JP4838271B2 - 磁気浮上機構 - Google Patents
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Description
本発明の課題解決手段では、前記磁性体は、複数の鉄線の周囲を絶縁体で被覆してなる鉄線束、板状の磁性体、磁性体基板と非磁性体層との積層体、あるいは、磁性粉末の焼結合金のいずれかからなることを特徴とする。
本発明の課題解決手段では、前記浮上走行体の矩形状の台車のコーナ部分に個々にガイド輪が設けられ、前記浮上走行体の台車の外軌側のコーナ部分と内軌側のコーナ部分の両方において案内輪を略してなることを特徴とする。
即ち、本発明により浮上走行体の台車の製造コストの低減を図ることができ、浮上走行車の台車構造の簡略化と軽量化に寄与する。
前記の低速走行用カーブ区間が本線から分岐された引き込み線区間であるならば、浮上走行体の引き込み線区間における低速走行時において超電導磁石の発生させる浮上力並びに走行力が低下することに起因する浮上走行体の姿勢不安定性を回避し、磁性体と超電導磁石との間で発生する吸引力が浮上走行体の低速走行用カーブ区間での姿勢安定性を増長するので、引き込み線区間において浮上走行体が側壁に接触するおそれがなくなり、走行安定性を向上できる。
本発明の磁気浮上案内機構において、磁性体基板を複数、非磁性体層を介して積層してなる積層鉄心により磁性体を形成した場合、複数の鉄線の周囲を絶縁体で被覆してなる鉄線束により磁性体を構成する場合に比較し低コストで目的を実現できる効果を奏する。即ち、1本1本の鉄線を個々に絶縁して撚り合わせて製造するよりも、磁性体基板と非磁性体層を交互積層する方が製造が容易にでき、安価に提供できる。
また、積層鉄心により磁性体を構成する場合、板状の磁性体の場合、磁性体基板と非磁性体層との積層体からなる磁性体の場合、あるいは、磁性粉末の焼結合金の磁性体の場合のいずれにおいても磁気浮上走行体のカーブ区間における浮上走行安定性の向上に寄与し、台車に従来一般的に設けられていた案内輪を略することで浮上走行体の台車の製造コストの低減を図ることができ、浮上走行車の台車構造の簡略化と軽量化に寄与する。
図1は本発明に係わる磁気浮上案内機構の正面概略図であって、この図において符号1は軌道である。この軌道1は、両側に側壁2を有しこれら側壁2間にU字溝3を形成するものであって、この軌道1のU字溝3に沿って浮上走行体4が走行する(図1では紙面と直交する方向に走行する)。この浮上走行体4は、台車5と、この台車5の上方に空気バネ6を介して連結された車体7とを具備するものであって、台車5の下部には、U字溝3上の車輪走行路3Aを走行する車輪(図示略)、補助車輪(図示略)が設けられている。
この磁性体12が配置されているのは、図2に示す直線状の軌道1から分岐して設けられるカーブ区間に相当する軌道1aにおける内周側の側壁2である。このカーブ区間に相当する軌道1aは、直線状の軌道1から、駅などのために引き込み線として設けられる低速走行用カーブ区間などを例示することができる。
その配置例として、図2に示す如く、低速走行用カーブ区間の軌道1aの大部分には一定間隔で所定幅と所定長さの磁性体12を配置するが、軌道1から軌道1aに分岐する領域には水平方向の長さの短い磁性体12aを磁性体12どうしの相互間隔よりも大きな間隔をあけて配置するとともに、カーブ区間の軌道1aにおいて磁気的吸引力が必要ない領域になったならば水平方向長さの短い磁性体12aを再び前記と同じように大きな間隔をあけて配置する構成を採用することができる。
なお、図1では浮上コイル10及び推進コイル11とそれらに隣接する磁性体12とを併記しているので、図1は直線状の軌道1とカーブ区間の基層1aの境界部分において浮上コイル10及び推進コイル11と磁性体12が設けられた領域を例示している。また、低速走行用カーブ区間においては、通常、浮上コイル10及び推進コイル11は略されているが、浮上コイル10及び推進コイル11を必要に応じて低速走行用カーブ区間に設けていても差し支えない。
なお、浮上走行体4の台車5に急激な横方向及び前後力が作用しないように段階的に徐々に磁気吸引力を作用させるためには、磁性体12の配置や長さを調整する他に、磁性体12の厚さを変更するなどの構成を採用しても良い。図3においては説明の便宜のために、磁性体12を配置した区間を磁気的吸引力発生区間と表記し、磁性体12aを配置した区間を段階的に磁気的吸引力が増加する領域か、段階的に磁気的吸引力が減少する領域、即ち、グレーディング区間として区別して表記した。要するに、このグレーディング区間においては磁気的吸引力が徐々に増加するか減少するように、磁性体の磁気的ボリュームを徐々に増加するか、徐々に減少するように配置すれば良いので、磁性体の幅や厚さ、設置間隔の変更の他に、磁気的ボリュームを調整する手段を適宜適用すれば良い。
前記磁性線状体12は、例えば、図4に示されるように、複数の鉄線(強磁性体の線材)13の周囲を絶縁体14で被覆してなる鉄線束(強磁性線材束)により形成されているものであって、各鉄線束内には、矢印Aで示すような磁束が形成され、この磁束によって、超電導磁石8との間に浮上走行体4を磁気的に吸引するための力となる吸引力(図1に符号Bで示す)が発生する。また、このような磁性線状体12では、複数の鉄線13の周囲を被覆した絶縁体14が設けられているので、図4に符号Cで示すような渦電流が発生したとしても、これら鉄線束内の磁束により生じる渦電流が個々の鉄線13内に限定され、複数の鉄線13間を跨って流れる渦電流が抑止されるため、過大な磁気抗力を生じさせることなく、これによって磁性体12と超電導磁石8との間にて、吸収力Bを効率良く発生させることができる。
また、側壁2に沿って配置される磁性体12は、側壁2の継ぎ目部分において切れ目が生じ、この部分において補助的な吸引力が弱まり走行浮上体4に振動が生じるおそれがあるが、これを防止するために、このような継ぎ目部分に追加的に磁力を付与する磁性体あるいは磁力発生装置を設け、吸引力を連続に安定して維持することが好ましい。
図4に示す磁性体30においては、磁性線状体12が設けられていた部分に積層鉄心として、磁性体基板31をフラックスバリアとなるべき樹脂などの非磁性体層32を介して複数積層してなる積層構造の板状の鉄心を用いた点に特徴を有する。
前記積層鉄心30の磁性体基板31は、鉄板、珪素鋼板、あるいはFe系の強磁性体合金材料からなる磁性体基板から、あるいは強磁性体合金粉末を絶縁層で被覆してなる強磁性体粉末複合体を焼結した焼結材料製の磁性体基板などから形成されている。磁性体基板31を構成する材料として、その他、ヒステリシス損失が小さく電気伝導率の小さい磁性材料などを適用することが好ましい。
前記フラックスバリアとなるべき非磁性体層32は樹脂などの絶縁性の非磁性体基板などからなる磁気的絶縁層であることが好ましい。そのためには、FRP(ガラス繊維強化樹脂)などのように強度的に高く絶縁性に優れた樹脂が好ましく、この他には、非磁性の鉄合金など、磁性体と線膨張係数の近い材料などからなることが好ましい。
また、強磁性体合金粉末を絶縁層で被覆してなる強磁性体粉末複合体を焼結した焼結材料製の磁性体基板であるならば、強磁性体合金粉末自体が個々に絶縁層により被覆されていて、渦電流損失を低減できるので、渦電流損失の低減の面においてより好ましい。更に、本発明において適用する磁性体は無垢材の鉄板などの強磁性体基板であっても良く、超電導磁石8との間に磁気的吸引力を発生できるものであればその構造は特に問わない。
図6において矩形状に組まれた枠体40の両側に超電導磁石ユニット41が設けられ、超電導磁石ユニット41の上部側にヘリウムタンク42が設けられて、この例の台車51が構成されている。
台車51の枠体40の内側には図1に示す車輪走行路3Aを走行するための4つの車輪43が設けられている。そして、前記枠体40の各コーナ部分には、水平方向に回転自在に支持された案内輪45が水平旋回アーム46と支持軸47とに支持されて設けられている。また、先の支持軸47に軸支されている水平旋回アーム48に支持されたガイド輪49が先の案内輪48に隣接するように設けられている。
また、本発明に係る図1、図2に示す軌道1aに台車51を適用して台車51の案内輪45を省略する場合、図6に示す4基の案内輪45のうち、軌道1aの外側に位置する2基の案内輪45と内側に位置する2基の案内輪45をいずれも略することができる。また、浮上走行体4が複数連結式の車両である場合、先頭車の車両の台車51の外側の2基の案内輪45と内側に位置する2基の案内輪45をいずれも確実に略することができ、後尾車の車両の台車51の外側の2基の案内輪45と内側に位置する2基の案内輪45をいずれもを確実に略することができる。
これは先に図1、図2を元に説明した通り、内軌側の磁性体12あるいは30により磁気的吸引力を作用させて台車51を内軌側に吸引するならば、台車51の外軌側の部分を外軌側の側壁2に異常接近させることが無いためである。
本願発明の効果を検証するために、超電導磁石と磁性体を用いて磁気吸引力を発生させた場合に実際に発生すると想定される吸引力を計算した。
図7(A)に示す如く超電導走行車両に搭載される中心径500mmの超電導コイル20(700kA:SCコイル)に対し、260mm離間した位置に超電導コイルと中心高さを揃えた高さ550mm、厚さ25mmの鋼板21を鉛直に配置したと仮定すると、磁気吸引力は台車片側に対して566kN程度作用させることができる。
次に、図7(B)に示す如く超電導走行車両に搭載される中心径500mmの超電導コイル22(700kA:SCコイル)に対し、415mm離間した位置に超電導コイルと中心高さを揃えた高さ550mm、厚さ12.5mmの鋼板23を鉛直に配置したと仮定すると、磁気吸引力は台車片側に対して128kN程度作用させることができる。
以上説明のように、図7(A)の構造の場合に57トンの磁気吸引力、図7(B)の構造の場合に13トンの磁気吸引力を発生させて超電導走行車両の走行台車に作用できるということは、本発明者の想定として、13トン程度の磁気吸引力でもカーブにおける規制力として十分過ぎる位大きいと考えているので、超電導走行車両の走行台車用として十二分に実用的な磁気吸引力を発生できることが明らかであり、低速走行時のカーブ区間での前述の問題点を解消することができる。
即ち、これらのような十二分な磁気吸引力の発生により超電導走行車両の台車をその内軌側に吸引し、超電導走行車両の台車の外軌側の部分が外軌側の側壁に異常接近することを防止できるので、超電導走行車両の先頭車の台車において外側の2基の案内輪と内側の2基の案内輪を確実に略することができ、案内輪を略しても十分な安全性を確保できることが明らかである。
Claims (4)
- 両側に側壁を有しこれら側壁間にU字溝を形成する軌道と、この軌道のU字溝に沿って走行する浮上走行体と、この浮上走行体の両側部に設けられた超電導磁石と、前記軌道の側壁内側にて浮上走行体の超電導磁石と対向しかつ該浮上走行体の走行方向に沿うように配置された浮上コイル及び推進コイルと、を有する磁気案内機構であって、
前記軌道の低速走行用カーブ区間内周側の側壁において、前記浮上コイル及び推進コイルの外側の側方に、前記浮上走行体の走行方向に沿うように、前記超電導磁石との間に吸引力を発生させる磁性体が配置されていることを特徴とする磁気浮上機構。 - 前記低速走行用カーブ区間が本線から分岐された引き込み線区間であることを特徴とする請求項1記載の磁気浮上機構。
- 前記磁性体は、複数の鉄線の周囲を絶縁体で被覆してなる鉄線束、板状の磁性体、磁性体基板と非磁性体層との積層体、あるいは、磁性粉末の焼結合金のいずれかからなることを特徴とする請求項1記載の磁気浮上機構。
- 前記浮上走行体の矩形状の台車のコーナ部分に個々にガイド輪が設けられるとともに、前記浮上走行体の台車の外軌側のコーナ部分と内軌側のコーナ部分の両方において案内輪が略されてなることを特徴とする請求項1に記載の磁気浮上機構。
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