JP4856477B2 - 生体光計測装置 - Google Patents

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Description

本発明は生体光計測装置に関し,特に生体内部の情報,特に光吸収物質の濃度変化を,光によって計測する生体光計測装置に関する。
生体に対する透過性が高い可視から近赤外領域の波長の光を用いると,生体内部の情報を無侵襲に計測することが可能である。これは,計測される光信号の対数値が光路長と濃度の積に比例することを示したLambert-Beer則に基づく。この法則を発展させ,例えば,生体中の「酸素化ヘモグロビン(Hb)」及び「脱酸素化Hb」の濃度変化と,光路長の積を表す生体信号(酸素化Hb信号,脱酸素化Hb信号)を計測する技術が開発されてきた。Hbは赤血球中にある酸素を運ぶ重要な物質で,酸素を取り込んだときと放出したときで特異な光吸収スペクトルを示す。そのため,異なる2つの波長を用いることにより,2つの生体信号(酸素化Hb信号,脱酸素化Hb信号)を計測できる。このような生体中のHb濃度変化を示す生体信号を計測する装置が,特許文献1や特許文献2などに記載されており,その有効性は,例えば,非特許文献1により示されている。非特許文献1では,大脳皮質における酸素化Hb信号や脱酸素化Hb信号を計測することにより,人の脳活動を可視化できることが示された。これは,人の知覚機能や運動機能の賦活に伴い,その機能を司る大脳皮質領野の血液量が局所的に増加するため,該当部位の酸素化Hbや脱酸素化Hbの濃度が変化し,酸素化Hb信号や脱酸素化Hb信号に脳の活動状況が反映されるためである。
現在の計測技術では,活動による血行動態の変化が生じた脳部位における局所的な光路長(有効光路長)を同定できないため,各Hbの濃度変化と有効光路長の積を計測し,各Hb信号として,脳活動に伴う大脳皮質の酸素状態変化の評価指標としている。実際の脳機能計測に適用できる波長域を検討した結果,690〜750 nmの波長を830 nm近辺の波長と組み合わせた場合に,780 nm近辺の波長を830 nm近辺の波長と組み合わせた場合より,計測誤差が小さくなり信号/雑音比(S/N)が向上することが示された(非特許文献3)。一方,830 nmと組み合わせる波長を漸次短くすると,計測される脱酸素化Hb濃度変化の信号強度が,弱まる傾向も同時に見られた(非特許文献3)。これは,吸光係数の差が大きいため計測誤差は小さくなるものの,830 nmから大きく離れた短い波長では,生体の吸収が強く,活動部位における光路長が短くなったためと考えられた(非特許文献3)。これは,透過光強度が,780 nmと830 nmではほぼ等しいものの,680〜750 nmでは830 nmより弱まる傾向からも推測される。また,2波長の光路の違いにより,酸素化Hb信号と脱酸素化Hb信号に相互作用(クロストーク)が生じ,信号強度に誤差が生じることも示唆されている(非特許文献4)。したがって,生体の透過率や光路長の等しさの観点からは,生体に対する光学特性が似ている2波長(例:780 nmと830 nm)を用いる方が良いことが示唆される。
上記のように,Hb吸光係数の差が大きくなる2波長を組み合わせることによって計測誤差を低減させることは可能である。ここでいう計測誤差とは,酸素化Hb信号や脱酸素化Hb信号等の生体情報とは無関係に生ずる信号揺らぎの振幅や標準偏差などで表わされる。このことは,計測感度を向上させる上で必要なことである。しかし,2波長間のHb吸光係数の差が大きくなるにつれて,特に脱酸素化Hb信号の強度が弱まる傾向が見出されている。これは,吸光係数の差が大きいため計測誤差は小さくなるものの,長波長側の一方の波長から大きく離れた短い波長では,生体に対する光学特性が異なり活動部位における光路長が短くなるため信号強度が弱まったため,と考えられる。非特許文献3では,690〜750 nm付近の波長を830 nmの波長と組み合わせる場合,計測誤差の低減度合いと比べて信号強度の弱まりは小さいため,780 nmを830 nmと組み合わせて計測した場合より,S/Nが向上することを示した。しかし,この信号強度の弱まりを防ぐことができないという問題があった。また,複数の計測点を配置して脳活動画像を計測する場合,計測点によって光路長は異なり信号強度の弱まり方にばらつきがある可能性がある。
本発明は,Hb吸光係数の差が大きい2波長を用いた場合でも,信号強度を弱めることなく,計測誤差だけ低減させ,より高いS/Nを実現できる生体計測装置を提供するものである。
酸素化Hb信号と脱酸素化Hb信号の算出方法について,以下に説明する。酸素化Hb濃度の変化をDCoxy,脱酸素化Hb濃度の変化をDCdeoxy,有効光路長をLとした場合,計測した透過光強度変化の対数ΔA(λ) と,酸素化Hbの吸光係数εoxy(λ)及び脱酸素化Hbの吸光係数εdeoxy(λ) を用いて,2波長(λ1, λ2)計測の結果から,以下の式(1)(2)が得られる。
Figure 0004856477
一般に,2波長の光を用いて酸素化Hb信号及び脱酸素化Hb信号を計測する場合,650〜800 nm間にある1波長と810〜900 nm間にある1波長の組み合わせが使われる。例えば,非特許文献1では,図1に示す780 nmと830 nmが用いられている。
一方,各Hb信号における計測誤差の観点から適切な波長組み合わせを検討した非特許文献2では,組み合わせる2波長間のHb吸光係数の差が大きくなるにつれて計測誤差(脳が活動していない期間における信号の標準偏差)が小さくなることが示された。例えば,一方の波長を830 nmに固定し,もう一方の波長を800 nmから650 nmまで漸次短く変化させると,図2に示すように各波長のHb吸光係数の関係で両Hb信号の計測誤差が小さくなる。
本発明者は,計測に用いる波長組み合わせに依存した信号強度の弱まりは,計測波長による活動部位の光路長(有効光路長)の違いに起因すると考え,その有効光路長を補正することにより,信号強度の弱まりを防ぐ方法を提案する。その手段は,主に2種類ある。
一つは,3波長以上の光を用いて,ある2波長の組み合わせで計測誤差が小さくなる生体情報,例えばHb信号を計測すると同時に,その組み合わせとは異なる2波長の組み合わせで活動信号の強度が弱まらないHb信号を計測し,前記計測誤差が小さいHb信号における信号強度が,前記信号強度が弱まらないよう計測したHb信号の信号強度と等しくなるよう補正する方法である。例えば,非特許文献3の知見によれば,692 nm,782 nm,830 nmの3波長同時計測をし,692 nmと830 nmの組み合わせにより算出したHb信号S1と,782 nmと830 nmの組み合わせにより算出したHb信号S2の両方を求めると,Hb信号S1はS/Nが良いが信号強度が小さく,Hb信号S2はS/Nは悪いが信号強度は大きくなる。そこで,Hb信号S2における脳活動信号強度を正しい値として,Hb信号S1における脳活動信号強度がその値になるよう補正することにより,信号強度が弱まらない,より高いS/Nを持つHb信号を得ることが出来る。つまり,上記の式(1)〜(3)を変形すると,有効光路長(L(λ1))が以下の式(4)で表されるので,はじめに,782 nmと830 nmの組み合わせにより算出した活動信号(Hb信号S2)をΔCoxyとΔCdeoxyとして代入し,ΔA(692),ΔA(830)を用いて,692 nmと830 nmの組み合わせで計測した場合の相対的な有効光路長L(692 nm)を求める。
Figure 0004856477
このL(692 nm),及び透過光強度変化ΔA(692),ΔA(830)を式(1)(2)で解くことによって,Hb信号S1のS/Nで,Hb信号S2の信号強度を持つHb信号S3を得ることができる。
もう一つの方法は,S/Nがよくなると考えられる組み合わせの2波長(例:692 nmと830 nm)だけを用いて計測を行い,事前に定めた予想される2つの信号強度の割合(例. oxy-Hb信号の増加:deoxy-Hb信号の減少)に合うよう,計測データを補正する方法である。この方法は,例えば一方のHb信号(脱酸素化Hb信号)の強度だけが弱まる場合に特に有効である。一方のHb信号強度だけが弱まるという現象は,2波長の有効光路長の違いによるクロストークが原因で生じる場合がある(非特許文献4)。本発明では,脳活動に伴う血液酸素化状態の変化がある程度決まっていると仮定して,計測データが予想される酸素化Hb信号強度と脱酸素化Hb信号強度の割合から外れた場合,弱まった方のHb信号強度に適切な係数を乗算あるいは和算・減算して補正する。このとき,有効光路長が影響するHb信号強度とは脳活動に起因する信号変化量だけなので,補正する期間は脳活動が生じた期間のみに限定する。Hb信号の全期間に補正を加えてしまうと,他の装置ノイズ等も増幅してしまう結果になるので,補正期間を活動期間に限定することにより,効率よくS/Nを向上させることが出来る。
本発明の生体光計測装置によれば,従来は両立できなかった高いS/N(計測誤差の低減)と強い信号強度の両方を兼ね備えた生体信号を得ることができる。このことにより,脳活動を表すHb信号変化を,より精度よく検出することが可能となる。
以下,図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
本実施例の基本形態を,図3及び図4を参照して説明する。図3は,本実施例による生体光計測装置の概要を示すブロック図である。生体光計測部は,パーソナルコンピュータやワークステーションに代表される電子計算機から構成される制御装置602,異なる波長(λ1,λ2,λ3)にピーク波長を持つ3つのレーザダイオード610,611,612,3つのレーザダイオードを異なった周波数で変調するための信号を生成する発振器607,608,609,ピーク波長の異なる3つの光を混合する光混合器613,光混合器613からの光を被検体上の光照射位置に照射する光ファイバ616,光照射位置から適度に離れた光検出位置(本実施例では約3cm離れた点)から混合光を光ファイバ615経由で検出する光検出器614,発振器607,608,609からの変調周波数が参照信号として入力されたロックインアンプ604,605,606,ロックインアンプの出力である各波長帯の光の透過光信号をアナログ信号からデジタル信号へ変換するアナログ−デジタル変換器603を備える。光照射位置と光検出位置の略中点を,計測位置の中心とする。図3には,計測位置1点のみ計測する装置構成を示したが,複数の計測位置を配置することも可能である。
本装置では,各照射光信号は発振器を用いて異なる周波数で変調されているため,一つの計測点(検出器)から,異なる位置から照射された複数の光信号を分離して計測することが出来る。また,本実施例では発振器を用いて複数の光信号を分離しているが,発振器は使わずにパルス光を用いて点灯タイミングで光信号を分離することも可能である。各波長の透過光信号はアナログ−デジタル変換器603でアナログ−デジタル変換された後,制御装置602に入力・記憶される。制御装置602では,計測した3波長の透過光信号から計測部位における各Hb信号を算出し,表示装置601に表示する。Hb信号の算出手段について図4のチャートを用いて以下に説明する。
まず,各計測点において,3波長による生体光計測を行う(S11)。本実施例で用いる3波長(λ1,λ2,λ3)は,λ1が680〜760 nmの範囲,λ2が770〜790 nmの範囲,λ3が810〜850 nmの範囲にあり,λ1とλ3を組み合わせた場合と,λ2とλ3を組み合わせた場合の2通りの波長組み合わせでHb信号を算出する(S12)。その方法は,前記式(1)〜(3)による。λ2とλ3の組み合わせで計測したHb信号S1は,脳活動に伴うHb信号変化(Hb信号強度;酸素化Hb信号の増加と脱酸素化Hb信号の減少)が大きいが,ノイズ(高周波の計測誤差)が多いため,S/Nが悪い。一方,λ1とλ3の組み合わせで計測したHb信号S2は,Hb信号S1よりS/Nは良いが,脳活動に伴うHb信号変化が小さくなる傾向がある。このようにHb信号S1とHb信号S2のそれぞれが異なる利点を持っているため,両方を取り入れた新しいHb信号を算出する。そのために,本実施例では,まずλ2とλ3の組み合わせにより算出したHb信号S1から,脳活動期間を設定して(S13),脳活動の生じた期間における各Hb信号強度を求める。これは,補正する信号強度が脳活動に伴う変化量であるという前提に基づき,脳が活動している期間を限定する必要があるためである。
詳細に説明すれば,計測波長に依存して弱まる信号強度は,脳活動部位を透過する光路長の影響であるため,脳活動が生じていない期間では信号強度に違いは生じない。そのため,脳活動期間だけを選択的に補正する必要がある。この活動期間の設定方法として,図4では主な3種類を挙げた。一つは,理論的に予想される期間を自動設定する方法である(S13-1)。脳活動に伴う血流量変化は,神経活動から約5〜6秒遅れて生じることが知られているため,例えば,刺激の呈示期間から5〜6秒遅らせた期間を活動期間として設定する。また,計測された活動信号波形(Hb信号)をユーザーが参照し,任意の活動期間を設定する方法も有効である(S13-2)。図5は,活動期間を設定するための画面構成例を示す図である。画面の左側には,λ2とλ3の組み合わせにより算出されたHb信号S1(酸素化Hb信号,脱酸素化Hb信号)を表示するウィンドウがあり,画面右側には活動期間の設定ウィンドウが設けられている。Hb信号S1を表示するウィンドウには,Hb信号S1に重ねて刺激期間及び設定された活動期間が表示される。図5には,5秒から20秒まで呈示された15秒間の刺激期間に対し,10秒から25秒までの15秒間を活動期間として設定する例を示した。また,活動期間の設定ウィンドウには,設定した活動期間15秒間における各Hb信号の平均変化量が,酸素化Hb信号量と脱酸素化Hb信号量として表示される。
更に,最も活動信号値が大きくなる期間,あるいは変化量が統計的に有意になるような活動期間を自動的に設定する方法も可能である(S13-3)。ここでの統計的手法とは,例えばHb信号強度(酸素化Hb信号あるいは脱酸素化Hb信号)を標準得点(z値)として表し,安静期間における平均値から標準偏差のある一定倍の範囲から信号強度が出た場合に活動とみなす方法や,t検定や分散分析を用いて,安静期間における平均値と比べて,ある閾値以下の確率でしか生じない信号強度を示した場合に活動とみなす方法などである。上記のいずれかの方法で設定した活動期間における平均変化量を,Hb信号S1の活動強度とする(S14)。
Hb信号S1の活動強度を算出した後,λ1とλ3の組み合わせによるHb信号S2を求めるが(S15),その方法には2通りある。一つは,Hb信号の算出式に戻る方法である。はじめに上記Hb信号S1の活動強度を酸素化Hb信号量ΔCoxy,脱酸素化Hb信号量ΔCdeoxyとして,ΔA(λ1)を上記の式(4)に代入し,λ1とλ3を用いた場合の相対的な有効光路長L(λ1)を求める(S16)。このL(λ1),及び透過光強度変化ΔA(λ1),ΔA(λ3)を式(5)(6)(7)で解くことによって補正されたHb信号S2が得られる。ただし,L(λ1)を代入する期間は,前述したように,補正する信号強度が脳活動に伴う変化量であるという前提に基づき,上記の活動期間に限定する(S17)。
Figure 0004856477
もう一つは,有効光路長Lを算出せずにHb信号を算出した後で補正する方法である。例えば,λ2とλ3の組み合わせにより求めたHb信号量を真値と仮定して(S18),λ1とλ3の組み合わせにより求めたHb信号の活動期間におけるHb信号量がその真値になるよう補正する(S19)。これは,例えば,真値になるような係数を乗算,あるいは過不足分を和算・減算することによって可能である。
以上のような方法で,3波長(λ1,λ2,λ3)のデータから,λ1とλ3を組み合わせて求めたHb信号と,λ2とλ3を組み合わせて求めたHb信号の,2種類のHb信号を使って,より高いS/Nを持つHb信号S3を得ることが出来る。Hb信号S1とHb信号S2から,補正後のHb信号S3を求めた例を,図6に示した。
上記いずれの方法を用いた場合でも,最終的には,各計測点における補正後のHb信号S3を,時間変化,活動強度,統計値などで空間的に表示する。図7は,t検定や分散分析などに代表される統計解析によって活動と認められた計測点の活動強度を,色の濃淡で示した例である。左の補正前と比較すると,右の補正後の図では,より活動部位の中心が明確になる。本実施例では,Hb信号の時間データを補正したが,活動を示す何らかの代表値により脳活動画像を表示する場合,その代表値だけを補正することも可能である。
本実施例の基本形態を,図8を参照して説明する。図8は,本実施例による生体光計測装置の概要を示すブロック図である。本実施例の生体光計測部は,パーソナルコンピュータやワークステーションに代表される電子計算機から構成される制御装置1102,異なる波長(λ1,λ2)にピーク波長を持つ2つのレーザダイオード1108,1109,2つのレーザダイオードを異なった周波数で変調するための信号を生成する発振器1106,1107,ピーク波長の異なる2つの光を混合する光混合器1110,光混合器1110からの光を被検体上の光照射位置に照射する光ファイバ1113,光照射位置から適度に離れた光検出位置(本実施例では約3cm離れた点)から混合光を光ファイバ1112経由で検出する光検出器1111,発振器1106,1107からの変調周波数が参照信号として入力されたロックインアンプ1104,1105,ロックインアンプの出力である各波長帯の光の透過光信号をアナログ信号からデジタル信号へ変換するアナログ−デジタル変換器1103を備える。光照射位置と光検出位置の略中点を,計測位置の中心とする。図8には,図3と同様に計測位置1点のみ計測する装置構成を示したが,通常は複数の計測位置を配置する。各波長の光の透過光信号はアナログ−デジタル変換器1103でアナログ−デジタル変換された後,制御装置1102に入力・記憶される。制御装置1102では,計測した2波長の透過光信号から計測部位における各Hb信号を算出し,表示装置1101に表示する。Hb信号の算出手段について以下に説明する。
本実施例で用いる2波長(λ1,λ2)は,λ1が680〜760 nmの範囲,λ2が810〜850 nmの範囲にあり,2波長の組み合わせでHb信号を算出する。その方法は,前記した式(1)〜(3)による。先述したように,非特許文献3には,690〜750 nm付近の波長を830 nmの波長と組み合わせた場合,780 nmを830 nmと組み合わせて計測した場合より,計測誤差は低減するものの信号強度が弱まる傾向が示されている。従って,本実施例で計測される信号強度も780 nmと830 nmの組み合わせで計測した信号強度より弱くなると考えられるため,以下の方法により信号強度を補正する。ここでは,図9のチャート及び図10に示した画面構成例に基づき説明する。
はじめに,各計測点において2波長(λ1,λ2)で生体光計測を行い(S21),λ1とλ2の組み合わせによりHb信号を算出した後(S22),活動期間を設定する(S23)。これは,補正する信号強度が脳活動に伴う変化量であるという前提に基づき,脳が活動している期間を限定する必要があるためである。詳細に説明すれば,計測波長に依存して弱まる信号強度は,脳活動部位を透過する光路長の影響であるため,脳活動が生じていない期間では信号強度に違いは生じない。そのため,脳活動期間だけを選択的に補正する必要がある。
この活動期間の設定方法として,図9では3通り記した。一つは,理論的に予想される期間を自動設定する方法である(S23-1)。脳活動に伴う血流量変化は,神経活動から約5〜6秒遅れて生じることが知られているため,例えば,刺激の呈示期間から5〜6秒遅らせた期間を活動期間として設定する。また,表示された活動信号波形をユーザーが参照し,任意の活動期間を設定する方法も有効である(S23-2)。図10の例では,活動期間設定部1301によりユーザーが活動期間を設定する方法を示した。ここでは,活動期間を8.1秒から28.0秒までの期間として設定している。また,最も活動信号値が大きくなる期間,あるいは変化量が統計的に有意になるような活動期間を自動的に設定する方法も可能である(S23-3)。ここでの統計的手法とは,例えばHb信号強度(酸素化Hb信号あるいは脱酸素化Hb信号)を標準得点(z値)として表し,安静期間における平均値から標準偏差のある一定倍の範囲から信号強度が出た場合に活動とみなす方法や,t検定や分散分析を用いて,安静期間における平均値と比べて,ある閾値以下の確率でしか生じない信号強度を示した場合に活動とみなす方法などである。
設定した活動期間を表示バー1303に,実際のHb信号S2をグラフ1304に表示し,設定した活動期間における平均変化量を信号強度として算出し,表示部1307に表示した(S24)。グラフ1304において,Aは酸素化Hb信号の変化を,Bは脱酸素化Hb信号の変化を表している。本実施例では,酸素化Hb信号と脱酸素化Hb信号の強度の割合を基準にして,Hb信号の補正を行うため,実際の酸素化Hb信号強度と脱酸素化Hb信号強度の比率を表示部1307に表示した。
次に,右上の補正基準設定部1302で活動信号強度の補正基準を設定する(S25)。ここでは,理論的に予想される活動に伴う酸素化Hb信号の増加と脱酸素化Hb信号の減少の比率(標準比率)を設定する例を示した。これまでの一般的な知見では,脳活動に伴うHb信号の変化は,酸素化Hb信号の増加と脱酸素化Hb信号の減少であり,その変化量を比較すると,酸素化Hb信号の増加:脱酸素化Hb信号の減少はおよそ2:1くらいである。従って,本実施例では,補正基準を「酸素化Hb信号:脱酸素化Hb信号=2:-1」として設定部1302に記した。
次に,表示部1307に表示された実際に計測したHb信号の活動強度比率と,補正基準設定部1302で設定した補正基準の活動強度比率を比較し,異なる場合に以下の補正を行う。本実施例では,実際の計測信号における酸素化Hb信号強度と脱酸素化Hb信号強度の比率は,4.97:-1であったため,補正基準設定部1302で設定した補正基準(2:-1)より酸素化Hb信号強度が大きい(脱酸素化Hb信号強度が小さい)ことが分かる。非特許文献3によれば,780 nmより短い波長を830 nmと組み合わせた場合,780 nmを830 nmと組み合わせて計測した場合より,脱酸素化Hb信号強度が弱まる傾向が示されているため,本実施例でも酸素化Hb信号強度は正確に計測できていると仮定し,脱酸素化Hb信号強度の方を補正した。ここでは,脱酸素化Hb信号強度を設定した補正基準「酸素化Hb信号:脱酸素化Hb信号=2:-1」に合致する-0.066とするために,活動期間1305における脱酸素化Hb信号強度に-0.0385を和算し(S27),その結果をグラフ1306として表示した。左のグラフ1304と比べて,補正後のグラフ1306の脱酸素化Hb信号強度の減少が大きくなっていることが分かる。また,酸素化Hb信号と脱酸素化Hb信号の比率だけでなく,信号強度を標準化する場合もあり得る。例えば,活動の中心における酸素化Hb信号を1.0,脱酸素化Hb信号を−0.5となるよう両方のHb信号を補正し(酸素化Hb信号:脱酸素化Hb信号=2:−1),他の計測位置の活動信号は,この活動中心における活動信号強度を基準にした相対値で表す(酸素化Hb信号と脱酸素化Hb信号の比率は同じく2:−1とする)。この方法により,活動信号のばらつきが大きい被検者間の活動比較が容易となる。補正方法としては,一方の(活動期間における)Hb信号に補正値を和算する以外にも,適切な係数を乗算する方法を用いることも可能である。例えば,図10のケースでは,脱酸素化Hb信号を2.485倍することにより信号強度の比率が設定した補正基準になるが,乗算すると脳活動に伴うHb信号変化以外のノイズも一緒に増幅してしまう場合があるので注意が必要である。補正の効果を確認するため,表示部1308に補正後の各Hb信号強度を表示した。
最後に,実施例1と同様に,各計測点における補正後のHb信号S2を,時間変化,活動強度,統計値などで空間的に表示する(S28)。図7は,各計測点の活動強度を示す統計値を色の濃淡で示した例である。左の補正前と比較すると,右の補正後の図では,より活動部位の中心が明確になる。本実施例では,Hb信号の時間データを補正したが,活動を示す何らかの代表値により脳活動画像を表示する場合,その代表値だけを補正することも可能である。
以上、本発明を実施例に基づいて説明してきたが、本発明によれば高いS/Nと強い信号強度の両方を兼ね備えた生体信号を得ることができ,脳活動を表すHb信号変化を,より精度よく検出することが可能となる。つまり,統計的に活動を評価する場合に,従来はS/Nが低く検出できなかった小さな活動を,本発明の補正法により検出できる場合もあり得る。更に,多点同時計測により空間的な脳活動情報を得る場合には,活動部位が強調されて非活動部位との差が明確になり,より高精度に活動部位の中心を同定することができる。このように計測精度の向上が実現すれば,脳活動信号の取得に必要だった計測データの加算回数を減らすことが出来るため,計測時間の短縮にも繋がる。計測時間の短縮は,脳機能計測の大きな課題であった被検者の負担軽減に有効である。
各Hbの吸光スペクトルを示す図。 誤差伝播式より求めたHb変化計測誤差の波長依存性を示す図。 3波長計測を行う生体光計測装置の構成例を示すブロック図。 3波長計測による処理手順をフローチャート。 活動期間を設定するための画面構成例を示す図。 2つの異なる波長組み合わせで計測したHb信号から,新しいHb信号S3を得る方法の説明図。 多点計測により得られた脳活動画像(補正前と補正後)の概念図。 2波長計測を行う生体光計測装置の構成例を示すブロック図。 2波長計測による処理手順を示すフローチャート。 実際に得られたHb信号を補正する表示画面例を示す図。
符号の説明
601…Hb信号表示部,602…制御装置,603…アナログデジタル変換器,604…ロックインアンプ,605…ロックインアンプ,606…ロックインアンプ,607…発振器,608…発振器,609…発振器,610…光源,611…光源,612…光源,613…光混合器,614…光検出器,615…光ファイバ,616…光ファイバ,1101…Hb信号表示部,1102…制御装置,1103…アナログデジタル変換器,1104…ロックインアンプ,1105…ロックインアンプ,1106…発振器,1107…発振器,1108…光源,1109…光源,1110…光混合器,1111…光検出器,1112…光ファイバ,1113…光ファイバ,1301…活動期間設定部,1302…補正基準設定部,1303…活動期間を表すバー,1304…実際の計測信号グラフ,1305…活動期間を表すバー,1306…補正された計測信号グラフ,1307…実際の計測信号における活動信号強度の表示部,1308…補正された計測信号における活動信号強度の表示部

Claims (6)

  1. 可視から近赤外領域にある複数波長の混合光を被検体へ照射する光照射手段と,
    前記光照射手段から照射され被検体内部を伝播した前記複数波長の透過光を受光する受光手段と,
    前記受光手段による受光信号から前記複数波長の透過光信号をそれぞれ分離して検出する検出手段と,
    前記光照射手段と前記受光手段の間の計測点に関し,前記複数波長の透過光信号から第1の吸光物質の濃度と第2の吸光物質の濃度を算出する生体情報算出手段と,
    前記第1の吸光物質の濃度の変化量と前記第2の吸光物質の濃度の変化量の比率が一定になるよう,前記第1の吸光物質の濃度と前記第2の吸光物質の濃度の一方あるいは両方を補正する制御手段を有することを特徴とする生体光計測装置。
  2. 請求項記載の生体光計測装置において,期間を入力する入力手段を有し,前記比率は,前記入力された期間内で,刺激に応じて変化した前記第1の吸光物質の濃度の変化量と前記第2の吸光物質の濃度の変化量の比率であることを特徴とする生体光計測装置。
  3. 請求項記載の生体光計測装置において,前記制御手段は,刺激前の前記第1の吸光物質の濃度又は第2の吸光物質の濃度と刺激後の前記第1の吸光物質の濃度又は第2の吸光物質の濃度を統計的に比較してその差が統計的に有意になった期間を決定し,前記期間内で前記補正を行うことを特徴とする生体光計測装置。
  4. 請求項記載の生体光計測装置において,前記光照射手段及び前記受光手段を複数有し,前記制御部は,複数の計測点における前記補正された生体情報を画像として出力することを特徴とする生体光計測装置。
  5. 請求項記載の生体光計測装置において,前記複数波長のうちの2つの波長は680〜760 nmの範囲と810〜850 nmの範囲にあることを特徴とする生体光計測装置。
  6. 請求項記載の生体光計測装置において,前記第1の物質は酸素化ヘモグロビンであり,前記第2の物質は脱酸素化ヘモグロビンであることを特徴とする生体光計測装置。
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