JP4839546B2 - 遺構実測図の作成方法及びシステム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、遺構を実測して遺構実測図を作成する方法及びシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
土地開発や道路、鉄道などの建設工事に伴って多くの遺跡が発見されている。これら遺跡の発掘調査における遺構の測量は、トータルステーションを用いた光波測量が広まりつつあり、特に広い範囲の遺跡では早く、正確に測量を行なうことができるようになってきた。しかし、遺構実測図の作成は、測量会社の作業者が遺跡現場で遺構について光波測量又は航空測量を行ない、その測量データを測量会社に持ち帰り、数ヶ月かけて遺構実測図を作成して遺跡地の教育委員会に提出していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
開発、建設工事に伴う遺跡の発掘調査は、緊急発掘調査と呼ばれ、調査に割り当てられる期間は短く、その中で正確な遺構実測図を作成しなければならない。しかし、従来の遺構実測図の作成方法では、作成に数ヶ月を要するので、遺跡地の教育委員会に遺構実測図が提出されたときには、工事のために遺構が消滅していることがあり、遺構実測図を現物で確認することができないことがあった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、請求項1に記載の発明の構成上の特徴は、光波測量機器により遺構を実測し、該実測値を光波測量機器から遺構実測支援システムにデータ送信し、遺構実測支援システムは、前記実測値を公共座標系の座標値に変換して座標値データを作成して記憶し、該座標値データに基づいて遺構実測図粗図を作成して遺構実測図粗図データとして記憶し、プリントアウトされた遺構実測図粗図を現場観察により修正して作成した遺構実測図粗図修正図をイメージスキャナで読み取って遺構実測図粗図修正図データとして記憶し、前記遺構実測図粗図データ及び遺構実測図粗図修正図データを遺構実測図編集システムに送信し、該遺構実測図編集システムは、前記遺構実測図粗図データ及び遺構実測図粗図修正図データを記憶し、遺構実測図粗図修正図に基づいて遺構実測図粗図を画面上で編集して遺構実測図を作成し遺構実測図データとして記憶し、該遺構実測図データを遺構実測支援システムに送信して遺構実測図の確認を行なうことである。
【0005】
請求項2に係る発明の構成上の特徴は、請求項1に記載の遺構実測図の作成方法において、前記座標値データが表計算ソフトで取扱い可能なデータ形式であることである。
【0006】
請求項3に係る発明の構成上の特徴は、請求項1又は2に記載の遺構実測図の作成方法において、前記遺構実測支援システムは、遺構の写真を取り込んで写真データとして記憶し、該写真データを前記遺構実測図編集システムに送信し、前記遺構実測図編集システムは、該写真データを記憶し、遺構実測図粗図修正図及び写真に基づいて前記遺構実測図粗図を画面上で編集して遺構実測図を作成して遺構実測図データとして記憶することである。
【0007】
請求項4に係る発明の構成上の特徴は、請求項1乃至3のいずれかに記載の遺構実測図の作成方法において、前記遺構実測支援システムと前記遺構実測図編集システムとの間でデータを通信ネットワークで送受信することである。
【0008】
請求項5に係る発明の構成上の特徴は、遺構を実測する光波測量機器と、前記光波測量機器からデータ送信された前記実測値を公共座標系の座標値に変換して座標値データを作成して記憶し、該座標値データに基づいて遺構実測図粗図を作成して遺構実測図粗図データとして記憶するとともに、前記遺構実測図粗図を修正した遺構実測図粗図修正図を遺構実測図粗図修正図データとして記憶する遺構実測支援システムと、前記遺構実測支援システムとデータ通信装置により接続され、前記遺構実測支援システムから送信された前記遺構実測図粗図データ及び前記遺構実測図粗図修正図データを記憶するとともに、前記遺構実測図粗図修正図に基づいて前記遺構実測図粗図を画面上で編集して作成された遺構実測図を遺構実測図データとして記憶し、遺跡現場の確認を取るために前記遺構実測図データを前記遺構実測支援システムに送信する遺構実測図編集システムと、を備えることである。
【0009】
請求項6に係る発明の構成上の特徴は、請求項5に記載の遺構実測図の作成システムにおいて、前記座標値データが表計算ソフトで取扱い可能なデータ形式であることである。
【0010】
請求項7に係る発明の構成上の特徴は、請求項5又は6記載の遺構実測図の作成システムにおいて、前記遺構実測支援システムは、遺構の写真を取り込んで写真データとして記憶し、該写真データを前記遺構実測図編集システムに送信し、前記遺構実測図編集システムは、前記遺構実測支援システムから送信された前記写真データを記憶し、前記遺構実測図粗図修正図及び前記写真に基づいて前記遺構実測図粗図を画面上で編集して作成された遺構実測図を遺構実測図データとして記憶することである。
【0011】
請求項8に係る発明の構成上の特徴は、請求項5乃至7のいずれかに記載の遺構実測図の作成システムにおいて、前記遺構実測支援システムと前記遺構実測図編集システムとを通信ネットワークで接続したことである。
【0012】
【発明の作用・効果】
上記のように構成した請求項1に係る発明においては、光波測量機器により遺構を実測し、該実測値を光波測量機器から遺構実測支援システムにデータ送信し、遺構実測支援システムは、実測値を公共座標系の座標値に変換して座標値データを作成して記憶し、座標値データに基づいて遺構実測図粗図を作成して遺構実測図粗図データとして記憶し、遺構実測図粗図を現場観察により修正した遺構実測図粗図修正図をイメージスキャナで読み取って遺構実測図粗図修正図データとして記憶し、遺構実測図粗図データ及び遺構実測図粗図修正図データを遺構実測図編集システムに送信する。遺構実測図編集システムは、遺構実測図粗図修正図に基づいて遺構実測図粗図を画面上で編集して遺構実測図を作成し遺構実測図データとして記憶し、該遺構実測図データを遺構実測支援システムに送信して遺構実測図の確認を取るようにしたので、遺構実測支援システム側では遺構実測図粗図を早く正確に作成することができて測量業務に時間を集中することができ、遺構実測図編集システム側では遺構実測図を極めて短期間に正確に作成して、遺跡が消失する前に現場の確認をとることができる。
【0013】
上記のように構成した請求項2に係る発明においては、座標値データを表計算ソフトで取扱い可能なデータ形式としたので、測量点のデータの追加、変更、削除などデータの取扱いが極めて容易になった。
【0014】
上記のように構成した請求項3に係る発明においては、遺構実測支援システムは、遺構の写真を取り込んで写真データとして記憶し、該写真データを遺構実測図編集システムに送信し、遺構実測図編集システムは、遺構実測図粗図修正図及び写真に基づいて遺構実測図粗図を画面上で編集して遺構実測図を作成するので、請求項1に記載の発明の効果に加え、写真により更に遺構に近い遺構実測図を作成することができる。
【0015】
上記のように構成した請求項4に係る発明においては、遺構実測支援システムと遺構実測図編集システムは通信ネットワークにより情報を送受信するので、遺跡現場に光波測量機器、遺構実測支援システム等の必要最小限の機器を持ち込んで遺構の測量及び遺構実測図粗図の作成などを早く正確に行ない、遺跡現場から離れた遺構実測図編集システム側では通信ネットワークで送信された情報に基づいて遺構実測図を逐次編集作成し、遺跡現場に送信して確認をとることができる。
【0016】
上記のように構成した請求項5に係る発明においては、遺構実測支援システムは、光波測量機器から送信された遺構の実測値を公共座標系の座標値に変換して座標値データを作成して記憶し、座標値データに基づいて遺構実測図粗図を作成して遺構実測図粗図データとして記憶するとともに、修正した遺構実測図粗図修正図を遺構実測図粗図修正図データとして記憶する。遺構実測図編集システムは、遺構実測支援システムから送信された遺構実測図粗図データ及び遺構実測図粗図修正図データを記憶するとともに、前記遺構実測図粗図を編集して作成された遺構実測図を遺構実測図データとして記憶し、該遺構実測図データを前記遺構実測支援システムに送信する。これにより、遺構実測支援システム側では遺跡現場で遺構実測図粗図を簡単に作成することができて測量業務に時間を集中して迅速に測量を進めることができ、遺構実測図編集システム側では遺構実測図粗図修正図に基づいて遺構実測図粗図を編集して遺構実測図を早く正確に作成して遺構実測支援システムに送信し、遺構が消失する前に遺跡現場の確認をとることができる。
【0017】
上記のように構成した請求項6に係る発明においては、座標値データを表計算ソフトで取扱い可能なデータ形式としたので、測量点のデータの追加、変更、削除などデータの取扱いが極めて容易である。
【0018】
上記のように構成した請求項7に係る発明においては、遺構実測支援システムは、遺構の写真を取り込んで写真データとして記憶し、該写真データを遺構実測図編集システムに送信し、遺構実測図編集システムは、遺構実測図粗図修正図及び写真に基づいて遺構実測図粗図を画面上で編集して遺構実測図を作成するので、写真により更に遺構に近い遺構実測図を作成することができる。
【0019】
上記のように構成した請求項8に係る発明においては、遺構実測支援システムと遺構実測図編集システムは通信ネットワークにより情報交換するので、遺跡現場に光波測量機器、遺構実測支援システム等の必要最小限の機器を持ち込んで遺構の測量及び遺構実測図粗図の作成などを早く正確に行ない、遺跡現場から離れた遺構実測図編集システム側では通信ネットワークで送信された情報に基づいて遺構実測図を逐次編集作成し、遺跡現場に送信して確認をとることができる。
【0020】
【実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。遺構実測図の作成システム10において、遺跡現場の簡易事務所に設置される遺構実測支援システム11のハードウェアの構成は、図1に示すように、持ち運びが容易なノート型パソコン12、光波測量機器であるトータルステーション13、イメージスキャナ14、デジタルカメラ15、プリンタ16などを含んでいる。遺跡現場から離れた本事務所に設置される遺構実測図編集システム17のハードウェアであるパソコン18は、各種情報処理を行なう処理装置19、入力装置20、表示装置21、記憶装置22、通信装置23、プリンタ24などがバスにより相互に接続されて構成されている。パソコン18の通信装置23はインターネット等の通信ネットワーク30を介してパソコン12に接続されている。
【0021】
遺構実測支援システム11のパソコン12の記憶装置には、オペレーティングシステムOS、実測値を取り込んで公共座標系の座標値に変換し座標値データを作成する取込み変換ソフト25、座標値データから遺構観測図を作成する遺構観測図作成ソフト26、遺構観測図の遺構を示す折れ線を自動的にスムージングして遺構実測図粗図を作成し、該遺構実測図粗図を画面上で編集して遺構実測図を作成する遺構実測図編集ソフト28が登録されるとともに、トータルステーション13から送信される実測値データ、座標値データ、遺構観測図データ、遺構実測図粗図データ、プリントアウトされた遺構実測図粗図を現場観察により修正して作成された遺構実測図粗図修正図をイメージスキャナで読み込んだ遺構実測図粗図修正図データ、デジタルカメラから送信された遺跡の写真データなどをファイル形式で夫々記憶するデータベース27が構築されている。遺構実測図編集システム17のパソコン18の記憶装置22にはオペレーティングシステムOS、遺構実測支援システム11から送信された遺構実測図粗図データ及び遺構実測図粗図修正図データなどに基づいて遺構実測図を編集作成する遺構実測図編集ソフト28が登録されるとともに、作成した遺構実測図データ、遺構実測支援システム11から送信された遺構実測図粗図データ、遺構実測図粗図修正図データ、写真データなどをファイル形式で夫々記憶するデータベース29が構築されている。
【0022】
トータルステーション13、例えばトプコン社のGTS702は、レーザ光線により測量点までの距離、トータルステーション13が設置された器械点とバック点とを結ぶ線分と、器械点と測量点とを結ぶ線分とが形成する角度及び測量点の水平線に対する角度を測定する。器械点及びバック点の座標値は公共座標系の基準点から前もって測量して求められる。各測量点には視準点名が付けられ、その頭には測量点の種類を区別するために、平面線については例えばLA、断面線についてはLB、単独のポイントについてはPNが付される。同一平面に位置し後述する遺構観測図において折れ線で結ぶ複数の測量点は、視準点名の末尾に通し番号を付けて識別する。
【0023】
取込み変換ソフト25は、多数の測量点の実測値を蓄えたトータルステーション13のデータレコーダとパソコン12との間の通信ソフト及び実測値を公共座標系の座標値に変換する変換ソフトからなっている。この場合、実測値はその後の取扱いが便利なように表計算ソフトで取扱い可能なデータ形式、例えばエクセルのデータ形式の座標値に変換して座標値データとして記憶される。座標値データは、図2に示すように、視準点毎に、視準点名、公共座標値X,Y,Z、ポイントコード等を一行で表示して構成されている。これにより測量点の追加、変更、削除等を容易に行なうことができる。通信ソフトは、データレコーダの機種が異なってもパソコン12にデータ送信が可能なように通信条件をパラメータ設定できるようになっている。器械点及びバック点の公共座標値は、実測値を公共座標系の座標値に変換するためのデータ作成条件として変換ソフトでパラメータとして設定するようになっている。
【0024】
また、平板測量・セクション実測等のマニュアル測量した座標データを表計算ソフトに手入力することにより該座標値データをトータルステーション13による実測値から作成した座標値データと合成することもできるようになっている。
【0025】
遺構観測図作成ソフト26は、座標値データで指定された測量点を直線で結んで折れ線で描いた図3に示す遺構観測図を作成する。作成した遺構観測図は、画面全体をプリンタ16にプリントアウトしたり、図面縮尺と用紙サイズを指定すると分割区分を自動的に決定し、指定した区分のみをプリントアウトすることもできる。遺構観測図をデータベース27に保存する場合も、遺構観測図作成ソフト26は、図面縮尺と用紙サイズを指定すると分割区分を自動的に決定し、分割枠を画面に表示し、遺構図分割ファイルの保存コマンドを実行すると、分割区分毎に左上から右下へと順番に自動でファイル名を付けて記憶する。分割ファイルを仕上た後に、区分図を合成して全体図を作成するための各区分図の位置情報等を書き込んだファイルが作成される。
【0026】
遺構実測図編集ソフト28は、遺構観測図データを取り込み、遺構観測図の区分図の遺構を描く折れ線の両端を自動的に閉じて、線の属性変更機能により直線をスムージング化して遺構を曲線で描き、数メートル間隔でX,Y軸と平行にグリッドを記入して図4に示す遺構実測図粗図の区分図を自動的に作成し、遺構実測図粗図データとしてデータベース27に記憶する機能を有する。
【0027】
遺構実測図粗図は、区分図毎にプリントアウトされ、遺構を現場観察して折れ線で描かれた遺構の形状が赤鉛筆等で修正され、図5にしめす遺構実測図粗図修正図が作成される。遺構実測図粗図修正図はイメージスキャナ14により読み取られて遺構実測図粗図修正図データとしてデータベース27に記憶される。また、遺構はデジタルカメラ16により撮影され、パソコン12にデータ送信されて写真データとしてデータベース27に記憶される。遺構実測図粗図データ、遺構実測図粗図修正図データ、写真データ等はインターネット30を介して遺構実測図編集システム17のパソコン17に送信され、データベース29に記憶される。
【0028】
遺構実測図編集ソフト28は、更に、遺構実測図粗図を遺構実測図粗図修正図や写真を見ながら実物に合わせて画面上で形状を整えるものであり、例えば点をドラッグするとその点と前後の点を通るスムーズな曲線を描く機能により折れ線を曲線に変更したり、形状を整えるために点を追加することができる。遺構の輪郭線を作成した後に、表示したい断面を直線で指示して断面作成のコマンドを実行すると、図6に示すように、直線で指示された任意断面の断面線が作成され、高さの指標となるDLラインが表示される。座標値データから等高線を自動的に作成して遺構実測図に表示することもできる。遺構観測図作成ソフト26で分割された各区分図について形状を整えた後、これら区分図を自動的に合成して全体図を作成することができる。
【0029】
次に、本発明に係る遺構実測図作成方法を上述の遺構実測図の作成システムの作動とともに説明する。図7の遺構実測図作成のフロー図に示すように、遺跡現場でトータルステーション13の設置場所である器械点及び器械点から数十メートル離れたバック点の座標値を公共座標系の基準点から前もって測量して求める。トータルステーション13により多数の測量点を測量し、各実測値を視準点の名称、種類、折れ線で結ぶ視準点の通し番号、ポイントコード等とともにデータレコーダに記憶する(ステップ31)。パソコン12で取込み変換ソフト25を起動し、器械点、バック点の公共座標値をデータ作成条件として入力し、トータルステーション13をパソコン12に接続してデータレコーダから実測値を取り込むとともに(ステップ32)、実測値を公共座標系のX,Y,Z座標値に変換して座標値データを作成し(ステップ33)、データベース27に記憶する。
【0030】
座標値データの全体をパソコン12の画面に表示して画面上でコピーし、遺構観測図作成ソフト26を起動して画面の所定箇所に貼り付けると、座標値データが遺構観測図作成ソフト26のデータとしてクリップボード経由で取り込まれる(ステップ34)。遺構観測図作成ソフト26は、通し番号が付された視準点を折れ線で結び、数メートル間隔でX,Y軸と平行にグリッドを引いて遺構観測図を作成して表示し、作業者は遺構観測図を見て測量ミスをチェックする(ステップ35)。遺構観測図作成ソフト26は、図面縮尺と用紙サイズを指定すると分割区分を自動的に決定し、分割枠を画面に表示する(ステップ36)。遺構図分割ファイルの保存コマンドを実行すると、分割区分毎に左上から右下へと順番に自動的にファイル名が付けられて遺構観測図データとして保存される(ステップ37)。
【0031】
パソコン12で遺構実測図編集ソフト28が起動され、遺構観測図データが読み込まれ、遺構観測図の遺構を描く折れ線の両端が自動的に閉じられ、線の属性変更機能により直線がスムージング化されて遺構が曲線で描かれ(ステップ38)、数メートル間隔でX,Y軸と平行にグリッドが記入されて遺構実測図粗図の区分図が自動的に作成され、遺構実測図粗図データとしてデータベース27に記憶される(ステップ38)。
【0032】
遺構実測図粗図の区分図がプリントアウトされ(ステップ39)、遺構がスムージング化されて曲線で描かれた遺構実測図粗図が、遺構の現場観察により赤鉛筆等で修正され、遺構実測図粗図修正図が作成される(ステップ40)。遺構実測図粗図修正図はイメージスキャナ14により読み取られて遺構実測図粗図修正図データとしてデータベース27に記憶される(ステップ41)。デジタルカメラ16により撮影された遺構の写真はパソコン12にデータ送信されて写真データとしてデータファイル27に記憶される(ステップ42)。1日の作業が終了すると遺構実測図粗図データ、遺構実測図粗図修正図データ、写真データ等がインターネット30により遺構実測図編集システム17のパソコン18に送信され、データベース29に記憶される(ステップ43)。
【0033】
遺跡現場から離れた本事務所では、遺構実測図編集ソフト28を起動し、受信した遺構実測図粗図データを取り込んで遺構実測図粗図を画面表示する。作業者は遺構実測図粗図修正図及び写真をプリントアウトし、遺構実測図粗図修正図や写真を見ながら遺構実測図粗図を実物に合わせて画面上で編集して図8に示す遺構実測図を作成し、遺構実測図データとしてデータベース29に記憶する(ステップ44)。この遺構実測図粗図の画面上での編集は、点をドラッグするとその点と前後の点を通るスムーズな曲線を描く自由曲線編集機能を点の移動、追加、削除、自由曲線編集機能を局部的に停止する点の指定、線の統合、切断等を指定しながら行なわれる。さらに、3次元曲線の断面の編集機能、遺物分布等の3次元座標を持つ測量点の高さ分布表示と編集機能等により行なわれる。作成された遺構実測図データは翌朝までにインターネット30によりパソコン12に送信される(ステップ45)。遺跡現場では翌日、遺構実測図編集ソフトを起動して送信された遺構実測図データをデータベース27に記憶し、遺構実測図をプリントアウトして確認を行なう(ステップ46)。修正がある場合は、遺構実測図を赤鉛筆等で修正してイメージスキャナで読み取り、インターネット30によりパソコン18に送信する。本事務所では、手書きで修正された遺構実測図を見ながら遺構実測図を自由曲線編集機能等により画面上で修正し、パソコン12に送信して再確認をとる。遺構実測図が全て遺跡現場で確認されると修正箇所が更新され遺構実測図の作成を完了する(ステップ47)。遺構実測図の区分図を自動的に合成して図8に示す遺構実測図の全体図を作成することができる。
【0034】
なお、上記実施形態においては、遺構観測図をスムージング化して遺構実測図粗図を作成し、これを現場観察により修正して遺構実測図粗図修正図を作成しているが、遺構が直線的な場合は、遺構観測図を遺構実測図粗図とし、プリントアウトした遺構観測図を現場観察により修正して遺構実測図粗図修正図としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る遺構実測図作成システムの構成を示す図である。
【図2】 表計算ソフトで取扱い可能なデータ形式の座標値データを示す図である。
【図3】 遺構観測図を示す図である。
【図4】 遺構実測図粗図を示す図である。
【図5】 遺構実測図粗図修正図を示す図である。
【図6】 指示された直線に沿った断面線を示す図である。
【図7】 遺構実測図作成のフロー図である。
【図8】 遺構実測図を示す図である。
【図9】 遺構実測図の全体を示す図である。
【符号の説明】
10・・・遺構実測図の作成システム、11・・・遺構実測支援システム、12・・・ノート型パソコン、13・・・トータルステーション(光波測量機器)、14・・・イメージスキャナ、15・・・デジタルカメラ、16・・・プリンタ、17・・・遺構実測図編集システム、18・・・パソコン、25・・・取込み変換ソフト、26・・・遺構観測図作成ソフト、27,29・・・データベース、28・・・遺構実測図編集ソフト、30・・・通信ネットワーク(インターネット)。
Claims (8)
- 光波測量機器により遺構を実測し、該実測値を光波測量機器から遺構実測支援システムにデータ送信し、遺構実測支援システムは、前記実測値を公共座標系の座標値に変換して座標値データを作成して記憶し、該座標値データに基づいて遺構実測図粗図を作成して遺構実測図粗図データとして記憶し、プリントアウトされた遺構実測図粗図を現場観察により修正して作成した遺構実測図粗図修正図をイメージスキャナで読み取って遺構実測図粗図修正図データとして記憶し、前記遺構実測図粗図データ及び遺構実測図粗図修正図データを遺構実測図編集システムに送信し、該遺構実測図編集システムは、前記遺構実測図粗図データ及び遺構実測図粗図修正図データを記憶し、遺構実測図粗図修正図に基づいて遺構実測図粗図を画面上で編集して遺構実測図を作成し遺構実測図データとして記憶し、該遺構実測図データを遺構実測支援システムに送信して遺構実測図の確認を行なうことを特徴とする遺構実測図の作成方法。
- 請求項1に記載の遺構実測図の作成方法において、前記座標値データが表計算ソフトで取扱い可能なデータ形式であることを特徴とする遺構実測図の作成方法。
- 請求項1又は2に記載の遺構実測図の作成方法において、前記遺構実測支援システムは、遺構の写真を取り込んで写真データとして記憶し、該写真データを前記遺構実測図編集システムに送信し、前記遺構実測図編集システムは、該写真データを記憶し、遺構実測図粗図修正図及び写真に基づいて前記遺構実測図粗図を画面上で編集して遺構実測図を作成して遺構実測図データとして記憶することを特徴とする遺構実測図の作成方法。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の遺構実測図の作成方法において、前記遺構実測支援システムと前記遺構実測図編集システムとの間でデータを通信ネットワークで送受信することを特徴とする遺構実測図の作成方法。
- 遺構を実測する光波測量機器と、
前記光波測量機器からデータ送信された前記実測値を公共座標系の座標値に変換して座標値データを作成して記憶し、該座標値データに基づいて遺構実測図粗図を作成して遺構実測図粗図データとして記憶するとともに、前記遺構実測図粗図を修正した遺構実測図粗図修正図を遺構実測図粗図修正図データとして記憶する遺構実測支援システムと、
前記遺構実測支援システムとデータ通信装置により接続され、前記遺構実測支援システムから送信された前記遺構実測図粗図データ及び前記遺構実測図粗図修正図データを記憶するとともに、前記遺構実測図粗図修正図に基づいて前記遺構実測図粗図を画面上で編集して作成された遺構実測図を遺構実測図データとして記憶し、遺跡現場の確認を取るために前記遺構実測図データを前記遺構実測支援システムに送信する遺構実測図編集システムと、
を備えることを特徴とする遺構実測図の作成システム。 - 請求項5に記載の遺構実測図の作成システムにおいて、前記座標値データが表計算ソフトで取扱い可能なデータ形式であることを特徴とする遺構実測図の作成システム。
- 請求項5又は6記載の遺構実測図の作成システムにおいて、前記遺構実測支援システムは、遺構の写真を取り込んで写真データとして記憶し、該写真データを前記遺構実測図編集システムに送信し、前記遺構実測図編集システムは、前記遺構実測支援システムから送信された前記写真データを記憶し、前記遺構実測図粗図修正図及び前記写真に基づいて前記遺構実測図粗図を画面上で編集して作成された遺構実測図を遺構実測図データとして記憶することを特徴とする遺構実測図の作成システム。
- 請求項5乃至7のいずれかに記載の遺構実測図の作成システムにおいて、前記遺構実測支援システムと前記遺構実測図編集システムとを通信ネットワークで接続したことを特徴とする遺構実測図の作成システム。
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