以下、図面を参照して、この発明の実施の形態である分析装置について、検体の光学的特性を測定する分析装置を例に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。
(実施の形態1)
まず、実施の形態1について説明する。実施の形態1は、試薬補充日および初回キャリブレーション実行日を現設置試薬の最終キャリブレーション実行日に繰上げ可能であるか否かを判定し、最終キャリブレーション実行日と初回キャリブレーション実行日とを同日に行なえるようにしている。
図1は、実施の形態1にかかる分析装置の構成を示す模式図である。図1に示すように、実施の形態1にかかる分析装置1は、分析対象である検体および試薬を反応容器21にそれぞれ分注し、分注した反応容器21内で生じる反応を光学的に測定する測定機構2と、測定機構2を含む分析装置1全体の制御を行なうとともに測定機構2における測定結果の分析を行なう制御機構3とを備える。分析装置1は、これらの二つの機構が連携することによって複数の検体の生化学的、免疫学的あるいは遺伝学的な分析を自動的に行なう。
まず、測定機構2について説明する。測定機構2は、大別して検体移送部11、検体分注機構12、反応テーブル13、試薬庫14、読取部16、試薬分注機構17、攪拌部18、測光部19および洗浄部20を備える。
検体移送部11は、血液や尿等、液体である検体を収容した複数の検体容器11aを保持し、図中の矢印方向に順次移送する複数の検体ラック11bを備える。検体移送部11上の所定位置に移送された検体容器11a内の検体は、検体分注機構12によって、反応テーブル13上に配列して搬送される反応容器21に分注される。
検体分注機構12は、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行なうアーム12aを備える。このアーム12aの先端部には、検体の吸引および吐出を行なうプローブが取り付けられている。検体分注機構12は、図示しない吸排シリンジまたは圧電素子を用いた吸排機構を備える。検体分注機構12は、上述した検体移送部11上の所定位置に移送された検体容器11aの中からプローブによって検体を吸引し、アーム12aを図中時計回りに旋回させ、反応容器21に検体を吐出して分注を行なう。
反応テーブル13は、反応容器21への検体や試薬の分注、反応容器21の攪拌、洗浄または測光を行なうために反応容器21を所定の位置まで移送する。この反応テーブル13は、制御部31の制御のもと、図示しない駆動機構が駆動することによって、反応テーブル13の中心を通る鉛直線を回転軸として回動自在である。反応テーブル13の上方と下方には、図示しない開閉自在な蓋と恒温槽がそれぞれ設けられている。
試薬庫14は、反応容器21内に分注される試薬が収容された試薬容器15を複数収納できる。試薬庫14には、複数の収納室が等間隔で配置されており、各収納室には試薬容器15が着脱自在に収納される。試薬庫14は、制御部31の制御のもと、図示しない駆動機構が駆動することによって、試薬庫14の中心を通る鉛直線を回転軸として時計回りまたは反時計回りに回動自在であり、所望の試薬容器15を試薬分注機構17による試薬吸引位置まで移送する。試薬庫14の上方には、開閉自在な蓋(図示せず)が設けられている。また、試薬庫14の下方には、恒温槽が設けられている。このため、試薬庫14内に試薬容器15が収納され、蓋が閉じられたときに、試薬容器15内に収容された試薬を恒温状態に保ち、試薬容器15内に収容された試薬の蒸発や変性を抑制することができる。
試薬容器15の側面部には、試薬容器15に収容された試薬に関する試薬情報が記録された記録媒体が付されている。記録媒体は、符号化された各種の情報を表示しており、光学的に読み取られる。試薬庫14の外周部には、この記録媒体を光学的に読み取る読取部16が設けられている。読取部16は、記録媒体に対して赤外光または可視光を発し、記録媒体からの反射光を処理することによって、記録媒体の情報を読み取る。また、読取部16は、記録媒体を撮像処理し、撮像処理によって得られた画像情報を解読して、記録媒体の情報を取得してもよい。
試薬分注機構17は、検体分注機構12と同様に、検体の吸引および吐出を行なうプローブが先端部に取り付けられたアーム17aを備える。アーム17aは、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行なう。試薬分注機構17は、試薬庫14上の所定位置に移動された試薬容器15内の試薬をプローブによって吸引し、アーム17aを図中時計回りに旋回させ、反応テーブル13上の所定位置に搬送された反応容器21に分注する。攪拌部18は、反応容器21に分注された検体と試薬との攪拌を行ない、反応を促進させる。
測光部19は、所定の測光位置に搬送された反応容器21に光を照射し、反応容器21内の液体を透過した光を受光して強度測定を行なう。この測光部19による測定結果は、制御部31に出力され、分析部34において分析される。
洗浄部20は、図示しないノズルによって、測光部19による測定が終了した反応容器21内の混合液を吸引して排出するとともに、洗剤や洗浄水等の洗浄液を注入および吸引することで洗浄を行なう。この洗浄した反応容器21は再利用されるが、検査内容によっては1回の測定終了後に反応容器21を廃棄してもよい。
つぎに、制御機構3について説明する。制御機構3は、制御部31、入力部33、分析部34、判定部35、記憶部36および表示部37を備える。なお、測定機構2および制御機構3が備えるこれらの各部は、制御部31に電気的に接続されている。
制御部31は、CPU等を用いて構成され、分析装置1の各部の処理および動作を制御する。制御部31は、これらの各構成部位に入出力される情報について所定の入出力制御を行ない、かつ、この情報に対して所定の情報処理を行なう。制御部31は、表示部37における表示処理を制御する表示制御部32を備える。入力部33は、キーボード、マウス等を用いて構成され、検体の分析に必要な諸情報や分析動作の指示情報等を外部から取得する。分析部34は、測光部19から取得した測定結果に基づいて吸光度等を演算し、検体の成分分析等を行なう。
ここで、分析装置1は、試薬補充時に、既知濃度を示すキャリブレーター(標準物質)に対して分析項目に応じた試薬を実際に用いて測定を行ない、このキャリブレーターに対する測定結果をもとに、測光処理の基準となる検量線を設定する初回キャリブレーション処理を分析項目ごとに行なって、分析精度を確保している。さらに、分析装置1は、前回のキャリブレーション実行日から所定期間経過前にキャリブレーターを測定し検量線の補正を行なうキャリブレーション処理を分析項目ごとに行なって、分析精度の維持を図っている。各キャリブレーション処理は、前回のキャリブレーション実行日から、検量線の精度維持を図ることが可能である期間をもとに定められたキャリブレーション期限経過までに行なう必要があり、各キャリブレーション期限は、試薬の劣化進度をもとに分析項目ごとに設定される。
判定部35は、現設置試薬がなくなる予測日、キャリブレーション期限、試薬の使用期間、および、試薬の有効期間をもとに、キャリブレーション実行日および/または試薬補充日を候補日に繰上げることができるか否かを分析項目ごとに判定する。試薬の使用期間は、一つの試薬を使いきる日数である試薬の使用可能日数に対応する。すなわち、試薬の使用期間は、ある試薬容器を開封し、その試薬を使用開始してから試薬を使い切るまでの予測期間または設定期間である。また、試薬の有効期間は、試薬容器を開封後、使用可能な有効日数である。
判定部35は、分析項目ごとに、試薬補充日および補充する試薬における初回キャリブレーション実行日を現設置試薬における最終キャリブレーション実行日に繰上げることができるか否かを判定する。判定部35は、最終キャリブレーション実行日から現設置試薬がなくなる予測日までの期間と試薬の使用期間との和が試薬の有効期間を下回っていた場合、試薬補充日および補充する試薬における初回キャリブレーション実行日を最終キャリブレーション実行日に繰上げることができると判定する。言い換えると、判定部35は、新たに補充する試薬の有効期間内に試薬を全て使いきることができれば、試薬補充日および初回キャリブレーション実行日を現設置試薬の最終キャリブレーション実行日に繰上げ可能であると判定する。判定部35は、現設置試薬の補充日、該現設置試薬の所定期間あたりの平均使用量をもとに該現設置試薬がなくなる予測日を分析項目ごとに推定するとともに、推定した該現設置試薬がなくなる予測日およびキャリブレーション期限をもとに該現設置試薬における最終キャリブレーション実行日を分析項目ごとに推定する。
記憶部36は、情報を磁気的に記憶するハードディスクと、分析装置1が処理を実行する際にその処理にかかわる各種プログラムをハードディスクからロードして電気的に記憶するメモリとを用いて構成され、検体の分析結果等を含む諸情報を記憶する。記憶部36は、分析項目ごとに、各試薬容器内に収容された試薬の容量、各試薬設置の各補充日、各試薬の所定期間あたりの平均使用量、キャリブレーション期限、各試薬の開封後の有効期間、各試薬の容量および各試薬の所定期間あたりの平均使用量をもとに求められた一つの試薬を使いきる日数である試薬の使用可能日数を分析項目ごとに記憶する。記憶部36は、CD−ROM、DVD−ROM、PCカード等の記憶媒体に記憶された情報を読み取ることができる補助記憶装置を備えてもよい。
表示部37は、ディスプレイなどによって構成され、表示制御部32の制御のもと、分析装置1によって分析された検体の分析結果を含む緒情報を表示出力する。表示部37は、判定部35によって判定された判定結果を表示出力する。表示部37は、判定部35によって繰上げることができると判定された試薬補充日および補充する試薬における初回キャリブレーション実行日を各分析項目に対応づけて表示出力する。また、表示部37は、判定部35によって推定された現設置試薬がなくなる予測日および該現設置試薬における最終キャリブレーション実行日を各分析項目に対応づけて表示出力する。なお、分析装置1は、プリンタ、スピーカー、通信機構等などをさらに備え、検体の分析結果を含む諸情報を出力するほか、図示しない通信ネットワークを介して図示しない外部装置に情報を出力してもよい。
つぎに、図2を参照して、分析装置1における試薬補充日および初回キャリブレーション実行日を表示出力するまでの処理について説明する。図2に示すように、制御部31は、分析装置1内に現に設置されている試薬における最終キャリブレーション実行日の表示指示があるか否かを判断する(ステップS1)。たとえば、操作者による入力部33の操作によって、表示部37のディスプレイ画面上に呼び出された選択メニューにおける各分析項目に対応させた最終キャリブレーション実行日の表示選択欄のいずれかが選択された場合、選択された分析項目の最終キャリブレーション実行日の表示を指示する指示情報が入力される。制御部31は、入力された指示情報をもとに分析項目ごとに最終キャリブレーション実行日の表示指示があるか否かを判断する。
制御部31は、最終キャリブレーション実行日の表示指示があるまでステップS1の判断を繰り返し、制御部31が最終キャリブレーション実行日の表示指示があると判断した場合(ステップS1:Yes)、判定部35は、指示された分析項目における現設置試薬がなくなる予測日とともに最終キャリブレーション実行日を予測する(ステップS2)。
そして、表示部37は、表示制御部32の制御のもと、判定部35によって推定された現設置試薬がなくなる予測日および該現設置試薬における最終キャリブレーション実行日を各分析項目に対応づけて表示出力する(ステップS3)。たとえば、図3に示すように、表示部37は、表示を指示された分析項目TP,ALB,GLU,TCHO,UAごとに、現設置試薬ボトルAの試薬不足日、最終キャリブレーション実行日を表したメニューM1を表示する。操作者は、このメニューM1を参照することによって、現設置試薬がなくなる予測日と最終キャリブレーション実行日とを把握することができ、操作者が行なう各処理の進行を計画することができる。
そして、制御部31は、新たに補充する試薬の試薬補充日および補充する試薬を用いた初回キャリブレーション実行日を最終キャリブレーション実行日に繰上げ可能か否かを判定する繰上げ判定の指示があるか否かを判断する(ステップS4)。たとえば、操作者は、入力部33を構成するマウスなどを操作し、メニューM1の試薬補充繰上げ日表示を選択できる選択欄C1上にカーソルCを移動させ、マウスの左ボタンをクリックする。この結果、繰上げ判定を指示する指示情報が入力部33から入力される。なお、メニューM1では、現設置試薬がなくなる予測日および最終キャリブレーション実行日の表示を指示した分析項目に対し、繰上げ判定を指示できる場合について示したが、これに限らず、現設置試薬がなくなる予測日および最終キャリブレーション実行日の表示を指示した各分析項目をそれぞれ選択できる選択欄を設け、現設置試薬がなくなる予測日および最終キャリブレーション実行日の表示を指示した分析項目のうち所望の分析項目に対して繰上げ判定を指示できるようにしてもよい。また、メニューM1においては、分析装置1が行なう各分析項目をそれぞれ選択できる選択欄を設け、所望の分析項目に対して繰上げ判定を指示できるようにしてもよい。また、ステップS4の判断処理は、ステップS1〜ステップS3を経た後に行なうほか、たとえば予め設定された一定期間ごとに行なってもよく、入力部33から入力された所定の指示情報をもとに行なってもよい。
制御部31は、繰上げ判定を指示する指示情報が入力部33から入力されず、繰上げ判定の指示がないと判断した場合(ステップS4:No)、処理を終了する。これに対し、制御部31が、繰上げ判定を指示する指示情報が入力部33から入力され、繰上げ判定の指示があると判断した場合(ステップS4:Yes)、判定部35は、判定処理を指示された分析項目ごとに、試薬補充日および補充する試薬における初回キャリブレーション実行日を現設置試薬における最終キャリブレーション実行日に繰上げることができるか否かを判定する判定処理を行なう(ステップS5)。そして、表示部37は、表示制御部32のもと、判定部35によって繰上げることができると判定された試薬補充日および補充する試薬における初回キャリブレーション実行日を各分析項目に対応づけて表示する表示処理を行なう(ステップS6)。
つぎに、図2に示す判定処理について説明する。図4は、図2に示す判定処理の処理手順を示すフローチャートである。図4に示すように、判定部35は、判定処理を指示された分析項目における現設置試薬がなくなる試薬不足日を取得する(ステップS12)。そして、判定部35は、判定処理を指示された分析項目における現設置試薬の最終キャリブレーション実行日を取得する(ステップS14)。そして、判定部35は、判定処理を指示された分析項目において、最終キャリブレーション実行日と試薬がなくなる予測日との差である繰上げ日数Mを演算する(ステップS16)。つぎに、判定部35は、判定処理を指示された分析項目における新たに補充する試薬の使用可能日数Uを取得する(ステップS18)。そして、判定部35は、判定処理を指示された分析項目における新たに補充する試薬の開封後の有効日数Eを取得する(ステップS20)。
次いで、判定部35は、取得した繰上げ日数M、使用可能日数U、有効日数Eを演算して、E>(M+U)であるか否かを判断する(ステップS22)。E>(M+U)である場合、すなわち、繰上げ日数Mと使用可能日数Uとの和が有効日数Eを下回っていた場合とは、試薬補充日および初回キャリブレーション実行日を繰上げ日数M分繰上げたとしても有効日数E以内に試薬を使いきると考えられる場合である。言い換えると、試薬補充日および初回キャリブレーション実行日を現設置試薬の最終キャリブレーション実行日に繰上げたとしても有効日数E以内に試薬を使いきると考えられる場合である。新たに補充する試薬の有効期間内に試薬を全て使いきることができれば、開封後における空気接触による試薬劣化の影響を受けずに分析することができる。たとえば、ある分析項目に使用される試薬の有効期間Eが30日であり、この試薬を使いきる日数である試薬の使用可能日数Uが25日であり、現設置試薬の最終キャリブレーション実行日と現設置試薬がなくなる予測日との差である繰上げ日数Mが2日である場合、繰上げ日数Mと使用可能日数Uとの和である27日は、有効日数Eである30日を下回り有効日数E以内に試薬を使いきることができると考えられる。この場合には、試薬補充日および初回キャリブレーション実行日を最終キャリブレーション実行日に繰上げた場合であっても、開封後における空気接触による試薬劣化の影響を受けずに分析することができるものと判断できる。
このため、判定部35は、E>(M+U)であると判断した場合(ステップS22:Yes)、判定処理を指示された分析項目においては、試薬補充日と初回キャリブレーション実行日とを現設置試薬の最終キャリブレーション実行日に繰上げ可能であると判定し(ステップS24)、試薬補充日と初回キャリブレーション実行日として最終キャリブレーション実行日を設定する。一方、E>(M+U)でないと判断した場合(ステップS22:No)、判定処理を指示された分析項目においては、試薬補充日と初回キャリブレーション実行日とを現設置試薬の最終キャリブレーション実行日に繰上げ不可能であると判定し(ステップS26)、試薬補充日と初回キャリブレーション実行日として、たとえば現設置試薬がなくなる予測日の前日を設定する。そして、判定部35は、判定結果をもとに判定した試薬補充日を出力する(ステップS28)。
次いで、判定部35は、次に判定対象の分析項目はあるか否かを判断する(ステップS30)。判定部35は、次に判定対象の分析項目はあると判断した場合(ステップS30:Yes)、ステップS12に戻り、次に判定対象である分析項目に対して試薬補充日と初回キャリブレーション実行日とを現設置試薬の最終キャリブレーション実行日に繰上げ可能であるかを判定する。また、判定部35は、次に判定対象の分析項目はないと判断した場合(ステップS30:No)、判定処理を終了する。
従来においては、図5における表T11の矢印Y11〜Y14に示すように、いずれの分析項目においても、現設置試薬であるボトルAの試薬不足日の前日に、新たにボトルBを補充し、ボトルBに対する初回キャリブレーション処理を行なっていた。このため、ボトルBの補充処理および初回キャリブレーション処理と、ボトルAの最終キャリブレーション処理とが同日に行なわれることは少なかった。たとえば、分析項目TPにおいては、矢印Y11に示すように、ボトルAの試薬不足日は(d+5)日であるため、試薬不足日の前日である(d+4)日に、新たにボトルBを補充し、ボトルBに対する初回キャリブレーションを実行する。また、分析項目TPにおいては、ボトルAの最終キャリブレーション処理は、(d+2)日に行なう必要があった。操作者は、分析項目ごとに、試薬使用中におけるキャリブレーション処理、および、試薬補充処理と初回キャリブレーション処理とを実行する必要があり、さらに従来においては、操作者は、試薬補充および補充した試薬を用いた初回キャリブレーション処理と現設置試薬のキャリブレーション処理とを別々の日に行なっていた。このため、表T14に示すように、操作者は、連日、試薬補充処理とこれにともなう初回キャリブレーション処理、および、現設置試薬におけるキャリブレーション処理を実行せざるを得ない場合があり、操作者の負担となっていた。なお、表T14においては、各処理実行を「◎」によって示している。
これに対し、本実施の形態1によれば、繰上げ日数Mと使用可能日数Uとの和が有効日数Eを下回っていた場合には、試薬補充日および補充した試薬を用いた初回キャリブレーション実行日を、現設置試薬の最終キャリブレーション実行日に繰上げることができると判定し、出力する。
具体的には、図6の表T1に示すように、たとえば分析項目TPにおいては、ボトルAの試薬不足日である(d+5)日からボトルBの最終キャリブレーション実行日である(d+2)日との間の日数とボトルBの使用可能日数との和が、ボトルBの有効日数を下回っていた場合には、矢印Y1のように、ボトルBの補充日およびボトルBに対する初回キャリブレーション実行日をボトルAの最終キャリブレーション実行日である(d+2)日に繰上げることができる。この結果、分析項目TPにおいては、(d+2)日および(d+4)日のそれぞれ別の日に行なっていた最終キャリブレーション処理、試薬補充処理および初回キャリブレーション処理を、同じ(d+2)日に行なうことができる。
また、分析項目GLUおよび分析項目UAにおいても、ボトルAの試薬不足日からボトルBの最終キャリブレーション実行日との間の日数とボトルBの使用可能日数との和が、ボトルBの有効日数を下回っていた場合、矢印Y2および矢印Y4に示すように、ボトルBの補充日およびボトルBに対する初回キャリブレーション実行日をボトルAの最終キャリブレーション実行日に繰上げることができる。なお、分析項目TCHOにおいては、ボトルAの試薬不足日からボトルBの最終キャリブレーション実行日との間の日数とボトルBの使用可能日数との和が、ボトルBの有効日数を上回っている。分析項目TCHOにおいては、矢印Y3に示すように、ボトルBの補充日およびボトルBに対する初回キャリブレーション実行日をボトルAの最終キャリブレーション実行日に繰上げることができないため、試薬不足日前日の(d+5)日に行なう必要がある。
そして、図7に例示すように、表示部37は、図2に示す表示処理(ステップS6)において、判定対象である分析項目ごとに、現設置試薬の最終キャリブレーション実行日および判定部35によって繰上げることができると判定された試薬補充日、初回キャリブレーション実行日を示すメニューM2を表示する。操作者は、表示部37の画面上に表示されたメニューM2を参照することによって、繰上げ表示を指示した分析項目における各キャリブレーション実行日と試薬補充日とを把握することができる。
このメニューM2に表示された各キャリブレーション実行日および試薬補充日にしたがうことによって、操作者は、図5の表T14に示すように、従来においては、d日から(d+5)日の6日間にわたって行なっていた最終キャリブレーション処理、試薬補充処理および初回キャリブレーション処理を、図6の表T2および図7に示すように、d日から(d+2)日、および、(d+5)日の4日間のみ行なうことになる。
このように、本実施の形態1にかかる分析装置1は、新たに補充する試薬の有効期間内に試薬を全て使いきることができる場合、試薬補充日および初回キャリブレーション実行日を現設置試薬の最終キャリブレーション実行日に繰上げ可能であると判定する。このため、分析装置1によって判定された繰上げ日に試薬補充処理および初回キャリブレーション処理を実行することによって、開封後における空気接触による試薬劣化の影響を受けずに分析を行なうとともに、従来別の日に行なっていたキャリブレーション処理および試薬補充処理を同日に行なうことが可能になる。この結果、本実施の形態1によれば、キャリブレーション処理におけるキャリブレーターの調製、キャリブレーション結果の確認等の操作者における作業負担を軽減するとともに、計画的な試薬補充およびキャリブレーター調製などを進めることができる。さらに、実施の形態1によれば、最終キャリブレーション処理と初回キャリブレーション処理とを同日に行なうことができるため、最終キャリブレーション処理と初回キャリブレーション処理とを別の日に行なう場合と比較しキャリブレーション処理において使用するキャリブレーター消費量を低減することができ、キャリブレーション処理におけるコスト増加を低減することができる。
(実施の形態2)
つぎに、実施の形態2について説明する。実施の形態2においては、複数の分析項目間でキャリブレーション処理実行日が所定の候補日に繰上げ可能か否かを判定し、複数の分析項目の各キャリブレーション処理を各候補日にまとめて行なえるようにし、キャリブレーション処理の実行日数を減じている。
図8は、実施の形態2にかかる分析装置の構成を示す模式図である。図8に示すように、実施の形態2にかかる分析装置201は、図1に示す判定部35に代えて、判定部235を備えた制御機構203を有する。
判定部235は、繰上げ候補起点日から繰上げ候補最終日までの間において、判定対象である各分析項目における現設置試薬がなくなる予測日のうち最も早い予測日前日を第1候補日として設定し、判定対象である分析項目の各キャリブレーション実行日のうち最も早いキャリブレーション実行日を第2候補日として設定し、繰上げ候補最終日を第3候補日として設定する。判定部235は、キャリブレーション実行日および/または試薬補充日を設定した各候補日に繰上げることができるか否かを判定対象である分析項目ごとに判定する。判定部235は、判定対象である候補日から予測日までの期間と試薬の使用期間との和が試薬有効期間を下回っていた場合、および/または、判定対象である候補日に次回キャリブレーションを実行可能である場合、判定対象の分析項目においては、試薬補充日、補充する試薬における初回キャリブレーションおよび/または次回キャリブレーション実行日を判定対象である候補日に繰上げることが可能であると判定する。複数の候補日に試薬補充日、補充する試薬における初回キャリブレーションおよび/または次回キャリブレーション実行日を繰上げ可能であると判定した分析項目においては、繰上げ可能であると判定された他の分析項目数が最も多い候補日に決定する。
表示部37は、表示制御部32の制御のもと、判定部235によって繰上げることができると判定された試薬補充日、補充する試薬における初回キャリブレーションおよび/または次回キャリブレーション実行日を各分析項目に対応づけて表示出力する。
つぎに、図9を参照して、分析装置201における次回キャリブレーション実行日、試薬補充日および初回キャリブレーション実行日を表示出力するまでの処理について説明する。
図9に示すように、制御部31は、いずれかの分析項目に対して、次回キャリブレーション実行日、新たに補充する試薬の試薬補充日、補充する試薬を用いた初回キャリブレーション実行日を候補日に繰上げ可能か否かを判定する繰上げ判定の指示があるか否かを判断する(ステップS202)。制御部31は、繰上げ判定の指示があるまでステップS202の判断を繰り返す。
そして、制御部31が繰上げ判定の指示があると判断した場合(ステップS202:Yes)、判定部235は、繰上げ可能である候補日を設定する候補日設定処理を行なう(ステップS204)。次いで、判定部235は、次回キャリブレーション実行日、新たに補充する試薬の試薬補充日、補充する試薬を用いた初回キャリブレーション実行日を設定した各候補日に繰上げることができるか否かを判定対象である分析項目ごとに判定する候補日判定処理を行なう(ステップS206)。
そして、判定部235は、候補日判定処理における結果をもとに、判定対象である分析項目ごとに次回キャリブレーション実行日、新たに補充する試薬の試薬補充日、補充する試薬を用いた初回キャリブレーション実行日を決定する実行日決定処理を行なう(ステップS208)。
そして、表示部37は、表示制御部32のもと、判定部235によって決定された次回キャリブレーション実行日、新たに補充する試薬の試薬補充日、補充する試薬を用いた初回キャリブレーション実行日を各分析項目に対応づけて表示する表示処理を行なう(ステップS210)。なお、実施の形態2においても、実施の形態1と同様に、図2に示す最終キャリブレーション実行日表示指示処理(ステップS1)、最終キャリブレーション実行日予測処理(ステップS2)および最終キャリブレーション実行日表示処理(ステップS3)を行なった後に、ステップS202における判断を行ってもよい。
つぎに、図10を参照して、図9に示す候補日設定処理について説明する。図10に示すように、まず、判定部235は、判定対象である分析項目ごとに所定の情報を取得する。まず、判定部235は、判定対象である分析項目の現設置試薬がなくなる試薬不足日を予測する(ステップS212)。そして、判定部235は、判定処理を指示された分析項目における現設置試薬の次回キャリブレーション実行日を取得する(ステップS214)。そして、判定部235は、判定処理を指示された分析項目において、新たに補充する試薬の使用可能日数Uを取得する(ステップS216)。そして、判定部235は、判定処理を指示された分析項目における新たに補充する試薬の開封後の有効日数Eを取得する(ステップS218)。
次いで、判定部235は、判定対象であるすべての分析項目における試薬不足日、次回キャリブレーション実行日、補充試薬の使用可能日数および補充試薬の使用可能日数に関する情報を取得したか否かを判断する(ステップS220)。判定部235は、判定対象であるすべての分析項目における情報を取得していないと判断した場合(ステップS220:No)、次の分析項目に対する情報を取得するため、ステップS212に戻る。
一方、判定部235は、判定対象であるすべての分析項目における情報を取得したと判断した場合(ステップS220:Yes)、繰上げを判定する各候補日の起点となる起点日を設定する(ステップS222)。この起点日は、操作者による入力部33の操作によって、たとえば判定処理指示日翌日など、自由に設定される。
つぎに、判定部235は、判定対象である各分析項目における試薬不足日をもとに、起点日から所定のX日後までに現設置試薬が不足する分析項目があるか否かを判定する(ステップS224)。X日は、各分析項目におけるキャリブレーション期限をもとに定められ、各分析項目の分析精度を維持するため、たとえば判定対象である分析項目の各キャリブレーション期限のうち最短のキャリブレーション期限に応じて設定される。
判定部235は、判定対象である各分析項目における試薬不足日をもとに、起点日から所定のX日後までに現設置試薬が不足する分析項目があるか否かを判定する(ステップS224)。判定部235は、起点日から所定のX日後までに現設置試薬が不足する分析項目があると判定した場合(ステップS224:Yes)、試薬が不足する各分析項目の試薬不足日のうち、最も早い試薬不足日前日を次回キャリブレーション実行日、試薬補充日、初回キャリブレーション実行日の第1候補日に設定する(ステップS226)。試薬不足がある分析項目に対しては、分析中の試薬不足を防ぐため、遅くとも試薬が不足する前日までに新たな試薬を補充し、補充した試薬を用いた初回キャリブレーション処理を実行する必要があるからである。
一方、判定部235は、起点日から所定のX日後までに現設置試薬が不足する分析項目がないと判定した場合(ステップS224:No)、起点日にキャリブレーション処理を実行した場合、起点日からX日後までにキャリブレーション処理が必要である分析項目があるか否かを判断する(ステップS228)。分析精度を維持するため、遅くとも次回キャリブレーション処理を実行する必要がある日までにキャリブレーション処理を行なう必要があるからである。
判定部235は、起点日からX日後までにキャリブレーション処理が必要である分析項目があると判断した場合(ステップS228:Yes)、判定対象である各分析項目のキャリブレーション実行日のうち最も早いキャリブレーション実行日を第2候補日として設定する(ステップS230)。一方、判定部235は、起点日からX日後までにキャリブレーション処理が必要である分析項目がないと判断した場合(ステップS228:No)、起点日からX日後である繰上げ候補最終日を第3候補日に設定する(ステップS232)。
具体的に、図10に示す候補日設定処理について、図11を参照して説明する。図11に示すように、d日を起点日と設定し、X日を7日とし(d+7)日を候補日の最終日とした場合を例に説明する。図11においては、各分析項目におけるボトルAは、分析装置201に現に設置されている試薬ボトルを表し、ボトルBは、新たに補充する試薬ボトルを示す。この場合、X日後である(d+7)日より前の(d+6)日に分析項目GLU,UAにおいて試薬不足が予測されるため、(d+6)日の前日である(d+5)日が第1候補日に設定される。そして、X日後である(d+7)日より前の(d+2)日に分析項目ALB,GLUにおいてキャリブレーション処理を実行する必要があるため、(d+2)日が第2候補日に設定される。そして、候補最終日である(d+7)日が第3候補日に設定される。
つぎに、図12を参照して、図8に示す候補日判定処理について説明する。判定部235は、判定対象である分析項目ごとに、図10に示す候補日設定処理において設定した各候補日について順次、次回キャリブレーション実行日、新たに補充する試薬の試薬補充日、補充する試薬を用いた初回キャリブレーション実行日を繰上げ可能か否かを判定するため、図12に示すように、まず、判定対象である候補日を設定する(ステップS242)。第1候補日から第3候補日が設定された場合には、たとえば、第1候補日から順に判定を行なう。
そして、判定部235は、判定対象である分析項目において、判定対象として設定された本候補日までに現設置試薬の試薬不足があるか否かを判断する(ステップS244)。判定部235は、判定対象として設定された本候補日までに現設置試薬の試薬不足があると判断した場合(ステップS244:Yes)、本候補日以前に新たな試薬を補充する必要があるため、本候補日に次回キャリブレーション実行日、試薬補充日、初回キャリブレーション実行日を繰上げることができないと判断し、判定対象である分析項目においては、本候補日は繰上げ日に設定不可能であると判定する(ステップS246)。
一方、判定部235は、判定対象として設定された本候補日までに現設置試薬の試薬不足がないと判断した場合(ステップS244:No)、次の試薬補充日が本候補日からX日以内であるか否かを判断する(ステップS248)。次の試薬補充日は、予測した試薬不足日の前日となる。判定部235は、次の試薬補充日が本候補日からX日以内であると判断した場合(ステップS248:Yes)、本候補日に次の試薬補充日の繰上げ可能か否かを判断する(ステップS250)。判定部235は、判定対象である候補日から予測日までの日数と新たに補充する試薬の使用可能日数Uとの和が新たに補充する試薬の有効日数Eを下回っていた場合、本候補日に試薬補充日を繰上げた場合であっても試薬の有効期間内に補充した試薬を全て使いきることができると判断できるため、本候補日に試薬補充日を繰上げ可能であると判断する。
判定部235は、本候補日に試薬補充日を繰上げ可能でないと判断した場合(ステップS250:No)、試薬の有効期間内に補充した試薬を全て使いきることができないため、判定対象である分析項目においては、本候補日は繰上げ日に設定不可能であると判定する(ステップS246)。
一方、判定部235は、次の試薬補充日が本候補日からX日以内でないと判断した場合(ステップS248:No)、または、本候補日に次の試薬補充日の繰上げ可能であると判断した場合(ステップS250:Yes)、本候補日前にキャリブレーション処理を実行する必要があるか否かを判断する(ステップS252)。判定部235は、本候補日前にキャリブレーション処理を実行する必要があると判断した場合(ステップS252:Yes)、判定対象である分析項目においては、本候補日は繰上げ日に設定不可能であると判定する(ステップS246)。分析精度維持のためには、前回実行日からキャリブレーション期限経過時までにキャリブレーション処理を実行する必要があるためである。
一方、判定部235は、本候補日前にキャリブレーション処理を実行する必要がないと判断した場合(ステップS252:No)、キャリブレーション期限をもとに本候補日にキャリブレーション処理を繰上げ可能か否かを判断する(ステップS254)。判定部235は、本候補日にキャリブレーション処理を繰上げ可能ではないと判断した場合(ステップS254:No)、判定対象である分析項目においては、本候補日は繰上げ日に設定不可能であると判定する(ステップS246)。
一方、判定部235は、本候補日にキャリブレーション処理を繰上げ可能であると判断した場合(ステップS254:Yes)、本候補日に次回キャリブレーション実行日、試薬補充日、初回キャリブレーション実行日を繰上げることができるため、本候補日は繰上げ日に設定可能であると判定する(ステップS256)。
判定部235は、ステップS246およびステップS256終了後、すなわち、判定対象である候補日の判定が終了した場合、判定対象である分析項目において、判定が終了していない他の候補日があるか否かを判断する(ステップS258)。そして、判定部235は、判定対象である分析項目において、判定が終了していない他の候補日があると判断した場合(ステップS258:Yes)、ステップS242に戻り、次に判定を行なう候補日を設定し、この候補日に繰上げ日を設定可能か否かの判定を行なう。
これに対し、判定部235は、判定対象である分析項目において、判定が終了していない他の候補日がないと判断した場合(ステップS258:No)、すなわち、すべての候補日に対して判定が終了したと判断した場合、次に判定対象の分析項目があるか否かを判定する(ステップS260)。判定部235は、次に判定対象の分析項目があるかと判定した場合(ステップS260:Yes)、ステップS242に戻り、次に判定対象の分析項目に対して各候補日が設定可能であるか否かの判定を行なう。一方、判定部235は、次に判定対象の分析項目がないと判定した場合(ステップS260:No)、判定対象であるすべての分析項目に対して候補日の設定が終了したと判断し、候補日判定処理を終了する。
この結果、たとえば図11に示す分析項目においては、図13に示すように、それぞれ各候補日に次回キャリブレーション実行日、試薬補充日、初回キャリブレーション実行日の繰上げ日に設定可能であるか否かが判定される。たとえば、分析項目TPにおいては、第3候補日である(d+7)日に試薬不足が予測されるため、第3候補日に繰上げ日を設定することができない。また、分析項目TPおいては、第1候補日である(d+5)日前の(d+4)日に現設置試薬における次回キャリブレーションを実行する必要があるため、第1候補日を設定することができない。これに対し、分析項目TPにおいては、第2候補日である(d+2)日に、次回キャリブレーション実行日および試薬補充日を繰上げ可能であるため、第2候補日に繰上げ日を設定可能であると判定される。図13に示すように、図11に示す分析項目においては、試薬不足日、次回キャリブレーション実行日をもとに、すべての分析項目において、第2候補日に繰上げ日が設定可能であると判定される。
つぎに、図14を参照して、図9に示す実行日決定処理について説明する。まず、判定部235は、候補日判定処理における判定結果を参照する(ステップS272)。そして、判定部235は、第1実行日から第3実行日を判別するnを初期値にするため、n=1とする(ステップS274)。この場合、第1実行日の決定に対して各処理が行なわれる。つぎに、判定部235は、参照した候補日判定処理における判定結果をもとに、最も分析項目数が多い候補日を第n候補日、すなわち第1候補日に決定する(ステップS276)。すなわち、判定部235は、複数の候補日に試薬補充日、補充する試薬における初回キャリブレーション、次回キャリブレーション実行日を繰上げ可能であると判定した分析項目においては、繰上げ可能であると判定された他の分析項目数が最も多い候補日に決定する。
そして、判定部235は、実行日が決定された分析項目および候補日を判断対象から除外する(ステップS278)。つぎに、判定部235は、実行日が決定されていない分析項目があるか否かを判断する(ステップS280)。判定部235は、実行日が決定されていない分析項目があると判断した場合(ステップS280:Yes)、n=n+1とし(ステップS282)、ステップS276に進み、第2実行日を決定する。
そして、判定部235は、実行日が決定されていない分析項目がないと判断した場合(ステップS280:No)、判定対象であるすべての分析項目に対して次回キャリブレーション実行日、試薬補充日、補充する試薬における初回キャリブレーション実行日を決定したと判断し、決定内容を出力し(ステップS284)、実行日決定処理を終了する。
たとえば、図11に示す分析項目の場合、図13に示すように、判定対象である分析項目すべてが第2候補日に繰上げ日が設定されていたため、判定部235は、第2候補日を判定対象である分析項目における次回キャリブレーション実行日、試薬補充日、補充する試薬における初回キャリブレーション実行日に決定する。この結果、図15に示すように、従来であれば、(d+2)日から(d+7)日にわたる全日において必要であったキャリブレーション処理または試薬補充処理を、第2候補日である(d+2)日のみで行なうことが可能になる。具体的には、たとえば分析項目TPにおいては、試薬不足日である(d+7)日前日の試薬補充処理および初回キャリブレーション処理を第2候補日である(d+2)日に繰上げることが可能であるとともに、現設置試薬の最終キャリブレーション処理を第2候補日である(d+2)日に繰上げることが可能である。また、たとえば分析項目ALBにおいては、試薬不足日である(d+8)日前日の試薬補充処理および初回キャリブレーション処理を第2候補日である(d+2)日に繰上げることが可能である。
そして、図16に例示すように、表示部37は、図9に示す表示処理(ステップS210)において、判定対象である分析項目ごとに、現設置試薬の次回キャリブレーション実行日および判定部235によって繰上げることができると判定された試薬補充日、初回キャリブレーション実行日を示すメニューM3を表示する。この場合、図15に示すように、判定対象である分析項目TP,ALB,GLU,TCHOおよびUAは、判定部235によって、次回キャリブレーション実行日、試薬補充日、初回キャリブレーション実行日が第2候補日である(d+2)日に決定されている。このため、メニューM3には、分析項目TP,ALB,GLU,TCHOおよびUAの次回キャリブレーション実行日、試薬補充日、初回キャリブレーション実行日を(d+2)日に実行できる旨が示されており、操作者は、表示部37の画面上に表示されたメニューM3を参照することによって、判定対象である分析項目における各キャリブレーション実行日と試薬補充日とを把握することができる。
このように、本実施の形態2にかかる分析装置201は、複数の分析項目における現設置試薬の次回キャリブレーション処理、試薬補充処理、補充された試薬の初回キャリブレーション処理を、第1候補日から第3候補日のいずれかに繰上げ可能か否かを判定している。そして、分析装置201は、第1候補日から第3候補日に次回キャリブレーション処理、試薬補充処理、初回キャリブレーション処理をまとめて行なえるように各処理実行日を決定している。このため、実施の形態2によれば、分析装置201によって決定された実行日に各分析項目における次回キャリブレーション処理、試薬補充処理、初回キャリブレーション処理を実行することによって、開封後における空気接触による試薬劣化の影響を受けずに分析を行なうことが可能になる。さらに、実施の形態2によれば、従来それぞれ異なる日に行なっていたキャリブレーション処理および試薬補充処理を所定の各候補日にまとめて行なうことが可能になる。この結果、本実施の形態2にかかる分析装置201によれば、実施の形態1と同様に、計画的な試薬補充処理およびキャリブレーション処理の実行およびキャリブレーション処理におけるコスト増加を低減することができるとともに、実施の形態1に比して、操作者の作業負担をさらに軽減することができる。
なお、実施の形態2においては、図11,13,15に示すように、判定対象である分析項目の次回キャリブレーション処理、試薬補充処理および初回キャリブレーション処理がすべて第2候補日のみに設定可能であった場合を例に説明したが、必ずしも各分析項目は一つの候補日のみに設定可能であると判定されるわけではない。
たとえば、図17に示すように、たとえば、分析項目GLUにおいては、分析項目GLUのボトルAの試薬不足日(d+6)日前日である(d+5)日、すなわち、第1候補日に、試薬補充処理および初回キャリブレーション処理を実行することが可能であるため、判定部235は、第1候補日を試薬補充日および初回キャリブレーション実行日に設定可能である。さらに、分析項目GLUにおいては、第2候補日である(d+2)日から試薬不足が予測される(d+6)日までの日数と新たに補充するボトルBの使用可能日数Uとの和がボトルBの有効日数Eを下回っていた場合、矢印Y34に示すように、判定部235は、第2候補日を試薬補充日および初回キャリブレーション実行日に設定可能である。すなわち、図18の表T21に示すように、分析項目GLUにおいては、各処理の実行日を複数の候補日である第1候補日および第2候補日に設定可能である。
この場合、判定部235は、図14のステップS276に示すように、最も分析項目数が多い候補日を第1候補日に決定する。すなわち、複数の候補日に試薬補充日、補充する試薬における初回キャリブレーション、次回キャリブレーション実行日を繰上げ可能であると判定した分析項目においては、繰上げ可能であると判定された他の分析項目数が最も多い候補日に決定する。このため、分析項目GLUにおいては、図18の表T22に示すように、他の2種の分析項目が繰上げ可能であると判定された第1候補日ではなく、他の3種の分析項目が繰上げ可能であると判定された第2候補日が各処理の実行日として決定される。この場合、より多くの分析項目に対する各処理を一の候補日にまとめることができるため、操作者の処理計画を円滑に進めることができる。図14においては、複数の候補日に各処理実行日を繰上げ可能であると判定できた分析項目においては、繰上げ可能であると判定された他の分析項目数が最も多い候補日を各処理実行日として決定した場合について説明したが、もちろん、操作者の各処理を候補日に適切に分散させて所定日に操作者の処理負担を集中させないために、複数の候補日に各処理実行日を繰上げ可能であると判定できた分析項目においては、繰上げ可能であると判定された他の分析項目数が最も少ない候補日を各処理実行日として決定してもよい。また、操作者の計画的な各処理の進行のために、複数の候補日に各処理実行日を繰上げ可能であると判定できた分析項目においては、各処理の実行を優先するように予め設定された候補日を各処理実行日として決定してもよい。
また、実施の形態2においては、判定部235は、次回キャリブレーション実行日、試薬補充日、初回キャリブレーション実行日を同一の候補日に行なうよう判定した場合について説明したが、試薬補充日および初回キャリブレーション実行日を独立して各候補日に設定可能か否かを判定してもよい。この場合、図12における候補日判定処理においては、ステップS242〜ステップS250の処理を行なった後に、ステップS252およびステップS254の処理を省略して、試薬補充日および初回キャリブレーション実行日を各候補日に繰上げて実行可能か否かを判定する。また、判定部235は、次回キャリブレーション実行日を独立して各候補日に設定可能か否かを判定してもよい。この場合、図12における候補日判定処理においては、ステップS242およびステップS244を行なった後、ステップS248およびステップS250を省略してステップS252およびステップS254を行ない、次回キャリブレーション実行日を各候補日に繰上げて実行可能か否かを判定する。このように、試薬補充日および初回キャリブレーション実行日と、次回キャリブレーション実行日とを独立して判定することによって、分析項目単位ではなく、各分析項目の次回キャリブレーション処理単位、および、各分析項目の試薬補充処理、初回キャリブレーション処理単位に各処理実行日を各候補日に分けることができるため、さらに柔軟に各処理の実行日を決定することができる。
(実施の形態3)
つぎに、実施の形態3について説明する。実施の形態3においては、操作者によって設定された各実行日に複数の分析項目の各キャリブレーション処理実行日が繰上げ可能か否かを判定し、複数の分析項目の各キャリブレーション処理を各実行日にまとめて行なえるようにし、キャリブレーション処理の実行日数を減じている。
図19は、実施の形態3にかかる分析装置の構成を示す模式図である。図19に示すように、実施の形態3にかかる分析装置301は、図2に示す判定部235に代えて、判定部335を備えた制御機構303を有する。ここで、入力部33は、特許請求の範囲における候補日を設定できる設定手段として機能する。
判定部335は、キャリブレーション実行日および/または試薬補充日を入力部33によって設定された各候補日に繰上げることができるか否かを判定対象である分析項目ごとに判定する。判定部335は、判定対象である候補日から予測日までの期間と試薬の使用期間との和が試薬有効期間を下回っていた場合、および/または、判定対象である候補日に次回キャリブレーションを実行可能である場合、判定対象の分析項目においては、試薬補充日、補充する試薬における初回キャリブレーションおよび/または次回キャリブレーション実行日を判定対象である候補日に繰上げることが可能であると判定する。判定部335は、複数の候補日に試薬補充日、補充する試薬における初回キャリブレーションおよび/または次回キャリブレーション実行日を繰上げ可能であると判定した分析項目においては、繰上げ可能であると判定された他の分析項目数が最も多い候補日に決定する。表示部37は、実施の形態2の場合と同様に、判定部335によって繰上げることができると判定された試薬補充日、補充する試薬における初回キャリブレーションおよび/または次回キャリブレーション実行日を各分析項目に対応づけて表示出力する。
つぎに、図20を参照して、分析装置301における次回キャリブレーション実行日、試薬補充日および初回キャリブレーション実行日を表示出力するまでの処理について説明する。
図20に示すように、制御部31は、図9に示すステップS202と同様に、いずれかの分析項目に対して、繰上げ判定の指示があるか否かを判断する(ステップS302)。制御部31は、繰上げ判定の指示があるまでステップS302の判断を繰り返す。
そして、制御部31が繰上げ判定の指示があると判断した場合(ステップS302:Yes)、入力部33は、各処理実行の候補日となる実行日を入力する実行日入力処理を行なう(ステップS304)。この場合、表示部37の画面上には、たとえば図21に示す実行日選択メニューM4が表示される。このメニューM4には、たとえば第1実行日から第2実行日の月および日をそれぞれ選択できる選択欄S1〜S3および選択欄S5が表示されている。操作者は、各選択欄S1〜S3および選択欄S5の各月および各日を選択することによって、各実行日の月および日を選択できる。たとえば、第1実行日の日を入力する場合には、入力部33を構成するマウスなどを操作し、第1実行日として所望する「6日」の表示領域上にカーソルCを移動させ、マウスの左ボタンをクリックすればよい。そして、操作者は、各実行日の月および日を選択した後に、マウスなどを操作して、選択した各実行日の設定を指示する選択欄C3を選択すればよい。この結果、選択欄S1〜S3および選択欄S5において選択した各実行日が入力部33から入力されて設定されることとなる。
つぎに、判定部335は、次回キャリブレーション実行日、新たに補充する試薬の試薬補充日、補充する試薬を用いた初回キャリブレーション実行日を設定した各実行日に繰上げることができるか否かを判定対象である分析項目ごとに判定する実行日判定処理を行なう(ステップS306)。
そして、判定部335は、実行日判定処理における結果をもとに、判定対象である分析項目ごとに次回キャリブレーション実行日、新たに補充する試薬の試薬補充日、補充する試薬を用いた初回キャリブレーション実行日を決定する実行日決定処理を行なう(ステップS308)。
そして、表示部37は、表示制御部32のもと、判定部335によって決定され次回キャリブレーション実行日、新たに補充する試薬の試薬補充日、補充する試薬を用いた初回キャリブレーション実行日を各分析項目に対応づけて表示する表示処理を行なう(ステップS310)。なお、実施の形態3においても、実施の形態1と同様に、図2に示す最終キャリブレーション実行日表示指示処理(ステップS1)、最終キャリブレーション実行日予測処理(ステップS2)および最終キャリブレーション実行日表示処理(ステップS3)を行なった後に、ステップS302における判断を行ってもよい。
つぎに、図22を参照して、図20に示す実行日判定処理を説明する。図22に示すように、判定部335は、判定対象である分析項目ごとに、図20に示す実行日入力処理によって設定された各実行日について順次、次回キャリブレーション実行日、新たに補充する試薬の試薬補充日、補充する試薬を用いた初回キャリブレーション実行日を繰上げ可能か否かを判定するため、図22に示すように、まず、判定対象である実行日を設定する(ステップS312)。第1実行日から第3実行日が設定された場合には、たとえば、第1実行日から順に判定を行なう。
そして、判定部335は、判定対象である分析項目における所定の情報を取得する。まず、判定部335は、判定対象である分析項目の現設置試薬がなくなる試薬不足日を予測する(ステップS314)。そして、判定部335は、判定対象である分析項目における現設置試薬の次回キャリブレーション実行日を取得する(ステップS316)。そして、判定部335は、判定対象である分析項目において、新たに補充する試薬の使用可能日数Uを取得する(ステップS318)。そして、判定部335は、判定処理対象である分析項目における新たに補充する試薬の開封後の有効日数Eを取得する(ステップS320)。
そして、判定部335は、判定対象である分析項目において、判定対象として設定された本実行日までに現設置試薬の試薬不足があるか否かを判断する(ステップS322)。判定部335は、判定対象として設定された本実行日までに現設置試薬の試薬不足があると判断した場合(ステップS322:Yes)、本実行日以前に新たな試薬を補充する必要があるため、本実行日に次回キャリブレーション処理、試薬補充処理、初回キャリブレーション処理を繰上げて実行することは不可能であると判定する(ステップS324)。
一方、判定部335は、判定対象として設定された本実施日までに現設置試薬の試薬不足がないと判断した場合(ステップS322:No)、本実行日に次の試薬補充日を繰上げ可能か否かを判断する(ステップS326)。判定部335は、判定対象である実行日から予測日までの日数と新たに補充する試薬の使用可能日数Uとの和が新たに補充する試薬の有効日数Eを下回っていた場合、本実行日に試薬補充日を繰上げた場合であっても試薬の有効期間内に補充した試薬を全て使いきることができると判断できるため、本実行日に試薬補充日を繰上げ可能であると判断する。
判定部335は、本実行日に試薬補充日を繰上げ可能でないと判断した場合(ステップS326:No)、試薬の有効期間内に補充した試薬を全て使いきることができないため、判定対象である分析項目においては、本実行日に次回キャリブレーション処理、試薬補充処理、初回キャリブレーション処理を繰上げて実行することは不可能であると判定する(ステップS324)。
一方、判定部335は、本実行日に次の試薬補充日を繰上げ可能であると判断した場合(ステップS326:Yes)、本実行日前にキャリブレーション処理を実行する必要があるか否かを判断する(ステップS328)。判定部335は、本実行日前にキャリブレーション処理を実行する必要があると判断した場合(ステップS328:Yes)、分析精度維持のために本実行日前にキャリブレーション処理を実行する必要があり、判定対象である分析項目においては、本実行日に次回キャリブレーション処理、試薬補充処理、初回キャリブレーション処理を繰上げて実行することは不可能であると判定する(ステップS324)。
一方、判定部335は、本実行日前にキャリブレーション処理を実行する必要がないと判断した場合(ステップS328:No)、キャリブレーション期限をもとに本実行日にキャリブレーション処理が繰上げ可能か否かを判断する(ステップS330)。判定部335は、本実行日にキャリブレーション処理が繰上げ可能ではないと判断した場合(ステップS330:No)、分析精度を維持するためにキャリブレーション期限にしたがってキャリブレーション処理を実行する必要があることから、判定対象である分析項目においては、本実行日に次回キャリブレーション処理、試薬補充処理、初回キャリブレーション処理を繰上げて実行することは不可能であると判定する(ステップS324)。
一方、判定部335は、本実行日にキャリブレーション処理が繰上げ可能であると判断した場合(ステップS330:Yes)、本実行日に次回キャリブレーション実行日、試薬補充日、初回キャリブレーション実行日を繰上げることが可能であると判定する(ステップS332)。
判定部335は、ステップS324およびステップS332終了後、すなわち、判定対象である実行日の判定が終了した場合、判定対象である分析項目において、判定が終了していない他の実行日があるか否かを判断する(ステップS334)。そして、判定部335は、判定対象である分析項目において、判定が終了していない他の実行日があると判断した場合(ステップS334:Yes)、ステップS312に戻り、次に判定を行なう実行日を設定し、この実行日に各処理を繰上げて実行可能か否かの判定を行なう。
これに対し、判定部335は、判定対象である分析項目において、判定が終了していない他の実行日がないと判断した場合(ステップS334:No)、すなわち、すべての実行日に対して判定が終了したと判断した場合、次に判定対象の分析項目があるか否かを判定する(ステップS336)。判定部335は、次に判定対象の分析項目があると判定した場合(ステップS336:Yes)、ステップS312に戻り、次に判定対象の分析項目に対して各実行日が設定可能であるか否かの判定を行なう。一方、判定部335は、次に判定対象の分析項目がないと判定した場合(ステップS336:No)、判定対象であるすべての分析項目に対して実行日の判定が終了したと判断し、実行日判定処理を終了する。
この結果、たとえば図23に示すように、それぞれ各実行日に次回キャリブレーション実行日、試薬補充日、初回キャリブレーション実行日の繰上げ可能であるか否かが判定される。
たとえば、分析項目TPにおいては、第2実行日である(d+4)日に現設置試薬であるボトルAにおける次回キャリブレーションを実行する必要があるとともに、矢印Y31に示すように、ボトルBの補充処理および初回キャリブレーション処理を繰上げ可能であるため、第2候補日に各処理を繰上げて実行可能であると判定される。
また、分析項目TCHOにおいては、第2実行日である(d+4)日に、ボトルAにおける次回キャリブレーションを実行する必要があるとともに、矢印Y32に示すように、ボトルBの補充処理および初回キャリブレーション処理を繰上げ可能であるため、第2候補日に各処理を繰上げて実行可能であると判定される。さらに、分析項目TCHOにおいては、第1実行日である(d+2)日に、矢印Y33aに示すようにボトルAの次回キャリブレーション処理を繰上げ可能であるとともに、矢印Y33bに示すようにボトルBの補充処理および初回キャリブレーション処理を繰上げ可能である。このため、分析項目TCHOにおいては、第2候補日とともに第3候補日にも各処理を繰上げて実行可能であると判定される。
また、分析項目UAにおいては、第1実行日から第3実行日までの間に試薬不足日がないため、試薬補充日に関する繰上げ判定を行なう必要がない。そして、分析項目UAにおいては、矢印Y34に示すように、第1実行日にボトルAの次回キャリブレーション処理を繰上げ可能であるため、第1実行日にボトルAの次回キャリブレーション処理を繰上げて実行可能であると判定される。
このため、図23に示す場合には、図24の表に示すように、分析項目TPにおいては、第2実行日に各処理を実行可能であり、分析項目TCHOにおいては、第1実行日および第2実行日に各処理を実行可能であり、分析項目UAにおいては、第1実行日に各処理を実行可能であると判定される。判定部335は、図20における実行日決定処理において(ステップS308)、複数の実行日に各処理を繰上げ実行可能であると判定した場合には、たとえば、第1実行日、第2実行日および第3実行日の順に優先して実行日を決定する。このため、図24の分析項目TCHOにおいては、第2実行日よりも第1実行日が優先されるため、判定部335は、第1実行日である(d+2)日を分析項目TCHOにおける実行日として決定する。なお、各実行日の優先順位は、入力部33の操作によって、変更可能である。
そして、図25に例示すように、表示部37は、図20に示す表示処理(ステップS310)において、判定対象である分析項目ごとに、いずれの実行日に現設置試薬の次回キャリブレーション処理、試薬補充処理、初回キャリブレーション処理を行なうかを示すメニューM5を表示する。このメニューM5には、図25に示すように、分析項目TPでは現設置試薬の次回キャリブレーション処理、試薬補充処理、初回キャリブレーション処理を第2実行日に行なう旨、分析項目TCHOでは現設置試薬の次回キャリブレーション処理、試薬補充処理、初回キャリブレーション処理を第1実行日に行なう旨、分析項目UAでは現設置試薬の次回キャリブレーション処理を第1実行日に行なう旨が示されている。操作者は、表示部37の画面上に表示されたメニューM5を参照することによって、判定対象である分析項目における各キャリブレーション実行日と試薬補充日とが設定したいずれの実行日に対応するかを把握することができる。
このように、本実施の形態3にかかる分析装置301は、複数の分析項目における次回キャリブレーション処理、試薬補充処理、初回キャリブレーション処理を、操作者によって設定された各実行日のいずれかに繰上げ可能か否かを判定している。そして、分析装置301においては、操作者によって設定された実行日に次回キャリブレーション処理、試薬補充処理、初回キャリブレーション処理をまとめて行なえるように各処理実行日を決定している。このため、実施の形態3によれば、操作者によって入力された実行日に各分析項目における次回キャリブレーション処理、試薬補充処理、初回キャリブレーション処理を実行することによって、開封後における空気接触による試薬劣化の影響を受けずに分析を行なうことが可能になる。さらに、実施の形態3によれば、従来それぞれ異なる日に行なっていたキャリブレーション処理および試薬補充処理を操作者が所望する各実行日にまとめて行なうことが可能になる。したがって、本実施の形態3にかかる分析装置301によれば、実施の形態2と同様の効果を奏することが可能になる。
また、実施の形態2,3においては、次回キャリブレーション実行日、試薬補充日、初回キャリブレーション実行日がいずれの候補日および実行日にも繰上げ不可能と判断された場合には、分析精度の維持を確保するため、各処理日を繰上げず、従来と同様に、前回実行日からキャリブレーション期限経過前に次回キャリブレーション処理を実行し、また、試薬不足日前日に試薬補充処理および初回キャリブレーション処理を実行すればよい。
また、実施の形態2,3においては、キャリブレーション処理を毎日実行する必要がある分析項目は、キャリブレーション処理の繰上げ日を判定する必要がないため、判定部235,335における判定処理から除外する必要がある。
実施の形態2,3においては、分析装置201,301において行なわれる分析項目数が多数ある場合には、各処理の繰上げ判定が混乱しないように、キャリブレーション実行間隔がそれぞれ近い分析項目同士、試薬の使用可能期間がそれぞれ近い分析項目同士などのように、所定の判断基準で複数の分析項目をひとまとめにしたグループを複数設定し、グループごとに独立して判定処理を行なってもよい。すなわち、あるグループaに属する分析項目に対しては、独立して判定処理が行なわれるため、このグループaに属する分析項目の各情報をもとに設定された各候補日に次回キャリブレーション処理、試薬補充処理、初回キャリブレーション処理をまとめて行なえるように各処理の実行日が決定される。また、別のグループbに属する分析項目に対しては、グループaと独立して判定処理が行なわれるため、グループbに属する分析項目の各情報をもとに設定された各候補日に各処理をまとめて行なえるように各処理の実行日が決定される。
また、本実施の形態1〜3においては、判定部35,235,335の判定結果を表示部37が表示出力した場合について説明したが、もちろんこれに限らず、たとえば、印刷出力してもよく、また、音声出力してもよく、また、図示しない通信ネットワークを介して図示しない外部装置に出力してもよい。
また、本実施の形態1〜3においては、検体の光学的特性を測定する分析装置を例に説明したが、これに限らず、各分析項目に対応する各試薬を分析装置内に設置する必要がある分析装置に適用することが可能である。
また、上記実施の形態で説明した分析装置1,201,301は、あらかじめ用意されたプログラムをコンピュータシステムで実行することによって実現することができる。このコンピュータシステムは、所定の記録媒体に記録されたプログラムを読み出して実行することで分析装置の処理動作を実現する。ここで、所定の記録媒体とは、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MOディスク、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」の他に、コンピュータシステムの内外に備えられるハードディスクドライブ(HDD)などのように、プログラムの送信に際して短期にプログラムを保持する「通信媒体」など、コンピュータシステムによって読み取り可能なプログラムを記録する、あらゆる記録媒体を含むものである。また、このコンピュータシステムは、ネットワーク回線を介して接続した管理サーバや他のコンピュータシステムからプログラムを取得し、取得したプログラムを実行することで分析装置の処理動作を実現する。