JP4867095B2 - 密閉形圧縮機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷凍、冷房、空調機器に使用される各種の密閉形圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、スパッタを低減する溶接法として、特開平1−254385号公報(文献1)、特開平5−23850号公報(文献2)、特開平7−16743号公報(文献3)及び特開平7−47473号公報(文献4)に記載の技術が知られていた。これら文献には、いずれもパルス放電を利用したパルス溶接装置が記載されている。
【0003】
溶接時の問題としてスパッタとアンダーカット(溶接欠陥)が挙げられるが、スパッタは、ワイヤ電極と被溶接物との接触(短絡)が原因であり、アンダーカットは、アーク長が長くなることで起こることが上記文献1に記載されている。
【0004】
シールドガスがアルゴンを主原料(アルゴン20%と炭酸ガス)とした場合、パルスピーク電流を300Aから400Aと比較的低い電流とすることで、ワイヤ電極と被溶接物との距離を0.4mm間で近づけても短絡が起こらず、溶滴離脱が可能であるが、アルゴンはランニングコストがかかる問題がある。そこで、シールドガスを炭酸ガス100%とすると、パルス期間に溶滴が形成され、次のパルス期間の初期に溶滴が離脱する場合、溶滴離脱時にワイヤ電極と被溶接物とが接触し、接触状態が解かれアークが再点弧した時にスパッタが発生すること、及びパルス期間中に溶滴が形成されベース電流期間中に溶滴離脱した時に、アーク切れを起こしてしまうことが記載されている。
【0005】
また、文献2には、1パルス期間中に1溶滴させる技術が記載されている。更に、文献3には、シールドガス中のアルゴン含有量が少ない場合、パルスのピーク期間で形成された溶滴は次のパルス期間でしか離脱できないことに言及している。そして、文献4には、炭酸ガスパルスアーク溶接におけるスパッタの低減を、ワイヤの材質を工夫することで行うことが記載されている。
【0006】
ところで、密閉形圧縮機を密閉するためには、モータ部品や圧縮機部品などが収納されている円筒容器とフタキャップとを封止溶接(密閉溶接)する必要がある。圧縮機は耐圧強度を必要とする精密な高圧容器であり、継手部の接合方法としては一般にアーク溶接法が用いられ、母材強度並みの溶接強度を必要としている。この密閉溶接を行う時に溶融金属の一部がスパッタとなって発生及び飛散すると、この飛散したスパッタの一部が溶接継手の隙間や容器の開口孔から容器内部に侵入することになる。溶接によるスパッタは硬い金属粒子であり、特に容器内の圧縮機部に侵入した場合には、摺動部や回転部を損傷させたり、ロックさせたりする大きな故障要因となる。
【0007】
このため、従来からスパッタの発生が少ない溶接方法や容器内部へのスパッタの侵入を防止する方法などが提案されている。特開平7−119636号公報(文献5)に記載の密閉形圧縮機容器の溶接方法は、円筒容器とフタキャップとの重ね継手内部に軟質金属のシ−ル材を挿入し、円筒容器とフタキャップの一部を電気溶接して密閉するようにしている。また、特許第3051701号公報(文献6)に記載の密閉形スクロール圧縮機は、ディスチャージカバー又は上部鏡板の下端を絞って小径とし、この下端を固定スクロールの外周縁に当接させてこれをフレームとの間に狭持した状態で、ディスチャージカバー又は上部鏡板を容器本体に溶接するようにしている。
【0008】
しかし、文献5に記載の密閉形圧縮機容器の溶接方法は、重ね継手内部に挿入された軟質金属のシ−ル材によってスパッタの侵入を阻止できるものと考えられが、余分なシール材の費用や挿入作業がかかるばかりでなく、溝形成の加工工程や加工費も必要という問題がある。また、上記のシール材を加工溝に挿入するための隙間が大きくなり、その隙間のある重ね継手部をアーク溶接などの電気溶接で簡単に密閉することは困難と考えられ、溶接中にスパッタが多発する結果になる恐れがある。
【0009】
さらに、文献6に記載の密閉形スクロール圧縮機では、ディスチャージカバー又は上部鏡板を容器本体に溶接することが記載されているが、どんな溶接法でどのような溶接施工条件にて溶接するのか全く記載されていない。この他にも、スクロール圧縮機、ロータリー圧縮機など各種の密閉形圧縮機の内部構造や部品形状や組立構造や溶接による固定法などを示した例は幾つかあるが、密閉形圧縮機の容器を密閉する溶接方法及びスパッタ発生の防止法を示した文献はほとんど見当たらない。
【0010】
このように密閉形電動圧縮の溶接は、通常の溶接に比べスパッタの問題に対して細心の注意を払わねばならない。しかし、上記文献5及び文献6に示されているように加工時に対策を行うためには、密閉チャンバの加工精度を上げなければならず製作費用が高くなり、加工に時間がかかってしまうといった問題がある。
【0011】
そこで、前記文献1乃至文献4に記載の溶接法では、密閉形電動圧縮機特有の問題であるスパッタの低減が見込めないことから、特公平7−3223号公報(文献7)においては、全密閉圧縮機の溶接法として、非消耗電極方式のプラズマアーク溶接法を用い、アーク中にワイヤを添加しながら円筒容器とフタキャップとを密閉溶接するようにしている。非消耗電極方式のアーク溶接では、継手溶接部の強度を確保するためにワイヤの添加が不可欠である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記文献7の全密閉圧縮機に使用されている溶接法は、スパッタの発生がほとんどないプラズマアーク溶接であり、溶接時に容器内部へ侵入するスパッタも少ないものと考えられる。しかしながら、非消耗性のタングステンを電極とするプラズマアーク溶接は、溶接速度の高速化が望めないばかりでなく、生産ラインでの繰り返し溶接によって電極やノズルが消耗してアーク溶接の乱れや溶接欠陥が生じ易いという問題がある。アーク中に添加するワイヤの狙い位置が変化すると、溶融プールが乱れたり、ワイヤ溶滴が飛び出したりする。また、過剰な溶接入熱によって溶接周辺部の温度が上昇し易いおそれがある。さらに、タングステンを電極とするワイヤ添加式のTIGアーク溶接や、ワイヤを通電加熱するホットワイヤ方式のTIGアーク溶接においては、タングステン電極が露出した状態で使用するために、溶接による電極の傷みが速く、短い時間間隔で電極及び付属部品の交換が必要であり、溶接稼動時間率や使い勝手が低下する問題がある。ワイヤの狙い位置の変化すると溶融プールが乱れ易くなり、そのワイヤや溶滴が電極に接触した場合には電極溶損で溶接困難に至る問題もある。
【0013】
一方、溶接業界では、溶接ワイヤを電極とするパルスMAG/MIG溶接機が市販され、高溶着で高能率な溶接が可能であることから各種の溶接構造物に適用されてきている。また、パルスアーク溶接は、通常の直流アーク溶接(MAG溶接又はMIG溶接)に比べて、スパッタの発生が少ないことが知られている。
【0014】
しかしながら、実際にスパッタの発生が少なく、かつ、溶接欠陥もない良好な溶接を行うためには、対象製品の材質や継手形状など各々の用途に適したパルス溶接波形及び溶接施工条件を確立する必要がある。また、密閉形圧縮機の封止溶接にパルスアーク溶接が適用された例も既にあるが、スパッタの発生を低減するまでに至っておらず、圧縮機内へのスパッタ侵入によるロック不良の問題が解決されていない状況にある。
【0015】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたもので、その目的は、スクロール圧縮機、ロータリー圧縮機など各種の密閉形圧縮機における円筒容器の密閉溶接でスパッタの発生及び円筒容器内への侵入をなくすと共に、品質の良い溶接部を有する密閉形圧縮機を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、クランク軸を回転させるモータ部品、このクランク軸の駆動によって冷媒を圧縮する圧縮機部品を収納した鋼製の円筒容器と、この円筒容器の上端部又は下端部或いは両方の端部に圧入した鋼製のフタキャップからなり、この円筒容器とフタキャップとの円周継手部を溶接ワイヤ溶融式のパルスアーク溶接を行うことで密閉する密閉形圧縮機において、前記円筒容器とフタキャップとの円周継手部は、重ねすみ肉円周継手又は突き合せ円周継手の形状とし、前記重ねすみ肉円周継手は、円筒容器の端面内側にその内径より小さい外径のフタキャップ端面側を圧入して形成されたもの、又は円筒容器の端面外側にその外径より大きい内径のフタキャップ端面側を圧入して形成されたものであり、溶接時の前記重ねすみ肉円周継手は、前記円筒容器が水平姿勢又は水平方向から50度までの傾斜姿勢となるように密閉形圧縮機を回転装置へ設置すると共に、アーク点直下の溶融プールが下進姿勢の位置に形成するように溶接トーチを配置及びワイヤ位置決めをし、その後に密閉形圧縮機を回転走行させて、溶接個所に送給するワイヤを1パルス周期で溶融して溶融プール側へ1溶滴移行させるパルスアーク溶接によって密閉溶接されており、前記密閉形圧縮機の本溶接を行う以前に仮付け接合の工程を設け、TIG溶接など非消耗電極方式のアーク溶接で前記円周継手部の複数箇所に仮付け接合を行い、その後に、前記本溶接の工程で、前記事前に仮付け接合した所定位置より前記パルスアーク溶接を開始するようにしたことを特徴とする密閉形圧縮機を提案する。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例を詳細に説明する前に、簡単のその概要を説明する。密閉形圧縮機の円筒容器フタキャップとを密閉するパルスアーク溶接でスパッタが発生する原因を検討した結果、主に▲1▼ワイヤ溶滴の移行がパルス溶接波形と合っていない時と、▲2▼ワイヤ溶滴が短絡移行する時にそのワイヤ溶滴がスパッタとなって飛散することが判った。このため、発明者等は、アーク溶接及びワイヤ溶滴移行の基本現象に基づいて、パルス溶接波形とワイヤ溶滴移行を同期化すると共にワイヤ溶滴の短絡移行を防止して、スパッタの発生及び円筒容器内への侵入をなくすと共に、品質の良い溶接部を得るのに有効な方策を見出した。
【0023】
すなわち、溶接ワイヤに適したパルス電流値又はこの電流を出力させるパルス電圧値とパルス時間の調整設定或いは切替え設定が可能で、かつ、少なくともベース時間の増減制御によって溶接平均電圧や平均電流を増減し得る直流パルス溶接電源を用いて、ワイヤ溶滴が規則正しく1パルスで1溶滴、ベース期間で溶滴離脱(1周期1溶滴)する適正パルス溶接波形を設定すると共に、短絡移行が生じない程度のアーク長の保持が可能な溶接平均電圧と溶接対象の継手部の溶融に見合う溶接平均電流とを設定し、シールドガスをアルゴンを含有するものとして、密閉形圧縮機の重ねすみ肉継手円周部又は突き合せ継手円周部を密閉するパルスアーク溶接を行うことで、品質の良好な円周溶接部が得られると共にスパッタの発生及び容器内部への侵入を防止することができる。
【0024】
これによって、圧縮機の摺動部や回転部のスパッタによる損傷、ロック不良が回避でき、密閉形圧縮機の信頼性を高めることができる。また、密閉すべき円筒容器とフタキャップとの間に形成される重ねすみ肉継手円周部又は突き合せ継手円周部の嵌め合い隙間の寸法公差を最大でも0.2mm以下に形成することで、継手形状が簡単になるばかりでなく、密閉形圧縮機の組立が容易となり精度も確保することができ、この継手円周部を密閉するパルスアーク溶接を行う時に容器内部へのスパッタの侵入抑制を図ることができる。
【0025】
さらに、フタキャップ側又は円筒容器側の溶け込みが深くても板厚半分以下の浅い形状となる溶接入熱に必要な溶接平均電流及び溶接速度を設定することで、フタキャップ及び円筒容器の過剰な加熱防止及び溶接部の余盛り量を抑制することができる。溶接開始時には、プリーフロー時間を設けたシールドガス雰囲気内で、平均値が小電流・電圧のパルスアークを発生させた後に定常溶接の平均電流・電圧のパルスアークに移行させることで、大気の巻き込みによるアーク切れやスパッタの発生や溶接不良のない良好なアークスタート及びビード始端部を得ることができる。
【0026】
また、溶接終了側では、ビード始端部に適正量のビード重ねをしてからパルスアークの平均電流・電圧の減少及び回転走行の停止制御を行うことで、融合不良や凹みのない良好な溶接ビード終端部を得ることができる。さらに、アーク点直下の溶融プールが下進姿勢の位置に形成するように溶接トーチを配置してパルスアーク溶接を実施することで、高速溶接が可能となるばかりでなく、アンダーカットなどの溶接欠陥のない良好な溶接ビード外観及び溶け込み形状を得ることができる。
【0027】
一方、密閉形圧縮機の本溶接を行う以前に、TIG溶接など非消耗電極方式のアーク溶接で重ねすみ肉継手円周部又は突き合せ継手円周部の複数箇所に仮付け接合を行い、本溶接を仮付け接合の箇所から開始することで、溶接による微少な変形や隙間の変動を抑制することができ、円筒容器内部へのスパッタの侵入を防止することができる。
【0028】
さらに、溶接終了後か又は溶接終了後に密閉形圧縮機を搬送する過程で、冷却用のエアーを吹付けることにより、円筒容器及びフタキャップの溶接による温度上昇が抑止でき、所定の高温度下で機能劣化が懸念される電極部品や樹脂部品などを確実に保護することができる。
【0029】
以下、本発明1実施例を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施例を示す密封形圧縮機の溶接装置の概略構成図である。1は密閉形圧縮機で必要なモータ部品や圧縮機部品などを収納した円筒容器であり、その円筒容器1の上部及び下部にはフタキャップ2a、2bが圧入されている。この円筒容器1及びフタキャップ2a、2bは通常の鋼板材を成形加工したものである。3は密閉形圧縮機の円筒容器1を任意の姿勢で位置決め固定及び回転走行させることが可能な回転装置であり、制御盤10の指令で動作するようになっている。4は密閉形圧縮機の封止溶接を行う溶接トーチであり、円筒容器1とフタキャップ2aとの間に形成される重ねすみ肉継手部19に配置され、トーチケーブル6を介してワイヤ送給装置8に接続されている。また、7は臨界電流より高いパルス電流と低いベース電流を交互に繰り返し出力する溶接ワイヤ溶融式の直流パルス溶接電源(定電流制御方式又は定電圧制御方式或いは両方併用制御方式のパルス溶接電源)であって、その給電ケーブル11がトーチケーブル6と回転装置3に接続され、パルスアーク溶接に必要な給電を制御盤の指令で行うように構成されている。9は溶接トーチ4の先端部にトーチケーブル6を介してシールドガス9aを供給するガスボンベであり、鋼板材の溶接で用いられているArガスを主成分とする10〜20%程度のCO2ガス入りの混合ガスボンベである。このAr+CO2混合ガスの代わりに、例えば数%のO2を加えたAr+CO2+O2の混合ガスやAr+O2の混合ガスを使用することも可能である。
【0030】
パルス溶接電源7は、少なくとも1パルスで1溶滴、次のベース期間で溶滴離脱させるための直流パルス溶接波形が設定可能であり、溶接ワイヤ5の銘柄や径や材質、シールドガス成分に適したパルス電流値又はこのパルス電流を出力させるパルス電圧値とパルス時間の調整設定が可能で、かつ、ベース電流及びベース電圧を出力させるベース時間の増減によって平均電流とワイヤ送り速度及び平均電圧を増減し得る直流パルス溶接電源である。
【0031】
図2は密閉形圧縮機内部の概略構造の一例を示す断面図である。モータ部品は、円筒容器1の内周面に固定されたステータ13b及び外部から給電する電極部13cと、このステータ13bの内側に遊嵌しているローター13aと、このローター13aの内側に設置されて回転するクランク軸12とから構成されている。また、このクランク軸12の下部は圧縮機部に連結されており、シリンダ15の上下に固定してあるベアリング14a、14bによって回転自在に支持されている。圧縮機部のシリンダ15には、クランク軸12の回転によって偏心運動をするローラ16が収容されており、このローラ16の偏心運動及び図示していないブレードの往復運動による圧縮空間の体積変化によって、外部の吸入管17aから導入される冷媒ガス17bを吸入して圧縮及び吐出する一連の圧縮サイクルが行なわれるようになっている。圧縮された冷媒ガス17bはモータ部品室に導かれて、円筒容器1の上部にあるフタキャップ2aに接合設置の吐出管17cより外部に吐出される。クランク軸12の内部には、ベアリング14a、14bの回転部やシリンダ15とローラ16との摺動部に潤滑油を供給するための給油通路18が設けられている。シリンダ15の外周面は、円筒容器1の内側に複数点のアークスポット溶接又は他の溶接法にて接合固定(シリンダ溶接部15b)されている。円筒容器1の上下端部には、フタキャップ2a、2bがそれぞれ圧入されており、両者の間に形成される各々の重ねすみ肉継手部19を密閉溶接すべきフタ円周溶接部20a、20bがある。ここではフタキャップ2a、2bが円筒容器1の内側に圧入された一例を示しているが、円筒容器1の外側にフタキャップを圧入する構造の場合でも、重ねすみ肉継手円周部を密閉溶接する必要がある。また、継手形状が他の突き合せ継手の構造の場合でも、その突合せ継手円周部を密閉溶接する必要がある。さらに、上述した密閉形圧縮機はロータリー方式の構造であるが、他の圧縮機構のスクロール方式やレシプロ方式の密閉形圧縮機においても、各々の圧縮容器を密閉するために溶接が必要となる。
【0032】
図3(1)は密閉形圧縮機の円筒容器1とフタキャップ2aとの間に形成される重ねすみ肉継手部19の一部を拡大した断面であり、図3(2)(3)はその重ねすみ肉継手部19を密閉するために垂直姿勢又は水平姿勢でパルスアーク溶接を行う一実施例を示す。このパルスアーク溶接では、回転装置3に設置している密閉形圧縮機の円筒容器1側を回転走行させると共に、シールドガス9aの雰囲気内で重ねすみ肉継手19と溶接ワイヤ5との間にパルス状の電圧Vp、Vbを交互に印加及びパルス電流Ip、ベース電流Ibを出力させて、アーク21を発生及び溶融プールを形成させながら重ねすみ肉継手19の密閉溶接を行って重ねすみ肉円周溶接部20aを得るようにしている。図中の矢印24bは、溶接中に飛散した図示していないスパッタ28の一部が継手の隙間24aより侵入する時のスパッタ侵入路である。図4は継手形状が他の突合せ継手22、23の構造から成る一実施例を示す断面図であり、同図(1)は絞り加工成形したフタキャップ2cの端面側を円筒容器1の内側に圧入して、その外側の曲面部と円筒容器1端面の間に突き合せ継手22を形成し、パルスアーク溶接による突合せ継手円周溶接部22aを得るようにしている。また、同図(2)はフタキャップ2a内面の端面側に予め接合した裏当てインナーリング材25を円筒容器1の内側に圧入し、フタキャップ2a端面と円筒容器1端面の間に突き合せ継手部23を形成して、パルスアーク溶接による突合せ継手円周溶接部23aを得るようにしている。図3(1)に示した重ねすみ肉継手部19の嵌め合い隙間の寸法公差は最大でも0.2mm以下に形成すると良い。また、図4(1)(2)に示した突合せ継手部22、23における円筒容器1とフタキャップ2aとの嵌め合い隙間、或いは円筒容器1と裏当てインナーリング材25との嵌め合い隙間の寸法公差についても最大でも0.2mm以下に形成すると良い。継手形状が簡単になるばかりでなく、密閉形圧縮機の組立が容易となり精度も確保することができ、この継手円周部を密閉するパルスアーク溶接を行う時に容器内部へのスパッタの侵入抑制を図ることが可能となる。さらに、図3(2)に示したように垂直姿勢で溶接を行う場合は、溶接ワーク側(円筒容器1及びフタキャップ2a)を回転走行させる代わりに、例えば、溶接トーチ4を溶接ロボットなどの回転駆動装置に設置して回転走行させることも可能である。この垂直姿勢で良好な重ねすみ肉円周溶接部20aを得るためのパルスアーク溶接の限界速度は1000mm/min程度である。溶接速度が1000mm/minを越える高速度溶接領域では、溶接中の溶融金属が重力作用によって円筒容器1側へ垂れ落ち易くなるか、あるいはキャップ2a側にアンダーカットが生じるために良好な溶接ビードを得ることが難しい。これに対して、図3(3)及び図4(1)(2)に示したように円筒容器1が水平姿勢の場合には、溶融金属の垂れ落ち要因が小さくなり、例えば1500mm/min以上の高速度領域でも安定な溶接が可能である。
【0033】
図5は本発明のパルスアーク溶接方法の一実施例であり、スパッタの発生をなくすためのパルスアーク溶接の電圧・電流波形及びワイヤ先端の溶滴移行の概要を示す説明図である。横軸の時間に対する縦軸には,定速送りのワイヤ、パルス電圧の波形、パルス電流の波形、ワイヤ溶滴の形成と移行の概要を示している。
【0034】
臨界電流よりも高いパルス電流Ipと低いベース電流Ibを交互に繰り返し出力するパルス溶接電源7を用いている。
【0035】
パルス電流Ip・電圧Vpの期間Tp中に溶融させたワイヤ5先端に溶滴26を形成させ、このパルス期間Tp終了後のベース電流Ib・電圧Vbの期間Tb前半に、ワイヤ溶滴26を母材29側の溶融プール27へ離脱移行させる、1パルスで1溶滴移行が可能な適正パルス溶接波形を出力させるようにしている。同時に、ワイヤ溶滴26の移行時に短絡移行が生じない程度のアーク長を保持するように溶接平均電圧Eaを出力させて、円筒容器1とフタキャップ2a、2bとの円周継手部の密閉溶接を行う。これにより品質の良好な溶接部が得られると共にスパッタの発生をなくすことができ、円筒容器1内部へのスパッタ28の侵入を未然に防止することができる。上記の1パルスで1溶滴移行が可能な適正パルス溶接波形は、溶接ワイヤの銘柄や径や材質などによって異なるが、例えば、JIS規格YGW15のワイヤ径1.2mmの場合、パルス電流値がIp=520A程度の時の適正なパルス期間はTp=1.6〜2.1ms程度となる。ワイヤ送り速度Wfは、溶接平均電流Iaとほぼ比例増加する関係にあるので、その電流値Iaに出力に同調させて送れば良い。また、定電圧制御方式のパルス溶接電源を使用する時には、パルス電圧Vp及びパルス期間Tpの設定によって上記のパルス電流Ipを出力させれば良い。
【0036】
一方、図6(1)(2)及び図7は、溶接中にスパッタが発生する模式図を示したものであり、アーク21長が短くてワイヤ先端の溶滴26が短絡移行(アーク消滅)してアーク再点弧する時や、アーク力の強いパルス電流Ipの期間Tp中に溶滴26が離脱移行する時に、溶滴26の一部がスパッタ28となって飛散し、その飛散したスパッタ28の一部が継手隙間24aから円筒容器1の内部に侵入24bすることになる。このため、溶滴26の短絡移行が生じる溶接平均電圧Eaで溶接を行うとスパッタ28の多発を招く結果に至る。
【0037】
また、図7に示したようにワイヤ溶滴26がパルス電流Ipの期間Tp中に移行するパルス溶接波形、或いはワイヤ溶滴26の移行が非同期なパルス溶接波形で溶接を行うと、アーク力の強いパルス電流Ipによる溶滴26の分断・飛散によってスパッタ28の発生を招く結果となる。したがって、スパッタ28の発生をなくす方策で特に重要なことは、図5に示したように規則正しく1パルスで1溶滴移行が可能な適正パルス溶接波形を出力させることと、溶接対象の継手部の溶融に見合う溶接平均電流を出力(ワイヤ送りも同調)させると共に、ワイヤ溶滴26を低いベース電流Ipの期間Tb中のアーク空間で移行させる平均電圧Eaを出力させることである。パルスアーク溶接での平均電圧はEa=(Vp・Tp+Vb・Tb)/(Tp+Tb)で示され、また、平均電流はIa=(Ip・Tp+Ib・Tb)/(Tp+Tb)で示される。ここでは矩形波のパルス波形で説明したが、台形波状、鋸形波状のパルス波形でも良い。
【0038】
図8(1)は本発明の溶接方法を示す他の一実施例であり、円筒容器1が傾斜する姿勢になるように密閉形圧縮機を図示していない回転装置3に設置して、重ねすみ肉継手部19の封止溶接(溶接方向30) を行う様子を示した概略図である。また、図8(2)は溶接トーチ4のワイヤ1位置決めをフタキャップ2a側より示した正面図である。ここでは溶接トーチ4に前進角(θ1=3〜20度程度)を設けると共に、溶接すべき継手部19に対するワイヤ5先端位置を頂点31より先行(オフセット量S=10〜40mm程度)させた位置に合せることで、溶接中のアーク21及び溶融プール27を前進する方向に安定に形成することができる。また、図8(3)に示すように、溶接トーチ1を頂点31から円周方向に回転(θ2=10〜80度)させた位置に配置して位置決めすると、下進姿勢の位置にアーク直下の溶融プール27を形成することができる。密閉形圧縮機の姿勢位置については、円筒容器1が概ね水平姿勢又は水平方向から概ね50度までの傾斜姿勢となるように設置(α=0〜50度)すれば良い。このように円筒容器1の姿勢位置決め及び溶接トーチ4の位置決めして、上述したパルスアーク溶接を行うことで、溶融プールの先行促進が図れて高速度溶接が可能となり、スパッタの発生及び容器内への侵入を防止でき、また、アンダーカットなどの溶接欠陥のない良好な溶接ビード外観、及び図8(4)に示すような溶け込み形状を得ることができる。特に、溶融プールを先行させることによって、継手部の隙間と接するプール先端から溶滴移行点までの距離が長くなり、その隙間からのスパッタ侵入を抑制することができる。
【0039】
図9に、図5に示したパルス溶接波形を用いて密閉形圧縮機の重ねすみ肉継手部19のパルスアーク溶接を行った時の溶接平均電流Iaと平均電圧Eaの関係を示す。図中のA線はスパッタが発生しない密閉溶接の可能な特性曲線、B線はスパッタが多発する密閉溶接の特性曲線をそれぞれ示している。したがって、ワイヤ溶滴26が規則正しく1パルスで溶滴移行する適正なパルス溶接波形と、短絡移行が生じない程度のアーク長の保持が可能な溶接平均電圧Ea及び平均電流(A線)を出力させることで、図6に示したスパッタ28の発生がなくなり、円筒容器1内部へのスパッタ28の侵入を防止することができ、アンダーカットや融合不良などの溶接欠陥のない良好な円周溶接部20aを得ることができる。円周溶接部20aの形状については、図8(4)及び図3(2)(3)に示したようにフタキャップ2a側の溶け込みhが深くても板厚tの半分以下(h≦t/2)の浅い形状となるように、溶接入熱の抑制が可能な平均電流と平均電圧及び溶接速度を設定して溶接すると良い。また、図4(1)に示した突合せ継手22の円周溶接部22aにおいても、フタキャップ2c側の溶け込み深さhが板厚tの半分以下になるように溶接すれば良い。さらに、フタキャップ2aが円筒容器1の外側に圧入した図示していない構造の密閉形圧縮機においては、円周溶接部20aの溶け込み方向が円筒容器1側に反転することになるが、その溶け込み深さhが板厚半分以下の形状になるように溶接を行えば良い。このような溶け込み形状の密閉溶接を行うことで、フタキャップ2a、2b、2c及び円筒容器1の過剰な加熱防止及び溶接部の余盛り量を抑制することができる。
【0040】
図10は、密閉形圧縮機をパルスアーク溶接で密閉した後にフタキャップ2a中央部分の最高温度の測定を行った結果の一例を示す。図中のC線は密閉溶接が終了して数十秒経過後に到達した最高温度、また、D線は密閉溶接の終了後に冷却用のエアーを溶接部分及びその周辺部に十数秒間吹付けた後に測定した最高温度をそれぞれ示している。フタキャップ2aの温度は溶接入熱(Q=60・Ia・Ea/Vs)の増加に比例して上昇している。過剰な温度上昇は、電極部品や樹脂部品の機能劣化を招く恐れがあるため、溶接入熱を抑制して溶接するか又は上昇する温度を強制的に下げる必要がある。温度上昇を下げる一つの手段としてエアー吹付け法が有効であり、短時間で50度程度下げることができる。このエアー吹付けは、密閉溶接の終了後に密閉形圧縮機を搬送する過程で行っても、同様な温度抑制の効果があり、溶接部分又は所定の高温度下で機能低下が懸念される電極部分及びその周辺部に短時間吹付ければ良い。
【0041】
図11は密閉形圧縮機の円筒容器1とフタキャップ2a、2bとの円周継手部を密閉するパルスアーク溶接で必要となる条件制御ブロック線図の一例であり、横軸の時間に対する縦軸には、ワイヤの送り速度Wf(m/min)、溶接の平均電流Ia(A)、平均電圧Ea(V)、溶接速度Vs(mm/min)、シールドガス流量SGをそれぞれ示している。すなわち、溶接の開始時には、少なくとも1秒以上のプリーフロー時間(T1)を設けてシールドガスを流し、そのガス雰囲気内で平均値が小電流Ia1・電圧Ea1のパルスアークをP1点で発生させて初期の溶融プールをT2時間で形成させる。そのT2時間経過後に、定常溶接の平均電流Ia2・電圧Ea2のパルスアークに移行させると共に、密閉形圧縮機を回転走行(溶接速度Vs)させて定常溶接を行う。一方、溶接終了側では、溶接トーチとの相対位置がビード始端境界位置(P2点)から所定距離(L)通過した地点(P3)又はこのP3点に到達するまでの所要時間が経過した後に、パルスアーク溶接の平均電流Ia3・電圧Ea3を減少させて所定時間(T4)だけ保持した後か又は所定距離通過後に、回転走行を停止すると同時にアークを停止(P4点)する。或いは回転走行を停止して遅延時間(T5−T4)の経過後にアークを停止する。シールドガスのアフター時間(T6)が経過したら密閉形圧縮機の溶接が終了となる。このように簡便な条件制御を行うことで、溶接開始時に生じ易い大気の巻き込みによるアーク切れやスパッタの発生や溶接不良のない良好なアークスタート及び溶接ビード始端部を得ることができる。また、溶接終了側では、ビード始端部に適正量のビード重ねをしてからパルスアークの平均電流・電圧の減少及び回転走行の停止制御を行うことで、融合不良や凹みのない溶接ビード終端部を得ることができる。
【0042】
図12は密閉形圧縮機の部品組立工程からフタキャップの仮付け工程、本番の密閉溶接工程及び検査工程に至るまでの手順概要を示す一実施例である。本番の密閉溶接を行う工程45、46の前に、円筒容器1と左右のフタキャップ2a、2bを仮付け接合する工程44を設けて、TIG溶接などの非消耗電極方式のアーク溶接で継手部の複数箇所(例えば3個所)に各々仮付け接合32を行うようにしている。仮付け接合32を行う姿勢については、本溶接の時と同じ姿勢か又は接合し易い姿勢で、上部側と下部側のフタキャップ2a、2bを2回に分けて3個所づつ同時にもしくは個別にそれぞれ行えば良い。円筒容器1とフタキャップの2a、2bとの円周継手部を密閉する本溶接の工程45、46では、前工程44で仮付け接合32した所定位置よりパルスアーク溶接を行うと良い。仮付け接合32及びその箇所から本溶接を行う45、46ことで、溶接による微少な変形や隙間の変動を抑制することができ、また、円筒容器1内部へのスパッタ28の侵入をより確実に防止することができる。
【0043】
以上述べたように本実施例によれば、円筒容器とフタキャップとの円周継手部を密閉するパルスアーク溶接でスパッタの発生をなくすことができ、また、溶接による微少な変形や隙間の変動が抑制でき、円筒容器内へのスパッタの侵入防止によって、密閉形圧縮機の摺動部や回転部のスパッタによる損傷、ロック不良が回避でき、密閉形圧縮機の信頼性を高めることができる。また、高速溶接が可能であるばかりでなく、アンダーカットなどの溶接欠陥のない良好な溶接ビード外観及び溶け込み形状を得ることができ、溶接時間の短縮、生産性及び溶接品質の向上に寄与することができる。さらに、溶接後の温度上昇を抑止することで、所定の高温度下で機能劣化が懸念される電極部品や樹脂部品などを確実に保護することができ、密閉形圧縮機の部品の損傷防止、信頼性向上に寄与することができる。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、スクロール圧縮機、ロータリー圧縮機など各種の密閉形圧縮機における円筒容器の密閉溶接でスパッタの発生及び円筒容器内への侵入をなくすと共に、品質の良い溶接部を得るのに好適な密閉形圧縮機及びその溶接方法並びに自動溶接装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す密封形圧縮機の溶接装置の概略構成図である。
【図2】密閉形圧縮機内部の概略構造の一例を示す断面図である。
【図3】密閉形圧縮機の円筒容器とフタキャップとの間に形成される重ねすみ肉継手部9の一部を拡大した断面図である。
【図4】継手形状が他の突合せ継手構造から成る一実施例を示す断面図である。
【図5】本発明のパルスアーク溶接方法の一実施例であり、スパッタの発生をなくすためのパルスアーク溶接の電圧・電流波形及びワイヤ先端の溶滴移行の概要を示す説明図である。
【図6】溶接中にスパッタが発生する模式図である。
【図7】パルス期間中に移行する溶滴がスパッタとなって飛散するパルス溶接波形を示す説明図である。
【図8】本発明の溶接方法を示す一実施例の説明図である。
【図9】パルスアーク溶接を行った時の溶接平均電流Iaと平均電圧Eaの関係を示す一実施例である。
【図10】円筒容器とフタキャップとの円周継手部を密閉溶接した後にフタキャップ2a中央部分の最高温度の測定を行った結果の一実施例である。
【図11】本発明の溶接方法に関わる条件制御ブロック線図の一実施例である。
【図12】密閉形圧縮機の部品組立工程からフタキャップの仮付け工程、本番の封止溶接工程及び検査工程に至るまでの手順概要を示す一実施例である。
【符号の説明】
1…円筒容器、2a、2b、2c…フタキャップ、3…回転装置、4…溶接装置、5…ワイヤ、7…直流パルス溶接電源、8…ワイヤ送給装置、10…制御盤、12…クランク軸、15…シリンダ、19…重ねすみ肉継手、20a、20b…重ねすみ肉円周溶接部、21…アーク、22、23…突き合せ継手、22a、23a…突き合せ円周溶接部、24a…隙間、24b…スパッタ侵入路、25…裏当てインナーリング材、26…ワイヤ溶滴、27…溶融プール、28…スパッタ、32…仮付け接合部。
Claims (4)
- クランク軸を回転させるモータ部品、このクランク軸の駆動によって冷媒を圧縮する圧縮機部品を収納した鋼製の円筒容器と、この円筒容器の上端部又は下端部或いは両方の端部に圧入した鋼製のフタキャップからなり、この円筒容器とフタキャップとの円周継手部を溶接ワイヤ溶融式のパルスアーク溶接を行うことで密閉する密閉形圧縮機において、
前記円筒容器とフタキャップとの円周継手部は、重ねすみ肉円周継手又は突き合せ円周継手の形状とし、前記重ねすみ肉円周継手は、円筒容器の端面内側にその内径より小さい外径のフタキャップ端面側を圧入して形成されたもの、又は円筒容器の端面外側にその外径より大きい内径のフタキャップ端面側を圧入して形成されたものであり、溶接時の前記重ねすみ肉円周継手は、前記円筒容器が水平姿勢又は水平方向から50度までの傾斜姿勢となるように密閉形圧縮機を回転装置へ設置すると共に、アーク点直下の溶融プールが下進姿勢の位置に形成するように溶接トーチを配置及びワイヤ位置決めをし、その後に密閉形圧縮機を回転走行させて、溶接個所に送給するワイヤを1パルス周期で溶融して溶融プール側へ1溶滴移行させるパルスアーク溶接によって密閉溶接されており、
前記密閉形圧縮機の本溶接を行う以前に仮付け接合の工程を設け、TIG溶接など非消耗電極方式のアーク溶接で前記円周継手部の複数箇所に仮付け接合を行い、その後に、前記本溶接の工程で、前記事前に仮付け接合した所定位置より前記パルスアーク溶接を開始するようにしたことを特徴とする密閉形圧縮機。 - 請求項1において、前記突き合せ円周継手は、フタキャップ内面の端面側に予め接合した裏当てインナーリング材を円筒容器の端面内側に圧入して形成されたもの、又は円筒容器の内径より小さい外径の絞り成形加工を施したフタキャップ端面を円筒容器の端面内側に圧入して形成されたものであり、かつ、溶接時の前記突き合せ円周継手は、前記円筒容器が水平姿勢又は水平方向から50度までの傾斜姿勢となるように密閉形圧縮機を回転装置へ設置すると共に、アーク点直下の溶融プールが下進姿勢の位置に形成するように溶接トーチを配置及びワイヤ位置決めをし、その後に密閉形圧縮機を回転走行させて、溶接個所に送給するワイヤを1パルス周期で溶融して溶融プール側へ1溶滴移行させるパルスアーク溶接によって密閉溶接されていることを特徴とする密閉形圧縮機。
- 請求項1または2において、密閉形圧縮機のフタキャップ側又は円筒容器側の溶け込みが深くても板厚半分以下の浅い形状となる溶接入熱条件で溶接されたことを特徴とする密閉形圧縮機。
- 請求項1ないし3のいずれかにおいて、前記パルスアーク溶接が終了した後、溶接部分又は電極部分を含む領域に冷却用のエアーを吹付けるようにした密閉形圧縮機の溶接方法。
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