まず、本発明の実施例1に係るTLV対応の放送システムの概要について説明する。図1は本発明の実施例1に係るTLV対応の放送システムの構成図を示す。TLV対応の放送システムは、コンテンツ配信者からエンドユーザにコンテンツを送信するとき、コンテンツ配信装置100から送信側ネットワーク200、伝送路、受信側ネットワーク300、ユーザー端末装置400への順番に送信する。本発明の放送システムは、主に衛星放送での使用を主としている。そのため、伝送路は衛星から送信された電波が通過する空間を想定している。また、図1ではユーザー端末装置400を1台のみ記載しているが、受信側ネットワーク300には複数台のユーザー端末装置400が接続されている。
コンテンツ配信装置100は、映像や音声、文字情報などのデータをコンテンツとして送信側ネットワーク200へ出力する。なおコンテンツ配信装置100は、受信側ネットワーク300やユーザー端末装置400などで使用されるMACアドレス情報を含ませることも可能である。
送信側ネットワーク200は、データを伝送路に出力するために、コンテンツ配信装置100から入力されたコンテンツデータをTLVコンテナ化するTLVコンテナ化部210と、TLVコンテナ化部210でコンテナ化されたTLVコンテナを伝送路上の信号形式に変換するために特定のフォーマットに多重化する多重化部220と、多重化部220で多重化された信号を伝送路で出力するために変調する変調部230で構成されている。特に、変調部230は、多重化されたデータを変調する機能に加え、伝送路の最小単位である固定長のスロット期間の中でデータ範囲を示す情報や、スロットに多重されているデータの種類を示す情報をTMCCデータとして変調する機能を有している。
ここで、TLVコンテナとは、TypeデータとLengthデータとValueデータの3つのデータから構成されており、Valueデータはコンテンツ配信装置100から送信するコンテンツなどのデータで、LengthデータはTLVコンテナのサイズ情報を含んだデータで、TypeデータはTLVコンテナの種類の情報を含んだデータである。
受信側ネットワーク300は、送信側ネットワーク200からデータを受信し、ユーザー端末装置400へGigabitイーサーネットの形式で出力するものである。そのために、受信側ネットワーク300は、伝送路から入力した変調波を復調し、伝送路上の信号形式からデータを多重分離する復調部310と、復調部310で多重分離したデータからTLVコンテナのValueデータを抜き出すTLVデコンテナ化部320と、TLVデコンテナ化部320で抜き出されたデータをGigabitイーサーネット形式のデータに変換するMACフレーム変換部330と、MACフレーム変換部330で変換されたデータを外部のユーザー端末装置400のGbE_I/Fに出力するGbE_I/F340で構成される。特に、復調部310は、変調された変調信号から、まずTMCCデータを復調し、多重化されたデータを復調する際には、TMCCデータからスロットに含まれているデータ範囲を認識して復調している。また、復調部310は、多重化されたデータを多重分離する際にも、TMCCデータから多重されているデータの種類を認識して多重分離している。
ここで、MACフレーム変換部330は、TLVデコンテナ化部320で抜き出されたTLVコンテナのValueデータ、つまり、コンテンツ配信装置100から送信されたコンテンツとユーザー端末装置400などで使用されるMACアドレス情報をMACフレームに変換する。このとき、MACフレームのヘッダーに特定のMACアドレスのみを付加したり、複数のMACアドレスを付加したりすることが可能である。また、ヘッダーに付加するMACアドレスは、MACフレーム変換部330が保有しているMACアドレスを使用したり、コンテンツ配信装置100から送信されてきたMACアドレスを使用したりすることができる。
ユーザー端末装置400は、コンテンツデータを映像表示するために、受信側ネットワーク300から入力したGigabitイーサーネット形式のデータを受け取り、コンテンツデータを出力する情報端末部410と、情報端末部410が出力したコンテンツデータを映像表示する表示部420で構成される。
情報端末部410は、MACフレーム変換部330で宛先としてMACアドレスがヘッダーに付加された場合、コンテンツデータを受け取ることができる。また、MACフレーム変換部330で複数の宛先のMACアドレスが付加された場合、宛先に対応する複数の情報端末部410でそれぞれデータを受け取ることが可能である。また、情報端末部410はモニタにリアルタイムで出力する必要はなく、ハードディスクなどの記録部を接続、或いは、内蔵することで、コンテンツデータを蓄積することが可能となる。
次に、本発明の実施例1に係るTLV対応の放送システムの受信側ネットワークについて詳細を説明する。受信側ネットワーク300は、送信側ネットワーク200から伝送路経由で受信したTLVコンテナのデータを外部機器であるユーザー端末装置400にGigabitイーサーネットで出力するMACフレームに変換する機能を有している。まず、TLVコンテナをGigabitイーサーネットで出力するためのTLVコンテナのMACフレームについて説明する。図2は、本発明の実施例1に係るMACフレームの構成図である。
TLVコンテナのデータフォーマット変換後のMACフレームは、Gigabitイーサーネットの規格であるIEEE Standard 802.3に基づいている。図2に示すように、宛先MACアドレスからCarrier Extendまでのサイズは最小で512バイトとなっているため、TLVコンテナのサイズが466バイト以下の場合、Carrier Extendのデータサイズを調整することで最小サイズ512バイトにしている。そして、TLVコンテナのMACフレーム変換は、プリアンブルとIFGを更に付加することで、最小サイズ532バイトとなっている。
さらに、MACフレーム変換部330がTLVコンテナをこのMACフレームにMACフレーム変換することについて説明する。図3は、本発明の実施例1に係るMACフレーム変換部330の概要図である。MACフレーム変換部330は、入力されたTLVコンテナをバッファメモリ331で一旦蓄積し、ヘッダー付加部332でTLVコンテナにUDPheaderを付加した後、IPv4headerを付加して、IPv4パケットの形式にする。さらに、宛先MACアドレス、送信元MACアドレス、タイプ、FCSを付加することで、MACフレームとし、そのMACフレームのサイズが512バイト未満の場合、MACフレームのサイズと合わせて512バイトになるようにCarrier Extendのデータを最後尾に付加する。そして先頭を示すプリアンブルやパケット間の間を示すIFGの期間を加えたサイズのパケットをGbE_I/F340に出力する。
MACフレーム変換部330への入力速度は、受信ネットワーク300のデータ処理の動作周波数になり、バイトクロック周波数18.5MHzとしている。一方、MACフレーム変換部330の出力速度は、GbE_I/Fの動作モードで決まり、GMIIの動作モードで125MHzである。入力速度より出力速度が6.7倍と速いため、パケットサイズであるTLVコンテナサイズが79バイト(532バイトの1/6.7)以上であれば、バッファメモリのオーバーフローを理論上起こすことはない。しかし、TLVコンテナサイズが78バイト未満になると、ヘッダーのオーバーヘッドが増加し、結果として出力のスループットが低下する現象が生じる。
MACフレーム変換部330の出力のスループットの低下の様子の例としてTLVコンテナのMACフレーム変換部330の内部動作として、入力に対するヘッダー付加後の出力の処理を示す。図4は本発明のMACフレーム変換部330の内部動作概要図である。
MACフレーム変換部330は、伝送路の最小単位である固定長のスロット期間を処理範囲として、MACフレームにおけるヘッダーの割合が最も大きくなる最小バイトサイズ(4バイト)のコンテナN個と、5049バイトからN個の最小コンテナのバイト数の合計を引いた余りバイト数サイズをもつコンテナ1個を入力している。そして、MACフレーム変換部330は、図2で示す最小MACフレームサイズ(532バイト)のMACフレームN個を出力することになり、出力期間が入力期間よりも長くなったときに出力のスループットが低下する。出力期間が入力期間よりも長い状態が続くと、コンテナデータがバッファメモリに蓄積され続け、いずれバッファメモリからコンテナデータがオーバーフローを起こすことになる。
次にコンテナ配信装置100と送信側ネットワーク200について詳細を説明する。コンテナ配信装置100と送信側ネットワーク200では受信側ネットワーク300で起きるコンテナデータのオーバーフローを回避する。そのために、コンテナデータの中身であるコンテンツデータを出力するコンテナ配信装置100が、コンテンツを解析し、送信側ネットワーク200のTLVコンテナ化部210からのフィードバック補正信号からコンテンツデータの長さを制御することで、コンテナのサイズを調整する。コンテンツデータの長さを変化する手段として、図5に本発明の実施例1に係るコンテンツ配信装置100と、送信側ネットワーク200の概要図を示す。
図5に示すように、コンテンツ配信装置100は、コンテンツ記録部101と、コンテンツ解析部102と、コンテンツデータ制御部103で構成されている。送信側ネットワーク200のTLVコンテナ化部210は、バッファメモリ211と、データ解析部212と、ヘッダー作成部213と、TLVコンテナ生成部214と、コンテナ長解析部215で構成されている。そして、送信側ネットワーク200の多重化部220は、バッファメモリ221と、スロット構成部222で構成されている。
コンテンツ記録部101は、ユーザー端末装置400に配信し出画するコンテンツであるコンテンツソースを記録している。
コンテンツ解析部102は、コンテンツ記録部101からコンテンツソースを読み出し、映像や音声などのコンテンツソースの種類やコンテンツソースの長さを解析する。
コンテンツデータ制御部103は、コンテンツ解析部102で解析したコンテンツソースの種類や長さから、コンテンツソースの分割後のデータの長さを決定し、分割したコンテンツデータを結合するのに必要な制御データを付加し、ユーザー端末装置400や他の情報端末装置へ送るために分割後のデータをIPパケット化することで、TLVコンテナのValueデータ単位となるコンテンツデータを生成する。また、TLVコンテナ化部210からのコンテナの長さ情報から、3つのコンテナの平均コンテナ長が特定の長さ以下になるように、ヌルデータを追加してコンテンツデータを制御するフィードバック補正機能も有している。
バッファメモリ211は、コンテンツ配信装置100から入力したコンテンツデータを蓄積する。
データ解析部212は、コンテンツ配信装置100から入力したコンテンツデータのサイズと種類を解析し、ヘッダー作成部213にその解析情報を出力する。
ヘッダー作成部213は、データ解析部212から入力した解析結果であるコンテンツデータのサイズと種類からLengthデータとTypeデータを作成し、TLVコンテナ生成部214に出力する
TLVコンテナ生成部214は、バッファメモリ211に蓄積されたコンテンツデータをValueデータとして読み出し、このValueデータにヘッダー作成部213から入力されたLengthデータとTypeデータをヘッダーとして結合することで、TLVコンテナを生成する。
コンテナ長解析部215は、TLVコンテナ生成部214から出力されたTLVコンテナのコンテナ長を解析し、その解析結果をコンテンツ配信部100のコンテンツデータ制御部103に出力する。
バッファメモリ221は、TLVコンテナ化部210のTLVコンテナ生成部214から入力したTLVコンテナを蓄積する。
スロット構成部222は、バッファメモリ221からTLVコンテナを読み出し伝送路の信号形式である固定長のスロット単位に変換し、変調部230へ出力する。
ここで、コンテンツ配信装置100の内部動作の詳細について、コンテンツデータをコンテナのValueデータとして出力する様子で説明する。図6は、本発明の実施例1に係るコンテンツ配信装置100の動作説明図である。図6にコンテンツ配信装置100の構成図と処理過程を示す。コンテンツ記録部101は、配信されるコンテンツが蓄積しており、配信するコンテンツが決定すると、コンテンツ解析部102によって、配信するコンテンツを読み出される。そして、コンテンツ解析部102は、読み出したコンテンツ内のコンテンツソースが映像データか音声データかを解析し、そのコンテンツソースの長さも解析する。
コンテンツデータ制御部103は、解析されたコンテンツソースを複数のデータに分割し、コンテンツ解析部102の解析結果や分割データの情報を制御データとして生成する。この制御データは、分割された複数のデータを後に統合するために必要となる。コンテンツデータ制御部103は、制御データを分割されたデータのヘッダーに付加し、更にIPv4ヘッダーを付加してIPパケット化を行い、TLVコンテナのValueデータとして出力する。IPv4ヘッダーを付加することは、ユーザー端末装置400や他の情報端末装置に送信可能とするために必要である。図6では、コンテンツ解析部102がコンテンツソースとして映像データを解析し、コンテンツデータ制御部103が1つの映像データを8032個に分割し、制御データとIPv4ヘッダーをヘッダーに付加してIPパケット化することで、8032個のTLVコンテナのValueデータが作成される。
次に、コンテンツデータ制御部103が送信側ネットワーク200のTLVコンテナ化部210からのフィードバック補正制御信号をもとにコンテンツデータにヌルデータを追加して構成を変更した様子を説明する。図7は、本発明の実施例1に係るフィードバック補正制御におけるコンテンツ配信装置100の動作説明図である。例えば、コンテンツデータ制御部103がコンテンツ解析部102から、100メガバイトの映像コンテンツソースを入力したときのコンテンツソースの一部の300バイトのデータをIPv4パケット形式のIPパケット化で処理したときを説明する。
コンテンツ解析部102で、コンテンツ記録部101に蓄積されているコンテンツソースのサイズと種類を解析し、コンテンツの種類は映像データ、コンテンツソースのサイズは100メガバイトとして解析している。コンテンツデータ制御部103は、コンテンツ解析部102で解析されたコンテンツソースの種類とサイズの情報や送信側ネットワーク200のTLVコンテナ化部210からのフィードバック補正制御信号をもとにコンテンツデータの構成を決定する。
ここで、解析された映像コンテンツソースの一部である300バイトを24バイト、234バイト、42バイトの3つのデータに分割したとする。フィードバック補正制御信号がない場合、分割された各映像コンテンツデータは、10バイトの制御データをヘッダーとして付加され、加えて20バイトのIPv4ヘッダーが付加され、それぞれ54バイト、264バイト、72バイトとなり、TLVコンテナのValueデータとして出力される。そして、出力されたTLVコンテナのValueデータは、TLVコンテナ化部210のTLVコンテナ生成部214で2バイトのTypeデータと2バイトのLengthデータが付加され、58バイト、268バイト、76バイトのTLVコンテナにそれぞれなる。
一方、フィードバック補正制御信号がある場合、コンテナ長解析部215では、設けた特定の制限サイズ(76バイト)よりTLVコンテナのサイズが小さいかどうかを判断し、小さい場合はコンテンツデータ制御部103に76バイト以上になるように差分データを送る。つまり、図7の場合は、コンテンツデータ制御部103は、TLVコンテナ化部210からフィードバック補正制御信号として差分データを受け取り、出力した76バイト以下のデータである58バイト(ヘッダーの付加前は24バイト)のデータに差分データである18(=76−58)バイトを付加する必要があることを認識する。そこで、受信側ネットワーク300で処理に無関係で、バイト数の分オーバーフローを回避することに貢献するヌルデータを付加する。
ここで、平均処理しない場合と3つのコンテナの平均処理した場合の2通りを説明する。まず平均処理しない場合、上述から18バイトを付加する必要があるため、コンテンツデータ制御部103は、先ほど出力した300バイトのデータに18バイトのヌルデータを追加して出力することで、TLVコンテナサイズ76バイト以上にするために最小の分割データサイズ(24バイト)に18バイトのヌルデータを追加して42バイトと同様になるように出力することができる。初めに出力された300バイトのデータはバッファ221で保存されており、そこにヌルデータを追加するように保存される。これにより、TLVコンテナサイズは76バイト以上の条件と同等とみなすことができる。
また3つのコンテナの平均処理した場合、コンテンツデータ制御部103は、3つのコンテナ長の平均でヌルデータを付加するか判断する。24バイトのデータを76バイト以上のコンテナ長にするには18バイトのヌルコンテナが必要だが、3つのコンテナの平均コンテナ長は130バイト(=54バイト+246バイト+72バイト)になる。つまり、3つのコンテナ長の平均サイズにおいて76バイト以上の制限を満たしているため、コンテンツデータ制御部103は、ヌルデータを追加する必要がないと判断し、ヌルデータは追加されずに処理される。
TLVコンテンツでヌルコンテナを出力する判断をもつとする。
24バイトのコンテンツデータを出力して、フィードバック補正が必要とするのが、だいたい200バイト後としている。
ここで特定の制限サイズ(76バイト)について、詳細を以下に述べる。図8は、本発明のコンテナの特定の制限サイズを求める式を示す図である。特定の制限サイズの値は、受信側ネットワーク300でオーバーフローを必ず起こさない値が考えられる。高度化ISDB−Sの規格においては、変調方式が32APSKで、符号化率9/10の運用時にスロットのデータバイト数が最も大きくなり、スロットのデータバイト数は5049バイトになる。出力クロックは、シンボルレート32.5941MHzから導かれたバイトクロックである。オーバーフローを起こさない最小コンテナサイズとして、スロット単位あたりで処理可能な最小サイズのコンテナ数N個が考えられ、計算される値は最小GbE(Gigabitイーサーネットの出力サイズ)×N≧スロット期間であり、図8のように計算するとN≦67となる。そして、スロットのデータバイト数5049から処理可能な最小サイズのコンテナ数67を割った値より大きい整数値で最小コンテナサイズは76バイトとなる。
かかる構成によれば、コンテンツ配信装置100で生成される3個のコンテンツデータのサイズを平均し、その平均値と制限サイズを比較して平均値が制限サイズ以下であるときにヌルパケットを送信することにより、受信側ネットワーク300で起こるオーバーフローを回避することができる。
なお、本実施例において、IPパケット化としてIPv4ヘッダーを例にしたが、IPv6ヘッダーや圧縮IPヘッダー、無IPとしても良い。この場合、IPパケットの種類がランダムに変更されても、フィードバックにより制限を守ることができるという利点がある。
なお、本実施例において、フィードバック補正信号による補正に関して3個のコンテナの平均コンテナ長を例にしたが、平均対象個数を3個に限定するものではなく、例えば1スロット期間の個数としてもよい。オーバーフローを起こす受信側ネットワーク300のMACフレーム変換部330のバッファメモリの容量を大きくすることで、平均対象個数を多くすることができ、無駄なヌルデータを付加する必要を最小限に抑えることができるという利点がある。
つぎに、本発明の実施例2に係るTLV対応の放送システムの概要について説明する。本発明の実施例2に係るTLV対応の放送システムの構成図は図1に示す実施例1と同様である。実施例2では、送信側ネットワークの構成が実施例1と異なっている。そこで、コンテナ配信装置100と送信側ネットワーク200について詳細を説明する。コンテナ配信装置100と送信側ネットワーク200では受信側ネットワーク300で起きるコンテナデータのオーバーフローを回避する。そのために、コンテナデータの中身であるコンテンツデータを出力するコンテナ配信装置100が、コンテンツを解析し、送信側ネットワーク200の多重化部220からのフィードバック補正信号からコンテンツデータの長さを制御することで、コンテナのサイズを調整する。コンテンツデータの長さを変化する手段として、図9に本発明の実施例1に係るコンテンツ配信装置100と、送信側ネットワーク200の概要図を示す。
図9に示すように、コンテンツ配信装置100は、コンテンツ記録部101と、コンテンツ解析部102と、コンテンツデータ制御部103で構成されている。送信側ネットワーク200のTLVコンテナ化部210は、バッファメモリ211と、データ解析部212と、ヘッダー作成部213と、TLVコンテナ生成部214で構成されている。そして、送信側ネットワーク200の多重化部220は、バッファメモリ221と、スロット構成部222と、コンテナ解析部223と、バッファメモリ224で構成されている。
コンテンツ記録部101は、ユーザー端末装置400に配信し出画するコンテンツであるコンテンツソースを記録している。
コンテンツ解析部102は、コンテンツ記録部101からコンテンツソースを読み出し、映像や音声などのコンテンツソースの種類やコンテンツソースの長さを解析する。
コンテンツデータ制御部103は、コンテンツ解析部102で解析したコンテンツソースの種類や長さから、コンテンツソースの分割後のデータの長さを決定し、分割したコンテンツデータを結合するのに必要な制御データを付加し、ユーザー端末装置400や他の情報端末装置へ送るために分割後のデータをIPパケット化することで、TLVコンテナのValueデータ単位となるコンテンツデータを生成する。また、多重化部220からのスロット内のコンテナ情報から、スロット内のコンテナ数が特定の個数以下になるように、ヌルデータを追加してコンテンツデータを制御するフィードバック補正機能も有している。
バッファメモリ211は、コンテンツ配信装置100から入力したコンテンツデータを蓄積する。
データ解析部212は、コンテンツ配信装置100から入力したコンテンツデータのサイズと種類を解析し、ヘッダー作成部213にその解析情報を出力する。
ヘッダー作成部213は、データ解析部212から入力した解析結果であるコンテンツデータのサイズと種類からLengthデータとTypeデータを作成し、TLVコンテナ生成部214に出力する
TLVコンテナ生成部214は、バッファメモリ211に蓄積されたコンテンツデータをValueデータとして読み出し、このValueデータにヘッダー作成部213から入力されたLengthデータとTypeデータをヘッダーとして結合することで、TLVコンテナを生成する。
バッファメモリ221は、TLVコンテナ化部210のTLVコンテナ化部210から入力したTLVコンテナを蓄積する。
スロット構成部222は、バッファメモリ221からTLVコンテナを読み出し伝送路の信号形式である固定長のスロット単位に変換する。
コンテナ解析部223は、スロット構成部222から出力されたスロットデータから各スロット内のTLVコンテナ数をカウントし、そのカウント結果をコンテンツ配信部100のコンテンツデータ制御部103に出力する。
バッファメモリ224は、1フレーム120スロット分のデータを蓄積できるメモリを持ち、コンテナ解析部223の補正フィードバックがある場合に、ヌルコンテナを各スロットの末尾に挿入できるようにスロット単位でデータを蓄積している。
ここで、コンテンツ配信装置100の内部動作は実施例1の図6と同じであるため、説明は省略する。
次に、コンテンツデータ制御部103が送信側ネットワーク200の多重化部210からのフィードバック補正制御信号をもとにコンテンツデータにヌルデータを追加して構成を変更した様子を説明する。図10は、本発明の実施例2に係るフィードバック補正制御におけるコンテンツ配信装置100の動作説明図である。例えば、コンテンツデータ制御部103が、コンテンツ解析部102から映像コンテンツソースを入力したとき、1スロットあたり132個のTLVコンテナが多重されるようなコンテンツソースの分割で、コンテンツソースの一部の4バイト程度のコンテンツデータをIPv4パケット形式のIPパケット化で処理したときを説明する。
コンテンツ解析部102で、コンテンツ記録部101に蓄積されているコンテンツソースのサイズと種類を解析し、コンテンツの種類は映像データとして解析している。コンテンツデータ制御部103は、コンテンツ解析部102で解析されたコンテンツソースの種類とサイズの情報や送信側ネットワーク200の多重化部220からのフィードバック補正制御信号をもとにコンテンツデータの構成を決定する。
ここで、まず初めに解析された映像コンテンツソースの一部であるコンテンツデータを4バイト程度に分割して出力したとする。フィードバック補正制御信号がない場合、分割された各映像コンテンツデータは、10バイトの制御データをヘッダーとして付加され、加えて20バイトのIPv4ヘッダーが付加され、34バイト程度のTLVコンテナのValueデータとして出力される。そして、出力されたTLVコンテナのValueデータは、TLVコンテナ化部210のTLVコンテナ生成部214で2バイトのTypeデータと2バイトのLengthデータが付加され、38バイト程度のTLVコンテナになる。次にスロット構成部222で1スロットあたり5049バイトのスロットに多重されていくことで、1スロットあたり132個のTLVコンテナが多重される。
一方、フィードバック補正制御信号がある場合、多重化部220のコンテナ解析部223は、スロットに多重される先頭のTLVコンテナのコンテナ情報をコンテンツデータ制御部103に送る。コンテンツデータ制御部103は、コンテナ解析部223からのフィードバックにより、すでに出力したコンテンツデータの中のどのコンテンツデータがスロット構成部222でスロットの先頭に多重されたことを認識する。
また、コンテンツデータ制御部103は、出力するコンテンツデータに制御データ10バイトとIPv4ヘッダー20バイトを付加することで、TLVコンテナのValueデータとし、TLVコンテナのValueデータにTypeデータ2バイトとLengthデータ2バイトを付加することで、TLVコンテナとすることを認識している。これにより、コンテンツデータ制御部103は、出力しているコンテンツデータに34バイト(=10+20+2+2)を付加したサイズをTLVコンテナ一個分と算出でき、フィードバック補正信号から得たスロットの先頭に多重されたコンテンツ番号から、現在出力を予定しているコンテンツデータのコンテンツ番号までのTLVコンテナの合計個数と合計バイト数を算出する。
そして、コンテンツデータ制御部103は、現在出力を予定しているコンテンツデータにより、スロットに多重されるTLVコンテナの合計個数がスロット内のコンテナ数を特定の制限個数(58個)であるかどうか、或いは、スロットに多重されるTLVコンテナの合計バイトがスロットサイズ(5049バイト)以上であるかどうかの計算を行う。
現在出力を予定しているコンテンツデータが制限個数(58個)以下、かつ、スロットに多重されるTLVコンテナの合計バイトがスロットサイズ(5049バイト)未満である場合、コンテンツデータ制御部103は現在出力を予定しているコンテンツデータをそのまま出力する。
また、現在出力を予定しているコンテンツデータが制限個数(58個)以下、かつ、スロットに多重されるTLVコンテナの合計バイトがスロットサイズ(5049バイト)以上である場合、コンテンツデータ制御部103は、コンテンツデータの出力を一時的に止め、スロットサイズ(5049バイト)から直前のコンテンツデータまでのスロットに多重されるTLVコンテナの合計バイトを差し引いたバイト数(差分データ)をヌルデータとして出力する。その後、現在出力を予定しているコンテンツデータを次のスロットの先頭になるコンテンツデータとして出力する。
また、現在出力を予定しているコンテンツデータが制限個数(58個)、かつ、スロットに多重されるTLVコンテナの合計バイトがスロットサイズ(5049バイト)未満である場合、コンテンツデータの出力を一時的に止め、スロットサイズ(5049バイト)から直前のコンテンツデータまでのスロットに多重されるTLVコンテナの合計バイトを差し引いたバイト数(差分データ)をヌルデータとして出力する。その後、現在出力を予定しているコンテンツデータを次のスロットの先頭になるコンテンツデータとして出力する。
図10の場合、コンテンツデータ制御部103は、多重化部220のコンテナ解析部223からスロットの先頭コンテナである『映像1』のコンテンツデータを認識し、コンテンツデータ制御部103から出力する『映像59』のコンテンツデータをスロット内のコンテナ数の制限(58個)をオーバーすることを認識する。そこで、コンテンツ解析部102からのコンテンツデータの出力を一時的に止めて、差分データである2845(=5049−2204)バイトのヌルデータを、1スロット目の末尾のデータとして出力する。
つぎに、コンテンツデータ制御部103は、『映像59』〜『映像116』までのコンテンツデータを含むTLVコンテナは2番目のスロットに多重することを認識し、同様に差分データである2845(=5049−2204)バイトのヌルデータを、2スロット目の末尾のデータとして出力し、3番目のスロットも同様に4408(=5049−641)バイトのヌルデータを、3スロット目の末尾のデータとして出力する。
つまり、1スロットあたり132個に分割された映像コンテンツデータは、フィードバック補正制御信号のない時では132個のTLVコンテナとして1スロットに多重されていたが、フィードバック補正制御信号のある時では、1スロットあたり58個までのTLVコンテナとして多重され、残り59個目以降のTLVコンテナは次のスロットに多重され、132個のTLVコンテナが多重されるまで繰り返される。また、スロットあたり59個目以上になるスロットデータ部分はヌルデータに置き換えられる。上記のことが繰り返されることで、スロット内のコンテナ数は58個以下に制限される。
ここで特定の制限個数(58個)について、詳細を以下に述べる。図11は、本発明のスロット単位あたりのコンテナ数の特定の制限個数を求める式を示す図である。特定の制限個数の値は、受信側ネットワーク300でオーバーフローを必ず起こさない値が考えられる。高度化ISDB−Sの規格においては、変調方式が32APSKで、符号化率9/10の運用時にスロットのデータバイト数が最も大きくなり、スロットのデータバイト数は5049バイトになる。出力クロックは、シンボルレート32.5941MHzから導かれたバイトクロックである。オーバーフローを起こさないぎりぎりのパターン(ワーストパターン)として、最もオーバーヘッドの割合が高くなる最小コンテナである4バイトのコンテナ数N個が考えられ、計算される値は(スロットバイト数−4×N)+ヘッダー+(最小コンテナサイズ+ヘッダー)×N≧スロット期間であり、N≦57である。つまり、最小コンテナのときコンテナ最大個数は57個となり、余りバイト数のサイズをもつコンテナ1個を加えてスロット単位あたり58個までとなる。
かかる構成によれば、コンテンツ配信装置100において現在出力を予定しているコンテンツデータのコンテンツ番号までのTLVコンテナの合計個数と合計バイト数を算出することにより、受信側のMACフレーム変換部でのMACフレーム変換でオーバーフローを起すことがなくなりGigabitイーサーネットを用いた伝送で支障をきたすことなく、ユーザー端末装置に対して情報の欠落なく送信することができる。
なお、本実施例において、IPパケット化としてIPv4ヘッダーを例にしたが、IPv6ヘッダーや圧縮IPヘッダー、無IPとしても良い。この場合、IPパケットの種類がランダムに変更されても、フィードバックにより制限を守ることができるという利点がある。
なお、本実施例において、コンテンツデータ制御部103でコンテンツ解析部102の解析結果や分割データの情報を制御データとして生成するとしたが、コンテンツ解析部102の解析結果や分割データの情報に加え、TLVコンテナを情報端末に送るためのIPパケット情報を含ませるとしてもよい。(制御データにIP_v4ヘッダーを付加することで、ユーザー端末装置400などの情報端末に送信できるが、)制御データにさらにIPパケット情報を含ませることで、一定の条件を満たした場合に、さらに他の情報端末装置に送ることができるなど、受信側の状況により、情報端末装置に自動的にアクセスできるなど、フレキシブルな使用方法が可能という利点がある。
なお、本実施例において、GbE_I/F340としてギガビットイーサーネットを想定しているが、1000Mbps未満のイーサーネットでも運用は可能である。その場合は、MACフレーム変換部330のMACフレーム変換がその1000Mbps未満のイーサーネットの規格に沿ったデータ転送速度で動作するものとする。
なお、本実施例において、TLVデコンテナ化部320は、Valueデータのみを抜き出すとしたが、Valueデータと、Typeデータと、Lengthデータの全て含むTLVコンテナを抜き出し、そのデータをMACフレーム変換した後、GbE_I/F340に出力するとしても良い。その場合は、情報端末部410でTLVコンテナのValueデータを抜き出し、コンテンツデータを表示部420に出力する構成とする。
なお、本実施例において、復調部310で復調されたTMCCデータから2つのValueデータが結合されたTLVコンテナの情報データを、MACフレーム変換部330でMACフレーム変換し、GbE_I/F340に出力することも可能である。その場合は、情報端末部410で結合されたTLVコンテナの情報データから、結合されたValueデータを分割し、コンテンツデータを復元して表示部420に出力する構成とする。