JP4904137B2 - ロケーション決定技法 - Google Patents

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Description

本発明は、ある環境においてターゲット・オブジェクトのプロパティ・セットを決定するための方法、装置、およびソフトウェア製品に関する。
ターゲット・オブジェクトの例には、人間、動物、車両、機器、ショッピング・カート、またはプロジェクト・フォルダが含まれる。ターゲット・デバイス・プロパティ・セットの一例にはロケーションが含まれる。本発明の一例ではあるが限定的でない応用例には、無線ローカル・エリア・ネットワーク(WLAN)またはセルラ・ネットワークなどの無線通信環境における、無線移動体端末のロケーション探索が含まれる。
Luis Perez−Breva等の米国特許第6393294号では、無線通信システムにおける移動体ユニットのロケーション探索のための代表的な従来技術の技法が開示される。リモート移動体ユニットのロケーションは、移動体ユニットによって取得された無線周波数スペクトルの事前に定義された部分のスナップショットと、様々なロケーションで取得された複数のスナップショットを含む参照データベースとを比較することによって、決定される。したがってこの技法は、多くの他の技法と同様に、移動体デバイスのロケーションでの信号パラメータの観察と、いくつかの既知のロケーションでの較正済みまたはシミュレート済みパラメータのデータベースとの比較に基づく。
従来の技法には、ターゲット・オブジェクトの動きをモデル化する際に問題がある。多くの従来の技法では、ターゲット・オブジェクトの動きをいくつかの状態ごとにモデル化する。起こり得る状態の数が増加すると、状態移行の数が急速に増加し、それによってメモリが消費され、計算負荷が高くなる。
米国特許第6393294号 WO2004/008795号 WO02/054813号 WO03/102622号 WO2004/008796号
本発明の目的は、前述の欠点を緩和するような方法およびこの方法を実施するための装置を提供することである。
本発明のこの目的は、独立請求項に示された内容によって特徴付けられる、方法、装置、およびソフトウェア製品によって達成される。本発明の好ましい諸実施形態は、従属請求項で開示される。
本発明は、位置決定環境において、ターゲット・オブジェクトに割り当てられたパーティクルの属性がターゲット・オブジェクトのプロパティを集合的にモデル化するように、そのそれぞれが属性セットに関連付けられた複数のパーティクルを利用して、ターゲット・オブジェクトのロケーションを周期的に決定する考え方に基づく。パーティクルは、自然選択にやや類似したプロセスで展開する。その属性がターゲット・オブジェクトのプロパティを高い信頼度でモデル化するパーティクルは、次の更新サイクルにおいて子孫パーティクルを有する確率が高く、またその逆も同様である。ロケーション推定アプリケーションでは、パーティクルがターゲット・オブジェクトのロケーションで行った観察を十分に説明している場合、関連する高い信頼度を有する可能性がある。パーティクルが観察を十分に説明している場合、自然界の遺伝子におよそ類似するその属性は、その後のサイクルまで存続する可能性が高い。
ロケーションおよび/または速度などの子孫パーティクルのプロパティは、それらの親パーティクルのプロパティから適切なアルゴリズムを使用して導出される。たとえばアルゴリズムは、親パーティクルから引き継いだプロパティをランダムに変更する場合がある。
本発明の態様は、ある環境においてターゲット・オブジェクトのプロパティ・セットを推定するための方法であり、このプロパティ・セットはロケーションを含む。この方法は、
−トポロジ・モデルおよびデータ・モデルによって環境をモデル化するステップであって、トポロジ・モデルは、環境内の許容されるロケーションおよび移行を示し、データ・モデルは、トポロジ・モデルによって示されたいくつかの許容されるロケーションのそれぞれについて少なくとも1つのロケーションに依存した物理量を示す、モデル化するステップと、
−1つまたは複数の動きモデルによってターゲット・オブジェクトのロケーション変更特徴をモデル化するステップであって、各動きモデルは、特定タイプのターゲット・オブジェクトをモデル化し、トポロジ・モデルによって示された許容されるロケーションおよび移行に従う、モデル化するステップと、
−それぞれが1つまたは複数のロケーションに依存した物理量を観察することが可能な、1つまたは複数の共同設置感知デバイスを、ターゲット・オブジェクトに関連付けるステップと、
−それぞれが属性セットを有するパーティクルのセットを、ターゲット・オブジェクトに割り当てるステップであって、属性セットはトポロジ・モデルに関して少なくとも1つのロケーションを有する、割り当てるステップと、
−ターゲット・オブジェクトに割り当てられたパーティクルの属性セットを使用して、ターゲット・オブジェクトのプロパティ・セットを推定するステップと、
−複数の更新サイクルにおいてパーティクル・セットを更新するステップであって、各更新サイクルは、
a)ターゲット・オブジェクトに関連付けられた少なくとも1つの感知デバイスからのデータ・モデルおよび観察を使用して、ターゲット・オブジェクトのプロパティ・セットを正確に推定するために、各パーティクルの信頼度を決定する段階と、
b)少なくとも決定された信頼度に基づいて、各パーティクルの重みを決定する段階と、
c)更新サイクルn+1に関する新しいパーティクル・セットを生成する段階であって、
−新しいパーティクルのうちの少なくともいくつかが、更新サイクルnに関する1つまたは複数の親パーティクルに基づき、
−更新サイクルnに関するパーティクルが更新サイクルn+1において新しいパーティクルに関する親パーティクルとして選択されることになる可能性が、パーティクルの重みの非減少関数であり、
−更新サイクルn+1に関する新しいパーティクルの属性セットが、1つまたは複数の動きモデルおよび所定のアルゴリズムのうちの少なくとも1つを使用して、更新サイクルnに関する1つまたは複数の親パーティクルの属性セットから導出される、
生成する段階と、
を含む、更新するステップと、
を含む。
本発明の他の態様は、前述の方法を実行するためのプロパティ推定装置と、データベース・プロセッサ内でコンピュータ・プログラム製品が実行される場合に前述の方法を実行させるコンピュータ・プログラム製品とを含む。
本発明の利点は、複数のパーティクルが、単一の動きモデルをターゲット・オブジェクトに当てはめようと試みるほとんどの従来技術の技法よりも適切に、予測しないターゲット・オブジェクトの動きに対処するという事実から少なくとも部分的に生じる、ある種の堅固さである。
本発明は、ターゲット・オブジェクトのロケーションを推定するための従来技術の技法が決定論的であり、こうした決定論的手法は、予期しないかまたは起こりそうにない状況において深刻な問題に遭遇する、という考え方に基づく。本発明の技法は、ロケーションなどのターゲット・オブジェクトのプロパティを集合的に推定する、複数のパーティクルの使用に基づいている。ターゲット・オブジェクトが起こりそうにない動きまたは回転をした場合、決定論的手法は混乱する傾向がある。しかしながら本発明に従ったパーティクルは、自然な展開とほとんど等価の様式で発展する。ターゲット・オブジェクトのプロパティを最良にモデル化するパーティクルは、次のサイクルで子孫パーティクルを有する確率が高い傾向にあり、これによって不適合なパーティクルは消滅する傾向にある。たとえまったくありそうにない状況であっても、ほとんどのパーティクルが壊滅した場合、次のサイクルまで存続するパーティクルの数はわずかである。
本発明の典型的な実施では、ターゲット・オブジェクトのプロパティ・セットには、ターゲット・オブジェクトのロケーションまたはターゲット・オブジェクトのロケーション関連プロパティが含まれる。ロケーション関連プロパティの例には、速度および加速度などの、ロケーションの時間導関数が含まれる。典型的な実施では、ターゲット・オブジェクトのロケーションまたはロケーション関連プロパティは、少なくとも一時的に決定される。ターゲット・オブジェクトのロケーションを一時的に決定するということは、たとえば、ターゲット・オブジェクトのロケーションが決定されるが、1つまたは複数の他のロケーション依存量を決定するための一時的な量として使用されるだけであり、その後、そのロケーションは外部エンティティから廃棄または隠蔽することが可能であることを意味する。本発明の以下の説明をよりわかりやすくするために、本発明は、少なくともターゲット・オブジェクトのロケーションを決定するために使用されることになるという仮定に基づいて説明される。しかしながら、任意の座標系におけるターゲット・オブジェクトのロケーションを明らかにするかまたは内部的に決定することさえもなしに、有用なロケーション依存サービスが提供可能であることに留意されたい。言い換えれば、ロケーションにはいかなるメトリクスも含む必要はなく、任意または一部のロケーションを、トポロジ・モデル内の任意のノード識別子などの抽象的な用語で、または「部屋番号123」などの何らかの命名規則によって、表すことができる。
本発明の前述の定義では、感知デバイスとは、環境内で1つまたは複数のロケーションに依存した物理量を観察することが可能なデバイスを意味する。適用可能な物理量の非完全リストには、
−信号強度、信号対雑音比、ビット誤りレート/率、タイミング前進などの、放射信号品質値。こうした信号品質値は、使用される場合、好ましくはいくつかの周波数帯、チャネル、セル、基地局などのそれぞれについて、別々に決定される
−気圧、温度、湿度などの、大気物理量
−好ましくはいくつかの周波数帯のそれぞれについて別々に決定される、雑音レベルなどの聴覚的量
−光の強度、色、スペクトルなどの、光学的量
−静止またはライブ・イメージにおいて認識された形状、あるいは認識されたサウンド
が含まれる。
ターゲット・オブジェクトとは、そのプロパティ・セットが決定されることになるエンティティのことである。本発明の典型的な実施形態では、ターゲット・オブジェクトまたはその物理プロパティを実施するために特定の行為は必要でない。ターゲット・オブジェクトは、人間、動物、装置、車両、ショッピング・カート、プロジェクト・フォルダ、などとすることができる。プロパティ・セットは、ロケーション、および/または、速度または加速度などのロケーション関連の物理プロパティを含むことができる。加えて、プロパティ・セットは、ロケーションまたはロケーション関連プロパティとは独立に決定することさえも可能であり、ロケーションまたはロケーション関連プロパティにマッピングすることが可能な、他のプロパティを含むことが可能である。これは、たとえば、ロケーションに依存した物理量の第1のセットが、ターゲット・オブジェクトのロケーションまたはロケーション関連プロパティを決定するために使用され、この量の第1のセットとは独立に決定された量の第2のセットが、ターゲット・オブジェクトのロケーションにマッピングされることを意味する。
本発明との関連において、「量」、「プロパティ」、および「属性」という用語は、以下のように使用されることが意図される。ロケーションに依存した物理量との関連におけるように、「量」とは、1つまたは複数の感知デバイスによって検出される物理値を言い表す。ターゲット・オブジェクトのプロパティ・セットとの関連において、「プロパティ」とは、決定されることになる実際の情報項目である値を言い表す。「属性」とは、ターゲット・オブジェクトのプロパティ・セットを推定するために使用される各パーティクルの値である。例示的であるが比限定的な例では、ターゲット・オブジェクトは、無線通信端末を携帯している医師とすることができる。この医師のロケーションおよび速度が、ターゲット・オブジェクトのプロパティの例である。信号強度またはビット誤り率などの信号値は、通信端末の無線周波数ユニットである、感知デバイスによって観察されるロケーションに依存した物理量の例である。ターゲット・オブジェクトのプロパティ・セットは、この例ではそのそれぞれが少なくともロケーション属性および速度属性を有する、パーティクルのセットによって推定される。
ターゲット・オブジェクトのロケーションの決定は、ターゲット・オブジェクトが1つまたは複数の感知デバイスに近接しているかまたはこれらと共同設置されているという想定に基づくものである。いくつかの実施では、ターゲット・オブジェクトおよび1つまたは複数の感知デバイスを単一の物理格納装置内に封入することができる。たとえば、位置決定されることになるターゲット・オブジェクトは通信端末とすることが可能であり、この場合、感知デバイスは、信号強度、信号対雑音比、ビット誤りレート/率、タイミング前進などの、ロケーションに依存した物理量を測定する回路とすることができる。
いくつかの実施では、位置決定されることになるターゲット・オブジェクトをいくつかの感知デバイスに関連付けることができる。たとえば、位置決定の正確さ、確実性、信頼性を向上させるために、病院患者または非常に高価な機器にいくつかの感知デバイスを備えることができる。
一実施では、動きモデルは、親パーティクルのロケーションおよび動き属性ならびに特定タイプのターゲット・オブジェクトの動き特徴が与えられた場合、子孫パーティクルに関するロケーションおよび動き属性の候補セットを生成するために使用される、関数、アルゴリズム、または他のタイプの関数データ構造である。世代間のパーティクルの移行は、好ましくは世代間の時間に依存する。
たとえ各ターゲット・オブジェクトが単一の感知デバイスに関連付けられている実施であっても、ターゲット・オブジェクトおよび感知デバイスを2つの別個の概念として扱うことが有利である。これは、本発明の多くの応用例において、本当に重要な情報はターゲット・オブジェクトのロケーションではなく、ターゲット・オブジェクトを携行している人物、動物、または車両のロケーションであるためである。別の方法として、無線通信端末などのターゲット・オブジェクトは、様々な人物または車両によって携行されるものとすることもできる。したがって、いくつかの異なるターゲット・オブジェクトの動きをモデル化するために、複数の異なる動きモデルを維持することが有利である。たとえば、病院環境では、健康な人間、車椅子の患者(または車椅子)、運搬ベッド、自転車、スクータなどに関する動きモデルが存在する可能性がある。適切に選択された動きモデルの特典の1つは、感知デバイスの観察が1つまたは複数のサイクルについて処理できない状況で見られる。たとえば、感知デバイスが一時的に有効な信号を測定できないか、または、サーバなどの位置推定装置が忙しすぎてすべての観察を処理できない場合がある。こうした状況では、パーティクルの動きは、観察が再度処理可能となり、新しいパーティクル・セットが生成可能となるまで、適用可能な動きモデルに基づいて欠落した観察とは無関係に続行される。したがって、動きモデルのパラメータは、ターゲット・オブジェクトに関連付けられた人物または車両のパラメータに依存する。
環境をモデル化するためのデータ・モデルは、環境内のいくつかのロケーションのうちのそれぞれについて、少なくとも1つのロケーションに依存した物理量を示すデータ構造または物理構造として実施することができる。一実施では、データ・モデルは、サンプル・ポイントのそれぞれについて、複数のサンプル・ポイントおよび少なくとも1つのロケーションに依存した物理量を含むか、またはこれらをそれ以外の方法で示すことができる。信号強度または信号対雑音比などの信号品質値は、好適なロケーションに依存した物理量の非制限的な例である。「それ以外の方法で示すことができる」という言い回しは、ロケーションに依存した物理量に関する実際の値を、この量がデータ・モデルによって格納された任意の値から導出可能な限り、データ・モデルが格納しなくてもよいことを意味する。
物理的な実施に関して、データ・モデルとは、マイクロプロセッサなどのデータ・プロセッサのメモリに格納されたデータ構造またはデータ構造セットとすることができる。単一のデータ・プロセッサが多数のターゲット・オブジェクトのプロパティを決定するものである場合、このデータ・プロセッサは高性能マイクロプロセッサまたはプロセッサ・アレイとすべきである。よりハードウェア指向の実施の場合、データ・モデルは、コンデンサの電荷が対応するサンプル・ポイントでの物理量の値に対応するように、ロケーションに依存した物理量のそれぞれ、およびサンプル・ポイントのそれぞれについて、低損失コンデンサなどの記憶要素を含むことができる。
次に、それぞれの異なるデバイス・モデルが、感知デバイスの観察を修正するための異なる修正パラメータを含むように、感知デバイスを複数のデバイス・モデルに関連付けることができる。一実施では、それぞれの異なるデバイス・モデルを異なる較正曲線とすることができる。本発明技法の実施形態は、それぞれが1つまたは複数の感知デバイスの観察を修正することが可能な複数のデバイス・モデルを維持するステップと、共同設置された感知デバイスのうちの少なくとも1つについて特定のデバイス・モデルを選択するステップと、選択されたデバイス・モデルを使用して共同設置された感知デバイスのうちの少なくとも1つの観察を修正するステップとを含む。
たとえターゲット・オブジェクト(またはこれに取り付けられた感知デバイス)が研究室条件でのほぼ完璧な測定を実行できる場合であっても、その見かけの測定機能は、近くのオブジェクトに対する配置および/または配向、ならびに/あるいは高さによって、影響を受ける場合がある。たとえば対象となるターゲット・オブジェクトは、感知デバイスを構成する識別タグを着用している病院患者とすることができる。患者が床に倒れこんでしまった場合、この感知デバイスの配向および高さが変化することになる。別の方法として、感知デバイスのアンテナが破損することでその感度に影響を与える可能性もある。こうした状況は、適切な実験に基づいて導出された修正を適用するデバイス・モデルを使用することにより、感知デバイスの観察が最適に説明されることを通知することによって、検出することができる。したがって、1つまたは複数のデバイス・モデルを、破損したアンテナ、床に横たわる患者、オブジェクトにさえぎられた感知デバイスなどの、特定の状況に関連付けることが可能である。いくつかの実施では、ターゲット・オブジェクトに取り付けられた感知デバイスに関するデバイス・モデルが適応的に選択され、この適応的な選択は、各パーティクルについて少なくとも1つの特定のデバイス・モデルを選択するステップ、およびそのパーティクルについて選択された各デバイス・モデルへの参照を含むようにパーティクルの属性セットを設定するステップと、パーティクルの信頼度を決定する前に、少なくとも1つの感知デバイスからの観察を修正するようにパーティクルによって参照される各デバイス・モデルを適用するステップと、を含む。
ターゲット・オブジェクトを最適にモデル化する動きモデル、または感知デバイスを最適にモデル化するデバイス・モデルに関する、先験的情報を有する必要はない。その代わりに、パーティクルのサブセットをいくつかの動きモデルおよび/またはデバイス・モデルのそれぞれに割り当てることが可能であり、最適な動きモデルおよびデバイス・モデルはあまり適合しないモデルよりも多くの子孫を有する傾向にあり、長期的に存続する傾向にある。一実施では、ターゲット・オブジェクトの動きモデルが適応的に選択され、この適応的な選択は、パーティクルの属性セットがそのパーティクルについて選択された動きモデルへの参照を含むように、各パーティクルについて特定の動きモデルを選択するステップを含み、1つまたは複数の親パーティクルの属性セットから新しいパーティクルの属性セットを導出するステップは、親パーティクルによって参照される動きモデルを使用するステップを含む。
パーティクルの展開、すなわち、サイクルnに関する親パーティクルに基づくサイクルn+1に関する新しいパーティクル・セットの世代では、単一の子孫パーティクルに対する親の数を1つまたは複数とすることができる。子孫パーティクルが単一の親パーティクルを有する場合、その子孫パーティクルは単一の親パーティクルの属性を引き継ぐが、属性は、引き継がれた属性にランダムな変化を加えることが可能なアルゴリズムによって、世代間で変換することが可能であり、典型的には変換される。たとえば、速度属性が65の値を有するパーティクルは、速度属性が55から75の範囲の子孫セットを有することができる。これに対して、異なる属性を有する2つのパーティクルはどちらも、この2つの親がどちらもそれらの子孫の属性に寄与するように、ある子孫パーティクル・セットに対する共通の親として選択することが可能である。たとえば、30および70の速度属性を有する2つのパーティクルは、どちらも子孫パーティクル・セットに対する共通の親として選択することができる。第1のパーティクル(速度=30)の重みが第2のパーティクル(速度=70)の重みの3倍である場合、子孫の速度にとっては速度40が良好な始点である。この始点は、ランダムまたは擬似ランダム変化などの所定の修正が行われる可能性がある。この例では、共通の子孫に対する親の数は2つであったが、親の数は任意の実用値とすることができる。
方法または装置の堅固さ、すなわち予測できない状況に対処する能力は、少なくともいくつかのサイクルのおいていかなる親パーティクルも持たないいくつかのパーティクルを生成することによって、さらに向上させることができる。極端なケースでは、データ・モデルが不適切に構築された場合、すべてまたはほぼすべてのパーティクルがかなり著しいローカル最大重みを有するロケーションにロックされ、その最大ロケーションの外部で生成されたパーティクルの子孫は消滅することになる。こうした状況を避けるために、こうしたロケーションの外部に親のないパーティクルを生成することが有利である。親のないパーティクルは、いくつかのサイクル中にターゲット・オブジェクトの真のロケーションに漸進的に近づいていく子孫パーティクルをそこから生成することが可能な、ランダムに選択されたロケーションで生成することが可能である。親のないパーティクルをランダムに選択されたロケーションで生成する代わりに、いくつかの先験的情報が存在するロケーションで生成することができる。こうした先験的情報は、たとえばデータ・モデルの特に関連する部分を決定することによって取得することができる。あるいはまたは加えて、こうした先験的情報は、ターゲット・オブジェクトの最新の既知ロケーションに基づくものとすることが可能であり、最新の既知ロケーションは、冗長手段によって取得することができる。たとえば、ターゲット・オブジェクトは、通常は信号品質観察によってロケーション探索されるものであり、ターゲット・オブジェクトのロケーションに関する不確実性は突然増加するものと想定される。しかしながら、明確なチェック・ポイントを通って進むことなどの何らかの行為に基づいて、ターゲット・オブジェクトの最近のロケーションが決定できる場合、「フレッシュな」、すなわち親のないパーティクルを、明確なチェック・ポイントの近くに生成することが有利である。
パーティクルの移動度を、ターゲット・オブジェクトの真のロケーションであるという妥当な可能性を備えたロケーションに制限することが有利である。そのための方法の1つが、前述の動きモデルを使用することであるが、これは動きモデルが、動きモデルによって指定されたターゲット・オブジェクトの能力を超えた速度などの属性を除外するためである。前述のように、ターゲット・オブジェクトのタイプは必ずしも確実にわかっているわけではなく、動きモデルが誤って選択されると、そのロケーションがターゲット・オブジェクトの正しいロケーションであるという可能性が非常に低いパーティクルを生成することになる可能性があるが、こうした誤って選択された動きモデルは急速に消滅する。
本発明のいくつかの実施には、移送の確率が動きモデルに依存するように、連続したロケーション推定間での移送に関して移送確率を計算するステップが含まれる。たとえば、病院内で適用される動きモデルは、走ることに一致した速度を厳密には排除しない場合があるが、この動きモデルは走る必要のある移送に関して低い確率を示す可能性がある。同様に、通常、車椅子は階段を移動しないが、車椅子を階段で運ぶことはあり得なくはない。したがって、車椅子に関する階段に沿った移行の確率は低いが、ゼロではない。
パーティクルの移動度を制限する他の方法は、位置決定環境のトポロジをモデル化するグラフまたは他のタイプのモデルを使用することである。参照文書1(WO2004/008795号)は、ターゲット・オブジェクトの通信環境のトポロジをモデル化するグラフを使用するロケーション決定技法を開示する。参照文書1は、ターゲット・オブジェクトの移動度を制限するためのトポロジ・モデルの使用を教示するが、本発明との関連では、このトポロジ・モデルを使用してパーティクルの移動度を制限することができる。一実施では、トポロジ・モデルは、許容されるロケーションおよび移行を示すためのノードおよびノード間の弧を有する。
本発明のいくつかの実施形態では、データ・モデルは、トポロジ・モデル内の許容されるロケーションでの少なくとも1つのロケーションに依存した物理量に関する確率分布を示す確率モデルであるか、または確率モデルを含み、ここでパーティクルに関する信頼度を決定するステップは、データ・モデルを使用することによって、パーティクルのロケーションでのロケーションに依存した物理量に関する確率分布を示すステップと、ターゲット・オブジェクトに関連付けられた少なくとも1つの感知デバイスからの量の観察の確率を決定するために、示された確率分布を使用するステップと、を含む。
一実施では、確率モデルは、いくつかのサンプル・ポイントでの少なくとも1つのロケーションに依存した物理量に関する確率分布を示し、ここで確率分布を示すステップは、パーティクルのロケーション近くの少なくとも2つのサンプル・ポイントを選択するステップと、選択されたサンプル・ポイントでの量に関する確率分布を組み合わせるステップとを含む。たとえば、確率分布を組み合わせるステップは、選択された各サンプル・ポイントに関する累積分布関数を形成するステップ、およびそれぞれの累積分布関数を相対重みによって重み付けするステップと、重み付けされた累積分布関数の組合せを形成するステップと、を含むことができる。
トポロジ・モデルが、許容されるロケーションおよび移行を示すためのノードおよびノード間の弧を含み、少なくとも2つのサンプル・ポイントで選択するステップが、弧をたどることによってパーティクルのロケーションから到達することができるサンプル・ポイントのうちの少なくとも2つを選択するステップを含むように、確率モデルおよびトポロジ・モデルを組み合わせることができる。
ターゲット・オブジェクトの真のプロパティ(ロケーションなど)を推定するための各パーティクルに関する信頼度(確率など)は、パーティクルのロケーションで観察された信号値の確率に基づいて決定することができる。たとえば確率は、参照文書4(WO02/054813号)に開示されたように決定することができる。本明細書で使用される場合、「信頼度」とは、従来の確率ならびにファジー論理などの適用される数学の他の分野で使用される対応する量を包含する用語である。一実施では、信頼度は、信号空間におけるユークリッド距離などの最近隣タイプの距離速度である。
サンプル・ポイントでの確率分布は、実際の測定値、コンピュータ・シミュレーション(たとえばレイ・トレーシング技法)、またはこうした技法の任意の組合せによって、決定することができる。ほとんどのパーティクルはデータ・モデルのサンプル・ポイントには位置しないが、任意のロケーションに関する確率分布は、補間または外挿によってサンプル・ポイントでの確率分布から導出することができる。参照文書2(WO03/102622号)は、ターゲット・オブジェクトのロケーションがサンプル・ポイントのロケーションと一致しない場合に、これらのロケーションでの信号値に関する確率分布を決定するために使用可能な技法を開示する。本発明との関連において、当該参照文書2で開示された技法を適用して、パーティクルのロケーションでの信号値に関する確率分布を決定することができる。補間または外挿された信号値分布を、将来参照するためにキャッシュに入れることができる。
パーティクルの属性の1つは、信号値の時系列推定とすることができる。一実施では、測定バイアスに関する情報を取得するために信号値の時系列推定が使用される。こうした測定バイアスは、感知デバイスおよびターゲット・オブジェクトの並置によって生じる可能性がある。たとえば、ターゲット・オブジェクトおよび/または何らかの関連機器が、感知デバイスによって観察された信号を減衰させる可能性がある。
各パーティクルの重みは、少なくとも部分的に、決定された信頼度に基づいて決定されることになる。概して、パーティクルの重みが大きくなるほど、そのパーティクルがその後のサイクルで子孫パーティクルを有する可能性は高くなるが、このステートメントは確率原理としてのみ真理である。子孫生成プロセスにおいて引き継がれるランダム性により、個々の低重みパーティクルが1つまたは複数の子孫パーティクルを有する一方で、高重みパーティクルは何も有さない可能性がある。
単純な実施では、パーティクルの重みは、ターゲット・オブジェクトのプロパティ・セットを正確に推定するためのそのパーティクルに関する信頼度に等しい。すなわち、パーティクルの重みは、信頼度の何らかの数学関数から導出することができる。たとえば、こうした関数を使用して、確率範囲(0から1)のいずれかの端で相対的にわずかな相違を強調することができる。他の実施では、重みは諸要素の組合せに基づくものとすることが可能であり、信頼度はたった1つの要素である。こうした他の要素の一例が、前のサイクルからの時間長さである。たとえば、パーティクルの重みWは、W=pt/βとして計算することが可能であり、この式でpは、ターゲット・オブジェクトのプロパティ・セットを正確に推定するためのパーティクルに関する確率(または他の種類の信頼度)であり、tは前の重みの更新からの時間であり、βはスケーリング定数である。
本発明のいくつかの実施形態では、感知デバイスの観察を修正するためにデバイス・モデルを使用する。この機能は、感知デバイスが正確な測定用に特別に設計されていない適用例で、特に有用である。たとえば、無線通信端末は受信信号強度インジケータ(RSSI)を備えるが、測定される信号強度はかなり不正確な可能性がある。したがって、各デバイス・モデルは、特定の感知デバイスの観察を修正するために適切な修正パラメータを備える。たとえば修正パラメータは、一定のスケーリング・パラメータおよび/または線形化パラメータを含むことができる。特定のターゲット・オブジェクトにいくつかの感知デバイスが提供されるか、またはこれらに関連付けられる場合、各感知デバイスの観察に別々のデバイス・モデルを適用することが有用である。
いくつかの状況では、最適なデバイス・モデルに関する先験的情報が利用可能である。たとえば、感知デバイスが較正可能である、デバイス・モデルが生成可能である、または、既存のデバイス・モデルのうちの1つを選択し、将来の参照のために感知デバイスに関連付けることが可能である。こうした先験的情報が利用可能でない場合、パーティクルの属性は、使用されているデバイス・モデルの識別子を含むことができる。「フレッシュな」パーティクル、すなわち親パーティクルの子孫でないパーティクルが、ターゲット・オブジェクトに割り当てられる場合、使用されることになるデバイス・モデルの識別子をランダムに割り当てることができる。フレッシュ・パーティクルを各デバイス・モデルにランダムに割り当てることは、好ましくは、デバイス・モデルに適合する既知または想定の割合のデバイスに基づく。言い換えれば、x%のデバイスがデバイス・モデルNに対応する場合、x%のフレッシュ・パーティクルがデバイス・モデルNに割り当てられるはずである。この場合、現在のデバイス・モデルの選択は、本発明によって提供される自然な展開プロセスにも従い、最適合デバイス・モデルの方が、あまり適合しないデバイス・モデルよりも多くの子孫を持つことになる。
たとえ最適なデバイス・モデルに関する先験的情報が利用可能な状況であっても、パーティクルの属性が、デバイス・モデルの識別子またはデバイス・モデルによって示される修正パラメータのいずれかを含む場合は、依然として有利な可能性がある。この技法によって、デバイス・モデルによって提供される修正が適応的となる。こうした適応性は、感知デバイスの正確な観察機能が変化する状況で有用である。たとえば、感知デバイスがRSSI検出器などの信号値測定回路である場合、測定回路によって実行される観察は、感知デバイスの高さ、配向、または配置、特に障害物に対する配置によって、影響を受ける可能性がある。感知デバイスが無線端末のRSSI検出器であると想定した場合、端末をハンドバッグから出して耳の高さにもって行くと、その見かけの感度はかなり上昇する可能性がある。この実施形態の適応的性質は、こうした変動を補償するのに役立つ。
本発明のいくつかの実施形態は、スケーラビリティの考慮すべき点に関する。一実施形態では、1つの特定のターゲット・オブジェクトまたはいくつかのターゲット・オブジェクトのそれぞれに割り当てられたパーティクルの数が動的に調整される。ターゲット・オブジェクトに割り当てられるかまたはこれに加えられるパーティクルの数を動的に変更する代わりに、計算サイクル(信頼度の決定、重みの決定、および新しいパーティクル・セットの生成)の持続期間を動的に変更することができる。
性能関連パラメータの動的変更に影響を与える可能性のある要素の1つが、位置決定装置の全体負荷である。ロケーション探索されることになるターゲット・オブジェクトの数が多い場合、位置決定装置はターゲット・オブジェクトあたりのパーティクルをより少なく割り当てる、ならびに/あるいは、単位時間あたりの計算サイクル数を減少させることができる。性能関連パラメータに影響を与える他の要素は、正確さおよび/または信頼要件、不確実性の程度、使用可能メモリ・リソース、ならびに、使用可能観察の数および/または品質を含むことができる。考慮可能な他の要素は、パーティクルの属性における変動性である。パーティクル・セット間でのパーティクルの属性値における変動性が高いということは、より多くのパーティクルが必要であることを示す。性能関連パラメータの動的変更に潜在的に影響を与える他の要素は、ターゲット・オブジェクトの数であり、位置決定システムで使用可能なパーティクルの合計数は、ターゲット・オブジェクト間で分けられる。また、異なるターゲット・オブジェクトがそれらのプロパティ推定に関する異なる品質要件を有することもできる。プロパティ推定に関する高品質要件を有するターゲット・オブジェクトには、低品質要件を有するターゲット・オブジェクトよりも多くのパーティクルが割り当てられなければならない。さらに、ターゲット・オブジェクトの動き履歴が、ターゲット・オブジェクトに割り当てられるパーティクルの数にも影響を与える可能性がある。動き履歴が安定した予測可能な動きを示す場合、ターゲット・オブジェクトに割り当てられるパーティクルの数は減らすことができる。
プロパティ推定装置の全体効率に関する他の技法には、以下の要素のうちの1つまたは複数に基づいて更新サイクル間の時間間隔を動的に調整するステップが含まれる。こうした要素の1つが、パーティクルの属性における変動性であり、パーティクル・セット間でのパーティクル属性値の変動が大きいということは、より頻繁な更新が必要なことを示す。他の要素は、共通のプロパティ推定装置によって処理されるターゲット・オブジェクトの数である。また、プロパティ推定に関する高品質要件を備えたターゲット・オブジェクトは、低品質要件を備えたターゲット・オブジェクトよりもより頻繁に更新しなければならない。また、異なるターゲット・オブジェクトが、緊急事態などの場合に動的に変更することも可能な、異なる優先順位を有することも可能である。たとえば、緊急患者のケースでは、非常に短い更新サイクルを使用することができる。また、単位時間あたりに感知デバイスから受信する観察セットの組合せレートおよび/またはターゲット・オブジェクトの動き履歴が、更新間隔に影響を与える場合もある。さらに、ターゲット・オブジェクトあたりの更新間隔は、プロパティ推定装置の負荷の上昇に伴って増加する場合がある。
不要な目的で行われる計算を避けるために、外部情報に基づいていくつかのパーティクルを消去することができる。本明細書で使用される場合、こうした外部情報とは、感知デバイスによって行われる観察以外の手段を通じて取得される情報のことを言い表す。こうした外部情報の一例が、独自に取得されるロケーション情報である。たとえば、感知デバイスまたはこれに関連付けられたターゲット・オブジェクトは、何らかのRFID(無線周波数識別)ゲート付近で検出可能であり、この場合、そのRFIDゲートから十分に遠い任意のパーティクルは消去可能である。あるいは、ターゲット・オブジェクトを、全地球測位システム(GPS)の位置決定デバイスおよびRSSI検出器などのいくつかの独立した感知デバイスに物理的に結合することができるが、GPS情報は屋外でのみ入手可能である。GPS情報が入手可能な場合、これはRSSI検出器を介して取得されたロケーション情報を上書きすることが可能であり、GPSベースのロケーションから十分に遠い任意のパーティクルを消去することができる。不要な目的で行われる計算を避けるための他の技法には、何らかの関連基準に基づいて、データ・モデルのサンプル・ポイントのサブセットを選択するステップが含まれる。こうした選択されたサンプル・ポイントが、関連サンプル・ポイントと呼ばれる。これらを決定および使用するための技法について、さらに詳しく説明する。
いくつかの実施形態は、履歴の考慮すべき点に関する。前述のように、ターゲット・オブジェクトのプロパティは、パーティクルのセットを使用して、各パーティクルが属性の関連セットを有するように推定または概算される。たとえば、各パーティクルはロケーション属性および速度属性を有することが可能であり、ターゲット・オブジェクトに割り当てられたパーティクルのすべてまたは一部のロケーションおよび速度属性が、ターゲット・オブジェクトのロケーションおよび速度プロパティをそれぞれ、まとめて概算する。いくつかの実施形態で、この集合的概算プロセスが改良される。
一実施形態では、パーティクルの系統ツリーを使用してパーティクル属性の修正履歴が分析される。この技法は、ルート検索アプリケーションで使用可能であり、これを使用してターゲット・オブジェクトがたどるルートを分析することができる。
一実施形態では、ターゲット・オブジェクトのプロパティ・セットを概算するために使用されるパーティクルのセットが、最新の世代におけるパーティクルのみを含む。ターゲット・オブジェクトのプロパティ(ロケーションおよび/または速度など)の推定は、ターゲット・オブジェクトのプロパティの概算に使用されるパーティクルの属性の重み付け平均として計算することができる。重み付け平均の計算は、パーティクルが続く世代に関して親パーティクルとして選択される可能性を決定する同じ重みを使用するか、または、異なる重さを使用することができる。いずれの場合も、重みは、ターゲット・オブジェクトのプロパティ・セットを推定するパーティクルの信頼度との正相関を有するはずである。
他の実施形態では、ターゲット・オブジェクトのプロパティ・セットを概算するのに使用されるパーティクル・セットは、いくつかの世代におけるパーティクルを含む。たとえば、ターゲット・オブジェクトのプロパティ・セットは、最新の世代およびいくつかの以前の世代に基づいて決定することができる。重み付け平均の計算における各パーティクルの重みは、パーティクルの子孫の組み合わされた重みに等しい可能性がある。一実施では、一世代における各パーティクルの重みが、最も新しい世代におけるパーティクルの子孫の重み合計に基づいて再計算される。この実施形態は、何らかの測定/更新サイクルのコストで、位置決定の正確さを向上させることができる。
いくつかの世代のパーティクルを使用するための例示的実施形態には、更新サイクルkに対して重み付けされたパーティクルのスナップショットを生成するステップであって、スナップショットは更新サイクルkに対する一部またはすべてのパーティクルを含む、生成するステップと、以下の再帰的規則によって定義された重みを各パーティクルに割り当てるステップとが含まれる。kが最新の更新サイクルの場合、パーティクルの重みは請求項1のステップbで決定された重みに基づく。これに対して、kが最新の更新サイクルでない場合、パーティクルの重みは更新サイクルk+1に対して生成されたスナップショットに存在するパーティクルのすべての直接の子孫の重み合計に基づく。スナップショットは、更新サイクルkでターゲット・オブジェクトのプロパティ・セットを推定するために使用される。
一実施では、この方法は、更新サイクルkに対して重み付けされたパーティクルのスナップショットを1つまたは複数のクラスタに分割するステップであって、各クラスタは1つまたは複数の所定の類似基準に従って互いに類似するパーティクルを含む、分割するステップと、少なくとも1つのクラスタを選択するステップ、選択されたクラスタ内のパーティクルおよび重みを使用することによって、選択された各クラスタに対する更新サイクルkでのターゲット・オブジェクトのプロパティ・セットを推定するステップ、およびクラスタ内にないパーティクルおよび重みを除外するステップと、をさらに含む。たとえば、少なくとも1つの類似基準は、パーティクルのロケーションに基づくものとすることが可能であり、これによって各クラスタは互いに近いパーティクルを含む。クラスタ化は、前述の系統ツリーに基づくものとすることができる。
一実施形態では、クラスタ化は、複数の所定のゾーンを維持することによって、トポロジ・モデルとの組合せで使用され、各ゾーンはトポロジ・モデルの1つまたは複数の許容されるロケーションを含み、少なくとも1つの類似基準は複数のゾーンに基づき、ロケーションが同じゾーンに属するパーティクルは同じクラスタに属する。本明細書で使用される場合、ゾーンとは、トポロジ・モデルの1つまたは複数の許容されるロケーションを意味する用語である。各ゾーンは、座標系または抽象命名規則によって定義可能な1つまたは複数の離散ロケーションを含むことができる。すなわち、ゾーンはトポロジ・グラフ、座標レンジなどの許容部分とすることができる。
クラスタ化プロセスは、信頼値を提供するために使用することができる。たとえば、信頼値は、クラスタを使用して生成された推定に関連付けることが可能であり、ここで信頼値は、クラスタ内のパーティクルの重み合計をスナップショット内のパーティクルの重み合計で割った値に基づく。
一実施形態では、ターゲット・オブジェクトのプロパティ・セットを概算するために使用されるパーティクル・セットを使用して、2つまたはそれ以上のターゲット・オブジェクトのロケーションの確率分布を生成することが可能であり、このロケーションの確率分布を使用して、2つまたはそれ以上のターゲット・オブジェクトの相対近接を推定することができる。
クラスタ化技法の一実施には、各クラスタ内の属性値およびパーティクルの重みを使用することによって、パーティクルの属性値の推定を計算するステップが含まれる。こうした推定の信頼測度は、クラスタ内のパーティクルの組み合わされた重みを、すべてのパーティクルの組み合わされた重みで割ることによって、決定することができる。クラスタ化技法の他の実施には、推定の有用性測度を決定するステップが含まれる。たとえば、こうした有用性測度は、属性値の変動性および/または推定のロケーションから所定の距離限界内にあるパーティクルの割合に基づいて決定することができる。他の実施には、パーティクルのp%を包含する、円、楕円、または多角形などの領域を決定するステップが含まれる。したがって、有用性測度は、信頼測度とはまったく異なる概念を有する。たとえば、ターゲット・オブジェクトのロケーションを包含する領域は、その領域が位置決定環境全体の重要な部分をカバーするだけの十分な広さである場合、信頼値は高いが有用性値は低い可能性がある。
各クラスタ内の属性値およびパーティクルの重みを使用してパーティクルの属性値の推定を計算するための他の技法には、パーティクルの属性値の重み付け平均を計算するステップが含まれる。他の実施は、1つまたは複数のロケーション領域または値範囲のそれぞれについて、確率を決定するステップを含むことができる。他の実施は、パーティクルのp%を包含する最も小さい円、楕円、または多角形を決定するステップを含むことができる。さらに他の実施は、1...N番目までの高密度領域、すなわちパーティクルのp%を集合的に包含するロケーション領域または値範囲を、決定するステップを含むことができる。他の実施は、ターゲット・オブジェクトを最も良く表す1...M番目までのパーティクルを決定するステップを含むことができる。
次に、添付の図面を参照しながら、特定の実施形態を使用して本発明についてより詳細に説明する。
図1は、本発明の動作原理を示す図である。図の説明は、ターゲット・オブジェクトのプロパティ・セットがターゲット・オブジェクトのロケーションであるかまたはこれを含むという想定に基づいている。参照番号101は、ターゲット・オブジェクトのパスを示す。パス101には等間隔に区切られたメモリが提供されている。図1の説明では、パスは、ターゲット・オブジェクトがそれに沿って前方または後方(図1では左または右)にのみ移動可能なトラックに類似すると想定される。
図1は、ターゲット・オブジェクトに対して4つの連続するロケーション推定サイクルを実行するプロセスを示す。各推定は、特定の時間インスタンスで実行される。時間は下から上へと進行する。参照番号111〜116は第1のロケーション推定に関し、参照番号121〜126は第2の推定に関する、という具合である。参照番号111は、パス101に沿ったターゲット・オブジェクトのロケーションを示す。必然的に、ターゲット・オブジェクトのロケーション111はロケーション推定ルーティンに知られておらず、例示の目的でのみ示されている。参照番号112はターゲット・オブジェクトに割り当てられたパーティクル・セットを示し、以下でより詳細に説明するように、これを使用してターゲット・オブジェクトのロケーションが推定されることになる。図1に示された例では、パーティクルの数は非常に少ない(正確には15)が、これは単に図をわかりやすくするためである。実際には、各ターゲット・オブジェクトに割り当てられるパーティクルの数はもっと多く、好ましくは必要な正確さ、信頼度、および堅固さに関する考慮すべき点に応じて、何百または何千の範囲となる。各ターゲット・オブジェクトに割り当てられるパーティクルの数については、小見出し「性能に関する考慮すべき点」でさらに説明する。
この例では、パーティクル112のそれぞれが関連付けられたロケーションおよび速度を有する。パス101がトラックとして扱われる場合、速度は(正または負の値を備えた)スカラー数とすることが可能であるが、多次元の実施では速度はベクトルとして扱われる場合がある。
参照番号111〜116は、第1のロケーション推定サイクルに関する。図1に示された例では、第1のロケーション推定サイクルでは、パーティクル112は初期にパス101に沿って等間隔に配置され、それぞれが速度ゼロを有すると想定することができる。これらの値は非制限的な例として与えられ、初期値は重要でないことがわかる。
参照番号113は、ターゲット・オブジェクトの真のロケーション111を推定するための各パーティクル112に関する確率を示す、確率曲線を示す。実際のところ、ロケーション推定技法に必要なのは、ターゲット・オブジェクトの真のロケーション111を推定するための各パーティクル112の別個の確率であり、確率曲線113は単に読者にとって便利なように示されている。確率113を決定するための例示的な技法は、図4に関連して、参照文書2で開示される。
参照番号114は、パーティクル112のそれぞれの重みを決定するステップを示す。重み付けされたパーティクルのセットは、参照番号115によって示される。ターゲット・オブジェクトの真のロケーション111を推定するためのパーティクル112のそれぞれに関する確率113は、ステップ114で重みを決定する際の主要な要素であり、単純な実施では、確率113は重みを決定する際の唯一の要素とすることができる。いくつかの実施では、重みは、パーティクルの過去の履歴または将来などの他の要素によっても影響を受ける場合がある。通常、パーティクルの将来は、実時間のロケーション推定ではわからないが、ターゲット・オブジェクトがたどるパスの分析時に知ることができる。重みは、前の更新サイクルからの時間の長さによって影響を受ける可能性もある。
参照番号116は、サイクル1のパーティクル112の子孫として、サイクル2のパーティクル122の新しいセットを生成するステップを示す。ステップ116では、サイクル1におけるパーティクルのサイクル2における子孫の予測数は、パーティクルの重みの非減少関数である。これは、サイクル2に対するパーティクル122の新しいセットが、サイクル1に対するパーティクル112のセットから導出されることを意味するが、サイクル1に対するパーティクル112のそれぞれが、サイクル2に対するパーティクル122のセットに子孫を持つことは意味しない。その代わりに、各パーティクルの子孫は、高重みのパーティクルの方が、低重みのパーティクルよりも、次のサイクルにおいて子孫の親として選択される可能性が高いように決定される。しかし、確率技法に関連して良く知られるように、低確率のイベントは時々発生するが、高確率のイベントは発生せず、さらに本発明では、低重みのパーティクルは1つまたは複数の子孫を有する可能性があるが、高重みのパーティクルは何も有さない可能性がある。
パーティクル115の子孫122は、たとえ重みを無視した後でも、それらの親と同一のコピーではない。その代わりに、ロケーションおよび/または速度などの各子孫パーティクルの属性は、例示的な実施ではランダムまたは擬似ランダム変動によって子孫の属性をそれらの親から導出する所定のアルゴリズムを使用することによって、親パーティクルのそれぞれの属性とは異なるように作られる。たとえば、各子孫パーティクルのロケーションは、その親のロケーションに更新サイクル間の動き(親パーティクルの速度に各更新サイクルの時間長さを掛ける)を加えたものとすることができる。子孫パーティクルの速度は、好適に重み付けされたランダム変動をその親の速度に追加することによって形成することができる。たとえば、子孫パーティクルの速度は、親の速度のxパーセントに擬似ランダム変動の100−xパーセントを加えたものとして計算することができる。
子孫パーティクルの速度の計算において(擬似)ランダム変数を使用することの利点は、子孫パーティクルのセットが、展開および自然選択に類似したプロセスによってターゲット・オブジェクトの動きを追う傾向があることである。ロケーションおよび速度がターゲット・オブジェクトのそれと一致するパーティクルは高重みを有することになり、したがって子孫の予測数も多くなる。これは、観察される信号値が高い確率を有するロケーションに、パーティクルが集中する傾向があるためである。これとは逆に、ロケーションおよび/または速度がターゲット・オブジェクトのそれとは異なるパーティクルは低重みを有することになり、最終的には消滅する。
図1に示された例では、各更新サイクルが重み決定ステップおよび子孫作成ステップを含む。たとえば、第1の更新サイクルは重み決定ステップ114および子孫作成ステップ116を含む。第2および第3の更新サイクルは、それぞれ、重み決定ステップ124、134および子孫作成ステップ126、136を含むという具合である。各重み決定ステップ114、124、134、144の後、パーティクルは、各円のサイズがパーティクルの重みに対応するような、サイズの異なる円として示される。
図1は、分離された高確率のピークがターゲット・オブジェクトのロケーションから十分に遠い場合、こうしたピークによって説明された技法が混乱することはないという事実も、概略的に示している。図1において、参照番号119は相対的に高い確率の領域を示す。高確率領域119の効果は、第2の更新サイクルにおいて、パーティクル・セット124で左端の2つのパーティクルが生成されることである。しかしながら、これらのパーティクルは、第3のサイクルでは子孫を有さず、他の分離された高確率領域139は、分離された高確率領域139の近くに潜在的な親パーティクルが存在しないため、第4の更新サイクルにおいていかなる子孫も生成させない。
前述の方法は、適切なロケーション推定ソフトウェアおよび環境のデータ・モデルが提供されると想定した場合、ターゲット・オブジェクトそれ自体で実行することが可能である。別の方法として、ターゲット・オブジェクトまたはこれに結合された感知デバイスは、その観察結果をロケーション推定装置に送信することが可能であり、この装置が、ターゲット・オブジェクトのロケーションで実行された観察に基づいてターゲット・オブジェクトに関するロケーション推定を決定する。
図2は、ターゲット・オブジェクトのロケーションおよび速度を追跡するための子孫パーティクルの作成の一例を示す図である。図2は、図をさらに見やすくするために、単一のパーティクルの子孫のみを示しているという点で、図1の単純化バージョンである。参照番号2xx、すなわち「2」で始まる番号で示された項目は、図1において参照番号1xxで示された項目とかなり類似している。参照番号211、221などは、図2に示された第1、第2などの更新サイクルにおけるターゲット・オブジェクトのロケーションを示す。参照番号217、227などは、連続した更新サイクルにおける対応するターゲット・オブジェクトの速度を示す。
図2に示された第1の更新サイクルでは、ターゲット・オブジェクトはロケーション211および速度217を有する。前の更新サイクル(図示せず)の結果として、代表パーティクル215がおよそ+3の速度(図2の右側に)を有するものと想定できる。続く子孫作成ステップ216で、パーティクル215は5つの子孫を有し、これらはまとめて参照番号222で示され、速度1、2、3、4、および5を有する。速度n(n=1、...、5)の各子孫は、その親の右へと単位距離nだけオフセットされる。各子孫の右側の番号1〜5は、最も近い子孫の速度を示す。
パーティクル215の速度は速度3を有し、これは子孫222の平均ロケーションがロケーション211とは3単位だけ異なるためである。しかしながら、ターゲット・オブジェクトの実際の速度217は、更新サイクルあたりおよそ4単位距離であり、ターゲット・オブジェクトのロケーション221は、ロケーション211からおよそ4単位距離だけオフセットされる。したがって、速度4の子孫パーティクル222(左から4番目)が、重み決定ステップ224で最高の重みを有する。重み付けされたパーティクルは、まとめて参照番号225で示される。
続く子孫作成ステップ226では、速度4のパーティクルは3つの子孫(速度3、4、および5)を有し、速度3および5のパーティクルはそれぞれ1つの子孫を有し、速度1および2のパーティクルは子孫を有さずに消滅する。
次の更新サイクルでは、矢印237が示すように、ターゲット・オブジェクトの速度は+5まで増加する。したがって、図2に示された最後の重み決定ステップ244では、速度5のパーティクル242のうちの1つが最高の重みを有するという具合である。図2から、たとえターゲット・オブジェクトの速度が変化する場合であっても、パーティクルのセットはターゲット・オブジェクトの動きを非常に良く追跡することがわかる。
ここまでのところ、本発明の諸実施形態の説明は1次元に限定されてきた。ターゲット・オブジェクトの動きを2次元でモデル化するための方法の1つは、xおよびy(およびオプションでz)方向の動き構成要素のそれぞれを、図1および2に関連して説明してきたように、1次元として処理することである。代替の実施形態では、ターゲット・オブジェクトの速度は、方向およびスカラーの大きさを備えるベクトルとしてモデル化される。第3の代替形態についてはトポロジ・モデルに関連して説明するが、これは図5Aから5Dに関連して説明する。真の3次元座標系を使用する代わりに、多くの3次元構造を床または層などの複数の2次元構造として扱うことができる。
図3Aは、本発明およびその諸実施形態の様々な要素間の関係を示す図である。環境EN内に1つまたは複数のターゲット・オブジェクトTOがある。ターゲット・オブジェクトのロケーションまたはロケーションに依存したプロパティの決定は、ターゲット・オブジェクトが1つまたは複数の感知デバイスSDに最も近いかまたはそれらと共同設置されている、という想定に基づくものである。いくつかの実施では、ターゲット・オブジェクトおよび1つまたは複数の感知デバイスを単一の物理エンクロージャ内に封入することができる。たとえば、ターゲット・オブジェクトは通信端末とすることが可能であり、この場合、感知デバイスは、信号強度、信号対雑音比、ビット誤りレート/率、タイミング前進などの、ロケーションに依存した物理量を測定する回路とすることができる。
たとえ各ターゲット・オブジェクトが単一の感知デバイスに関連付けられた実施においても、ターゲット・オブジェクトおよび感知デバイスを2つの別個の概念として扱うことが有利である。これは、本発明の多くの適用例において、本当に重要な情報は感知デバイスのロケーションではなく、それを携行している人物、動物、または車両のロケーションであるからである。無線通信端末などの感知デバイスは、様々な人物または車両によって様々な時点で携行される可能性がある。したがって、いくつかの異なるターゲット・オブジェクトの動きをモデル化するために、複数の異なる動きモデルを維持することが有利である。たとえば、病院環境では、健康な人間、車椅子の患者(または車椅子)、運搬ベッド、自転車、スクータなどに関する動きモデルが存在する可能性がある。適切に選択された動きモデルの特典の1つは、感知デバイスの観察が1つまたは複数のサイクルについて処理できない状況で見られる。たとえば、感知デバイスが一時的に有効な信号を測定できないか、または、サーバなどの位置推定装置が忙しすぎてすべての観察を処理できない場合がある。こうした状況では、パーティクルの動きは、観察が再度処理可能となり、新しいパーティクル・セットが生成可能となるまで、適用可能な動きモデルに基づいて欠落した観察とは無関係に続行される。したがって、動きモデルのパラメータは、問題の人物または車両のパラメータに依存する。
各ターゲット・オブジェクトTOは関連する空間プロパティSPのセットを有する。空間プロパティはターゲット・オブジェクトのロケーションに依存する。本発明の単純な実施では、ターゲット・オブジェクトのロケーション以外に追加の空間プロパティはない。他の実施では、関連する空間プロパティのセットにロケーションに依存したサービスが含まれる。たとえば、ターゲット・オブジェクトは無線端末を携行している人物とすることが可能であり、ロケーションに依存したサービスは、室内照明などの何らかの電気機器の制御とすることができる。位置決定システムは、ターゲット・オブジェクトを含んでいない部屋の室内照明のスイッチを自動的に切ることができる。このシナリオでは、室内照明のオン/オフ状況が空間プロパティの一例である。
ターゲット・オブジェクトのプロパティの推定されたセットが、環境内の少なくとも1つの空間プロパティを含む状況では、データ・モデルが環境内の各ロケーションに関する空間プロパティを示すことができる。ターゲット・オブジェクトのプロパティ・セットを推定するステップは、パーティクルのロケーションでの空間プロパティを示すためにデータ・モデルを使用して、各パーティクルについて空間プロパティのパーティクル特有の推定を生成するステップと、パーティクルの重みを使用してパーティクル特有の推定を結合するステップとを含むことができる。
各ターゲット・オブジェクトTOは、1つまたは複数の共同設置された感知デバイスSDも有する。各感知デバイスは、少なくとも1つのロケーションに依存した物理量PQを観察する。データ・モデルDAMは、1つまたは複数の物理量がロケーションに依存してどのように変化するかを示すことによって、環境ENをモデル化する。
環境ENは、環境内で可能なロケーションおよび移行を示す移行情報を含むトポロジ・モデルTMによっても、モデル化される。ロケーションは、関連する測定システムまたはメトリクスMTを有するかまたは有さない場合のある、トポロジ・モデルTMに対して示される。たとえば測定システムは、直交座標または極座標などの、何らかの種類の座標系とすることができる。しかしながら、メトリクスMTは必須の要素でなく、トポロジ・モデルTMは、「部屋番号123」などの何らかの命名規則によって、または様々なロケーションに関する全体的な抽象名を参照することによって、ロケーションを示すことができる。
本発明に従った方法は、パーティクルPの1つまたは複数の世代PGを各ターゲット・オブジェクトTOに割り当てるステップを含む。各パーティクルPは関連付けられた属性セットを有し、これが、パーティクルのロケーションの推定である少なくとも1つのロケーション属性LPを含む。属性セットは、速度、加速度などのターゲット・オブジェクトの動きプロパティMPを集合的に推定する、ゼロまたはそれ以上の動き属性も含むことができる。
本発明のいくつかの実施では、パーティクルのロケーションはターゲット・オブジェクトのロケーションを直接モデル化するが、より複雑な実施では、ターゲット・オブジェクトの空間および動きプロパティを、より複雑な関数または技法によってパーティクルの属性セットから導出することができる。
ターゲット・オブジェクトの動きは、動きモデルMMによってモデル化することができる。動きモデルMMはトポロジ・モデルTMを使用し、パーティクルのロケーションおよび動き属性の展開に影響を与える。同様に、感知デバイスの観察機能は、デバイス・モデルDMによってモデル化および修正することができる。ターゲット・オブジェクトTOおよび感知デバイスSDにそれぞれ割り当てられる動きモデルMMおよび/またはデバイス・モデルDMのパラメータは、固定されたままとするか、またはパーティクルの属性セットの一部とすることが可能であり、この場合、パラメータは本発明に従った更新サイクルも受ける。
図3Bは、図3Aに示されたエンティティを実世界シナリオのエンティティにマッピングする非制限的な例を示す図である。人物302は、フロア・プラン304を有するオフィス内を移動する。この人物は、無線ネットワークRN内の移動体端末MTと通信する。移動体端末MTは、無線ネットワークRN内の1つまたは複数のロケーションに依存する信号品質パラメータを観察し、その信号品質観察結果を、基地局BSおよびゲートウェイ要素GWを介して、本発明に従ったプロパティ推定装置の一例であるロケーション推定装置LEAに送信する。ロケーション推定装置は、ターゲット・オブジェクトおよびそれらの関連付けられた感知デバイスを識別するデータ構造を維持する。さらにこの装置は様々なモデルを維持し、パーティクル生成の属性も更新する。ロケーション推定装置LEAは、ロケーション探索されるターゲット・オブジェクトの数、必要な精度、信頼度、および応答時間などの、スケーラビリティおよび性能の考慮すべき点に依存して、サーバまたはサーバのクラスタなどのスタンドアロン型装置として実施することができる。別の方法として、ポータブルまたはパームトップ・コンピュータなどの各ターゲット・オブジェクトが、内部ロケーション推定ソフトウェアを装備することもできる。
このシナリオでは、無線ネットワークRNおよびフロア・プラン304が環境ENの諸態様を構築する。無線ネットワークRNにおける信号品質パラメータが、ロケーションに依存した物理量PQの例である。たとえば、信号品質パラメータは、信号強度、ビット誤りレート/率、信号対雑音比、またはこうしたパラメータの任意の組合せとすることができる。移動体端末内の測定回路は、感知デバイスSDの一例である。データ・モデルDAMは、無線ネットワークRN内の信号品質パラメータのロケーション依存性をモデル化する。トポロジ・モデルTMはフロア・プラン304をモデル化する。適用例に応じて、ターゲット・オブジェクトTOは移動体端末MTまたはこれを携行する人物302に対応することができる。
本発明のいくつかの実施形態では、動きモデルMMを使用して、移動体端末を携行している人物302などのターゲット・オブジェクトの動きがモデル化される。各動きモデルは、特定タイプのターゲット・オブジェクトの移動度をモデル化する。たとえば病院環境では、健康な人間、車椅子の患者(または車椅子)、運搬ベッド、自転車、スクータなどに関する動きモデルが存在する可能性がある。この動きモデルは、平均/最高スピード、平均/最高加速度(スピードまたは速度を変更する能力)、階段、エスカレータ、またはエレベータで移動する能力、などのパラメータのうちの、1つまたは複数を指定することができる。ロケーション推定装置は、ロケーションを探索する新しいターゲット・オブジェクトを検出した場合、どの動きモデルがターゲット・オブジェクトを最適に説明するかがわからない可能性がある。その代わりにロケーション推定装置は、最初に、ターゲット・オブジェクトのパーティクルの一部を各適用可能な動きモデルに割り当てることができる。たとえば、こうした初期の割り当てを、適用可能な動きモデルの既知の代表数に従って分布することができる。ロケーション推定装置が階段を移動しているターゲット・オブジェクトを検出した場合、車輪付デバイスに関するほとんどの動きモデルが適用不可能であると判断し、残りの動きモデル間にパーティクルを分布することができる。動きモデルの変動が大きい場合は、信頼できないロケーション推定を示す。動きモデルについては、図6および7に関連してさらに説明する。
ターゲット・オブジェクトからの観察セットは、いくつかのデバイス・モデルDMのうちの1つを介して処理することができる。各デバイス・モデルには、感知デバイスSDによって実行された観察を修正するための1つまたは複数の修正パラメータが含まれる。変化する条件に対する適応性は、パーティクルの属性セットがデバイス・モデルの識別子または実際の修正パラメータを含む場合に向上する。このように、適用されるデバイス・モデルには、本発明に従った展開プロセスも施される。その後のサイクルへと最も良く存続するパーティクルを使用して、所与のターゲット・オブジェクトに関連してどのデバイス・モデルを使用すべきであるかを習得することが可能である。デバイス・モデルの作成および使用に関する他の技法は、参照文書3(WO2004/008796号)で開示される。
一実施形態では、データ・モデルDAMを無線ネットワークRNの確率モデルとして実施することができる。確率モデルは、無線ネットワークRNのいくつかの既知のロケーションでの、1つまたは複数の信号パラメータ値の確率分布を含む。こうした既知のロケーションはサンプル・ポイントと呼ばれる。サンプル・ポイントは、1つまたは複数の測定可能でありロケーションに依存した信号パラメータ値に関する確率分布が決定されている、確率モデルのポイントである。たとえば、サンプル・ポイントでの信号パラメータ値は、物理的較正(実際の測定値)、レイ・トレーシングなどのコンピュータ・シミュレーション技法、またはこうした技法の任意の組合せによって、決定することができる。各観察セットは、同じかまたは関係する信号パラメータの測定値を含む。本明細書で使用される場合、「関係する」信号パラメータとは、互いに相手から導出可能な信号パラメータを意味する。たとえば信号対雑音比は、信号強度および雑音測定値から導出可能である。
図4は、環境の確率モデルに基づいてパーティクルの確率を決定するための技法を示す図である。図4では、2つのサンプル・ポイントAおよびBが、それぞれ参照番号401および402で示されている。参照番号411および412は、それぞれ2つのサンプル・ポイントAおよびBの確率分布を示す。しかしながら、ほとんどの位置決定環境では、サンプル・ポイント間の典型的な距離は非実際的に長く、位置決定技法の解決はサンプル・ポイント間の補間によって機能強化しなければならない。図4で、参照番号403は2つのサンプル・ポイントAおよびBの間のロケーションXを示す。直感的に言えば、ロケーションXの確率分布は、サンプル・ポイントAおよびBの確率分布411、412の間の補間によって得られると考えるであろう。しかし、この2つの確率分布411および412を直接合計または平均すると、結果として、2つのサンプル・ポイントAおよびBのそれぞれで別々のピークを有する曲線が生じることになる。ロケーションXの確率分布はロケーションXにピークを有するはずなのは明らかであるため、こうした結果はどう見ても誤りである。
参照文書2(本願の譲受人に譲渡された特許出願WO03/102622号)は、2つまたはそれ以上のサンプル・ポイント間での確率分布を補間するための技法を開示する。参照文書2では、確率分布の組合せではなく、2つまたはそれ以上のサンプル・ポイントの累積分布の組合せに基づく、補間技法を説明する。累積分布および確率分布は、互いに相手から導出することができる。しかしながら、参照文書2で開示された技法は、補間されることになるロケーションがわかっている場合に適用可能であり、本発明との関連では、たとえ何らかのケースで、ターゲット・オブジェクトが2つの既知のサンプル・ポイント間のどこかに配置されていると判定できる場合であっても、ターゲット・オブジェクトの精密なロケーションは未知である。本発明との関連において、ターゲット・オブジェクトのロケーションが未知であるという事実、したがって、サンプル・ポイントの確率分布を組み合わせるためのいずれの要素も未知であるという事実を考えると、任意の2つ(またはそれ以上)のサンプル・ポイント間での補間が実行できることがどれほど有意義であるかは、即時にはわからない。
したがって、図4に関連して説明する実施形態は、たとえターゲット・オブジェクトのロケーションが未知であっても、パーティクルのロケーションはわかっているという認識に部分的に基づいているが、いかなるロケーション推定装置も、そのパーティクルがターゲット・オブジェクトの真のロケーションからどれほど遠く離れているかはわからない。
前述の認識に基づき、ロケーション推定装置は、パーティクルをロケーションX、403に配置し、そのロケーションの確率分布を以下のように決定することができる。ロケーションX、403からサンプル・ポイントAおよびBまでの距離は、それぞれdおよびdである。前述のように、2つのサンプル・ポイントAおよびBの確率分布は、それぞれ参照番号411および412によって示される。図4に示された例では、測定可能なロケーションに依存した変数はRSSI(受信信号強度インジケータ)であるが、RSSIは非制限的な例としてのみ提供されている。確率分布411および412は、それぞれ累積分布421、422に変換される。ロケーションXの累積分布423は、従属変数Pcumのいくつかの値のそれぞれについて、サンプル・ポイントAおよびBの累積分布関数411および412にそれぞれ適切な重みで重み付けすることによって、独立変数RSSIの値が決定される、というアルゴリズムによって決定可能である。図4で、量WおよびWは、累積分布423上の任意のポイントに対する、累積分布421および422からの水平距離を示す。参照番号430は、量、d、d、W、およびWによって満たされなければならない数式を示す。共通する1本の直線に沿っていない3つのサンプル・ポイント間での補間に関する技法などの他の技法は、参照文書2で開示される。
確率分布411および412を、図1および2に関連して論じた確率113、123、...、および213、223、...と混同してはならない。図1および2の確率は、ターゲット・オブジェクトの真のロケーションとなる所与のパーティクルに関する確率である。図4に示された確率分布411および412は、測定された信号パラメータが、所与の値を有する(測定結果が離散値として扱われる場合)、または所与の範囲内にある(測定値が連続値として扱われる場合)確率を示す。確率分布411および412は、確率113、123、...、および213、223を計算するために使用されるが、この2つの異なる確率を互いに混同してはならない。
トポロジ・モデル
図5Aから5Dは、環境内で許容されるロケーションおよび/または移行を示す、トポロジ・モデルTMの様々な実施および適用例を示す。参照番号500は、図5Aの左側に示された部屋のレイアウト501をモデル化するトポロジ・モデルの実施形態を示す。部屋のレイアウト501は、通路507を介して利用可能な、3つの小部屋503、504、および505と、1つの大部屋506とを含む。この特定の例では、大部屋506は4つの区画506Aから506Dとして扱われる。トポロジ・モデル500は、環境(部屋のレイアウト)501内での許容されるロケーションおよび移行を示す。トポロジ・モデル500中の任意の部屋番号は許容できるロケーションを示し、任意の行は許容される移行を示す。この例では、すべての許容される移行は双方向であると想定され、たとえば1行目では、503から507へ、および507から503への、両方が許容される移行であることを意味する。
図5Aに示される実施形態500は全体が取り決め(部屋番号)に基づいており、座標系などのメトリクスはまったく使用されていない、ということは何の価値もない。こうした取り決めベースのトポロジ・モデルは、たとえば博物館または展示会で使用することができる。ある客が部屋番号503〜505または大部屋の区画506A〜506Dのうちの1つに入った場合、その人のポータブル装置はその部屋または部屋の区画に表示されたアイテムの説明を表示するかまたは読み取ることができる。展示アイテムを視覚的または聴覚的に説明することが、実際のロケーションがサービス要求エンティティまたはアプリケーションから隠されている、有用なロケーションに依存したサービスの一例である。
図5Bは、トポロジ・モデルTMの他の実施である、トポロジ・グラフ510を示す図である。グラフ510はノードのセットおよび弧のセットを含んでおり、各ノードは許容されるロケーションを示し、各弧は許容される移行を示す。黒い矩形はノードを表し、そのうちの2つが参照番号512および513で示される。この実施では、弧はノード512、513を接続する直線セグメントであり、そのうちの1つが参照番号514で示されるが、他の実施では、弧はより複雑な曲線で画定される場合がある。各ノードはターゲット・オブジェクトに関する許容されるロケーションであるが、ノードは必ずしも許容されるロケーションのみとは限らない。いくつかの実施では、任意の2つのノード間の任意の弧に沿った任意のポイントが許容されるロケーションである。他の実施では、グラフまでの距離が所定のマージン(たとえば、最低通路幅の半分)より短い任意のロケーションが、許容されるロケーションである。
トポロジ・グラフ510は、関連付けられたメトリクスを有する場合、または有さない場合がある。いかなるメトリクスもないトポロジ・グラフ510は、図5Aに示されたトポロジ・モデル500と論理的に等価であり、結果として、グラフ510のノード512、513はモデル500の部屋503〜507に対応する。メトリクスが使用される場合は、相対的または絶対的とすることができる。相対的メトリクスは、グラフがノード512および513を含むこと、およびそれらの間の距離が7.5単位であることを、示すことができる。絶対的メトリクスは、ノードの座標を示すことができる。相対的メトリクスが使用される場合、トポロジ・グラフ510および510’は、ノードの絶対座標が無関係であるという意味で等価のグラフである。
ターゲット・オブジェクトのロケーションを決定する際にトポロジ・グラフ510を使用する方法は多数ある。たとえば、パーティクルの動きを許容されるロケーションに限定することができる。許容されるロケーションのセットは、グラフ510のノード、ならびにオプションで、弧、または弧から最大でも所定のマージンにある任意のロケーションを含む。
図5Cは、パーティクルの動きがグラフ510のノードおよび弧に限定されるシナリオを示す図である。参照番号522は、関連付けられる速度が右へ11単位である、1つのパーティクルを示す。パーティクル522が、まとめて参照番号524で示される12の子孫を有すると想定してみる。参照番号526は、12の子孫の(スカラー値としての)速度セットを示す。速度の各単位は、2つの連続する更新サイクル間の1目盛りの距離に対応する。図5Cは、トポロジ・モデルTMの多くの可能な実施の1つである、グラフ510に沿った12の子孫524のセットの分布の一例を示す。図5Cに示された例は、各分岐が等しく起こり得るという想定に基づいている。しかし時には、動きモデル(図3AのアイテムMM)の概念を使用して、いくつかのオプションを消去することができる。たとえば、ロケーション推定モジュールLEMは、所与のターゲット・オブジェクトが車輪で移動するという先験的知識を有する場合がある。グラフ内の分岐の1つが階段である場合、車輪で移動するターゲット・オブジェクトにはこうした分岐は不可能である。不可能な分岐に割り当てられるべきパーティクルはまったくないか、またはあったとしても非常に少ないことは明らかである。
図5Dは、ノード531〜536と、ノードの一部に取り付けられた領域とを含む、トポロジ・モデル530を示す図である。トポロジ・モデル530での許容されるロケーションは、ノード531〜536であり、オプションで、ノード間の弧に沿った任意のポイント、さらには座標によって画定された2つの領域内の任意のポイントである。座標(x,y)、(x,y)、(x,y)、(x,y)によって画定された多角形537が、ノード533に取り付けられる。あるいは多角形が長方形の場合、これを画定するには座標(x,y)、(x,y)で十分である。半径rの円538がノード535に取り付けられる。トポロジ・モデル530を定義するデータ構造は、ノード531〜536の座標、ならびに領域537、538を画定するタイプおよび座標を含むことが可能である。
トポロジ・グラフの他の使用例について、読者はトポロジ・モデルによってターゲット・オブジェクトのロケーションを解釈するための技法を開示した本願の所有者が所有する特許出願WO2004/008795号に目を向けるが、本発明は、こうしたグラフを使用してターゲット・オブジェクトに関連付けられたパーティクルの位置を決定するように提案する。
動きモデル
図6は、親パーティクルから子孫パーティクルのセットを導出するために動きモデルがどのように使用できるかを示す図である。図6を簡略にしておくために、ロケーションは1次元として示されるが、実際の実施では、ロケーションは多次元として扱うことが可能であるか、または図5A〜5Dに関連して説明したトポロジ・モデルを使用して、多次元空間を1群の代替1次元パスとして扱うことが可能である。
参照番号602は、ターゲット・オブジェクトに割り当てられたパーティクルを示す。パーティクル602は座標xに配置される。ターゲット・オブジェクトの動きモデルMMは、階段などを移動できる一種の「健康人」を示す。動きモデルMMは、最大速度vmax、最大加速度a、および最大減速度aを示す。動きモデルの他の実施は、速度の変化(大きさおよび方向)に関する確率を示すこともできる。こうした速度の変化に関する確率は、たとえば、高速での急旋回がほとんどあり得ないことを示すことができる。
参照番号604は、一定速度を想定した、パーティクル602の子孫パーティクルに関するロケーションを示す。このロケーションは座標x+vtにあり、ここでtはパーティクルの1世代の寿命、すなわちあるパーティクルの作成からその子孫パーティクルの作成までの期間である。参照番号606は、最大減速度を想定した、パーティクル602の子孫パーティクルに関するロケーションを示す。このロケーションは座標x+(v−at/2)tにある。参照番号608は、最大加速度を想定した、パーティクル602の子孫パーティクルに関するロケーションを示す。このロケーションは座標x+(v+at/2)tにある。図6に示されたシナリオでは、このロケーションは動きモデルMMによって出力されることはなく、これは、この例では時間t中の最大加速度が、結果として、ロケーションx+vmaxtのライン610で示される最大速度vmaxを超えることになるためである。
したがって、パーティクル602の子孫パーティクルのすべてまたはほとんどが、ロケーション606と610の間に分布される。たとえば子孫パーティクル612は、正規分布または均等分布などの何らかの適切な分布を使用して子孫パーティクル612を分布する、擬似ランダムアルゴリズム600によって、境界ロケーション606と610の間に分布することができる。ターゲット・オブジェクトは適用されている動きモデルMMの制約に準拠しない場合があるため、ロケーション606および610によって画定された領域外に、子孫パーティクル612のわずかな部分を生成する確率が残っている。たとえば、ロケーション推定モジュールがターゲット・オブジェクトのタイプを不適切に決定した可能性がある。あるいは、病院内にいる健康人の場合、最大速度vmaxを歩行に対応させることができるが、走る確率を完全に排除することはできない。
図7は、複数の異なる動きモデルが初期にターゲット・オブジェクトに割り当てられる実施形態を示す図である。参照記号MM1およびMM2は、2つの異なる動きモデルに関連付けられたパーティクルを示す2つの異なる記号を示す。2つの動きモデルMM1およびMM2はいくつかの点で互いに異なる場合があるが、図7では、動きモデルMM1が低速オブジェクトの動きを記述するのに対して、MM2は高速オブジェクトの動きを記述するという点だけで十分である。
動きモデルMM1およびMM2に関連付けられたパーティクルは、それぞれ三角形および円によって示される。三角形または円のサイズは、重み決定ステップ後のパーティクルの重みを示す。
図7が参照番号を使用し、4つの更新サイクルの時間帯を提示する方法は、図1および2で使用される方法とほぼ同じである。参照番号711はターゲット・オブジェクトの初期のロケーションを示す。参照番号712は、ターゲット・オブジェクトに初期に割り当てられるパーティクルのセットを示す。この例では、14の初期パーティクル712のうちの7つ(三角形)が低速動きモデルMM1に関連付けられ、残りの7つ(円)は高速動きモデルMM2に関連付けられる。参照番号713は、14の異なるロケーションに関する確率を示す曲線を示す。参照番号714は、重み付けされたパーティクル715のセットを生じさせる第1の重み決定ステップを示す。参照番号716は、第1の子孫生成ステップを示す。この多少単純化されたシナリオでは、3つのパーティクルのみが第2世代に何らかの子孫を有する。確率曲線713の形状は、親として選択された3つのパーティクルのうちの2つが、偶発的に低速動きモデルMM1(三角形)に関連付けられることになり、これら2つのパーティクルが子孫パーティクル722のセットのうちの合計9つの子孫を有する。この例では、1つの「高速」パーティクルのみが子孫パーティクル722の親として選択され、このパーティクルは5つの子孫を有する。
この例では、動きモデルの初期のランダムな割り当ては、偶発的に低速動きモデルMM1を優遇することになる。しかし、ターゲット・オブジェクトは最終的に高速となり、すなわちあるオブジェクトが高速動きモデルMM2によって最適にモデル化される。参照番号721はターゲット・オブジェクトの次のロケーションを示し、参照番号723はパーティクル722のロケーションに関する確率を示す。参照番号724は、結果として重み付けされたパーティクルの第2のセット725を生じさせる、第2の重み決定ステップを示す。子孫パーティクルのセット722では、「高速」パーティクル(円)が確率曲線723のピーク近くに配置される。したがって、第2の重み決定ステップ724では高速パーティクルが多量に重み付けされ、第2の子孫生成ステップ726で多くの子孫を受け取ることになる。これとは逆に、「低速」パーティクル(三角形)はターゲット・オブジェクトの動きを適切に予測せず、曲線723における確率のピークから遠くに配置される傾向がある。したがって、低速パーティクルは少量の重みを受け取り、第2の子孫生成ステップ726でわずかな子孫しか生成しないことになる。
参照番号731から736は、続く更新サイクル(重み付けおよび子孫生成ステップ)に関し、その出力はパーティクルの第4セット742であって、それらはすべて高速動きモデルMM2に関連付けられる。
図7をさらにわかりやすくするために、図7に示されたシナリオは、速度がスカラー属性として扱われるという意味で単純化されている。現実のシナリオでは、速度はベクトル属性として扱われる場合がある。
図7に示されるように、たとえ動きモデルの初期のランダム割り当てが、偶発的に誤った低速動きモデルMM1を優遇する場合であっても、これに関連付けられたパーティクルはじきに消滅し、残ったパーティクルはすべて高速動きモデルMM2に関連付けられる。しかし結局は、図7に示されたイベントは例外的であることがわかり、実際には低速動きモデルMM1の方が長期的に良好な可能性がある。しかし、すべての残りのパーティクルが高速動きモデルに関連付けられた場合、残りのパーティクルがターゲット・オブジェクトの将来の動きを非常に良く予測することになる可能性は低い。「フレッシュな」、すなわち親のないパーティクルを少なくともいくつかの世代で生成することによって、一時的には良くない長期的には潜在的に良好な属性がこのようにすべて消滅してしまうのを避けることは可能である。別の方法として、いくつかのパーティクルを、かなり変化してはいるが前の世代のパーティクルの子孫とすることができる。言い換えれば、いくつかのパーティクルの属性が強い変動性を受ける可能性がある。
図8は、子孫パーティクルが複数の親パーティクルから属性を引き継ぐ実施形態を示す図である。参照番号800はターゲット・オブジェクトのプロパティ・セットを示す。参照番号801および802は、それぞれターゲット・オブジェクトのXおよびY座標を示す。参照番号803は、最適な動きモデルのインジケーションを示す(MM#2=動きモデル番号2)。参照番号804は、最適なデバイス・モデルのインジケーションを示す(DM#5=デバイス・モデル番号5)。参照番号805は、この記述を越える他のプロパティを示す。したがって、パーティクルAの属性セット810は最適なデバイス・モデルを示し(DM#5)、パーティクルBの属性セット820は最適な動きモデル(MM#2)を示すが、どちらのパーティクル属性セットもデバイス・モデルおよび動きモデルの完全な組合せは示さない。
参照番号810および820は、ターゲット・オブジェクトに割り当てられた2つのパーティクルAおよびBの属性セットを示す。各パーティクルは、推定されることになるターゲット・オブジェクトのプロパティそれぞれについて対応する属性を有する。パーティクルAおよびB(またはそれらの属性セット810、820)は、図3に示されたロケーション推定装置の一部とすることが可能な、子孫生成プログラム論理または回路DGへ入力として印加される。この例では、子孫生成プログラムDGは、子孫パーティクルのセットに対する共通の親として互いに十分近い2つ(またはそれ以上)のパーティクルを選択する。パーティクルAおよびBの組み合わされた重み(たとえば重みの合計または積)が、参照番号830、840、850、および860で示される4つの子孫パーティクルを有するものと想定してみる。
一実施によれば、子孫生成プログラムDGは、親パーティクル810および820の平均値を決定すること、およびこの平均値にわずかな(擬似)ランダム変動を加えることによって、子孫パーティクル830、840、850、および860のXおよびY座標を導出する。別の方法として、子孫生成プログラムDGは、子孫パーティクルが親パーティクルの属性の様々な組合せを引き継ぐように操作することができる。
この例に示されるように、子孫生成プログラムDGは、4つの子孫パーティクル830、840、850、および860に、親パーティクル810、820の属性セットにおけるデバイス・モデルおよび動きモデルのインジケーションの様々な組合せを引き継がせる。子孫パーティクル830はどちらの正しいモデルも有さず、子孫パーティクル840は正しい動きモデルは有するが正しいデバイス・モデルは有さず、パーティクル850は正しいデバイス・モデルは有するが正しい動きモデルは有さず、パーティクル860はどちらの正しいモデルも有する。パーティクル860の属性がターゲット・オブジェクトに関する最適なデバイス・モデルおよび最適な動きモデルを示すことから、存続して将来の世代に子孫を有する最高のチャンスを持つ。
図8は、子孫パーティクル830、840、850、および860が2つの共通の親パーティクルから導出されるシナリオを示すが、2という数字は単なる例に過ぎず、親パーティクルの数は、単一世代においても変化する可能性がある。いくつかの子孫パーティクルは1つの親パーティクルを有し、いくつかは2つまたはそれ以上を有することが可能である。
図8は、子孫生成プログラムDGが、デバイス・モデルおよび動きモデルの識別子の様々な組合せを処理(受信および出力)する、一実施形態を示す。デバイス・モデルおよび動きモデルの識別子を適用する代わりに、子孫生成プログラムがデバイスおよび/または動きモデルの修正済みパラメータを生成することも可能である。たとえば、子孫生成プログラムは、そのデバイス・モデルが−2、+3、および+5の修正パラメータを有する3つの親パーティクルから、子孫パーティクルを生成することができる。たとえば、これらの値は、RFスペクトル全体またはスペクトルの一部の帯域で、信号強度観察家かに加えられることになる値を示すことができる。これら3つの修正パラメータの平均値は+2であり、子孫生成プログラムはこれを次の世代のパーティクルの開始値として使用することができる。
信頼測度
いくつかの適用例では、ターゲット・オブジェクトを所与のロケーションまたは領域に配置することがどれほど信頼できるかを知ることは、必要であるかまたは少なくとも有利である。本発明の一実施形態では、パーティクル・セットの空間分布を使用して信頼測度が決定される。適度に単純な一実施では、ターゲット・オブジェクトが領域Aに配置されることになる確率は、ターゲット・オブジェクトの領域A内のパーティクル・セットとそのターゲット・オブジェクトに割り当てられたパーティクルの合計数との比である。他の実施では、信頼測度は、領域A内のターゲット・オブジェクトのパーティクルの確率の合計を、そのターゲット・オブジェクトに割り当てられたすべてのパーティクルの確率の合計で割った値に基づくものである。さらに他の実施では、信頼測度は、パーティクルが信号値などの後続の観察結果を予測する能力に基づくものとすることができる。
図9は、ターゲット・オブジェクトのロケーション推定に関して信頼測度を決定するための技法を示す図である。参照番号902は、ターゲット・オブジェクトの推定されたロケーションを示す。参照番号904は、ターゲット・オブジェクトの可能なロケーションのサブセットを構築する領域または線セグメントを示す。参照番号906は、ターゲット・オブジェクトに割り当てられたパーティクルのセットを示す。一実施では、領域904内のパーティクルの数と、ターゲット・オブジェクトに割り当てられたパーティクルの合計数との比が、信頼測度として使用される。代替実施では、信頼測度は、領域904内の組み合わされた確率と、ターゲット・オブジェクトに割り当てられたすべてのパーティクルの組み合わされた確率との比などの、確率重み付けされたパーティクルの比に基づくものである。
信頼値を決定するための同じ技法を、速度などの他の属性値でも使用することができる。
図10は、過去に関する不確実性を削減するためにパーティクル・セットの将来に関する情報をどのように使用するかを示す図である。参照番号1000は、フロア・プランまたはトポロジ・モデルの断片を示す。わかりやすくするために、図10はターゲット・オブジェクトに割り当てられた10個のパーティクルのみを示す。パーティクルは4つの世代G1からG4で展開する。第1の世代G1と第2の世代G2との間で、パーティクルは2つの可能な分岐AおよびBに分割され、この2等分された世代は世代の数に「A」および「B」を添えて示される。表1010は、図10に示されたパーティクル・グループの重みの合計を示す。分割される前に存在するグループG1は、第1世代のすべてのパーティクルを含み、これによって組み合わされた(正規化された)重みは1である。グループG2A、すなわち世代G2のA分岐は、xの組み合わされた重みを有し、これによってB分岐G2Bの組み合わされた重みは1−xでなければならず、すべてのパーティクルが分岐AおよびBのいずれかに割り当てられ、分岐点で戻るものはないと想定する。第3世代では、分岐AおよびB上のパーティクルの組み合わされた重みはそれぞれyおよび1−yである。図10に示された例では、分岐AおよびBが初期には等しく起こり得るケースを示し、これによってそれぞれの重みx、1−x、y、および1−yは50%またはそれに近い。この例では、ターゲット・オブジェクトはノード1002を通過する。このポイントで、ターゲット・オブジェクトのロケーションは事実上確実に決定することができる。たとえば、ノード1002は、チェックアウト・ポイントなどのポイントとすることが可能であり、ここで、ターゲット・オブジェクトのロケーションは何らかの独立手段で決定することができる。したがって、ターゲット・オブジェクトが明らかにたどらなかったA分岐は、ゼロまたはゼロに近い残余重みεを有し、B分岐は組み合わされた重み1−εを取得する。ターゲット・オブジェクトがたどった分岐が確実にわかっている場合、表1010の最終行に示されるように、前の世代の組み合わされた重みを訂正することができる。こうした信頼測度の非実時間修正を使用して、たとえばターゲット・オブジェクトがたどったパスを識別することができる。
図10に示される例では、1つの世代のパーティクル・セットがパーティクルのスナップショットを構築すると言える。
性能に関する考慮すべき点
ロケーションに依存した物理量の観察によって1つまたは複数のターゲット・オブジェクトのロケーションを推定するための任意の技法は、計算上骨の折れるものであり、本発明も例外ではない。しかしながら本発明は、ターゲット・オブジェクトあたりのパーティクル数に比べてサンプル・ポイントの数が多い場合、計算上の特典を提供することができる。これにはいくつかの理由がある。たとえば、しばしば、関連付けられた確率と共にターゲット・オブジェクトの動き履歴を格納する必要がある。多くの従来技術の位置決定技法では、隠れマルコフ・モデル(HMM)を実施する。HMMシステムでは、ターゲット・オブジェクトの動き履歴を格納するステップには、いくつかの前の状態を格納するステップが含まれ、各状態を格納するステップには大量のサンプル・ポイントの確率に関するデータを格納するステップが含まれる。本発明では、動き履歴を格納するステップは、サンプル・ポイントの数よりもかなり少ない数のパーティクルの履歴を格納することによって実施できる。
加えて、本発明は、集中型ロケーション推定装置が大量のターゲット・オブジェクトを処理しなければならない場合の堅固さを向上させる。ターゲット・オブジェクトが毎秒1回などの第1の割合で信号パラメータの観察を行うシナリオを想定してみる。集中型ロケーション推定装置は過負荷であり、たとえば3秒ごとに1回など、さらにゆっくりとロケーション推定を更新することができる。本発明に従ったパーティクルは、ロケーション推定装置がそれらを更新する時間ができるまで、動きを維持することができる。既知のHMMシステムでは、ロケーション推定装置にとって、ロケーション推定の計算を省略することはさらに多くの間違いを起こしやすい。これは、多くのHMMモデルが、サンプル・ポイント(または他の所与のロケーション)間での既知の移行確率に基づいているためであり、ロケーション推定サイクル間の間隔が増加した場合、可能な移行の数は極端に多くなり、これによってロケーション推定サイクルをそれほど頻繁でなく実行する計算上の利点はほとんどなくなる。
本発明およびHMMモデルが相互に排他的であるというわけではなく、むしろ本発明の多くの特典は、HMMモデルの状態に内在する離散性のない連続システムで実施された場合に、最高となる。
本発明のいくつかの実施形態では、ロケーション推定装置はロケーション推定を計算するために使用できる時間量を考慮することが可能であり、使用できる時間が臨界しきい値未満に減少した場合、ロケーション推定装置は適切な手段を講じることができる。たとえば、ターゲット・オブジェクトあたりのパーティクル数を削減することができる。パーティクルの削減はターゲット・オブジェクトをまたがって実行することも可能であり、あるいは、さらなる考慮に依存することができる。たとえば、素早く移動する、および/またはいずれかの動きモデルによって容易に説明されないターゲット・オブジェクトには、静止しているかまたは何らかの動きモデルに十分に適合しているターゲット・オブジェクトよりも、多くのパーティクルを割り当てることができる。時間が重要視される状況では、ロケーション推定装置はパーティクル更新サイクルをスキップすることも可能であり、オプションで既存のパーティクルを動きモデルが決定したように移動させることができる。
関連サンプル・ポイント
役に立たない計算を避けるための他の技法には、何らかの関連基準に基づいて、データ・モデルのサンプル・ポイントのサブセットを選択するステップが含まれる。こうして選択されたサンプル・ポイントが、関連サンプル・ポイントと呼ばれることになる。たとえば、関連サンプル・ポイント技法は、
−関連サンプル・ポイントの1つまたは複数のセットを示すための関連性インジケータのセットを維持するステップであって、関連サンプル・ポイントの1つまたは複数のセットがデータ・モデル内のサンプル・ポイントのサブセットである、維持するステップと、
−ターゲット・オブジェクトのロケーションでの観察および関連性インジケータのセットに基づいて、関連サンプル・ポイントの現在のセットを決定するステップと、
−ターゲット・オブジェクトのロケーションでの観察および関連サンプル・ポイントの現在のセットに基づいて、ターゲット・オブジェクトのロケーションを推定するステップと、
を使用して、本発明を補足することによって使用可能である。
この技法の特典は、関連サンプル・ポイントの現在のセットに含まれないサンプル・ポイントを、計算から省略できることであり、これによって計算負荷およびバッテリの消耗が削減される。別の方法として、本発明の技法によって節約されたリソースを使用して、さらに計算することにより、より正確な、またはよりセキュアな位置推定を得ることができる。
本発明のいくつかの実施形態では、関連サンプル・ポイント技法を使用して、計算の効率を向上させる。データ・モデルは各サンプル・ポイントに関する物理量の予測値のセットを示すことが可能であり、この方法は、データ・モデル内のサンプル・ポイントのサブセットである関連サンプル・ポイントの1つまたは複数のセットを示すために、関連性インジケータのセットを維持するステップをさらに含む。ロケーションに依存した物理量のうちの1つまたは複数の観察、および関連性インジケータのセットに基づいて、関連サンプル・ポイントの現在のセットが決定され、計算の効率を上げるために使用される。たとえば、関連サンプル・ポイントの現在のセットから遠くはなれて配置されているパーティクルを廃棄することができる。こうした遠距離パーティクルを廃棄する代わりに、または廃棄に加えて、本発明方法のステップa)は、さらなる計算なしに、関連サンプル・ポイントの現在のセットから遠くにあるパーティクルに最低の信頼度を割り当てるステップをさらに含むことができる。また、本発明方法のステップc)は、関連サンプル・ポイント近くにいくつかの追加の親なしパーティクルを生成するステップをさらに含むことができる。
そのサンプル・ポイントで予測される信号値は、スカラー値、(たとえば正規分布された)確率分布、ヒストグラム構造、などとすることが可能である。関連サンプル・ポイント技法は、データ・モデル内のサンプル・ポイントのサブセットである関連サンプル・ポイントのセットを示すための、関連性インジケータのセットを決定するステップを含む。このステップについては、後でより詳細に説明する。ターゲット・オブジェクトのロケーションでの観察と関連性インジケータのセットとを使用して、関連サンプル・ポイントの現在のセットが決定される。ターゲット・オブジェクトのロケーションは、ターゲット・オブジェクトのロケーションでの観察と、関連サンプル・ポイントの現在のセットとに基づいて推定される。
一実施形態では、関連サンプル・ポイントの現在のセットを決定するステップが、その物理量の予測値のセットがターゲット・オブジェクトのロケーションでの観察結果を所定の関連性基準で測る、サンプル・ポイントを選択するステップを含む。
他の実施形態では、結果として生じる関連サンプル・ポイントのセットが所定の最低サイズよりも小さい場合、所定の関連性基準が緩和される。こうした条件が異常を示す場合があり、特にこの異常が持続的である場合には、それによってアラームが起動するはずである。いくつかの実施形態では、関連性基準はシステム負荷に応じて調整される。システム負荷が高いほど関連性基準は厳しく、逆もまた同様である。
他の実施形態は、環境のトポロジをモデル化するトポロジ・グラフを形成するステップを含み、ここでトポロジ・グラフは、各ノードが許容されるロケーションを示し、各弧が許容されるターゲット・オブジェクトの2つのノード間での移行を示すような、ノードのセットおよび弧のセットを示す。トポロジ・グラフは、ターゲット・オブジェクトのロケーションを推定するために使用される。たとえば、トポロジ・グラフを使用して、ターゲット・オブジェクトの動き履歴を記録すること、および選択されたサンプル・ポイントのいくつかをターゲット・オブジェクトの動き履歴に基づいて除外することが可能である。
ターゲット・オブジェクト(またはターゲット・オブジェクトに取り付けられた感知デバイス)の観察結果は、必ずしも生の測定データではなく、測定データから導出された任意の値である。たとえば観察結果は、平滑化などの数学的処理によって測定データから導出することができる。さらに、本発明のいくつかの実施形態では、感知デバイスの観察結果を修正するためにデバイス・モデルを使用する。この機能は、感知デバイスが具体的に正確な測定向けに設計されていない適用例で、特に有用である。
本発明のいくつかの実施形態では、感知デバイスにとって最適なデバイス・モデルに関する先験的情報が入手できず、最良のデバイス・モデルを選択するために関連サンプル・ポイント技法が使用される。この方法は、信号値がかなり破損するかまたは偏っている場合、関連サンプル・ポイントの数が非常に少なくなるかまたはゼロにまでなる傾向があることの発見に基づくものである。他方で、観察された信号がサンプル・ポイントに関連付けられたデータに適切に対応している場合、関連サンプル・ポイントの数は多い。
したがって、デバイス・モデルを適用する作業によって関連サンプル・ポイントの数が増えた場合、デバイス・モデルがデバイス特有の偏りをある程度なくすことができると結論付けることができる。最適に選択されたデバイス・モデルは、関連サンプル・ポイントの数を最大にする。デバイス・モデル選択の正確さは、一連の観察結果を分析することによってさらに向上させることができる。たとえば、一連の観察にわたって、関連サンプル・ポイントの平均数が最高であるデバイス・モデルを選択することができる。
図11Aは、ターゲット・オブジェクトと、3つのアクセス・ポイントおよびいくつかのサンプル・ポイントを備えた無線ネットワークのセクションとを示す図である。A1からA3とマーク付けされた三角形は、3つのアクセス・ポイントを示す。S1からS9とマーク付けされたプラス記号は、無線ネットワーク内の信号強度などの信号パラメータ値をモデル化するデータ・モデルの9つのサンプル・ポイントを示す。参照記号TOはターゲット・オブジェクトのロケーションを示す。状況に応じて、参照記号TOはターゲット・オブジェクト自体またはそのロケーションを表す場合がある。ターゲット・オブジェクトのロケーションは、位置決定が開始された時点では未知であり、完了した時点では単なる推定である。参照番号1102は、ターゲット・オブジェクトTOによって実行されたRF信号パラメータ観察のセット(ベクトル)を示す。この例では、アクセス・ポイントA1、A2、およびA3での信号強度などの信号パラメータの観察値は、それぞれ2、8、および9である。ターゲット・オブジェクトTOは、いくつかの実施形態ではターゲット・オブジェクトそれ自体の中に配置することが可能な位置決定エンジンPEによって、位置決定される。しかし、大量のターゲット・オブジェクトが1つの共通の位置決定エンジンによって位置決定される場合、本発明のリソース節約機能が最適に利用される。典型的な実施では、位置決定エンジンは、サーバまたはサーバ・セットなどのデータ処理機器であり、この機器は位置決定環境のデータ・モデルと、ターゲット・オブジェクトのロケーションでの信号パラメータ測定結果を受信するための手段と、本発明に従って方法を実施するための手段とを備える。
例示のために、図11Aは、3つのアクセス・ポイントそれぞれについて等しい信号パラメータ値の3本の線も示している。これらの等値線は、アクセス・ポイントの信号値が10(最も内側の線)、5(真ん中の線)、および1(最も外側の線)であるロケーションを示す。これらの線は、本発明をより良く理解するためのみに示されており、いかなる計算にも使用されない。図11Aから11Cでは、人間の読者が図を理解しやすいように、0から12までの間の単純なスカラー値として信号パラメータを示している。現実のシナリオでは、信号パラメータ値は、たとえばdBm単位で表される信号強度とすることができる。
図11Bおよび11Cは、関連サンプル・ポイントのセットを示すための関連性インジケータの例示的なセットを集合的に示す。
図11Bは、図11Aに示された1つのアクセス・ポイント、すなわちS1と、3つのアクセス・ポイントA1からA3とについて、可能な信号品質値の範囲を示す。本明細書で説明される実施形態では、信号パラメータ値は離散値として扱われる。もちろん、任意のデジタル測定システムは「離散」値を生成するが、本明細書で使用される場合、「離散」とは、可能な値の範囲が、仮想連続デジタル数ではなく比較的小さな数のビンとして処理されることを示唆する。本発明は、可能な信号品質値が連続している(非離散)とみなされる技法に適用可能であるため、「離散」の精密な定義が不可欠ではないことを理解されたい。
図11Bは、データ・モデルが確率モデルである実施形態に関する。確率モデルとは、この例では信号パラメータ値である測定可能な物理量の確率分布を示す。参照番号1121Aは、サンプル・ポイントS1でのアクセス・ポイントA1からの信号パラメータ値の確率分布を示す。典型的であるが非制限的な実施では、これは、サンプル・ポイント(ロケーション)S1でのA1からの信号強度の確率分布を意味する。この量は、D(A1/S1)で示される。信号強度分布は、実際の測定、コンピュータ・シミュレーション、またはこうした技法の任意の組合せによって決定することができる。
水平バー1121Bは、A1およびS1の組合せに対して可能な信号パラメータ値の範囲を示す。信号パラメータ値は、ゼロから統計的に有意なマージンだけ偏差する確率を有する場合に、可能であるとみなされる。問題の統計的有意性には、計算最適化と正確さ/信頼度との間の妥協が含まれる。必要なマージンが大きい(信号値が「非常に」高い確率を有する場合にのみ受け入れられる)場合、少数のサンプル・ポイントのみが関連するとみなされ、計算リソースは大幅に節約される。他方で、位置決定に影響を与える可能性のあるサンプル・ポイントを無視するリスクがある。
参照番号1122Aおよび1123Aは、残りのアクセス・ポイントA2、A3それぞれの対応する分布を示す。参照番号1122Bおよび1123Bは、対応する可能な信号パラメータ値を示す。
図11Bをコンパクトに維持するために、1つのサンプル・ポイント(S1)および3つのアクセス・ポイント(A1からA3)について可能な信号パラメータ値の範囲のみが示される。現実のシステムでは、可能な信号パラメータ値の範囲は、データ・モデル(データベース)内の各サンプル・ポイントについて別々に決定されるはずである。
図11Cは、関連サンプル・ポイントのセットを取得するプロセスを示す。参照番号1131Aは、図11Aに示されたアクセス・ポイントA1および9つのサンプル・ポイントS1からS9それぞれについての、可能な信号パラメータ値の範囲セットを示す。参照番号1132Aおよび1133Aは、他の2つのアクセス・ポイントA2およびA3についての同様の範囲セットを示す。データ構造1131Aから1133Aのそれぞれにおいて、一番上のサンプル・ポイントS1に対する範囲は図11Bですでに示された範囲と同じであり、残りのサンプル・ポイントS2からS9に対する範囲が同様に決定される。たとえばデータ構造1131Aは、アクセス・ポイントA1のRF信号パラメータ値が、サンプル・ポイントS3からわかるように、1から5(およそ)の範囲を有することを示す。
参照番号1131Bから1133Bは、3つのアクセス・ポイントそれぞれについて1つの、3つの値ウィンドウを示す。各値ウィンドウ1131Bから1133Bは、対応するアクセス・ポイントの信号パラメータ値に配置される。図11Aに関連して述べたように、ターゲット・オブジェクトは、アクセス・ポイントA1、A2、およびA3からそれぞれ信号パラメータ値2、8、および9を観察した。したがって、値ウィンドウ1131Bから1133Bは、データ構造1131Aから1133A内の位置2、8、および9に配置される。この説明では、初期に、値ウィンドウの幅が1となるように想定することができる。この幅については、後で詳細に説明する。
次に、関連サンプル・ポイントのセットを決定するために、データ構造1131Aから1133Aおよび値ウィンドウ1131Bから1133Bを使用することを考える。ターゲット・オブジェクトのロケーションで観察されたアクセス・ポイントA1の信号パラメータ値は2(vA1=2)であった。サンプル・ポイントS3、S6、S8、およびS9について可能な信号パラメータ値の範囲は、値ウィンドウ1131Bと重複する。言い換えれば、観察値vA1=2の場合、サンプル・ポイントS3、S6、S8、およびS9は関連サンプル・ポイントの候補である。サンプル・ポイントAiの場合、サンプル・ポイント候補のセットはRiで示すことになる。他の2つのアクセス・ポイントについても同じ手順を繰り返すことによって、位置決定エンジンは関連サンプル・ポイントのセットを以下のように決定する。
R1={S3,S6,S8,S9}
R2={S2,S3,S5,S6,S8,S9}
R3={S5,S6,S7,S8,S9}
位置決定エンジンは、各アクセス・ポイントおよび信号値についてこれらの関連サンプル・ポイントのセットを事前に決定し、このセットを格納し、いくつかの将来の位置決定サイクルでこれらを使用する。格納されたセットは、位置決定環境が(測定および/またはシミュレーションによって)再較正されるまで使用可能である。
次に、位置決定エンジンは、所与の3つの観察値{vA1=2,vA2=8,vA3=9}それぞれに関連するアクセス・ポイントのセットを決定するために、上記3つのセットR1、R2、およびR3の交差部分を決定することになる。結果として生じるセットは、Rによって以下のように表される。
R=R1∩R2∩R3
={S3,S6,S8,S9}∩{S2,S3,S5,S6,S8,S9}∩{S5,S6,S7,S8,S9}
={S6,S8,S9}
したがってこの例では、関連サンプル・ポイントのセットが9個から3個に減少した。多数のサンプル・ポイントがある現実の状況では、この減少率は3よりもかなり大きくなるであろう。単一の位置決定エンジンによって位置決定可能なターゲット・オブジェクトの数は、ほぼ同じ倍率で増加することになる。
前述の説明では、値ウィンドウ1131Bから1133Bの幅は固定されるように想定した。しかしながら、最初は相対的に小さな幅から開始して、結果として生じる関連サンプル・ポイントのセットが空であるかまたは信頼できる結果を出すには小さすぎる場合、より幅の広い値ウィンドウなどの緩和された基準によって、他のセットが決定されることが好ましい。物理値ウィンドウが例示の目的でのみ描画されたものであり、データ・プロセッサは視覚化せずに数値をチェックできることは自明である。
この例では、3つのセットR1、R2、およびR3の数学的に単純な交差部分を使用して、3つの観察すべてに関連するアクセス・ポイントの単一セットが決定された。これは、観察の組合せに関連させるために、サンプル・ポイントをそれぞれの観察に関連させなければならないことを意味する。しかしながら、現実の観察はこのように単純であることはほとんどなく、たとえ1つまたは複数の観察に関連しているようには見えない場合であっても、サンプル・ポイントの関連について考慮するアルゴリズムについて、後で図14に関連して説明する。
本発明のいくつかの実施形態では、実験に基づいて適切であることがわかった値ウィンドウが関連サンプル・ポイントの空のセットを生成した場合、アラームが起動される。こうした状況は、ターゲット・オブジェクトそれ自体、またはアクセス・ポイントの1つ(基地局送信機)におけるデバイス障害の兆候の可能性がある。あるいは、壁構造物内での一時遮断または永続変更によって、位置決定環境の伝播特徴が変更されている可能性がある。関連サンプル・ポイントの空のセットに関する原因が何であれ、この原因は詳細に調べるべきである。
図12Aおよび12Bは、信号パラメータ値が連続値として扱われ、左右対称の信号ピーク確率分布としてモデル化されるケースを示す図である。複数ピークおよび非対称確率分布についての概括は、図15に関連して説明することになる。以下の表記法が使用される。
A={a,a,...,a}=アクセス・ポイントのセット
S={s,s,...,s}=サンプル・ポイントのセット
Figure 0004904137
={v,v,...,v}=観察された信号パラメータ値のセット(ベクトル)
=aの信号値
NA=使用不可の値(対象範囲外、スキャン失敗、...)
P(V|s,a)=sでのaの信号パラメータの確率分布
ε(エプシロン)=ルックアップが関連サンプル・ポイントを無視するリスクを指定したパラメータ、たとえばε∈[0,1]
図12Aで、参照番号1202は、アクセス・ポイントから観察された信号パラメータ値を表すx軸を示す。y軸1204は、サンプル・ポイントsでのアクセス・ポイントaの信号パラメータの確率分布P(V|s,a)を表す。確率分布は、参照番号1206によって示される。この技法は、領域外の値を観察する確率が所定の確率しきい値εを超えないように、1つまたは複数の信号値領域を決定することを目的とするものである。図12Aの確率分布は左右対称かつ単一ピークであるため、要件を満たす信号パラメータ値vminおよびvmaxによって境界が定められた信号値領域を決定することが可能である。参照番号1210および1212はそれぞれ、観察される信号パラメータ値がvminからvmaxまでの範囲外となる確率がεとなるような、信号パラメータ値vminおよびvmaxを表し、以下の数式が適用される。
P(V<vmin|s,a)=ε/2
P(V>vmax|s,a)=ε/2
言い換えれば、最小および最大信号パラメータ値vminおよびvmaxは、絶対最小および最大値ではなく、確率P(V|s,a)のバルクを含む領域の下限および上限の境界を定める値である。この領域が網掛けによって示されている。
図12Bは、図12Aの確率分布1206から導出された累積確率分布1226を示す図である。図12Aでは、それぞれ参照番号1210および1212で示された最小および最大信号パラメータ値vminおよびvmaxが、信号値がvminからvmaxまでの間となる累積確率が1−εとなるように、網掛け領域1228の境界を定める。
前述の確率に関する考察から、ある種のサンプル・ポイントが、観察ベクトル
Figure 0004904137
を作成したターゲット・オブジェクトのロケーション探索に関連するかどうかを判別するための関連性基準を導出することができる。
前述のように、v=アクセス・ポイントaの信号値∈Aである。サンプル・ポイントsは、vが、サンプル・ポイントs内のアクセス・ポイントaについて決定された信号値領域のうちの1つに入る場合、関連するとみなされる。サンプル・ポイントsに関連付けられた信号値分布が左右対称および単一ピークであり、vminおよびvmaxがそれぞれ、前述のように決定された信号値領域の上限および下限である場合、関連性基準は、
min≦v≦vmax
として表すことができる。
アクセス・ポイントaの観察された信号パラメータ値がvであると想定すると、R[v]は、結果として生じる関連サンプル・ポイントのセットを示す。
図13は、関連サンプル・ポイントのセットを初期設定するための初期設定アルゴリズムを示す図である。行1302は、サンプル・ポイントのセットAにおいて各アクセス・ポイントaに対して実行されるBegin...Endループを定義する。行1304は、信号パラメータ値vの各可能値に関する関連サンプル・ポイントのセットR[v]を空にする。行1306は、サンプル・ポイントのセットSにおいて各サンプル・ポイントsに対して実行されるBegin...Endループを定義する。行1308および1310は、観察値がvminより低くなるかまたはvmaxより高くなる確率がεとなるように、最小および最大信号パラメータ値vminおよびvmaxをそれぞれ計算する。行1314は、信号パラメータ値vの関連サンプル・ポイントのセットR[v]に、現在のサンプル・ポイントsを加える。
図14は、関連するサンプル・ポイント、すなわち、観察
Figure 0004904137
に対応するロケーションを決定するために関連するサンプル・ポイントのセットR⊆Sを見つけるためのアルゴリズム1400を示す図である。行1402は、候補サンプル・ポイントのセットを含むことになる、空のセットCを作成する。行1404は、可聴(検出可能)アクセス・ポイントの数に関する変数Fmaxを初期設定する。行1406は、信号パラメータ値が「NA」(使用不可)でないという条件で、観察ベクトル
Figure 0004904137
において各信号パラメータ値vに対して実行されるForループを開始する。行1408で、可聴アクセス・ポイント数に関する変数Fmaxが、1だけ増加される。行1410は、図11Aから11Cに関連して説明した範囲に関する考慮点に基づいて、観察が与えられた可能サンプル・ポイントR[vi]である、各サンプル・ポイントsに対して実行されるForループを開始する。
行1412は、If...Then構造を開始し、そのThen部分は、サンプル・ポイントsが候補サンプル・ポイントのセットCのメンバでない場合に実行される。行1414で、サンプル・ポイントsが候補サンプル・ポイントのセットCに加えられる。行1416で、ヒット・カウンタF[j]が1に初期設定される。If...Then構造のElse部分は行1418を含み、ここでヒット・カウンタF[j]が1だけ増加される。いくつかの実施では、ヒット・カウンタF[j]に追加される値は1に固定されず、観察される値の尤度に依存する。
行1420は、アルゴリズム1400の第2の部分を開始する。行1420では、関連サンプル・ポイントのセットが空のセットに初期設定される。行1422は、候補サンプル・ポイントのセットCにおいて各サンプル・ポイントsに対して実行されるForループを開始する。行1424は、可聴アクセス・ポイント数Fmaxからヒット・カウンタF[j]を減じた数が、ある許容マージンKより小さいかまたは等しい場合に実行される、If...Then構造である。行1426で、サンプル・ポイントsがセットRに加えられる。最後に、行1428で、結果として生じた関連サンプル・ポイントのセットRが呼び出し元アプリケーションに戻される。
許容マージンKの有意性は以下の通りである。K=0の場合、アルゴリズム1400は、サンプル・ポイントが観察ベクトル
Figure 0004904137
内のあらゆる信号パラメータ値にとって可能なサンプル・ポイントである場合に限って関連するとみなされるという意味において、図11A〜11C、特に図11Cに示された手順どおりに動作する。しかしながら、K=0の値が課す基準が厳密すぎて、関連アクセス・ポイントの空または非常に少ないセットを生成してしまう場合がある。n=1、2、...のK=nの値は、サンプル・ポイントが、たとえ図11Cに示されたセットR1...R3のn内に存在しない場合であっても、関連するとみなされることを意味する。
図15は、図12A〜14に示された単一ピーク例の複数ピークへの拡張を示す図である。参照番号1502は、しきい値レベル1504が曲線1506と交差する、X−Y座標系を示す。図15は、曲線1506がしきい値レベル1504よりも上になる2つの領域を示す。領域Aはxからxまで延在し、領域Aはxからxまで延在する。参照番号1508によって示される条件が満たされるように、しきい値レベル1504が設定されると考える。プレーン・テキストで、条件1508は、ピーク領域A、A、...にわたって計算される確率P(V=x)の積分が、1−εに等しいことを示す。
本発明のいくつかの実施形態では、データ・モデルは確率モデルではない。たとえば、サンプル・ポイントは、平均、中央値、最低、または最高などの、測定可能な物理量のいくつかの統計要約のみを含むことができる。また、サンプル・ポイントは、1つまたは複数の観察結果を、最初に測定されたか、または観察結果から導出された何らかの値として含むことができる。さらに、サンプル・ポイントが、レイ・トレーシング技法などのコンピュータ・シミュレーションから取得された値を含むことも可能である。
本発明のいくつかの実施形態では、関連性基準は、サンプル・ポイントに関連付けられた値までの距離に基づくものとすることができる。たとえば、xがサンプル・ポイントsに関連付けられたアクセス・ポイントaに対する信号値の場合、信号値領域の上限および下限は所定のマージンzを使用して、次のように定義することができる。
min=x−z
max=x+z
グラフおよび履歴ベースの位置決定を伴う関連性インジケータ
位置決定の不確実性は、参照文書1に開示されたグラフ・ベースの位置決定技法を伴う関連性インジケータを使用することによって、さらに削減することができる。この文書では、隠れマルコフ・モデルに関連したグラフ・ベースの位置決定技法を開示するが、本発明は隠れマルコフ・モデルに制限されるものではない。グラフ・ベースの位置決定は、次のように要約することができる。トポロジ・グラフとは、無線通信環境のトポロジをモデル化するものである。トポロジ・グラフはノード・セットを示し、各ノードは位置決定環境において許容されるロケーションを示す。トポロジ・グラフは弧のセットも示し、各弧は2つのノード間での許容されるターゲット・オブジェクトの移行を示す。トポロジ・グラフを使用し、データ・モデルおよび一連の観察に基づいてターゲット・オブジェクトのロケーションが推定される。たとえば、位置決定環境のトポロジをモデル化するトポロジ・グラフを使用して、不可能なロケーションおよび/またはロケーション間での不可能な移行を除外することができる。
図16は、本発明の関連性インジケータに関連したグラフ・ベースの位置決定技法の使用を示す図である。図16に示された例では、トポロジ・グラフTGが位置決定環境において許容されるロケーションおよび移行をモデル化する。この単純な例に示されるトポロジ・グラフTGは、参照番号N1〜N20で示された20個のノードを含む。この例では、ノードN1〜N20はデータ・モデルのサンプル・ポイントでもある。参照記号T1〜T4は、4つの異なる時間インスタンスでのターゲット・オブジェクトのロケーションを示す。参照記号S11〜S14は、関連サンプル・ポイントの4つの異なるセットを示し、各セットが異なる時間インスタンスT1〜T4に対応する。関連サンプル・ポイントのセットは、本明細書で前述した関連性インジケータによって決定することができる。
図1610は、時間T1〜T4で可能なターゲット・オブジェクトのロケーションの決定を示す。時間T1で、関連ポイントのセットS11は、4つのX記号で示されるサンプル・ポイント(ノード)N3〜N6を含む。時間T2で、関連ポイントのセットS12はノードN6、N7、N14、およびN15を含む。時間T3で、関連サンプル・ポイントのセットS13はノードN6〜N9を含む。最後に時間T4で、関連サンプル・ポイントのセットS14はノードN1、N9〜N13、およびN18を含む。
この例では、ターゲット・オブジェクトは静止できるか、または1つのノードからそのすぐ隣へは移動できるが、1時間単位中に2つまたはそれ以上のノード間弧を飛び越えるだけの十分な速さでは移動できないものと、想定する。時間T1で使用可能な情報に基づけば、ノードN3〜N6のそれぞれは、たとえすべてのロケーションが等しく可能でなくとも、可能なターゲット・オブジェクトのロケーションである。しかし、時間T2では、単位時間あたり最高でも1ノード間ジャンプという規則によれば、時間T1のノードN3およびN4は、これらのノードのどちらからもT2で可能なノードへとターゲット・オブジェクトが移動できないために、除外される。同じ規則によって、時間T2のノードN14およびN15は、これらのノードがT1での可能なノードのセットから到達不可能であるため、除外される。
時間T3では、関連サンプル・ポイントのセットS13はノードN6〜N9を含む。しかし、単位時間あたり最高でも1ノード間ジャンプという規則によれば、N9は時間T2のいかなる可能なノードからも2ノード間ジャンプであるため、ノードN9は除外される。最後に、時間T4では、ターゲット・オブジェクトのロケーションはノードN9に固定することができるが、関連サンプル・ポイントのセットS14はノードN1、N10〜N13、およびN18も含む。しかし、T3のいかなる可能なノードからも1ノード間ジャンプによって到達できるノードは、N9のみである。
時間T1からT4でのターゲット・オブジェクトの移行履歴を使用して、ターゲット・オブジェクトの現在のロケーションに関する位置決定の不確実性を削減することに加えて、ターゲット・オブジェクトの前のロケーションに関する不確実性も削減(または消去)できることがわかる。前述のように、時間T1で使用可能な情報に基づけば、ターゲット・オブジェクトはノードN3〜N6のいずれにも存在可能である。しかし、位置決定エンジンが自由に使用できる全移行履歴(この例では4ステップ)を有する場合、位置決定エンジンは、ターゲット・オブジェクトのパスを、図1610で4つの円で示されるようにN6〜N7〜N8〜N9として確立することができる。
図16に関連して本明細書で、および前述のPCT出願でより詳細に説明した、グラフ・ベースの位置決定を使用して、不可能な移行を必要とするいくつかのノードを除外することができるため、位置決定の不確実性をさらに削減することができる。グラフ・ベースの位置決定を使用して、不可能な移行を必要とするサンプル・ポイント(ノード)を計算から省略できるため、本発明の主要な目的である計算上の負荷を削減することも可能である。この例では、時間T4の関連サンプル・ポイントのセットS14は7つのノード(N1、N9〜N13、およびN18)を含むが、ターゲット・オブジェクトの全移行履歴が考慮される場合、可能なノードは1つ、すなわちN9のみである。
前述の例は、隠れマルコフ・モデル・ベースの技法を使用して、正式に説明することができる。L(s)が、セットs内のサンプル・ポイントの近傍セット、すなわち、セットs内のサンプル・ポイントから1ステップで到達可能なサンプル・ポイントを示すものとする。L(R)は、以下のように、関連サンプル・ポイントの近傍セットを示す。
Figure 0004904137
続いて、HMM、HMM、...HMM、は隠れマルコフ・モデルにおける連続する観察サイクルを示す。関連サンプル・ポイント(R)のセットは以下の通りである。
HMM:RHMM/1=R⊆S
HMM:RHMM/2=R∩L(RHMM/1
HMM:RHMM/i=R∩L(RHMM/i−1
この特徴は、図1610で水平バーによって示されている。点線の水平バーは関連サンプル・ポイントの近傍を示し、実線の水平バーは不可能な移行を除外した後の関連サンプル・ポイントの近傍を示す。本発明の技法は、HMMを考慮することにより、関連すると思われるサンプル・ポイントのセットRHMM/1...i内に属するサンプル・ポイントに関してのみ観察確率を計算すればよいため、計算負荷を削減することがわかる。
関連サンプル・ポイントのセットRHMM/kが空であるか、またはかなり空に近い場合、これは何らかの予期せぬ事態が起こったことを意味し、位置決定を再開する前に何らかの手段を講じるべきである。たとえば、観察される信号が一時的に遮断された、データ・モデルが期限切れである、ターゲット・オブジェクトに取り付けられた感知デバイスが誤動作している、などの可能性がある。問題が持続する場合は、警告が起動されるはずである。
図16に関連して説明した例では、ターゲット・オブジェクトTOのロケーションがトポロジ・グラフTGに沿ったノードのうちの1つであるとみなされるような、トポロジ・グラフTGが使用された。代替の実施では、ターゲット・オブジェクトのロケーションは、トポロジ・グラフTGに沿った任意のポイントである、すなわち、必ずしも所定のノードN1〜N20のうちの1つではない、として解釈される。他の実施では、ターゲット・オブジェクトのロケーションは、通路幅の半分などの、所定のマージン以下だけトポロジ・グラフTGとは異なる距離の任意のポイントとして解釈される。さらにトポロジ・グラフTGは、長いパスをモデル化するのに好適な弧と、大部屋などのオープン・スペースをモデル化するのに好適な領域との、組合せを含むことができる。
当業者であれば、技術の進歩につれて、本発明の概念が様々な方法で実施できることが容易に理解されよう。本発明およびその諸実施形態は前述の例に限定されず、特許請求の範囲内で変更することが可能である。
参照文書
1.WO2004/008795号は、ターゲット・オブジェクトの通信環境のトポロジをモデル化するグラフを使用する、ロケーション決定技法を開示する。
2.WO03/102622号は、無線環境におけるターゲットのロケーション探索のための技法を開示する。この技法は無線環境の複数のサブモデルを使用し、各サブモデルは無線環境における1つまたは複数のロケーションでの信号値に関する確率分布を示す。サブモデルは、環境における信号値の確率分布を示す環境の確率モデルと組み合わされる。
3.WO2004/008796号は、信号品質パラメータの異なるターゲット・オブジェクトの観察結果間の相違を補償する、複数のデバイス・モデルを決定するステップと、複数のデバイス・モデル間で特定のターゲット・オブジェクトに対する特定のデバイス・モデルを選択するステップとを含む、ロケーション決定技法を開示する。
4.WO02/054813号は、無線通信環境において受信機のロケーションを推定するための方法および装置を開示する。
上記参照文書は、参照により本明細書に組み込まれた、本願の所有者が所有する特許明細書である。
本発明の動作原理を示す図である。 ターゲット・オブジェクトのロケーションおよび速度を追跡するための子孫パーティクルの作成の一例を示す図である。 本発明およびその諸実施形態の様々な要素間の関係を示す図である。 図3Aに示されたエンティティの実世界エンティティへのマッピングを示す図である。 環境の確率モデルに基づいてパーティクルの確率を決定するための技法を示す図である。 環境内での許容されるロケーションおよび/または移行を示す、トポロジ・モデルの様々な実施および適用例を示す図である。 環境内での許容されるロケーションおよび/または移行を示す、トポロジ・モデルの様々な実施および適用例を示す図である。 環境内での許容されるロケーションおよび/または移行を示す、トポロジ・モデルの様々な実施および適用例を示す図である。 環境内での許容されるロケーションおよび/または移行を示す、トポロジ・モデルの様々な実施および適用例を示す図である。 親パーティクルから子孫パーティクルのセットを導出するために動きモデルがどのように使用できるかを示す図である。 複数の異なる動きモデルが初期にターゲット・オブジェクトに割り当てられる実施形態を示す図である。 子孫パーティクルが複数の親パーティクルから属性を引き継ぐ実施形態を示す図である。 ターゲット・オブジェクトのロケーション推定に関して信頼測度を決定するための技法を示す図である。 過去に関する不確実性を削減するためにパーティクル・セットの将来に関する情報をどのように使用するかを示す図である。 ターゲット・オブジェクトと、3つのアクセス・ポイントおよびいくつかのサンプル・ポイントを備えた無線ネットワークのセクションとを示す図である。 1つのサンプル・ポイントおよび3つのアクセス・ポイントに関する可能な信号品質値の範囲を示す図である。 関連するサンプル・ポイントのセットを取得するプロセスを示す図である。 信号パラメータ値が連続値として扱われるケースを示す図である。 信号パラメータ値が連続値として扱われるケースを示す図である。 関連するサンプル・ポイントのセットを初期設定するための初期設定アルゴリズムを示す図である。 関連するサンプル・ポイントのセットを見つけるためのアルゴリズムを示す図である。 図12A〜14に示された単一ピーク例の複数ピークへの拡張を示す図である。 本発明の実施形態の関連性インジケータに関連したグラフ・ベースの位置決定技法の使用を示す図である。
符号の説明
101 パス
111 ターゲット・オブジェクトのロケーション
112 パーティクル
113 確率曲線
114 重み決定ステップ
115 重み付けされたパーティクル
116 子孫作成ステップ
119 高確率領域
121 ロケーション
122 パーティクル
123 確率曲線
124 重み決定ステップ
125 重み付けされたパーティクル
126 子孫作成ステップ
131 ロケーション
132 パーティクル
133 確率曲線
134 重み決定ステップ
135 重み付けされたパーティクル
136 子孫作成ステップ
139 高確率領域
141 ロケーション
142 パーティクル
143 確率曲線
144 重み決定ステップ
145 重み付けされたパーティクル
211 速度
215 パーティクル
216 子孫作成ステップ
217 速度
221 ロケーション
222 子孫
224 重み決定ステップ
225 重み決定ステップ
226 子孫作成ステップ
237 矢印
242 パーティクル
244 重み決定ステップ
302 人物
304 フロア・プラン
401 サンプル・ポイント
402 サンプル・ポイント
403 ロケーションX
411 確立分布
412 確立分布
421 累積分布
422 累積分布
423 ロケーションの累積分布
430 数式
500 トポロ
501 部屋のレイアウト
503 小部屋
504 小部屋
505 小部屋
506 大部屋
507 通路
510 トポロジ・グラフ
512 ノード
513 ノード
514 孤
522 パーティクル
524 子孫
526 速度セット
530 トポロジ・モデル
531 ノード
532 ノード
533 ノード
534 ノード
535 ノード
536 ノード
537 多角形
538 円
602 パーティクル
604 ロケーション
606 ロケーション
608 ロケーション
610 ライン
612 子孫パーティクル
711 ロケーション
712 パーティクル
713 曲線
714 曲線
715 パーティクル
716 子孫生成ステップ
721 ロケーション
722 子孫パーティクル
723 曲線
724 パーティクル
725 パーティクル
726 子孫生成ステップ
731 更新サイクル
732 更新サイクル
733 更新サイクル
734 更新サイクル
735 更新サイクル
736 更新サイクル
742 パーティクル
800 プロパティ・セット
801 X
802 Y
803 インジケーション
804 インジケーション
805 プロパティ
810 属性セット
820 属性セット
830 子孫パーティクル
840 子孫パーティクル
850 子孫パーティクル
860 子孫パーティクル
902 ロケーション
904 サブセット
906 パーティクル・セット
1000 フロア・プランまたはトポロジ・モデルの断片
1002 ノード
1010 重みの合計
1122 信号パラメータ
1123 信号パラメータ
1131 データ構造
1132 データ構造
1133 データ構造
1202 x軸
1204 y軸
1206 確率分布
1210 信号パラメータ
値 vmin
1212 信号パラメータ
値 vmax
1226 累積確率分布
1228 網掛け領域
1302 行
1304 行
1306 行
1308 行
1310 行
1314 行
1400 アルゴリズム
1402 行
1404 行
1406 行
1408 行
1410 行
1412 行
1414 行
1416 行
1418 行
1420 行
1422 行
1424 行
1426 行
1428 行
1502 X−Y座標系
1504 しきい値レベル
1506 曲線
1508 条件
1610 図

Claims (25)

  1. 環境(EN、RN)においてターゲット・オブジェクト(TO)のプロパティ・セット(SP)を推定するための方法であって、前記プロパティ・セットはロケーションを含み、
    トポロジ・モデル(TM)およびデータ・モデル(DAM)によって前記環境をモデル化するステップであって、前記トポロジ・モデル(TM)は、前記環境内の許容されるロケーションおよび移行を示し、前記データ・モデルは、前記トポロジ・モデル(TM)によって示されたいくつかの許容されるロケーションのそれぞれについて少なくとも1つのロケーションに依存した物理量(PQ)を示す、モデル化するステップと、
    1つまたは複数の動きモデル(MM)によって前記ターゲット・オブジェクト(TO)のロケーション変更特徴をモデル化するステップであって、各動きモデルは、特定タイプのターゲット・オブジェクトをモデル化し、前記トポロジ・モデル(TM)によって示された許容されるロケーションおよび移行に従う、モデル化するステップと、
    それぞれが1つまたは複数の前記ロケーションに依存した物理量(PQ)を観察(OS)することが可能な、1つまたは複数の共同設置感知デバイス(SD)を、前記ターゲット・オブジェクト(TO)に関連付けるステップと、
    それぞれが属性セット(AS)を有するパーティクルのセット(P、112、122、...)を、前記ターゲット・オブジェクトに割り当てるステップであって、前記属性セットは前記トポロジ・モデル(TM)に関して少なくとも1つのロケーションを有する、割り当てるステップと、
    前記ターゲット・オブジェクトに割り当てられた前記パーティクル(P)の前記属性セット(AS;112、122、...)を使用して、前記ターゲット・オブジェクト(TO)の前記プロパティ・セット(SP;111、121、131、141)を推定するステップと、
    複数の更新サイクルにおいて前記パーティクル・セットを更新するステップであって、各更新サイクルは、
    a)前記ターゲット・オブジェクト(TO)に関連付けられた少なくとも1つの感知デバイス(SD)からの前記データ・モデル(DM)および観察(OS)を使用して、前記ターゲット・オブジェクトの前記プロパティ・セット(SP)を正確に推定するために、各パーティクル(P)の信頼度(113、123、...)を決定する段階と、
    b)少なくとも前記決定された信頼度に基づいて、各パーティクルの重み(115、125、...)を決定する段階と、
    c)更新サイクルn+1に関する新しいパーティクル・セットを生成する段階であって、
    前記新しいパーティクル(122、132、142;612)のうちの少なくともいくつかが、更新サイクルn(112、122、132;602)に関する1つまたは複数の親パーティクルに基づき、
    更新サイクルnに関するパーティクルが更新サイクルn+1において新しいパーティクルに関する親パーティクルとして選択されることになる可能性が、前記パーティクルの前記重みの非減少関数であり、
    更新サイクルn+1に関する新しいパーティクルの前記属性セットが、前記1つまたは複数の動きモデル(MM)および所定のアルゴリズム(600)のうちの少なくとも1つを使用して、更新サイクルnに関する1つまたは複数の親パーティクルの前記属性セットから導出される、
    生成する段階と、
    を含む、更新するステップと、
    を含む、方法。
  2. 更新サイクルkに対して重み付けされたパーティクルのスナップショットを生成するステップであって、前記スナップショットは更新サイクルkに対する一部またはすべてのパーティクルを含む、生成するステップと、以下の再帰的規則によって定義された重みを各パーティクルに割り当てるステップと、nは前記重みが決定された最新の更新サイクルであって、
    kがnに等しい場合、パーティクルの前記重みは請求項1のステップbで決定された前記重みに基づき、
    kがnより小さい場合、パーティクルの前記重みは更新サイクルk+1に対して生成されたスナップショットに存在する前記パーティクルのすべての直接の子孫の重み合計に基づく、
    更新サイクルkで前記ターゲット・オブジェクト(TO)のプロパティ・セット(SP)を推定するために前記スナップショットを使用するステップと、
    をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. 更新サイクルkに対して重み付けされたパーティクルの前記スナップショットを、1つまたは複数のクラスタに分割するステップであって、各クラスタは1つまたは複数の所定の類似基準に従って互いに類似するパーティクルを含む、分割するステップと、
    少なくとも1つのクラスタを選択するステップ、前記選択されたクラスタ内のパーティクルおよび重みを使用することによって、選択された各クラスタに対する更新サイクルkでの前記ターゲット・オブジェクト(TO)の前記プロパティ・セット(SP)を推定するステップ、および前記クラスタ内にないパーティクルおよび重みを除外するステップと、
    をさらに含む、請求項2に記載の方法。
  4. 前記1つまたは複数の所定の類似基準のうちの少なくとも1つは、前記パーティクルのロケーションに基づくものであり、これによって各クラスタは互いに近いパーティクルを含む、請求項3に記載の方法。
  5. 複数の所定のゾーンを維持するステップであって、各ゾーンは前記トポロジ・モデル(TM)の1つまたは複数の許容されるロケーションを含む、維持するステップをさらに含み、
    前記1つまたは複数の所定の類似基準のうちの少なくとも1つは、前記複数のゾーンに基づき、ロケーションが同じゾーンに属するパーティクルは同じクラスタに属する、
    請求項3または4に記載の方法。
  6. クラスタを使用して生成された推定に信頼値を関連付けるステップをさらに含み、前記信頼値は、前記クラスタ内のパーティクルの前記重み合計を前記スナップショット内の重み合計で割った値に基づく、請求項3、4、または5に記載の方法。
  7. 前記ターゲット・オブジェクト(TO)の推定されたプロパティ・セット(SP)は、環境(EN)内の少なくとも1つの空間プロパティ(SP)を含み、前記方法は、
    前記データ・モデル(DAM)で前記少なくとも1つの空間プロパティをモデル化するステップであって、前記データ・モデルは前記環境内のいくつかのロケーションそれぞれに関する前記空間プロパティ(SP)を示す、モデル化するステップをさらに含み、
    前記ターゲット・オブジェクト(TO)のプロパティ・セット(SP)を推定するステップは、
    前記パーティクルのロケーションで前記空間プロパティを示すために前記データ・モデル(DAM)を使用して、各パーティクルについて前記空間プロパティのパーティクル特有の推定を生成するステップと、
    各パーティクルの重みを使用してパーティクル特有の推定を結合するステップと、
    を含む、請求項3から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記データ・モデル(DAM)は、前記トポロジ・モデル(TM)によって示される許容されるロケーションでの少なくとも1つのロケーションに依存した物理量(PQ)に関する確率分布(411、412)を示す確率モデルであるか、または確率モデルを含み、パーティクルに関する信頼度を決定するステップは、
    前記データ・モデル(DAM)を使用することによって、前記パーティクルの前記ロケーションでのロケーションに依存した物理量に関する確率分布(411、412)を示すステップと、
    前記ターゲット・オブジェクト(TO)に関連付けられた少なくとも1つの感知デバイス(SD)からの前記物理量(PQ)の観察の確率を決定するために、前記示された確率分布を使用するステップと、
    を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記データ・モデル(DAM)は、いくつかのサンプル・ポイント(401、402)での少なくとも1つのロケーションに依存した物理量(PQ)に関する確率分布(411、412)を示す確率モデルであるか、または確率モデルを含み、確率分布を示すステップは、
    前記パーティクルの前記ロケーション近くの少なくとも2つのサンプル・ポイントを選択するステップと、
    前記選択されたサンプル・ポイント(401、402)での前記物理量に関する前記確率分布(411、412)を組み合わせるステップと、
    を含む、請求項8に記載の方法。
  10. 前記確率分布を組み合わせるステップは、
    選択された各サンプル・ポイント(401、402)に関する累積分布関数(421、422)を形成するステップ、およびそれぞれの前記累積分布関数を相対重みによって重み付けするステップと、
    前記重み付けされた累積分布関数の組合せ(423)を形成するステップと、
    を含む、請求項9に記載の方法。
  11. 前記トポロジ・モデル(TM、530)は、前記許容されるロケーションおよび移行を示すためのノードおよび前記ノード(531〜536)間の弧を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記トポロジ・モデル(TM、530)は、前記許容されるロケーションおよび移行を示すためのノードおよび前記ノード(531〜536)間の弧を含み、少なくとも2つのサンプル・ポイントを選択するステップは、前記弧をたどることによって前記パーティクルの前記ロケーションから到達することができる前記サンプル・ポイントのうちの少なくとも2つを選択するステップを含む、請求項9、10、または11に記載の方法。
  13. 前記ターゲット・オブジェクトの動きモデルを適応的に選択するステップをさらに含み、前記適応的な選択は、
    各パーティクル(P)について特定の動きモデル(MM)を選択するステップ、およびパーティクルの前記属性セット(AS)を前記パーティクルについて選択された前記動きモデルへの参照を含むように設定するステップを含み、
    1つまたは複数の親パーティクルの前記属性セットから新しいパーティクルの属性セットを導出するステップは、前記親パーティクルの前記属性セットによって参照される前記動きモデルを使用するステップを含む、
    請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
  14. それぞれが1つまたは複数の感知デバイス(SD)の観察を修正することが可能な複数のデバイス・モデル(DM)を維持するステップと、
    共同設置された前記感知デバイス(SD)のうちの少なくとも1つについて特定のデバイス・モデル(DM)を選択するステップと、
    前記選択されたデバイス・モデル(DM)を使用して前記共同設置された感知デバイス(SD)のうちの少なくとも1つの観察を修正するステップと、
    をさらに含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記少なくとも1つのデバイス・モデル(DM)を適応的に選択するステップをさらに含み、前記適応的に選択するステップは、
    各パーティクル(P)について少なくとも1つの特定のデバイス・モデル(DM)を選択するステップ、および前記パーティクルについて選択された各デバイス・モデルへの参照を含むようにパーティクルの前記属性セット(AS)を設定するステップと、
    前記パーティクル(P)の信頼度(113、123、...)を決定するステップの前に、前記少なくとも1つの感知デバイス(SD)からの観察(OS)を修正するように前記パーティクルの前記属性セット(AS)によって参照される各デバイス・モデルを適用するステップと、
    を含む、請求項14に記載の方法。
  16. 前記データ・モデルは、複数のサンプル・ポイント(S1〜S9)のそれぞれについて前記ロケーションに依存した物理量の予測値セットを示し、
    関連サンプル・ポイントの1つまたは複数のセット(R1〜R3)を示すための関連性インジケータのセット(121A〜123B;131A〜133B)を維持するステップであって、前記関連サンプル・ポイントの1つまたは複数のセットは前記データ・モデル内の前記サンプル・ポイント(S1〜S9)のサブセットである、維持するステップと、
    前記1つまたは複数のロケーションに依存した物理量(PQ)の前記観察(OS)および前記関連性インジケータのセットに基づいて、関連サンプル・ポイントの現在のセット(R)を決定するステップと、
    計算の効率を上げるために前記関連サンプル・ポイントの現在のセット(R)を使用するステップと、
    をさらに含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記関連サンプル・ポイントの現在のセット(R)から遠くはなれて配置されているパーティクルを廃棄するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
  18. 請求項1のステップa)は、さらなる計算なしに、前記関連サンプル・ポイントの現在のセット(R)から遠くにあるパーティクルに最低の信頼度を割り当てるステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
  19. 請求項1のステップc)は、前記関連サンプル・ポイント近くにいくつかの追加の親なしパーティクルを生成するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
  20. 前記1つまたは複数の物理量は少なくとも1つの信号値を含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記プロパティ・セット(SP)は1つまたは複数の動きプロパティを含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 環境(EN、RN)においてターゲット・オブジェクト(TO)のプロパティ・セット(SP)を推定するためのプロパティ推定装置であって、前記プロパティ・セットはロケーションを含み、
    前記環境内の許容されるロケーションおよび移行を示すためのトポロジ・モデル(TM)、および前記トポロジ・モデル(TM)によって示されたいくつかの許容されるロケーションのそれぞれについて少なくとも1つのロケーションに依存した物理量(PQ)を示すためのデータ・モデル(DAM)と、
    前記ターゲット・オブジェクト(TO)のロケーション変更特徴をモデル化するための1つまたは複数の動きモデル(MM)であって、各動きモデルは、特定タイプのターゲット・オブジェクトをモデル化し、前記トポロジ・モデル(TM)によって示された許容されるロケーションおよび移行に従う、動きモデル(MM)と、
    1つまたは複数の共同設置感知デバイス(SD)の前記ターゲット・オブジェクト(TO)への関連付けであって、感知デバイスはそれぞれが1つまたは複数の前記ロケーションに依存した物理量(PQ)を観察(OS)することが可能な、関連付けと、
    それぞれが属性セット(AS)を有するパーティクルのセット(P、112、122、...)を、前記ターゲット・オブジェクトに割り当てるための手段であって、前記属性セットは前記トポロジ・モデル(TM)に関して少なくとも1つのロケーションを有する、割り当てるための手段と、
    前記ターゲット・オブジェクトに割り当てられた前記パーティクル(P)の前記属性セット(AS;112、122、...)を使用して、前記ターゲット・オブジェクト(TO)の前記プロパティ・セット(SP;111、121、131、141)を推定するためのプロパティ推定装置と、
    複数の更新サイクルにおいて前記パーティクル・セットを更新するための更新手段であって、各更新サイクルは、
    a)前記ターゲット・オブジェクト(TO)に関連付けられた少なくとも1つの感知デバイス(SD)からの前記データ・モデル(DM)および観察(OS)を使用した、前記ターゲット・オブジェクトの前記プロパティ・セット(SP)を正確に推定するための、各パーティクル(P)の信頼度(113、123、...)の決定と、
    b)少なくとも前記決定された信頼度に基づいた、各パーティクルの重み(115、125、...)の決定と、
    c)更新サイクルn+1に関する新しいパーティクル・セットの生成であって、
    前記新しいパーティクル(122、132、142;612)のうちの少なくともいくつかが、更新サイクルn(112、122、132;602)に関する1つまたは複数の親パーティクルに基づき、
    更新サイクルnに関するパーティクルが更新サイクルn+1において新しいパーティクルに関する親パーティクルとして選択されることになる可能性が、前記パーティクルの前記重みの非減少関数であり、
    更新サイクルn+1に関する新しいパーティクルの前記属性セットが、前記1つまたは複数の動きモデル(MM)および所定のアルゴリズム(600)のうちの少なくとも1つを使用して、更新サイクルnに関する1つまたは複数の親パーティクルの前記属性セットから導出される、
    生成と、
    を含む、更新手段と、
    を含む、プロパティ推定装置。
  23. 前記パーティクルの属性における変動性と、
    前記プロパティ推定装置によって処理されるターゲット・オブジェクトの数と、
    前記プロパティ推定に関する品質要件と、
    前記ターゲット・オブジェクトに割り当てられた優先順位と、
    単位時間あたりに前記感知デバイスから受信する観察セットの組合せレートと、
    前記ターゲット・オブジェクトの動き履歴と、
    前記プロパティ推定装置の全体負荷と、
    のうちの1つまたは複数に基づいて、ターゲット・オブジェクトに割り当てられるパーティクルの数を動的に調整するための手段をさらに含む、請求項22に記載のプロパティ推定装置。
  24. 前記パーティクルの属性における変動性と、
    前記プロパティ推定装置によって処理されるターゲット・オブジェクトの数と、
    前記プロパティ推定に関する品質要件と、
    前記ターゲット・オブジェクトに割り当てられた優先順位と、
    単位時間あたりに前記感知デバイスから受信する観察セットの組合せレートと、
    前記ターゲット・オブジェクトの動き履歴と、
    前記プロパティ推定装置の全体負荷と、
    のうちの1つまたは複数に基づいて、更新サイクル間の時間間隔を動的に調整するための手段をさらに含む、請求項22または23に記載のプロパティ推定装置。
  25. コンピュータ・プログラム製品がデータ・プロセッサ内で実行された場合、請求項1の方法を実施するためのプログラム・コード手段を含む、データ・プロセッサ用のコンピュータ・プログラム製品。
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