JP4893218B2 - 給湯用ヒートポンプシステム - Google Patents

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本発明は、蒸気圧縮サイクルによる冷媒との熱交換により水を加熱、給湯する給湯用ヒートポンプシステムに関する。
従来より、蒸気圧縮サイクルによる冷媒との熱交換を行なうヒートポンプにより水を沸かし、貯湯タンクに溜めた湯をカランや食器洗い洗浄機等の出湯端末に供給する給湯装置が知られている。図4に、従来の給湯用ヒートポンプシステムを示す。このシステムにおける貯湯タンク102には、タンクの下部及び上部に接続された給湯循環用の配管106(以下、給湯配管という)が設けられ、給湯配管106の途中にヒートポンプ101が設けられている。ヒートポンプ101の内部には、熱交換器105が設けられ、冷媒と水との熱交換が行われる。このような給湯装置では、市水である温度15℃程度の水が、給水配管109を通じて貯湯タンク102の下部より供給され、この低温水を貯湯タンク102の下部より給湯配管106に取り出し、ヒートポンプ101で沸かして温度80℃〜90℃の高温水とし、貯湯タンク102に上部より入れられる。そして、通常ヒートポンプ101の出力は、冷媒の熱搬送量に依存するため、ヒートポンプ101の出湯温度を維持するために、給湯配管106の経路にある給湯ポンプ122によって循環流量を制御している。
家庭用途や小規模の業務用途の給湯設備においては、法規上の制約からタンク圧力を、通常の水道圧力である300〜700kPaから200kPa未満となるように、減圧弁を配していることが多く、貯湯タンク内の圧力及び給湯配管内の圧力も、ほぼその範囲内となる。出湯温度は、給湯配管内の圧力と関係があり、ここでは、ヒートポンプ内部の給湯配管内の圧力を、大気圧(101.3kPa)とする。図5に温度と飽和水蒸気圧との関係を示す。大気庄における水の沸点は100℃であるが、仮にヒートポンプ出口の温度を90℃になるように熱交換を行うためには、冷媒の温度は100℃以上が必要となり、冷媒の温度を100℃以上にすると、熱交換器内の給湯配管内では局部的に100℃を越える部分が生じてしまうことになる。100℃以上の部分が生じると、水が沸騰して気体となり、気体が熱交換器と給湯配管内の水との熱交換を妨げることとなる。100℃以上の部分を生じさせないようにするためには熱交換面積を大きくせざるを得ないため、熱交換器を大きくしなければならず製造コストが上昇する。一方、給湯配管内の圧力を200kPa程度に高めると、約120℃までは沸騰しないので、出湯温度を高めることができる。
貯湯タンクは、200kPaのような高圧に耐えられるように、円柱状のカプセルのような形状が一般的となっている。従って、設置場所の幅と奥行きの寸法が、同一でなければならず、狭い軒下などには設置し難い。設置幅の寸法が狭い貯湯タンクとするため、半径の小さい円筒状のタンクを複数組み合わせた貯湯タンクも用いられているが、コストが高くなる。
また、貯湯タンクに高圧タンクを用いずに、大気開放型のタンクを用いて、タンクの形状を任意に設定することができる給湯システムが知られている(例えば特許文献1参照)。
しかし、特許文献1に示されるような給湯用ヒートポンプシステムにおいては、ヒートポンプ内部の給湯配管内の圧力が、大気圧であるので出湯温度を高くし難い。
このように従来の技術においては、ヒートポンプの出湯温度を高めるために、貯湯タンクを高圧に耐えられるようにしなければならない。
特開平8−189704号公報
本発明は、上記問題を解消するものであり、貯湯タンクの圧力が低くても、高温での貯湯を行なうことができる給湯用ヒートポンプシステムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために請求項1の発明は、蒸気圧縮サイクルによる冷媒との熱交換により水を加熱、給湯する給湯用ヒートポンプシステムにおいて、貯湯タンクに給湯する給湯配管の経路内に、前記蒸気圧縮サイクルの熱交換器を配置すると共に、給湯側入口配管に給水を所定圧力以下に減圧して直結し、前記熱交換器の給湯側出口配管を減圧用の調整弁を介して貯湯タンクに連結して成り、前記給湯側出口配管を通る水温を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段による検出温度に応じて前記調整弁を調整する制御部と、前記給湯側出口配管であって前記調整弁よりも上流側に配置した流量調整用のポンプと、前記調整弁と前記ポンプの間と前記給湯側入口配管とを繋ぐバイパス管路と、前記バイパス管路を通る流量を検出する流量検出手段と、を備え、前記制御部は、前記流量検出手段による検出流量に応じて、前記バイパス管路を水が前記給湯側出口配管側から前記給湯側入口配管側へ流れている場合、前記調整弁の開度を上げるように前記調整弁を調整するものである。
請求項1の発明によれば、熱交換器の給湯側入口配管を給水に直結するので、給湯配管内の圧力が高くなり、加熱温度を高くすることができ、また、給水の圧力により貯湯タンクに貯湯をすることができる。
また、バイパス管路内の流量に応じて調整弁を調整するので、給湯配管内の圧力が維持され、給湯ポンプの流量が変動しても、出湯温度の調整を精度良く行なうことができる。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る給湯用ヒートポンプシステムについて図1(a)(b)を参照して説明する。給湯用ヒートポンプシステムは、給水を加熱するヒートポンプ1と、加熱された湯を貯湯する貯湯タンク2と、貯湯タンク2に繋がり湯を出湯する配管経路と、システム全体を制御する制御部3を備えている。給湯用ヒートポンプシステムは、蒸気圧縮熱サイクルを利用して、冷媒を圧縮して凝縮させ、冷媒を液化させて放熱を行なわせ、熱交換器を介して給水と熱交換を行ない、給水を加熱する。
本実施形態に係るヒートポンプ1は、冷媒としての二酸化炭素ガスを循環する冷媒配管4と、冷媒と給水との熱交換を行なう熱交換器5と、貯湯タンク2へ給湯する給湯配管6を備え、この給湯配管6の経路内に熱交換器5は配置されている。冷媒配管4には、冷媒を圧縮する圧縮機7が配設され、冷媒配管4は、熱交換器5の内部を通っている。給湯配管6は、熱交換器5の内部を通っており、熱交換器5の下流側において温度センサ8を備えている。また、給湯配管6は、入り口側において給湯側入口配管9と接続され、出口側で給湯側出口配管10と接続されている。給湯側入口配管9は、図示していない水道に直接接続されており、配管中に減圧弁11と逆止弁12を有している。給湯側出口配管10は、貯湯タンク2に繋がっており、配管中に流量調整弁13aを有している。
貯湯タンク2は、下部において湯を出湯する出湯ポンプ14と接続されている。出湯ポンプ14は、高温出湯配管15に接続され、高温出湯配管15は、圧力センサ16を有しており、高温湯を使用する食洗機17等に繋がっている。また、高温出湯配管15から分岐した配管は、混合栓18を介して給水管19と接続され、混合出湯配管20となり、中温湯を使用するカラン21に繋がっている。制御部3は、温度センサ8や圧力センサ16等の検出信号に応じて、システム全体を制御している。
上記のように構成された本実施形態の給湯用ヒートポンプシステムの動作を次に説明する。圧縮機7は、冷媒としての二酸化炭素ガスを圧縮して熱交換器5へ送る。冷媒は圧縮されて、熱交換器5において凝縮して液体になり熱を発する。冷媒は、熱交換器5を介して給湯配管6内の給水と熱交換を行う。熱交換を終えた冷媒は、再び周囲の熱を吸収して気体となり、圧縮機7へ戻る。図示していない水道からの給水は、減圧弁11で所定の圧力に減圧されて、給湯配管6へ送られ、熱交換器5を介して冷媒との熱交換によって加熱され、水道の圧力によって貯湯タンク2へ送湯される。制御部3は、温度センサ8の検出した湯温に応じて、流量調整弁13aによって給湯配管6内の流量を調整し、ヒートポンプ1の出湯温度を制御する。
制御部3は、常に出湯ポンプ14に低速回転を行なわせるか、又は、出湯ポンプ14の後段にアキュムレータを配して蓄圧することにより、高温出湯配管15内の圧力を一定に保っている。湯使用端末において湯が使用されると、制御部3は、高温出湯配管15内の圧力低下を圧力センサ16によって検知し、出湯ポンプ14を高速回転させ、貯湯タンク2の湯を出湯する。高温湯を使用する食洗機17には、高温出湯配管15から出湯され、中温湯を使用するカラン21には、高温出湯配管15の高温湯と給水管19の給水とが混合弁18において混合されて、混合出湯配管20より出湯される。
このように、給湯側入口配管9が水道に直結されているので、給湯配管6内の圧力を水道の元圧まで高くすることができ、内圧を高くすることにより、水の沸点温度を高くすることができる。水の沸点温度が高くなると、湯が沸騰して気体になり難くなるので給湯配管6内の温度を上げることができ、高温での出湯が可能となる。また、制御部3は、温度センサ8の検出した湯温に応じて、湯温が設定温度より高ければ流量調整弁13aによって給湯配管6内の流量を増やして湯温を下げ、湯温が設定温度より低ければ流量調整弁13aによって給湯配管6内の流量を少なくして湯温を上げることにより湯温を制御するので、給湯配管6内の圧力を保持したまま出湯温度を制御することができる。また、水道の圧力により貯湯タンク2へ送湯するので、送湯のためのポンプを必要としない。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る給湯用ヒートポンプシステムについて図2(a)(b)を参照して説明する。本実施形態に係る給湯用ヒートポンプシステムは、上記第1の実施形態に係る給湯用ヒートポンプシステムに加えて、給湯ポンプ22を備えている。給湯ポンプ22は、給湯配管6の熱交換器5の下流に配せられている。また、給湯側出口配管10には、流量調整弁13aに代えて圧力調整弁13bが配せられている。
制御部3は、温度センサ8の検出した湯温に応じて、圧力調整弁13bと、給湯ポンプ22とによって、給湯配管6内の流量を調整して、出湯温度を制御する。圧力調整弁13bの開度調整は、常時行なわず、給湯用ヒートポンプシステムの設置場所の配管の長さや、ヒートポンプとタンクの位置関係等によって決定し、一度条件設定をすると再調整を行なう必要は少ない。例えば、工場出荷時において、配管経路の圧力損失が最小の場合に、給湯ポンプ22による温度制御が成立するように開度を設定しておく。そして、給湯用ヒートポンプシステムの運転時に、例えば、給湯ポンプ22の流量が制御範囲の下限であり、出湯温度が設定温度以下のままであるときに、出湯温度が設定温度になるように弁の開度を下げるようにする。圧力調整弁13bの開度調整は、給湯ポンプ22による流量制御と矛盾しないように段階的かつ一定時間のインターバルをもって行うのが望ましい。例えば、出湯温度が設定温度以下の状態が、1分間継続した場合に、弁の開度を1%絞る等である。このように、出湯温度に応じて圧力調整弁13bと給湯ポンプ22を調整するので、出湯温度の制御を精度良く行なうことができる。
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る給湯用ヒートポンプシステムについて図3(a)(b)を参照して説明する。本実施形態に係る給湯用ヒートポンプシステムは、上記第1の実施形態に係る給湯用ヒートポンプシステムに加えて、バイパス配管23と、給湯ポンプ22とを備えている。バイパス配管23は、給湯側入口配管9における逆止弁12の下流の箇所と、給湯側出口配管10における流量調整弁13aの上流の箇所とを繋いでおり、途中に流量計24を有している。給湯ポンプ22は、給湯配管6の途中で熱交換器5の下流に配せられている。
制御部3は、流量計24の検出した流量が0になるように流量調整弁13aを調整する。例えば流量調整弁13aが全閉のとき、バイパス配管23の水は矢印A方向に流れる。制御部3は、流量が0になるように流量調整弁13aを開く。反対に水が矢印B方向に流れているときは流量調整弁13aを閉じていき、流量を0にする。これにより、給湯ポンプ22の流量が変動しても、給湯配管6内の圧力が一定に維持され、また、給湯ポンプ22の流量と、貯湯タンク2への出湯量が同一となるため、出湯温度を一定に制御することができる。また、バイパス配管23の入口と出口の温度を温度センサにより検出し、その温度差が最大になるように流量調整弁13aを調整してもよく、また、温度センサと流量計24とを併用して流量調整弁13aを調整してもよい。
なお、本発明は、上記各種実施形態の構成に限られず、種々の変形が可能である。例えば、流量計24に代えて、バイパス配管23の入口側と出口側とに圧力計を配し、圧力差が0になるように制御してもよい。
(a)は本発明の第1の実施形態に係る給湯用ヒートポンプシステムの構成図、(b)は同給湯用ヒートポンプシステムの湯温制御の構成図。 (a)は本発明の第2の実施形態に係る給湯用ヒートポンプシステムの構成図、(b)は同給湯用ヒートポンプシステムの湯温制御の構成図。 (a)は本発明の第3の実施形態に係る給湯用ヒートポンプシステムの構成図、(b)は同給湯用ヒートポンプシステムの湯温制御の構成図。 従来の給湯用ヒートポンプシステムの構成図。 温度と飽和水蒸気圧との関係を示す図。
符号の説明
1 ヒートポンプ(蒸気圧縮サイクル)
2 貯湯タンク
3 制御部
5 熱交換器
6 給湯配管
8 温度センサ(温度検出手段)
9 給湯側入口配管
10 給湯側出口配管
13a 流量調整弁(調整弁)
13b 圧力調整弁(調整弁)
22 給湯ポンプ(ポンプ)
23 バイパス配管
24 流量計

Claims (1)

  1. 蒸気圧縮サイクルによる冷媒との熱交換により水を加熱、給湯する給湯用ヒートポンプシステムにおいて、
    貯湯タンクに給湯する給湯配管の経路内に、前記蒸気圧縮サイクルの熱交換器を配置すると共に、給湯側入口配管に給水を所定圧力以下に減圧して直結し、
    前記熱交換器の給湯側出口配管を減圧用の調整弁を介して貯湯タンクに連結して成り、
    前記給湯側出口配管を通る水温を検出する温度検出手段と、
    前記温度検出手段による検出温度に応じて前記調整弁を調整する制御部と、
    前記給湯側出口配管であって前記調整弁よりも上流側に配置した流量調整用のポンプと、
    前記調整弁と前記ポンプの間と前記給湯側入口配管とを繋ぐバイパス管路と、
    前記バイパス管路を通る流量を検出する流量検出手段と、を備え、
    前記制御部は、前記流量検出手段による検出流量に応じて、前記バイパス管路を水が前記給湯側出口配管側から前記給湯側入口配管側へ流れている場合、前記調整弁の開度を上げるように前記調整弁を調整することを特徴とする給湯用ヒートポンプシステム。
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