装置の皺画像生成部80によって、図17に示す皺構成線分Tに基づいて生成された皺画像を示す平面図である。 天然皮革の表面に現れる皮シボパターンを写真撮影し、これに画像処理を施して得られた二値画像を示す拡大平面図である。 本発明に係る皺画像生成装置を用いて人為的に作成した皮シボパターンに、画像処理を施して得られた二値画像を示す拡大平面図である。 図3に示す装置のスカラー場定義部40の具体的な構成例を示すブロック図である。 図22に示す核点設定部42の処理手順を示す流れ図である。 図22に示す核点設定部42によって設定された核点Pの一例を示す平面図である。 図22に示す参照帯状領域設定部43によって設定された参照帯状領域Bの一例を示す平面図である。
符号の説明
10:母点定義部
20:連結線定義部
30:仮想ばね定義部
40:スカラー場定義部
41:パラメータ設定部
42:核点設定部
43:参照帯状領域設定部
44:参照画像生成部
50:シミュレーション実行部
60:変位母点決定部
70:皺構成線分配置部
80:皺画像生成部
A:作業領域
a:作業領域A/参照領域Rの寸法
B:参照帯状領域
C,C1〜C12:連結線
D:母点間距離
d:母点の初期配置の格子間隔
E:特定領域
F,F1〜F8:仮想ばねによって作用する力
G:連結線Cの中点
H:参照帯状領域の長さ
k:ばね定数
L:仮想ばねの自然長
M,M1〜M8,M10〜M20:母点
M0:着目母点
m:母点の質量
P:核点
R:参照領域(参照画像)
S,S1〜S8:仮想ばね
S1〜S9:流れ図の各ステップ
T,T1〜T3:皺構成線分
U:参照帯状領域の幅
V:皺構成帯状領域/速度
W:皺構成帯状領域の幅
α:加速度
θ:参照帯状領域の傾き

Claims (20)

  1. 二次元平面上の作業領域内に多数の母点を定義する母点定義部と、
    前記作業領域内に定義された個々の母点について、隣接する母点との間にそれぞれ連結線を定義する連結線定義部と、
    前記作業領域に対応する参照領域内にスカラー場を定義するスカラー場定義部と、
    前記個々の連結線上に、前記スカラー場上の当該連結線の位置に対応する位置に定義されたスカラー値に応じた物理的特性をもった仮想ばねを定義する仮想ばね定義部と、
    個々の母点を質点とみなし、各連結線の両端に位置する一対の母点が当該連結線上に定義された仮想ばねで連結されているとみなしたときに、各仮想ばねによって作用する力に基く各質点の運動シミュレーションを実行するシミュレーション実行部と、
    前記運動シミュレーションによって運動中の母点の所定時点における位置を変位母点の位置と決定する変位母点決定部と、
    各変位母点についての連結線上にその中点を求め、当該連結線に対して直交し、当該連結線と同じ長さをもつ皺構成線分を、当該皺構成線分の中点が当該連結線の中点に重なるように配置する皺構成線分配置部と、
    前記皺構成線分の集合体に基づいて、皺画像を生成する皺画像生成部と、
    を備えることを特徴とする皺画像生成装置。
  2. 請求項1に記載の皺画像生成装置において、
    仮想ばね定義部が、ばね定数kおよび自然長Lを物理的特性として有する仮想ばねを定義し、前記ばね定数kおよび前記自然長Lのいずれか一方もしくは双方を、当該仮想ばねが配置される連結線の位置に対応する位置に定義されたスカラー値に基づいて決定することを特徴とする皺画像生成装置。
  3. 請求項2に記載の皺画像生成装置において、
    スカラー場定義部が、参照領域内に配列された画素の集合からなる参照画像の画像データを格納しており、個々の画素の画素値を当該画素位置についてのスカラー値とすることにより、スカラー場の定義を行い、
    仮想ばね定義部が、参照領域内の対応位置に連結線を描画したときに、当該連結線上もしくはその近傍に位置する画素の画素値の和もしくは平均に基づいて仮想ばねの物理的特性値を決定することを特徴とする皺画像生成装置。
  4. 二次元平面上の作業領域内に多数の母点を定義する母点定義部と、
    前記作業領域内に定義された個々の母点について、隣接する母点との間にそれぞれ連結線を定義する連結線定義部と、
    前記作業領域に対応する参照領域内にスカラー場を定義するスカラー場定義部と、
    前記個々の連結線上に、所定の物理的特性をもった仮想ばねを定義する仮想ばね定義部と、
    個々の母点を前記スカラー場上の当該母点の位置に対応する位置に定義されたスカラー値に応じた質量をもった質点とみなし、各連結線の両端に位置する一対の母点が当該連結線上に定義された仮想ばねで連結されているとみなしたときに、各仮想ばねによって作用する力に基く各質点の運動シミュレーションを実行するシミュレーション実行部と、
    前記運動シミュレーションによって運動中の母点の所定時点における位置を変位母点の位置と決定する変位母点決定部と、
    各変位母点についての連結線上にその中点を求め、当該連結線に対して直交し、当該連結線と同じ長さをもつ皺構成線分を、当該皺構成線分の中点が当該連結線の中点に重なるように配置する皺構成線分配置部と、
    前記皺構成線分の集合体に基づいて、皺画像を生成する皺画像生成部と、
    を備えることを特徴とする皺画像生成装置。
  5. 請求項4に記載の皺画像生成装置において、
    スカラー場定義部が、参照領域内に配列された画素の集合からなる参照画像の画像データを格納しており、個々の画素の画素値を当該画素位置についてのスカラー値とすることにより、スカラー場の定義を行い、
    シミュレーション実行部が、参照領域内の対応位置に母点を配置したときに、当該母点上の画素の画素値、または当該母点の近傍に位置する複数の画素の画素値の和もしくは平均に基づいて、当該母点の質量を決定することを特徴とする皺画像生成装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の皺画像生成装置において、
    母点定義部が、縦横格子状に母点を規則的に初期配置して定義することを特徴とする皺画像生成装置。
  7. 請求項6に記載の皺画像生成装置において、
    母点定義部が、規則的に初期配置した母点の各位置を、乱数を用いて変動させることにより、揺らぎの成分をもった配置がなされた母点の定義を行うことを特徴とする皺画像生成装置。
  8. 請求項6または7に記載の皺画像生成装置において、
    連結線定義部が、初期配置時の格子配列において、縦横4方向もしくは斜めも含めた8方向に隣接する母点との間に、それぞれ連結線の定義を行うことを特徴とする皺画像生成装置。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の皺画像生成装置において、
    スカラー場定義部が、線状模様をもった参照画像によってスカラー場を定義することを特徴とする皺画像生成装置。
  10. 請求項9に記載の皺画像生成装置において、
    スカラー場定義部が、
    空間周波数を示すパラメータFを設定するとともに、角度の範囲「θ1〜θ2」、幅の範囲「U1〜U2」、長さの範囲「H1〜H2」をパラメータとして設定するパラメータ設定部と、
    参照領域内にXY二次元座標系を定義し、−0.5〜+0.5の範囲内のランダム値Rndと整数iおよびjを用いて、X=(F×i)+(F×Rnd)およびY=(F×j)+(F×Rnd)なる演算によって求まる座標値(X,Y)で示される位置に核点P(X,Y)をプロットする処理を、iの値を1から所定の最大値Iまで1ずつ変え、jの値を1から所定の最大値Jまで1ずつ変えた各組み合わせについて実行し、合計(I×J)個の核点Pを設定する核点設定部と、
    個々の核点Pについて、θ1〜θ2内のランダム値θ、U1〜U2内のランダム値U、H1〜H2内のランダム値Hを定め、核点Pを中心点として、基準となる座標軸に対して角度θをなす方向を向き、幅U,長さHをもった参照帯状領域を定める処理を行い、合計(I×J)個の参照帯状領域を設定する参照帯状領域設定部と、
    前記各参照帯状領域の外部の画素には背景部分を示す画素値を与え、前記各参照帯状領域の内部の画素には線状模様部分を示す画素値を与えることにより、線状模様をもった参照画像を生成する参照画像生成部と、
    を有することを特徴とする皺画像生成装置。
  11. 請求項10に記載の皺画像生成装置において、
    参照画像生成部が、内側から外側に向かって画素値がなだらかに変化するように、各参照帯状領域の内部の画素に画素値を与えることを特徴とする皺画像生成装置。
  12. 請求項1〜8のいずれかに記載の皺画像生成装置において、
    スカラー場定義部が、実在の物体表面の画像を取り込む画像取込装置を有し、取り込んだ画像もしくはこれを加工して得られた画像によってスカラー場を定義することを特徴とする皺画像生成装置。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の皺画像生成装置において、
    シミュレーション実行部が、両母点間の距離Dと当該両母点間に連結される仮想ばねの自然長Lとの差を(D−L)とし、当該両母点間に当該仮想ばねに起因したF=−k(D−L)なる力が作用するものとし、各母点の質量をmとしてF=mαなる式に基づいて各母点の運動加速度αを求め、各母点の運動シミュレーションを実行することを特徴とする皺画像生成装置。
  14. 請求項13に記載の皺画像生成装置において、
    シミュレーション実行部が、第k番目の時点tkにおいて、各母点のそれぞれについて、その時点の仮想ばねに起因して作用する力の合力を求め、第k番目の時点tkから第(k+1)番目の時点t(k+1)に至るまでの時間δの間における各母点の前記合力に基づく移動経路を求め、時点t(k+1)における各母点の位置を決定する処理を、k=0からkを1ずつ増加させながら繰り返し実行し、
    変位母点決定部が、kの値が所定値Kに達した時点における各母点の位置を変位母点の位置と決定することを特徴とする皺画像生成装置。
  15. 請求項1〜14のいずれかに記載の皺画像生成装置において、
    シミュレーション実行部が、作業領域の輪郭近傍に位置する母点を不動の固定点として、運動シミュレーションを実行することを特徴とする皺画像生成装置。
  16. 請求項1〜15のいずれかに記載の皺画像生成装置において、
    シミュレーション実行部が、特定の両母点間に作用する力Fが所定のしきい値Fthを超えた場合に、当該特定の両母点間を連結する仮想ばねが破断したものと判断し、以後、当該特定の両母点間には仮想ばねが存在しないものとして、運動シミュレーションを実行することを特徴とする皺画像生成装置。
  17. 請求項1〜16のいずれかに記載の皺画像生成装置において、
    皺画像生成部が、各皺構成線分に幅をもたせる処理を行い、皺構成帯状領域を形成し、各皺構成帯状領域の外部の画素には背景部分を示す画素値を与え、前記各皺構成帯状領域の内部の画素には皺部分を示す画素値を与えることにより皺画像を生成することを特徴とする皺画像生成装置。
  18. 請求項17に記載の皺画像生成装置において、
    皺画像生成部が、幅の範囲「W1〜W2」をパラメータとして設定し、個々の皺構成線分について、それぞれW1〜W2内のランダム値Wを定め、幅Wをもった皺構成帯状領域を形成することを特徴とする皺画像生成装置。
  19. 請求項17または18に記載の皺画像生成装置において、
    皺画像生成部が、内側から外側に向かって画素値がなだらかに変化するように、各皺構成帯状領域の内部の画素に画素値を与えることを特徴とする皺画像生成装置。
  20. 請求項1〜19のいずれかに記載の皺画像生成装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
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