JP4888858B2 - 工作機械におけるツールホルダの傾き検出方法および傾き検出装置 - Google Patents

工作機械におけるツールホルダの傾き検出方法および傾き検出装置 Download PDF

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Description

本発明は、工作機械において主軸の回転軸に対するツールホルダの傾きを検出するための方法および装置に関する。
自動工具交換装置を備えたマシニングセンタのような工作機械においては、加工工程に従って工具の交換が自動的に行なわれる。各種工具はそれぞれツールホルダに保持されてツールマガジンに格納されており、自動工具交換装置は、所定のツールホルダを選択してツールマガジンから取り出し、自動的に主軸に装着する。しかしながら、主軸には切屑が付着しやすく、ツールホルダを主軸に装着したときに、ツールホルダと主軸との間に切屑が挟み込まれると、主軸の回転軸に対してツールホルダが傾いた状態となり、この状態で主軸を回転させると、工具の振れが発生する。このため、ワークの加工精度に悪影響を及ぼし、また、場合によってはツールホルダの脱落といった重大な事故に繋がることもある。このため、主軸へのツールホルダ装着時に、切屑の挟み込みによるツールホルダの傾きを検知し、加工不良を未然に防ぐためのさまざまな工夫が行われている。
例えば、後掲の特許文献1には、渦電流センサを用いたツールホルダの傾き検出装置が開示されている。本装置では、渦電流センサはツールホルダのフランジ部の側面に対向して配置されている。センサヘッドとフランジ部との間で形成されるインピーダンスは、両者の間隙に応じて変化するので、主軸を回転させたときのインピーダンス変化を測定することにより、ツールホルダの傾きを検出することができる。
また、後掲の特許文献2にも、渦電流センサをツールホルダのフランジ部の側面に対向して配置した傾き検出装置が開示されている。本装置では、センサヘッドからフランジ部の側面までの距離の変化を、ツールホルダの回転角度に対応させて渦電流センサで一周分測定し、この測定データをFFT(高速フーリエ変換)により解析して基本波周波数成分を抽出し、その振幅を算出する。そして、この基本波周波数成分の振幅からツールホルダの傾きを算出するようにしている。
特開2002−331442号公報 特開2002−200542号公報
上述した特許文献1や特許文献2は、ツールホルダのフランジ部の側面に対向配置した渦電流センサを用い、センサヘッドとツールホルダとの間の距離の変化に基づいてツールホルダの傾きを検出するものである。しかしながら、これらの先行技術では、主軸の回転軸と直交する方向の距離の変化のみを利用しているため、ツールホルダの傾きによる距離の変化が微量であり、渦電流センサの出力変化すなわち感度が十分ではなかった。このため、切屑等の異物の挟み込みによるツールホルダの傾きを高精度に検出することが困難であった。また、感度を上げて数十ミクロン単位の変位を検知するためには、高感度の変位センサを使用しなければならず、装置が高価になるという問題があった。
そこで、本発明は、主軸とツールホルダとの間に切屑等の異物の挟み込みがあった場合に、高価なセンサを用いなくても、ツールホルダの傾きを高精度に検出することが可能な検出方法および検出装置を提供することを目的とする。
本発明に係るツールホルダの傾き検出方法は、工作機械の主軸に取り付けられたツールホルダの近傍に渦電流センサを配置し、この渦電流センサの出力に基づいて、主軸の回転軸に対するツールホルダの傾きを検出する方法であって、ツールホルダのフランジ部の側面に対し、渦電流センサのヘッド面が斜め方向から対向又は真横方向から部分的に対向するように、当該渦電流センサを配置し、主軸を回転させたときに、ツールホルダのフランジ部と渦電流センサのヘッド面との相対的な位置関係の変化により生じる渦電流センサの出力に基づいて、ツールホルダの傾きを検出するものである。
このようにすると、主軸を回転させたときに、ツールホルダのフランジ部と渦電流センサのヘッド面との距離あるいは対向面積が、ツールホルダの傾きに応じて大きく変化することになるので、主軸の回転軸と直交する方向の距離の変化のみを利用する従来の方式に比べて、渦電流センサから大きな出力の変化が得られる。この結果、感度が向上して、切屑等の異物によるツールホルダの傾きを高精度に検出することができる。また、高感度の変位センサを使用しなくても、従来の渦電流センサを用い、センサの位置を変更するだけで簡単かつ安価に実現することができる。
本発明のツールホルダの傾き検出方法としては、2つの実施形態が考えられる。第1の実施形態は、主としてフランジ部とセンサヘッドとの距離の変化を利用する方法であって、この方法では、渦電流センサを、主軸の回転軸と直交する方向に対し所定角度だけ傾斜して配置することにより、ツールホルダのフランジ部の側面に対し、渦電流センサのヘッド面を斜め方向から対向させる。そして、主軸を回転させたときに、フランジ部の所定部分が渦電流センサのヘッド面の方向へ変位することにより生じる渦電流センサの出力に基づいて、ツールホルダの傾きを検出する。
この第1の実施形態では、ツールホルダのフランジ部における所定部分の変位量が最大となる方向に渦電流センサを斜め配置することにより、渦電流センサの出力変化が最大となり、感度が向上してツールホルダの傾きの高精度な検出が可能となる。例えば、従来のように渦電流センサをフランジ部側面に真横方向から対向させた場合に比べて、感度を約77%向上させることができる。
第2の実施形態は、主としてフランジ部とセンサヘッドとのオーバーラップ面積(対向面積)の変化を利用する方法であって、この方法では、渦電流センサを主軸の回転軸と直交する方向に配置することにより、ツールホルダのフランジ部の側面に対し、渦電流センサのヘッド面を真横方向から部分的に対向させる。そして、主軸を回転させたときに、渦電流センサのヘッド面とツールホルダのフランジ部の側面とのオーバーラップ面積が変化することにより生じる渦電流センサの出力に基づいて、ツールホルダの傾きを検出する。
この第2の実施形態では、主軸を回転させたときに、ツールホルダの傾きによりセンサのヘッド面とフランジ部の側面との距離が変化して渦電流センサの出力が変化することに加え、センサのヘッド面とフランジ部の側面とのオーバーラップ面積が変化して渦電流センサの出力が変化する。この結果、距離の変化とオーバーラップ面積の変化の双方により、渦電流センサから大きな出力変化が得られ、感度が向上してツールホルダの傾きの高精度な検出が可能となる。
第1の実施形態に用いられる本発明の傾き検出装置は、工作機械の主軸に取り付けられたツールホルダの近傍に配置される渦電流センサを備え、この渦電流センサの出力に基づいて、主軸の回転軸に対するツールホルダの傾きを検出する装置であって、上記渦電流センサを、主軸の回転軸と直交する方向に対し所定角度だけ傾斜させて配置することにより、ツールホルダのフランジ部の側面に対し、渦電流センサのヘッド面を斜め方向から対向させたものである。
第2の実施形態に用いられる本発明の傾き検出装置は、工作機械の主軸に取り付けられたツールホルダの近傍に配置される渦電流センサを備え、この渦電流センサの出力に基づいて、主軸の回転軸に対するツールホルダの傾きを検出する装置であって、上記渦電流センサを、主軸の回転軸と直交する方向に配置することにより、ツールホルダのフランジ部の側面に対し、渦電流センサのヘッド面を真横方向から部分的に対向させ、当該ヘッド面とフランジ部の側面とのオーバーラップ面積が、ヘッド面の面積の略半分となるようにしたものである。
本発明の傾き検出装置においては、ツールホルダのフランジ部を、ツールホルダに着脱自在に装着される円板から構成してもよい。これによると、渦電流センサの位置を円板に合わせて任意に設定することができるとともに、ツールホルダに設けられている切欠き部などの影響を受けずに測定を行なうことができ、センサ出力の信号処理が容易となる。
本発明によれば、ツールホルダのフランジ部と渦電流センサのヘッド面との距離や対向面積の変化が大きくなって感度が向上するので、高感度の変位センサを用いなくても、主軸とツールホルダとの間に挟み込まれた切屑等の異物によるツールホルダの傾きを高精度に検出することができる。
図1は、本発明で用いられるツールホルダの一例であって、主軸にツールホルダを装着した状態を示している。1はマシニングセンタなどの工作機械の主軸、2はこの主軸1に装着されるツールホルダ、3はツールホルダ2に保持されている工具である。主軸1には、ボス部11と凹部12とが設けられている。ツールホルダ2は、主軸1の凹部12に嵌合する嵌合部21と、主軸1のボス部11に接合するフランジ部23を備えている。フランジ部23は、溝22を挟んだ2つのフランジ部231、232からなる。24aはフランジ部23に形成された1対のチャック用切欠き部の一方であり、工具の自動交換時に、図示しない工具交換装置のアームと係合する。25はツールホルダ2の位置決め用の切欠き部であり、図示しないセンサによりその位置が検知される。以上のような主軸1やツールホルダ2の構造は、従来のものと変わりがない。
図2は、主軸1のボス部11の端面13と、ツールホルダ2のフランジ部231との間に、切屑などの異物4が挟まった状態を示している。なお、図2では、図1の工具3の図示は省略してある(以下の図においても同様)。この場合、異物4の存在によって、ツールホルダ2の回転軸2xは、主軸1の回転軸1xに対して左方向に角度θだけ傾く。そして、この状態で主軸1が回転軸1xの回りに回転すると、図3に示すようにフランジ部23は、図の丸数字1→2→3→2→1→2…とF方向に揺動する。
いま、異物4の挟み込み箇所が図4(a)の位置である場合、このときの主軸1の回転角φを、図4(b)のようにφ=0(基準位置)とする。主軸1が図4(b)の矢印方向に回転すると、異物4もこれに伴って移動する。そして、異物4が図5(a)の位置に来ると、図5(b)に示すように、主軸1の回転角φはφ=π(半回転位置)となる。このとき、ツールホルダ2の回転軸2xは、主軸1の回転軸1xに対して右方向に角度θだけ傾く。そして、主軸1が更に半回転すると(φ=2π)、異物4は図4(a)の位置に戻る。なお、図5(a)において、24bはチャック用切欠き部の他方を表している。
以上のことから、主軸1が1回転する過程において、ツールホルダ2は左右に角度2θだけ振れることになる。図6(a)はこのツールホルダ2の振れの様子を表した図であり、図6(b)は図6(a)のA−A切断図である。ここで、主軸1のボス部11とフランジ部23とのなす角度は、ツールホルダ2の傾き角θに等しいから、異物4の径をd、フランジ部23の径(=ボス部11の径)をDとした場合、これらの間には次の関係が成立する。
Figure 0004888858
一方、図6のK部を拡大した図7において、フランジ部232のエッジ部に測定点Pをとり、r軸とz軸を図のように設定する。r軸は主軸1の回転軸1x(図6)と直交する軸であり、z軸は主軸1の回転軸1xと平行な軸である。ΔrはP点のr軸方向の最大振幅量、ΔzはP点のz軸方向の最大振幅量、ΔLはP点の最大変位量、αはP点の変位方向とr軸方向とのなす角である。sはフランジ部231の上端からP点までの距離である。図7において、
Figure 0004888858
また、Δz=dであるから、式(1)、(2)より、
Figure 0004888858
となる。
図8は、主軸1の1回転(0≦φ≦2π)の間におけるP点の振幅の変化を表している。(a)はz軸方向の振幅、(b)はr軸方向の振幅を示す。図のように、P点はr軸方向、z軸方向に単振動し、それぞれの振幅は次式で表わされる。
Figure 0004888858
式(3)、(4)、(5)よりφを消去してrとzの関係を求めると、次式のようになる。
Figure 0004888858
式(6)の関係をグラフに表すと図9のようになり、P点はこの図9に示された軌跡上を揺動する。ここで、図7よりtanα=Δz/Δr、式(3)よりΔz/Δr=D/2sであるから、tanα=D/2sとなる。すなわち、P点の揺動方向のr軸方向に対する角度αは、ツールホルダ2のサイズ(D、s)にのみ依存し、異物の径dには左右されない。
いま、ツールホルダ2のD、sの寸法をD=63mm、s=21.5mmとした場合、角度αの値は、次のようになる。
α=tan−1(D/2s)=tan−1(63/43)=55.7°
したがって、P点の変位量が最大値ΔLとなるのは、P点の揺動方向がr軸方向に対して約56°の角度をなす場合であることがわかる。よって、この方向からセンサによりP点の変位量を測定すれば、最も効率良くツールホルダ2の傾きを検出することができる。そして、このときのP点の最大変位量ΔLは、r軸方向の振幅Δrに比べてΔL>Δrの関係にあるから、従来のようにΔrを測定するよりも、ΔLを測定したほうがP点の揺動に対して大きな出力の変化が得られ、感度が向上する。
図10は、以上のような原理に基づき、P点の変位量を検出する渦電流センサ5を、r軸方向に対し56°の角度で配置した第1実施形態の傾き検出装置を示している。渦電流センサ5は、例えば、図示しない主軸台に固定された取付板に取り付けられている。この状態では、ツールホルダ2のフランジ部232の側面232aに対し、渦電流センサ5のヘッド面5aが斜め方向から対向している。渦電流センサ5は、公知の渦電流センサからなる。渦電流センサ5にはコイルが内蔵されており、このコイルに高周波電流が流れると、発生する高周波磁界によってフランジ部232に渦電流が流れ、コイルのインピーダンスが変化する。このインピーダンスは、渦電流センサ5とフランジ部232との距離に応じて変化するので、インピーダンス変化に基づく渦電流センサ5の出力の変化を検出することで、P点の変位量を検出することができ、P点の変位量からツールホルダ2の傾き(角度θ)を検出することができる。ツールホルダ2の傾きが大きくなるほど、P点の変位量は増大する。
図9より、ΔL・sinα=dであるから、P点の変位量ΔLの理論値は、次のようになる。
Figure 0004888858
いま、例えば、渦電流センサ5の出力電圧1Vに相当するP点の変位量ΔLを203μmとし、異物4の代わりに図13のような金属板からなるシム6を主軸1とツールホルダ2との間に介在させ、ツールホルダ2を1周約5秒で2回転させ、シム6の厚さdを10〜100μmまで10μmごとに変化させた場合の測定時間tと出力電圧Vおよび変位量ΔLとの関係をグラフに表してみると、図11A〜図11Cのようになる。波形の下部のサイン(sin)曲線が、P点の時間的変位を表している。図中にA、B、Cで示すように、3種類の波形の途切れがあるが、これはツールホルダ2のフランジ部23に3箇所の切欠き部24a,24b,25が設けられているためである。これらの切欠き部では、出力電圧波形は飽和状態となる。しかしながら、本発明においては、変位量ΔLの計算にあたって、波形上のサイン曲線から電圧の最大値と最小値の差ΔVを読み取り、ΔVを変位量ΔLに換算するため、上述した切欠き部によって波形に途切れが生じたとしても、大した影響はない。例えば、出力電圧に対して閾値を設定し、閾値以下の信号だけを取り出すことで、波形の途切れを無視することができる。
一例として、d=60μmのシム6を挟み込んだ場合、出力電圧Vおよび変位量ΔLは、図11B(f)のようになる。ここで、1V=203μmであることから、図11B(f)の拡大図である図12より、電圧の最大値と最小値の差はΔV=0.470[V]である。したがって、変位量はΔL=203×0.470=95.4[μm]となる。このようにして、シム6の厚さdを10μmごとに変えていった場合のP点の変位量ΔLを、ΔVの測定値から求めることができる。この計算結果から得られた変位量ΔLとシム6の厚さdとの関係を表したものが、図14のグラフにおける実線Iである。
ところで、前述のように、変位量ΔLの理論値は式(7)で示されるが、式(7)は、図6(a)のようにツールホルダ2の端部に異物4が挟まったと仮定した場合の計算式である。しかるに、異物4に代えてシム6を用いて測定を行なう場合は、図13(a)に示すように、主軸1とツールホルダ2との間にシム6を例えば7.5mm差し込んでいるため、ツールホルダ2の傾きが大きくなる。図13(b)より、d’/d=63/(63−7.5)であるから、d’=1.14dとなり、シム6を挟んだときの理論値の式は、次のようになる。
Figure 0004888858
上記の式(8)から変位量ΔLの理論値を求めてグラフに表すと、図14の破線IIのようになる。また、図14の破線IIIは、従来の方法によるr軸方向の変位測定による変位量Δrの理論値を示している。Δrの理論値は、式(3)より、
Figure 0004888858
となる。
以上のことから、ツールホルダ2のフランジ部232の側面232aに対して、渦電流センサ5を従来のように真横から対向させて測定を行なう場合の変位量Δrの理論値と、本発明のように渦電流センサ5を56°傾けて測定を行なう場合の変位量ΔLの理論値とを比較した場合、式(8)および式(9)より、
ΔL/Δr=1.375d/0.778d=1.767
となり、本発明のほうが従来より約1.77倍も変位量が大きくとれ、感度が77%アップすることがわかる。
このようにして、上述した第1実施形態によれば、渦電流センサ5から大きな出力変化が得られ、感度が向上して、切屑等の異物によるツールホルダ2の傾きを高精度に検出することができる。また、高価な高感度型の変位センサを使用しなくても、従来の渦電流センサを用い、センサの位置を変更するだけで簡単かつ安価に実現することができる。
渦電流センサ5の出力電圧は、図示しない検出回路に与えられ、検出回路でこの出力電圧に基づきツールホルダ2の傾きが検出される。そして、傾き量が一定値を超えると、検出回路は異常信号を出力し、この異常信号に基づいて主軸1の回転を停止するなどの制御が行なわれる。
なお、上記の例では、D=63mm、s=21.5mmの寸法を有するツールホルダ2を用いて、渦電流センサ5の取付角度αを約56°に設定したが、本発明で用いるツールホルダ2がこの寸法のものに限定されないことは勿論であり、角度αはDとsの値に応じて異なった値をとる。種々の寸法のツールホルダに対応できるように、渦電流センサ5の取付角度αを可変する角度調整機構を設けてもよい。
また、図10においては、ツールホルダ2にもともと備わっているフランジ部23の近傍に渦電流センサ5を配置したが、図15のように、ツールホルダ2に円板26を着脱自在に装着し、この円板26をフランジ部としてもよい。この場合、渦電流センサ5の取付位置は、円板26に合わせて任意に設定することができる。また、円板26の径をフランジ部23の径より大きくすることで、渦電流センサ5をツールホルダ2の本体から離して配置することができ、工具交換時に渦電流センサ5が邪魔にならないようにすることができる。さらに、ツールホルダ2に設けられている切欠き部24a、24b、25などの影響を受けずに測定を行なうことができるので、図11A〜図11Cのような波形の途切れが生じなくなり、渦電流センサ5の出力の信号処理が容易となる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図16は、第2実施形態の傾き検出装置を示した図である。第2実施形態では、図16(a)のように、渦電流センサ5を主軸1の回転軸1xと直交する方向に配置し、ツールホルダ2のフランジ部232の側面232aに対し、渦電流センサ5のヘッド面5aを真横方向から部分的に(完全にオーバーラップしないように)対向させる。渦電流センサ5は、例えば、図示しない主軸台に固定された取付板に取り付けられている。dxは、ヘッド面5aと側面232aとの距離を表している。
第2実施形態の原理は以下のとおりである。渦電流センサ5を、図16(a)の破線の位置、すなわちヘッド面5aとフランジ部232の側面232aとが対向しない位置(オーバーラップ面積=0)から、z方向(主軸1の回転軸1xと平行な方向)へ移動させる場合を考える。渦電流センサ5のヘッド面5aの直径をw=5.4mmとし、渦電流センサ5を破線位置(z=0)から0.2mm間隔でz=5.4mmの位置まで移動させたときの出力電圧の変化を、dx=0.5、dx=0.7、dx=0.9、dx=1.1、dx=1.3(単位:mm)の各場合について測定すると、図17のようになる。渦電流センサ5がz方向へ移動するに従って、センサのヘッド面5aとフランジ部232の側面232aとのオーバーラップ面積が徐々に増加し、これに伴って出力電圧Vは減少する。
図17より、出力電圧Vの傾きが最も大きくなるのは、破線で示したz=2.5付近であり、この付近でツールホルダ2の振れを最も敏感に検知できることがわかる。このときzの値は、渦電流センサ5のヘッド面5aの直径w(=5.4mm)の約半分に相当する。したがって、図16(b),(c)のように、渦電流センサ5のヘッド面5aと、フランジ部232の側面232aとのオーバーラップ面積が、ヘッド面5aの面積の略半分となるように渦電流センサ5を配置すれば、ツールホルダ2の傾きによりフランジ部23がz方向へ変位した場合の出力電圧Vの変化が最大となり、感度が向上する。
また、図17より、渦電流センサ5のヘッド面5aと、フランジ部232の側面232aとの距離dxが小さいほど、出力電圧Vの傾きが大きくなり、ツールホルダ2の振れをより敏感に検知できることがわかる。したがって、渦電流センサ5は、自動工具交換の際にツールホルダ2と干渉しない範囲で、可能な限りツールホルダ2に近づけて設置することが望ましい。
図18のように、主軸1のボス部11と、ツールホルダ2のフランジ部231との間に、切屑などの異物4が挟まった場合、主軸1が回転すると、フランジ部23は、図の丸数字1→2→3→2→1→2…とF方向に揺動する。1→2→3とフランジ部23が揺動するに従って、オーバーラップ面積は減少する。それと同時に、渦電流センサ5とフランジ部232との距離dxは離れる。図17より、オーバーラップ面積が減少すれば(すなわちzが小さくなれば)、センサ7の出力電圧Vは大きくなり、距離dxが大きくなっても出力電圧Vは大きくなる。つまり、オーバーラップ面積の変化と、距離の変化の2つを利用することで、より大きな出力電圧Vの変化が得られる。
具体的には、渦電流センサ5の直径がw=5.4mmの場合、dx=0.5mm、z=2.5mmの位置に渦電流センサ5を設置し、第1実施形態と同様に、異物4の代わりにシム6(図13)を挟んで主軸1を回転させ、渦電流センサ5の出力電圧波形を測定して、出力電圧の最大値と最小値の差ΔVを求めたところ、図19の実線IVに示されるような結果となり、第1実施形態の測定結果を表す実線Iとほぼ同様の効果が得られることがわかった。
このようにして、上述した第2実施形態によれば、オーバーラップ面積と距離の双方の変化を利用することで、渦電流センサ5から大きな出力変化が得られ、感度が向上して、切屑等の異物によるツールホルダ2の傾きを高精度に検出することができる。また、高価な高感度型の変位センサを使用しなくても、従来の渦電流センサを用い、センサの位置を変更するだけで簡単かつ安価に実現することができる。
渦電流センサ5の出力電圧は、図示しない検出回路に与えられ、検出回路でこの出力電圧に基づきツールホルダ2の傾きが検出される。そして、傾き量が一定値を超えると、検出回路は異常信号を出力し、この異常信号に基づいて主軸1の回転を停止するなどの制御が行なわれる。
第2実施形態においても、図15で示したような円板26をフランジとして用い、円板26の側面26aと渦電流センサ5とのオーバーラップ面積の変化を利用して、ツールホルダ2の傾きを検出することができる。
なお、第1実施形態においては、距離の変化のみに着目して説明したが、渦電流センサ5を斜めに配置することで、第2実施形態と同様に、ツールホルダ2のフランジ部232との間でオーバーラップ面積も変化し、これが図14において変位量ΔLの測定値Iが理論値IIを上回っている一因になっていると考えられる。
以上述べた各実施形態では、工作機械としてマシニングセンタを例に挙げたが、本発明は、マシニングセンタ以外にも、自動工具交換装置を備えた工作機械全般に適用することができる。
主軸にツールホルダを装着した状態を示す図である。 主軸とツールホルダとの間に異物が挟まった状態を示す図である。 ツールホルダのフランジ部の揺動を説明する図である。 主軸の回転角と異物の位置を説明する図である。 主軸の回転角と異物の位置を説明する図である。 ツールホルダの振れの様子を示す図である。 図6のK部を拡大した図である。 主軸の1回転の間におけるP点の振幅の変化を表した図である。 P点の移動軌跡を表した図である。 本発明の第1実施形態の傾き検出装置を示す図である。 出力電圧および変位量の測定結果を表した図である。 出力電圧および変位量の測定結果を表した図である。 出力電圧および変位量の測定結果を表した図である。 図11B(f)の拡大図である。 主軸とツールホルダとの間にシムを介在させた状態を示す図である。 変位量とシムの厚さとの関係を表した図である。 フランジの他の例を示す図である。 本発明の第2実施形態の傾き検出装置を示す図である。 渦電流センサの位置と出力電圧との関係を表した図である。 フランジ部の揺動とオーバーラップ面積の変化を説明する図である。 出力電圧の差とシムの厚さとの関係を表した図である。
符号の説明
1 主軸
1x 回転軸
2 ツールホルダ
2x 回転軸
3 工具
4 異物
5 渦電流センサ
5a ヘッド面
23,231,232 フランジ部
232a 側面
26 円板

Claims (5)

  1. 工作機械の主軸に取り付けられたツールホルダの近傍に渦電流センサを配置し、前記渦電流センサの出力に基づいて、主軸の回転軸に対するツールホルダの傾きを検出する方法において、
    前記渦電流センサを、前記主軸の回転軸と直交する方向に対し所定角度だけ傾斜して配置することにより、前記ツールホルダのフランジ部の側面に対し、前記渦電流センサのヘッド面を斜め方向から対向させ、
    前記主軸を回転させたときに、前記フランジ部の所定部分が渦電流センサのヘッド面の方向に変位することにより生じる渦電流センサの出力に基づいて、ツールホルダの傾きを検出することを特徴とする工作機械におけるツールホルダの傾き検出方法。
  2. 工作機械の主軸に取り付けられたツールホルダの近傍に渦電流センサを配置し、前記渦電流センサの出力に基づいて、主軸の回転軸に対するツールホルダの傾きを検出する方法において、
    前記渦電流センサを、前記主軸の回転軸と直交する方向に配置することにより、前記ツールホルダのフランジ部の側面に対し、前記渦電流センサのヘッド面を真横方向から部分的に対向させ、
    前記主軸を回転させたときに、前記渦電流センサのヘッド面と前記ツールホルダのフランジ部の側面とのオーバーラップ面積が変化することにより生じる渦電流センサの出力に基づいて、ツールホルダの傾きを検出することを特徴とする工作機械におけるツールホルダの傾き検出方法。
  3. 工作機械の主軸に取り付けられたツールホルダの近傍に配置される渦電流センサを備え、前記渦電流センサの出力に基づいて、前記主軸の回転軸に対するツールホルダの傾きを検出する装置において、
    前記渦電流センサを、前記主軸の回転軸と直交する方向に対し所定角度だけ傾斜させて配置することにより、前記ツールホルダのフランジ部の側面に対し、前記渦電流センサのヘッド面を斜め方向から対向させたことを特徴とする工作機械におけるツールホルダの傾き検出装置。
  4. 工作機械の主軸に取り付けられたツールホルダの近傍に配置される渦電流センサを備え、前記渦電流センサの出力に基づいて、前記主軸の回転軸に対するツールホルダの傾きを検出する装置において、
    前記渦電流センサを、前記主軸の回転軸と直交する方向に配置することにより、前記ツールホルダのフランジ部の側面に対し、前記渦電流センサのヘッド面を真横方向から部分的に対向させ、当該ヘッド面とフランジ部の側面とのオーバーラップ面積が、ヘッド面の面積の略半分となるようにしたことを特徴とする工作機械におけるツールホルダの傾き検出装置。
  5. 請求項または請求項に記載の検出装置において、
    前記フランジ部を、ツールホルダに着脱自在に装着される円板から構成したことを特徴とする工作機械におけるツールホルダの傾き検出装置。
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