JP4890710B2 - ピリドモルフィナン類、チエノモルフィナン類及びそれらの使用 - Google Patents

ピリドモルフィナン類、チエノモルフィナン類及びそれらの使用 Download PDF

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Description

【0001】
連邦政府の資金援助を受けて行われた研究または開発
本発明は米国国立薬物乱用研究所から助成金DA08883を受けてなされた。
【0002】
技術分野
本発明は、一定のピリドモルフィナン及びチエノモルフィナン化合物に関し、より具体的にはナルトレキソンから誘導されるピリドモルフィナン及びチエノモルフィナン化合物に関する。本発明の化合物はδ受容体で高いアンタゴニスト活性を示す。さらにまた本発明の様々な化合物はμアゴニスト性を有する。本発明の化合物は、特に、痛みを持つ患者を処置するための鎮痛剤として、また、μアゴニストに対する耐性及び依存性の進展を調節し、乱用薬物の行動への影響を調節するための薬物、及び免疫調節効果を誘発するための薬物として有用である。
【0003】
発明の背景
オピオイド受容体は、モルヒネ及び関連オピオイド薬の鎮痛作用及び他の薬理作用を媒介するGタンパク質共役受容体のスーパーファミリーに属する。かつてオピオイド結合部位は1種類しか存在しないと考えられていた。現在では、μ、δ及びκ受容体と呼ばれる少なくとも3つの異なるオピオイド受容体サブタイプが中枢神経系と末梢に存在することが、確立されている。ヒトμ、δ及びκ受容体はクローニングされ、Gタンパク質共役受容体(GPCR)スーパーファミリーに属することが明らかにされている。
3つの異なるオピオイド受容体タイプμ、δ及びκの存在は、これら3つのオピオイド受容体がマウス、ラット及びヒトcDNAから最近クローニングされたことによって裏付けられる。これら3つのオピオイド受容体タイプはいずれもヒト脳または脊髄組織に位置し、それぞれ痛みの媒介に役割を果たしている。オピエートは痛みの処置に広く使用され、利用できる鎮痛剤のなかでは最も有効である。現在、強力な鎮痛剤として処方されているモルヒネとその類似体はμ選択的リガンドである。これらの医薬の一般的投与は、呼吸抑制、胃腸運動の抑制、耐性と身体依存の発生などといった副作用による制約を受ける。
【0004】
これらオピオイド受容体サブタイプのそれぞれについて強力かつ選択的なアンタゴニストリガンド及びアゴニストリガンドを開発することは、それらのリガンドが薬理学的ツールとして、また治療薬として潜在的に有用であることから、長年、医化学者の目標になっている。オピオイドδリガンドは治療に役立つ可能性が高いため、近年は、μ、δ及びκ受容体のなかでも、δ受容体を介して作用するアンタゴニストリガンド及びアゴニストリガンドの開発が、研究の焦点になっている。δ選択的アゴニストが呼吸抑制や身体依存などの副作用を持たない鎮痛薬として潜在的に有用でありうることは、様々な研究によって示唆されている。δ受容体の選択的アンタゴニストは、コカイン及びメトアンフェタミン類などの乱用薬物の作用に対して調節効果を示すと共に、免疫調節効果も示すことが明らかにされている。さらにまた、齧歯動物を使った最近の研究により、δオピオイドアンタゴニストは、μオピオイド抗侵害受容作用を妨害することなくモルヒネなどのμアゴニストに対する耐性及び依存性の発生を妨げる能力を持つことも実証されている。
【0005】
ナルトレキソンから合成的に誘導された数多くのリガンドはδ受容体に対して有意な選択性を示すことが見出されている。なかでもインドロモルフィナン化合物、ナルトリンドールは、δ選択的アンタゴニストリガンドとして現在広く使用されており、また、その5’−イソチオシアネート誘導体、ベンゾフラン類似体、及び(E)−7−ベンジリデンナルトレキソンなどといった他のリガンドは、δオピオイド受容体サブタイプの薬理学的特徴づけに役立っている。
サブタイプ選択的非ペプチドオピオイドリガンドを開発する努力は現在も続けられている。
【0006】
発明の要約
本発明は、式I:
【0007】
【化3】
Figure 0004890710
【0008】
及び式II:
【0009】
【化4】
Figure 0004890710
【0010】
[式中、Y、X及びRは、水素、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、アリール、ハロ、CF、NO、CN、NH、COR及びCOからなる群より、それぞれ独立して選択され、前記Rはアルキル、アリール、アラルキル及びNHからなる群より選択され、Rはアルキル、アリール及びアラルキルからなる群より選択される。ただし式IにおけるY、X及びRの少なくとも1つは水素以外であるものとする]
によって表される化合物及び医薬的に許容できるその塩に関する。
また本発明は、痛みを持つ患者の処置であって、上記化合物の少なくとも1つを、痛み処置有効量、前記患者に投与することからなる処置に関する。
【0011】
本発明のさらなる一態様は、免疫調節剤を必要とする患者の処置であって、上記化合物の少なくとも1つを、免疫調節有効量、前記患者に投与することからなる処置に関する。
本発明のさらにもう一つの態様は、薬物乱用患者の処置であって、上記化合物の少なくとも1つを、薬物乱用の処置に有効な量、投与することからなる処置に関する。
本発明のもう一つの態様は、μアゴニストに対する依存または耐性に苦しんでいる患者の処置であって、上記化合物の少なくとも1つを、μアゴニスト(例えばモルヒネ)に対する耐性または依存性を調節するのに有効な量、前記患者に投与することからなる処置に関する。
上記以外の本発明の目的及び利点は以下の詳細な説明から当業者にはすぐに明らかになるだろう。以下の詳細な説明では、考えられる発明の最良の実施形態を例示することのみを目的として、本発明の好ましい態様を提示し説明する。本発明には他の異なる実施形態も可能であり、本発明の細部のいくつかに、本発明から逸脱することなく、種々の自明な点で変形を施しうることは、理解されるとおりである。したがって以下の説明は、本質的に単なる例示であって、制限事項ではないとみなすべきである。
【0012】
発明実施の最良な種々の形態
本発明の化合物は、以下の式:
【0013】
【化5】
Figure 0004890710
【0014】
及び:
【0015】
【化6】
Figure 0004890710
【0016】
[式中、Y、X及びRは、水素、ヒドロキシ、ハロ、CF、NO、CN、NH、COR、及びCOからなる群よりそれぞれ独立して選択され、前記Rはアルキル、アリール、アラルキル及びNHからなる群より選択され、Rはアルキル、アリール及びアラルキルからなる群より選択される。ただし式IにおけるY、X及びRの少なくとも1つは水素以外であるものとする]
によって表される化合物、及び医薬的に許容できるその塩である。
アルキル基は典型的には1〜約6個の炭素原子、より典型的には1〜約3個の炭素原子を含有し、直鎖、分枝鎖または環状の飽和脂肪族炭化水素基であることができる。
適切なアルキル基の例としてはメチル、エチル及びプロピルなどが挙げられる。分岐アルキル基の例としてはイソプロピル及びt−ブチルなどが挙げられる。適切な環状脂肪族基の例は典型的には3〜6個の炭素原子を含有し、シクロペンチル及びシクロヘキシルなどが挙げられる。アリール基の例はフェニル及びナフチルである。アラルキル基の例としては、ベンジルなどのフェニルC1−3アルキルが挙げられる。
【0017】
本発明化合物の医薬的に許容できる塩には、医薬的に許容できる無機酸、有機酸、無機塩基及び有機塩基から誘導される塩が包含される。適切な酸の例としては、塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン−p−スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、トリフルオロ酢酸、及びベンゼンスルホン酸などが挙げられる。適当な塩基から誘導される塩には、ナトリウムなどのアルカリ及びアンモニウムが含まれる。
式Iによって表される好ましい本発明化合物は水素以外のR成分を含有する。式IIによって表される好ましい本発明化合物はX置換基としてNHを含有する。
【0018】
以下に、本発明化合物の具体例をいくつか挙げる。
5’−ブロモ−17−(シクロプロピルメチル)−6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシピリド[2’,3’:6,7]モルフィナン(本明細書では7bともいう)
5’−シアノ−17−(シクロプロピルメチル)−6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシピリド[2’,3’:6,7]モルフィナン(本明細書では7cともいう)
5’−カルボエトキシ−17−(シクロプロピルメチル)−6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシピリド[2’,3’:6,7]モルフィナン(本明細書では7dともいう)
17−(シクロプロピルメチル)−6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−5’−ニトロピリド[2’,3’:6,7]モルフィナン(本明細書では7eともいう)
5’−アミノ−17−(シクロプロピルメチル)−6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシピリド[2’,3’:6,7]モルフィナン(本明細書では7fともいう)
5’−アミノ−4’−シアノ−17−(シクロプロピルメチル)−6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシチエノ[2’,3’:7,6]モルフィナン(本明細書では8aともいう)
5’−アミノ−4’−カルボメトキシ−17−(シクロプロピルメチル)−6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシチエノ[2’,3’:7,6]モルフィナン(本明細書では8bともいう)
5’−アミノ−4’−カルボエトキシ−17−(シクロプロピルメチル)−6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシチエノ[2’,3’:7,6]モルフィナン(本明細書では8cともいう)
5’−アミノ−4’−ベンジルオキシカルボニル−17−(シクロプロピルメチル)−6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシチエノ[2’,3’:7,6]モルフィナン(本明細書では8dともいう)
5’−アミノ−4’−アミノカルボニル−17−(シクロプロピルメチル)−6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシチエノ[2’,3’:7,6]モルフィナン(本明細書では8eともいう)
5’−アミノ−4’−ベンゾイル−17−(シクロプロピルメチル)−6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシチエノ[2’,3’:7,6]モルフィナン(本明細書では8fともいう)。
【0019】
式Iによって表される本発明の化合物は、下記スキーム1に示すように、例えば置換アクロレインとの縮合により、ナルトレキソンから合成することができる。
例えば5’−ブロモ−、5’−シアノ、及び5’−カルボエトキシピリドモルフィナン(以下、7b〜dという)は、ナルトレキソンとの縮合反応(スキーム1)に2−ブロモ、2−シアノ、または2−カルボエトキシ−3−(ジメチルアミノ)アクロレインを使用することによって合成した。
本発明のピリドモルフィナン類の合成に使用されるアクロレイン中間体の製造方法は既知である。例えば、Gaisら「電子供与基及び電子受容基を持つアセチレン類」Helv.Chim.Acta.,1969,52,2641−2657には、2−ブロモ−3−(ジメチルアミノ)アクロレインの製造方法が記載されている。Reichardtら「アセトニトリルのビルスマイヤーホルミル化反応」1970,538には、2−シアノ−3−(ジメチルアミノ)アクロレインの製造方法が開示されている。Kimら「5,7−ジカルボキシ−2,1−ベンゾイソオキサゾリン−3−オンの新規合成法」J.Heterocyclic Chem.,1985,22,127−128には、2−カルボエトキシ−3−(ジメチルアミノ)アクロレインの製造方法が記載されている。
また、以下に7e及び7fと呼ぶ化合物は、Tohdaら「電子欠乏性ピリドン誘導体への求核反応X.アンモニア存在下にケトンまたはアルデヒドを用いる1−メチル−3,5−ジニトロ−2−ピリドンの環変換反応による3−ニトロピリジン類のワンポット合成」Bull.Chem.Soc.Jpn.,1990,63,2820−2827に記載の方法に変更を加えて、3,5−ジニトロ−1−メチル−2−ピリドンを使用してニトロピリジン化合物を製造し、そこからニトロ化合物7eを製造し、それをアミン7fに還元することによって合成した。
【0020】
【化7】
Figure 0004890710
【0021】
式IIによって表される本発明の化合物は、下記スキーム2に示すように、塩基の存在下に活性メチレンニトリル及び元素状硫黄との縮合により、ナルトレキソンから合成することができる。これはGewaldら「活性メチレンニトリル、カルボニル化合物及び硫黄からの2−アミノチオフェン類」Chem.Ber.,1966,99,94−100に記載されているチオフェン類を合成するための反応スキームに変更を加えたものである。
【0022】
【化8】
Figure 0004890710
【0023】
本発明をさらに例証するため、以下に非制限的な例を挙げる。
【0024】
実施例1
5’−ブロモ−17−(シクロプロピルメチル)−6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシピリド[2’,3’:6,7]モルフィナン(7b)の製造
氷酢酸(15mL)中のナルトレキソン(1.0g、2.9mmol)、2−ブロモ−3−(ジメチルアミノ)アクロレイン(1.04g、5.9mmol)及び酢酸アンモニウム(0.92g、12.0mmol)の混合物をアルゴン大気下で3日間、加熱還流した。減圧下で酢酸を除去し、残渣を水で処理し、得られた混合物を濃NHOH水溶液で塩基性にした。その混合物をCHCl(80mL×3)で抽出した。合わせた有機抽出物を食塩水で洗浄し、乾燥(NaSO)し、減圧下で溶媒を除去した。残渣を、まずCHCl−MeOH(99.5:0.5)、次にCHCl−MeOH−NHOH(99:0.5:0.5)を溶出液とするシリカカラムでのフラッシュクロマトグラフィーで精製することにより、7b(0.212g)を得た。融点:266−268℃(分解)。TLC:R0.43(CHCl−MeOH−NHOH,95:5:0.5)。
【0025】
実施例2
5’−シアノ−17−(シクロプロピルメチル)−6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシピリド[2’,3’:6,7]モルフィナン(7c)の製造
氷酢酸(15mL)中のナルトレキソン(1.0g、2.9mmol)、2−シアノ−3−(ジメチルアミノ)アクロレイン(0.73g、5.9mmol)及び酢酸アンモニウム(0.92g、12.0mmol)の混合物をアルゴン大気下で3日間、加熱還流した。減圧下で酢酸を除去し、残渣を水で処理し、得られた混合物のpHを濃NHOH水溶液で8に調節した。その混合物をCHCl(80mL×3)で抽出した。合わせた有機抽出物を食塩水で洗浄し、乾燥(NaSO)し、減圧下で溶媒を除去した。残渣を、CHCl−MeOH−NHOH(98.5:1.0:0.5)を溶出液とするシリカカラムでのフラッシュクロマトグラフィーで精製することにより、7c(0.142g)を得た。融点:152−158℃(分解)。TLC:R0.21(CHCl−MeOH−NHOH,95:5:0.5)。
【0026】
実施例3
5’−カルボキシエトキシ−17−(シクロプロピルメチル)−6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシピリド[2’,3’:6,7]モルフィナン(7d)の製造
氷酢酸(15mL)中のナルトレキソン(1.0g、2.9mmol)、2−カルボエトキシ−3−(ジメチルアミノ)アクロレイン(1.0g、5.9mmol)及び酢酸アンモニウム(0.92g、12.0mmol)の混合物をアルゴン大気下で30時間、加熱還流した。減圧下で酢酸を除去し、残渣を水で処理し、得られた混合物のpHを飽和NaHCO水溶液で8〜9に調節した。その混合物をCHCl(150mL×4)で抽出した。合わせた有機抽出物を食塩水で洗浄し、乾燥(NaSO)し、減圧下で溶媒を除去した。残渣を、CHCl−EtOH−NHOH(98.5:1.0:0.5)を溶出液とするシリカカラムでのフラッシュクロマトグラフィーで精製することにより、7d(0.503g)を得た。融点:138−145℃(分解)。TLC:R0.29(CHCl−MeOH−NHOH,95:5:0.5)。
【0027】
実施例4
17−(シクロプロピルメチル)−6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−5’−ニトロピリド[2’,3’:6,7]モルフィナン(7e)の製造
2Mアンモニアメタノール溶液(200mL)中のナルトレキソン(4.26g、12.4mmol)、1−メチル−3,5−ジニトロピリジン−2−オン(2.99g、15.0mmol)の撹拌溶液を、70℃で24時間、加熱還流した。減圧下で揮発性物質を除去し、残渣を最小量のMeOHに溶解し、シリカゲルでスラリー状にした。乾燥したスラリーをシリカカラムの上に載せ、0.1、0.2、0.3、0.4及び1.5%のMeOHを含むCHClで溶出した。生成物を含む画分を集めて減圧下で溶媒を除去することにより、7e(3.01g)を得た。融点:117〜125℃で軟化し発泡、142〜156℃で分解。TLC:R0.44(CHCl−MeOH−NHOH,95:5:0.5)。
【0028】
実施例5
5’−アミノ−17−(シクロプロピルメチル)−6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシピリド[2’,3’:6,7]モルフィナン(7f)の製造
上記ニトロピリジン(2.9g,6.6mmol)を温EtOH(300mL)に溶解した。その溶液にアルゴン大気下で10%パラジウム−炭素(0.90g)を加え、その混合物をパール振とう機中、50psiで24時間水素化した。その混合物をアルゴン下でセライト層を通して、ろ過した。減圧下で溶媒を除去することにより、2.67gのアミノ化合物7fを純粋な生成物として得た。融点:202−204℃(分解)。TLC:R0.34(CHCl−MeOH,9:1)。
【0029】
実施例6
5’−アミノ−4’−シアノ−17−(シクロプロピルメチル)−6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシチエノ[2’,3’:7,6]モルフィナン(8a)の製造
EtOH(10mL)中のナルトレキソン(1.70g、5.0mmol)、マロノニトリル(0.33g、5.0mmol)及び硫黄(0.16g、5.0mmol)の撹拌混合物にモルホリン(0.5mL、5.7mmol)を滴下処理し、室温で24時間撹拌した。その混合物を減圧下で濃縮し、残渣を水で摩砕した。水不溶性の生成物をろ過によって収集し、水で洗浄し、乾燥した。粗生成物を、CHCl−MeOH(95:5)を溶出液とするシリカカラムでのフラッシュクロマトグラフィーで精製することにより、8a(0.56g)を得た。融点:208〜212℃(分解)。TLC:R0.53(CHCl−MeOH,9:1)。
【0030】
実施例7
5’−アミノ−4’−カルボメトキシ−17−(シクロプロピルメチル)−6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシチエノ[2’,3’:7,6]モルフィナン(8b)の製造
MeOH(10mL)中のナルトレキソン(1.70g、5.0mmol)、シアノ酢酸メチル(0.44mL、5.0mmol)及び硫黄(0.16g、5.0mmol)の撹拌混合物に室温でモルホリン(0.5mL、5.7mmol)を滴下処理し、得られた混合物を終夜還流した。その混合物を室温に冷却し、得られた固体をろ過によって集めた。粗生成物を、CHCl−MeOH(98:2)を溶出液とするシリカカラムでのフラッシュクロマトグラフィーで精製することにより、8b(0.84g)を得た。融点:189〜191℃(分解)。TLC:R0.51(CHCl−MeOH,9:1)。
【0031】
実施例8
5’−アミノ−4’−カルボエトキシ−17−(シクロプロピルメチル)−6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシチエノ[2’,3’:7,6]モルフィナン(8c)の製造
EtOH(10mL)中のナルトレキソン(1.70g、5.0mmol)、シアノ酢酸エチル(0.8mL、7.5mmol)及び硫黄(0.24g、7.5mmol)の撹拌混合物に室温でモルホリン(0.87mL、10.0mmol)を滴下処理し、得られた混合物を終夜還流した。その混合物を室温に冷却し、氷水混合物(500mL)に注いだ。得られた固体をろ過によって集めた。粗生成物を、CHCl−MeOH(99:1)を溶出液とするシリカカラムでのフラッシュクロマトグラフィーで精製することにより、8c(1.1g)を得た。融点:189〜191℃(分解)。TLC:R0.57(CHCl−MeOH,9:1)。
【0032】
実施例9
5’−アミノ−4’−ベンジルオキシカルボニル−17−(シクロプロピルメチル)−6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシチエノ[2’,3’:7,6]モルフィナン(8d)の製造
DMF(15mL)中のナルトレキソン(1.70g、5.0mmol)、シアノ酢酸ベンジル(1.31g、7.5mmol)及び硫黄(0.24g、7.5mmol)の撹拌混合物に室温でモルホリン(0.66mL、7.6mmol)を滴下処理し、得られた混合物を80℃で24時間、加熱還流した。その反応混合物を室温に冷却し、氷水混合物に注いだ。得られた固体をろ過によって集め、水で洗浄し、乾燥した。粗生成物を、CHCl−MeOH(99:1)を溶出液とするシリカカラムでのフラッシュクロマトグラフィーで精製することにより、8d(1.16g)を得た。融点:208〜212℃(分解)。TLC:R0.69(CHCl−MeOH,9:1)。
【0033】
実施例10
5’−アミノ−4’−アミノカルボニル−17−(シクロプロピルメチル)−6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシチエノ[2’,3’:7,6]モルフィナン(8e)の製造
EtOH(20mL)中のナルトレキソン(1.70g、5.0mmol)、シアノアセトアミド(0.63g、7.5mmol)及び硫黄(0.24g、7.5mmol)の撹拌混合物に室温でモルホリン(0.66mL、7.6mmol)を滴下処理し、得られた混合物を24時間、還流した。室温に冷却した後、その反応混合物を氷水混合物に注いだ。得られた固体をろ過によって集め、CHClに溶解し、飽和NaHCO水溶液で洗浄、次に水で洗浄した。有機層を乾燥(NaSO)し、ろ過し、減圧下で溶媒を除去した。粗生成物を、CHCl−MeOH(95:5)を溶出液とするシリカカラムでのフラッシュクロマトグラフィーで精製することにより、8e(0.82g)を得た。融点:250〜264℃(分解)。TLC:R0.39(CHCl−MeOH,9:1)。
【0034】
実施例11
5’−アミノ−4’−ベンゾイル−17−(シクロプロピルメチル)−6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシチエノ[2’,3’:7,6]モルフィナン(8f)の製造
EtOH(12mL)中のナルトレキソン(1.70g、5.0mmol)、ベンゾイルアセトニトリル(0.725g、5.0mmol)及び硫黄(0.24g、7.5mmol)の撹拌混合物に室温でモルホリン(0.66mL、7.6mmol)を滴下処理し、得られた混合物を24時間、還流した。その反応混合物を冷却し、氷水混合物に注いだ。得られた固体をろ過によって集め、水で洗浄し、乾燥した。粗生成物を、CHCl−MeOH(99:1)を溶出液とするシリカカラムでのフラッシュクロマトグラフィーで精製することにより、8f(0.52g)を得た。融点:190〜194℃(分解)。TLC:R0.61(CHCl−MeOH,9:1)。
【0035】
実施例12
生物学的評価
放射性リガンド結合アッセイ:[H]DAMGO(1〜3nM)を使ってμ結合部位を標識した。ラット細胞膜は、ポリトロンにより10mL/脳の氷冷10mMトリス−HCl(pH7.0)中でホモジナイズした部分融解凍結ラット脳を用いて、毎日調製した。次に、細胞膜を30,000gで10分間遠心分離し、遠心分離後に氷冷緩衝液に再懸濁する操作を2回行った。2回目の遠心分離後に、細胞膜を25℃の50mMトリス−HCl(pH7.4)(50mL/脳)に再懸濁した。インキュベーションは、プロテアーゼ阻害剤カクテル(PIC)と共に、50mMトリス−HCl(pH7.4)中、25℃で2時間行った。非特異的結合は20μMのレバロルファンを用いて決定した。[]DADLE(2nM)とラット脳細胞膜を使ってδ結合部位を標識した。ラット細胞膜は、ポリトロンにより10mL/脳の氷冷10mMトリス−HCl(pH7.0)中でホモジナイズした部分融解凍結ラット脳を用いて、毎日調製した。次に、細胞膜を30,000gで10分間遠心分離し、遠心分離後に氷冷緩衝液に再懸濁する操作を2回行った。2回目の遠心分離後に、細胞膜を25℃の50mMトリス−HCl(pH7.4)(50mL/脳)に再懸濁した。インキュベーションは、100mM塩化コリン、3mM MnCl、μ部位への結合を遮断するための100nM DAMGO、及びPICを含む50mMトリス−HCl(pH7.4)中、25℃で2時間行った。非特異的結合は20μMのレバロルファンを用いて決定した。[H]U69,593(2nM)を使ってκ結合部位を標識した。モルモット脳細胞膜は、ポリトロンにより10mL/脳の氷冷10mMトリス−HCl(pH7.0)中でホモジナイズした部分融解凍結モルモット脳を用いて、毎日調製した。次に、細胞膜を30,000gで10分間遠心分離し、遠心分離後に氷冷緩衝液に再懸濁する操作を2回行った。2回目の遠心分離後に、細胞膜を25℃の50mMトリス−HCl(pH7.4)(75mL/脳)に再懸濁した。インキュベーションは、1μg/mLのカプトプリル及びPICを含む50mMトリス−HCl(pH7.4)中、25℃で2時間行った。非特異的結合は1μMのU69,593を用いて決定した。各Hリガンドを8〜10濃度の試験薬で2回置換した。化合物は、薬物希釈に先立って、10%DMSOを含む10mMトリス緩衝液(pH7.4)で、1mM溶液として調製した。薬物希釈は全て、1mg/mLウシ血清アルブミンを含む10mMトリス−HCl(pH7.4)で行った。洗浄は全て、氷冷10mMトリス−HCl(pH7.4)で行った。IC50と傾き係数(N)は、プログラムMLAB−PC(Civilized Software、メリーランド州ベセズダ)を使って得た。Ki値は等式:Ki=IC50/(1+[L]/Kd)に従って計算した。
【0036】
GPI及びMVD平滑筋標本でのバイオアッセイ。マウス輸精管及びモルモット回腸縦走筋層間神経叢条片の電気誘導平滑筋収縮を使用した。組織は体重25〜40gの雄ICRマウス及び体重250〜500gの雄Hartleyモルモットから得た。組織を絹製縫合糸で金の鎖に結びつけ、37℃の酸素化(95%O、5%CO)クレブス重炭酸溶液(MVDの場合はマグネシウム非含有)を含む20mL槽内で懸濁し、15分間平衡させた。次に、張力1g(MVDの場合は0.5g)になるように前もって決定しておいた最適な長さに組織を引き伸ばし、15分間平衡させた。0.1Hz、0.4msパルス(MVDの場合は2msパルス)及び最大上電圧にて、組織を白金線電極間で経壁刺激した。組織の影響を確定するために、DPDPEまたはPL−017の初期用量反応曲線を各アッセイの開始時に作成して、各組織をそれ自身の対照として使用できるようにした。典型的な結果を与えない組織は使用しなかった。実験化合物は14〜60μLの量で槽に添加した。アゴニストを3分間隔で累積的に槽に投入して、濃度応答曲線を作成した。次に、元の収縮高が回復するまで組織を新鮮な緩衝液で十分に洗浄した。1μMの各化合物のアゴニスト効果を、槽への添加の10分後の収縮高の阻害百分率として測定した。DPDPE及びPL−017に対するアンタゴニスト効果は、槽内で濃度1μMの化合物と共に組織を30分間インキュベートした後に測定した。次に、組織を新鮮な緩衝液で30分間洗浄し、アゴニスト用量反応曲線を再び作成した。拮抗された用量反応曲線IC50値を非拮抗IC50値で割ることによって、用量反応曲線の右方向のシフトを計算した。IC50値は2〜4つの組織の平均を表す。IC50推定値とそれらの標準誤差は、コンピューターによる非線形最小二乗法を用いて決定した。
以下に議論する下記の生物学的結果を得た。
【0037】
ピリドモルフィナン類のδ、μ及びκオピオイド受容体結合プロフィールを表1に、チエノモルフィナン類の同プロフィールを表2に示す。MVD及びGPI平滑筋標本における標的化合物のオピオイドアンタゴニスト能及びオピオイドアゴニスト能を表3に記載する。5’−置換ピリドモルフィナン類はいずれも高い親和性(Ki<10nM)でδ受容体と結合する。本置換化合物は親化合物7aと比較して結合能のわずかな低下を示すが、親化合物のδ選択的結合プロフィールは保っている。μ/δ及びκ/δ選択性比は異なる置換基によって異なる影響を受ける。5’位の臭素(7b)はμ部位及びκ部位での相対的結合能を減少させることによってδ選択性を増加させる。一方、エステル化合物7dは、μ/δ選択性比は増加させたが、κ/δ選択性比は親化合物より低くなった。ブロモ化合物は結合アッセイにおいて最も強力であり最もδ選択性が高いばかりでなく、MVDにおいて最も強力なδアンタゴニストでもある(Keは3.1nM)。
【0038】
チエノモルフィナンはいずれもδ受容体に高い親和性で結合する(Ki<14nM)。本化合物の大部分はμ部位にも、また特にκ部位にも、高い親和性で結合するので、結合選択性比は全般に低い。4’位(NTI及びBNTIのインドール窒素位置に相当)の置換基は、置換基の立体的かさ高さが異なるにもかかわらず、δ受容体部位ではいずれも一様に許容される。興味深いことに、かさ高いベンジルエステル置換基を持つ化合物8dは、μ及びκ受容体における結合親和性の低下により、μ/δ及びκ/δ選択性比のわずかな改善を示す。また、この化合物はMVDにおいて最も高いδアンタゴニスト活性を示し(Keは5.0nM)、GPIにおいて弱いアゴニスト活性を示す(1μM濃度で40%阻害)。これらの結果は、これらの官能化フレームワークに置換基を導入することにより、δ受容体での結合能、並びに、アンタゴニスト能が増加し、かつ/またはμ及びκ受容体での結合能及び活性が低下することを示している。
表1 ラットまたはモルモット脳細胞膜におけるピリドモルフィナン類のオピオイド受容体結合親和性
【0039】
【化9】
Figure 0004890710
【0040】
【表1】
Figure 0004890710
【0041】
μ部位への結合を遮断するために100nM DAMGOを用いたラット脳細胞膜における[H]DADLE(1.3〜2.0nM)の置換。ラット脳細胞膜における[H]DAMGO(1.4〜2.0nM)の置換。モルモット脳細胞膜における[H]U69,593(1.2〜2.2nm)の置換。Ananthan,S.ら「ナルトレキソン由来のピリド−およびピリミドモルフィナン類の合成、オピオイド受容体結合および生物学的活性」J.Med.Chem.,1999,42(印刷中)から転載。
【0042】
表2 ラットまたはモルモット脳細胞膜におけるチエノモルフィナン類のオピオイド受容体結合親和性
【0043】
【化10】
Figure 0004890710
【0044】
【表2】
Figure 0004890710
【0045】
μ部位への結合を遮断するために100nM DAMGOを用いたラット脳細胞膜における[H]DADLE(1.3〜2.0nM)の置換。ラット脳細胞膜における[H]DAMGO(1.4〜2.0nM)の置換。モルモット脳細胞膜における[H]U69,593(1.2〜2.2nm)の置換。
【0046】
表3 MVDおよびGPI標本におけるピリド−およびチエノモルフィナン類のオピオイドアンタゴニスト能およびオピオイドアゴニスト能
【0047】
【表3】
Figure 0004890710
【0048】
アゴニストとしてDPDPEを使用。アゴニストとしてPL−017を使用。(nM)=[アンタゴニスト]/(IC50比−1)。式中、IC50比は、アンタゴニスト存在下でのアゴニストのIC50を同じ標本における対照IC50で割った値である(n=3)。アゴニスト活性、1μMにおける収縮の阻害百分率。比較のために7aに関するデータを含める。データは上記Ananthanらの論文より転載。アゴニスト効果のためアンタゴニスト効果を決定できなかった。IC50比は統計的に1と異ならなかった。
【0049】
投与すべき本発明活性化合物の医薬的に許容できる有効量は、当該温血動物(哺乳動物)の種、体重、年齢及び個々の状態、ならびに投与形態に依存する。
医薬組成物は経口型、非経口型、坐剤型、または処置すべき哺乳動物の血流中に本発明で使用される化合物を送達する他の形態であることができる。
本発明の化合物は、医薬関連用途に利用できる任意の通常手段により、個別の治療薬として、または複合治療薬の一部として、投与することができる。本発明の化合物は単独で投与することもできるが、一般的には選択した投与経路及び標準的な医薬実務に基づいて選択される医薬担体と共に投与することができる。
投与量はもちろん、例えば当該薬剤の薬力学的特徴とその投与形態及び投与経路、受容者の年齢、健康状態及び体重、症状の性質及び程度、併用処置の種類、処置の頻度、所望する効果などといった既知の要因に依存して変動する。活性成分の一日量は体重1キログラム(kg)あたり約0.001〜1000ミリグラム(mg)であると予想することができ、好ましい用量は0.1〜約30mg/kgである。
剤形(投与に適した組成物)は典型的には1単位につき約1mg〜約100mgの活性成分を含有する。これらの医薬組成物には、通常、当該組成物の全重量に対して約0.5〜95重量%の量の活性成分が含まれるだろう。
【0050】
活性成分は、カプセル剤、錠剤及び散剤などの固体剤形またはエリキシル剤、シロップ剤及び懸濁剤などの液体剤形で経口投与することができる。また、滅菌液体剤形で非経口投与することもできる。活性成分は鼻腔内投与(点鼻剤)または吸入投与することもできる。例えばパッチ機構または軟膏による経皮投与などといった他の剤形も潜在的に可能である。
ゼラチンカプセル剤は、活性成分と、ラクトース、デンプン、セルロース誘導体、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸などの担体粉末とを含有する。同様の希釈剤を使って圧縮錠を製造することができる。錠剤とカプセル剤は共に、何時間にもわたって薬物が連続的に放出されるように、徐放剤として製造することができる。圧縮錠は、不快な味を遮蔽し、当該錠剤を周囲の環境から保護するために、糖衣錠またはフィルムコート錠にするか、または胃腸路での選択的崩壊が起こるように腸溶コーティングを施すことができる。
経口投与用液体剤形は患者が受け入れやすいように着色剤及び着香剤を含有することができる。
【0051】
一般に、水、適切な油、食塩水、デキストロース(グルコース)水溶液及び関連糖溶液、ならびにグリコール類(プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールなど)は、非経口溶液剤に適した担体である。非経口投与用の溶液剤は活性成分の水溶性塩、適切な安定剤、所望により緩衝物質を含む。亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウムまたはアスコルビン酸などの酸化防止剤は、単独でも、併用しても、適切な安定剤である。クエン酸とその塩及びEDTAナトリウムも使用される。また、非経口溶液剤は、塩化ベンザルコニウム、メチル−またはプロピルパラベン、及びクロロブタノールなどの保存剤を含有してもよい。
適切な医薬担体はこの分野の標準的参考資料であるRemington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Company)に記載されている。
【0052】
本発明化合物の投与に有用な医薬剤形は以下のように例示することができる。
カプセル剤
標準的なツーピース硬ゼラチンカプセルに、それぞれ100mgの活性成分粉末、150mgのラクトース、50mgのセルロース及び6mgのステアリン酸マグネシウムを充填することにより、多数の単位カプセル剤を製造する。
軟ゼラチンカプセル剤
大豆油、綿実油またはオリーブ油などの消化性油中に活性成分の混合物を調製し、容積式ポンプを使ってゼラチンに注入することにより、100mgの活性成分を含有する軟ゼラチンカプセルを形成させる。得られたカプセルを洗浄し、乾燥する。
錠剤
投与単位が活性成分100mg、コロイド状二酸化ケイ素0.2mg、ステアリン酸マグネシウム5mg、微結晶セルロース275mg、デンプン11mg、及びラクトース98.8mgになるように、従来の方法により、多数の錠剤を製造する。口当たりを良くしたり吸収を遅らせたりするために、適当なコーティングを施してもよい。
【0053】
本明細書に提示し説明した態様の他にも、本発明の様々な変形例が、上記の説明から当業者には明らかになるだろう。それらの変形例も本願特許請求の範囲に包含されるものとする。
上記の開示には、当業者による本願発明の実施を可能とするのに必須であると考えられる情報の全てが含まれている。引用した特許出願からはさらなる有用情報を得ることができるので、これらの引用文献は参照により完全な形で本明細書に組み入れられるものとする。
上述した本発明の説明は本発明を例示し説明するものである。また、上記の開示は本発明の好ましい実施形態だけを提示し、説明するものであるが、本発明は様々な他の組み合わせ、変形例及び環境でも使用することができ、本明細書に述べる発明概念の範囲内で、上記の教示内容及び/または関連分野の技術または知識に見合った変更または修飾を加えることができると理解すべきである。さらに上記の実施形態は、発明実施の最良の形態を説明し、当業者が上記の実施形態または他の変形例で、本発明の具体的応用または用途に応じて必要な種々の変更を加えて、本発明を利用できるようにすることも、目的としている。したがって、上記の説明は本発明を本明細書に開示した形態に限定することを意図するものではない。また、本願特許請求の範囲は代替的実施形態を包含すると解釈されるものとする。

Claims (15)

  1. 式I:
    Figure 0004890710
    [式I中、Y及びXは水素であり、Rは、ヒドロキシ、ハロ、CF 、NO 、CN、NH 、COR 及びCO からなる群より選択され、前記R はアルキル、アリール、アルカリール及びNH からなる群より選択され、R はアルキル、アリール及びアラルキルからなる群より選択される。]
    及び式II:
    Figure 0004890710
    [式II中、XはNH であり、Rは、水素、ヒドロキシ、ハロ、CF、NO、CN、NH、COR及びCOからなる群より選択され、前記Rはアルキル、アリール、アルカリール及びNHからなる群より選択され、Rはアルキル、アリール及びアラルキルからなる群より選択される
    によって表される化合物及び医薬的に許容できるその塩。
  2. XがH、YがH、かつRがBrである式Iによって表される請求項1の化合物。
  3. XがH、YがH、かつRがCNである式Iによって表される請求項1の化合物。
  4. XがH、YがH、かつRがCOである式Iによって表される請求項1の化合物。
  5. XがH、YがH、かつRがNOである式Iによって表される請求項1の化合物。
  6. XがH、YがH、かつRがNHである式Iによって表される請求項1の化合物。
  7. XがNH、かつRがHである式IIによって表される請求項1の化合物。
  8. XがNH、かつRがCNである式IIによって表される請求項1の化合物。
  9. XがNH、かつRがCOである式IIによって表される請求項1の化合物。
  10. XがNH、かつRがCONHである式IIによって表される請求項1の化合物。
  11. XがNH、かつRがCOCである式IIによって表される請求項1の化合物。
  12. なくとも1つの請求項1の化合物からなる鎮痛剤
  13. なくとも1つの請求項1の化合物からなる免疫調節剤
  14. なくとも1つの請求項1の化合物からなる薬物乱用治療剤
  15. 前記薬物乱用にコカインまたはメトアンフェタミン乱用が含まれる請求項14薬物乱用治療剤
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