本発明は、上記問題および要望を解決するためになされたものであり、識別情報の格納に必要なデータ容量を増大させることなく、識別可能な記憶装置の数を増大させることを目的とする。また、記憶装置に対するデータの書き込み時間を高速化することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明の第1の態様は、それぞれがシーケンシャルにアクセスされる記憶装置を備える、複数の印刷記録材容器の中から所望の印刷記録材容器を識別する印刷記録材容器識別システムを提供する。本発明の第1の態様に係る印刷記録材容器識別システムは、それぞれが前記印刷記録材容器を複数個備える複数の印刷記録材容器グループと、前記各印刷記録材容器に備えられていると共に、前記各グループ内においてそれぞれが異なる識別情報を格納する記憶装置と、前記各グループを構成する各印刷記録材容器の記憶装置に対してグループ単位にてバス接続されている複数のデータ信号線と、前記識別情報を利用して1または複数の所望の印刷記録材容器を前記印刷記録材容器から選択し、選択された1または複数の印刷記録材容器の記憶装置に対して前記複数のデータ信号線のうち1または複数のデータ信号線を用いて情報の読み出しおよび書き込みを実行する情報処理制御手段とを備えることを特徴とする。
本発明の第1の態様に係る記憶制御システムによれば、複数の印刷記録材容器を含むグループに対してそれぞれ個別のデータ信号線が割り当てられている。したがって、データ信号線数を必要最低限の数に抑制することができると共に、識別情報としては、各グループ内にて各記憶装置を識別できる情報量で有れば良く、識別情報を格納するために要求されるデータ容量の増加を抑制することができるので、識別可能な印刷記録材容器(記憶装置)の数を増大させることができる。また、各データ信号線を介して各グループを構成する印刷記録材容器の記憶措置に対して個別にデータを送出することができるので、複数のデータ信号線とを用いて、各グループの記憶装置に対して同時にアクセス(読み出しおよび書き込み)を実行することが可能となり、記憶装置に対するデータの書き込み、読み出し時間を高速化することができる。
本発明の第2の態様は、それぞれがシーケンシャルにアクセスされる記憶装置を備える、複数の印刷記録材容器の中から所望の印刷記録材容器を識別する印刷記録材容器識別システムであって、第1のクラスを構成すると共に、それぞれが異なる識別情報を格納する記憶装置を備える複数の印刷記録材容器と、第2のクラスを構成すると共に、前記第1のクラスを構成する各記憶装置に格納されているいずれかの識別情報と同一、または前記第1のクラスを構成する各記憶装置に格納されているいずれの識別情報とも異なる識別情報を格納する記憶装置を備える単一の印刷記録材容器と、前記第1のクラスを構成する各印刷記録材容器の記憶装置に対してバス接続されている第1のデータ信号線と、前記第2のクラスを構成する前記印刷記録材容器の記憶装置に対してバス接続されている第2のデータ信号線と、前記識別情報を利用して1または複数の所望の印刷記録材容器を前記印刷記録材容器から選択し、選択された1または複数の印刷記録材容器の記憶装置に対して前記第1のデータ信号線および前記第2のデータ信号線のうち少なくとも一方を用いて情報の読み出しおよび書き込みを実行する情報処理制御手段とを備えることを特徴とする。
本発明の第2の態様に係る印刷記録材容器識別システムによれば、識別情報の格納に必要なデータ容量を増大させることなく、識別可能な記憶装置の数を増大させることができる。さらに、第1のクラスを構成する印刷記録材容器に汎用性の高い、シアン、マゼンタ、イエロ、ブラックといった印刷記録材を収容し、第2のクラスを構成する印刷記録材容器にダークイエロ、ブラックといった特定の用途に用いられる特殊色の印刷記録材を収容することができる。かかる場合には、特殊色の印刷記録材を収容する印刷記録材容器に対して任意の識別情報、例えば、全ての特殊色に対して同一の識別情報、を割り当てても、全印刷記録材容器を識別することができる。また、第1のデータ信号線と第2のデータ信号線とを用いて、データの読み出し、書き込みを高速に実行することができる。
本発明の第2の態様に係る印刷記録材容器識別システムにおいて、前記第2のクラスを構成する印刷記録材容器の記憶装置には、収容する印刷記録材色に関わりなく同一の識別情報が格納されており、前記記憶装置には、前記識別情報に加えて、前記印刷記録材容器に収容されている印刷記録材色情報が格納されていても良い。かかる場合には、特殊色の印刷記録材を収容する全ての印刷記録材容器に対して同一の識別情報を割り当てても、全印刷記録材容器を識別することができる。また、前記第1のクラスは4〜6個の印刷記録材容器から構成されていても良い。かかる場合には、一般的に用いられる、シアン、ライトシアン、マゼンタ、ライトマゼンタ、イエロ、ブラックを第1のクラスに割り当て、ダークイエロ、完全普通紙対応ブラックといった特殊色を第2のクラスに割り当てることができる。
本発明の第3の態様は、それぞれがシーケンシャルにアクセスされる記憶装置を備える、複数の印刷記録材容器の中から所望の印刷記録材容器を識別する印刷記録材容器識別システムを提供する。本発明の第3の態様に係る印刷記録材容器識別システムは、第1のグループを構成すると共に、それぞれが異なる識別情報を格納する記憶装置を備える複数の印刷記録材容器と、第2のグループを構成すると共に、それぞれが異なる識別情報を格納する記憶装置を備え、前記第1のグループを構成する印刷記録材容器とは異なる、複数の印刷記録材容器と、前記第1のグループを構成する各印刷記録材容器の記憶装置に対してバス接続されている第1のデータ信号線と、前記第2のグループを構成する各印刷記録材容器の記憶装置に対してバス接続されている第2のデータ信号線と、前記識別情報を利用して1または複数の所望の印刷記録材容器を前記印刷記録材容器から選択し、選択された1または複数の印刷記録材容器の記憶装置に対して前記第1のデータ信号線および前記第2のデータ信号線のうち少なくとも一方を用いて情報の読み出しおよび書き込みを実行する情報処理制御手段とを備えることを特徴とする。
本発明の第3の態様に係る記憶制御システムによれば、第1のデータ信号線を介して第1のグループを構成する記憶装置に対してデータを送出し、第2のデータ信号線を介して第2のグループを構成する記憶措置に対してデータを送出することができる。したがって、識別情報としては、各グループ内にて各記憶装置を識別できる情報量で有れば良く、識別情報の格納に必要なデータ容量を増大させることなく、識別可能な記憶装置の数を増大させることができる。さらに、第1のデータ信号線と第2のデータ信号線とを用いて、各グループの記憶装置に対して同時にアクセス(読み出しおよび書き込み)を実行することができるので、記憶装置に対するデータの書き込み、読み出し時間を高速化することができる。
本発明の第3の態様に係る印刷記録材容器識別システムはさらに、前記第1及び第2のグループを構成する各印刷記録材容器に対して接続されているクロック信号線を備え、前記情報処理制御手段は、選択する前記印刷記録材容器の記憶装置に対応する識別情報と、読み書き命令とを含むデータ列とを、前記クロック信号線を流れるクロック信号に同期させて前記第1のデータ信号線および前記第2のデータ信号線の少なくともいずれか一方に送出して、前記選択された1または複数の印刷記録材容器の記憶装置に対する情報の読み出しおよび書き込みを実行しても良い。かかる構成を備えることにより、第1および第2のデータ信号線を利用して、第1のグループおよび第2のグループを構成する記憶装置に対して、さまざまな態様にてアクセスすることができる。
本発明の第3の態様に係る印刷記録材容器識別システムにおいて、前記選択された1または複数の印刷記録材容器の記憶装置は、前記送出された読み書き命令に基づいて、格納している情報を前記第1のデータ信号線および前記第2のデータ信号線の少なくともいずれか一方に送出し、または、前記第1のデータ信号線および前記第2のデータ信号線の少なくともいずれか一方に存在する情報を格納しても良い。かかる構成を備えることにより、記憶装置に対する情報の書き込み、記憶装置からの情報の読み出しを実現することができる。
本発明の第4の態様は、シーケンシャルにアクセスされる記憶装置を備える複数の印刷記録材容器の中から所望の印刷記録材容器識別し、識別した印刷記録材容器の記憶装置に対して情報の読み出しおよび書き込みを行う印刷記録材容器識別システムを提供する。本発明の第4の態様に係る印刷記録材容器識別システムは、第1のグループを構成すると共に、それぞれが異なる識別情報を格納する記憶装置を備える複数の印刷記録材容器と、第2のグループを構成すると共に、それぞれが異なる識別情報を格納する記憶装置を備え、前記第1のグループを構成する印刷記録材容器とは異なる複数の印刷記録材容器と、前記第1及び第2のグループを構成する各印刷記録材容器に対してバス接続されているデータ信号線と、前記第1のグループを構成する各印刷記録材容器の記憶装置に対して接続されている第1のリセット信号線と、前記第2のグループを構成する各印刷記録材容器の記憶装置に対して接続されている第2のリセット信号線と、前記第1のリセット信号線または前記第2のリセット信号線のいずれか一方をリセット状態に維持し、前記識別情報を利用して所望の記憶装置を前記記憶装置から選択して、前記データ信号線を介して情報の読み出しおよび書き込みを実行する情報処理制御手段とを備えることを特徴とする。
本発明の第4の態様に係る記憶制御システムによれば、第1のリセット信号線および第2のリセット信号線を介して第1または第2のグループのいずれか一方を構成する記憶措置に対してアクセスすることができる。したがって、識別情報としては、各グループ内にて各記憶装置を識別できる情報量で有れば良く、識別情報の格納に必要なデータ容量を増大させることなく、識別可能な記憶装置の数を増大させることができる。
本発明の第4の態様に係る印刷記録材容器識別システムはさらに、前記第1及び第2のグループを構成する各印刷記録材容器に対して接続されているクロック信号線を備え、前記情報処理制御手段は、前記第1のグループを構成する印刷記録材容器を選択する場合には、前記第2のリセット信号線をリセット状態に維持すると共に、選択する印刷記録材容器の記憶装置に対応する識別情報と、読み書き命令とを含むデータ列とを、前記クロック信号線を流れるクロック信号に同期させて前記データ信号線に送出して、前記選択された印刷記録材容器の記憶装置に対する情報の読み出しおよび書き込みを実行しても良い。かかる構成を備えることにより、第1のグループを構成する記憶装置のみに対するアクセスを実現することができる。
本発明の第4の態様に係る印刷記録材容器識別システムはさらに、前記第1及び第2のグループを構成する各印刷記録材容器に対して接続されているクロック信号線を備え、前記情報処理制御手段は、前記第2のグループを構成する印刷記録材容器を選択する場合には、前記第1のリセット信号線をリセット状態に維持すると共に、選択する印刷記録材容器の記憶装置に対応する識別情報と、読み書き命令とを含むデータ列とを、前記クロック信号線を流れるクロック信号に同期させて前記データ信号線に送出して、前記選択された印刷記録材容器の記憶装置に対する情報の読み出しおよび書き込みを実行しても良い。かかる構成を備えることにより、第2のグループを構成する記憶装置のみに対するアクセスを実現することができる。
本発明の第1ないし第4の態様に係る印刷記録材容器識別システムにおいて、
前記各記憶装置は、
データを格納する記憶セルと、
前記データ信号線と接続されているデータバスと、
前記クロック信号線を介して入力されたクロック信号に同期してカウンタ値をカウントアップし、前記記憶セルの記憶領域のアクセスすべき位置を指定すると共に、初期化時にはカウンタ値を初期値にリセットするアドレスカウンタと、
前記記憶セルと前記データバスとの間に配置され、前記記憶セルに対するデータ転送方向および前記データバスのデータ転送方向を制御すると共に、初期化時には、前記記憶セルに対するデータ転送方向をデータ読み出し方向に設定し且つ前記データバスとの接続を遮断する入出力制御装置と、
前記データバスに接続されていると共に、前記データバスを介して入力された入力識別情報と前記入出力制御装置を介して読み出した前記記憶セルに格納されている識別情報とが一致するか否かを判定する比較装置と、
前記両識別情報が一致すると判定された場合には前記記憶セルに対するアクセスを許容するアクセス許容装置とを備えても良い。
上記構成を備えることにより、所望する記憶装置に対するアクセスのみを許容することができる。特に、複数の記憶装置が備えられている場合には、複数の記憶装置の中から所望の記憶装置を特定して読み出し、書き込み等のアクセスを実行することができる。また、記憶装置の有する識別情報と入力された識別情報とが一致するか否かを判定する際には、記憶セルに対するデータの書き込みは実行され得ず、記憶セルに格納されている識別情報の読み出し専用性を維持することができる。
本発明の第1ないし第4の態様に係る印刷記録材容器識別システムにおいて、
前記記憶装置はさらに、
前記データバスおよび前記比較装置と接続されていると共に、前記比較装置から前記入力識別情報と前記記憶セルに格納されている識別情報とが一致するとの判定結果を受け取った場合には、前記データバスを介して入力された書き込み/読み出し命令を解析し、解析結果に基づいて前記入出力制御装置に対して前記データバスのデータ伝送方向の切り換えを要求する命令デコーダを備え、
前記入出力制御装置は、前記命令デコーダによる書き込み/読み出し命令の解析が終了するまで、前記初期化時における前記記憶セルに対するデータ転送方向および前記データバスとの接続遮断状態を維持しても良い。
本発明の第1ないし第4の態様に係る印刷記録材容器識別システムにおいて、前記記憶装置は、前記印刷記録材容器に収容されているインク種に対応してインク種毎に異なる識別情報を格納しても良い。かかる構成を備えることにより、複数のインクカートリッジを用いる場合であっても所定のインク種を収容するインクカートリッジを特定することができる。
本発明の第1ないし第4の態様に係る印刷記録材容器識別システムにおいて、
前記情報処理制御手段は、
クロック信号生成回路と、
前記記憶装置を初期化するリセット信号を生成するリセット信号生成回路と、
前記複数の記憶装置のうち所望の記憶装置の識別情報に対応する識別情報を 発行する識別情報発行回路と、
前記生成されたクロック信号に同期させて、前記発行された識別情報、読み 書きコマンドを含むデータ列を前記データ信号線に送出するデータ送出回路とを備えても良い。なお、第1および第2のデータ信号線が備えられている場合には、データ送出回路は各データ信号線に対して1つずつ備えられ、第1および第2のリセット信号線が備えられている場合には、リセット信号生成回路は、各リセット信号線に対して1つずつ備えられる。
本発明の第5の態様は、少なくとも内包する印刷記録材に関する情報を記憶するシーケンシャルにアクセスされる記憶装置が備えられた複数の印刷記録材容器から構成される印刷記録材容器セットを提供する。本発明の第5の態様に係る印刷記録材容器セットは、クロック信号を供給するクロック信号線、リセット信号を供給するリセット信号線、および第1のデータ信号線とバス接続されていると共に、第1の印刷記録材容器群を構成する、異なる識別情報を格納する記憶装置をそれぞれ備える複数の印刷記録材容器と、前記クロック信号線、前記リセット信号線、および第2のデータ信号線とバス接続されていると共に、第2の印刷記録材容器群を構成する、異なる識別情報を格納する記憶装置をそれぞれ備える複数の印刷記録材容器とを備えることを特徴とする。
本発明の第5の態様に係る印刷記録材容器セットによれば、識別情報の格納に必要なデータ容量を増大させることなく、識別可能な記憶装置の数を増大させることができる。さらに、第1のデータ信号線と第2のデータ信号線とを用いて、データの読み出し、書き込みを高速に実行することができる。
本発明の第6の態様は、少なくとも内包する印刷記録材に関する情報を記憶する、シーケンシャルにアクセスされる記憶装置が備えられた複数の印刷記録材容器から構成される印刷記録材容器セットを提供する。本発明の第6の態様に係る印刷記録材容器セットは、クロック信号を供給するクロック信号線、リセット信号を供給する1本のリセット信号線、および複数のデータ信号線とバス接続されていると共に、異なる識別情報を格納する記憶装置をそれぞれ有する印刷記録材容器を含む複数の印刷記録材容器群を備えることを特徴とする。
本発明の第6の態様は、クロック信号を供給するクロック信号線、リセット信号を供給する複数のリセット信号線、および複数のデータ信号線とバス接続されていると共に、異なる識別情報を格納する記憶装置をそれぞれ有する印刷記録材容器を含む複数の印刷記録材容器群を備える印刷記録材容器セットとしても実現される。また、クロック信号を供給するクロック信号線、リセット信号を供給する1または複数のリセット信号線、および複数のデータ信号線とバス接続されていると共に、異なる識別情報を格納する記憶装置をそれぞれ有する印刷記録材容器を含む複数の印刷記録材容器群を備える印刷記録材容器セットとしても実現される。
本発明の第6の態様に係る印刷記録材容器セットによれば、識別情報の格納に必要なデータ容量を増大させることなく、識別可能な記憶装置の数を増大させることができる。
本発明の第7の態様は、少なくとも内包する印刷記録材に関する情報を記憶する、シーケンシャルにアクセスされる記憶装置が備えられた複数の印刷記録材容器から構成される印刷記録材容器セットを提供する。本発明の第7の態様に係る印刷記録材容器セットは、クロック信号を供給するクロック信号線、データ信号を伝達するデータ信号線、および第1のリセット信号を供給する第1のリセット信号線とバス接続されていると共に、第1の印刷記録材容器群を構成する、異なる識別情報を格納する記憶装置をそれぞれ備える複数の印刷記録材容器と、前記クロック信号線、前記データ信号線、および第2のリセット信号を供給する第2のリセット信号線とバス接続されていると共に、第2の印刷記録材容器群を構成する、識別情報を格納する記憶装置を備える1つの印刷記録材容器とを備えることを特徴とする。
本発明の第7の態様に係る印刷記録材容器セットによれば、識別情報の格納に必要なデータ容量を増大させることなく、識別可能な記憶装置の数を増大させることができる。さらに、第1の印刷記録材容器群に汎用性の高い、シアン、マゼンタ、イエロ、ブラックといった印刷記録材を収容し、第2の印刷記録材容器群にダークイエロ、ブラックといった特定の用途に用いられる特殊色の印刷記録材を収容することができる。かかる場合には、特殊色の印刷記録材を収容する印刷記録材容器に対して任意の識別情報、例えば、全ての特殊色に対して同一の識別情報、を割り当てても、全印刷記録材容器を識別することができる。また、第1のデータ信号線と第2のデータ信号線とを用いて、データの読み出し、書き込みを高速に実行することができる。
本発明の第5ないし第7の態様に係る印刷記録材容器セットにおいて、前記第1の印刷記録材容器群を構成する記憶装置が格納する識別情報と、前記第2の印刷記録材容器群を構成する記憶装置が格納識別情報とは同一であっても良い。第1の印刷記録材容器群を構成する記憶装置と第2の印刷記録材容器群を構成する記憶装置とは、互いに独立してアクセス可能であるから、各印刷記録材容器群内において識別可能で有れば良い。
本発明の第8の態様は、クロック信号線、リセット信号線、および第1のデータ信号線とバス接続されていると共に各々が固有の識別情報を保有する複数の不揮発性でシーケンシャルにアクセスされる記憶装置を備える第1の印刷記録材容器グループと、クロック信号線、リセット信号線、および第2のデータ信号線とバス接続されていると共に各々が固有の識別情報を保有する複数の不揮発性でシーケンシャルにアクセスされる記憶装置を備える第2の印刷記録材容器グループの中からアクセスを所望する印刷記録材容器を識別する方法を提供する。本発明の第8の態様に係る識別方法は、前記リセット信号線に対してリセット信号を出力し、アクセスを所望する前記印刷記録材容器に備えられている記憶装置の識別情報と、読み書き命令とを含むデータ列をクロック信号に同期させて前記第1のデータ信号線および前記第2のデータ信号線の少なくともいずれか一方に送出することを特徴とする。
本発明の第8の態様に係る識別方法によれば、本発明の第3の態様に係る印刷記録材容器識別システムと同様の作用効果を得ることができる。また、本発明の第8の態様に係る識別方法は、本発明の第3の態様に係る印刷記録材容器識別システムと同様にして種々の態様にて実現され得る。
本発明の第9の態様は、クロック信号線、データ信号線、および第1のリセット信号線とバス接続されていると共に各々が固有の識別情報を保有する複数の不揮発性でシーケンシャルにアクセスされる記憶装置を備える第1の印刷記録材容器グループと、クロック信号線、データ信号線、および第2のリセット信号線とバス接続されていると共に各々が固有の識別情報を保有する複数の不揮発性でシーケンシャルにアクセスされる記憶装置を備える第2の印刷記録材容器グループの中からアクセスを所望する印刷記録材容器を識別する方法を提供する。本発明の第9の態様に係る識別方法は、前記印刷記録材容器に対するアクセスの要求に基づいて前記第1のリセット信号線および第2のリセット信号線に対してリセット信号を送出し、アクセスの要求された印刷記録材容器が前記第1のグループまたは前記第2のグループのいずれに含まれるかを判定し、前記アクセスの要求された印刷記録材容器が前記第1のグループに含まれると判定した場合には、前記第1のリセット信号線に対するリセット信号の送出を停止し、前記アクセスの要求された印刷記録材容器に備えられている記憶装置に対応する識別情報と、読み書き命令とを含むデータ列をクロック信号に同期させて前記データ信号線に送出することを特徴とする。
本発明の第9の態様に係る識別方法において、前記アクセスの要求された印刷記録材容器が前記第2のグループに含まれると判定した場合には、前記第2のリセット信号線に対するリセット信号の送出を停止し、前記アクセスの要求された印刷記録材容器に備えられている記憶装置に対応する識別情報と、読み書き命令とを含むデータ列をクロック信号に同期させて前記データ信号線に送出しても良い。
本発明の第9の態様に係る識別方法によれば、本発明の第4の態様に係る印刷記録材容器識別システムと同様の作用効果を得ることができる。また、本発明の第8の態様に係る識別方法は、本発明の第4の態様に係る印刷記録材容器識別システムと同様にして種々の態様にて実現され得る。
以下、本発明に係る印刷記録材容器の識別システムについて図面を参照しつつ、いくつかの実施例に基づいて説明する。
A.第1実施例に係る識別システムの概念:
図1を参照して第1の実施例に係る識別システムの特徴について概念的に説明する。図1は第1の実施例に係る識別システムの特徴を示す説明図である。第1実施例に係る識別システムを構成する8個の記憶装置21〜28は、それぞれ印刷用のインクを収容するインクカートリッジCA1〜CA8に備えられている。インクカートリッジCA1〜CA8のうち、インクカートリッジCA1、CA3、CA5、CA7、すなわち、記憶装置21、23、25、27は第1グループを構成し、インクカートリッジCA2、CA4、CA6、CA8、すなわち、記憶装置22、24、26、28は第2グループを構成する。
記憶装置21〜28に対するデータの書き込み、および記憶装置21〜28からのデータの読み出しを制御する制御回路30は、クロック信号線CL、リセット信号線RLを介してクロック信号SCK、およびリセット信号RSTを各記憶装置21〜28に送出する。一方、制御回路30から送出されるデータ列のうち、第1グループを構成する記憶装置21、23、25、27に対するデータ列である第1データSDA1は、第1データ信号線DL1を介して第1グループを構成する記憶装置21、23、25、27に供給される。また、データ列のうち、第2グループを構成する記憶装置22、24、26、28に対するデータ列である第2データSDA2は、第2データ信号線DL2を介して第2グループを構成する記憶装置22、24、26、28に供給される。
一般的に、記憶装置等の装置が信号線に対してバス接続されている場合には、アクセスを所望する記憶装置を特定するために識別情報が用いられる。識別情報は、記憶装置を識別するために用いられる情報であるから、適用可能なデータ容量は限られており、例えば、3ビットデータとして記憶装置に格納されている場合には、識別すべき記憶装置の数が9以上となった場合に、識別できなくなってしまう。
これに対して、本実施例では、各記憶装置21〜28を2つのグループに分け、第1のグループを構成する記憶装置21、23、25、27に対しては第1データ信号線DL1を用いてアクセスを実行し、第2のグループを構成する記憶装置22、24、26、28に対しては第2データ信号線DL2を用いてアクセスを実行する。したがって、識別情報に要求されるデータ容量を拡張することなく、識別すべき記憶装置数の増加に対応することができると共に、第1のグループを構成する記憶装置および第2のグループを構成する記憶装置に対して、それぞれ同時にアクセスを実行することが可能となり、記憶装置に対するアクセス時間を短縮することができる。なお、識別情報に割り当てられているビット数が3ビットの場合には、各グループには2〜8個のインクカートリッジCAが含まれ、ビット数が2ビットの場合には、各グループには2〜4個のインクカートリッジCAが含まれる。すなわち、少なくとも各グループ内では、識別情報が重複しないようにすると共に、できる限りデータ信号線の数を低減する。
B.第1実施例に係る識別システムの概略構成:
図2を参照して第1実施例に係る識別システムの概略構成について説明する。図2は第1実施例に係る識別システムの一例としてのプリンタの内部構成の概略を示す説明図である。
本実施例に係る識別システムは、インクジェット式カラープリンタ(印刷装置)10として実現されている。カラープリンタ10は、カラー画像の出力が可能なプリンタであり、例えば、シアン(C)、ライトシアン(LC)、マゼンタ(M)、ライトマゼンタ(LM)、イエロー(Y)、ダークイエロー(DY)、ブラック(K)、文字印刷用ブラック(LK)の8色の色インクを印刷媒体上(例えば、印刷用紙上)に噴射してドットパターンを形成することによって画像を形成するインクジェット方式のプリンタである。なお、本実施例では、インクジェット式のカラープリンタを用いて説明するが、カラートナーを印刷媒体上に転写・定着させて画像を形成する電子写真方式のプリンタを用いても良い。
カラープリンタ10は、図示するように、キャリッジ11に搭載された印字ヘッドIH1〜IH8を駆動してインクの吐出およびドット形成を行う機構と、このキャリッジ11をキャリッジモータ12によってプラテン13の軸方向に往復動させる機構と、紙送りモータ14によって印刷用のカット紙Pを搬送する機構と、制御回路30とから構成されている。キャリッジ11をプラテン13の軸方向に往復動させる機構は、プラテン13の軸と並行に架設されたキャリッジ11を摺動可能に保持する摺動軸15と、キャリッジモータ12との間に無端の駆動ベルト16を張設するプーリ17等から構成されている。
制御回路30は、プリンタの操作パネル35と信号をやり取りしつつ、紙送りモータ14やキャリッジモータ12、印字ヘッドIH1〜IH8の動きを適切に制御する。キャリッジ11にはインクカートリッジCA1〜CA8が装着されている。例えば、インクカートリッジCA1には黒(K)インク、インクカートリッジCA2には文字用黒(CK)インク、インクカートリッジCA3にはシアン(C)インク、インクカートリッジCA4にはライトシアン(LC)インク、インクカートリッジCA5にはマゼンタ(M)インク、インクカートリッジCA6にはライトマゼンタ(LM)インク、インクカートリッジCA7にはイエロー(Y)インク、インクカートリッジCA8にはダークイエロー(DY)のインクが収納されている。
制御回路30は、プリンタの操作パネル35と信号をやり取りしつつ、紙送りモータ14やキャリッジモータ12、印字ヘッド11の動きを適切に制御する。カラープリンタ10に供給された印刷用紙Pは、プラテン13と給紙補助ローラの間に挟み込まれるようにセットされ、プラテン13の回転角度に応じて所定量だけ送られる。制御回路30は、内部に備えられたCPU31によって、パーソナルコンピュータPCからの制御信号に基づいてインクカートリッジCA1〜CA8に備えられている記憶装置21〜28に対するデータの書き込み、データの読み出し処理を実行する。また、本実施例では、制御回路30は、パーソナルコンピュータPCから受信した印刷制御信号に従ってプリンタ10の各部の動作を制御して印刷処理を実行する。
次に、図3を参照してインクカートリッジに備えられている記憶装置と制御回路30(パーソナルコンピュータPC)との接続状態について説明する。図3はインクカートリッジCA1〜CA8に備えられている各記憶装置21〜28と制御回路30(パーソナルコンピュータPC)との接続状態を示すブロック図である。なお、図3では説明を容易にするために、記憶装置21、22、23、28を備えるインクカートリッジCA1、CA2、CA3、CA8とが代表して模式的に示されているに過ぎず、本実施例に係る識別システムは図1に示すように、記憶装置21〜28をインクカートリッジCA1〜CA8に備えている。また、本実施例に係る識別システムの構成は、図3に示す構成に限定されるものではない。
各記憶装置21〜28は、図1に示すようにインクジェットプリンタ用の8色のインクカートリッジCA1〜CA8それぞれ備えられている。また、本実施例では、記憶装置として不揮発的に記憶内容を保持すると共に記憶内容を書き換え可能なEEPROMを用いた。
各記憶装置21〜28のデータ信号端子DT、クロック信号端子CT、リセット信号端子RTは、第1および第2データバスDB1、DB2、クロックバスCB、リセットバスRBを介してそれぞれ接続されている(図3および図5参照)。ただし、第1グループを構成する記憶装置21、23、25、27に対しては第1データバスDB1が、第2グループを構成する記憶装置22、24、26、28に対しては第2データバスDB2がそれぞれ接続されている。制御回路30と第1データバスDB1、第2データバスDB2、クロックバスCB、リセットバスRBとは、第1データ信号線DL1、第2データ信号線DL2、クロック信号線CL、リセット信号線RLを介して接続されている。したがって、制御回路30は、第1データ信号線DL1および第2データ信号線DL2へ送出するためのデータ列を一時的に格納しておくバッファメモリを各データ信号線DL1、DL2に対応して2つ備えている。なお、信号線は、例えば、フレキシブル・フィード・ケーブル(FFC)として実現され得る。
制御回路30の電源正極端子VDDHと各記憶装置21〜28の電源正極端子VDDMとは電源供給線VDLを介して接続されている。また、各記憶装置21〜28の電源負極端子VSSは、キャリッジ11上の接地線GDLに接続されている。キャリッジ11上には、インクカートリッジCA1〜CA8に備えられているカートリッジアウト検出用端子CAOTをカスケードに接続するカートリッジアウト検出線CDLが配置されている。カートリッジアウト検出線CDLの一端は接地されており、他端はカートリッジアウト信号線COLを介してパーソナルコンピュータPCのカートリッジアウト検出端子COTと接続されている。
本実施例では、各記憶装置21〜28の電源負極端子VSSに対して専用の接地線GDLが接続されるので、パーソナルコンピュータPCは、インクカートリッジCA1〜CA8が全て装着されていない場合にも、任意の記憶装置21〜28に対してアクセスすることができる。この構成は、特に、インクカートリッジCAの初期装着時、あるいは、複数のインクカートリッジCAを同時に交換する場合に有用である。
制御回路30は、CPU31を介して、クロック信号生成機能、リセット信号生成機能、電源監視機能、電源回路、電源補償回路、データ記憶回路および各回路を制御する制御機能を実現する制御装置であり、記憶装置21〜28に対するアクセスを制御する。制御回路30は、カラープリンタ10の本体側に配置されており、電源がオンされると、第1データ信号線DL1を介して第1グループに含まれる記憶装置21、23、25、27から、第2データ信号線DL2を介して第2グループに含まれる記憶装置22、24、26、28から、それぞれインク消費量、インクカートリッジの装着時間といったデータを取得しデータ記憶回路に記憶する。また、電源がオフされる際には、第1データ信号線DL1を介して第1グループに含まれる記憶装置21、23、25、27に対して、また、第2データ信号線DL2を介して第2グループに含まれる記憶装置22、24、26、28に対して、それぞれインク消費量、インクカートリッジの装着時間といったデータを書き込む。
制御回路30は、インクジェットプリンタの電源投入時、インクカートリッジの交換時、印刷ジョブの終了時、インクジェットプリンタの電源遮断時等に、記憶装置21〜28に対するアクセスを実行する。制御回路30は、記憶装置21〜28に対してアクセスする場合には、リセット信号生成回路に対してリセット信号RSTの生成を要求する。したがって、停電時、電源プラグが抜かれた場合にもリセット信号RSTが生成される。CPU31は、電源補償回路を制御して、電源の供給が遮断された場合にも所定の期間(例えば、0.3s)電源を供給する。この結果、停電、電源プラグが抜かれることによってデータ書き込み中の電源が遮断されても、上記所定期間の間に書き込みを優先すべきデータの書き込みを完了することができる。電源補償回路としては、例えば、コンデンサが用いられる。
制御回路30は、電源回路を制御して正電源の出力を制御する。本実施例に係る制御回路30は、記憶装置21〜28に対して、常時電源を供給しておらず、記憶装置21〜28に対するアクセス要求が発生した場合にのみ、記憶装置21〜28に対して正電源を供給する。
パーソナルコンピュータPC(制御回路30から送出されるデータ列について図4を参照して説明する。図4はパーソナルコンピュータPCから記憶装置21〜28に対して送出されるデータ列の一例を示す説明図である。
パーソナルコンピュータPCから送出されるデータ列は、図4に示すように3ビットの識別データ部、1ビットの読み出し/書き込みコマンド部、1ビット〜252ビットの書き込み/読み出しデータ部を備える。パーソナルコンピュータPCは、記憶装置21〜28からデータを読み出す場合には、制御回路30のクロック信号生成回路を制御して、例えば、4μS間隔のクロック信号SCKを生成し、記憶装置21〜28に対してデータを書き込む時には3ms間隔のクロック信号SCKを生成させる。
次に、図5を参照して記憶装置21〜28の内部構成について説明する。図5は記憶装置21の内部回路構成を示すブロック図である。なお、個々の記憶装置21〜28の内部構成は、格納されている識別情報(識別データ)、固有のデータを除いて同一であるから以下の説明では代表的に記憶装置21の内部構成について説明する。
記憶装置21は、メモリアレイ201、アドレスカウンタ202、IDコンパレータ203、オペレーションコードデコーダ204、I/Oコントローラ205を備えている。
メモリアレイ201は、所定容量、例えば、256ビットの記憶領域を有し、先頭から3ビットの記憶領域には識別データが格納され、先頭から4ビット目の記憶領域は無効領域とされている。上述のように、通常時、ホストコンピュータ10から送出されるデータ列の先頭3ビットには識別データが格納され、先頭から4ビット目には書き込み/読み出しコマンドが格納されている。したがって、先頭から5ビット目以降の記憶領域でなければデータの書き込みは行われず、メモリアレイ201の記憶領域がこのような構成を備えることによって先頭4ビットは読み出し専用の記憶領域となる。メモリアレイ201は、書き込みが優先されるべき情報、たとえば、インク消費量またインク残量、を書き込む領域を先頭5ビット目から有している。このような構成を備えることにより、電源スイッチが操作されることなく電源が遮断された場合にも、電源補償回路が電源供給を補償できる期間内に重要なデータをメモリアレイ201に書き込むことができる。
なお、識別情報の書き込みに際しては、メモリアレイ201の容量と同容量のデータをメモリアレイ201に書き込むことによって、先頭3ビットに対する書き込みを行う。本実施例ではメモリアレイ201は256ビットの容量を有しているので、識別情報書き込み用コンピュータは、先ず、書き込み可能な5ビット目から256ビット目まで252ビットの容量のデータを書き込み、続いて257〜259ビットの3ビット容量のデータ(識別情報)をメモリアレイ201に書き込む。メモリアレイ201のアドレスのうち256ビット目まではすでに書き込みが完了しているので、新たに書き込まれるデータはメモリアレイ201の先頭1〜3ビット目に書き込まれる。この結果、メモリアレイ201の先頭3ビットに識別情報(IDデータ)が書き込まれる。
アドレスカウンタ202は、クロック信号SCKに同期してそのカウンタ値をインクリメントする回路であり、メモリアレイ201と接続されている。カウンタ値とメモリアレイ201の記憶領域位置(アドレス)とは関連付けられており、アドレスカウンタ202のカウンタ値によってメモリアレイ201における書き込み位置または読み出し位置を指定することができる。アドレスカウンタ202はまた、リセット信号端子RTと接続されており、リセット信号RSTが入力されると、カウンタ値を初期値にリセットする。ここで、初期値はメモリアレイ201の先頭位置と関連付けられていればどのような値でも良く、一般的には0が初期値として用いられる。
IDコンパレータ203は、クロック信号端子CT、データ信号端子DT、リセット信号端子RTと接続されており、データ信号端子DTを介して入力されたデータ列に含まれる識別データとメモリアレイ201に格納されている識別データとが一致するか否かを判定する。詳述すると、IDコンパレータ203は、リセット信号RSTが入力された後に入力される3ビット分のデータ、すなわち識別データを取得する。IDコンパレータ203は、データ列に含まれる識別データを格納する3ビットレジスタ(図示しない)、I/Oコントローラ205を介してメモリアレイ201から取得した識別データを格納する3ビットレジスタ(図示しない)を有しており、両レジスタの値が一致するか否かによって識別データが一致するか否かを判定する。IDコンパレータ203は、両識別データが一致する場合には、アクセス許可信号ENをオペレーションコードデコーダ204に送出する。IDコンパレータ203は、リセット信号RSTが入力されるとレジスタの値をクリアする。なお、記憶装置21、および他の全記憶装置22〜28のIDコンパレータ203には共通識別データ、例えば、本実施例では(1,1,1)が格納されている。この共通識別データを各記憶装置21〜28のIDコンパレータが保有することにより、各記憶装置21〜28に対して共通に書き込むべきデータの書き込みを同時に実行することができる。
オペレーションコードデコーダ204は、I/Oコントローラ205、クロック信号端子CT、データ信号端子DTと接続されており、リセット信号RSTが入力された後に入力される4ビット目のデータ、すなわち書き込み/読み出しコマンドを取得する。オペレーションコードデコーダ204は、アクセス許可信号ENが入力されると、取得した書き込み/読み出しコマンドを解析してI/Oコントローラ205に対して書き込み処理要求または読み出し処理要求を送出する。
I/Oコントローラ205は、データ信号端子DT、メモリアレイ201と接続されており、オペレーションコードデコーダ204からの要求に従ってメモリアレイ201に対するデータ転送方向ならびにデータ信号端子DTに対する(データ信号端子DTと接続されている信号線の)データ転送方向を切り換え制御する。I/Oコントローラ205は、リセット信号端子RTとも接続されており、リセット信号RSTを受信する。I/Oコントローラ205にはメモリアレイ201から読み出したデータおよびメモリアレイ201に対して書き込みデータを一時的に格納する第1のバッファメモリ(図示しない)と、データバスDBからのデータおよびデータバスDBへのデータを一時的に格納する第2のバッファメモリ(図示しない)を備えている。
I/Oコントローラ205は、リセット信号RSTの入力により初期化され、初期化時には、メモリアレイ201に対するデータ転送方向を読み出し方向に設定し、データ信号端子DTと接続されている信号線をハイインピーダンスとすることでデータ信号端子DTに対するデータ転送を禁止する。この初期化時の状態は、オペレーションコードデコーダ204から書き込み処理要求または読み出し処理要求が入力されるまで維持される。したがって、リセット信号入力後にデータ信号端子DTを介して入力されるデータ列の先頭4ビットのデータはメモリアレイ201に書き込まれることはなく、一方で、メモリアレイ201の先頭4ビット(内4ビット目は無効データ)に格納されているデータは、IDコンパレータ203に送出される。この結果、メモリアレイ201の先頭4ビットは読み出し専用状態となる。
C.第1実施例における識別システムの動作
図6〜図8を参照して本実施例における識別システムの動作について説明する。図6は記憶装置21〜28にアクセスする際に制御回路30によって実行される処理ルーチンを示すフローチャートである。図7はデータ読み出し時におけるリセット信号RST、クロック信号SCK、第1および第2データ信号CDA1、CDA2、およびアドレスカウンタ値の時間的関係を示すタイミングチャートである。図8はデータ書き込み時におけるリセット信号RST、クロック信号SCK、第1および第2データ信号CDA1、CDA2、およびアドレスカウンタ値の時間的関係を示すタイミングチャートである。
制御回路30のCPU31は、カートリッジアウト信号線COLの入力値COが0となるまで待機する(ステップS100:No)。すなわち、全てのインクカートリッジが正しくインクカートリッジホルダに収容されている場合には、電源負極信号線VSLがシリアルに接続されて接地されるのでカートリッジアウト信号線COLの入力値COは接地電圧(例えば、約0ボルト)を示すからである。これに対して、たとえ、1個のインクカートリッジでもインクカートリッジホルダに正しく収容されていない場合には、電源負極信号線VSLはシリアルに接続されないので、接地されず、制御回路の回路電圧に対応する値がカートリッジアウト信号線COL上に現れる。但し、本実施例ではノイズ等の影響を排除するため、所定のしきい値を基準にして2値化している。したがって、カートリッジアウト信号線COLの入力値COは0か1を取る。
CPU31は、カートリッジアウト信号線COLの入力値COが0を取ると(ステップS100:Yes)、図7および図8に示すように、電源供給線VDLを介して電源電圧を記憶装置21〜28の電源正極端子VDDMに供給し(VDD=1)、リセット信号生成回路にリセット・ロー信号を生成させて(RST=0にセット)リセット信号線RLを介してリセットバスRBに送出する(ステップS110)。すなわち、インクカートリッジがインクカートリッジホルダに正しく収容されない限り、記憶装置21〜28に対しては電源電圧が供給されない。なお、リセット信号RSTはアクティブ・ローであるものとし、本明細書中にて用いられるリセット信号RSTが生成される、入力されるといった用語は、特に断らない限りリセット・ロー信号を意味するものとする。
CPU31は、続いて図7および図8に示すようにリセット信号生成回路にRST=1とさせてリセット信号RSTをハイに設定する(ステップS120)。CPU31は、アクセスを所望するインクカートリッジCA1〜CA8(記憶装置21〜28)の識別データ(IDデータ)を発行する(ステップS130)。発行されたIDデータは、図7および図8に示すようにクロック信号SCKの立ち上がりエッジに同期されてデータ信号線DLを介してデータバスDBに転送される。なお、本実施例では、IDデータは、第1グループに属する記憶装置21、23、25、27に対するIDデータと、第2グループに属する記憶装置22、24、26、28に対するIDデータとは区別して用いられる必要はない。すなわち、第1グループおよび第2グループの中で、それぞれ記憶装置が識別されれば良く、グループを超えて識別される必要はない。したがって、IDデータとしては、4パターン存在すれば足りる。あるいは、本実施例では、インクカートリッジCAの数が8個であり、IDデータに割り当てられているデータ量が3ビットであるため、第1および第2グループを通して、ユニークなIDデータを割り当てても個々のインクカートリッジCAを識別することができる。また、IDデータ(1,1,1)は全ての記憶装置21〜28のIDコンパレータに予め格納されている識別データであり、発行されたIDデータが(1,1,1)の場合には、全ての記憶装置21〜28に対して同時にデータの書き込みを実行することができる。
CPU31は、アクセス要求が第1グループを構成する記憶装置21、23、25、27に対するものであるか否かを判定する(ステップS140)。CPU31は、アクセス要求が第1グループを構成する記憶装置21、23、25、27に対するものであると判定した場合には(ステップS140:Yes)、第1データ信号線DL1に対して読み出しコマンド(Read)または、書き込みコマンド(Write)のいずれかを発行する(ステップS145)。発行されたコマンドは、第1データ信号線DL1を介して第1データバスDB1に転送される。コマンドは、図7および図8に示すようにリセット信号RSTがローからハイに切り替えられた後の4つ目のクロック信号SCKの立ち上がりエッジに同期されるように第1データバスDB1に転送される。
なお、本実施例では、発行されたコマンドが書き込みコマンドの場合、CPU31は、クロック信号生成回路に対してクロック信号SCKの速度を遅く、すなわち、クロック信号SCKの生成間隔を長くするよう要求する。一方、発行されたコマンドが読み出しコマンドの場合には、図7に示すようにクロック信号速度は維持される。EEPROMに対してデータを書き込みために必要な時間は、例えば、3ms程度であり、データ読み出しに必要な時間は、例えば、4μs程度である。したがって、データ書き込み時には、データ読み出しに必要な時間の約1000倍程度の時間を要する。したがって、データ書き込みコマンドが発行されるまでは速いクロック信号速度にて記憶装置21、22、23、28,24に対してアクセスし、データ書き込み処理時にはクロック信号速度を遅くすることで、アクセス時間を短縮すると共に確実なデータの書き込みを実現することができる。
CPU31はさらに、アクセス要求が第2グループを構成する記憶装置22、24、26、28に対するものであるか否かを判定する(ステップS150)。本実施例では、2本のデータ信号線DL1、DL2が用いられているので、2つのグループに対して同時にアクセスして異なるデータを書き込むことも可能だからである。CPU31は、アクセス要求が第2グループを構成する記憶装置22、24、26、28に対するものであると判定した場合には(ステップS150:Yes)、第2データ信号線DL2に対して読み出しコマンド(Read)または、書き込みコマンド(Write)のいずれかを発行する(ステップS155)。また、CPU31は、ステップ140にて、アクセス要求が第1グループを構成する記憶装置21、23、25、27に対するものでないと判定した場合(ステップS140:No)にも、コマンドを第2データ信号線DL2に対して発行する(ステップS155)。発行されたコマンドは、第2データ信号線DL2を介して第2データバスDB2に転送される。コマンドは、図7および図8に示すようにリセット信号RSTがローからハイに切り替えられた後の4つ目のクロック信号SCKの立ち上がりエッジに同期されるように第2データバスDB2に転送される。
CPU31は、ステップS150にて、第2グループを構成する記憶装置22、24、26、28に対するアクセス要求がないと判定した場合(ステップS150:No)、あるいは、ステップS155にて第2データ信号線DL2に対してコマンドを送出した後、書き込みまたは読み出しを所望するメモリアレイ、例えば、記憶装置21のメモリアレイ201、のアドレス(位置)に対応する数のクロック信号パルスを発行する(ステップS160)。本実施例における記憶装置21〜28はシーケンシャルアクセスタイプの記憶装置であり、メモリアレイ201の所望のアドレスにアクセスするためには、アクセス(書き込みまたは読み出し)を所望するアドレスに対応する数のクロック信号パルスを発行し、アドレスカウンタ202のカウンタ値を所定のアドレスに対応するカウント値までインクリメントしなければならない。
CPU31は、最後に、リセット信号生成回路にリセット・ロー信号を生成させて(RST=0にセット)リセット信号線RLを介してリセットバスRBに送出して記憶装置21〜28に対するアクセスを完了する。このように、リセット信号RST(リセット・ロー信号)の送出によりアクセスを完了し、また、電源遮断時にもリセット信号RSTを送出するので、データ書き込み中に電源が遮断された場合でも少なくとも書き込みを終えたデータの書き込み処理を正常に完了することができる。
D.第1実施例に係る記憶装置の動作:
次に、図9を参照して制御回路30によってアクセスされた際に記憶装置21〜28の各構成回路によって実行される処理を説明する。なお、本説明においても第1グループを構成する記憶装置21を代表的に用いて説明するが、第2グループを構成する記憶装置も同様にして動作することはいうまでもない。
上述したCPU31から送られる各種信号に基づいて記憶装置21の各構成装置が作動する。以下、図7および図8を参照してCPU31が送出する信号出力タイミングに従って記憶装置21の動作を説明する。
リセット・ロー信号がリセットバスRBに入力されると、アドレスカウンタ202はカウンタ値を初期値(0)にリセットする(ステップS210)。また、IDコンパレータ203、I/Oコントローラ205も初期化される。すなわち、IDコンパレータ内の2つのレジスタがクリアされ、I/Oコントローラ205はメモリアレイ201に対するデータ転送方向を読み出し方向に設定すると共にデータ信号端子DTと接続されている信号線をハイインピーダンスにしてデータ転送を禁止する。
既述のように、CPU31は、リセット信号RSTがローからハイに切り替わると、クロック信号SCKの立ち上がりエッジに同期させて各種データを送出する。アドレスカウンタ202は、同じくリセット信号RSTがローからハイに切り替わると、クロック信号SCKの立ち上がりエッジに同期してカウンタ値を初期値から1つずつインクリメントする。
IDコンパレータ203は、リセット信号RSTかローからハイに切り替えられた後の3つのクロック信号SCKの立ち上がりエッジに同期してデータバスDBに送出されたデータ、すなわち、3ビットのIDデータを取得して第1の3ビットレジスタに格納する(ステップS220a)。これと同時にIDコンパレータ203は、アドレスカウンタ202のカウンタ値00、01、02によって指定されるメモリセル201のアドレスからデータを取得し、すなわち、メモリセル201に格納されている識別データを取得して、第2の3ビットレジスタに格納する(ステップS220b)。
IDコンパレータ203は、第1、第2レジスタに格納されたIDデータ(識別データ)が一致するか否かを判定する(ステップS230)。さらに、IDコンパレータ203は、予め保有している共通IDデータと第1レジスタに格納されているIDデータとが一致するか否かも判定する。IDコンパレータ203は、IDデータが一致しないと判定した場合には(ステップS230:No)、CPU31によるメモリアレイ201に対するアクセスは許容されず、記憶装置21におけるアクセス処理は終了する。かかる場合には、第1グループを構成する他の記憶装置23,25、27のいずれかに対するアクセスが許容される。
一方、IDコンパレータ203は、IDデータは一致すると判定した場合には(ステップS240)、オペレーションコードデコーダ204に対してアクセス許可信号ENを送出する。かかる場合には第1グループを構成する記憶装置21、23、25,27のうち記憶装置21のみが、あるいは、IDデータが(1,1,1)の場合には全ての記憶装置21、23、25、27のメモリアレイに対するアクセスが許可されることとなる。アクセス許可信号ENを受信したオペレーションコードデコーダ204は、リセット信号RSTのローからハイへの切り替わり後の4つ目のクロック信号SCKの立ち上がりエッジに同期してデータバスに送出された読み出し/書き込みコマンドを取得して書き込み命令あるか否かを判定する(ステップS240)。
オペレーションコードデコーダ204は、書き込みデータであると判定した場合には(ステップS240:Yes)、I/Oコントローラ205に対して書き込み命令を送出する。書き込み命令を受信したI/Oコントローラ205は、メモリセル201に対するデータ転送方向を書き込み方向に変更し、データ端子DTと接続されている信号線のハイインピーダンス設定を解除してデータ転送を許容する(ステップS250)。この状態では、データバスに送出されたされた書き込みデータは、クロック信号SCKに同期して順次カウントアップされるアドレスカウンタ202のカウンタ値によって指定されるメモリアレイ201のアドレス(位置)に1ビットづつシーケンシャルに格納されていく。本実施例に係る記憶装置21は、このようにシーケンシャルにアクセスされるので、CPU31から送出された書き込みデータは、書き換えを所望するアドレスに対応するデータを除いて、メモリアレイ201に現在格納されているデータと同一の値(0または1)を有している。すなわち、メモリアレイ201における書き換えられないアドレスのデータは、同一の値によって上書きされる。
オペレーションコードデコーダ204は、書き込みデータでないと判定した場合には(ステップS240:No)、I/Oコントローラ205に対して読み出し命令を送出する。読み出し命令を受信したI/Oコントローラ205は、メモリセル201に対するデータ転送方向を読み出し方向に変更し、データ端子DTと接続されている信号線のハイインピーダンス設定を解除してデータ転送を許容する。(ステップS260)。この状態では、メモリアレイ201に格納されているデータは、クロック信号SCKに同期して順次インクリメントされるアドレスカウンタ202のカウンタ値によって指定されるアドレス(位置)の順にシーケンシャルに読み出され、I/Oコントローラ205の第1のバッファメモリに順次上書きされていく。
すなわち、最後に読み出されたアドレスのデータ(CPU31によって指定されたアドレス位置のデータ)のみが最終的にI/Oコントローラ205の第2のバッファメモリに保持される。I/Oコントローラ205は、第2のバッファメモリに保持されている読み出しデータをデータ端子DTを介してデータバスDBに送出し、CPU31に転送する。
最後に、リセット・ロー信号が入力されると、アドレスカウンタ202、IDコンパレータ203、I/Oコントローラ205は初期化され、データの書き込みまたは読み出しが終了される。
以上説明した第1の実施例に係る識別システムによれば、記憶装置21〜28を第1および第2のグループに分け、各グループに対して第1のデータ信号線DL1および第2のデータ信号線DL2を介してアクセスすることができる。したがって、本実施例のように記憶装置を8個備える場合であっても、4通りのIDデータを各グループを構成する記憶装置に割り当てることで、各記憶装置を識別してデータの読み出し、データの書き込みを実行することができる。さらに、2つのデータ信号線DL1、DL2を備えるので、第1のグループを構成する記憶装置21、23、25、27および第2のグループを構成する記憶装置22、24、26、28に対してそれぞれ同時にアクセスすることが可能となり、データの読み出し、およびデータの書き込み時間を短縮することができる。
また、読み出しまたは書き込みデータは1ビット単位で確定されており、リセット・ロー信号の再入力はデータの確定に必要な動作ではない。さらに、既述のように、リセット信号RSTは電源遮断時にも出力されるので、たとえデータの書き込みの最中に偶発的に電源が遮断されても、その時点で書き込みの完了しているデータについては書き込みが終了され、また、本実施例では1ビット単位でデータが書き込まれるので、書き込みの完了しているデータについてはデータ化け等の問題を回避することができる。
さらに、電源遮断時には電源補償回路によって所定期間は電源供給が補償されると共に、データの書き込みに際しては、インク残量またはインク消費量といった書き込み優先データから順次書き込まれていく。したがって、複数の記憶装置21〜28に対して書き込みが必要な場合にも、全ての記憶装置に対して書き込み優先データの書き込みを完了することができる。また、第1および第2のデータ信号線DL1、DL2を用いて第1および第2のグループを構成する記憶装置に対して同時に書き込みができるので、記憶装置の数が増えた場合であっても、電源補償回路の容量を増大させることなく、必要なデータの書き込みを終えることができる。
E.第2実施例に係る識別システムの概念:
図10を参照して第2の実施例に係る識別システムの特徴について概念的に説明する。図10は第2の実施例に係る識別システムの特徴を示す説明図である。なお、第1の実施例に係る識別システムにおける構成要素と同一の構成要素については、第1の実施例において用いた符号と同一の符号を付してその説明を省略する。
第2実施例に係る識別システムは、データ信号線DLに代えて、リセット信号線RLを2本備える点に特徴を有する。第2の実施例に係る識別システムを構成する8個の記憶装置21〜28に対するデータの書き込み、および記憶装置21〜28からのデータの読み出しを制御する制御回路30は、クロック信号線CL、データ信号線DLを介してクロック信号SCK、およびデータ信号SDAを各記憶装置21〜28に送出する。一方、制御回路30から送出されるリセット信号RSTのうち、第1グループを構成する記憶装置21、23、25、27に対する第1リセット信号RST1は、第1リセット信号RDL1を介して第1グループを構成する記憶装置21、23、25、27に供給される。また、リセット信号RSTのうち、第2グループを構成する記憶装置22、24、26、28に対する第2リセット信号RST2は、第2リセット信号線RL2を介して第2グループを構成する記憶装置22、24、26、28に供給される。
続いて、図11を参照してインクカートリッジに備えられている記憶装置と制御回路30(パーソナルコンピュータPC)との接続状態について説明する。図11は第2の実施例に係る識別システムにおける、インクカートリッジCA1〜CA8に備えられている各記憶装置21〜28と制御回路30(パーソナルコンピュータPC)との接続状態を示すブロック図である。なお、第1の実施例に係る識別システムにおける構成要素と同一の構成要素については、第1の実施例において用いた符号と同一の符号を付してその説明を省略すると共に、以下の説明では、第1の実施例に係る識別システムとの相違点のみを説明する。また、図11では説明を容易にするために、記憶装置21、22、23、28を備えるインクカートリッジCA1、CA2、CA3、CA8とが代表して模式的に示されている点は第1の実施例に係る識別システムにおける説明と同じである。
各記憶装置21〜28のデータ信号端子DT、クロック信号端子CT、リセット信号端子RTは、データバスDB、クロックバスCB、第1および第2リセットバスRB1、RB2を介してそれぞれ接続されている。ただし、第1グループを構成する記憶装置21、23、25、27に対しては第1リセットバスRB1が、第2グループを構成する記憶装置22、24、26、28に対しては第2リセットバスRB2がそれぞれ接続されている。制御回路30とデータバスDB、クロックバスCB、第1および第2リセットバスRB1、RB2とは、データ信号線DL、クロック信号線CL、第1および第2リセット信号線RL1、RL2を介して接続されている。したがって、制御回路30は、第1リセット信号線RL1および第2リセット信号線RL2に対してリセット信号を送出するためのリセット信号生成回路を各リセット信号線RL1、RL2に対応して2つ備えている。なお、信号線は、例えば、フレキシブル・フィード・ケーブル(FFC)として実現され得る。
F.第2実施例における識別システムの動作
図12〜図14を参照して本実施例における識別システムの動作について説明する。図12は記憶装置21〜28にアクセスする際に制御回路30によって実行される処理ルーチンを示すフローチャートである。図13は第1グループの記憶装置に対するデータ読み出し時における第1および第2リセット信号RST1、RST2、クロック信号SCK、データ信号CDA、およびアドレスカウンタ値の時間的関係を示すタイミングチャートである。図14は第2グループの記憶装置に対するデータ読み出し時における第1および第2リセット信号RST1、RST2、クロック信号SCK、データ信号CDA、およびアドレスカウンタ値の時間的関係を示すタイミングチャートである。なお、第1の実施例において説明済みのステップについては簡単に説明する。
制御回路30のCPU31は、カートリッジアウト信号線COLの入力値COが0となるまで待機する(ステップS300:No)。CPU31は、カートリッジアウト信号線COLの入力値COが0を取ると(ステップS300:Yes)、図13および図14に示すように、電源供給線VDLを介して電源電圧を記憶装置21〜28の電源正極端子VDDMに供給し(VDD=1)、第1および第2リセット信号生成回路にリセット・ロー信号を生成させて(RST1、RST2=0にセット)第1および第2リセット信号線RL1、RL2を介して第1および第2リセットバスRB1、RB2に送出する(ステップS310)。なお、リセット信号RSTはアクティブ・ローであるものとし、本明細書中にて用いられるリセット信号RSTが生成される、入力されるといった用語は、特に断らない限りリセット・ロー信号を意味するものとする。
CPU31は、アクセス要求が第1グループを構成する記憶装置21、23、25、27に対するものであるか否かを判定する(ステップS320)。CPU31は、アクセス要求が第1グループを構成する記憶装置21、23、25、27に対するものであると判定した場合には(ステップS320:Yes)、図13に示すように第1リセット信号生成回路にRST=1とさせて第1リセット信号RST1をハイに設定する(ステップS330)。このとき、第2リセット信号RST2はローに維持されている。既述のように、本実施例に係る記憶装置21〜28は、リセット信号RSTのローからハイへの切り替えをトリガとして、制御回路30からのアクセスを許容する。
したがって、第2リセット信号線RL2と接続されている第2のグループを構成する記憶装置22、24、26、28は、信号レベルがローに維持されているため、データ信号線DLに対してフローティングされており、CPU31から送出されたコマンド、IDデータに対して反応しない。この結果、同一のIDデータを格納する第1のグループの記憶装置と第2のグループの記憶装置のうち、第1のグループに属する記憶装置だけが、CPU31のコマンドに反応し、所望の記憶装置に対するデータの書き込み、または、データの読み出しが実現される。なお、本実施例では、説明を簡略にするため、データの読み出し時におけるタイミングチャートのみを用いて説明する。
一方、CPU31は、アクセス要求が第1グループを構成する記憶装置21、23、25、27に対するものでない、すなわち、第2グループを構成する記憶装置22、24、26、28に対するものである、と判定した場合には(ステップS320:No)、図14に示すように第2リセット信号生成回路にRST=1とさせて第2リセット信号RST2をハイに設定する(ステップS340)。このとき、第1リセット信号RST1はローに維持されている。
CPU31は、アクセスを所望するインクカートリッジCA1〜CA8(記憶装置21〜28)の識別データ(IDデータ)を発行する(ステップS350)。発行されたIDデータは、図13および図14に示すようにクロック信号SCKの立ち上がりエッジに同期されてデータ信号線DLを介してデータバスDBに転送される。なお、本実施例では、第1グループおよび第2グループの中で、それぞれ記憶装置が識別されれば良く、グループを超えて識別される必要はないのは既述の通りである。
CPU31は、第データ信号線DLに対して読み出しコマンド(Read)または、書き込みコマンド(Write)のいずれかを発行する(ステップS360)。発行されたコマンドは、データ信号線DLを介してデータバスDBに転送される。コマンドは、例えば、図13および図14に示すように第1リセット信号RST1がローからハイに切り替えられた後の4つ目のクロック信号SCKの立ち上がりエッジに同期されるようにデータバスDBに転送される。
なお、本実施例では、発行されたコマンドが書き込みコマンドの場合、CPU31は、クロック信号生成回路に対してクロック信号SCKの速度を遅くし、発行されたコマンドが読み出しコマンドの場合には、クロック信号速度が維持されるのは既述の通りである。
CPU31は、書き込みまたは読み出しを所望するメモリアレイ、例えば、記憶装置21のメモリアレイ201、のアドレス(位置)に対応する数のクロック信号パルスを発行する(ステップS370)。本実施例における記憶装置21〜28はシーケンシャルアクセスタイプの記憶装置だからである。CPU31は、最後に、第1および第2リセット信号生成回路にリセット・ロー信号を生成させて(RST1、RST2=0にセット)、第1および第2リセット信号線RL1、RL2を介して第1および第2リセットバスRB1、RB2に送出して記憶装置21〜28に対するアクセスを完了する。このように、第1および第2リセット信号RST1、RST2(リセット・ロー信号)の送出によりアクセスを完了し、また、電源遮断時にも第1および第2リセット信号RST1、RST2を送出するので、データ書き込み中に電源が遮断された場合でも少なくとも書き込みを終えたデータの書き込み処理を正常に完了することができる。
以上説明した第2の実施例に係る識別システムによれば、記憶装置21〜28を第1および第2のグループに分け、第1のリセット信号線RL1および第2のリセット信号線RL2を利用していずれかのグループの記憶装置だけをアクセス可能な状態にすることができる。したがって、本実施例のように記憶装置を8個備える場合であっても、4通りのIDデータを各グループを構成する記憶装置に割り当てることで、各記憶装置を識別してデータの読み出し、データの書き込みを実行することができる。また、第1および第2のリセット信号RST1、RST2を生成するリセット信号生成回路は、要求される回路規模が小さいので、2つのリセット信号生成回路を備える場合であっても、1つのリセット信号生成回路を備える制御回路30と同等の回路規模で済むという利点を有する。
この他、読み出しまたは書き込みデータは1ビット単位で確定されることによる利点等は、第1の実施例に係る識別システムにおいて述べたのと同様である。
以上、実施例に基づき本発明に係る印刷記録材容器の識別システムおよび識別方法を説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
上記実施例では、1本のリセット信号線RST、2本のデータ信号線DL1、DL2を備える場合、2本のリセット信号線RST1、RST2、1本のデータ信号線DLを備える場合について説明したが、2本のリセット信号線RST1、RST2、2本のデータ信号線DL1、DL2を備えても良い。また、各信号線の数は2本以上であってもよい。かかる場合には、第1の実施例および第2の実施例により得られる作用効果はもちろんのこと、データの書き込み、読み出しの手順にバリエーションが増えるという利点を有する。
上記実施例では、記憶装置21〜28としてEEPROMを用いて説明したが、格納データを不揮発的に維持することができると共に、格納データを書き換え可能な記憶装置であればEEPROMに限られない。
上記実施例では、優先書き込みデータとしてインク残量データおよびインク消費量データを例示しているが、これらデータに代えてあるいはこれらデータに加えて他のデータを優先書き込みデータとしても良い。
上記実施例では、メモリアレイ201の先頭3ビットに識別データを格納しているが、識別データの容量は識別すべき記憶装置の数によって適宜変更され得る。また、メモリアレイ201の容量は256ビットに限定されるものでなく、格納すべきデータ量に応じて適宜変更され得る。
上記実施例では、8つの記憶装置21〜28を独立したインクカートリッジに備えた場合について説明したが、本実施例に係る記憶装置21は、2色〜7色、あるいは9色以上のインクカートリッジに対しても適用することができる。また、第1および第2のグループを構成する記憶装置数についても、4:3、1:6といったように任意に変更することができる。1:6の場合には、複数のインク色が任意に適用されるグループに1を割り当て、例えば、ダークイエロ、完全普通紙対応ブラック、常に同一のインク色が適用されるグループに6を割り当てると良い(例えば、シアン、ライトシアン、マゼンタ、ライトマゼンタ、ブラック)。かかる場合には、任意に用いられるインク色に対して同一のIDデータを割り当てることも可能となり、IDデータの管理が容易になる。任意の複数のインク色を識別する際には、IDデータと共に記憶装置に格納されているインク色、インク種といった情報を利用してインクカートリッジCAに収容されているインク色を判定しても良い。