JP4839431B2 - 中性子回折法と磁気測定法とを用いるリチウム電池用正極材料の精密結晶構造評価方法 - Google Patents
中性子回折法と磁気測定法とを用いるリチウム電池用正極材料の精密結晶構造評価方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、中性子回折法及び磁気測定法を組み合わせたリチウム二次電池の正極材料の精密構造評価方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
リチウム二次電池は、軽量で、しかもエネルギー密度が高いため、携帯機器用電源として各方面で広く実用化されている。
【0003】
電池のエネルギー密度等の特性は、主に電極材料で規定されるため、より高性能の電極材料の実現を目指して、開発が活発に行われている。中でも、正極材料が、電池システムにおける低コスト化及び高エネルギー密度化の点で大きなウェイトを占めているため、重要な研究開発要素の1つになっている。
【0004】
現在、既に市販されているリチウムコバルト酸化物を、リチウムニッケル酸化物やリチウムマンガン酸化物等の低コスト材料で置き換える提案がなされており、携帯機器用電源として一部実用化されている。
【0005】
また、移動体用電源等のための大型電源においては、電極材料としてリチウムマンガン酸化物が有力候補となっており、電気自動車用駆動電源としての開発が盛んに行われ、実用化されてきている。
【0006】
しかし、携帯用電源機器のように幅広く普及するためには、携帯機器用電源以上に優れたサイクル特性や高寿命といった大型化に伴う特性要求を満たす必要があり、より一層の電極材料の改良が必要である。
【0007】
特に、リチウムマンガンスピネル酸化物は、高温保存時に電池特性が劣化するという実用化における大きな問題を有しており、電池の劣化機構解明及び劣化を抑制した優れた電池特性を示す材料の開発が、重要な課題となっている。
【0008】
従来の研究では、電解液や負極表面を検討することにより、電池の構造中からのマンガンの溶出が、電池特性に複雑な影響を与えることが提唱されているが、正極材料そのものの構造変化を直接調べた研究は、ほとんどない。
【0009】
高温保存時の電池特性劣化を抑え、且つ大型化に伴う厳しい要求特性を実現させるためには、正極材料自体の高温保存時、サイクル時等における結晶構造の変化を詳細に調べ、その原因を解明し、それに基いた結晶構造の精密な制御が必要不可欠である。
【0010】
そのためには、正極材料の構造中の各構成元素の座標及び占有率を、高精度で迅速に解析できる測定評価方法の開発が必要である。特に、わずかな構造変化を精度良く検出できる方法の開発が、材料の問題点を解明し、改良された正極材料を開発するために重要である。更に、実用電池を用いた問題点の抽出も非常に重要である。
【0011】
従来は、例えば、高温保存後のリチウムマンガンスピネルの構造変化を調べる方法としては、X線回折測定が用いられてきた。この方法では、試料表面の影響を受けた格子定数の変化の情報が得られるのみで、構造内の軽元素であるリチウムや酸素の占有率や座標に関する精度の良い情報は得られず、特にリチウムや酸素の占有率についての情報は得られなかった。
【0012】
遷移金属の電子状態及び局所構造を調べるにはXAFS法(X線吸収微細構造解析法)が知られており、また、特開平10−255801号公報においてXANES(X線吸収端近傍構造)を用いた長寿命のリチウム二次電池の開発法が提案されているが、どちらの方法もスペクトルの変化が小さく、検出感度が低い。
【0013】
一方、中性子回折法によって、正極材料に大きな影響を及ぼすリチウムや酸素等の元素に関する情報を得ることができる。リチウムマンガンスピネル酸化物において、中性子回折法を用いて酸素欠損を検出した研究例としては、R. Kanno et al., J. Power Sources, 81-82, (1999) 542-546等で報告されている。しかしながら、この方法は、通常の酸化物の結晶構造解析を報告するだけであり、結晶構造及び電池特性の関連性については報告されていない。
【0014】
更に、構造中の遷移金属の配位状態及び電子状態を調べる方法としては、磁気測定法が知られている。また、電池の充放電容量及び作動電圧の予測を迅速に行う素材評価方法が、特開平9−180722号公報により提案されているが、遷移金属の配位状態の予測を行う方法については言及していない。
【0015】
以上のように、磁気測定法を電極材料の素材評価法として検討した例はあるが、構造評価とは関連付けられていない。また、中性子回折法は、素材の構造を解析するのみであった。従って、これらの方法を用いて得られた情報は、実用電池の開発に反映されていない。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、リチウム二次電池の開発、特にリチウム二次電池に適した正極材料の開発を可能とする精密構造評価方法を提供することを主な目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、高分解能中性子回折装置を用いた中性子回折法及び超伝導量子干渉計を用いた磁気測定法を組み合わせることにより、電極材料の構造中のリチウムや酸素に関する精度の良い情報を得ることが可能となり、その結果、電池電極材料の特性劣化の構造的要因を解明できる方法を見出した。
【0018】
すなわち、本発明は以下の通りである。
項1. 高分解能中性子回折装置を用いる中性子回折法と超伝導量子干渉計を用いる磁気測定法とを組み合わせて用いるリチウム電池用正極材料の精密構造評価方法であって、
前記リチウム電池用正極材料に対して
(i)中性子回折測定を行い、
(ii)磁気測定法において、温度と磁化率との関係を測定し、
(iii)磁気測定法において、磁場を連続的に変化させて磁化を測定し、
前記(i)の測定によって、前記各正極材料のリチウム及び酸素の占有率を求め、
前記(ii)の測定によって求めた温度と磁化率との関係を示すグラフから、磁化率の大きさ及びカスプの明瞭性を求め、
前記(iii)の測定によって求めた磁場と磁化との関係を示すグラフから、ヒステリシスの大きさを求める、
精密構造評価方法。
項2. 前記(iii)の測定において、磁場を0→0.1T→−0.1T→0.1Tに変化させて磁化を測定する、項1に記載の精密構造評価方法。
項3. 前記(iii)の測定を5Kの温度下で行う、項1又は2に記載の精密構造評価方法。
項4. 前記高分解能中性子回折装置が、中性子発生源と測定試料との間に中性子発生源で発生した中性子を試料に導く中性子導管と、測定試料を取り囲むように立体的に敷き詰められた中性子検出器とを備えることを特徴とする、項1〜3のいずれかに記載の方法。
項5. 前記検出器が散乱角150〜175度の検出器であり、且つ該検出器が試料から2〜2.5m離れていることを特徴とする、項4記載の方法。
項6. 前記中性子回折法を、50ミリ秒の間隔で0.1〜10Åの波長分布を有する白色パルス中性子を発生させて行うことを特徴とする、項1〜5のいずれかに記載の方法。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明においては、高分解能中性子回折装置及び超伝導量子干渉計を用いて、電極材料の測定及び評価を行う。高分解能中性子回折装置として、例えば、“Sirius”として知られる装置を用いることができる。
【0020】
中性子は電気的に中性のため、物質内の強力なクーロンポテンシャルの影響を受けずに、原子核により散乱される。そのため、中性子散乱長(核散乱振幅)は核種で大きく異なるが、原子番号とは無関係であり、軽元素であっても詳細な情報を与える。
【0021】
従って、リチウム二次電池正極材料となるリチウム含有正極材料に対する中性子照射により、構造及び物性に大きな影響を与えるリチウムの情報を詳しく得ることができ、構造決定をより正確に行うことができる。
【0022】
また、酸素の中性子散乱長が正の散乱長を示すため、リチウムやマンガン等の負の散乱長を示す元素の組み合わせの材料においては、酸素と陽イオンの区別が容易である。この特徴を利用して、高分解能中性子回折装置による精密結晶構造評価を行うことが可能になる。
【0023】
磁気特性は、遷移金属の配位状態及び価数状態に密接に関連している。特に酸化物においては、遷移金属及び酸素の結合が、超交換相互作用として定性的に研究されている。
【0024】
特に、100K以下の低温下、0.1T以下の低磁場下での磁気測定データは、遷移金属に起因するわずかな構造変化及び価数状態の変化を反映していることが、最近知られてきている。この特徴を利用して磁化率の温度依存性及び磁化の磁場依存性の測定を行い、得られた曲線の形状及び相対値を比較検討することで構造評価を行うことが可能になる。
【0025】
また、モル磁化率の逆数(χm -1)の温度(T)依存性から得られる直線部分を、Curie-Weiss則(χm -1=(T−θ)/Cm)を基に解析することにより得られる有効磁気モーメント及びWeiss温度を用いて比較検討することにより、構造評価を行うことも可能になる。
【0026】
測定対象となる正極材料として、例えば、リチウムマンガンスピネル酸化物が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0027】
本発明において使用するリチウム源原料としては、酸化物、水溶性塩、水酸化物等があげられる。遷移金属源原料としては、水溶性塩(硝酸塩、硫酸塩、塩化物)、水酸化物、酸化水酸化物(MnOOH等)、金属マンガン等が挙げられるが、これに限定されるものではない。リチウム源原料、遷移金属源原料としては単独で使用しても良く、2種以上を併用しても良い。
【0028】
本発明において使用される電極材料の合成条件としては、原料混合比(元素組成比)がリチウム源/遷移金属源で表すと0.4〜0.8、好ましくは0.5〜0.6の範囲が良い。遷移金属源としては2種以上の遷移金属元素を併用しても良い。焼成温度は、通常773〜1273K程度で、より好ましくは973〜1173K程度が良く、空気中又は酸素雰囲気下で24時間の焼成を数回繰り返すのが好ましい。
【0029】
高分解能中性子回折測定法は、50ミリ秒の間隔で0.1〜10Å程度の波長分布を有する白色パルス中性子を発生させることができる、中性子源に設置した装置(例えば、以下“Sirius”という)を用いて行うことができる。
【0030】
中性子は波長によって速度が異なるため、検出器を十分遠方に置くと、中性子が検出器に到着する時刻が波長によって違ってくる。従って、検出器に到着する時刻を調べることで波長を知ることができる。
【0031】
“Sirius”を用いたリチウム二次電池用正極材料の構造評価においては、検出器は試料から2〜2.5m程度離れているのが良く、散乱角150〜175度程度の検出器を用いるのが好ましい。データ解析の際の波長範囲として0.8〜5Åを用いるのが好ましい。測定温度は室温でよい。
【0032】
中性子発生源から発生した中性子を試料(正極材料)に入射し、試料でブラッグ回折を起こす波長を調べることにより、電池正極材料の結晶構造を詳細に調べることができる。
【0033】
しかしながら、従来の装置では、電池電極材料の迅速評価に適した十分な回折強度は得られていなかった。構造評価に十分な強度のデータの収集を行うのに5時間以上の測定時間が必要とされ、作成条件及び充放電条件を変更した数多くの試料の構造評価には、必ずしも適したものとは言えなかった。
【0034】
“Sirius”は、中性子発生源と試料との間に中性子導管を設置することにより、中性子をロスなく試料に導き、更に中性子検出器を試料を取り囲むように立体的に敷き詰めることにより、従来の装置より1桁高い回折強度を得ることができる。即ち、30分程度の測定時間で、構造評価に適したデータの収集が可能である。
【0035】
また、“Sirius”は回折強度のみならず結晶構造を調べる精密さにおいても、非常に高性能である。例えば、分解能は、日本原子力研究所に設置された同種の2台の装置がΔd/d=0.4%、0.2%に対し“Sirius”は0.09%である。分解能はブラッグ回折線の分離の程度を表し、この値が小さければそれだけブラッグ回折線が分離できることを示す。
【0036】
また、波数領域 Qは前者2台がQ=7Å-1に対し、“Sirius”は30Å-1である。ブラッグ回折線の数は波数領域の3乗に比例するため、反射の数が多い“Sirius”は、結晶構造を精密に調べるために必要な、極めて多くの情報が得られる。
【0037】
試料(電池電極材料)はバナジウム製容器に充填、“Sirius”にセットし、真空に排気した後、中性子を入射するのが良い。検出器で検出された中性子は、コンピュータで即座に前処理され構造解析されることができる。
【0038】
磁気測定は、SQUIDを用いて行った。SQUIDは、輪状に形成した超伝導体に一つのジョセフソン接合を配した素子である。輪の中の磁束が貫くと、量子交換効果によって、素子特性が磁束量子の周期で変化するため、SQUIDは、鋭敏な磁束計として利用されている。
【0039】
例えば、測定条件として、測定試料は10〜300mg程度、磁場の範囲は0〜1T程度、測定温度範囲は5〜350K程度が例示できる。測定モードとして、磁化の温度依存性の測定及び磁化の磁場依存性を測定する必要がある。
【0040】
精度の良いデータを得るには、測定試料は30〜150mg程度、磁場の範囲は0〜0.3T程度の測定条件において、データ点数を増やして測定するのが好ましい。磁化の温度依存性の測定では、測定温度範囲は5〜150K程度が好ましい。
【0041】
本発明では、電極特性評価には、コイン型、18650型円筒型等のリチウムイオン二次電池用いて電気化学特性の評価を行うが、該評価に用いられる電池はこれらに限定されない。
【0042】
コイン型電池は、評価試料に導電剤、結着剤等を配合し、混練して合剤とし、これを、例えばステンレスメッシュからなる正極合剤に圧着して正極とするのがよく、18650型円筒型は、評価試料に導電剤、結着剤等を配合し、混練してペーストとし、これを、例えばアルミ箔に均一に塗布後乾燥させて正極とするのがよい。
【0043】
いずれの場合も、導電剤としてはアセチレンブラック、ケッチェンブラック等が、結着剤としてはテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等が例示されるが、特に限定されるものではない。
【0044】
合剤における導電剤の配合量は特に限定されないが、通常、合剤中1〜30重量%、好ましくは5〜15重量%の範囲が良い。
【0045】
結着剤の配合量も特に限定されないが、通常、0〜30重量%、好ましくは3〜10重量%の範囲が良い。
【0046】
本発明によれば、中性子回折法により得られるリチウムや酸素等の軽元素の占有率等のデータ、及び磁気測定法によるMn等の遷移金属の配位状態及び平均価数等のデータを組み合わせることにより、得られた正極材料のわずかな構造変化をも検出することができ、その材料が電池の正極材料に適しているかどうかを評価することができる。
【0047】
より具体的には、後記実施例及び試験例にも示すように、例えば、原料の正極材料と常温及び高温保存後の電池から取り出した正極材料とを対象として、中性子回折と磁気測定とを行う。中性子回折により得られた格子定数等の変化及び磁気測定により得られた磁化率等の変化を解析することにより、正極材料の安定性、即ち正極材料としての適性を評価することができる。
【0048】
【実施例】
実施例1
Li1+xMn2-xO4 (x=0.3,0.5,0.8,1.0)は、リチウムとマンガンの比が0.51〜0.57の範囲のモル比になるように、炭酸リチウム(Li2CO3)及びマンガン酸化物(Mn3O4)を完全に混合して作製した。1023K、24時間、空気中で焼成後、炉内で徐冷を行った。
【0049】
得られた試料はいずれも、中性子回折測定により、スピネル構造を示す単一相で不純物の痕跡がないことを確認した。中性子回折測定では、散乱角150〜175度の検出器を用いて中性子の検出を、0.8〜5Åの波長範囲においてデータ解析を行った。
【0050】
測定に用いた粉末試料は5g程度で、測定温度は室温で行い、測定時間は各40分程度であった。構造解析の結果より、測定試料の結晶相は仕込み組成とほぼ一致していることが直接決定された。
【0051】
磁気特性評価において、粉末試料50mgを使用し、磁気特性評価装置としてSQUIDを用いて測定を行った。磁化率の温度依存性の測定は、試料をゼロ磁場下で5Kから300Kまで連続的に温度を上昇させた後、0.1Tの磁場を印加し、300Kから5Kまで連続的に温度を下降させることにより行った。
【0052】
また、磁化の磁場依存性の測定は、試料を5Kの温度下で0T→0.1T→−0.1T→0.1Tの順に磁場を連続的に変化させることにより、行った。磁気測定による磁化率の温度依存性のデータより、リチウム組成の増加に伴い、磁化率の増大及び20K付近のカスプが明瞭になることが観測された。
【0053】
また、磁化の磁場依存性のデータより、リチウム組成の増加に伴い、より大きなヒステリシスを示した。これはMn4+-O-Mn4+の強磁性成分の増大を示唆しており、構造中のMnの平均価数のわずかな上昇が検出された。
【0054】
実施例2
測定試料は、Li1.03Mn1.97O4の組成式で表されるリチウムマンガンスピネル5gを、LiPF6が1MとなるようにEthylencarbonate (EC)及び1,2−diethoxycarbonate (DEC)の混合溶媒(1:1)に溶かした有機電解液12g中に、80℃で6日間保存することにより作製した。
【0055】
中性子回折測定では、散乱角150〜175度程度の検出器を用いて中性子の検出を、0.8〜5Åの波長範囲においてデータ解析を行った。測定に用いた粉末試料は5g程度で、測定温度は室温で行い、測定時間は各40分程度であった。
【0056】
“Sirius”による室温で得られた回折データを用いて、Rietveld法にて結晶構造を決定した。測定された中性子回折図形を図1に示す。
【0057】
中性子構造解析の結果、高温保存前の格子定数は8.24282(3)Å、高温保存後の格子定数は8.23938(5)Åであり、わずかな格子定数の減少が観測された。
【0058】
この減少は、X線回折で得られた、保存前の格子定数8.23849(7)Åから高温保存後の格子定数8.23052(12)Åへの変化と比較して小さいことから、試料表面の影響を受けない、高精度な格子定数の変化の検出が可能であることが、明らかになった。
【0059】
また、構造解析の結果より、80℃保存後の試料においては、わずかながら構造中のリチウムが増加し(Mnが減少し)、且つ酸素原子の占有率が変化しないという情報を、正極材料から直接得ることができた。
【0060】
磁気特性評価においては、粉末試料50mgを磁気特性評価装置としてSQUIDを用いて測定を行った。磁化率の温度依存性の測定は、ゼロ磁場下で5Kから300Kまで連続的に温度を上昇させた後、0.1Tの磁場を印加し、300Kから5Kまで連続的に温度を下降させることにより行った。また、磁化の磁場依存性の測定は、5Kの温度下で0T→0.1T→−0.1T→0.1Tの順に磁場を連続的に変化させることにより行った。
【0061】
磁気測定による磁化率の温度依存性のデータより、Li1.03Mn1.97O4を80℃で保存した試料では、実施例1で示された原料のLi1.03Mn1.97O4と比べて、磁化率の増大及び20K付近のカスプが明瞭になることが検出された。図2に磁化率の温度依存性の曲線を示す。
【0062】
また、高温保存前4.37μB、高温保存後4.31μBの有効磁気モーメントが、160〜300Kのデータから求められた。有効磁気モーメントの減少は、構造中のMn4+成分の増大を示唆していた。
【0063】
磁化の磁場依存性のデータより、Li1.03Mn1.97O4を80℃で保存した試料は、Li1.05Mn1.95O4 より大きなヒステリシスを示した。これは、Mn4+-O-Mn4+の強磁性成分の増大を示唆しており、構造中のMnの平均価数のわずかな上昇が検出された。図3に磁化の磁場依存性の曲線を示す。
【0064】
これらの磁気測定データより、Li1.03Mn1.97O4を80℃で保存した試料において、Li1.05Mn1.95O4 及びLi1.08Mn1.92O4の磁化率の間の値を取ること、及び磁化率曲線の形状について大きな変化が観測されないことが示された。この結果から、結晶構造内のMn配位状態は大きく変わっていないこと、Mnの平均価数がこれらの間で変化していることが明らかとなった。
【0065】
今回初めて、低温磁性を調べることにより、マンガンの微妙な配位状態の変化を検出した。
【0066】
本実施例で得られた結果により、中性子回折によりリチウム及び酸素の占有率が直接決定され、磁気測定よりそれぞれの構造に対応する磁化曲線(磁化率の温度依存性及び磁化の磁場依存性)が見出された。
【0067】
中性子回折の結果と磁化測定の結果とが良い対応関係を示していることから、中性子回折と磁気測定とを組み合わせることにより、リチウムや酸素などの高精度な情報が得られることが明らかになった。
【0068】
更に、簡便な磁気測定を主として用い、任意抽出した試料に対して中性子回折を用いることにより、迅速な試料の結晶構造評価が可能となることが明らかになった。
【0069】
実施例3
実用電池における正極の特性を確認するために、Li1.03Mn1.97O4の組成式で表されるリチウムマンガンスピネルを正極材料、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)を負極材料、電解液にLiPF6が1MとなるようにECとDECの混合溶媒(1:1)に溶かした有機電解液を用いて、18650型円筒電池を作製した。
【0070】
正極電極において、中性子回折測定への影響を少なくするための導電助材としてのアセチレンブラックを4%、バインダー(PVDF)を10%、正極活物質を86%の比率で混ぜた電極を作製した。
【0071】
室温で1ヶ月間保存した電池、及び充電状態又は放電状態で80℃で6日間した電池を、試験終了後、完全放電させた後に解体し、正極を集電体から剥がして、正極材料であるリチウムマンガンスピネルを回収した。正極材料はDECで洗浄後、室温で真空乾燥を行った後に測定に供された。以上の解体作業はいずれもドライルーム内で行われた。
【0072】
中性子回折測定では、散乱角150〜175度の検出器を用いて中性子の検出を、0.8〜5Åの波長範囲においてデータ解析を行った。測定に用いた粉末試料は5g程度で、測定温度は室温で行い、測定時間は各40分程度であった。
【0073】
“Sirius”による室温下での測定により得られた回折データを用いて、結晶構造が決定された。中性子構造解析の結果、高温保存後の格子定数が大きく減少していることが明らかになった。
【0074】
高温保存前の格子定数は8.24282(3)Å、室温1ヶ月保存後の格子定数は8.23950(2)Åであり、室温保存では1ヶ月後も顕著な格子定数の変化は観測されなかった。
【0075】
しかし、充電状態及び放電状態での80℃における6日間保存後の格子定数は、それぞれ8.15519(3)Å、8.16310(8)Åで、充電状態のサンプルにおいてより小さな格子定数が観測されたが、いずれの試料においても、酸素欠損は生じていなかった。
【0076】
磁気特性評価は、粉末試料50mgを、磁気特性評価装置としてSQUIDを用いて測定することにより行った。磁化率の温度依存性の測定は、試料をゼロ磁場下で5Kから300Kまで連続的に温度上昇させた後、0.1Tの磁場を印加し、300Kから5Kまで連続的に温度を下降させることにより行った。
【0077】
また、磁化の磁場依存性の測定は、試料を5Kの温度下で0T→0.1T→−0.1T→0.1Tの順に磁場を連続的に変化させることにより行った。
【0078】
磁気測定による磁化率の温度依存性のデータより、実施例1で示された原料のLi1.03Mn1.97O4と比し、8〜10倍の磁化率の増大が観測された。この値は、実施例1で示されたLi1.1Mn1.9O4の磁化率と比べても大きな値を取ることから、大きな組成変化が生じていることがわかる。
【0079】
一方、磁化率曲線の形状には大きな変化が観測されないことから、結晶構造内のMn配位状態が大きく変化しているのではなく、平均価数が大きく上昇していることが明らかになった。
【0080】
今回初めて、低温磁性を調べることにより、マンガンの微妙な配位状態の変化を検出した。
【0081】
本実施例で得られた結果により、初めて、実用電池の電極状態で電池特性評価された正極材料において、中性子回折によりリチウム及び酸素の占有率が直接決定され、磁気測定よりそれぞれの構造に対応する磁化曲線(磁化率の温度依存性及び磁化の磁場依存性)が見出された。
【0082】
中性子回折の結果及び磁化測定の結果は良い対応関係を示していることから、中性子回折及び磁気測定を組み合わせることにより、リチウムや酸素等の精度良い情報が得られることが明らかとなった。
【0083】
更に、測定試料を磁気測定法を用いて測定した後、その測定された試料中から任意抽出した試料を中性子回折法を用いて測定することにより、迅速且つ精密な、試料の結晶構造評価が可能となることが明らかになった。
【0084】
更に、本発明における精密構造評価法及び実用電池試作装置を結びつけて、相互にフィードバックをかけることにより、電池電極材料の開発をすることは、これまでの電池材料開発において例はなく、高性能な電極材料の開発に極めて有効な方法である。
【0085】
試験例1
実施例1及び2で得られた測定試料を正極材料、負極に金属リチウム、有機電解液にはLiPF6が1MとなるようにECとDECの混合溶媒(1:1)に溶かした電解液を用いたコイン型電池を作製し、電流密度0.2mA/cm2で充放電サイクル特性を測定した。
【0086】
正極合剤としては、試料、アセチレンブラック、テフロンを85:10:5の割合に混合したものを用いた。
【0087】
図4に1サイクル目の充放電図形を示す。4.4〜3.0Vのカットオフ電位で初期放電容量101mAh/gを示した。これは原料のLi1.03Mn1.97O4の初期放電容量129mA/gと比較して容量の減少が観測され、充放電効率も0.98から0.94へ低下した。
【0088】
また、電池特性の劣化は、実施例2で観測された構造中のMnの減少及び磁化率の増大に対応しており、高温保存前後でMnの配位状態及び磁化率の値が変化が小さい試料を合成することで、高温保存時の劣化を抑えたリチウムマンガンスピネル電極材料が得られることが明らかとなった。
【0089】
試験例2
実施例3で得られた円筒型電池を用いて、電気量1/6Cで充放電サイクル特性を測定した。円筒電池は4.4〜2.5Vのカットオフ電位で放電容量1000mAhを示した。放電状態で80℃で6日間保存したところ、放電容量をほとんど示さなかった。
【0090】
この電池特性の劣化は、実施例3で観測された構造中のMnの減少及び磁化率の増大に対応しており、高温保存前後でMnの配位状態及び磁化率の値が変化が小さい試料を合成することで、高温保存時の劣化を抑えたリチウムマンガンスピネル電極材料が得られることが明らかとなった。
【0091】
【発明の効果】
本発明による中性子回折法及び磁気測定法を組み合わせた精密構造評価方法を用いることにより、従来は得られなかった正極材料の構造に関する情報を得ることができる。
【0092】
更に、この精密構造評価法を用いて実用電池試作装置で作成された種々の電池を評価することにより、効率的に材料開発を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例2で測定された反応生成物の中性子回折図形を示した図である。
【図2】本発明の実施例2で測定された反応生成物の磁化率の温度依存性を示した図である。
【図3】本発明の実施例2で測定された反応生成物の磁化の磁場依存性を示した図である。
【図4】本発明の実施例1及び2の反応生成物を正極材料として用いたリチウムイオン二次電池の充放電サイクル特性を示す図である。
Claims (6)
- 高分解能中性子回折装置を用いる中性子回折法と超伝導量子干渉計を用いる磁気測定法とを組み合わせて用いるリチウム電池用正極材料の精密構造評価方法であって、
前記リチウム電池用正極材料に対して
(i)中性子回折測定を行い、
(ii)磁気測定法において、温度と磁化率との関係を測定し、
(iii)磁気測定法において、磁場を連続的に変化させて磁化を測定し、
前記(i)の測定によって、前記各正極材料のリチウム及び酸素の占有率を求め、
前記(ii)の測定によって求めた温度と磁化率との関係を示すグラフから、磁化率の大きさ及びカスプの明瞭性を求め、
前記(iii)の測定によって求めた磁場と磁化との関係を示すグラフから、ヒステリシスの大きさを求める、
精密構造評価方法。 - 前記(iii)の測定において、磁場を0→0.1T→−0.1T→0.1Tに変化させて磁化を測定する、請求項1に記載の精密構造評価方法。
- 前記(iii)の測定を5Kの温度下で行う、請求項1又は2に記載の精密構造評価方法。
- 前記高分解能中性子回折装置が、中性子発生源と測定試料との間に中性子発生源で発生した中性子を試料に導く中性子導管と、測定試料を取り囲むように立体的に敷き詰められた中性子検出器とを備えることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- 前記検出器が散乱角150〜175度の検出器であり、且つ該検出器が試料から2〜2.5m離れていることを特徴とする、請求項4記載の方法。
- 前記中性子回折法を、50ミリ秒の間隔で0.1〜10Åの波長分布を有する白色パルス中性子を発生させて行うことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
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