JP4861687B2 - 医療用シミュレーションシステム及びそのコンピュータプログラム - Google Patents
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Description
そして、医師は、患者の検査結果や臨床所見などの判断材料に基づいて、自己の経験と勘を頼りに、治療方法を選択しているというのが現状である。
診療を支援するシステムとしては、特許文献1及び特許文献2に記載されているように、血糖値を予測するシステムがある。
これらのシステムは、患者の血糖値の変化を予測して、予測血糖値を医師に提供することにより、診療を支援するものである。
しかし、医師が、要因を把握するために用いることができるデータは、患者を検査して得られる検査値ぐらいである。
検査値だけでも、医師が要因を把握できる疾患であればよいが、疾患によっては、検査値からだけでは、要因を適切に把握することが著しく困難な場合がある。
また、例えば、糖尿病や心臓疾患等にあっては、通常、経口糖負荷試験や心電図、血圧、脈拍の測定、血液検査等の検査結果を用いて専門医が患者の病態を判断することになるが、前記検査結果から正確に病態を判断するには、豊富な経験を必要とし、非専門医には困難である。
そこで、検査結果から正確に病態を判断することができるように、経験の浅い医師や非専門医を教育する効果のあるシステムも要望されている。
また、本発明の他の目的は、経験の浅い非専門医等の教育に使用できるシステム等を提供することにある。
[システム全体構成]
図1は、医療用シミュレーションシステムSSを、サーバ−クライアントシステムとして構成した場合のシステム構成図を示している。
前記クライアント端末Cは、WebブラウザC1を備えている。このWebブラウザC1は、システムSSのユーザインターフェースとして機能し、ユーザは、WebブラウザC1上で、入力、必要な操作を行うことができる。また、WebブラウザC1には、サーバSで生成されて送信された画面が出力される。
また、サーバSには、WebブラウザC1で表示されるユーザインターフェース画面を生成するユーザインターフェイスプログラムS2がコンピュータ実行可能に搭載されている。このユーザインターフェイスプログラムS2は、WebブラウザC1に表示される画面を生成してクライアント端末Cに送信したり、WebブラウザC1上で入力された情報をクライアント端末Cから受け付ける機能を有している。
なお、クライアント端末Cは、サーバSから、WebブラウザC1に表示される画面の一部又は全部を生成する機能を実現するためのjava(登録商標)アプレット等のプログラムをダウンロードして、画面の一部又は全部を生成し、WebブラウザC1に画面を表示してもよい。
また、サーバSには、患者の検査結果等の各種データを有するデータベースS4が設けられており、システムSSに入力されたデータやシステムで生成されたデータその他のデータは、このデータベースS4に保存されている。
なお、図1では、医療用シミュレーションシステムの構成例として、ネットワーク接続されたサーバ−クライアントシステムを示しているが、本システムを、1つのコンピュータ上で構成してもよい。
ROM S110bは、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROM等によって構成されており、CPUS110aに実行されるコンピュータプログラムおよびこれに用いるデータ等が記録されている。
ハードディスクS110dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU S110aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。プログラムS2,S3も、このハードディスクS110dにインストールされている。
また、ハードディスクS110dには、例えば米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)等のグラフィカルユーザインタフェース環境を提供するオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、本実施形態に係るアプリケーションプログラムS140a(S2,S3)は当該オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
画像出力インタフェースS110hは、LCDまたはCRT等で構成されたディスプレイS120に接続されており、CPUS110aから与えられた画像データに応じた映像信号をディスプレイS120に出力するようになっている。ディスプレイS120は、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
図3は、本発明システムSSの病態シミュレータプログラムS3で用い生体モデルの一例の全体構成を示すブロック図である。この生体モデルは、特に、糖尿病に関連した生体器官を模したものであり、膵臓ブロック1、肝臓ブロック2、インスリン動態ブロック3及び末梢組織ブロック4から構成されている。
肝臓ブロック2は、消化管からのグルコース吸収5、血中グルコース濃度6及びインスリン分泌速度7を入力とし、正味グルコース放出8及び肝臓通過後インスリン9を出力としている。
また、インスリン動態ブロック3は、肝臓通過後インスリン9を入力とし、末梢組織でのインスリン濃度10を出力としている。
さらに、末梢組織ブロック4は、正味グルコース放出8及び末梢組織でのインスリン濃度10を入力とし、血中グルコース濃度6を出力としている。
また、それぞれの機能ブロック1〜4は、シミュレータプログラムがサーバ2のCPUによって実行されることにより実現される。
膵臓ブロック1の入出力の関係は、以下の微分方程式(1)を用いて記述することができる。また、微分方程式(1)と等価な、図4に示されるブロック線図を用いて表現することもできる。
微分方程式(1):
dY/dt = −α{Y(t)−β(BG(t)−h)}
(ただし、BG(t)> h)
= −αY(t) (ただし、BG(t)<=h)
dX/dt = −M・X(t)+Y(t)
SR(t) = M・X(t)
変数:
BG(t):血糖値
X(t) :膵臓から分泌可能なインスリン総量
Y(t) :グルコース刺激に対しX(t)に新たに供給されるインスリン供給速度
SR(t):膵臓からのインスリン分泌速度
パラメータ:
h :インスリン供給を刺激できるグルコース濃度のしきい値
α :グルコース刺激に対する追従性
β :グルコース刺激に対する感受性
M :単位濃度あたりの分泌速度
ここで、図3における膵臓ブロック1への入力である血糖値6はBG(t)と対応し、また出力であるインスリン分泌速度7はSR(t)と対応する。
肝臓ブロック2の入出力の関係は、以下の微分方程式(2)を用いて記述することができる。また、微分方程式(2)と等価な、図5に示されるブロック線図を用いて表現することもできる。
微分方程式(2):
dI4(t)/dt = α2{−A3I4(t) + (1−A7)・SR(t) }
Goff(FGB) = f1 (ただし FGB<f3)
= f1 + f2・(FGB−f3)
(ただしFGB>=f3)
Func1(FGB)= f4 − f5・(FGB−f6)
Func2(FGB)=f7/FGB
b1(I4(t))= f8{1 + f9・I4(t)}
HGU(t) =r・Func1(FGB)・b1(I4(t))・RG(t)+ (1−r)・Kh・BG(t)・I4(t) (ただしHGU(t)>=0)
HGP(t) = I4off・Func2(FGB)・b2+Goff(FGB)−I4(t)・Func2(FGB)・b2 (ただしHGP(t)>= 0)
SGO(t) =RG(t)+ HGP(t)−HGU(t)
SRpost(t) = A7SR(t)
変数:
BG(t):血糖値(血液単位体積あたりのグルコース濃度)
SR(t):膵臓からのインスリン分泌速度
SRpost(t):肝臓通過後のインスリン
RG(t) :消化管からのグルコース吸収
HGP(t) :肝糖放出
HGU(t) :肝糖取込
SGO(t) :肝臓からの正味グルコース
I4(t) :肝インスリン濃度
パラメータ:
Kh :単位インスリン、単位グルコース当たりの肝臓でのインスリン依存グルコース取り込み速度
A7 :肝臓でのインスリン取り込み率
Goff :基礎代謝に対するグルコース放出速度
b2 :肝糖放出抑制率に関する調整項
r :インスリン非依存性肝糖取り込みへの分配率
α2 :インスリン刺激に対する追従性
I4off :肝糖放出が抑制されるインスリン濃度のしきい値
関数:
Goff(FGB): 基礎代謝に対するグルコース放出速度
Func1(FGB): 消化管からのグルコース刺激に対する肝糖取り込み率
Func2(FGB): インスリン刺激に対する肝糖放出抑制率
f1〜f9 : 上記の3要素の表現にあたって用いた定数
b1(I4(t)): 肝糖取り込み率に関する調整項
ここで、図3における肝臓ブロックへの入力である、消化管からのグルコース吸収5はRG(t)、血糖値6はBG(t)、インスリン分泌速度7はSR(t)とそれぞれ対応し、また出力である正味グルコース放出8はSGO(t)、肝臓通過後インスリン9はSRpost(t)とそれぞれ対応している。
インスリン動態分泌の入出力の関係は、以下の微分方程式(3)を用いて記述することができる。また、微分方程式(3)と等価な、図6に示されるブロック線図を用いて表現することもできる。
微分方程式(3):
dI1(t)/dt = −A3I1(t)+A5I2(t)+A4I3(t)+SRpost(t)
dI2(t)/dt= A6I1(t)− A5I2(t)
dI3(t)/dt=A2I1(t) − A1I3(t)
変数:
SRpost(t):肝臓通過後のインスリン
I1(t) :血中インスリン濃度
I2(t) :インスリン非依存組織でのインスリン濃度
I3(t) :末梢組織でのインスリン濃度
パラメータ:
A1 :末梢組織でのインスリン消失速度
A2 :末梢組織へのインスリン分配率
A3 :肝臓通過後のインスリン分配速度
A4 :末梢組織通過後のインスリン流出速度
A5 :インスリン非依存組織でのインスリン消失速度
A6 :インスリン非依存組織へのインスリン分配率
ここで、図3におけるインスリン動態ブロックの入力である肝臓通過後のインスリン9は、SRpost(t)と対応し、また出力である末梢組織でのインスリン濃度10は、I3(t)と対応する。
末梢組織ブロック4の入出力の関係は、以下の微分方程式(4)を用いて記述することができる。また、微分方程式(4)と等価な、図7に示されるブロック線図を用いて表現することもできる。
微分方程式(4):
dBG´/dt=SGO(t)−u* Goff(FGB)−Kb(BG´(t)−FBG´)−Kp・I3(t)・BG´(t)
変数:
BG´(t) :血糖値(単位体重あたりのグルコース濃度)
(ただしBG[mg/dl]、BG´[mg/kg])
SGO(t) :肝臓からの正味グルコース
I3(t) :末梢組織でのインスリン濃度
FBG´ :空腹時血糖(ただしFBG´=BG´(0))
パラメータ:
Kb :末梢組織でのインスリン非依存グルコース消費速度
Kp :単位インスリン、単位グルコースあたりの
末梢組織でのインスリン依存グルコース消費速度
u :基礎代謝に対するグルコース放出速度のうち
基礎代謝に対するインスリン非依存グルコース消費が占める割合
関数:
Goff(FGB):基礎代謝に対するグルコース放出速度
f1〜f3 :Goffの表現にあたって用いた定数
ここで、図3における末梢組織ブロックへの入力である末梢組織でのインスリン濃度10はI3(t)、肝臓からの正味グルコース8はSGO(t)とそれぞれ対応し、また出力である血糖値6はBG(t)と対応する。
図3〜図7に示す上述の生体モデルによって、個々の患者の生体器官をシミュレートするには、個々の患者に応じた特性を有する生体モデルを生成する必要がある。具体的には、生体モデルのパラメータと変数の初期値とを、個々の患者に応じて決定し、決定されたパラメータ及び初期値を生体モデルに適用して、個々の患者に対応した生体モデルを生成する必要がある(なお、以下では、特に区別しなければ、変数の初期値も生成対象のパラメータに含めるものとする)。
生体モデル生成部によって生成されたパラメータセットを前記生体モデルに与えることで、生体モデル演算部が、生体器官の機能のシミュレートを行って、実際の生体応答(検査結果)を模した疑似応答を出力することができる。
以下、実際の患者(生体)の検査結果(生体応答)に基づき、その患者の生体器官を模した生体モデルを形成するためのパラメータセットを生成するパラメータセット生成部について説明する。
図8は、システムSSのパラメータセット生成部が、生体モデルのパラメータセットを求める処理手順を示している。同図に示すように、パラメータを求めるには、まず、実際の検査結果(生体応答)としてのOGTT(Oral Glucose Tolerance Test;経口ブドウ糖負荷試験)時系列データの入力処理(ステップS1−1)が行われる。
OGTT時系列データは、生体モデルによってシミュレートしようとする患者に対して実際に行った検査であるOGTT(所定量のブドウ糖液を経口負荷して血糖値や血中インスリン濃度の時間的変化を測定)の結果であり、本システムは、クライアント端末3から、実際の生体応答(実際の検査値)として入力を受け付ける。ここでは、OGTT時系列データとして、OGTTグルコースデータ(血糖値変動データ)と、OGTTインスリン(血中インスリン濃度変動データ)の2つが入力される。
図9(a)の血糖値変動データは、図3〜図7に示す生体モデルにおける出力項目の一つである血糖値BG(t)の時間的変化に対応した実測データである。
また、図9(b)の血中インスリン濃度変動データは、図3〜図7に示す生体モデルにおける出力項目の一つである血中インスリン濃度I1(t)の時間的変化に対応した実測データである。
次に、本システムSSは、入力されたOGTT時系列データと、テンプレートデータベースDB1のテンプレートとのマッチングを行う。なお、テンプレートデータベースDB1は、サーバSのデータベース24に含まれる1つのデータベースである。
テンプレートデータベースDB1は、図10に示すように、テンプレートとなる生体モデルの参照用出力値T1,T2,・・と、当該参照用出力値を発生させるパラメータセットPS#01,PS#02・・とが対応付けられた複数組のデータが予め格納されたものである。参照用出力値とパラメータセットの組を作成するには、任意の参照用出力値に対して、適当なパラメータセットを割り当てたり、逆に任意のパラメータセットを選択した場合の生体モデルの出力を生体シミュレーションシステムで求めたりすればよい。
誤差総和=αΣ|BG(0)−BGt(0)|+βΣ|PI(0)−PIt(0)|
+αΣ|BG(1)−BGt(1)|+βΣ|PI(1)−PIt(1)|
+αΣ|BG(2)−BGt(2)|+βΣ|PI(2)−PIt(2)|
+・・・
=α{Σ|BG(t)−BGt(t)|}+β{Σ|PI(t)−PIt(t)|}
ここで、
BG:入力データの血糖値[mg/dl]
PI:入力データの血中インスリン濃度[μU/ml]
BGt:テンプレートの血糖値[mg/dl]
PIt:テンプレートの血中インスリン濃度[μU/ml]
t:時間[分]
また、α及びβは規格化に用いる係数であり、
α=1/Average{ΣBG(t)}
β=1/Average{ΣPI(t)}
定式のAverageはテンプレートデータベースDB1に格納された全テンプレートに対する平均値を指す。
図9の入力データ(10分間隔の0分から180分のデータ)と、図11のテンプレートT1についてみると、
Σ|BG(t)−BGt(t)|=29
Σ|PI(t)−PIt(t)|=20
となる。ここで、α=0.00035、β=0.00105とすると、
誤差総和=(0.00035×29)+(0.00105×20)
=0.03115
さらに、ステップS1−3では、システムSSは、ステップS1−2において決定されたテンプレートに対応するパラメータセットを、テンプレートデータベースDB1から獲得する。つまり、テンプレートT1に対応するパラメータセットPS#01が得られる(図10参照)。
下記表1は、このようにして得られたパラメータセットPS#01に含まれるパラメータ値の具体的数値例を示している。
このように、生体モデル生成部は、入力され生体応答を模した疑似応答を出力できる生体モデルを生成できるものであれば、その具体的生成方法は特に限定されない。
システムSSは、上記パラメータセットPS#01が、生体モデルに与えられると、その生体モデルに基づき演算を行い、入力されたOGTT時系列データを模した疑似応答情報(血糖値及びインスリン濃度の時系列変化)を出力する機能を有している(システムSSの疑似応答取得部(生体モデル演算部)としての機能)。
つまり、システムSSでは、生成された生体モデルに基づき、患者の生体器官のシミュレーションを行うことができる。なお、この機能は、病態シミュレータプログラムS3によって実現されている。
また、生成されたパラメータセットは、病態特徴情報を取得するためにも用いられるが、この点については、後述する。
図13は、サーバSのユーザインターフェイスプログラムS2によって生成されるシステム操作画面を示している。この画面は、サーバS2からクライアントCに送信されて、当該クライアントCのWebブラウザC1上に表示される。医師等のユーザは、この画面上で、情報を入力したり、情報を閲覧することができる。
操作部100は、各種データを入力して登録するためのデータ入力部101と、登録したデータを修正する登録内容修正部102、診察終了操作を行う診察終了部103、ログアウトを行うログアウト部104を備えている。
前記データ入力部101は、基本検査結果(図13の検査データ表示部120に表示されている検査項目の検査結果)を登録するための「検査結果の登録」ボタン101a、患者への処方内容を登録するための「処方内容の登録」ボタン101b、OGTTの検査結果(生体応答)を登録するための「OGTTデータの登録」ボタン101c、病態解析を行ってその結果を登録するための「病態解析の登録」ボタン101dを備えている。
「検査結果の登録」ボタン101aがクリックされると、検査結果の入力画面(図示省略)が表示され、図13の検査データ表示部120に表示されている基本検査項目について、それぞれ、検査結果を入力することができる。検査結果が入力されてデータベースS4に登録されると、検査履歴表示部110には、その登録日(診察日)とともに検査結果が登録されていることが「○」印で表示される。
「処方内容の登録」ボタン101bがクリックされると、その患者への処方内容の入力画面が表示され、入力した処方内容をデータベースS4に登録することができる。処方内容が入力されて登録されると、検査履歴表示部110には、その登録日(診察日)とともに処方内容が登録されていることが「○」印で表示される。
なお、処方内容の入力画面については、後述する。
「OGTTデータの登録」ボタン101cがクリックされると、図14に示すように、OGTTデータ入力画面(ウィンドウ)W1が開いて表示される。
この画面W1には、検査時間の入力ボックス列W1aと、血糖値の入力ボックス列W1bと、インスリン濃度(IRI)の入力ボックス列W1cと、を備えており、実際の検査結果であるOGTTデータとして、血糖値及びインスリン濃度の時系列変化を入力することができる。
血糖値及びインスリン濃度の数値を入力した後、画面W1の登録ボタンW1Rをクリックすると、その内容は、データベースS4に登録される。
OGTTデータが登録されると、検査履歴表示部110には、その登録日(診察日)とともに、OGTTデータが登録されていることが「○」印で表示される。
なお、この画面W1で入力されたデータは、図9及び病態解析結果表示部130に示す血糖値及びインスリン濃度の時系列変化を示すグラフを描く際に、元となるデータである。
「病態解析の登録」ボタン101dは、がクリックされると、病態シミュレータプログラムS3によって、OGTTデータを用いてシミュレーションが行われ、病態の解析が実行されて、病態の特徴を示す病態特徴情報の取得が行われる。なお、取得された病態特徴情報は、OGTTデータと関連付けてデータベースS4に登録される。病態解析の詳細については、後述する。
検査履歴表示部110では、診察日ごとに、(一般)検査、OGTT、処方の登録があるか否かを表示している。なお、登録がないところは「×」印で示されている。
この検査履歴表示部110は、検査データ表示部120及び処方データ表示部140の表示を切り替える表示切替操作部としても機能し、診察日の日付部分をクリックしたり、「○」印をクリックすることで、図13の画面の表示内容を、その日付や「○」印に対応した表示に切り替えることができる。
検査データ表示部120は、患者の基本検査結果又はOGTT結果を表示するためのものである。図13は、検査データ表示部120に、基本検査結果が表示されている状態を示しており、図15は、検査データ表示部120に、OGTT結果が表示されている状態を示している。
検査データ表示部120に基本検査結果が表示されている場合には、「OGTT結果を表示」ボタン121が表示され(図13参照)、OGTT結果が表示されている場合には、「基本検査結果を表示」ボタン122が表示される(図15参照)。これらのボタン121,122をクリックすることで、両結果の表示切替を行うことができる。
図15及び図16に示すように、病態解析結果表示部130は、検査データ表示部120に、OGTT検査結果が表示されているときに、そのOGTT検査結果(生体応答)に対応したグラフ表示131と、そのOGTT検査結果に基づいて解析された病態特徴情報のレーダーチャート表示132とを行うためのものである。また、病態解析結果表示部130には、病態解説文を表示する病態解説部133も設けられている(図18参照)。
なお、図15では、OGTT検査結果は入力されているが、病態解析が未解析である状態を示している。したがって、OGTT結果のグラフ131は表示されているが、病態特徴情報のレーダーチャートは非表示である。
図15及び図16に示すように、OGTT検査結果が画面に表示された状態で、「病態解析の登録」ボタン101dをクリックすると、シミュレーションが実行され、病態解析(病態特徴情報の取得)と、OGTT検査結果の再現値(疑似応答の取得)とが行われる。なお、図17は、解析中の画面表示を示している。
図18に示すように、OGTTの再現値(血糖再現値131c及び再現IRI131d)は、病態解析結果表示部130のグラフ表示131において、実際のOGTT検査結果(検査血糖値131a及び検査IRI131b)とともに表示される。
また、システムSSは、生成された生体モデル(のパラメータセット)に基づいて、患者の病態の特徴を示す病態特徴情報を求める(システムSSの病態特徴情報取得機能)。
図18に示すように、本実施形態では、病態特徴の指標として、空腹時血糖132a、基礎分泌132b、追加分泌132c、分泌感度132d、肝糖新生抑制132e、糖処理能132f、処理感度132gが採用されている。
これらの指標は、病態の特徴を良く表しているものとして採用されており、特に、治療によって改善可能な生体機能が採用されている。
つまり、本システムSSは、非専門医や経験の浅い医師が学習するためのトレーニング用にも使用できる。
なお、図20は、病態解析処理が終了し、処方内容を登録した後のWebブラウザC1の画面を示している。
図21は、病態解析結果表示部130において、病態特徴情報を入力する処理を示している。レーダーチャート表示132の各指標132a〜132gの値は、マウスポインタでの操作で、変更可能となっている。つまり、病態特徴情報をレーダーチャート表示132上の操作で入力可能となっている。
図21では、糖処理能132fと処理感度132gの指標の値がマウスポインタで変更されている。この結果、システムSSが生成した病態特徴情報のレーダーチャートC1のうち糖処理能132fと処理感度132gの値が改善された新レーダーチャートC2が得られている。
図22は、病態特徴情報出力の変形例を示している。前述のレーダーチャート132では、7つの指標を有していたが、図22では、肝糖代謝能1132a、インスリン分泌能1132b、末梢インスリン感受性1132cの3つの指標を持つレーダーチャート1132が採用されている。
なお、生体応答情報及び病態特徴情報並びにその他の情報に関し、入力形式と出力形式が同じである必要はない。例えば、上記実施形態における生体応答情報(OGTT検査結果)の入力は、数値入力形式で行われ、その出力はグラフ出力形式で行われている。このように同一の情報に関し、入力と出力での形式は異なっていても良い。
1膵臓ブロック
2肝臓ブロック
3インスリン動態ブロック
4末梢組織ブロック
5消化管からのグルコース吸収
6血糖値
7インスリン分泌速度
8正味グルコース放出
9肝臓通過後インスリン
10末梢組織でのインスリン濃度
W1 OGTTデータ入力画面(生体応答入力部)
130 病態解析結果表示部(出力部)
Claims (6)
- 生体器官の機能を複数のパラメータを含む数理モデルによって表現した生体モデルを用いて、患者の糖尿病の病態把握を支援する情報を提供する医療用シミュレーションシステムであって、
生体の生体応答を示す生体応答情報として患者の経口ブドウ糖負荷試験の時系列データの入力を受け付ける生体応答入力部と、
入力された前記生体応答情報に基づいて、前記生体応答を模した擬似応答を再現するための生体モデルを生成するための複数のパラメータからなるパラメータセットを求め、このパラメータセットが適用された生体モデルを生成する生体モデル生成部と、
生成された前記生体モデルの前記パラメータに基づいて、患者の病態の特徴を示す複数の指標の値を病態特徴情報として取得する病態特徴取得部と、
入力された前記生体応答情報と、前記病態特徴情報としての前記複数の指標に関する値を示すレーダーチャートと、を含む画面を表示するディスプレイと、
前記画面に表示されたレーダーチャート上の指標の値を変更するための操作を受け付ける入力手段と、
レーダーチャート上の指標の値が変更されると、変更された指標の値に対応して前記パラメータが変更された新たな生体モデルを生成して、当該新たな生体モデルに基づく擬似応答を示す擬似応答情報を取得する擬似応答取得部と、
を備え、
前記ディスプレイは、前記擬似応答取得部によって擬似応答情報が取得された場合に、その擬似応答情報を前記画面に表示させる
ことを特徴とする医療用シミュレーションシステム。 - 前記ディスプレイは、前記生体応答情報として、患者の経口ブドウ糖負荷試験の時系列データを示すグラフを出力するよう構成されていることを特徴とする請求項1記載の医療用シミュレーションシステム。
- 前記生体モデルは、膵臓、肝臓、末梢組織の機能を模した微分方程式によって表現されている請求項1または2に記載の医療用シミュレーションシステム。
- 前記複数の指標は、空腹時血統、基礎分泌、追加分泌、分泌感度、肝糖新生抑制、糖処理能、及び処理感度である請求項1〜3のいずれか1項に記載の医療用シミュレーションシステム。
- 前記複数の指標は、肝糖代謝能、インスリン分泌能、及び末梢インスリン感受性である請求項1〜3のいずれか1項に記載の医療用シミュレーションシステム。
- コンピュータを、請求項1〜5のいずれかに記載の医療用シミュレーションシステムとして機能させるためのコンピュータプログラム。
Priority Applications (4)
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