JP4877584B2 - 赤外撮像装置 - Google Patents

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Description

本発明は、暗闇などにおいて肉眼では見えない被写体を、赤外線を利用して可視像に変換する赤外撮像装置に関する。
赤外撮像装置は、例えば、前面側にコールドアパーチャが形成された冷却空間を有するコールドシールドと、このコールドシールド内に配設された赤外撮像素子と、前方の物体の像を赤外撮像素子に結像させる結像光学系とを有して構成されるが、最も前面側(最も物体側)に保護のためのドーム状の窓部材等を設けることもよく行われている。このように構成された赤外撮像装置では、前方の物体から放射される熱、すなわち赤外線を窓部材を通過させて入射させ、結像光学系により集光して赤外撮像素子に結像させ、物体の赤外線画像(熱画像)を得るようになっている。
赤外撮像装置では、撮像対象以外の物体から放射される不要な赤外線(例えば、装置を構成する鏡筒の自己放射)の影響を取り除くため、結像光学系の後に上記コールドシールドを配設し、コールドシールドに設けたコールドアパーチャにより、結像光学系によって集光される赤外線のみを赤外撮像素子に入力させ、不要光を遮断除去するように構成されている。また、コールドシールドの内部空間およびその内部に配設された赤外撮像素子を低温(例えば、液体窒素温度程度)に冷却して、これら自身からの赤外線放射を極力除去する構成となっている。また、コールドシールドに形成されたコールドアパーチャは、結像光学系の出射瞳の位置と大きさが一致するように、すなわち、開口整合がとれるように設計されている。このように開口整合を取ることにより、対象物体以外からの不要な赤外線のコールドシールド内への入射を効率よく抑えることができ、対象物体の赤外線画像を良好に得ることができるという利点がある。
また、赤外撮像装置においては、コールドシールド内で冷却された撮像素子からの放射エネルギーが結像光学系を構成するレンズ面等において反射されてコールドアパーチャの開口部を通って撮像素子に入射し、撮像素子により冷却部が存在するような画像が検出されるという現象(ナルシサス現象と称される)が発生することが従来から知られていおり、このナルシサス現象を抑えるため、従来から種々の提案が行われている。例えば、特許文献1には、物体側に凹面を向けた凸メニスカスレンズを最も物体側に配置することでナルシサス現象を軽減することが提案され、特許文献2には、同心球面形状の窓によって生じるナルシサス現象を窓に続く光学系の間に偏心を与えて抑制することが提案され、特許文献3には、温度一定の平面黒体を見て得られるナルシサス像を撮像装置で記憶し、得られた画像分布を打ち消すようにすることが提案され、特許文献4には、光学系の光路中にフィルタを斜めに配置し、検出器(撮像素子)からの放射が検出器に戻らないようにすることが提案され、特許文献5には、光学系中に中間結像を設け、そこにスリットを配置して外界像の形成に寄与する光以外を軽減するということが提案され、特許文献6には、窓にパワーを持たせて倍率を調整してナルシサス現象を抑制することが提案されている。
特開平11−23962号公報 特開平10−246668号公報 特開平10−38697号公報 特開平9−83869号公報 特開平8−313358号公報 特開平6−70241号公報
ところで、上述のように、赤外撮像装置において最も前面側(最も物体側)に保護のためのドーム状の窓部材等を設けることがある。また一般に、開口整合が行われて結像光学系の出射瞳とコールドアパーチャとが一致するようになっている。このため、コールドシールド内に配置されて冷却された撮像素子の検出面からコールドアパーチャを通って放射される放射エネルギーは、ドーム状の窓部材に対して結像光学系の入射瞳Dinの光束で当たり、ここで反射される。このように反射されたとき、窓部材の内面から所定距離の位置にその像を結び、さらにこれと同一所定距離だけ戻った位置において光束径が上記入射瞳の径Dinと同一となるようにして結像光学系に進む。このように進む戻り光(窓部材で反射された放射エネルギーを有する赤外線)が結像光学系を通った後にコールドアパーチャの位置(結像光学系の出射瞳の位置)で収束する光となると、撮像素子の検出面に収束された光束径の冷却像が移り、周囲の像との温度差が生じてナルシサス現象が生じるおそれがあるという問題がある。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、コールドシールド内で冷却された撮像素子の検出面からの放射エネルギーがドーム状の窓部材で反射されて撮像素子に戻ることにより生じるナルシサス現象を効率的に抑制できるような赤外撮像装置を提供することを目的とする。
このような目的達成のため、本発明に係る赤外撮像装置は、物体側の面および像側の面が球面の一部からなる形状で、物体側に凸面を向けたドーム状の窓部材と、前面側にコールドアパーチャが形成されたコールドシールドと、前記コールドシールド内に配設された赤外撮像素子と、前記窓部材と前記コールドアパーチャとの間に配設されて前記窓部材の前方の物体の像を前記赤外撮像素子に結像させる結像光学系とを有して構成される。そして、前記ドーム状窓部材の内面の曲率半径をR、光軸上の厚さをd、撮像に使用する赤外線の主波長に対する屈折率をnとし、前記コールドアパーチャの直径をDca、赤外線光学系全系の入射瞳直径をDin、前記結像光学系の前記主波長に対する焦点距離をfとして、前記窓部材の内側面から前記結像光学系の前側主点までの距離Lが、次式(1)および(2)を満足するように構成される。
L≧t・(1+Dca/Din) ・・・(1)
但し、t={nR2+d(n−2)R}/[2{nR+d(n−1)}]
f≧L−t ・・・(2)
また、上記赤外撮像装置において、前記結像光学系が広角光学系であり、前記赤外撮像素子の撮像領域における撮像円形領域(イメージサークル)が前記コールドアパーチャより大きい場合には、前記窓部材の前方の物体からの赤外線放射照度をM、前記赤外撮像素子にバックグラウンドとして許容される照度差をΔMとして、前記式(1)に変えて、次式(3)を満足するように構成するのが好ましい。
L≧t・{1+Dca/Din(M/ΔM)1/2} ・・・(3)
なお、前記窓部材の厚さd=0として前記式を用いて演算して得られた前記距離Lの値と、前記窓部材の厚さdを実際の厚さの値として前記式を用いて演算して得られた前記距離Lの値とを比較し、大きい方の前記距離Lを用いるのが好ましい。
もう一つの本発明に係る赤外撮像装置は、物体側の面および像側の面が球面の一部からなる形状で、物体側に凸面を向けたドーム状の窓部材と、前面側にコールドアパーチャが形成されたコールドシールドと、前記コールドシールド内に配設された赤外撮像素子と、前記窓部材と前記コールドアパーチャとの間に配設され、前記窓部材の前方の物体の像を中間結像させた上で前記赤外撮像素子に再結像させる結像光学系とを有して構成され、前記結像光学系が前記ドーム状窓部材の前方の物体の中間像を形成する第1結像光学系と、前記中間結像を前記撮像素子に再結像させる第2結像光学系とから構成される。そして、前記ドーム状窓部材の内面の曲率半径をR、光軸上の厚さをd、撮像に使用する赤外線の主波長に対する屈折率をnとし、前記ドーム状窓部材の内面から前記第1結像光学系の前側主点までの距離をL、前記第1結像光学系の焦点距離をf1、前記赤外撮像素子の検出面から放射され前記ドーム状の窓部材により反射される赤外光が前記第1結像光学系により結像される位置から前記第2結像光学系の前側主点までの距離をa0、前記第2結像光学系の焦点距離をf0、前記ドーム状の窓部材の内面から、前記赤外撮像素子の検出面か
ら放射され前記ドーム状の窓部材により反射される赤外光が最初に結像する位置までの距離をt、前記第1結像光学系の前側主点と前記第2結像光学系の後側主点との距離をW、前記コールドアパーチャの直径をDca、赤外線光学系全系の入射瞳直径をDin、前記結像光学系の前記主波長に対する焦点距離をfとして、前記窓部材の内側面から前記結像光学系の前側主点までの距離Lが、次式(40)、(50)および(60)を満足するように構成される。
0 ≧tf1/(L−t−f1)・Dca/Din (40)
0 ≧a0 (50)
0 =(f1−W)/(f1−f)・f (60)
但し、W ≧f1(L−t)/(L−t−f1)・[1+t/(L−t)・Dca/Din]
を満足するように構成したことを特徴とする赤外撮像装置。
以上のような構成の本発明に係る赤外撮像装置によれば、上記式(1)および(2)を満足する構成とすることにより、コールドシールド内で冷却された撮像素子の検出面からの放射エネルギーがドーム状の窓部材で反射されて撮像素子に戻るときに、戻り光(窓部材で反射された検出面からの放射エネルギー)がコールドアパーチャの位置で平行光もしくは発散光となるので、これらの光は撮像素子の検出領域より広い範囲に照射されることとなり、撮像素子に冷却された検出面自体の像が生じることがないので、いわゆるナルシサス現象の発生を抑えることができる。
上記赤外撮像装置において、例えば、光学系が広角であり、前記赤外撮像素子の撮像円形領域が前記コールドアパーチャより大きい場合には、上記式(1)に変えて上記式(3)を満足する構成とすることにより、赤外撮像素子に照射される戻り光の照度が、バックグラウンドとして許容される照度差ΔM以下となるまでドーム状窓部材の位置を離す構成となり、ナルシサス現象を許容できるレベルまで低下させてその影響を除去することができる。
なお、コールドシールド内で冷却された撮像素子の検出面からの放射がドーム状の窓部材で反射されるときに、この反射は窓部材の外面(物体側の面)および内面(像側の面)の両方で反射される。このため、前記窓部材の厚さd=0として前記式を用いて演算して得られた前記距離Lの値(内面で反射された場合の距離L)と、前記窓部材の厚さdを実際の厚さの値として前記式を用いて演算して得られた前記距離Lの値(外面で反射された場合の距離L)とを比較し、大きい方の前記距離Lを用いるのが好ましく、これにより、いずれの面の反射による戻り光に対してもナルシサス現象が生じることを抑えることができる。
窓部材の前方の物体の像を中間結像させた上で赤外撮像素子に再結像させる結像光学系(第1および第2結像光学系から構成される)からなる場合には、上記式(40)、(50)および(60)を満足する構成とすることにより、コールドシールド内で冷却された撮像素子の検出面からの放射エネルギーがドーム状の窓部材で反射されて撮像素子に戻るときに、戻り光(窓部材で反射された検出面からの放射エネルギー)がコールドアパーチャの位置で平行光もしくは発散光となるので、これらの光は撮像素子の検出領域より広い範囲に照射されることとなり、撮像素子に冷却された検出面自体の像が生じることがないので、いわゆるナルシサス現象の発生を抑えることができる。
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。図1に本発明の第1実施形態に係る赤外撮像装置を模式的に示しており、この装置は、最も物体側の位置に、少なくとも赤外線が透過可能な撮像に使用する赤外線の主波長に対して屈折率nの材料から作られ、物体側に凸となる球面の一部からなる厚さdのドーム状の窓部材1が配設され、その後側(像側)に前側主点までの距離Lをおいて結像光学系2が配置され、さらにその後側に円形の開口からなるコールドアパーチャ3aが対向して形成されたコールドシールド3が配置されており、コールドシールド3内に赤外線画像撮像素子(赤外線検出器)4が設けられている。なお、コールドアパーチャ3aは径がDcaの円形開口である。
この赤外撮像装置では、窓部材1の前方の対象物体から放射される熱(赤外線)を窓部材1を通過させて入射させ、結像光学系2により集光してコールドアパーチャ3aを通過させて赤外線画像撮像素子4に結像させ、対象物体の熱画像(赤外線画像)を得ることができる。なお、コールドシールド3内は冷却されて低温状態に保持されており、内部での自己熱放射が抑えられている。また、結像光学系2の出射瞳とコールドアパーチャ3aの位置を合わせる開口整合が取られており、窓部材1からコールドアパーチャ3aに至る部分において内部発生した赤外線等がコールドシールド3内に入射することを効率よく抑えている。
このように開口整合が取られているため、冷却された赤外撮像素子4からの低温エネルギーの放射は、光線追跡の可逆性から分かるように、外界の無限遠の距離にある物体から追跡した光線の光路を逆進する。したがって、赤外撮像素子4からコールドアパーチャ3aを通る検出面からの放射エネルギーは、各画角において窓部材1に対して結像光学系2の入射瞳径Dinの光束で当たる。このように窓部材1に当たった検出面からの赤外線放射エネルギーは窓部材1の外面1aおよび内面1bにおいて反射されて収束して結像する。なお、このように反射されて像側に戻る赤外線を戻り光と称する。以下においては、外面1aで反射した戻り光により生じるナルシサス現象について説明するが、後述するように、内面1bでの反射については、窓部材1の厚さd=0とすれば、外面1aでの反射の式をそのまま用いることができる。
上記のようにして、窓部材1に当たって外面1aにおいて反射された戻り光は、光軸上において窓部材1の内面1bから距離tの位置に収束して結像し、さらに像側に距離Sだけ進んで結像光学系2の前側主点に到達する。この前側主点の位置での光束の径が結像光学系2の入射瞳径Dinと等しいもしくはこれより大きいと、この光束はコールドアパーチャ3aの大きさと等しいかこれより大きくなり、赤外撮像素子4にこの光束の像が生じることがない、すなわち、ナルシサス現象が発生しない。よって、ナルシサス現象を抑えるに必要な条件は、下記式(4)で表すことができる。
S≧t・Dca/Din ・・・(4)
上記式(4)を満足するように距離Sを設定すれば、ナルシサス現象の発生を抑制できるのであるが、上記距離tの算出について、以下に説明する。
上述した赤外撮像素子4からコールドアパーチャ3aを通る撮像素子4の検出面からの放射は、図3に示すように、窓部材1の内面1bにおいて屈折して窓部材1内に入射した後、外面1aにおいて反射され、さらに内面1bにおいて屈折されて出射し、距離tの位置に収束して結像する。このような屈折および反射による光束の変化を図3の点A,B,Cにおける光束の方向変化を例にして説明する。
この光束変化を求めるベースとなる式は、屈折面のガウスの式であ。この式は、例えば、図2に示すように、屈折率n,n′の材料が曲率半径rの曲面10を有して接合した状態で、点pから出射した光が曲面10において屈折して点qに結像する場合には、点p,qから曲面10までの光軸上の距離s,s′に対して、下記式(5)の関係となる。
n′/s′=n/s−(n′−n)/r ・・・(5)
上記ガウスの式(5)を、窓部材1の内面1bにおける点Aでの屈折に適用すると、図4に示すように、入射光は平行光束で無限遠の点からの光束と考えられ、屈折後の光束は内面1bから光軸上で距離S(1) 離れた位置に収束点を有するので、次式(6)で表す関係となる。なお、以下の式において、窓部材1の屈折率がn、厚さがdで、内面1bの曲率半径がRとしている。
1/S(1) =1/(−∞)+(n−1)/R ・・・(6)
このように屈折した光束が、外面1aにおける点Bで反射される場合に、上記ガウスの式(5)を適用すると、図5に示すように、反射前の光束(点Aで屈折した光束)の収束点は外面1aから光軸上での距離(S(1)+d)のところに位置し、反射後の光束の収束点は外面1aから光軸上での距離S(2)のところに位置するので、次式(7)で表す関係となる。
−n/S(2) =n/(S(1)+d)+(−n−n)/(R+d) ・・・(7)
このように点Bで反射した光束が、内面1bにおける点Cで屈折する場合に、上記ガウスの式(5)を適用すると、図6に示すように、屈折前の光束(点Bで反射した光束)の収束点は内面1bから光軸上での距離(S(2)−d)のところに位置し、屈折後の光束の収束点は内面1bから光軸上での距離S(3)のところに位置するので、次式(8)で表す関係となる。
−1/S(3) =−n/(S(2)−d)+(1+n)/R ・・・(8)
ここで、上述したナルシサス現象が発生しないための条件式(4)において、距離tは上記式(8)における距離S(3) に該当する。そこで、式(6)〜(8)を解いて距離S(3) を求めると、距離t=S(3) は、下記式(9)で表すことができる。
t={nR2+d(n−2)R}/[2{nR+d(n−1)}] ・・・(9)
さらに、図1において、結像光学系2の焦点距離fを、下記式(10)の関係となるように設定すれば、結像光学系2によって戻り光束は集光することなく平行光あるいは発散光となるので、赤外撮像素子4の上に戻り光が結像することはない。
f≧S ・・・(10)
すなわち、式(10)においてf=Sの関係となれば、赤外撮像素子4の検出面に対して戻り光はコールドシールド3で遮光されることなく各画角の光束についてほぼ一様に戻るため、検出面での光度分布はほぼ一様となり、ナルシサス現象が抑制できる。さらに、f>sとすると戻り光が拡散して検出面に戻る割合が小さくなるため、信号光に対して戻り光の強度割合が下がるので、戻り光による検出むらが目立たなくなる。
以上整理すると、上述の式(4)、(9)および(10)を満足するように設定すれば、ナルシサス現象を効果的に抑えることができ、且つ戻り光による検出むらを抑えることができる。但し、実際の装置設計に際しては、図1に示す距離tおよびSよりも、これらの合計距離L、すなわち、窓部材1の内面1bから結像光学系2の前側主点までの光軸上での距離を用いるのが便利である。そこで、L=t+Sという関係に基づいて、上述の式(4)、(9)および(10)を整理すると、前述の式(1)および(2)となる。すなわち、前述の式(1)および(2)を満足するように設計すれば、ナルシサス現象を効果的に抑えることができ、且つ戻り光による検出むらを抑えることができる。
なお、前述のように、以上においては窓部材1の外面1aで反射して発生する戻り光によるナルシサス現象を抑える条件式(1),(2)を説明したが、この条件式(1),(2)において窓部材1の厚さd=0とすれば、その内面1bで反射して発生する戻り光によるナルシサス現象を抑えるに必要な値が算出できる。よって実際には、厚さdの値として、窓部材1の実際の厚さを用いて条件式(1),(2)により求めた距離Lと、d=0として条件式(1),(2)により求めた距離Lとを比較して、大きい方の距離Lを用いるのが好ましい。これにより、外面1aおよび内面1bのどちらで反射した光束に対してもナルシサス現象を効果的に抑えることができる。
次に、結像光学系2が広角光学系であり、赤外撮像素子4におけるイメージサークル(撮像円形領域)がコールドアパーチャ3aより大きくなる場合には、上記式(10)の不等号の関係を設定する方策しか採り得ないが、このときにはナルシサス像と周囲との照度差が許容値ΔM以下となるまで窓部材1を離す設計により対応すればよい。そこで、冷却部と非冷却部との温度差から発生し得る最大の照度差をMとすると、これが割合RRだけ減衰して赤外撮像素子4の検出面での照度差が許容値ΔM以下になれば良い。すなわち、下記式(11)を満足すれば良い。
RR・M≦ΔM ・・・(11)
この減衰率RRは、図7に示すように、窓部材1で反射した光束が結像光学系2に入射する際の光束径をD*とすると、コールドアパーチャ3aを通過して赤外撮像素子4の検出面に到達する光量は面積比であるため、下記式(12)の関係となる。また、光束径D*は、図7の関係から入射瞳の径Dinによって表すと下記式(13)の関係となる。
RR≦(Dca/D*)2 ・・・(12)
D*=(L−t)/t・Din ・・・(13)
上記式(12)および(13)を整理すると、減衰率RRは下記式(14)のように表すことができる。
RR≦{t/(L−t)・Dca/Din}2 ・・・(14)
ここで、窓部材1を離す距離Lは、減衰率RRが下記式(14)において等号式として成り立つ場合でも、式(11)の関係を満足する値に設定すれば良い。そこで、式(14)を等号式として用いて式(11)に代入してこれを解くと、式(15)となる。
L≧t・{1+Dca/Din・(M/ΔM)1/2} ・・・(15)
以上の説明から分かるように、式(15)を満足するように距離Lを設定すると、赤外撮像素子4により撮像されるナルシサス像と周囲像との照度差が許容値ΔM以下となるので、ナルシサスによる影響を抑えることができる。なお、この場合にも、厚さdの値として、窓部材1の実際の厚さを用いて条件式(15)により求めた距離Lと、d=0として条件式(15)により求めた距離Lとを比較して、大きい方の距離Lを用いるのが好ましい。これにより、外面1aおよび内面1bのどちらで反射した光束に対してもナルシサス現象を効果的に抑えることができる。
次に、本発明の第2実施形態に係る赤外撮像装置について、図8を参照して説明する。例えば、広角の場合のようにドーム窓と結像系の間の距離Lを大きくとらなければいけない場合、結像光学系の有効径は大きくなるため実際の光学系が設計できない場合が考えられる。この場合、光学系中に中間結像Pを設けて光学系の瞳位置を窓側に近付けることで解決する方法が考えられる。
このため、この実施形態においては、結像光学系を、一度中間像を結ぶための第1結像系5と、その後に設けた第2結像光学系6とから構成している。この第1結像光学系5の焦点距離をf1、検出器に近い第2結像光学系6の焦点距離をf0とし、第1結像光学系5の後側主点から、前記赤外撮像素子の検出面から放射され前記ドーム状窓部材により反射される赤外光が前記第1結像光学系により結像される点Pまでの距離をb1、点Pから第2結像光学系6の前側主点までの距離をa0とし、第1結像光学系5の後側主点と第2結像光学系6の前側主点との間隔をWとすると、結像光学系全体の焦点距離fとの間に次の関係式(16)が成り立つ。
Figure 0004877584
この連立方程式(16)の一番上の式をf0について解くと、式(17)となる。
Figure 0004877584
この第2実施形態についても満足するべき条件は、
マスター結像系0を透過後に光束が平行光ないし拡散光である
光束がコールドアパーチャを通過する際にアパーチャいっぱいで通過すること
が必要条件となる。上記の2条件は次の連立方程式(18)で表現できる。
Figure 0004877584
1は図8から分かる相似関係から下記式(19)の関係が成り立つ。
Figure 0004877584
そこで、の関係が成り立つので連立方程式(18)の下の式に代入し、a0について整理すると式(20)となる。
Figure 0004877584
ところでb1は前述の連立方程式中の関係式から式(21)と表せる。そこで、これを代入すると、式(22)として光束がコールドアパーチャをいっぱいに通過するための条件は表せる。
Figure 0004877584
Figure 0004877584
この条件をWで表現し直すと、W= b1+a0 であるから式(21)と(22)とから式(23)となる。
Figure 0004877584
以上を整理すると、光学系中に中間結像Pを設けるような場合には、検出器に近いマスターレンズ系となる結像系の焦点距離f0は、式
Figure 0004877584
を満足しつつ、
Figure 0004877584
の条件を満足するa0に対して
Figure 0004877584
の条件を満足することとなる。
本発明の第1実施形態に係る赤外撮像装置の構成を示す模式図である。 屈折面のガウスの式を説明するモデルを示す模式図である。 窓部材での戻り光の屈曲および反射状態を示す模式図である。 窓部材の点Aでの戻り光の屈曲状態を示す模式図である。 窓部材の点Bでの戻り光の反射状態を示す模式図である。 窓部材の点Cでの戻り光の屈曲状態を示す模式図である。 本発明に係る赤外撮像装置における戻り光の経路を示す模式図である。 本発明の第2実施形態に係る赤外撮像装置の構成を示す模式図である。
符号の説明
1 窓部材 2 結像光学系
3 コールドシールド 3a コールドアパーチャ
4 赤外撮像素子 5 第1結像光学系
6 第2結像光学系

Claims (4)

  1. 物体側の面および像側の面が球面の一部からなる形状で、物体側に凸面を向けたドーム状の窓部材と、
    前面側にコールドアパーチャが形成されたコールドシールドと、
    前記コールドシールド内に配設された赤外撮像素子と、
    前記窓部材と前記コールドアパーチャとの間に配設されて前記窓部材の前方の物体の像を前記赤外撮像素子に結像させる結像光学系とを有してなる赤外撮像装置において、
    前記ドーム状窓部材の内面の曲率半径をR、光軸上の厚さをd、撮像に使用する赤外線の主波長に対する屈折率をnとし、前記コールドアパーチャの直径をDca、赤外線光学系全系の入射瞳直径をDin、前記結像光学系の前記主波長に対する焦点距離をfとして、前記窓部材の内側面から前記結像光学系の前側主点までの距離Lが、次式(1)および(2)
    L≧t・(1+Dca/Din) ・・・(1)
    但し、t={nR2+d(n−2)R}/[2{nR+d(n−1)}]
    f≧L−t ・・・(2)
    を満足するように構成したことを特徴とする赤外撮像装置。
  2. 前記結像光学系が広角光学系であり、前記赤外撮像素子における撮像領域が前記コールドアパーチャより大きくなる場合には、
    前記窓部材の前方の物体からの赤外線放射照度をM、前記赤外撮像素子にバックグラウンドとして許容される照度差をΔMとして、前記式(1)に変えて、次式(3)
    L≧t・{1+Dca/Din(M/ΔM)1/2・・・(3)
    を満足するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の赤外撮像装置。
  3. 前記窓部材の厚さd=0として前記式(1)を用いて演算して得られた前記距離Lの値と、前記窓部材の厚さdを実際の厚さの値として前記式(1)を用いて演算して得られた前記距離Lの値とを比較し、大きい方の前記距離Lを用いることを特徴とする請求項1に記載の赤外撮像装置。
  4. 物体側の面および像側の面が球面の一部からなる形状で、物体側に凸面を向けたドーム状の窓部材と、
    前面側にコールドアパーチャが形成されたコールドシールドと、
    前記コールドシールド内に配設された赤外撮像素子と、
    前記ドーム状の窓部材と前記コールドアパーチャとの間に配設され、前記窓部材の前方の物体の像を中間結像させた上で前記赤外撮像素子に再結像させる結像光学系とを有してなる赤外撮像装置において、
    前記結像光学系が前記ドーム状窓部材の前方の物体の中間像を形成する第1結像光学系と、前記中間結像を前記赤外撮像素子に再結像させる第2結像光学系とから構成され、
    前記ドーム状窓部材の内面の曲率半径をR、光軸上の厚さをd、撮像に使用する赤外線の主波長に対する屈折率をnとし、前記ドーム状窓部材の内面から前記第1結像光学系の前側主点までの距離をL、前記第1結像光学系の焦点距離をf1、前記赤外撮像素子の検出面から放射され前記ドーム状の窓部材により反射される赤外光が前記第1結像光学系により結像される位置から前記第2結像光学系の前側主点までの距離をa0、前記第2結像光学系の焦点距離をf0、前記ドーム状の窓部材の内面から、前記赤外撮像素子の検出面から放射され前記ドーム状の窓部材により反射される赤外光が最初に結像する位置までの距離をt、前記第1結像光学系の後側主点と前記第2結像光学系の前側主点との距離をW、前記コールドアパーチャの直径をDca、赤外線光学系全系の入射瞳直径をDin、前記結像光学系の前記主波長に対する焦点距離をfとして、前記窓部材の内側面から前記結像光学系の前側主点までの距離Lが、次式
    0 ≧tf1/(L−t−f1)・Dca/Din
    0 ≧a0
    0 =(f1−W)/(f1−f)・f
    但し、W ≧f1(L−t)/(L−t−f1)・[1+t/(L−t)・Dca/Din]
    を満足するように構成したことを特徴とする赤外撮像装置。
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