JP4845508B2 - 光造形装置とオフセット距離設定方法 - Google Patents
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光造形装置では、造形物の輪郭線に沿って光スポットの中心を移動させると、輪郭線よりも光スポットの半径分だけ大きく硬化してしまう。それを避けるために、造形物の輪郭線から造形物の内側に向けて光スポットの半径分だけ平行移動することによって、光スポット中心の移動線を算出する手段を備えている。この算出手段では、光スポットの形状が真円であり、その半径が方位によらないで一定であるとしている。
特許文献1に、楕円形状の光スポットを利用する光造形装置が開示されており、楕円形状の光スポットを利用すると硬化層の縁での面だれが小さくなるとしている。しかしながら、楕円形状の光スポットを利用すると、前記したオフセット技術では対応できないことになってしまう。特許文献2はその問題を認識し、輪郭に沿って照射する(正確には輪郭線から造形物の内側に向けて平行移動した移動線に沿って移動する)光スポットについては、真円形状の光スポットを利用することによって、その問題に対処している。特許文献3と4にも、光スポットが真円形状から歪んだときの問題を意識した技術が記載されており、特許文献3には光スポットの長径と短径の比が0.9〜1.1以内にある真円に近い形状の光スポットを利用するべきであることが開示されており、特許文献4には光スポットの形状を真円に近づけるための調整技術が開示されている。
現状の光造形装置では、真円または真円に近い形状の光スポットを利用することによって、造形物の輪郭線から造形物の内側に向けて光スポットの半径分だけ平行移動した移動線に沿って光スポット中心を移動すると、与えられた輪郭線を有する硬化層を造形できるという手法を採用している。
前記したように、現状では、光スポットの形状を真円または真円に近い形状に調整し、それを前提にしたうえで、光スポットの半径分だけ造形物の内側に平行移動した移動線を算出すればよいという手法を採用している。確かに、過去に要求されていた精度レベルで見れば、光スポットの形状が真円であるとしてもよかった。しかしながら、今日に要求されている精度で見ると、光スポットの形状は真円でなく、それ無視して真円であることを前提とするオフセット技術を採用していることから、要求される形状精度を満たせないでいることを確認した。
本発明では、造形物の形状精度を一段と向上させられる光造形装置を提供する。
本発明の改良された態様では、オフセット算出過程が過度に複雑とならない技術を提供する。
本発明では、光スポットの形状が真円でないことに起因する他の問題にも対処する。たとえば、光スポットの形状が真円でないために、ラスタスキャンの主走査方向の方位によって副走査方向のピッチを増減させる。あるいは、輪郭線に沿ったベクトルスキャンと、その内部のラスタスキャンを過不足なく接合するために、ベクトルスキャンに対するラスタスキャンの始点および/または終点の位置関係をラスタスキャンの方位によって調整する技術を提供する。
本発明はまた、光スポットの形状が真円でないことによる影響を、光スポットの移動速度を増減調整することによって補償する技術を提供する。
本発明の光造形装置は、光硬化性液状樹脂の表面における造形物の輪郭線から造形物の内側に向けてオフセット距離だけ平行移動することによって光スポット中心の移動線を算出する手段を有しているとともに、光造形装置の不動部に対する輪郭線の方位によってそのオフセット距離を増減することを特徴とする。ここでいう光造形装置の不動部とは、光スポット中心の位置を記述する座標軸に対して固定されている部材をいい、造形中に移動しない任意の部分をとることができる。例えば液槽に対する方位と光スポット中心の位置を記述する座標軸に対する方位は常に一定の関係にあり、液槽を不動部とすることもできる。
図1は、精密に計測すると光スポット14は真円でなく、楕円であることの影響を示している。図1において、x軸は短径方向を示し、y軸は長径方向を示している。図1では図示の明瞭化のために、楕円率を誇張して示している。実際には、短径と長径の差はわずかであり、一例を挙げれば、短径が0.18mmであり、長径が0.22mmであり、平均半径が0.2mmである。図1の場合、平均半径に相当する0.2mmだけ一様にオフセットした移動線12を算出した場合を例示している。
実際の造形物の形状16を、与えられた輪郭線10に正確に一致させるには、光スポット14が真円でなく、楕円であることの影響を加味して移動線12を算出する必要があることがわかる。
上記では、輪郭線が造形物の外側輪郭である場合を例示した。開口を持つ造形物の場合には、内側輪郭線を有する。開口を記述する線は、造形物の内側輪郭線に相当する。この場合には、内側輪郭線に沿って光スポットを移動させると、光スポットの径の分だけ開口が小さくなってしまう。与えられた大きさの開口を造形するためには、開口を記述する内側輪郭線よりも光スポットの移動線を外側に移動する必要がある。この場合も、造形領域(露光領域)からみれば、造形物の内側に向けて移動することになる。輪郭線から造形物の内側に向けて平行移動するということは、内側輪郭線の場合には幾何学的には外側に向けて平行移動することを意味する。
輪郭線の方位によってオフセット距離を増減すると、光スポットの形状が真円ではなくて楕円であることの影響を補償し、実際の造形物の形状を与えられた輪郭線に正確に一致させられることを例示している。図2では、楕円の長径方向yに対する輪郭線の方位によってオフセット距離を増減することを例示しているが、光硬化性液状樹脂を収容している光造形装置の不動部に対する楕円の長径方向yの方位は一定である。光造形装置の不動部に固定されている座標軸をX,Y軸とすると、Y軸とy軸のなす角度は一定である。図2は、光造形装置の不動部に対する輪郭線の方位(Y軸と輪郭線がなす角度)によってオフセット距離を増減すると、実際の造形物の形状を与えられた輪郭線に正確に一致させられることを例示している。
請求項1の発明では、光造形装置の不動部に対する輪郭線の方位によってオフセット距離を増減するために、光スポットの形状が真円でなくて楕円であることの影響を補償することができ、実際の造形物の形状を与えられた輪郭線に正確に一致させることができる。
近似する場合は、輪郭線の方位を複数個に分類し、分類毎にオフセット距離を記憶している手段を備えていればよい。
図4はその一例を示し、例えば方位を8方位に分類する場合、Y軸とのなす角が22.5〜67.5°の場合には45°の方位に分類する。
図2は、8方位に対するオフセット距離off1〜off8を例示しており、8方位に対するオフセット距離off1〜off8をあらかじめ記憶しておけば、光スポットの形状が真円でなくて楕円であることの影響を近似的に補償することができる。なお方位の分類数は8に限られない。
この場合、造形物のY軸方向の寸法と移動線30のY軸方向の寸法差から、X軸方向に伸びる輪郭線に対するオフセット距離OFF1,OFF5を知ることができる。同様に、造形物のX軸方向の寸法と移動線30のX軸方向の寸法差から、Y軸方向に伸びる輪郭線に対するオフセット距離OFF3,OFF7を知ることができる。同様に、造形物のY軸から45度傾斜した方向の寸法と移動線30の同方向の寸法差から、Y軸から135度傾斜した方向に伸びる輪郭線に対するオフセット距離OFF2,OFF6を知ることができる。同様に、造形物のY軸から315度傾斜した方向の寸法と移動線30の同方向の寸法差から、Y軸から225度傾斜した方向に伸びる輪郭線に対するオフセット距離OFF4,OFF8を知ることができる。なお、方位の分類数は8に限られない。
図6は、光スポットの強度分布において等強度線をなす楕円形状60を例示している。図6の場合、Y軸に対してθ方向に伸びる輪郭線62に対しては、OFF(θ)のオフセット距離を算出すればよいことを例示している。ここでいう楕円形状とは、長径と短径のみならず、長径方向(y軸方向)が光造形装置の不動部を基準とするY軸に対してなす角αをも含む。楕円の長径と短径と傾斜角αが既知であれば、輪郭線の方位θが与えられた時にオフセット距離OFF(θ)を算出することができる。
すなわち、光造形装置の不動部に対する主走査線の方位によって副走査方向の平行移動距離を増減することが好ましい。
光スポットが楕円形状である場合、2重照射範囲114,120の幅をおおむね等しくするためには、Y方向の平行移動距離YpとX方向の平行移動距離Xpを等しくするべきでなく、主走査の方向方位によって副走査方向の平行移動距離を増減することが好ましい。主走査方向の方位によって副走査方向の平行移動距離を増減することよって、2重照射範囲114,120の幅をおおむね等しくすることができ、良質な造形が可能となる。
すなわち、内側硬化線を造形する移動線の始端および/または終端と外周硬化線を造形する移動線との間の距離を、光造形装置の不動部に対する内側硬化線の方位によって増減することが好ましい。
図11の範囲126は、X軸方向に伸びる外周硬化線を例示している。それに対して、116,118は、内側硬化線のための移動線を例示している。この場合、内側硬化線用の移動線116,118の始端(あるいは終端)については、外周硬化線のための移動線128からYoff2の距離だけ離れた位置に設定すると、130の範囲で外周硬化線と内側硬化線が重複する。なお、Yoff1は輪郭形成時のオフセット距離を例示している。
光スポットが楕円形状である場合、外周硬化線と内側硬化線の重複範囲124,130の幅をおおむね等しくするためには、内側硬化線の始端(あるいは終端)と外周硬化線のX方向の距離Xoff2とY方向の距離Yoff2を等しくすべきでなく、内側硬化線の方位によって増減することによって重複範囲124,130の幅をおおむね等しくすることができる。内側硬化線の始端(あるいは終端)と外周硬化線の距離を内側硬化線の方位によって増減することによって、良質な造形が可能となる。
この場合、光スポットの移動速度を算出する手段において、光造形装置の不動部(例えば液槽)に対する輪郭線の方位によって移動速度を増減する処理を組み込むことが好ましい。
図8は、光スポットをy軸方向に伸びる移動線82,84に沿って移動させる際には低速度で移動し、x軸方向に伸びる移動線86,88に沿って移動させる際には高速度で移動した場合の硬化範囲を示している。オフセット距離は一定にして移動線を算出しても、輪郭線の方位によって移動速度を増減すると、実際の造形形状と与えられた輪郭線を一致されられることがわかる。
輪郭線の方位によって移動速度を増減すると、光スポットが楕円形状であっても、移動線から硬化限界までの距離を一定とすることができる。この場合には、オフセット距離を一定にして移動線を算出してもよいことがわかる。
本発明のひとつの方法では、図3を参照して説明したように、多角形をなす移動線に沿って光スポット中心を移動することによって硬化層を造形する工程と、造形された硬化層の形状を測定する工程と、光造形装置の不動部(例えば液槽)に対する方位に対応付けて移動線と硬化層の形状の差を算出する工程と、前記の方位に対応する差から前記の方位に対応するオフセット距離を算出する工程を備えている。上記における多角形をなす移動線は、形状計測用の移動線であるということができる。
本発明の他のひとつの方法では、図6を参照して説明したように、光硬化性液状樹脂の表面における光スポットの強度分布を測定する工程と、光スポットの強度分布において等強度線をなす楕円の形状と、光造形装置の不動部(例えば液槽)に対する楕円の傾斜角(不動部に対する楕円の長径または短径がなす角)を算出する工程と、その楕円の形状と、光造形装置の不動部に対する楕円の傾斜角から、光造形装置の不動部に対する輪郭線の方位に対応するオフセット距離を算出する工程を備えている。
いずれの方法によっても、光スポットが楕円等の非真円であることによる影響を補償するのに必要なオフセット距離を的確に設定することができる。
図5は、本実施例の光造形装置50の全体構成を備えている。光造形装置50は、光硬化性液状樹脂51を収容している液槽52と、レーザ光53を射出する光源54と、光源54から射出したレーザ光53のスポットを液槽52内に収容されている光硬化性液状樹脂51の液面51a内の任意の位置に指向させる光学系55と、液槽52内において昇降する昇降台56と、その昇降台56の駆動機構57と、液面51aに沿って移動することによって液面を平滑化するリコータ58と、そのリコータ58の駆動機構59と、制御装置49を備えている。制御装置49は、3次元CADシステム48に接続されており、3次元CADシステム48から造形するべき3次元形状を記述するデータを入力する。制御装置49は、3次元形状を記述するデータに基づいて、光源54と、光学系55と、昇降台駆動機構57と、リコータ駆動機構59を制御し、3次元CADシステム48から入力した3次元形状を記述するデータによって記述されている3次元形状を有する硬化物(造形物)が造形されるようにする。光造形装置50は、レーザ光53の液面51aにおける照射範囲(光スポット)を調整する光学系47も備えている。液槽52は光造形装置50の不動部であり、光スポットの液面内の照射位置を記述する座標系と一定の関係に固定されている。
この場合、造形物のY軸方向の寸法を測定し、測定値から移動線30のY軸方向の寸法を減じることによってから、Y軸とのなす角が90°である方向の輪郭線に対するオフセット距離OFF1,OFF5を知ることができる。ここで、OFF1=OFF5とすることができる。同様に、造形物のX軸方向の寸法と移動線30のX軸方向の寸法差から、Y軸方向に伸びる輪郭線に対するオフセット距離OFF3,OFF7を知ることができる。OFF3=OFF7とすることができる。同様に、造形物のY軸から45°傾斜した方向の寸法と移動線30の同方向の寸法差から、Y軸から135度傾斜した方向に伸びる輪郭線に対するオフセット距離OFF2,OFF6を知ることができる。OFF2=OFF6とすることができる。同様に、造形物のY軸から315度傾斜した方向の寸法と移動線30の同方向の寸法差から、Y軸から225度傾斜した方向に伸びる輪郭線に対するオフセット距離OFF4,OFF8を知ることができる。OFF4=OFF8とすることができる。オフセット距離の記憶手段46には、輪郭線の方位(光造形装置の不動部に対する方位)に対応付けて、上記のオフセット距離OFF1〜OFF8が記憶されている。方位を8等分する場合には、その対称性からOFF1〜OFF4を記憶しておけばよい。オフセット距離の記憶手段46には、多角形をなす移動線30に沿って光スポット34を移動することによって造形された造形物の形状32の測定結果から光造形装置の不動部に対する方位に対応付けて移動線30と造形物の形状32の差を求め、その差から算出されたオフセット距離が記憶されている。なお、方位の分類数は8に限られない。近似的にX方向に伸びる輪郭線かY軸方向に伸びる輪郭線かに分類するだけでも、有用な結果が得られる。
本実施例では、移動線を算出した後に、光スポット中心が移動線36に沿って移動するように光学系55を制御する。その結果得られる硬化層の輪郭は、輪郭線30に一致する。光スポット34が真円でなく楕円であっても、その影響は移動線36を算出する過程に織り込まれているために、硬化層の輪郭は、輪郭線30に一致する。
図2の線13は、オフセット距離をoff1〜off8を利用して輪郭線を造形物の内側に向けて平行移動することによって算出した移動線を示している。光スポットの中心が移動線13に沿って移動するように光学系55を制御した結果得られる硬化層の輪郭は、輪郭線10によく一致する。光スポットが真円でなく楕円であっても、その影響は移動線13を算出する過程に織り込まれているために、硬化層の輪郭は輪郭線10によく一致する。
図2に示すように、輪郭線から造形物の内側に向けてオフセット距離off1〜off8だけ平行移動した線は交差する。実際の移動線は、交点同士を結ぶ線分の集合で算出される。
図11の110と112は、X方向に主走査するときの移動線を示し、副走査方向(Y方向)の平行移動距離をYpとしたときに、範囲114において2重に照射されることを例示している。図11の116と118は、Y方向に主走査するときの移動線を示し、副走査方向(X方向)の平行移動距離をXpとしたときに、範囲120において2重に照射されることを例示している。光造形方法では、硬化層ごとに主走査方向と副走査方向を交換することがあり、その場合、2重に照射範囲114,120の幅をおおむね等しくすることが好ましい。
光スポットが楕円形状である場合、2重に照射範囲114,120の幅をおおむね等しくするためには、Y方向の平行移動距離YpとX方向の平行移動距離Xpを等しくするべきでないことがわかる。本実施例では、光スポットの楕円形状を加味して、Y方向の平行移動距離YpとX方向の平行移動距離Xpを独立に決定しているために、2重の照射範囲114,120の幅をおおむね等しくすることができ、良質な造形が可能となっている。光造形装置の工場出荷段階でXpとYpを独立に設定しておいてもよいし、実際の使用段階でXpとYpを独立に設定できるようにしてもよい。
図11から理解されるように、X軸方向に主走査する場合には、X軸方向の光スポットの幅が狭いために、同一地点を光スポットが短時間のうちに通過する。それに対し、Y軸方向に主走査する場合には、Y軸方向の光スポットの幅が長いために、X軸方向に主走査する場合に比して長時間を要する。この影響を相殺するために、X軸方向に主走査する場合の走査速度と低速度とし、Y軸方向に主走査する場合の走査速度と高速度とすることが好ましい。このようにすると、X軸方向に主走査する場合と、Y軸方向に主走査する場合とで、単位面積当たりに与える累積光エネルギー量が均等化される。光造形装置の工場出荷段階でX方向の移動速度とY方向の移動速度を独立に設定しておいてもよいし、実際の使用段階でX方向の移動速度とY方向の移動速度を独立に設定できるようにしてもよい。
すなわち、内側硬化線の始端および/または終端と外周硬化線の距離を、光造形装置の不動部に対する内側硬化線の方位に従って増減する。
図11の範囲126は、X軸方向に伸びる外周硬化線を例示している。それに対して、116,118は、内側硬化線のための移動線を例示している。この場合、内側硬化線用の移動線116,118の始端(あるいは終端)については、外周硬化線のための移動線128からYoff2の距離だけ離れた位置に設定すると、130の範囲で外周硬化線と内側硬化線が重複する。なお、Yoff1は輪郭形成時のオフセット距離を例示している。
光スポットが楕円形状である場合、外周硬化線と内側硬化線の重複範囲124,130の幅をおおむね等しくするためには、内側硬化線用の移動線の始端(あるいは終端)と外周硬化線用の移動線のX方向の距離Xoff2とY方向の距離Yoff2を等しくすべきでないことがわかる。内側硬化線の方位に従って距離Xoff2,Yoff2を独立に調整することによって、重複範囲124,130の幅をおおむね等しくすることができ、良質な造形が可能となる。本実施例では、光スポットの楕円形状からXoff2とYoff2を独立に設定している。光造形装置の工場出荷段階でX方向の距離Xoff2とY方向の距離Yoff2を独立に設定しておいてもよいし、実際の使用段階でX方向の距離Xoff2とY方向の距離Yoff2を独立に設定できるようにしてもよい。
図6は、光スポットの強度分布において等強度線をなす楕円形状60を示している。図の場合、Y軸に対してθ方向に伸びる輪郭線62に対しては、OFF(θ)のオフセット距離を算出すればよいことを例示している。ここでいう楕円形状とは、長径と短径のみならず、長径方向(y軸方向)が光造形装置の不動部を基準とするY軸に対してなす角αをも含む。長径と短径と傾斜角αが既知であれば、輪郭線の方位θが与えられた時にOFF(θ)を算出することができる。
図8は、光スポットをy軸方向に伸びる移動線82,84に沿って移動させる際には低速度で移動し、x軸方向に伸びる移動線86,88に沿って移動させる際には高速度で移動した場合の硬化範囲を示している。小さな楕円78は、光スポットを高速で移動させる場合の硬化範囲に対応し、大きな楕円76は、光スポットを低速で移動させる場合の硬化範囲に対応している。この場合、図9に示すように、短時間照射した時のy軸方向の硬化幅l0と長時間照射した時のx軸方向の硬化幅l0が一致する速度の関係に調整しておく。この方式によると、オフセット距離は一定にして移動線を算出しても、輪郭線の方位によって移動速度を増減すると、実際の造形形状と与えられた輪郭線を一致されられることがわかる。
輪郭線の方位によって移動速度を増減すると、光スポットが楕円形状であっても、移動線から硬化限界までの距離を一定とすることができる。この場合には、オフセット距離を一定にして移動線を算出してもよいことがわかる。
図10は、この方式を採用する制御装置が実行する処理手順を示している。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
12:移動線
14:光スポット
16:硬化層輪郭
18:過剰硬化範囲
20:過剰硬化範囲
22:過少硬化範囲
24:過少硬化範囲
off1〜off8:オフセット距離
OFF1〜OFF8: オフセット距離
30:移動線
32:硬化層輪郭
34:光スポット
36:オフセットした移動線
45:移動線算出装置
46:方位/オフセット距離記憶手段
47:光学系
48:3次元CAD
49:制御装置
50:光造形装置
51:光硬化性液状樹脂
52:液槽
53:レーザ光
54:光源
55:光学系
56:昇降台
57:昇降台駆動装置
58:リコータ
59:リコータ駆動装置
OFF(θ): オフセット距離
72:方位/オフセット距離関係式記憶手段
Claims (9)
- 光硬化性液状樹脂の表面に光スポットを照射するとともに、その照射位置を移動させて硬化層を造形する光造形装置において、
前記表面における前記光スポットの形状が方位によって半径が変化する非真円であり、光造形装置の不動部に対する方位と前記半径の関係が一定に維持され、
前記表面における造形物の輪郭線から造形物の内側に向けてオフセット距離だけ平行移動して光スポット中心の移動線を算出する手段を有しており、
前記不動部に対する前記輪郭線の方位によって、前記オフセット距離を増減することを特徴とする光造形装置。 - 前記輪郭線の方位を複数個に分類した分類毎に前記オフセット距離を記憶している手段を備えていることを特徴とする請求項1の光造形装置。
- 前記輪郭線の方位を8方位に分類した分類毎に前記オフセット距離を記憶している手段を備えていることを特徴とする請求項2の光造形装置。
- 前記表面における前記光スポットの強度分布において等強度線が楕円であり、その楕円の形状と、前記不動部に対する前記楕円の長径または短径がなす角から、前記輪郭線の方位に対応する前記オフセット距離が算出されていることを特徴とする請求項1の光造形装置。
- 光硬化性液状樹脂の表面に光スポットを照射する際に、光スポットを主走査方向に走査するとともに、その主走査線を副走査方向に平行移動させることによって、前記表面に沿って面的に拡がっている硬化層を造形する光造形装置において、
前記表面における前記光スポットの形状が方位によって半径が変化する非真円であり、光造形装置の不動部に対する方位と前記半径の関係が一定に維持され、
前記不動部に対する主走査線の方位によって、副走査方向の平行移動距離を増減することを特徴とする光造形装置。 - 光硬化性液状樹脂の表面に光スポットを照射するとともに、その照射位置を移動させて硬化層を造形する際に、前記表面における造形物の輪郭線から造形物の内側に向けてオフセット距離だけ平行移動した移動線に沿って光スポット中心を移動させることで外周硬化線を造形するとともに、その外周硬化線に達する内側硬化線を造形する光造形装置において、
前記表面における前記光スポットの形状が方位によって半径が変化する非真円であり、光造形装置の不動部に対する方位と前記半径の関係が一定に維持され、
前記内側硬化線を造形する移動線の始端および/または終端と前記外周硬化線を造形する移動線との間の距離を、前記不動部に対する前記内側硬化線の方位によって増減することを特徴とする光造形装置。 - 光硬化性液状樹脂の表面に光スポットを照射するとともに、その照射位置を移動させて硬化層を造形する光造形装置において、
前記表面における前記光スポットの形状が方位によって半径が変化する非真円であり、光造形装置の不動部に対する方位と前記半径の関係が一定に維持され、
前記表面における造形物の輪郭線から造形物の内側に向けて所定距離だけ平行移動して光スポット中心の移動線を算出する手段と、
その移動線に沿った光スポットの移動速度を算出する手段を有しており、
前記不動部に対する前記輪郭線の方位によって、前記移動速度を増減することを特徴とする光造形装置。 - 請求項1に記載の光造形装置に前記オフセット距離を設定する方法であり、
多角形をなす形状計測用移動線に沿って光スポット中心を移動することによって硬化層を造形する工程と、
造形された硬化層の形状を測定する工程と、
光造形装置の不動部に対する方位に対応付けて、移動線と硬化層の形状の差を算出する工程と、
前記の方位に対応する差から、前記不動部に対する前記輪郭線の方位に対応するオフセット距離を算出する工程、
を備えていることを特徴とするオフセット距離の設定方法。 - 請求項1に記載の光造形装置に前記オフセット距離を設定する方法であり、
前記表面における前記光スポットの強度分布を測定する工程と、
前記光スポットの強度分布において等強度線をなす楕円の形状と、光造形装置の不動部に対する前記楕円の長径または短径がなす角を算出する工程と、
その楕円の形状と、前記不動部に対する前記楕円の長径または短径がなす角から、前記不動部に対する前記輪郭線の方位に対応するオフセット距離を算出する工程、
を備えていることを特徴とするオフセット距離の設定方法。
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