JP4847887B2 - タービンエンジンのロータホイール - Google Patents

Description

本発明は、特にタービンエンジンのロータホイール（ｒｏｕｅ ｄｅ ｒｏｔｏｒ）に関し、羽根を保持するディスクを含み、羽根の根元部（ｐｉｅｄ）が、このディスクの外周面の環状凹部（ｇｏｒｇｅ）に取り付けられている。

羽根の根元部は、凹部の側壁の開口部からこの凹部に挿入され、次いで、凹部内で周方向に移動し、形状の協働によりロータの軸に対して径方向および軸方向に前記凹部に固定される。凹部の横断面は、ダブテール形（ｑｕｅｕｅ ｄ’ａｒｏｎｄｅ）または同様の形状であり、羽根の根元部は、凹部の形と係合する形を有する。

羽根の根元部は、プラットフォームにより羽根のブレード（ｐａｌｅ）に結合されており、プラットフォームは、羽根が凹部に取り付けられて周方向に並置されているとき、ディスクの周辺面を外側から囲む。

製造公差および取り付け公差により、羽根の根元部は、ディスクの環状凹部に遊び（ｊｅｕ）を伴って収容される。

動作時に大きな遠心力を受ける羽根は、タービンエンジンの性能を改善するために、羽根の外側の端と、外側の環状カウリング（ｃａｒｔｅｒ）との間の径方向の遊びを最小化する正確な角方向の位置を、ロータの軸に対して選択する。

一般に、エラストマー製の環状パッキン（ｊｏｉｎｔ ａｎｎｕｌａｉｒｅ）が、羽根の上流側および／または下流側において、羽根のプラットフォームの下で、ディスクの周辺面の環状溝（ｒａｉｎｕｒｅ）に取り付けられており、自由な状態での外径を、取り付け溝の外径以下として、ディスクの環状凹部における羽根の周方向の摺動を妨げないようにしている。

動作時に、このパッキンは、遠心力の作用で径方向外側に膨張し、羽根のプラットフォームと接触することにより、プラットフォームとディスクの外周面との間で、タービンエンジンの性能を低下させるような空気の通過を妨げ、および／または羽根の振動を減衰する。

タービンエンジンの始動時および停止時には、ロータホイールの羽根が、その動作位置に対して多少とも上下動し、それらの端が、外側カウリングで摩擦されることがあり、これは、羽根の劣化およびタービンエンジンの性能低下となって現れる。

本発明は、特に、簡単で経済的かつ有効な解決方法をこの問題にもたらすことを目的とする。

本発明は、動作時ならびに停止および始動時に、羽根が、ロータの軸に対してほぼ同一位置に保持されるロータホイールを目的とする。

このため、本発明は、羽根を保持するディスクを含む、特にタービンエンジンのロータホイールを提案し、羽根の根元部が、ディスクの外周面の環状凹部に係合固定され、根元部が、ディスクの外周面を外側から囲むプラットフォームに結合され、プラットフォームは、ディスクの外周面の環状溝に取り付けられる環状密封パッキンと協働するように構成され、環状密封パッキンが、停止時に、正確な動作位置に羽根を保持する弾性力を羽根のプラットフォームに及ぼし、環状密封パッキンの自由な状態での外径が、その取り付け溝の外径より大きく、その環状密封パッキンの硬度が、正確な動作位置に羽根を戻すように、また取り付け環状凹部における羽根の周方向移動を可能にするように決定されることを特徴とする。

タービンエンジンの動作時に、環状パッキンは、羽根の振動を減衰し、および／または羽根のプラットフォームとディスクの周辺面との間で空気の通過を妨げ、タービンエンジンの始動段階および停止段階の間、前記環状パッキンにより正確に羽根を位置決めして、それらの端が、外側カウリングで摩擦しないようにすることができる。

羽根の根元部が、開口部を介してディスクの環状凹部に挿入されると、この羽根のプラットフォームが、環状パッキンと接触し、環状パッキンを局部的に変形させる。弾性の環状パッキンの硬度は、環状パッキンが羽根に及ぼす戻し力（ｆｏｒｃｅ ｄｅ ｒａｐｐｅｌ）が、凹部における羽根の周方向移動を可能にするために十分に弱くなるように、また、いったん羽根を凹部に取り付けたら、羽根を正確に位置決めするために十分に強くなるように決定される。

好適には、パッキンは、その中央横断面（ｐｌａｎ ｔｒａｎｓｖｅｒｓａｌ ｍｅｄｉａｎ）に対して対称な形状を有し、これにより、製造を容易にするとともに、ディスクの環状溝におけるパッキンの不正確な取り付けを回避できる。

本発明の別の特徴によれば、パッキンは、パッキンを溝に取り付けたときに、溝の外側に突出して延びるように構成された、少なくとも一つの外周リップ（ｌｅｖｒｅ ｐｅｒｉｐｈｅｒｉｑｕｅ ｅｘｔｅｒｎｅ）を含む。このリップは、ディスクに取り付けられた羽根のプラットフォームと接触し、タービンエンジンの停止時および始動時に羽根を正確に位置決めすると同時に、タービンエンジンの動作時に、羽根のプラットフォームとディスクの周辺面との間を密封し、かつ／または羽根の振動を減衰する。

パッキンは、また、このパッキンを溝に取り付けるときに、溝の底で支持されるように構成された、少なくとも一つの内周リップ（ｌｅｖｒｅ ｐｅｒｉｐｈｅｒｉｑｕｅ ｉｎｔｅｒｎｅ）を含むことができる。

本発明の実施形態では、環状パッキンの横断面が、ほぼ平行四辺形または菱形の形状をしており、その頂部が、パッキンの径方向内周または外周リップを形成する。

本発明の別の実施形態では、環状パッキンの断面の形状が、ほぼＸ形またはＨ形である。

本発明は、また、上記のようなロータホイール用の環状パッキンに関し、このパッキンは、自由な状態での外径が、取り付け環状溝の外径より大きく、ショアＡ硬度が、５０から１００であって、たとえば７５であることを特徴とする。このパッキンは、たとえば「ＶＩＴＯＮ Ａ」または「ＶＩＴＯＮ Ｂ」により製造される。

こうした環状パッキンは、密封パッキンおよび／または振動減衰パッキンとすることができる。

本発明は、また、上記のような少なくとも一つのロータホイールを含むタービンエンジンのコンプレッサと、上記のような少なくとも一つのロータホイールを含むことを特徴とする、航空機のターボジェットエンジンまたはターボプロップエンジン等のタービンエンジンとに関する。

本発明は、添付図面に関して限定的ではなく例としてなされた以下の説明を読めば、いっそう理解され、本発明の他の特徴、細部、および長所が明らかになるであろう。

図１の低圧コンプレッサ１０は、３つの圧縮段を含んでおり、各圧縮段は、環状の外側カウリング１４により径方向外側の端が保持される、一列の環状の固定整流（ｒｅｄｒｅｓｓｅｍｅｎｔ）羽根１２と、この固定羽根１２の環状の列の下流側に配置されて、ロータホイールのディスク２４の外周面の環状凹部２０に根元部１８が取り付けられる、一列の環状の可動羽根１６とを含む。

図示された例では、ディスク２４は、可動羽根１６の列の取り付け環状凹部２０がそれぞれ間に画定される環状外側リブ（ｎｅｒｖｕｒｅ）２６を備えた、回転壁２２を含んでいる。

ディスク２４は、ディスクの回転壁２２の上流側の環状フランジ３０に固定される駆動コーン（ｃｏｎｅ ｄ’ｅｎｔｒａｉｎｅｍｅｎｔ）２８を介して、タービンエンジンのシャフト（図示せず）に結合されている。

各凹部２０は、従来の方法であるダブテール形または同様のタイプの横断面を有し、また、この図では見えないが、凹部２０に係合する形状の羽根１６の根元部１８を挿入する開口部を含んでいる。

図２からいっそう分かるように、ディスク２４の凹部２０は、２個の側壁３２の間に延びる環状の底３１を含み、各側壁は、対向する側壁３２にほぼ向けられた軸方向の環状縁３４を有する。羽根の根元部１８を挿入する開口部は、たとえば、凹部の側壁３２に形成され、あるいは凹部の環状縁３４の切断により形成される。

羽根の根元部１８は、ロータの軸を中心として周方向に向けられた、上流側の縁４０と下流側の縁４２とを含み、これらの縁は、凹部の底３１と凹部の環状縁３４との間にそれぞれ収容されて、これらと当接して協働し、ロータの軸に対して羽根１６を径方向および軸方向にディスクに固定するように構成される。

羽根１６（たとえば全部で６２個）は、ディスクの環状凹部２０に順に挿入され、ロータの軸を中心として周方向に並置される。羽根の根元部１８は、プラットフォーム４４により羽根のブレードに結合され、プラットフォームは、周方向に互いにアラインメントされて、環状リブ２６を外側から囲む。

製造公差および取り付け公差により、羽根の根元部１８は、ディスクの凹部２０に遊びを伴って取り付けられる。

図示された例では、下流側のリブ２６の径方向外側の端と、羽根の根元部またはプラットフォーム４４の対応する部分との間の径方向の遊びは、環状凹部２０の外径が約１．２０ｍの場合、０．１５ｍｍに達しうる。

タービンエンジンの動作時に、羽根１６が大きい遠心力を受けて、ロータの軸に対して整流される角方向の位置を選択し、この位置で、羽根の根元部の下流側の縁４２が、凹部の下流側壁３２の縁３４に当接し（図２）、羽根のプラットフォーム４４は、凹部の上流側壁３２の外周で支持されて、凹部の下流側壁３２の外周から離隔され、そのとき、羽根１６の外側の端と外側カウリング１４との間の半径方向の遊びが最小化されて、タービンエンジンの性能が改善される。

各羽根のプラットフォーム４４の内面は、ロータの軸に向かって突出する環状リブ４６を含み、この環状リブは、図２に示したように、凹部の上流側の壁３２の外周に連結される。

一体型で断面が円形のエラストマー製の環状パッキン５０は、凹部の下流側の側壁３２の外周の環状溝５２に取り付けられ、その溝５２は、羽根のプラットフォームの下流側端４８の下で径方向外側に通じている。

パッキン５０は、自由な状態で、外径が溝５２の外径以下であり（図２に破線で示す）、停止時には溝に完全に収容される。このパッキン５０は、密封パッキンおよび／または振動減衰パッキンとすることができる。

タービンエンジンの動作時に、パッキン５０は、遠心力の作用で径方向外側に膨張し、羽根のプラットフォームの内側下流側面４８で支持されて（実線で示す）、羽根のプラットフォームと凹部の下流側の壁３２の外周との間に空気が通らないようにし、および／またはプラットフォームに一定の圧力を及ぼして羽根の振動を減衰している。

タービンエンジンの停止時および始動時には、ロータホイールの羽根１６が、下流側に向かってわずかに上下動し、ロータの軸に対して別の角方向の位置を選択する。この位置では、羽根の根元部の下流側の縁４２が、凹部の底３１で支持されるので、羽根１６の径方向外側の端が、外側カウリング１４に接触する可能性があり、これによって始動時および停止時に羽根を劣化させ、そのためにタービンエンジンの性能を低下させる恐れがある。

本発明は、溝５２に取り付けられた環状パッキンによりこの問題に対応し、タービンエンジンの停止時に、このパッキンにより、羽根のプラットフォーム４４に一定の弾性力を及ぼして羽根１６を動作位置に向けて付勢し、羽根の端が、外側カウリング１４から離れて外側カウリングで摩擦することがないようにしている。

図３および図４に示した第一の実施形態では、パッキン５４の断面がほぼ菱形であり、パッキン５４が溝に取り付けられたときに、溝５２の外側に突出して延びて羽根のプラットフォームの下流側の内面４８で支持されるように構成された三角形の断面の外周リップ５６と、溝５２の底で支持されるように構成された三角形の断面の内周リップ５８とを含む。パッキン５４の上流側および下流側のエッジ６０は、溝５２の側壁で支持されるように構成される。

パッキン５４の寸法および硬度は、ロータホイールの羽根１６が、タービンエンジンの停止時および動作時にほぼ同じ角方向の位置を選択するようなものとし、一方で、パッキン５４が、ディスクの凹部２０への羽根の根元部１８の挿入を妨げず、また、パッキン５４におけるプラットフォームの面４８の摩擦によりこの凹部での羽根の周方向移動を妨げないようなものとする。図４から分かるように、パッキン５４は、羽根のプラットフォームと溝５２の底との間で弾性変形し、羽根を正確に位置決めする戻し力をこれらのプラットフォームに及ぼす。

本発明の実施形態では、環状パッキン５４の外径が、約１．２０メートルであり、ショアＡ硬度が、５０から１００で、たとえば約７５であり、１５０℃に達しうる温度に耐えられる。このパッキンは、たとえば「ＶＩＴＯＮ Ａ」または「ＶＩＴＯＮ Ｂ」により製造される。

図５に示した別の実施形態では、パッキン６２の断面がほぼＸ形またはＨ形であり、溝５２にパッキン６２を取り付けたときに、溝５２の外側に突出して延びて羽根のプラットフォームの下流側の内面４８で支持される２個の外周リップ６４と、上流側および下流側の側面６８がほぼ平坦かつ平行で、溝５２の側壁で支持される２個の内周リップ６６とを含む。パッキン６２は、羽根のプラットフォームと溝５２の底との間で弾性変形し、羽根を正確に位置決めする戻し力をプラットフォームに及ぼす。

パッキン５４または６２が、ディスクの溝５２に取り付けられると、パッキンは、図４および図５に示したように、この溝の容積の全部を占有するわけではない。羽根の根元部１８が凹部２０に挿入されると、この羽根のプラットフォーム４４がパッキン５４、６２で支持され、パッキンは、溝５２の内部でわずかに圧縮される。

もちろん、本発明は、上記の説明や、また図３から図５に示した実施形態に制限されるものではない。たとえば、中央横断面に対して好適には対称的な形状を有するパッキン５４または６２の断面を、図示した断面と異なるものにしてもよい。

一方で、パッキン５４または６２は、凹部の上流側壁３２の環状溝に取り付け可能であり、この溝は、羽根のプラットフォーム４４の上流側部分の下に通じる。

従来技術によるロータホイールを含むタービンエンジンの低圧コンプレッサの軸方向の半断面概略図である。 図１の細部Ｉ_２の拡大図である。 本発明によるロータホイールの実施形態を示す図２に対応する概略図である。 図３の細部Ｉ_４の拡大図である。 本発明の変形実施形態を示す図４に対応する概略図である。

符号の説明

１０ 低圧コンプレッサ
１２ 固定整流羽根
１４ 外側カウリング
１６ 可動羽根
１８ 根元部
２０ 環状凹部
２２ 回転壁
２４ ディスク
２８ 駆動コーン
３０ 環状フランジ
３１ 環状の底
３２ 側壁
３３、４４ プラットフォーム
３４ 環状縁
４０ 上流側の縁
４２ 下流側の縁
４６ 環状リブ
４８ 内側下流側面
５０、５４、６２ 環状パッキン
５２ 環状溝
５６、６４ 外周リップ
５８、６６ 内周リップ
６０ エッジ
６８ 側面

Claims (11)

1. 羽根（１６）を保持するディスク（２４）を含むタービンエンジンのロータホイールであって、羽根の根元部（１８）が、前記ディスク（２４）の外周面の環状凹部（２０）に保持され、前記凹部の側壁の開口部を通して該凹部に係合され、前記根元部（１８）が、ディスクの外周面を外側から囲むプラットフォーム（４４）に結合され、前記プラットフォームは、ディスクの外周面の環状溝（５２）に取り付けられる環状密封パッキン（５４、６２）と協働するように構成されたものであり、前記環状密封パッキン（５４、６２）は、停止時に、羽根（１６）を正確な動作位置に保持する弾性力を羽根のプラットフォーム（４４）に及ぼし、環状密封パッキン（５４、６２）の自由な状態での外径が、取り付け溝（５２）の外径より大きく、環状密封パッキンの硬度が、羽根（１６）を凹部に開口部を通して挿入するとき、および、羽根を凹部（２０）内で周方向に移動させるときに、弾性変形するように、かつ、停止時に、羽根を正しく位置させる戻し力をプラットフォームに及ぼすように、決定されていることを特徴とする、ロータホイール。
2. 環状密封パッキン（５４、６２）が、羽根（１６）の上流側にあることを特徴とする、請求項１に記載のロータホイール。
3. 環状密封パッキン（５４、６２）が、羽根（１６）の下流側にあることを特徴とする、請求項１に記載のロータホイール。
4. 環状密封パッキン（５４、６２）が、該環状密封パッキンの中央横断面に対して対称な形状を有することを特徴とする、請求項１から３のいずれか一項に記載のロータホイール。
5. 環状密封パッキン（５４、６２）は、前記環状密封パッキン（５４、６２）が溝に取り付けられるときに、溝（５２）の外側に突出して延びるように構成された少なくとも一つの外周リップ（５６、６４）を含むことを特徴とする、請求項１から４のいずれか一項に記載のロータホイール。
6. 環状密封パッキン（５４、６２）は、前記環状密封パッキン（５４、６２）が溝に取り付けられるときに、溝（５２）の底で支持されるように構成された少なくとも一つの内周リップ（５８、６６）を含むことを特徴とする、請求項１から５のいずれか一項に記載のロータホイール。
7. 環状密封パッキン（５４）の横断面がほぼ菱形であり、該菱形の頂部が、前記環状密封パッキン（５４）の径方向内周リップ（５６）と径方向外周リップ（５８）とを形成することを特徴とする、請求項１から６のいずれか一項に記載のロータホイール。
8. 環状密封パッキン（６２）の断面が、ほぼＸ形またはＨ形であり、該パッキン（６２）が溝（５２）に取り付けられたとき、溝（５２）の外側に突出してプラットフォームに支持される２つの外周リップ（６４）と、上流側および下流側の側面（６８）がほぼ平坦かつ平行で、溝（５２）の側壁で支持される２つの内周リップ（６６）とを有していることを特徴とする、請求項１から７のいずれか一項に記載のロータホイール。
9. 自由な状態で、外径が、環状の取り付け溝（５２）の外径より大きく、ショアＡ硬度が５０から１００であることを特徴とする、請求項１から８のいずれか一項に記載のロータホイール用の環状密封パッキン。
10. 請求項１から８のいずれか一項に記載の少なくとも一つのロータホイールを含む、タービンエンジンのコンプレッサ。
11. 請求項１から８のいずれか一項に記載の少なくとも一つのロータホイールを含むことを特徴とする、航空機のターボジェットエンジンまたはターボプロップエンジン等のタービンエンジン。

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