しかしながら、上記の釣用ベルトでは、釣用ベルトに取り付けた魚入れ容器が川の流れによって下流に流されると、ロープに繋がった案内紐とベルト本体とが離され、その間に隙間が生じてしまう。そのため、釣竿に取り付けた仕掛けが案内紐にからんだり、竿尻がその隙間に入り込んだりして釣りの障害になってしまう。また、魚入れ容器が川の流れによって下流に流されると、ロープの結び目、または取付け具部分の案内紐の形状が屈曲した状態となり、ロープの結び目、または取付け具が案内紐に沿ってスムーズに移動できない状態になってしまう。
そこで、上述のように仕掛けのからみ等による釣りのトラブルの発生を防止し、しかも、魚入れ容器のロープが釣人の身体にからんだり巻きついたりするのことを従来のものよりも改善できる釣用ベルトを提供することを課題とする。
本発明にかかる釣用ベルトは、「魚入れ容器を取り付けて使用する釣用ベルトであって、撓曲性を有する板状部材を長手方向に備えたベルト本体と、前記板状部材において前記ベルト本体長手方向に一定の幅で形成した開口部と、その開口部から抜脱不能に形成した滑動部を備え、前記滑動部を前記ベルト本体裏面に位置させて前記開口部に貫通して備えるスライド部材と、前記ベルト本体裏面において、前記ベルト本体裏面に突出した前記滑動部及び前記開口部を跨いで備えられ、前記開口部に沿って複数に分散して前記ベルト本体を支持する形状を有することにより、前記開口部の幅を一定に保持するとともに、前記ベルト本体の撓曲を可能とする幅保持手段と、を備える」ものである。
ここで、「魚入れ容器」とは、生かした状態で魚を保管することができる容器のことであり、ロープ等を介して釣用ベルトに取り付けることができる容器のことを示す。開口部が、「ベルト本体の長手方向に形成した」とは、開口部の形状が直線状に限らず、曲線状であることも含み、ベルト本体と平行に形成したものに限定せず、ベルト本体の範囲内で傾斜したものも含む。「開口部に貫通して備える」とは、スライド部材を移動可能に備えることを意味し、例えば、スライド部材の断面形状をT字形状に形成し、ベルト本体の裏側から開口部に貫通させて掛止するものである。
「ベルト本体裏面に位置させて」とは、幅保持手段がベルト本体の裏側部分に位置することによって、スライド部材の移動を妨害しないようにすることを示す。「開口部から抜脱不能に形成し」とは、例えば、滑動部が板状をなすものであり、開口部の幅より全体的に大きく形成されたもの、一部の長さを開口部の幅より長く形成するもの、開口部へのスライド部材取付け時に、ベルト本体面と垂直方向でのスライド部材の断面形状をT字状に形成するもの、滑動部の形状を球体形状とし、その直径を開口部の幅より大きいものとする等である。また、スライド部材が開口部に貫通する部分は、円柱体、立方体等、開口部を貫通可能な形状であればどのように形成したものでもよく、また、スライド部材を開口部に備えたとき、開口部に貫通した方向を軸としてスライド部材の回動を可能する形状のものも含む。
「ベルト本体裏面に突出した滑動部及び開口部を跨いで」とは、板状部材と対面する部分の形状がベルト本体裏面に突出した滑動部及び開口部を跨ぐことが可能な形状、例えば、弧状、コ字状等の形状であり、スライド部材の移動を可能とする状態であることを示す。すなわち、ベルト本体と幅保持手段との間にスライド部材の滑動部の移動する移動空間を有する状態であることを意味する。「開口部に沿って複数に分散して」とは、等間隔、ランダムな間隔等、複数に分散されたものが自由な間隔の隙間を有することを示している。幅保持手段において、ベルト本体と対面する部分の断面形状は、弧状、コ字状等自由に設定できる。
釣用ベルトには、釣人の腰に巻いて装着するとき、ベルト本体間を連結する連結手段を備えたものを含む。この連結手段には、どのような構造のものも含み、例えば、ベルト本体の一端に設けたソケット部材と、ベルト本体の他端に設け、ソケット部材に連結解除自在に設けたスタッド部材とを備えた釣用ベルト、または、ベルト本体の一端に設け、ベルト本体の他端を挿入する通過孔と通過したベルト本体をロックするロック機構を備えた釣用ベルト等である。「スライド部材」は、魚入れ容器のロープ、またはそのロープに備えた取付け具を取付け可能な取付手段を備えるものである。例えば、スライド部材の表側に設けた、ロープを結びつけるための環を備えるもの、ロープを挟んでロックする取付機構を備えたもの、取付け具に係合する係合部をスライド部材に備え、取付け具と係合部とを係合して取り付けるもの等である。
本発明によれば、上記のとおり、スライド部材は、魚入れ容器のロープを結びつけたり、挟んだり、ロープに備えた取付具を掛止したりして魚入れ容器を取り付けることが可能なものである。スライド部材の滑動部を開口部の幅より大きく形成しているため、スライド部材を開口部に貫通して備えると、開口部から抜脱不能となる。ゆえに、開口部に掛止して、開口部から脱離不能にし、スライド部材を開口部に沿って自由に移動させることが可能となる。
また、幅保持手段は、ベルト本体裏面に突出した滑動部及び開口部を跨いでベルト本体裏面に備えられている。開口部の幅を一定に保つことにより、開口部の幅が拡がったり狭くなったりすることを防止できる。そのため、開口部の幅の拡がりによってスライド部材が開口部から抜脱したり、開口部の幅が狭くなることによりスライド部材が移動しにくくなったり、スライド部材が開口部に挟まったりするようなトラブルを防止することが可能となる。そして、幅保持手段は、ベルト本体の裏側に位置するため、スライド部材、及びそのスライド部材に取り付けられたロープの移動を妨害しないものとなっている。したがって、スライド部材を開口部に沿って自由に移動させることが可能となる。
幅保持手段は、ベルト本体長手方向に複数に分散して備えられている。そのため、幅保持手段には複数の隙間を有することになり、その隙間の幅をベルト本体の長手方向に伸縮可能とすることにより、釣用ベルトの撓曲が可能となる。それゆえ、釣人は釣用ベルトを平らにしたり、撓曲させたりすることができ、釣用ベルトを着脱する際、従来の釣用ベルトと同様の使用ができる。
釣人が釣用ベルトを腰に装着する場合、釣用ベルトを撓曲させる必要がある。釣用ベルトを撓曲させた場合、幅保持手段はベルト本体の撓曲可能とするものであるため、釣用ベルトを釣人の腰から取外したり、腰に装着したりする際、ベルト本体を平らにしたり、撓曲させたりすることができ、従来の釣用ベルトと同様の感覚で釣用ベルトの着脱が可能となる。
次に、この釣用ベルトを釣人が腰に装着し、川に立ち入った場合には、魚入ロープ、またはロープの端に備えた取付け具を介してスライド部材に取り付けられた魚入れ容器は川下方向へ流される。そして、スライド部材に張力が加わると、開口部に貫通しているスライド部材を、開口部の形状に沿って、魚入れ容器が流されている川下方向に移動させようとする。このとき、板状部材は撓曲可能なものであるため、また、幅保持手段をベルト本体の撓曲に応じて変形させることが可能であるため、ベルト本体が過度に屈曲した状態にならず、川下方向へ開口部に沿って自動的にスライド部材を移動させることが可能となる。このとき、スライド部材は、開口部にて魚入れ容器に最も近い位置、すなわち、開口部での最も川下に近い位置に移動する。この状態で、釣人が身体の向きを変える、例えば、身体を川岸方向から川下方向へ向けたり、川下方向から川上方向へ向けたりすると、スライド部材は、川下に向かって移動しようとする。このように、釣人の身体の向きに応じてスライド部材を川下位置に自動的に移動させることができるため、ロープが釣人の身体にからんだり巻きついたりすることが防止でき、釣りの妨害にならないようにすることが可能となる。
また、スライド部材は、案内紐を用いることなく、ベルト本体に直接備える構成となっている。そのため、スライド部材とベルト本体とが離れず、スライド部材とベルト本体との間に隙間が生じない。したがって、従来の釣用ベルトのように、釣竿に取り付けた仕掛けや竿尻が案内紐にからんだり、その案内紐の隙間に入り込んだりすることによる釣りの妨害を生じなくすることができる。また、スライド部材が引張られる力をベルト全体で受ける構成になっているため、ベルト本体の変形を小さく抑えることが可能となり、スライド部材の移動に与える影響を小さくできる。
ところで、釣用ベルトにおいて、装着時にベルト本体間を連結する連結手段には、開口部を備えることが困難である。そのため、ソケット部材とスタッド部材とを備える釣用ベルトでは、開口部の形成範囲は、ソケット部材とスタッド部材との間に制限されることになる。しかし、腰に装着した釣用ベルトを釣人の身体に対して相対的に腰周りにずらし(回動し)、体の正面、側面、背面等、所望する位置に開口部を移動させることによって、スライド部材の移動範囲を変更することが可能である。
また、本発明の釣用ベルトにおいて、「前記板状部材には、前記ベルト本体短手方向に形成された凸条部を前記ベルト本体長手方向に複数備える」構成とすることもできる。
これによれば、板状部材には、ベルト本体の短手方向に形成した凸条部をベルト本体の長手方向に等間隔に形成している。この凸条部を形成することにより、強い力がスライド部材に加わったとき、板状部材を変形させるのを防止することが可能となる。そして、板状部材が変形しないため、スライド部材の移動が妨げられたり、スライド部材が開口部から外れたりするトラブルの発生を防止することができる。
また、本発明の釣用ベルトにおいて、「前記幅保持手段は、複数に分散してできる各隙間の位置に少なくとも伸縮部材を備える」構成とすることもできる。
ここで、「伸縮部材」とは、弾性や伸縮性等を有する材質によって形成されたものや、屈曲したり変形したりすることが可能な形状のもの等であることを意味し、幅保持手段に備えられたとき、ベルト本体の撓曲に追従することが可能なものを示す。
これによれば、幅保持手段は、幅保持手段に有する隙間に位置するように伸縮可能な、または撓曲可能な伸縮部材を備えている。そのため、釣用ベルト装着時に、伸縮部材は、釣人の着ている服が隙間から移動空間内に侵入するのを防止することができる。したがって、ベルト本体裏側にて、服が滑動部に接触したり、隙間に挟まったりすることがなく、スライド部材をスムーズに移動させることが可能となる。また、伸縮部材がベルト本体の長手方向に伸縮性を有するため、釣用ベルトを腰から着脱する際、釣用ベルトを平らにしたり、撓曲したりすることも可能である。そのため、上述した釣用ベルトと同様の効果を失うことなく、釣用ベルトの着脱ができる。
また、本発明の釣用ベルトにおいて、「前記幅保持手段は、複数に分散してできる各隙間に、前記ベルト本体の短手方向に凹部を形成してなる伸縮部を連結するように備える」構成とすることもできる。
これによれば、幅保持手段は、複数に分散してできる各隙間に、凹部を形成してなる伸縮部を連結したものであって、滑動部及び開口部を跨ぐよう形成してベルト本体に備えている。つまり、凹部は、ベルト本体短手方向に形成された状態でベルト本体長手方向に複数存在している。
幅保持手段は、ベルト本体裏面に突出した滑動部及び開口部を跨ぐよう形成されて設けられ、ベルト本体との間にスライド部材が移動する移動空間を形成し、開口部幅を一定に保っている。
凹部は、他の部分より薄く形成されたものであるため、ベルト本体の撓曲に追従して変形し、釣用ベルトを撓曲可能とするものである。したがって、幅保持手段が伸縮性と撓曲性を備えることにより、釣用ベルトを着脱するとき、釣用ベルトを平らにしたり、撓曲したりすることが可能となる。また、釣用ベルト装着時に、着ている服がベルト本体裏側の各隙間から侵入するのを防止することにより、ベルト使用時に着ている服が滑動部に接触したりすることを防止でき、スライド部材をスムーズに移動させることが可能となる。
ところで、取り付けた魚入れ容器が岩に衝突したり、強い川の流れに流されたりしてスライド部材に強い引張り力が加わる場合がある。すると、スライド部材の位置するベルト本体部分が、その表面の法線方向へ強く引かれる力を受ける。そして、その位置でのベルト本体の断面形状においてハの字状にベルト本体を変形させ、開口部の幅が開いてしまうことが考えられる。その結果、滑動部が開口部から抜出してスライド部材が外れ、スライド部材に取り付けた魚入れ容器を失ってしまうことも予想される。
そこで、本発明の釣用ベルトにおいて、「前記スライド部材は、前記板状部材を挟んで前記滑動部に対向するように挟持部をさらに備えるものである」構成を加えることもできる。
ここで、「挟持部」は、滑動部の接触部に対向する位置で接触部に近接すれば、どのような形状をなしたものでもよく、球形状、板形状、円柱形状等、を有してもよい。例えば、板形状のものであって、接触部に対向する部分を接触部方向に曲成したものや、棒状のものであって、接触部に対向する部分を球体形状に形成したもの等である。
これによれば、スライド部材において、板状部材を挟んで接触部に対向する位置に挟持部を備え、板状部材に近接している。スライド部材が強い力で引張られると、滑動部が板状部材に強く当接し、ベルト本体の断面形状において板状部材をハの字状に変形させようとする力が板状部材に加わる。しかし、スライド部材は板状部材を滑動部とで挟んだ状態となっているため、幅保持手段と相まって、ベルト本体の断面形状においてハの字状に板状部材が変形するのを防止することができる。したがって、開口部からスライド部材が外れず、魚入れ容器を失うようなトラブルの発生を防止することができる。
また、本発明の釣用ベルトにおいて、「前記板状部材は、前記開口部長手方向と平行となるように、かつ、前記開口部を間に挟んで対向するように形成された一対のレール部を備え、前記ベルト本体に対する前記滑動部の接触部は、そのレール部にて前記開口部から遠い部分である外側面、もしくは、その外側面付近の前記板状部材に接触する形状をなす」構成とすることもできる。
ここで、レール部の断面形状は、円形、矩形等どのような形状のものも含み、レール部を設ける面は、板状部材の両面、または片面のみのどちらの場合も含む。レール部の設ける位置は、開口部の縁部、開口部から少し離れた部分であり、スライド部材の接触部がレール部と接触可能な範囲である。
これによれば、接触部は、レール部、またはレール部及び板状部材に近接している。このとき、レール部は開口部を補強する効果も有する。ここでの「近接」には、接近の意味だけでなく接触の意味も含む。魚入れ容器が川下方向へ流されると、スライド部材は、接触部がレール部または板状部材に接触しながら、川下に向かって移動することになる。このとき、接触部は、開口部から遠いレール部外側と接触した状態、換言すると、接触部が開口部とレール部との距離より離れた位置と接触した状態であるため、スライド部材はレール間を連結する状態となっている。その結果、幅保持手段と相まって、開口部の幅の開きを防止することができる。したがって、開口部からスライド部材が外れず、魚入れ容器を失うようなトラブルの発生を防止することができる。
スライド部材が、挟持部を備えている場合には、接触部と挟接部とで挟持されており、レール部の厚みが板状部材の厚みより厚くなっているため、レール部の厚みが接触部と挟持部との間隔、すなわち、接触部と、それに対向する挟持部との距離より長いため、接触部と挟持部と間を通過することができない。そのため、接触部と挟持部が板状部材を挟みながらレール部に沿ってスライドすることが可能となる。
接触部または挟持部は、開口部から遠いレール部外側と接触した状態となっている。すなわち、接触部が開口部とレール部との距離より離れた位置と接触している。そのため、接触部と挟持部とで挟持され、スライド部材はレール部に沿ってスライドしながらレール間を連結する状態となっている。このとき、スライド部材が強い力で引張られると、滑動部がベルト本体に強く当接し、ベルト本体の断面形状においてハの字状に変形させようとする力がベルト本体に作用する。しかし、接触部がレール部に接触して掛止するので、スライド部材によってレール部間を連結した状態は保たれる。その結果、幅保持手段と相まって、開口部の幅の開きを防止することが可能となり、ベルト本体の断面形状においてハの字状にベルト本体が変形するのを防止することができる。そして、開口部からスライド部材が外れず、魚入れ容器を失うようなトラブルの発生を防止することができる。
また、本発明の釣用ベルトにおいて、「前記滑動部は、前記接触部として回動自在に取り付けた回転体を備える」構成とすることもできる。
「回転体」とは、球体、円柱体等であって回動可能な形状のものを示し、回動軸のあるものも含む。
スライド部材は接触部として回転体を備えている。スライド部材は、滑動部の接触部である回転体を介してベルト本体と接触し、移動するときに、回転体が自由に回動する。そのため、スライド部材は、ベルト本体との摩擦抵抗を小さくでき、スムーズに移動させることが可能となる。また、回転体はレール部に外接するため、スライド部材がベルト本体面に対して垂直方向を軸として回動するのを防止でき、回転体がレール部から脱線して開口部に嵌る等のトラブル発生を防止することができる。そして、スライド部材の移動方向が開口部の長手方向に定まるため、スライド部材をレール部に沿ってスムーズに移動させることが可能となる。
このように、本発明の釣用ベルトを用いると、従来の釣用ベルトと比較して、釣竿に取り付けた仕掛け糸が釣用ベルトを構成する部材にからまる等のトラブルの発生を防止することが可能となる。また、引き船やビク等が川下へ流れることに応じて、スライド部材をよりスムーズに移動させることが可能となる。さらに、従来の釣用ベルトと同様に、釣用ベルトを撓曲させることができ、釣人は、容易に釣用ベルトの着脱を可能とすることができる。また、腰に装着した釣用ベルトを釣人の身体に対して腰周りに移動し、体の正面、側面、背面等、釣人の所望する位置に開口部を移動させることができ、スライド部材の移動範囲を変更することができる。
以下、本発明に係る釣用ベルトの実施形態としての一例を、以下に、図面に基づいて詳述する。
図1は、釣用ベルト1の全体構成を示し、図2は、図1とは逆方向から視た場合の釣用ベルト1の全体構成を示す斜視図である。図3は、可動アンカー5の全体形状を示す斜視図であり、図4は、図2のA−A断面における釣用ベルト断面形状を示す断面図である。図5は、釣用ベルト1のA−A付近を切り取り、可撓部材4の一部を取り除き、釣用ベルト1の裏側方向から視た場合の釣用ベルト内部構成を示す平面図である。
図1に示すように、釣用ベルト1は、ベルト本体2と、開口部3と、幅保持手段としての可撓部材4及び支持部材13と、スライド部材としての可動アンカー5とを備えている。また、釣用ベルト1の一端には、ソケット部材6を備え、その他端には、ソケット部材6に連結解除自在のスタッド部材7を備えている。
図1及び図4に示すように、ベルト本体2は、合成樹脂製の板状部材8と、編板材9とからなっている。板状部材8には、ベルト本体2の長手方向に直線状に形成した開口部3を備えている。その開口部3の縁には、断面形状を円形状に形成したレール部10を備えている。ここで、レール部の断面形状は円形に限らず、例えば、矩形であってもよい。また、レール部を設ける位置は、開口部3の縁に限定せず、例えば、ベルト本体2の裏面の開口部3から離れた開口部3の周囲であってもよい。
編板材9は、編みこんで板状に形成し、長手方向に長く、開口部3より大きく形成した長方形状の窓部11を備えている。その窓部11の中央に開口部3をちょうど位置させるように板状部材8を取り付けている。編板材9は、板状部材8を補強する効果と、釣用ベルト1の外観をよくする効果を有するものである。板状部材8と編板材9とを、どのような方法で互いを取り付けてもよく、例えば、互いを接着したり、縫い付けたりして取り付けてもよい。開口部3の長手方向の長さは、可能な限り、長く設計した方が好ましく、できれば、50cm以上あった方が可動アンカー5の移動範囲が広がり釣用ベルトの使い勝手がよいものとなる。また、開口部3の形状は、直線状に限らず、ベルト本体2の長手方向に曲線状に形成したものであってもよく、例えば、ベルト本体2の長手方向に弧状に形成したものや、三角関数のサイン図形状に形成したものであってもよい。
図5に示すように、板状部材8の裏側には、支持部材13と可撓部材4とから構成する幅保持手段を備えている。支持部材13は、中央部を弧状に形成したものであって、両端部を同一面上に形成する、すなわち板状部材8に取付け可能な形状に形成した取付部12を有しており、滑動部15及び開口部3を跨いで固定されている。支持部材13は、開口部3の長手方向に一定の間隔を有しながら複数に分散させて設けられており、開口部3の幅を一定に保つように板状部材8を支持している。支持部材13の取付部12の位置は、板状部材8にて開口部3から一定の距離離れており、板状部材8と支持部材13とで囲んで移動空間14を形成している。その移動空間14は、可動アンカー5を移動させるための空間であり、移動空間14を形成する板状部材8の部分は可動アンカー5と接触する部分となっている。
可撓部材4は、支持部材13と同様、断面形状を円弧状に形成した合成樹脂製であり、板状部材8及び支持部材13に取り付けられている。つまり、可撓部材4は、すべての支持部材13及び開口部3を覆うようにベルト本体2の裏面側に取り付けられた状態となっており、伸縮部材として機能する。可撓部材4には、周方向に形成した凹部4aを、ベルト本体2の長手方向に等間隔に備えている。すなわち、可撓部材4の周囲を蛇腹形状に形成して、可撓部材4に撓曲性を備えさせたものである。可撓部材4の断面形状は、円弧状に形成したものに限らず、例えば、断面形状をコ字状に形成したもので周囲を蛇腹形状に形成したものであってもよい。また、可撓部材4は、釣用ベルト1を平たく伸ばした状態から図1に示すように内側に撓曲させることができれば、どのような材質で形成したものであってもよく、例えば、スポンジ状のゴム製のもの、アルミニウム製の蛇腹材等であってもよい。幅保持手段である支持部材13及び可撓部材4は、一体成形したものであってもよい。また、板状部材8、支持部材13及び可撓部材4を一体成形したものであってもよい。
図3に示すように、可動アンカー5は、金属製であって、ベルト本体2の裏面に備える滑動部15と、開口部3を貫通する貫通部16と、釣用ベルト1の表側に備える挟持部17と、取付手段としての環支持部18及び環部19とを備えている。ここで、可動アンカー5は、金属製に限定せず、例えば、合成樹脂で形成したものであってもよい。
滑動部15は直方体形状をなし、その滑動部15において板状部材8と接触する部分には、接触部として機能し、回転体としての、2つの球体20,21を回動自在に備えている。挟持部17は、滑動部15と略同形状をなし、球体20,21に対向する位置が滑動部15に近接するように円柱体状に形成された、円柱部22,23を有している。貫通部16は滑動部15と挟持部17との間に位置し、直方体形状に形成されている。貫通部16と滑動部15とは、滑動部15の中心に形成した孔に、貫通部16に形成した突出部を嵌合することにより連結している。貫通部16の厚さ、つまり、図3の上下方向の長さは、開口部3の幅と同じか、それよりわずかに小さくなっている。環支持部18は、挟持部17の中央にてベルト本体2の表面側向きに、つまり、図3の左から右方向に形成され、円柱体形状をなしている。その中間付近には、貫通孔24を設け、その貫通孔24に環部19を回動可能に備えている。ここで、環支持部18には、その円柱体軸心方向に回動する回動機能を備えてもよい。
図4に示すように可動アンカー5は、2つの球体20,21と挟持部17の円柱部22,23とにより、レール部10にて開口部3に対する外側部分に近接し、板状部材8を挟み込むようにして、板状部材8に取り付けられている。このとき、球体20,21と円柱部22,23との距離がレール部10の直径より小さく、球体20,21と円柱部22,23との間からレール部10が抜けない状態となっている。そのため、可動アンカー5は、開口部3の幅を一定に保つとともに、レール部10に沿って球体20,21が回動し、移動可能な状態となっている。このようにして、可動アンカー5は、板状部材8に取り付けられ、開口部3またはレール部10に沿って自由に移動可能な状態になっている。
図1及び図2に示すように、ベルト本体2には、2つの吊下部材30,31をベルト本体2の長手方向にスライド自在に備えている。吊下部材30,31は、ベルト本体2及び可撓部材4の短手方向周囲形状に沿った形状に形成されている。吊下部材30,31のベルト本体2の表側には、一部を切り取って形成したアンカー通過用間隙32,33を有している。そのため、吊下部材30,31が可動アンカー5の移動の妨害とはならない。そして、吊下部材30,31の裏面には、取付環34,35を貫通して折りたたみ固定した樹脂製シート36,37が取り付けられている。
図1及び図2に示すように、スタット部材7には、ベルト本体2を通過させるための、ベルト本体2の短手方向に並列に形成した2つの調整孔51,52を設けている。2つの調整孔51,52にベルト本体2を通過させることによって、ベルト本体2とスタット部材7とを連結するとともに、ベルト本体2の長さを調整できるようになっている。そして、スタット部材7には、ソケット部材6に係合する2つの爪部53,54を備えている。ソケット部材6は、ベルト本体2の端部を貫通させる貫通孔55を備え、その貫通孔55にベルト本体2の端部を貫通して巻回固定している。そして、ソケット部材6には、爪部53,54を通過させる連結孔56と爪部53,54を係止する爪係止孔57,58を備えている。また、ベルト本体2にて、スタット部材7の付近には、ベルト本体2の長さ調整によって余ったベルト本体部分を挟み止めるためのベルト調整具59を設けている。ベルト調整具59は、吊下部材30,31と同様の形状をなし、アンカー通過用間隙59aを有しており、可動アンカー5の移動の妨害とならなくなっている。
次に、本実施形態の釣用ベルト1を腰に装着して使用したときの作用、効果について、図を用いて説明する。
釣用ベルト1を装着する場合には、釣人59の腰に巻きつけるために釣用ベルト1を撓曲させる必要がある。このとき、幅保持手段は、等間隔に分散して取り付けられた複数の支持部材13と、撓曲可能な可撓部材4とにより構成されている。したがって、ベルト本体2は撓曲可能なものであり、釣用ベルト1を平状にしたり、図1に示すように湾曲させたりすることが可能である。それゆえ、一般のベルトと同様に、釣人59は違和感を受けることなく腰に巻きつけて装着することができる。
釣用ベルト1を腰に巻きつけ装着する場合には、ソケット部材6の連結孔56にスタット部材7の爪部53,54を挿入する。すると、爪部53,54が爪係止孔57,58に係止され、ソケット部材6とスタット部材7とを連結することができる。このとき、幅保持手段は可撓部材4を有しているため、可動アンカー5の移動する移動空間14に衣服等が侵入するのを防止できる。そのため、腰に装着しても、可動アンカー5の移動に影響しない。脱着する場合には、爪係止孔57,58に係止された爪部53,54を指で押さえて、ソケット部材6とスタット部材7とを分離し、連結孔56から爪部53,54を引抜いて容易に分離することができる。
釣用ベルト1を装着した状態では、可動アンカー5は、ベルト本体2において開口部3の長手方向に移動可能な状態となっている。すなわち、可動アンカー5は、滑動部15によって、開口部3から抜脱不能なように板状部材8の裏面に掛止された状態となっている。また、滑動部15には、板状部材8との接触部である球体20,21が回動自在に介在しているので、板状部材8との摩擦抵抗を小さくでき、可動アンカー5はスムーズに移動することができる。
図7、図8は、釣人59が釣用ベルト1を装着し、釣竿63を持って川に立ち入った状態を、上空から視た図である。釣人59が引き船60のロープ61を環部19に取り付けることにより、引き船60を釣用ベルト1に装着し、川に立ち入ると、引き船60が川下へ流される。すると、引き舟60は繋がるロープ61を引き、可動アンカー5は川下方向へ移動することになる。このとき、板状部材8に接触する部分は、回動する球体20,21であるため、抵抗なくスムーズに可動アンカー5は移動することができる。
釣人の向きが川の流れ70に対し、垂直であり、川の流れが左から右方向である場合には、図7(a)のように、可動アンカー5は釣人59の右横腹方向へ移動することになる。この状態から身体の向きを反時計回りに回転させ、身体の正面を川上に向けると、引き船60は常に川下に流されるため、図7(b)に示すように身体の背面方向へ可動アンカー5は移動することになる。さらに、反時計回りに体を回転させると、図7(c)に示すように可動アンカー5は釣人59の左横腹方向へ移動することになる。このように、引き舟60の流されている方向へ可動アンカー5が位置しようとするため、釣人59に引き舟60のロープ61が巻きついたり、からんだりしにくくなり、釣人59はロープ61の状態を気にせず、釣りに集中することができる。また、釣用ベルト1は、ベルト本体2に形成した開口部3に可動アンカー5を直接備えるため、可動アンカー5とベルト本体2とが離れて隙間を有することはない。そのため、従来の釣用ベルトのように、釣竿に取り付けた仕掛けがベルト本体から離れた案内紐にからんだり、竿尻がベルト本体と案内紐との隙間に入り込んだりするといったトラブルが発生しなくなる。また、可動アンカー5にかかる力を釣用ベルト1の全体で受けとめるため、ベルト本体2の過度な変形を抑えられ、可動アンカー5をスムーズに移動させることができる。
ところで、引き舟60が激流に流されたり、引き舟60が岩等に激突したりして、引き舟60と繋がる可動アンカー5に強い引張り力が加わる場合がある。しかし、可動アンカー5が、レール部10の間を連結した状態となっており、板状部材8から容易に外れない構成となっている。つまり、球体20,21と挟持部17の円柱部22,23との対向する距離がレール部10の断面の直径よりも小さく、球体20,21と円柱部22,23とでレール部10を挟持しているため、球体20,21と円柱部22,23との間からレール部10が抜出することができない状態となっている。そのため、開口部の幅の拡がりによって滑動部15が開口部3から抜脱することはない。したがって、可動アンカー5がベルト本体2から外れず、引き舟60を川に流されて失うといったトラブルの発生を防止することができる。また、開口部3の幅が拡がらず、ベルト本体2の断面形状において、ハの字状にベルト本体2が変形するのを防止することが可能となる。そのため、変形によって可動アンカー5の移動に影響を受けないことになる。
ソケット部材6とスタッド部材7とを連結することにより生じるベルト本体1の連結部位置には、開口部3を備えることが困難であり、可動アンカー5の移動範囲62は、ソケット部材6とスタッド部材7との間に制限される。しかし、本釣用ベルト1は、図8に示すように、釣人59の腰に装着した釣用ベルト1を釣人59の腰周りに相対的に移動し、(a)のように体の正面、(b)のように側面、(c)のように背面等、所望する位置に開口部を移動させることによって、体の向きに対する、可動アンカー5の移動範囲62を釣人が所望する位置に自由に設定することが可能である。そのため、引き船60のロープ61が釣人にからんだり巻きついたりするのを防止することができる。また、2つの吊下部材30,31も自由に移動可能である。そのため、釣用ベルト1の連結部分の移動に応じて吊下部材30,31も所望する位置、例えば、釣人の脇腹付近に移動させることによって、吊下部材30,31に吊り下げたものを取り扱いやすくすることができる。
また、網の柄を釣用ベルト1に差し入れて、網を釣用ベルト1に携帯するとき、可撓部材4の断面形状が円弧状であるため、網の柄を抵抗なく、釣用ベルト1に差し入れることができる。
したがって、本実施形態の釣用ベルト1を利用すれば、従来の釣用ベルトと比較して、釣竿に取り付けた仕掛け糸が釣用ベルトを構成する部材にからむ等のトラブルの発生を防止することができる。また、引き船やビク等が川下へ流れることに対応して、スライド部材が自動的に開口部での川下側へスムーズに移動し、身体に引き船やビク等のロープがからんだり巻きついたりするのを防止することができる。
さらに、従来の釣用ベルトと同様に、釣用ベルトを撓曲させることができ、釣人は、容易に釣用ベルトの着脱を可能とすることができる。また、腰に装着した釣用ベルトを釣人の身体に対して腰周りに移動し、体の正面、側面、背面等、釣人の所望する位置に開口部を移動させることができ、スライド部材の移動範囲を変更することができる。
また、上述した実施形態に代えて、別の構成にすることもできる。例えば、編板材を設けず、板状部材と編板材とを合成樹脂で一体成形してもよい。また、それらと幅保持手段である支持部材及び可撓部材を一体成形してもよい。板状部材は、合成樹脂製に限定せず、薄い金属薄板を用いてもよい。例えば、0.2mm程度の厚さの特殊鋼であって、板ばねのように反発力を有し、形状を維持することのできるものである。このような、金属薄板には、レール部を備えることもできる。例えば、合成樹脂でレール部を形成し、その側面の長手方向に溝を形成し、その溝を開口部の縁にはめ込むようにして取り付けることができる。
また、図6(a)(b)に示すような可動アンカーを用いてもよい。図6(a)の可動アンカー5aは、開口部3を貫通する貫通部16、ベルト本体2の表面側に位置し、円柱部22,23を有する挟持部17、取付手段としての環支持部18、及び環部19を備えている。そして、ベルト本体2の裏面側に位置する滑動部15aを備えている。滑動部15aは、貫通部16に形成された貫通孔に回動可能に備え、その両端には、接触部として機能し、回転体としての、球体部20a,21aを形成して備えている。また、別例として、図3及び図6(a)の可動アンカー5,5aにおいて、挟持部を、図3、または図6(a)の滑動部のように回転体を備える、つまり、球体または球体形状を有するものにしてもよい。
図6(b)の可動アンカー5bは、ベルト本体2の裏面側に位置する滑動部15b、開口部3を貫通する貫通部16b、ベルト本体2の表面側に位置する挟持部17b、及び取付手段としての環支持部18、及び環部19を備えている。滑動部15b及び挟持部17bには、中心に貫通孔を形成し、その貫通孔に貫通部16b及び環支持部18を貫装している。可動アンカー5bは、レール部を備えない釣用ベルトに用いてもよい。
シート36,37及び取付環34,35に換えて、吊下部材30,31の下方に延出する延出部を形成し、その延出部に小物入れを備えてもよい。また、可動アンカー5の移動を妨害しないような背当てを、ベルト本体の裏側に可動可能に備えてもよい。例えば、上述した吊下部材30,31と同形状のものを、ベルト本体2に複数取り付け、一定の間隔開いた状態で、それらをベルト本体長手方向に板状の棒材で連結した形状のものを、合成樹脂で一体成形して背当て本体を形成して、その背当て本体の裏面にスポンジ状シートを貼付けてできる背当てを備えてもよい。
また、釣用ベルトは、上述した実施形態に変えて、図9に示す構成にすることもできる。図9(a)は、釣用ベルトの一部を切取り、釣用ベルトの表側方向から視た場合の釣用ベルトを示している。図9(b)は、図9(a)の釣用ベルトのB−Bにおける断面図である。
図9(a)の釣用ベルトは、ベルト本体2と、開口部3と、幅保持手段として機能し、伸縮部としての凹部4aを有する可撓部材4と、移動部材としての可動アンカー5cとを備えている。したがって、ベルト本体2は撓曲可能なものであり、釣用ベルト1を平状にしたり、図1に示すように湾曲させたりすることが可能であることが示される。それゆえ、一般のベルトと同様に、釣人59は違和感を受けることなく腰に巻きつけて装着することができる。
ベルト本体2は、合成樹脂製の板状部材8と、それを取り付ける編板材9とからなっている。板状部材8は、ベルト本体2の長手方向に直線状に形成した開口部3を備えている。そして、図9(b)に示すように、板状部材8には、ベルト本体2の短手方向に形成した凸条部8aをベルト本体2の長手方向に等間隔に形成している。この凸条部8aを形成することにより、強い力が可動アンカー5cに加わったとき、板状部材8を変形させるのを防止することが可能となる。そして、板状部材8が変形しないため、可動アンカー5cの移動が妨げられたり、可動アンカー5cが開口部3から外れたりするトラブルの発生を防止することができる。また、別例として、この釣用ベルトにレール部10を備えてもよく、その場合には可動アンカー5を用いることもできる。可動アンカー5及びレール部10を備えることで、さらに板状部材8を補強して変形を防止することができる。