以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の原理ブロック図である。図において、20は移動無線端末(MS)である。移動無線端末20において、1はハンドオーバー処理実行の条件に関する情報を収集し、ハンドオーバー処理の実行を決定するハンドオーバー決定部、2は通信相手端末から受信したデータに対する受信応答を全て返送したか否かの判定を行ない、受信応答を全て返送していると判定した場合には受信応答返送完了をハンドオーバー実行部に通知する受信応答返送判定部である。
3は通信相手端末へ送信したデータに対する受信応答を全て受信したか否かの判定を行ない、受信応答を全て受信していると判定した場合には受信応答受信完了をハンドオーバー実行部に通知する受信応答受信判定部、4は受信応答返送判定部2と受信応答受信判定部3から通知を受け、若しくはハンドオーバー強制実行決定部からハンドオーバー処理実行の通知を受けると、ハンドオーバー処理を実行するハンドオーバー実行部、5はハンドオーバー処理を強制的に実行する条件を記憶する強制実行条件記憶部である。
6はハンドオーバー処理の強制実行の条件に関する情報を収集し、ハンドオーバー処理の強制実行を決定し、ハンドオーバー処理の強制実行を決定するとハンドオーバー処理の実行をハンドオーバー実行部4に通知するハンドオーバー強制実行決定部、7は通信相手端末から最後に受信した送信データの送信用シーケンス番号を格納するDL送信シーケンス番号格納部、8は通信相手端末に最後に返送した受信応答の応答確認番号を格納するDL受信用応答確認番号格納部、9は通信相手端末に最後に送信した送信データの送信用シーケンス番号を格納するUL送信シーケンス番号格納部、10は通信相手端末から最後に受信した受信応答の応答確認番号を格納するUL応答確認番号格納部である。このように構成された移動無線端末の動作を概説すれば、以下の通りである。
(第1の実施の形態に関し)
ハンドオーバー決定部1は、ハンドオーバー処理実行の条件に関する情報を定期、又は不定期に収集し、収集した情報に基づいてハンドオーバー処理を実行すべきか否かを監視する。そして、監視の結果ハンドオーバー処理を実行すべきと決定した場合には受信応答返送判定部2に判定処理を依頼する。受信応答返送判定部2は、通信相手端末から受信したデータに対する受信応答の返送状況を監視し、受信応答が全て返送されたと判断した場合には、その旨をハンドオーバー実行部4に通知する。該ハンドオーバー実行部4は、受信応答返送判定部2から通知を受けると、ハンドオーバー処理を実行する。
これにより、ハンドオーバー処理の実行前に全ての受信応答を返送するため、ハンドオーバー処理時に受信応答が移動無線端末に滞留することがなく、通信相手のデータ再送タイマがタイムアウトすることを防ぐことができ、前記スロースタートアルゴリズムによるハンドオーバー処理完了後の通信スループットの低下を防ぐことが可能となる。
(第2の実施の形態に関し)
DL送信シーケンス番号格納部7は、通信相手端末から受信した送信データを監視し、送信データに付与されている送信シーケンス番号を格納しておく。DL受信用応答確認番号格納部8は、通信相手端末へ返送した受信応答を監視し、受信応答に付与されている応答確認番号を格納しておく。前記受信応答返送判定部2は、DL送信シーケンス番号格納部7に格納してある送信用シーケンス番号と、DL受信用応答確認番号格納部8に格納してある応答確認番号を取得し、その値を比較することによって受信応答が全て返送されたか判断することができる。
これにより、一つの受信応答が複数の送信データの受信応答に対応する場合でも、受信応答の返送状況を正確に把握することが可能となる。
(第3の実施の形態に関し)
前記ハンドオーバー決定部1は、ハンドオーバー処理を実行すべきと決定した場合には、受信応答返送判定部2の他に受信応答受信判定部3に判定処理を依頼することができる。受信応答受信判定部3は、通信相手端末に送信したデータに対する受信応答の受信状況を監視し、受信応答が全て受信されたと判断した場合には、その旨をハンドオーバー実行部4に通知する。該ハンドオーバー実行部4は、受信応答返送判定部2と受信応答受信判定部3から通知を受けると、ハンドオーバー処理を実行する。
これにより、ハンドオーバー処理の実行前に全ての受信応答を通信相手端末から受信するため、ハンドオーバー処理後にMSのデータ再送タイマがタイムアウトすることを防ぐことができ、前記スロースタートアルゴリズムによるハンドオーバー処理完了後の通信スループットの低下を防ぐことが可能となる。
(第4の実施の形態に関し)
UL送信シーケンス番号格納部9は、通信相手端末に送信した送信データを監視し、送信データに付与している送信用シーケンス番号を格納しておく。UL受信用応答確認番号格納部10は、通信相手端末から受信した受信応答を監視し、受信応答に付与されている応答確認番号を格納しておく。受信応答受信判定部3は、UL送信シーケンス番号格納部9に格納されている送信用シーケンス番号と、UL受信用応答確認番号格納部10に格納されている応答確認番号を取得し、双方の値を比較することにより、受信応答が全て返送されたかどうかを判断することができる。
これにより、1つの受信応答が複数の送信データの受信応答に対応するような場合でも、受信応答の受信状況を正確に把握することが可能となる。
(第5の実施の形態に関し)
ハンドオーバー強制実行決定部6は、ハンドオーバー処理の強制実行の条件に関する情報を定期又は不定期に収集し、収集した情報に基づいてハンドオーバー処理を強制的に実行すべきか否かを監視する。そして、監視の結果、ハンドオーバー処理を強制的に実行すべきと決定した場合には、ハンドオーバー実行部4にその旨を通知する。該ハンドオーバー実行部4は、ハンドオーバー強制実行決定部6から通知を受けるとハンドオーバー処理を実行する。
これにより、移動無線端末が受信応答の受信又は返送待ちの状態であっても、強制実行の条件を満たせばハンドオーバー処理を実行することができ、受信応答の受信又は返送待ちの状態のまま無線基地局との交信が途切れるという状況を回避することが可能となる。
次に、本発明の実施例について説明する。図2は本発明が適用されるシステム構成例を示す図である。図1と同一のものは、同一の符号を付して示す。図は、移動無線端末(MS)20と、2つの無線基地局(BS)30のBS#1,BS#2と、両基地局から到達可能なネットワーク35上に位置するサーバ40からなり、MSが移動しながら基地局BS#1を介してサーバ40とTCPを用いて通信し、更に常時BS#1からの受信信号強度(RSSI:Receive Signal Strength Indicator)を監視し、受信信号強度に対する信号雑音の比(CINR:Carrior Interface +Noise Ratio)が小さくなると交信する基地局をBS#2に切り替えてサーバ40と通信を行なうシステムを示している。
図3は本発明における移動無線端末の一実施の形態を示すブロック図である。図1と同一のものは、同一の符号を付して示す。21はBSからRSSI値と雑音成分を定期又は不定期に測定してCINR値を算出し、算出した結果をハンドオーバー決定部1へ通知するCINR測定部、1はCINR測定部21から交信しているBSのCINR値を受け取り、取得したCINR値がハンドオーバー実行条件格納部22若しくはハンドオーバー強制実行条件格納部23に保持している条件を満たしているか否かの判定を行ない、ハンドオーバー実行条件格納部22に保持している条件を満たした場合には、受信応答返送判定部2、受信応答受信判定部3、DL制御部24及びUL制御部25に処理依頼を通知し、ハンドオーバー強制実行条件格納部23に保持している条件を満たした場合には、ハンドオーバー実行部4に処理依頼を通知するハンドオーバー決定部である。
22は、受信応答の受信又は返送状況をチェックしながらハンドオーバー処理を実行する場合の条件を格納するハンドオーバー実行条件格納部である。図4にこのハンドオーバー実行条件格納部22に格納される条件についての一例を示す。この図に示す例では、CINR値が20dBよりも小さくなった場合に、受信応答の受信又は返送状況をチェックしながらハンドオーバー処理を実行するものとしている。23は、ハンドオーバー処理を強制的に実行する場合の条件を格納するハンドオーバー強制実行条件格納部である。図5にこのハンドオーバー強制実行条件格納部23に格納されている条件についての一例を示す。この図5に示す例では、CINR値が12.5dBより小さくなった場合に、ハンドオーバー処理を強制的に実行するものとしている。
2はハンドオーバー決定部1から処理依頼を受けると、通信相手からのデータ受信状況と、そのデータに対する受信応答の返送状況から、全ての受信データに対して受信応答を返送しているか否かを判定する受信応答返送判定部である。なお、DL送信シーケンス番号格納部7及びDL受信用応答確認番号格納部8がある場合は、判定の際にそれらに格納されている情報を用いてもよい。受信応答を全て返送している場合は、受信応答返送判定部2は、ハンドオーバー実行部4に処理依頼を通知する。
3はハンドオーバー決定部1から処理依頼を受けると、通信相手へのデータ送信状況とそのデータに対する受信応答の受信状況から、全ての送信データに対して受信応答を受信しているか否かを判定する受信応答受信判定部である。UL送信シーケンス番号格納部9及びUL受信用応答確認番号格納部10がある場合は判定の際に、それらに格納されている情報を用いてもよい。受信応答を全て受信している場合は、受信応答受信判定部3はハンドオーバー実行部4に処理依頼を通知する。
7は通信相手から受信したデータのシーケンス番号を保持するDL送信シーケンス番号格納部である。図6にこのDL送信シーケンス番号格納部7に格納されているシーケンス番号についての一例を示す。図に示す例では、シーケンス番号が100番のデータを受信した状態となっている。
8は通信相手から受信したデータに対して返送した受信応答の受信応答番号を保持するDL受信用応答確認番号格納部である。図6に、このDL受信用応答確認番号確認部8に格納されるシーケンス番号についての一例を示す。図に示す例では、応答番号が100番の受信応答を返送した状態となっている。9は通信相手に送信したデータのシーケンス番号を保持するUL送信シーケンス番号格納部である。図7にこのUL送信シーケンス番号格納部9に格納されるシーケンス番号についての一例を示す。図に示す例では、シーケンス番号が500番のデータを送信した状態となっている。
10は通信相手に送信したデータに対して受信した受信応答(ACK)の受信応答番号を保持するUL受信用応答確認番号格納部である。図7にこのDL受信用応答確認番号格納部に格納されるシーケンス番号についての一例を示す。図7に示す例では、応答番号が500番の受信応答を返送した状態となっている。4は、受信応答返送判定部2、受信応答受信判定部3、又はハンドオーバー決定部1から処理依頼を受けると、ハンドオーバー処理を実行し、ハンドオーバー処理が完了すると、DL制御部24及びUL制御部25に処理依頼を通知するハンドオーバー実行部である。
26は通信相手からの送信されたデータをネットワーク35(図2参照)から受信してOS41へデータを受け渡すほか、通信相手向けの送信データをデータ解析部27から受け取り、ネットワーク35上に送信する送受信部である。27は、通信相手とのアップリンク(Up Link)・ダウンリンク(Down Link)データを監視し、通信相手に送信したデータ及び受信応答、通信相手から受信したデータ及び受信応答の数をカウントし、個別のカウント数を受信応答受信(返送)判定情報として受信応答返送判定部2及び受信応答受信判定部3へ通知するデータ解析部である。
図8にデータ解析部27がカウントする各データのカウント値についての一例を示す。図に示す例では、通信相手から受信したデータ数(DL受信データ数)は2000、それに対する受信応答返送数(DL受信応答返送数)は2000、通信相手に送信したデータ数(UL送信データ数)は1000、それに対する受信応答受信数(UL受信応答受信数)は1000である状態となっている。また、受信応答受信(返送)判定情報として送受信データのシーケンス番号、応答確認番号を用いてもよい。
41は送受信部26から受け取ったデータを適切なアプリケーションへ受け渡すほか、アプリケーションが通信相手向けに送信したデータをアプリケーション部42から受け取り、データ解析部27に受け渡すOS(オペレーティングシステム)である。24は、ハンドオーバー決定部1から処理依頼を受けると、告知ウィンドウサイズを0としたパケットを通信相手に送信して通信相手に対して新たなパケットの送信を停止させると共に、ハンドオーバー実行部4から処理依頼を受けると、告知ウィンドウサイズを1以上としたパケットを通信相手に送信して送信して通信相手に対して新たなパケットの送信を再開させるDL制御部である。
42は、ハンドオーバー決定部1から処理依頼を受けると、アプリケーション部42から受け取ったデータを蓄積し、データの送信(データ解析部27への受け渡し)を停止すると共に、ハンドオーバー実行部4から処理依頼を受けると、アプリケーション部42から受け取ったデータの蓄積を解除し、データの送信(データ解析部27への受け渡し)を再開するUL制御部である。42は、通信相手に送信するデータをOS41に受け渡す他、通信相手から受信したデータをOS41から受け取るアプリケーション部である。このように構成された装置の動作を以下に説明する。
(実施の形態1)
この時には、例えばCINR測定部21と、ハンドオーバー決定部1と、ハンドオーバー実行条件格納部22と、受信応答返送判定部2と、ハンドオーバー実行部4と、データ解析部27と、送受信部26と、OS41と、DL制御部24と、アプリケーション部42とで構成される。次に、各構成要素の動作を処理の流れに沿って説明する。
1.ハンドオーバー実行条件格納部22は、予めハンドオーバー処理実行の条件についての情報を保持しておく。設定の手段としては、例えば、管理者がコマンドにより設定してもよいし、BS30(図2参照)からの定期又は不定期な通知により情報を設定してもよい(本発明ではその手段については特定しない)。本実施の形態では、例えば図4に示すようにCINR値が20dBよりも小さくなった場合にハンドオーバー処理の実行を決定する。
なお、本発明を適用したMSは、従来のMSに較べてハンドオーバー処理の実行の決定から実際にハンドオーバー処理を実行するまでに(受信応答を全て返送するのを待つために)時間を要する。その結果、MSが高速で移動している場合には、従来のMSと較べて本発明を適用したMSはハンドオーバー処理の実行決定から実行までの間にBSとの交信が途切れてしまう可能性が高くなる。そのため、ハンドオーバー処理の実行決定の閾値を従来よりも高めに設定し、BSとの交信を切れにくくする等の考慮が必要となる。
2.送受信部26、データ解析部27、OS41、アプリケーション部42は、連携して定期又は不定期に通信相手端末とデータの送受信及び受信応答の送受信を行なう。ダウンリンク(Down Link)に関して説明すると、送受信部26は通信相手端末からのデータ及び受信応答をネットワーク上から取得し、データ解析部27に受け渡す。データ解析部27では、内部処理を行ない(詳細後述)、取得したデータ及び受信応答を更にOS41へ受け渡す。OS41は、データに関しては適切なアプリケーションに受け渡す他、受信応答に関してはデータ再送タイマをクリアする。アップリンク(Up Link)に関してはダウンリンクの処理とは逆の流れで処理を行なう。
3.なお、データ解析部27は、通信相手端末からのデータを送受信部26から受け取った場合、DLデータ受信数をカウントアップする。また、OS41から通信相手端末からのデータに対する受信応答を受け取った場合、DL受信応答返送数をカウントアップする。本実施の形態では、例えば図8に示すように、DL受信データ数が2000、DL受信応答返送数は2000であり、受信データに対する受信応答を全て返送している状態であるものとする。
4.また、CINR測定部21は、定期又は不定期にBS30のRSSI値と雑音成分を測定してCINR値を算出する。本実施の形態では、例えば算出したCINR値が15dBとする。CINR測定部21はそのCINR値15dBをハンドオーバー決定部1に通知する。
5.ハンドオーバー決定部1は、そのCINR値15dBと、ハンドオーバー実行条件格納部22に保持している実行判定の閾値20dBとを比較する。この場合は、測定値が閾値よりも下回っており、ハンドオーバー処理の実行条件を満たしているため、ハンドオーバー決定部1は、ハンドオーバー処理の実行を決定し、受信応答返送判定部2及びDL制御部24に処理依頼を通知する。若し、ハンドオーバー処理の実行条件を満たしていなければ、ハンドオーバー決定部1は何もしない。
6.DL制御部24は、ハンドオーバー決定部1から処理依頼を受けると、通信相手端末宛の告知ウィンドウサイズを0としたパケットを作成し、データ解析部27へ該パケットを受け渡す。データ解析部27、送受信部26は連携して該パケットを通信相手端末に送信し、通信相手端末からのデータ送信を停止させる。
この6番の処理は、本発明において、必須の処理ではない。しかしながら、現実の環境にて本発明を適用したMSがハンドオーバーを実行する際、通信相手端末から途切れることなくデータが送信されると、MSで常に未返送の受信端末が残っている状態になり、ハンドオーバー処理の実行ができない可能性があるため、通信相手端末からのデータ送信を何らかの方法で停止させるなどの考慮が必要である。本発明では、その方法について特定しないが、例えば本実施の形態で示したような、告知ウィンドウサイズを0としたパケットを通信相手に送信する方法がある。
7.受信応答返送判定部2は、ハンドオーバー決定部1からの処理依頼を受けると、データ解析部27のDLデータ受信数及びDL受信応答返信数を参照し、通信相手端末からの受信データに対する受信応答を全て返送しているか否かチェックする。本実施の形態では、図8に示すように、DLデータ受信数とDL受信応答返送数が同数であるため、受信応答返送判定部2は受信応答を全て返送済みと判断し、ハンドオーバー実行部4に対して処理依頼を通知する。DLデータ受信数がDL受信応答返送数よりも大きかった場合には、未返送の受信応答があると判定し、全ての受信応答を返送するまで待つ。
8.ハンドオーバー実行部4は、処理依頼を受けると、ハンドオーバー処理を実行する。ハンドオーバー処理が完了すると、DL制御部24に処理依頼を通知する。
9.DL制御部24は、ハンドオーバー実行部4から処理依頼を受けると、通信相手端末宛の告知ウィンドウサイズを1以上としたパケットを作成し、データ解析部27へ該パケットを受け渡す。データ解析部27、送受信部26は連携して該パケットを通信相手端末に送信し、通信相手端末からのデータ送信を再開させる。
この実施の形態によれば、ハンドオーバー処理の実行が決定されると、全ての受信応答の返送が完了しているか否かをチェックし、全ての受信応答の返送が完了している場合にハンドオーバー処理を実行するようにしているので、ハンドオーバー処理後の通信スループットの低下を防止することができる。
図9に上記した動作の一例を示すシーケンス図を示す。送受信部26は、データを受信すると(S1)、データ解析部27に受け渡す(S2)。次に、データ解析部27は、受信データ数をカウントする(S3)。データ解析部27は、受信データ数をカウントすると、OS41へ受信データを受け渡す(S4)。OS41は、アプリケーション部42に受信データを受け渡す(S5)。次にOS41は、データ解析部27へ受信応答を受け渡す(S6)。
データ解析部27は、受信応答返送数をカウントし(S7)、送受信部26へ受信応答を受け渡す(S8)。該送受信部26は、受け渡された受信応答を通信相手端末に送信する(S9)。
一方、CINR測定部21では、CINR測定を行ない(S10)、ハンドオーバー決定部1に測定値を通知する(S11)。ハンドオーバー決定部1は、測定値<閾値であるかどうかチェックする(S12)。測定値が閾値よりも小さい場合には、DL制御部24に処理依頼通知を行なう(S13)。DL制御部24は、告知ウィンドウサイズ0のパケットを作成し(S14)、データ解析部27に受け渡す(S15)。データ解析部27は、送受信部26にこのパケットを受け渡し(S16)、送受信部26から通信相手端末にパケット送信される(S17)。
また、ハンドオーバー決定部1は、測定値<閾値の場合、受信応答返送判定部2に処理依頼を通知する(S18)。受信応答返送判定部2は、DL受信用応答確認番号格納部8を参照して(S19)、受信データ数と応答返送数が等しくなったかどうかチェックする(S20)。等しくなった場合には、ハンドオーバー実行部4に処理依頼を通知し(S21)、ハンドオーバー実行部4はハンドオーバー処理を行なう(S22)。ハンドオーバー処理が実行されると、ハンドオーバー実行部4は、DL制御部24に処理依頼通知を行なう(S23)。次に、DL制御部24は、告知ウィンドウサイズ1以上のパケットを作成し(S24)、データ解析部27に受け渡す(S25)。データ解析部27は、これを送受信部26に受け渡し(S26)、送受信部26は受け渡されたパケットを送信する(S27)。
この実施の形態によれば、ハンドオーバー処理の実行前に全ての受信応答を返送するため、ハンドオーバー処理時に受信応答が無線端末に滞留することがなく、通信相手のデータ再送タイマがタイムアウトすることを防ぐことができ、前記スロースタートアルゴリズムによるハンドオーバー処理完了後の通信スループットの低下を防ぐことが可能となる。
(実施の形態2)
この場合の移動無線端末(MS)については、例えばCINR測定部21と、ハンドオーバー決定部1と、ハンドオーバー実行条件格納部22と、受信応答返送判定部2と、DL送信シーケンス番号格納部7と、DL受信用応答確認番号格納部8と、ハンドオーバー実行部4と、データ解析部27と、送受信部26と、OS41と、DL制御部24と、アプリケーション部42とで構成される。次に、各構成要素の動作を処理の流れに沿って説明する。
1.ハンドオーバー実行条件格納部22は、予めハンドオーバー処理実行の条件についての情報を保持しておく。設定の手段としては、例えば、管理者がコマンドにより設定してもよいし、BS30(図2参照)からの定期又は不定期な通知により情報を設定してもよい(本発明ではその手段については特定しない)。本実施の形態では、例えば図4に示すようにCINR値が20dBよりも小さくなった場合にハンドオーバー処理の実行を決定する。
なお、本発明を適用したMSは、従来のMSに較べてハンドオーバー処理の実行の決定から実際にハンドオーバー処理を実行するまでに(受信応答を全て返送するのを待つために)時間を要する。その結果、MSが高速で移動している場合には、従来のMSと較べて本発明を適用したMSはハンドオーバー処理の実行決定から実行までの間にBSとの交信が途切れてしまう可能性が高くなる。そのため、ハンドオーバー処理の実行決定の閾値を従来よりも高めに設定し、BSとの交信を切れにくくする等の考慮が必要となる。
2.送受信部26、データ解析部27、OS41、アプリケーション部42は、連携して定期又は不定期に通信相手端末とデータの送受信及び受信応答の送受信を行なう。ダウンリンク(Down Link)に関して説明すると、送受信部26は通信相手端末からのデータ及び受信応答をネットワーク上から取得し、データ解析部27に受け渡す。データ解析部27では、内部処理を行ない(詳細後述)、取得したデータ及び受信応答を更にOS41へ受け渡す。OS41は、データに関しては適切なアプリケーションに受け渡す他、受信応答に関してはデータ再送タイマをクリアする。アップリンク(Up Link)に関してはダウンリンクの処理とは逆の流れで処理を行なう。
3.なお、データ解析部27は、通信相手端末からのデータを送受信部26から受け取った場合、データパケットを解析し、TCPレイヤの送信シーケンス番号を取得してDL送信シーケンス番号格納部7に保持する。また、OS41から通信相手端末からのデータに対する受信応答を受け取った場合、受信応答パケットを解析し、TCPレイヤの応答確認番号を取得してDL受信用応答確認番号格納部8に保持する。本実施の形態では、例えば図6に示すように、DL送信シーケンス番号が100、DL受信用応答確認番号が100であり、MSに未返送の受信応答がある状態であるとする。
ここで、TCPにおける送信シーケンス番号と受信応答番号との関係について説明する。TCPの送信シーケンス番号は通信確立時に初期化され、それ以降は転送されたデータのバイト数だけ増加するものである。例えば20バイトのデータの送信用シーケンス番号が100だった場合、次に送信されるデータの送信用シーケンス番号は100+20=120となる。
また、TCPの受信応答についてその受信応答確認番号には、次に送られてくるべき送信用シーケンス番号が設定されており、通信相手端末に返送されるものである。つまり、上記の例でいうと、受信データに対する応答の受信応答確認番号は120となる。従って、あるデータの送信用シーケンス番号とその受信応答の受信応答確認番号との関係は、
送信用シーケンス番号<受信応答確認番号
となる。本実施の形態の例においては、DL送信シーケンス番号(100)と、DL受信用応答確認番号(100)とが同じであるため、送信シーケンス番号100のデータに対する受信応答が返送されていない状態であることが分かる。
4.また、CINR測定部21は、定期又は不定期にBS30のRSSI値と雑音成分を測定してCINR値を算出する。本実施の形態では、例えば算出したCINR値が15dBとする。CINR測定部21はそのCINR値15dBをハンドオーバー決定部1に通知する。
5.ハンドオーバー決定部1は、そのCINR値15dBと、ハンドオーバー実行条件格納部22に保持している実行判定の閾値20dBとを比較する。この場合は、測定値が閾値よりも下回っており、ハンドオーバー処理の実行条件を満たしているため、ハンドオーバー決定部1は、ハンドオーバー処理の実行を決定し、受信応答返送判定部2及びDL制御部24に処理依頼を通知する。若し、ハンドオーバー処理の実行条件を満たしていなければ、ハンドオーバー決定部1は何もしない。
6.DL制御部24は、ハンドオーバー決定部1から処理依頼を受けると、通信相手端末宛の告知ウィンドウサイズを0としたパケットを作成し、データ解析部27へ該パケットを受け渡す。データ解析部27、送受信部26は連携して該パケットを通信相手端末に送信し、通信相手端末からのデータ送信を停止させる。
7.受信応答返送判定部2は、ハンドオーバー決定部1からの処理依頼を受けると、DL送信シーケンス番号格納部7と、DL受信用応答確認番号格納部8からそれぞれDL受信用送信シーケンス番号とDL受信用応答確認番号を取得し、比較する。本実施の形態の図6の例においては、それらの値が同じであるため、受信応答返送判定部2はまだMSに未返送の受信応答が残っていると判定し、受信応答を返送するまで待つ。
以降、定期又は不定期にDL送信シーケンス番号、DL受信用応答確認番号を監視し、送信用シーケンス番号と受信応答確認番号との関係が、
送信用シーケンス番号<受信応答確認番号
となると、受信応答返送判定部2は受信応答を全て返信済みと判定し、ハンドオーバー実行部4に対して処理依頼を通知する。
8.ハンドオーバー実行部4は、処理依頼を受けると、ハンドオーバー処理を実行する。ハンドオーバー処理が完了すると、DL制御部24に処理依頼を通知する。
9.DL制御部24は、ハンドオーバー実行部4から処理依頼を受けると、通信相手端末宛の告知ウィンドウサイズを1以上としたパケットを作成し、データ解析部27へ該パケットを受け渡す。データ解析部27、送受信部26は連携して該パケットを通信相手端末に送信し、通信相手端末からのデータ送信を再開させる。
この実施の形態によれば、一つの受信応答が複数の送信データの受信応答に対応する場合でも、受信応答の返送状況を正確に把握することが可能となる。
図10は上記した動作を説明するための本発明の動作の一例を示すシーケンス図である。送受信部26はデータを受信すると(S1)、データ解析部27に受け渡す(S2)。データ解析部27は、DL送信シーケンス番号格納部7に対してシーケンス番号を格納する(S3)。また、データ解析部27は、受信データをOS41に受け渡す(S4)。OS41は受け取った受信データをアプリケーション部42に受け渡す(S5)。また、OS41は、データ解析部27に対して受信応答を受け渡す(S6)。該データ解析部27は、DL受信用応答確認番号格納部8に応答確認番号を格納する(S7)。また、データ解析部27は、送受信部26に対して受信応答を受け渡し(S8)、該送受信部26は、受信応答を通信相手端末に送信する(S9)。
一方、CINR測定部21は、BSのRSSI値と雑音成分を測定してCINR値を算出する(S10)。そして、算出したCINR値をハンドオーバー決定部1に通知する(S11)。ハンドオーバー決定部1は、CINR値の測定値を受けると、ハンドオーバー実行条件格納部22を参照して(S12)、測定値<閾値であるかどうかチェックする(S13)。そうであった場合には、DL制御部24に対して処理依頼通知を行なう(S14)。DL制御部24は、この処理依頼通知を受けると、告知ウィンドウサイズ0のパケットを作成し(S15)、データ解析部27に受け渡す(S16)。該データ解析部27は、該パケットを送受信部26に受け渡し(S17)、該送受信部26は通信相手端末に送信する(S18)。
また、ハンドオーバー決定部1は、測定値<閾値である場合に、受信応答返送判定部2に処理依頼通知を行なう(S19)。受信応答返送判定部2は、UL受信用応答確認番号格納部10にアクセスして応答確認番号を参照し(S20)、UL送信シーケンス番号格納部9にアクセスして送信用シーケンス番号を参照する(S21)。次に、受信応答返送判定部2は、シーケンス番号<応答確認番号であるかどうかチェックする(S22)。
そうであった場合には、ハンドオーバー実行部4に対して処理依頼通知を出し(S23)、該ハンドオーバー実行部4は、ハンドオーバー処理を実行する(S24)。ハンドオーバー処理が終了すると、ハンドオーバー実行部4は、DL制御部24に処理依頼通知を出す(S25)。DL制御部24は、この通知を受けると、告知ウィンドウサイズ1以上のパケットを作成し(S26)、データ解析部27に受け渡す(S27)。該データ解析部27は、送受信部26に該パケットを受け渡し(S28)、該送受信部26は通信相手端末にパケット送信を行なう(S29)。
(実施の形態3)
この場合の移動無線端末については、例えばCINR測定部21と、ハンドオーバー決定部1と、ハンドオーバー実行条件格納部22と、受信応答返送判定部2と、受信応答受信判定部3と、ハンドオーバー実行部4と、データ解析部27と、送受信部26と、DL制御部24と、UL制御部25と、アプリケーション部42とで構成される。次に、各構成要素の動作を処理の流れに沿って説明する。
1.ハンドオーバー実行条件格納部22は、予めハンドオーバー処理実行の条件についての情報を保持しておく。設定の手段としては、例えば、管理者がコマンドにより設定してもよいし、BS30(図2参照)からの定期又は不定期な通知により情報を設定してもよい(本発明ではその手段については特定しない)。本実施の形態では、例えば図4に示すようにCINR値が20dBよりも小さくなった場合にハンドオーバー処理の実行を決定する。
なお、本発明を適用したMSは、従来のMSに較べてハンドオーバー処理の実行の決定から実際にハンドオーバー処理を実行するまでに(受信応答を全て返送するのを待つために)時間を要する。その結果、MSが高速で移動している場合には、従来のMSと較べて本発明を適用したMSはハンドオーバー処理の実行決定から実行までの間にBSとの交信が途切れてしまう可能性が高くなる。そのため、ハンドオーバー処理の実行決定の閾値を従来よりも高めに設定し、BSとの交信を切れにくくする等の考慮が必要となる。
2.送受信部26、データ解析部27、OS41、アプリケーション部42は、連携して定期又は不定期に通信相手端末とデータの送受信及び受信応答の送受信を行なう。ダウンリンク(Down Link)に関して説明すると、送受信部26は通信相手端末からのデータ及び受信応答をネットワーク上から取得し、データ解析部27に受け渡す。データ解析部27では、内部処理を行ない(詳細後述)、取得したデータ及び受信応答を更にOS41へ受け渡す。OS41は、データに関しては適切なアプリケーションに受け渡す他、受信応答に関してはデータ再送タイマをクリアする。アップリンク(Up Link)に関してはダウンリンクの処理とは逆の流れで処理を行なう。
3.なお、データ解析部27は、(実施の形態1)の3に記載のDLデータ受信数とDL受信応答返送数のカウントアップ処理の他、OS41から通信相手端末への送信データを受け取った場合、ULデータ送信数をカウントアップし、また通信相手端末からの受信応答を送受信部26から受け取った場合は、UL受信応答受信数をカウントアップする。本実施の形態では、例えば図8に示すようにUL送信データ数が1000、UL受信応答返送数は1000であり、送信データに対する受信応答を全て受信している状態であるものとする。
4.また、CINR測定部21は、定期又は不定期にBS30のRSSI値と雑音成分を測定してCINR値を算出する。本実施の形態では、例えば算出したCINR値が15dBとする。CINR測定部21はそのCINR値15dBをハンドオーバー決定部1に通知する。
5.ハンドオーバー決定部1は、そのCINR値15dBと、ハンドオーバー実行条件格納部22に保持している実行判定の閾値20dBとを比較する。この場合は、測定値が閾値よりも下回っており、ハンドオーバー処理の実行条件を満たしているため、ハンドオーバー決定部1は、ハンドオーバー処理の実行を決定すると、処理依頼を受信応答返送判定部2、DL制御部24の他に受信応答受信判定部3及びUL制御部25に通知する。若し、ハンドオーバー処理の実行条件を満たしていなければ、ハンドオーバー決定部1は何もしない。
6.DL制御部24は、ハンドオーバー決定部1から処理依頼を受けると、通信相手端末宛の告知ウィンドウサイズを0としたパケットを作成し、データ解析部27へ該パケットを受け渡す。データ解析部27、送受信部26は連携して該パケットを通信相手端末に送信し、通信相手端末からのデータ送信を停止させる。
この6番の処理は、本発明において、必須の処理ではない。しかしながら、現実の環境にて本発明を適用したMSがハンドオーバーを実行する際、通信相手端末から途切れることなくデータが送信されると、MSで常に未返送の受信端末が残っている状態になり、ハンドオーバー処理の実行ができない可能性があるため、通信相手端末からのデータ送信を何らかの方法で停止させるなどの考慮が必要である。本発明では、その方法について特定しないが、例えば本実施の形態で示したような、告知ウィンドウサイズを0としたパケットを通信相手に送信する方法がある。
7.受信応答返送判定部2は、ハンドオーバー決定部1からの処理依頼を受けると、データ解析部27のDLデータ受信数及びDL受信応答返信数を参照し、通信相手端末からの受信データに対する受信応答を全て返送しているか否かチェックする。本実施の形態では、図8に示すように、DLデータ受信数とDL受信応答返送数が同数であるため、受信応答返送判定部2は受信応答を全て返送済みと判断し、ハンドオーバー実行部4に対して処理依頼を通知する。DLデータ受信数がDL受信応答返送数よりも大きかった場合には、未返送の受信応答があると判定し、全ての受信応答を返送するまで待つ。
8.UL制御部25は、ハンドオーバー決定部1から処理依頼を受けると、それ以降にアプリケーション部42から受け取ったデータを蓄積し、データの送信(データ解析部27への受け渡し)を停止する。この処理は、本発明において必須の処理ではない。しかしながら、現実の環境において本発明を適用したMSがハンドオーバーを実行する際、アプリケーション部42から途切れることなくデータが送信されると、MSで常に未返送の受信応答が残っている状態になり、ハンドオーバー処理の実行ができない可能性があるため、データ送信を何らかの方法で停止させる等の考慮が必要である。本発明では、その方法について特定しないが、例えば本実施の形態で示したようにOS41にて送信データを蓄積する方法がある。
9.受信応答受信判定部3は、ハンドオーバー決定部1から処理依頼を受けると、データ解析部27のULデータ送信数及びUL受信応答受信数を参照し、通信相手端末への送信データに対する受信応答を全て受信しているか否かチェックする。本実施の形態では、図8に示すように、ULデータ送信数とUL受信応答受信数が同数であるため、受信応答受信判定部3は受信応答を全て受信済みと判断し、ハンドオーバー実行部4に対して処理依頼を通知する。ULデータ送信数がUL受信応答受信数よりも大きかった場合には、未受信の受信応答があると判定し、受信応答を受信するまで待つ。
10.ハンドオーバー実行部4は、受信応答返送判定部2と受信応答受信判定部3から処理依頼を受けると、ハンドオーバー処理を実行する。ハンドオーバー処理が完了すると、DL制御部24及びUL制御部25に処理依頼を通知する。
11.DL制御部24は、ハンドオーバー実行部4から処理依頼を受けると、通信相手端末宛の告知ウィンドウサイズを1以上としたパケットを作成し、データ解析部27へ該パケットを受け渡す。データ解析部27、送受信部26は連携して該パケットを通信相手端末に送信し、通信相手端末からのデータ送信を再開させる。
12.UL制御部25は、ハンドオーバー実行部4から処理依頼を受けると、アプリケーション部42から受け取ったデータの蓄積を解除し、蓄積したデータをデータ解析部27へ受け渡してデータの送信を再開する。
この実施の形態によれば、ハンドオーバー処理の実行前に全ての受信応答を通信相手端末から受信するため、ハンドオーバー処理時に移動無線端末のデータ再送タイマがタイムアウトすることを防ぐことができ、スロースタートアルゴリズムによるハンドオーバー処理完了後の通信スループットの低下を防ぐことができる。
図11,図12は上記した本発明の動作の一例を示すシーケンス図である。送受信部26はデータを受信すると(S1)、データ解析部27に受信データを受け渡す(S2)。データ解析部27は、受信データ数をカウントする(S3)。そして、OS41に受信データを受け渡す(S4)。OS41は、受信データをアプリケーション部42に受け渡す(S5)。次に、OS41はデータ解析部27に受信応答を受け渡す(S6)。該データ解析部27は、受信応答を受けると受信応答返送数をカウントする(S7)。その後、送受信部26に受信応答を受け渡し(S8)、該送受信部26は、通信相手端末に受信応答を送信する(S9)。
一方、アプリケーション部42は送信データをOS41に受け渡す(S10)。該OS41は、送信データをデータ解析部27に受け渡す(S11)。該データ解析部27は、送信データ数をカウントし(S12)、送受信部26に受け渡す(S13)。該送受信部26は、送信データを通信相手端末にデータ送信する(S14)。このデータ送信に対する受信応答が通信相手端末から返ってくると、送受信部26は受信応答を受信する(S15)。そして、受信した受信応答をデータ解析部27に受け渡す(S16)。該データ解析部27は、受信応答を受けて受信応答受信数をカウントし(S17)、OS41に受信応答を受け渡す(S18)。
一方、CINR測定部21はCINR値を測定している(S19)。測定結果はハンドオーバー決定部1に通知される(S20)。ハンドオーバー決定部1は、ハンドオーバー実行条件格納部22を参照し(S21)、CINR測定値<閾値であるかどうかチェックしている(S22)。そうであった場合には、DL制御部24に処理依頼を通知する(S23)。この処理依頼通知を受けたDL制御部24は、告知ウィンドウサイズ0のパケットを作成し(S24)、データ解析部27に受け渡す(S25)。データ解析部27は、パケットを送受信部26に受け渡す(S26)。該送受信部26は、パケットを通信相手端末に送信する(S27)。
ハンドオーバー決定部1は、CINR測定値<閾値であった場合には、UL制御部25に処理依頼通知を出す(S28)。該UL制御部25は、処理依頼通知を受けると、以降の送信データを蓄積する(S29)。CINR測定値<閾値の場合、ハンドオーバー決定部1は、受信応答返送判定部2に処理依頼通知を出す(S30)。また、受信応答受信判定部3にも処理依頼通知を出す(S31)。
受信応答返送判定部2は、この処理依頼を受けると、DL受信用応答確認番号格納部8にアクセスして受信データ数、受信応答受信数を参照する(S32)。そして、送信データ数=応答返送数であるかどうかチェックする(S33)。また、受信応答受信判定部3は、処理依頼通知を受けると、UL受信用応答確認番号格納部10にアクセスして、送信データ数と受信応答受信数を参照する(S34)。そして、送信データ数=応答受信数であるかどうかチェックする(S35)。
送信データ数=応答受信数であった場合には、ハンドオーバー実行部4に処理依頼通知を出す(S36)。また、受信データ数=応答返送数であった場合には、受信応答返送判定部2からハンドオーバー実行部4に対して処理依頼通知を出す(S37)。これら依頼を受けたハンドオーバー実行部4は、ハンドオーバー処理を実行する(S38)。
ハンドオーバー実行部4はハンドオーバー処理を実行すると、UL制御部25に対して処理依頼通知を行なう(S39)。該UL制御部25は、この通知を受けると送信データの蓄積を解除し(S40)、蓄積されていたデータをデータ解析部27に受け渡す(S41)。データ解析部27は送信データを送受信部26に受け渡す(S42)。該送受信部26は、通信相手端末に対して送信データを送信する(S43)。
また、ハンドオーバー実行部4はDL制御部24に対して処理依頼の通知を行なう(S44)。該処理依頼通知を受けたDL制御部24は、告知ウィンドウサイズ1以上のパケットを作成し(S45)、データ解析部27に該パケットを受け渡す(S46)。該データ解析部27は、受け渡されたパケットを送受信部26に受け渡す(S47)。該送受信部は当該パケットを通信相手端末に送信する(S48)。
(実施の形態4)
この場合の移動無線端末(MS)については、例えばCINR測定部21と、ハンドオーバー決定部1と、ハンドオーバー実行条件格納部22と、受信応答返送判定部2と、受信応答受信判定部3と、DL送信シーケンス番号格納部7と、DL受信用応答確認番号格納部8と、UL送信シーケンス番号格納部9と、UL受信用応答確認番号格納部10と、ハンドオーバー実行部4と、データ解析部27と、送受信部26と、OS41と、DL制御部24と、UL制御部25と、アプリケーション部42とで構成される。次に、各構成要素の動作を処理の流れに沿って説明する。
1.ハンドオーバー実行条件格納部22は、予めハンドオーバー処理実行の条件についての情報を保持しておく。設定の手段としては、例えば、管理者がコマンドにより設定してもよいし、BS30(図2参照)からの定期又は不定期な通知により情報を設定してもよい(本発明ではその手段については特定しない)。本実施の形態では、例えば図4に示すようにCINR値が20dBよりも小さくなった場合にハンドオーバー処理の実行を決定する。
なお、本発明を適用したMSは、従来のMSに較べてハンドオーバー処理の実行の決定から実際にハンドオーバー処理を実行するまでに(受信応答を全て返送するのを待つために)時間を要する。その結果、MSが高速で移動している場合には、従来のMSと較べて本発明を適用したMSはハンドオーバー処理の実行決定から実行までの間にBSとの交信が途切れてしまう可能性が高くなる。そのため、ハンドオーバー処理の実行決定の閾値を従来よりも高めに設定し、BSとの交信を切れにくくする等の考慮が必要となる。
2.送受信部26、データ解析部27、OS41、アプリケーション部42は、連携して定期又は不定期に通信相手端末とデータの送受信及び受信応答の送受信を行なう。ダウンリンク(Down Link)に関して説明すると、送受信部26は通信相手端末からのデータ及び受信応答をネットワーク上から取得し、データ解析部27に受け渡す。データ解析部27では、内部処理を行ない(詳細後述)、取得したデータ及び受信応答を更にOS41へ受け渡す。OS41は、データに関しては適切なアプリケーションに受け渡す他、受信応答に関してはデータ再送タイマをクリアする。アップリンク(Up Link)に関してはダウンリンクの処理とは逆の流れで処理を行なう。
3.なお、データ解析部27は、(実施の形態2)についての3に記載の受信したデータの送信シーケンス番号と送信した受信応答の受信応答確認番号の保持の他、通信相手端末への送信データをOS41から受け取った場合、データパケットを解析しTCPレイヤの送信シーケンス番号を取得してUL送信シーケンス番号格納部7に保持する。
また、送受信部26から通信相手端末から送信された受信応答を受け取った場合、受信応答パケットを解析し、TCPレイヤの応答確認番号を取得してUL受信用応答確認番号格納部10に保持する。本実施の形態では、例えば図6に示すように、UL送信シーケンス番号が500、UL受信用応答確認番号が500であり、MSが未受信の受信応答がある状態であるとする。
4.また、CINR測定部21は、定期又は不定期にBS30のRSSI値と雑音成分を測定してCINR値を算出する。本実施の形態では、例えば算出したCINR値が15dBとする。CINR測定部21はそのCINR値15dBをハンドオーバー決定部1に通知する。
5.ハンドオーバー決定部1は、そのCINR値15dBと、ハンドオーバー実行条件格納部22に保持している実行判定の閾値20dBとを比較する。この場合は、測定値が閾値よりも下回っており、ハンドオーバー処理の実行条件を満たしているため、ハンドオーバー決定部1は、ハンドオーバー処理の実行を決定すると、処理依頼を受信応答返送判定部2、DL制御部24の他に受信応答受信判定部3、UL制御部25にも通知する。若し、ハンドオーバー処理の実行条件を満たしていなければ、ハンドオーバー決定部1は何もしない。
6.DL制御部24は、ハンドオーバー決定部1から処理依頼を受けると、通信相手端末宛の告知ウィンドウサイズを0としたパケットを作成し、データ解析部27へ該パケットを受け渡す。データ解析部27、送受信部26は連携して該パケットを通信相手端末に送信し、通信相手端末からのデータ送信を停止させる。
この6番の処理は、本発明において、必須の処理ではない。しかしながら、現実の環境にて本発明を適用したMSがハンドオーバーを実行する際、通信相手端末から途切れることなくデータが送信されると、MSで常に未返送の受信端末が残っている状態になり、ハンドオーバー処理の実行ができない可能性があるため、通信相手端末からのデータ送信を何らかの方法で停止させるなどの考慮が必要である。本発明では、その方法について特定しないが、例えば本実施の形態で示したような、告知ウィンドウサイズを0としたパケットを通信相手に送信する方法がある。
7.受信応答返送判定部2は、ハンドオーバー決定部1からの処理依頼を受けると、データ解析部27のDLデータ受信数及びDL受信応答返信数を参照し、通信相手端末からの受信データに対する受信応答を全て返送しているか否かチェックする。本実施の形態では、図8に示すように、DLデータ受信数とDL受信応答返送数が同数であるため、受信応答返送判定部2は受信応答を全て返送済みと判断し、ハンドオーバー実行部4に対して処理依頼を通知する。DLデータ受信数がDL受信応答返送数よりも大きかった場合には、未返送の受信応答があると判定し、全ての受信応答を返送するまで待つ。
8.UL制御部25は、ハンドオーバー決定部1から処理依頼を受けると、それ以降にアプリケーション部42から受け取ったデータを蓄積し、データの送信(データ解析部27への受け渡し)を停止する。この処理は、本発明において必須の処理ではない。しかしながら、現実の環境において本発明を適用したMSがハンドオーバーを実行する際、アプリケーション部42から途切れることなくデータが送信されると、MSで常に未返送の受信応答が残っている状態になり、ハンドオーバー処理の実行ができない可能性があるため、データ送信を何らかの方法で停止させる等の考慮が必要である。
9.受信応答受信判定部3は、ハンドオーバー決定部1から処理依頼を受けると、UL送信シーケンス番号格納部9とUL受信用応答確認番号格納部10からそれぞれUL受信用送信シーケンス番号とUL受信用応答確認番号を取得し、比較する。本実施の形態の図6の例においては、それらの値が同じ値であるため、受信応答受信判定部3はまだMSが未受信の受信応答が残っていると判定し、受信応答を受信するまで待つ。以降、定期又は不定期にUL送信シーケンス番号、UL受信用応答確認番号を監視し、送信用シーケンス番号と受信応答確認番号との関係が、
送信用シーケンス番号<受信応答確認番号
となると、受信応答受信判定部3は受信応答を全て受信済みと判定し、ハンドオーバー実行部4に対して処理依頼を通知する。
10.ハンドオーバー実行部4は、受信応答返送判定部2と受信応答受信判定部3から処理依頼を受けると、ハンドオーバー処理を実行する。ハンドオーバー処理が完了すると、DL制御部24及びUL制御部25に処理依頼を通知する。
11.DL制御部24は、ハンドオーバー実行部4から処理依頼を受けると、通信相手端末宛の告知ウィンドウサイズを1以上としたパケットを作成し、データ解析部27へ該パケットを受け渡す。データ解析部27、送受信部26は連携して該パケットを通信相手端末に送信し、通信相手端末からのデータ送信を再開させる。
12.UL制御部25は、ハンドオーバー実行部4から処理依頼を受けると、アプリケーション部42から受け取ったデータの蓄積を解除し、蓄積したデータをデータ解析部27へ受け渡してデータの送信を再開する。
この実施の形態によれば、1つの受信応答が複数の送信データの受信応答に対応するような場合でも、受信応答の受信状態を正確に把握することが可能となる。
図13,図14は上記した実施の形態の動作の一例を示す図である。送受信部26はデータを受信すると(S1)、データ解析部27に受信データを受け渡す(S2)。データ解析部27は、受信したデータのシーケンス番号をDL送信シーケンス番号格納部7に格納する(S3)。それと共に、データ解析部27はOS41に対して受信データを受け渡す(S4)。OS41は受信したデータをアプリケーション部42に受け渡す(S5)。OS41は、データ解析部27に受信応答を受け渡す(S6)。該データ解析部27は、DL受信用応答確認番号格納部8に応答確認番号を格納する(S7)。それと同時に、データ解析部27は送受信部26に受信応答を受け渡し(S8)、該送受信部26は通信相手端末に受信応答を送信する(S9)。
一方、アプリケーション部42はOS41に送信データを受け渡し(S10)、該OS41はデータ解析部27に送信データを受け渡す(S11)。該データ解析部27は、シーケンス番号をUL送信シーケンス番号格納部9に格納し(S12)、送受信部26に送信データを受け渡す(S13)。該送受信部26は送信データを通信相手端末にデータ送信する(S14)。
送受信部26は通信相手端末からの受信応答を受信すると(S15)、受信応答をデータ解析部27に受け渡す(S16)。該データ解析部27は、UL受信用応答確認番号格納部10に応答確認番号を格納する(S17)と共に、OS41に受信応答を受け渡す(S18)。
一方、CINR測定部21はCINR値を測定し(S19)、測定値をハンドオーバー決定部1に通知する(S20)。該ハンドオーバー決定部1は、ハンドオーバー実行条件格納部22にアクセスして条件データを読みだし(S21)、CINR測定値<閾値であるかどうかチェックする(S22)。そうであった場合には、DL制御部24に処理依頼通知を行なう(S23)。この通知を受けたDL制御部24は、告知ウィンドウサイズ0のパケットを作成し(S24)、データ解析部27に該パケットを受け渡す(S25)。データ解析部27は、このパケットを送受信部26に受け渡す(S26)。該送受信部26は、パケットを通信相手端末に送信する(S27)。
ステップS22において、CINR測定値<閾値の場合、ハンドオーバー決定部1は、UL制御部25に処理依頼通知を行なう(S28)。該UL制御部25は、以降の送信データを蓄積する(S29)。
ハンドオーバー決定部1は、受信応答返送判定部2に処理依頼通知を行なう(S30)と共に、受信応答受信判定部3に処理依頼通知を行なう(S31)。受信応答返送判定部2は、DL受信用応答確認番号格納部8にアクセスして応答確認番号を参照し(S32)、DL送信シーケンス番号格納部7にアクセスして送信用シーケンス番号を参照する(S33)。そして、参照した結果に基づいてシーケンス番号<応答確認番号であるかどうかチェックする(S34)。
また、受信応答受信判定部3はUL受信用応答確認番号格納部10にアクセスして応答確認番号を参照し(S35)、UL送信シーケンス番号格納部9にアクセスして送信用シーケンス番号を参照する(S36)。そして、シーケンス番号<応答確認番号であるかどうかチェックする(S37)。そうであった場合はハンドオーバー実行部4に対して処理依頼通知を行なう(S38)。また、ステップS34において、シーケンス番号<応答確認番号であった場合も、ハンドオーバー実行部4に対して処理依頼通知を行なう(S39)。
ハンドオーバー実行部4はハンドオーバーを実行すると(S40)、UL制御部25に対して処理依頼通知を行なう(S41)。該UL制御部25は、この通知を受けると送信データの蓄積を解除し(S42)、蓄積していたデータをデータ解析部27に受け渡す(S43)。該データ解析部27は送信データを送受信部26に受け渡し(S44)、該送受信部26は通信相手端末に対してデータ送信を行なう(S45)。
ハンドオーバー実行部4は、DL制御部24に対しても処理依頼通知を行なう(S46)。DL制御部24は、告知ウィンドウサイズ1以上のパケットを作成し(S47)、該パケットをデータ解析部27に受け渡す(S48)。該データ解析部27は、パケットを送受信部26に受け渡し(S49)、該送受信部26は該パケットを通信相手端末に対してパケット転送を行なう(S50)。
(実施の形態5)
この場合の移動通信端末については、例えばCINR測定部21と、ハンドオーバー決定部1と、ハンドオーバー実行条件格納部22と、ハンドオーバー強制実行条件格納部23と、受信応答返送判定部2と、受信応答受信判定部3と、DL送信シーケンス番号格納部7と、DL受信用応答確認番号格納部8と、UL送信シーケンス番号格納部9と、UL受信用応答確認番号格納部10と、ハンドオーバー実行部4と、データ解析部27と、送受信部26と、OS41と、アプリケーション部42とで構成される。次に、各構成要素の動作を処理の流れに沿って説明する。
1.この実施の形態は、(実施の形態4)の1〜12と同様であるが、(実施の形態4)の1,2において、ハンドオーバー強制実行条件格納部23は、予めハンドオーバー処理の強制実行の条件についての情報を保持しておく。設定の手段としては、例えば管理者がコマンドにより設定してもよいし、BSからの定期又は不定期な通知により情報を設定してもよい(本発明ではその手段については特定しない)。本実施の形態では、例えば図4に示すようにBSのCINR値が12.5dBよりも小さくなった場合に、ハンドオーバー処理の強制実行を決定する。
2.(実施の形態4)の4,5においてハンドオーバー決定部1は、ハンドオーバー処理の実行を決定した後もCINR測定部21からCINR値を受け取り、ハンドオーバー処理の強制実行の判定を行なう。本実施の形態では、例えばBSのCINR値が12dBであるものとする。ハンドオーバー決定部1は、そのCINR値12dBと、ハンドオーバー強制実行条件格納部23に保持している強制実行判定の閾値12.5dBとを比較する。測定値が閾値よりも下回っており、ハンドオーバー処理の強制実行条件を満たしているため、ハンドオーバー決定部1はハンドオーバー処理の強制実行を決定し、ハンドオーバー実行部4に処理依頼を通知する。
3.(実施の形態3)の10〜12と同様である。
この実施の形態によれば、移動無線端末が受信応答の受信又は返送待ちの状態であっても、強制実行の条件を満たせばハンドオーバー処理を実行することができ、受信応答の受信又は返送待ちの状態のまま無線基地局との交信が途切れるという状況を回避することが可能となる。
図15,図16は上記した実施の形態の動作の一例を示す図である。送受信部26は通信相手端末からのデータを受信すると(S1)、そのデータをデータ解析部27に受け渡す(S2)。該データ解析部27は、当該データのシーケンス番号をDL送信シーケンス番号格納部7に格納する(S3)。そして、データ解析部27は、OS41に受信データを受け渡す(S4)。該OS41は受信データをアプリケーション部42に受け渡す(S5)。次に、OS41は受信応答をデータ解析部27に受け渡す(S6)。データ解析部27はDL受信用応答確認番号格納部8に応答番号を格納し(S7)、送受信部26に受信応答を受け渡す(S8)。該送受信部26は、通信相手端末に対して受信応答を送信する(S9)。
一方、アプリケーション部42は、送信データをOS41に受け渡す(S10)。OS41は、送信データをデータ解析部27に受け渡す(S11)。該データ解析部27は、該送信データのシーケンス番号をUL送信シーケンス番号格納部9に格納した後(S12)、該送信データを送受信部26に受け渡す(S13)。該送受信部26は、送信データを通信相手端末に対して送信する(S14)。
また、送受信部26は通信相手端末からの受信応答を受信すると(S15)、この受信応答をデータ解析部27に受け渡す(S16)。データ解析部27は、UL受信用応答確認番号格納部10に応答確認番号を格納した後(S17)、該受信応答をOS41に受け渡す(S18)。
一方、CINR測定部21はCINRの測定を行なう(S19)。そして、測定結果をハンドオーバー決定部1に通知を行なう(S20)。ハンドオーバー決定部1は、ハンドオーバー実行条件格納部22を参照して(S21)CINR測定値<閾値であるかどうかチェックする(S22)。そうであった場合には、ハンドオーバー決定部1はDL制御部24に処理依頼通知を行なう(S23)。DL制御部24は、この処理依頼通知を受けると、告知ウィンドウサイズ0のパケットを作成し(S24)、データ解析部27に受け渡す(S25)。該データ解析部27は該パケットを送受信部26に受け渡す(S26)。該送受信部26は、該パケットを通信相手端末に送信する(S27)。
ハンドオーバー決定部1は、測定値<閾値の場合、UL制御部25に処理依頼通知を行なう(S28)。UL制御部25は、この通知を受けて以降の送信データを蓄積する(S29)。また、ハンドオーバー決定部1は、受信応答返送判定部2に処理依頼の通知を行なう(S30)。また、ハンドオーバー決定部1は、受信応答受信判定部3に処理依頼を行なう(S31)。
一方、CINR測定部21は、電波の強度(CINR)を測定する(S32)。そして、測定結果をハンドオーバー決定部1に通知を行なう(S33)。該ハンドオーバー決定部1は、ハンドオーバー実行条件格納部22にアクセスして実行条件を参照する(S34)。そして、測定値<閾値であるかどうかチェックする(S35)。そうであった場合には、ハンドオーバー実行部4に処理依頼の通知を行なう(S36)。該ハンドオーバー実行部4はハンドオーバー処理を行なう(S37)。ハンドオーバー処理を実行した後、ハンドオーバー実行部4はUL制御部25に処理依頼の通知を行なう(S38)。この処理依頼の通知を受けたUL制御部25は、送信データの蓄積を解除し(S39)、蓄積データをデータ解析部27に受け渡す(S40)。データ解析部27は、受け渡された蓄積データを送信データとして送受信部26に受け渡す(S41)。該送受信部26は、送信データを通信相手端末に送信する(S42)。
また、ハンドオーバー実行部4は、ハンドオーバー処理を終了した後、DL制御部24に処理依頼通知を行なう(S43)。該DL制御部24は、この通知を受けると、告知ウィンドウサイズ1以上のパケットを作成し(S44)、データ解析部27に受け渡す(S45)。該データ解析部27は 該パケットを送受信部26に受け渡す(S46)。該送受信部26は受け渡されたパケットを通信相手端末に送信する(S47)。
(付記1)
移動無線端末と、当該移動無線端末と無線により通信する複数の無線基地局とを備え、前記移動無線端末とその通信相手端末との通信において、ある時間内に送信データに対する受信応答を受け取れなかった場合に前記移動無線端末とその通信相手端末の間の通信速度を低下制御する無線通信システムにおける移動無線端末であって、
前記無線基地局からの要求に応じて、又は自立的に他の無線基地局へのハンドオーバー処理の実行を決定するハンドオーバー決定手段と、
該ハンドオーバー決定手段にて前記ハンドオーバー処理の実行が決定されると、全ての受信応答の返送が完了しているか否かをチェックする受信応答返送判定手段と、
該受信応答返送判定手段にて受信応答の返送が完了していると判定されると、前記ハンドオーバー処理を実行するハンドオーバー実行手段と、
を備えることを特徴とする無線通信システムにおける移動無線端末。
(付記2)
前記受信応答返送判定手段が、通信相手端末に最後に送信した受信応答の応答確認番号を格納するDL受信用応答確認番号格納部と、通信相手端末から最後に受信した送信データの送信用シーケンス番号を格納するDL送信シーケンス番号格納部とを備え、
前記DL受信用応答確認番号格納部が格納する応答確認番号と、前記DL送信用シーケンス番号格納部が格納する送信用シーケンス番号を比較することによって受信応答の返送が完了していると判定することを特徴とする付記1記載の無線通信システムにおける移動無線端末。
(付記3)
前記移動無線端末が前記ハンドオーバー決定手段にて前記ハンドオーバー処理の実行が決定されると、全ての受信応答の受信が完了しているか否かをチェックする受信応答受信判定手段を備え、
該受信応答受信判定手段にて受信応答の受信が完了していると判定されると、前記ハンドオーバー処理を実行することを特徴とする付記1又は2記載の無線通信システムにおける移動無線端末。
(付記4)
移動無線端末と、当該移動無線端末と無線により通信する複数の無線基地局とを備え、前記移動無線端末とその通信相手端末との通信において、ある時間内に送信データに対する受信応答を受け取れなかった場合に前記移動無線端末とその通信相手端末の間の通信速度を低下制御する無線通信システムにおいて、
前記移動無線端末が前記無線基地局からの要求に応じて、又は自立的に他の無線基地局へのハンドオーバー処理の実行を決定すると、その通信相手端末に全ての受信応答を返送済みか否かを判断し、全ての受信応答を返送済みと判断した場合に、前記ハンドオーバー処理を実行することを特徴とする無線通信システムにおけるハンドオーバー処理装置。 (付記5)
前記移動無線端末が通信相手端末から最後に受信した送信データの送信シーケンス番号と、通信相手端末に最後に返送した受信応答の応答確認番号を比較することで、全ての受信応答を返送済みか否かを判断することを特徴とする請求項4記載の無線通信システムにおけるハンドオーバー処理装置。
(付記6)
前記移動無線端末が前記無線基地局からの要求に応じて、又は自立的に他の無線基地局へのハンドオーバー処理の実行を決定すると、その通信相手端末から全ての受信応答を受信済みか否かを判断し、全ての受信応答を受信済みと判断した場合に前記ハンドオーバー処理を実行することを特徴とする付記4又は5記載の無線通信システムにおけるハンドオーバー処理装置。
(付記7)
前記移動無線端末が通信相手端末へ最後に送信した送信データの送信シーケンス番号と、通信相手端末から最後に受信した受信応答の応答確認番号を比較することで全ての受信応答を受信済みか否かを判断することを特徴とする付記6記載の無線通信システムにおけるハンドオーバー処理装置。
(付記8)
前記移動無線端末がハンドオーバー処理の実行を決定後、ハンドオーバー処理の強制実行の条件情報を監視し、強制実行の条件を満たした場合には受信応答を全て返送する前、若しくは受信応答を全て受信する前でも強制的にハンドオーバー処理を実行することを特徴とする付記4乃至7の何れかに記載の無線通信システムにおけるハンドオーバー処理装置。
(付記9)
前記受信応答受信判定手段が、通信相手端末から最後に受信した受信応答の応答確認番号を格納するUL応答確認番号格納部と、通信相手端末に最後に送信した送信データの送信用シーケンス番号を格納するUL送信シーケンス番号格納部とを備え、
前記UL応答確認番号格納部が格納する応答確認番号と、前記UL送信用シーケンス番号格納部が格納する送信用シーケンス番号を比較することによって受信応答の受信が完了していると判定することを特徴とする付記3記載の無線通信システムにおける移動無線端末。
(付記10)
前記移動無線端末が前記ハンドオーバー処理の強制実行条件に関する情報を記憶する強制実行条件記憶部と、該強制実行条件記憶部における前記情報に基づいて前記ハンドオーバー処理の強制実行を決定するハンドオーバー強制実行決定部とを備え、
該ハンドオーバー強制実行決定部にて前記ハンドオーバー処理を強制実行すると判定されると、前記ハンドオーバー処理を実行することを特徴とする付記1乃至3及び9の何れかに記載の無線通信システムにおける移動無線端末。
以上、詳細に説明したように、本発明ではハンドオーバーの実行が決定されたことを契機として通信相手からの受信データに対して全ての受信応答を返送したか否かを判定し、全ての受信応答を返送してからハンドオーバー処理を実行することで、ハンドオーバー処理中に移動無線端末に受信応答が滞留することがないという効果があり、その結果、スロースタートアルゴリズムによるハンドオーバー処理完了後の通信スループットを低下することを防ぐことができ、無線通信システムの性能向上に寄与することができる。