JP4875671B2 - 前立腺ガンにおいてアップレギュレートされるgタンパク質結合レセプターおよびその使用 - Google Patents

前立腺ガンにおいてアップレギュレートされるgタンパク質結合レセプターおよびその使用 Download PDF

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Description

[発明の詳細な説明]
本出願は、1999年10月5日に出願された、米国特許仮出願番号第60/157,902号(その全体の内容が本明細書中で参考として援用される)の特典を主張する。
(発明の分野)
本明細書中に記載される発明は、PHOR−1と呼ばれる新規の遺伝子およびそのコードされるタンパク質、ならびに診断および治療方法、ならびにPHOR−1を発現する種々の癌(特に、前立腺癌)の管理において有用である組成物に関する。
(発明の背景)
癌は、冠状動脈の疾患に次ぐ、ヒトの第2の死亡原因である。世界中で、数百万のヒトが、毎年癌で死亡している。米国のみで、癌は、毎年50万をゆうに越えるヒトの死亡原因であり、140万人が毎年新たに診断されている。心臓疾患による死亡は有意に減少しているが、一般的には癌による死亡は増大している。21世紀の始めには、癌は第1の死亡原因になると予想される。
世界中で、いくつかの癌は、主だった死亡原因として突出している。特に、肺、前立腺、乳房、結腸、膵臓、および卵巣の癌腫は、癌による死亡の主な原因を示す。これらおよび実質的に全ての他の癌腫は、共通する致死的な特徴を共有する。ごくわずかな例外をともなうが、癌腫による転移性の疾患は致命的である。さらに、当初は生存している初期の癌腫を有するこのような癌の患者についてもなお、共通する実験は、彼らの生存性が劇的に変更されることを示した。多くの癌患者は、再発の可能性または処置の失敗の自覚による強烈な不安を経験する。多くの癌患者は、処置後の身体の衰弱を経験する。多くの癌患者は、再発を経験する。
世界中で、前立腺癌は、男性における4番目の最も一般的な癌である。北アメリカおよび北ヨーロッパでは、これは、最も一般的な男性の癌であり、そして男性の癌による死亡の第2の原因である。米国のみで、40,000人をゆうに超える男性が、唯一肺癌に次いで、毎年この疾患によって死亡する。これらの数の程度にもかかわらず、転移性の前立腺癌についての有効な処置はなお存在していない。外科手術による前立腺切除、放射線治療、ホルモン切除治療、および化学療法が、主な処置の形態でありつづけている。残念なことに、これらの処置は多くについては不十分であり、そしてしばしば、所望されない結果を付随する。
診断の最前線においては、初期段階の局在化した腫瘍を正確に検出し得る前立腺の腫瘍マーカーが存在していないことが、この疾患の管理における有意な限界を残している。血清のPSAアッセイが非常に有用なツールであるが、その特異性および一般的な有用性は、いくつかの重要な局面を欠いていると広範に認識されている。
前立腺癌のさらなる特異的なマーカーを同定することにおける進歩は、マウスにおける疾患の種々の段階を要約し得る前立腺癌の異種移植片の作成によって改善されている。LAPC(Los Angeles Prostate Cancer)異種移植片は、重篤な複合免疫不全(SCID)マウス中の生存した継代を有する前立腺癌の異種移植片であり、そしてアンドロゲン依存性からアンドロゲン非依存性への移行および転移性の病巣の発達を含む、疾患の進行を模倣する能力を示す(Kleinら、1997、Nat.Med.3:402(非特許文献1))。より最近同定された前立腺癌のマーカーとしては、PCTA−1(Suら、1996、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:7252(非特許文献2))、前立腺幹細胞抗原(PSCA)(Reiterら、1998、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:1735(非特許文献3))、およびSTEAP(Hubertら、1999、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96:14523(非特許文献4))が挙げられる。
PSA、PSM、PCTA、およびPSCAのような以前に同定されたマーカーが前立腺癌の診断および処置についての努力を促進したが、診断および治療をさらに改善するための、前立腺癌および関連する癌についてのさらなるマーカーおよび治療標的の同定が必要とされている。
Kleinら、1997、Nat.Med.3:402 Suら、1996、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:7252 Reiterら、1998、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:1735 Hubertら、1999、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96:14523
(発明の要旨)
本発明は、PHOR−1と呼ばれる、前立腺癌においてアップレギュレートされる、新規の前立腺特異的Gタンパク質結合レセプターに関する。PHOR−1の発現は、前立腺に大きく制限されており、そして前立腺の腫瘍において顕著にアップレギュレートされる。適合する正常な前立腺/進行した前立腺癌の患者に由来する腫瘍サンプル中でのPHOR−1の発現は、mRNAおよびタンパク質の両方の検出方法を使用して、腫瘍組織中で高い程度にアップレギュレートされた発現を示し、このことは、PHOR−1が前立腺癌の検出のための有用なマーカーであることを示唆している。正常なサンプル/他のヒトの癌患者に由来する腫瘍サンプルの分析は、腎臓、子宮、頚部、胃、および直腸の癌などにおけるPHOR−1の発現のアップレギュレーションを実証する。さらに、PHOR−1の発現は、コロニーの増殖を誘導し、そしてcAMPおよびチロシンのリン酸化を、腫瘍形成および形質転換における機能的な役割を示す様式で調節し、これによって癌の治療の有利な標的を提供する。
PHOR−1の構造は、317個のアミノ酸のタンパク質配列にまたがる7個の推定の膜貫通ドメインを含む。PHOR−1は、細胞表面で発現され、細胞膜の外部に発現されるN末端を有する。PHOR−1タンパク質は、嗅覚の上皮およびニューロン中で発現される嗅覚のレセプターの大きなファミリーと相同である。PHOR−1は、他のGタンパク質結合レセプターと一致する機能的な活性を示し、このことは、PHOR−1が細胞の機能、増殖、および形質転換の調節において重要な役割を果たすことを示唆している。
前立腺癌および他のPHOR−1を発現する癌の処置のための多数の可能性のあるアプローチが、本明細書中に記載される。このレセプターの細胞表面での方向性およびGタンパク質結合の性質は、PHOR−1およびその機能を標的化する分子、ならびにPHOR−1レセプターを通じて作用する他のタンパク質、因子、およびリガンドを標的化する分子を使用する多数の治療アプローチを示す。これらの治療アプローチとして、抗PHOR−1抗体を用いる抗体治療、低分子治療、およびワクチン治療が挙げられる。さらに、前立腺癌におけるそのアップレギュレートされた発現に注目すると、PHOR−1は、前立腺癌についての診断、病期の診断、および/または前立腺癌のマーカーとして有用であり、そして同様に、このレセプターを発現する他の癌についてのマーカーであり得る。
本発明は、PHOR−1遺伝子、mRNA、および/またはコード配列の全てまたは一部に対応するかまたはそれらに対して相補的であるポリヌクレオチド(好ましくは、以下を含む単離された形態:PHOR−1タンパク質およびそのフラグメントをコードするポリヌクレオチド、DNA、RNA、DNA/RNAハイブリッド、および関連する分子、PHOR−1遺伝子もしくはmRNA配列もしくはそれらの一部に対して相補的であるポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド、ならびにPHOR−1遺伝子、mRNAに対して、もしくはPHOR−1をコードするポリヌクレオチドに対してハイブリダイズするポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド)を提供する。PHOR−1をコードするcDNAおよび遺伝子を単離するための手段もまた、提供される。PHOR−1ポリヌクレオチドを含有している組換えのDNA分子、このような分子で形質転換されたかまたは形質導入された細胞、およびPHOR−1遺伝子産物の発現のための宿主ベクター系もまた、提供される。
本発明はさらに、PHOR−1タンパク質およびそのポリペプチドフラグメント、ならびにPHOR−1タンパク質およびそのポリペプチドフラグメントに対して結合する抗体を提供する。本発明の抗体として、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体、マウスおよび他の哺乳動物の抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体および完全なヒト抗体、検出可能なマーカーで標識された抗体、および放射性核種、毒素、または他の治療用組成物に対して結合させられた抗体が挙げられる。
本発明はさらに、種々の生物学的サンプル中のPHOR−1ポリヌクレオチドおよびタンパク質の存在を検出するための方法、ならびにPHOR−1を発現する細胞を同定するための方法を提供する。本発明はさらに、種々の治療用組成物およびストラテジーを提供し、これは特に、前立腺、腎臓、頚部、子宮、直腸、および胃の癌を処置するための、抗体、ワクチン、および低分子治療を含む。
本発明はさらに、PHOR−1の生物学的活性を調節する分子を同定する方法を提供する。この方法は、分子をPHOR−1を発現する細胞と接触させる工程、分子の存在下および非存在下でPHOR−1の生物学的活性をアッセイする工程、ならびにPHOR−1の生物学的活性が分子の存在によって変更されるかどうかを決定する工程を包含する。PHOR−1の生物学的活性における変更は、PHOR−1の生物学的活性を調節する分子の指標である。好ましくは、この方法においてアッセイされるPHOR−1の生物学的活性は、チロシンのリン酸化、細胞質性のcAMPの蓄積、またはコロニーの増殖の刺激を含む。
(発明の詳細な説明)
本発明は、PHOR−1と呼ばれる、前立腺ガンにおいてアップレギュレートされる新規の前立腺特異的Gタンパク質結合レセプターを提供する。PHOR−1は、前立腺において独占的に発現されるようであり、そして前立腺の腫瘍において顕著にアップレギュレートされる。適合する正常な前立腺/進行した前立腺ガンの患者に由来する腫瘍サンプル中でのPHOR−1の発現は、mRNAおよびタンパク質の両方の検出方法を使用して、腫瘍組織中で高い程度にアップレギュレートされた発現を示し、このことは、PHOR−1が前立腺ガンの検出のための有用なマーカーであることを示唆している。さらに、PHOR−1の発現は、コロニーの成長、チロシンのリン酸化、およびcAMPの調節を、腫瘍形成および形質転換における機能的な役割を示す様式で誘導し、これによってガンの治療の有利な標的を提供する。
PHOR−1タンパク質は、嗅覚の上皮およびニューロン中で発現される嗅覚のレセプターの多くのファミリーに対して相同である。このレセプターの細胞表面での方向性およびGタンパク質結合の性質は、PHOR−1およびその機能を標的化する分子を使用する多数の治療アプローチを示す。これらの治療アプローチとして、抗PHOR−1抗体を用いる抗体治療、低分子治療、およびワクチン治療が挙げられる。さらに、前立腺ガンにおけるそのアップレギュレートされた発現に注目すると、PHOR−1は、前立腺ガンについての診断、病期の診断、および/または前立腺ガンの予後マーカーとして有用であり、そして同様に、このレセプターを発現する他のガンについてのマーカーとして役に立ち得る。
他に特に定義されていない限りは、本明細書中で使用される当該分野の全ての用語、記号、および他の科学的な専門用語は、本発明が関係している当業者によって一般的に理解されている意味を有するように意図される。いくつかの場合においては、一般的に理解されている意味を有する用語は、明確さおよび/または容易な参照のために本明細書中で定義され、そして本明細書中でのこのような定義の包含は、当該分野で一般的に理解されている意味を超える実質的な差異を示すようには決して解釈されないはずである。本明細書中に記載されるかまたは参照される技術および手順(例えば、Sambrookら、Molecular Cloning A Lanoratory Manual、第2版、(1989)編、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Herbor、N.Y.に記載されている、広範囲に利用されている分子クローニング方法論)は、一般的に十分に理解されており、そして当業者によって従来の方法論を使用して一般的に使用される。適切である場合には、商業的に入手可能なキットおよび試薬の使用を含む手順が、一般的には、製造業者によって定義されるプロトコールおよび/またはそうでなければ他に記載されているパラメーターに従って行われる。
本明細書中で使用される場合は、用語「進行した前立腺ガン」、「局所的に進行した前立腺ガン」、「進行した疾患」、および「局所的に進行した疾患」は、前立腺の莢膜を通じて拡大した前立腺ガンを意味し、そしてAmerican Urological Association(AUA)システムのもとでのステージCの疾患、Whitmore−JewettシステムのもとでのステージC1C2の疾患、およびTNM(腫瘍、節、転移(tumor、node、netastasis))システムのもとでのステージT3〜T4およびN+の疾患を含むように意味される。一般的には、外科手術は、局所的に進行した疾患を有する患者については推奨されず、そしてこれらの患者は、臨床的に局在化した(器官に限定された)前立腺ガンを有している患者と比較して、実質的にあまり好ましくない結果を有する。局所的に進行した疾患は、前立腺の側縁を超えるしこり、あるいは前立腺の基部の上部の非対称性またはしこりの明白な証拠によって、臨床的に同定され得る。局所的に進行した前立腺ガンは、現在は、腫瘍が前立腺の莢膜に侵入または浸潤するか、外科的な縁に伸びるか、あるいは精子の小包に侵入する場合には、根治的な前立腺切除後に病理学的に診断される。
本明細書中で使用される場合は、用語「転移性の前立腺ガン」および「転移性の疾患」は、局所的なリンパ節または離れた部位に拡大した前立腺ガンを意味し、そしてAUAシステムのもとでのステージDの疾患、およびTNMシステムのもとでのステージT×N×M+を含むように意味される。局所的に進行した前立腺ガンの症例における場合には、外科手術は、一般的には、転移性の疾患を有している患者については意図されず、そしてホルモン(アンドロゲンの切除)治療が、好ましい処置態様である。転移性の前立腺ガンを有している患者は、最終的には、処置の開始の12〜18ヶ月以内のアンドロゲン治療不応性状態を発症し、そしてこれらの患者のほぼ半分がその後6ヶ月以内に死亡する。前立腺ガンの転移の最も一般的な部位は骨である。前立腺ガンの骨転移は、どちらかといえば、骨溶解よりもむしろ骨芽細胞について特徴的である(すなわち、正味の骨の形成を生じる)。骨転移は、脊椎においてもっとも頻繁に見出され、大腿骨、骨盤、肋骨郭、頭蓋骨、および上腕骨が続く。他の一般的な転移の部位として、リンパ節、肺、肝臓、および脳が挙げられる。転移性の前立腺ガンは、代表的には、開放性のまたは腹腔鏡による骨盤のリンパ腺切除、全身の放射性核種スキャン、骨格のレントゲン撮影、および/あるいは骨の病変の生検によって、診断される。
本明細書中で使用される場合は、用語「ポリヌクレオチド」は、少なくとも10個の塩基または塩基対の長さのヌクレオチドの多形性の形態(リボヌクレオチドまたはデオキシヌクレオチドのいずれか、あるいはいずれかのヌクレオチドの型の改変された形態)を意味し、そしてDNAの一本鎖および二本鎖の形態を含むように意味される。
本明細書中で使用される場合は、用語「ポリペプチド」は、少なくとも10個のアミノ酸のポリマーを意味する。明細書を通じて、アミノ酸についての標準的な3文字または1文字の表記が、使用される。
本明細書中で使用される場合は、ポリヌクレオチドの状況で使用される「ハイブリダイズする(hybridize)」、「ハイブリダイズする(hybridizing)」、「ハイブリダイズする(hybridizes)」などは、従来のハイブリダイゼーション条件(好ましくは、例えば、50%のホルムアミド/6×SSC/0.1%のSDS/100μg/mlのssDNA中でのハイブリダイゼーション)をいうように意味される。ここでは、ハイブリダイゼーションの温度は37℃を超え、そして0.1×SSC/0.1%のSDS中での洗浄のための温度は55℃以上であり、そしてストリンジェントなハイブリダイゼーション条件が最も好ましい。
ハイブリダイゼーション反応の「ストリンジェンシー」は、当業者によって容易に決定可能であり、そして一般的には、プローブの長さ、洗浄温度、および塩濃度に依存する経験的な計算である。一般的には、より長いプローブは、適切なアニーリングのためにより高い温度を必要とし、一方、より短いプローブは、より低い温度を必要とする。ハイブリダイゼーションは、一般的には、それらの融解温度以下の環境下に相補鎖が存在する場合に、変性させられたDNAが再度アニーリングする能力に依存する。プローブとハイブリダイズ可能な配列との間での所望される相同性の程度が高ければ高いほど、使用され得る相対的な温度は高くなる。結果として、より高い相対的な温度が、反応条件をよりストリンジェントにし、一方、より低い温度はあまりそうではないという結果になる。ハイブリダイゼーション反応のストリンジェンシーのさらなる詳細および説明については、Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology、Wiley Interscience Publishers(1995)を参照のこと。
「ストリンジェントな条件」、または「高ストリンジェントな条件」は、本明細書中で定義される場合は、以下によって同定され得る:(1)洗浄のために低いイオン強度および高温(例えば、0.015Mの塩化ナトリウム/0.0015Mのクエン酸ナトリウム/0.1%のドデシル硫酸ナトリウム、50℃)を使用する;(2)変性剤(例えば、ホルムアミド)をハイブリダイゼーションの間に使用する(例えば、0.1%のウシの血清アルブミンを有する50%(v/v)のホルムアミド/0.1%のFicoll/0.1%のポリビニルピロリドン/750mMの塩化ナトリウム、75mMのクエン酸ナトリウムを有するpH6.5の50mMの燐酸ナトリウム緩衝液、42℃);または(3)50%のホルムアミド、5×SSC(0.75MのNaCl、0.075Mのクエン酸ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%のピロリン酸ナトリウム、5×デンハルト溶液、超音波処理したサケの精子のDNA(50μg/ml)、0.1%のSDS、および10%のデキストラン硫酸を42℃で使用し、0.2×SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)中で42℃で、そして50%のホルムアミド中で55℃で洗浄し、続いて55℃でEDTAを含有している0.1×SSCから構成される高ストリンジェンシーの洗浄が続く。
「中程度のストリンジェントな条件」は、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、New York:Cold Spring Harbor Press、1989によって記載されているように同定され得、そして上記に記載されているハイブリダイゼーション条件よりもストリンジェントの低い洗浄溶液およびハイブリダイゼーション条件(例えば、温度、イオン強度および%SDS)の使用を含む。中程度のストリンジェントの条件の例は、20%のホルムアミド、5×SSC(150mMのNaCl、15mMのクエン酸三ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハルト溶液、10%のデキストラン硫酸、および20mg/mlの変性させられた剪断されたサケの精子のDNAを含有している溶液中で37℃での一晩のインキュベーション、続く1×SSC中での約37℃〜50℃でのフィルターの洗浄である。当業者は、プローブの長さなどの因子に順応させることが必要とされる場合には、温度、イオン強度などを調節するための方法を認識する。
アミノ酸配列の比較の状況においては、用語「同一性」は、同一である同じ比較位置のアミノ酸残基の割合を表すように使用される。また、この状況においては、用語「相同性」は、当該分野で一般的に理解されているように、BLAST分析の保存的アミノ酸の基準を使用して、同一または類似のいずれかである、同じ比較位置でのアミノ酸残基の割合を表すように使用される。例えば、%同一性の値は、WU−BLAST−2(Altschulら、Methods in Enzymology,266:460−480(1996):http://blast.wustl/edu/blast/README.html)によって作成され得る。このような基準のもとで保存的であると考えられるアミノ酸の置換に関するさらなる詳細が、以下に提供される。
さらなる定義は、以下のサブセクションを通じて提供される。
(PHOR−1ポリヌクレオチド)
本発明の1つの局面は、PHOR−1遺伝子の全てまたは一部に対応するかまたはそれに対して相補的であるポリヌクレオチド、mRNA、および/またはコード配列(好ましくは、単離された形態)(PHOR−1タンパク質およびそのフラグメントをコードするポリヌクレオチドを含む)、DNA、RNA、DNA/RNAハイブリッド、ならびに関連する分子、PHOR−1遺伝子もしくはmRNA配列またはそれらの一部に対して相補的であるポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド、ならびにPHOR−1遺伝子、mRNAに対して、またはPHOR−1をコードするポリヌクレオチドに対してハイブリダイズするポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド(まとめて、「PHOR−1ポリヌクレオチド」と呼ばれる)を提供する。本明細書中で使用される場合は、PHOR−1遺伝子およびタンパク質は、本明細書中で詳細に記載されるPHOR−1遺伝子およびタンパク質、ならびに他のPHOR−1タンパク質に対応する遺伝子およびタンパク質、ならびに上記の構造的に同様の変異体を含むように意味される。このような他のPHOR−1タンパク質および変異体は、一般的には、PHOR−1コード配列に対して高度に相同であるコード配列を有し、そして好ましくは、少なくとも約50%のアミノ酸同一性を共有している、および少なくとも約60%のアミノ酸相同性(BLAST基準を使用する)を共有している、より好ましくは、70%以上の相同性(BLAST基準を使用する)を共有している、コード配列を有する。
PHOR−1ポリヌクレオチドの1つの実施形態は、図1A〜D(配列番号1)に示される配列を有しているPHOR−1ポリヌクレオチドである。PHOR−1ポリヌクレオチドは、図1A〜D(配列番号1)に示されるヒトのPHOR−1のヌクレオチド配列を有しているポリヌクレオチドであって、ここでTはまたUでもあり得る、ポリヌクレオチド;PHOR−1タンパク質の全てまたは一部をコードするポリヌクレオチド;上記の配列に相補的である配列;または上記の任意の配列のポリヌクレオチドフラグメントを含み得る。別の実施形態は、ヌクレオチド残基番号133からヌクレオチド残基番号1083まで、またはヌクレオチド残基番号388からヌクレオチド残基番号1062までに示される配列を有しているポリヌクレオチドを含む。ここで、TはまたUでもあり得る。別の実施形態は、PHOR−1ポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドを含む。その配列は、登録番号PTA−312として1999年7月2日にアメリカンタイプカルチャーコレクションに寄託されたプラスミドp101P3A11中に含まれるcDNAによってコードされる。別の実施形態は、図1A〜D(配列番号1)に示されるヒトのPHOR−1 cDNAまたはそのポリヌクレオチドフラグメントに対してストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし得る、ポリヌクレオチドを含む。
本明細書中で開示される本発明の典型的な実施形態は、タンパク質およびそのフラグメントをコードする配列のような、PHOR−1 mRNA配列の特異的な部分をコードするPHOR−1ポリヌクレオチドを含む。例えば、本明細書中に開示される本発明の代表的な実施形態は以下を含む:図1A〜D(配列番号2)に示されるPHOR−1タンパク質の約アミノ酸1から約アミノ酸10をコードするポリヌクレオチド、図1A〜D(配列番号2)に示されるPHOR−1タンパク質の約アミノ酸20から約アミノ酸30をコードするポリヌクレオチド、図1A〜D(配列番号2)に示されるPHOR−1タンパク質の約アミノ酸30から約アミノ酸40をコードするポリヌクレオチド、図1A〜D(配列番号2)に示されるPHOR−1タンパク質の約アミノ酸40から約アミノ酸50をコードするポリヌクレオチド、図1A〜D(配列番号2)に示されるPHOR−1タンパク質の約アミノ酸50から約アミノ酸60をコードするポリヌクレオチド、図1A〜D(配列番号2)に示されるPHOR−1タンパク質の約アミノ酸60から約アミノ酸70をコードするポリヌクレオチド、図1A〜D(配列番号2)に示されるPHOR−1タンパク質の約アミノ酸70から約アミノ酸80をコードするポリヌクレオチド、図1A〜D(配列番号2)に示されるPHOR−1タンパク質の約アミノ酸80から約アミノ酸90をコードするポリヌクレオチド、および図1A〜D(配列番号2)に示されるPHOR−1タンパク質の約アミノ酸90から約アミノ酸100をコードするポリヌクレオチドなど。この概要に従って、図1A〜D(配列番号2)に示されるPHOR−1タンパク質のアミノ酸100〜317のアミノ酸配列の一部をコードするポリヌクレオチド(少なくとも10個のアミノ酸)が、本発明の典型的な実施形態である。PHOR−1タンパク質のより大きな部分をコードするポリヌクレオチドもまた、意図される。例えば、図1A〜D(配列番号2)に示されるPHOR−1タンパク質の約アミノ酸1(または20、または30、または40など)から約アミノ酸20(または30、または40、または50など)までをコードするポリヌクレオチドが、当該分野で周知の種々の技術によって作製され得る。
本明細書中に開示される本発明のさらなる説明的な実施形態として、PHOR−1タンパク質配列中に含まれる1つ以上の生物学的なモチーフをコードするPHOR−1のポリヌクレオチドフラグメントが挙げられる。1つの実施形態においては、本発明の代表的なポリヌクレオチドフラグメントは、図2に示されるような、HPRAJ70またはRA1cに対して相同性を示す、PHOR−1の1つ以上の領域をコードし得る。本発明の別の実施形態においては、代表的なポリヌクレオチドフラグメントは、1つ以上のGPCR記号配列または嗅覚レセプター記号配列をコードし得る。本発明のなお別の実施形態においては、代表的なポリヌクレオチドフラグメントは、1つ以上のPHOR−1オルタナティブスプライシング変異体について特有である配列をコードし得る。本発明の別の実施形態においては、代表的なポリヌクレオチドフラグメントは、配列番号1に示されるヌクレオチド配列の一部(例えば、ヌクレオチド残基番号388からヌクレオチド残基番号1062、ヌクレオチド残基番号159からヌクレオチド残基番号733、ヌクレオチド残基番号854からヌクレオチド残基番号3136、ヌクレオチド残基番号133からヌクレオチド残基番号1083)を含み得る。
上記の段落のポリヌクレオチドは、多数の異なる特異的な使用を有する。PHOR−1が前立腺および他のガンにおいて過剰発現されることが示されているので、これらのポリヌクレオチドは、正常な組織対ガン性の組織中でのPHOR−1遺伝子産物の状態を評価する方法において使用され得る。代表的には、PHOR−1タンパク質の特異的な領域をコードするポリヌクレオチドは、PHOR−1遺伝子産物の特異的な領域(例えば、膜貫通ドメインを含有している領域)中の摂動(例えば、欠失、導入、点変異など)の存在を評価するために使用され得る。例示的なアッセイとして、RT−PCRアッセイおよび一本鎖の立体構造多形性(SSCP)分析(例えば、Marrogiら、J.Cutan.Pathol.26(8):369−378(1999)を参照のこと)の両方が挙げられる。これらの両方ともが、タンパク質中のこれらの領域を試験するために、特異的なタンパク質の領域をコードするポリヌクレオチドを利用する。一本鎖のヌクレオチドの多形性を検出するために配列を分析するためのアッセイおよび方法もまた、利用可能である(Irizarryら、2000、Nature Genetics 26(2):223−236)。
本明細書中に開示される本発明の他の特異的に意図される実施形態は、モルホリノアンチセンス分子を含有している、ゲノムDNA、cDNA、リボザイム、およびアンチセンス分子、ならびに別の骨格に基づくかもしくは別の塩基を含有している核酸分子である。これらは、天然の供給源に由来するかまたは合成されるかには関係しない。例えば、アンチセンス分子は、RNAまたは他の分子であり得る。これらは、ホスホロチオエート誘導体のようなペプチド核酸(PNA)または非核酸分子を含み、塩基対依存性の様式でDNAまたはRNAに対して特異的に結合する。当業者は、PHOR−1ポリヌクレオチドおよび本明細書中に開示されているポリヌクレオチド配列を使用して核酸分子のこれらのクラスを容易に得ることができる。
アンチセンス技術は、細胞内に配置された標的のポリヌクレオチドに結合する外因性のオリゴヌクレオチドの投与を必要とする。用語「アンチセンス」は、このようなオリゴヌクレオチドがそれらの細胞内標的(例えば、PHOR−1)に対して相補的であるという事実をいう。例えば、JackCohen,OLIGODEOXYNUCLEOTIDES,Antisense Inhibitors of Gene Expression,CRC Press、1989;およびSynthesis 1:1〜5(1998)を参照のこと。本発明のPHOR−1アンチセンスオリゴヌクレオチドヌクレオチドは、S−オリゴヌクレオチド(ホスホロチオエート誘導体またはS−オリゴ、Jack Cohen、前出を参照のこと)のような誘導体を含む。これは、増強されたガン細胞の増殖阻害作用を示す。S−オリゴ(ヌクレオシドホスホロチオエート)は、オリゴヌクレオチド(O−オリゴ)の等電アナログであり、ここでは、リン酸基の非架橋酸素原子が、イオウ原子で置き換えられる。本発明のS−オリゴは、イオウ輸送試薬である、3H−1,2−ベンゾジチオール−3−オン−1,1−ジオキサイドでの対応するO−オリゴの処理によって調製され得る。Iyer,R.Pら、J.Org.Chem.55:4693−4698(1990);およびIyer,R.P.ら、J.Am.Chem.Soc.112:1253−1254(1990)を参照のこと。その開示は本明細書中で参考として完全に引用されている。本発明のさらなるPHOR−1アンチセンスオリゴヌクレオチドとして、当該分野で公知のモルホリノアンチセンスオリゴヌクレオチドが挙げられる(例えば、Partridgeら、1996、Antisense & Nucleic Acid Drug Development 6:169−175を参照のこと)。
本発明のPHOR−1アンチセンスオリゴヌクレオチドは、代表的には、最初の100個のN末端のコドンまたは最後の100個のC末端のコドンに対して相補的でありそしてそれに対して安定にハイブリダイズするか、あるいはPHOR−1ゲノムまたは対応するmRNAのATG開始部位と重複している、RNAまたはDNAであり得る。完全な相補性は必要ではないが、高い程度の相補性が好ましい。この領域に対して相補的であるオリゴヌクレオチドの使用は、PHOR−1 mRNAに対する選択的なハイブリダイゼーションを可能にし、そしてプロテインキナーゼの他の調節サブユニットを特定するmRNAに対してはそうではない。好ましくは、本発明のPHOR−1アンチセンスオリゴヌクレオチドは、PHOR−1 mRNAに対してハイブリダイズする配列を有しているアンチセンスDNA分子の15〜30マーのフラグメントである。必要に応じて、PHOR−1アンチセンスオリゴヌクレオチドは、PHOR−1の最初の10個のN末端のコドンおよび最後の10個のC末端のコドン中の領域に対して相補的である30マーのオリゴヌクレオチドである。あるいは、アンチセンス分子は、PHOR−1の発現の阻害においてリボザイムを使用するように改変される。L.A.Couture & D.T.Stinchcomb;Trends Genet 12:510−515(1996)。
本発明のこの局面のさらに特異的な実施形態は、本発明のポリヌクレオチドまたはその任意の特異的な部分の特異的な増幅を可能にするプライマーおよびプライマーの対、ならびに本発明の核酸分子またはその任意の部分に対して選択的または特異的にハイブリダイズするプローブを含む。プローブは、検出可能なマーカー(例えば、放射性同位元素、蛍光化合物、生体発光化合物、化学発光化合物、金属キレーター、または酵素のような)で標識され得る。このようなプローブおよびプライマーは、サンプル中のPHOR−1ポリヌクレオチドの存在を検出するため、およびPHOR−1タンパク質を発現する細胞を検出するための手段として、使用され得る。
このようなブローブの例として、図1A〜D(配列番号1)に示されるヒトのPHOR−1 cDNA配列の全てまたは一部を含有しているポリペプチドが挙げられる。PHOR−1 mRNAを特異的に増幅し得るプライマーの対の例はまた、以下の実施例に記載される。当業者によって理解されるように、多数の種々のプライマーおよびプローブが、本明細書中に提供される配列に基づいて調製され得、そしてPHOR−1 mRNAを増幅および/または検出するために有効に使用され得る。
本明細書中で使用される場合は、ポリヌクレオチドは、それが、PHOR−1遺伝子以外の遺伝子に対応するかもしくはそれら対して相補的である混入しているポリヌクレオチド、またはPHOR−1遺伝子産物もしくはそのフラグメント以外のポリペプチドをコードする混入しているポリヌクレオチドから、実質的に分離されている場合に、「単離されている」といわれる。当業者は、単離されたPHOR−1ポリヌクレオチドを得るための核酸の単離手順を容易に使用し得る。
本発明のPHOR−1ポリヌクレオチドは、以下を含むがこれらに限定されない種々の目的のために有用である:PHOR−1遺伝子(単数または複数)、mRNA(単数または複数)、もしくはそれらのフラグメントの、増幅および/または検出のための、プローブおよびプライマーとしてのそれらの使用;前立腺ガンおよび他のガンの診断および/または予後のための試薬としてのそれらの使用;特に前立腺細胞中へのカルシウムの侵入を阻害する分子を同定するためのツールとしてのそれらの使用;PHOR−1ポリペプチドの発現を指向し得るコード配列としてのそれらの使用;PHOR−1遺伝子(単数または複数)の発現および/またはPHOR−1の転写物(単数または複数)の翻訳を調節または阻害するためのツールとしてのそれらの使用;ならびに治療薬としてのそれらの使用。
(PHOR−1の分子的特徴および生物学的特徴)
以下の実施例においてさらに記載されるように、PHOR−1遺伝子およびタンパク質は、種々の方法で特徴付けられている。例えば、ヌクレオチドコード配列およびアミノ酸配列の分析が、PHOR−1配列中の保存された構造エレメント、トポロジーの特徴、翻訳後修飾、および関連する可能性のある分子を同定するために行われた。RT−PCR、インサイチュハイブリダイゼーション、およびPHOR−1 mRNAの発現のノーザンブロット分析が、種々のPHOR−1メッセージを発現している正常な組織およびガン性の組織の範囲を確立するために行われた。実験によってトランスフェクトされた細胞のPHOR−1タンパク質の発現のウェスタンブロットおよび蛍光活性化セルソーティング(FACS)分析が、細胞表面局在化を決定するために行われた。PHOR−1は、8.7のpIおよび35.2kDの計算された分子量を有する。
PHOR−1は、進行した前立腺腫瘍および局在化した前立腺の腫瘍において高レベルで発現される、前立腺特異的Gタンパク質結合レセプター(GPCR)である。PHOR−1タンパク質の配列は、7個の可能な膜貫通ドメインを明らかにし、そして嗅覚に関係しているGPCRに対して相同性を有する(Ramingら、1993、Nature 361:353;Malnicら、1999、Cell 96:713)。脳内で発現される、Ra1cとして公知であるラットの嗅覚レセプター(Ramingら、1998、Receptor Channels 6:141)は、PHOR−1に対して最も高い程度の相同性を有する配列を有する。PHOR−1は、299残基の重複においてRAc1に対して59.9%同一である。おそらくRA1cのヒトのホモログであるHPRAJ70もまた、PHOR−1に対して同様の程度の相同性を示す(298の残基の重複にわたってHPRAJ70に対して59.4%の同一性)。HPRAJ70タンパク質は、前立腺特異的GPCRであることが報告されている(米国特許第5756309号、PCT出願番号第WO96/39435号)。PHOR−1、HPRAJ70、およびRA1cのアミノ酸配列のアラインメントが図1Bに提供される。
脳の嗅覚レセプターとのPHOR−1の相同性によって、嗅覚レセプター−1の前立腺ホモログ(Prostate Homologue of Olfactory Receptor−1(PHOR−1))という命名が導かれた。このレセプターファミリーのメンバーであるタンパク質は、細胞外アミノ末端、3個のさらなる細胞外ループ、3個の細胞内ループ、および細胞内カルボキシル末端を示す。PHOR−1の第2の細胞外領域は、残基90で可能性のあるNグリコシル化部位(NSTT)を示し、このことは、このタンパク質がグリコシル化され得ることを示唆している。GPCRは、ポリペプチドホルモンまたは低分子によって刺激される7回膜貫通レセプターである。それらのシグナルは、三量体のグアニン−ヌクレオチド結合タンパク質(Gタンパク質)を通じて、エフェクター酵素またはイオンチャンネルに伝達される(Simonら、1991、Science 252:802)。
最近、GPCRはまた、チロシンキナーゼの有糸分裂促進シグナル伝達経路に関連することも、示されている(Luttrellら、1999、Science 283:655;Luttrellら、1999、Curr Opin Cell Biol 11:177)。GPCRは、GPCRキナーゼ(GRK)によって媒介されるリン酸化によって調節される。GPCRキナーゼ自体は、GPCRによって間接的に活性化される(Pitcherら、1998、Ann.Rev.Biochem.67:653)。嗅覚のGPCRは、それらのシグナルを、イノシトール1,4,5−三リン酸(IP3)およびジアシルグリセロール(DAG)を生成することによってアデニル酸シクラーゼおよびホスホリパーゼC経路を通じてcMP経路を活性化することによって、伝達する(Breer、1993、Ciba Found Symp 179:97;Bruch,1996、Comp Biochem Physiol B Biochem Mol Biol 113:451)。cAMPの生成は、プロテインキナーゼAの活性化を導く。IP3は細胞内カルシウムの増大を生じ、一方DAGはプロテインキナーゼCを活性化する。
以下の実施例においてより詳細に議論されるように、PHOR−1は、PHOR−1を発現するようにベクターでトランスフェクトされた細胞の挙動によって示されるように、GPCRの機能的な特徴を示す。PHOR−1の発現は、55kDaタンパク質のチロシンリン酸化および130kDaタンパク質の脱リン酸化を誘導し、そしてマイトジェン活性化プロテインキナーゼであるErkのリン酸化をもまた誘導する。PHOR−1の発現は、PHOR−1を発現する細胞によるウシ胎児血清(FBS)に応答した、cAMPの蓄積によって示されるように、細胞質性のcAMP濃度を調節する。さらに、PHOR−1の発現は、軟寒天中でのコロニーの増殖を刺激する。
PHOR−1の発現は、本質的には、正常な成体のヒトの組織において前立腺特異的であり(図5〜7)、正常な卵巣においてはRT−PCTによって検出可能な非常に低いレベルの発現を有し、そして心臓組織においてはRNAのドットブロットによって検出可能な非常に低いレベルの発現を有する。前立腺ガンにおいては、PHOR−1は、SCIDマウス中で継代された腫瘍異種移植片中、そして進行した前立腺ガンの患者から生検された腫瘍サンプルで発現される(図5〜7)。進行した前立腺ガンの患者、ならびに腎臓、子宮、子宮頸部、胃、および直腸のガンを有する患者から採取した、腫瘍組織対隣接している正常組織の対応する組におけるPHOR−1の発現の比較は、大部分の患者において非常に高レベルの過剰発現を示し(図8〜10)、このことは、腫瘍組織中での高いレベルのアップレギュレーションを示す。
(PHOR−1をコードする核酸分子の単離)
本明細書中に記載されているPHOR−1 cDNA配列は、PHOR−1遺伝子産物(単数または複数)をコードする他のポリヌクレオチドの単離、ならびにPHOR−1遺伝子産物のホモログをコードするポリヌクレオチドの単離、PHOR−1遺伝子産物の選択的スプライシングされたイソ型、対立遺伝子改変体、および変異形態の単離を可能にする。PHOR−1遺伝子をコードする全長のcDNAを単離するために使用され得る種々の分子クローニング方法が周知である(例えば、Sambrook,J.ら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Press、New York、1989;Current Protocols in Molecular Biology、Ausubelら編、Wiley and Sons,995)。例えば、λファージクローニング方法論が、商業的に利用可能なクローニング系(例えば、λZAP Express、Stratagene)を使用して便利に使用され得る。PHOR−1遺伝子のcDNAを含有しているファージクローンが、標識されたPHOR−1 cDNAまたはそのフラグメントでプローブすることによって同定され得る。例えば、1つの実施形態においては、PHOR−1 cDNA(図1A〜D;配列番号1)またはその一部が合成され得、そしてPHOR−1遺伝子と重複しかつそれに対応する全長のcDNAを回収するためのプローブとして使用され得る。PHOR−1遺伝子自体が、ゲノムDNAライブラリー、細菌の人工染色体ライブラリー(BAC)、酵母の人工染色体ライブラリー(YAC)などを、PHOR−1 DNAプローブまたはプライマーを用いてスクリーニングすることによって単離され得る。
(組換えDNA分子および宿主ベクター系)
本発明はまた、PHOR−1ポリヌクレオチドを含有している組換えDNA分子またはRNA分子(ファージ、プラスミド、ファージミド、コスミド、YAC、BAC、ならびに当該分野で周知の種々のウイルスベクターおよび非ウイルスベクターを含むがこれらに限定されない)、ならびにそのような組換えDNA分子またはRNA分子で形質転換されたかまたはトランスフェクトされた細胞を提供する。本明細書中で使用される場合は、組換えDNA分子またはRNA分子は、インビトロで分子操作に供されたDNA分子またはRNA分子である。このような分子を作製するための方法は周知である(例えば、Sambrookら、1989(前出)を参照のこと)。
本発明はさらに、適切な原核生物宿主細胞または真核生物宿主細胞中に、PHOR−1ポリヌクレオチドを含有している組換えDNA分子を含有している、宿主ベクター系を提供する。適切な真核生物宿主細胞の例として、酵母細胞、植物細胞、または動物細胞(例えば、哺乳動物細胞)、または昆虫細胞(例えば、バキュロウイルスに感染可能な細胞(例えば、Sf9細胞))が挙げられる。適切な哺乳動物細胞の例として、種々の前立腺ガン細胞株(例えば、LNCaP、PC−3、DU145、LAPC−4、TsuPr1、他のトランスフェクト可能または形質導入可能な前立腺ガン細胞株)、ならびに組換えタンパク質の発現のために慣用的に使用される多数の哺乳動物細胞(例えば、COS細胞、CHO細胞、293細胞、293T細胞)が挙げられる。より詳細には、PHOR−1のコード配列を含有しているポリヌクレオチドが、日常的に使用されそして当該分野で広範に公知の任意の多数の宿主ベクター系を使用して、PHOR−1タンパク質またはそのフラグメントを作製するために使用され得る。
PHOR−1タンパク質またはそのフラグメントの発現に適切な広範な宿主ベクター系が、利用可能である。例えば、Sambrookら、1989(前出);Current Protocols in Molecular Biology、1995(前出)を参照のこと。哺乳動物での発現に好ましいベクターとして以下が挙げられるが、これらに限定されない:pcDNA 3.1 myc−His−tag(Invtrogen)およびレトロウイルスベクターpSRαtkeno(Mullerら、1991、MCB 11:1785)。これらの発現ベクターを使用して、PHOR−1は好ましくは、いくつかの前立腺ガンおよび非前立腺細胞株(例えば、293、293T、rat−1、3T3、PC−3、LNCaP、およびTsuPr1を含む)中で発現され得る。本発明の宿主ベクター系は、PHOR−1タンパク質またはそのフラグメントの産生に有用である。このような宿主ベクター系は、PHOR−1およびPHOR−1変異の機能的な特性を研究するために使用され得る。
PHOR−1遺伝子によってコードされるタンパク質、またはそのフラグメントは、以下を含むがこれらに限定されない、種々の用途を有する:抗体を生成すること、ならびにPHOR−1遺伝子産物に結合するリガンドおよび他の試薬および細胞構成成分を同定するための方法における使用。PHOR−1タンパク質またはそのフラグメントに対して惹起された抗体は、診断アッセイおよび予想アッセイ、画像化方法論(特に、ガンの画像化を含む)、およびPHOR−1タンパク質の発現によって特徴付けられるヒトのガン(前立腺ガンを含むがこれに限定されない)の管理における治療方法において有用であり得る。PHOR−1タンパク質の検出に有用な種々の免疫学的アッセイが、意図される。これは、種々の型のラジオイムノアッセイ、酵素結合免疫測定法(ELISA)、酵素結合免疫蛍光アッセイ(ELIFA)、免疫細胞化学的方法などを含むが、これらに限定されない。このような抗体は標識され得、そして前立腺細胞を検出し得る免疫学的な画像化試薬として使用され得る(例えば、放射性シンチグラフィー画像化方法において)。PHOR−1タンパク質はまた、以下にさらに記載されるように、ガンのワクチンを作製することにおいても特に有用であり得る。
(PHOR−1タンパク質)
本発明の別の局面は、PHOR−1タンパク質およびそのポリペプチドフラグメントを提供する。本発明のPHOR−1タンパク質は、本明細書中で特に同定されるもの、ならびに、以下に概説される方法に従って過度の実験を行うことなく単離/生成されそして特徴付けられ得る程度の、対立遺伝子改変体、保存的置換改変体、およびホモログを含む。種々のPHOR−1タンパク質またはそのフラグメントの一部を組合せた融合タンパク質、ならびにPHOR−1タンパク質と異種ポリペプチドとの融合タンパク質もまた、含まれる。このようなPHOR−1タンパク質は、まとめて、PHOR−1タンパク質、本発明のタンパク質、またはPHOR−1と呼ばれる。本明細書中で使用される場合は、用語「PHOR−1ポリペプチド」は、少なくとも10アミノ酸の、好ましくは少なくとも15アミノ酸の、ポリペプチドフラグメントまたはPHOR−1タンパク質をいう。
PHOR−1タンパク質の特定の実施形態は、図1A〜Dに示されるヒトのPHOR−1のアミノ酸配列(配列番号2)(その中に示されているアミノ酸残基番号1からおよそアミノ酸残基番号317まで)を有しているポリペプチドを含む。PHOR−1タンパク質の別の特定の実施形態は、図1A〜Dに示されるヒトのPHOR−1のアミノ酸配列(配列番号2)(その中に示されているおよそアミノ酸残基番号86からおよそアミノ酸残基番号310まで)を有しているポリペプチドを含む。PHOR−1フラグメントの特定の実施形態は、図1A〜Dに示されるPHOR−1のタンパク質配列のアミノ酸1〜14(MVDPNGNESSATYF;配列番号8)、図1A〜Dに示されるPHOR−1のタンパク質配列のアミノ酸262〜274(VHRFSKRRDSPLP;配列番号9)、およびPHOR−1の細胞外部分(配列番号2のアミノ酸1〜28、86〜99、159〜202、および262〜272)を含む群より選択されるペプチドを含む。他の特定の実施形態は、図1A〜D(配列番号2)に同定される膜貫通ドメインの一方または両方を含む。
一般的には、天然に存在しているヒトのPHOR−1の対立遺伝子改変体は、高い程度の構造的な同一性および相同性を共有する(例えば、90%以上の同一性)。代表的には、PHOR−1タンパク質の対立遺伝子改変体は、本明細書中に記載されるPHOR−1配列中に保存的なアミノ酸置換を含むか、またはPHOR−1ホモログ中の対応する位置からのアミノ酸の置換を含む。PHOR−1対立遺伝子改変体の1つのクラスは、特定のPHOR−1アミノ酸配列の少なくとも小さな領域と高い程度の相同性を共有するが、その配列からの極端な逸脱(例えば、非保存的置換、短縮挿入、またはフレームシフト)をさらに含む、タンパク質である。
保存的なアミノ酸の置換は、しばしば、そのタンパク質の立体構造または機能のいずれをも変更することなく、タンパク質中で行われ得る。このような変化は、イソロイシン(I)、バリン(V)、およびロイシン(L)の任意のものによりこれらの疎水性アミノ酸の他の任意のものを置換すること;グルタミン酸(E)に代えてのアスパラギン酸(D)での置換およびその逆;アスパラギン(N)に代えてのグルタミン(Q)での置換およびその逆;ならびにスレオニン(T)に代えてのセリン(S)での置換およびその逆が挙げられる。他の置換もまた、特定のアミノ酸の環境およびタンパク質の三次元構造におけるその役割に依存して、保存的であると考えられ得る。例えば、グリシン(G)およびアラニン(A)は、アラニン(A)とバリン(V)がそうであり得るように、しばしば、互換可能であり得る。メチオニン(M)(これは、比較的疎水性である)は、頻繁にロイシンおよびイソロイシンと互換可能であり得、そしてしばしばバリンと互換可能であり得る。リジン(K)およびアルギニン(R)はしばしば、アミノ酸残基の重要な特性がその変化でありそしてこれらの2つのアミノ酸残基の異なるpK’が重要ではない位置において、互換可能である。なお他の変化が、特定の環境下では「保存的である」と考えられ得る。
PHOR−1タンパク質(改変体を含む)は、図1A〜Dのアミノ酸配列(配列番号2)を有しているPHOR−1タンパク質と共通している少なくとも1つのエピトープを含む。その結果、PHOR−1タンパク質または改変体に対して特異的に結合する抗体もまた、図1A〜Dのアミノ酸配列(配列番号2)を有しているHPOR−1タンパク質に対して特異的に結合する。1つのクラスのPHOR−1タンパク質改変体は、図1A〜Dのアミノ酸配列(配列番号2)と90%以上の同一性を共有する。PHOR−1タンパク質改変体のより特定のクラスは、図4に同定されるような細胞外ドメインを含む。好ましいPHOR−1タンパク質改変体は、本明細書中に記載されるGPCR機能の1つ以上を示し得る。これは例えば、細胞質性のcAMP濃度、およびチロシンのリン酸化を調節する能力、ならびにコロニーの増殖を刺激する能力を含む。
PHOR−1タンパク質は、多くの形態(好ましくは、単離された形態)で具体化され得る。本明細書中で使用される場合は、タンパク質は、物理的、機械的、または化学的方法が、通常はそのタンパク質と会合している細胞構成成分からPHOR−1タンパク質を取り出すために使用される場合に、「単離される」といわれる。当業者は、単離されたPHOR−1タンパク質を得るための標準的な精製方法を容易に使用し得る。精製されたPHOR−1タンパク質分子は、抗体または他のリガンドに対するPHOR−1の結合を損なう他のタンパク質または分子を実質的に含まない。単離および精製の性質および程度は、意図される使用に依存する。PHOR−1タンパク質の実施形態は、精製されたPHOR−1タンパク質および機能的であり可溶性であるPHOR−1タンパク質を含む。1つの形態においては、このような機能的であり可溶性であるPHOR−1タンパク質またはそのフラグメントは、抗体または他のリガンドに結合する能力を保持している。
本発明はまた、PHOR−1アミノ酸配列の生物学的に活性なフラグメントを含有しているPHOR−1ポリペプチド(例えば、図1A〜Dに示されるPHOR−1のアミノ酸配列(配列番号2)の一部に対応するポリペプチド)を提供する。本発明のこのようなポリペプチドは、PHOR−1タンパク質の特性(例えば、PHOR−1タンパク質に関連するエピトープに特異的に結合する抗体の生成を誘発する能力)を示す。
本明細書中に開示される本発明の実施形態として、アミノ酸の挿入、欠失、および置換を有しているポリペプチドのような、広範な種々の当該分野で受容されるPHOR−1の改変体を含む。PHOR−1改変体は、部位特異的変異誘発、アラニンスキャニング、およびPCR変異誘発のような、当該分野で公知の方法を使用して作製され得る。部位特異的変異誘発(Carterら、Nucl.Acid Res.,13:4331(1986);Zollerら、Nucl.Acid Res.,10:6487(1987))、カセット変異誘発(Wellsら、Gene、34:315(1985))、制限選択変異誘発(Wellsら、Philos.Trans.R.Soc.London SerA,317:415(1986))または他の公知の技術が、PHOR−1改変体DNAを産生するためにクローン化されたDNAに対して行われ得る。スキャニングアミノ酸分析もまた、連続している配列にそって1つ以上のアミノ酸を同定するために使用され得る。中でも、好ましいスキャニングアミノ酸は、比較的小さい中性のアミノ酸である。このようなアミン酸として、アラニン、グリシン、セリン、およびシステインが挙げられる。アラニンは、代表的には、この群の中で好ましいスキャニングアミノ酸である。なぜなら、アラニンは、β炭素の後の側鎖を排除し、そして改変体の主鎖の立体構造を変更する可能性が少ないからである。アラニンはまた、典型的に好ましい。なぜなら、アラニンは、最も一般的なアミノ酸であるからである。さらに、アラニンは、埋没した部位および露出した部位の両方において頻繁に見出される(Creighton、The Proteins、(W.H.Freeman & Co.,N.Y.);Chothia,J.Mol.Biol.,150:1(1976))。アラニン置換が十分な量の改変体を生じない場合には、等配電子のアミノ酸が使用され得る。
上記に議論されるように、請求される発明の実施形態として、図1A〜Dに示されるPHOR−1タンパク質(配列番号2)の317個未満のアミノ酸配列を含有しているポリペプチドが挙げられる。例えば、本明細書中に開示される本発明の代表的な実施例として、図1A〜Dに示されるPHOR−1タンパク質(配列番号2)のおよそアミノ酸1からおよそアミノ酸10からなるポリペプチド、図1A〜Dに示されるPHOR−1タンパク質(配列番号2)のおよそアミノ酸20からおよそアミノ酸30からなるポリペプチド、図1A〜Dに示されるPHOR−1タンパク質(配列番号2)のおよそアミノ酸30からおよそアミノ酸40からなるポリペプチド、図1A〜Dに示されるPHOR−1タンパク質(配列番号2)のおよそアミノ酸40からおよそアミノ酸50からなるポリペプチド、図1A〜Dに示されるPHOR−1タンパク質(配列番号2)のおよそアミノ酸50からおよそアミノ酸60からなるポリペプチド、図1A〜D)に示されるPHOR−1タンパク質(配列番号2)のおよそアミノ酸60からおよそアミノ酸70からなるポリペプチド、図1A〜Dに示されるPHOR−1タンパク質(配列番号2)のおよそアミノ酸70からおよそアミノ酸80からなるポリペプチド、図1A〜Dに示されるPHOR−1タンパク質(配列番号2)のおよそアミノ酸80からおよそアミノ酸90からなるポリペプチド、および図1A〜Dに示されるPHOR−1タンパク質(配列番号2)のおよそアミノ酸90からおよそアミノ酸100からなるポリペプチドなどが挙げられる。この概要に従って、PHOR−1タンパク質のアミノ酸100〜317のアミノ酸配列の一部をからなるポリペプチドが、本発明の典型的な実施形態である。PHOR−1タンパク質のより大きな部分をからなるポリペプチドもまた、意図される。例えば、図1A〜Dに示されるPHOR−1タンパク質(配列番号2)のおよそアミノ酸1(または20、または30、または40など)からおよそアミノ酸20(または30、または40、または50など)からなるポリペプチドが、当該分野で周知の種々の技術によって作製され得る。
本明細書中で開示される本発明のさらなる例示的な実施形態として、図1A〜Dに示されるPHOR−1ポリペプチド配列(配列番号2)中に含まれる生物学的なモチーフの1つ以上のアミノ酸残基を含有しているをPHOR−1ポリペプチドが挙げられる。1つの実施形態においては、本発明の代表的なポリペプチドは、HPRAJ70および/またはRA1cに対して相同性を示す、PHOR−1の領域の1つ以上を含み得る。別の実施形態においては、本発明の代表的なポリペプチドは、PHOR−1 N−グリコシル化部位(例えば、NESS(配列番号10)(残基7〜10(配列番号2に示される最初のアミノ酸残基からの番号))、NLTI(配列番号11)(残基44から47)および/またはNSTT(残基90〜93)(配列番号12)の1つ以上を含み得る。別の実施形態においては、本発明の代表的なポリペプチドは、RRDS(残基268から271)(配列番号13)のような、PHOR−1 cAMPのリン酸化部位の1つ以上を含み得る。別の実施形態においては、本発明の代表的なポリペプチドは、SKR(残基266から268)のような、PHOR−1プロテインキナーゼCリン酸化部位の1つ以上を含み得る。別の実施形態においては、本発明の代表的なポリペプチドは、PHOR−1カゼインキナーゼIIリン酸化部位(例えば、SLHE(残基56から59)(配列番号14)、SGID(残基69から72)(配列番号15)、および/またはSGME(残基110から113)(配列番号16))の1つ以上を含み得る。別の実施形態においては、本発明の代表的なポリペプチドは、N−ミリストイル化部位(例えば、GNESSA(残基6〜11)(配列番号17)、GLEEAQ(残基21〜26)(配列番号18)、GMESTV(残基111〜116)(配列番号19)、および/またはGTCVSH(残基240から245(配列番号20))の1つ以上を含み得る。別の実施形態においては、本発明の代表的なポリペプチドは、GPCR記号配列(例えば、配列番号2のアミノ酸残基112〜128)の1つ以上および/または嗅覚レセプター記号配列(例えば、配列番号2のアミノ酸残基61〜82および/または239から254)の1つ以上を含み得る。これらの発明の関連する実施形態は、上記に議論される種々のモチーフの組合せを含有しているポリペプチドを含み、好ましい実施形態は、これらのポリペプチドのモチーフ内または介在している配列内のいずれかに挿入、欠失、または置換を含まない。
PHOR−1ポリペプチドは、本明細書中に開示されるヒトのPHOR−1タンパク質のアミノ酸配列に基づいて、標準的なペプチド合成技術を使用して、または当該分野で周知の化学的な切断方法を使用して、生成され得る。あるいは、組換え方法が、PHOR−1タンパク質のポリペプチドフラグメントをコードする核酸分子を作製するために使用され得る。これに関して、本明細書中に記載されるPHOR−1をコードする核酸分子は、PHOR−1タンパク質の定義されるフラグメントを作製するための手段を提供する。PHOR−1ポリペプチドは、ドメイン特異的抗体(例えば、PHOR−1タンパク質の細胞外エピトープまたは細胞内エピトープを認識する抗体)を作製しそして特徴付けることにおいて、PHOR−1またはその特定の構造ドメインに結合する薬剤または細胞性因子を同定することにおいて、そしてガンのワクチンを含むがこれに限定されない種々の治療の状況において、特に有用である。特に興味深い構造を含有しているPHOR−1ポリペプチドが推定され得、そして/または以下を含む当該分野で周知の種々の分析技術:例えば、Chou−Fasman、Garnier−Robson,Kyte−Doolittle、Eisenberg、Karplus−Schultz、もしくはJameson−Wolf分析の方法を使用して、または免疫原性に基づいて、同定され得る。このような構造を含有しているフラグメントは、サブユニット特異的抗PHOR−1抗体を作製すること、またはPHOR−1に結合する細胞性因子を同定することにおいて、特に有用である。
以下の実施例に記載されている特定の実施形態においては、PHOR−1の分泌された形態は、C末端の6×HisおよびMYCタグを有しているPHOR−1をコードするCMVによって駆動される発現ベクター(pcDNA3.1/mycHIS,Invtrogen)でトランスフェクトされた293T細胞中で簡便に発現され得る。培養培地中に分泌されたHISタグ化PHOR−1は、ニッケルカラムおよび標準的な技術を使用して精製され得る。あるいは、APタグ系が使用され得る。PHOR−1の発現のための種々の構築物が、以下の実施例に記載される。
共有結合改変のようなPHOR−1の改変が、本発明の範囲内に含まれる。共有結合改変の1つの型として、PHOR−1の選択された側鎖またはN末端もしくはC末端の残基と反応し得る有機誘導試薬との、PHOR−1ポリペプチドの標的化されたアミノ酸残基の反応が挙げられる。本発明の範囲内に含まれるPHOR−1ポリペプチドの共有結合改変の別の型は、ポリペプチドの天然のグリコシル化パターンを変更することを含む。「天然のグリコシル化パターンを変更すること」は、天然の配列のPHOR−1中に見出される1つ以上の炭水化物部分を欠失させること(根本的なグリコシル化部位を除去することか、または化学的および/もしくは酵素的な手段によってグリコシル化を欠失させることのいずれかによる)、ならびに/あるいは、天然の配列のPHOR−1中には存在しない1つ以上のグリコシル化部位を付加することを意味するように、本明細書中の目的のために意図される。さらに、この句は、存在する種々の炭水化物部分の性質および特性を変化させることを含む、天然のタンパク質のグリコシル化における定性的な変化を含む。PHOR−1の共有結合改変の別の型は、種々の非タンパク質性のポリマー(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、またはポリオキシアルキレン)の1つに対して、米国特許第4,640,835号、同第4,496,689号;同第4,310,144号、同第4,670,417号;同第4,791,192号;または同第4,179,337号に記載される様式で、PHOR−1ポリペプチドを連結することを含む。
本発明のPHOR−1はまた、別の、異種のポリペプチドまたはアミノ酸の配列に対して融合されたPHOR−1を含む、キメラ分子を形成するように改変され得る。1つの実施形態においては、このようなキメラ分子は、ポリヒスチジンエピトープタグとのPHOR−1の融合体を含む。これは、固定化されたニッケルが選択的に結合し得るエピトープを提供する。エピトープタグは、一般的には、PHOR−1のアミノ末端またはカルボキシ末端に配置される。別の実施形態においては、キメラ分子は、イムノグロブリンまたはイムノグロブリンの特定の領域との、PHOR−1の融合体を含み得る。2価の形態のキメラ分子(「免疫付着因子(immunoadhesin)」とも呼ばれる)については、このような融合は、IgG分子のFc領域に対してであり得る。Ig融合体は、好ましくは、Ig分子内の少なくとも1つの可変領域の代わりに、PHOR−1ポリペプチドの可溶性の(膜貫通ドメインを欠失させられたかまたは不活化された)形態の置換を含む。特に好ましい実施形態においては、イムノグロブリン融合体は、IgG1分子の、ヒンジ、CH2およびCH3領域、またはヒンジ、CH1、CH2、およびCH3領域を含む。イムノグロブリン融合体の産生については、1995年6月27日に発行された、米国特許第5,428,130号をもまた参照のこと。
(PHOR−1抗体)
本発明の別の局面は、PHOR−1タンパク質およびポリペプチドに結合する抗体を提供する。最も好ましい抗体は、PHOR−1タンパク質に対して選択的に結合し、そして非PHOR−1タンパク質およびポリペプチドに対しては結合しない(または弱く結合する)。特に意図される抗PHOR−1抗体として、モノクローナルおよびポリクローナル抗体、ならびにこれらの抗体の抗原結合ドメインおよび/または1つ以上の相補性決定領域を含有しているフラグメントが挙げられる。本明細書中で使用される場合は、抗体フラグメントは、その標的(すなわち、抗原結合領域)に対して結合する免疫グロブリン分子の可変領域の少なくとも一部として定義される。
いくつかの適用については、特定のPHOR−1タンパク質および/または特定の構造ドメイン中のエピトープと特異的に反応する抗体を作製することが所望され得る。例えば、ガンの治療および診断用の画像化の目的に有用である好ましい抗体は、ガン細胞中で発現されるPHOR−1タンパク質の細胞外領域中のエピトープと反応する抗体である。このような抗体は、本明細書中に記載されているPHOR−1タンパク質を使用して作製され得るか、または免疫原としてその推定される細胞外ドメインに由来するペプチドを使用して作製され得る。これに関して、図1に示されるPHOR−1タンパク質配列を参照して、膜貫通ドメインに対してアミノ末端の配列の領域が選択され得、そして細胞外特異的PHOR−1抗体を惹起および選択するための適切な免疫原およびスクリーニング試薬を設計するために使用され得る。
本発明のPHOR−1抗体は、特に、前立腺ガンの治療ストラテジー、診断および予後アッセイ、ならびに画像化方法論において有用であり得る。同様に、このような抗体は、他のガンの処置、診断、および/または予後において、PHOR−1がまた他の型のガンにおいて発現されるかまたは過剰発現される範囲で、有用であり得る。本発明は、PHOR−1、ならびに変異体PHOR−1タンパク質およびポリペプチドの検出および定量に有用な種々の免疫学的アッセイを提供する。このようなアッセイは、一般的には、PHOR−1または変異体PHOR−1タンパク質を認識し得そして結合し得る1つ以上のPHOR−1抗体を含み、そして適切である場合には、以下を含むがこれらに限定されない当該分野で周知の種々の免疫学的アッセイの形式で行われ得る:種々の型のラジオイムノアッセイ、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、酵素結合免疫蛍光アッセイ(ELIFA)など。さらに、以下を含むがこれらに限定されない、前立腺ガンを検出し得る免疫学的な画像化方法が本発明によって提供される:標識されたPHOR−1抗体を使用する放射性シンチグラフィー画像化方法。このようなアッセイは、前立腺ガン(特に、進行した前立腺ガン)の検出、モニタリング、および予後において臨床的に使用され得る。
PHOR−1抗体はまた、PHOR−1および変異体PHOR−1タンパク質およびポリペプチドを精製するため、ならびにPHOR−1ホモログおよび関連する分子を単離するための方法においても使用され得る。例えば、1つの実施形態においては、PHOR−1タンパク質を精製する方法は、固体のマトリックスに対して結合されているPHOR−1抗体を、PHOR−1を含有している溶解物または他の溶液とともに、PHOR−1抗体がPHOR−1に結合することが可能である条件下でインキュベートする工程;固体のマトリックスを不純物を排除するために洗浄する工程;および結合した抗体からPHOR−1を溶出させる工程を包含する。本発明のPHOR−1抗体の他の用途として、PHOR−1タンパク質を模倣する抗イディオタイプ抗体を作製することが挙げられる。
PHOR−1抗体はまた、例えば、PHOR−1タンパク質の生物学的活性を調節もしくは阻害すること、またはPHOR−1タンパク質を発現するガン細胞を標的化しそして崩壊させることによって、治療的にも使用され得る。前立腺ガンおよび他のガンの抗体治療は、以下の別のセクションにより詳細に記載される。
抗体の調製のための種々の方法は、当該分野で周知である。例えば、抗体は、PHOR−1タンパク質、ペプチド、またはフラグメントを、単離された形態または免疫結合させられた形態で使用して、適切な哺乳動物宿主を免疫化することによって調製され得る(Antibodies:A Laboratory Manual、CSH Press、HarlowおよびLane編(1988);Harlow、Antibodies、Cold Spring Harbor Press、NY(1989))。タンパク質免疫原の例として、組換えのPHOR−1(バキュロウイルス系、哺乳動物系などにおいて発現される)、PHOR−1細胞外ドメイン、AP−タグ化PHOR−1などが挙げられる。さらに、PHOR−1の融合タンパク質(例えば、PHOR−1の、GST、マルトース結合タンパク質(MBP)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、HisMax−TOPO、またはMycHisとの融合体(下記の実施例を参照のこと))もまた、使用され得る。
特定の実施形態においては、図1A〜D(配列番号2)のアミノ酸配列のオープンリーディングフレームの全てまたはほとんどを含有しているGST融合タンパク質が産生され得、そして適切な抗体を作製するための免疫原として使用され得る。PHOR−1を発現するかまたは過剰発現する細胞もまた、免疫化のために使用され得る。同様に、PHOR−1を発現するように操作された任意の細胞が、使用され得る。このようなストラテジーは、増強させられた内因性のPHOR−1を認識する能力を有するモノクローナル抗体の産生を生じ得る。別の有用な免疫原は、ヒツジの赤血球の原形質膜に連結されたPHOR−1ペプチドを含む。
図1A〜D(図2)に示されるPHOR−1のアミノ酸配列は、抗体を作製するためのPHOR−1タンパク質の特異的な領域を選択するために使用され得る。例えば、PHOR−1アミノ酸配列の疎水性および親水性分析が、PHOR−1構造中の親水性領域を同定するために使用され得る。免疫原性の構造を示すPHOR−1タンパク質の領域、ならびに他の領域およびドメインが、当該分野で公知の種々の他の方法(例えば、Chou−Fasman、Garnier−Robson,Kyte−Doolittle、Eisenberg、Karplus−Schultz、またはJameson−Wolf分析)を使用して容易に同定され得る。HLA−A2に結合すると推定されるPHOR−1のペプチドが、抗体の生成のために選択され得る。以下の実施例で議論されるように、免疫原性は、PHOR−1タンパク質配列(配列番号2)のアミノ酸1〜14(MVDPNGNESSATYF;配列番号8)、アミノ酸262〜274(VHRFSKRRDSPLP;配列番号9)およびアミノ酸86〜310を用いて、実証されている。これらは、それぞれ、ウサギおよびマウスを使用してポリクローナルおよびモノクローナル抗体を生成するために使用された。このB細胞の応答(抗体の産生)は、PHOR−1の免疫原性部分によって誘発される最初のT細胞応答の結果である。
免疫原としての使用のため、およびBSA、KLH、または他のキャリアタンパク質のようなキャリアを有するタンパク質の免疫原性結合体を調製するために、タンパク質またはポリペプチドを調製するための方法が、当該分野で周知である。いくつかの状況において、例えば、カルボジイミド試薬を使用する直接的な結合体が、使用され得る;他の例においては、Pierce Chemical Co.,Rockfold,ILによって供給されるような架橋剤が有効であり得る。PHOR−1免疫原の投与は、一般的には、適切な期間にわたる注射によって、そして一般的に当該分野で理解されている適切なアジュバントの使用を伴って行われる。免疫化スケジュールの間に、抗体の力価が、抗体の形成の適切性を決定するために行われ得る。
PHOR−1モノクローナル抗体が好ましく、そして当該分野で周知の種々の手段によって産生され得る。例えば、所望されるモノクローナル抗体を分泌する不死化された細胞株が、KohlerおよびMilsteinの標準的なハイブリドーマ技術、または一般的に公知であるB細胞を産生するように不死化する改変を使用して、調製され得る。所望された抗体を分泌する不死化された細胞株は、抗原がPHOR−1タンパク質またはPHOR−1フラグメントであるイムノアッセイによってスクリーニングされる。所望される抗体を分泌する適切な不死化された細胞培養物が同定された場合には、細胞は増殖させられ得、そしてインビトロの培養物からまたは腹水液からのいずれかで抗体が産生され得る。
抗体またはフラグメントはまた、組換え手段による現在の技術を使用しても産生され得る。PHOR−1タンパク質の所望される領域に対して特異的に結合する領域もまた、複数の種起源のキメラまたはCDR接木(grafted)抗体の状況において産生され得る。ヒト化またはヒトPHOR−1抗体もまた産生され得、そして治療の状況における使用に好ましい。1つ以上のヒト以外の抗体のCDRを対応する非ヒト抗体の配列で置きかえることによるマウスおよび他のヒト抗体をヒト化するための方法は、周知である(例えば、Jonesら、1986、Nature 321:522−525;Riechmanら、1988,Nature 332:323−327;Verhoeyenら、1988,Science 239:1534−1536を参照のこと)。Carterら、1993、Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 89:4285およびSimsら、1993、J.Immunol.151:2296をもまた参照のこと。完全なヒトのモノクローナル抗体を産生するための方法として、ファージディスプレイおよびトランスジェニック動物技術が挙げられる(概要については、Vaughanら、1998、Nature Biotechnology 16:535−539を参照のこと)。
完全なヒトのPHOR−1モノクローナル抗体は、大きなヒトIg遺伝子組合せライブラリーを使用するクローニング技術(すなわち、ファージディスプレイ)を使用して作製され得る(GriffithsおよびHoogenboom,Building an in vitro immune systems:human antibodies from pharge display libraries:Protein Engineering of Antibody Molecules for Prophylactic and Therapeutic Applications in Man.Clark,M.(編)、Nottingham Academic、45〜64頁(1993);BurtonおよびBarbas、Human Antibodies from combinatorial libraries.Id、65〜82頁)。完全なヒトのPHOR−1モノクローナル抗体もまた、以下に記載されているように、ヒトの免疫グロブリン遺伝子座を含むように操作されたトランスジェニックマウスを使用して産生され得る:1997年12月3日に公開された、PCT特許出願番号第WO98/24893号、KucherlapatiおよびJakobovitsら(Jakobovits、1998、Exp.Opin.Invest.Drugs 7(4):607−614をもまた参照のこと)。この方法は、ファージディスプレイ技術を用いて必要とされるインビトロでの操作を回避し、そして高い親和性の確実なヒト抗体を効率よく産生する。
PHOR−1抗体のPHOR−1タンパク質との反応性は、ウェスタンブロット、免疫沈降、ELISA、およびFACS分析を含む多数の周知の手段によって、適切である場合には、PHOR−1タンパク質、ペプチド、PHOR−1を発現する細胞またはその抽出物を使用して、確立され得る。
本発明のPHOR−1抗体またはそのフラグメントは、検出可能なマーカーで標識され得るか、または第2の分子(例えば、細胞毒素または他の治療薬)に対して結合させられ得、そしてPHOR−1ポジティブ細胞に対して第2の分子を標的化するために使用され得る(Vitetta,E.S.ら、1993、Immunotoxin therapy、DeVita、Jr.,V.T.ら編、Cancer:Principles and Plactice of Oncology、第4版、J.B.Lippincott Co.、Philadelphia、2624−2636)。細胞毒性の試薬の例として、以下が挙げられるが、これらに限定されない:リシン、リシンA鎖、ドキソルビシン、ダウノルビシン、タキソール、エチジウムブロマイド、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ジヒドロキシアントラシンジオン、アクチノマイシン、ジフテリア毒素、Pseudomonas外毒素(PE)A、PE40、アブリン、アブリンA鎖、モデシン(modeccin)A鎖、α−サルシン(sarcin)、ゲロニン(gelonin)、ミトゲリン(mitogellin)、レトストリクトシン(retstrictocin)、フェノマイシン、エノマイシン、クリシン(curicin)、クロチン(crotin)、カリヒマイシン(calicheamicin)、sapaonaria officinalisインヒビター、およびグルココルチコイド、ならびに他の化学療法剤、ならびに放射性同位元素(例えば、212Bi、131I、131In、90Y、および186Re)。適切な検出マーカーとして、以下が挙げられるがこれらに限定されない:放射性同位元素、蛍光化合物、生体発光化合物、化学発光化合物、金属キレート化剤、または酵素。抗体はまた、プロドラッグをその活性な形態に転換し得る、抗ガンプロドラッグ活性化酵素に結合させられ得る。例えば、米国特許第4,975,287号を参照のこと。
さらに、2つ以上のPHOR−1エピトープについての特異的な二重特異的抗体が、当該分野で一般的に公知の方法を使用して作製され得る。さらに、抗体エフェクター機能が、ガン細胞に対するPHOR−1抗体の治療効果を増強するために改変され得る。例えば、システイン残基が、Fc領域中に操作され得、それによって鎖間ジスルフィド結合の形成およびホモ二量体の生成を可能にし、これはインターナライゼーション、ADCC、および/または補体によって媒介される細胞の殺傷のための能力を増強させ得る(例えば、Caronら、1992、J.Exp.Med.176:1191−1195;Shopes,1992、J.Immunol.148:2918−2922を参照のこと)。ホモ二量体抗体はまた、当該分野で公知の架橋技術によって作製され得る(例えば、Wolffら、Cancer Res.53:2560−2565を参照のこと)。
(PHOR−1トランスジェニック動物)
PHOR−1またはその改変された形態をコードする核酸もまた、トランスジェニック動物または「ノックアウト」のいずれか動物を作製するために使用され得る。次いでこれは、治療的に有用な試薬の開発およびスクリーニングに有用である。トランスジェニック動物(例えば、マウスまたはラット)は、トランスジーンを含む細胞を有している動物である。トランスジーンは、動物または動物の祖先に、出産前(例えば、胚の段階)に導入された。トランスジーンは、それからトランスジェニック動物が生じる細胞のゲノム中に組み込まれるDNAである。1つの実施形態においては、PHOR−1をコードするcDNAは、PHOR−1をコードするDNAを発現する細胞を含有しているトランスジェニック動物を作製するために使用される確立された技術およびゲノム配列に従って、PHOR−1をコードするゲノムDNAをクローン化するために使用され得る。
トランスジェニック動物(特に、マウスまたはラットのような動物)を作製するための方法は、当該分野で一般的であり、そして例えば、米国特許第4,736,866号および同第4,870,009号に記載されている。代表的には、特定の細胞が、組織特異的エンハンサーを伴うPHOR−1トランスジーンの取り込みのために標的化される。胚の段階で動物の生殖系に導入されたPHOR−1をコードするトランスジーンのコピーを含むトランスジェニック動物は、PHOR−1をコードするDNAの増大させられた発現の効果を試験するために使用され得る。このような動物は、保護形態(例えば、その過剰発現に関連する病理学的状態)を付与すると考えられる試薬についてのテスター動物として使用され得る。本発明のこの局面に従うと、動物は試薬で処置され、そして、トランスジーンを保有している未処置の動物と比較して病理学的状態の減少した指標が、病理学的状態についての可能性のある治療的な介入を示す。
あるいは、PHOR−1の非ヒトホモログが、PHOR−1「ノックアウト」動物を構築するために使用され得る。これは、PHOR−1をコードする内因性の遺伝子と、動物の胚性の細胞中に導入された変更されたPHOR−1をコードするゲノムDNAとの間での相同組換えの結果としての、欠損しているかまたは変更されたPHOR−1をコードする遺伝子を有する。例えば、PHOR−1をコードするcDNAは、確立された技術に従ってPHRO−1をコードするゲノムDNAをクローン化するために使用され得る。PHOR−1をコードするゲノムDNAの一部が、欠失させられ得るか、または、組込みをモニターするために使用され得る選択マーカーをコードする遺伝子のような別の遺伝子と置き換えられ得る。
代表的には、変更されていない隣接しているDNA(5’および3’末端の両方)の数キロ塩基がベクター中に含まれる(相同組換えベクターの記載については、例えば、ThomasおよびCapecchi、1987、Cell 51:503を参照のこと)。ベクターは、胚性の幹細胞株中に(例えば、エレクトロポレーションによって)導入され、そして導入されたDNAが内因性のDNAと相同組換えされた細胞が選択される(例えば、Liら、1992、Cell 69:915を参照のこと)。次いで、選択された細胞は、動物(例えば、マウスまたはラット)の胚盤胞中に注入されて、凝集キメラを形成する(例えば、Bradley、Teratocarcinomas and Embryonic Stem Cells:A Practical Approach,E.J.Robertson編、IRL、Oxford,1987、113〜152頁を参照のこと)。
次いで、キメラ胚が、適切な擬似妊娠させた雌性の里親動物中に移植され得、そして胚は「ノックアウト」動物を作製するための期間が与えられ得る。それらの生殖細胞中に相同組み返されたDNAを保有している子孫が、標準的な技術によって同定され得、そして動物の全ての細胞が相同組み返されたDNAを含む動物を繁殖させるために使用される。ノックアウト動物は、例えば、特定の病理学的状態に対して防御するそれらの能力、およびPHOR−1ポリペプチドの非存在に起因する病理学的状態のそれらの発症について、特徴付けられ得る。
(PHOR−1の検出のための方法)
本発明の別の局面は、PHOR−1ポリヌクレオチドおよびPHOR−1タンパク質およびそれらの変異体を検出するための方法、ならびにPHOR−1を発現する細胞を同定するための方法に関する。高度に組織に限定されたPHOR−1の発現パターンは、この分子が、転移性の疾患についての診断マーカーとして作用し得ることを示唆する。この状況においては、PHOR−1遺伝子産物の状態は、進行した段階の疾患についての罹患性、進行速度、および/または腫瘍の積極性を含む種々の因子を推定するために有用な情報を提供し得る。以下に詳細に議論されるように、患者のサンプル中のPHOR−1遺伝子産物の状態は、免疫組織化学的分析、種々のノーザンブロッティング技術(インサイチュハイブリダイゼーションを含む)、RT−PCR分析(例えば、レーザー捕捉微小解剖サンプル)、ウェスタンブロット分析、および組織アレイ分析を含む、当該分野で周知の種々のプロトコールによって分析され得る。
より詳細には、本発明は、生物学的サンプル(例えば、前立腺組織、腎臓組織、子宮組織、頚部の標本、胃組織、直腸組織、骨組織、リンパ系組織、および他の組織、尿、精液、血液、または血清、細胞調製物など)中のPHOR−1ポリヌクレオチドの検出のためのアッセイを提供する。検出可能なPHOR−1ポリヌクレオチドとして、例えば、PHOR−1遺伝子またはそのフラグメント、PHOR−1 mRNA、オルタナティブスプライシング変異体PHOR−1 mRNA、およびPHOR−1ポリヌクレオチドを含有している組換えDNAまたはRNA分子が挙げられる。PHOR−1ポリヌクレオチドを増幅するため、および/またはPHOR−1の存在を検出するための多数の方法が当該分野で周知であり、そして本発明のこの局面の実施において使用され得る。
1つの実施形態においては、生物学的サンプル中のPHOR−1 mRNAを検出するための方法は、少なくとも1つのプライマーを使用して逆転写によってサンプルからcDNAを産生すること;その中のPHOR−1 cDNAを増幅するためのセンスおよびアンチセンスプライマーとしてPHOR−1ポリヌクレオチドを使用してそのように産生されたcDNAを増幅すること;ならびに増幅されたPHOR−1 cDNAの存在を検出することを含む。必要に応じて、増幅されたPHOR−1 cDNAの配列が決定され得る。別の実施形態においては、生物学的サンプル中のPHOR−1遺伝子を検出する方法は、最初に、サンプルからゲノムDNAを単離すること;その中のPHOR−1遺伝子を増幅するためのセンスおよびアンチセンスプライマーとしてPHOR−1ポリヌクレオチドを使用して単離されたゲノムを増幅すること;ならびに増幅されたPHOR−1遺伝子の存在を検出することを含む。多数の適切なセンスおよびアンチセンスプローブの組合せが、PHOR−1(図1A〜D、配列番号1)について提供されるヌクレオチド配列から設計され得、そしてこの目的のために使用され得る。
本発明はまた、他の生物学的サンプル(例えば、血清、骨、前立腺、および他の組織、尿、細胞調製物など)の組織中のPHOR−1タンパク質の存在を検出するためのアッセイ、ならびにPHOR−1を発現する細胞の検出のための細胞学的アッセイを提供する。PHOR−1タンパク質を検出するための方法もまた周知であり、そして例えば、免疫沈降、免疫組織化学的分析、ウェスタンブロット分析、分子および細胞結合アッセイ、ELISA、ELIFAなどが挙げられる。例えば、1つの実施形態においては、生物学的サンプル中のPHOR−1タンパク質の存在を検出する方法は、最初に、サンプルをPHOR−1抗体、そのPHOR−1反応性フラグメント、またはPHOR−1抗体の抗原結合領域を含有している組換えタンパク質と接触させる工程;次いで、それに対するサンプル中のPHOR−1タンパク質の結合を検出する工程を包含する。
PHOR−1を発現する細胞を同定するための方法もまた、提供される。1つの実施形態においては、PHOR−1遺伝子を発現する細胞を同定するためのアッセイは、細胞中のPHOR−1 mRNAの存在を検出することを含む。細胞中の特定のmRNAの検出のための方法は周知であり、そして例えば、相補的なDNAプローブを使用するハイブリダイゼーションアッセイ(例えば、標識されたPHOR−1リボプローブを使用するインサイチュハイブリダイゼーション、ノーザンブロット、および関連する技術)ならびに種々の核酸増幅アッセイ(例えば、PHOR−1について特異的な相補的プライマーを使用するRT−PCR、および他の増幅型の検出方法(例えば、分岐したDNA、SISBA、TMAなど))が挙げられる。あるいは、PHOR−1遺伝子を発現する細胞を同定するためのアッセイは、細胞中のまたは細胞によって分泌されるPHOR−1タンパク質の存在を検出することを含む。タンパク質の検出のための種々の方法が当該分野で周知であり、そしてPHOR−1タンパク質およびPHOR−1を発現する細胞の検出のために使用され得る。
PHOR−1の発現分析もまた、PHOR−1遺伝子の発現を調節する試薬を同定および評価するためのツールとして有用であり得る。例えば、PHOR−1の発現は、正常な前立腺、ならびに前立腺、腎臓、子宮、頚部、胃、および直腸のガンに限定され、そしてPHOR−1はまた、他のガンにおいても発現され得る。ガン細胞中でのPHOR−1の発現または過剰発現を阻害し得る分子または生物学的な試薬の同定は、治療的な価値があり得る。このような試薬は、RT−PCT、核酸のハイブリダイゼーション、または抗体結合によってPHOR−1の発現を定量するスクリーニングを使用することによって同定され得る。
(PHOR−1およびその産物の状態のモニタリング)
個体中のPHOR−1遺伝子およびPHOR−1遺伝子産物の状態を評価するアッセイは、この個体に由来する生物学的サンプルの増殖または腫瘍形成の可能性についての情報を提供し得る。例えば、PHOR−1 mRNAが、前立腺、腎臓、子宮、頚部、胃、および直腸のガンにおいてこのように高度に発現されるが、ほとんどの正常な細胞中ではそうではないので、生物学的サンプル中のPHOR−1 mRNA転写物またはタンパク質の相対的なレベルを評価するアッセイが、PHOR−1の脱調節に関連する疾患(例えば、ガン)を診断するために使用され得、そして適切な治療の選択を定義することにおいて有用な予後の情報を提供し得る。同様に、生物学的サンプル中でのPHOR−1ヌクレオチドおよびアミノ酸配列の完全性を評価するアッセイもまた、この状況において使用され得る。
PHOR−1 mRNAが、前立腺ガンにおいてこのように高度に発現され、そしてほとんどの正常な組織においてはそうではないという知見は、この遺伝子が脱調節された細胞の増殖に関連し、そして従って、当業者がPHOR−1の脱調節に関連する疾患を有していると疑われる個体に由来する生物学的サンプルを評価するために使用し得る標的としてこの遺伝子およびその産物を同定する証拠を提供する。別の例においては、PHOR−1の発現が通常は前立腺に限定されているので、当業者はまた、転移の指標としてPHOR−1の発現を検出するために、他の組織から採取した生物学的サンプルを評価し得る。この状況においては、PHOR−1遺伝子およびその産物の発現の状態の評価は、組織サンプルの疾患の可能性についての情報を得るために使用され得る。この状況における用語「発現の状態」は、遺伝子およびその産物の発現、機能、および調節(例えば、mRNAの発現のレベル)、発現される遺伝子産物の完全性(例えば、核酸配列およびアミノ酸配列)、ならびにこれらの分子に対する転写および翻訳の改変に関係している種々の因子を広範にいうように使用される。
PHOR−1の発現の状態は、特定の疾患の段階、進行、および/または腫瘍の積極性についての罹患性を推定するために有用な情報を提供し得る。本発明は、PHOR−1の発現の状態を決定するため、ならびにPHOR−1を発現するガン(例えば、前立腺ガン、乳ガン、膀胱ガン、肺ガン、骨のガン、結腸ガン、膵臓ガン、精巣ガン、頚ガン、および卵巣ガンのようなガン)を診断するための、方法およびアッセイを提供する。患者のサンプル中のPHOR−1の発現の状態は、多数の当該分野で周知の手段(免疫組織化学的分析、インサイチュハイブリダイゼーション、レーザー捕捉微小解剖サンプルについてのRT−PCR分析、臨床的なサンプルおよび細胞株についてのウェスタンブロット分析、ならびに組織アレイ分析を含むが、これらに限定されない)によって分析され得る。PHOR−1遺伝子および遺伝子産物の発現の状態を評価するための代表的なプロトコールは、例えば、Current Protocols In Molecular Biology、Units 2(ノーザンブロッティング)、4(サザンブロッティング)、15(イムノブロッティング)、および18(PCR分析)、Frederick M.Ausubelら編、1995に見出され得る。
1つの局面においては、本発明は、脱調節された細胞の増殖に関連する疾患(例えば、過形成またはガン)を有していると疑われる個体に由来する試験組織サンプル中の細胞によって発現されるPHOR−1遺伝子産物の状態を決定すること、次いで、対応する正常なサンプル中のPHOR−1遺伝子産物の状態に対して、そのように決定された状態を比較することによる、PHOR−1遺伝子産物をモニタリングするための方法を提供する。正常なサンプルと比較して試験サンプル中の異常なPHOR−遺伝子産物の存在は、個体の細胞内での脱調製された細胞の増殖の存在の指標を提供する。
別の局面においては、本発明は、個体におけるガンの存在を決定することにおいて有用であるアッセイを提供する。これは、対応する正常な細胞または組織中での発現レベルと比較して、試験細胞または組織サンプル中でのPHOR−1 mRNAまたはタンパク質の発現における有意な増大を検出することを含む。PHOR−1 mRNAの存在は、例えば、結腸、肺、前立腺、膵臓、膀胱、乳房、卵巣、頚部、精巣、頭部、および首、脳、胃、骨などを含むがこれらに限定されない組織サンプル中で評価され得る。任意のこれらの組織における有意なPHOR−1の発現の存在は、これらのガンの出現、存在、および/または重篤度、あるいは別の組織に起源するガンの転移を示すために有用であり得る。なぜなら、対応する正常な組織はPHOR−1 mRNAを発現しないか、またはそれをより低いレベルで発現するからである。
関連する実施形態においては、PHOR−1の発現の状態は、核酸のレベルよりもむしろタンパク質のレベルで決定され得る。例えば、このような方法またはアッセイは、試験組織サンプル中の細胞によって発現されるPHOR−1タンパク質のレベルを決定すること、および対応する正常なサンプル中で発現されるPHOR−1のレベルに対してこのように決定されたレベルを比較することを含む。1つの実施形態においては、PHOR−1タンパク質の存在は、例えば、免疫組織化学的方法を使用して評価される。PHOR−1抗体またはPHOR−1タンパク質の発現を検出し得る結合パートナーは、この目的のための当該分野で周知の種々のアッセイ形式において使用され得る。
他の関連する実施形態においては、当業者は、挿入、欠失、置換などのこれらの分子の構造における摂動を同定するために、生物学的サンプル中のPHOR−1ヌクレオチドおよびアミノ酸配列の完全性を評価し得る。このような実施形態は、ヌクレオチドおよびアミノ酸配列における摂動が、増殖の脱調節された表現型に関連している多数のタンパク質において観察されるので、有用である(例えば、Marrogiら、J.Cutan.Pathol.26(8):369−378(1999))。この状況においては、ヌクレオチドおよびアミノ酸配列における摂動を観察するための広範な種々のアッセイが、当該分野で周知である。例えば、PHOR−1遺伝子産物の核酸またはアミノ酸配列の大きさおよび構造が、本明細書中で議論される、ノーザン、サザン、ウェスタン、PCR、およびDNA配列決定プロトコールによって観察され得る。さらに、ヌクレオチドおよびアミノ酸配列における摂動を観察するための他の方法(例えば、一本鎖の立体構造多形性分析)が、当該分野で周知である(例えば、米国特許第5,382,510号および同第5,952,170号を参照のこと)。
別の実施態様においては、当業者は、生物学的サンプル中のPHOR−1遺伝子のメチル化の状態を試験し得る。遺伝子の5’調節領域中のCpG島の異常な脱メチル化および/過剰なメチル化は、しばしば、不死化された細胞および形質転換された細胞において生じ、そして種々の遺伝子の変更された発現を生じ得る。例えば、pi−クラスのグルタチオンS−トランスフェラーゼ(正常な前立腺において発現されるが、90%より多くの前立腺のガン腫においては発現されないタンパク質)は、この遺伝子の転写を永続的にサイレントにさせるようであり、そして最も頻繁には前立腺のガン腫におけるゲノムの変更が検出される(De Marzoら、Am.J.Pathol.155(6):1985−1992(1999))。さらに、この変更は、高いグレードの前立腺の表皮内新生物(PIN)の少なくとも70%の症例において存在する(Brooksら、Cancer Epidemiol.Biomarkers Prev.、1998、7:531−536)。
別の例においては、LAGE−I腫瘍特異的遺伝子(これは、正常な前立腺においては発現されないが、前立腺ガンの25〜50%において発現される)の発現が、リンパ芽球細胞においてデオキシアザシチジンによって誘導され、このことは、腫瘍の発現が脱メチル化に起因することを示唆している(Letheら、1998、Int.J.Cancer 76(6):903−908)。この状況においては、遺伝子のメチル化の状態を試験するための種々のアッセイが、当該分野で周知である。例えば、当業者は、サザンハイブリダイゼーションアプローチにおいて、CpG島の全体的なメチル化の状態を評価するために、メチル化されたCpG部位を含む配列を切断し得ないメチル化感受性制限酵素を利用し得る。
さらに、MSP(メチル化特異的PCR)は、所定の遺伝子のCpG島中に存在するCpG部位の全てのメチル化の状態を迅速にプロフィール化し得る。この手順は、亜硫酸水素ナトリウム(これは、メチル化されていない全てのシトシンをウラシルに転換する)によるDNAの最初の改変、続くメチル化されていないDNAに対してメチル化されたDNAについて特異的なプライマーを使用する増幅を含む。メチル化の干渉を含むプロトコールもまた、例えば、Current Protocols In Molecular Biology、Units 12、Frederick M.Ausubelら編、1995に見出され得る。
別の関連する実施態様においては、本発明は、個体中でのガンの存在を決定することにおいて有用なアッセイを提供する。これは、対応する正常な細胞または組織中での発現のレベルと比較して、試験細胞または組織サンプル中で発現されるPHOR−1の選択的スプライシング改変体における有意な変化を検出することを含む。PHOR−1の選択的スプライシング改変体をモニタリングすることは有用である。なぜなら、タンパク質の選択的スプライシングにおける変化は、ガンの進行へと導く一連の事象における工程の1つとして示唆されるからである(例えば、Carstensら、Oncogene 15(250:3059〜3065(1997)を参照のこと)。
遺伝子の増幅は、PHOR−1の状態を評価するさらなる方法を提供する。遺伝子の増幅は、例えば、従来のサザンブロッティング、mRNAの転写を定量するためのノーザンブロッティング(Thomas、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、77:5201−5205(1980))、ドットブロッティング(DNA分析)、またはインサイチュハイブリダイゼーション(本明細書中に提供される配列に基づいて適切に標識されたプローブを使用する)によって直接、サンプル中で測定され得る。あるいは、DNA二重鎖、RNA二重鎖、およびDNA−RNAハイブリッド二重鎖、またはDNA−タンパク質二重鎖を含む特定の二重鎖を認識し得る抗体が、使用され得る。抗体は、次いで、標識され得、そして二重鎖が表面に結合させられるアッセイが行われ得、その結果、表面上での二重鎖の形成に際して、この二重鎖に結合した抗体の存在が検出され得る。
上記に議論される組織に加えて、末梢血が、前立腺ガンを含むがこれに限定されないガン細胞の存在について、PHOR−1の発現を検出するためのRT−PCRを使用して簡便にアッセイされ得る。RT−PCTで増幅可能なPHOR−1 mRNAの存在は、ガンの存在の指標を提供する。末梢血中の腫瘍細胞についてのRT−PCR検出アッセイは、現在は、多数のヒト固形腫瘍の診断および管理における使用のために評価されている。前立腺ガンの分野においては、これらは、PSAおよびPSMを発現する細胞の検出のためのRT−PCRアッセイを含む(Verkaikら、1997、Urol.Res.25:373−384;Ghosseinら、1995、J.Clin.Oncol.13:1195−2000;Hestonら、1995、Clin.Chem.41:1687−1688)。RT−PCTアッセイが、当該分野で周知である。
本発明の関連する局面は、個体におけるガン発症に対する罹患性を推定することに関する。1つの実施態様においてはガンに対する罹患性を推定するための方法は、組織サンプル中のPHOR−1 mRNAまたはPHOR−1タンパク質を検出することを含み、その存在はガンに対する罹患性を示す。ここでは、PHOR−1 mRNAの発現の存在の程度は、罹患性の程度に比例的する。特定の実施態様においては、前立腺組織中でのPHOR−1の存在が試験され、サンプル中のPHOR−1の存在は、前立腺ガンの罹患性(または前立腺腫瘍の発生または存在)の指標を提供する。密接に関連する実施態様においては、当業者は、挿入、欠失、置換などのこれらの分子の構造における摂動(perturbation)を同定するために、生物学的サンプル中のPHOR−1ヌクレオチドおよびアミノ酸配列の完全性を評価し得、サンプル中のPHOR−1遺伝子産物中の1つ以上の摂動の存在は、ガンの罹患性の指標(または腫瘍の発生もしくは存在)を提供する。
本発明のなお別の関連する局面は、腫瘍の攻撃性を測定するための方法に関する。1つの実施態様においては、腫瘍の攻撃性を測定するための方法は、腫瘍のサンプル中の細胞によって発現されるPHOR−1 mRNAまたはPHOR−1タンパク質のレベルを決定すること、同じ個体から採取された対応する正常な組織または正常な組織の参照サンプル中で発現されたPHOR−1 mRNAまたはPHOR−1タンパク質のレベルに対して、そのように決定されたレベルを比較することを含む。ここでは、正常なサンプルに対して比較した、腫瘍サンプル中でのPHOR−1 mRNAまたはPHOR−1タンパク質の発現の程度は、攻撃性の程度を示す。特定の実施態様においては、前立腺腫瘍の攻撃性は、PHOR−1が腫瘍細胞中で発現される程度を決定することによって評価される。より高い発現レベルは、より攻撃性のある腫瘍であることを示す。密接に関連する実施態様においては、当業者は、挿入、欠失、置換などのこれらの分子の構造における摂動を同定するために、生物学的サンプル中のPHOR−1ヌクレオチドおよびアミノ酸配列の完全性を評価し得、1つ以上の摂動の存在は、より攻撃性の高い腫瘍を示す。
本発明のなお別の関連する局面は、経時的に個体中の悪性腫瘍の進行を観察するための方法に関する。1つの実施態様においては、経時的に個体中の悪性腫瘍の進行を観察するための方法は、腫瘍のサンプル中の細胞によって発現されるPHOR−1 mRNAまたはPHOR−1タンパク質のレベルを決定すること、同じ個体から種々の時点で採取された等価な組織サンプル中で発現されるPHOR−1 mRNAまたはPHOR−1タンパク質のレベルに対して、そのように決定されたレベルを比較することを含む。ここでは、経時的な腫瘍サンプル中のPHOR−1 mRNAまたはPHOR−1タンパク質の発現の程度は、ガンの進行についての情報を提供する。特定の実施態様においては、ガンの進行は、腫瘍細胞中のPHOR−1の発現が経時的に変化する程度を決定することによって評価され、より高い発現レベルは、ガンの進行を示す。密接に関連する実施態様においては、当業者は、挿入、欠失、置換などのこれらの分子の構造における摂動を同定するために、生物学的サンプル中のPHOR−1ヌクレオチドおよびアミノ酸配列の完全性を評価し得、1つ以上の摂動の存在は、ガンの進行を示す。
上記の診断アプローチは、当該分野で公知の広範な種々の予後および診断プロトコールの任意の1つと組合せられ得る。例えば、本明細書中に開示される本発明の別の実施態様は、PHOR−1遺伝子およびPHOR−1遺伝子産物の発現(またはPHOR−1遺伝子およびPHOR−1遺伝子産物の摂動)と、組織サンプルの状態を診断および予後する手段としての悪性腫瘍に関連する因子との間の一致を観察するための方法に関する。この状況においては、悪性腫瘍に関連する広範な種々の因子(例えば、悪性腫瘍に関連する別の遺伝子の発現(PSA、PSCA、およびPSMの発現を含む))、ならびに全体的な細胞学的観察(例えば、Bockingら、1984、Anal.Quant.Cytol.6(2):74−88;Eptsein,1995、Hum.Pathol.1995、Feb;26(2):223−9;Thorsonら、1998、Mod.Pathol.11(6):543−51;Baisdenら、1999、Am.J.Surg.Pathol.23(8):918−24を参照のこと)が利用され得る。PHOR−1遺伝子およびPHOR−1遺伝子産物の発現(またはPHOR−1遺伝子およびPHOR−1遺伝子産物中の摂動)と、悪性腫瘍に関連するさらなる因子との間の一致を観察するための方法は、例えば、一致する特定の因子のセットまたは集まりの存在が、組織サンプルの状態を診断および予後するための基準の情報を提供するので、有用である。
代表的な実施態様においては、PHOR−1遺伝子およびPHOR−1遺伝子産物の発現(またはPHOR−1遺伝子およびPHOR−1遺伝子産物の摂動)と、悪性腫瘍に関連する因子との間での一致を観察するための方法は、組織サンプル中のPHOR−1 mRNAまたはタンパク質の過剰発現を検出すること、組織サンプル中のPSA mRNAまたはタンパク質の過剰発現を検出すること、ならびにPHOR−1 mRNAまたはタンパク質と、PSA mRNAまたはタンパク質の過剰発現との間での一致を観察することを伴う。特定の実施態様においては、前立腺組織中でのPHOR−1およびPSAのmRNAの発現が試験される。好ましい実施態様においては、サンプル中のPHOR−1とPSAのmRNAの過剰発現の一致は、前立腺ガンの指標、前立腺ガンの罹患性、または前立腺腫瘍の発生もしくは存在を提供する。
PHOR−1のmRNAまたはタンパク質の発現を検出および定量するための方法が本明細書中に記載され、そして当該分野で周知の標準的な核酸およびタンパク質の検出および定量技術を使用する。PHOR−1 mRNAの検出および定量のための標準的な方法として、標識されたPHOR−1リボプローブを使用するインサイチュハイブリダイゼーション、ノーザンブロット、およびPHOR−1ポリヌクレオチドプローブを使用する関連技術、PHOR−1について特異的なプライマーを使用するRT−PCR分析、および他の増幅型の検出方法(例えば、分枝DNA、SISBA、TMAなど)が挙げられる。特定の実施態様においては、以下の実施例に記載されるように、半定量的RT−PCRが、PHOR−1 mRNAの発現を検出しそして定量するために使用され得る。PHOR−1を増幅し得るかなり多数のプライマーが、この目的のために試用され得、これには、本明細書中で詳細に記載される種々のプライマーのセットが挙げられるがこれらに限定されない。タンパク質の検出および定量のための標準的な方法が、この目的のために使用され得る。特定の実施態様においては、野生型のPHOR−1タンパク質と特異的に反応するポリクローナルまたはモノクローナル抗体が、生検組織の免疫組織化学的アッセイにおいて使用され得る。
(PHOR−1と相互作用する分子の同定)
本明細書中に開示されるPHOR−1タンパク質配列は、当業者が、PHOR−1と相互作用するタンパク質、低分子、および他の試薬、ならびに種々の当該分野で受容されているプロトコールの任意の1つを通じてPHOR−1によって活性化される経路を同定することを可能にする。例えば、当業者は、種々のいわゆる相互作用捕捉システム(「ツーハイブリッドアッセイ」とも呼ばれる)の1つを利用し得る。このようなシステムにおいては、相互作用する分子が、転写因子を再構成し、レポーター遺伝子の発現を指向し、次いでその発現がアッセイされる。代表的なシステムは、真核生物の転写活性化因子の再構成を通じてインビボでのタンパク質−タンパク質の相互作用を同定し、そしてこれは、例えば、米国特許第5,955,280号、同第5,925,523号、同第5,846,722号、および同第6,004,746号に開示されている。
あるいは、当業者は、PHOR−1タンパク質配列と相互作用する分子を、ペプチドライブラリーをスクリーニングすることによって同定し得る。このような方法においては、PHOR−1のような選択されたレセプター分子に結合するペプチドが、アミノ酸のランダムなまたは制御されたコレクションをコードするライブラリーをスクリーニングすることによって同定される。ライブラリーによってコードされるペプチドは、バクテリオファージコートタンパク質の融合タンパク質として発現され、次いで、バクテリオファージ粒子が、目的のレセプターに対してスクリーニングされる。従って、広範な種々の用途を有しているペプチド(例えば、治療薬または診断薬)が、期待されるリガンドまたはレセプター分子の構造についてのいかなる以前の情報をも用いることなく、同定され得る。PHOR−1タンパク質配列と相互作用する分子を同定するために使用され得る代表的なペプチドライブラリおよびスクリーニング方法が、例えば、米国特許第5,723,286号および同第5,733,731号に開示されている。GPCRと相互作用するかまたはその機能を変更する分子を同定するための例示的なアッセイが、Moonら、1999、PNAS 96(25):14605−14610;Breerら、1998、Ann.N.Y.Acad.Sci.855:175−181;およびSinnett−Smithら、2000、J.Biol.Chem.275(39):30644−30652に記載されている。
あるいは、PHOR−1を発現する細胞株が、PHOR−1によって媒介されるタンパク質−タンパク質相互作用を同定するために使用され得る。この可能性は、他の研究者によって示されているように、免疫沈降技術を使用して試験され得る(Hamilton BJら、Biochem.Biophys.Res.Commun.1999、261:646−51)。代表的には、PHOR−1タンパク質は、抗PHOR−1抗体を使用して、PHOR−1を発現する前立腺ガン細胞株から免疫沈降させられ得る。あるいは、His−タグに対する抗体が、PHOR−1を発現するように操作された細胞株中で使用され得る(上記のベクター)。免疫沈降させられた複合体は、ウェスタンブロッティング、タンパク質の35S−メチオニン標識、タンパク質の微小配列決定、銀染色、および二次元ゲル電気泳動のような手順によってタンパク質の会合について試験され得る。
PHOR−1と相互作用する低分子は、このようなスクリーニングアッセイの関連する実施態様を通じて同定され得る。例えば、リン酸化および脱リン酸化、二次メッセンジャーのシグナル伝達、および腫瘍形成を媒介するPHOR−1の能力を妨害する分子を含む、GPCRの機能を妨害する低分子が同定され得る。代表的な方法は、例えば、米国特許第5,928,868号に議論されており、そして少なくとも1つのリガンドが低分子であるハイブリッドリガンドを形成するための方法を含む。例示的な実施態様においては、次いで、ハイブリッドのリガンドが、第1および第2の発現ベクターを含む細胞中に順に導入される。それぞれの発現ベクターは、転写モジュールのコード配列に連結された標的のタンパク質をコードする、ハイブリッドタンパク質を発現するためのDNAを含む。細胞はさらに、レポーター遺伝子を含む。その発現は、互いに第1および第2のハイブリッドタンパク質の近位に条件付けられる。発現は、ハイブリッドのリガンドが両方のハイブリッドタンパク質上の標的部位に結合する場合にのみ、生じる事象である。レポーター遺伝子を発現するこれらの細胞が選択され、そして未知の低分子または未知のハイブリッドタンパク質が同定される。
本発明の代表的な実施態様は、図1A〜D(配列番号2)に示されるPHOR−1アミノ酸配列と相互作用する分子をスクリーニングする方法から構成される。この方法は、分子の集団をPHOR−1アミノ酸配列と接触させる工程、相互作用を容易にする条件下で分子の集団がPHOR−1アミノ酸配列と相互作用することを可能にする工程、PHOR−1アミノ酸配列と相互作用した分子の存在を決定する工程、次いでPHOR−1アミノ酸配列とは相互作用していない分子を、PHOR−1のアミノ酸配列と相互作用した分子から分離する工程を包含する。特定の実施態様においては、この方法はさらに、PHOR−1のアミノ酸配列と相互作用する分子を精製する工程を包含する。好ましい実施態様においては、PHOR−1アミノ酸配列は、ペプチドのライブラリーと接触させられる。
(治療方法および組成物)
前立腺ガンタンパク質としてのPHOR−1の同定は、前立腺ガンの処置のための多数の治療アプローチへの道を開く。上記に議論されているように、PHOR−1はG−タンパク質結合レセプター(GPCR)であり、そしてその発現は、コロニーの増殖を誘導し、そしてcAMPおよびチロシンのリン酸化を調節する。さらに、PHOR−1は、治療のために標的化され得る細胞表面のエピトープを示す。
PHOR−1の発現プロフィールは、MAGE、PSA、およびPMSAの面影を有し、これらは、黒色腫および他のガンにおいてアップレギュレートされる組織特異的遺伝子である(Van den EyndeおよびBoon,Int J Clin Lab Res.27:81−86、1997)。それらのガンにおける組織特異的発現および高い発現レベルに起因して、これらの分子は、ガンのワクチンのための標的として現在研究されている(Durrant,Anticancer Drugs 8:727−733、1997;Reynoldsら、Int J Cancer 72:927−976、1997)。PHOR−1の発現パターンは、それが同様に前立腺ガンについてのガンのワクチンアプローチのための理想的な標的であるという証拠を提供する。なぜなら、その発現は、ほとんどの正常な組織中では検出されないからである。GPCRとしてのその構造的な特徴もまた、PHOR−1が低分子の標的、ならびに抗体に基づく治療ストラテジーのための標的であり得るという証拠を提供する。治療ストラテジーは、分子のGPCR機能を阻害するか、またはPHOR−1分子自体を標的化するように設計され得る。
従って、PHOR−1の細胞外部分を標的化するか、またはPHOR−1タンパク質の活性を阻害することを目的とする治療アプローチが、前立腺ガンおよびPHOR−1を発現する他のガンを罹患している患者について有用であると予想される。PHOR−1タンパク質の活性を阻害することを目的とする治療アプローチは、一般的に2つのクラスに分けられる。1つのクラスは、PHOR−1タンパク質とその結合パートナーまたは他のタンパク質との結合または会合を阻害するための種々の方法を含む。別のクラスは、PHOR−1遺伝子の転写またはPHOR−1 mRNAの翻訳を阻害するための種々の方法を含む。
(抗体に基づく治療の細胞表面の標的としてのPHOR−1)
PHOR−1の細胞表面での発現は、この分子が抗体に基づく治療ストラテジーについての魅力的な標的であることを示す。PHOR−1がガン細胞上で発現され、そしてほとんどの正常な細胞上では発現されないので、PHOR−1免疫反応性組成物の全身的な投与は、標的ではない器官および組織への免疫治療分子の結合によって引き起こされる毒性、非特異性、および/または非標的効果を伴わずに、良好な感受性を示すことが予想される。PHOR−1の細胞外ドメインと特異的に反応する抗体は、毒素もしくは治療薬との結合体として、または細胞の増殖もしくは機能を阻害し得る裸の抗体としてのいずれかで、PHOR−1を発現するガンを全身的に処置するために有用であり得る。
PHOR−1抗体は、抗体がガン細胞上のPHOR−1に結合し、そして細胞および腫瘍の崩壊を媒介し、そして/または細胞もしくは腫瘍の増殖を阻害するように、患者中に導入され得る。このような抗体が治療効果を発揮する機構は、補体によって媒介される細胞の溶解、抗体依存性の細胞性の細胞傷害性、PHOR−1の生理学的機能を調節すること、リガンド結合またはシグナル伝達経路を阻害すること、腫瘍細胞の分化を調節すること、腫瘍の血管形成因子のプロフィールを変更すること、ならびに/またはアポトーシスを誘導することによることを含み得る。PHOR−1抗体は、毒性の試薬または治療薬に結合させられ得、そしてPHOR−1を保有している腫瘍細胞に対して直接毒性の試薬または治療薬を送達するために使用され得る。毒性の試薬の例として、カリヒマイシン(calchemicin)、マイタンシノイド(maytansinoids)、放射性同位元素(例えば、131I、イットリウム、ビスマス)が挙げられるが、これらに限定されない。
抗PHOR−1抗体を使用するガンの免疫治療は、以下を含むがこれらに限定されない他の型のガンの処置において良好に使用されている種々のアプローチから生成される教示に従い得る:結腸ガン(Arlenら、1998、Crit.Rev.Immunol.18:133−138)、多発性骨髄腫(Ozakiら、1997、Blood 90:3179−3186;Tsunenariら、1997、Blood 90:2437−2444)、胃ガン(Kasprzykら、1992、Cancer Res.52:2771−2776)、B細胞リンパ腫(Funakoshiら、1996、J.Immunother.Emphasis Tumor Immunol.19:93−101)、白血病(Zhongら、1996、Leuk.Res.20:581−589)、結腸直腸ガン(Mounら、1994、Cancer Res.54:6160−6166);Veldersら、1995、Cancer Res.55:4398−4403)、および乳ガン(Shepardら、1991、J.Clin.Immunol.11:117−127)。いくつかの治療アプローチは、毒素に対する裸の抗体の結合化(例えば、抗CD20抗体に対する131Iの結合化(例えば、Bexxar、Coulter Pharmaceutical)が挙げられるが、一方、他のアプローチは、抗体および他の治療薬の同時の投与(例えば、Herceptin TM(Trastuzumab)とパクリタキセル(Genentech,Inc.))を含む。前立腺ガンの処置については、例えば、PHOR−1抗体は、照射、化学療法、またはホルモンの除去と組合せて、投与され得る。
PHOR−1抗体治療は、全てのステージのガンについて有用であり得るが、抗体治療は、進行したかまたは転移性のガンにおいて特に適切であり得る。本発明の抗体治療を用いる処置は、以前に1回以上の化学療法を受けた患者について示され得、一方、本発明の抗体治療と化学療法または照射のレジメンとの組合せが、化学療法による処置を受けていない患者について好ましくあり得る。さらに、抗体治療は、付随する化学療法の減少した投与量の使用を可能にし得、特に、化学療法薬の毒性に寛容ではない患者について、非常に良好である。
いくつかのガン患者については、好ましくは、腫瘍組織の免疫組織化学的な評価、定量的なPHOR−1の画像化、またはPHOR−1の発現の存在および程度を確実に示し得る他の技術を使用して、PHOR−1の発現の存在およびその発現のレベルを評価することが所望され得る。腫瘍の生検または外科的な標本の免疫組織化学的な分析が、この目的のために好ましくあり得る。腫瘍組織の免疫組織化学的分析のための方法は、当該分野で周知である。
前立腺および他のガンを処置することにおいて有用である抗PHOR−1モノクローナル抗体として、腫瘍に対する強力な免疫応答を開始し得るもの、および直接細胞傷害性であり得るものが挙げられる。これに関して、抗−PHOR−1モノクローナル抗体(mAb)は、補体によって媒介される細胞の細胞傷害性または抗体依存性の細胞の細胞傷害性(ADCC)の機能(これらの両方ともが、エフェクター細胞のFcレセプター部位または補体タンパク質との相互作用のために、イムノグロブリン分子のインタクトなFc部分を必要とする)のいずれかによって、腫瘍細胞の溶解を誘発し得る。さらに、腫瘍の増殖に対して直接的な生物学的効果を発揮する抗PHOR−1 mAbが、本発明の実施において有用である。このような直接的な細胞傷害性のmAbが作用し得る可能性のある機構として、細胞の増殖の阻害、細胞の分化の調節、腫瘍の血管形成因子のプロフィールの調節、およびアポトーシスの誘導が挙げられる。特定の抗−PHOR−1 mAbが抗腫瘍効果を発揮する機構は、ADCC、ADMMC、補体によって媒介される細胞の溶解などを決定するように設計されたかなり多数のインビトロでのアッセイを使用して、当該分野で一般的に公知であるように評価され得る。
マウスもしくは他の非ヒトモノクローナル抗体、またはヒト/マウスのキメラmAbの使用は、いくつかの患者において、中程度〜強力な免疫応答を誘導し得る。いくつかの例においては、これは、循環からの抗体のクリアランスおよび減少した効率を生じる。最も重篤な例においては、このような免疫応答は、腎不全を生じ得る可能性のある免疫複合体の多量の形成を導き得る、従って、本発明の治療方法の実施において使用される好ましいモノクローナル抗体は、完全なヒトまたはヒト化されたもののいずれかであり、そして高い親和性で標的のPHOR−1抗原に対して特異的に結合するが、患者において低い抗原性を示すかまたは抗原性を示さないものである。
本発明の治療方法は、単一の抗PHOR−1 mAbの、ならびに種々のmAbの組合せまたは混合物の投与を意図する。このようなmAbの混合物は、それらが種々のエピトープを標的化し、種々のエフェクター機構を利用するか、または免疫エフェクター機能に依存するmAbと細胞傷害性のmAbとを直接結合するmAbを含む限りにおいて、特定の利点を有し得る。組合せ中のこのようなmAbは、相乗的治療効果を示し得る。さらに、抗PHOR−1 mAbの投与は、以下を含むがこれらに限定されない他の治療薬と組合せられ得る:種々の化学療法剤、アンドロゲンブロッカー、および免疫調節因子(例えば、IL−2、GM−CSF)。抗PHOR−1 mAbは、それらの「裸の」形態または結合していない形態で投与され得るか、あるいはそれらに対して結合体化した治療薬を有し得る。
抗PHOR−1抗体処方物は、腫瘍部位へ抗体を送達し得る任意の経路を通じて投与され得る。可能性のある有効な投与経路として、静脈内、腹腔内、筋肉内、腫瘍内、皮内などが挙げられるが、これらに限定されない。処置は一般的には、静脈内注射(IV)(代表的には、約0.1から約10mg/kg体重の範囲の用量)のような受容可能な投与経路を通じる、抗PHOR−1抗体調製物の繰り返しの投与を含む。1週間あたりで10〜500mgの範囲のmAbの用量が、有効であり得、そして十分に寛容化され得る。
転移性の乳ガンの処置におけるHerceptin mAbでの臨床試験に基づいて、約4mg/kg患者体重のIVの最初の負荷用量、続く約2mg/kgIVの抗PHOR−1 mAb調製物の毎週の用量が、受容可能な用量レジメンを示し得る。好ましくは、最初の負荷用量は、90分以上の注入として投与される。期間維持用量は、最初の用量が十分に寛容化される場合は、30分以上の注入として投与され得る。しかし、当業者によって理解されるように、種々の因子が、特定の症例における理想的な投与レジメンに影響を与える。このような因子として、例えば、結合親和性および使用されるAbまたはmAbの半減期、患者におけるPHOR−1の発現の程度、循環している破棄された(shed)PHOR−1抗原の程度、所望される定常状態の抗体濃度レベル、処置の頻度、ならびに本発明の処置方法と組合せて使用される化学療法剤の影響が挙げられ得る。
必要に応じて、患者は、最も有効な投与レジメンおよび関連する因子の決定を補助するために、血清中の循環している破棄されたPHOR−1抗原のレベルについて評価されるべきである。このような評価はまた、治療を通じて目的のものをモニタリングするために使用され得、そして他のパラメーター(例えば、前立腺ガン治療における血清PSAレベル)を評価することと組合せて良好である計測治療に有用であり得る。
(PHOR−1タンパク質機能の阻害)
本発明は、PHOR−1のその結合パートナーまたはリガンドに対する結合を阻害する種々の方法および組成物、またはPHOR−1機能を阻害するための他のタンパク質(単数または複数)および方法とのその組合せを含む。PHOR−1のN末端を標的化する分子(例えば、以下の実施例に記載される抗体)は、それらがおそらく、PHOR−1上のリガンド結合部位を標的化するので、タンパク質機能を阻害するために特に魅力的である。
(組換えタンパク質でのPHOR−1の阻害)
1つのアプローチにおいては、PHOR−1に結合し得、それによってPHOR−1がその結合パートナー(単数または複数)に対して会合/結合すること、または他のタンパク質(単数または複数)と会合することを妨げ得る、組換え分子が、PHOR−1機能を阻害するために使用される。このような組換え分子は、例えば、PHOR−1特異的抗体分子の反応性の部分(単数または複数)を含み得る。特定の実施態様においては、PHOR−1結合パートナーのPHOR−1結合ドメインが、ヒトのIgG(例えば、ヒトのIgG1)のFc部分に対して連結された2つのPHOR−1リガンド結合ドメインを含有している二量体の融合タンパク質中に操作され得る。このようなIgG部分は、例えば、CH2およびCH3ドメイン、ならびにヒンジ領域を含み得るが、CH1ドメインは含まない。このような二量体の融合タンパク質は、可溶性の形態で、PHOR−1の発現に関連しているガン(前立腺、乳房、膀胱、肺、骨、結腸、膵臓、精巣、頚、および卵巣のガンを含むがこれらに限定されない)を罹患している患者に対して投与され得る。ここでは、二量体の融合タンパク質はPHOR−1に特異的に結合し、それによって結合パートナーとのPHOR−1の相互作用をブロックする。このような二量体の融合タンパク質はさらに、公知の抗体連結技術を使用して多量体のタンパク質へと結合させられ得る。
(細胞内抗体を用いるPHOR−1の阻害)
別のアプローチにおいては、PHOR−1に特異的に結合する単鎖抗体をコードする組換えベクターが、遺伝子導入技術を通じてPHOR−1を発現する細胞中に導入され得る。ここでは、コードされる単鎖の抗PHOR−1抗体は、細胞内で発現され、PHOR−1タンパク質に結合し、そしてそれによってその機能を阻害する。このような細胞内単鎖抗体を操作するための方法は、周知である。このような細胞内抗体はまた、「イントラボディー(intrabodies)」としても公知であり、細胞内の特定の部分に対して特異的に標的化され得、それによって処置の阻害活性が集められる場所にわたって制御を提供する。この技術は、当該分野で良好に適用されている(概要については、RichardsonおよびMarasco、1995、TIBTECH、第13巻)。イントラボディーは、他の豊富な細胞表面レセプターの発現を実質的に排除することが示されている。例えば、Richardsonら、1995、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:3137−3141;Beerliら、1994、J.Biol.Chem.289:23931−23936;Deshaneら、1994、Gene Ther.1:332−337を参照のこと。
単鎖抗体は、可撓性のリンカーポリペプチドによって連結された重鎖および軽鎖の可変ドメインを含み、そして単一のポリペプチドとして発現される。必要に応じて、単鎖抗体が、軽鎖の定常領域に対して連結された単鎖の可変領域フラグメントとして発現され得る。周知の細胞内輸送シグナルが、所望される細胞内部分に対して発現されたイントラボディーを正確に標的化するために、このような単鎖抗体をコードする組換えのポリヌクレオチドベクター中に操作され得る。例えば、小胞体(ER)に対して標的化されたイントラボディーは、リーダーペプチドを、そして必要に応じて、KDELアミノ酸モチーフのようなC末端のER保持シグナルを取り込むように操作され得る。核内で活性を発揮するように意図されたイントラボディーは、核局在化シグナルを含むように操作され得る。脂質部分は、血漿膜の細胞質ゾル側にイントラボディーを鎖でつなぐように、イントラボディーに対して連結され得る。イントラボディーはまた、細胞質ゾル中で機能を発揮するように標的化され得る。例えば、細胞質ゾルのイントラボディーは、細胞質ゾル中の因子を隔離するために使用され得、それによってそれらを、それらの天然の細胞性の目的地に対して輸送されることから妨げる。
1つの実施態様においては、PHOR−1イントラボディーは、特定のPHOR−1ドメインに対して特異的に結合するように設計される。例えば、PHOR−1タンパク質に特異的に結合する細胞質ゾルのイントラボディーは、PHOR−1に関連する分子が核に対する接近を得ることを防止するために使用され得、それによって、それが核内で任意の生物学的活性を発揮することを防止する。
このような特定の腫瘍細胞について特異的なイントラボディーの発現を指向するために、イントラボディーの転写が、適切な腫瘍特異的プロモーターおよび/またはエンハンサーの調節制御下に配置され得る。前立腺について特異的なイントラボディーの発現を標的化するために、例えば、PSAプロモーターおよび/またはプロモーター/エンハンサーが利用され得る(例えば、米国特許第5,919,652号を参照のこと)。
(PHOR−1の転写または翻訳の阻害)
別のクラスの治療アプローチにおいては、本発明は、PHOR−1遺伝子の転写を阻害するための種々の方法および組成物を提供する。同様に、本発明はまた、タンパク質へのPHOR−1 mRNAの翻訳を阻害するための方法および組成物を提供する。
1つのアプローチにおいては、PHOR−1遺伝子の転写を阻害する方法は、PHOR−1遺伝子をPHOR−1アンチセンスポリヌクレオチドと接触させることを含む。別のアプローチにおいては、PHOR−1 mRNAの翻訳を阻害する方法は、アンチセンスポリヌクレオチドとPHOR−1 mRNAを接触させることを含む。別のアプローチにおいては、PHOR−1特異的リボザイムが、PHOR−1メッセージを切断するために使用され得、それによって翻訳が阻害される。このようなアンチセンスおよびリボザイムに基づく方法はまた、PHOR−1遺伝子の調節領域(例えば、PHOR−1プロモーターおよび/またはエンハンサーエレメント)に対して指向され得る。同様に、PHOR−1遺伝子の転写因子を阻害し得るタンパク質が、PHOR−1 mRNAの転写を阻害するために使用され得る。上記の方法において有用である種々のポリヌクレオチドおよび組成物が、上記に記載されている。転写および翻訳を阻害するためのアンチセンスおよびリボザイム分子の使用は当該分野で周知である。
PHOR−1転写活性を妨害することを通じてPHOR−1の転写を阻害する他の因子もまた、PHOR−1を発現するガンの処置のために有用であり得る。同様に、PHOR−1のプロセシングを妨害し得る因子が、PHOR−1を発現するガンの処置に有用であり得る。このような因子を利用するガンの処置方法もまた、本発明の範囲内である。
(治療ストラテジーについての一般的な考察)
遺伝子導入および遺伝子治療技術が、PHOR−1を合成する腫瘍細胞に対して治療用のポリヌクレオチド分子(すなわち、アンチセンス、リボザイム、イントラボディーをコードするポリヌクレオチド、および他のPHOR−1阻害分子)を送達するために使用され得る。多数の遺伝子治療アプローチが当該分野で公知である。PHOR−1アンチセンスポリヌクレオチド、リボザイム、PHOR−1の転写を妨害し得る因子などをコードする組換えベクターが、このような遺伝子治療アプローチを使用して腫瘍細胞を標的化するために送達させられ得る。
上記の治療アプローチは、広範の種々の化学療法または放射線治療レジメの任意の1つと組合せられ得る。これらの治療アプローチもまた、化学療法の減少した投与量および/またはより少ない頻度の投与の使用を、特に、化学療法剤の毒性を十分に寛容化しない患者において可能にし得る。
特定の組成物(例えば、アンチセンス、リボザイム、イントラボディー)の抗腫瘍活性、またはこのような組成物の組合せが、種々のインビトロおよびインビボでのアッセイシステムを使用して評価され得る。治療能力を評価するためのインビトロでのアッセイとして、細胞増殖アッセイ、軟らかい寒天アッセイ、および腫瘍促進活性を示す他のアッセイ、治療組成物が結合パートナーに対するPHOR−1の結合を阻害する程度を決定し得る結合アッセイなどが挙げられる。
インビボでは、PHOR−1治療組成物の効果は、適切な動物モデルにおいて評価され得る。例えば、異種の前立腺ガンのモデル(ここでは、ヒトの前立腺ガン細胞の移植片または継代された異種移植片組織が、免疫和解された動物(例えば、ヌードマウスまたはSCIDマウス)中に導入される)が、前立腺ガンに対する関係において適切であり、そして記載されている(Kleinら、1997、Nature Medicine 3:402−408)。例えば、1998年4月23日に公開された、PCT特許出願第WO98/16628号、Sawyersらは、初代の腫瘍の発達、微小な転移、および後期の疾患の特徴である骨芽細胞の転移の形成を要約し得るヒトの前立腺ガンの種々の異種移植片モデルを記載している。効率は、腫瘍形成、腫瘍の退行、または転移などの阻害を測定するアッセイを使用して推定され得る。以下の実施例をもまた参照のこと。
インビボでのアッセイにおいては、アポトーシスの促進のクオリファイもまた、可能性のある治療組成物を評価することにおいて有用であり得る。1つの実施態様においては、治療組成物で処置された生存しているマウスに由来する異種移植片が、アポトーシス性の病巣の存在について試験され、そして処置されていないコントロールの異種移植片を保有しているマウスに対して比較される。アポトーシス性の病巣が処置されたマウスの腫瘍中で見出される程度は、組成物の治療効率の指標を提供する。
上記の方法の実施において使用される治療用組成物は、所望される送達方法のための適切なキャリアを含有している薬学的組成物中に処方され得る。適切なキャリアとして、治療組成物とともに混合された場合に、治療組成物の抗腫瘍機能を保持し、そして患者の免疫システムと反応しない任意の材料が挙げられる。例として、滅菌のリン酸緩衝化生理食塩水、静菌水などのような、任意の多数の標準的な薬学的キャリアなどが挙げられるがこれらに限定されない(一般的には、Remington’s Pharmaceutical Sciences 第16版、A.Osal.編、1980を参照のこと)。
治療用処方物は可溶化され得、そして、腫瘍部位に治療用組成物を送達し得る任意の経路を通じて投与され得る。可能性のある有効な投与経路として、静脈内、非経口、腹腔内、筋肉内、腫瘍内、皮内、器官内、正常位などが挙げられるが、これらに限定されない。静脈内注射のための好ましい処方物として、保存された静菌水、滅菌の保存されていない水、および/または0.9%の注射のための滅菌の塩化ナトリウム(USP)を含有しているポリビニルクロライドもしくはポリエチレンバッグ中に稀釈された溶液中の治療用組成物が挙げられる。治療用タンパク質調製物は、凍結乾燥させられ得、そして滅菌の散剤として、好ましくは、減圧下で保存され、次いで、注射の前に、例えば、ベンジルアルコール保存料を含有している静菌水中でまたは滅菌水中で再構成され得る。
以下の方法を使用するガンの処置のための投与量および投与プロトコールは、方法および標的のガンによって変化し、そして、当該分野で示されている多数の他の因子に一般に依存する。
(ガンのワクチン)
本発明はさらに、PHOR−1タンパク質またはそのフラグメントからなるガンのワクチン、ならびにDNAに基づくワクチンを提供する。前立腺および腫瘍に制限されたPHOR−1の発現に関して、PHOR−1のガンワクチンは、標的以外の組織に対して非特異的な影響を生じることなく、PHOR−1を発現するガンを特異的に予防しそして/または処置することにおいて有効であると予想される。抗ガン治療における使用のための体液によっておよび細胞によって媒介される免疫性を作成するためのワクチンにおける腫瘍抗原の使用は、当該分野で周知であり、そしてヒトのPSMAおよびげっ歯類のPAP免疫原を使用して、前立腺ガンにおいて使用されている(Hodgeら、1995、Int.J.Cancer 63:231−237;Fongら、1997、J.Immunol.159:3113−3137)。このような方法は、PHOR−1タンパク質もしくはそのフラグメント、またはPHOR−1をコードする核酸分子、およびPHOR−1免疫原を発現し得そしてPHOR−1免疫原を適切に提示し得る組換えベクターを使用することによって、容易に行われ得る。
例えば、ウイルス遺伝子送達システムは、PHOR−1をコードする核酸分子を送達するために使用され得る。本発明のこの局面の実施において使用され得る種々のウイルス遺伝子送達システムとして、以下が挙げられるがこれらに限定されない:ワクシニア、鶏痘、カナリアポックス、アデノウイルス、インフルエンザ、ポリオウイルス、アデノ随伴ウイルス、レンチウイルス、およびシンドビスウイルス(Restifo、1996,Curr.Opin.Immunol.8:658−663)。非ウイルス送達システムもまた、抗腫瘍応答を誘導するために患者に(例えば、筋肉内で)導入されるPHOR−1タンパク質またはそのフラグメントをコードする裸のNDAを使用することによって使用され得る。1つの実施態様においては、全長のヒトのPHOR−1 cDNAが使用され得る。
1つの実施態様においては、PHOR−1ガンワクチンは、図1A〜D(配列番号2)に示されるPHOR−1のアミノ酸配列内の免疫原性ペプチドの同定に基づく。以下の実施例においてさらに議論されるように、PHOR−1の特異的な部分が、TおよびB細胞応答を誘導することが示されている。PHOR−1(図1A〜D;配列番号2)のアミノ酸86から310を含有しているGST融合タンパク質は、モノクローナル抗体の産生のためにマウス中で免疫応答を作成するために使用されている。この同じGST−PHOR−1融合タンパク質、ならびにPHOR−1のアミノ酸1〜14(MVDPNGNESSATYF;配列番号8)および262〜274(VHRFSKRRDSPLP;配列番号9)に対応する2つのペプチドが、ポリクローナル抗体の産生のためにウサギ中で免疫応答を作成するために使用されている。従って、PHOR−1のこれらの特異的部分、およびこれらの部分をコードするポリヌクレオチドが、ガンワクチンの産生のために選択され得る。
別の実施態様においては、特異的細胞毒性のTリンパ球(CTL)エピトープをコードするPHOR−1核酸分子が使用され得る、CTLエピトープは、特定されたHLA対立遺伝子に最適に結合し得るPHOR−1タンパク質中のペプチドを同定するための、特異的なアルゴリズム(例えば、Epimer、Brown University)を使用して決定され得る。1つの適切なアルゴリズムは、Bioinformatics and Molecular Analysis Section(BIMAS)ウェブサイト(http://bimas.dcrt.nih.gov/)で利用可能な、HLA Peptide Motif Searchアルゴリズムである。このアルゴリズムは、HLAクラスI分子の溝、および特に、HLA−A2中の特異的なペプチド配列の結合に基づく(Falkら、1991、Nature 351:290−6;Huntら、1992、Science 255:1261−3;Parkerら、1992、J.Immunol.149:3580−7;Parkerら、1994,J.Immunol.152:163−75)。HLA Peptide Motif Searchアルゴリズムは、HLA−A2ならびにクラスI分子に対する推定される結合のための完全なタンパク質配列に由来する、8マー、9マー、および10マーのペプチドの位置決定およびランキングを可能にする。ほとんどのHLA−A2結合ペプチドが9マーであり、好ましくは、2位にロイシン、そして9位にバリンまたはロイシンを含有する(Parkerら、1992、J.Immunol.149:3580−7)。HLA−A2へのペプチドの実際の結合は、抗原プロセシング欠損細胞株T2上でのHLA−A2の発現の安定化によって評価され得る(Xueら、1997、Prostate 30:73−8;Peshwaら、1998、Prostate 36:129−38)。特異的なペプチドの免疫原性は、樹状細胞の存在下でのCD8+ CTLの刺激によってインビトロで評価され得る(Xueら;Peshwaら、前出)。
種々のエキソビボのストラテジーもまた、使用され得る。1つのアプローチは、患者の免疫システムに対してPHOR−1抗原を提示するための樹状細胞の使用を含む。樹状細胞は、MHCクラスIおよびII、B7同時刺激因子、ならびにIL−12を発現し、そして従って、高度に特殊化された抗原提示細胞である。前立腺ガンにおいては、前立腺特異的膜抗原(PSMA)のペプチドでパルスされた自己由来の樹状細胞が、前立腺ガンの患者の免疫システムを刺激するためのPhase Iの臨床試験において使用される(Tjoaら、1996、Prostate 28:65−69;Murphyら、1996、Prostate 29:371−380)。樹状細胞は、MHCクラスIおよびII分子の状況においてT細胞に対してPHOR−1ペプチドを提示するために使用され得る。1つの実施態様においては、自己由来の樹状細胞が、MHC分子に結合し得るPHOR−1ペプチドでパルスされる。別の実施態様においては、樹状細胞が、完全なPHOR−1タンパク質でパルスされる。なお別の実施態様は、以下のような当該分野で公知の種々の実行ベクターを使用して樹状細胞中のPHOR−1遺伝子の過剰発現を操作することを含む:アデノウイルス(Arthurら、1997、Cancer Gene Ther.4:17−25)、レトロウイルス(Hendersonら、1996、Cancer Res.56:3763−3770)、レンチウイルス、アデノ随伴ウイルス、DNAトランスフェクション(Ribasら、1997、Cancer Res.57:2865−2869)、および腫瘍に由来するRNAトランスフェクション(Ashleyら、1997、J.Exp.Med.186:1177−1182)。PHOR−1を発現する細胞もまた、GM−CSFのような免疫調節因子を発現するように操作され得、そして免疫化試薬として使用され得る。
抗イディオタイプ抗PHOR−1抗体もまた、PHOR−1タンパク質を発現する細胞に対して免疫応答を誘導するためのワクチンつとして、抗ガン治療において使用され得る。詳細には、抗イディオタイプ抗体の生成は当該分野で周知であり、そしてPHOR−1タンパク質上のエピトープを模倣する抗イディオタイプ抗PHOR−1抗体を作成するように容易に適合させられ得る(例えば、Wagnerら、1997、Hybridoma 16:33−40;Foonら、1995、J Clin Invest 96:334−342;Herlynら、1996、Cancer Immunol Immunother 43:65−76を参照のこと)。このような抗イディオタイプ抗体は、ガンのワクチンストラテジーにおいて使用され得る。
遺伝子による免疫化方法が、PHOR−1を発現するガン細胞に対して指向された予防的または治療的な体液性および細胞性の免疫応答を作成するために使用され得る。PHOR−1タンパク質/免疫原をコードするDNA、および適切な調節配列を含有している構築物が、個体の筋肉または皮膚中に直接注射され得る。その結果、筋肉または皮膚の細胞は、構築物を取りこみ、そしてコードされるPHOR−1タンパク質/免疫原を発現する。PHOR−1タンパク質免疫原の発現は、前立腺および他のPHOR−1を発現するガンに対する予防的または治療的な体液性および細胞性の免疫の作成を生じる。当該分野で公知の種々の予防的および治療的な遺伝子による免疫化技術が、使用され得る(概説については、インターネットアドレスwww.genweb.comで公開されている情報および参考文献を参照のこと)。
(キット)
上記に記載されているかまたは示唆されている診断用および治療用の適用における使用については、キットがまた本発明によって提供される。このようなキットは、閉じられた制限の中に、1つ以上の容器手段(例えば、バイアル、チューブなど)を受容させられる仕切られたキャリア手段を含み得る。それぞれの容器手段は、この方法において使用される別々のエレメントの1つを含有している。例えば、1つの容器手段は、検出可能な標識であるかまたは検出可能に標識され得るプローブを含み得る。このようなプローブは、それぞれPHOR−1タンパク質またはPHOR−1遺伝子またはメッセージについて特異的な抗体またはポリヌクレオチドであり得る。キットが標的の核酸を検出するために核酸のハイブリダイゼーションを利用する場合には、キットはまた、標的の核酸配列の増幅のためのヌクレオチド(単数または複数)を含有している容器、および/あるいはレポーター手段(例えば、レポーター分子(例えば、酵素標識、蛍光標識、または放射性同位元素標識)に対して結合させられたビオチン結合タンパク質(例えば、アビジンまたはストレプトアビジン))を含有している容器を有し得る。
本発明のキットは、代表的には、上記に記載されている容器、および商業的にそして使用者の視点から所望される材料(緩衝液、稀釈液、フィルター、針、シリンジ、および使用のための説明書を有するパッケージ挿入物を含む)を含有している1つ以上の他の容器を含む。組成物が特異的な治療または非治療的な適用のために使用されることを示す標識は、容器上に存在し得、そしてまた、上記に記載されているようなインビボまたはインビトロでのいずれかの使用のための指針を示し得る。
PHOR−1 cDNAは、プラスミドp101P3A11としてアメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC;10801 University Blvd.,Manassas,VA 20110−2209 USA)に、1999年7月2日にブダペスト条約に基づいて寄託され、そして登録番号N.PTA−312を与えられている。
(実施例)
本発明の種々の局面がさらに記載され、そして以下のいくつかの実施例の方法によって説明される。これらの全てが、本発明の範囲を制限するようには意図されない。
(実施例1:PHOR−1遺伝子のcDNAフラグメントのSSHによって生成された単離物)
(材料および方法)
(LACP異種移植片:)
LACP異種移植片を、Dr.Charles Sawyers(UCLA)から入手し、そして記載されているように作成した(Kleinら、1997、Nature Med.3:402−408;Craftら、1999、Cancer Res.59:5030−5036)。アンドロゲン依存性および非依存性のLACP−4異種移植片(それぞれ、LAPC−4 ADおよびAI)ならびにLAPC−9異種移植片(それぞれ、LAPC−9 ADおよびAI)を、インタクトな雄性のSCIDマウスまたは去勢した雄性中でそれぞれ増殖させ、そしてレシピエントの雄性においてかなりの量の小さい組織として継代した。LAPC−4 AI異種移植片は、LAPC−4 AD腫瘍から誘導し、そしてLAPC−9 AI異種移植片は、LAPC−9 AD腫瘍から誘導した。AI異種移植片を作成するために、LAPC AD腫瘍を保有している雄性のマウスを去勢し、そして2〜3ヶ月間維持した。LAPC腫瘍の再増殖後、腫瘍を回収し、そして去勢した雄性または雌性のSCIDマウス中に移した。
(細胞株:)
ヒトの細胞株(例えば、HeLa)を、ATCCから入手し、そして10%のウシの胎児の血清を有しているDMEM中で維持した。
(RNAの単離:)
腫瘍組織および細胞株を、Trizol試薬(Life Technologies,Gibco BRL)中で、10ml/g組織または10ml/108個の細胞を使用して、全RNAを単離するためにホモジナイズした。ポリA RNAを、QuiagenのOligotex mRNA Mini and Midiキットを使用して全RNAから精製した。全mRNAを、分光光度分析(O.D.260/280nm)によって定量し、そしてゲル電気泳動によって分析した。
(オリゴヌクレオチド:)
以下のHPLC精製したオリゴヌクレオチドを使用した。
DPNCDN(cDNA合成プライマー)(配列番号21): 5’TTTTGATCAAGCTT303’ アダプター1(それぞれ、配列番号22および配列番号23): 5’CTAATACGACTCACTATAGGGCTCGAGCGGCCGCCCGGGCAG3’ 3’GGCCCGTCCTAG5’ アダプター2(それぞれ、配列番号24および配列番号25): 5’GTAATACGACTCACTATAGGGCAGCGTGGTCGCGGCCGAG3’ 3’CGGCTCCTAG5’ PCRプライマー1(配列番号26): 5’CTAATACGACTCACTATAGGGC3’ ネストプライマー(NP)1(配列番号27): 5’TCGAGCGGCCGCCCGGGCAGGA3’ ネストプライマー(NP)2(配列番号28): 5’AGCGTGGTCGCGGCCGAGGA3’ (抑制サブトラクティブハイブリダイゼーション:)
抑制サブトラクティブハイブリダイゼーション(SSH)を、アンドロゲン非依存性のガンと比較して、アンドロゲン依存性の前立腺ガンにおいてアップレギュレートされ得る遺伝子に対応しているcDNAを同定するために使用した。
去勢の14日後のLAPC−4 AD異種移植片(テスター)、およびLAPC−4AD異種移植片(ドライバー)に対応している二本鎖のcDNAを、上記に記載するように、異種移植片組織から単離した2μgのポリ(A)+RNAから、CLONTECHのPCR−Select cDNA Subtraction Kitおよび1ngのオリゴヌクレオチドDPNCDNをプライマーとして使用して、合成した。第1鎖および第2鎖の合成を、キットの使用者のマニュアルプロトコール(CLONTECH Protocol No.PT1117−1、Catalog No.K1804−1)に記載されているように行った。得られたcDNAを、DpnIIで3時間、37℃で消化した。消化したcDNAを、フェノール/クロロホルム(1:1)で抽出し、そしてエタノール沈殿させた。
ドライバーcDNA(LAPC−4 AD)を、ヒトの良性の前立腺の過形成(BPH)、ヒトの細胞株HeLa、293、A431、Colo205、およびマウスの肝臓に由来する消化したcDNAの混合物との、DpnIIで消化したLAPC−4 AD cDNAの1:1での混合によって作成した。
テスターcDNA(LAPC−4 AD,去勢の14日後)を、去勢の14日後に1μlのDpn IIで消化したLAPC−4 ADのcDNA(400ng)を、5μlの水中に稀釈することによって生成した。次いで、稀釈したcDNA(2μl、160ng)を、2μlのアダプター1およびアダプター2(10μl)に対して、別々の連結反応において、10μlの全容量中で16℃で一晩、400uのT4 DNAリガーゼ(CLONTECH)を使用して連結させた。連結を、1μlの0.2MのEDTAおよび72℃で5分間の加熱を用いて停止させた。
最初のハイブリダイゼーションを、1.5μl(600ng)のドライバーcDNAを、1.5μg(20ng)のアダプター1およびアダプター2を連結させたテスターcDNAを含有している2つのそれぞれのチューブに添加することによって行った。4μlの最終容量中で、サンプルにミネラルオイルを重層し、MJ Researchサーマルサイクラー中で98℃で1.5分間変性させ、次いで68℃で8時間ハイブリダイズさせた。次いで、2つのハイブリダイゼーションを、さらなる1μlの新しい変性ドライバーcDNAとともに混合し、そして68℃で一晩ハイブリダイズさせた。次いで、第2回目のハイブリダイゼーションを、20mMの200μlのHepes(pH8.3)、50mMのNaCl、0.2mMのEDTA中に稀釈し、70℃で7分間加熱し、そして−20℃で保存した。
(SSHによって生成した遺伝子フラグメントのPCR増幅、クローニング、および配列決定)
SSH反応によって得られた遺伝子フラグメントを増幅するために、2回のPCR増幅を行った。最初のPCR反応においては、1μlの稀釈した最終のハイブリダイゼーション混合物を、25μlの最終容量中の1μlのPCRプライマー1(10μM)、0.5μlのdNTP混合物(10μM)、2.5μlの10×反応緩衝液(CLONTECH)、および0.5μlの50×Advantage cDNAポリメラーゼMix(CLONTECH)に対して、添加した。PCR1を、以下の条件を使用して行った:75℃で5分間、94℃で25秒間、次いで27サイクルの、94℃で10秒間、66℃で30秒間、72℃で1.5分間。5個の別々の最初のPCR反応を、それぞれの実験について行った。生成物をプールし、そして水で1:10に稀釈した。第2回目のPCR反応については、プールしそして稀釈した最初のPCR反応物を、プライマーNP1およびNP2(10μM)をPCRプライマー1の代わりに使用したことをのぞいて、PCR1について使用したものと同じ反応混合物に対して添加した。PCR2を、10〜12サイクルの、94℃で10秒、68℃で30秒、72℃で1.5分を使用して行った。PCR産物を、2%のアガロースゲル電気始動を使用して分析した。
PCR産物を、T/Aベクタークローニングキット(Invitrogen)を使用してpCR2.1中に挿入した。形質転換したE.coliを、青色/白色選択およびアンピシリン選択に供した。白色のコロニーを採取し、そして96ウェルプレート中に並べ、そして液体培養物中で一晩増殖させた。挿入物を同定するために、PCR増幅を、1mlの細菌培養物について、PCR1の条件、ならびにプライマーとしてNP1およびNP2を使用して行った。PCR産物を、2%のアガロースゲル電気始動を使用して分析した。
細菌クローンを、96ウェル形式で20%のグリセロール中に保存した。プラスミドDNAを調製し、配列決定し、そしてGenBank、dBest、およびNCI−CGAPデータベースの核酸相同性検索に供した。
(RT−PCR発現分析:)
第1鎖のcDNAを、1μgのmRNAからオリゴ(dT)12〜18プライミングを用いて、Gibco−BRL Superscript Preamplification systemを使用して作製した。製造業者のプロトコールを使用し得、そしてこのプロトコールは、逆転写酵素を用いた42℃で50分間のインキュベーション、続く20分間の37℃でのRNase H処理を含んだ。反応の完了後、容量を、較正の前に水を用いて200μlに増大させた。16個の異なる正常なヒトの組織に由来する第1鎖のcDNAを、Clontechから入手した。
複数の組織に由来する第1鎖のcDNAの較正を、β−アクチンを増幅するためのプライマー5’atatcgccgcgctcgtcgtcgacaa3’(配列番号29)および5’agccacacgcagctcattgtagaagg3’(配列番号30)を使用することによって、行った。第1鎖のcDNA(5μl)を、0.4μMのプライマー、0.2μMの各dNTP、1×PCR緩衝液(Clontech、10mMのTris−HCL、1.5mMのMgCl2、50mMのKCl、pH8.3)、および1×Klentaq DNAポリメラーゼ(Clontech)を含有している全容量50μl中で増幅させた。5μlのPCR反応物を、18、20、および22サイクルで取り出し、そしてアガロースゲル電気泳動に使用した。PCRを、MJ Researchサーマルサイクラーを使用して、以下の条件下で行った:最初の変性は、94℃で15秒間、続いて、18、20、および22サイクルの、94℃で15秒、65℃で2分、72℃で5秒。72℃での最後の伸張を、2分間行った。アガロースゲル電気泳動後、複数の組織からの283bpのβ−アクチンバンドのバンド強度を、目視検査によって比較した。第1鎖のcDNAについての稀釈係数を、22回のPCRサイクルの後の全ての組織中で等量のβ−アクチンのバンド強度を生じるように計算した。3回の較正が、22回のPCRサイクルの後に全ての組織中で等しいバンド強度を達成するために必要であった。
PHOR−1遺伝子の発現レベルを決定するために、5μlの較正した第1鎖のcDNAを、以下のプライマーの対を使用する25、30、および35サイクルの増幅を使用するPCRによって分析した。これらのプライマーは、(MIT;詳細については、www.genome.wi.mit.eduを参照のこと)の補助によって設計した(それぞれ、配列番号31および配列番号32): 101P3A11.1 ATCCTGACTAGGTTGTGGTTGGAG 101P3A11.2 TGTGGTTGGGAGTTCTAAAGAGGA 半定量的な発現分析を、明るいバンド強度を生じるサイクル数でのPCR産物を比較することによって達成した。
(結果)
いくつかのSSH実験を、材料および方法(上記)に記載するように行い、そして多数の候補の遺伝子フラグメントクローンの単離を導いた。全ての候補のクローンを配列決定し、そして、対応する遺伝子の正体についての情報を提供するため、および異なる発現について特定の遺伝子を分析するための指針を補助するために、主要な一般的な遺伝子およびESTデータベース中の全ての配列に対する相同性分析に供した。一般的には、任意の検索されるデータベース中のいずれの公知の配列遺伝子フラグメントに対しても相同性を有さず、従って、新規の遺伝子を提示すると考えられる遺伝子フラグメント、ならびに以前に配列決定された発現される配列タグ(EST)に対して相同性を示す遺伝子フラグメントを、RT−PCRおよび/またはノーザン分析による異なる発現の分析に供した。
約427bpを含有しているSSHクローンの1つは、全ての公知の遺伝子に対して相同性を示さず、そして101P3A11と命名された。このクローンは、図1Aに示すPHOR−1をコードする全長のcDNAフラグメントを示す(実施例2をもまた参照のこと)。101P3A11 SSHフラグメントの配列を、図3に示す。
最初のRT−PCR分析(図5A〜B)は、前立腺、LAPC−4 AD、去勢後3日のLAPC−4 ADおよび去勢後14日のLAPC−4 ADのみにおいて101P3A11の発現を示したが、LAPC−4 AIにおいては発現を示さなかった。より低い発現が、卵巣において検出された。
(実施例2:全長のPHOR−1をコードするcDNAの単離)
3136bpの全長のcDNA(GTH10)を、前立腺ライブラリーから単離し、これによって、317アミノ酸のORFを明らかにした(図1A〜D)。タンパク質配列は、7個の膜貫通ドメインを明らかにし、そしてこれは嗅覚に関係しているGタンパク質結合レセプター(GPCR)に対して相同性を有する(Ramingら、1993、Nature 361:353;Malnicら、1999、Cell 96:713)。101P3A11に対して最も相同である配列は、RA1cとして公知の脳中で発現されるラットの嗅覚レセプターである(Ramingら、1998、Receptor Channels 6:141)。これは、299の残基の重複でRA1cと59.9%同一である。RA1cのヒトホモログはおそらく、HPRAJ70であり、これは、Human Genome Siences(第US5756309号、第WO96/39435号)によって同定された前立腺特異的GPCRである。101P3A11と共に両方の遺伝子のアラインメントを図2に示す。全長の101P3A11 cDNAは、298の残基の重複でHPRAJ70に対して59.4%同一であるアミノ酸配列をコードする。脳の嗅覚レセプターとの101P3A11の相同性は、本発明者らがこの遺伝子を嗅覚レセプター−1の前立腺ホモログ(Prostate Homologue of Olfactory Receptor−1(PHOR−1))と命名することを導いた。このレセプターのファミリーのメンバーであるタンパク質は、細胞外アミノ末端、3個のさらなる細胞外ループ、3個の細胞内ループ、および細胞内カルボキシル末端を示す。PHOR−1の第2の細胞外領域は、残基90(NST)で1つの可能性のあるNグリコシル化部位を示し、このことは、このタンパク質がグリコシル化され得ることを示唆している。
全長のPHOR−1 cDNA(p101P3A11、クローンGTH10)を、1999年7月2日にアメリカンタイプカルチャーコレクションに寄託し、そして登録番号PTA−312が与えられた。
(実施例3: PHOR−1遺伝子の発現分析)
正常ヒト組織中でのPHOR−1 mRNAの発現を、最初に、全部で16個の異なる正常ヒト組織を含有している、2つの複数の組織ブロット(Clontech;Palo Alto,California)のノーザンブロッティングによって、プローブとして標識した101P3A11 SSHフラグメント(実施例1)を使用して、分析した。RNAサンプルを、β−アクチンプローブを用いて定量的に較正した。この分析の結果を図6A〜Cに示す。3.5kbの転写物の発現を、正常な前立腺中でのみ検出した。
正常組織中でのPHOR−1の発現を、前立腺中でのみPHOR−1の強力な発現を示した、76個の異なるサンプル(主に正常組織、ならびに数個のガン細胞株を示す)を含有している複数の組織のRNAドットブロットを使用してさらに分析した(図7)。有意により低い発現が、心臓組織中で検出される。
さらに、RT−PCRを、患者に由来するガンを含む種々の組織中でのPHOR−1の発現を分析するために使用し得る。第1鎖のcDNAを、1μgのmRNAからオリゴ(dT)12〜18プライマーを用いて、Gibco−BRL Superscript Preamplification systemを使用して作製した。製造業者のプロトコールを使用し得、そしてこのプロトコールは、逆転写酵素を用いた42℃で50分間のインキュベーション、続く20分間の37℃でのRNase H処理を含む。反応の完了後、容量を、較正の前に水を用いて200μlに増大させた。第1鎖のcDNAを、目的の種々の組織から調製する。較正を、アクチンおよびGAPに対するプライマーを使用するPCRによって行うことができる。半定量的なPCRを、PHOR−1に対するプライマーを使用して行う。
(実施例4:前立腺ガンの異種移植片および患者のサンプル中でのPHOR−1の発現)
(前立腺ガンの異種移植片および臨床的な標本のノーザン分析)
前立腺ガン組織中でのPHOR−1の発現を分析するために、ノーザンブロッティングを、LAPC異種移植片に由来するRNAおよび前立腺ガンのサンプルのパネルに由来するRNAについて、それらの適合する正常な隣接している前立腺組織とともに行った。結果は、LAPC−4 AD、LAPC−9 AD、およびLAPC−9 AI中での高いレベルのPHOR−1の発現を示す。より低い発現が、正常な前立腺中で検出され、そしてLAPC−4 AI中では発現は見られない(図8)。前立腺ガンの患者に由来する臨床的な標本の4個の正常/腫瘍の適合する対の分析は、全ての患者のサンプル中でPHOR−1の発現を示した(図8)。興味深いことに、4個の適合する対のうちの3個において、PHOR−1の発現は、適合する正常な隣接している組織と比較して腫瘍サンプル中で5〜20倍高かった。これらの結果は、前立腺特異的PHOR−1がガンにおいてアップレギュレートされ、そして前立腺ガンの病因において機能的な役割を有し得ることを示唆する。
(適合する腫瘍/正常な患者のサンプルのノーザン分析およびドットブロット分析)
ノーザン分析およびドットブロット分析は、前立腺ガンの腫瘍の隣接している正常な組織と比較した場合に、10個の前立腺ガンの腫瘍のうちの8個において(Gleasonスコア6から9)、PHOR−1のアップレギュレーションを示した(図9A〜B)。患者に由来する増幅したcDNA(Clontech,CA)を使用するドットブロットは、3/3の前立腺ガンの患者、6/14の腎臓ガンの患者,2/8の子宮ガンの患者、1/1の頚ガンの患者、3/8の胃ガンの患者、および7/7の直腸ガンの患者において、PHOR−1のアップレギュレーションを示す(図10)。
(RNAインサイチュ)
アンチセンスPHOR−1リボプローブを使用するRNAインサイチュ分析は、正常な前立腺(4/4)、PIN(1/1)、および前立腺ガン(6/6)の患者において、有意な腺状の上皮および基底細胞の発現を示した。PHOR−1センスリボプローブは、わずかな染色から全く染色なしまでを有した。PINおよび前立腺ガンにおけるRNAのインサイチュ染色を、図11A〜Bにッ示す。ガン細胞中での染色強度は、一般的には、正常な腺において観察される染色強度よりも高かった(図12A〜B)。RNAのインサイチュの結果はまた、前立腺組織中で観察される発現が、腺上皮、基底細胞、およびガン細胞中であることを実証する。
(実施例5:細菌細胞中での組換えPHOR−1タンパク質の発現)
(pGEX構築物)
細菌細胞中でPHOR−1を発現させるために、PHOR−1の一部を、pGEX−2TまたはpGEX−6P−1(Amersham Pharmacia Biotech,NJ)中にクローニングすることによって、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)遺伝子に対して融合させた。全ての構築物を、C末端の6個のヒスチジンエピトープを有するかまたは有さないで、N末端に融合したGSTとともに組換えのPHOR−1タンパク質配列を生じるように作製した。6個のヒスチジンエピトープタグを、ORFの3’末端でクローニングプライマーにヒスチジンコドンを付加することによって、作製した。トロンビンまたはPreScissionTM認識部位によって、PHOR−1またはpGEX−2TおよびpGEX−6P−1構築物のぞれぞれからのGSTタグの切断を可能にする。アンピシリン耐性遺伝子およびpBR322起点によって、E.coliにおけるプラスミドの選択および維持を可能にする。以下のPHOR−1のフラグメントを、pGEX−6P−1中にクローン化した: アミノ酸128から238 アミノ酸188から317 アミノ酸100から295。
以下のPHOR−1のフラグメントを、pGEX−2T中にクローン化した: アミノ酸86から310。
PHOR−1タンパク質の以下の領域に及ぶさらなる構築物を、pGEX−6P−1中に作製し得る: アミノ酸1から128 アミノ酸1から188 アミノ酸1から317 アミノ酸52から238。
(pMAL構築物)
細菌細胞中でPHOR−1を発現させるために、PHOR−1の一部を、マルトース結合タンパク質(MBP)遺伝子に対して、pMAL−c2XおよびpMAL−p2X(New England Biolabs,MA)中にクローニングすることによって融合させた。全ての構築物を、N末端に融合させたMBPおよびC末端に6個のヒスチジンエピトープを有する組換えPHOR−1タンパク質配列を生じるように作製した。6個のヒスチジンエピトープタグを、3’クローニングプライマーに対してヒスチジンコドンを付加することによって作製した。第Xa因子認識部位によって、PHOR−1からのGSTタグの切断を可能にする。pMAL−c2XおよびpMAL−p2Xベクターを、それぞれ、細胞質または細胞質周辺中の組換えタンパク質を発現するように最適化する。細胞質周辺での発現は、ジスルフィド結合を伴うタンパク質の折り畳みを増強する。PHOR−1のアミノ酸86から310を、pMAL−c2XおよびpMAL−p2X中にクローン化した。
PHOR−1タンパク質の以下の領域に及ぶさらなる構築物を、pMAL−c2XおよびpMAL−p2X中に作製し得る: アミノ酸1から128 アミノ酸1から188 アミノ酸1から317 アミノ酸52から238 アミノ酸100から295 アミノ酸128から238 アミノ酸188から317。
(実施例6:哺乳動物システム中での組換えPHOR−1タンパク質の発現)
(pcDNA4/HisMax−TOPO構築物)
哺乳動物の細胞中でPHOR−1を発現させるために、951bpのPHOR−1 ORFを、pcDNA4/HisMax−TOPO Version A(cat#k864−20、Invitrogen、Carlsbad,CA)中にクローン化した。タンパク質の発現は、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターおよびSP163翻訳エンハンサーから駆動される。組換えタンパク質は、N末端に融合されたXpressTMおよび6個のヒスチジンエピトープを有する。組換えタンパク質のC末端は、終止コドンの前にベクター配列によって生じる28個のアミノ酸の融合を有する。pcDNA4/HisMax−TOPOベクターはまた、エピソームの複製のためのSV40起点およびラージT抗原を発現する細胞株中での単純なベクターレスキューとともに、mRNAの安定性を増強するために、ウシ成長ホルモン(BGH)ポリアデニル化シグナルおよび転写終結配列を含む。ゼオシン耐性遺伝子は、タンパク質およびアンピシリン耐性遺伝子を発現する哺乳動物細胞の選択を可能にし、そしてColE1起点は、E.coli中でのプラスミドの選択および維持を可能にする。
(pcDNA3.1/MycHis構築物)
哺乳動物細胞中でPHOR−1を発現させるために、951bpのPHOR−1 ORFを、pcDNA3.1/MycHis Version A(Invirtogen,Carlsbad,CA)中にクローン化した。タンパク質の発現は、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターから駆動される。組換えタンパク質は、C末端に融合されたmycおよび6個のヒスチジンを有する。pcDNA3.1/MycHisベクターはまた、エピソームの複製のためのSV40起点およびラージT抗原を発現する細胞株中での単純なベクターレスキューとともに、mRNAの安定性を増強するために、ウシの成長ホルモン(BGH)ポリアデニル化シグナルおよび転写終結配列を含む。ネオマイシン耐性遺伝子は、タンパク質およびアンピシリン耐性遺伝子を発現する哺乳動物細胞の選択を可能にし、そしてColE1起点は、E.coli中でのプラスミドの選択および維持を可能にする。
(pcDNA3.1CT−GFP−TOPO構築物)
哺乳動物細胞中でPHOR−1を発現させるために、そして蛍光を使用する組換えタンパク質の検出を可能にするために、951bpのORFを、pcDNA3.1CT−GFP−TOPO(Invitrogen,CA)中にクローン化した。タンパク質の発現は、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターから駆動される。組換えタンパク質は、C末端に融合された緑色蛍光タンパク質(GFP)を有し、これによって非侵襲性のインビボでの検出および細胞の生物学の研究を容易にする。pcDNA3.1/MycHisベクターはまた、エピソームの複製のためのSV40起点およびラージT抗原を発現する細胞株中での単純なベクターレスキューとともに、mRNAの安定性を増強するために、ウシ成長ホルモン(BGH)ポリアデニル化シグナルおよび転写終結配列を含む。ネオマイシン耐性遺伝子は、タンパク質およびアンピシリン耐性遺伝子を発現する哺乳動物細胞の選択を可能にし、そしてColE1起点は、E.coli中でのプラスミドの選択および維持を可能にする。
PHOR−1タンパク質の全長にまたがるN末端にGFP融合を有するさらなる構築物を、pcDNA3.1CT−GFP−TOPO中で作製し得る。
(pSRa構築物)
構成的にPHOR−1を発現する哺乳動物細胞株を作製するために、951bpのPHOR−1 ORFをpSRα構築物中にクローン化し、そして安定な細胞株を作製した。両栄養性およびエコトロピックなレトロウイルスを、pSRα構築物の293T−10A1パッケージング株中へのトランスフェクション、またはpSRαとヘルパープラスミド(j−)の293細胞中への同時トランスフェクションによって、それぞれ作製する。レトロウイルスは、種々の哺乳動物細胞株を感染させるために使用し得、それによってクローン化した遺伝子であるPHOR−1の宿主細胞株中への組込みを生じる。タンパク質の発現は、長末端反復(LTR)から駆動される。ネオマイシン耐性遺伝子は、タンパク質およびアンピシリン耐性遺伝子を発現する哺乳動物細胞の選択を可能にし、そしてColE1起点は、E.coli中でのプラスミドの選択および維持を可能にする。抗FLAG抗体を使用する検出を可能にするためにC末端にFLAGタグを融合させたさらなるpSRα構築物を作製した。FLAG配列(5’gat tac aag gat gac gac gat aag 3’)(配列番号33)をORFの3’末端のクローニングプライマーに付加した。
N末端およびC末端の両方のGFP、ならびに全長のPHOR−1タンパク質のmyc/6 HIS融合タンパク質を生じるさらなるpSRα構築物を構築し得る。
(実施例7:バキュロウイルス系での組換えPHOR−1の産生)
バキュロウイルス発現系で組換えPHOR−1タンパク質を作製するために、PHOR−1 cDNAを、バキュロウイルス転移ベクターpBlueBac 4.5 (Invitrogen)中にクローン化する。これは、N末端にHisタグを提供する。詳細には、pBlueBac−−PHOR−1を、組換え体のバキュロウイルスを作製するために、SF9(Spodoptera frugiperda)昆虫細胞中に、ヘルパープラスミドpBac−N−Blue(Invitrogen)とともに同時トランスフェクトする(詳細については、Invitrogenの説明マニュアルを参照のこと)。次いで、バキュロウイルスを、細胞上清から回収し、そしてプラークアッセイによって精製する。
次いで、組換え体のPHOR−1タンパク質を、精製したバキュロウイルスでのHighFive昆虫細胞(Invitrogen)の感染によって作製する。組換えPHOR−1タンパク質を、抗PHOR−1抗体を使用して検出し得る。PHOR−1タンパク質を精製し得、そして種々の細胞に基づくアッセイにおいて、またはPHOR−1について特異的なポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を作製するための免疫原として使用し得る。
(実施例8:PHOR−1に対するポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体)
3個の免疫原を、PHOR−1に特異的に結合する抗体試薬を作製するために誘導した。2個の抗原は、PHOR−1タンパク質配列のアミノ酸1〜14(MVDPNGNESSATYF;配列番号8)およびアミノ酸262〜274(VHRFSKRRDSPLP;配列番号9)をコードするペプチドであった。これらのペプチドは、それぞれ、PHOR−1タンパク質の細胞外N末端およびPHOR−1タンパク質の推定の6番目と7番目の膜貫通ドメインの間の細胞外ループをコードすると推定される。これはリガンド結合部位と予想される。第3の免疫原が、PHOR−1タンパク質配列のアミノ酸86〜310を含有しているグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)融合タンパク質であった。この融合タンパク質を、以下のプライマー(それぞれ、配列番号34および配列番号35)を用いて、PHOR−1のcDNAクローンのヌクレオチド388〜1062のPCRによって媒介される増幅によって作製した:
[化1]
Figure 0004875671
得られた生成物を、pGEX−2T GST融合ベクター(Pharmacia)のEcoRIおよびXhoI制限部位中にクローン化した。組換えのGST−PHOR−1融合タンパク質を、グルタチオンセファロース親和性クロマトグラフィーによって、誘導した細菌から精製した。
上記の抗原に加えて、PHOR−1タンパク質配列の他の領域をコードする他のペプチドおよび細菌およびバキュロウイルスによって産生されたタンパク質を、PHOR−1特異的抗体試薬を作製するために使用し得る。このような試薬は、PHOR−1機能を調節し得るPHOR−1タンパク質(例えば、リガンド結合をブロックする抗体)の領域を指向し得る。このような試薬は、PHOR−1タンパク質の機能およびシグナル伝達経路を解明するために使用され得る。
(ポリクローナル抗体の作製)
PHOR−1に対するポリクローナル血清を作製するために、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)に対して結合させた精製したGST−融合タンパク質およびペプチドを、以下のように個体のウサギを免疫化するために使用した。ウサギを、200μgの融合タンパク質または完全フロイントアジュバント中で混合したKLH−ペプチド抗原を用いて免疫化した。次いで、ウサギに、不完全フロイントアジュバント中の200μgの免疫原を用いて2週間ごとに注射した。試験採血を、それぞれの免疫化の約7〜10日後に行った。それぞれのペプチド抗血清の力価は、それぞれの免疫原に対してELISAによって決定した場合には、少なくとも1×105であった。GST−融合血清の力価は、少なくとも1×106であった。
ペプチド抗血清を、Affigelマトリックス(BioRad)に対して共有結合させたそれぞれのペプチドから構成したアフィニティーカラム内を血清を通過させることによって、アフィニティー精製した。GST−融合体に対して惹起させた血清を、GSTアフィニティーカラム内を通過させることによって、GST反応性の抗体の除去によって最初に半精製した。次いで、PHOR−1特異的抗体を、GST−PHOR−1アフィニティーカラム内を通過させることによって単離する。あるいは、PHOR−1特異的抗血清を、同じアミノ酸をコードするマルトース結合タンパク質(MBP)−PHOR−1融合タンパク質を使用してアフィニティークロマトグラフィーによって単離し得る。PHOR−1配列のN末端ペプチドで免疫化したウサギに由来するアフィニティー精製した血清は、PHOR−1 cDNAでトランスフェクトした細胞溶解物からPHOR−1タンパク質を免疫沈降させ(図13A〜B)、そしてトランスフェクトした細胞のフローサイトメトリー分析によってPHOR−1タンパク質の細胞表面での発現を検出する(図14A〜B)。
(マウスのモノクローナル抗体の作製)
PHOR−1に対するmAbを作製するために、Balb Cマウスを、200μgの完全フロイントアジュバント中に混合したGST−PHOR−1融合タンパク質を用いて腹腔内で免疫化した。次いで、引き続いて、マウスを、フロイント不完全アジュバント中に混合した200μgの抗原を用いて2〜4週間ごとに免疫化した。3回の免疫化後には、これらのマウスに由来する試験採血の力価は、ELISAによって決定した場合には、少なくとも1.2×106であり、そしてGST融合体中に存在する同じアミノ酸をコードするMBP融合タンパク質を使用するウェスタンブロッティングによって示されるように、PHOR−1アミノ酸配列を特異的に認識した(図15)。LNCaP細胞およびLAPC9異種移植片細胞のフローサイトメトリー分析は、それらの同種の予備免疫血清と比較して免疫化したマウスの血液の組合せを用いて染色した場合に、蛍光のシフトを示し、このことは、PHOR−1タンパク質の細胞表面での検出を実証する(図16A〜B)。
一旦、適切な反応性および特異性が、ELISA,ウエスタンブロッティング、およびフローサイトメトリー分析によって決定した場合に得られると、次いで、融合体およびハイブリドーマの作製を、当該分野で周知の確立された手順を用いて行う(HarlowおよびLane、1988)。
別の抗原および免疫化ストラテジーもまた、PHOR−1タンパク質の種々の領域に対して特異的反応性および特異性を有するmAbを作製するために使用し得る。このような抗原として、PHOR−1タンパク質配列の種々の領域をコードする、さらなるペプチド、および細菌またはバキュロウイルスにって産生された組換えタンパク質が挙げられ得る。細胞に基づく免疫化ストラテジーをもまた使用し得る。ここでは、PHOR−1 cDNAがNHI3T3マウス繊維芽細胞または300.19マウスB細胞のような細胞中で過剰発現され、そして全細胞またはこれらの細胞に由来する膜調製物が免疫原として使用される。
(実施例9:PHOR−1タンパク質の発現の特徴付け)
293T細胞を、発現プラスミドpCDNA4 HIS/MAX(Invitrogen)で一過性にトランスフェクトした。pCDNA4 HIS/MAX中では、PHOR−1cDNAが、アミノ末端で、2つのエピトープタグ、Express、およびHisGに融合されている。空のベクターコントロールおよびPHOR−1でトランスフェクトした細胞を、N末端のExpressエピトープを特異的に認識するmAbでか、またはPHOR−1配列のN末端の14個のアミノ酸に対して指向されたウサギのpAbで染色した。図13Aおよび図14A〜Bに示すように、PHOR−1でトランスフェクトした細胞は、抗Express mAbおよびpAbの両方を用いたコントロール細胞と比較して、特異的な蛍光のシフトを示す。このシフトは、PHOR−1が原形質膜の外側に暴露されたN末端を伴って細胞の表面で発現されることを示す。これは、公知のGタンパク質結合レセプターのトポロジーと一致する。これらの細胞によるPHOR−1の発現をさらに、免疫組織化学によって確認した(次の実施例を参照のこと)。
トランスフェクトした細胞に由来するエピトープタグ化PHOR−1タンパク質の免疫沈降およびウェスタン分析は、アミノ酸配列から推定したPHOR−1タンパク質の推定分子量に一致する37kDの免疫反応性のバンドを示す(図13B)。さらに、高分子量の免疫反応性のスメアが、PHOR−1でトランスフェクトした細胞中で見られ、これは、7回膜貫通ドメインの疎水性相互作用によって媒介されるタンパク質の、SDSおよび熱不溶性の凝集物を示し得る。
GST−PHOR−1タンパク質で免疫化したマウスに由来する血清を、内因性のPHOR−1タンパク質の発現を試験するために使用した。LNCaPおよびLAPC9前立腺ガン細胞(これらの両方が、PHOR−1 mRNAを発現する)は、免疫前血清と比較して免疫血清で染色した場合に、蛍光シフトを示し、このことは、これらの細胞の集団中でのPHOR−1タンパク質の細胞表面での発現を実証する(図16)。さらに、次の実施例は、正常な前立腺、前立腺ガン、および前立腺ガン細胞株中でのPHOR−1の内因性の発現を検出するためのこの血清の使用を実証する。
PHOR−1の発現を、無細胞インビトロでの翻訳によって評価した。コントロールcDNAおよびPHOR−1 cDNAを、製造業者の推奨(Promega、Madison,WI)に従って、ウサギの網状赤血球溶解物を使用してインビトロで翻訳した。無細胞インビトロでのアッセイの結果を、図17に示し、そしてPHOR−1 cDNAが38〜42kDaのタンパク質に翻訳されることを実証する。これは、PHOR−1の計算される分子量に対応する。
(実施例10:正常な前立腺、前立腺ガン、および前立腺ガン細胞株中でのPHOR−1の免疫組織化学的検出)
(方法)
ホルマリンで固定し、パラフィンに包埋した組織のブロックを、4ミクロンに切片化し、そして正に荷電させたCapillary Gap顕微鏡スライド(Ventana Medical Systems,Inc.,Tucson,AZ)上に配置した。キシレン中での脱蝋、続くアルコール系列による水和の後、組織の切片を、クエン酸ナトリウム(10mM、pH6.0)の存在下で20分間、蒸し器の中で前処理し、続いて抗体反応を最適化するために、10分間のプロテイナーゼK(1:40)インキュベーションした。5分間の冷却後、スライドを、ビオチン−ストラプトアビジン−ペルオキシダーゼ技術を使用して免疫染色した。簡潔には、スライドを、5分間、ブロッキング血清(正常なヤギ)、続いて、2μl/mlの抗PHOR−1ウサギモノクローナル一次抗体(25分)、ビオチニル化した二次抗体ヤギ抗ウサギIgG(25分)、内因性ペルオキシダーゼブロッキング(3×1.5分)、およびペルオキシダーゼ酵素に結合させたストレプトアビジン複合体(Vector Labs,Burlingame,CA)(10分)中でインキュベートした。各インキュベーションとインキュベーションとの間に切片を緩衝液中でリンスした。DAB−ジアミノベンジジンクロモゲン(QualTek Molecular Labs)を、反応を進行させるために使用した−これによって、茶色の沈殿を生じた。引き続きスライドを、ヘマトキシリンで対比染色し、そしてカバースライドをかけた。
(結果)
PHOR−1タンパク質の内因性発現が、抗PHOR−1(PEPTIDE1:アミノ酸1〜14)、ウサギのポリクローナル抗体(図18A〜F)の免疫組織化学的分析において実証される。前立腺ガンでの染色は、正常な前立腺において観察される染色よりも多かった。染色は、正常な前立腺の内腔の上皮内の先端に局在化される(図18Eおよび18F)。前立腺ガンで観察される染色はまた、中程度の段階のガンについては低く先端に局在化され(図18Bおよび18C)、そしてより進行した前立腺ガンの細胞の全てにわたって局在化される(図18A)。前立腺ガン細胞株LNCaPもまた、ほとんど全ての細胞において同様の染色を示す(図18Dおよび19F)。
抗PHOR−1(PEPTIDE1)ウサギポリクローナル抗体の特異性を、図19A〜Fにしめす。エピソームのpcDNA4 HIS/MAX構築物からPHOR−1タンパク質を発現する操作された細胞株293T−PHOR−1(図19B)、および組み込まれたpSRα構築物からPHOR−1を安定に発現するPC3−PHOR−1細胞株(図19D)は両方とも、もとの操作されていない細胞株中には存在しない特異的な茶色の染色を示す(それぞれ、図19Aおよび19C)。293T−PHOR−1細胞株中での染色(図19B)は、細胞のサブセットにおいて非常に強力であり、これは、CMVプロモーターからのPHOR−1の発現を駆動するpcDNA4 HIS/MAX構築物での一過性トランスフェクションによって予想されることである。しかし、細胞株PC3−PHOR−1(図19D)中での染色は、安定な細胞株中で予想されるように、観察した全ての細胞中に存在する。
これらのデータは、抗PHOR−1(PEPTIDE1)ウサギポリクローナル抗体がPHOR−1タンパク質を特異的に認識することを示す。さらに、PC3−PHOR−1中で観察される染色(図19D)は、前立腺ガン細胞株LNCaP(図19F)および前立腺ガン(図19E)において見られる染色パターンおよび強度と非常に似ている。
(実施例11:PHOR−1によるチロシンおよびErKのリン酸化の変化)
pSRαレトロウイルスベクター中のneoまたはPHOR−1のいずれかを安定に発現するPC3細胞を、1%のFBS中で一晩増殖させた。次いで、細胞を、未処理のままにしたか、または10%のFBSで3分間処理した。細胞を溶解させ、そして抗ホスホチロシン(UBI、Lake Placid,NY)(図20A)、または抗ホスホロ−ErK(Cell Signal、Beverly,MA)mAb(図20B)を用いたウェスタンブロッティングによって分析した。抗Grb2 mAb(Transduction Laboratories,San Diego,CA)のオーバーレイは、等しいタンパク質の充填を示す(図20C)。図20Dにおいて、PHOR−1の発現を、ノーザンブロッティングによって評価した(PC3−PHOR−1細胞によるPHOR−1の発現の免疫組織化学的実証については、図19Dもまた参照のこと)。RNAを、コントロールのPC3−neo細胞およびPHOR−1で安定に形質導入したPC3細胞から抽出し、そしてRNAのブロットをPHOR−1プローブ(クローンGTH10のXba−Ecor1フラグメント)を使用してハイブリダイズした。LAPC4異種移植片に由来するRNAを、ポジティブコントロールとして使用した(図20E)。結果は、PHOR−1 mRNAが、レトロウイルスで形質導入されたPC3−PHOR−1細胞中で発現されるが、コントロール細胞中では発現されないこと、そして一旦発現されると、PHOR−1はPC3細胞のリン酸化のパターンを変化させることを示す。
チロシンのリン酸化は、細胞表面から核へのシグナル伝達事象において重要な役割を果たす。さらに、チロシンのリン酸化は、GPCRを介して生じることが示されており(Liebmann C,Bohmer FD.Curr Med.Chem.2000,7:911およびMaudsley S.Pierce KL、Zamah AM,Miller WE,Ahn S,Daaka Y,Lefkowitz RJ,Luttrell LM.J.Biol.Chem.2000,275:9572)、そしてGPCRの効果に寄与するシグナル伝達カスケードの活性化を生じることが示されている。これらの結果(図20A〜Bに示される)は、PHOR−1がPC3細胞中で発現された場合に、それが55kDaのタンパク質のチロシンリン酸化および130kDAのタンパク質の脱リン酸化を誘導することを示す。さらに、PHOR−1の発現は、Erkのリン酸化、有糸分裂促進物質とのタンパク質の会合、および形質転換において2〜3倍の増大を誘導し(Greulich H,Erikson RL、J.Biol.Chem.1998;273:13280)、このことは、PHOR−1がErkカスケードを活性化することを示す。
(実施例12:PHOR−1はcAMPの細胞質濃度を調節する)
親の細胞およびPHOR−1を発現する細胞を、cAMPの細胞質での蓄積を誘導するそれらの能力について比較した。293T細胞を、空のpcDNA4 HIS MAXベクターまたはpcDNA4 HIS MAX PHOR−1でトランスフェクトした。細胞を、1%のウシ胎仔血清(FBS)中で一晩飢餓させ、そして培地のみ、または10%のFBSの存在下でインキュベートした。細胞を溶解させ、そしてcAMP含有量について、製造業者の推奨(Linco Research,St Charles,MI)に従って酵素結合イムノアッセイ(EIA)によって分析した。結果を表1に示し、そしてこれはPHOR−1の発現がFBSに応答してcAMP濃度を変化させることを示す。
[表1]
Figure 0004875671
嗅覚のレセプターを含む、全ての特徴付けたGPCRは、cAMP経路を活性化することによって機能する。リガンドの非存在下では、GPCRは通常は、不活性な状態である。リガンドの結合または過剰発現の際に、GPCRは活性な立体構造を獲得し、そしてGタンパク質と複合体を形成する。この相互作用は、Gタンパク質サブユニットの解離およびアデニル酸シクラーゼの活性化を生じ、これによってcAMPの蓄積を生じる(Birnbaumer L,Cell 1992、71:1069)。cAMPの増強された産生は、GPCRの効果を媒介するいくつかの下流のシグナル伝達経路の活性化を生じる。293T細胞中でのPHOR−1の発現がFBSに応答してcAMPの蓄積を可能にするこの実施例における実証は、これらの条件下でPHOR−1がGPCRとして機能することを示す。
さらに、cAMP含有量を、それらのアンドロゲン依存性およびPHOR−1の発現において異なる、2つの前立腺ガンの異種移植片について決定した。LAPC4ADは、図20Eに示すノーザンブロットによって証明されるように、強力なPHOR−1発現を示すアンドロゲン依存性の前立腺ガンの異種移植片である。上記の表にも示すこれらの細胞のcAMP含有量は、LAPC4AI細胞の含有量よりも有意に低かった。LAPC4AI細胞は、アンドロゲン非依存性でありそしてPHOR−1を発現しない。
(実施例13:PHOR−1は軟寒天中でコロニーの増殖を誘導する)
PHOR−1を安定に発現するNIH−3T3細胞を、軟寒天中でコロニーを形成するそれらの能力について分析した。neoまたは活性化Rasを安定に発現するNIH−3T3細胞を、ネガティブコントロールおよびポジティブコントロールとして、それぞれ使用した。実験を、2連で行った。アッセイを、細胞のプレーティングの4週間後に評価した。結果を、図21および表2に示す。
[表2]
Figure 0004875671
コロニーの計数は、PHOR−1がneoコントロールと比較してコロニーの形成において3倍の増大を誘導することを示す。この有意な増大は、2つの別々の実験において観察された。これらの結果は、NIH3T3細胞中でのPHOR−1の発現が、強力なオンコジーンであるRasによる5倍の増大と比較して、コロニーの形成において3〜4倍の増大を誘導することを示し、このことは、PHOR−1が有意な形質転換能力を有することを示唆している。
(実施例14:PHOR−1遺伝子の染色体マッピング)
PHOR−1の染色体配置を、GeneBridge4放射線照射ハイブリッドパネル(Walterら、1994、Nat.Genetics 7:22)(Research Genetics,Huntsville A1)を使用して決定した。以下のPCRプライマーを、PHOR−1を配置するために使用した(それぞれ、配列番号31および配列番号32):
[化2]
Figure 0004875671
93放射線照射ハイブリッドパネルDNAについての得られたマッピングベクターは以下であった:
[化3]
Figure 0004875671
このベクター、およびhttp://www−genome.wi.mit.edu/cgi−bin/contig/rhmapper.plでのマッピングプログラムによって、11p15.5で、染色体11のテロメアにPHOR−1を配置した。
ヒトのPHOR−1遺伝子が染色体11p15.5にマップするので、PHOR−1タンパク質の異なる領域をコードするポリヌクレオチドを使用して、種々の癌に関連しているとして同定されている染色体11バンドp15.5上の細胞遺伝学異常を特徴付けし得る。詳細には、11p15.5中の種々の染色体の異常が、多数の異なる癌においてしばしば細胞遺伝学の異常として同定されている(例えば、Laiら、2000、Clin Cancer Res.6(8):3172−6;OyaおよびSchulz、2000、Br.J.Cancer 83(5):626−31;Svarenら、2000年9月12日、J.Biol.Chem.)。結果として、PHOR−1タンパク質の特異的な領域をコードするポリヌクレオチドは、悪性腫瘍の表現型に寄与し得る染色体11のこの領域における細胞遺伝学異常の以前の可能性のある特異的な性質よりも、より正確に、描写するために使用され得る新規のツールを提供する。この状況においては、これらのポリヌクレオチドは、より微妙でありあまり一般的ではない染色体異常を同定するために染色体のスクリーニングの感受性を拡大することへの当業者の要求を満たす(例えば、Evansら、1994、Am.J.Obstet.Gynecol.171(4):1055−1057を参照のこと)。
(実施例15:可能性のあるシグナル伝達経路の同定)
PHOR−1が細胞中の公知のシグナル伝達経路を直接または間接的に活性化するかどうかを決定するために、ルシフェラーゼ(luc)に基づく転写レポーターアッセイを、PHOR−1を発現する細胞中で行う。これらの転写レポーターは、十分に特徴付けられたシグナル伝達経路の下流に存在する公知の転写因子についてのコンセンサスな結合部位を含む。レポーターおよびそれらの会合する転写因子の例、シグナル伝達経路、および活性化の刺激を以下に列挙する。
1.NFkB−luc、NFkB/Rel;Ik−キナーゼ/SAPK;増殖/アポトーシス/ストレス 2.SRE−luc、SRF/TCF/ELK1;MAPK/SAPK;増殖/分化 3.AP−1−luc、FOS/JUN;MAPK/SAPK/PKC;増殖/アポトーシス/ストレス 4.ARE−luc、アンドロゲンレセプター;ステロイド/MAPK;増殖/分化/アポトーシス 5.p53−luc、p53;SAPK;増殖/分化/アポトーシス 6.CRE−luc、CREB/ATF2;PKA/p38;増殖/アポトーシス/ストレス PHOR−1によって媒介される効果を、mRNAの発現を示す細胞中でアッセイし得る。ルシフェラーゼレポータープラスミドを、脂質によって媒介されるトランスフェクション(TFX−50、Promega)によって導入し得る。ルシフェラーゼ活性(相対的な転写活性の指標)を、ルシフェリン基質との細胞の抽出物のインキュベーションによって測定し、そして反応物の発光を、ルミノメーター中でモニターする。
(実施例16:PHOR−1の機能のインビトロでのアッセイ)
前立腺ガン中でのPHOR−1の発現は、この遺伝子が腫瘍の進行および/または腫瘍の開始において機能的な役割を有するという証拠を提供する。レセプターとしてのPHOR−1の機能が、増殖シグナルを活性化することに関係することは可能である。PHOR−1機能を、インビトロでのアプローチを使用して哺乳動物細胞中で評価し得る。哺乳動物での発現のために、PHOR−1を多数の適切なベクター(pcDNA 3.1 myc−His−tagおよびレトロウイルスベクターpSRαtkneo(Mullerら、1991、MCB 11:1785)を含む)中にクローン化し得る。このような発現ベクターを使用して、PHOR−1を、いくつかの細胞株(PC−3、NIH 3T3、LNCaP、および293Tを含む)中で発現させ得る。PHOR−1の発現を、抗PHOR−1抗体およびノーザンブロット分析を使用してモニターし得る。
PHOR−1を発現する哺乳動物細胞株を、いくつかのインビトロおよびインビボのアッセイ(組織培養物中での細胞の増殖、アポトーシスのシグナルの活性化、SCIDマウス中での腫瘍の形成、および膜侵襲培養システム(MICS:Welchら、Int.J.Cancer 43:449−457)を使用するインビトロでの侵襲を含む)において試験し得る。PHOR−1細胞の表現型を、PHOR−1を発現しない細胞の表現型に対して比較する。
PHOR−1を発現する細胞株をまた、マトリゲルでコーティングした有孔性の膜チャンバー(Becton Dickinson)を通じる細胞の通過を測定することによって、侵襲性および移動の特性の変化についてアッセイし得る。膜を通じる反対側への細胞の通過を、蛍光アッセイ(Becton Dickinson Technical Bulletin #428)を使用して、指示細胞を充填したcalcein−Am(Molecular Probes)を使用して、モニターする。分析した細胞株は、親、およびPHOR−1を過剰発現するPC3細胞、NIH 3T3細胞、およびLNCaP細胞を含む。PHOR−1を発現する細胞が化学誘引特性を有するかどうかを決定するために、指示細胞を、コントロール培地に対して比較して、PHOR−1の馴化培地の勾配に対する有孔性の膜を通した通過をモニターする。このアッセイをまた、候補の癌治療組成物によるPHOR−1によって誘導される影響の特異的な中和の定性および定量のために使用し得る。
PHOR−1の機能を、上記に記載する種々の機能的なアッセイ(例えば、増殖、侵襲、および移動)と組合せて、アンチセンスRNA技術を使用して評価し得る。アンチセンスRNAオリゴヌクレオチドを、PHOR−1を発現する細胞中に導入し得、それによってPHOR−1の発現を妨害し得る。コントロールおよびアンチセンスを含有している細胞を、増殖能力、侵襲能力、移動能力、アポトーシス能力、および転写能力について分析し得る。PHOR−1の発現の、局所的および全身的な効果の損失を評価し得る。
(実施例17:PHOR−1の腫瘍増殖の促進についてのインビボでのアッセイ)
PHOR−1タンパク質の腫瘍細胞の増殖に対する効果を、腫瘍を保有しているマウス中での遺伝子の過剰発現によってインビボで評価し得る。例えば、SCIDマウスを、tkNeo空ベクターまたはPHOR−1を含有している、PC細胞3、TSUPR1細胞、またはDU145細胞のいずれかの1×106を用いて、いずれかの側腹部に皮下注射し得る。少なくとも2つのストラテジーを使用し得る:(1)ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス(1989年7月5日に公開された、第UK 2,211,504号)、アデノウイルス(例えば、アデノウイルス2)、ウシパピローマウイルス、鳥類の肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、およびSV40のようなウイルスのゲノムから、または異種の哺乳動物プロモーター(例えば、アクチンプロモーター、またはイムノグロブリンプロモーター)(そのようなプロモーターが宿主細胞システムと適合性である限りは)から得られる構成的なプロモーターのようなプロモーターの調節下での、構成的なPHOR−1の発現、ならびに(2)誘導可能なベクターシステム(例えば、エジクソン、tetなど)(そのようなプロモーターが宿主細胞システムと適合性である限りは)の制御下での調節された発現。次いで、腫瘍の容量を、PHOR−1を発現する細胞がより速い速度で増殖するかどうか、およびPHOR−1を発現する細胞によって産生された腫瘍が、変更された積極性(例えば、増強された転移性、血管形成、化学療法剤に対する減少した応答性)の特徴を示すかどうかを決定するために、明確な腫瘍の出現時点およびその後に経時的にモニターし得る。さらに、マウスに、PHOR−1が、前立腺中での局所的な増殖、または細胞が転移する(特に、肺、リンパ節、および骨髄に対して)能力に対して影響を有するかどうかを決定するために、正常位で同じ細胞の1×105を用いて移植し得る。
このアッセイはまた、例えば、PHOR−1イントラボディー、PHOR−1アンチセンス分子、およびリボザイムのような候補の治療用組成物のPHOR−1阻害効果を決定するために有用である。
(実施例18:PHOR−1ファミリーのメンバーの遺伝子のクローニング)
PHOR−1は、嗅上皮およびニューロン中で発現される嗅覚のレセプターの大きなファにリーに対して相同である。PHOR−1と相同であるさらなる遺伝子を同定する試みにおいては、PHOR−1のタンパク質配列を、公のEST(発現配列タグ)データベース(dBest)中のファミリーのメンバーを同定するための電子的なプローブとして使用した。NCBI(National Center for Biotechnology Information)の「tblastn」機能を使用して、dBestデータベースを、PHOR−1タンパク質配列を用いて問い合わせした。この分析によって、1つの新規のファミリーのメンバーを明らかにした(図22)。EST、AI138213を、ヒトの胎盤のライブラリーから単離し、そしてこれは、PHOR−1のカルボキシル末端領域に相同である。これは、95個のアミノ酸の重複にわたってPHOR−1と49.5%の同一性を示す。この新規のファミリーのメンバーを、前立腺および前立腺癌のサンプル中での発現について分析し、そしてヒトのcDNAライブラリーからクローン化する。
新規のファミリーのメンバーを発見するための別のアプローチは、遺伝子中の保存された領域中の縮重オリゴヌクレオチドを設計することである(Ramingら、1993、Nature 361:353)。これらを、次いで、新規のGPCRファミリーのメンバーを単離するために、前立腺または前立腺癌に由来する第1鎖のcDNAについてのRT−PCR反応において使用し得る。RT−PCRを使用してPHOR−1のファミリーのメンバーを単離するために、以下の保存された領域をオリゴヌクレオチドの設計のために選択した:SLHEPMY(a.a.56〜62;配列番号36)、AMAFDRY(a.a.119〜125;配列番号37)、YVAICHP(a.a.125〜131;配列番号38)、KAFGTCV(a.a.237〜243;配列番号39)、およびGVKTKEI(a.a.294〜300;配列番号40)。使用した縮重オリゴヌクレオチドは以下である:
[化4]
Figure 0004875671
ここで、(A)はアデニンを示し、(C)はシトシン、(G)はグアニン、(T)はチミン、(R)はアデニンまたはグアニン、(Y)はシトシンまたはチミン、(S)はシトシンまたはグアニン、(D)はアデニンまたはグアニンまたはチミン、(H)はアデニンまたはシトシンまたはチミン、(N)はアデニンまたはグアニンまたはシトシンまたはチミンを示す。
以下のプライマーの組合せを、第1鎖のcDNAに由来するファミリーのメンバーを増幅するために、使用する:1A〜1Dおよび3Bのプール;1A〜1Dおよび4Aのプール;1A〜1Dおよび5Aのプール;2A+2Bおよび4Aのプール;2A+2Bおよび5Aのプール;3Aおよび4A;3Aおよび5A。得られたPCR産物を、次いで、PCR2.1ベクター(Invitrogen)中に連結し、そして続いて、DH5 E.coli中に形質転換する。寒天上での青色/白色選択およびアンピシリン選択の後、白色のアンピシリン耐性コロニーを、プラスミドの精製およびcDNA挿入物の配列決定のために、液体培養物中で拡大させた。これらのクローンによる配列を、PHOR−1の配列に対して比較し、そして利用可能な公のデータベースおよび個人的なデータベースに対して問い合わせした。新規のPHOR−1ファミリーのメンバーを示す配列を、さらなる分析および全長のクローニングのために選出する。
本出願を通じて、種々の刊行物が参照される。これらの刊行物の開示は、それらの全体において本明細書中で参考として本明細書によって援用される。
本発明は、本明細書中に開示される実施形態によっては範囲を限定されない。実施形態は、本発明の個々の局面の単なる説明として意図され、そして機能的に同等な任意のものが、本発明の範囲内にある。本明細書中に記載されるものに加えて、本発明のモデルおよび方法に対する種々の改変が、上記の記載および教示から当業者に明らかになり、そして本発明の範囲内に入ることが同様に意図される。このような改変および他の実施形態は、本発明の真の範囲および精神を逸脱することなく実施され得る。
[表3]
Figure 0004875671
図1Aは、ヒトのPHOR−1 cDNA(クローンGTH10)のヌクレオチド配列(配列番号1)および推定されるアミノ酸配列(配列番号2)である。推定の開始メチオニンは太字で示される。配列は、Kozak配列を示す第2のメチオニン(ATG ATG G)の周辺の配列とともに、開始部位の2つの隣接しているメチオニンを示す。7個の推定の膜貫通ドメインが四角で囲まれる。 図1Bは、ヒトのPHOR−1 cDNA(クローンGTH10)のヌクレオチド配列(配列番号1)および推定されるアミノ酸配列(配列番号2)である。推定の開始メチオニンは太字で示される。配列は、Kozak配列を示す第2のメチオニン(ATG ATG G)の周辺の配列とともに、開始部位の2つの隣接しているメチオニンを示す。7個の推定の膜貫通ドメインが四角で囲まれる。 図1Cは、ヒトのPHOR−1 cDNA(クローンGTH10)のヌクレオチド配列(配列番号1)および推定されるアミノ酸配列(配列番号2)である。推定の開始メチオニンは太字で示される。配列は、Kozak配列を示す第2のメチオニン(ATG ATG G)の周辺の配列とともに、開始部位の2つの隣接しているメチオニンを示す。7個の推定の膜貫通ドメインが四角で囲まれる。 図1Dは、ヒトのPHOR−1 cDNA(クローンGTH10)のヌクレオチド配列(配列番号1)および推定されるアミノ酸配列(配列番号2)である。推定の開始メチオニンは太字で示される。配列は、Kozak配列を示す第2のメチオニン(ATG ATG G)の周辺の配列とともに、開始部位の2つの隣接しているメチオニンを示す。7個の推定の膜貫通ドメインが四角で囲まれる。 図2は、ClustalW 1.7プログラム(BCM Search Launcher)を使用した、ヒトのPHOR−1のHPRAJ70(配列番号4)およびRA1c(配列番号3)とのアミノ酸配列のアラインメントである。推定の膜貫通ドメインは太字で示されるか、または四角で囲まれる。四角で囲まれたドメインは、HPARJ70およびRA1cに対する相同性によって同定された。太字のドメインは、ウェブツールであるSOSUI(http://www.tuat.ac.jp/〜mitaku/adv sosui/submit.html)を使用して同定された。 図3は、PHOR−1遺伝子に対応するSSHに由来するフラグメントのヌクレオチド配列(配列番号5)である。 図4は、膜貫通PHOR−1タンパク質の全体的なトポロジーの模式図である。 図5Aは、前立腺および前立腺癌の異種移植片に制限されたヒトPHOR−1の発現を示す、半定量的なRT−PCR発現分析である。以下が示される:脳(レーン1)、正常な前立腺(レーン2)、LAPC−4 AD(レーン3)、去勢の3日後のLAPC−4 AD(レーン4)、去勢の14日後のLAPC−4 AD(レーン5)、LAPC−4 AI(レーン6)、HeLa細胞(レーン7)、およびネガティブコントロール(レーン8)。 図5Bは、前立腺に制限されたヒトPHOR−1の発現を示す半定量的なRT−PCR発現分析である。以下が示される:結腸(レーン1)、卵巣(レーン2)、白血球(レーン3)、正常な前立腺(レーン4)、小腸(レーン5)、脾臓(レーン6)、精巣(レーン7)、および胸腺(レーン8)。 図6Aは、PHOR−1発現のノーザンブロット分析の結果を示し、これは、正常な前立腺および前立腺癌の異種移植片に制限された発現を実証する。図6Aは、心臓(レーン1)、脳(レーン2)、胎盤(レーン3)、肺(レーン4)、肝臓(レーン5)、骨格筋(レーン6)、腎臓(レーン7)、および膵臓(レーン8)中のPHOR−1のノーザンブロット分析である。 図6Bは、PHOR−1発現のノーザンブロット分析の結果を示し、これは、正常な前立腺および前立腺癌の異種移植片に制限された発現を実証する。図6Bは、脾臓(レーン1)、胸腺(レーン2)、正常な前立腺(レーン3)、精巣(レーン4)、卵巣(レーン5)、小腸(レーン6)、結腸(レーン7)、および白血球(レーン8)中のPHOR−1のノーザンブロット分析である。 図6Cは、PHOR−1発現のノーザンブロット分析の結果を示し、これは、正常な前立腺および前立腺癌の異種移植片に制限された発現を実証する。図6Cは、正常な前立腺(レーン1)、LAPC−4 AD(レーン2)、LAPC−4 AI(レーン3)、LAPC−9 AD(レーン4)、およびLAPC−9 AI(レーン5)中のPHOR−1のノーザンブロット分析である。 図7は、前立腺に対して独占的である発現を示す、ヒトの組織に由来する76個の種々のサンプル中でのPHOR−1発現のmRNAドットブロット分析である。位置は、以下の組織を示す:A1 全脳;A2 小脳、左;A3 黒質;A4 心臓;A5 食道;A6 結腸、横断面;A7 腎臓;A8 肺;A9 肝臓;A10 HL60、白血病;A11 胎児の脳;B1 大脳皮質;B2 小脳、右;B3 中隔側坐核(accumbens nucleus);B4 大動脈;B5 胃;B6 結腸、下行;B7 骨格筋;B8 胎盤;B9 膵臓;B10 HeLa、S3;B11 胎児の心臓;C1 前頭葉;C2 脳梁;C3 視床;C4心房、左;C5 十二指腸;C6 直腸;C7 脾臓;C8 膀胱;C9 副腎;C10 K562、白血病;C11 胎児の腎臓;D1 頭頂葉;D2 扁桃腺;D3 脳下垂体;D4 心房、右;D5 空腸;D6 −−;D7 胸腺;D8 子宮;D9 甲状腺;D10 MOLT−4、白血病;D11 胎児の肝臓;E1 後頭葉;E2 尾状核;E3 脊髄;E4 心室、左;E5 回腸;E6 −−;E7 白血球;E8 前立腺;E9 唾液腺;E10 RAJI、リンパ腫;E11 胎児の脾臓;F1 側頭葉;F2 海馬;F3 −−;F4 心室、右;F5 回盲腸;F6 −−;F7 リンパ節;F8 精巣;F9 乳腺;F10 DAUDI、リンパ腫;F11 胎児の胸腺;G1 側中心回;G2 延髄;G3 −−;G4 心室間の隔壁;G5 中垂;G6 −−;G7 骨髄;G8 卵巣;G9 −−;G10 SW480、結腸癌;G11 胎児の肺;H1 脳橋;H2 硬膜;H3 −−;H4 心臓の尖;H5 結腸 上行性;H6 −−;H7 気道;H8 −−;H9 −−;H10 A549、肺癌;H11 −−。 図8Aは、ヒトの前立腺癌の異種移植片中でのPHOR−1の発現のノーザンブロット分析である。これは、前立腺癌の腫瘍中でのPHOR−1の高レベルな過剰発現を示す。正常な前立腺(レーン1):LACP−4 AD(レーン2);LAPC−4 AI(レーン3);LACP−9 AD(レーン4);LACP−9 AI(レーン5)。 図8Bは、ヒトの患者の生検サンプル中でのPHOR−1の発現のノーザンブロット分析である。これは、前立腺の腫瘍中でのPHOR−1の高レベルな過剰発現を示す。正常な前立腺(レーン6);患者1、正常な近隣組織(レーン7);患者1、Gleason 7腫瘍(レーン8);患者2、正常な近隣組織(レーン9);患者2、Gleason 9腫瘍(レーン10);患者3、正常な近隣組織(レーン11);患者3、Gleason 7腫瘍(レーン12);患者4、正常な近隣組織(レーン13);患者4、Gleason 7腫瘍(レーン14)。 図9Aは、前立腺癌におけるPHOR−1の発現である。これは、7個のうちの5個(または図9Bと組合せた場合には、10個のうちの8個)の腫瘍の標本のノーザンブロット分析によるアップレギュレーションを示す。以下の腫瘍型についての適合する腫瘍(T)および正常な(N)患者のサンプルが示される:Gleason 7(レーン対1);Gleason 9(レーン対2);Gleason 7(レーン対3〜5);Gleason 6(レーン対6〜7);Bは、良性の前立腺の過形成(BPH)を示す;Nは、さらなる正常な標本を示す。 図9Bは、前立腺癌におけるPHOR−1の発現である。これは、3個の腫瘍標本のうちの3個(図9Aと組合せた場合には、10個のうちの8個)のノーザンブロット分析によるアップレギュレーションを示す。以下の腫瘍型についての適合する腫瘍(T)および正常な(N)患者のサンプルが示される:Gleason 7(点の対8);Gleason 8(点の対9);Gleason 7(点の対10)。 図10は、患者に由来する増幅されたcDNAを使用して、腫瘍のRNA(T)および正常なRNA(N)の適合するサンプルのドットブロット分析によって実証された、ヒトの癌におけるPHOR−1の発現である。PHOR−1の発現のアップレギュレーションが、3人の前立腺癌の患者のうちの3人において、14人の腎臓癌の患者のうちの6人において、8人の子宮癌の患者のうちの2人において、8人の胃癌の患者のうちの3人において、そして7人の直腸癌の患者のうちの7人において、見られた。 図11Aは、アンチセンスPHOR−1リボプローブを用いたインサイチュハイブリダイゼーションによる、前立腺の上皮内新生物(PIN)中でのPHOR−1の発現を示す顕微鏡写真である。 図11Bは、アンチセンスPHOR−1リボプローブを用いたインサイチュハイブリダイゼーションによる、前立腺癌組織中でのPHOR−1の発現を示す顕微鏡写真である。 図12Aは、アンチセンスPHOR−1リボプローブを用いたインサイチュハイブリダイゼーションによる、前立腺癌中でのPHOR−1の発現を示す顕微鏡写真である。正常な前立腺(図12B)と比較した発現のアップレギュレーションに注目する。 図12Bは、アンチセンスPHOR−1リボプローブを用いたインサイチュハイブリダイゼーションによる、正常な前立腺中でのPHOR−1の発現を示す顕微鏡写真である。 図13Aは、PHOR−1−293T細胞中でのPHOR−1タンパク質の発現および検出である。293T細胞は、10μgの、pCDNA4 HIS MAX PHOR−1プラスミド(これは、ExpressエピトープおよびPHOR−1配列のN末端に融合されたHISタグを含む)またはベクターコントロールのいずれかで一時的にトランスフェクトされ、そしてフローサイトメトリーによってPHOR−1タンパク質の発現についてアッセイされた。PHOR−1タンパク質のフローサイトメトリーによる検出のために、PHOR−1OR−1でトランスフェクトした293T細胞およびベクターコントロールでトランスフェクトした293T細胞がトランスフェクションの2日後に回収され、そして10μg/mlの抗Express mAb(Invitrogen)、続いて抗マウスFITC結合体で染色され、次いでCoulter EPICS XLフローサイトメーターで分析された。コントロールでトランスフェクトされた細胞の集団(実線)およびPHOR−1でトランスフェクトされた細胞の集団(点線)の代表的な蛍光プロフィールが矢印で示される。これらの結果は、トランスフェクトされた細胞中でのPHOR−1タンパク質の細胞表面での発現および認識を示す。 図13Bは、PHOR−1−293T細胞中でのPHOR−1タンパク質の発現および検出である。293T細胞は、図13Aに記載されるようにトランスフェクトされ、そして免疫沈降(IP)およびウェスタンブロッティングによってPHOR−1タンパク質の発現についてアッセイされた。免疫沈降およびウェスタンアッセイのために、PHOR−1およびベクターコントロール細胞が回収され、そして免疫沈降のためにはRIPA緩衝液(25mMのTris pH7.5、150mMのNaCl、1%のTriton−X 100、0.5%のデオキシコール酸ナトリウム、1%のSDS、2mMのEDTA、100μg/mlのPMSF、2μgのロイペプチン、および2mMのオルトバナジウム酸ナトリウム)中に、または全細胞溶解物(WCL)のウェスタン分析のためには2×SDS−PAGEサンル緩衝液中のいずれかに溶解させられた。RIPA溶解物は、プロテインGアガロースビーズを用いて予め洗浄され、次いで4μgの親和性精製されたPHOR−1抗ペプチドウサギpAbおよびプロテインGアガロースビーズを用いて免疫沈降される。全細胞溶解物(WCL)中に存在する免疫沈降させられたPHOR−1タンパク質(IP)およびPHOR−1タンパク質は、抗Express mAb、続くヤギ抗マウスHRP二次抗体を用いるウェスタン分析によって検出され、そして増強させられた化学発光およびオートラジオグラム用フィルムへの暴露によって可視化させられた。矢印は、抗Express mAbによって検出された推定される37kDのPHOR−1エピトープタグ化タンパク質を示す。高分子量のスメアもまた、PHOR−1でトランスフェクトされた細胞中で検出されたが、コントロール細胞中では検出されなかった。これは、疎水性膜貫通領域の会合によって誘導されたPHOR−1タンパク質の凝集を示し得る。これらの結果は、トランスフェクトされた細胞中でのPHOR−1タンパク質の細胞表面での発現および認識を示す。 図14Aは、PHOR−1特異的ポリクローナル抗体によるPHOR−1タンパク質の細胞表面での発現のフローサイトメトリーによる検出である。PHOR−1配列のアミノ酸1−14に対して惹起された親和性によって精製した抗PHOR−1ペプチドpAbが、一過性トランスフェクトされた293T細胞中で発現されるエピトープタグ化PHOR−1タンパク質を検出するために使用された。293T細胞は、ベクターコントロールまたはpCDNA4 HIS−MAX PHOR−1プラスミド(10μg)のいずれかでトランスフェクトされ、そして2日後に回収された。細胞は、次いで、10μgの抗Express mAb、続いて抗マウスFITC結合2次Abで染色され、そしてCoulter EPICS XLフローサイトメーターで分析された。コントロールでトランスフェクトされた細胞の集団(実線)およびPHOR−1でトランスフェクトされた細胞の集団(点線)の代表的な蛍光プロフィールが矢印で示される。 図14Bは、PHOR−1特異的ポリクローナル抗体によるPHOR−1タンパク質の細胞表面での発現のフローサイトメトリーによる分析である。PHOR−1配列のアミノ酸1−14に対して惹起された親和性によって精製した抗PHOR−1ペプチドpAbが、一過性トランスフェクトされた293T細胞中で発現されるエピトープタグ化PHOR−1タンパク質を検出するために使用された。293T細胞は、ベクターコントロールまたはpCDNA4 HIS−MAX PHOR−1プラスミド(10μg)のいずれかでトランスフェクトされ、そして2日後に回収された。細胞は、次いで、親和性によって精製されたウサギ抗PHOR−1 pAb、続いて抗ウサギFITC結合2次Abで染色され、そしてCoulter EPICS XLフローサイトメーターで分析された。コントロールでトランスフェクトされた細胞の集団(実線)およびPHOR−1でトランスフェクトされた細胞の集団(点線)の代表的な蛍光プロフィールが矢印で示される。 図15は、GST−PHOR−1抗原を用いて免疫化したマウスに由来する血清のPHOR−1特異的反応性である。Balb Cマウスが、PHOR−1タンパク質配列のアミノ酸86から310をコードするグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)−PHOR−1融合タンパク質で免疫化された。PHOR−1タンパク質配列に対する免疫化されたマウスの特異的反応性が、標的抗原として同じアミノ酸をコードするマルトース結合タンパク質(MBP)−PHOR−1融合タンパク質を使用するウェスタンブロッティングによって決定された。代表的な試験採血の1:500希釈が、精製されたMBP−PHOR−1タンパク質(2μg=約100ngの融合タンパク質)および誘導された細菌の溶解物の種々の量のブロットをプローブするために使用された。MBP−PHOR−1タンパク質の特異的な認識が示され、これは、免疫化されたマウスの血清中のPHOR−1特異的抗体を示す。 図16Aは、LNCaP腫瘍細胞上でのPHOR−1の細胞表面での発現の検出である。LNCaP細胞が、GST−PHOR−1で免疫化したマウスに由来する血清、またはマウスの予備免疫血清、続く抗マウスFITC結合体化抗マウス二次抗体で免疫化されたマウスに由来する血清の組合せのいずれかの、1:200稀釈を用いて染色された。染色された細胞は、次いで、Coulter EPICS XLフローサイトメーターで分析された。予備免疫血清(実線)またはGST−PHOR−1で免疫化された血清(点線)のいずれかで染色された細胞の集団の代表的な蛍光プロフィールが矢印で示される。これらの結果は、LNCaP前立腺癌細胞中での内因性の細胞の表面でのPHOR−1の発現の認識を示す。 図16Bは、LAPC9腫瘍細胞上でのPHOR−1の細胞表面での発現の検出である。LACP9 SCIDマウスの異種移植片から調製されたLACP9腫瘍細胞が、GST−PHOR−1で免疫化したマウスに由来する血清、またはマウスの予備免疫血清、続く抗マウスFITC結合抗マウス二次抗体で免疫化したマウスに由来する血清の組合せのいずれかの、1:200稀釈を用いて染色された。染色された細胞は、次いで、Coulter EPICS XLフローサイトメーターで分析された。予備免疫血清(実線)またはGST−PHOR−1で免疫化された血清(点線)のいずれかで染色された細胞の集団の代表的な蛍光プロフィールが矢印で示される。これらの結果は、LAPC9前立腺癌細胞中での内因性の細胞の表面でのPHOR−1の発現の認識を示す。 図17では、PHOR−1の発現が細胞を含まないインビトロでの翻訳によって評価された。コントロールcDNAおよびPHOR−1 cDNAが、ウサギの網状赤血球溶解物を使用してインビトロで翻訳された。細胞を含まないインビトロでの翻訳アッセイは、PHOR−1 cDNAが38から42kDaのタンパク質に翻訳され、これがPHOR−1の計算された分子量に対応することを示す。 図18Aは、ホルマリンで固定され、そしてパラフィンで包埋された前立腺癌組織上での、抗PHOR−1(ペプチド1;アミノ酸1〜14)ウサギポリクローナル抗体を使用した免疫組織化学的分析を示す顕微鏡写真である。 図18Bは、ホルマリンで固定され、そしてパラフィンで包埋された前立腺癌細胞株LNCaP上での、抗PHOR−1(ペプチド1;アミノ酸1〜14)ウサギポリクローナル抗体を使用した免疫組織化学的分析を示す顕微鏡写真である。 図18Cは、ホルマリンで固定され、そしてパラフィンで包埋された前立腺癌組織上での、抗PHOR−1(ペプチド1;アミノ酸1〜14)ウサギポリクローナル抗体を使用した免疫組織化学的分析を示す顕微鏡写真である。 図18Dは、ホルマリンで固定され、そしてパラフィンで包埋された正常な前立腺上での、抗PHOR−1(ペプチド1;アミノ酸1〜14)ウサギポリクローナル抗体を使用した免疫組織化学的分析を示す顕微鏡写真である。 図18Eは、ホルマリンで固定され、そしてパラフィンで包埋された前立腺ガン組織上での、抗PHOR−1(ペプチド1;アミノ酸1〜14)ウサギポリクローナル抗体を使用した免疫組織化学的分析を示す顕微鏡写真である。 図18Fは、ホルマリンで固定され、そしてパラフィンで包埋された正常な前立腺上での、抗PHOR−1(ペプチド1;アミノ酸1〜14)ウサギポリクローナル抗体を使用した免疫組織化学的分析を示す顕微鏡写真である。 図19Aは、ホルマリンで固定され、そしてパラフィンで包埋された293T細胞上での、抗PHOR−1(ペプチド1;アミノ酸1〜14)ウサギポリクローナル抗体を使用した免疫組織化学的分析を示す顕微鏡写真である。 図19Bは、ホルマリンで固定され、そしてパラフィンで包埋された、PHOR−1を発現するように操作された293T細胞上での、抗PHOR−1(ペプチド1;アミノ酸1〜14)ウサギポリクローナル抗体を使用した免疫組織化学的分析を示す顕微鏡写真である。 図19Cは、ホルマリンで固定され、そしてパラフィンで包埋されたPC3細胞上での、抗PHOR−1(ペプチド1;アミノ酸1〜14)ウサギポリクローナル抗体を使用した免疫組織化学的分析を示す顕微鏡写真である。 図19Dは、ホルマリンで固定され、そしてパラフィンで包埋された、PHOR−1を発現するように操作されたPC3細胞上での、抗PHOR−1(ペプチド1;アミノ酸1〜14)ウサギポリクローナル抗体を使用した免疫組織化学的分析を示す顕微鏡写真である。 図19Eは、ホルマリンで固定され、そしてパラフィンで包埋された前立腺ガン組織上での、抗PHOR−1(ペプチド1;アミノ酸1〜14)ウサギポリクローナル抗体を使用した免疫組織化学的分析を示す顕微鏡写真である。 図19Fは、ホルマリンで固定され、そしてパラフィンで包埋されたLNCaP細胞上での、抗PHOR−1(ペプチド1;アミノ酸1〜14)ウサギポリクローナル抗体を使用した免疫組織化学的分析を示す顕微鏡写真である。 図20Aは、PHOR−1によるチロシンのリン酸化の変化のウェスタン分析である。neoまたはpSRαレトロウイルスベクター中のPNOR−1のいずれかを安定に発現するPC3細胞が、1%のFBS中で一晩増殖させられた。次いで、細胞は、未処理のまま放置されたか、または10%のFBSで3分間処理された。細胞は溶解させられ、そして抗ホスホチロシン(UBI、Lake Placid、NY)を用いたウェスタンブロッティングによって分析された。 図20Bは、PHOR−1によるErkのリン酸化の変化のウェスタン分析である。neoまたはpSRαレトロウイルスベクター中のPNOR−1のいずれかを安定に発現するPC3細胞が、図19Aについて記載されているように処理された。細胞は溶解させられ、そして抗ホスホ−ERK(Cell Signal,Beverly,MA)mAbを用いたウェスタンブロッティングによって分析された。 図20Cでは、図19A〜Bについて記載されたように調製された細胞がまた、Grb2についてプローブされた。抗Grb2 mAb(Transduction Laboratories,San Diego,CA)オーバーレイ方式は、等量のタンパク質の充填を示す。 図20Dは、PC3−neoおよびPC3−PHOR−1細胞のノーザン分析である。図19A〜Cにおいて上記に記載されたPC3細胞は、ノーザンブロッティングによってPHOR−1の発現について評価された。RNAがコントロールPC3−neo細胞およびPHOR−1で安定に形質導入されたPC3細胞から抽出され、そしてRNAのブロットがPHOR−1プローブ(クローンGTH10のXba−Ecor1フラグメント)を使用してハイブリダイズされた。LAPC4異種移植片に由来するRNAが、ポジティブコントロールとして使用された(図20を参照のこと)。結果は、PHOR−1 mRNAは、レトロウイルスで形質導入されたPC3−PHOR−1細胞中で発現されるが、コントロール細胞中では発現されないことを示す。 図20Eは、LAPC4異種移植片中でのPHOR−1の発現を示すノーザンブロットである。強力な発現が、アンドロゲン依存性(AD)のLAPC4中で観察されたが、アンドロゲン非依存性(AI)のLAPC4中では観察されなかった。 図21Aでは、PHOR−1を安定に発現するNIH−3T3細胞が、軟らかい寒天中でコロニーを形成するそれらの能力について分析された。neoを安定に発現するNIH−3T3細胞が、ネガティブコントロールとして使用された。実験は2連で行われた。アッセイは、細胞のプレーティングの4週間後に評価された。 図21Bでは、PHOR−1を安定に発現するNIH−3T3細胞が、軟らかい寒天中でコロニーを形成するそれらの能力について分析された。実験は2連で行われた。アッセイは、細胞のプレーティングの4週間後に評価された。コロニー数は、PHOR−1がneoコトロールと比較してコロニーの形成において3倍の増大を誘導することを示す(図21A)。この有意な増大は、2つの別々の実験において観察されている。結果は、NIH 3T3細胞中でのPHOR−1の発現が、強力な腫瘍形成遺伝子であるRasによる5倍の増大(図21Cを参照のこと)と比較して、3〜4倍のコロニーの形成を誘導することを示し、このことは、PHOR−1が有意な形質転換能力を有することを示唆している。 図21Cでは、PHOR−1を安定に発現するNIH−3T3細胞が、軟らかい寒天中でコロニーを形成するそれらの能力について分析された(図21B)。活性化されたRasを安定に発現するNIH−3T3細胞が、ポジティブコントロールとして使用された。実験は2連で行われた。アッセイは、細胞のプレーティングの4週間後に評価された。 図22は、PHOR−1ファミリーのメンバーである、AI138218のヌクレオチド配列(配列番号6)および推定のORFのアミノ酸配列(配列番号7)である。

Claims (5)

  1. 配列番号:2のPHOR−1タンパク質に免疫反応性の抗体又はその抗原結合性フラグメントであって、ガン細胞に対して毒性の治療薬に結合された、前記抗体又はその抗原結合性フラグメント。
  2. 細胞に対して毒性の治療薬が放射性同位元素、化学療法剤、及び毒素からなる群より選択される、請求項1記載の抗体又はそのフラグメント。
  3. 放射性同位元素が131I、90Y、186Re、及び212Biからなる群より選択され、
    化学療法剤がタキソール、アクチノマイシン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ゲロニン、及びカリヒマイシンからなる群より選択され、
    毒素がジフテリア毒素、エノマイシン、フェノマイシン、Pseudomonas外毒素(PE)A、PE40、アブリン、アブリンA鎖、ミトゲリン、モデシンA鎖、及びα−サルシンからなる群より選択される、請求項2記載の抗体又はそのフラグメント。
  4. 以下の工程を包含する、試験組織におけるガンの存在の有無を決定する方法:
    (a)該試験組織のサンプルにおける配列番号:2のPHOR−1タンパク質又はそれをコードするmRNAのレベルを決定する工程;
    (b)ガンの存在しない対応する組織における該タンパク質又は該mRNAのレベル値を提供する工程;及び
    (c)工程(b)で提供されたレベルに対して工程(a)で決定されたタンパク質又はmRNAのレベルを比較する工程であって、
    それにより、(b)と比較した(a)のレベルが大きい場合は該試験組織にガンが存在することを示し、(b)と比較した(a)のレベルが大きくない場合は該試験組織にガンが存在しないことを示す、前記方法。
  5. PHOR−1タンパク質のレベルが、サンプルをPHOR−1タンパク質と特異的に結合する媒介物(agent)に接触させる工程、及び該サンプルに対する該媒介物の結合のレベルを検出する工程、を含む方法によって決定される、請求項に記載の方法であって、該媒介物が抗体又はその抗原結合性フラグメントである、前記方法。
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