JP4898577B2 - タンク溶接用バックシールド治具 - Google Patents
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Description
例えば、ステンレス鋼やチタン合金等の活性金属管の突合わせ溶接を行う際の配管内面の酸化を防止する手段として、被溶接管の両端にキャップを装着し、その内部に不活性ガスを導入し、配管系全体を不活性ガスで置換する方法が採られていた。
しかし、この方法では、配管系全体を不活性ガスで置換しなければならず、配管内部の酸素濃度が規定値以下になるまでに長い時間と多量の不活性ガスが必要であるとの問題があった。
また、上記のような従来のバックシールド治具は、管材のように端面が大きく開口しているような場合は、溶接後に開口部より容易に取り出すことができる。しかしながら、タンクは、大径の円筒体の両端面が鏡板で蓋がされており、タンク内部に通じる穴は配管接続穴しかないような構造である。そのため、大口径の円筒体の溶接に対応してサイズを大きくする必要がある従来のバックシールド治具は、円筒体と両端面の鏡板との溶接後にタンク外に取り出すことができず、使用できないとの問題があった。
図1は、本発明の実施の形態1に係わるタンク溶接用バックシールド治具を示す図である。図2は、本発明の実施の形態1に係わるタンク溶接用バックシールド治具のノズルの詳細な構造を示す断面図である。
図1に示すように、本実施の形態のタンク溶接用バックシールド治具100は、タンク外部から不活性ガスを導く形状がL字型の配管(この後、L配管と記す)6と、このL配管6の一端側に接続され、且つタンクの溶接部の裏面に近接して設けられたノズル3と、L配管6の他端側に設けられた別の配管と接続するための継手7とを備えている。
スリーブ15は、その第2の端面にはガス吹出体16が接続されており、第1の端面には、ガス吹出体16が接続された部分まで連通する穴が設けられている。そして、スリーブ15は、この穴に嵌合したL配管6にセットボルト19により固定されている。
また、スリーブ15の第2の端面におけるガス吹出体16が接続された部分の外側に、複数のばね体13が固定されている。そして、ばね体13は、スリーブ15に固定された部分から、先端方向へ向かってラッパ状に広がっている。
本実施の形態のタンク溶接用バックシールド治具100では、ばね体13を設けその先端部でフード11を固定しているが、ばね体13を設けなくても同様な効果が得られる。
また、本実施の形態において、ガス吹出体16は、スリーブ15との接続部が筒状になっており、スリーブ15に接続されたL配管6から供給される不活性ガスを通過させ、フード内部21に吹出すようになっている。
そして、ガス吹出体16が整流体であれば、十分な圧損能力を有しているので、不活性ガスの流速を落とすとともに、不活性ガスを均一に吹出すことが可能となる。すなわち、ガス吹出体16に整流体を用いると、フード11内への外気の巻き込みを防止する効果が大きく、タンク溶接用バックシールド治具100と溶接部との隙間が大きくても、溶接部の酸素濃度を低く維持できる。
図3は、本発明の実施の形態1に係わるタンク溶接用バックシールド治具をタンク溶接部の裏面側にセットした状態を示す図である。
図4は、本発明の実施の形態1に係わるタンク溶接用バックシールド治具が用いられたタンク溶接部の拡大図である。
タンクは、円筒体9に上鏡板4または下鏡板10を突合わせて、この突合せされた溶接部2を各々溶接して、作製される。この場合、溶接トーチ1は固定され、円筒体9と上鏡板4または下鏡板10とを回転させて溶接する。
図3に示すように、タンク溶接用バックシールド治具100は、L配管6がタンクの配管接続用の穴5からタンク外部に導出され、タンク外部にあるL配管6の他端が継手7により、本配管8に接続されて、固定されている。タンク内部にあるL配管6の一端にはノズル3が接続され、図4に示すように、ノズル3は、溶接トーチ1と溶接部2を挟んで対向した位置に、溶接部2裏面と所定の間隔をあけて設置されている。そして、ノズル3から不活性ガスを溶接部裏面側に吹き出し、溶接部裏面側の酸素濃度を低くしている。
本実施の形態のタンク溶接用バックシールド治具100は、溶接終了後にタンクから取り出す必要がある。そのため、ノズル3に用いられるスリーブ15の外径は、タンクの配管接続用の穴5の径より小さい。また、ノズル3に用いられるフード11は、その開口部を大きくすると、溶接部裏面側の酸素濃度を低くした領域を広くできるが、配管接続用の穴5からノズル3が抜けなくなる。そこで、フード11の形状としては、例えば、開口部の寸法が65mm×65mmのものが好ましい。
上記のように、タンク溶接用バックシールド治具100は固定されており、円筒体9と上鏡板4または下鏡板10との回転により次々と新たになる溶接部とは、常に同じ間隔を保っている。この間隔、すなわちフード11の開口部と溶接部2との隙間20は、小さければ低い酸素濃度を維持しやすいが、ノズル3が高温にさらされ、タンク溶接用バックシールド治具100の耐久性が低くなる。隙間20が大きいと、耐久性は向上するが、不活性ガスの漏れ量が多くなり酸素濃度が上昇する。本構造のタンク溶接用バックシールド治具100では、上記隙間20は、例えば、2mm〜10mmが好ましく、特に、5mmが最適である。
図5は、実施の形態1のタンク用バックシールド治具がタンクから引き出される状態を示す図である。
図6は、タンクから引き出されるタンク用バックシールド治具のフードが、配管接続用の穴を通過する状態を示す図である。
さらに、L配管6を水平に引張ると、配管接続用の穴5からタンク溶接用バックシールド治具100が取り出される。
取り出されたタンク溶接用バックシールド治具100は、フード11を開口することにより繰り返して溶接に用いることができる。特に、バネ体13を設けたものは、バネ体13の配管接続用の穴5による拘束がとけると、バネ体13が元の状態に戻り、自動的にフード11の先端部を大きく開口できる。
また、バネ体13は折りたたみ可能なフード11の形状を維持する機能と、折りたたみ時にフード11に折目を入れ、規則正しく折りたたむ機能が必要である。そのため、バネ体13には、降伏点が大きく硬度が高い材料が用いられ、例えば、ピアノ線、バネ用鋼板等が挙げられる。
また、ガス吹出体16も、周囲温度が高く、溶接金属が垂れ落ちてくる可能性がある溶接部直下にあるので、耐熱性が必要である。上記機能を満足するガス吹出体16の材料としては、例えば、金属製焼結体、積層金網構造体等が挙げられる。
また、フード11を固定する第1のバンド12と第2のバンド14とは、ともに耐熱性が必要であり、金属、特に、鋼のバンドが用いられる。
さらに、本実施の形態のタンク溶接用バックシールド治具100は、そのノズル3のフード11が折りたたみ可能な構造であるので、溶接後に小径な配管接続用の穴5から、タンクの外に取り出せる。しかも、フード11の形状を復元することができるので、部品を取り替えることなく、繰り返して使用できる。
6 L配管、7 継手、8 本配管、9 円筒体、10 下鏡板、
11 フード、12 第1のバンド、13 バネ体、14 第2のバンド、
15 スリーブ、16 ガス吹出体、19 セットボルト、20 隙間、
21 フード内部、100 タンク溶接用バックシールド治具。
Claims (3)
- L字型形状の配管と、このL字型形状の配管の一端側に設けられたノズルと、上記L字型形状の配管の他端側に設けられた継手とを備えたタンク溶接用バックシールド治具であって、上記ノズルが、上記L字型形状の配管が挿入されたスリーブと、このスリーブの上記L字型形状の配管が挿入された第1の端面と対向する第2の端面に接続されたガス吹出体と、形状が折りたたみ可能な漏斗状であり、且つ窄み部が上記ガス吹出体に固定されたフードとを備えたことを特徴とするタンク溶接用バックシールド治具。
- スリーブの第2の端面におけるガス吹出体が接続された部分の外側に固定され、且つこの固定部から先端方向に向かってラッパ状に広がった複数のばね体を設け、このばね体の先端部近傍で、フード開口部が固定されたことを特徴とする請求項1に記載のタンク溶接用バックシールド治具。
- ガス吹出体が、整流体であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のタンク溶接用バックシールド治具。
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