JP4899524B2 - 磁気センサ制御装置、磁気測定装置、並びにオフセット設定方法及びプログラム - Google Patents
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Description
母集団の要素に偏りがなく、特異な要素が排除されているような母集団を用いて統計処理によってオフセットに対応する球の中心が算出されるならば、球の中心としてある程度確からしい点を算出することができるが、母集団要素が蓄積されるまではオフセットを更新することができない。球面上の2点の垂直二等分面はその球面の中心を通る。3次元磁気センサから出力される磁気データを成分とする多数の点が特定の球面から近距離の範囲に分布している場合、それらの多数の点を2つ1組にすると、各組の垂直二等分面はその球面の中心近くを通る。互いに平行でない複数のそれらの垂直二等分面を考えるとき、ある基点からある垂直二等分面に垂直に下ろす線分上の点を求め、求めたその点から別の垂直二等分面に下ろす線分上の点を求め、新たに求めたその点からまた別の垂直二等分面に垂直に下ろす線分上の点を求めるという処理を繰り返すことにより、求まる点は球の中心近くに収束する。二次元の場合についても同様に、2次元磁気センサから出力された磁気データから2つ1組毎に算出された複数の垂直二等分線を考えると、ある基点からある垂直二等分線に垂直に下ろす線分上の点で基点を更新する処理を繰り返すと、基点は円の中心近くに収束する。このようにして逐次更新される基点の成分に基づいてオフセットを更新することにより、母集団要素を蓄積し統計処理によってオフセットを更新する場合と比較してオフセットが更新されない空白時間を短縮することができる。
逐次更新処理の結果、基点が真のオフセットに対応する点から遠い位置に更新されたとしても、統計的手法によって算出された球面又は円周の中心に基点がさらに更新されれば、その後の逐次更新では精度良くオフセットを更新することができる。
着磁成分の変化によって真のオフセットが変化した時、変化前に蓄積された母集団要素を破棄することにより、変化前の着磁成分の影響を受けていない母集団要素に基づいて、変化後の真のオフセットとの誤差の少ないオフセットに更新することができる。
球面上に存在する2点の垂直二等分面は、その球の中心を通る。地磁気の強さが異なる場所で磁気データを入力すると、それらの磁気データに対応する点は、測定誤差等を除外すると理論的には地磁気の強さと対応する大きさを半径とする球面上に存在する。入力された2つ1組の磁気データ毎に複数の垂直二等分面を算出する構成では、各垂直二等分面を算出するための各組の磁気データがほぼ同一の地磁気の強さで入力されたものであれば、算出された各垂直二等分面は、それぞれの磁気データが入力された時点の地磁気の強さに半径が対応する同心球の中心付近を通る。したがって、複数の垂直二等分面を用いた最小二乗法によって球面の中心を算出すると母集団要素が蓄積される期間中に地磁気の強さが変動する場合であっても真のオフセットとの誤差が小さい点の成分に基づいてオフセットを更新することができる。同様に複数の垂直二等分線を用いた最小二乗法によって円周の中心を算出すると母集団要素が蓄積される期間中に地磁気の強さが変動する場合であっても真のオフセットとの誤差が小さい点の成分に基づいてオフセットを更新することができる。
磁気データ自体の誤差に着目すれば、オフセットに対応する基点を更新するために用いられる垂直二等分面又は垂直二等分線を規定する2点と真のオフセットに対応する点とを結ぶ2直線のなす角が小さいほど、それら2点の垂直二等分面又は垂直二等分線と真のオフセットに対応する点との距離が大きくなる傾向がある。したがって、ある程度離れた2点が1組となるように磁気データを選抜し、各組について垂直二等分面又は垂直二等分線を求めることにより、オフセットを求める精度を上げることができる。また地磁気の強さの変化に着目すれば、1組の要素となる2点に対応する磁気データが出力される時期のずれが小さいほど、それら2点の垂直二等分面又は垂直二等分線と真のオフセットに対応する点との距離が小さくなる。したがって、2つ1組の磁気データを入力順に選抜し、選抜された磁気データの組毎に垂直二等分面又は垂直二等分線を算出することにより、オフセットを求める精度を上げることができる。
オフセットに対応する基点を更新するために連続して用いられる2つの垂直二等分面又は垂直二等分線が平行に近いほど、それらが交わる線又は点と真のオフセットに対応する点との距離は大きくなる。本発明の一括更新手段では母集団要素として各垂直二等分面又は垂直二等分線からの誤差が最小である点を算出しオフセットを更新するアルゴリズムであるため、既に選抜された垂直二等分面又は垂直二等分線と交わる線又は点と真のオフセットに対応する点との距離が大きいと算出されるオフセットと真のオフセットとの誤差も大きくなる。そのため、既に選抜された垂直二等分面又は垂直二等分線とのなす角はある程度大きいことが望ましい。また、逐次更新手段では、基点を垂直二等分面又は垂直二等分線が交わる線又は点の近くに収束させるアルゴリズムを採用しているため、オフセットに対応する基点を更新するために連続して用いられる2つの垂直二等分面又は垂直二等分線のなす角はある程度大きいことが望ましい。尚、垂直二等分面又は垂直二等分線とのなす全ての角とは、二平面のなす4つの角又は二直線のなす4つの角を指し、4つの角のそれぞれが所定角度以上になる垂直二等分面又は垂直二等分線が選抜される。
一時的な外乱によって真のオフセットに対応する点から遠い垂直二等分面又は垂直二等分線が求められた場合には、それらを用いて基点の更新処理が行われると、外乱によるオフセットの算出誤差が発生する。基点から垂直二等分面又は垂直二等分線に垂直に下ろす線分上の内分点に基点を更新することにより、そのような誤差を低減することができる。
本実施形態では、3次元磁気センサの出力に含まれる、それが搭載されている移動体の着磁成分と磁気センサ自体の測定誤差を打ち消すためのオフセットを求める。オフセットを求めるためには、3次元磁気センサの出力である磁気データを成分とするベクトル空間内の無数の点の集合を球面として近似する。この球面を方位球の球面というものとする。また測定誤差のない理想的な3次元磁気センサの出力である磁気データを成分とするベクトル空間内の無数の点の集合を真の方位球の球面というものとする。本実施形態では、方位球の中心点の成分がオフセットとして算出される。
図2は本発明が適用される移動体の一例である携帯型電話機1の外観を示す模式図、図3は携帯型電話機1のブロック図である。携帯型電話機1には3次元磁気センサ4が搭載されている。3次元磁気センサは互いに直交するx、y、zの3方向の磁界のベクトル成分を検出することによって磁界の方向および強さを検出する。ディスプレイ5には、文字や画像の各種情報が表示される。例えばディスプレイ5には、地図と方位を示す矢印や文字が表示される。
音声処理部18は、マイクロホン16から入力されるアナログ音声信号のAD変換と、スピーカ50にアナログ音声信号を出力するためのDA変換を行う回路である。
GPS受信部20は、アンテナ21で受信されたGPS衛星からのGPS電波を処理し、現在位置の緯度経度を出力する回路である。
キー入力部48は、文字入力キーを兼ねたダイヤルキー、カーソルキー等を備える。
電子撮像部52は、図示しない光学系、撮像素子、AD変換器等で構成されている。
表示部54は、LCD等のディスプレイ5、図示しない表示制御回路等で構成され、携帯型電話機1の動作モードに応じた各種画面をディスプレイ5に表示する。
報知部58は、図示しない音源回路、着信音スピーカ、バイブレータ、LED等を備え、着信をユーザに報知する。
図1は、本発明を適用した第一のオフセット設定方法における処理の流れを示すフローチャートである。図1に示す一括更新処理及び逐次更新処理は、ナビゲーションプログラムの起動時、着信時、一定時間毎等に起動されるオフセット設定プログラムが制御部45によって実行されることによって並列に進行する。オフセットは、xyzの3成分を有する座標として例えば3つの変数要素からなるデータ構造体として扱われ、一括更新処理及び逐次更新処理は同じオフセットデータ構造体を共用する。一括更新処理及び逐次更新処理によって適宜更新されるオフセットデータ構造体は、ナビゲーションプログラムが必要とするタイミングで参照され、方位データの補正に用いられる。
以下、一括更新処理及び逐次更新処理について詳細に説明する。
ステップS100では最初の基点が設定される。基点はxyzの3成分を有する座標としてデータ構造体に記憶され、ベクトル空間における特定の点の位置を示す。最初の基点は任意に設定しうるが、例えば、ナビゲーションプログラムの前回の終了時に設定されていたオフセットを基点として設定したり、工場出荷時に測定されたオフセットを最初の基点として設定しておくことができる。データ構造体や変数の値は、RAM44に記憶される。
ステップS104では、磁気データが制御部45に入力され、入力された磁気データがp2に設定される。p1に設定される磁気データが入力されてから、p2に設定される磁気データが入力されるまでの時間間隔は任意に設定することができる。磁気データは、xyzの3成分を有する座標としてデータ構造体p2に記憶され、ベクトル空間における特定の点の位置を示す。
p1とp2の距離が近すぎる場合、3次元磁気センサ4自体の測定誤差や3次元磁気センサ4の出力をディジタル値で取り出す際の計算誤差等の影響によって真の方位球の球面からp1とp2がわずかに離れるだけでp1とp2の垂直二等分面と真のオフセットに対応する点との距離が大きく離れるため(図5の一点鎖線参照)、その垂直二等分面を用いてオフセットを算出すると、算出されたオフセットと真のオフセットとの誤差が大きくなる。ステップS106の処理では、あまりに近い2点の垂直二等分面がオフセットの設定に用いられることがないように、入力された磁気データが選抜される。またステップS106の処理では、垂直二等分面を算出するための磁気データが入力順に組み合わせられるため、1つの垂直二等分面が求まる1組の磁気データに対応する地磁気の強さの差を低減することができる。したがって、そのようにして求めた垂直二等分面を用いてオフセットを算出することにより、測定期間中に地磁気の強さの変動の影響を受けにくくなるため、精度良くオフセットを設定することができる。これに対し、図6に示すように入力順があまりに遠い2点の垂直二等分面を算出する場合、測定期間中に2点に対応する各磁気データの地磁気の強さが異なる可能性があるので、算出される垂直二等分面と真のオフセットに対応する点との距離が大きくなる垂直二等分面が算出されるおそれがある。図6で、磁気データの入力順がp1、p2、p1′、p2′、p1″、p2″であるとすると、f5はp1とp1″の垂直二等分面、f6はp2とp2″の垂直二等分面を表している。
基点の更新回数がある程度多くなれば、基点は真のオフセットに対応する点に近い狭い範囲に収束していると考えられる。そこで、基点の更新回数が所定回数に達した場合には、基点の成分がオフセットとして設定される(ステップS118)。具体的には、一括更新処理及び逐次更新処理によって共用されるオフセットデータ構造体に基点の成分が設定される。
ステップS200では、RAM44に記憶されている垂直二等分面群と記憶面数とが初期化される。具体的には、1つの垂直二等分面は、平面の方程式をax+by+cz+d=0とすると、a,b,c,dの値が対応する変数に格納されることによってRAM44に記憶されている。RAM44には、所定個数の垂直二等分面を記憶するための各係数を格納する変数が用意される。記憶面数は、このようにしてRAM44に記憶されている垂直二等分面の個数を格納する変数である。ステップS200では、RAM44に記憶されている垂直二等分面群の各変数の値が破棄され、記憶面数が格納されている変数が0に初期化される。新たにオフセットを更新する毎に記憶されている垂直二等分面を破棄することにより、着磁成分の変化によって真のオフセットが変化した時、変化前の着磁成分の影響を受けていない母集団要素に基づいて、変化後の真のオフセットとの誤差の少ないオフセットに更新することができる。
ステップS204では、磁気データが制御部45に入力され、入力された磁気データがq2に設定される。磁気データは、xyzの3成分を有する座標としてデータ構造体q2に格納されることによってRAM44に記憶され、ベクトル空間における特定の点の位置を示す。
ステップS206では、q1とq2との距離が算出され、その距離が所定値より大きいかが判定される。q1とq2との距離が所定値より大きくない場合は、ステップS204に戻り、磁気データ(q2)が入力される。既に説明したように、q1とq2の距離が近すぎる場合、真の方位球の球面からq1とq2がわずかに離れるだけでq1とq2の垂直二等分面と真のオフセットに対応する点との距離が大きく離れるため(図5の一転鎖線参照)、その垂直二等分面を用いてオフセットを算出すると、算出されたオフセットと真のオフセットとの誤差が大きくなる。ステップS206の処理では、あまりに近い2点の垂直二等分面がオフセットの設定に用いられることがないように、入力された磁気データが選抜される。またステップS206の処理では、垂直二等分面を算出するための磁気データが入力順に組み合わせられるため、1つの垂直二等分面が求まる1組の磁気データに対応する地磁気の強さの差を低減することができる。したがって、そのようにして求めた垂直二等分面を用いてオフセットを算出することにより、精度良くオフセットを設定することができる。
ステップS210、212では、二回目以降に算出された垂直二等分面について、今回算出された垂直二等分面と前回算出された垂直二等分面とのなす角θが所定値αより大きいかが判定される。2平面のなす角θが所定値α以下であれば、前回算出された垂直二等分面とのなす角θがαより大きくなる垂直二等分面が算出されるまで、新たな磁気データの入力と垂直二等分面の算出が繰り返される。尚、新たな磁気データを入力する場合は、q1から入力し直してもよいし、q2だけを入力し直してもよい。2平面のなす角θと所定値αとの判定は、既に説明した式(3)及び式(4)と同様にして算出される。
ステップS216では、記憶面数が所定個数(N個)であるか判定される。尚、オフセット更新要求発生から所定時間が経過したことを判定条件としてもよい。
オフセットが初めて設定された以後も上述の処理が繰り返され、オフセットの更新が繰り返される。オフセットの更新は何度繰り返されてもよいし、所定回数で更新処理がうち切られてもよい。
上述した第一の逐次更新方法及び第一の一括更新方法の代わりに以下に説明する逐次更新方法、一括更新方法を適用してもよい。
3−1.第二の逐次更新方法
図9及び図10は、本発明を適用した第二の逐次更新方法における処理の流れを示すフローチャートである。第二の逐次更新方法が第一の逐次更新方法と異なる主な点は、所定数(例えば5個)の垂直二等分面からなる1つの垂直二等分面群を繰り返し用いて基点を更新する点である。図9及び図10に示す処理は、オフセット設定プログラムが制御部45によって実行されることによって進行する。
ステップS302からステップS312まで、第一の逐次更新方法で説明されたステップS102からステップS112までの処理と同様の処理が実行される。
ステップS318でiがインクリメントされながら垂直二等分面の算出が繰り返され、n番目の垂直二等分面fnが記憶されると(ステップS316で肯定判定される場合)、n個の垂直二等分面について以下のように基点の更新処理が開始される。nは1つの垂直二等分面群の構成要素数を規定する定数である。
ステップS324では、変数lmaxが0に、カウンタiが1に設定される。lmaxは基点更新の終了判定に用いる距離が格納される変数である。iは要素数がn個である1つの垂直二等分面群について1番目の垂直二等分面からn番目の垂直二等分面まで、順次垂線の足を求める対象となる垂直二等分面を特定するためのカウンタである。
ステップS328では、更新された基点と更新前の基点gとの距離lが算出され、距離lがlmaxより大きいか否かが判定される。
今回算出された距離lがlmaxより大きければ、lmaxはlに更新される(ステップS330)。
ステップS334でiがインクリメントされながらn個の垂直二等分面からなる1つの垂直二等分面群を用いて基点を更新する処理が一巡すると、その垂直二等分面群を用いて基点を更新する処理の終了判定が次のように実行される。
lmaxが予め決められた所定値以下でなければ、カウンタjがインクリメントされながら(ステップS340)、n個の垂直二等分面からなる1つの垂直二等分面群を用いて基点を更新する処理が繰り返される(図12参照)。
図13は本発明を適用した第三の逐次更新方法を示す模式図である。第三の逐次更新方法が第一の逐次更新方法及び第二の逐次更新方法と異なる点は、基点を垂直二等分面に下ろす垂線の足で更新するのではなく、基点から垂直二等分面に垂直に下ろす線分の内分点で基点を更新する点である。第三の逐次更新方法は、第一の逐次更新方法にも第二の逐次更新方法にも適用可能である。
本発明を適用した第二の一括更新方法が第一の一括更新方法と異なる点は、蓄積される垂直二等分面の管理方法である。
図14及び図15は第二のオフセット設定方法に係る垂直二等分面管理処理を説明するための模式図である。オフセット設定プログラムは、図9に示すように半径1の単位球Eの球面を略同一面積の複数の区画に区分し、統計処理の母集団を構成する垂直二等分面を区画毎に蓄積する。具体的には例えば、各区画が略同一面積となるように、原点を中心とする単位球Eの球面をxy平面に平行な面で複数個に分割し、分割された各領域(z軸と交わる領域を除く)をz軸に平行な平面で放射状にさらに分割し、分割された各領域をそれぞれ1つの区画とする。オフセット設定プログラムは各区画の範囲を規定するデータを有する。区画nの範囲を規定するデータは区画の端点Mn1,Mn2,Mn3,Mn4のxyz成分で表される。
ステップS400では、今回算出された垂直二等分面に垂直で、単位球の中心を始点とする単位ベクトルの終点を包含する区画に対応付けて記憶されている垂直二等分面がないかどうか判定される。具体的には、図15に示すように、図示しない方位球の球面上の2点から新たに算出された垂直二等分面f1をax+by+cz+d=0とすると、垂直二等分面f1の垂線ベクトルv1の成分は(a,b,c)で表される。垂線ベクトルv1(a,b,c)を単位長さに正規化することにより、単位ベクトルe1の終点を算出することができる。具体的には例えば、単位ベクトルe1の終点(a′,b′,c′)が単位球Eの区画nに包含されるとき、Mn3z<c′≦Mn1zかつMn1y/Mn1x<b′/a′≦Mn2y/Mn2xが満たされる。この関係を満たす区画nに対応付けて垂直二等分面が記憶されているか否かが判定される。尚、一つの平面においてその垂線ベクトルは互いに逆向きの2種類存在する。単位ベクトルの終点が包含される区画が異なっているためにほぼ同一の傾きの垂直二等分面f2が重複して記憶されないようにするために、単位球Eの半分の区画を使用するようにしてもよい。具体的には例えば、単位球Eのz成分が正である半球部分を使用することとして、垂線ベクトルv2が単位長さに正規化された単位ベクトルe2のz成分が負であるとき、原点を中心とした点対称の向きに変換しその終点が包含される区画に対応付けて垂直二等分面が既に記憶されているか判定するようにしてもよい。
以上の説明では、各区画に対応付けて記憶できる垂直二等分面の数を1つに限定しているが、各区画に対応付けて記憶できる垂直二等分面は複数であってもよい。図1のステップS216の条件がY判定のとき、各区画に垂直二等分面が満遍なく記憶されている。それらの垂直二等分面を用いて統計的手法で方位球の中心を算出することにより、求めたオフセットと真のオフセットとの誤差を小さくすることができる。なぜなら例えば2つの垂直二等分面を例にすると、それぞれの垂直二等分面と真のオフセットに対応する点との距離が小さくても2つの垂直二等分面が平行に近ければ2つの垂直二等分面の共有線は真のオフセットに対応する点から遠くなるためである。したがって、統計処理の母集団としてそのような垂直二等分面が含まれると、真のオフセットとの誤差が大きくなるためである。また、本実施形態によると、傾きに偏りのない垂直二等分面を記憶するために、既に算出されている垂直二等分面の全てと新たに算出された垂直二等分面とのなす角度を全て求める必要がないため、必要となる計算量が少なく、速く垂直二等分面を記憶させることができる。
第三の一括更新方法が第一の一括更新方法及び第二の一括更新方法と異なる点は、統計処理の母集団を構成する要素である。第一の一括更新方法及び第二の一括更新方法が2つ1組の磁気データ毎に算出した複数の垂直二等分面を統計処理の母集団として用いているが、第三の一括更新方法では、複数の磁気データに対応する複数の点そのものを統計処理の母集団とし、図17に示すようにそれらの複数の点からの距離のばらつきが最小になる点を統計処理によって算出する。統計処理には、例えば最小二乗法を用いるが、もちろんその他の統計的手法を適用してもよい。
以上、本発明を3次元磁気センサに適用した例について説明したが、本発明は2次元磁気センサに適用することもできる。また、オフセットの精度を上げるためには磁気データ及び垂直二等分面の選抜を行った方がよいが、必ずしもこれらの選抜を行わなくてもよいし、本実施形態で説明された例とは別の数学的処理によって選別することもできる。
Claims (10)
- 磁気センサから順次出力される、3成分又は2成分を有する複数の磁気データを順次入力する入力手段と、
順次入力される複数の前記磁気データに基づいて複数の母集団要素を蓄積しそれぞれが前記母集団要素を構成する複数の前記磁気データに対応する点の軌跡から推定される球面又は円周の中心を統計的手法を用いて算出し、前記球面又は円周の中心の成分に基づいて前記磁気データのオフセットを更新する一括更新手段と、
前記一括更新手段が前記統計的手法に用いる複数の前記母集団要素を蓄積している期間に、2つの前記磁気データに対応する2点の垂直二等分面又は垂直二等分線を、入力順に組み合わせられた2つ1組の前記磁気データ毎に算出し、基点から前記垂直二等分面又は前記垂直二等分線に垂直に下ろす線分上の他の点を新たな前記基点とし、新たな前記基点の成分に基づいて前記磁気データのオフセットを更新する処理を繰り返す逐次更新手段と、
を備える磁気センサ制御装置。 - 前記一括更新手段によって算出された前記球面又は円周の中心が前記基点となる、
請求項1に記載の磁気センサ制御装置。 - 前記一括更新手段は、前記球面又は円周の中心を算出する毎に前記母集団要素を破棄する処理を繰り返しながら前記オフセットの更新を繰り返す、
請求項1又は2に記載の磁気センサ制御装置。 - 前記一括更新手段は、それぞれが前記母集団要素を構成する2つの前記磁気データに対応する2点の垂直二等分面又は垂直二等分線を2つ1組の前記磁気データ毎に算出し、複数の前記垂直二等分面又は前記垂直二等分線を用いた最小二乗法により前記球面又は円周の中心を算出する、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の磁気センサ制御装置。 - 予め決められた所定距離以上離れた2点に対応する2つ1組の前記磁気データを入力順に前記母集団要素として選抜する磁気データ選抜手段をさらに備え、
前記一括更新手段又は前記逐次更新手段は、選抜された前記磁気データを用いて前記オフセットを更新する、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の磁気センサ制御装置。 - 既に選抜された少なくとも1つの前記垂直二等分面又は前記垂直二等分線とのなす全ての角が予め決められた所定角度以上になる前記垂直二等分面又は前記垂直二等分線を選抜する垂直二等分面選抜手段又は垂直二等分線選抜手段をさらに備え、
前記一括更新手段又は前記逐次更新手段は、選抜された前記垂直二等分面又は前記垂直二等分線を用いて前記オフセットを更新する、
請求項1〜5のいずれか一項に記載の磁気センサ制御装置。 - 請求項1〜6のいずれか一項に記載の磁気センサ制御装置と、
前記磁気センサと、
を備える磁気測定装置。 - 磁気センサから順次出力される、3成分又は2成分を有する複数の磁気データを順次入力し、
順次入力される複数の前記磁気データに基づいて複数の母集団要素を蓄積しそれぞれが前記母集団要素を構成する複数の前記磁気データに対応する点の軌跡から推定される球面又は円周の中心を統計的手法を用いて算出し、前記球面又は円周の中心の成分に基づいて前記磁気データのオフセットを更新し、
前記統計的手法に用いられる複数の前記母集団要素が蓄積されている期間に、2つの前記磁気データに対応する2点の垂直二等分面又は垂直二等分線を、入力順に組み合わせられた2つ1組の前記磁気データ毎に算出し、基点から前記垂直二等分面又は前記垂直二等分線に垂直に下ろす線分上の他の点を新たな前記基点とし、新たな前記基点の成分に基づいて前記磁気データのオフセットを更新する、
ことを含むオフセット設定方法。 - 磁気センサから順次出力される、3成分又は2成分を有する複数の磁気データを順次入力する入力手段と、
順次入力される複数の前記磁気データに基づいて複数の母集団要素を蓄積しそれぞれが前記母集団要素を構成する複数の前記磁気データに対応する点の軌跡から推定される球面又は円周の中心を統計的手法を用いて算出し、前記球面又は円周の中心の成分に基づいて前記磁気データのオフセットを更新する一括更新手段と、
前記一括更新手段が前記統計的手法に用いる複数の前記母集団要素を蓄積している期間に、2つの前記磁気データに対応する2点の垂直二等分面又は垂直二等分線を、入力順に組み合わせられた2つ1組の前記磁気データ毎に算出し、基点から前記垂直二等分面又は前記垂直二等分線に垂直に下ろす線分上の他の点を新たな前記基点とし、新たな前記基点の成分に基づいて前記磁気データのオフセットを更新する処理を繰り返す逐次更新手段と、
してコンピュータを機能させるオフセット設定プログラム。 - 請求項9に記載のオフセット設定プログラムが格納されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
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JP2007225329A (ja) | 2007-09-06 |
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