JP4866781B2 - レジスト組成物およびレジストパターン形成方法 - Google Patents
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Description
露光した部分が現像液に溶解する特性に変化するレジスト材料をポジ型、露光した部分が現像液に溶解しない特性に変化するレジスト材料をネガ型という。
近年、半導体素子や液晶表示素子の製造においては、リソグラフィー技術の進歩により急速にパターンの微細化が進んでいる。
微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化が行われている。具体的には、従来は、g線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在では、KrFエキシマレーザーや、ArFエキシマレーザーを用いた半導体素子の量産が開始されている。また、これらエキシマレーザーより短波長のF2エキシマレーザー、電子線、EUV(極紫外線)やX線などについても検討が行われている。
このような要求を満たすレジスト材料として、酸の作用によりアルカリ溶解性が変化するベース樹脂と、露光により酸を発生する酸発生剤とを含有する化学増幅型レジストが用いられている。
例えばポジ型の化学増幅型レジストは、酸解離性溶解抑制基を有し、酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する樹脂成分(ベース樹脂)と、酸発生剤成分とを含有しており、レジストパターン形成時に、露光により酸発生剤から酸が発生すると、当該酸の作用により樹脂成分から酸解離性溶解抑制基が脱離し、露光部がアルカリ可溶性となる。
現在、ArFエキシマレーザーリソグラフィー等において使用されるレジストのベース樹脂としては、193nm付近における透明性に優れることから、(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を主鎖に有する樹脂(アクリル系樹脂)などが一般的に用いられている(たとえば特許文献1参照)。ここで、「(メタ)アクリル酸」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸と、α位にメチル基が結合したメタクリル酸の一方あるいは両方を意味する。「(メタ)アクリル酸エステル」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸エステルと、α位にメチル基が結合したメタクリル酸エステルの一方あるいは両方を意味する。「(メタ)アクリレート」とは、α位に水素原子が結合したアクリレートと、α位にメチル基が結合したメタクリレートの一方あるいは両方を意味する。
また、化学増幅型レジストにおいて使用される酸発生剤としては、これまで多種多様のものが提案されており、たとえばヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤などが知られている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、新規なレジスト組成物およびレジストパターン形成方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の第一の態様は、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化する基材成分(A)および露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)を含有するレジスト組成物であって、
前記酸発生剤成分(B)が、下記一般式(b1−1)で表される構成単位(b1)からなる重合体(B1)を含むことを特徴とするレジスト組成物である。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖、分岐鎖および環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「低級アルキル基」は、炭素数1〜5のアルキル基である。
「ハロゲン化アルキル基」は、アルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基であり、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖、分岐鎖および環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「露光」は放射線の照射全般を含む概念とする。
本発明のレジスト組成物は、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化する基材成分(A)(以下、(A)成分という。)および露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下、(B)成分という。)を含有する。
かかるレジスト組成物を用いて形成したレジスト膜を選択的に露光すると、露光部のレジスト膜中の(B)成分から酸が発生する。該酸は、(A)成分のアルカリ現像液に対する溶解性が変化させるため、当該レジスト膜をアルカリ現像することによりレジストパターンが形成される。
本発明のレジスト組成物は、ポジ型レジスト組成物であってもよく、ネガ型レジスト組成物であってもよい。好ましくはポジ型レジスト組成物である。
本発明のレジスト組成物において、(B)成分は、上記一般式(b1−1)で表される構成単位(b1)からなる重合体(B1)を含む。
重合体(B1)は、上記一般式(b1−1)で表される構成単位(b1)からなる。
構成単位(b1)は、側鎖末端部に−R2−SO2−O−N=C(R3)(R4)で表される構造を有している。該構造は、露光(放射線が照射)された際に、当該構造内の結合が開裂して−R2−SO3HとC(R3)(R4)=NOHとに分解する。つまり、重合体(B1)においては、放射線の照射により、酸性基(−SO3H)が形成される。この酸性基は、前記(A)成分のアルカリ現像液に対する溶解性を変化させることができる。そのため、レジストパターンの形成において、当該重合体(B1)を含有するレジスト組成物を用いて得られるレジスト膜に対して選択的露光を行うと、露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が変化する一方で、未露光部はアルカリ現像液に対する溶解性が変化しないため、アルカリ現像を行うことにより、レジストパターンを形成することができる。
すなわち構成単位(b1)においては、窒素−炭素間の2重結合による2種の幾何異性構造(syn異性体およびanti異性体)が存在している。
重合体(B1)において、構成単位(b1)は、前記一般式(b1−1−1)で表される構成単位であってもよく、前記一般式(b1−1−2)で表される構成単位であってもよく、これらの混合物であってもよい。
R1の低級アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの直鎖状または分岐状の低級アルキル基が挙げられる。
R1のハロゲン化低級アルキル基としては、前記低級アルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基が挙げられ、フッ素化低級アルキル基が好ましい。
R1としては、水素原子、低級アルキル基またはフッ素化低級アルキル基であることが好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基であることが最も好ましい。
R2のアルキレン基は、直鎖状、分岐状または環状のいずれであってもよく、好ましくは直鎖状または分岐状であり、より好ましくは直鎖状である。該アルキレン基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3がさらに好ましい。具体的には、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基等が挙げられる。これらの中でも、n−プロピレン基が好ましい。
R2のフッ素化アルキレン基としては、前記アルキレン基における水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。
R3のアリール基においては、当該アリール基の、置換基を除いた基本の環の炭素数が6〜18であることが好ましく、炭素数6〜14がより好ましく、炭素数6〜10が最も好ましい。
R3のアリール基として、より具体的には、置換基を有していてもよいフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基等が挙げられる。本発明において、R2のアリール基としては、特に、1−ナフチル基または2−ナフチル基が好ましい。
R3のアリール基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。前記アルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3がさらに好ましい。また、該ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
アリール基が置換基を有する場合、該置換基の数は、1〜11個の範囲内が好ましく、1〜7個がより好ましい。
該ハロゲン化アルキル基としては、アルキル基の水素原子の一部がハロゲン原子で置換された基(部分ハロゲン化アルキル基)であってもよく、前記水素原子の全部がハロゲン原子で置換された基(完全ハロゲン化アルキル基)であってもよく、完全ハロゲン化アルキル基が好ましい。
ハロゲン化アルキル基としては、特に、フッ素化アルキル基が好ましく、特に、アルキル基の水素原子がすべてフッ素原子で置換された完全フッ素化アルキル基が好ましい。
R23において、フェニル基またはナフチル基が有していてもよい置換基としては、前記R3のアリール基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
R24のフッ素化アルキル基は、直鎖状、分岐状または環状のいずれであってもよく、好ましくは直鎖状または分岐状であり、より好ましくは直鎖状である。該フッ素化アルキル基の炭素数は1〜8が好ましく、1〜4がさらに好ましく、4であることが最も好ましい。
該フッ素化アルキル基としては、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換された基(部分フッ素化アルキル基)であってもよく、前記水素原子の全部がハロゲン原子で置換された基(完全フッ素化アルキル基)であってもよく、完全フッ素化アルキル基が好ましい。
fは、1〜8の整数であることが好ましく、1〜4であることがさらに好ましく、4が最も好ましい。
また、分散度(Mw/Mn)は1.0〜5.0が好ましく、1.0〜4.0がより好ましく、1.2〜3.5が最も好ましい。Mnは数平均分子量を示す。
(B)成分中、重合体(B1)の割合は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、100質量%であってもよい。
重合体(B1)は、構成単位(b1)を誘導するモノマーを、例えばジメチル−2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、アゾビスイソブチロニトリルのようなラジカル重合開始剤を用いた公知のラジカル重合等によって重合させることによって得ることができる。
式(VI)中のXhはハロゲン原子であり、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子、フッ素原子等が挙げられる。Xhとしては、反応性に優れることから、塩素原子が好ましい。
化合物(II)(アルデヒド体)から化合物(III)(アルコール体)を得る方法としては、たとえば、反応溶媒中において、化合物(II)と、R4Si(CH3)3等の、R4を有するシラン化合物とを反応させる方法が挙げられる。
化合物(II)としては、市販のものを用いてもよく、合成してもよい。化合物(II)の合成方法は、従来公知の芳香族アルデヒドの合成方法を適用すればよい。
反応溶媒としては特に限定されないが、原料である化合物(II)を溶解できるものが好ましく、具体的には、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン等が挙げられる。
反応は、フッ化セシウム、フッ化カリウム等の塩基の存在下で行うことが好ましい。
反応温度は0〜80℃が好ましく、20〜40℃がより好ましい。反応時間は0.5〜24時間が好ましく、1〜12時間がより好ましく、1〜3時間が特に好ましい。
反応終了後、反応液中の化合物(III)を単離、精製してもよい。単離、精製には、従来公知の方法が利用でき、たとえば濃縮、溶媒抽出、結晶化、再結晶、クロマトグラフィー、蒸留等をいずれか単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
化合物(III)(アルコール体)から化合物(IV)(ケトン体)は、化合物(III)(アルコール体)を酸化することにより得ることができる。該酸化方法としては、一般的にアルコールをケトンに変換するために用いられている方法が利用できる。
具体例としては、たとえば反応溶媒中において、化合物(III)を酸化剤と反応させる方法が挙げられ、たとえば五酸化二リン−ジメチルスルホキシド(DMSO)法、有機酸過酸化物と接触させる方法、金属酸化物と接触させる方法(たとえば過マンガン酸法、無水クロム酸/ピリジン法)等が利用できる。
反応溶媒としては特に限定されないが、原料である化合物(III)を溶解できるものが好ましく、具体的には、ジメチルホルムアミド(DMF)、塩化メチレン、酢酸等が挙げられる。
たとえば五酸化二リン−DMSO法では、反応温度は、0〜100℃が好ましく、20〜60℃がより好ましい。反応時間は0.5〜12時間が好ましく、1〜2時間がより好ましい。
反応終了後、上記と同様、反応液中の化合物(IV)の単離、精製を行ってもよい。
化合物(IV)(ケトン体)から化合物(V)(オキシム体)を得る方法としては、一般的に、ケトンからオキシムを製造する際に用いられる方法が利用でき、たとえば、反応溶媒中において、化合物(IV)と、ヒドロキシアミンまたはその誘導体とを混合し、所定の反応温度に加熱する方法が挙げられる。
反応溶媒としては特に限定されないが、原料である化合物(IV)を溶解できるものが好ましく、具体的には、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ピリジン等が挙げられる。また、これらの溶媒と、メタノール変性エタノール、エタノール、プロパノール等の水性溶媒とを併用してもよい。
反応温度は0〜100℃が好ましく、60〜100℃がより好ましく、90〜100℃が特に好ましい。反応時間は1〜12時間が好ましく、2〜7時間がより好ましく、3〜5時間が特に好ましい。
化合物(V)(オキシム体)と化合物(VI)とを反応させる方法としては、たとえば、反応溶媒に化合物を溶解し、該溶液に、好ましくは塩基の存在下で、化合物(VI)を添加する方法が挙げられる。
化合物(VI)としては、市販のものを用いてもよく、合成してもよい。
反応溶媒としては、原料である化合物(V)を溶解できるものであればよく、具体的には、アセトン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル等が挙げられる。
塩基としては、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基;K2CO3、Cs2CO3等の無機塩基が挙げられる。
反応温度は−20〜60℃が好ましく、0〜30℃がより好ましく、10〜20℃が特に好ましい。反応時間は1〜12時間がより好ましく、1〜3時間が特に好ましい。
反応終了後、反応液中の化合物(I)を単離、精製してもよい。単離、精製には、従来公知の方法が利用でき、たとえば濃縮、溶媒抽出、結晶化、再結晶、クロマトグラフィー等をいずれか単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
すなわち、上記第3工程において得られる化合物(V)は、通常、下記一般式(Va)で表される幾何異性体と、下記一般式(Vb)で表される幾何異性体との混合物である。これらの幾何異性体は、いずれか一方がsyn異性体であり、他方がanti異性体である。
一方、異性体制御を行わずに第4工程を行うと、それらの混合物が得られる。かかる異性体混合物を用いて第4工程を行うと、得られる化合物(I)は、下記一般式(Ia)で表される幾何異性体と下記一般式(Ib)で表される幾何異性体との混合物となる。そのため、第4工程後に異性体制御工程を行うと、それらの幾何異性体のいずれか一方を得ることができる。
異性体制御は、反応生成物を所定の溶媒に溶解し、酸触媒下で、該溶液を加熱してから行うことが好ましい。これにより、2種の異性体の一方が、より熱安定性の高い方の異性体に変化するため、一方の異性体を高い収率で得ることができる。酸触媒としては、塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸等が挙げられる。
溶媒としては、化合物(V)を溶解できるものであればよい。好ましくはメタノール、エタノール等のアルコール、アセトン、アセトニトリルなどが用いられる。
得られる化合物(V)および化合物(I)が異性体混合物であるか単一の異性体であるかどうか、あるいはそれらが異性体混合物である場合の各異性体の割合等は、19F−核磁気共鳴スペクトル法(NMR)、薄層クロマトグラフィー(TLC)、液体クロマトグラフィー等により確認できる。
(B2)成分としては、特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているものを使用することができる。このような酸発生剤としては、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
また、R1”〜R3”のうち、少なくとも1つはアリール基を表す。R1”〜R3”のうち、2以上がアリール基であることが好ましく、R1”〜R3”のすべてがアリール基であることが最も好ましい。
R1”〜R3”のアリール基としては、特に制限はなく、例えば、炭素数6〜20のアリール基であって、該アリール基は、その水素原子の一部または全部がアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基等で置換されていてもよく、されていなくてもよい。アリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基であることが最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいハロゲン原子としては、フッ素原子であることが好ましい。
R1”〜R3”のアルキル基としては、特に制限はなく、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。解像性に優れる点から、炭素数1〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デカニル基等が挙げられ、解像性に優れ、また安価に合成可能なことから好ましいものとして、メチル基を挙げることができる。
これらの中で、R1”〜R3”は、それぞれ、フェニル基またはナフチル基であることが最も好ましい。
前記直鎖状または分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、前記R1”で示したような環式基であって、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
前記フッ素化アルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。また、該フッ素化アルキル基のフッ素化率(アルキル基中のフッ素原子の割合)は、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは50〜100%であり、特に水素原子をすべてフッ素原子で置換したフッ素化アルキル基(パーフルオロアルキル基)が、酸の強度が強くなるので好ましい。
R4”としては、直鎖状もしくは環状のアルキル基、またはフッ素化アルキル基であることが最も好ましい。
R5”〜R6”のアリール基としては、R1”〜R3”のアリール基と同様のものが挙げられる。
R5”〜R6”のアルキル基としては、R1”〜R3”のアルキル基と同様のものが挙げられる。
これらの中で、R5”〜R6”はすべてフェニル基であることが最も好ましい。
式(b−2)中のR4”としては上記式(b−1)のR4”と同様のものが挙げられる。
また、これらのオニウム塩のアニオン部がメタンスルホネート、n−プロパンスルホネート、n−ブタンスルホネート、n−オクタンスルホネートに置き換えたオニウム塩も用いることができる。
Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は1〜10であり、好ましくは炭素数1〜7、より好ましくは炭素数1〜3である。
X”のアルキレン基の炭素数またはY”、Z”のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
また、X”のアルキレン基またはY”、Z”のアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。該アルキレン基またはアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基またはパーフルオロアルキル基である。
アルコキシ基は、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、なかでも直鎖または分岐鎖状のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。
ヒドロキシアルキル基は、上記アルキル基中の一個又は複数個の水素原子がヒドロキシ基に置換した基が好ましく、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。
R41〜R46に付された符号n1〜n6が2以上の整数である場合、複数のR41〜R46はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
R31の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基またはアリール基が好ましい。これらのアルキル基、アリール基は置換基を有していても良い。該置換基としては、特に制限はなく、たとえばフッ素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。ここで、「置換基を有する」とは、アルキル基またはアリール基の水素原子の一部または全部が置換基で置換されていることを意味する。
アルキル基としては、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、炭素数1〜8がさらに好ましく、炭素数1〜6が特に好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。アルキル基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアルキル基(以下、ハロゲン化アルキル基ということがある)が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味し、完全にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。すなわち、ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
アリール基は、炭素数4〜20が好ましく、炭素数4〜10がより好ましく、炭素数6〜10が最も好ましい。アリール基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアリール基が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味し、完全にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味する。
R31としては、特に、置換基を有さない炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のフッ素化アルキル基が好ましい。
R32としては、特に、シアノ基、置換基を有さない炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜8のフッ素化アルキル基が好ましい。
R33としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
R33におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが特に好ましい。
R34のアリール基は、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していても良い。該置換基におけるアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましい。また、該ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
R35としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
R35におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが、発生する酸の強度が高まるため特に好ましい。最も好ましくは、水素原子が100%フッ素置換された完全フッ素化アルキル基である。
R37の2または3価の芳香族炭化水素基としては、上記R34のアリール基からさらに1または2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
R38の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
p”は、好ましくは2である。
また、特開平9−208554号公報(段落[0012]〜[0014]の[化18]〜[化19])に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤、国際公開第04/074242号パンフレット(65〜85頁目のExample1〜40)に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、好適なものとして以下のものを例示することができる。
また、特開平11−035551号公報、特開平11−035552号公報、特開平11−035573号公報に開示されているジアゾメタン系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、特開平11−322707号公報に開示されている、1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカンなどを挙げることができる。
(A)成分としては、特に限定されず、これまで、化学増幅型レジスト組成物用の基材成分、たとえばArFエキシマレーザー用レジスト組成物、KrFエキシマレーザー用レジスト組成物等の基材成分として提案されている多数のもののなかから任意のものを選択して使用することができる。
ここで、「基材成分」とは、膜形成能を有する有機化合物であり、好ましくは分子量が500以上の有機化合物が用いられる。該有機化合物の分子量が500以上であることにより、膜形成能が向上し、また、ナノレベルのパターンを形成しやすい。
前記分子量が500以上の有機化合物は、分子量が500以上2000未満の低分子量の有機化合物(以下、低分子化合物という。)と、分子量が2000以上の高分子量の有機化合物(以下、高分子化合物という。)とに大別される。前記低分子化合物としては、通常、非重合体が用いられる。前記高分子化合物としては、通常、樹脂(重合体、共重合体)が用いられる。樹脂の場合は、「分子量」としてGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の質量平均分子量を用いるものとする。以下、単に「樹脂」という場合は、分子量が2000以上の樹脂を示すものとする。
基材成分は、低分子化合物であってもよく、樹脂であってもよく、これらの混合物であってもよい。
かかるネガ型レジスト組成物においては、(B)成分から酸が発生すると、当該酸の作用により(A)成分および(C)成分間で架橋が起こり、(A)成分のアルカリ現像液に対する溶解性が低下する。そのため、レジストパターンの形成において、当該ネガ型レジスト組成物を基板上に塗布して得られるレジスト膜に対して選択的に露光すると、その下部の熱リソグラフィー用下層膜が当該光を吸収して熱を発生する。この熱は、その上のレジスト膜に伝わり、該熱がレジスト膜中の(B)成分に作用して熱を発生させる。そして該酸の作用により、露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が低下する一方で、未露光部のアルカリ現像液に対する溶解性は変化しないため、アルカリ現像によりレジストパターンを形成できる。
ここで、α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸は、カルボキシ基が結合するα位の炭素原子に水素原子が結合しているアクリル酸と、このα位の炭素原子にヒドロキシアルキル基(好ましくは炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基)が結合しているα−ヒドロキシアルキルアクリル酸の一方または両方を示す。
また、アルカリ可溶性樹脂として、親水性基を有するノボラック樹脂、ヒドロキシスチレン系樹脂、(α−低級アルキル)アクリル酸エステル樹脂、ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位と(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を含有する共重合樹脂等が挙げられる。
(α−低級アルキル)アクリル酸エステル樹脂としては、たとえば、フッ素化されたヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基等の水酸基含有基を有する(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を有する樹脂が挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂の質量平均分子量(Mw;ゲルパーミエーションクロマトグラフィによるポリスチレン換算質量平均分子量)は、好ましくは2000〜30000、より好ましくは2000〜10000、さらに好ましくは3000〜8000である。この範囲とすることにより、アルカリ現像液に対する良好な溶解速度が得られ、高解像性の点からも好ましい。質量平均分子量は、この範囲内において低い方が、良好な特性が得られる傾向がある。
かかるポジ型レジスト組成物は、(B)成分から酸が発生すると、当該酸の作用により酸解離性溶解抑制基が解離し、(A)成分のアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。そのため、レジストパターンの形成において、当該ポジ型レジスト組成物を基板上に塗布して得られるレジスト膜に対して選択的に露光すると、その下部の熱リソグラフィー用下層膜が当該光を吸収して熱を発生する。この熱は、その上のレジスト膜に伝わり、該熱がレジスト膜中の(B)成分に作用して熱を発生させる。そして該酸の作用により、露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が増大する一方で、未露光部のアルカリ現像液に対する溶解性は変化しないため、アルカリ現像によりレジストパターンを形成できる。
・(A−1)成分:酸解離性溶解抑制基を有する樹脂。
・(A−2)成分:酸解離性溶解抑制基を有する低分子化合物。
以下、(A−1)成分および(A−2)成分の好ましい態様をより具体的に説明する。
(A−1)成分としては、アルカリ可溶性基(水酸基、カルボキシ基等)を有する樹脂における前記アルカリ可溶性基の一部または全部が酸解離性溶解抑制基で保護された樹脂が挙げられる。このような樹脂成分は、前記酸性基が作用すると、当該樹脂成分の酸解離性溶解抑制基が解離し、アルカリ可溶性基が露出してアルカリ溶解性が増大する。
前記アルカリ可溶性基を有する樹脂としては、たとえばノボラック樹脂、ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位を有するポリヒドロキシスチレン(PHS)系樹脂(ポリヒドロキシスチレン、ヒドロキシスチレン−スチレン共重合体等)、アクリル酸エステルから誘導される構成単位を有するアクリル系樹脂、シクロオレフィンから誘導される構成単位を有するポリシクロオレフィン(PCO)系樹脂等が挙げられ、これらの中でも、PHS系樹脂および/またはアクリル系樹脂が好ましい。
すなわち、(A−1)成分としては、酸解離性溶解抑制基を有するアクリル系樹脂(以下、樹脂(A−11)という。)、または酸解離性溶解抑制基を有するPHS系樹脂(以下、樹脂(A−12)という。)が好ましい。
「ヒドロキシスチレン」は、狭義のヒドロキシスチレン、および狭義のヒドロキシスチレンのα位のα位の炭素原子に置換基(水素原子以外の原子または基)が結合しているものも含む概念とする。前記置換基としては、低級アルキル基、ハロゲン化低級アルキル基等が挙げられる。ハロゲン化低級アルキル基におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。なお、ヒドロキシスチレンのα位(α位の炭素原子)」とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことである。
ヒドロキシスチレンにおいて、α位の置換基としての低級アルキル基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの低級の直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられる。
本発明において、ヒドロキシスチレンのα位に結合しているのは、水素原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基であることが好ましく、水素原子または低級アルキル基であることがより好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基であることが最も好ましい。
「アクリル酸エステル」は、α位の炭素原子に水素原子が結合しているアクリル酸エステルのほか、α位の炭素原子に置換基(水素原子以外の原子または基)が結合しているものも含む概念とする。置換基としては、低級アルキル基、ハロゲン化低級アルキル基等が挙げられる。ハロゲン化低級アルキル基におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
アクリル酸エステルにおいて、α位の置換基としての低級アルキル基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの低級の直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられる。
本発明において、アクリル酸エステルのα位に結合しているのは、水素原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基であることが好ましく、水素原子または低級アルキル基であることがより好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基であることが最も好ましい。
樹脂(A−11)としては、酸解離性溶解抑制基を有するアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1)を有する樹脂(A1)が挙げられる。
構成単位(a1)における酸解離性溶解抑制基は、解離前は樹脂(A1)全体をアルカリ不溶とするアルカリ溶解抑制性を有するとともに、解離後はこの樹脂(A1)全体をアルカリ可溶性へ変化させるものであれば、これまで、化学増幅型レジスト用のベース樹脂の酸解離性溶解抑制基として提案されているものを使用することができる。一般的には、(メタ)アクリル酸等におけるカルボキシ基と環状または鎖状の第3級アルキルエステルを形成する基;アルコキシアルキル基等のアセタール型酸解離性溶解抑制基などが広く知られている。
なお、前記鎖状または環状のアルキル基は置換基を有していてもよい。
以下、カルボキシ基と第3級アルキルエステルを構成することにより、酸解離性となっている基を、便宜上、「第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基」という。
第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基としては、脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基、脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基が挙げられる。
脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、炭化水素基は、飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基としては、炭素数4〜8の第3級アルキル基が好ましく、具体的にはtert−ブチル基、tert−ペンチル基、tert−ヘプチル基等が挙げられる。
構成単位(a1)における「脂肪族環式基」は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
「脂肪族環式基」の置換基を除いた基本の環の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、「炭化水素基」は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。「脂肪族環式基」は、多環式基であることが好ましい。
脂肪族環式基の具体例としては、例えば、低級アルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基としては、例えば環状のアルキル基の環骨格上に第3級炭素原子を有する基を挙げることができ、具体的には2−メチル−2−アダマンチル基や、2−エチル−2−アダマンチル基等が挙げられる。あるいは、下記一般式(a1”−1)〜(a1”−6)で示す構成単位において、カルボニルオキシ基(−C(O)−O−)の酸素原子に結合した基の様に、アダマンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基等の脂肪族環式基と、これに結合する、第3級炭素原子を有する分岐鎖状アルキレン基とを有する基が挙げられる。
アセタール型酸解離性溶解抑制基としては、たとえば、下記一般式(p1)で表される基が挙げられる。
R1’,R2’の低級アルキル基としては、上記Rの低級アルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
本発明においては、R1’,R2’のうち少なくとも1つが水素原子であることが好ましい。すなわち、酸解離性溶解抑制基(p1)が、下記一般式(p1−1)で表される基であることが好ましい。
Yの脂肪族環式基としては、従来ArFレジスト等において多数提案されている単環又は多環式の脂肪族環式基の中から適宜選択して用いることができ、たとえば上記「脂肪族環式基」と同様のものが例示できる。
R19は直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基であり、炭素数は好ましくは1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよい。
R19が直鎖状、分岐鎖状の場合は炭素数1〜5であることが好ましく、エチル基、メチル基がさらに好ましく、特にエチル基が最も好ましい。
R19が環状の場合は炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的にはフッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
また、上記式においては、R17及びR19がそれぞれ独立に直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基)であってR19の末端とR17の末端とが結合していてもよい。
この場合、R17とR19と、R19が結合した酸素原子と、該酸素原子およびR17が結合した炭素原子とにより環式基が形成されている。該環式基としては、4〜7員環が好ましく、4〜6員環がより好ましい。該環式基の具体例としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
X1は、酸解離性溶解抑制基であれば特に限定することはなく、例えば上述した第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基、アセタール型酸解離性溶解抑制基などを挙げることができ、第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基が好ましい。
X2は、式(a1−0−1)中のX1と同様である。
Y2は好ましくは炭素数1〜4のアルキレン基又は2価の脂肪族環式基であり、該脂肪族環式基としては、水素原子が2個以上除かれた基が用いられる以外は前記「脂肪族環式基」の説明と同様のものを用いることができる。
X’は前記X1において例示した第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基と同様のものである。
Yの脂肪族環式基については、上述の「脂肪族環式基」の説明において例示したものと同様のものが挙げられる。
構成単位(a1)としては、アセタール型酸解離性溶解抑制基を有するアクリル酸エステルから誘導される構成単位が好ましく、上記一般式(a1−2)で表される構成単位がより好ましい。中でも、(a1−2−32)〜(a1−2−39)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
また、構成単位(a1)としては、式(a1−1−1)〜式(a1−1−4)の構成単位を包括する下記一般式(a1−1−01)で表されるものや、式(a1−1−35)〜(a1−1−41)の構成単位を包括する下記一般式(a1−1−02)も好ましい。
一般式(a1−1−02)において、Rについては上記と同様である。R12の低級アルキル基はRにおける低級アルキル基と同様であり、メチル基又はエチル基が好ましく、エチル基が最も好ましい。hは1又は2が好ましく、2が最も好ましい。
樹脂(A1)は、上記構成単位(a1)に加えて、さらに、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)を有することが好ましい。
ここで、ラクトン含有環式基とは、上述したように−O−C(O)−構造を含むひとつの環(ラクトン環)を含有する環式基を示す。ラクトン環をひとつの目の環として数え、ラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。
構成単位(a2)のラクトン環式基は、樹脂(A1)をレジスト膜の形成に用いた場合に、レジスト膜の基板への密着性を高めたり、水を含有する現像液との親和性を高めたりするうえで有効なものである。
具体的には、ラクトン含有単環式基としては、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた基が挙げられる。また、ラクトン含有多環式基としては、ラクトン環を有するビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンから水素原子一つを除いた基が挙げられる。
R’の低級アルキル基としては、前記構成単位(a1)におけるRの低級アルキル基と同じである。
Aの炭素数1〜5のアルキレン基として、具体的には、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基等が挙げられる。
一般式(a2−1)〜(a2−5)中、R’は、工業上入手が容易であること等を考慮すると、水素原子が好ましい。
以下に、前記一般式(a2−1)〜(a2−5)の具体的な構成単位を例示する。
樹脂(A1)中の構成単位(a2)の割合は、樹脂(A1)を構成する全構成単位の合計に対して、5〜60モル%が好ましく、10〜60モル%がより好ましく、20〜55モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a2)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
樹脂(A1)は、上記構成単位(a1)に加えて、または構成単位(a1)および構成単位(a2)に加えて、さらに、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)を有することが好ましい。構成単位(a3)を有することにより、樹脂(A1)の親水性が高まり、現像液との親和性が高まって、露光部でのアルカリ溶解性が向上し、解像性の向上に寄与する。
極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、ヒドロキシフルオロアルキル基(炭素原子に結合した水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基)等が挙げられ、特に水酸基が好ましい。
脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状または分岐状の炭化水素基(好ましくはアルキレン基)や、多環式の脂肪族炭化水素基(多環式基)が挙げられる。該多環式基としては、例えばArFエキシマレーザー用レジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。該多環式基の炭素数は7〜30であることが好ましい。
その中でも、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、またはアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基を含有する脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位がより好ましい。該多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。これらの多環式基の中でも、アダマンタンから2個以上の水素原子を除いた基、ノルボルナンから2個以上の水素原子を除いた基、テトラシクロドデカンから2個以上の水素原子を除いた基が工業上好ましい。
jは1であることが好ましく、特に水酸基がアダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
式(a3−2)中、kは1であることが好ましい。シアノ基はノルボルニル基の5位または6位に結合していることが好ましい。
式(a3−3)中、t’は1であることが好ましい。lは1であることが好ましい。sは1であることが好ましい。これらはアクリル酸のカルボキシ基の末端に2−ノルボルニル基または3−ノルボルニル基が結合していることが好ましい。フッ素化アルキルアルコールはノルボルニル基の5又は6位に結合していることが好ましい。
構成単位(a3)としては、特に、式(a3−1)で表される構成単位が好ましい。
樹脂(A1)中、構成単位(a3)の割合は、当該樹脂(A1)を構成する全構成単位に対し、5〜50モル%であることが好ましく、5〜40モル%がより好ましく、5〜25モル%がさらに好ましい。
樹脂(A1)は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記構成単位(a1)〜(a3)以外の他の構成単位(a4)を含んでいてもよい。
構成単位(a4)は、上述の構成単位(a1)〜(a3)に分類されない他の構成単位であれば特に限定するものではなく、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト用樹脂に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
構成単位(a4)としては、例えば酸非解離性の脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位などが好ましい。該多環式基は、例えば、前記の構成単位(a1)の場合に例示したものと同様のものを例示することができ、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト組成物の樹脂成分に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
特にトリシクロデカニル基、アダマンチル基、テトラシクロドデカニル基、イソボルニル基、ノルボルニル基から選ばれる少なくとも1種以上であると、工業上入手し易いなどの点で好ましい。これらの多環式基は、炭素数1〜5の直鎖又は分岐状のアルキル基を置換基として有していてもよい。
構成単位(a4)として、具体的には、下記一般式(a4−1)〜(a4−5)の構造のものを例示することができる。
また、樹脂(A1)には、上記重合の際に、たとえばHS−CH2−CH2−CH2−C(CF3)2−OHのような連鎖移動剤を併用して用いることにより、末端に−C(CF3)2−OH基を導入してもよい。このように、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基が導入された共重合体は、現像欠陥の低減やLER(ラインエッジラフネス:ライン側壁の不均一な凹凸)の低減に有効である。
また分散度(Mw/Mn)は、1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.5がさらに好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
樹脂(A−12)としては、たとえば、ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位における水酸基の水素原子が酸解離性溶解抑制基含有基で置換されてなる構成単位(a5)を有する樹脂(A2)が挙げられる。
構成単位(a5)における酸解離性溶解抑制基含有基は、酸解離性溶解抑制基そのものであってもよく、酸解離性溶解抑制基とそれ以外の基および/または原子とをその構造中に含む基であってもよい。
鎖状第3級アルキルオキシカルボニル基における鎖状第3級アルキル基の炭素数は、4〜10が好ましく、4〜8がより好ましい。鎖状第3級アルキルオキシカルボニル基として、具体的には、tert−ブトキシカルボニル基、tert−ペンチルオキシカルボニル基等が挙げられる。
鎖状第3級アルコキシカルボニルアルキル基における鎖状第3級アルキル基としては前記と同様のものが挙げられる。鎖状第3級アルコキシカルボニル基が結合したアルキル基(アルキレン基)の炭素数は、1〜5が好ましく、1〜4がより好ましい。鎖状第3級アルコキシカルボニルアルキル基として、具体的には、tert−ブトキシカルボニルメチル基、tert−ペンチルオキシカルボニルメチル基等が挙げられる。
Y’の芳香族環式炭化水素基としては、炭素数10〜16の芳香族多環式基が挙げられる。具体的には、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレンなどから1個の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、1−ピレニル基等が挙げられ、2−ナフチル基が工業上特に好ましい。
Y’の低級アルキル基としては、メチル基またはエチル基がより好ましく、エチル基が最も好ましい。
A’の脂肪族環式基としては、上記Y’における脂肪族環式基からさらに水素原子を1つ除いた基が挙げられる。
X3の酸解離性溶解抑制基含有基は上記と同様である。
n11は1〜3の整数であり、好ましくは1である。
水酸基の置換位置は、n11が1である場合、o−位、m−位、p−位のいずれでもよいが、容易に入手可能で低価格であることからp−位が好ましい。さらに、n11が2または3の場合には、任意の置換位置を組み合わせることができる。
R5の低級アルキル基としては、Rの低級アルキル基と同様のものが挙げられる。
R5の置換位置は、n12が1である場合には、o−位、m−位、p−位のいずれでもよく、さらに、n12が2の場合には、任意の置換位置を組み合わせることができる。
樹脂(A2)中、構成単位(a”5)の割合は、樹脂(A”2)を構成する全構成単位に対し、10〜90モル%であることが好ましく、50〜80モル%がより好ましく、60〜80モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることによって、レジスト組成物とした際に容易にパターンを得ることができ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
樹脂(A2)は、上記構成単位(a5)に加えて、さらに、ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位(a6)を有することが好ましい。構成単位(a6)を有することにより、樹脂(A2)の親水性が高まり、現像液との親和性が高まって、露光部でのアルカリ溶解性が向上し、解像性の向上に寄与する。
構成単位(a6)としては、たとえば、下記一般式(a6−1)で表される構成単位が例示できる。
樹脂(A2)中、構成単位(a6)の割合は、樹脂(A2)を構成する全構成単位に対し、10〜95モル%であることが好ましく、20〜85モル%がより好ましく、30〜80モル%がさらに好ましく、60〜70モル%が特に好ましい。該範囲内であると、適度なアルカリ溶解性が得られるとともに、他の構成単位とのバランスが良好である。
樹脂(A2)は、さらに、スチレンから誘導される構成単位(a7)を有してもよい。樹脂(A2)に構成単位(a7)を含有させ、その含有量を調整することにより、樹脂(A2)のアルカリ現像液に対する溶解性を調整でき、それによって、レジスト膜のアルカリ溶解性をコントロールでき、形状をさらに向上させることができる。
ここで、「スチレンから誘導される構成単位」とは、スチレンのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。「スチレン」とは、狭義のスチレン、および狭義のスチレンのα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、ならびにそれらの誘導体を含む概念とする。スチレンは、フェニル基の水素原子が低級アルキル基等の置換基で置換されていても良い。
構成単位(a7)としては、下記一般式(a7−1)で表される構成単位が例示できる。
n15は、0〜3の整数であり、0または1であることが好ましく、工業上、0であることが特に好ましい。
R7の置換位置は、n15が1である場合にはo−位、m−位、p−位のいずれでもよく、n15が2または3の場合には任意の置換位置を組み合わせることができる。
樹脂(A2)中、構成単位(a7)の割合は、樹脂(A2)を構成する全構成単位に対し、1〜20モル%が好ましく、3〜15モル%がより好ましく、5〜15モル%が特に好ましい。この範囲内であると、構成単位(a7)を有することによる効果が高く、他の構成単位とのバランスも良好である。
樹脂(A2)は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記構成単位(a5)〜(a7)以外の他の構成単位を含んでいてもよい。該他の構成単位としては、上記構成単位(a5)〜(a7)に分類されない他の構成単位であれば特に限定するものではなく、ArFエキシマレーザー用、KrFポジエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト用樹脂に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能であり、たとえば樹脂(A1)で挙げた構成単位(a1)〜(a4)等が挙げられる。
樹脂(A2)の分散度(Mw/Mn(数平均分子量))は、小さいほど(単分散に近いほど)、解像性に優れ、好ましい。該分散度は1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.0〜2.5が最も好ましい。
(A−2)成分としては、分子量が500以上2000以下であって、親水性基を有するとともに、上述の(A−1)成分の説明で例示したような酸解離性溶解抑制基XまたはX’を有する低分子化合物が好ましい。具体的には、複数のフェノール骨格を有する化合物の水酸基の水素原子の一部を上記酸解離性溶解抑制基XまたはX’で置換したものが挙げられる。
(A−2)成分は、例えば、非化学増幅型のg線やi線レジストにおける増感剤や耐熱性向上剤として知られている低分子量フェノール化合物の水酸基の水素原子の一部を上記酸解離性溶解抑制基で置換したものが好ましく、そのようなものから任意に用いることができる。
かかる低分子量フェノール化合物としては、例えば、次のようなものが挙げられる。
ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(2’,3’,4’−トリヒドロキシフェニル)プロパン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾールまたはキシレノールなどのフェノール類のホルマリン縮合物の2、3、4核体などが挙げられる。勿論これらに限定されるものではない。
なお、酸解離性溶解抑制基も特に限定されず、上記したものが挙げられる。
本発明のレジスト組成物は、さらに、レジストパターン形状、引き置き経時安定性などを向上させるために、任意の成分として、含窒素有機化合物(D)(以下、(D)成分という。)を含有することが好ましい。
この(D)成分は、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いれば良いが、環式アミン、脂肪族アミン、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましい。ここで、脂肪族アミンとは、1つ以上の脂肪族基を有するアミンであり、該脂肪族基は炭素数が1〜12であることが好ましい。
脂肪族アミンとしては、アンモニアNH3の水素原子の少なくとも1つを、炭素数12以下のアルキル基またはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンまたはアルキルアルコールアミン)が挙げられる。その具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デカニルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミン等が挙げられる。
これらの中でも、アルキルアルコールアミン及びトリアルキルアミンが好ましく、アルキルアルコールアミンが最も好ましい。アルキルアルコールアミンの中でもトリエタノールアミンやトリイソプロパノールアミンが最も好ましい。
環式アミンとしては、たとえば、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。該複素環化合物としては、単環式のもの(脂肪族単環式アミン)であっても多環式のもの(脂肪族多環式アミン)であってもよい。
脂肪族単環式アミンとして、具体的には、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
脂肪族多環式アミンとしては、炭素数が6〜10のものが好ましく、具体的には、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
これらの(D)成分は、いずれかを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
有機カルボン酸としては、例えば、酢酸、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸およびその誘導体としては、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられ、これらの中でも特にホスホン酸が好ましい。
リンのオキソ酸の誘導体としては、たとえば、上記オキソ酸の水素原子を炭化水素基で置換したエステル等が挙げられ、前記炭化水素基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基等が挙げられる。
リン酸の誘導体としては、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル等のリン酸エステルなどが挙げられる。
ホスホン酸の誘導体としては、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸エステルなどが挙げられる。
ホスフィン酸の誘導体としては、フェニルホスフィン酸等のホスフィン酸エステルなどが挙げられる。
(E)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(E)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
本発明のレジスト組成物は、材料を有機溶剤(以下、(S)成分ということがある)に溶解させて製造することができる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;
アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;
エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;
エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];
ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;
アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、ELが好ましい。
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶媒も好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜99:1とされる。
(S)成分の使用量は特に限定しないが、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはレジスト組成物の固形分濃度が2〜20質量%、好ましくは5〜15質量%の範囲内となる様に用いられる。
本発明のレジストパターン形成方法は、前記本発明のレジスト組成物を用いて支持体上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、および前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含む。
また、支持体としては、上述のような基板上に、無機系および/または有機系の膜が設けられたものであってもよい。無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)が挙げられる。
すなわち、まず支持体上に、上記レジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、80〜150℃の温度条件下、プレベーク(ポストアプライベーク(PAB))を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施し、レジスト膜を形成する。該レジスト膜に対し、所定の露光光源を用いて、所望のマスクパターンを介してまたは介さずに選択的に露光する。すなわちマスクパターンを介して露光する、またはマスクパターンを介さずに電子線を直接照射して描画する。
選択的露光後、80〜150℃の温度条件下、加熱処理(ポストエクスポージャーベーク(PEB))を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施す。次いで、これをアルカリ現像液、例えば0.1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液を用いて現像処理し、好ましくは純水を用いて水リンスを行い、乾燥を行うことにより、レジストパターンを形成できる。
また、本発明のレジスト組成物は、解像性等のリソグラフィー特性も良好であり、たとえばラインアンドスペースパターンのライン幅が120nm以下の微細なレジストパターンを形成できる。
また、本発明のレジスト組成物において(B)成分として用いられる重合体(B1)は、従来化学増幅型のレジスト組成物に用いられている酸発生剤に比べて、200nm以下、特に193nm前後の波長の光に対する透明性が高い。そのため、本発明のレジスト組成物においては、従来のレジスト組成物に比べて(B)成分の配合量を多くすることが可能である。
すなわち、従来、化学増幅型レジスト組成物の(B)成分としては、トリフェニルスルホニウム塩等の低分子量の非重合体(以下、低分子量酸発生剤ということがある。)が用いられている。トリフェニルスルホニウム塩のような低分子量酸発生剤の場合、レジスト組成物中の配合量が多くなると、レジスト膜の透明性が低下して解像性等のリソグラフィー特性が悪化する。一方、本発明においては、(B)成分が重合体(B1)を含むことにより、(B)成分全体としての透明性が向上するため、(B)成分の配合量を多くすることができる。
[合成例1(モノマーの合成)]
(第1工程)
ノナフルオロブチルトリメチルシラン(C4F9SiMe3)7.01g、2−ナフトアルデヒド3.13gを、1,2−ジメトキシエタン(glyme)6.6mlに溶解した。この溶液に、CsF0.20gを、室温にて攪拌下、分割添加した。更に2時間攪拌を続けた後、メタノール6.6mlを加えて1時間攪拌した。反応溶液を減圧下濃縮し、残渣にトルエン13.2ml、飽和食塩水6.6mlを添加し、30分間攪拌した後に分液した。トルエン溶液を飽和食塩水6.6mlで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下濃縮した。ヘキサンから再結晶させると、α−ノナフルオロブチル−2−ナフタレンメタノール5.61g(理論値の74%に相当)が得られた。
融点(Mp):82.4℃。
IR(KBr)(ν/cm−1):3416(ν OH)、1280〜1100(ν CF)。
1H−NMR(CDCl3、300MHz):δ(ppm)=2.64(1H,broad,OH)、5.35(1H,m,CH)、7.49〜7.56(3H,m,naphthyl)、7.83〜7.92(4H,m,naphthyl)。
19F−NMR(CDCl3、283MHz):δ(ppm)=−128.0〜−125.5(2F)、−123.8〜−121.7(2F)、−126.7,−125.7,−118.0,−119.0(2F) −81.6(3F)。
MS:421(M−H+HCOOH)−。
α−ノナフルオロブチル−2−ナフタレンメタノール5.59g、五酸化二リン4.22gをジメチルホルムアミド(DMF)15mlに懸濁させた。この溶液に、ジメチルスルホキシド(DMSO)4.95gを、室温にて攪拌下添加した。更に2時間攪拌を続けた後、30℃以下に冷却した。反応液にトルエン75ml、水75mlを添加し、30分攪拌した後分液した。トルエン溶液を、5%炭酸水素ナトリウム水溶液45ml、飽和食塩水45mlで順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下濃縮することで、2−ナフチルノナフルオロブチルケトンの粗生成物6.88gが得られた。粗生成物は未精製のまま次の反応に使用した。
沸点(Bp):130℃/5mmHg。
IR(neat)(ν/cm−1):1701(ν C=O)、1300〜1100(ν CF)。
1H−NMR(CDCl3、300MHz):δ(ppm)=7.58〜7.72(2H,m,naphthyl)、7.88〜8.08(4H,m,naphthyl)、8.64(1H,s,naphthyl)。
19F−NMR(CDCl3、283MHz):δ(ppm)=−125.8(2F)、−122.5(2F)、−113.0(2F)、−81.6(3F)。
粗生成物である2−ナフチルノナフルオロブチルケトン6.88gおよび塩酸ヒドロキシルアミン1.35gを、メタノール変性エタノール3.8mlおよびピリジン15mlに溶解した。この溶液を内温95℃にて3時間、加熱攪拌した。反応溶液を減圧下濃縮し、残渣に水15ml、酢酸エチル45mlを添加し、30分間攪拌した。反応液を分液し、得られた酢酸エチル溶液を1N塩酸15mlで2回、飽和食塩水15mlで2回、順次洗浄した。この酢酸エチル溶液を硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下濃縮することで、2−ナフチルノナフルオロブチルケトンオキシムの粗生成物5.75gが得られた。
MS:388(M−H)−。
IR(KBr)(ν/cm−1):3277(ν OH)、1300〜1110(ν CF)。
1H−NMR(CDCl3、300MHz):δ(ppm)=7.43〜7.59(3H,m,naphthyl)、7.84〜7.96(4H,m,naphthyl)、8.92(1H,broad,OH)。
19F−NMR(CDCl3、283MHz):δ(ppm)=−126.9、−126.0(0.68F、1.32F)、−121.5、−120.7(1.34F、0.66F)、−110.7、−108.5(1.34F、0.66F)、−81.6、−81.4(3F)。
また、TLC分析(プレート:シリカゲル、展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=1/5)において、各異性体を確認することができた(Rf=0.27、0.36)。
得られた粗生成物をメタノール28mlに溶解した。この溶液に35%塩酸0.42gを室温にて攪拌下添加した。更に攪拌下、30時間加熱還流させた。TLC分析(プレート:シリカゲル、展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=1/5)において、Rf=0.27の成分が痕跡量となったことを確認した後、反応液にメタノール14ml、水14mlを添加し、晶析させることで、2−ナフチルノナフルオロブチルケトンオキシム4.58g(2−ナフトアルデヒドからの理論値の79%に相当)が得られた。
Mp:142.4℃。
IR(KBr)(ν/cm−1):3276(ν OH)、1290〜1110(ν CF)。
1H−NMR(CDCl3、300MHz):δ(ppm)=7.45(1H,d,naphthyl)、7.51〜7.60(2H,m,naphthyl)、7.86〜7.94(4H,m,naphthyl) 8.57(1H,s,OH)。
19F−NMR(CDCl3、283MHz):δ(ppm)=−126.0(2F)、−121.5(2F)、−110.7(2F)、−81.6(3F)。
2−ナフチルノナフルオロブチルケトンオキシム(異性体制御品)100.2g、4−ジメチルアミノピリジン69.20gをDMF250ml、アセトン1Lに溶解した。この溶液を内温20℃以下に冷却し、3−クロロスルホニルプロピルメタクリレート(SPM−Cl)105.1gのDMF155ml溶液を攪拌下添加し、1時間攪拌した。更に内温20℃以下でメタノール250mlを添加し、1時間攪拌した。反応液を水10L/並塩1kg中に激しく攪拌しながら投入し、酢酸エチル5Lで抽出した。酢酸エチル溶液を、1N塩酸2kg、10%食塩水2kg、5%炭酸水素ナトリウム水溶液2kg、飽和食塩水2Lで2回、順次洗浄した。この酢酸エチル溶液を硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下濃縮した。残渣を、ジイソプロピルエーテル(IPE)134ml、ヘキサン1340mlから再結晶させると、2−ナフチルノナフルオロブチルケトン O−3−(メタクリロイルオキシ)プロパンスルホニルオキシム113.4g(理論値の76%に相当)が得られた。
Mp:53.9℃。
IR(KBr)(ν/cm−1):1714(ν C=O)、1385(ν SO2)、1280〜1110(ν CF。)
1H−NMR(CDCl3、300MHz):δ(ppm)=1.95(3H,s,CH3)、2.20〜2.30(2H,m,CH2)、3.54(2H,t,CH2)、4.27(2H,t,CH2)、5.61(1H,s,C=CH2)、6.12(1H,s,C=CH2)、7.40(1H,d,naphthyl)、7.56〜7.65(2H,m,naphthyl)、7.88〜7.97(4H,m, naphthyl)。
19F−NMR(CDCl3、283MHz):δ(ppm)=−125.9(2F)、−121.1(2F)、−110.5(2F)、−81.6(3F)。
(第一工程)
C4F9SiMe3 67.76g、1−ナフトアルデヒド18.08gを1,2−ジメトキシエタン36mlに溶解した。この溶液に、CsF1.74gを室温にて攪拌下、分割添加した。更に2時間攪拌を続けた後、メタノール36mlを加えて1晩攪拌した。反応溶液を減圧下濃縮し、残渣にトルエン72ml、飽和食塩水36mlを添加し、30分間攪拌し後に分液した。トルエン溶液を飽和食塩水36mlで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下濃縮した。ヘキサンから再結晶させると、α−ノナフルオロブチル−1−ナフタレンメタノール28.89g(理論値の66%に相当)が得られた。
Mp:78.4℃。
IR(KBr)(ν/cm−1)3481(ν OH)、1290〜1100(ν CF)。
1H−NMR(CDCl3、300MHz):δ(ppm)=2.55(1H,broad,OH)、6.14(1H,d,CH)、7.49〜7.60(3H,m,naphthyl)、7.81〜8.01(4H,m,naphthyl)。
19F−NMR(CDCl3、283MHz):δ(ppm)=−128.2〜−125.4(2F)、−124.3〜−121.9(2F)、−127.8,−126.8,−117.2,−116.2(2F)、−81.6(3F)。
α−ノナフルオロブチル−1−ナフタレンメタノール28.88g、五酸化二リン27.24gをDMF77mlに懸濁させた。この溶液に、DMSO25.19gを室温にて攪拌下添加した。更に2時間攪拌を続けた後、30℃以下に冷却した。反応液にトルエン385ml、水385mlを添加し、30分攪拌した後分液した。トルエン溶液を、5%炭酸水素ナトリウム水溶液97ml、飽和食塩水97mlで順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下濃縮することで、1−ナフチルノナフルオロブチルケトンの粗生成物31.55gが得られた。粗生成物は未精製のまま次の反応に使用した。
IR(neat)(ν/cm−1):1706(ν C=O)、1280〜1110(ν CF)。
1H−NMR(CDCl3、300MHz):δ(ppm)=7.53〜7.69(3H,m,naphthyl)、7.92(1H,d,naphthyl)、8.06〜8.13(2H,m,naphthyl)、8.42(1H,d,naphthyl)。
19F−NMR(CDCl3、283MHz):δ(ppm)=−125.9(2F)、−122.1(2F)、−112.8(2F)、−81.7(3F)。
粗生成物である1−ナフチルノナフルオロブチルケトン31.55g、塩酸ヒドロキシルアミン16.00gをメタノール変性エタノール19ml、ピリジン76mlに溶解した。この溶液を内温95℃にて24時間、加熱攪拌した。反応溶液を減圧下濃縮し、残渣に水76ml、酢酸エチル228mlを添加し、30分間攪拌した。反応液を分液し、得られた酢酸エチル溶液を、1N塩酸76mlで2回、飽和食塩水76mlで2回、順次洗浄した。この酢酸エチル溶液を硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下濃縮することで、1−ナフチルノナフルオロブチルケトンオキシムの粗生成物28.37gが得られた。粗生成物は未精製のまま次の反応に使用した。
IR(neat)(ν/cm−1):3318(ν OH)、1270〜1120(ν CF)。
1H−NMR(CDCl3、300MHz):δ(ppm)=7.41〜7.64(5H,m,naphthyl)、7.81〜7.98(2H,m,naphthyl)、8.78、9.11(0.68H、0.32H,broad,OH)。
19F−NMR(CDCl3、283MHz):δ(ppm)=−127.1、−125.9(0.62F、1.38F)、−121.2、−120.2(1.33F、0.67F)、−111.8〜−108.3、−109.0(1.38F、0.62F)、−81.7、−81.5(3F)。
粗生成物である1−ナフチルノナフルオロブチルケトンオキシム28.37g、4−ジメチルアミノピリジン19.59gをDMF73ml、アセトン292mlに溶解した。この溶液を内温20℃以下に冷却し、3−クロロスルホニルプロピルメタクリレート(SPM−Cl)29.74gを攪拌下添加し、1時間攪拌した。更に内温20℃以下でメタノール73mlを添加し、1時間攪拌した。反応液を水2920ml/並塩292g中に激しく攪拌しながら投入し、酢酸エチル1460mlで抽出した。酢酸エチル溶液を、1N塩酸584ml、10%食塩水584ml、5%炭酸水素ナトリウム水溶液584ml、飽和食塩水584mlで2回、順次洗浄した。この酢酸エチル溶液を硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下濃縮した。IPE38ml、ヘキサン380mlから再結晶させると、1−ナフチルノナフルオロブチルケトン O−3−(メタクリロイルオキシ)プロパンスルホニルオキシム19.95g(α−ノナフルオロブチル−1−ナフタレンメタノールからの理論値の45%に相当)が得られた。
Mp:78.6℃。
IR(KBr)(ν/cm−1):1705(ν C=O)、1384(ν SO2)、1280〜1120(ν CF)。
1H−NMR(CDCl3、300MHz):δ(ppm)=1.86、1.96(0.26H、2.74H,s,CH3)、2.15〜2.36(2H,m,CH2)、3.51(2H,m,CH2)、4.25(2H,m,CH2)、5.50、5.62(0.08H、0.92H,s,C=CH2)、6.02、6.13(0.08H、0.92H,s,C=CH2)、7.42〜8.05(7H,m,naphthyl)。
19F−NMR(CDCl3、283MHz):δ(ppm)=−126.8、−125.8(0.20F、1.80F)、−120.8、−119.6(1.80F、0.20F)、−111.5〜−108.3、−107.7(1.83F、0.17F)、−81.7、−81.4(3F)。
得られた異性体混合物を、IPE/ヘキサンから2回再結晶することで、1−ナフチルノナフルオロブチルケトン O−3−(メタクリロイルオキシ)プロパンスルホニルオキシムの異性体制御品16.14g(α−ノナフルオロブチル−1−ナフタレンメタノールからの理論値の36%に相当)が得られた。
得られた異性体制御品の機器分析結果を以下に示す。19F−NMRにより、1−ナフチルノナフルオロブチルケトン O−3−(メタクリロイルオキシ)プロパンスルホニルオキシムが異性体制御品として得られたことが確認できた。
Mp:82.0℃。
IR(KBr)(ν/cm−1):1706(ν C=O)、1383(ν SO2)、1280〜1120(ν CF)。
1H−NMR(CDCl3、300MHz):δ(ppm)=1.96(3H,s,CH3)、2.15〜2.24(2H,m,CH2)、3.51(2H,t,CH2)、4.24(2H,t,CH2)、5.62(1H,s,C=CH2)、6.13(1H,s,C=CH2)、7.44(1H,d,naphthyl)、7.54〜7.63(4H,m,naphthyl)、7.92〜8.05(2H,m,naphthyl)。
19F−NMR(CDCl3、283MHz):δ(ppm)=−125.8(2F)、−120.8(2F)、−111.5〜−108.3(2F)、−81.7(3F)。
モノマーとして合成例1で得た2−ナフチルノナフルオロブチルケトン O−3−(メタクリロイルオキシ)プロパンスルホニルオキシム(12g、21.2mmol)、重合開始剤としてジメチル−2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(商品名:V−601、和光純薬製)(2.16g、9.38mmol)を用い、これらにテトラヒドロフラン(THF)(68g)を加えて溶かし、モノマー溶液を調製した。調製したモノマー溶液を80℃で6時間攪拌した。その後、反応溶液をn−ヘプタン中に滴下し、THFおよびn−ヘプタンで再沈殿精製を行って乾燥させることによって、下記化学式(1)で表される構成単位からなる重合体(2−ナフチルノナフルオロブチルケトン O−3−(メタクリロイルオキシ)プロパンスルホニルオキシムの単独重合体)を、白色固体(9.21g、収率76.8%、Mw=11100、Mw/Mn=1.89)として得た。
前記MwおよびMw/MnはGPC結果から算出した。
得られた生成物(以下、重合体1という。)を1H−NMRにて分析した。その結果を以下に示す。
1H−NMR(DMSO、270MHz):δ(ppm)=8.10〜7.90(d,Naphthyl,4H)、7.61(s,Naphthyl,2H)、7.39(s,Naphthyl,1H)、4.09(s,CH2,2H)、3.75(s,CH2,2H)、3.29(s,CH2,2H)。
モノマーとして合成例2で得た1−ナフチルノナフルオロブチルケトン O−3−(メタクリロイルオキシ)プロパンスルホニルオキシム(3g、5.30mmol)、重合開始剤としてジメチル−2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(商品名:V−601、和光純薬製)(0.18g、0.78mmol)を用い、これらにTHF(12g)を加えて溶かし、モノマー溶液を調製した。調製したモノマー溶液を80℃で6時間攪拌した。その後、反応溶液をn−ヘプタン中に滴下し、THFおよびn−ヘプタンで再沈殿精製を行って乾燥させることによって、下記化学式(2)で表される構成単位からなる重合体(1−ナフチルノナフルオロブチルケトン O−3−(メタクリロイルオキシ)プロパンスルホニルオキシムの単独重合体)を、白色固体(2.10g、収率70%、Mw=20100、Mw/Mn=2.58)として得た。前記MwおよびMw/MnはGPC結果から算出した。
1H−NMR(DMSO、270MHz):δ(ppm)=8.10〜7.90(s,Naphthyl,2H)、7.63(s,Naphthyl,4H)、7.59(s,Naphthyl,1H)、3.99(s,CH2,2H)、3.65(s,CH2,2H)、3.19(s,CH2,2H)。
表1に示す各成分を混合、溶解してポジ型のレジスト組成物を調製した。
(A)−1:下記化学式(A)−1で表されるMw=10000、Mw/Mn=2.0の共重合体。
(B)−1:合成例3で得た重合体1。
(B)−2:合成例4で得た重合体2。
(B)−3:トリフェニルスルホニウム ノナフルオロブタンスルホネート。
(S)−1:PGMEA。
なお、(B)−1の5.03質量部と、(B)−2の5.03質量部と、(B)−3の3.5質量部とは等モル量である。
[吸光度の測定]
実施例1〜2および比較例1のレジスト組成物を、それぞれ、スピンナーを用いて1インチの石英基板上に塗布し、110℃で60秒間ベークすることにより、膜厚150nmのレジスト膜を形成した。そして、日本分光社製の分光光度計「VUV200」を用い、当該レジスト膜の、波長150nm〜300nmの範囲内における当該レジスト膜の膜厚100nmあたりの吸光度を求めた。波長193nmにおける膜厚100nmあたりの吸光度を表2に示す。
表3に示す各成分を混合、溶解してポジ型のレジスト組成物を調製した。
(D)−1:トリエタノールアミン。
(S)−2:γ−ブチロラクトン。
なお、(B)−1の29.9質量部と(B)−2の30.0質量部と(B)−3の3.50質量部とは、当該レジスト組成物を用いて形成したレジスト膜の膜厚100nmあたりの吸光度がほぼ同じになる量である。
[ArFリソグラフィー評価]
有機系反射防止膜組成物「ARC29A」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いて8インチシリコンウェーハ上に塗布し、ホットプレート上で205℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚77nmの有機系反射防止膜を形成した。該反射防止膜上に、実施例3〜4および比較例2のレジスト組成物を、それぞれ、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、表3に示すPAB温度で60秒間のプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚150nmのレジスト膜を形成した。
ついで、ArF露光装置NSR−S302(ニコン社製;NA(開口数)=0.60,2/3輪帯照明)により、ArFエキシマレーザー(193nm)を、マスクパターンを介して選択的に照射した。そして、表3に示すPEB温度で60秒間のPEB処理を行い、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で30秒間現像した後、30秒間水洗し、その後、100℃で60秒間のポストベーク(PDB)処理を行った。該基板について、パターンが形成されているかどうかを走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。
その結果、実施例3〜4および比較例2のいずれのレジスト組成物を用いた場合でも、ライン幅120nm、ピッチ240nmのラインアンドスペースのレジストパターンが形成されていた。
Claims (6)
- 前記基材成分(A)が、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1)を有する樹脂(A1)である請求項1に記載のレジスト組成物。
- 前記樹脂(A1)が、さらにラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)を有する請求項2に記載のレジスト組成物。
- 前記樹脂(A1)が、さらに極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)を有する請求項2または3に記載のレジスト組成物。
- 含窒素有機化合物(D)を含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載のレジスト組成物。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載のレジスト組成物を用いて支持体上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、および前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法。
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