JP4849278B2 - 細胞処理デバイス、細胞処理カートリッジおよび体液処理システム - Google Patents

細胞処理デバイス、細胞処理カートリッジおよび体液処理システム Download PDF

Info

Publication number
JP4849278B2
JP4849278B2 JP2009078455A JP2009078455A JP4849278B2 JP 4849278 B2 JP4849278 B2 JP 4849278B2 JP 2009078455 A JP2009078455 A JP 2009078455A JP 2009078455 A JP2009078455 A JP 2009078455A JP 4849278 B2 JP4849278 B2 JP 4849278B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cell
tapered portion
cancer cells
hole
slit member
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009078455A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010227011A (ja
Inventor
佐登美 吉岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2009078455A priority Critical patent/JP4849278B2/ja
Priority to US12/720,927 priority patent/US9526823B2/en
Publication of JP2010227011A publication Critical patent/JP2010227011A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4849278B2 publication Critical patent/JP4849278B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61MDEVICES FOR INTRODUCING MEDIA INTO, OR ONTO, THE BODY; DEVICES FOR TRANSDUCING BODY MEDIA OR FOR TAKING MEDIA FROM THE BODY; DEVICES FOR PRODUCING OR ENDING SLEEP OR STUPOR
    • A61M1/00Suction or pumping devices for medical purposes; Devices for carrying-off, for treatment of, or for carrying-over, body-liquids; Drainage systems
    • A61M1/36Other treatment of blood in a by-pass of the natural circulatory system, e.g. temperature adaptation, irradiation ; Extra-corporeal blood circuits
    • A61M1/3679Other treatment of blood in a by-pass of the natural circulatory system, e.g. temperature adaptation, irradiation ; Extra-corporeal blood circuits by absorption
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61MDEVICES FOR INTRODUCING MEDIA INTO, OR ONTO, THE BODY; DEVICES FOR TRANSDUCING BODY MEDIA OR FOR TAKING MEDIA FROM THE BODY; DEVICES FOR PRODUCING OR ENDING SLEEP OR STUPOR
    • A61M1/00Suction or pumping devices for medical purposes; Devices for carrying-off, for treatment of, or for carrying-over, body-liquids; Drainage systems
    • A61M1/36Other treatment of blood in a by-pass of the natural circulatory system, e.g. temperature adaptation, irradiation ; Extra-corporeal blood circuits
    • A61M1/3687Chemical treatment
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61MDEVICES FOR INTRODUCING MEDIA INTO, OR ONTO, THE BODY; DEVICES FOR TRANSDUCING BODY MEDIA OR FOR TAKING MEDIA FROM THE BODY; DEVICES FOR PRODUCING OR ENDING SLEEP OR STUPOR
    • A61M1/00Suction or pumping devices for medical purposes; Devices for carrying-off, for treatment of, or for carrying-over, body-liquids; Drainage systems
    • A61M1/36Other treatment of blood in a by-pass of the natural circulatory system, e.g. temperature adaptation, irradiation ; Extra-corporeal blood circuits
    • A61M1/3687Chemical treatment
    • A61M1/3689Chemical treatment by biological cells
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01LCHEMICAL OR PHYSICAL LABORATORY APPARATUS FOR GENERAL USE
    • B01L2200/00Solutions for specific problems relating to chemical or physical laboratory apparatus
    • B01L2200/06Fluid handling related problems
    • B01L2200/0647Handling flowable solids, e.g. microscopic beads, cells, particles
    • B01L2200/0668Trapping microscopic beads
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12MAPPARATUS FOR ENZYMOLOGY OR MICROBIOLOGY; APPARATUS FOR CULTURING MICROORGANISMS FOR PRODUCING BIOMASS, FOR GROWING CELLS OR FOR OBTAINING FERMENTATION OR METABOLIC PRODUCTS, i.e. BIOREACTORS OR FERMENTERS
    • C12M35/00Means for application of stress for stimulating the growth of microorganisms or the generation of fermentation or metabolic products; Means for electroporation or cell fusion
    • C12M35/02Electrical or electromagnetic means, e.g. for electroporation or for cell fusion

Description

本発明は、細胞処理デバイス、細胞処理カートリッジおよび体液処理システムに関する。
従来、がんを攻撃する方法として、抗がん剤等を与える方法や放射線を照射する方法が行われてきた。また近年では、さらに進んだ方法として、抗体/分子標的薬を用いる方法、がんワクチンを用いる方法、遺伝子操作による方法などが開発されつつある。これらの方法は、がんを攻撃するものではあるが、がんの転移に対しては、必ずしも十分な効果が得られるとは限らなかった。
がんによる人の死亡は、がんの転移に原因するものが多い。一般に、がんの転移は、以下のようにして起きると考えられている。まず、原発巣のがんを形成するがん細胞が血管やリンパ管に侵入する。次に、血管やリンパ管に侵入したがん細胞は、血液やリンパ液の流れによって移送される。次に、移送されたがん細胞は、原発巣から離れた別の組織等の管壁に定着、浸潤する。そして、当該別の組織等において、新たながん(転移巣)を形成すると考えられている。
血管を通じて人の体内を循環するがん細胞は、循環がん細胞(CTC:Circulating Tumor Cell)(循環腫瘍細胞)と呼ばれている。たとえば、特許文献1には、循環がん細胞の単離方法および試薬が開示されている。同文献には、がん細胞と特異的に結合するリガンド分子を結合させた磁性粒子に、がん細胞を捕捉させることによって循環がん細胞を効率的に単離、計数できる等の記載がある。
特開2005−010177号公報
しかしながら、がんを攻撃する方法においては、同時に正常細胞を攻撃することが避けがたく、正常細胞がダメージを受けてしまう。そのため患者のQOL(Quality Of Life)を高く維持することが難しかった。
また、循環がん細胞を単離する方法は、がんの早期発見等の診断を行うためのものであった。このような方法では、血液は検体として用いられ、磁性粒子等の異物が添加される。そのため、診断に用いた血液は、血液製剤として使用することが難しかった。このような方法を、血液から循環がん細胞を除去するために適用すると、血液に異物を混入させることとなり、その血液を投与すると、QOLの著しい低下や生命の危険が危惧されるものであった。
本発明のいくつかの態様にかかる目的の一つは、血液等の細胞分散液に含有される、少なくともがん細胞に対して、物理的作用、化学的作用、および生理活性作用の少なくとも一種を効率的に付与することができる細胞処理デバイスを提供することにある。
本発明のいくつかの態様にかかる目的の一つは、細胞分散液に含有される免疫細胞に対して、生理活性作用を効率的に付与することができる細胞処理デバイスを提供することにある。
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明にかかる細胞処理デバイスの一態様は、
がん細胞を含む細胞分散液を通過させて、少なくとも前記がん細胞に、物理的作用、化学的作用および生理活性作用の少なくとも一種を付与するデバイスであって、
第1面および第2面を有し、前記第1面から前記第2面に貫通し一方向に沿って延びるスリット形状を有する貫通孔が形成された、スリット部材を含み、
前記貫通孔は、テーパー部を有し、
前記テーパー部の前記一方向に直交する断面における幅は、前記第1面から前記第2面側に向かって減少し、前記第2面側の端において前記がん細胞の平均直径よりも小さくなっており、
前記細胞分散液は、前記第1面側から前記貫通孔を通って前記第2面側に通過される。
このような細胞処理デバイスは、スリット部材の表面に、がん細胞を少なくとも接触させることができる。これにより、少なくとも、がん細胞を捕捉、捕集するなどの物理的作用を付与することができる。また、貫通孔がスリット状の形状を有するため、がん細胞を捕捉しても、貫通孔が閉塞しにくく、細胞分散液の流路を確保することができる。
[適用例2]
適用例1において、
前記第1面および前記第2面は、互いに平行である、細胞処理デバイス。
このような細胞処理デバイスは、平板状のスリット部材を有するため、適用例1の細胞処理デバイスの特徴に加え、さらに、小型化が可能で、製造が容易であるという効果を有する。
[適用例3]
適用例1において、
前記第1面および前記第2面は、一軸を中心軸とする円筒面である、細胞処理デバイス。
このような細胞処理デバイスは、円筒状のスリット部材を有するため、適用例1の細胞処理デバイスの特徴に加え、さらに、小型化が可能で、製造が容易であるという効果を有する。
[適用例4]
適用例1ないし適用例3のいずれか一例において、
前記貫通孔は、さらに、狭窄部を有し、
前記狭窄部は、前記テーパー部の前記第2面側の端に連続し、
前記狭窄部の前記幅は、前記テーパー部の前記第2面側の端における前記幅以下である、細胞処理デバイス。
このような細胞処理デバイスは、細胞分散液の流動経路において一定の長さの狭窄部を有し、これにより、がん細胞の平均直径より小さい流路が長くなっている。そのため、がん細胞を捕捉、捕集する作用がさらに高く、がん細胞をより容易にスリット部材の表面に接触させることができる。
[適用例5]
適用例4において、
前記細胞分散液は、さらに免疫細胞を含み、
前記狭窄部は、前記第1面側の第1領域と、前記第2面側の第2領域とを有し、
前記第2領域の幅は、前記免疫細胞の平均直径よりも小さい、細胞処理デバイス。
このような細胞処理デバイスは、狭窄部に、免疫細胞の平均直径よりも小さい幅を有する第2領域を有している。そのため、適用例4の細胞処理デバイスの特徴に加え、免疫細胞をより容易にスリット部材の表面に接触させることができる。
[適用例6]
適用例5において、
前記第2領域を形成している前記スリット部材の表面に、前記免疫細胞に特異的に作用する免疫細胞活性化因子が固定されている、細胞処理デバイス。
このような細胞処理デバイスは、免疫細胞を高い頻度で免疫細胞活性化因子に接触させることができる。
[適用例7]
適用例4ないし適用例6のいずれか一例において、
前記狭窄部を形成する前記スリット部材の表面に、前記がん細胞に作用するサイトカイン類が固定されている、細胞処理デバイス。
このような細胞処理デバイスは、がん細胞を高い頻度でサイトカイン類に接触させることができる。これにより、がん細胞に化学的作用または生理活性作用を効率的に付与することができる。また、狭窄部におけるサイトカイン類とがん細胞との接触頻度が高いため、サイトカイン類の細胞分散液に対する量を少量で済ませることができる。
[適用例8]
適用例7において、
前記サイトカイン類は、アポトーシス因子である、細胞処理デバイス。
このような細胞処理デバイスは、がん細胞を高い頻度でアポトーシス因子に接触させることができる。これにより、極めて効率的に、がん細胞にアポトーシスを起こさせる(生理活性作用を付与する)ことができる。また、アポトーシス因子とがん細胞との接触頻度が高いため、アポトーシス因子の細胞分散液に対する量を少量とすることができる。
[適用例9]
適用例1ないし適用例8のいずれか一例において、
前記貫通孔は、さらに、逆テーパー部を有し、
前記逆テーパー部は、前記テーパー部または前記狭窄部の前記第2面側の端に連続し、
前記逆テーパー部の前記幅は、前記第1面側から前記第2面に向かって増大している、細胞処理デバイス。
このような細胞処理デバイスは、第2面側において、細胞分散液が滞留することを抑制できる。これにより、たとえば、細胞分散液が血液である場合などに、凝固を抑制することができる。
[適用例10]
適用例1ないし適用例9のいずれか一例において、
前記テーパー部を形成する前記スリット部材の表面に、前記がん細胞に特異的に作用する抗体が固定されている、細胞処理デバイス。
このような細胞処理デバイスは、テーパー部にがん細胞を停滞させることができる。これにより、がん細胞の移動速度を低下させるという物理的作用を付与することができる。テーパー部を形成するスリット部材の表面のみに抗体を固定する場合は、抗体の細胞分散液に対する量を少量とすることができる。
[適用例11]
適用例1ないし適用例10のいずれか一例において、
前記テーパー部を形成している前記スリット部材の表面は、溝を有する、細胞処理デバイス。
このような細胞処理デバイスは、テーパー部における細胞分散液の流動を乱流化することができる。これにより、がん細胞または免疫細胞を、テーパー部を形成するスリット部材の表面に接触しやすくすることができる。
[適用例12]
適用例1ないし適用例11のいずれか一例において、
前記スリット部材の表面に、親水性、撥水性、およびブロッキング性から選択される少なくとも一種の機能を有するコーティングが施された、細胞処理デバイス。
このような細胞処理デバイスは、細胞分散液が通過する際に、細胞が、スリット部材の表面に非特異的に吸着することを抑制することができる。これにより、細胞分散液が通過する際の抵抗を抑制することができる。たとえば、細胞分散液が血液である場合などにおいて、がん細胞、免疫細胞以外の細胞がスリット部材の表面に吸着されることが抑制され、細胞処理デバイスの目詰まりを抑制することができる。
[適用例13]
適用例1ないし適用例12のいずれか一例において、
前記スリット部材には、互いに平行な複数の前記貫通孔が形成された、細胞処理デバイス。
このような細胞処理デバイスは、スリット部材に貫通孔を高密度に配置することができる。
[適用例14]
適用例1ないし適用例13のいずれか一例において、
2つの前記スリット部材を有し、
2つの前記スリット部材は、互いに前記第1面が対向するように配置されている、細胞処理デバイス。
このような細胞処理デバイスは、細胞分散液を2つのスリット部材の第1面側に、同時に供給することができる。これにより、該細胞処理デバイスは、さらに小型化されることができる。
[適用例15]
本発明にかかる細胞処理カートリッジの一態様は、
がん細胞を含む細胞分散液を通過させて、少なくとも前記がん細胞に、物理的作用、化学的作用および生理活性作用の少なくとも一種を付与するカートリッジであって、
第1面および第2面を有し、前記第1面から前記第2面に貫通し一方向に沿って延びるスリット形状を有する貫通孔が形成された、スリット部材を含み、
前記貫通孔は、テーパー部を有し、
前記テーパー部の前記一方向に直交する断面における幅は、前記第1面から前記第2面側に向かって減少し、前記第2面側の端において前記がん細胞の平均直径よりも小さくなっており、
前記細胞分散液は、前記第1面側から前記貫通孔を通って前記第2面側に通過される。
このような細胞処理カートリッジは、がん細胞および免疫細胞の少なくとも一方を含む細胞分散液を通過させて、前記がん細胞および前記免疫細胞の少なくとも一方に、物理的作用、化学的作用および生理活性作用の少なくとも一種を付与することができる。
[適用例16]
本発明にかかる体液処理システムの一態様は、
がん細胞を含む細胞分散液を通過させて、少なくとも前記がん細胞に、物理的作用、化学的作用および生理活性作用の少なくとも一種を付与するシステムであって、
第1面および第2面を有し、前記第1面から前記第2面に貫通し一方向に沿って延びるスリット形状を有する貫通孔が形成された、スリット部材を含み、
前記貫通孔は、テーパー部を有し、
前記テーパー部の前記一方向に直交する断面における幅は、前記第1面から前記第2面側に向かって減少し、前記第2面側の端において前記がん細胞の平均直径よりも小さくなっており、
前記細胞分散液は、前記第1面側から前記貫通孔を通って前記第2面側に通過される、細胞処理デバイスまたは細胞処理カートリッジ、を用いる。
このような体液処理システムは、がん細胞および免疫細胞の少なくとも一方を含む体液を通過させて、前記がん細胞および前記免疫細胞の少なくとも一方に、物理的作用、化学的作用および生理活性作用の少なくとも一種を付与することができる。
実施形態にかかるスリット部材100を模式的に示す平面図。 実施形態にかかるスリット部材100の断面の模式図。 実施形態にかかるスリット部材200を模式的に示す斜視図。 実施形態にかかるスリット部材200の断面の模式図。 実施形態にかかるスリット部材の断面の模式図。 実施形態にかかるスリット部材の断面の模式図。 実施形態にかかるスリット部材の断面の模式図。 実施形態にかかるスリット部材の断面の模式図。 実施形態にかかるスリット部材の断面の模式図。 実施形態にかかるスリット部材の断面の模式図。 実施形態にかかるスリット部材の断面の模式図。 実施形態にかかるスリット部材の要部を模式的に示す斜視図。 実施形態にかかるスリット部材の要部を模式的に示す斜視図。 実施形態にかかる細胞処理デバイス1000を模式的に示す平面図。 実施形態にかかる細胞処理デバイス1000の断面の模式図。 実施形態にかかる細胞処理デバイス1000の断面の模式図。 実施形態にかかる細胞処理デバイス1010の断面の模式図。 実施形態にかかる細胞処理デバイス1010の断面の模式図。 実施形態にかかる細胞処理デバイス2000を模式的に示す平面図。 実施形態にかかる細胞処理デバイス2000の断面の模式図。 実施形態にかかる細胞処理デバイス2000の断面の模式図。 実施形態にかかる細胞処理システム10000の模式図。
以下に本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の一例を説明するものである。
1.細胞処理デバイス
本実施形態にかかる細胞処理デバイスは、がん細胞を含む細胞分散液を通過させて、がん細胞に、物理的作用、化学的作用および生理活性作用の少なくとも一種を付与する。
1.1.細胞分散液
本実施形態の細胞処理デバイスは、細胞分散液を通過させる。細胞分散液としては、たとえば、人間等の動物の体液、すなわち、血液、リンパ液、組織液、体腔液などを挙げることができる。また、本実施形態にかかる細胞分散液としては、生体由来のものに限定されず、試験、研究等のために人工的に細胞を分散させて調製された細胞の分散体であってもよい。
本実施形態の細胞処理デバイスを通過させる細胞分散液は、がん細胞を含む。細胞分散液は、がん細胞以外の他の細胞が分散されていてもよい。たとえば細胞分散液は、免疫細胞を含んでいてもよい。また、たとえば、血液のように、がん細胞の他に、白血球(免疫細胞)、赤血球、血小板等の細胞が分散していてもよい。
本明細書において、がん細胞とは、がん(悪性腫瘍)を構成する細胞のことを指す。がんは、転移する性質を有し、がん細胞は、がんが転移する際に、上述した血液等の体液に混入する。血液に混入して生体内を循環できる状態になったがん細胞は、循環がん細胞(CTC:Circulating Tumor Cell)(または循環腫瘍細胞)と呼ばれている。したがって、本実施形態の細胞処理デバイスを通過する細胞分散液は、循環がん細胞を含む血液であってもよい。本明細書において、免疫細胞とは、白血球、すなわち、顆粒球、リンパ球および単球などの細胞のことをいう。
1.2.物理的作用、化学的作用および生理活性作用
本実施形態の細胞処理デバイスは、少なくともがん細胞に、物理的作用、化学的作用および生理活性作用の少なくとも一種を及ぼす。
物理的作用は、接触、捕捉、付着、吸着、破砕などのことを指す。本明細書における物理的作用としては、たとえば、貫通孔に、がん細胞を捕捉すること(後述する)、スリット部材に、がん細胞や免疫細胞を接触させることを挙げることができる。さらに、物理的作用には、細胞が細胞処理デバイスを通過するときの、細胞の細胞処理デバイス内の滞在時間を長くすることも含むものとする。
化学的作用は、薬剤等の化学物質によって、がん細胞の機能に変化を生じさせることを指す。化学的作用としては、たとえば、抗がん剤等の分子とがん細胞とが接触し、該がん細胞の機能が変化することなどが挙げられる。
生理活性作用とは、がん細胞または免疫細胞に対して、生理活性情報を与え、壊死、成長、増殖、活性化、タンパク質合成促進、成長抑制などを起こさせることを指す。生理活性作用としては、たとえば、がん細胞をアポトーシスさせること、がん細胞を壊死させること、免疫細胞を活性化させること、免疫細胞を増殖させることなどが挙げられる。なお、本明細書では、がん細胞が有する抗原に、抗体が結合するなどの、細胞を識別する作用については、生理活性作用に含まれるものとする。
1.3.細胞処理デバイスの構造
本実施形態にかかる細胞処理デバイスは、貫通孔10が形成されたスリット部材を含む。
1.3.1.スリット部材
スリット部材は、本実施形態の細胞処理デバイスの要部を形成する部材である。スリット部材は、後述する貫通孔10が形成されることができる限り限定されない。以下に例示するスリット部材100およびスリット部材200は、それぞれ、平板状および円筒状の外形形状を有するが、いずれも本実施形態の細胞処理デバイスの要部として好適に機能することができる。なお、スリット部材の外形形状は、平板状および円筒状には限定されない。
図1は、スリット部材の一態様であるスリット部材100を模式的に示す平面図である。図2は、スリット部材100の断面の模式図である。図1のA−A線の断面が図1に相当する。図3は、スリット部材の一態様であるスリット部材200を模式的に示す斜視図である。図4は、スリット部材200の断面の模式図である。図3のα平面の断面が図4に相当する。
スリット部材は、第1面101および第2面102を有する。板状のスリット部材100の例では、一方の主面が第1面101であり、他方の主面が第2面102である。円筒状のスリット部材200の例では、内周面が第1面101であり、外周面が第2面102である。スリット部材200の例においては、外周面を第1面101とし、内周面を第2面102としてもよい。
スリット部材の大きさおよび形状は限定されない。たとえば、スリット部材100の平面的な形状は、矩形、円形等とすることができる。図1の例では、スリット部材100の平面的な形状は、矩形となっている。また、スリット部材200の円筒状の形状において、円筒の両端の円は、互いに大きさが異なっていてもよい。図3の例では、円筒の両端の円は、互いに等しい大きさとなっている。
スリット部材の厚みtは、第1面101および第2面102の間の距離に相当する。厚みtは、後述する貫通孔10の機能に応じて設計されることができる。スリット部材の厚みtは、たとえば、1μm以上100mm以下とすることができる。スリット部材の厚みtが1μm以下であると、細胞処理デバイス1000の強度が不足する場合がある。スリット部材の厚みtの上限は、特に限定されないが、大きすぎると細胞処理デバイスが大型化したり、細胞分散液が通過する際の抵抗が大きくなりすぎたりすることがある。
スリット部材の材質は特に限定されない。スリット部材の材質としては、無機材料および有機材料が挙げられ、たとえば、ステンレス、クロム−コバルト合金等の金属材料、酸化物材料、セラミックス材料、シリコン等の半導体材料、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエステル系樹脂、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル共重合体、ポリアミド、ポリイミド、シリコーン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂、およびこれらのアロイ等の高分子材料、再生セルロース、表面改質再生セルロース、セルロースアセテート系等のセルロース系材料などを用いることができる。
スリット部材は、生体適合性の良好な材質であることがより好ましい。生体適合性の材質としては、たとえば、上述したうち、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエステル系樹脂、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル共重合体、セルロース系の材料、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂などが挙げられる。スリット部材が生体適合性を有する材質で形成されると、たとえば、細胞分散液中の細胞に対する毒性を抑えることができ、また、細胞分散液に免疫細胞が含まれる場合には、該免疫細胞等がスリット部材を異物と認識しにくくすることができる。さらに、細胞分散液が血液である場合は、スリット部材の材質に生体適合性材料を選択すると、血液凝固作用を抑制することができる。スリット部材を生体適合性の小さい材質で形成した場合は、スリット部材の表面に生体適合性の材料のコーティングを施すこともできる。このようなコーティングとしては、親水性、撥水性、およびブロッキング性から選択される少なくとも一種の機能を有するコーティングが挙げられる。このようなコーティングが施されることにより、スリット部材を細胞分散液が通過する際に、細胞が、スリット部材の表面に非特異的に吸着することを抑制することができる。これにより、たとえば、細胞分散液が通過する際の抵抗を抑制することができる。また、たとえば、細胞分散液が血液である場合などにおいて、がん細胞、免疫細胞以外の細胞がスリット部材の表面に非特異的に吸着されることが抑制され、細胞処理デバイスの目詰まりを抑制することができる。
スリット部材の機能としては、貫通孔10を形成することが挙げられる。細胞分散液は、貫通孔10を通って、スリット部材の第1面101側から貫通孔10を通って第2面102側に通過される。スリット部材に形成される貫通孔10の数は限定されない。貫通孔10の数を増すと、細胞分散液の流量を増やすことができる。
以下に貫通孔10の態様を例示するが、スリット部材に形成される貫通孔10が複数である場合は、それぞれが互いに異なる態様の貫通孔10であってもよいし、それぞれが同一の態様の貫通孔10であってもよい。
1.3.2.貫通孔
貫通孔10は、スリット部材の第1面101から第2面102に貫通し、一方向に沿って延びるスリット形状を有する。貫通孔10は、スリット部材を厚みtの方向に貫通する。貫通孔10は、スリット部材の第1面101から第2面102に貫通することによって、第1面101および第2面102を接続している。
スリット形状とは、板状の物体を貫通する孔であって、該物体を平面的に見たときに、該孔が特定の方向に長く延びている孔の形状のことをいう。貫通孔10がスリット状に延びる方向は特に限定されない。たとえば、貫通孔10は、上述のスリット部材100の例においては、図1に示すように、平面的に見て矩形の外形の一辺に沿う方向に細長く延びた形状を有することができる。また、たとえば、貫通孔10は、スリット部材200の例においては、図3に示すように、円筒の中心軸に沿った方向に細長く延びた形状を有することができる。また、平面的に見た貫通孔10の一端は、スリット部材の外周に接続していてもよい。すなわち貫通孔10は、スリット部材に形成された切り欠きの状態であってもよい。さらに、平面的に見た貫通孔10の両端が、スリット部材の外周に接続していてもよい。すなわち貫通孔10は、スリット部材を分断している状態であってもよい。貫通孔10がスリット部材の外周に接続する場合には、たとえば、後述する流路形成部材をスリット部材に接続することによって、貫通孔10が形成されることができる。なお、貫通孔10の延びる方向における長さを大きくすると、細胞分散液の流量を増やすことができる。
図5ないし図11は、貫通孔10を説明するための、スリット部材の断面の模式図である。上述したようにスリット部材の第1面101および第2面102は、平面であっても曲面であってもよいが、以下の貫通孔10の説明においては、第1面101および第2面102が互いに平行な平面であるとして説明する。また、上述したようにスリット部材に形成される貫通孔10の数は限定されないが、以下では、1個の貫通孔10について説明する。本明細書では、貫通孔10の各部の幅は、貫通孔10が延びる方向に直交する断面(たとえば、図5〜図11に描かれた断面)において規定される。
貫通孔10は、テーパー部12を有する。テーパー部12は、貫通孔10の一部または全部である。テーパー部12は、貫通孔10のうちの、スリット部材の第1面101に接続する部分を含む。テーパー部12を形成するスリット部材の表面は、以下、テーパー面112と呼ぶことがある。テーパー面112は、少なくともスリット部材の第1面101と接続している。
テーパー部12の幅は、第1面101から第2面102側に向かって減少する。テーパー部12の幅は、図5に示すように、第1面101から第2面102側に向かって減少している。図5の例では、テーパー部12の幅は、第1面101から第2面102側に向かって単調に減少している。テーパー部12の幅の減少の程度、すなわち、第1面101および第2面102に対するテーパー面112の傾きは限定されない。また、図5の例では、テーパー面112の断面は、直線状となっているが、折れ線や曲線であってもよい。なお、スリット部材が複数の貫通孔10を有する場合であって、隣り合う貫通孔10のテーパー部12が接している場合は、第1面101の平坦な部分は無いことになるが、その際は、スリット部材の厚みtを規定する仮想的な面を第1面101と見なすことができる(たとえば、図15参照)。
テーパー部12の幅は、第2面102側の端においてがん細胞の平均直径よりも小さくなっている。テーパー部12の第2面102側の端以外の部分の幅は、第1面101から第2面102側に向かって減少するかぎり限定されない。図5の例では、テーパー部12の第2面102側の端における幅Wteは、がん細胞よりも小さくなっている。
がん細胞の平均直径については、以下のような報告がある。循環がん細胞は、血液中の通常の細胞よりも平均的な直径が大きいという報告がある(たとえば、American Journal of Pathology, Vol. 156, No. 1, 57−63, January 2000)。この報告では、複数種の循環がん細胞について、光学顕微鏡写真を撮影している。そして、各種の循環がん細胞の平均的な投影面積は、396μm以上796μm以下であったと報告している。したがって、各種の循環がん細胞の形状を球と仮定すると、上記文献の循環がん細胞の平均的な直径は、22μm以上32μm以下であることがわかる。
たとえば、上記文献の22μmの平均直径を有する循環がん細胞が細胞分散液に含まれる場合は、テーパー部12の第2面102側の端における幅Wteは、22μm以下となる。同様に、上記文献の32μmの平均直径を有する循環がん細胞が細胞分散液に含まれる場合は、テーパー部12の第2面102側の端における幅Wteは、32μm以下となる。
このように、スリット部材の貫通孔10のテーパー部12の第2面102側の端における幅Wteは、細胞分散液の処理の種類に応じて、上記の範囲で特定の値を選択することができる。
テーパー部12のスリット部材の厚みt方向における大きさ(深さdt)は、限定されない。スリット部材の厚みtに対するテーパー部12の深さdtは、1%以上100%以下とすることができる。図5の例では、テーパー部12の深さdtは、スリット部材の厚みtと同一(100%)となっている。
図5には、がん細胞および他の細胞が模式的に描かれている。既述したが細胞分散液は、スリット部材の第1面101側から第2面102側に通過される。図5の例では、上から下へと細胞分散液が通過される。細胞分散液には、がん細胞gが含まれている。スリット部材が上述のテーパー部12を有するため、図5に示すように、がん細胞gを少なくともテーパー部12の第2面102側の端において、スリット部材に接触させるという物理的作用を及ぼすことができる。そして、たとえば、テーパー面112に生理活性物質が固定されている場合に、がん細胞に対して効率的に生理活性作用を与えることができる。
また、このようにテーパー部12の第2面102側の端に接触したがん細胞gは、変形しない限りは貫通孔10を通過することができない。したがって、スリット部材によって、変形し難いがん細胞gに対しては、少なくとも捕捉という物理的作用を及ぼすことができる。これにより、細胞分散液中のがん細胞を除去または減少させることができる。また、図5に示すように、テーパー部12の第2面102側の端が、第2面102に接続し、鋭利な状態であると、これに接触したがん細胞gに、細胞膜を破壊する等の物理的作用を与えることができる。
一方、細胞分散液にがん細胞よりも小さい直径を有する細胞が含まれている場合、このような細胞は、スリット部材によって捕捉されることなく、細胞処理デバイスを通過することができる。たとえば、細胞分散液が循環がん細胞を含む血液である場合は、赤血球や血小板等は、スリット部材によって捕捉されることなく、細胞処理デバイスを通過することができる。
また、がん細胞が形状を変えて貫通孔10を通過しようとする場合においては、細胞分散液を通過させる際の細胞処理デバイス内のがん細胞の滞在時間を他の細胞よりも長くすることができる。そのため、たとえば細胞処理デバイスに、可視光、紫外光、X線、ガンマ線、粒子線等の放射線を照射する場合には、がん細胞に対する照射時間を他の細胞に対してよりも長くすることができる。なお、この場合は、細胞処理デバイスの材質には、これらの放射線を透過しやすい材料を選択する。
また、貫通孔10は、スリット形状を有しているため、貫通孔10の一部分において、がん細胞が捕集、捕捉された場合、他の部分は、依然として貫通孔10としての機能を十分に有することができる。すなわち、貫通孔10は、スリット状の形状を有するため、がん細胞を捕捉しても、閉塞しにくく、細胞分散液の流路を十分に確保することができる。細胞分散液が血液である場合であって、これに循環がん細胞が含まれているとき、該循環がん細胞の数は、血液中の血球の数よりも非常に少ない。たとえば、がん患者の血液中の循環がん細胞は、血液7.5ml中に0個以上10個以下程度で、循環がん細胞の数は、血球の数の約400億分の1から40億分の1の数であるといわれている。したがって、たとえば、細胞分散液が血液である場合は、本実施形態の細胞処理デバイスは目詰まりが生じにくい。
1.3.3.貫通孔の変形
貫通孔10は、狭窄部14を有することができる。図6および図7は、貫通孔10が狭窄部14を有する場合のスリット部材の断面の模式図である。
狭窄部14は、テーパー部12の第2面102側の端に連続して形成される。狭窄部14は、貫通孔10の一部である。狭窄部14は、貫通孔10のテーパー部12に連続し、テーパー部12よりも第2面102側の位置にある。狭窄部14を形成するスリット部材の表面は、以下、狭窄面114と呼ぶことがある。狭窄面114は、テーパー面112と連続している。狭窄面114は、スリット部材の第2面102と接続していてもよい。また、狭窄面114は、たとえば、逆テーパー面116(後述する)を介して第2面102に接続していてもよい。図6および図7の例では、狭窄部14は、テーパー部12の第2面102側の端とスリット部材の第2面102とを接続している。
狭窄部14のスリット部材の厚みt方向における大きさ(深さds)は、限定されない。スリット部材の厚みtに対する狭窄部14の深さdsは、0%以上99%以下とすることができる。図6の例では、狭窄部12の深さdsは、スリット部材の厚みtの約50%となっている。同図では、テーパー部12の深さdtは、スリット部材の厚みtの約50%となっている。
狭窄部14の幅は、テーパー部12の第2面102側の端における幅Wte以下である。したがって、狭窄部14の幅は、がん細胞の平均直径よりも小さい。図6および図7の例では、狭窄部14は一定の幅(テーパー部12の第2面102側の端における幅Wte)で形成されている。
このような狭窄部14が形成されることにより、以下のような効果が得られる。がん細胞の種類によっては、形状に柔軟性を有するものがある。図7に示すように、細胞分散液が通過する際に、変形して通過しようとするがん細胞gに対して、狭窄部14が形成されていることにより、当該がん細胞gの通過を困難にすることができる。これにより、がん細胞gを捕捉する等の物理的作用を高めることができる。また、図7に示すように、狭窄部14が形成されていることにより、変形して通過しようとするがん細胞gにおけるスリット部材の表面との接触面積をより大きくすることができる。これにより、たとえば、狭窄面114に生理活性物質が固定されている場合に、がん細胞に対してより確実に生理活性作用を与えることができる。また、狭窄部14を形成すると、テーパー部12の第2面102側における形状の薄い部分が減少する。そのためスリット部材の機械的強度を高めることができる。
狭窄部14の幅は、スリット部材の厚みt方向において変化させることができる。たとえば、狭窄部14は、細胞分散液に含まれる細胞の大きさに対応させて、幅を多段階に設定することができる。
図8は、狭窄部14が多段階の幅を有する場合のスリット部材の断面の模式図である。狭窄部14は、図8に示すように、第1面101側の第1領域14aと、第2面102側の第2領域14bとを有することができる。そして、第2領域14bの幅は、第1領域14aの幅よりも小さく、免疫細胞の平均直径よりも小さくなっている。
一般に、免疫細胞の平均的な直径は、20μm以下といわれている。すなわち、免疫細胞である白血球のうち、顆粒球については、好中球が12μm以上15μm以下、好酸球が13μm以上20μm以下、好塩基球が10μm以上16μm以下、単球(マクロファージ、樹状細胞)については、15μm以上20μm以下、リンパ球(T細胞、サプレッサーT細胞、B細胞、NK細胞、NKT細胞)については、7μm以上10μm以下といわれている。
たとえば、狭窄部14に、第1領域14aおよび第2領域14bを形成し、第2領域14bの幅を免疫細胞の平均直径よりも小さくすることができる。たとえば、狭窄部14の幅を多段階に設定する場合、第1領域14aの幅をテーパー部12の第2面102側の端における幅Wteとし、第2領域14bの幅を、7μm以上20μm以下とすることができる。
このようにすると、第2領域14bは、免疫細胞よりも狭い幅を有する。そのため、細胞分散液に免疫細胞が含まれる場合、免疫細胞は、第2領域14bにおいて、狭窄面114に高い頻度で接触することができる。そして、たとえば、狭窄面114に生理活性物質が固定されている場合に、免疫細胞に対して効率的に生理活性作用を与えることができる。また、このように狭窄部14の幅を多段階とすることによって、細胞分散液中の複数種の細胞に対して、一度の通過によって、複数の作用を及ぼすことができる。たとえば、第1領域14aによりがん細胞を捕捉するとともに、第2領域14bにより免疫細胞に化学的作用、生理活性作用等を効率よく与えるようにすることができる。
貫通孔10は、逆テーパー部16を有することができる。図9および図10は、貫通孔10が逆テーパー部16を有する場合のスリット部材の断面の模式図である。
逆テーパー部16は、テーパー部12の第2面102側の端、または狭窄部14の第2面102側の端に連続して形成される。逆テーパー部16は、貫通孔10のうちの、スリット部材の第2面102側の位置に形成される。逆テーパー部16を形成するスリット部材の表面は、以下、逆テーパー面116と呼ぶことがある。逆テーパー面116は、テーパー面112または狭窄面114と連続している。逆テーパー面116は、スリット部材の第2面102と接続していてもよい。図9の例では、逆テーパー部16は、テーパー部12の第2面102側の端とスリット部材の第2面102とを接続している。図10の例では、逆テーパー部16は、狭窄部14の第2面102側の端とスリット部材の第2面102とを接続している。
逆テーパー部16のスリット部材の厚みt方向における大きさ(深さdc)は、限定されない。スリット部材の厚みtに対する逆テーパー部16の深さdcは、0%以上99%以下とすることができる。図9の例では、逆テーパー部16の深さdcは、スリット部材の厚みtの約50%となっている。同図では、テーパー部12の深さdtは、スリット部材の厚みtの約50%となっている。また、図10の例では、逆テーパー部16の深さdcは、スリット部材の厚みtの約3分の1となっている。同図では、テーパー部12の深さdtは、スリット部材の厚みtの約3分の1となっており、残りの約3分の1は、狭窄部14となっている。
逆テーパー部16の幅は、第1面101側から第2面102に向かって増大する。逆テーパー部16の幅は、図9および図10の例では、第1面101側から第2面102に向かって単調に増大している。逆テーパー部16の幅の増大の程度、すなわち、第1面101および第2面102に対する逆テーパー面116の傾きは限定されない。また、図9および図10の例では、逆テーパー面116の断面は、直線状となっているが、折れ線や曲線であってもよい。
逆テーパー部16は、第1面側において狭窄部14またはテーパー部12に接続する。そのため、逆テーパー部16の幅は、第1面101側の端においてがん細胞の平均直径よりも小さくなっている。逆テーパー部16の第1面102側の端以外の部分の幅は、第1面101側から第2面102に向かって増大するかぎり限定されない。図9および図10の例では、逆テーパー部16の第1面101側の端における幅は、テーパー部12の第2面102側の端の幅Wteと等しくなっており、がん細胞よりも小さくなっている。
このような逆テーパー部16が形成されることにより、以下のような効果が得られる。図11には、貫通孔10が逆テーパー部16を有さない場合における細胞分散液の流動状態を模式的に示す矢印が描かれている。また、図9には、貫通孔10が逆テーパー部16を有する場合における、細胞分散液の流動状態を模式的に示す矢印が描かれている。貫通孔10が逆テーパー部16を有さない場合は、図11に示すように、スリット部材の第2面102側に図示したような細胞分散液の渦(渦流)が生じる場合がある。このような渦が生じると、細胞分散液が滞留する場合がある。滞留が生じると、細胞分散液が血液である場合などに、滞留した部分で血液の凝固等が生じたり血栓が生じることがある。貫通孔10が逆テーパー部16を有すると、図9に示すように、細胞分散液の渦等を抑制し、流動状態を安定させることができる。したがって、細胞分散液が血液である場合などに、滞留による血液の凝固等を抑制することができる。
貫通孔10は、テーパー部12に凹凸を有することができる。すなわち、スリット部材のテーパー面112には、溝12aを形成することができる。溝12aの個数、深さ、形状および配置は、いずれも特に限定されず、たとえば、ストライプ状、格子状、斑点状とすることができる。図12および図13は、テーパー面112に溝12aが形成されたスリット部材の要部を模式的に示す斜視図である。図12および図13に示した例では、テーパー面112に複数の溝12aがストライプ状に形成されている。図12の例では、溝12aは、貫通孔10が延びる方向に平行に形成されている。図13の例では、貫通孔10が延びる方向に交差する方向に延びる溝12aが形成されている。また、図示はしないが、溝12aは、貫通孔10が延びる方向に平行なものと貫通孔10が延びる方向に交差する方向に延びるものの両方が形成されてもよい。
テーパー面112に溝12aが形成されると、テーパー面112の表面積を大きくすることができる。これにより、細胞分散液中の細胞はテーパー面112に接触する機会を増やすことができる。また、テーパー面112に溝12aが形成されると、細胞分散液の流動状態を変化させることができる。たとえば、細胞分散液がテーパー部12を通過するときに、溝12aが無い場合には、流動の乱れの少ない層流に類似した状態で通過する場合がある。溝12aが形成されることにより、細胞分散液がテーパー部12を通過するときに、流動の乱れを生じさせることができ、細胞分散液の流動を、より乱流化することができる。これにより、テーパー部12を通過する細胞をテーパー面112により接触させやすくすることができる。したがって、たとえば、テーパー部12に薬剤や生理活性物質を固定した場合に、細胞分散液中の細胞に対して、化学的作用、生理活性作用等を与えやすくすることができる。
1.3.4.表面修飾
本実施形態の細胞処理デバイスは、貫通孔10のテーパー部12の第2面102側の端の幅が、細胞分散液中のがん細胞の平均直径よりも小さく形成されている。そのため、当該がん細胞は、細胞分散液が細胞処理デバイスを通過する際、テーパー部12の第2面102側の端を形成するスリット部材の表面に接触する。したがって、少なくともテーパー部12の第2面102側の端を形成するスリット部材の表面に、がん細胞に作用する化学物質および生理活性物質の少なくとも一方を固定しておくことによって、細胞分散液中のがん細胞に対して、化学的作用および生理活性作用の少なくとも一方を極めて効率的に付与することができる。
また、細胞処理デバイスを形成するスリット部材に以外の部位についても細胞分散液が接触する。このような部位においても、化学物質および生理活性物質の少なくとも一方を固定しておくことによって、細胞分散液中の細胞に対して、化学的作用および生理活性作用の少なくとも一方を付与することができる。また、以下に述べる表面修飾は、複数を組み合わせることによって、相乗的な効果が得られる場合がある。
1.3.4.1.サイトカイン類
スリット部材の表面には、サイトカイン類を固定することができる。サイトカイン類は、細胞間の情報伝達を担う物質である。サイトカイン類が伝達する情報としては、たとえば、細胞に、壊死、成長、増殖、活性化、タンパク質合成促進、成長抑制などの生理活性作用を起こさせる情報が挙げられる。サイトカイン類の分類としては、サイトカイン類が伝達する情報を受けた細胞に生じる機能的な変化に基づくものがある。たとえば、アポトーシス因子は、がん細胞をアポトーシス(アポトーシス誘導活性)させ、免疫細胞活性化因子は、免疫細胞を活性化する情報を有するサイトカイン類である。本明細書では、サイトカイン類を、単にアポトーシス因子、免疫細胞活性化因子などということがある。また、サイトカイン類には、特定の細胞に特異的に作用するものと細胞の種類に依らずに非特異的に作用するものとがある。
アポトーシス因子の具体例としては、腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor)(TNF−α、TNF−γなど)、TRAIL、FasL、リンホトキシン、非環式レチノイド、ビクニン、パラスポリン、マイトマイシン、タキソール、アディポネクチンなどを例示することができる。
細胞活性化因子の具体例としては、インターロイキン2(IL−2)、インターロイキン12(IL−12)、インターフェロン(IFN)、TNFなどを例示することができる。これらの免疫細胞活性化因子に免疫細胞が接触すると、たとえばT細胞やNK細胞が活性化されることができる。
スリット部材の表面に、サイトカイン類を固定する方法としては、たとえば、自己組織化単分子膜(SAM)をスリット部材の表面に形成し、該SAMにサイトカイン類を吸着または結合させる方法、スリット部材の表面に直接サイトカイン類を吸着または結合させる方法、サイトカイン類を側鎖等に有する高分子を合成して、該高分子をスリット部材に塗布する方法などが挙げられる。
これらのうち、SAMにサイトカイン類を吸着または結合させる方法によれば、サイトカイン類をむら無く、または規則正しく配置して固定することができる。そのため、スリット部材の表面に高密度にサイトカイン類を固定することができる。
SAMを形成する化合物の例としては、チオール類、ジスルフィド類、アルコキシシラン類、アルキルシラン類、ハロゲン化シラン類等が挙げられる。このような化合物をスリット部材の表面に適宜結合させることにより、SAMを形成することができる。その際、スリット部材には、さらに表面処理等が施されてもよい。たとえば、スリット部材の所望の位置の表面に金コートを施すと、チオール類によって容易にSAMを形成することができる。
また、サイトカイン類を側鎖等に有するサイトカイン類変性高分子をスリット部材に塗布する方法によれば、サイトカイン類の分子の運動の自由度(ゆらぎ)を高めることができる。たとえば、スリット部材の表面に塗布されたサイトカイン類変性高分子は、サイトカイン類の分子が結合された側鎖を表出させることができる。このような側鎖、および側鎖が結合されている主鎖は、運動性を有するため、サイトカイン類が直接に金属等に固定された場合に比較して、サイトカイン類の分子の運動に自由度を付与することができる。そのため、サイトカイン類の分子は、一定の空間的範囲内で運動することができる。これにより、サイトカイン類と、がん細胞との接触機会を増大させることができる。また、このような高分子は基材の表面に直接塗布することができるため、表面修飾が容易である。また、このような高分子の塗布手段として、インクジェットプリンターを用いれば、任意に選択した微小領域への塗布が可能となる。
スリット部材の表面にサイトカイン類が固定されることにより、スリット部材の当該表面に接触した細胞に生理活性作用を与えることができる。サイトカイン類は、スリット部材に固定されているため、細胞分散液中に混入することが抑制される。そして、サイトカイン類によって化学的作用または生理活性作用を受けた細胞がスリット部材の表面を去った後、再び他の細胞が接触したときに、該他の細胞に対して同様の作用を与えることができる。これにより、少量のサイトカイン類によって、多数の細胞に対して化学的作用または生理活性作用を与えることができる。
スリット部材において、サイトカイン類が固定される位置は、特に限定されないが、サイトカイン類は、テーパー部12の第2面102側の端を形成するスリット部材の表面に固定されることにより、より顕著な効果を奏することができる。また、貫通孔10が狭窄部12を有する場合は、狭窄面112にサイトカイン類を固定することによって、より顕著な効果を得ることができる。たとえば、がん細胞のアポトーシス因子は、狭窄面114に固定されることによって、がん細胞に確実に接触することができ、しかも比較的長時間接触することができる(図7参照)。これにより、より確実にがん細胞を死滅させることができる。
また、免疫細胞活性化因子は、狭窄面114に固定されることによって、免疫細胞に高い確率で接触することができる。これにより、免疫細胞を効率よく活性化させることができる。さらに、免疫細胞活性化因子は、上述のような多段階の幅を有する狭窄部14である場合、第2領域14bに固定されることによって、免疫細胞に確実に接触することができる。これにより、免疫細胞を極めて効率よく活性化させることができる。
1.3.4.2.抗体
スリット部材の表面には、抗体を固定することができる。抗体の機能としては、抗原と結合することが挙げられる。抗体としては、細胞分散液中のがん細胞のがん抗原(糖鎖、ペプチドなど)に特異的に結合する抗体を用いることができる。
抗体は、がんの種類に応じて、そのがん抗原にだけ特別に結合する抗体を適宜選択することができる。そのような抗体として、例えば、乳がんに対して使われる抗HER2/neu、大腸がんに対して使われるNS19−9抗体、悪性B腫瘍に対して使われる抗CD25抗体、前立腺がんに対して使われるCD49、CD54、CD59等が挙げられる。また、固定する抗体は、上皮がん共通のがん抗原に結合する抗体を選択してもよい。そのような抗体としては、たとえば、Ep−CAM抗体、N−カドヘリン抗体等が挙げられる。
スリット部材の表面に、抗体を固定する方法としては、「1.3.4.1.サイトカイン類」の項で述べたサイトカイン類を固定する方法と同様に行うことができる。
SAMに抗体を吸着または結合させる方法によれば、抗体をむら無く、または規則正しく配置して固定することができる。そのため、スリット部材の表面に高密度に抗体を固定することができる。
また、抗体を側鎖等に有する抗体変性高分子をスリット部材に塗布する方法によれば、抗体の分子の運動の自由度(ゆらぎ)を高めることができる。たとえば、スリット部材の表面に塗布された抗体変性高分子は、抗体の分子が結合された側鎖を表出させることができる。このような側鎖、および側鎖が結合されている主鎖は、運動性を有するため、抗体が直接に金属等に固定された場合に比較して、抗体の分子の運動に自由度を付与することができる。そのため、抗体の分子は、一定の空間的範囲内で運動することができる。これにより、抗体と、がん細胞との接触機会を増大させることができる。
スリット部材の表面にEp−CAM抗体を固定する方法を一例として以下に記す。
スリット部材の表面には必要に応じて活性化処理(たとえばプラズマ処理)を施しておく。まず、生理食塩水緩衝液(シグマアルドリッチ社製)に、1−エチル−3−[3−ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド塩酸塩(EDC)、N−ヒドロキシル−スクシンイミド(NHS)、および2−(4−モルフォリン)−エタンスルホン酸(MES)pH=6(Fisher Biotec社製)を加えて中間体形成溶液を調製する。
次に、スリット部材を中間体形成溶液に浸漬して1時間程度反応させ、スリット部材の表面に、スクシンイミドエステル中間体を生成させる。
次いで、中間体形成溶液を、抗EpCAMモノクローナル抗体(R&Dシステムズ社製)、PBS pH=7.4(シグマアルドリッチ社製)によって流体力学的に置換し、反応のため4時間放置した後、PBS溶液にて非特異吸着した抗EpCAM抗体を洗い流す。たとえば上記のようにして、基材の表面にEp−CAM抗体を固定することができる。
スリット部材の表面に抗体が固定されることにより、がん細胞のがん抗原と結合し、少なくともスリット部材表面にがん細胞を留まらせることができる。したがって、スリット部材の表面に抗体が固定されることにより、がん細胞が細胞処理デバイス内を通過する速度を低下させるという物理的作用を少なくとも与えることができる。また、抗体は、スリット部材に固定されているため、細胞分散液中に混入することが抑制される。そして、抗体によって流速の低下したがん細胞がスリット部材の表面を去った後に、再び他のがん細胞が接触すれば該他の細胞に対して同様の作用を与えることができる。これにより、少量の抗体によって、多数のがん細胞に物理的作用等を及ぼすことができる。
スリット部材において、抗体が固定される位置は、特に限定されないが、抗体は、テーパー面112に固定されることにより、次のようなより優れた効果が得られる。テーパー面112には、捕捉されたがん細胞が接触するが、テーパー面112に抗体が固定されていると、がん細胞を捕捉する作用をさらに強くすることができる。また、狭窄面114にアポトーシス因子等が固定されている場合、テーパー面112に抗体が固定されていると、がん細胞をアポトーシス因子に、より長期間接触させることができる(図7参照)。これにより、がん細胞を死滅させる効果をさらに高めることができる。
なお、抗体の固定される位置とアポトーシス因子の固定される位置は、上述した例では、別の位置として説明したが、同一の位置に両者が固定されていてもよい。このようにすれば、たとえば、抗体によってがん細胞を停留した状態でアポトーシス因子を当該がん細胞に接触させることができる。これにより、がん細胞にアポトーシスを生じさせる効果を高めることができる。
1.3.4.3.リガンド
スリット部材の表面には、リガンドを固定することができる。リガンドの機能としては、がん細胞が有するレセプターと結合することが挙げられる。リガンドとしては、細胞分散液中のがん細胞が有するレセプターに特異的に結合するものを用いることができる。
リガンドの具体例としては、葉酸などのビタミン類、ガラクトースなどの糖類、トランスフェリン−Feなどの高分子化合物、およびそれらの誘導体などを例示することができる。特に細胞分散液が循環がん細胞を含む場合、循環がん細胞の表面には、葉酸レセプターが高い頻度で発現しているため、リガンドとしては、葉酸を用いることがより好ましい。また、葉酸は低分子のリガンドであるため、スリット部材の表面により密に固定することができるため、葉酸レセプターとの接触機会を高めることができる。
スリット部材の表面に、リガンドを固定する方法としては、「1.3.4.1.サイトカイン類」の項で述べたサイトカイン類を固定する方法と同様に行うことができる。
SAMに抗体を吸着または結合させる方法によれば、リガンドをむら無く、または規則正しく配置して固定することができる。そのため、スリット部材の表面に高密度にリガンドを固定することができる。
また、リガンドを側鎖等に有するリガンド変性高分子をスリット部材に塗布する方法によれば、リガンドの分子の運動の自由度(ゆらぎ)を高めることができる。たとえば、スリット部材の表面に塗布されたリガンド変性高分子は、リガンドの分子が結合された側鎖を表出させることができる。このような側鎖、および側鎖が結合されている主鎖は、運動性を有するため、リガンドが直接に金属等に固定された場合に比較して、リガンドの分子の運動に自由度を付与することができる。そのため、リガンドの分子は、一定の空間的範囲内で運動することができる。これにより、リガンドと、がん細胞との接触機会を増大させることができる。
スリット部材の表面にリガンドが固定されることにより、得られる効果としては、スリット部材表面にがん細胞を留まらせることが挙げられる。したがって、がん細胞が細胞処理デバイス内を通過する速度を低下させるという物理的作用を少なくとも与えることができる。また、リガンドは、低分子のものを選択することができる。低分子のリガンドを固定した場合には、スリット部材の表面におけるリガンドの密度を高めることができるため、がん細胞を捕捉する作用を高めることができる。
スリット部材において、リガンドが固定される位置は、特に限定されないが、リガンドは、テーパー面112に固定されることにより、次のようなより優れた効果が得られる。テーパー面112には、捕捉されたがん細胞が付着するが、テーパー面112にリガンドが固定されていると、がん細胞を捕捉する作用をさらに強くすることができる。また、狭窄面114にアポトーシス因子等が固定されている場合、テーパー面112にリガンドが固定されていると、がん細胞をアポトーシス因子により長期間接触させることができる。これにより、がん細胞を死滅させる効果をさらに高めることができる。
1.3.4.4.その他
スリット部材の表面には、さらに、ペプチド、糖鎖、アプタマーなどを固定することができる。これらの化合物の機能の一つとしては、たとえば、スリット部材の表面にこれらの化合物が固定されることにより、スリット部材表面にがん細胞を留まらせることが挙げられる。したがって、少なくともがん細胞が細胞処理デバイス内を通過する速度を低下させるという物理的作用を与えることができる。これらの分子が塗布される位置についても、上述の例と同様に目的に応じて適宜選択することができる。
以上述べた貫通孔10の変形態様、表面修飾の態様は、単独または複数を本実施形態の細胞処理デバイスに適用することができる。また、複数の変形を組み合わせて、細胞処理デバイスに適用する場合には、それぞれの変形態様による効果に加えて、相乗的な効果が得られる組み合わせがある。すなわち、貫通孔10の幅と、表面修飾の機能を適宜選択することによって、目的の細胞に対して、所望の作用を効率的に及ぼすことが可能である。
1.4.流路形成部材
本実施形態の細胞処理デバイスは、上述のスリット部材を有するが、スリット部材の第1面101側から第2面102側に細胞分散液を通過させるための流路が形成されている。このような流路の形状、および流路を形成するための構成などは、何ら限定されない。以下には、流路形成部材を用いて流路を形成する例を、細胞処理デバイスが平板状のスリット部材100を含む場合、および円筒状のスリット部材200を含む場合について述べる。
細胞処理デバイス1000は、平板状のスリット部材100と、流路形成部材300とを含む。図14は、本実施形態の細胞処理デバイスの一例である細胞処理デバイス1000を模式的に示す平面図である。図15および図16は、細胞処理デバイス1000の断面の模式図である。図15および図16は、それぞれ図14のA−A線、およびB−B線の断面に相当する。
細胞処理デバイス1000は、流路形成部材300を有し、流路形成部材300の内側にスリット部材100が設けられている。流路形成部材300は、細胞分散液を流通させる流路を形成している。流路形成部材300は、細胞分散液を注入する注入口320および細胞分散液を排出する排出口340を有する。細胞処理デバイス1000は、細胞分散液を注入口320から排出口340に通過させることができる。
注入口320は、一次側流路322に連通している。排出口340は、二次側流路342に連通している。スリット部材100は、一次側流路322と二次側流路342の間に設けられる。したがって、注入口320から注入された細胞分散液は、スリット部材100を通過して排出口340まで導かれることができる。
スリット部材100は、一次側流路322に第1面101が面し、二次側流路342に第2面102が面するように設けられる。したがって、細胞分散液は、細胞処理デバイス1000を通過するときに、スリット部材100を、第1面101側から第2面102側に向かって通過することができる。
流路形成部材300、注入口320、排出口340の形状および大きさは、上記の機能を有する限り特に限定されない。流路形成部材300の材質についても限定されない。流路形成部材300の材質としては、「1.3.1.スリット部材」の項で述べたスリット部材と同様のものを選択することができ、生体適合性の良好な材質であることがより好ましい。流路形成部材300が生体適合性を有する材質で形成されると、たとえば、細胞分散液中の正常細胞の損傷を抑えることができ、また、細胞分散液に免疫細胞が含まれる場合には、該免疫細胞等によって異物として認識されにくくすることができる。さらに、細胞分散液が血液である場合は、流路形成部材300に生体適合性材料を選択すると、血液凝固作用を抑制することができる。流路形成部材を生体適合性の小さい材質で形成した場合は、表面に生体適合性の材料のコーティングを施すこともできる。このようなコーティングとしては、親水性、撥水性、およびブロッキング性から選択される少なくとも一種の機能を有するコーティングが挙げられる。
平板状のスリット部材100を含む細胞処理デバイスは、次のような変形が可能である。図17および図18は、変形例の細胞処理デバイス1010の断面の模式図である。細胞処理デバイス1010は、2つのスリット部材100を有し、2つのスリット部材100は、互いに第1面101が対向するように配置されている。細胞処理デバイス1010は、流路形成部材350を有する。流路形成部材350は、細胞分散液を流通させる流路を形成している。流路形成部材350は、細胞分散液を注入する注入口320および細胞分散液を排出する排出口340を有する。細胞処理デバイス1010は、細胞分散液を注入口320から排出口340に通過させることができる。
注入口320は、一次側流路322に連通している。排出口340は、二次側流路342に連通している。スリット部材100は、一次側流路322と二次側流路342の間に設けられる。したがって、注入口320から注入された細胞分散液は、スリット部材100を通過して排出口340まで導かれることができる。
細胞処理デバイス1010においては、2つのスリット部材100は、いずれも一次側流路322に第1面101が面し、二次側流路342に第2面102が面するように設けられている。したがって、細胞分散液は、細胞処理デバイス1010を通過するときに、いずれのスリット部材100についても、第1面101側から第2面102側に向かって通過することができる。
流路形成部材350、注入口320、排出口340の形状および大きさは、上記の機能を有する限り特に限定されない。流路形成部材370の材質については、上述の流路形成部材300と同様とすることができる。
このような細胞処理デバイス1010は、細胞分散液を2つのスリット部材100の第1面101側に、同時に供給することができる。これにより、細胞処理デバイス1010は、さらに小型化されることができる。
なお、細胞処理デバイス1000および細胞処理デバイス1010の例では、スリット部材100は、平面視において、注入口320から排出口340に向かう方向に対して平行な方向に貫通孔10が延びるように配置されている。貫通孔10が延びる方向の配置は、限定されず、たとえば、平面視において、注入口320から排出口340に向かう方向に対して交差する方向に貫通孔10が延びるように配置されてもよい。また、スリット部材100の配置は、圧力差や圧力損失を考慮して配置することもできる。
細胞処理デバイス2000は、円筒状のスリット部材200と、流路形成部材370とを含む。図19は、本実施形態の細胞処理デバイスの一例である細胞処理デバイス2000を模式的に示す平面図である。図20および図21は、細胞処理デバイス2000の断面の模式図である。図20および図21は、それぞれ図19のA−A線、およびB−B線の断面に相当する。
細胞処理デバイス2000は、流路形成部材370を有し、流路形成部材370の内側にスリット部材200が設けられている。流路形成部材370は、細胞分散液を流通する流路を形成している。流路形成部材370は、細胞分散液を注入する注入口320および細胞分散液を排出する排出口340を有する。細胞処理デバイス2000は、細胞分散液を注入口320から排出口340に通過させることができる。
注入口320は、一次側流路322に連通している。排出口340は、二次側流路342に連通している。スリット部材200は、一次側流路322と二次側流路342の間に設けられる。したがって、注入口320から注入された細胞分散液は、スリット部材200を通過して排出口340まで導かれることができる。
スリット部材200は、一次側流路322に第1面101が面し、二次側流路342に第2面102が面するように設けられる。したがって、細胞分散液は、細胞処理デバイス2000を通過するときに、スリット部材200を、第1面101側から第2面102側に向かって通過することができる。
流路形成部材370、注入口320、排出口340の形状および大きさは、上記の機能を有する限り特に限定されない。流路形成部材370の材質については、上述の流路形成部材300と同様とすることができる。なお、図19〜図21は、スリット部材200の円筒の内面が第1面101である場合を例示しているが、スリット部材200の円筒の外面が第1面101であってもよい。その場合は、注入口および排出口を入れ替えることができる。これにより、細胞分散液は、細胞処理デバイス2000を通過するときに、スリット部材200を、第1面101側から第2面102側に向かって通過することができる。さらに、図示はしないが、細胞処理デバイス2000は、2つのスリット部材200を含んでもよい。その場合は上記の細胞処理デバイス1010の場合と概念的に同様に、流路形成部材を変形して、2つのスリット部材200の第1面側から第2面側に細胞分散液を通過させるようにすることができる。
2.細胞処理カートリッジ
本実施形態にかかる細胞処理カートリッジは、上述した細胞処理デバイスを用い、これを複数組み合わせて1つのカートリッジとしたものである。細胞処理デバイスの組み合わせは任意である。また、複数の細胞処理デバイスは、細胞処理カートリッジ内で直列、並列、または直列と並列を組み合わせた配列を有することができる。
このような細胞処理カートリッジは、がん細胞および免疫細胞の少なくとも一方を含む細胞分散液を通過させて、前記がん細胞および前記免疫細胞の少なくとも一方に、物理的作用、化学的作用および生理活性作用の少なくとも一種を付与することができる。
複数の細胞処理デバイスを直列に配置した細胞処理カートリッジは、細胞処理デバイスごとに処理する細胞の種類を変えることができる。そのため、細胞分散液を一回通過させることによって、複数の処理を行うことができる。また、複数の細胞処理デバイスを並列に配置した細胞処理カートリッジは、たとえば、処理する細胞分散液の量および流量を増大させることができる。
本実施形態にかかる細胞処理カートリッジは、細胞処理デバイスの運搬を容易化にすることができる。また、細胞処理カートリッジは、たとえば、次項で述べる体液処理システムに用いることができ、交換等の作業を容易化することができる。
3.体液処理システム
本実施形態にかかる体液処理システム10000は、上述の細胞処理デバイスまたは細胞処理カートリッジを備えたものである。図22は、本実施形態にかかる体液処理システム10000を模式的に示す概念図である。本実施形態にかかる体液処理システム10000は、生体から体液を採取した後、上記の細胞処理デバイスまたは細胞処理カートリッジを通過させることにより、がん細胞や免疫細胞に物理的作用、化学的作用、および生理活性作用の少なくとも一種を付与し、生体に戻す体外循環系システムである。なお、細胞処理デバイスまたは細胞処理カートリッジによる細胞分散液の処理においては、特殊な薬剤や化合物を細胞分散液に添加することがない。そのため、これらを通過した体液の毒性は十分に小さくすることができ、生体に戻す場合の安全性を確保することができる。
以下の説明では、体液処理システム10000が、細胞処理デバイス1000を有する場合について説明する。本実施形態にかかる体液処理システム10000は、圧力モニター3000やポンプ4000を備えておくとよい。圧力モニター3000によって体液の状態を観察しながら、ポンプ4000により体液の流量を調整することができる。圧力モニター3000やポンプ4000は、一般的に人工透析で使用されているものと同様のものを使用することができる。また、体液がチューブ内で凝固することを防ぐため、適宜抗凝固剤5000を添加することもできる。
本実施形態にかかる体液処理システム10000は、細胞処理デバイス1000の前後にがん細胞の数や種類を特定するためのモニター(以下、「がん細胞モニター」という。)6000を備えておくとよい。細胞処理デバイス1000の前に設置されたがん細胞モニター6000は、細胞処理デバイス1000を通過する前の体液の状態を記録しておくためのものである。細胞処理デバイス1000の後に設置されたがん細胞モニター6000は、がん細胞が十分に除去されているか否か、細胞処理デバイス1000のがん細胞除去能力の劣化状態等を確認するためのものである。がん細胞モニター6000は、細胞処理デバイス1000の前後に設置しておくと、がん細胞が適切に除去されているか否かについて前後のがん細胞モニター結果を比較することで正確に評価することができ最も望ましいが、少なくとも細胞処理デバイス1000の前には設置しておくことが望ましい。
がん細胞をモニターする手段としては、特に制限されず、公知技術を使用することができる。例えば、流路中のがん細胞の数を抗体で捕捉してモニターする方法(米国特許第6103479号明細書)、流路中のがん細胞を磁気ビーズ等で捕捉してモニターする方法(特許第3834326号公報)、電気的なインピーダンスでモニターする方法、光学的にがん細胞か否かを判断する方法(米国特許第6821484号明細書、米国特許第6143535号明細書)、循環がん細胞検査機器(米国Veridex LLC社製)等の公知技術が挙げられる。がん細胞モニター結果から、デバイスの適正な数や、アポトーシス因子等の処理の必要性等を判断することができる。
たとえば、上述した細胞処理デバイスまたは細胞処理カートリッジを適用すれば、体液のがん細胞の存在率を転移可能性のない濃度以下にまで低減させることができる。危険ながん細胞を含有する使用済みの細胞処理デバイス1000は、体外循環系システムの経路から切り離すことができるため、そのまま廃棄することができる。このように使用済みの細胞処理デバイス1000を廃棄することで、除去したがん細胞が体外循環系システムの経路に混入して生体内へ戻される心配がない。また、使用済みの細胞処理デバイス1000内に捕捉されたがん細胞を調べることで治療や予防に役立てることもできる。
なお、上述の体液処理システム10000の説明では、生体から採取した体液の処理につて例示しているが、体液処理システム10000は、このような処理に限られず、たとえば、血液から血液製剤を製造する場合などに適用することができる。
本発明にかかる細胞処理デバイス、細胞処理カートリッジ、および体液処理システムの適用対象としては、がん細胞、免疫細胞に限られず、細菌等の微生物全般に対して適用できることは容易に理解されよう。また、本実施形態の細胞処理デバイスは、ウイルス、たんぱく質、低分子〜高分子、コロイド粒子、アレルギー物質(花粉等)および有害物質等を分離または無害化するために適用することもできる。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。たとえば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(たとえば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
10…貫通孔、12…テーパー部、12a…溝、14…狭窄部、14a…第1領域、
14b…第2領域、16…逆テーパー部、100,200…スリット部材、
101…第1面、102…第2面、112…テーパー面、114…狭窄面、
116…逆テーパー面、300,350,370…流路形成部材、320…注入口、
322…一次側流路、340…排出口、342…二次側流路、
1000,2000…細胞処理デバイス、3000…圧力モニター、4000…ポンプ、
5000…抗凝固剤、6000…がん細胞モニター、10000…体液処理システム

Claims (17)

  1. がん細胞を含む細胞分散液を通過させて、少なくとも前記がん細胞に、物理的作用、化学的作用および生理活性作用の少なくとも一種を付与するデバイスであって、
    第1面および第2面を有し、前記第1面から前記第2面に貫通し一方向に沿って延びるスリット形状を有する貫通孔が形成された、スリット部材を含み、
    前記貫通孔は、テーパー部を有し、
    前記テーパー部の前記一方向に直交する断面における幅は、前記第1面から前記第2面側に向かって減少し、前記第2面側の端において前記がん細胞の平均直径よりも小さくなっており、
    前記貫通孔は、さらに、狭窄部を有し、
    前記狭窄部は、前記テーパー部の前記第2面側の端に連続し、
    前記狭窄部の前記幅は、前記テーパー部の前記第2面側の端における前記幅以下であり、
    前記細胞分散液は、前記第1面側から前記貫通孔を通って前記第2面側に通過される、細胞処理デバイス。
  2. 請求項1において、
    前記第1面および前記第2面は、互いに平行である、細胞処理デバイス。
  3. 請求項1において、
    前記第1面および前記第2面は、一軸を中心軸とする円筒面である、細胞処理デバイス。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか一項において、
    前記細胞分散液は、さらに免疫細胞を含み、
    前記狭窄部は、前記第1面側の第1領域と、前記第2面側の第2領域とを有し、
    前記第2領域の幅は、前記免疫細胞の平均直径よりも小さい、細胞処理デバイス。
  5. 請求項4において、
    前記第2領域を形成している前記スリット部材の表面に、前記免疫細胞に特異的に作用する免疫細胞活性化因子が固定されている、細胞処理デバイス。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか一項において、
    前記狭窄部を形成する前記スリット部材の表面に、前記がん細胞に作用するサイトカイン類が固定されている、細胞処理デバイス。
  7. 請求項6において、
    前記サイトカイン類は、アポトーシス誘導活性化因子である、細胞処理デバイス。
  8. がん細胞を含む細胞分散液を通過させて、少なくとも前記がん細胞に、物理的作用、化学的作用および生理活性作用の少なくとも一種を付与するデバイスであって、
    第1面および第2面を有し、前記第1面から前記第2面に貫通し一方向に沿って延びるスリット形状を有する貫通孔が形成された、スリット部材を含み、
    前記貫通孔は、テーパー部を有し、
    前記テーパー部の前記一方向に直交する断面における幅は、前記第1面から前記第2面側に向かって減少し、前記第2面側の端において前記がん細胞の平均直径よりも小さくなっており、
    前記貫通孔は、さらに、逆テーパー部を有し、
    前記逆テーパー部は、前記テーパー部の前記第2面側の端に連続し、
    前記逆テーパー部の前記幅は、前記第1面側から前記第2面に向かって増大しており、
    前記細胞分散液は、前記第1面側から前記貫通孔を通って前記第2面側に通過される、細胞処理デバイス。
  9. 請求項1ないし請求項8のいずれか一項において、
    前記テーパー部を形成する前記スリット部材の表面に、前記がん細胞に特異的に作用する抗体が固定されている、細胞処理デバイス。
  10. 請求項1ないし請求項9のいずれか一項において、
    前記テーパー部を形成している前記スリット部材の表面は、溝を有する、細胞処理デバイス。
  11. 請求項1ないし請求項10のいずれか一項において、
    前記スリット部材の表面に、親水性、撥水性、およびブロッキング性から選択される少なくとも一種の機能を有するコーティングが施された、細胞処理デバイス。
  12. 請求項1ないし請求項11のいずれか一項において、
    前記スリット部材には、互いに平行な複数の前記貫通孔が形成された、細胞処理デバイス。
  13. 請求項1ないし請求項12のいずれか一項において、
    2つの前記スリット部材を有し、
    2つの前記スリット部材は、互いに前記第1面が対向するように配置されている、細胞処理デバイス。
  14. がん細胞を含む細胞分散液を通過させて、少なくとも前記がん細胞に、物理的作用、化学的作用および生理活性作用の少なくとも一種を付与するカートリッジであって、
    第1面および第2面を有し、前記第1面から前記第2面に貫通し一方向に沿って延びるスリット形状を有する貫通孔が形成された、スリット部材を含み、
    前記貫通孔は、テーパー部を有し、
    前記テーパー部の前記一方向に直交する断面における幅は、前記第1面から前記第2面側に向かって減少し、前記第2面側の端において前記がん細胞の平均直径よりも小さくなっており、
    前記貫通孔は、さらに、狭窄部を有し、
    前記狭窄部は、前記テーパー部の前記第2面側の端に連続し、
    前記狭窄部の前記幅は、前記テーパー部の前記第2面側の端における前記幅以下であり、
    前記細胞分散液は、前記第1面側から前記貫通孔を通って前記第2面側に通過される、細胞処理カートリッジ。
  15. がん細胞を含む細胞分散液を通過させて、少なくとも前記がん細胞に、物理的作用、化学的作用および生理活性作用の少なくとも一種を付与するカートリッジであって、
    第1面および第2面を有し、前記第1面から前記第2面に貫通し一方向に沿って延びるスリット形状を有する貫通孔が形成された、スリット部材を含み、
    前記貫通孔は、テーパー部を有し、
    前記テーパー部の前記一方向に直交する断面における幅は、前記第1面から前記第2面側に向かって減少し、前記第2面側の端において前記がん細胞の平均直径よりも小さくなっており、
    前記貫通孔は、さらに、逆テーパー部を有し、
    前記逆テーパー部は、前記テーパー部の前記第2面側の端に連続し、
    前記逆テーパー部の前記幅は、前記第1面側から前記第2面に向かって増大しており、
    前記細胞分散液は、前記第1面側から前記貫通孔を通って前記第2面側に通過される、細胞処理カートリッジ。
  16. がん細胞を含む細胞分散液を通過させて、少なくとも前記がん細胞に、物理的作用、化学的作用および生理活性作用の少なくとも一種を付与するシステムであって、
    第1面および第2面を有し、前記第1面から前記第2面に貫通し一方向に沿って延びるスリット形状を有する貫通孔が形成された、スリット部材を含み、
    前記貫通孔は、テーパー部を有し、
    前記テーパー部の前記一方向に直交する断面における幅は、前記第1面から前記第2面側に向かって減少し、前記第2面側の端において前記がん細胞の平均直径よりも小さくなっており、
    前記貫通孔は、さらに、狭窄部を有し、
    前記狭窄部は、前記テーパー部の前記第2面側の端に連続し、
    前記狭窄部の前記幅は、前記テーパー部の前記第2面側の端における前記幅以下であり、
    前記細胞分散液は、前記第1面側から前記貫通孔を通って前記第2面側に通過される、細胞処理デバイスまたは細胞処理カートリッジ、を用いた、体液処理システム。
  17. がん細胞を含む細胞分散液を通過させて、少なくとも前記がん細胞に、物理的作用、化学的作用および生理活性作用の少なくとも一種を付与するシステムであって、
    第1面および第2面を有し、前記第1面から前記第2面に貫通し一方向に沿って延びるスリット形状を有する貫通孔が形成された、スリット部材を含み、
    前記貫通孔は、テーパー部を有し、
    前記テーパー部の前記一方向に直交する断面における幅は、前記第1面から前記第2面側に向かって減少し、前記第2面側の端において前記がん細胞の平均直径よりも小さくなっており、
    前記貫通孔は、さらに、逆テーパー部を有し、
    前記逆テーパー部は、前記テーパー部の前記第2面側の端に連続し、
    前記逆テーパー部の前記幅は、前記第1面側から前記第2面に向かって増大しており、
    前記細胞分散液は、前記第1面側から前記貫通孔を通って前記第2面側に通過される、細胞処理デバイスまたは細胞処理カートリッジ、を用いた、体液処理システム。
JP2009078455A 2009-03-27 2009-03-27 細胞処理デバイス、細胞処理カートリッジおよび体液処理システム Active JP4849278B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009078455A JP4849278B2 (ja) 2009-03-27 2009-03-27 細胞処理デバイス、細胞処理カートリッジおよび体液処理システム
US12/720,927 US9526823B2 (en) 2009-03-27 2010-03-10 Cell treatment device, cell treatment cartridge and body fluid treatment system

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009078455A JP4849278B2 (ja) 2009-03-27 2009-03-27 細胞処理デバイス、細胞処理カートリッジおよび体液処理システム

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009206623A Division JP5141919B2 (ja) 2009-09-08 2009-09-08 細胞処理デバイス、細胞処理カートリッジおよび体液処理システム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010227011A JP2010227011A (ja) 2010-10-14
JP4849278B2 true JP4849278B2 (ja) 2012-01-11

Family

ID=42784744

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009078455A Active JP4849278B2 (ja) 2009-03-27 2009-03-27 細胞処理デバイス、細胞処理カートリッジおよび体液処理システム

Country Status (2)

Country Link
US (1) US9526823B2 (ja)
JP (1) JP4849278B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103298546B (zh) * 2010-11-11 2015-06-24 瑞尔赛特股份有限公司 用于细胞过滤的方法和系统
US20130131423A1 (en) * 2011-04-12 2013-05-23 Tianxin Wang Methods to detect and treat diseases
JP5929915B2 (ja) * 2011-08-18 2016-06-08 コニカミノルタ株式会社 細胞平面展開デバイスおよびこれを用いた細胞展開方法
US10124336B2 (en) 2013-08-16 2018-11-13 Massachusetts Institute Of Technology Selective delivery of material to cells
JP6619271B2 (ja) 2015-03-23 2019-12-11 アークレイ株式会社 稀少細胞を分離又は検出する方法
US11596722B2 (en) 2016-07-28 2023-03-07 Captec Medical Kft. Flow capture device and method for removing cells from blood

Family Cites Families (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2662215B2 (ja) * 1986-11-19 1997-10-08 株式会社日立製作所 細胞保持装置
US20020172987A1 (en) 1998-02-12 2002-11-21 Terstappen Leon W.M.M. Methods and reagents for the rapid and efficient isolation of circulating cancer cells
CA2320418C (en) 1998-02-12 2008-06-17 Leon W.M.M. Terstappen Methods and reagents for the rapid and efficient isolation of circulating cancer cells
JP3035608B2 (ja) * 1998-07-09 2000-04-24 農林水産省食品総合研究所長 マイクロキャピラリーアレイ、その製造方法、及び物質注入装置
AU2001236597A1 (en) * 2000-01-31 2001-08-07 Board Of Regents, The University Of Texas System System and method for the analysis of bodily fluids
SE0001768D0 (sv) * 2000-05-12 2000-05-12 Helen Andersson Mikrofluidisk flödescell för manipulering av partiklar
JPWO2003016555A1 (ja) * 2001-08-09 2004-12-02 松下電器産業株式会社 細胞診断方法、ならびにそれに用いるデバイスおよび装置
CA2578539A1 (en) * 2004-07-30 2006-02-09 Hans-Werner Heinrich Appliances and methods for cell, bio-particle and molecule sorting
US8173413B2 (en) 2005-08-11 2012-05-08 University Of Washington Separation and concentration of biological cells and biological particles using a one-dimensional channel
US7993821B2 (en) 2005-08-11 2011-08-09 University Of Washington Methods and apparatus for the isolation and enrichment of circulating tumor cells
JP2007222132A (ja) * 2006-02-27 2007-09-06 Fujitsu Ltd 細胞捕捉チップ

Also Published As

Publication number Publication date
US9526823B2 (en) 2016-12-27
US20100248338A1 (en) 2010-09-30
JP2010227011A (ja) 2010-10-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5141919B2 (ja) 細胞処理デバイス、細胞処理カートリッジおよび体液処理システム
JP4849278B2 (ja) 細胞処理デバイス、細胞処理カートリッジおよび体液処理システム
JP2010227012A (ja) がん細胞捕捉デバイス
JP7255904B2 (ja) 無核細胞への物質の送達
Fromen et al. Neutrophil–particle interactions in blood circulation drive particle clearance and alter neutrophil responses in acute inflammation
JP2021007402A (ja) 細胞を分離する方法
Kulvietis et al. Transport of nanoparticles through the placental barrier
Kim et al. Nanotheranostics of circulating tumor cells, infections and other pathological features in vivo
US10258734B2 (en) Devices, systems and methods for cell modification
Dong et al. Melanoma cell extravasation under flow conditions is modulated by leukocytes and endogenously produced interleukin 8
JP2019527536A (ja) バイオプロセシングのための音響分離
US20080102030A1 (en) Particles for cell targeting
Alev et al. Targeting of drug-loaded nanoparticles to tumor sites increases cell death and release of danger signals
Madrid et al. Safety of oral administration of high doses of ivermectin by means of biocompatible polyelectrolytes formulation
JP2010227014A (ja) 細胞捕捉デバイスおよび細胞捕捉システム
EP2843035B1 (en) Nucleated-cell capturing filter and nucleated-cell preparation method using same
WO2012099721A2 (en) Real-time adaptive immune system and method
WO2010074675A1 (en) Inflammation targeting particles
Chen et al. Biomimetic nanoparticles loaded with ulinastatin for the targeted treatment of acute pancreatitis
JP2010227013A (ja) 細胞捕捉デバイスおよび細胞捕捉システム
US20080206344A1 (en) Endocytotic particles
DE102015120099B4 (de) Ultraschallsonde zur Detektion von Fremdstrukturen in Fluiden
WO2008041970A2 (en) Methods and compositions for targeting fenestrated vasculature
TWI721352B (zh) 含有gm3神經節苷酯作為免疫調節劑之奈米粒子
JP2009537567A (ja) 磁性流体およびその治療上の使用法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110406

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110530

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110713

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110901

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110921

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111004

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4849278

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141028

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350