JP4880621B2 - 5−フルオロウラシル系抗癌剤に対する感受性を予測する方法 - Google Patents

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Description

本発明は、5−フルオロウラシル系抗癌剤に対する感受性を予測する方法に関する。
DNAコピー数の変化は、遺伝子の発現の変化に影響する多くの原因の一つである。ここ数年間でDNAコピー数の解析にアレイCGH法などを用いて網羅的に検索する方法が用いられ、有用であることが示されつつある。昨年の7月にNatureにNCI60スクリーニングパネル細胞の100K SNPs アレイ(アフィメトリックス社)での解析からメラノーマの薬剤抵抗性の原因遺伝子を導いた画期的な論文が掲載された(非特許文献1)。その生データはNCIのデータベースに公開されており、第三者の再解析を促している。一方、既存抗癌剤について、DNAコピー数の異常とその効果の間での関連は報告されていない。
これまで、5−フルオロウラシル系抗癌剤の感受性を予測する方法として、癌細胞株あるいは癌組織から調製したジヒドロピリジジンデヒドロゲナーゼの酵素活性の測定およびELISAによる同酵素量の測定、あるいはmRNA発現レベルの定量(非特許文献2及び3、特許文献1)等の手法等が試みられてきた。しかしながら、酵素あるいはmRNAは、新鮮手術組織の保存の際に分解を受けやすく、その分解の度合いも各施設間でまちまちであり、感受性予測の共通の指標として用いる際の困難さが生じていた。さらに酵素活性を測定する際に必要な組織量も多く、生検材料等で得られるサンプル量では実施不能であった。また病理組織診断として広く用いられているパラフィン包埋サンプルを材料として、mRNA発現レベルの測定を行なうことは手技的に困難である。
Integrative genomic analyses identify MITF as a lineage survival oncogene amplified in malignant melanoma: Garraway-LA, et al. Nature (2005) vol.436,7 July, pp117-121 Dihydropyrimidine dehydrogenase activity in human peripheral blood mononuclear cells and liver: population characteristics, newly identified deficient patients, and clinical implication in 5-fluorouracil chemotherapy: Lu Z, Zhang R, Diasio RB. Cancer Res. 1993 Nov 15;53(22):5433-8 A role for dihydropyrimidine dehydrogenase and thymidylate synthase in tumour sensitivity to fluorouracil: Beck A, Etienne MC, Cheradame S, Fischel JL, Formento P, Renee N, Milano G. Eur J Cancer. 1994;30A(10):1517-22 特表2005-508603号公報
本発明は、抗癌剤の感受性に影響を与える因子を解析し、その有効性を実証することを目的とする。
本発明者らは前述の論文で用いられたデータと、これまでNCIデータベースに蓄積された膨大な薬剤感受性データ、遺伝子発現データ、細胞核型データを総合的に解析(データマイニング)することで既存抗癌剤(今回の実施例では5-FU系抗癌剤)の感受性に影響する今まで知られていないDNAコピー数変化を突き止めた。また得られた知見が一般化できるか否かをNCIスクリーニングパネル細胞と重複しない31のヒト癌由来ヌードマウス皮下移植ゼノグラフト株にて検証した。
本発明の要旨は以下の通りである。
(1)ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ遺伝子のコピー数を指標として、5−フルオロウラシル系抗癌剤に対する感受性を予測する方法。
(2)被験者由来の癌細胞におけるジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ遺伝子のコピー数を測定し、コピー数が2以下である場合には被験者の5−フルオロウラシル系抗癌剤に対する感受性が高いと予測し、コピー数が2よりも大きい場合には被験者の5−フルオロウラシル系抗癌剤に対する感受性が低いと予測する(1)記載の方法。
(3)ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ遺伝子のコピー数をPCR法又、FISH法、アレイCGH法、DNAマイクロアレイ法及びサザンハイブリダイゼーション法から成る群より選択される少なくとも1つの方法で測定する(1)又は(2)に記載の方法。
(4)5−フルオロウラシル系抗癌剤が、5−フルオロウラシル、テガフール、5’−デオキシ−5−フルオロウラシル及びカペシタビンから成る群より選択される少なくとも1つの成分を含む(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5)ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ遺伝子のコピー数を測定するための試薬を含む、5−フルオロウラシル系抗癌剤に対する感受性を予測するためのキット。
(6)ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ遺伝子のコピー数を測定するための試薬が、ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ遺伝子の全部又は一部を特異的に増幅することができるオリゴヌクレオチドプライマー又はジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ遺伝子と特異的にハイブリダイズすることができるオリゴ若しくはポリヌクレオチドプローブである(5)記載のキット。
(7)配列番号5のDNA配列からなるオリゴヌクレオチド及び配列番号6のDNA配列からなるオリゴヌクレオチドの組み合せからなる一セットのプライマー。
本発明により、ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ遺伝子のコピー数変化が5−フルオロウラシル系抗癌剤に対する感受性に影響を与えることがわかった。本発明は、被験者の5−フルオロウラシル系抗癌剤に対する感受性を予測することに利用できる。
本明細書は、本願の優先権の基礎である日本国特許出願、特願2006‐16367の明細書および/または図面に記載される内容を包含する。
Xenograft31株でのDPYDコピー数の分布をヒストグラムにて表示した。縦軸が頻度、横軸がDPYDコピー数である。 Xenograft31株のDPYDコピー数およびFU系抗癌剤(UFT,TS-1,Capecitabine,5’-DFUR)への感受性データをノーマライズした後、Ward法によりクラスタリングし、HeatMap図として表示した。グレースケールで表示しており、コピー数、および感受性が高いほうが色が濃くなっている。 縦軸にDPYDコピー数、横軸は以下に示す各薬剤の感受性によるグループ分けを行なった後の箱ひげ図を示している。すなわち、Xenograft31株を5-FU系抗癌剤(UFT,TS-1,Capecitabine,5’-DFUR)への感受性の順位を元に感受性の高い株から25パーセンタイル以内を薬剤高感受性株(S)、75パーセンタイル以降を薬剤低感受性株(R)、それ以外を中間株(N)とグループ分けし、Tukey-Kramer HSD testにより多重性を考慮した総当りの検定を行なった結果をP値として示している。 Xenograft31株のDPYDコピー数とDPYD mRNA発現レベルの関係をプロットしたものである。横軸にDPYDコピー数、縦軸にmRNA発現レベルを示す。相関係数、有意性をSpeaman順位相関により求めた。 Xenograft31株のDPYDコピー数とDPYD酵素活性の関係をプロットしたものである。横軸にDPYDコピー数、縦軸にDPYD酵素活性レベルを示す。相関係数、有意性をSpeaman順位相関により求めた。 染色体標本(分裂期)を用いたDNAプローブの検証。矢印はDPD遺伝子(1p21)プローブを示す。 パラフィンサンプルでのFISH解析(PAN-4)。 パラフィンサンプルでのFISH解析(Lu-130)。
以下、本発明の実施の形態についてより詳細に説明する。
本発明は、ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ遺伝子(以下はDPYDと称すことがある)のコピー数(1細胞に含まれる遺伝子数)を指標として、5−フルオロウラシル系抗癌剤(以下は5-FUと称すことがある)に対する感受性を予測する方法を提供する。
本明細書において、「ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ」とは、分子量約111kDaの5−フルオロウラシルの解毒的な分解を触媒する酵素(EC 1.3.1.2)を指す。同酵素はピリミジン分解反応経路における律速酵素となっており、主に肝臓での活性が高いことが知られている。またその遺伝子配列情報はNCBIweb site(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)において、RefSeq ID:NM_000110 (ヒト), RefSeq ID:NM_170778 (マウス)として登録されている。また、アミノ酸配列については、同データベースにて NP_000101(ヒト)および NP_740748(マウス)として登録されている。ヒト由来ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼの核酸配列及びアミノ酸配列は、Diasio,R.B.,et al.,J. Clin. Invest. 81 (1), 47-51 (1988)に記載されている。マウス由来ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼの核酸配列及びアミノ酸配列は、Porsin,B.et al.,Eur. J. Cancer 39 (6), 822-828 (2003)に記載されている。
本発明の一態様において、被験者由来の癌細胞におけるジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ遺伝子のコピー数を測定し、コピー数が2以下である場合には被験者の5−フルオロウラシル系抗癌剤に対する感受性が高いと予測し、コピー数が2よりも大きい場合には被験者の5−フルオロウラシル系抗癌剤に対する感受性が低いと予測することができる。
なお、本発明において、抗腫瘍剤に対する癌細胞の「感受性が高い」と認定された場合、抗癌剤を投与した際の抗腫瘍効果、延命効果等の治療効果が高いと予測され、「感受性が低い」と認定された場合、治療効果が低いと予測される。従って、本発明は、ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ遺伝子のコピー数を指標として、5−フルオロウラシル系抗癌剤による癌の治療効果を予測する方法も包含される。より詳細には、被験者由来の癌細胞におけるジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ遺伝子のコピー数を測定し、コピー数が2以下である場合には被験者の5−フルオロウラシル系抗癌剤による治療効果が高いと予測し、コピー数が2よりも大きい場合には被験者の5−フルオロウラシル系抗癌剤による治療効果が低いと予測する方法も包含する。
本発明の方法は、ヒトのみならず、ブタ、サル、チンパンジー、イヌ、ウシ、ウサギ、ラット、マウスなどの哺乳動物を被験者とすることができる。
被験者由来の癌細胞におけるジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ遺伝子のコピー数を測定するためには、癌組織や癌細胞を含む、生検体試料、摘出臓器、パラフィン包埋組織標本、血液、髄液、リンパ液、唾液、胃液、膵液、十二指腸液、腸液、便、あるいはそこから得られる培養細胞、培養組織などを用いるとよい。
癌の種類としては、胃癌、大腸癌、乳癌、肺癌、膵臓癌、肝臓癌、卵巣癌、前立腺癌、頭頸部癌、悪性リンパ腫、白血病、脳腫瘍、子宮癌、膀胱癌などを挙げることができる。
ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ遺伝子のコピー数は、PCR法、FISH法、アレイCGH法、DNAマイクロアレイ法、サザンハイブリダイゼーション法などで測定することができる。
PCR法
ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ遺伝子のコピー数をPCR法で測定する場合は、以下のような手順で行うとよい。
フェノール・クロロホルム法、遠心カラム法、磁気ビーズ法などを用いて調製された癌細胞のゲノムDNAを鋳型にしてPCRを実施する。PCRについては、ABI7300シークエンスディテクターにおける下記のPCR条件で、QIAGENのQuantiTect SYBR Green PCRキットを用いて実施することができる。すなわち、94℃15分(1サイクル)、94℃20秒、56℃20秒、70℃30秒(45サイクル)である。但し、これらの条件は、実験が再現できる限り、適宜変更できる。その変更した条件で発明が実施される場合も、本発明の範囲に含まれるものとする。ターゲットDNAの定量値は、任意の閾値にPCR産物が到達した時のPCRサイクル数(Ct値)を基に求めることができる。さらに、遺伝子コピー数は癌と正常細胞でのコピー数変化のほとんどないリファレンス配列を用いた定量値により補正することができる。ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ遺伝子のコピー数をPCR法で測定する場合には、ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ遺伝子の全部又は一部を特異的に増幅することができるオリゴヌクレオチドプライマーを用いるとよい。このオリゴヌクレオチドプライマーは、ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ遺伝子の全領域中、癌細胞に存在しうる他のゲノムDNAには見られない塩基配列を有する領域にハイブリダイズしうるものであるとよい。プライマーのサイズは、望ましくは17〜25塩基程度である。プライマーのTm値は上流プライマーと下流プライマーで揃え、55〜65℃くらいに設定すると良好な結果を得られる傾向がある。プライマー間の相補性が少ないペアを選択し、2つのプライマー同士がアニールしないようにする。特にプライマーダイマーの形成による増幅効率の低下を防ぐため、各プライマーの3'末端同士が3塩基以上連続して相補的にならないように設計する。また、プライマー内の二次構造形成を避けるために、4塩基以上の自己相補配列を含まないようにする。GC含量は40〜60%前後とし、部分的にGCあるいはAT-richにならないようにする。また、プライマーの3'末端と鋳型DNAが安定して結合するように、特にプライマーの3'側がAT-richまたはGC-richにならないように注意する。プライマーの3'末端がGC-richの場合は非特異的産物が生じやすいので、注意が必要である。Tm値については以下の注意が必要である。Tm値とは、二本鎖DNAの50%が一本鎖DNAに解離する温度(melting temperature)のことである。プライマーが鋳型DNAにアニーリングして、伸長反応が始まるためには、アニーリング温度をプライマーのTm値以下に設定する必要がある。しかし、温度を下げすぎると非特異的なアニーリングが起こり、特異的な増幅効率が低下する。いくつかのプライマー対の候補がある場合は、特異性を高くするために、通常、Tm値の高い対を選ぶ。また、プライマー対のそれぞれのTm値が異なる場合は、とりあえず低い方に合わせてアニーリング温度を設定する。上記の留意点に注意してプライマーをデザインした場合、経験的に55〜65℃のアニーリング温度で良好な結果が得られている。しかし、PCR産物がまったく得られない場合は温度をさらに下げ、また非特異的増幅産物が現れる場合は、さらに温度を上げてPCR反応を行うようにする。
PCR法に用いるプライマーの塩基配列の一例を以下に記載する。
Forward primer: 5’-CGGCCCTAGTCTGCCTGTT-3’(配列番号5)
Reverse primer: 5’-GAGTCTGCCAGTGACAAACCCT-3’(配列番号6)
参照ゲノム配列としてLINE-1(癌でも正常でもほとんどコピー数が変わらないと思われるゲノム上に多数存在する配列)を用いるとよい。
Forward primer 5’- AAAGCCGCTCAACTACATGG -3’(配列番号7)
Reverse primer 5’- TGCTTTGAATGCGTCCCAGAG -3’ (配列番号8)
FISH法
ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ遺伝子のコピー数をFISH法で測定する場合は、ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ遺伝子と特異的にハイブリダイズすることができるオリゴ又はポリヌクレオチドプローブを用いるとよい。このオリゴ又はポリヌクレオチドプロ−ブは、ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ遺伝子の全領域中、癌細胞に存在しうる他のゲノムDNAには見られない塩基配列を有する領域にハイブリダイズしうるものであるとよい。
FISHに用いるプローブとして、目的の配列を有するDNA断片、PCR産物、cDNA、PACクローン、BACクローンを用いることができる。In situハイブリダイゼーション法は、細胞や組織内の特定のDNAあるいはRNA(核酸)の有無および分布を確認する方法として発展してきた。その原理としては、細胞内の特定核酸に相補的な塩基配列をもつプローブ核酸が特異的に複合体を形成(ハイブリダイゼーション)する性質を利用したもので、プローブに予め放射線同位元素(RI)や抗原物質(ハプテン)などを標識しておくとハイブリダーゼーションした個所が識別可能となることによる。従来プローブの標識にはRIが用いられてきたが、近年、非放射線物質のビオチンやジゴキシゲニンなどのハプテンを利用した蛍光標識方法や検出方法が開発され、FISHと呼ばれる蛍光 in situ ハイブリダイゼーション法(FISH)が発展してきた(参考文献:実験医学別冊、蛋白質・核酸分子のin situ同定法、遠山編)。
FISH法の手順を以下に例示する。染色体標本は、単離癌培養細胞のスライドガラス塗末標本でも良いし、ホルマリン固定しパラフィン包埋した癌を含む組織ブロックから薄切されたスライド標本でも良い。染色体標本スライドはハードニング(固着)させハイブリダイゼーション過程でのスライドガラスからの脱落を防いでからホルムアミド処理により変性させておく。ビオチンを標識とするFISH法においてはビオチン-dUTP(またはdATP)を用いてプローブDNAを標識し、DNAを熱変性させた後、1本鎖DNAとハイブリダーゼーションを行なう。形成されたビオチン標識DNAとゲノムDNAの2本鎖DNAをSSCバッファーを主とする洗浄液を用いて洗浄し、ビオチンと親和性の高いアビジン-FITC溶液で処理する。さらにSSCバッファー系列により洗浄し、抗退色剤を滴下しカバーグラスをかけ、蛍光顕微鏡により観察し写真撮影する。
アレイCGH法
CGH法(comparative genomic hybridization)法は、蛍光色素を用い、どこの染色体で異常が生じているのかを特定する解析方法でFISH法の一種であるであるが、従来法では分解能が低く、得られたゲノム異常のデータから標的の遺伝子への同定には結びつきにくかった。今回コピー数異常を検出する対象とするゲノム領域は明確になっていることから、以下のCGH法でのコピー異常検出が可能である。すなわち、癌細胞と対照として用いる正常細胞からDNAを抽出し、癌細胞由来のDNAを緑色蛍光色素(FITC)で標識し、正常細胞由来のDNAを赤色蛍光色素(Texas red)で標識する。双方の標識DNAの等量からなる混合溶液を調製しハイブリダイゼーションを行なう。従来法ではハイブリダイズさせる標本として正常のヒトから採取した血液を培養後、細胞分裂を分裂中期で停止させ、細胞膜を露出した状態でスライドガラスに塗末した染色体標本スライドとして用いていたが、多数のクローン化したDNA断片をアレイ化したスライドグラスを用いてCGHを行なうことで(アレイCGH)、ラベルした癌および正常細胞由来DNA由来の蛍光シグナル強度比をもとにアレイ化されたDNA断片に相当する領域の癌DNAコピー数を定量化できる。アレイ化するDNAとして、100kbのヒトゲノム断片をクローン化したBACクローン、BACを鋳型にDOP-PCR法などでクローン化ゲノム断片を増やした産物を使うことができる。
マイクロアレイ法
アレイCGH法と同様に、市販のSNP検出用DNAマイクロアレイ(オリゴヌクレオチドアレイまたはcDNAマイクロアレイ)を用いてゲノム特定領域のコピー数の変化を検出することができる。DNAの調製方法、標識方法についてはそれぞれの市販アレイの標準プロトコールを用いることができる。
サザンハイブリダイゼーション法
サザンハイブリダイゼーション法は核酸の相補性を利用して目的のDNAを検出する古典的な方法である。すなわち癌および正常細胞から調製したゲノムDNAを適当な制限酵素で処理した後、アガロースゲル電気泳動してDNAのサイズに応じて分画する。次にアルカリ変性により1本鎖DNAへの変性を行なった後、ニトロセルロースなどのフィルターに転写し固定化する。このフィルターに対し標的配列を含むDNA断片を放射性同位元素等で標識したプローブを反応させ、目的の遺伝子領域のコピー数の変化を検出することができる。
ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ遺伝子のコピー数は、上記のいずれの方法で測定してもよいが、ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ遺伝子のコピー数が2以下である場合には被験者の5−フルオロウラシル系抗癌剤に対する感受性が高いと予測し、コピー数が2より大きい場合には被験者の5−フルオロウラシル系抗癌剤に対する感受性が低いと予測することができる。癌患者の5−フルオロウラシル系抗癌剤に対する感受性を予測することができれば、癌治療における適切な薬剤の選択ないしは無用な投薬の回避ができ、適切な投与計画の立案や適切な投与計画への変更が可能となる。
本発明の方法は、分解を受けにくいDNAを材料として用いること、また、遺伝子コピー数という普遍的な指標を用いることで、DPYDを指標にした5-FU系抗癌剤感受性予測を各施設間で統一された指標を用いて実施できること、さらに、パラフィン包埋サンプルを含む幅広いサンプルを材料として用いることにより容易に実施できるという利点がある。
5−フルオロウラシル系抗癌剤としては、5−フルオロウラシル、テガフール、5’−デオキシ−5−フルオロウラシル、カペシタビン(以下はCapecitabineと称すことがある)、UFT(テガフールとウラシルをモル比1:4で含む配合剤)、TS-1(テガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムをモル比1:0.4:1で含む配合剤)、カルモフール、ヤマフ−ル、サンフラールの単剤及び配合剤を挙げることができるが、5−フルオロウラシル、テガフール、5’−デオキシ−5−フルオロウラシル及びカペシタビンから成る群より選択される少なくとも1つの成分を含む抗癌剤が好ましい。
また、本発明は、ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ遺伝子のコピー数を測定するための試薬を含む、5−フルオロウラシル系抗癌剤に対する感受性を予測するためのキットを提供する。
ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ遺伝子のコピー数を測定するための試薬としては、ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ遺伝子の全部又は一部を特異的に増幅することができるオリゴヌクレオチドプライマー、ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ遺伝子と特異的にハイブリダイズすることができるオリゴ又はポリヌクレオチドプローブなどを挙げることができる。これらのプライマー及びプローブについては上述した通りである。キットには、さらに、PCR法、FISH法、アレイCGH法、DNAマイクロアレイ法、サザンハイブリダイゼーション法などによるジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ遺伝子のコピー数の測定に必要なその他の試薬一式、緩衝液、取扱説明書などが含まれてもよい。取扱説明書には、キットの使用方法の他、5−フルオロウラシル系抗癌剤に対する感受性を予測するための判定基準なども記載しておくとよい。
さらに、本発明は、配列番号5のDNA配列からなるオリゴヌクレオチド及び配列番号6のDNA配列からなるオリゴヌクレオチドの組み合せからなる一セットのプライマーを提供する。本発明のプライマーを用いることにより、被験者由来の癌細胞におけるジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ遺伝子のコピー数をPCR法により測定することができ、この測定結果に基づいて、被験者の5−フルオロウラシル系抗癌剤に対する感受性を予測することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
ヒト腫瘍株ヌードマウス皮下移植系での検証
NCI60プロファイリングデータを深くデータマイニングすることで、5-FUの感受性に影響する遺伝子のコピー数異常を導くことができた。この知見が一般化できるか否かを検証する独立したデータセットとして、in vivoヒト腫瘍株(Xenograft:ヌードマウス皮下移植にて継代されている各種臓器癌由来の31株:6胃癌(AZ-521, SC-2, ST-40, 4-1ST, SC-4, and OCUM-2MD3)、6大腸癌(KM12C, HCT-15, KM20C, COL-1, KM12C/FU, and CO-3)、6乳癌(MC-5, H-31, MC-2, MX-1, MDA-MB-435SHM, and MDA-MD-231)、7肺癌(GT3TKB, LC-11, Lu-99, LX-1, LC-6, Lu-134, and Lu-130)、6膵臓癌(PAN-3, PAN-4, PAN-12, H-48, MIAPaCa-2 and BxPC-3)を用いた。それぞれの入手先を以下に示す。KM12CおよびKM20Cは森川博士(国立癌研究所)より供与された。KM12C/FUはin vivoにてFU耐性を誘導した株である。MDA-MB-435SHMはATCCより購入したcell lineより in vivo にてSCIDマウスの乳腺に移植し、高肺転移株を作成したものである。LX-1,MX-1は井上博士(癌化学療法センター)より、H-31,H48は田口博士(大阪大学)よりそれぞれ供与された。AZ-521およびMDA-MB-231はHumanScienceResearchResourceBank、およびATCCより購入した。HCT-15およびBxPc-3は大日本製薬より購入した。その他の株は実験動物中央研究所より入手した。これらの腫瘍片および細胞懸濁液をヌードマウス(Male BALB/c-nu/nu nude mice 、5 週齢、個体重量 18 to 20 g)(日本クレアより購入)の皮下に移植し、腫瘍体積(0.5 x length x width2)が100-300mmに到達した時点で、層化無作為割り付け法により腫瘍体積を指標に各試験群に5匹ずつ割り付けた(day 0)。試験開始時の各群の腫瘍体積には有意差が存在しないことを確認した。5-FU系抗癌剤であるUFT, TS-1, 5’-DFUR、Capecitabineをそれぞれの薬剤の至適投与量(MTD)にて2週間経口投与し、抗腫瘍効果を求めた。抗腫瘍効果はday15の時点で薬剤を投与しないコントロールマウスの皮下の腫瘍重量に対し、薬剤を投与したマウスの腫瘍重量がどの程度抑制されたのか、すなわち腫瘍増殖抑制率IR%として下式より求めた。全ての試験は動物実験に関する倫理ガイドラインに従い実施された。
RTV=(治療開始15日目の腫瘍重量)/(治療開始前の腫瘍重量)
IR%=(1−薬剤治療群のRTVの平均 / コントロール群のRTVの平均)x 100
DPYD遺伝子のコピー数を求めるために、以下の配列のプライマーを設計した。
Forward primer 5’-CGGCCCTAGTCTGCCTGTT-3’(配列番号5)
Reverse primer 5’- GAGTCTGCCAGTGACAAACCCT-3’ (配列番号6)
参照ゲノム配列としてLINE-1(癌でも正常でもほとんどコピー数が変わらないと思われるゲノム上に多数存在する配列)を用いた。
Forward primer 5’- AAAGCCGCTCAACTACATGG -3’(配列番号7)
Reverse primer 5’- TGCTTTGAATGCGTCCCAGAG -3’ (配列番号8)
XenograftのgDNAはQIAAMP DNA mini kit (Qiagen Inc., Valencia, CA) を用い使用説明書に従い調製した。
PCR反応はQIAGENのQuantiTect SYBR Green PCRキットを用い、ABI7300シークエンスディテクターにより下記のPCR条件で行った。94℃15分(1サイクル)、94℃20秒、56℃20秒、70℃30秒(45サイクル)。
ターゲットDNAの定量値は、任意の閾値にPCR産物が到達した時のPCRサイクル数(Ct値)を基に検量線を作成して求めた回帰式より計算された。さらに、遺伝子コピー数は下式により算出された。
(T (DPYD) / T (LINE-1)) / (C(DPYD) / C(LINE-1)) x 2
(ここで、Tは求めたい腫瘍のDNAでのDPYDまたはLINE-1の定量値、Cは対照として用いたヒト(男)正常組織由来のゲノムDNAでのDPYDまたはLINE-1の定量値である。)
Xenograftのtotal RNAは湿重量20-30mgの組織よりRNeasy (Qiagen Inc., Valencia, CA) を用い使用書に従って調製した。
DPYDmRNAの定量はTaqMan EZ RT-PCR kit およびABI Prism シークエンスディテクターを用いたTaqMan real-time reverse transcribed PCRにて求めた。標準曲線はMiaPaCa-2のtotal RNAの希釈系列により作成した。内部標準としてGAPD, ACTBを同時に定量し、両者の幾何平均を用いDPYDmRNA量を補正した。
PCRプライマー、TaqManプローブ配列を下記に示す。
DPYD
5’-AATGATTCGAAGAGCTTTTGAAGC-3’ (forward primer) (配列番号9)
5’-GTTCCCCGGATGATTCTGG-3’ (reverse primer) (配列番号10)
5’-TGCCCTCACCAAAACTTTCTCTCTTGATAAGGA-3’ (TaqMan probe) (配列番号11),
PCR 増幅サイズ: 108 bp
ACTB
5’-TCACCCACACTGTGCCCATCTACGA-3’ (forward primer) (配列番号12)
5’-CAGCGGAACCGCTCATTGCCAATGG-3’ (reverse primer) (配列番号13)
5’-ATGCCCTCCCCCATGCCATCCTGCGT-3’ (TaqMan probe) (配列番号14),
PCR 増幅サイズ: 295 bp
GAPD
5’-GAAGGTGAAGGTCGGAGTC-3’ (forward primer) (配列番号15)
5’-GAAGATGGTGATGGGATTTC-3’ (reverse primer) (配列番号16)
5’-CAAGCTTCCCGTTCTCAGCC-3’ (TaqMan probe) (配列番号17),
PCR 増幅サイズ: 226 bp
PCR反応条件は50℃2分(1サイクル)、60℃30分(1サイクル)、95℃5分(1サイクル)および94℃20秒、60℃1分、45サイクルである。
ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ酵素活性
ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ酵素活性は次の方法で求めた。すなわち、腫瘍組織を4倍量のhomogenization buffer [20 mM potassium phosphate (pH 8.0) containing 1 mM EDTA and 1 mM β-mercaptoethanol] を加え超音波破砕した。ホモジネートを105,000g、1時間、4℃で遠心し上清を採取した。酵素反応は以下の組成にて実施した。すなわち10 mM potassium phosphate (pH 8.0), 0.5 mM EDTA, 0.5 mMβ-mercaptoethanol, 2 mM dithiothreitol, 5 mM MgCl2, 20 μM [6-14C] 5-FU である。
100 μM NADPHと25 μlの細胞上清(反応量50 μl)を37℃, 30分インキュベートした。反応終了後、5μlの反応液を薄層クロマトグラフィー (Silica gel 60F254; Merck, Germany)にてethanol と 1 M ammonium acetate の混合液(5:1, v/v) にて展開した。ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ活性は[6-14C] 5-FU より分離したdihydrofluorouracil および 2-fluoro-β-alanine両者の和を、液体シンチレーションカウンターを用い測定することにより求めた。
使用薬剤:UFT, TS-1, Capecitabineは大鵬薬品工業(株)にて合成された。5’-DFURは日本ロッシュ(株)より購入した。[6-14C]-5-FU (1.85 GBq/mmol)はMoravek Biochemicals, Inc. (Brea, CA, USA) より購入した。
実験結果
NCI60細胞での新しい知見、すなわちDPYD遺伝子のコピー数と5-FUへの感受性との相関が一般的に起こりうる現象なのか否かを検証するために、NCI60細胞株とは重複しない(1株を除く)ヒト癌由来ヌードマウス皮下移植株31株で同様の検討を行った。
31株でのDPYD遺伝子のコピー数を調べると2コピー付近の株が多かったものの0.78-4.4まで幅広く分布した(表1, 図1)。
31株でのDPYD遺伝子のコピー数と、抗癌剤の効果(UFT,TS-1,5’-DFUR, Capecitabine)との関連を調べた。図2にコピー数とin vivo 効力データのHeatMap図を示す。Unsupervised-2-way clusteringの結果、コピー数とin vivo効力とは相反するパターンを示していた。そこで31株をそれぞれの薬剤に対する感受性の高さにより順位付けし、上位25パーセンタイルの株を高感受性株群、75パーセンタイル以降を低感受性株群、その他を中間群としてグループ分けした後、それぞれの群でのDPYD遺伝子のコピー数に対し、Tukey−Kramar HST testを行なった(図3)。その結果、UFT, 5’-DFUR、Capecitabineについては薬剤の高感受性群、低感受性群との間で有意なコピー数の変化を認めた。すなわち、低感受性群でのDPYD遺伝子コピー数は有意に高感受性群のものよりも高かった(P<0.05)。TS-1については有意差が無かったが、有意傾向が認められた。
NCI60スクリーニング細胞株では、DPYD遺伝子のコピー数とDPYD mRNAの発現との間に有意な正の相関が認められた。同様に31株のXenograftについても当てはまる知見であるか否かを確認するために、XenograftのDPYD mRNA発現とDPYD遺伝子コピー数との相関を調べたところ、両者に有意な相関(Spearman Rho=0.36, p=0.046)を認めた(図4)。DPYD酵素活性との相関をみると正の相関傾向(P<0.07)が認められた(図5)。
[実施例2]
ヒト腫瘍株ホルマリン固定、パラフィン切片での検証
本発明は、広く臨床的に応用可能でありかつ信頼性の高い抗癌剤感受性予測法を提供できると期待される。その大きな理由の一つに臨床において病理組織検査のため保存されるホルマリン固定パラフィン包埋サンプルを試験材料として利用可能であると考えられる点である。そこで、パラフィン包埋組織標本を材料としてDPD遺伝子コピー数を検出できるか否かをFISH法により検討した。実験材料としてin vivo ヒト腫瘍株(Lu-130、PAN-4)を用いた。パラフィンブロックより5μmに薄切されたスライド標本を、脱パラフィン操作を行い乾燥させた。さらにPBSに5分間浸漬した後、37℃のPepsin/0.1M HCL中でプロテアーゼ処理後、標本をPBSで十分に洗浄し、70%および100%のエタノールで脱水し乾燥させた。
DPD遺伝子を検出するプローブは以下の方法により調製した。すなわち、DPD遺伝子領域を有するBAC クローン(クローンID: CTD-3236P20(Open Biosystems社))を含むベクター(pBeloBAC11(フナコシ))を大腸菌(DH10B(フナコシ))にトランスフェクトし拡大培養したのち、BAC DNAを単離した。BAC DNAを用いNick Translation法によりCy3-dUTPを取り込ませ1p21 BAC DNAプローブを作製した。染色体標本(クロモソームサイエンスラボ社)を用いて本プローブが第一染色体上短腕の適正な位置にシグナルが得られることを確認した。
前記のような前処理を行った標本にプローブをアプライし、90℃のホットプレート上で13分間変性処理を行い、さらに37℃で一晩ハイブリダイズした。バッファーとして、50% formamide、yeast tRNA、 salmon sperm DNAおよび 2X SSCを含む溶液を用いた。ハイブリダイズした標本を50%ホルムアルデヒド/ 2xSSCおよび1xSSCで洗浄した後、DAPIで対比染色を行い退色防止剤でマウントし、プローブシグナルの検出を行った。シグナルの検出およびデータの解析はLeica CW4000システム(ライカ社)を用いた。
実験結果
DNAプローブの検証
ヘキストGバンディングを施した染色体標本にプローブをマッピングしたところ、DPD遺伝子の適切なゲノム領域である1p21もしくは1p22付近にマッピングされ、良好なシグナルが検出できた(図6)。
パラフィン包埋切片でのFISH解析
ヒト腫瘍株PAN-4およびLu130でのFISH像を図7及び図8に示す。いずれのサンプルにおいても明瞭なシグナルが得られ、かつバックグラウンドの低い良好な画像が得られた。対比染色された核の中で、画像上分離が良好な核を50個以上カウントし、DPD遺伝子の1細胞あたりのコピー数を求めた。 Lu130では2.3 signal / nucleus, PAN-4では1.4 signal / nucleusであった。Real-time PCR法で求めた値(3.1 および 1.5)(実施例1)と同様の傾向を示しFISH法での検出結果が妥当であることが示された。すなわちFISH法でのシグナル値よりLu130におけるDPD遺伝子数は1細胞あたり2コピー以上であり5-FU系抗癌剤の感受性が低いこと、同様にPAN-4では1細胞あたり2コピー以下であることから5-FU系抗癌剤の感受性が高いことが予想された。これらの感受性予測とin vivo抗腫瘍効果の結果(実施例1)はLu-130については4薬剤中4薬剤ともすべて一致し、PAN-4については4薬剤中3薬剤で一致するものであった。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。
DPYD遺伝子のコピー数が5-FU系抗癌剤に対する感受性に影響を及ぼすことを見出した。これにより、被験者の5-FU系抗癌剤に対する感受性を予測することが可能となり、この予測結果は癌治療に利用できる。
<配列番号1>
配列番号1は、ヒト由来DPYDのDNA配列を示す。
<配列番号2>
配列番号2は、ヒト由来DPYDのアミノ酸配列を示す。
<配列番号3>
配列番号3は、マウス由来DPYDのDNA配列を示す。
<配列番号4>
配列番号4は、マウス由来DPYDのアミノ酸配列を示す。
<配列番号5>
配列番号5は、DPYD遺伝子のコピー数を求めるために用いたフォワードプライマーのDNA配列を示す。
<配列番号6>
配列番号6は、DPYD遺伝子のコピー数を求めるために用いたリバースプライマーのDNA配列を示す。
<配列番号7>
配列番号7は、参照ゲノム配列LINE-1のコピー数を求めるために用いたフォワードプライマーのDNA配列を示す。
<配列番号8>
配列番号8は、参照ゲノム配列LINE-1のコピー数を求めるために用いたリバースプライマーのDNA配列を示す。
<配列番号9>
配列番号9は、DPYDmRNAを定量するために用いたフォワードプライマーのDNA配列を示す。
<配列番号10>
配列番号10は、DPYDmRNAを定量するために用いたリバースプライマーのDNA配列を示す。
<配列番号11>
配列番号11は、DPYDmRNAを定量するために用いたTaqMan probeのDNA配列を示す。
<配列番号12>
配列番号12は、内部標準としてACTBを定量するために用いたフォワードプライマーのDNA配列を示す。
<配列番号13>
配列番号13は、内部標準としてACTBを定量するために用いたリバースプライマーのDNA配列を示す。
<配列番号14>
配列番号14は、内部標準としてACTBを定量するために用いたTaqMan probeのDNA配列を示す。
<配列番号15>
配列番号15は、内部標準としてGAPDを定量するために用いたフォワードプライマーのDNA配列を示す。
<配列番号16>
配列番号16は、内部標準としてGAPDを定量するために用いたリバースプライマーのDNA配列を示す。
<配列番号17>
配列番号17は、内部標準としてGAPDを定量するために用いたTaqMan probeのDNA配列を示す。

Claims (5)

  1. ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ遺伝子のコピー数を指標として、5−フルオロウラシル系抗癌剤に対する癌細胞の感受性を予測する方法。
  2. 被験者由来の癌細胞におけるジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ遺伝子のコピー数を測定し、コピー数が2以下である場合には被験者の5−フルオロウラシル系抗癌剤に対する感受性が高いと予測し、コピー数が2よりも大きい場合には被験者の5−フルオロウラシル系抗癌剤に対する感受性が低いと予測する請求項1記載の方法。
  3. ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ遺伝子のコピー数をPCR法、FISH法、アレイCGH法、DNAマイクロアレイ法及びサザンハイブリダイゼーション法から成る群より選択される少なくとも1つの方法で測定する請求項1又は2に記載の方法。
  4. 5−フルオロウラシル系抗癌剤が、5−フルオロウラシル、テガフール、5’−デオキシ−5−フルオロウラシル及びカペシタビンから成る群より選択される少なくとも1つの成分を含む請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ遺伝子のコピー数を測定するための試薬を含む、5−フルオロウラシル系抗癌剤に対する感受性を予測するためのキットであって、ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ遺伝子のコピー数を測定するための試薬が、配列番号5のDNA配列からなるオリゴヌクレオチド及び配列番号6のDNA配列からなるオリゴヌクレオチドの組み合せからなる一セットのプライマーである前記キット
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