JP4889384B2 - 断路器位相制御システム - Google Patents

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Description

この発明は、断路器位相制御システム、特に電力系統の回線切替時に開閉する断路器の動作開始タイミングの制御システムに関する。
従来のガス絶縁断路器は、断路器接点機構に永久磁石を用いて、その磁界を用いて遮断時のアーク電流経路を引き伸ばして、数kAのアーク電流を遮断している(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−197949号公報(4−5頁、図1)
従来のガス絶縁断路器は、断路器接点機構に永久磁石を設置しているため、断路器接点機構の構成が複雑になるという問題点があった。
また、数kAのアーク電流を遮断するため、接点の磨耗が早いという問題点があった。
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、簡潔な構成で接点の摩耗を伴うことなく電流遮断を確実に行えるガス絶縁断路器を得ようとするものである。
この発明に係る断路器位相制御システムでは、絶縁ガスを封入した密閉容器内で開放動作を行う断路器接点と、前記断路器接点を開放する開指令と系統電流信号を入力して前記系統電流信号の所定の位相で前記断路器接点を開放するように前記開指令の出力タイミングを遅延させた位相制御信号を系統電流信号の位相と前記断路器接点の動作時間とに基づいて出力する位相制御部と、前記位相制御信号を入力して前記断路器接点を開放する断路器駆動コイルとを備え、前記動作時間は、複数の前記ガス絶縁断路器のそれぞれについて、それぞれの前記ガス絶縁断路器毎に設けられ前記断路器接点を駆動する前記断路器駆動コイルに印加される駆動電圧電源の電圧を検出する電圧センサの検出出力とそれぞれの前記ガス絶縁断路器毎に設けられ前記断路器駆動コイルの環境温度を検出する温度センサの検出出力に応じて補正されるものであって、複数の前記ガス絶縁断路器のうち前記位相制御信号の出力先となる前記ガス絶縁断路器の動作時間を出力先の前記ガス絶縁断路器に設けられた前記電圧センサおよび前記温度センサの検出出力に応じ補正するものである。
この発明によれば、電流のゼロ位相で断路器接点が電流を遮断するように、複数のガス絶縁断路器における駆動コイルへの位相制御信号の出力タイミングを調整する共通の位相制御部により、複数のガス絶縁断路器をそれぞれの駆動電源の電圧および環境温度に応じて制御できる断路器位相制御システムを得ることができる。
実施の形態1.
この発明による実施の形態1を図について説明する。図1は実施の形態1におけるガス絶縁断路器の構成を示すブロック図である。図2は実施の形態1におけるガス絶縁断路器の動作を示すタイムチャートである。
図1において、ガス絶縁断路器1は、断路器駆動コイル2および断路器接点3ならびに位相制御部4を有している。
ガス絶縁断路器1における断路器駆動コイル2に位相制御信号5が入力されると、SF等の絶縁ガスを封入した密閉容器内で電流遮断を行う断路器接点3が開放される。断路器駆動コイル2に位相制御信号5が入力され、断路器接点3が開放するまでの時間を断路器接点3の動作時間と呼んでいる。
位相制御部4には系統電流信号6が入力される。また、開指令スイッチ7aを介して開指令7が入力される。位相制御部4への開指令7の入力により、開指令スイッチ7aを介して位相制御部4に入力された駆動コイル2を駆動するための駆動電圧電源8の電圧によるコイル駆動電圧が位相制御信号5として駆動コイル2に入力される。この位相制御信号5の入力タイミングは、位相制御部4へ電力系統に設けられた電流センサ(図示せず)から入力される系統電流信号6の位相と、事前に位相制御部4へ登録され設定・記憶されたガス絶縁断路器1における断路器接点3の動作時間に関するデータに基づいて決定される。
次に、動作について図2を用いて説明する。電力系統では地絡事故等がない限り、系統電流の位相は安定しているので、位相制御部4は入力した系統電流信号6のタイミング周期と、直近の系統電流位相も同一周波数かつ同一位相とみなすことができる。よって、位相制御部4は、入力した系統電流信号6から検出した電流ゼロ位相をもとに、将来の電流ゼロ位相タイミングを予測することができる。また、ガス絶縁断路器1における断路器接点3の動作時間は位相制御部4に設定されており既知である。
位相制御部4に開指令7が入力されると、ガス絶縁断路器1は位相制御信号5が入力されることによって断路器接点3の断路器駆動コイル2へ駆動電圧電源8の電圧によるコイル駆動電圧が印加されるのを待つ待機状態となる。位相制御部4は位相制御部4への開指令7の入力によって予測した将来の電流ゼロ位相と、ガス絶縁断路器1における断路器接点3の動作時間から、位相制御信号5の出力タイミングを算出するとともに、位相制御信号5の出力タイミングまで出力を待つ。この遅延時間経過後、位相制御部4は位相制御信号5を断路器駆動コイル2に出力する。断路器駆動コイル2への位相制御信号5の入力により断路器接点3は開放動作を行い、電力系統を開路状態として絶縁を確保する。
このような制御を行うことにより、断路器接点3は系統電流のゼロ位相で系統電流を遮断する。系統電流が数kA流れていたとしても、電流ゼロ位相で遮断するため断路器接点3の遮断電流能力は小さくて済み、断路器接点3の摩耗を伴うことなく電流遮断を確実に行えるので、電流遮断容量の小さな断路器接点3で、系統電流が数kAの場合でも遮断することができ、ガス絶縁断路器1の寿命を延ばすとともに遮断機能の信頼性を向上することができる。
よって、遮断能力を向上させるために断路器に永久磁石を組み込むような複雑な構成にする必要がなくなる。
この発明による実施の形態1によれば、絶縁ガスを封入した密閉容器内で開放動作を行う断路器接点3と、前記断路器接点3を開放する開指令7と系統電流信号6を入力して前記系統電流信号6の所定の位相で前記断路器接点3を開放するように前記開指令7の出力タイミングを遅延させた位相制御信号5を系統電流信号6の位相と前記断路器接点3の動作時間とに基づいて出力する位相制御部4と、前記位相制御信号5を入力して前記断路器接点3を開放する断路器駆動コイル2と、を備えたので、所定の系統電流位相である電流のゼロ位相で断路器接点3が電流遮断を行うことにより、永久磁石などを要しない簡潔な構成で断路器接点3の摩耗を伴うことなく電流遮断を確実に行えるガス絶縁断路器を得ることができる。
実施の形態2.
この発明による実施の形態2を図3について説明する。図3は実施の形態2におけるガス絶縁断路器の構成を示すブロック図である。
この実施の形態2において、ここで説明する特有の構成以外の構成については、先に説明した実施の形態1における構成と同一の構成内容を具備し、同様の作用を奏するものである。図中、同一符号は同一または相当部分を示す。
実施の形態1では、ガス絶縁断路器1は位相制御部4に断路器接点3の動作時間に関するデータを設定・記憶していたが、この実施の形態2では、駆動電圧電源8の電圧変動および断路器駆動コイル2の環境温度変動により影響を受けるガス絶縁断路器1における断路器接点3の動作時間の変動を補正することにより、一層高精度な断路器接点3の動作時間予測が可能となる。
図3において、電圧センサ9は断路器駆動コイル2に印加される駆動電圧電源8の電圧を検出し、位相制御部4に出力する。温度センサ10は、断路器駆動コイル2の近傍に設置され、その環境温度を検出し、位相制御部4に出力する。また、位相制御部4には、位相制御信号5の出力タイミングを最適化して調整し電流ゼロ位相で断路器接点3を開放動作させるためのデータ、例えば、駆動電圧電源8の電圧の変動と断路器駆動コイル2の環境温度によりガス絶縁断路器1における断路器接点3の動作時間にどのような影響を与えるかを示す温度―コイル駆動電圧特性に関するデータがあらかじめ設定・記憶されている。
次に、動作について説明する。位相制御部4には電圧センサ9により検出されたコイル駆動電圧電源8の電圧が入力される。また、温度センサ10の信号から環境温度を検出する。位相制御部4に開指令7が入力されると、電圧センサ9により検出された駆動電圧電源8の電圧と温度センサ10により検出された断路器駆動コイル2の環境温度をもとに、駆動電圧電源8の電圧状況と位相制御部4に事前に設定されたガス絶縁断路器1における断路器接点3の動作時間の温度―コイル駆動電圧特性を含むデータからガス絶縁断路器1における断路器接点3のその時点での環境条件下の動作時間を予測する。
この手法で予測したガス絶縁断路器1における断路器接点3の動作時間と、系統電流6から予測した将来の電流ゼロ位相タイミングから実施の形態1と同様な位相制御信号5の出力タイミング制御を行う。
この実施の形態2による制御を行うことにより、断路器駆動コイル2に印加される駆動電圧電源8の電圧の変化や断路器駆動コイル2の環境温度といった環境変化によるガス絶縁断路器1における断路器接点3の動作時間の変動を補正し、より精度の高い電流ゼロ位相での遮断を実現することができる。
この発明による実施の形態2によれば、実施の形態1における構成において、前記動作時間は、前記断路器接点3を駆動する断路器駆動コイル2に印加される駆動電圧電源8の電圧を検出する電圧センサ9の検出出力と前記断路器駆動コイル2の環境温度を検出する温度センサ10の検出出力に応じて補正されるようにしたので、所定の系統電流位相である電流のゼロ位相で断路器接点3が電流を遮断するように、断路器駆動コイル2への位相制御信号の出力タイミングを調整する位相制御部4へ駆動電圧電源8の変動や断路器駆動コイル2の環境温度の変動に基づく温度―コイル駆動電圧特性による断路器接点3の動作時間への影響を考慮するよう前記駆動電圧センサ9の出力と温度センサ10の出力を導入することによって、より高精度な断路器接点3の動作時間の予測を行うことができるため、所定の系統電流位相である電流ゼロ点での精度の高い電流遮断を実現することができるガス絶縁断路器1を得ることができる。
実施の形態3.
この発明による実施の形態3を図4について説明する。図4は実施の形態3における断路器位相制御システムの構成を示すブロック図である。
この実施の形態3において、ここで説明する特有の構成以外の構成については、先に説明した実施の形態1または実施の形態2における構成と同一の構成内容を具備し、同様の作用を奏するものである。図中、同一符号は同一または相当部分を示す。
実施の形態1および実施の形態2では、一つのガス絶縁断路器1に位相制御部4を設けて実現していたが、この実施の形態3では、二つのガス絶縁断路器1A,1Bを一つの位相制御部4Aで実現する構成を示す。
図4において、二つのガス絶縁断路器1A,1Bを共通の位相制御部4Aで制御する構成を示している。
図4では、二つのガス断路器1A,1Bに対応して、構成物の記号(数字)の後ろにAまたはBをつけて2系の構成物に例えば2A,2B等の符号をつけ区別している。
選択切替指令手段を構成するセレクト指令部15は、選択切替指令信号により、どちらのガス絶縁断路器1Aか1Bかが開路動作を行うかを指定するものである。信号切替手段を構成するセレクトスイッチ11,12,13,14はセレクト指令部15からの信号を入力して、指定されたガス絶縁断路器1Aまたは1B側の信号を選択するように切り替わる。
セレクトスイッチ11は開指令スイッチ7Aaによる開指令7Aまたは開指令スイッチ7Baによる開指令7Bの切替、セレクトスイッチ12は電圧センサ9A,9Bの検出出力の切替、セレクトスイッチ13は温度センサ10A,10Bの検出出力の切替を行い、セレクトスイッチ14は位相制御部4Aからの位相制御信号5を断路器駆動コイル2A,2Bのどちらへ供給するかを切り替える。
位相制御部4Aは、二つのガス絶縁断路器1A,1Bにおける断路器接点3A,3Bの動作時間に影響を与える温度―コイル駆動電圧特性などのデータをあらかじめ設定・記憶しており、またセレクト指令部15の信号を入力して、動作するガス絶縁断路器が1Aか1Bかを判断する。
次に、動作について説明する。セレクト指令部15の信号により、セレクトスイッチ11,12,13,14は、動作させるガス絶縁断路器1A,1Bのいずれかを判断し、スイッチ接点の切替を設定する。
図4はガス絶縁断路器1Bの断路器駆動コイル2Bを動作させようとした時のセレクトスイッチ11,12,13,14の状態を示している。この状態で、開指令スイッチ7Baが閉合され開指令7Bが入力されると、この開指令7Bはセレクトスイッチ11を介して位相制御部4Aに入力される。
位相制御部4Aはセレクト指令部15からの信号で、ガス絶縁断路器1Bの断路器接点3の動作時間に影響を与える温度―コイル駆動電圧特性などに関するデータ、セレクトスイッチ12から入力するガス絶縁断路器1の断路器駆動コイル2Bへ印加される駆動電圧電源8の電圧を検出した電圧センサ9Bの検出出力値、セレクトスイッチ13から入力する断路器駆動コイル2Bの環境温度を検出する温度センサ10Bの検出出力値から、断路器駆動コイル2Bにより駆動される断路器接点3Bによって開路動作が行われるガス絶縁断路器1Bの断路器接点3の動作時間を予測する。
実施の形態1および実施の形態2と同じ制御手法で出力された位相制御信号5は、セレクトスイッチ14を介して断路器駆動コイル2Bに出力される。以降の動作は実施の形態1および実施の形態2と同じである。
この発明による実施の形態3では、信号切替操作および二つのガス絶縁断路器1A,1Bのどちらかの開路動作を行うかの切替判断処理を行うことにより、一つの位相制御部4Aで複数のガス絶縁断路器1A,1Bを制御することを特徴とする断路器位相制御システムが構成されている。
したがって、セレクトスイッチ11,12,13,14からなる信号切替手段およびセレクト指令部15からなる選択切替指令手段を設けることにより、一つの位相制御部4Aで、複数のガス絶縁断路器1A,1Bを制御することが可能となる。
位相制御部4Aは比較的高価となるため、この方式によりコスト低減を図ることができるという効果がある。
この発明による実施の形態3によれば、絶縁ガスを封入した密閉容器内で開放動作を行う断路器接点3A,3Bと位相制御信号5を入力して前記断路器接点3A,3Bを開放する断路器駆動コイル2A,2Bとを具備する複数のガス絶縁断路器1A,1Bに対して共通に設けられ、前記断路器接点3A,3Bとを開放する開指令7A,7Bと系統電流信号6を入力して前記系統電流信号6の所定の位相で前記断路器接点3A,3Bを開放するように前記開指令7A,7Bの出力タイミングを遅延させた位相制御信号5を系統電流信号6の位相と前記断路器接点3A,3Bの動作時間とに基づいて出力する位相制御部4Aと、前記位相制御信号5の出力先を切り替える切替信号を出力するセレクト指令部15からなる切替信号出力手段と、前記切替信号と前記位相制御信号5を入力し、前記切替信号に基づいて前記位相制御信号5の出力先を複数のガス絶縁断路器1A,1Bのいずれかのガス絶縁断路器に切り替えるセレクトスイッチ11,12,13,14からなる信号切替手段と、を備えたので、電流のゼロ位相で断路器接点3A,3Bが電流を遮断するように、駆動コイル2A,2Bへの位相制御信号5の出力タイミングを調整する共通の位相制御部4Aにより複数のガス絶縁断路器1A,1Bを制御できる経済的な断路器位相制御システムを得ることができる。
この発明による実施の形態1におけるガス絶縁断路器の構成を示すブロック図である。 この発明による実施の形態1におけるガス絶縁断路器の動作を示すタイムチャートである。 この発明による実施の形態2におけるガス絶縁断路器の構成を示すブロック図である。 この発明による実施の形態3における断路器位相制御システムの構成を示すブロック図である。
符号の説明
1 ガス絶縁断路器、2 断路器駆動コイル、3 断路器接点、4 位相制御部、5 位相制御信号、6 系統電流信号、7 開指令、8 駆動電圧電源、9 電圧センサ、10 温度センサ、1A,1B ガス絶縁断路器、2A,2B 断路器駆動コイル、3A,3B 断路器接点、4A 位相制御部、7A,7B 開指令、8A,8B 駆動電圧電源、9A,9B 電圧センサ、10A,10B 温度センサ、11,12,13,14 セレクトスイッチ、15 セレクト指令部。

Claims (2)

  1. 絶縁ガスを封入した密閉容器内で開放動作を行う断路器接点と位相制御信号を入力して前記断路器接点を開放する断路器駆動コイルとを具備する複数のガス絶縁断路器に対して共通に設けられ、前記断路器接点を開放する開指令と系統電流信号を入力して前記系統電流信号の所定の位相で前記断路器接点を開放するように前記開指令の出力タイミングを遅延させた位相制御信号を系統電流信号の位相と前記断路器接点の動作時間とに基づいて出力する位相制御部と、
    前記位相制御信号の出力先を切り替える切替信号を出力する切替信号出力手段と、
    前記切替信号と前記位相制御信号を入力し、前記切替信号に基づいて前記位相制御信号の出力先を複数のガス絶縁断路器のいずれかのガス絶縁断路器に切り替える信号切替手段とを備え、
    前記動作時間は、複数の前記ガス絶縁断路器のそれぞれについて、それぞれの前記ガス絶縁断路器毎に設けられ前記断路器接点を駆動する前記断路器駆動コイルに印加される駆動電圧電源の電圧を検出する電圧センサの検出出力とそれぞれの前記ガス絶縁断路器毎に設けられ前記断路器駆動コイルの環境温度を検出する温度センサの検出出力に応じて補正されるものであって、複数の前記ガス絶縁断路器のうち前記位相制御信号の出力先となる前記ガス絶縁断路器の動作時間を出力先の前記ガス絶縁断路器に設けられた前記電圧センサおよび前記温度センサの検出出力に応じ補正することを特徴とする断路器位相制御システム
  2. 切替信号出力手段からの切替信号により、複数の前記ガス絶縁断路器について開指令信号を切り替える第1のセレクトスイッチと、複数の前記ガス絶縁断路器について前記電圧センサの検出出力を切り替える第2のセレクトスイッチと、複数の前記ガス絶縁断路器について前記温度センサの検出出力を切り替える第3のセレクトスイッチとを設けたことを特徴とする請求項1に記載の断路器位相制御システム。
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