JP4878317B2 - 銅または銅合金からなる銅管 - Google Patents

銅または銅合金からなる銅管 Download PDF

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Description

本発明は、銅または銅合金からなる銅管に係り、特に、電子機器のCPU(中央演算装置)冷却用として使用されるヒートパイプに用いられる銅または銅合金からなる銅管に関する。
近年の電子機器は、パーソナルコンピュータ、特にノート型のパーソナルコンピュータ(以下、ノート型パソコンと称する。)に代表されるように、CPUの高性能化に伴い、CPUの発熱量が増大している。CPUは、発熱によって高温になると演算処理能力が低下する等の不具合が出るため、これを冷却するための冷却装置を備えている。
なお、ノート型パソコンに備えられる冷却装置は、設置スペースとの関係から、できるだけ小型化することが望まれており、図1(a)に例示するような構成の冷却装置が広く用いられている。
ここで、図1(a)、(b)はヒートパイプの使用形態の一例を示す模式図、図2は、ヒートパイプの内部の作用を説明するための説明図である。
図1(a)に示すように、冷却装置100は、主に、ヒートパイプ101と、放熱板(銅板)103と、小型ファン102とから構成されている。
前記ヒートパイプ101は、内部にウィックを設けたパイプ、内面に微細な溝を形成したパイプ、あるいは多孔質層を設けたパイプの内部に一定量の作動液を減圧封入したものであって、図1(b)に示すように、一端は、ヒートパイプ固定バンドにより放熱板103に固定され、もう一端は、はんだ付け等の方法により、アルミニウムフィン(アルミフィン)105に固定されている。放熱板103は、CPU104等の発熱体に接触することでその熱を吸収し、その熱により放熱板に密着しているヒートパイプの内部で、作動液が気化する。気化した作動液の蒸気は、ヒートパイプ101の他方の端に向かって流れ、アルミフィン105により放熱されることで吸収した熱を放熱している。なお、アルミフィン105は、小型ファン102により冷却されている。また、ヒートパイプ101はノート型パソコン内部のスペースの制約から、断面形状を扁平状に加工した状態で用いることが多い。断面形状を扁平状にすることで、放熱板103、アルミフィン105との接触面積が増大するという利点が生じる。
具体的には、図2に示すように、ヒートパイプ10の発熱体との接触部分(加熱部(蒸発部12))において、ヒートパイプ10の内部に封入された作動液8が加熱されて気化し、蒸気となることで発熱体の熱を吸収する。そして、気化した作動液8はヒートパイプ10の他端の放熱する部分(放熱部(凝縮部11))で冷却されて凝縮し、再び作動液8となり、凝縮部11で液体に戻った作動液8は、蒸発部12に還流する。このように、ヒートパイプ10は、密閉されたヒートパイプ10内で作動液8の蒸発と凝縮を繰り返し、これが還流することで蒸発部12から凝縮部11への連続的な熱輸送を行うことができるものである。
ここで、ヒートパイプ用伝熱管1を用いたヒートパイプ10としては、冷却性能の優れた、主に銅製のヒートパイプが使用されており、その形態は様々である。そして、冷却装置100に組み込まれる際には、曲げ加工や扁平加工等が施され、放射冷却盤等に密接される。なお、冷却性能は、熱伝達率や限界熱輸送量(最大熱輸送量)を指標として表すことができる。熱伝達率とは、いかに早く熱を蒸発部12から凝縮部11に伝えられるかを表すものであり、最大熱輸送量とは、蒸発部12の温度が上昇したときに何ワット(W)までの熱量を伝えられるかを表す指標である。
このようなヒートパイプとして、銅パイプの中空内壁面にウィックとして酸化第二銅の羽毛状結晶を形成することにより、毛細管圧力を高め、熱伝達率を向上させたヒートパイプが開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、ヒートパイプコンテナの内面に、多数本の金属ファイバーを挿入してウィックを構成し、この金属ファイバーをヒートパイプコンテナの内面に、焼結により一体化することで、熱伝達性能や熱輸送能力(限界熱輸送量)を向上させたヒートパイプが開示されている(例えば、特許文献2参照)。さらに、銅管等の金属管の内壁に、焼結により銅粉を固着することで、放熱力を向上させたCPU冷却器の焼結式ヒートパイプが開示されている(例えば、特許文献3参照)。
その他として、伝熱管の内周面に多数のフィンを形成し、内周面の溝部を所定の形状にした伝熱管を用いることで、熱伝達率や最大熱輸送量を向上させたヒートパイプ(例えば、特許文献4参照)や、金属製のコンテナの内面に、所定の形状にした多数の平行な溝を形成することで、熱伝達率や最大熱輸送量を向上させたヒートパイプが開示されている(例えば、特許文献5参照)。
これらのヒートパイプには、金属製のコンテナとして主に銅または銅合金からなる銅管(ヒートパイプ用伝熱管)が使用されており、銅としては、主に無酸素銅やリン脱酸銅等が使用される。
特開昭56−87794号公報(第1頁右下欄5行目〜20行目、図1) 特開2002−372388号公報(段落0010〜0019) 実用新案登録第3110922号公報(段落0006、図1) 特開2006−189232号公報(段落0027〜0039、図1) 特開2003−222480号公報(段落0007〜0020)
しかしながら、従来のヒートパイプに用いられる銅または銅合金からなる銅管には以下に示す問題点があった。
ヒートパイプ製造工程においては、銅管の脱ガスを目的に、800℃程度で数時間加熱されることがある。また、金属ファイバーや銅粉を銅管内面に焼結したヒートパイプでは、これらを焼結するために、銅管は、900〜1000℃程度に加熱される。
しかし、銅管を800〜1000℃程度に加熱すると、結晶粒が粗大化し、冷却装置に組み込むために曲げ加工や扁平加工を行ったときに銅管の表面粗さが大きくなり、肌荒れが生じる、あるいは曲げ加工部や扁平加工部に割れが生じやすくなる。このような肌荒れや割れは次のような問題を引き起こす。銅管の表面に肌荒れが生じると、放射冷却盤との密接率が悪化して、熱伝達率や限界熱輸送量の低下を生じさせ、ヒートパイプの冷却性能に悪影響を及ぼす。また、割れは、ヒートパイプからの水漏れや腐食の原因となり、ヒートパイプの信頼性を低下させる。一般に、ヒートパイプ用銅管には、加熱焼鈍前の意図しない曲り、折れ、凹み等を防止するために、硬質材(H材)が多く使用されている。銅管の調質が硬質になるほど、前記温度への加熱により結晶粒の粗大化が激しくなるので、肌荒れや割れの問題も顕著になる。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、ヒートパイプに用いる銅または銅合金からなる銅管において、800℃〜1000℃での加熱による表面の結晶粒の粗大化を抑制し、ヒートパイプ表面の肌荒れや、加工時の割れを防止することができる銅または銅合金からなる銅管を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究した結果、銅または銅合金からなる銅管の材料内部のひずみが開放された軟質材に、表面近傍に優先的にひずみを付与することにより、表面近傍の再結晶生成核を均一に分散し、高温加熱処理された際の表面の結晶粒の粗大化を抑制できることを見出した。
すなわち、前記課題を解決するため、請求項1に係る銅または銅合金からなる銅管は、ヒートパイプに用いる銅または銅合金からなる銅管であって、管軸方向の引張強さが240〜330N/mm、0.2%耐力を引張強さで割った値である降伏比が0.30〜0.99、伸びが5〜40%であり、前記銅または銅合金からなる銅管において、1000℃×60分加熱後の外表面における管軸方向の平均結晶粒径が0.40mm未満であることを特徴とする。
このような構成によれば、銅管における引張強さ、降伏比および伸びといった機械的性質を所定の範囲に規定することで、材料の内部ひずみが適度となり、800℃〜1000℃程度での加熱による銅管表面の結晶粒の粗大化が抑制される。また、このような構成の銅管を用いたヒートパイプにおいては、曲げ加工部や扁平加工部において表面の肌荒れが生じず、また、曲げ加工部や扁平加工部の割れが生じにくくなる。
請求項に係る銅または銅合金からなる銅管は、前記銅または銅合金からなる銅管の内面に、管軸方向に平行、またはらせん状の溝が形成されていることを特徴とする。
このような構成によれば、銅管の内面に管軸方向に平行、またはらせん状の溝が形成されていることにより、管内表面積が増大する。また、ヒートパイプの内部の作動液に毛細管力が発生し、凝縮部から蒸発部へ、作動液が還流しやすくなる。
本発明によれば、800℃〜1000℃程度での加熱による銅または銅合金からなる銅管表面の結晶粒の粗大化が抑制され、表面粗さの粗化を防止することで、銅管表面の肌荒れを防止することができる。そのため、放射冷却盤との密接率が悪化せず、熱伝達率や限界熱輸送量を向上させることができ、ヒートパイプの冷却性能を向上させることができる。また、加工時の割れを防止することができ、ヒートパイプの信頼性を高くすることができる。
以下、本発明に係る銅または銅合金からなる銅管(以下、適宜、銅管という)について、詳細に説明する。
銅管は、ヒートパイプに用いるものであり、管軸方向の引張強さ、0.2%耐力を引張強さで割った値である降伏比、伸びを所定の範囲に規定したものである。
また、銅管において、1000℃×60分加熱後の外表面における管軸方向の平均結晶粒径を所定未満に規定したものである。
≪銅または銅合金からなる銅管≫
管の材質として、銅または銅合金を使用する理由としては、伝熱特性、耐食性に優れること、また、加工性にも優れ、曲げ加工や扁平加工が容易なこと等が挙げられる。銅としては、例えば、無酸素銅、りん脱酸銅等の純銅系を用いることができ、銅合金としては、例えば、Sn、Co等を含有させた、Cu−0.65質量%Sn−0.025質量%P合金、Cu−0.05質量%Co−0.03質量%P合金等を用いることができる。なお、これらの銅や銅合金は、所定の強さに調質する。
銅管は、平滑管としてもよいが、管の内面に管軸方向に平行、またはらせん状の溝を形成した内面溝付管とすることが好ましい。銅管を内面溝付管とすることにより、管内表面積が増大し、また、ヒートパイプの内部の作動液に毛細管力が発生し、凝縮部から蒸発部へ、作動液が還流しやすくなる(図2参照)。そのため、熱伝達率や限界熱輸送量をより向上させることができ、ヒートパイプの冷却性能をより向上させることができる。
溝の形状等は、特に規定されるものではないが、熱伝達率や限界熱輸送量の向上の観点から、溝形状として、溝数が30〜80、山高さ(フィン高さ)が0.05〜0.35mm、ねじれ角(リード角)が0〜45°、山頂角が5〜30°であることが好ましい。
次に、銅管における数値限定理由について説明する。
≪管軸方向の引張強さ:240〜330N/mm、降伏比:0.30〜0.99、伸び:5〜40%≫
管軸方向の引張強さが240N/mm未満の場合、降伏比が0.30未満の場合、または、伸びが40%を超える場合、このような機械的性質の銅管は、1000℃×60分等の高温加熱を施した後の表面の結晶粒が大きくなってしまい、前記のとおり、ヒートパイプへの加工時に表面の肌荒れが生じ、また、加工時の割れが生じやすくなる。また、ヒートパイプの製造工程において、材料に十分な耐力がなく、銅管が不必要に曲がる等、成形性に不具合が生じる。また、ヒートパイプへの加工前、加工中に管が変形しやすく、ヒートパイプの生産性および歩留りが低下する。
一方、管軸方向の引張強さが330N/mmを超える場合、降伏比が0.99を超える場合、または、伸びが5%未満の場合、このような機械的性質の銅管は、やはり1000℃×60分等の高温加熱を施した後の表面の結晶粒が大きくなってしまい、前記のとおり、表面の肌荒れが生じ、また、加工時の割れが生じやすくなる。
なお、管軸方向の引張強さは、260〜310N/mmがより好ましく、降伏比は、0.70〜0.99がより好ましく、伸びは、5〜20%がより好ましい。
ここで、前記条件での加熱により結晶粒が大きくなるのは、材料の内部ひずみに起因するものである。すなわち、管軸方向の引張強さが240N/mm未満の場合、降伏比が0.30未満の場合、または、伸びが40%を超える場合には、内部ひずみが十分に存在せず、高温加熱時に全体的に結晶粒が粗大化してしまう。一方、管軸方向の引張強さが330N/mmを超える場合、降伏比が0.99を超える場合、または、伸びが5%未満の場合には、内部ひずみが材料全体に加わっており、銅管表面に限らず再結晶核が均一に存在し、やはり高温加熱時に二次再結晶により、全体的に結晶粒が粗大化してしまう。しかし、機械的性質が本発明の範囲に属するように銅管表面に応力を付与してひずみを与えたものは、表面近傍に再結晶生成核を均一に分散し、高温加熱処理された際の表面の結晶粒の粗大化を抑制できる。
≪1000℃×60分加熱後の銅管の外表面における管軸方向の平均結晶粒径:0.40mm未満≫
1000℃×60分加熱後の銅管の外表面における管軸方向の平均結晶粒径が0.40mm以上の場合、曲げ加工や偏平加工を行った際、銅管表面に肌荒れが生じ、また、曲げ加工部や扁平加工部に割れが生じやすくなる。管軸方向の平均結晶粒径は小さいほうが好ましいが、無酸素銅、りん脱酸銅等の場合、平均結晶粒径を0.10mm未満とすることは困難なため、これらの材質においては、0.10mm以上が好ましく、より肌荒れや割れを生じ難くするためには、0.10〜0.30mmの範囲がより好ましい。
なお、1000℃×60分加熱後の外表面における管軸方向の平均結晶粒径が0.10mm未満になる銅合金を用いてもよい。
なお、結晶粒径の測定は、JIS H 0501に定められる伸銅品結晶粒度試験方法により行うことができる。そして、切断法を用いて管軸方向における既知の長さ5箇所の結晶粒の平均値を求めることにより、平均結晶粒径を算出することができる。
また、加熱温度と時間について、ヒートパイプ製造工程における脱ガスや焼結温度は、600℃程度〜1000℃程度までの温度で30分〜8時間程度と範囲が広いが、これらの温度範囲は銅管の結晶粒が粗大化するような条件である。1000℃×60分の加熱に限らず、このような条件でも本発明は従来技術に対し優位性を発揮する。
次に、銅または銅合金からなる銅管の製造方法の一例について説明する。
<銅または銅合金からなる銅管の製造方法>
JIS H3300 C1020またはC1220を例として説明する。まず、溶解・鋳造により銅または銅合金のインゴットを作製し、このインゴットを所定長さに切断してビレットとする。次に、このビレットを熱間押出により管状とし、冷間圧延を施した後、ダイスとプラグを用いて、加工率(断面減少率)が95%以上となるまで抽伸を繰り返し、全体にひずみを付与した素管とする。次に、この所定寸法とした素管を、例えば、JIS H3300 C1020またはC1220のO材またはOL材の規格に相当する調質になるように焼鈍し、内部ひずみが開放された軟質材にした後、ダイスのみを用いて加工率が3〜35%になるように抽伸し、表面近傍に優先的にひずみを付与する。
なお、焼鈍条件は、炉や炉内寸法と銅管の挿入量、銅管サイズ等で異なるが、一例として、炉内雰囲気温度が550〜720℃で、加熱時間が5〜30分とすることができる。
銅管の材質を銅合金にした場合も、熱間押出温度、冷間圧延および抽伸による加工率、中間焼鈍温度、ダイスによる抽伸加工率等の製造条件を合金の組成に合わせて決めることができる。
ここで、所定寸法とは、ヒートパイプとして用いられる仕上がり寸法よりも大きく、その後の工程の焼鈍・抽伸を終えた仕上がり製品の機械的性質が、本発明の範囲となるように逆算して求められた寸法をいう。
前記製造方法により、本発明の機械的性質に制御することができる。
このようにして製造された銅管は、電子機器のCPU冷却用として使用されるヒートパイプに加工される。
なお、銅管の製造方法は、前記方法に限られるものではなく、適宜、必要に応じて変更してもよい。
以下、本発明の要件を満たす実施例および本発明の要件を満たさない比較例について、具体的に説明する。
<第1実施例>
まず、無酸素銅(JIS H 3300 C1020)を、溶解・鋳造してインゴットを作製し、このインゴットを所定長さに切断してビレットとした。次に、このビレットを熱間押出により管状とし、冷間圧延を施した後、ダイスとプラグを用いて、加工率95%以上として、実施例1は、外径φ11.6mm、実施例2は、外径φ12.3mm、実施例3は、外径φ13.1mm、実施例4は、外径φ14.1mm、実施例5は、外径φ15.0mm、比較例1は、外径φ10.0mm、比較例2は、外径φ15.9mm、比較例3は、外径φ10.0mm、比較例4は、外径φ10.1mmになるまで、抽伸を繰り返し、素管を作製した。なお、肉厚はすべて0.8mmとした。
このようにして作製した素管をそれぞれ、炉内雰囲気温度が630℃、加熱時間が15分の条件で焼鈍した後、外径φ10.0mm(比較例1、3)の供試材以外の素管を、外径φ10.0mm、肉厚0.8mmになるように、ダイスのみを用いて抽伸し、供試材を製作した。なお、比較例1は、従来の銅管(銅からなるもの)であるため、焼鈍は行わなかった。
このようにして得られた供試材について、機械的性質を測定した。また、1000℃×60分加熱後の管軸方向の平均結晶粒径を算出するとともに、供試材の肌荒れ状況を評価した。
<機械的性質>
機械的性質の測定には引張試験機を用い、JIS Z 2241に定められる金属材料引張試験方法により、引張強さ、0.2%耐力、伸びを求めた。
<平均結晶粒径>
供試材に1000℃×60分の加熱を実施した後、供試材の外表面における管軸方向の結晶粒を観察し、平均結晶粒径を求めた。
1000℃×60分の加熱には、赤外線誘導加熱炉を用い、還元ガス雰囲気中で、実態温度が1000℃となるように昇温した。昇温までの時間は10分、保持を60分とし、冷却は除冷で行い、約60分を要した。
表面の結晶粒の観察は、30%程度に希釈した硝酸を用い、表面の結晶粒が観察できるように30秒程度浸漬させた。そして、表面の結晶粒が観察できる状態の供試材を半割りし、平面になるように押し潰した。次に、金属顕微鏡を用い、表面における結晶粒を観察し、JIS H 0501に定められる伸銅品結晶粒度試験方法により、切断法を用いて管軸方向における既知の長さ5箇所の結晶粒の平均値を求めることにより、平均結晶粒径を算出した。
<肌荒れ状況の評価>
肌荒れの評価は、1000℃×60分の加熱を実施した供試材に、ベンダーを用いてR40で90℃曲げを実施し、曲げ部の肌荒れの様子を目視で観察することにより行った。
比較例1(従来の銅管)の肌荒れの様子(肌荒れ状況が不良)を基準にし、明らかに肌荒れが改善されているものを肌荒れ状況が良好(○)、肌荒れに改善が認められないものを肌荒れ状況が不良(×)とした。
以上の結果を表1に示す。なお、本発明の構成を満たさないもの等については、数値に下線を引いて示す。
Figure 0004878317
表1に示すように、実施例1〜5は、引張強さ、降伏比、伸びのすべてが、本発明の範囲を満たすため、1000℃×60分の加熱後の平均結晶粒径が0.40mm未満の値となり、肌荒れ状況が良好であった。
一方、比較例1は、従来の銅管であり、引張強さが本発明の範囲の上限値を超えるため、1000℃×60分の加熱後の平均結晶粒径が0.40mm以上の値となり、肌荒れ状況が不良であった。比較例2は、引張強さが本発明の範囲の上限値を超え、また、伸びが本発明の範囲の下限値未満のため、1000℃×60分の加熱後の結晶粒径が0.40mm以上の値となり、肌荒れ状況が不良であった。
比較例3は、引張強さおよび降伏比が本発明の範囲の下限値未満のため、1000℃×60分の加熱後の平均結晶粒径が0.40mm以上の値となり、肌荒れ状況が不良であった。比較例4は、引張強さが本発明の範囲の下限値未満であり、また、伸びが本発明の範囲の上限値を超えるため、1000℃×60分の加熱後の平均結晶粒径が0.40mm以上の値となり、肌荒れ状況が不良であった。
<第2実施例>
まず、リン脱酸銅(JIS H 3300 C1220)にSnを0.65質量%添加した銅合金、または、リン脱酸銅(JIS H 3300 C1220)にCoを0.05質量%添加した銅合金を溶解・鋳造してインゴットを作製し、このインゴットを所定長さに切断してビレットとした。次に、このビレットを熱間押出により管状とし、冷間圧延を施した後、ダイスとプラグを用いて、加工率95%以上として、実施例6、7は、外径φ12.7mm、比較例5、6は、外径φ10.0mmになるまで、抽伸を繰り返し、素管を作製した。なお、肉厚はすべて0.8mmとした。
このようにして作製した素管をそれぞれ、炉内雰囲気温度が680℃、加熱時間が25分の条件で焼鈍した後、外径φ10.0mm(比較例5、6)の供試材以外の素管を、外径φ10.0mm、肉厚0.8mmになるように、ダイスのみを用いて抽伸し、供試材を作製した。なお、比較例5、6は、従来の銅管(銅合金からなるもの)であるため、焼鈍は行わなかった。
このようにして得られた供試材について、機械的性質を測定した。また、1000℃×60分加熱後の平均結晶粒径を算出するとともに、供試材の肌荒れ状況を評価した。
なお、機械的性質の測定方法、平均結晶粒径の算出方法、供試材の肌荒れ状況の評価方法については、第1実施例と同様である。
以上の結果を表2に示す。なお、本発明の構成を満たさないもの等については、数値に下線を引いて示す。
Figure 0004878317
表2に示すように、実施例6、7は、引張強さ、降伏比、伸びのすべてが、本発明の範囲を満たすため、1000℃×60分の加熱後の平均結晶粒径が0.40mm未満の値となり、肌荒れ状況が良好であった。
一方、比較例5は、従来の銅管であり、引張強さが本発明の範囲の上限値を超えるため、1000℃×60分の加熱後の平均結晶粒径が0.40mm以上の値となり、肌荒れ状況が不良であった。比較例6は、従来の銅管であり、引張強さおよび降伏比が本発明の範囲の上限値を超えるため、1000℃×60分の加熱後の平均結晶粒径が0.40mm以上の値となり、肌荒れ状況が不良であった。
<第3実施例>
まず、無酸素銅(JIS H 3300 C1020)を、溶解・鋳造してインゴットを作製し、このインゴットを所定長さに切断してビレットとした。次に、このビレットを熱間押出により管状とし、冷間圧延を施した後、ダイスとプラグを用いて、加工率95%以上として、実施例8は、外径φ12.3mm、比較例7は、外径φ10.0mmになるまで、抽伸を繰り返し、素管を作製した。なお、肉厚はすべて0.8mmとした。
ここで、この素管(実施例8、比較例7の両方)を得る際に、転造加工により内面に、底肉厚0.8mm、山高さ0.1mm、溝数40、管軸方向のねじれ角が20°である溝を形成した。
このようにして作製した素管(実施例8のみ)を、炉内雰囲気温度が630℃、加熱時間が15分の条件で焼鈍した後、外径φ10.0mm、肉厚0.8mmになるよう、ダイスのみを用いて抽伸し、供試材を作製した。なお、比較例7は、従来の銅管(銅からなるもの)であるため、焼鈍は行わなかった。
このようにして得られた供試材について、機械的性質を測定した。また、1000℃×60分加熱後の平均結晶粒径を算出するとともに、供試材の肌荒れ状況を評価した。
なお、機械的性質の測定方法、平均結晶粒径の算出方法、供試材の肌荒れ状況の評価方法については、第1実施例と同様である。
以上の結果を表3に示す。なお、本発明の構成を満たさないもの等については、数値に下線を引いて示す。
Figure 0004878317
表3に示すように、実施例8は、引張強さ、降伏比、伸びのすべてが、本発明の範囲を満たすため、1000℃×60分の加熱後の平均結晶粒径が0.40mm未満の値となり、肌荒れ状況が良好であった。
一方、比較例7は、従来の銅管であり、引張強さが本発明の範囲の上限値を超えるため、1000℃×60分の加熱後の平均結晶粒径が0.40mm以上の値となり、肌荒れ状況が不良であった。
以上、本発明に係る銅または銅合金からなる銅管について最良の実施の形態および実施例を示して詳細に説明したが、本発明の趣旨は前記した内容に限定されるものではない。なお、本発明の内容は、前記した記載に基づいて広く改変・変更等することができることはいうまでもない。
(a)、(b)は、ヒートパイプの使用形態の一例を示す模式図である。 ヒートパイプの内部の作用を説明するための説明図である。
符号の説明
1 ヒートパイプ用伝熱管(銅管)
8 作動液
10、101 ヒートパイプ
11 凝縮部
12 蒸発部
100 冷却装置
102 小型ファン
103 放熱板(銅板)
104 CPU
105 アルミニウムフィン(アルミフィン)

Claims (2)

  1. ヒートパイプに用いる銅または銅合金からなる銅管であって、
    管軸方向の引張強さが240〜330N/mm、0.2%耐力を引張強さで割った値である降伏比が0.30〜0.99、伸びが5〜40%であり、
    前記銅または銅合金からなる銅管において、1000℃×60分加熱後の外表面における管軸方向の平均結晶粒径が0.40mm未満であることを特徴とする銅または銅合金からなる銅管。
  2. 前記銅または銅合金からなる銅管の内面に、管軸方向に平行、またはらせん状の溝が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の銅または銅合金からなる銅管。
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