以下本発明の実施例について図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施例による液晶表示装置を示す略断面図である。液晶表示装置10は対向する一対のガラス基板12,14の間に液晶16を挿入してなるものである。電極及び配向膜がガラス基板12,14に設けられることができる。一方のガラス基板12はTFT基板であり、他方のガラス基板14はカラーフィルタ基板である。
図2は図1のガラス基板12を示す略平面図である。ガラス基板12は表示領域18と、表示領域18のまわりの周辺領域20とを有する。表示領域18は多数の画素22を含む。図2では、1つの画素22が部分的に拡大して示されている。画素22は3原色のサブ画素領域RGBを含み、各サブ画素領域RGBにはTFT24が形成されている。周辺領域20はTFT(図示せず)を有し、周辺領域20のTFTは表示領域18のTFT24よりも密に配置されている。
図2のガラス基板12は、15型QXGA液晶表示装置を構成するものであり、2048×1536の画素22を有する。3原色のサブ画素領域RGBが並ぶ方向(水平な方向)上には2048の画素が並び、サブ画素領域RGBの数は2048×3になる。3原色のサブ画素領域RGBが並ぶ方向(水平な方向)に対して垂直な方向(垂直な方向)には1536の画素が並ぶ。半導体結晶化においては、周辺領域20では各辺に平行な方向にレーザスキャンが行われ、表示領域18では矢印A又はBの方向にレーザスキャンが行われる。
図3は図2のガラス基板12を作るためのマザーガラス26を示す略平面である。マザーガラス26は複数のガラス基板12を採取するようになっている。図3に示す例では、1つのマザーガラス26から4つのガラス基板12を採取するようになっているが、1つのマザーガラス26から4つ以上のガラス基板12を採取することもできる。
図4は図2のガラス基板12のTFT24及び周辺領域20のTFTを形成する工程を示す図である。ステップS1において、ガラス基板に、絶縁膜、非晶質シリコン膜を形成する。ステップS2において、非晶質シリコン膜が結晶化され、ポリシリコンになる。ステップS3において、TFTとなるべきシリコンの部分などの必要なシリコン部分を残し、ポリシリコンや非晶質シリコン膜の不要部を除去して、TFT分離を行う。ステップS4において、ゲート電極、ドレイン電極、層間絶縁膜、コンタクトホールなどを形成する。ステップS5において、さらに、絶縁膜やITO膜を形成して、ガラス基板12を完成する。ITO膜は画素22を構成する画素電極となる。
図5は図4の結晶化ステップS2の内容を示す図である。結晶化ステップS2においては、CWレーザ(連続発振レーザ)発振器30を用いる。CWレーザ発振器30を出たレーザビームは、周辺領域照射系32と、サブビーム選択照射系34に、切り換えて供給される。最初に、ガラス基板12パネルの周辺領域20の非晶質シリコンにレーザビームを集光照射し、非晶質シリコンを溶融固化させ、ポリシリコンに結晶化させる。それから、ガラス基板12の表示領域18の非晶質シリコン36にサブビームを選択的に集光照射し、非晶質シリコンを溶融固化させ、ポリシリコンに結晶化させる。
周辺領域20のTFTは表示領域18のTFT24よりも密に配置されているので、品質の高いポリシリコンが求められる。周辺領域照射系32は、CWレーザ発振器30を出た比較的に高いパワーをもったレーザビームで比較的に低いスキャン速度で周辺領域20を照射する。前に説明した例を使用すると、ビーム幅250μmで、スキャン速度40cm/sでスキャニングを行い、エリアスキャン速度は1 cm2/sである。
一方、表示領域18のTFT24はそれほどの高い品質のポリシリコンでなくてもよいので、サブビーム選択照射系34は、CWレーザ発振器30を出たレーザビームをこれから説明するサブビームに分割し、サブビームで比較的に高いスキャン速度で表示領域18を照射する。これによって、全体としてスループットが向上し、かつ、必要な領域では品質の高いポリシリコンが得られる。
図6はサブビーム選択照射系34から照射された複数のサブビームSBでガラス基板12の表示領域18の非晶質シリコン膜を選択的に照射する例を示す図である。複数のサブビームSBはCWレーザ発振器30を出たレーザビームを分割されたものであり、所定の間隔でビームスポットを形成する。36はガラス基板12に形成された非晶質シリコン膜36であり、ガラス基板12はXYステージ38の真空チャックでXYステージ38に固定されている。
サブビームSBはTFT24の存在すべき位置を含む非晶質シリコン膜36のストライプ状の部分40にビームスポットを形成するように配置され、XYステージ38は矢印A又は矢印Bの方向に移動し(スキャンし)する。非晶質シリコン膜36の残りのストライプ状の部分42は照射されない。つまり、非晶質シリコン膜36のストライプ状の部分40がサブビームSBによって選択的に照射される。
図7はサブビームSBのビームスポットを調節するための光学系を示す図である。この光学系は、サブビームSBの光路を曲げるミラー44と、ほぼ半円筒体形状のレンズ46と、このレンズ46と直交するように配置されたほぼ半円筒体形状のレンズ48と、凸レンズ50とからなる。この光学系により、サブビームSBのビームスポットは楕円形状になる。
図8は複数のCWレーザ発振器30,30a及びサブビーム選択照射系34を示す図である。ハーフミラー51がCWレーザ発振器30の前に配置され、CWレーザ発振器30を出たレーザビームLBがハーフミラー51によって2つのサブビームSBに分割される。ハーフミラー51を透過した一方のサブビームSBはさらにハーフミラー52によって2つのサブビームSBに分割される。53はミラーである。ハーフミラー51で反射したもう一方のサブビームSBはさらにハーフミラー54によって2つのサブビームSBに分割される。このようにして、CWレーザ発振器30を出たレーザビームLBが4つのサブビームSBに分割される。
各サブビームSBの光路には、独立に調整可能なシャッタ55及び独立に調整可能なNDフィルタ56が配置される。シャッタ55は必要に応じてサブビームSBを遮断することができる。NDフィルタ56はサブビームSBのパワーを調整することができる。
さらに、ミラー57が水平なサブビームSBを垂直上向きに曲げるために配置され、ミラー58が垂直なサブビームSBを水平に曲げるために配置される。ミラー58はサブビームSBを高さが異なる位置でガラス基板12に平行に曲げる。水平なサブビームSBはフォーカスユニット59によって垂直下向きに曲げられ、フォーカスユニット59によって集光されて、所定のビームスポットで非晶質シリコン膜36に照射される。
各フォーカスユニット59は図7に示されたミラー44と、レンズ46と、レンズ48と、凸レンズ50とを含み、これらの光学部材はユニットとして形成される。フォーカスユニット59は矢印Cで示される方向に許容範囲内で移動可能である。ビームプロファイラ60が各フォーカスユニット59の光軸上に配置される。ビームプロファイラ60は各サブビームSBのフォーカス位置を補正する。また、ビームプロファイラ60は各サブビームSBのフォーカス位置を検出することもできる。
ハーフミラー51とNDフィルタ56との間において、4つのサブビームSBはガラス基板12に平行な水平平面内で互いに平行に等間隔に配置される。ミラー57とフォーカスユニット59との間において、4つのサブビームSBはガラス基板12に垂直な垂直平面内で互いに平行に等間隔に配置される。非晶質シリコン膜36を有するガラス基板12はこの垂直平面に対して直交する方向A,Bに移動(スキャン)される。
サブビーム選択照射系34におけるエリアスキャン速度は、サブビーム数×スキャン速度×非晶質シリコン膜36のストライプ状の部分40の間隔で与えられる。そのために、レーザビームLBを複数のサブビームSBに分割するとともに、レーザ発振器30の数を増やし、結晶化に必要な十分なパワーを持たせつつ、サブビーム数を増やすのが好ましい。
図8において、もう1つのレーザ発振器30aはレーザ発振器30と平行に配置し、このレーザ発振器30aに対してもレーザ発振器30に付属する光学部材と同様の光学部材(図示せず、ハーフミラー、ミラー、フォーカスユニット等)を設け、さらに4つのサブビームSBを形成することができる。この場合、8つのサブビームSBは全て同一平面内で互いに平行で等間隔で配置されるようにする。
レーザ発振器30aと最初のハーフミラー51aとの間にはビームエキスパンダ79が配置される。ビームエキスパンダ79はレーザビームLBの拡がり角を調整するものである。すなわち、同時に照射される複数のレーザ源30,30aのレーザビームLBの拡がり角にバラツキがあると、一方のレーザビームLBをフォーカス光学系によってフォーカスを合わせても、他方のレーザビームLBのフォーカスが合わないことがあるので、ビームエキスパンダ79によってレーザビームLBの拡がり角を調整することにより、2つのレーザビームLBのフォーカスが合うようにする。ビームエキスパンダ79は他方のレーザビームLBの光路に配置してもよい。また、2つのレーザビームの光路の両方に配置してもよい。
図9は16個のサブビームSBを形成するサブビーム選択照射系34を示す図である。このサブビーム選択照射系34は、4個のレーザ発振器30と、2つのサブビーム分割アセンブリ62と、2つのサブビームフォーカスアセンブリ64とを含む。2つのレーザ発振器30は図8の2つのレーザ発振器30、30aに相当する。1つのサブビーム分割アセンブリ62は2つのレーザ発振器30,30aから出たレーザビームLBを8つのサブビームSBに分割するものであり、図8のハーフミラー51からNDフィルタ56までの光学部材を含む。1つのサブビームフォーカスアセンブリ64は1つのサブビーム分割アセンブリ62に光学的に接続され、図8のミラー57からフォーカスユニット59までの光学部材を含む。
図10は図9のサブビームフォーカスアセンブリ64の具体例を示す平面図、図11は図10のサブビームフォーカスアセンブリ64を示す正面図、図12は図10のサブビームフォーカスアセンブリ64を示す側面図である。図10から図12において、8個のミラー57,58及び8個のフォーカスユニット59がフレーム64Fに取りつけられている。各フォーカスユニット59は電動ステージ59Sによってフレーム64Fに取りつけられており、図8の矢印Cで示される方向に許容範囲内で移動可能である。59Gはガイド機構である。
図5の周辺領域照射系32が使用される場合には、図8のハーフミラー51以下の光学部材を取り外し、ハーフミラー51の位置に周辺領域照射系32の光学部材をセットする。
以上の構成において、TFT24の間隔は画素22のピッチと等しい。本発明によれば、画素ピッチおよびサブビーム数に比例してエリアスキャン速度を向上できる。また、TFT24のサイズが小さくなるほど溶融すべき面積を小さくできるので、サブビーム数を多くすることができる。画素ピッチは人間の目で見るという条件の下では、むやみに小さくする必要はないが、TFT24のサイズは微細加工技術の進展に伴い小さくしていくことができる。この結果、不必要な領域にエネルギーを供給することなく、選択的に必要な部分のみの結晶化ができるので、結晶化プロセスのスループットが上がるだけでなく、省エネルギープロセスを実現できる。
例えば、TFT24の大きさは、チャネル長が4μm、チャネル幅が5μm程度である。2m/sの高速スキャンが可能なXYステージの揺動が最大プラスマイナス10μm程度あるので、サブビームSBの幅としては最低25μm、その他の余裕を考えると30μmあることが望ましい。チャネル幅をより大きくする必要に対しては、チャネル幅をスキャン方向に平行にレイアウトすることで簡単に達成できる。
メルト幅(非晶質シリコン膜36のストライプ状の部分40の溶融される幅)は、スキャン速度、Si厚さ、レーザパワー、照射フォーカスレンズ等により変わってくるが、非晶質シリコン膜36の厚さ150nm、F=200mmとF=40mmのレンズを組み合わせた楕円状のビームスポットが得られる光学系を用いて、楕円の長軸に垂直なレーザスキャンを行ったところ、有効メルト幅として30μmを得た。従って、レーザビームLBの分割に伴うパワーロスがあっても、分割されたサブビームSBに対して2W以上のパワーを提供できれば、30μmの必要メルト幅を確保できる。レーザはNd:YV04の固体レーザの連続波を用いた。
10Wのレーザ発振に対して、4分割を行った後のレーザパワー値は、2.3W,2.45W,2.45W,2.23Wとすべて2W以上であった。1〜2割の各サブビームSB間のパワー値のバラツキは、ミラーやハーフミラーの特性バラツキによると考えられる。これらの値に応じて、NDフィルタ56でパワーをわずかに減衰させ、4個のサブビームSB間のパワー値を2.2Wにすべてそろえた。
図9においては、16本のサブビームSBをNDフィルタ56でパワー調整を行い、16本のサブビームSBをすべて同じパワー値の2.1Wに調整した。なお、異なるレーザ発振器からのビームでは拡がり角が異なるため、フォーカス位置が異なってくるが、これを補正するため、レーザ発振器からのレーザビーム取り出し直後にビームエキスパンダを設け、拡がり角を補正することにより、同じフォーカス位置にすることができた。ただし、フォーカス位置のずれがさほど大きくなければ、フォーカス位置が異なったままで、結晶化を行っても、それぞれ同じ大きさのメルト幅が得られ、何らさしつかえない。
図2のガラス基板12においては、周辺領域20の幅は約2mmである。15型QXGAのガラス基板12に対して、16本のサブビームSBを用いて結晶化を行った。画素22サイズは148.5μm平方である。従って、RGBのサブ画素のサイズは148.5μm×49.5μmとなる。スキャン回数を減らし、全体のスループットを上げるために、148.5μmの辺に垂直(RGBが並んでいる方向)にスキャンを行った。16本のサブビームSBを間隔148.6μmで並べることは光学系の大きさから無理である。各フォーカスユニット59の照射レンズは30mm間隔で並べられ、かつ並べられた方向に対して電動ステージ59Sによりプラスマイナス4mm可動するようにした。
30mm/148.5μm=202.02であるから、2つのフォーカスユニット59の間には、202個のTFT24の列(非晶質シリコン膜36のストライプ状の部分40)が存在する。
1番端の照射レンズと2番目の照射レンズの間隔は、202×148.5μm=29997μm=30000−3になる。
1番端の照射レンズと3番目の照射レンズの間隔は、202×148.5μm×2=59994μm=30000×2−6になる。
1番端の照射レンズと4番目の照射レンズの間隔は、202×148.5μm×4=89991μm=30000×3−9になる。
1番端の照射レンズと5番目の照射レンズの間隔は、202×148.5μm×5=119988μmになる。
1番端の照射レンズと6番目の照射レンズの間隔は、202×148.5μm×6=149985になる。
1番端の照射レンズと7番目の照射レンズの間隔は、202×148.5μm×6=179982μmになる。
1番端の照射レンズと8番目の照射レンズの間隔は、202×148.5μm×7=209979になる。
1番端の照射レンズと9番目の照射レンズの間隔は、202×148.5μm×8=239976μmになる。
1番端の照射レンズと10番目の照射レンズの間隔は、202×148.5μm×9=269973=30000×9−27になる。
1番端の照射レンズと11番目の照射レンズの間隔は、202×148.5μm×10=299970になる。
1番端の照射レンズと12番目の照射レンズの間隔は、202×148.5μm×11=329967になる。
1番端の照射レンズと13番目の照射レンズの間隔は、202×148.5μm×12=359964になる。
1番端の照射レンズと14番目の照射レンズの間隔は、202×148.5μm×13=389961になる。
1番端の照射レンズと15番目の照射レンズの間隔は、202×148.5μm×14=419958になる。
1番端の照射レンズと16番目の照射レンズの間隔は、202×148.5μm×15=449955=30000×15−45になる。
従って、各照射レンズは設計された平均位置より、2番目は3μmマイナス方向へ、3番目は6μmマイナス方向へ、・・・15番目は45μmマイナス方向へ、微調整される。こうして、各TFT領域に焦点が合った状態になる。この状態で、レーザ発振器30の出力10W、スキャン速度2m/sでサブビームSBを照射した。各サブビームSBは2Wのパワーで照射が行われる。
図13はサブビームSBとスキャン間隔との関係を示す図である。図13に示されるように、サブビームSBは間隔aで配置され、aは(3mm−3μm)である。TFT24の間隔、すなわちスキャン間隔bは148.5μmである。スキャンはXYステージ38を矢印A,Bで示されるように往復移動させながら行った。つまり、XYステージ38を矢印Aの方向に移動した後、XYステージ38を矢印A,Bと垂直な方向に148.5μm移動し、XYステージ38を矢印Bの方向に移動し、さらにXYステージ38を矢印A,Bと垂直な方向に148.5μm移動する。この動作を繰り返す。図13では、各サブビームSBは4回のスキャンをするように示されているが、説明している例においては、各サブビームSBは202回のスキャンを行う。
1回の往きのスキャンで、16本のサブビームSBが202画素間隔で非晶質シリコン膜36のストライプ状の部分40を結晶化する。次の帰りのスキャンで、16本のサブビームSBが202画素間隔で非晶質シリコン膜36の隣のストライプ状の部分40を結晶化する。101回の往復スキャン(すなわち202回のスキャン)で、202×16=3332画素分のスキャンが可能になる。この場合のエリアスキャン速度は、148.5μm×2m/s=47.5 cm2/sとなる。
しかし、例にとったガラス基板12では、縦の方向の画素の数が1536個しかない。従って、次に説明する例では、16本のサブビームSBを使用せず、8本のサブビームSBを使用する。1536=202×7+122=122×8+80×7となるので、8本のビームで122回のスキャンをし、7本のサブビームSBで残り80回のスキャンを行う。この場合、8本目のサブビームSBは122のスキャン後にシャッタ55によりカットされる。
この例では、装置は16本のサブビームSBをもっているので、8本のサブビームSBで1つのガラス基板12のスキャンを行い、結晶化を行うとともに、残りの8本のサブビームSBでマザーガラス26(図3)上の隣のガラス基板12のスキャンを行い、結晶化を行うことができる。ただし、そのためには、このガラス基板12の画素の端と、隣のガラス基板12の最も近接している画素の端との距離が、画素ピッチの整数倍であることが望ましい。あるいは、マザーガラス26上のすべてのガラス基板12の画素22の位置は同一の画素ピッチであらわされたメッシュ上にすべてのっていることが望ましい。
図14はマザーガラス26上の2つのガラス基板12a,12bと複数のサブビームSB8,SB9との関係を示す図である。サブビームSB8はガラス基板12aを結晶化するための8本のサブビームSBのうちの8番目のサブビームSBであり、サブビームSB9はガラス基板12bを結晶化するための8本のサブビームSBのうちの1番目のサブビームSBである。
8番目のサブビームSBは122回のスキャンが終了したとき、シャッタ56で止められる。8番目のサブビームSB8がスキャン可能であった残りの80回のスキャン領域の長さは、148.5μm×80=11.880mmである。この距離が、ガラス基板12aの最後の画素と、隣のガラス基板12bの最初の画素との間の距離と等しければ、9番目から16番目のサブビームSBは無駄なく隣のガラス基板12bの結晶化に使用できる。つまり、1番目のサブビームSBがガラス基板12aの最初の画素をスキャンするとき、9番目のサブビームSBがガラス基板12bの最初の画素をスキャンする。ガラス基板12に2mmの周辺領域20が存在する場合には、11.880−2×2=7.88mmの隙間(L)を2つのガラス基板12a,12bの間に設けるとよい。
本装置では、平均位置に対してプラスマイナス4mmの可動領域を各サブビームSBに対して与えてあるので、この可動範囲で解消できる不規則性は許容できるが、隣のガラス基板との間での調整をいちいち行うのは煩雑であるだけでなく、時間もかかるので、マザーガラス基板上のすべてのパネルの画素の位置は同一の画素ピッチであらわされたメッシュ上にすべてのっていることが望ましい。
図14は、マザーガラス上に画素ピッチで仮想的に描いたメッシュMが示されている。複数のガラス基板12a,12bの画素の配置をマザーガラス上での画素ピッチで仮想的に描いたメッシュMと一致させるように、マザーガラスを設計するのが好ましい。
このような1つのサブビームSBを一時的にせよ止めるようなことは、画素ピッチと、ガラス基板12の大きさ、サブビームSBの平均位置、サブビームSBの数の関係によって発生する。大きなガラス基板12の場合には、16本のサブビームSBはより有効に使われることは明らかであろう。
図15はサブビームSBの配置の例を示す図である。有効性を増すには、サブビームSB間のピッチを狭くすることが望ましい。しかし、レンズ、ミラーなどを小さくする限界のために、サブビームSB間のピッチを狭くすることには限界がある。この限界下で、ピッチを狭くするには、サブビームSB照射系を1列でなく、図15に示すように複数列にして、同一間隔だが、相互にずらして並べればよい。このような複数列にすることは、XYステージが等速度運動をすべき距離がマザーガラスの幅よりも列の数が増えるほど増えてしまい、スループットがわずかだが低下する。
図16はサブビームSBの配置の例を示す図である。この問題を2列において回避するには、相互に位置をずらして2列のサブビーム照射系を並べるのは同じだが、図16のように、ステージが等速度運動を終了するときのマザーガラスの先端の位置に、それぞれ1列に並べることで達成される。もちろん、それぞれの位置に複数の列のサブビーム照射系を並べてもよい。
図17は本発明の原理を説明する図である。図18は図8から図12のサブビームフォーカスアセンブリの変形例を示す図である。
アモルファスシリコンのパネル面をレーザでアニールする場合、パネル面全体をベタにアニールすると、時間が掛かり過ぎる。図17のようにとびとびにTFT24が点在している場合、TFT24を含むストライプ状の部分40のみをアニールすれば良く、面全体をベタにアニールする必要はない。
レーザビームをスキャンしてパネル面上をアニールする場合、レーザビーム(サブビーム)を動かしてパネル面は固定しておく方法と、パネル面を動かしてレーザビーム(サブビーム)は固定しておく方法とがあるが、本発明はそのどちらにも適用できる。
レーザビームは一本では時間が掛かり過ぎるのでn本に増やせば、1/nの時間ですむので複数本(n本)用いる。図17に示してあるように、TFT24はピッチPTRで規則的に並んでいるが、そのピッチPTRは製品によってまちまちである。本実施例の装置は異なるピッチにも対応できるものである。
図18により説明する。複数のレーザビーム(サブビームSB)で(図18ではビーム数4の例で示す)アニールする場合、パネル面にサブビームSBを等間隔で照射しなければならない。その機構について図18の4本のビーム例を用いて説明する。
4本のサブビームSBを光路変換ミラー58を用いて90度変更し、サブビームSBを図中のステージの動く方向C(図18では左右に動く)と平行にする。次に、光路変換ミラー44を用いてサブビームSBを90度変更し、サブビームを図中のレンズユニットLU(図7のレンズ46,48,50)の真中をビームが通るようにする。ミラー44及びレンズユニットLUはフォーカスユニット59に配置されている。フォーカスユニット59はガイド59G(手動ステージ)、電動ステージ59Sに搭載されており、電動ステージ59Sが動くと(図中では左右に動く)フォーカスユニット59全体が左右に動く。電動ステージ59Sが動くと(図中では左右に動く)、フォーカスユニット59全体が左右に動き、レーザビーム(サブビームSB)は常にレンズユニットLUの真中を通る様にできる。
この機構により、レンズユニットLUを通って出射するレーザビームと次のレンズユニットLUを通って出射するレーザビームとの間隔(レーザビームピッチPLB1)を調節することができる。他のレーザビームとの間隔も同様に、レーザビームピッチPLB1と同様の手法で調節できる。
次に、図17のようにトランジスタピッチPTRで整列しているパネル面を図18の機構を持つ複数のレーザビーム(サブビームSB)で(図18では4本の例で示す)無駄なく、取りこぼし無くアニールする方法を述べる。
通常トランジスタピッチPTRは100μm程度のものである(製品によりまちまちであることは既に述べた)。例えば、PTRが90μm、初期のレーザビームピッチが20mmの場合の例について具体的に述べる。20mm/90μm=222.22…であるから四捨五入して整数222を得る。222×90μm=19.98mm。よって、レーザビームピッチPLB1〜PLB4を19.98mmにすれば、一度のスキャンで4本のトランジスタ列をレーザピッチ19.98mmでアニールできる。次に、パネル面をレーザビーム郡に対し、レーザスキャン方向と直角に90μm平行移動後、再びレーザスキャンを行なえば、次の4本のアニールができる。以下同様に220回(既に2回スキャンしているので、合計222回となる)レーザスキャンを行なえば、222×4本のトランジスタ列を重複無く、抜けなくアニールできる。222×4×90μm=19.98mm×4=約80mmの領域を無駄なく取りこぼしなくアニールできる。次に、パネル面をレーザビーム郡に対し、レーザスキャン方向と直角に約80mm移動後、同じ手順でアニールすれば任意の大きさのパネル面も重複無く取りこぼしなくアニールできる。
本実施例はレーザビームピッチを調整できる機構とレーザビームピッチをトランジスタピッチの整数倍に設定することを特徴とすることにより、異なるトランジスタピッチを持つパネル面のレーザアニールにも重複無く、取りこぼしなくアニールできる手段を提供するものである。レーザを用いて、アモルファスシリコンのパネル面などをレーザアニールする場合、複数のレーザビームを用いる方式は既に提案されている。本実施例はこの複数のレーザビームを用いて、製品によってまちまちな、パネル面上に点在しているトランジスタのピッチにも対応してアニールできる方法を提供するものであり、かつ、複数のレーザビームの間隔をトランジスタピッチの整数倍に配置することにより、無駄なく効率的にアニールできる手段を提供するものである。