JP4857572B2 - アクチュエータ、アクチュエータユニット、時計及び電子機器 - Google Patents
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特許文献1の様に、被駆動体側を固定にし、振動体側を可動にして振動体側を被駆動体側に対してばね等で押圧した場合、振動体側が可動することで振動体周囲の部材との接触関係、力の作用位置、或いは大きさが変化し、振動特性にばらつきが生じやすくなる。この場合、振動体を直接地板に固定することができず、振動漏れを防ぎにくく、振動特性の劣化を招きやすいという課題がある。
一方、特許文献2の様に、振動体側を固定にし、被駆動体側を可動にして被駆動体側を振動体に対してばね等で押圧した場合、被駆動体の座標が変化するため、被駆動体を通じて出力を取りだす際に配慮が必要になるという課題がある。
本構成では、圧電アクチュエータ(振動体)501に対し、ロータ(被駆動体)502が押圧ばね503で押圧されている。このロータ502はロータ案内体(被駆動体案内体)504に支持され、このロータ案内体504は回動軸504aを持つ。ロータかな502aには支持軸が固定の伝達車505が噛み合い、この伝達車505を介して例えば図示を省略した時計用カレンダ機構等の駆動対象が駆動される。
これを解消するため、従来、回動軸504aとロータかな502aの延長線L10上に次の伝達車505を配置しているが、この場合レイアウト上の制約を受け、かつ平面サイズが大きくなるという問題がある。また、上記構成では、負荷の変動によってロータ案内体(被駆動体案内体)504の回動軸504a回りのモーメントが変動し、この変動が押圧ばね503の押圧力を強めたり弱めたりし、圧電アクチュエータ501の性能安定化の障害になる。これを解消するには、回動軸504a及びロータかな502aを結ぶ線と直交する線上に伝達車505を配置しなければならないが、この場合上述の噛み合い状態にとってもっとも厳しいレイアウトになってしまう。
振動体側を可動にした場合、上述したように、振動特性の劣化及び不安定化を招き、振動体側固定で、被駆動体側を可動にして被駆動体の次の車を出力の取り出しに用いた場合には、上述したように、レイアウトの制約、平面サイズの大型化、押圧力変動による駆動特性の劣化及び不安定化を招くといった課題がある。
また、上記ユニット化を図る場合、押圧ばねが平面サイズの増大を招きやすいという課題がある。特に低パワーで駆動する圧電アクチュエータの場合、ばね力を比較的微弱に設定するため、ばねの平面サイズが増大し、これを用いたアクチュエータの平面サイズが増大するという課題がある。
この構成では、振動体側が非可動であるため振動特性の劣化がなく安定した高効率駆動が可能になり、被駆動体及び出力車が被駆動体案内体に支持されるため、被駆動体及び出力車の中心軸間距離が変化することがなく、被駆動体及び出力車の良好な噛み合い状態が維持されると共に、平面サイズの小型化が図られる。また、この構成では、出力車が被駆動体案内体の回動中心の軸上に配置されるため、出力車の支持軸が固定され、アクチュエータ出力を安定して取り出せる。また、減速率を任意に設定することで、所望の出力特性にカスタマイズできる。
この作用説明に際し、例えば図4を参照し、第2ロータかな72bの半径r1、アイドル車370の半径r2、出力車74の半径r3とした場合、L2=r2+r3…(1)、L3=r1+r2…(2)、L1=L2・cosθ+L3・cosφ…(3)となる。また、出力車74に負荷がかかった際に、ロータ72の回転軸に発生する反力F1、ロータ72と出力車74の間に配置されたアイドル車370の回転軸に発生する反力F2、回動軸372回りの負荷によって生じる反時計方向のモーメントM1、回動軸372回りの負荷によって生じる時計方向のモーメントM2とすると、M1=F1・L1・cosφ…(4)、M2=F2・L2・cos{1/2(θ+φ)}…(5)となる。M1=M2を満たせば、回動軸372回りの負荷によるモーメント変動の合計が零となり、負荷が変動しても押圧ばね173の押圧力が変動せず、圧電アクチュエータ71の性能安定化が図られる。M1=M2は、(4)(5)式から、F1・L1・cosφ=F2・L2・cos{1/2(θ+φ)}…(6)であり、これを満たすには、各距離の比が、L2/L1=cosφ/(2・(cos((θ+φ)/2))2)…(7)に設定され、この場合に、回動軸372回りの負荷によるモーメント変動が完全に打ち消される。
この場合、式(7)において、θ、φが共に零になるため、L1=2・L2に設定することで、M1=M2が維持される。
この構成では、被駆動体と、被駆動体に連なる車が被駆動体案内体に支持されるため、各車の中心軸間距離が変化することがなく、各車の良好な噛み合い状態が維持される。また、上述のように、負荷がかかった場合には、被駆動体の回転軸に所定の反力が発生するが、この反力を打ち消すように、上記被駆動体に連なる車の回転軸に所定の反力が発生するため、被駆動体案内体の回動中心回りにおけるモーメント変動の合計が小さくなり、負荷が変動しても押圧力変動がいくぶん緩和される。
この構成では、アクチュエータの出力車の少なくとも一部が出力取り出し可能にユニット地板から突出するため、この出力車に所望の負荷を連結するだけで、この負荷に対応した汎用アクチュエータとなる。
上記のいずれかに記載のアクチュエータまたは上記のアクチュエータユニットを搭載した時計或いは電子機器が提供される。
本構成は、時計の例えばカレンダ駆動に適用でき、また、時計に限らず、カメラ、デジタルカメラ、携帯電話等の携帯機器全般、さらにはプリンタ、プロジェクタ等の電子機器のアクチュエータに適用できる。
図1において、700はアクチュエータを示し、このアクチュエータ700は、ベース部材701上に配置される。このアクチュエータ700は、圧電アクチュエータ71を備え、この圧電アクチュエータ71は、図2に示すように、ステンレス等の金属材料から形成された補強板400の両面に、圧電素子401、402を配置して概略構成され、ケース701に固定される基部71aと、基部71aにネック部71bを介して連結される振動体(圧電素子401、402の配置領域)71cとを備えている。
圧電素子401、402は、略長方形形状を有し、その長手方向が、補強板400の略長方形部分(71cに相当する部分)の長手方向と略一致するように該部分の両面に各々接着され、これらによって振動体71cが構成されている。
また、圧電素子401、402の表面には、ニッケルや金等による電極(図示せず)が設けられ、これら電極には、図2に示すように、基部71aに固定されたリード基板405a、405bから延出するばね接点406a、406bが各々接触し、このばね接点406a、406bを介して各圧電素子401、402の電極とリード基板405a、405bとが電気的に接続される。
この場合、図2に示すように、ベース部材701上の回路基板303aがリード基板405bと接触することにより、回路基板303aがリード基板405aを介して圧電素子402に電気的に接続され、また、押さえ板410の裏面には、リード基板405bと接触する回路基板303bが設けられ、この回路基板303bが、リード基板405aを介して圧電素子401に電気的に接続される。680は、回路基板303a,303bに連なる接続端子である。
また、ロータ案内体171にはピン171aが固定されており、このピン171aと、ケース701に固定されたピン175との間には、ばね173が介装され、このばね173は回動軸172中心にロータ案内体171を矢印P方向に付勢し、これにより圧電アクチュエータ71の当接部400aに対して、ロータ72が押圧されて、ロータ72と圧電アクチュエータ71との接触圧が、圧電アクチュエータ71の駆動時にロータ72を高効率で回転可能な適正圧に保たれ、圧電アクチュエータ71によるロータ72の送り量(単位時間当たりの送り量)が十分に確保される。
また、本構成では、出力車74がロータ案内体171の回動中心172の軸上に配置されるため、ロータ案内体171が回動しても出力車74が変位しないので、アクチュエータ出力を安定して取り出せる。また、各車のすべてをロータ案内体171に支持することにより、平面サイズが小型化される。
この構成では、ロータ72と、ロータ72のロータかな72bに噛み合うアイドル車(中間車)370と、アイドル車370に噛み合う出力車74(回動軸372上に配置される)とを備え、すべてが単一のロータ案内体371に支持され、このロータ案内体371が、ケース701に対し、回動軸372により回動自在に支持される。なお、その他の構成は、図1と同じであるため、説明を省略する。
上記アイドル車370はアイドラに限定されず、例えば図5に示すように、減速段をなす車470、或いは、図示は省略したが増速段をなす車で構成してもよい。この構成では、平面サイズが小型化され、押圧力安定効果を損なわずに、自由度の高いレイアウトが可能になるばかりでなく、減速率或いは増速率を任意に設定すれば、所望の出力特性に簡単にカスタマイズすることができる。
この構成では、ロータ72と、ロータ72のロータかな72aに噛み合うアイドル車(中間車)570と、アイドル車570に噛み合う出力車74(回動軸572と同軸状に配置される)とを備え、3つの車のすべてが一直線上に配列されて、ロータ案内体571に支持され、このロータ案内体571が、ケース701に対し、上記回動軸572により回動自在に支持される。この場合には、出力車74の回転中心とロータ72の回転中心の各軸間を結ぶ線分の距離L4、出力車74の回転中心とアイドル車370の回転中心の各軸間を結ぶ線分の距離L5とした場合、各車が一直線上に配列されるため、式(7)において、θ、φが共に零となる。従って、L4=2・L5…(8)に設定すれば、M1=M2が維持され、回動軸572回りの負荷によるモーメント変動が完全に打ち消される。また、3つの車のすべてがロータ案内体571に支持されるため、平面サイズが小型化され、押圧力安定効果を損なわずに、自由度の高いレイアウトが可能になる。
本構成では、ロータ72と、ロータ72のロータかな72aに噛み合う伝達車174とが共にロータ案内体271に支持され、このロータ案内体271がケース701に対し、回動軸272により回動自在に支持されている。そして、回動軸272と、伝達車174の支持軸とを結ぶ線Lのほぼ延長線上に、当該伝達車174の伝達車かな174aに噛み合う、ベース部材701に軸支された出力車74が配列されている。
この構成では、ロータかな72a及び伝達車174が同一のロータ案内体271に支持されるため、ロータかな72a及び伝達車174の中心軸間距離が変化することがなく、ロータかな72a及び伝達車174の良好な噛み合い状態が維持される。また、伝達車174に負荷がかかった場合、伝達車174の回転軸に所定の反力が発生し、この反力を打ち消すように、ロータ72の回転軸に所定の反力が発生する。従って、ロータ案内体271の回動中心回りにおけるモーメント変動の合計が小さくなり、負荷が変動しても押圧力変動がいくぶん緩和される。
符号600は、圧電アクチュエータユニットを示す。このアクチュエータユニット600では、圧電アクチュエータKが、樹脂製のケース601に収容され、ユニット地板601aに支持されている。この圧電アクチュエータKは、図6に示す機構とほぼ同様の構成であり、圧電アクチュエータ71を備える。また、この圧電アクチュエータKは、ロータ72と、ロータ72のロータかな72aに噛み合うアイドル車(中間車)670と、アイドル車670に噛み合う出力車74(回動軸672と同軸状に配置される)とを備え、すべてが一直線上に配列されて、ロータ案内体671に支持され、このロータ案内体671が、ユニット地板601aに対し、回動軸672により回動自在に支持されている。673は、ロータ案内体671を回動軸672回り(矢印Q方向)に付勢するばねであり、このばね673は、ロータ案内体671上のピン671aと、ユニット地板601aに固定されたピン675との間に配置され、圧電アクチュエータ71に対し、ロータ72を押圧している。また、このばね673は、圧電アクチュエータ71の振動体71aと平面的に重ねて配置されている。これによれば、上記各実施形態と比べた場合に、アクチュエータの平面サイズが小型化される。被駆動体を押圧する押圧ばね673は、振動体71又は被駆動体72或いは被駆動体案内体671等のいずれかと、或いはこれら複数の部材に跨って、平面的に重ねて配置してもよい。これによれば、任意のレイアウトが可能になり、さらなる平面サイズの小型化が達成される。
680は、上記の各実施形態と同様の構成の接続端子であり、このアクチュエータユニット600では、この接続端子680が、開口601bを通じてケース601の外部に突出し、出力取り出し可能にした上記出力車74が、開口601cを通じてケース601の外部に突出している。
駆動対象は、例えば腕時計のカレンダ機構等の負荷であってもよく、或いは、カメラ、デジタルカメラ、携帯電話等の携帯機器全般、さらにはプリンタ、プロジェクタ等の電子機器の負荷であってもよい。この圧電アクチュエータユニット600は、出力車74の少なくとも一部が出力取り出し可能にケース(ユニット地板)601から突出するため、この出力車74に駆動対象を連結するだけで、この駆動対象に対応した汎用アクチュエータタとしての利用が可能になる。
この負荷は、いわゆる腕時計のカレンダ機構であり、このカレンダ機構は、地板の一方の面(時計の文字板側)に支持され、その駆動源は、上述の圧電アクチュエータ71である。この圧電アクチュエータ71がロータ72の外周部に接触し、これによって、当該ロータ72を回転させる。圧電アクチュエータ71から、出力車74に至るまでの構造は、図8の実施形態と同じものである。
この出力車74は中間車274に噛み合い、中間車274の中間車かな274aには、中間車75が噛み合い、中間車かな75aには、中間車76が噛み合う。この中間車76は、制御車かな77に噛み合い、制御車かな77は制御車78と一体に形成される。ここまでは制御車78を回すための減速輪列である。なお、211は、制御車かな77の位置決め用のジャンパである。
そして、この24時検出車94には、24時車95が噛み合い、この24時車95の回転により、24時表示部205の表示指針205aが回転する。この表示指針205aは、1時間に1回送られる。
具体的には、図9に示すように、24時検出車94には、ばね接点97が設けられ、このばね接点97と対向する回路基板上に、24時検出車94が「午前零時」の回転位置となったときにばね接点97を介して導通する導通端子部(図示せず)が設けられる。このばねスイッチ310の開閉は、制御部によって検出される。すなわち、このばねスイッチ310は、「午前零時」を検出する24時検出手段として機能する。
本構成では、カレンダ駆動用の独立駆動源(圧電アクチュエータ71)を持つため、カレンダ単独で月末日付修正が可能となる。また、駆動源として圧電アクチュエータ71を用いることによって通常のカレンダ構造のみならず、上記のように複雑で高負荷なカレンダの高速駆動が可能となる。
本アクチュエータは、上記カレンダ機構の駆動源に限らず、例えばカメラ、デジタルカメラにおけるオートフォーカス、絞りの調整機構、フィルムの巻き上げ機構等の駆動源に適用可能であり、携帯電話であれば、例えば着信時のバイブレータ機構等の駆動源に適用可能であり、また、プリンタであれば紙送りモータや、キャリッジの駆動用モータ等に適用可能であり、さらに、プロジェクタであれば焦点合わせのズーム機構の駆動源や、脚の高さ調整機構の駆動源等に適用可能であり、要するに、あらゆる携帯機器、電子機器の駆動源に適用可能である。
Claims (5)
- 振動体の振動振幅を被駆動体に伝達し出力車から出力するアクチュエータにおいて、
前記被駆動体を被駆動体案内体に支持し、この被駆動体案内体を回動中心回りに回動させて当該被駆動体を、固定された振動体側に押圧すると共に、
前記被駆動体に連なる前記出力車を前記被駆動体案内体の回動中心と同軸状に配置し、
前記被駆動体と前記出力車との間に少なくとも1つのアイドラまたは減速段をなす車或いは増速段をなす車が配置され、当該車が被駆動体案内体に支持され、
前記出力車の回転中心と前記被駆動体の回転中心の各軸間を結ぶ線分の距離L1、出力車の回転中心と前記車の回転中心の各軸間を結ぶ線分の距離L2、前記車の回転中心と前記被駆動体の回転中心の各軸間を結ぶ線分の距離L3、距離L1の線分と距離L2の線分のなす角度θ、距離L1の線分と距離L3の線分のなす角度φとしたとき、各距離の比が、L2/L1=cosφ/(2・(cos((θ+φ)/2)) 2 )に設定され、前記出力車に負荷がかかった際に、被駆動体の回転軸に発生する反力、及び被駆動体と出力車の間に配置された前記車の回転軸に発生する反力によって発生する、被駆動体案内体の回動中心回りのモーメント合計が略零となるように構成されている
ことを特徴とするアクチュエータ。 - 前記被駆動体を押圧する押圧ばねを、前記振動体又は被駆動体或いは被駆動体案内体等と平面的に重ねて配置したことを特徴とする請求項1記載のアクチュエータ。
- 請求項1又は2記載のアクチュエータと、このアクチュエータが固定されたユニット地板とから構成され、
アクチュエータの出力車の少なくとも一部が出力取り出し可能にユニット地板から突出したことを特徴とするアクチュエータユニット。 - 請求項1又は2記載のアクチュエータまたは請求項3記載のアクチュエータユニットを搭載したことを特徴とする時計。
- 請求項1又は2記載のアクチュエータまたは請求項3記載のアクチュエータユニットを搭載したことを特徴とする電子機器。
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