JP4852708B2 - 情報識別装置、情報識別方法、及び情報識別システム - Google Patents

情報識別装置、情報識別方法、及び情報識別システム Download PDF

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Description

本発明は、情報識別装置、情報識別方法、及び情報識別システムに関するものである。より詳しくは、希土類錯体の異なる波長における発光強度比を算出して希土類錯体を同定(特定)することによって識別情報を識別する情報識別装置、情報識別方法、及び情報識別システムに関するものである。
従来から、様々な分野でIDを用いた認証システムが活用されている。中でも、セキュリティシステムとして、個人情報の漏洩防止、建物の出入りを管理するシステム、書類や高級品などの偽造防止、等に広く使用されている。すなわち、高度なID認証によるセキュリティシステムは、21世紀社会の「安全」と「安心」とを確保する重要な技術である。
従来のセキュリティシステムで用いられているID認識の方法としては、例えば、物質情報によるID認識(鍵、磁気カード、ICカード、発光性インクによるバーコード等)、人間情報によるID認識(指紋、声認識、顔認識等)、パスワードによるID認識(デジタル情報の暗号化)等がある。
しかしながら、上記の各ID認識には以下の問題点がある。例えば、物質情報によるID認識の場合には、物質が偽造又は複製されてしまう可能性がある。また、人間情報によるID認識の場合、声や顔は人間の変化によって変わってしまうためID認識の精度が低くなる。また、指紋テープや写真等を用いて情報を偽造されてしまう可能性もある。さらに、パスワードによるID認識の場合には、デジタル情報を用いているため、ハッキングされてしまう可能性がある。
従って、上記各問題点を克服するためには、さらに高度なID認識を行う技術を用いる必要がある。その例としては、高度な情報を記録した物質を使用する技術が挙げられる。また、このような高度な情報を記録する物質を使用する技術としては、発光体を用いた技術が挙げられる。この場合、複数の発光体を使用することで暗号化を行っている。すなわち、各発光体から放射される光の強度に応じてID認証を行っている。
他の発光体を用いた技術としては、発光体を用いた識別マークに関する技術が開示されている(例えば、特許文献1〜3参照)。特許文献1〜3には、希土類錯体を用いた識別マークに関する技術が開示されている。これら各特許文献では、光学活性希土類錯体を用いており、この光学活性希土類錯体から放射される蛍光の右円偏光成分と左円偏光成分との強度差を算出し、その値が0であるか否かを判定することによって真の識別マークであるかどうかを判別している。
しかしながら、上記複数の発光体を用いた場合、各発光体の光及び熱による劣化速度や温度に対する発光特性が異なる。このため、各発光体から放射される光の強度を測定し、その強度のレベルに対応するID認証(ID識別)を行う技術では、発光体毎における劣化速度の違いや温度特性の違いによって強度がばらつくため、誤識別を引き起こす。その結果、使用条件が制限されてしまうと共に、長期間の使用が困難となる。
また、上記特許文献に記載の技術は、単に円偏光発光の有無を測定して、識別マークの真偽判定を行っているものである。このため、紙幣や有価証券等の偽造を防止するものには使用可能であるものの、光学異性体型錯体の種類が少ないことや、通常の錯体に比べて精製が困難であり、かつ光学異性体型錯体は、光学活性ではない希土類錯体に対して2000倍以上高価であることなどの理由により、ID等の識別情報の識別・認証には適した技術ではない。
日本国公開特許公報「特開2005−111704号公報(2005年4月28日公開)」 日本国公開特許公報「特開2005−112947号公報(2005年4月28日公開)」 日本国公開特許公報「特開2005−114909号公報(2005年4月28日公開)」
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ID等の識別情報の漏洩を防止し、高いセキュリティレベルを維持すると共に、使用条件の制限がなく、かつ、材料劣化の影響を受けずに長期間の使用を可能とする情報識別装置、情報識別方法、及び情報識別システムを実現することである。
本発明に係る情報識別装置は、上記課題を解決するために、希土類錯体を含有する発光部材に対して励起光を照射する光源と、上記発光部材から放射された光を受光し、該光のスペクトルの強度を計測する計測部と、上記計測したスペクトルの強度のうち、異なる複数の波長のスペクトルの強度の比を演算する演算部と、上記演算された比に対応付けられた識別情報を識別する識別部とを備えていること特徴としている。
上記の構成によれば、発光部材は希土類錯体を含有している。このため、光源が発光部材に対して励起光を照射することによって発光部材は発光する。計測部は、この発光により放射された光を受光してそのスペクトルの強度を計測する。また、演算部は、計測したスペクトルの強度のうち、複数の異なる波長の線スペクトルの強度の比を演算する。すなわち、ある特定の複数の波長の線スペクトルの強度の比が演算される。そして、識別部は、この演算された比に対応付けられた識別情報を識別する。
ここで、計測部は、1または2以上の線スペクトルの強度の計測を行ってもよく、さらに計測部を複数設けてもよい。なお、線スペクトル(spectrum)とは、ある準位間の遷移に特定されるスペクトルを指し、スペクトル(spectra)とは、発光光全体または複数の線スペクトルを指す。
このように、本発明では、希土類錯体に対応する識別情報を識別するものである。すなわち、希土類錯体は、一般に複数の発光線スペクトルを有しており、その中には磁気双極子遷移に基づく発光線スペクトルと電気双極子遷移に基づく発光線スペクトルとがある。磁気双極子遷移に基づく発光線スペクトルは希土類元素固有の光強度を有しており、電気双極子遷移に基づく発光線スペクトルの線スペクトルの強度は希土類元素の周りの配位子の種類によって変化し、かつ、希土類錯体の種類によって固有の光強度を有する。従って、磁気双極子遷移に基づく線スペクトルに対する電気双極子遷移に基づく線スペクトルの強度比はその希土類錯体固有の値を有する。このため、希土類錯体から発光された光のうち、上記の2種類の遷移に基づく異なる複数の波長の線スペクトルの強度を計測して比を演算することによって、発光部材に含有された希土類錯体を同定(識別)することができる。その結果、希土類錯体に対応付けられた識別情報を識別・認証することが可能になる。このように、発光部材に含有された希土類錯体を同定することができ、かつ、希土類錯体の種類を識別・認証に用いることによって、従来にない高度な識別力(セキュリティ性)を有する情報識別装置とすることができる。
なお、上記「複数の波長の線スペクトル」とは、「波長の異なる複数の線スペクトル」の意味でもある。従って、「複数の波長の線スペクトルの強度比を演算する」とは「波長が異なる2つ以上の線スペクトルの強度比を演算する」ことを示す。すなわち、この場合、2つの波長の線スペクトルの強度比を演算してもよく、3つの波長の線スペクトルの強度比を演算してもよく、4つ以上の波長の線スペクトルの強度比を演算してもよい。これは、希土類錯体の発光ピークの数に応じて適宜設定することができる。
また、本発明では劣化の度合いに比例して変化する光スペクトルの強度の比によって物質の同定を行っているため、希土類錯体が劣化した場合であっても同定を行うことが可能であり、温度等の使用条件の制限もない。すなわち、希土類錯体が有する発光スペクトルの強度の比は物質の劣化の度合いにかかわらず、一定のものであり、また、その温度依存性は個々の希土類錯体によって異なり、希土類錯体が有する発光スペクトルの波長によって異なるものではないからである。
また、希土類錯体は無色透明であるため非使用状態(励起光の非照射時)では目に見えず、セキュリティの面においてよりすぐれている。さらに、単一の希土類イオンを用いた場合には、使用後においても貴重な資源である希土類イオンを容易に回収することが可能になる。
本発明に係る情報識別装置では、上記発光部材から放射された光を、第1の波長の線スペクトルを含むスペクトルと第2の波長の線スペクトルを含むスペクトルとに分光する波長選択部を備えており、上記計測部は、波長選択部により分光された上記スペクトルの強度を計測することが好ましい。
波長選択部とは、発光部材から放射された光のうち、特定の波長の光を選択させるものである。さらに、この波長選択部を、異なる波長の光毎に複数備えることができる。波長選択部を備える構成であれば、発光部材から放射された光のうちの、異なる波長の線スペクトルの各々を、各波長選択部によって選択することが可能となる。
波長選択部により選択された各線スペクトルは、強度比を演算するために計測される波長の線スペクトルである。すなわち、計測部は、各波長選択部により選択された線スペクトルについて、各々の線スペクトル強度を計測するようになっている。
このように、線スペクトルの強度比を演算するための波長が予め決められている場合には、各波長毎に波長選択部を設けることによって、計測部は各波長の線スペクトルの強度のみ計測すればよいこととなる。このため、処理速度を早くすることができると共に、より高度な識別力(セキュリティ性)を有する情報識別装置とすることができる。
第1の波長の線スペクトル及び第2の波長の線スペクトルとは、希土類錯体から放射された光のうちの、ある特定波長の線スペクトル、すなわち磁気双極子遷移に基づく線スペクトルまたは電気双極子遷移に基づく線スペクトルのことであり、光強度比を演算するために計測される波長のスペクトルである。
これら各波長の線スペクトルは、希土類錯体の発光分布に応じて適宜設定されるものであり、複数ある発光スペクトルのうちのいずれかであることが好ましい。このように、2つの特定波長の光の強度に基づいて比を演算するため、希土類錯体の同定が可能になるのみならず、演算を容易に行うことができる。
このように、線スペクトルの強度比を演算するための第1ないし第2の波長の線スペクトルを予め決めることが出来るので、波長選択部により第1ないし第2の波長の線スペクトルを含むスペクトルを分光し、各々のスペクトルの強度を計測すればよいこととなる。このため、処理速度を早くすることができると共に、より高度な識別力(セキュリティ性)を有する情報識別装置とすることができる。
つまり、言い換えれば、本発明に係る情報識別装置では、波長選択部をひとつないし複数備えることにより、発光部材から放射された第1の波長の線スペクトルを含むスペクトルと、発光部材から放射された第2の波長の線スペクトルを含むスペクトルとを分光し、上記計測部は、第1の波長の線スペクトルを含むスペクトルと第2の波長の線スペクトルを含むスペクトルとの各強度を計測すると共に、上記演算部は、第1の波長の線スペクトルを含むスペクトルの強度と第2の波長の線スペクトルを含むスペクトルの強度との比を演算することが好ましい。
また、更には、上記複数の波長選択部が、発光部材から放射された第1の波長の線スペクトルを分光する第1の波長選択部と、発光部材から放射された第2の波長の線スペクトルを分光する第2の波長選択部とを有しており、上記計測部は、第1の波長の線スペクトル及び第2の波長の線スペクトルについて、各線スペクトルの強度を計測すると共に、上記演算部は、第1の波長の線スペクトルの強度及び第2の波長の線スペクトルの強度の比を演算することがより好ましい。
上記の構成によれば、波長選択部が第1の波長選択部及び第2の波長選択部を有している。第1の波長選択部は、発光部材から放射された第1の波長の線スペクトルを分光するものである。また、第2の波長選択部は、発光部材から放射された第2の波長の線スペクトルを分光するものである。ここで、第1の波長の線スペクトル及び第2の波長の線スペクトルとは、希土類錯体から放射された光のうちの、ある特定波長の線スペクトルのことであり、線スペクトルの強度比を演算するために計測される波長の線スペクトルである。
計測部は、これら第1の波長の線スペクトル及び第2の波長の線スペクトルから、各線スペクトル強度を計測する。また、演算部は、第1の波長の線スペクトルの強度及び第2の波長の線スペクトルの強度の比を演算する。すなわち、線スペクトルの強度比を演算するため2つの波長の線スペクトルの強度の比が演算される。そして、識別部は、この演算された比に対応付けられた識別情報を識別する。
このように、線スペクトルの強度比を演算するため2つの波長が決められている場合には、各波長毎に波長選択部を設けることによって、計測部は各波長の線スペクトルの強度のみ計測すればよいこととなる。また、演算部においても、全ての波長の中から特定の波長の線スペクトルの強度を抽出する必要はなく、計測部にて計測した線スペクトルの強度のみを用いて比を演算することができる。このため、処理速度を早くすることができると共に、より高度な識別力(セキュリティ性)を有する情報識別装置とすることができる。
本発明に係る情報識別装置では、上記波長選択部は、上記発光部材から放射された光を透過、反射、回折または屈折させて分光することが好ましい。
本発明に係る情報識別装置では、上記演算部は、計測部において計測したスペクトルの強度のうち、第1の波長の線スペクトルを含むスペクトルの強度と第2の波長の線スペクトルを含むスペクトルの強度との比を演算することが好ましい。
第1の波長の光及び第2の波長の線スペクトルとは、希土類錯体から発光された光のうちの、ある特定波長の線スペクトルのことであり、スペクトル強度比を演算するために計測される波長のスペクトルである。
これら各波長の線スペクトルは、希土類錯体の発光分布に応じて適宜設定されるものであり、複数ある発光スペクトルのうちのいずれかであることが好ましい。このように、2つの特定波長の光の強度に基づいて比を演算するため、希土類錯体の同定が可能になるのみならず、演算を容易に行うことができる。
また、本発明に係る情報識別装置では、上記第1の波長の線スペクトルは、磁気双極子遷移に基づく線スペクトルであり、上記第2の波長の線スペクトルは電気双極子遷移に基づく線スペクトルであることが好ましい。
本発明に係る情報識別装置では、上記発光部材には複数種類の希土類錯体が含有されており、上記演算部は、各希土類錯体に対応する複数の波長のスペクトルの強度の比を演算することが好ましい。
上記の構成によれば、発光部材からは、各希土類錯体の各々から光が発光される。そして、演算部は、それら各希土類錯体からのスペクトルに対応する波長のスペクトル強度の比を演算している。すなわち、各希土類錯体では、比の演算に用いるスペクトルの波長は異なるものの、演算部では各々の希土類錯体を同定するための波長のスペクトル強度に基づいて比を演算している。従って、複数種類の希土類錯体を用いた場合であっても、各希土類錯体を同定することができるため、さらに高度な識別力(セキュリティ性)を有する情報識別装置とすることができる。
本発明に係る情報識別方法は、上記課題を解決するために、希土類錯体を含有する発光部材に対して励起光を照射する照射工程と、上記発光部材から放射された光を受光し、該光のスペクトルの強度を計測する計測工程と、上記計測したスペクトルの強度のうち、異なる複数の波長のスペクトルの強度の比を演算する演算工程と、上記演算された比に対応付けられた識別情報を識別する識別工程とを有していることを特徴としている。
上記の構成によれば、照射工程にて、希土類錯体を含有する発光部材に対して励起光を照射する。これにより、発光部材は発光する。計測工程では、この発光した光を受光すると共に、スペクトル強度を計測する。さらに、演算工程では、この計測したスペクトル強度のうち、異なる複数の波長のスペクトル強度の比を演算する。そして、識別工程にて、演算された比に対応付けられた識別情報を識別する。
このように、本発明では、希土類錯体から発光された光のうち、異なる複数の波長のスペクトル強度を計測して比を演算することによって、発光部材に含有された希土類錯体を同定(識別)し、希土類錯体に対応付けられた識別情報を識別・認証している。すなわち、本発明は、発光部材に含有された希土類錯体を同定することができるため、従来にない高度な識別力(セキュリティ性)を有する情報識別方法である。
また、本発明ではスペクトル強度比によって物質の同定を行っているため、希土類錯体が劣化した場合であっても同定を行うことが可能であり、温度等の使用条件の制限もない。また、希土類錯体は無色透明であるため通常状態では目に見えず、セキュリティにはよりすぐれている。さらに、単一の希土類イオンを用いた場合には、使用後においても貴重な資源である希土類イオンを回収することが可能になる。
本発明に係る情報識別方法では、上記発光部材から放射された光を、第1の波長の線スペクトルを含むスペクトルと第2の波長の線スペクトルを含むスペクトルとに分光する波長選択工程を行い、上記計測工程は、波長選択工程により分光されたスペクトルの強度を計測することが好ましい。
これら各波長の線スペクトルは、希土類錯体の発光分布に応じて適宜設定されるものであり、複数ある発光スペクトルのうちのいずれかであることが好ましい。このように、2つの特定波長の光の強度に基づいて比を演算するため、希土類錯体の同定が可能になるのみならず、演算を容易に行うことができる。
本発明に係る情報識別方法では、上記波長選択工程は、上記発光部材から放射された光を透過、反射、回折または屈折させて分光することが好ましい。
本発明に係る情報識別方法では、上記演算工程では、計測したスペクトルの強度のうち、第1の波長の線スペクトルを含むスペクトルの強度と第2の波長の線スペクトルを含むスペクトルの強度との比を演算することが好ましい。
第1の波長の線スペクトル及び第2の波長の線スペクトルとは、希土類錯体から発光された光のうちの、ある特定波長の線スペクトルのことであり、スペクトル強度比を演算するために計測される波長のスペクトルである。
これら各波長の線スペクトルは、希土類錯体の発光分布に応じて適宜設定されるものであり、複数ある発光スペクトルのうちのいずれかであることが好ましい。このように、2つの特定波長の光の強度に基づいて比を演算するため、希土類錯体の同定が可能になるのみならず、演算を容易に行うことができる。
本発明に係る情報識別方法では、上記第1の波長の線スペクトルは、磁気双極子遷移に基づく線スペクトルであり、上記第2の波長の線スペクトルは電気双極子遷移に基づく線スペクトルであることが好ましい。
本発明に係る情報識別方法では、上記発光部材には複数種類の希土類錯体が含有されており、上記演算工程は、各希土類錯体に対応する複数の波長のスペクトルの強度の比を演算することが好ましい。
上記の構成によれば、発光部材からは、各希土類錯体の各々から光が発光される。そして、演算工程は、それら各希土類錯体からの光に対応する波長のスペクトル強度の比を演算している。すなわち、各希土類錯体では、比の演算に用いるスペクトルの波長は異なるものの、演算工程では各々の希土類錯体を同定するための波長のスペクトル強度に基づいて比を演算している。従って、複数種類の希土類錯体を用いた場合であっても、各希土類錯体を同定することができるため、さらに高度な識別力(セキュリティ性)を有する情報識別方法とすることができる。
本発明に係る情報識別システムは、上記課題を解決するために、希土類錯体を含有する発光部材と、上記希土類錯体に対応付けられた識別情報を識別する情報識別装置とを含む情報識別システムであって、上記情報識別装置は、希土類錯体を含有する発光部材に対して励起光を照射する光源と、上記発光部材から放射された光を受光し、該光のスペクトルの強度を計測する計測部と、上記計測したスペクトルの強度のうち、異なる複数の波長のスペクトルの強度の比を演算する演算部と、上記演算された比に対応付けられた識別情報を識別する識別部とを備えていることを特徴としている。 上記の構成によれば、既に情報識別装置にて説明したように、従来にない高度な識別力(セキュリティ性)を有する情報識別システムとすることができる。また、スペクトルの強度比によって物質の同定(識別)を行っているため、希土類錯体が劣化した場合であっても同定を行うことが可能であり、温度等の使用条件の制限もない。
また、希土類錯体は無色透明であるため通常状態では目に見えず、セキュリティ性にはよりすぐれている。さらに、単一の希土類イオンを用いた場合には、使用後においても貴重な資源である希土類イオンを回収することが可能になる。また、本情報識別システムは、簡単な構成からなっており、システムのコスト自体を安価なものとすることができる。
なお、発光部材に複数種類の希土類錯体を含有させた場合には、使用可能な識別情報の数(暗号化できる情報の数)を多くすることができる。すなわち、この場合、膨大な量の識別情報を有する情報識別システムとすることができる。
以上詳しく説明したように、本発明によれば、希土類錯体の種類(希土類種(イオン)や希土類錯体の配位子など)によってコーディング(識別情報の構成)を行うため、使用可能な識別情報の数(暗号化できる情報の数)が多く、また、識別力(セキュリティ性)の高い識別装置、情報識別方法及び情報識別システムとすることができる。なお、発光部材に複数種類の希土類錯体を含有させることにより、使用可能な識別情報の数(暗号化できる情報の数)をさらに増やすことができる。
また、本発明によれば、希土類錯体の同定には、それぞれの希土類錯体に固有の波長を有し、当該錯体の配位子によって発光強度が変化する電気双極子遷移に基づく発光スペクトルと、当該錯体の配位子によって変化しない磁気双極子遷移に基づく発光スペクトルとの強度比を用いる。従って、該強度比はそれぞれの希土類錯体に固有であるため、識別力(セキュリティ性)の高い同定が可能となる。
また、本発明によれば、錯体の同定、つまり情報の識別は、本発明が波長選択部を備える場合には、当該波長選択部により選択(分光)されたスペクトルの強度を計測し、その計測値を用いて演算することによって、処理速度の早い識別ができる。
本発明において計測、演算される、発光部材のそれぞれのスペクトルの強度比は希土類錯体の劣化の度合いにかかわらず、一定であるため、希土類錯体が劣化した場合であっても同定を行うことが可能であり、長期の使用に耐える識別媒体を提供できる。さらに、それらのスペクトルの強度比は、温度によって変化しないため、温度変化に対して強く、周囲温度が変わっても安定した同定が可能となる。また、発光部材において希土類イオン種を混合せずに、一種類の希土類イオンからなる錯体を用いた場合には、希土類イオンを容易に回収することが可能になる。
以上、本発明によれば、社会的にも強く求められている、ID等の識別情報の漏洩を防止でき、高いセキュリティレベルを維持すると共に、使用条件の制限がなく、かつ、材料劣化の影響を受けずに、長期間の使用を可能とする情報識別装置、情報識別方法、及び情報識別システムを実現することができる。
本発明の実施の一形態を示すものであり、ID識別システムの概略構成を示すブロック図である。 本発明の実施の一形態を示すものであり、希土類錯体の発光スペクトルを示す図である。 本発明の実施の一形態を示すものであり、LIR(Eu)と、希土類錯体と、IDとが対応付けられたテーブルを示す図である。 本発明の他の実施の形態を示すものであり、ID識別システムの概略構成を示すブロック図である。 本発明の他の実施の形態を示すものであり、ID識別装置のより具体的な概略構成を示す図である。 本発明のさらに他の実施の形態を示すものであり、ID識別用媒体の一例を示す図である。 本発明のさらに他の実施の形態を示すものであり、ID識別用媒体の一例を示す図である。 本発明のさらに他の実施の形態を示すものであり、ID識別システムの概略構成を示すブロック図である。 図8に示すID識別システムで用いられるID識別装置の別の一例の概略構成を示す平面図である。 図8に示すID識別システムで用いられるID識別装置のさらに別の一例の概略構成を示す平面図である。
符号の説明
1・11・21 ID識別システム(情報識別システム)
2・19・20・22 ID識別用媒体(発光部材)
3・12・23 ID識別装置(情報識別装置)
5 光源
6 計測部
8 演算部
9 識別部
13a・13b・24a・24b 波長選択部
14・34・44 紫外線LED(光源)
15 第1のバンドパスフィルタ(波長選択部)
16 第2のバンドパスフィルタ(波長選択部)
17 コンピュータ(計測部、制御部)
35 光ハイパスフィルタ(波長選択部)
36 紫外光反射バンドパスフィルタ(波長選択部)
37・47 分離プリズム(波長選択部)
38 光検出器(計測部)
39a・49a 基板
39b・49b IDインク
41 分光器(波長選択部)
41a 回折格子(波長選択部)
41b 光ファイバ
46 紫外光反射ローパスフィルタ(波長選択部)
48 CCDアレイ(計測部)
〔実施の形態1〕
本発明の第1の実施の形態について図1ないし図3に基づいて説明すると以下の通りである。図1は、ID識別システム(情報識別システム)の概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、本発明のID識別システム1は、ID識別用媒体2に記録された識別情報に対応するIDを、ID識別装置3を用いて識別・認証するシステムである。
(ID識別用媒体)
ID識別用媒体(発光部材)2とは、IDを識別するために用いられ、識別情報が記録された情報記録媒体である。ID識別用媒体2は、希土類錯体を含有しており、この希土類錯体が識別情報として用いられる。本発明では、この希土類錯体からの発光スペクトルの強度(発光強度)を計測及び演算し、希土類錯体を同定(特定)することでID識別用媒体2に記録された識別情報が識別される。すなわち、本発明のID識別用媒体2とは、ID等の識別情報を識別するための被識別部材である。なお、希土類錯体の発光スペクトルの強度を用いて識別情報を識別する詳細な構成については後述する。
ID識別用媒体2に含有されている希土類錯体とは、1種類の希土類イオンに複数種類の配位子が配位した錯体である。すなわち、希土類イオンは同じで配位子の組み合わせが異なる複数種類の錯体である。なお、本発明のID識別用媒体2に用いることのできる希土類イオンに限定はなく、全ての希土類元素のイオンを使用することが可能である。
また、希土類錯体に用いられる配位子としては、例えば、ビピリジン系、フェナントリロン系、ジケトン系、カーバマイト系、アミン系、ホスフィン系といった系列の配位子を挙げることができる。これら各系列の配位子として、具体的に以下の式(1)〜(6)に示す化合物を挙げることができる。
式(1)がビピリジン系であり、式(2)がフェナントリロン系であり、式(3)がジケトン系であり、式(4)がカーバマイト系であり、式(5)がアミン系であり、式(6)がホスフィン系である。
ただし、上記化合物は代表的な例であり、各系列に属する他の誘導体も使用可能である。さらに、他の系列に属する化合物やその誘導体を用いてもよい。すなわち、本発明では、希土類錯体に用いられる配位子に限定はなく、使用される希土類イオンに配位することができるもの全てを用いることができる。これら希土類錯体は、公知の方法を用いて生成することができる。
また、ID識別用媒体2は、種々の形状又は形態で用いられる。例えば、希土類錯体を含有した樹脂を成型したカード、フィルム、シール、腕章等をID識別用媒体2として用いることができる。また、希土類錯体を含有させたインクを用いて印刷又は印字した画像、図形、文字等もID識別用媒体2として用いることが可能である。例えば、希土類錯体を含有したインクを用いて、インクジェット装置を使って識別パターンを印刷することができる。また、希土類錯体を含有したインク等によって形成する画像、図形、文字等は、バーコードなどのコード類とすることができる。バーコードとすることにより、コードの数は希土類錯体の種類数とバーコードの数の積となるため、コード数を大幅に増やすことができる。また、画像や図形を形成することにより、それらの有する識別情報と合わせて二段階のコーディングができ、より識別力(セキュリティ性)を上げることができる。
さらに、ID識別用媒体2は、後述するID識別装置にて識別可能な構成となっている。このID識別装置や識別方法の詳細については後述するが、「ID認証用媒体が、ID識別装置にて識別可能な構成」とは次のような構成のことである。つまり、本発明のID識別用媒体2は、ID識別装置に対して用いた場合に、ID識別装置がID識別用媒体2に含有された希土類錯体からの発光スペクトルの強度比の演算が可能であって、かつ、この演算の結果、ID認証用媒体2に含有されている希土類錯体を同定(特定)することにより、希土類錯体に対応する識別情報を識別することが可能となるような構成を有するID識別用媒体のことである。
このように、ID識別用媒体2は、希土類錯体を含有すると共に、ID識別装置にて識別可能な構成であればよく、その材質や形状、形態に限定されず、後述するID識別装置の仕様に応じて適宜変更すればよい。
(ID識別装置)
次に、本実施の形態に係るID識別装置(情報識別装置)3について説明する。図1に示すように、ID識別装置3は、IF4、光源5、計測部6、制御部7を備えている。なお、本実施の形態では、例として、ID識別用媒体2がカード状のものである場合に用いられるID識別装置3について説明する。以下では、ID識別用媒体2をIDカード2と記載することもある。
IF4は、IDカード2用のインターフェースである。IDカード2をこのIF4に近接させる、載置する又は挿入するといったことを行うことにより、IDカード2に記録された識別情報を読み取るようになっている。なお、上述のように、ID識別用媒体2はカード状のもののみならず種々の形状・形態の媒体とすることができるため、IF4についても、上記ID識別用媒体2を近接、載置又は挿入するタイプのものに限定されず、ID識別用媒体2の形状・形態に応じて適宜変更することができる。
光源5は、IF4に近接、載置又は挿入等されたIDカード2に対して、希土類錯体の吸収波長に対応する波長の励起光を照射するものである。光源5としては、例えば、紫外線LED、ブラックライト、キセノンランプ、短波長半導体レーザ等の紫外領域において発光可能な光源が用いられる。
計測部6は、IDカード2の希土類錯体から発光された光を受光し、この光のスペクトル強度(光の強度)を計測するものである。すなわち、計測部6は、希土類錯体から発光された光を受光すると、スペクトル強度を計測し、このスペクトル強度のデータを制御部7に送信するようになっている。計測部6は、受光した光のうち、全ての波長のスペクトル強度を計測してもよく、予め定められた波長の光強度のみを計測してもよい。この計測部6としては、光強度を計測することができるものであればよく、例えば、フォトダイオード、光電子倍増管、CCD、スペクトルアナライザ等を用いることができる。
なお、本実施の形態では、IDカード2から発光された光を受光し、スペクトル強度を計測する計測部6を備えた構成としているが、IDカード2から発光された光を受光する部材と、受光したスペクトルの強度を計測する部材とを別々の構成としてもよい。
制御部7は、計測部6にて受光・計測したスペクトル強度のデータに基づいてIDカード2に記録された識別情報に対応するIDの識別・認証を行うものである。制御部7は、演算部8及び識別部9を備えている。
演算部8は、計測部6から受信したスペクトル強度データのうち、予め定められた複数の波長におけるスペクトル強度の比を演算するものである。例えば、2つの波長のスペクトル強度を用いる場合には、受信したスペクトル強度データの中から、第1の波長におけるスペクトル強度データと、第2の波長におけるスペクトル強度データとを抽出し、これらのスペクトル強度の比を演算する。なお、演算部8は、2つの波長のスペクトル強度の比を演算するものに限定されず、3つ以上のスペクトル強度を演算するものであってもよい。また、演算部8は、この演算結果を識別部9に送信するようになっている。
識別部9は、演算部8から受信した演算結果に基づいて、IDカード2に記録された識別情報に対応するIDを識別し、認証するものである。識別部9は、演算部8にて演算されたスペクトル強度の比を受信すると、複数のIDが格納されたデータベース(DB)10から、演算により算出されたスペクトル強度の比に対応付けられた希土類錯体を同定(特定)し、この希土類錯体に対応するIDを識別する。これにより、IDカード2に記録された識別情報に対応するIDが識別及び認証される。
上記DB10は、スペクトル強度の比と、その比に対応する希土類錯体と、その希土類錯体に対応するIDとを1対1に対応付けて格納しているものである。すなわち、1つの比に対して1つの希土類錯体が対応しており、1つの希土類錯体に対して1つのIDが対応していることとなる。DB10は、これらスペクトル強度の比、希土類錯体及びIDを、例えば、ルックアップテーブル(LUT)等の形式で格納している。
なお、上記DB10は、ID識別装置3自身が備えていてもよく、外部の他の装置が備えていてもよい。他の装置がDB10を備えている場合には、ID識別装置3は、通信部等(図示せず)を介して他の装置と通信を行い、DB10からIDを抽出して識別を行う。
(ID識別方法)
次に、上記ID識別装置3を用いてIDの識別・認証を行う方法について具体的に説明する。なお、本実施の形態では、IDカード2に含有されている希土類錯体として、ユーロピウムイオンを希土類イオンとした錯体を用いた場合を例に挙げて説明する。
なお、希土類イオンがユーロピウムイオンである希土類錯体に励起光を照射すると、590nm、615nm、650nm及び700nmといった複数の波長のスペクトルを有する光(複数の波長の光)を発光する。これは、配位子の組み合わせに関係なく、希土類イオンがユーロピウムイオンであれば全ての錯体で同じである。ただし、配位子の組み合わせが異なる場合には発光するスペクトル(光)の強度が変わる。すなわち、ある波長のスペクトル強度と他の波長のスペクトル強度との比は、各希土類錯体で異なることとなる。つまり、これらの比は希土類錯体固有の値である。従って、スペクトル強度の比を算出することによって希土類錯体を同定(特定)することができる。
希土類錯体は、一般に複数の発光線スペクトルを有しており、その中には磁気双極子遷移に基づく発光線スペクトル及び電気双極子遷移に基づく発光線スペクトルがある。磁気双極子遷移に基づく発光線スペクトルは希土類元素固有の光強度を有しており、電気双極子遷移に基づく発光線スペクトルの線スペクトルの強度は希土類元素の周りの配位子の種類によって変化し、かつ、希土類錯体の種類によって固有の光強度を有する。従って、磁気双極子遷移に基づく線スペクトルに対する電気双極子遷移に基づく線スペクトルの強度比はその希土類錯体固有の値を有する。
例えば、上記ユーロピウムイオンを希土類イオンとした錯体を用いた場合、590nmの波長のスペクトルは、磁気双極子遷移に基づく発光線スペクトルであり、遷移に関わる2準位間の全磁気量子数Jが1だけ変化する遷移(ΔJ=1)に基づくものである。615nmの波長のスペクトルは、電気双極子遷移に基づく発光線スペクトルであり、ΔJが2だけ変化する遷移によるものである。このように、希土類錯体から発光された光のうち、上記の2種類の遷移に基づく異なる複数の波長の線スペクトルの強度を計測して比を演算することによって、発光部材に含有された希土類錯体を同定(識別)することもできる。
なお、電気双極子遷移(ΔJ=2)に、ΔJ=2以外の電気双極子遷移のスペクトルが混入しても、錯体を同定する際のスペクトル強度比を調整することにより、問題なく同定することが可能である。
なお、上記4つの波長のうち、いずれか2つの波長のスペクトル強度の比を算出してもよく、いずれか3つの波長のスペクトル強度の比を算出してもよく、4つの波長のスペクトル強度の比を算出してもよい。このように、スペクトル強度の比を算出するための波長の選択は任意でよい。また、その数に限定はない。
磁気双極子遷移の場合、周囲の配位子の形成する電子場の影響を受けないため、そのスペクトルの波長及び強度は配位子の種類、すなわち錯体の種類によって変化しない。一方、電気双極子遷移の場合は、配位子の電子場によって遷移確率が大きく変化するため、錯体の種類によりスペクトルの波長は変化しないが、スペクトル強度は大きく変化する。従って、磁気双極子遷移のスペクトル強度に対する電気双極子遷移のスペクトル強度の比を求めることにより、希土類錯体を同定することが可能となる。
ユーロピウム(Eu)イオンを用いた場合には、590nm及び615nmの波長のスペクトル強度は、他の波長のスペクトル強度よりも強く、590nmの波長におけるスペクトル強度はいずれの錯体においてもほぼ同じである。このことから、590nm及び615nmの波長を選択すれば、スペクトル強度の比の算出やスペクトルによるスペクトル強度の確認を容易に行うことができる。このため、本実施の形態では、590nmの波長のスペクトル強度と、615nmの波長のスペクトル強度との比を求めることとする。
まず、所定の操作を行うことにより、光源5がIDカード2に対して励起光を照射する。すると、IDカード2の希土類錯体が発光する。希土類錯体から発光した光が計測部6に受光されると、計測部6はスペクトル強度を測定する。計測部6によるスペクトル強度の測定は、受光した光の全ての波長のスペクトル強度を計測してもよく、予め定められた波長のスペクトル(光)のみを計測してもよい。計測部6は、スペクトル強度のデータを制御部7の演算部8に送信する。
演算部8は、計測部6から受信した各スペクトル強度のデータを用いてそれらの比を演算する。すなわち、計測部6が全ての波長のスペクトル強度を計測した場合には、これら各データのうち、590nm及び615nmの波長のスペクトル強度のみを抽出して演算する。また、計測部6が予め定められた波長のスペクトル(光)のみを計測している場合(590nm及び615nmの光強度のみを計測している場合)には、これら各データに基づいて演算する。
ここで、各波長におけるスペクトル強度の比をLIR(Eu)とすると、演算部は、
LIR(Eu)=615nmのスペクトル強度/590nmのスペクトル強度
によりLIR(Eu)の値を算出する。そして、識別部9は、DB10にアクセスしてLUTを参照し、算出した比の値に対応する希土類錯体を同定(特定)する。さらに、識別部9は、LUTから、同定(特定)した希土類錯体に対応付けられたIDを取得する。これにより、IDカード2に記録された識別情報に対応するIDを識別及び認証することができる。
以上は、希土類イオンとしてEuを用いた場合を例に説明してきたが、以上の磁気双極子遷移及び電気双極子遷移の特徴は、Euに限られるものではなく、希土類全体に言えることである。
例えば、サマリウムイオン(Sm(III))を用いた場合は、発光スペクトルにおける磁気双極子遷移(4G5/2−5H7/2:600nm)と電気双極子遷移(4G5/2−5H9/2:650nm)との強度比較をすることにより同様の解析を行なう事ができる。テルビウムイオン(Tb(III))を用いた場合も同様に、発光スペクトルにおける580nmと545nmとの強度比較により、識別が可能である。プラセオジムイオン(Pr(III))の場合は、1040nmと490nm、530nm及び620nmの発光強度を比較することにより識別が可能となる。ネオジムNd(III)の場合は、900nmと1064nmとの発光バンドの強度比を比較することにより識別が可能となる。
このように、希土類錯体固有の値を算出することで、IDカード2に含有されている希土類錯体を同定(特定)することができる。つまり、希土類錯体をいわゆる「指紋」と同様の用途で用いることができる。このため、希土類錯体とIDとを対応付けておくことによって、IDの識別及び認証に使用することが可能になる。
ここで、希土類錯体として、式(7)〜(11)に示す5つの錯体を用いた場合を例に挙げてより具体的に説明する。
図2は、上記式(7)〜(11)に示す錯体の発光スペクトルを示す図である。図2では、各錯体の発光スペクトルについて、590nmの発光スペクトル(発光ピーク)を1として規格化したものである。図2に示すように、590nmのスペクトル強度(発光ピーク、発光線スペクトル)を同じにした場合には、615nmのスペクトル強度が全ての錯体において異なっていることが分かる。つまり、590nmのスペクトル強度の値と615nmのスペクトル強度の値とから算出される比は各錯体で異なる値となる。
ID識別装置の演算部は、これら計測されたスペクトル強度を用いてLIR(Eu)を算出する。図2に示すように、式(7)に示すEu(HFA−D)3(D2O)2(DMSO−d6)nの場合には、LIR(Eu)=6となり、式(8)に示すEu(HFA−D)3(TPPO)2(DMSO−d6)nの場合には、LIR(Eu)=8となる。同様に、式(9)に示すEu(HFA−D)3(D2O)2の場合には、LIR(Eu)=12であり、式(10)に示すEu(HFA−D)3(TPPO)2の場合には、LIR(Eu)=17であり、式(11)に示すEu(HFA−D)3(TPPO−F)2の場合には、LIR(Eu)=18である。
また、DBに格納されているLUTを図3に示す。図3に示すように、LUTは、LIR(Eu)と、希土類錯体と、IDとが対応付けられたテーブルである。識別部は、DBにアクセスしてLUTを参照し、上記LIR(Eu)に対応する希土類錯体を同定(特定)する。そして、識別部は、同定(特定)した希土類錯体に対応付けられたIDデータを取得し、IDを識別及び認証する。
例えば、LIR(Eu)が6の場合には、識別部は、IDカードに含有されている希土類錯体が「Eu(HFA−D)3(H2O)2(DMSO−d6)n」であることを同定(特定)し、この希土類錯体に対応付けられた「A」というIDを取得する。このようにして、識別部は、識別に使用されたIDカードに記録された識別情報に対応するIDが「A」であることを識別及び認証することができる。なお、LIR(Eu)が異なる他の希土類錯体の場合も同様にしてIDを識別及び認証することができる。
なお、希土類イオンが予め分かっている場合には、スペクトル強度の比の値のみで希土類錯体を同定(特定)することが可能である。一方、希土類イオンが予め分かっていない場合には、スペクトル強度の比の値のみでは希土類錯体を同定(特定)することができないものの、スペクトル強度を計測した波長とスペクトル強度の比とを用いることによって希土類錯体を同定(特定)することができる。
また、本実施の形態では、ID識別用媒体に励起光を照射する時間は1秒程度あれば十分である。また、IDの識別を1日に10回程度行うとすれば、1日にID識別用媒体に励起光を照射する時間は10秒程度となる。すなわち、1年でID識別用媒体に励起光を照射する時間は3650秒(約1時間)程度となる。ID識別用媒体に励起光を10時間程度照射したとしても希土類錯体が劣化することがないため、10年以上ID識別システムを使用した場合であっても、ID識別用媒体の希土類錯体が劣化することはない。従って、長期間の使用が可能となる。
さらに、本実施の形態では、1種類の希土類イオンに複数種類の配位子が配位した錯体を用いている。このため、例え希土類錯体が劣化した場合であっても、スペクトル強度の比を演算する構成であるので、ID識別が正常に行われなかったり、誤動作を起こしたりすることがない。
(ID識別システムの用途)
上述のように、希土類錯体の発光スペクトルは、複数の波長域にピークをもつスペクトルとなっており、各ピークの高さ比(スペクトル強度比)は希土類錯体固有の値である。本発明では、このスペクトル強度比をいわゆる「物質の指紋」として考え、この「物質の指紋」と個人情報とを対応付けたID識別用媒体を作製すると共に、その「物質の指紋」を読み取り、個人情報を識別及び認証することができるID識別システムを構築したものである。
本ID識別システムは、ある特定の波長のスペクトル強度比を算出することによって「物質の指紋」を読み取る(希土類錯体を同定(特定)する)構成のものであるため、希土類錯体が光又は熱等で劣化した場合であっても正常に機能する。また、使用する際に温度等の制限を受けることもない。このため、本発明のID識別システムは、高精度のID識別及び認証システムとなり、これを利用すれば、高度識別及び認証型セキュリティシステムを構築することもできる。
従って、本ID識別システムは、例えば、ホテルの宿泊客や会員制クラブ等の入退室管理、各家庭やマンション等におけるセキュリティロック、企業のパソコンと接続することによる情報管理システム保護等のセキュリティシステムに利用することができる。
〔実施の形態2〕
本発明の第2の実施の形態について図4及び図5に基づいて説明する。なお、説明の便宜上、実施の形態1に記載した各部材と同様の機能を有する部材については、実施の形態1と同じ符号を用い、その説明を省略する。
本実施の形態は、上記実施の形態1と比較してID識別装置が異なるのみで他の構成は同じである。このため、本実施の形態では、ID識別装置の構成を主として説明する。また、本実施の形態においても、ID識別用媒体(発光部材)は、実施の形態1と同様のものを用いることができる。
(ID識別装置)
図4は、本実施の形態におけるID識別システム11の概略構成を示すブロック図である。ID識別システム(情報識別システム)11は、ID識別用媒体2に記録された識別情報に対応するIDを、ID識別装置12を用いて識別及び認証するシステムである。
図4に示すように、ID識別装置(情報識別装置)12は、IF4、光源5、波長選択部13a・13b、計測部6、制御部7を備えている。なお、本実施の形態に係るID識別装置12は、実施の形態1と同様に、ID識別用媒体2がカード状のもの(IDカード)に用いられるものとする。以下では、ID識別用媒体2をIDカード2と記載することもある。
波長選択部13a・13bは、各々特定の波長の光(スペクトル)のみを透過させるものであり、IDカード2から放射された光が計測部6に到達するまでの位置に設けられている。すなわち、IDカード2から発光された光は、波長選択部13a・13bを透過した後に計測部6に到達する。従って、本実施の形態の計測部6は、特定の波長の光(スペクトル)のみを受光するようになっている。このような波長選択部13a・13bとしては、特定の波長を選択的に透過させることができるものであればよく、例えば、バンドパスフィルタ等を用いることができる。
例えば、一種類の希土類イオンからなる複数の錯体のスペクトルを分光する場合に、波長選択部13a・13bとして光PF(Pass Filter)や光LPF(Low Pass Filter)、光HPF(High Pass Filter)を用いることにより、磁気双極子遷移(ΔJ=1)のスペクトルと電気双極子遷移のスペクトルとを2分割することができる。これにより、計測部6において、磁気双極子遷移(ΔJ=1)のスペクトルと主たる電気双極子遷移(ΔJ=2)のスペクトルとを計測し、演算部8においてその強度の比を求める構成とすることもできる。
なお、光PF(Pass Filter)とは、任意の波長のみを透過させるフィルタをいい、光LPF(Low Pass Filter)は、所定の波長より長波長の波長を通過させ、所定波長より短波長の波長を反射するフィルタをいい、光HPF(High Pass Filter)とは、所定波長より短波長の波長を透過し、所定波長より長波長の波長を反射するフィルタをいう。
特に、波長選択部13a・13bとして、誘電体多層膜からなる光LPF等を用い、スペクトルを2分割する場合には、希土類イオンが一種類の場合の錯体の同定のみが対象となる。希土類イオンが異なる複数の希土類錯体を同定する場合には、それらがバーコードのように位置的に分離されていれば、本実施の形態が適用可能である。
上記特定の波長の光(スペクトル)とは、IDカード2に含有された希土類錯体を同定(特定)するために、スペクトル強度の比の算出に用いられる波長の光(スペクトル)のことである。つまり、計測部6には、スペクトル強度の比の算出に用いる波長の光(スペクトル)のみが到達する。従って、IDカード2に含まれる希土類イオンが予め明らかな場合には、その希土類イオンに対応する波長選択部13a・13bを用いればよい。すなわち、2つの波長のスペクトル強度の比を算出する場合には、各波長の光(スペクトル)を各々透過させる波長選択部13a及び波長選択部13bを用いればよい。
このため、計測部6は、スペクトル強度の比の算出に必要な波長のスペクトル強度のみを計測するようになっており、全ての波長のスペクトル強度を計測する必要がない。また、計測部6が、予めスペクトル強度の比の算出に用いる波長のスペクトル強度のみを計測しているため、演算部8においても、計測部6から受信したスペクトル強度のデータをそのまま演算に用いることができる。すなわち、特定波長のスペクトル強度を選択する必要がないため、演算が容易になり処理速度が高まる。
(ID識別方法)
次に、上記ID識別装置12を用いてIDの識別・認証を行う方法について具体的に説明する。本実施の形態においても、上記実施の形態1と同様に、ユーロピウムイオンを希土類イオンとした錯体を用いた場合を例に挙げて説明する。また、590nmの波長のスペクトル強度と615nmの波長のスペクトル強度とを計測し、それらの比を算出することとする。ただし、波長の選択は任意でよい。また、ID識別装置12のより具体的な概略構成を図5に示し、この図に基づいて説明する。
上記ID識別装置12は、紫外線LED14(光源5)、590nmの波長の光(スペクトル)のみを透過する第1のバンドパスフィルタ(BPF)15(波長選択部13a)、615nmの波長の光(スペクトル)のみを透過する第2のバンドパスフィルタ16(波長選択部13b)、コンピュータ17(計測部6及び制御部7)、光検出器18(図4には不図示)を備えている。
図5に示すように、紫外線LED14がIDカード2に対して紫外線(励起光)を照射すると、IDカード2の希土類錯体が発光する。希土類錯体から発光した光は、第1のバンドパスフィルタ15を透過した590nmの波長の光(スペクトル)と、第2のバンドパスフィルタ16を透過した615nmの波長の光(スペクトル)とが光検出器18にて検出されコンピュータ17へ送信される。コンピュータ17では、計測部6にてこれら各波長のスペクトル強度を計測し、計測したスペクトル強度のデータを制御部7の演算部8に送信する。
演算部8は、計測部6から受信した各スペクトル強度のデータを用いてそれらの比を演算する。すなわち、スペクトル強度の比をLIR(Eu)とすると、演算部は、
LIR(Eu)=615nmのスペクトル強度/590nmのスペクトル強度
によりLIR(Eu)の値を算出する。
そして、識別部9は、DB10にアクセスしてLUTを参照し、算出した比の値に対応する希土類錯体を同定(特定)する。さらに、識別部9は、LUTから、特定した希土類錯体に対応付けられたIDを取得する。これにより、IDカード2に記録された識別情報に対応するIDを識別及び認証することができる。
このように、希土類錯体固有の値を算出することで、IDカード2に含有されている希土類錯体を同定(特定)することができる。つまり、希土類錯体をいわゆる「指紋」と同様の用途で用いることができる。このため、希土類錯体とIDとを対応付けておくことによって、IDの識別及び認証に使用することが可能になる。
その他の具体的なID識別及び認証例や、他の希土類錯体を用いた場合においても、上記実施の形態1と同様にしてIDを識別及び認証することができる。
なお、本実施の形態では、希土類イオンが1種類であり、かつその希土類イオンが予め分かっているので、スペクトル強度の比の値のみで希土類錯体を同定(特定)することが可能である。ただし、スペクトル強度を計測するための波長とスペクトル強度の比との両方に基づいて希土類錯体を同定(特定)してもよい。
また、本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、高度のID識別システムとして利用することができる。
本実施の形態においては、波長選択部を設けることにより、線スペクトルの強度比を演算するための波長を予め決めることができる。これにより、波長選択部が所定の波長の線スペクトルを含むスペクトルを選択(分光)し、計測部は各波長の線スペクトルの強度のみ計測すればよいこととなる。このため、処理速度を早くすることができると共に、より高度な識別力(セキュリティ性)を有する情報識別装置とすることができる。
〔実施の形態3〕
本発明の第3の実施の形態について図6ないし図10に基づいて説明する。なお、説明の便宜上、実施の形態1に記載した各部材と同様の機能を有する部材については、実施の形態1と同じ符号を用い、その説明を省略する。
(ID識別用媒体)
本実施の形態に係るID識別用媒体(発光部材)は、複数種類の希土類錯体を含有させたものである。複数種類の希土類錯体とは、同じ希土類イオンからなる複数の錯体であってもよく、異なる希土類イオンからなる複数の錯体であってもよく、混合したものであってもよい。ただし、希土類錯体から発光された各光のスペクトル強度の計測を高精度に行うためには、全てが異なる希土類イオンからなる複数の錯体を用いることが好ましい。従って、本実施の形態では、全て異なる希土類イオンからなる複数の錯体を用いたID識別用媒体を例に挙げて説明する。
なお、本実施の形態の希土類錯体は、上記実施の形態1と同様の希土類錯体を用いることができる。また、ID識別用媒体においても、実施の形態1と同様の材質、形状、形態で用いることができ、後述するID識別装置の仕様に応じて適宜変更することができる。
例えば、複数種類の希土類錯体を含有する樹脂を成型してID識別用媒体を製造する場合には、希土類錯体を全て含有した状態の樹脂を成型することにより、ID識別用媒体を製造できる。この場合、ID識別用媒体の全ての領域には、混合された状態の希土類錯体が存在していることになる。
一方で、これとは異なる方法でも製造できる。例えば、単一の希土類錯体を含有する樹脂を各々成型して、それらを組み合わせてもID識別用媒体を製造することができる。この場合、各希土類錯体は混合されておらず、ID識別用媒体は、単一の希土類錯体が存在する領域を複数有することとなる。このような構成とした場合には、使用後においても貴重な資源である希土類イオンを回収することが可能になる。
図6及び図7は、このようなID識別用媒体の一例を示す図である。図6に示すように、ID識別用媒体19がIDカードである場合には、単一の希土類錯体を含有する樹脂からなる成型体を貼り合わせることによって、互いに異なる希土類錯体が存在する複数の領域を有するID識別用媒体19を製造できる。また、図7に示すように、単一の希土類錯体を含有するフィルム又はシールを所定の位置に貼り付ける方法によっても同様のID識別用媒体20を製造することができる。
そして、上記いずれの場合においても、各希土類錯体からの発光スペクトル強度(発光強度)を計測・演算することにより、ID識別用媒体に記録された識別情報が識別される。なお、ID識別用媒体の構成はこれに限定されるものではない。
(ID識別装置)
図8は、本実施の形態におけるID識別システム21の概略構成を示すブロック図である。図8に示すように、ID識別システム21は、ID識別用媒体22に記録された識別情報に対応するIDを、ID識別装置23を用いて識別・認証するシステムである。
ID識別装置(情報識別装置)23は、IF4、光源5、波長選択部24a・24b…、計測部6、制御部7を備えている。なお、ID識別用媒体22としては、例として上述したカード状のID識別用媒体19やID識別用媒体20を用いることができるので、本実施の形態に係るID識別装置23は、ID識別用媒体19に用いられるものとする。以下では、ID識別用媒体19をIDカード19と記載することもある。
波長選択部24a・24b…は、特定の波長の光(スペクトル)のみを透過させるものであり、IDカード19から放射された光が計測部6に到達するまでの位置に設けられている。すなわち、IDカード19からの光は、波長選択部24a・24b…を透過した後に計測部6に到達する。従って、本実施の形態の計測部6は、特定の波長の光(スペクトル)のみを受光するようになっている。このような波長選択部24a・24b…としては、特定の波長を選択的に透過させることができるものであればよく、例えば、バンドパスフィルタ等を用いることができる。
上記特定の波長の光(スペクトル)とは、IDカード19に含有された希土類錯体から発光された光のうち、スペクトル強度の比の算出に用いられる波長の光(スペクトル)のことである。つまり、計測部6には、スペクトル強度の比の算出に用いる波長の光(スペクトル)のみが到達する。
ところで、ID識別用媒体に複数種類の希土類錯体が含有されている場合には、各希土類錯体から発光されたスペクトル(光)の強度を計測し、演算する必要がある。また、1種類の希土類イオンに対して2つの波長のスペクトル強度を計測するため、2つの波長選択部を必要とする。つまり、ID識別装置23は、n種類(nは2以上の整数)の希土類イオンを用いた場合には、2n個の波長選択部を有することとなる。本実施の形態のようにIDカード19が3種類の希土類錯体を含有している場合には、6個の波長選択部を有する構成とすればよい。
波長選択部24a・24b…を透過した光は計測部6に到達し、計測部6ではこれら各スペクトル(光)の強度を計測する。演算部8では、計測部6で計測したスペクトル強度データのうち、各希土類錯体に対応する1対の波長のスペクトル強度データを用いてそれらの比を演算する。そして、識別部9が各希土類錯体からの発光スペクトル強度比に基づいてIDを識別及び認証するようになっている。
なお、本実施の形態では、ID識別装置の構成はこれに限定されることはない。例えば、上記波長選択部24a・24b…を備えていない構成であっても実現可能である。この場合、計測部6が全波長のスペクトル強度を測定して、演算部8が全波長のスペクトル強度データの中から所定の波長のスペクトル強度データを抽出して、スペクトル強度比を演算するように設定すればよい。
例えば、ID識別装置の構成として、本実施の形態にかかるID識別装置に円偏光検出を組み合わせることも可能である。つまり、ID識別装置の構成を、発光部材に含まれる希土類錯体の異なる波長における発光スペクトルの強度比を算出して当該希土類錯体を同定することによる情報の識別機構に加え、当該発光部材に含まれる希土類錯体の円偏光情報の識別機構を付加した構成とすることもできる。希土類錯体の中には光学異方性を有するものがあり、これらの錯体の蛍光スペクトルは円偏光性を有する。従って、光学異方性錯体を用いて円偏光及びスペクトル強度比を用いてコーディングを行うことにより、さらに秘匿性の高いコーディングを行うことが可能となる。
さらに、別の異なるID識別装置の構成として、二種類以上の希土類イオンからなる複数の錯体を同定するID識別装置を挙げることができる。図9は、本実施形態のID識別装置の別の一例の概略構成を示す平面図である。二種類以上の希土類イオンからなる複数の錯体のスペクトルを分光する場合、上記の光LPFや光HPFで2分割するだけでは不十分であり、さらに分光機能を高める必要がある。尚、図9に示すID識別装置では、IDインク(希土類錯体を含むインク)39bが基板(IDカード基板)39a上に塗布されたIDカード等を用い、図9に示す矢印の方向(IDカード等の挿入方向、読み取り方向)にIDカード等を挿入してIDカード等のデータを読み取る構成となっている。
このようなID識別装置装置においては、分離プリズム(分光プリズム)37において、励起用紫外光の反射用の、誘電体多層膜からなる光HPF35の代わりに、図9に示す透過特性を有する光BPF36を使用することが好ましい。即ち、上記光BPF36は紫外光を反射し、各希土類イオンからの磁気双極子遷移のスペクトルと主電気双極子遷移のスペクトルとを通す帯域幅を有する。このようにして、複数の希土類イオンが混入する場合でも、それぞれの希土類イオンのスペクトルに合わせた複数のBPF、光LPF及び光HPFを組み合わせることにより、それぞれの希土類錯体を同定することが可能となる。
さらに、二種類以上の希土類イオンからなる複数の錯体を同定する場合のID識別装置の構成として、回折格子からなる分光器を用いることができる。図10は本実施の形態のID識別装置の更に別の一例の概略構成を示す平面図である。図10に示すID識別装置では、分離プリズム47の光LPF46により蛍光スペクトル光と反射紫外光とを分離した後、蛍光スペクトル光を光ファイバ41bにより、回折格子41aを備えた分光器41に導く。そして、回折格子41aにより分光された各スペクトル光は一次元のCCDアレイ48に入射し、各スペクトル光のスペクトル強度が計測される。このような構成により、各希土類錯体の対応するスペクトルの強度比を得ることが出来、複数の希土類イオンの錯体を同定することが可能となる。尚、図10に示すID識別装置では、図9に示すID識別装置と同様に、IDインク(希土類錯体を含むインク)49bが基板(IDカード基板)49a上に塗布されたIDカード等を用い、図10に示す矢印の方向(IDカード等の挿入方向、読み取り方向)にIDカード等を挿入してIDカード等のデータを読み取る構成となっている。
(ID識別方法)
次に、本実施の形態でのIDの識別・認証方法について説明する。本実施の形態では、複数の希土類錯体を用いており、これら各希土類錯体から発光された光のスペクトル強度比を算出することによりIDを識別・認証している。
具体的には、ID識別用媒体22に含有されている希土類錯体毎にスペクトル強度比を算出し、そのスペクトル強度比とスペクトル強度比を算出した波長とに基づいて希土類錯体を同定(特定)する。そして、同定(特定)された複数の希土類錯体の組み合わせに対応付けられたIDを取得することによって、IDを識別・認証する。
ここで、IDカード19に含有されている3種類の希土類錯体として、ユーロピウムイオンを含む錯体と、テルビウムイオンを含む錯体と、ネオジムイオンを含む錯体とを用いた場合を例に挙げて説明する。
ユーロピウムイオンを含む希土類錯体からの発光については、590nm及び615nmの波長のスペクトル強度を計測してそれらの比を算出し、テルビウムイオンを含む希土類錯体からの発光については、487nm及び545nmの波長のスペクトル強度を計測してそれらの比を算出し、ネオジムイオンを含む希土類錯体からの発光については、885nm及び1054nmの波長のスペクトル強度を計測してそれらの比を算出することとする。
IDカード19から発光した各希土類錯体の光が計測部6にて受光されると、計測部6は各希土類錯体に対応する波長のスペクトル強度を計測し、制御部7に送信する。制御部7では、演算部8が計測部6から受信した各スペクトル強度のデータの中から、対となるスペクトル強度データを抽出してそれらの比を演算する。
例えば、ユーロピウムイオンを含む希土類錯体からの発光スペクトル強度(発光強度)の比をLIR(Eu)とし、テルビウムイオンを含む希土類錯体からの発光スペクトル強度の比をLIR(Tb)とし、ネオジムを含む希土類錯体からの発光スペクトル強度の比をLIR(Nd)とすると、演算部は、
LIR(Eu)=615nmのスペクトル強度/590nmのスペクトル強度
LIR(Tb)=487nmのスペクトル強度/545nmのスペクトル強度
LIR(Nd)=885nmのスペクトル強度/1054nmのスペクトル強度
によりLIR(Eu)、LIR(Tb)及びLIR(Nd)の値を算出する。
識別部9は、DB10にアクセスしてLUTを参照し、算出した比の値に対応する希土類錯体の組み合わせを同定(特定)する。さらに、識別部9は、LUTから、同定(特定)した希土類錯体の組み合わせに対応付けられたIDを取得する。これにより、IDカード19に記録された識別情報に対応するIDを識別・認証することができる。
このように、希土類錯体をいわゆる「指紋」と同様の用途で用いると共に、それらの組み合わせとIDとを対応付けておくことによって、IDの識別・認証に使用することが可能になる。また、具体的なID識別例や、他の希土類錯体を用いた場合においても、上記実施の形態1と同様にしてIDを識別・認証することができる。
(ID識別システムの用途)
また、本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、高度のID識別システムとして利用することができる。さらに、本実施の形態では、複数種類の希土類錯体を用いているため、単一の希土類錯体を用いた場合と比較して、より多くのID(暗号組み合わせ)を用いることができる。
例えば、希土類イオンに配位する配位子は、代表的なものだけでも数十種類存在し、各種類には10種類以上の誘導体が存在する。従って、1つの希土類イオンに対して1000種類以上の錯体が存在する。さらに、3種類の希土類イオンを用いた場合には、その組み合わせは、単純なモデルであっても10億通り以上となる。つまり、10億以上のID(暗号組み合わせ)を採用することが可能となり、膨大な数のIDを必要とするセキュリティシステムにも問題なく用いることができる。
また、図8及び図9で示すようなID識別用媒体19・20とした場合には、各希土類錯体は、混合することなく各々別の領域に存在しているため、複数種類の希土類錯体を用いたとしても各希土類イオンをリサイクルすることができる。
〔ユーロピウム錯体を樹脂に含有させる実験例〕
次に、ユーロピウム錯体を樹脂に含有させる実験例について説明する。なお、本発明において、希土類錯体を樹脂に含有させる方法は、以下に示す方法以外にも、例えば「スピンコート法」「キャスト法」「熱成形加工法」等を用いることが可能であり、以下の実験例に限定されるものではない。
1mlのメタクリル酸メチルにユーロピウム錯体(ユーロピウムイオン濃度:0.7重量%)、重合開始剤(AIBN:0.05重量%)を溶解させ、その溶液をパイレックス(登録商標)製ガラス管に導入した後、真空脱気(10-3 Torr)を行い、その後ガラス管を封管した。得られたガラス管を60℃の恒温槽に設置し(5時間反応)、メタクリル酸メチルの重合反応を行った。重合反応終了後、ガラス管からサンプル(ユーロピウム錯体を含むポリメタクリル酸メチル)を取り出し、Alナノ粒子によってサンプルを光学研磨することにより、測定サンプルを調製した。
〔光学的測定の実験例〕
次に、上記ユーロピウムを含有させた樹脂の光学測定を行う実験例について説明する。ただし、本発明においては、以下の実験例に限定されるものではなく、所望の波長のスペクトル強度を計測することが可能な方法であればよい。
ユーロピウム錯体を含むポリマーサンプルの光学測定には、蛍光分光装置(HITACHI F-4500)を用いた。励起波長を465nmに設定し、サンプルから得られる発光をこの蛍光分光装置にて計測した。この計測により得られた発光スペクトルを、この測定装置の検知感度とランプ強度の関数で補正し、さらに、590nmの発光成分(磁気双極子遷移)を1として発光スペクトルの規格化を行った(図2)。
以上のように、本発明に係る情報識別装置は、希土類錯体を含有する発光部材に対して励起光を照射する光源と、上記発光部材から放射された光を受光し、該光の強度(スペクトルの強度)を計測する計測部と、上記計測した光強度(スペクトルの強度)のうち、異なる複数の波長の光強度(スペクトルの強度)の比を演算する演算部と、上記演算された比に対応付けられた識別情報を識別する識別部とを備えている。
また、本発明に係る情報識別方法は、以上のように、希土類錯体を含有する発光部材に対して励起光を照射する照射工程と、上記発光部材から放射された光を受光し、該光の強度(スペクトルの強度)を計測する計測工程と、上記計測した光強度(スペクトルの強度)のうち、異なる複数の波長の光強度の比を演算する演算工程と、上記演算された比に対応付けられた識別情報を識別する識別工程とを有している。
また、本発明に係る情報識別システムは、以上のように、希土類錯体を含有する発光部材と、上記希土類錯体に対応付けられた識別情報を識別する情報識別装置とを含む情報識別システムであって、上記情報識別装置は、希土類錯体を含有する発光部材に対して励起光を照射する光源と、上記発光部材から放射された光を受光し、該光の強度(スペクトルの強度)を計測する計測部と、上記計測した光強度(スペクトルの強度)のうち、異なる複数の波長の光強度(スペクトルの強度)の比を演算する演算部と、上記演算された比に対応付けられた識別情報を識別する識別部とを備えている。
上記の構成によれば、発光部材は希土類錯体を含有している。このため、光源が発光部材に対して励起光を照射することによって発光部材は発光する。計測部は、この発光した光を受光して光強度(スペクトルの強度)を計測する。また、演算部は、計測した光強度(スペクトルの強度)のうち、異なる複数の波長の光強度(スペクトルの強度)の比を演算する。すなわち、特定波長の光強度の比が演算される。そして、識別部は、この演算された比に対応付けられた識別情報を識別する。
このため、発光部材に含有された希土類錯体を特定することができ、従来にない高度な識別力(セキュリティ)を有する情報識別装置、情報識別方法及び情報識別システムとすることができるという効果を奏する。
また、本発明に係る情報識別装置は、言い換えれば、希土類錯体を含有する発光部材に対して励起光を照射する光源と、上記発光部材から放射された光を受光し、該光の強度を計測する計測部と、上記計測した光強度のうち、異なる複数の波長の光強度の比を演算する演算部と、上記演算された比に対応付けられた識別情報を識別する識別部とを備えていることを特徴としている。
上記の構成によれば、発光部材は希土類錯体を含有している。このため、光源が発光部材に対して励起光を照射することによって発光部材は発光する。計測部は、この発光した光を受光して光強度を計測する。また、演算部は、計測した光強度のうち、異なる複数の波長の光強度の比を演算する。すなわち、ある特定の波長の光強度の比が演算される。そして、識別部は、この演算された比に対応付けられた識別情報を識別する。
このように、本発明では、希土類錯体に対応する識別情報を識別するものである。すなわち、希土類錯体は、一般に複数の発光ピークを有しており、各ピークの光強度比は希土類錯体固有の値である。このため、希土類錯体から発光された光のうち、異なる複数の波長の光強度を計測して比を演算することによって、発光部材に含有された希土類錯体を特定(識別)することができる。その結果、希土類錯体に対応付けられた識別情報を識別・認証することが可能になる。このように、発光部材に含有された希土類錯体を特定することができるため、従来にない高度な識別力(セキュリティ)を有する情報識別装置とすることができる。
なお、上記「複数の波長の光」とは、「波長の異なる複数の光」の意味でもある。従って、「複数の波長の光強度比を演算する」とは「波長が異なる2つ以上の光強度比を演算する」ことを示す。すなわち、この場合、2つの波長の光強度比を演算してもよく、3つの波長の光強度比を演算してもよく、4つ以上の波長の光強度比を演算してもよい。これは、希土類錯体の発光ピークの数に応じて適宜設定することができる。
また、本発明では光強度比によって物質の特定を行っているため、希土類錯体が劣化した場合であっても特定を行うことが可能であり、温度等の使用条件の制限もない。また、希土類錯体は無色透明であるため非使用状態(励起光の非照射時)では目に見えず、セキュリティにはよりすぐれている。さらに、単一の希土類イオンを用いた場合には、使用後においても貴重な資源である希土類イオンを回収することが可能になる。
本発明に係る情報識別装置では、上記演算部は、計測部にて計測した光強度のうち、第1の波長の光強度及び第2の波長の光強度の比を演算することが好ましい。第1の波長の光及び第2の波長の光とは、希土類錯体から発光された光のうちの、ある特定波長の光のことであり、光強度比を演算するために計測される波長の光である。
これら各波長の光は、希土類錯体の発光分布に応じて適宜設定されるものであり、複数ある発光ピークのうちのいずれかであることが好ましい。このように、2つの特定波長の光の強度に基づいて比を演算するため、希土類錯体の特定が可能になるのみならず、演算を容易に行うことができる。
本発明に係る情報識別装置では、上記発光部材から放射された光のうち、特定の波長の光を透過させる波長選択部を、異なる波長の光毎に複数備えており、上記計測部は、各波長選択部を透過した光を受光し、各光の強度を計測することが好ましい。
上記の構成によれば、波長選択部を備えている。波長選択部とは、発光部材から放射された光のうち、特定の波長の光を透過させるものである。さらに、この波長選択部を、異なる波長の光毎に複数備えている。従って、発光部材から放射された光のうちの、異なる波長の光の各々を、各波長選択部によって透過させることが可能となる。
波長選択部を透過した各光は、光強度比を演算するために計測される波長の光である。すなわち、計測部は、各波長選択部を透過した光を受光して、各々の光強度を計測するようになっている。
このように、光強度比を演算するため波長が予め決められている場合には、各波長毎に波長選択部を設けることによって、計測部は各波長の光強度のみ計測すればよいこととなる。このため、処理速度を早くすることができると共に、より高度な識別力(セキュリティ)を有する情報識別装置とすることができる。
本発明に係る情報識別装置では、上記複数の波長選択部が、発光部材から放射された第1の波長の光を透過させる第1の波長選択部と、発光部材から放射された第2の波長の光を透過させる第2の波長選択部とを有しており、上記計測部は、第1の波長の光及び第2の波長の光を受光し、各光の強度を計測すると共に、上記演算部は、第1の波長の光強度及び第2の波長の光強度の比を演算することが好ましい。
上記の構成によれば、波長選択部が第1の波長選択部及び第2の波長選択部を有している。第1の波長選択部は、発光部材から放射された第1の波長の光を透過するものである。また、第2の波長選択部は、発光部材から放射された第2の波長の光を透過するものである。ここで、第1の波長の光及び第2の波長の光とは、希土類錯体から発光された光のうちの、ある特定波長の光のことであり、光強度比を演算するために計測される波長の光である。
計測部は、これら第1の波長の光及び第2の波長の光を受光して各光強度を計測する。また、演算部は、第1の波長の光強度及び第2の波長の光強度の比を演算する。すなわち、光強度比を演算するため2つの波長の光強度の比が演算される。そして、識別部は、この演算された比に対応付けられた識別情報を識別する。
このように、光強度比を演算するため2つの波長が決められている場合には、各波長毎に波長選択部を設けることによって、計測部は各波長の光強度のみ計測すればよいこととなる。また、演算部においても、全ての波長の中から特定の波長の光強度を抽出する必要はなく、計測部にて計測した光強度のみを用いて比を演算することができる。このため、処理速度を早くすることができると共に、より高度な識別力(セキュリティ)を有する情報識別装置とすることができる。
本発明に係る情報識別装置では、上記発光部材には複数種類の希土類錯体が含有されており、上記演算部は、各希土類錯体に対応する波長の光強度の比を演算することが好ましい。
上記の構成によれば、発光部材からは、各希土類錯体の各々から光が発光される。そして、演算部は、それら各希土類錯体からの光に対応する波長の光強度の比を演算している。すなわち、各希土類錯体では、比の演算に用いる光の波長は異なるものの、演算部では各々の希土類錯体を特定するための波長の光強度に基づいて比を演算している。従って、複数種類の希土類錯体を用いた場合であっても、各希土類錯体を特定することができるため、さらに高度な識別力(セキュリティ)を有する情報識別装置とすることができる。
本発明に係る情報識別方法は、希土類錯体を含有する発光部材に対して励起光を照射する照射工程と、上記発光部材から放射された光を受光し、該光の強度を計測する計測工程と、上記計測した光強度のうち、異なる複数の波長の光強度の比を演算する演算工程と、上記演算された比に対応付けられた識別情報を識別する識別工程とを有していることを特徴としている。
上記の構成によれば、照射工程にて、希土類錯体を含有する発光部材に対して励起光を照射する。これにより、発光部材は発光する。計測工程では、この発光した光を受光すると共に、光強度を計測する。さらに、演算工程では、この計測した光強度のうち、異なる複数の波長の光強度の比を演算する。そして、識別工程にて、演算された比に対応付けられた識別情報を識別する。
このように、本発明では、希土類錯体から発光された光のうち、異なる複数の波長の光強度を計測して比を演算することによって、発光部材に含有された希土類錯体を特定(識別)し、希土類錯体に対応付けられた識別情報を識別・認証している。すなわち、本発明は、発光部材に含有された希土類錯体を特定することができるため、従来にない高度な識別力(セキュリティ)を有する情報識別方法である。
また、本発明では光強度比によって物質の特定を行っているため、希土類錯体が劣化した場合であっても特定を行うことが可能であり、温度等の使用条件の制限もない。また、希土類錯体は無色透明であるため通常状態では目に見えず、セキュリティにはよりすぐれている。さらに、単一の希土類イオンを用いた場合には、使用後においても貴重な資源である希土類イオンを回収することが可能になる。
本発明に係る情報識別方法では、上記演算工程では、計測した光強度のうち、第1の波長の光強度及び第2の波長の光強度の比を演算することが好ましい。上記の構成によれば、2つの特定波長の光の強度に基づいて比を演算するため、希土類錯体の特定が可能になるのみならず、演算を容易に行うことができる。
本発明に係る情報識別方法では、上記発光部材から放射された光のうち、特定の波長の光を透過させる波長選択工程を、異なる波長の光毎に行い、上記計測工程は、透過した各波長の光を受光し、各光の強度を計測することが好ましい。
このように、光強度比を演算するため波長が予め決められている場合には、各波長毎に波長選択部を設けることによって、計測部は各波長の光強度のみ計測すればよいこととなる。このため、処理速度を早くすることができると共に、より高度な識別力(セキュリティ)を有する情報識別方法とすることができる。
本発明に係る情報識別方法では、上記波長選択工程が、発光部材から放射された第1の波長の光を透過させる第1の波長選択工程と、発光部材から放射された第2の波長の光を透過させる第2の波長選択工程とを有しており、上記計測工程は、第1の波長の光及び第2の波長の光を受光し、各光の強度を計測し、上記演算工程は、第1の波長の光強度及び第2の波長の光強度の比を演算することが好ましい。
さらに、光強度比を演算するため2つの波長が決められている場合には、各波長毎に波長選択部を設けることによって、計測部は各波長の光強度のみ計測すればよいこととなる。また、この場合、演算部においても、全ての波長の中から特定の波長の光強度を抽出する必要はなく、計測部にて計測した光強度のみを用いて比を演算することができる。このため、処理速度を早くすることができると共に、より高度な識別力(セキュリティ)を有する情報識別方法とすることができる。
本発明に係る情報識別方法では、上記発光部材には複数種類の希土類錯体が含有されており、上記演算工程は、各希土類錯体に対応する波長の光強度の比を演算することが好ましい。上記の構成によれば、複数種類の希土類錯体を用いた場合であっても、各希土類錯体を特定することができるため、さらに高度な識別力(セキュリティ)を有する情報識別方法とすることができる。
本発明に係る情報識別システムは、希土類錯体を含有する発光部材と、上記希土類錯体に対応付けられた識別情報を識別する情報識別装置とを含む情報識別システムであって、上記情報識別装置は、希土類錯体を含有する発光部材に対して励起光を照射する光源と、上記発光部材から放射された光を受光し、該光の強度を計測する計測部と、上記計測した光強度のうち、異なる複数の波長の光強度の比を演算する演算部と、上記演算された比に対応付けられた識別情報を識別する識別部とを備えていることを特徴としている。
上記の構成によれば、既に情報識別装置にて説明したように、従来にない高度な識別力(セキュリティ)を有する情報識別システムとすることができる。また、光強度比によって物質の特定(識別)を行っているため、希土類錯体が劣化した場合であっても特定を行うことが可能であり、温度等の使用条件の制限もない。
また、希土類錯体は無色透明であるため通常状態では目に見えず、セキュリティにはよりすぐれている。さらに、単一の希土類イオンを用いた場合には、使用後においても貴重な資源である希土類イオンを回収することが可能になる。また、本情報識別システムは、簡単な構成からなっており、システムのコスト自体を安価なものとすることができる。
なお、発光部材に複数種類の希土類錯体を含有させた場合には、使用可能な識別情報の数(暗号化できる情報の数)を多くすることができる。すなわち、この場合、膨大な量の識別情報を有する情報識別システムとすることができる。
本発明に係る発光部材は、希土類錯体を含有する発光部材であって、上記発光部材に対して励起光を照射する光源と、該発光部材から放射された光を受光し、該光の強度(スペクトルの強度)を計測する計測部と、該計測した光強度(スペクトルの強度)のうち、異なる複数の波長の光強度(スペクトルの強度)の比を演算する演算部と、該演算された比に対応付けられた識別情報を識別する識別部とを備えた情報識別装置により識別可能であることを特徴としている。
上記の構成によれば、希土類錯体を含有しており、放射した光のうち、異なる複数の波長の光強度(スペクトルの強度)の比によって識別情報を識別する装置である、上記情報識別装置により識別可能なものである。このため、従来にはない高度な識別力(セキュリティ)を有する情報識別装置に用いられる発光部材とすることができる。なお、このことから、発光部材は被識別部材と称することもできる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明の情報識別方法は、ID識別用媒体から発光された複数の波長のスペクトル強度比を算出して希土類錯体を同定(特定)することによって、IDを識別・認証するものである。このため、本発明の情報識別装置及び情報識別システムは、IDを識別・認証するシステムやセキュリティシステム等に好適に用いることができる。

Claims (13)

  1. 希土類錯体を含有する発光部材に対して励起光を照射する光源と、
    上記発光部材から放射された光を受光し、該光のスペクトルの強度を計測する計測部と、
    上記計測したスペクトルの強度のうち、異なる複数の波長のスペクトルの強度の比を演算する演算部と、
    上記演算された比に対応付けられた識別情報を識別する識別部とを備えていることを特徴とする情報識別装置。
  2. 上記発光部材から放射された光を、第1の波長の線スペクトルを含むスペクトルと第2の波長の線スペクトルを含むスペクトルとに分光する波長選択部を更に備えており、上記計測部は、波長選択部により分光された上記スペクトルの強度を計測することを特徴とする請求項1に記載の情報識別装置。
  3. 上記波長選択部は、上記発光部材から放射された光を透過、反射、回折または屈折させて分光することを特徴とする請求項2に記載の情報識別装置。
  4. 上記演算部は、計測部において計測したスペクトルの強度のうち、第1の波長の線スペクトルを含むスペクトルの強度と第2の波長の線スペクトルを含むスペクトルの強度との比を演算することを特徴とする請求項2または3に記載の情報識別装置。
  5. 上記第1の波長の線スペクトルは、磁気双極子遷移に基づく線スペクトルであり、上記第2の波長の線スペクトルは電気双極子遷移に基づく線スペクトルであることを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載の情報識別装置。
  6. 上記発光部材には複数種類の希土類錯体が含有されており、
    上記演算部は、各希土類錯体に対応する複数の波長のスペクトルの強度の比を演算することを特徴とする請求項1に記載の情報識別装置。
  7. 希土類錯体を含有する発光部材に対して励起光を照射する照射工程と、
    上記発光部材から放射された光を受光し、該光のスペクトルの強度を計測する計測工程と、
    上記計測したスペクトルの強度のうち、異なる複数の波長のスペクトルの強度の比を演算する演算工程と、
    上記演算された比に対応付けられた識別情報を識別する識別工程とを有していることを特徴とする情報識別方法。
  8. 上記発光部材から放射された光を、第1の波長の線スペクトルを含むスペクトルと第2の波長の線スペクトルを含むスペクトルとに分光する、波長選択工程を更に有し、
    上記計測工程は、波長選択工程により分光された上記スペクトルの強度を計測することを特徴とする請求項7に記載の情報識別方法。
  9. 上記波長選択工程は、上記発光部材から放射された光を透過、反射、回折または屈折させて分光することを特徴とする請求項8に記載の情報識別方法。
  10. 上記演算工程では、計測したスペクトルの強度のうち、第1の波長の線スペクトルを含むスペクトルの強度と第2の波長の線スペクトルを含むスペクトルの強度との比を演算することを特徴とする請求項8または9に記載の情報識別方法。
  11. 上記第1の波長の線スペクトルは、磁気双極子遷移に基づく線スペクトルであり、上記第2の波長の線スペクトルは電気双極子遷移に基づく線スペクトルであることを特徴とする請求項8〜10の何れか1項に記載の情報識別方法。
  12. 上記発光部材には複数種類の希土類錯体が含有されており、
    上記演算工程は、各希土類錯体に対応する複数の波長のスペクトルの強度の比を演算することを特徴とする請求項7に記載の情報識別方法。
  13. 希土類錯体を含有する発光部材と、上記希土類錯体に対応付けられた識別情報を識別する情報識別装置とを含む情報識別システムであって、
    上記情報識別装置は、希土類錯体を含有する発光部材に対して励起光を照射する光源と、
    上記発光部材から放射された光を受光し、該光のスペクトルの強度を計測する計測部と、
    上記計測したスペクトルの強度のうち、異なる複数の波長のスペクトルの強度の比を演算する演算部と、
    上記演算された比に対応付けられた識別情報を識別する識別部とを備えていることを特徴とする情報識別システム。
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