JP4859701B2 - 水素含有ガスの製造装置 - Google Patents
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Description
CxH2(x+1)+(x/2)O2→xCO+(x+1)H2
部分酸化反応は発熱反応であるため外部からの大量のエネルギー投入は必要ないが、反応温度が高温になりやすく、高温に耐えうる反応容器材料に制約があり装置寿命も短くなる。そのため、比較的低い温度で反応を進める触媒が求められている。
しゅう酸イットリウム(Wako, Y2(C2O4)3・4H2O)を空気流通下、室温から5℃/分の昇温速度で600℃まで昇温し、600℃で5時間保持しY2O3を調製した。
CeO2もY2O3担体と同様の調製法で硝酸セリウム(III)六水和物(Wako, Ce(NO3)3・6H2O)から調製した。
他の担体(Al2O3(Merck)、MgO(Ube Materials)、La2O3(ナカライテスク)、SiO2(FUJI SILYSIA))はそのまま使用した。
所定量の硝酸鉄(III)九水和物(Wako, Fe(NO3)3・9H2O)を水に溶かしたものを、担体(Y2O3)1gに対してFeとして20 m molとなるように加え、一夜放置後、蒸発乾固により乾燥させた。その後、空気流通下、室温から5℃/分の昇温速度で600℃まで昇温し、600℃で5時間保持し触媒を調製した。
なお、触媒表示中のFe(20)のような括弧内の数字は、担体1gあたりの触媒の担持量をm mol単位の触媒金属量として表わしたものである。
所定量の塩化ロジウム(三津和化学, RhCl3・3H2O)及び硝酸鉄(III)九水和物(Wako, Fe(NO3)3・9H2O)を水に溶かしたものを、担体(Y2O3)1gに対してRhとして0.5m mol、Feとして20 m molとなるように加え、一夜放置後、蒸発乾固により乾燥させた。その後、空気流通下、室温から5℃/分の昇温速度で600℃まで昇温し、600℃で5時間保持し触媒を調製した。
なお、比較例等、他の組成の触媒もそれぞれの成分の水溶性塩を用いて同様の含浸担持法で調製した。
評価のための実験装置として、図1に示される反応装置を使用した。ただし、この反応装置はあくまで評価のための実験装置であり、実際にこの触媒を使用して水素含有ガスを製造する装置はこの反応装置に限定されるものではなく、各部の配置や規模は目的に応じて適宜変更することができる。
製造した触媒は、メタンの部分酸化反応によって評価した。なお、分析装置の感度・分解能の制約から、メタンは不活性ガスであるアルゴンで希釈して導入したが、アルゴンは触媒活性の評価にはなんら影響するものではない。
メタンの部分酸化による水素製造反応をある時間実施した後の触媒は、アルゴンで希釈した酸素ガス、又は空気により酸化し、再びメタンの部分酸化反応に供し、その性能によって完全に再生されたことを評価した。また、後で説明する図3に示すように、触媒のX線回折の結果によっても本発明の触媒は酸化によって再生することが確認された。
以上の反応条件はあくまで評価のための実験条件であり、実際に工業的に製造する際には目的に合せて適宜変更する。
以下、本発明を実施例によりさらに詳述する。
担体の効果を調べるために、実施例3と同じ触媒活性成分をアルミナ(Al2O3)担体に担持した触媒を調製した。その担体1gあたり0.5m molのロジウムと20m molの酸化第二鉄(Fe2O3)を担持した触媒を用い、メタンの部分酸化反応と触媒再生の交互繰り返し実験を実施した。なお、本実験では、部分酸化反応時間、再生時間をともに10分として部分酸化反応と再生を繰り返した。表3に実施例3と比較して示す。この触媒はメタン転化率、水素選択性とも優れているが、炭素析出量が多く、好ましいものではない。
実施例3の触媒が優れた性能を示したので、部分酸化反応後の再酸化による触媒再生の温度を800℃から600℃に変えて部分酸化と触媒再生の交互繰り返し実験を10回に渡り行った。その結果を図2に示す。(a)は800℃での結果、(b)は600℃での結果である。図2に明らかなように、再生温度を600℃に低下させても、メタン転化率も、水素及びCO選択率もいずれも良好であり、再生温度800℃の場合に比べて全く遜色ない結果が得られた。触媒再生のための加熱温度を低下させられれば、それだけシステムに投入するエネルギーを減少させることができるので、エネルギー効率に優れたシステムを構築できる。すなわち実施例3の触媒を用いれば、高効率の水素ないし合成ガス製造システムを実現することができる。
これまでに提示した実験は、部分酸化反応に供した後の触媒の再生にアルゴンガスで希釈した酸素を用いていた。しかし、再酸化による触媒再生を空気により行うことができれば、装置に酸素供給設備を設置する必要がなくなり、システムの小型化及び低コスト化が実現され、実用化に当たって大きな利点があることは明らかである。そこで、実施例3の触媒を用いて、空気による触媒再生を行った。結果を表4に示す。再生ガスに空気を用いた場合、分析を質量分析装置で行った実験装置の制約から炭素析出量、メタン転化率、CO選択率及びCO2選択率の測定はできなかったが、水素選択率、格子酸素転化率及び他の生成物量を見る限り、アルゴンガスで希釈した酸素による触媒再生と同等の結果が得られており、空気による触媒再生になんら問題のないことが明らかである。
本発明の触媒の格子酸素が部分酸化反応に関与し、再生可能であることを触媒のX線回折測定により確かめた。そのX線回折測定の結果を図3に示す。触媒としては実施例3の触媒を用いた。
(A)は触媒を調製し、アルゴンで希釈した酸素(Ar:O2=4:1)中で800℃で5分間酸化した状態の触媒のX線回折パターンである。Fe2O3(□の記号で示されている。)が認められ、担体表面に触媒活性成分としてのFe2O3のあることが確かめられる。
(B)はその触媒を用い、アルゴンで希釈したメタンを原料ガスとして流し800℃で20分間部分酸化反応を行った後のX線回折パターンである。測定されるのは殆どが担体のY2O3ピーク(×の記号で示されている。)と金属鉄のピーク(△の記号で示されている。)であり、触媒活性成分であるFe2O3は見られない。このことから、触媒活性成分のFe2O3の格子酸素が部分酸化反応で消費されていることがわかる。
(C)は部分酸化反応で格子酸素が消費された後の触媒をアルゴンで希釈した酸素中で800℃で5分間酸化して再生させた後のX線回折パターンである。Fe2O3(□の記号で示されている。)が認められ、触媒の格子酸素が復活し、触媒活性成分としてのFe2O3が再生されていることが確かめられる。
図4に水素含有ガス製造装置の一実施例を概略的に示す。
第1の反応管2aに加熱炉6aが配置され、第2の反応管2bに加熱炉6bが配置されている。反応管2a,2bや加熱炉6a,6bは基本的には図1の評価用の装置のものと同じである。反応管2a,2b内には本発明の部分酸化触媒層が充填されている。
4 部分酸化触媒層
6,6a,6b 電気炉
8 原料ガス供給流路
10 再生ガス供給流路
12,12a,12b 三方切替弁
30 コントローラ
Claims (7)
- 担体に触媒活性成分が担持されたものであって、前記触媒活性成分は酸化第二鉄(Fe 2 O 3 )を含み、該酸化第二鉄自身を構成する格子酸素が炭化水素を部分酸化して水素と一酸化炭素を含有する混合ガスを生成させる部分酸化反応に供されるとともに、触媒自身を酸化することにより再生されるものであり、前記担体は少なくとも一部がイットリアである酸化物担体である部分酸化触媒と、
内部に前記触媒が保持された反応管と、
前記触媒を加熱する加熱炉と、
炭化水素を含む原料ガスを前記反応管に送り前記触媒と接触させる原料ガス供給流路と、
触媒再生ガスとして酸素又は空気を前記反応管に送り前記触媒と接触させる再生ガス供給流路とを備え、
前記反応管中で前記触媒中の酸化第二鉄を構成する格子酸素により前記炭化水素を部分酸化して水素と一酸化炭素を含有する混合ガスを生成させる部分酸化工程と、前記部分酸化工程を経た前記触媒を加熱下で前記再生ガス供給流路から供給される触媒再生ガスとしての酸素又は空気と接触させて前記触媒を再生させる再生工程とが交互に繰り返される水素含有ガス製造装置。 - 前記触媒活性成分は添加物として貴金属成分又は遷移金属成分(貴金属成分及び鉄を除く。)を含む請求項1に記載の水素含有ガス製造装置。
- 前記添加物としてロジウムを含む請求項2に記載の水素含有ガス製造装置。
- 前記添加物としてさらにクロムを含む請求項3に記載の水素含有ガス製造装置。
- 前記添加物としてニッケルを含む請求項2に記載の水素含有ガス製造装置。
- 前記担体はイットリアのみからなる請求項1から5のいずれか一項に記載の水素含有ガス製造装置。
- 前記反応管と加熱炉の組が2組備えられ、
前記原料ガス供給流路と再生ガス供給流路は切替え弁を介して両反応管に接続されており、
前記加熱炉と切替え弁の制御により、一方の反応管での部分酸化反応中に他方の反応管での触媒を再生するようにするとともに、その操作を交互に切り替えることができるようになっている請求項1から6のいずれか一項に記載の水素含有ガス製造装置。
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