JP4835127B2 - 太陽電池 - Google Patents

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Description

本発明は、太陽電池に関するものである。
従来、一般に、太陽電池は、大型の家庭用発電から電卓や時計などの小型の電子機器にまで広く適用されている。
太陽電池としては、図1に示すように、例えば、N型半導体層1とP型半導体層2とが積層された構成(PN構造)の光起電力層3と、N型半導体層1側に積層された第1の電極層4と、P型半導体層2側に積層された第2の電極層5とを備えるものがある。
そして、太陽電池の第1の電極4側に光が照射されると、N型半導体層1とP型半導体層2とのPN接合界面において、電子と正孔が発生し、電子が第1の電極層4に移動し、正孔が第2の電極層5に移動する。これにより、第2の電極層5が正極、第1の電極層4が負極として機能し、これらを、負荷6を介して、結線すると電流が流れる、すなわち、光から電力を起こすようになっている(例えば、特許文献1参照)。
また、このような構成の太陽電池では、光起電力層3として、例えば、多結晶シリコン、単結晶シリコン、アモルフアスシリコン、Cd−Te合金、硫化カドミニウ(CdS)、硫化銅もしくはCuInGaSe(CIGS)などが用いられている。
また、太陽電池の性能を評価するものとして、照射された光を電力に変換する効率(以下、変換効率と呼ぶ)があり、変換効率が大きな太陽電池が求められている。例えば、結晶シリコン系太陽電池は、市販品で13〜18%であり、アモルフアスシリコン太陽電池は、市販品で8%であり、また、CuInGaSe(CIGS)膜太陽電池は、市販品で約10%である(例えば、特許文献1参照)。
なお、変換効率が大きな太陽電池として期待されているものに、亜鉛・マンガン・テルル(ZnMnTe)に酸素不純物を導入した材料を用いた太陽電池がある(例えば、非特許文献1)。
ここで、太陽電池が光起電変換する際に、吸収する光の種類(波長)は、通常、限られており、一般的な太陽電池は、特定の波長の光しか吸収できない。これは、太陽電池を構成する材料は、1つのバンドギャップを有しており、このバンドギャップに相当するエネルギーの光を吸収するからである。
これに対して、この太陽電池では、ZnMnTeに酸素不純物を導入して、単一接合の材料に、マルチバンドギャップを持たせている。これにより、広範囲な異なった波長の光を吸収させ、太陽電池の効率を向上させることを図っている。
特開2002−9311号公報 Diluted II-VI Oxide Semiconductors with Multiple Gaps Phys. Lett. vol. 91, 2444603-1 (2003/12/12)
上記したように、太陽電池においては、変換効率の向上が求められている。その理由の1つは、変換効率が低いと、家庭の屋根に設置する太陽電池モジュールの面積が大きくなり、逆にコスト高となってしまうからである。
本発明は、上記点に鑑み、変換効率を向上させることができる太陽電池を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明では、光起電力層(3)で発生した電子および正孔に対して光電磁効果が働くように、光起電力層(3)に磁界を印加する磁界印加手段(8)を有することを第1の特徴としている。
ところで、従来の太陽電池で変換効率が低い理由として、光により発生したキャリアの再結合による有効なキャリアの消滅があげられる。
これに対して、本発明では、光起電力層(3)に光電磁効果が働くように磁界を印加していることから、光が入射することで、光起電力層に発生した電子と正孔とをローレンツ力により、互いに反対の方向に移動させながら(光電磁効果)、電子と正孔とを正極と負極にそれぞれ移動させることができる。
このため、電子と正孔とが再結合するのを抑制することができ、本発明を適用していない太陽電池と比較して、光から電力への変換効率を向上させることができる。
ここで、光電磁効果は、光起電力層(3)内での磁界の向きと、電子および正孔の各電極(4、5)への移動方向とが垂直で無い場合でも、発生する場合があるが、特に、光起電力層(3)に光電磁効果が働くように、光起電力層(3)に対して、電子および正孔の各電極(4、5)への移動方向と垂直な方向に磁界を印加することが好ましい。
また、この場合、磁界印加手段として、例えば、電子および正孔の各電極(4、5)への移動方向と垂直な方向の磁気モーメントを持つ磁気モーメント層(8、9)を用いることができ、この磁気モーメント層(8、9)を、電極(4、5)の光起電力層(3)から離れた側に、配置することができる。なお、磁気モーメント層を、例えば、強磁性体で構成することができる。
また、本発明では、光起電力層(3)が、発生した電子および正孔に対して光電磁効果が働くような磁気モーメントを持つ材料で構成されていることを第2の特徴としている。
この場合においても、光起電力層(3)は光電磁効果が働くような磁界を有していることから、光が入射することで、光起電力層に発生した電子と正孔とをローレンツ力により、互いに反対の方向に移動させながら(光電磁効果)、電子と正孔とを正極と負極にそれぞれ移動させることができる。
このため、電子と正孔とが再結合するのを抑制することができ、本発明を適用していない太陽電池と比較して、光から電力への変換効率を向上させることができる。
この場合、光起電力層(3)を、例えば、半導体材料に、磁性材料を混合分散させる等により、電子および正孔の各電極(4、5)への移動方向と垂直な方向の磁気モーメントを持っている材料で構成することができる。
また、その他に、光起電力層(3)を、磁気的性質を持った半導体で構成することもできる。さらに、磁気的性質を持った半導体として、PN接合を有する磁気的性質を持った半導体材料を用いたり、PN接合を有していない磁気的性質を持った半導体材料を用いたりできる。
また、磁気的性質を持った半導体としては、強磁性的性質を持った半導体を用いたり、反強磁性的性質を持った半導体、フェリ磁性的性質を持った半導体もしくは常磁性的性質を持った半導体を用いたりすることができる。
また、光起電力層(3)の構造に関して、より具体的には、光起電力層(3)が、P型半導体層(2)と、N型半導体層(1)とが接合された構成の場合では、少なくとも、P型半導体層(2)を、磁気的性質を持った半導体材料で構成するか、もしくは、遷移金属の微粒子が分散された半導体材料で構成することが好ましい。
P型半導体層(2)を、磁気的性質を持った半導体材料で構成する場合、P型半導体層(2)を、例えば、鉄シリコン系酸化物で構成でき、特に、Fe(SiO)により構成することができる。さらに、鉄シリコン系酸化物に遷移金属を添加することもできる。例えば、Mn、Co、Cr、C等を0.5〜30重量%添加することができる。このように遷移金属を添加することにより、バンドギャップを制御することができる。すなわち、吸収する光の種類(波長)を制御することができる。このため、添加材料の種類や量を調整することで、任意の波長の光を吸収して電力を起こすように、材料設計をすることができる。
また、P型半導体層(2)を、磁気的性質を持った半導体材料で構成する場合、P型半導体層(2)を、1種類の層で構成するだけでなく、遷移金属の種類もしくは添加量が異なる複数の鉄シリコン系酸化物の層で積層された構成とすることもできる。
鉄シリコン系酸化物層に添加する遷移金属の種類もしくは添加量を異ならせることで、種々の種類(波長の)光を吸収させることができる。そこで、このように、これらの複数の層を積層することで、広範囲な光波長の光エネルギーを電力に変換させることができる。
なお、上記のように、P型半導体層を鉄シリコン系酸化物で構成する場合では、N型半導体層(1)を、鉄シリコン系酸化物で構成することができ、例えば、Fe(SiOで構成することができる。これにより、ホモ接合のPN接合を形成することができる。
同様の場合、N型半導体層(1)をZnO、SnOもしくはInにより構成することもできる。これにより、N型半導体層を透明とすることができる。また、ヘテロ接合のPN接合を形成することができる。
また、P型半導体層(2)を、磁気的性質を持った半導体材料で構成する場合として、P型半導体層(2)を、鉄シリコン系酸化物の替わりに鉄シリコン系炭化物により構成することもできる。
なお、この場合、N型半導体層(1)を、鉄シリコン系炭化物で構成したり、ZnO、SnOもしくはInにより構成したりすることがきる。
一方、P型半導体層(2)を遷移金属の微粒子が分散された半導体材料で構成する場合では、P型半導体層(2)を、例えば、遷移金属の微粒子が分散されたSi(シリコン)もしくは炭素で構成することができる。なお、遷移金属の微粒子としては、例えば、Mn、Co、Crの微粒子を用いることができる。
また、この場合、N型半導体層(1)をZnO、SnOもしくはInにより構成することがきる。ただし、P型半導体層(2)を炭素で構成する場合は、N型半導体層(1)も、遷移金属の微粒子が分散された炭素で構成する。
ここで、炭素材料は磁場を印加することにより、磁気抵抗効果が発現する。炭素材料の場合、負の磁気抵抗、すなわち磁場を印加することによって電気抵抗率が減少(電気伝導率が増加)することがある。つまり、炭素材料素子に磁界を印加することにより、電流を流すことができるので、P型半導体層(2)とN型半導体層(1)を、炭素により構成した場合では、太陽電池の効率を向上させる効果がある。
また、光起電力層(3)の構造に関して、光起電力層(3)が、P型半導体層(2)と、真性半導体層(10)と、N型半導体層(1)とが順に積層された構成の場合では、少なくとも、真性半導体層(10)を、磁気的性質を持った半導体で構成するか、もしくは、遷移金属の微粒子が分散された半導体材料で構成することが好ましい。
そして、真性半導体層(10)を、磁気的性質を持った半導体で構成する場合では、基本的には、上記したように、光起電力層(3)がP型半導体層(2)とN型半導体層(1)とが接合された構成の場合のP型半導体層(2)と同様の材料で、真性半導体層(10)を構成することができる。
また、真性半導体層(10)を遷移金属の微粒子が分散された半導体材料で構成する場合では、P型半導体層(2)と、真性半導体層(10)と、N型半導体層(1)とを、炭素で構成することができる。
上記したように、炭素材料は磁場を印加することにより、磁気抵抗効果により電気伝導をよくするので、P型半導体層(2)と、真性半導体層(10)と、N型半導体層(1)とを炭素により構成した場合では、太陽電池の効率を向上させる効果がある。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
(第1実施形態)
図1に本発明の第1実施形態における太陽電池の概略構成を示す。また、図2に図1中のP型半導体層2の構成を示す。本実施形態の太陽電池は、図1に示すように、基本構造は、従来の太陽電池と同様であり、N型半導体層1、P型半導体層2を構成する材料が、従来と異なっている。このため、以下では、N型半導体層1およびP型半導体層2について、説明する。
P型半導体層2は、図2に示すように、1種類の磁気的性質を持った半導体材料で構成された層である(1層構造)。ここで、磁気的性質を持った半導体とは、磁性と半導体の両方の性質を合わせ持つ半導体である。したがって、P型半導体層2は、内部磁界を有している。
本実施形態では、P型半導体層2は常磁性であり、図2に示すように、磁界の方向が互いに異なる複数の微小な磁区を有している。すなわち、P型半導体層2は、複数の微視的磁界(微小磁界)を有している。なお、1つの磁区の大きさ(最大幅)は、例えば、0.1〜10μm程度である。
また、これらの磁界の方向は、電流の取り出し方向、すなわち、N型半導体層1とP型半導体層2の接合界面で発生した電子および正孔が、それぞれ、第1の電極層4、第2の電極層5に移動する方向に対して、垂直な方向となっている。本実施形態では、磁界の方向は、P型半導体層2のN型半導体層1との接合面(光の入射面)に対して、平行な方向となっている。
なお、N型半導体層1も、図示しないが、同様に、磁気的性質を持った半導体材料で構成されている。
次に、本実施形態の太陽電池における光起電力の発生のしくみを説明する。図3に図1の太陽電池における光起電力の発生を説明するための概略図を示す。図3は、図1中のN型半導体層1、P型半導体層2の界面近傍の断面図である。なお、図3では、P型半導体層2中の微視的磁界が互いに反対方向を向いている場合を示している。
本実施形態の太陽電池においても、従来の太陽電池と同様に、第1の電極4側に光が照射されると、N型半導体層1とP型半導体層2とのPN接合界面において、電子と正孔が発生し、電子が第1の電極層4(図3では上側)に移動し、正孔が第2の電極層5(図3では下側)に移動する。
このとき、電子と正孔は、光電磁効果(photoelectronmagnetic effect、略称PEM)により、互いに逆の方向に移動して、それぞれ、第1の電極層4と第2の電極層5とに分離移動する。
ここで、図4に光電磁効果を説明するための概略図を示す。光電磁効果は、図4に示すように、光(hν)の照射方向と垂直に磁場(磁界B)を印加したとき、拡散する電子と正孔がローレンツ力により反対方向に曲げられ、光照射方向と磁場の方向のおのおのに対して、垂直な方向に電位差が生ずる現象である。なお、図4では、光(hν)の照射方向と磁場(磁界B)の方向が垂直であるが、垂直でなくても、光電磁効果は生じる。
すなわち、本実施形態の太陽電池では、光により発生したキャリア(電子と正孔)が、P型半導体層2の内部の微視的磁界により、ローレンツ力が発生することで、互いに逆方向に曲げられる(例えば、図3中の破線で囲まれた領域7参照)。その後、電子と正孔が、それぞれ、第1の電極層4と第2の電極層5とに向けて分離移動する。これにより、図1に示すように、電流が流れるようになっている。
ところで、従来の太陽電池で変換効率が低い理由の1つとして、光により発生したキャリアの再結合による有効なキャリアの消滅があげられる。
これに対して、本実施形態では、光電磁効果により、光により発生したキャリア(電子と正孔)を再結合しにくくすることができる。これにより、キャリアの再結合による有効なキャリアが消滅してしまうのを防止し、キャリア再結合による損失を防止することができる。この結果、本実施形態によれば、N型半導体層1およびP型半導体層2を、磁気的性質を持った半導体材料で構成しない場合と比較して、発生起電力(変換効率)を向上させることができる。
次に、P型半導体層2を構成する磁気的性質を持った半導体材料を具体的に説明する。上記した光電磁効果をより得るためには、内部磁界が大きな磁気的性質を持った半導体材料を用いることが好ましいが、材料としては、例えば、Fe(SiO)や、これにMnを添加したFe1−xMn(SiO)を用いることができる。
以下にこの理由を説明する。本発明者らが、P型半導体層2を構成する材料を探索する際、熱により発生するキャリアにより電気を発生する半導体熱電変換材料について調査した。これは、材料が光を電力に変換する光電変換のしくみが、熱を電力に変換する熱電変換のしくみと似ており、熱電変換量を示すゼーベック係数が高い材料は、光起電力が高い可能性があるからである。
そのような材料として、FeSiが知られている。この材料を薄膜にしたゼーベック係数は600Kで10〜30μV/degである。
そして、本発明者らは、FeSiのSiに酸素を入れたFe(SiO)のゼーベック係数を調査した。図5にFe(SiO)の各温度におけるゼーベック係数の測定結果を示す。なお、図5中の実線と破線は、異なる条件で作成した試験体の測定結果を示している。図5に示すこれらの結果から、Fe(SiO)は、650K付近にピークを持っており、P型で、ゼーベック係数が9〜10mV/degの非常に大きな熱起電力を示すことがわかった。
このような非常に大きなゼーベック係数を発生するメカニズムを考察すると、FeSiのSiに酸素が入って、Fe(SiO)になることで、Siの含有量が減り、微視的にFe−Fe、Fe−Oのスピン磁気モーメントによるミクロな磁性的性質が現れたためであると考えられる。このことは、後述するように、磁性に寄与するMnを添加することで、特性(ゼーベック係数)が改善されることからも、Fe(SiO)が磁性に関係していることがわかる。
ここで、一般的な半導体熱電変換材料に熱勾配を与えると、キャリアが発生し、P型半導体の場合、正孔が拡散し、空間電荷により電位差が発生し、電流が流れる。しかし、一般的な半導体熱電変換材料では、キャリアが移動する間に、キャリアが再結合し、発生する起電力の低下が考えられる。
これに対して、Fe(SiO)では、上記微視的な磁性的性質が現れ、キャリア近傍の磁界によりローレンツ力が発生し、正孔と電子が再結合しにくくなる。このため、効率よく電界が発生し、大きなゼーベック係数が発生するものと推測される。
また、Mn、Cr、Mg等の遷移金属は、磁性に寄与することが知られている。そこで、本発明者らは、Fe(SiO)にMnを添加したFe1−xMn(SiO)について、同様に調査した。なお、ここでいう添加とは、添加された金属原子が結晶学的に結晶格子を構成する位置に配置されていることを意味する。
図6に、Fe(SiO)にMnを添加したFe1−xMn(SiO)の各温度におけるゼーベック係数の測定結果を示す。
図6に示すように、Fe1−xMn(SiO)(x=0.001〜0.02)のようにMnを添加させると、さらにゼーベック係数が改善され、特に、x=0.005のとき、600Kで15mV/degに改善されることがわかった。
図7に、Fe(SiO)にMnを添加したFe1−xMn(SiO)のバンドギャップ(Eg)の測定結果を示す。図7に示すように、Fe(SiO)のバンドギャップは、1.8eVであり、Fe(SiO)に添加するMnの量によって、1.8eVから変化させることが可能であることがわかった。
このように、磁性的性質があり、光で発生したキャリアと相互作用により、起電力が大きく、かつ、遷移金属を添加することで、バンドギャップを制御すること(光吸収をコントロールすること)ができるので、Fe(SiO)、Fe1−xMn(SiO)をP型半導体層2として用いることが好ましいと言える。
また、Fe(SiO)、Fe1−xMn(SiO)をP型半導体層2として用いた場合、Fe(SiO)、Fe1−xMn(SiO)は大きな内部磁界を有していると考えられるので、P型半導体層2の薄膜化が可能となる。これにより、必要な材料の量を低減でき、材料コストを低減できる。
なお、Fe(SiO)、Fe1−xMn(SiO)の組成式で表される物質に限らず、Fe、SiO、SiO中のOの比率が多少変動した物質等のその他のFe−Si−O系材料(鉄シリコン系酸化物)であって、同様の効果を有する材料を、P型半導体層2として用いることもできる。また、Mnの代わりに、Co、Cr等の他の遷移金属を添加することもできる。
さらに、P型半導体層2として、Fe−Si−O系化合物を用いた場合、以下の効果も期待できる。図8に、Fe−Si−O系化合物の電子軌道準位の概念図を示す。
図8に示すように、Fe−Si−O系化合物の3d電子軌道は6配位する酸素の方向に軌道が伸びた2重の軌道と酸素を避ける軌道の3重軌道に分裂する。つまり、エネルギー的にみるとバンドが分裂することになる。このため、上記した非特許文献1の技術と同様に、マルチバンド化により、広範囲の太陽光スペクトル光をエネルギーに変換する効果が期待できる。
また、P型半導体層2が磁気的性質を持った半導体で構成されている場合、以下の効果も期待できる。図9(a)、(b)にエネルギーと状態密度との関係を示す。なお、図9(a)は磁場が印加されていない状態を示し、図9(b)は磁場が印加されている状態を示している。
図9(a)に示す状態で、図中左半分側の(↑)スピンのエネルギーが低下する方向に磁場を印加すると、図9(b)に示すように、中央軸をはさんで、図中左半分側の(↑)スピンの状態密度のエネルギーは、図中右半分側の(↓)スピンのエネルギーよりも低い方向にずれることになる。このことは、PN構造で発生する内部電界以外に磁性によるバンドのずれにより、内部電界が発生できることを示しており、PN接合による電界と磁性体のスピンの状態による内部電界とによって、生じたより大きな電界により、電子、正孔を電極に引き付けることができると言える。
したがって、太陽電池を製造する際において、磁気的性質を持った半導体で構成されたP型半導体層2に対して、上記したような磁場を印加しておくことが好ましい。
なお、このことは、P型半導体層2を、磁気的性質を持った半導体で構成した場合に限らず、後述するように、P型半導体層2を磁性材料が添加されたP型半導体材料で構成した場合や、後述する実施形態における真性半導体層に対しても同様に言えることである。
次に、N型半導体層1を構成する半導体材料を具体的に説明する。材料としては、P型半導体層2と異なり、Fe(SiOを用いることができる。図10にFe(SiOの各温度におけるゼーベック係数の測定結果を示す。なお、図10では、異なる条件で作成した試験体の測定結果をそれぞれ示している。
この材料も、図10に示すように、700K付近において、−4〜−8mV/degの大きなゼーベック係数を示すことがわかった。
そこで、N型半導体層1として、Fe(SiOを用いることで、ホモ結合のP/N接合を実現することができる。
なお、Fe(SiOの組成式で表される物質に限らず、この組成式に対してFe、SiO、SiO中のOの比率が多少変動した物質等の他のFe−Si−O系材料であって、同様の効果を有する材料を、N型半導体層1として用いることができる。
(第2実施形態)
第1実施形態では、光起電力層3自身を磁性材料で構成する場合を説明したが、本実施形態では、磁界印加手段を用いて、光起電力層3に対して外部から磁界を印加する場合について説明する。
図11に本発明の第2実施形態における太陽電池の概略構成を示す。なお、図11では、図1と同様の構成部に、図1と同一の符号を付している。
図11に示すように、本実施形態の太陽電池は、図1に示す太陽電池と同様に、第1の電極層4とN型半導体層1とP型半導体層2と第2の電極層5とが順に積層されている。さらに、磁気モーメント層としての第1、第2の強磁性体層8、9が、それぞれ、第1の電極層4のN型半導体層1と接する面と反対側の面(N型半導体層1から離れた側の面)、第2の電極層5のP型半導体層2と接する面と反対側の面(P型半導体層2から離れた側の面)に隣接して、設けられている。
すなわち、太陽電池は、N型半導体層1とP型半導体層2で構成された光起電力層3が、第1、第2の電極層4、5で挟まれ、さらに、その外側から第1、第2の強磁性体層8、9で挟まれた構造となっている。
ここで、N型半導体層1とP型半導体層2は、それ自身では磁性を有していない半導体である。一方、第1、第2の強磁性体層8、9は、電流の取り出し方向に対して垂直な方向の磁気モーメントを持っており、本実施形態では、第1実施形態と同様に、光の入射方向とP型半導体層2の面とが垂直であるため、磁界の方向は、P型半導体層2の面に対して、平行な方向となっている。
このため、N型半導体層1とP型半導体層2は、第1、第2の強磁性体層8、9により、図2に示すP型半導体層2と同様に、電流の取り出し方向に対して垂直な方向の内部磁界を有している。したがって、本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を有している。
なお、この場合、第1、第2の強磁性体層8、9を避けて、第1、第2の電極層4、5は負荷6と結線される。また、N型半導体層1とP型半導体層2については、一般的な半導体材料で構成することができ、第1、第2の強磁性体層8、9については、一般的な強磁性体材料で構成することができる。
また、本実施形態では、第1、第2の強磁性体層8、9を、それぞれ、第1、第2の電極層4、5に隣接させているが、少なくとも、P型半導体層2が上記した内部磁界を有する状態にできれば、第1、第2の電極層4、5に隣接させなくても良く、第1、第2の強磁性体層8、9の他方を省略することもできる。
また、本実施形態では、磁界印加手段として、強磁性体層8、9を用いる場合を例として説明したが、少なくとも、P型半導体層2が上記した内部磁界を有する状態にできれば、強磁性体層に限らず、反強磁性体層、フェリ磁性体層、常磁性体層等の他の磁性材料層を用いたり、磁性材料層に限らず、機械的に磁界を発生させる磁界発生装置を用いたりすることもできる。
(第3実施形態)
図12に本発明の第3実施形態における太陽電池の概略構成を示す。図12では、図1と同様の構成部に、図1と同一の符号を付している。
本実施形態の太陽電池は、図12に示すように、光起電力層3が、P型半導体層2、真性半導体層(I層)10、N型半導体層1の順に積層されたPIN構造であり、光起電力層3の両側に、それぞれ、第1、2の電極層4、5が積層された構成であり、薄膜タイプの太陽電池として有効な構造である。
ここで、N型半導体層1とP型半導体層2は、磁性を有していない半導体材料で構成された層であり(1層構造)、それぞれ、例えば、導電型不純物としてのB、PがドープされたSi薄膜で構成されている。
また、真性半導体層10は、ノンドープもしくはドープ濃度が、例えば、1014atoms/cm−1以下の真性半導体材料で構成されているものであって、内部磁界を有している。この内部磁界は、図2に示すP型半導体層2と同様に、
磁界の方向が、電流の取り出し方向、すなわち、真性半導体層10の内部で発生した電子および正孔が、それぞれ、第1の電極層4、第2の電極層5に移動する方向に対して、垂直な方向となっている。言い換えると、この磁界の方向は、光の入射方向に対して垂直な方向となっている。本実施形態では、光の入射方向と真性半導体層10の面(N型半導体層1との接合面であり、光の入射面でもある)とが垂直であるため、磁界の方向は、真性半導体層10の面に対して、平行な方向となっている。なお、本実施形態と異なり、光の入射方向と真性半導体層10の面とが垂直でない場合では、磁界の方向は、真性半導体層10の面に対して、平行でなく、斜めとなる。
真性半導体層10としては、磁気的性質を持った半導体、例えば、Fe、Co、Mn等の遷移金属が添加されたノンドープのSi薄膜を用いたり、磁性材料が混合分散された半導体材料、例えば、Fe、Co、Mn等の遷移金属の微粒子が混合分散されたノンドープのSi薄膜を用いたりすることができる。微粒子としては、例えば、粒子サイズが10nm〜1μm程度の大きさのものを、半導体材料に対して5wt%程度用いることができる。
なお、後者の場合、磁性材料と半導体材料とは物理的に混合している状態であり、電子顕微鏡で磁性材料の微粒子を確認することができる。また、前者、後者どちらにおいても、Si薄膜は非晶質でも結晶でもよい。
図13に、本実施形態の太陽電池における光起電力の発生のしくみを説明するための概略図を示す。なお、図13は、光起電力層3の断面図である。
図13に示すように、本実施形態の太陽電池は、図3中のP型半導体層2の接合界面近傍の領域を、真性半導体層10に置き換えたものと考えてよい。すなわち、真性半導体層10において、真性半導体層10の内部磁界によって、電子と正孔が、それぞれ、第1の電極層4と第2の電極層5とに向けて分離移動する。これにより、図12に示すように、電流が流れるようになっている。したがって、本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を有している。
なお、本実施形態では、N型半導体層1とP型半導体層2と真性半導体層10とを、Siで構成する場合を説明したが、これらをSiの替わりにC(炭素)で構成することもできる。
ここで、炭素材料は磁場を印加することにより、磁気抵抗効果が発現する。炭素材料の場合、負の磁気抵抗、すなわち磁場を印加することによって電気抵抗率が減少(電気伝導率が増加)することがある。つまり、炭素材料素子に磁界を印加することにより、電流を流すことができる。
したがって、N型半導体層1とP型半導体層2と真性半導体層10とを炭素により構成し、真性半導体層10に磁性を持たせることで、これらを他の材料で構成した場合と比較して、太陽電池の効率を向上させることができる。
なお、この場合、N型半導体層1とP型半導体層2と真性半導体層10とに窒素や水素をドープさせることが好ましい。これにより、炭素のダングリングボンドを終端させ、欠陥を減少させることができるからである。
(第4実施形態)
第3実施形態では、光起電力層3自身を磁性材料で構成する場合を説明したが、本実施形態では、磁界印加手段を用いて、光起電力層3に対して外部から磁界を印加する場合について説明する。図14に本発明の第4実施形態における太陽電池の概略構成を示す。図14では、図12と同様の構成部に、図12と同一の符号を付している。
本実施形態の太陽電池は、第1実施形態に対する第2実施形態の関係のように、第3実施形態で説明した図12に示す太陽電池に対して、磁気モーメント層としての第1、第2の強磁性体層8、9を、それぞれ、第1の電極層4のN型半導体層1と接する面と反対側の面、第2の電極層5のP型半導体層2と接する面と反対側の面に隣接して設け、真性半導体層10を構成する材料を、磁性を有さない半導体材料に変更したものである。
このようにして、第1、第2の強磁性体層8、9によって、真性半導体層10に対して、電流の取り出し方向に対して垂直な方向の磁界を印加することもできる。
なお、N型半導体層1とP型半導体層2と真性半導体層10の構成材料については、真性半導体層10に磁性を持たせる点を除いて、第3実施形態と同様の材料を用いることができる。また、磁界印加手段についても、第2実施形態と同様のものを用いることができる。
(他の実施形態)
(1)第1実施形態では、P型半導体層2が1種類の磁気的性質を持った半導体層で構成された1層構造である場合を例として説明したが、P型半導体層2を複数種類の磁気的性質を持った半導体層が積層された多層構造とすることもできる。
例えば、P型半導体層2を、Fe1−xMn(SiO)のMnの量を異ならせるなど、Fe−Si−O系材料であって同一種類の添加物(遷移金属)の量が異なる複数の層を積層した構造とすることができる。また、Fe−Si−O系材料に添加する添加物量は同一で、添加物の種類が異なる複数の層を積層した構造としたり、添加物の種類および量が異なる複数の層を積層した構造にしたりすることもできる。
これにより、P型半導体層2を、異なるバンドギャップを持つ層が積層された構造とすることができる。この結果、広範囲な種類(波長)の光を吸収して、電力に変換することができる。
(2)第1実施形態では、磁気的性質を持った半導体材料としてFe−Si−O系材料を用いる場合を例として説明したが、他の磁気的性質を持った半導体材料を用いることもできる。ワイスの分子磁場理論によると強磁性体、反強磁性体、フェリ磁性体の磁性体内部の秩序を形成する磁場は巨大であると言われている。したがって、例えば、強磁性体、反強磁性体、フェリ磁性体のいずれかである半導体材料を用いることが好ましい。
なお、反強磁性体、フェリ磁性体は、微小な磁気回路を有しており、強磁性体においても、キュリー点以上の温度であれば、磁区が微小化された状態となっている。このため、内部磁界が大きく、光電磁効果が大きくなる。そこで、強磁性体を用いる場合では、P型半導体層2を加熱する加熱手段を設けることが好ましい。
(3)第1実施形態では、N型半導体層1として、Fe−Si−O系材料を用いる場合を例として説明したが、他の材料を用いることもできる。例えば、N型半導体層1として、ZnO、SnO、Inのいずれか1つを用いることができる。これにより、N型半導体層1を透明にでき、また、ヘテロ結合のP/N接合が可能となる。
(4)第1実施形態では、P型半導体層2として、Fe−Si−O系材料(鉄シリコン系酸化物)を用いる場合を例として説明したが、Fe−Si−O系材料の代わりにFe−Si−C系材料(鉄シリコン系炭化物)を用いることもできる。例えば、Fe(SiC)、Fe1−xMn(SiC)を用いることもできる。この場合においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
また、このとき、N型半導体層1として、Fe−Si−C系材料(鉄シリコン系炭化物)、例えば、Fe(SiCを用いたり、ZnO、SnO、Inのいずれか1つを用いたりすることもできる。
(5)第1実施形態では、P型半導体層2を、磁気的性質を持った半導体材料で構成する場合を例として説明したが、磁性材料が混合分散された半導体材料でP型半導体層2を構成することもできる。この場合、磁性材料と半導体材料とは物理的に混合している状態であり、電子顕微鏡で磁性材料の微粒子を確認することができる。例えば、B等の導電型不純物が添加されたSiもしくはC(炭素)等の半導体材料に、Fe、Co、Mn等の遷移金属の微粒子を混合分散させたもので、P型半導体層2を構成することができる。
なお、P型半導体層2とN型半導体層1を、炭素により構成した場合では、さらに、窒素や水素をドープさせることができる。これにより、炭素のダングリングボンドを終端し、欠陥を減少させることができる。
また、この場合、N型半導体層1として、P型半導体層2と同じ材料を用いたり、ZnO、SnO、Inのいずれか1つを用いたりすることもできる。
(6)第1実施形態では、N型半導体層1とP型半導体層2の両方が磁性を有している場合を例として説明したが、少なくとも一方が磁性を有していればよい。なお、PN接合では、P型半導体層2側の方が接合面近傍に生じる空乏層が大きいので、少なくとも、P型半導体層2が磁性を有していることが好ましい。
(7)第1実施形態では、光起電力層3を、N型半導体層1とP型半導体層2で構成する場合を例として説明したが、光起電力層3を、磁性を有する真性半導体のみ、磁性を有するN型半導体のみ、もしくは、磁性を有するP型半導体のみのように、PN接合を有していない磁気的性質を持った半導体で構成することもできる。光電磁効果により、電子と正孔を分離移動させることができ、このような場合でも太陽電池として機能するからである。
(8)第3実施形態では、真性半導体層10を、磁気的性質を持った半導体で構成する場合、Fe、Co、Mn等の遷移金属が添加されたノンドープのSi薄膜を用いる場合を説明したが、第1実施形態におけるP型半導体層2と同様に、磁気的性質を持った半導体として、Fe(SiO)等のFe−Si−O系材料や、Fe−Si−C系材料や、これらの材料に遷移金属を添加した材料を用いることもできる。なお、真性半導体層10を遷移金属が添加された材料で構成する場合、遷移金属の量が異なる複数の層を積層した構造とすることもできる。
(9)第2実施形態では、N型半導体層1、P型半導体層2を、それ自身で磁性を有していない半導体材料で構成する場合を例として説明したが、磁性を有する半導体材料で構成しても良い。同様に、第4実施形態では、真性半導体層10を、磁性を有していない半導体材料で構成する場合を例として説明したが、磁性を有する半導体材料で構成しても良い。
これにより、それ自身で磁性を有していない半導体材料で構成されている場合と比較して、光起電力層3に発生している磁場を強くでき、上記した効果を高めることができる。
(10)上記した各実施形態では、P型半導体層2もしくは真性半導体層10の内部磁界の方向を、電流の取り出し方向に対して垂直な方向とする場合を例として説明したが、厳密に垂直でなくても、光電磁効果が得られる場合があるため、光電磁効果が得られる範囲で、他の方向とすることもできる。
(実施例1)
次に、実施例を説明する。本実施例は、第1実施形態の実施例であり、P型半導体層2としてFe1−xMn(SiO):x=0.005を用い、N型半導体層1としてFe(SiOを用いている。
以下のようにして、太陽電池を作成した。ガラス基板に、いずれもスパッタリング法により、第2の電極層5としてのMo金属電極、P型半導体層2としてのFe0.995Mn0.005(SiO)膜、N型半導体層1としてのFe(SiO膜、第1の電極層4としてのZnO:Al透明導電膜、反射防止膜としてのMgF2膜を積層した。
このとき、ガラス基板の厚さを1mm、Mo金属電極の厚さを0.8μm、Fe0.995Mn0.005(SiO)膜の厚さを3μm、Fe(SiO膜の厚さを0.3μm、ZnO:Al透明導電膜の膜厚を0.6μmとした。
そして、この太陽電池の特性は、開放電圧1074mV、飽和電流:25.4mA/cm、フィルファクター:0.743、変換効率:18.1%であった。
(実施例2)
本実施例は、他の実施形態(3)の実施例であり、P型半導体層2としてFe1−xMn(SiO):x=0.005を用い、N型半導体層1としてZnOを用いている。
以下のようにして、太陽電池を作成した。ガラス基板に、いずれもスパッタリング法により、第2の電極層5としてのMo金属電極、P型半導体層2としてのFe0.995Mn0.005(SiO)膜、N型半導体層1としてのZnO半導体膜、第1の電極層4としてのZnO:Al透明導電膜、反射防止膜としてのMgF膜を積層した。
このとき、ガラス基板の厚さを1mm、Mo金属電極の厚さを0.8μm、Fe0.995Mn0.005(SiO)膜の厚さを3μm、Fe(SiO膜の厚さを0.3μm、ZnO:Al透明導電膜の膜厚を0.6μmとした。
そして、この太陽電池の特性は、開放電圧952mV、飽和電流:30.5mA/cm、フィルファクター:0.71、変換効率:19.9%であった。
本発明の第1実施形態における太陽電池の概略構成を示す図である。 図1中のP型半導体層2の模式図である。 図1の太陽電池における光起電力の発生を説明するための概略図である。 光電磁効果を説明するための概略図である。 Fe(SiO)の各温度におけるゼーベック係数の測定結果を示す図である。 Fe(SiO)にMnを添加したFe1−xMn(SiO)の各温度におけるゼーベック係数の測定結果を示す図である。 Fe(SiO)にMnを添加したFe1−xMn(SiO)のバンドギャップ(Eg)の測定結果を示す図である。 Fe−Si−O系化合物の電子軌道準位の概念図である。 磁性スピンの方向によるバンドのずれを説明するための概念図である。 Fe(SiOの各温度におけるゼーベック係数の測定結果を示す図である。 本発明の第2実施形態における太陽電池の概略構成を示す図である。 本発明の第3実施形態における太陽電池の概略構成を示す図である。 図12に示す太陽電池における光起電力の発生のしくみを説明するための概略図である。 本発明の第4実施形態における太陽電池の概略構成を示す図である。
符号の説明
1…N型半導体層、2…P型半導体層、3…光起電力層、4…第1の電極層、
5…第2の電極層、6…負荷、8…第1の強磁性体層、9…第2の強磁性体層、
10…真性半導体層。

Claims (34)

  1. 入射した光により発生した電子および正孔を、それぞれ、両側に配置された電極(4、5)に移動させることで、光から電力を起こす光起電力層(3)と、
    前記光起電力層(3)で発生した前記電子および前記正孔に対して光電磁効果が働くように、前記光起電力層(3)に磁界を印加する磁界印加手段(8)とを有することを特徴とする太陽電池。
  2. 前記磁界印加手段(8)は、前記光起電力層(3)で発生した前記電子および前記正孔の前記各電極(4、5)への移動方向と垂直な方向に磁界を印加するものであることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
  3. 前記磁界印加手段として、前記電子および前記正孔の前記各電極(4、5)への移動方向と垂直な方向の磁気モーメントを持つ磁気モーメント層(8、9)を有しており、前記磁気モーメント層(8、9)は、前記電極(4、5)の前記光起電力層(3)から離れた側に、配置されていることを特徴とする請求項2に記載の太陽電池。
  4. 前記光起電力層(3)は、P型半導体層(2)と、N型半導体層(1)とが接合された構成であり、
    前記P型半導体層(2)は、前記磁気モーメント層(8、9)により、その内部に磁界を有していることを特徴とする請求項3に記載の太陽電池。
  5. 前記光起電力層(3)は、P型半導体層(2)と、真性半導体層(10)と、N型半導体層(1)とが順に積層された構成であり、
    前記真性半導体層(10)は、前記磁気モーメント層(8、9)により、その内部に磁界を有していることを特徴とする請求項3に記載の太陽電池。
  6. 前記磁気モーメント層(8、9)は強磁性体であることを特徴とする請求項3ないし5のいずれか1つに記載の太陽電池。
  7. 入射した光により発生した電子および正孔を、それぞれ、両側に配置された電極(4、5)に移動させることで、光から電力を起こす光起電力層(3)を有し、
    前記光起電力層(3)は、発生した前記電子および前記正孔に対して光電磁効果が働くような磁気モーメントを持つ材料で構成されていることを特徴とする太陽電池。
  8. 前記光起電力層(3)は、前記電子および前記正孔の前記各電極(4、5)への移動方向と垂直な方向の磁気モーメントを持つ材料で構成されていることを特徴とする請求項7に記載の太陽電池。
  9. 前記光起電力層(3)は、磁気的性質を持った半導体で構成されることにより、その内部に磁界を有していることを特徴とする請求項8に記載の太陽電池。
  10. 前記磁気的性質を持った半導体は、強磁性的性質を持った半導体であることを特徴とする請求項9に記載の太陽電池。
  11. 前記磁気的性質を持った半導体は、反強磁性的性質を持った半導体であることを特徴とする請求項9に記載の太陽電池。
  12. 前記磁気的性質を持った半導体は、フェリ磁性的性質を持った半導体であることを特徴とする請求項9に記載の太陽電池。
  13. 前記磁気的性質を持った半導体は、常磁性的性質を持った半導体であることを特徴とする請求項9に記載の太陽電池。
  14. 前記磁気的性質を持った半導体は、微視的磁区を有することを特徴とする請求項11ないし13のいずれか1つに記載の太陽電池。
  15. 前記光起電力層(3)は、P型半導体層(2)と、N型半導体層(1)とが接合された構成であり、
    前記P型半導体層(2)は、磁気的性質を持った半導体で構成されることにより、その内部に磁界を有していることを特徴とする請求項9に記載の太陽電池。
  16. 前記P型半導体層(2)は、鉄シリコン系酸化物により構成されていることを特徴とする請求項15に記載の太陽電池。
  17. 前記P型半導体層(2)は、前記鉄シリコン系酸化物のうちのFe(SiO)により構成されていることを特徴とする請求項16に記載の太陽電池。
  18. 前記P型半導体層(2)は、遷移金属が添加されていることを特徴とする請求項16または17に記載の太陽電池。
  19. 前記P型半導体層(2)は、遷移金属の種類もしくは添加量が異なる複数の前記鉄シリコン系酸化物の層が積層された構成であることを特徴とする請求項18に記載の太陽電池。
  20. 前記N型半導体層(1)は、鉄シリコン系酸化物により構成されていることを特徴とする請求項16ないし19のいずれか1つに記載の太陽電池。
  21. 前記N型半導体層(1)は、前記鉄シリコン系酸化物のうちのFe(SiOにより構成されていることを特徴とする請求項20に記載の太陽電池。
  22. 前記P型半導体層(2)は、鉄シリコン系炭化物により構成されていることを特徴とする請求項15に記載の太陽電池。
  23. 前記光起電力層(3)は、P型半導体層(2)と、N型半導体層(1)とが接合された構成であり、
    前記P型半導体層(2)は、遷移金属の微粒子が分散された半導体材料で構成されることにより、その内部に磁界を有していることを特徴とする請求項8に記載の太陽電池。
  24. 前記N型半導体層(1)は、ZnO、SnOもしくはInにより構成されていることを特徴とする請求項15、16、17、18、19、22または23のいずれか1つに記載の太陽電池。
  25. 前記N型半導体層(1)は、鉄シリコン系炭化物により構成されていることを特徴とする請求項22に記載の太陽電池。
  26. 前記N型半導体層(1)と前記P型半導体層(2)は、ともに、炭素により構成されていることを特徴とする請求項4または23に記載の太陽電池。
  27. 前記光起電力層(3)は、P型半導体層(2)と、真性半導体層(10)、N型半導体層(1)とが順に積層された構成であり、
    前記真性半導体層(10)は、磁性的性質を持った半導体で構成されることにより、その内部に磁界を有していることを特徴とする請求項9に記載の太陽電池。
  28. 前記真性半導体層(10)は、鉄シリコン系酸化物により構成されていることを特徴とする請求項27に記載の太陽電池。
  29. 前記真性半導体層(10)は、前記鉄シリコン系酸化物のうちのFe(SiO)により構成されていることを特徴とする請求項28に記載の太陽電池。
  30. 前記真性半導体層(10)は、遷移金属が添加されていることを特徴とする請求項28または29に記載の太陽電池。
  31. 前記真性半導体層(10)は、遷移金属の種類もしくは添加量が異なる複数の前記鉄シリコン系酸化物の層が積層された構成であることを特徴とする請求項30に記載の太陽電池。
  32. 前記真性半導体層(10)は、鉄シリコン系炭化物により構成されていることを特徴とする請求項27に記載の太陽電池。
  33. 前記光起電力層(3)は、P型半導体層(2)と、真性半導体層(10)と、N型半導体層(1)とが順に積層された構成であり、
    前記真性半導体層(10)は、遷移金属の微粒子が分散された半導体材料で構成されることにより、その内部に磁界を有していることを特徴とする請求項8に記載の太陽電池。
  34. 前記P型半導体層(2)と前記真性半導体層(10)と前記N型半導体層(1)は、ともに、炭素で構成されていることを特徴とする請求項5または33に記載の太陽電池。

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