以下、本発明の実施の形態に係る映像データ再生システム、音声出力装置、映像音声出力装置および同期調整方法を、図面に基づいて説明する。映像データ再生システムは、再生装置としてテストディスクを再生するディスク再生装置と、音声出力装置としてオーディオアンプ装置とを有する構成を例として説明する。音声出力装置は、オーディオアンプ装置を例として説明する。映像音声出力装置は、映像及び音声信号発生装置としてのディスク再生装置と、音声出力装置としてのオーディオアンプ装置と、表示装置としてのプラズマディスプレイ装置とを有する構成を例として説明する。同期調整方法は、映像音声出力装置の動作として説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る映像音声出力装置を示す図である。映像音声出力装置は、同期調整のための映像などが記録されている記録媒体としてのテストディスク1と、このテストディスク1を再生する再生装置としてのディスク再生装置2と、表示装置としてのプラズマディスプレイ装置3と、音声出力装置としてのオーディオアンプ装置4と、を有し、さらに、スピーカ5を有する。以下では、映像音声出力装置の動作のうち同期調整を主に説明するので、この映像音声出力装置を「同期調整システム」ともいう。
図2は、図1中のプラズマディスプレイ装置3の構成を示すブロック図である。同期調整の対象であるプラズマディスプレイ装置3は、アナログ映像入力端子11と、映像A/D(Analog to Digital)変換部12と、信号処理部13と、ディスプレイドライバ14と、プラズマ発光表示部15と、を有する。
プラズマ発光表示部15は、図示外の複数の放電セルを有する。複数の放電セルは、二次元のマトリックス状に配列される。放電セルは、表示画素の色要素(たとえば赤、緑、青などの色の組合せにおける各色)毎に形成される。
放電セルは、アドレス電極と表示電極との間にある空洞内にガスが封入された構造を有する。空洞内には、それぞれの放電セルの表示色に蛍光する蛍光体が配設される。アドレス電極と表示電極との間に高電圧が印加されると、封入されたガスがプラズマ発光する。そのプラズマ発光により発生する紫外線で、その放電セルに設けられた蛍光体がそれぞれの表示色を発光する。
プラズマディスプレイ装置3のアナログ映像入力端子11には、アナログ映像信号が入力される。アナログ映像信号には、たとえばNTSC(National Television System Committee)方式やPAL(Phase Alternating Line)方式でのアナログビデオ信号や、デジタル放送の映像入出力のためのフォーマットによるアナログビデオ信号などがある。デジタル放送の映像入出力のためのフォーマットによるアナログビデオ信号が入力されるアナログ映像入力端子は、一般的にD1端子などと呼ばれている。
これらのアナログ映像信号は、たとえば1/30秒などの所定の期間毎に、1つの表示画面に関する映像信号を有する。アナログ映像信号において1つの表示画面の映像信号は、その表示画面をブラウン管を用いたビーム走査式のディスプレイ装置で表示する場合の、水平走査線毎の輝度分布に対応する波形成分を単位として構成される。1つの表示画面は、たとえば480個、525個などの所定数の水平走査線毎の波形成分で構成される。
プラズマディスプレイ装置3のアナログ映像入力端子11は、映像A/D変換部12に接続される。映像A/D変換部12は、アナログ映像入力端子11に入力されるアナログ映像信号をサンプリングする。信号処理部13は、映像A/D変換部12によるサンプリングデータに基づいて、アナログ映像信号における表示画面毎に、二次元画像データを生成する。ディスプレイドライバ14は、プラズマ発光表示部15のアドレス電極および表示電極に、信号処理部13が生成した二次元画像データに応じた電圧を印加する。あるアドレス電極と表示電極との電位差が高電圧になると、そのアドレス電極および表示電極に対応する放電セルは、プラズマ放電し、所定の表示色で蛍光する。
このように、アナログ映像入力端子に入力されるアナログ映像信号における表示画面の波形成分に基づいて、プラズマ発光表示部15は、表示画面を表示する。プラズマ発光表示部15が表示する表示画面は、アナログ映像信号が次の表示画面の波形成分に切り替わったら、それに応じて内部処理を行い新しい画面を表示する。これにより、プラズマディスプレイ装置3は、アナログ映像信号に基づいて、表示画面が所定の周期で切り替わる動画を表示することができる。
アナログ音声信号は、所定の音声の波形成分を有する信号である。アナログ音声信号は、それに基づいてスピーカ5を駆動することで、そのスピーカ5からアナログ音声信号に信号化されている所定の音声を出力することができる信号である。
なお、この実施の形態1では使用しないが、プラズマディスプレイ装置3は、アナログ音声入力端子17と、アンプ回路18と、内蔵スピーカ19と、を有する。アナログ音声入力端子17は、アンプ回路18に接続される。アンプ回路18は、アナログ音声入力端子17に入力されるアナログ音声信号を増幅する。アンプ回路18は、増幅したアナログ音声信号を内蔵スピーカ19へ出力する。内蔵スピーカ19は、増幅されたアナログ音声信号の波形成分にしたがって振動される。プラズマディスプレイ装置3は、アナログ音声入力端子17に入力されたアナログ音声信号にしたがった音声を出力する。
図3は、図1中のオーディオアンプ装置4の構成を示すブロック図である。オーディオアンプ装置4は、信号入力手段の一部としてのアナログ音声入力端子31と、音声A/D変換部32と、音声D/A(Digital to Analog)変換部33と、アンプ回路34と、アナログ音声信号出力手段としてのアナログ音声出力端子35と、を有する。オーディオアンプ装置4は、数値入力手段としての入力部26と、設定手段としての遅延データ設定部27と、記憶手段としての遅延データメモリ28と、デジタル遅延回路29と、を有する。
また、オーディオアンプ装置4は、信号入力手段の一部および映像入力端子としてのアナログ映像入力端子21と、ディレイ抽出部23と、表示手段としての表示部24と、を有する。オーディオアンプ装置4のアナログ映像入力端子21は、アナログ映像出力端子22と、ディレイ抽出部23と、に接続される。ディレイ抽出部23は、アナログ映像出力端子21に入力されたアナログ映像信号から、それに重畳されている映像に対する音声の再生遅延量の値を抽出する。ディレイ抽出部23は、抽出した再生遅延量の値を表示部24に出力する。表示部24は、再生遅延量の値を表示する。なお、この実施の形態では使用しないが、オーディオアンプ装置4は、映像出力端子としてのアナログ映像出力端子22を有する。アナログ映像出力端子22は、アナログ映像入力端子21に入力されたアナログ映像信号を出力する。アナログ映像出力端子22までの構成要素は、後述する図7の接続時に使用する。
オーディオアンプ装置4の入力部26は、ユーザの入力操作に応じて、数値などの入力データを出力する。遅延データ設定部27は、入力部26から入力された数値を、遅延データとして遅延データメモリ28へ出力する。遅延データメモリ28は、遅延データを記憶する。デジタル遅延回路29は、それに入力されるデジタル値を、遅延データメモリ28が記憶する遅延データの値に相当する時間で遅らせて出力する。
なお、発明者らの調査テストにより、200ミリ秒以上、音声が先行する場合、普通の人であってもその音の先行が気になることが分っている。そのため、遅延データメモリ28およびデジタル遅延回路29は、たとえば100ミリ秒以上、好ましくは200ミリ秒以上、デジタル値を遅らせて出力できるように構成するとよい。
オーディオアンプ装置4のアナログ音声入力端子31は、音声A/D変換部32に接続される。音声A/D変換部32は、アナログ音声入力端子31に入力されるアナログ音声信号をサンプリングし、デジタル遅延回路29へ出力する。音声D/A変換部33は、デジタル遅延回路29から出力されるデジタル値が入力され、そのデジタル値に応じたレベルを出力する。これにより、音声D/A変換部33からは、アナログ音声入力端子31に入力されるアナログ音声信号を、遅延データメモリ28が記憶する遅延データの値に相当する時間で遅らせたアナログ音声信号が出力される。
オーディオアンプ装置4のアンプ回路34は、音声D/A変換部33から出力される遅延されたアナログ音声信号を増幅する。アンプ回路34は、増幅したアナログ音声信号をアナログ音声出力端子35に出力する。アナログ音声出力端子35には、図1に示すように、スピーカ5が接続される。スピーカ5は、アナログ音声信号に信号化されている所定の音声を出力する。
本発明の実施の形態1に係る同期調整システムは、以上のような構成および機能を有するプラズマディスプレイ装置3とオーディオアンプ装置4との同期を調整するためのものである。本発明の実施の形態1に係る同期調整システムは、アナログ映像信号に基づいてプラズマディスプレイ装置3が表示する動画と、アナログ音声信号に基づいてオーディオアンプ装置4に接続されるスピーカ5が出力する音声との同期を調整するためのものである。
このような目的を達成するために、本発明の実施の形態1に係る同期調整システムは、上述したように、同期調整のための映像などが記録されているテストディスク1と、このテストディスク1を再生するディスク再生装置2と、を有する。ディスク再生装置2がこのテストディスク1を再生することで、映像及び音声信号発生装置になる。
図4は、図1中のディスク再生装置2の構成を示すブロック図である。ディスク再生装置2は、駆動モータ41と、読出手段としての光ピックアップ42と、ヘッドアンプ43と、制御部44と、選択手段としての入力部45と、を有する。ディスク再生装置2は、デモジュレータ46と、MPEG(Moving Picture Coding Experts Group)信号分離部47と、オーディオデコーダ48と、音声信号生成手段としての音声D/A変換部49と、信号出力手段の一部としてのアナログ音声出力端子50と、を有する。ディスク再生装置2は、MPEGストリームデコーダ52と、動画信号生成手段としての映像D/A変換部53と、信号出力手段の一部としてのアナログ映像出力端子54と、MPEG再圧縮部55と、MPEG−TS(トラスポートストリーム)変換部56と、デジタル映像出力端子57と、を有する。
駆動モータ41は、ディスク再生装置2にセットされたテストディスク1などの光ディスクを回転する。光ピックアップ42は、回転する光ディスクからデータを読み出し、その再生データに応じた波形信号を出力する。ヘッドアンプ43は、光ピックアップ42から出力される波形信号を増幅する。入力部45は、ユーザの操作に応じて、入力指示などを出力する。制御部44は、入力部45からの入力指示に基づいて、駆動モータ41による光ディスクの回転駆動と、光ピックアップ42による光ディスクからのデータ読み取り位置とを制御する。
デモジュレータ46は、ヘッドアンプ43により増幅された波形信号から、光ディスクに記録された動画および音声を含むMPEG信号を生成する。MPEG信号分離部47は、MPEG信号を、少なくとも光ディスクに記録された動画を含むMPEGストリーム信号と、光ディスクに記録された音声を含むデジタルオーディオ符号化信号とに分離する。
オーディオデコーダ48は、MPEG信号分離部47により分離されたデジタルオーディオ符号化信号をデコードする。音声D/A変換部49は、オーディオデコーダ48によりデコードされた信号に基づいて、光ディスクに記録された音声の波形成分を含むアナログ音声信号を生成する。音声D/A変換部49は、アナログ音声信号をアナログ音声出力端子50へ出力する。
MPEGストリームデコーダ52は、MPEG信号から分離されたMPEGストリーム信号をデコードする。映像D/A変換部53は、MPEGストリームデコーダ52によりデコードされた信号に基づいて、光ディスクに記録された動画を水平走査線毎の波形成分として含むアナログ映像信号を生成する。アナログ映像信号は、映像信号の一種である。映像D/A変換部53は、アナログ映像信号をアナログ映像出力端子54へ出力する。
MPEG再圧縮部55は、MPEGストリームデコーダ52によりデコードされた信号を再符号化して圧縮する。MPEG−TS変換部56は、MPEG再圧縮部55により圧縮された信号に基づいて、MPEGストリーム信号を生成する。MPEG−TS変換部56は、生成したMPEGストリーム信号をデジタル映像出力端子57へ出力する。
同期調整のための映像などが記録されているテストディスク1は、ディスク再生装置2により読み取り可能な光ディスクである。光ディスクには、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−R、DVD+R、CD、CD−Rなどがある。テストディスク1には、複数の再生データと、この複数の再生データの中から1つの再生データを選択する選択画面データと、が記録される。
図5は、テストディスク1に1つの再生データとして記録されている動画と音声との関係などを示す説明図である。図5において、一番上に横一列に描画されている複数の時計は、動画を構成する複数の表示画面61,62,63,64,65,66である。複数の表示画面61,62,63,64,65,66は、図面の左側のもの(つまり61番)から順番に出力されて表示される。この複数の表示画面61,62,63,64,65,66の下には、時を告げる音声のデータ67の出力期間が描画されている。
テストディスク1に記録されている動画は、たとえば1/30秒などの所定の期間毎に再生される複数の表示画面61,62,63,64,65,66で構成される。各表示画面61,62,63,64,65,66には、アナログの時計が映る。時計は、秒針68と、時計の12時の位置のマーク69と、を有する。テストディスク1に記録された動画において、秒針68は、たとえば9秒の時間において1秒毎に、時計で言うところの55秒の位置から03秒の位置まで移動する。00秒となる表示画面(この例でいえば動画の開始タイミングから数えて5秒目から6秒目までの期間における表示画面)63においては、秒針58と12時の位置のマーク69とが重なる。なお、テストディスク1に記録されている動画は、秒針が55秒の位置から03秒の位置まで移動する動画を繰り返し記録したものであってもよい。なお、ユーザが同期しているか否かを判断する場合、同一の動画が複数回繰り返されることが有効である。また、同期データに基づいて再生される動画の長さとしては、30秒程度は確保した方がよい。再生される動画の長さは、数分あるいは数十分であってもよい。
テストディスク1に記録されている音声は、たとえば時を告げる「ボーン」という音の音声である。時を告げる「ボーン」という音は、たとえば2秒間の長さを有する。
テストディスク1に記録される複数の再生データは、図5に示す動画と音声とを再生するためのデータである。そして、テストディスク1に記録される複数の再生データは、音声の再生開始タイミングが互いに異なる。テストディスク1に記録される複数の再生データは、動画に対する音声の再生遅延量が互いに異なる。
たとえば図5に例示する再生データでは、秒針68が59秒となる位置にある表示画面62から00秒となる位置にある表示画面63へに切り替わるタイミングから、時を告げる「ボーン」という音の再生が開始される。そして、秒針68が01秒となる位置にある表示画面64から02秒となる位置にある表示画面665へに切り替わるタイミングにおいて、時を告げる「ボーン」という音の再生が終了される。
図5の音声の再生開始タイミングの場合、動画において秒針68が00秒となる位置へ切り替わるタイミング(5秒目)において、時を告げる「ボーン」という音が鳴り始めることになる。再生データにおいて、動画と音声とは同期している。以下、このタイミングを、同期タイミングとよぶ。
そのため、テストディスク1に記録されるその他の再生データでは、同期タイミングとは異なるタイミングにおいて時を告げる「ボーン」という音の再生が開始されるようになっている。具体的にはたとえば、テストディスク1に記録されるその他の再生データは、同期タイミングより10ミリ秒遅れたタイミングにおいて時報の音が開始されるものであったり、同期タイミングより20ミリ秒遅れたタイミングにおいて時報の音が開始されるものであったり、同期タイミングより50ミリ秒遅れたタイミングにおいて時報の音が開始されるものであったり、同期タイミングより100ミリ秒遅れたタイミングにおいて時報の音が開始されるものであったり、同期タイミングより150ミリ秒遅れたタイミングにおいて時報の音が開始されるものであったりする。
テストディスク1に記録される各再生データは、それぞれの時報の音の開始タイミングの値を、動画に対する音声の再生遅延量の値として有する。時報の音の開始タイミングの値は、同期タイミングからの遅れ時間の値として表される。たとえば、動画と音声とが同期している図5の再生データの場合には、時報の音の開始タイミングの値として「0」秒の値を有する。この他にもたとえば、音声が動画より10ミリ秒遅れている再生データは、時報の音の開始タイミングの値として「10」ミリ秒という値を有する。
このように、テストディスク1に記録されている各再生データは、所定のタイミングで時報の音が再生されるように設定された動画と音声とともに、時報の音の開始タイミングの値を有する。動画と音声とは、MPEGデータとしてテストディスク1に記録される。MPEGには、MPEG−1、MPEG−2、MPEG−4などがある。そして、時報の音の開始タイミングの値は、MPEGデータのプライベートストリームのデータとして記録される。
なお、図5の下半分には、1つの表示画面のアナログ映像信号の信号波形が描画されている。具体的には、動画の左側から二番目の表示画面62のアナログ映像信号の信号波形が描画されている。1つの表示画面に対応するアナログ映像信号は、たとえば480個、525個などの所定数の水平走査期間を有する。各水平走査期間に、1つの水平走査線毎の輝度分布に対応する波形成分71が含まれる。
また、各表示画面に対応するアナログ映像信号の先頭部分には、水平走査期間の20個分の期間が、垂直ブランキング期間72として確保されている。この垂直ブランキング期間72には、表示画面の輝度分布に対応する波形成分71が含まれない。垂直ブランキング期間72の信号波形は、ブラウン管におけるビーム走査の信号として使用されない。
図6は、テストディスク1に選択画面データとして記録されている選択画面81を示す図である。選択画面81には、再生した画面内で選択可能な複数の選択オブジェクト82を有する。複数の選択オブジェクト82は、テストディスク1に記録されている複数の再生データと同数である。なお、複数の選択オブジェクト82は、複数の選択画面に分割されて表示されてもよい。また、テストディスク1は、複数の選択オブジェクト82と複数の再生データとを1対1に対応付ける対応情報を有する。各選択オブジェクト82には、それが対応する再生データの時報の音の開始タイミングの値と同じ値が表示される。たとえば、動画と音声とが同期している図5の再生データに対応する選択オブジェクト82には、「0秒」の値が表示される。
そして、選択画面データは、テストディスク1のデータ記録エリアにおいて、複数の再生データよりも先に再生される位置に記録される。たとえば、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−R、DVD+Rなどの記録メディアに、DVD−video記録フォーマットやDVD−VR記録フォーマットなどの所定のデータ構造にてデータを記録することでテストディスク1を形成する場合、選択画面データは、そのトラックメニュー画面のデータ、チャプターメニュー画面のデータ、ボリュームメニュー画面のデータとして、記録されればよい。そして、複数の再生データは、そのメニュー画面において選択画面81の選択オブジェクト82が選択された場合に、再生されるトラックデータ、チャプターデータなどとして記録されればよい。
次に、図1に示す音声同期システムを用いた、プラズマディスプレイ装置3とオーディオアンプ装置4との同期を調整する調整方法について説明する。
ユーザは、まず、接続ケーブル8を用いて、ディスク再生装置2と、プラズマディスプレイ装置3と、オーディオアンプ装置4とを接続する。具体的には、ディスク再生装置2のアナログ映像出力端子54を、プラズマディスプレイ装置3のアナログ映像入力端子11と、オーディオアンプ装置4のアナログ映像入力端子21とに接続する。
なお、出力端子が2個無い場合は、映像信号分配器などで信号を分配して、ディスク再生装置2のアナログ映像出力端子54を、プラズマディスプレイ装置3のアナログ映像入力端子11と、オーディオアンプ装置4のアナログ映像入力端子21とに接続すればよい。この他にもたとえば図7に示すように、接続ケーブル8を2本用いて、ディスク再生装置2のアナログ映像出力端子54とオーディオアンプ装置4のアナログ映像入力端子21とを接続し、且つ、オーディオアンプ装置4のアナログ映像出力端子22とプラズマディスプレイ装置3のアナログ映像入力端子11とを接続するようにしてもよい。図7は、本発明の実施の形態1に係る同期調整システムの他の接続例を示す図である。
ユーザは、また、接続ケーブル8を用いて、ディスク再生装置2のアナログ音声出力端子50とオーディオアンプ装置4のアナログ音声入力端子31とを接続する。
ディスク再生装置2、プラズマディスプレイ装置3およびオーディオアンプ装置4を互いに接続した後、ユーザは、オーディオアンプ装置4の入力部26を操作して、遅延データメモリ28をリセットする。オーディオアンプ装置4の入力部26は、ユーザの操作に基づいて、数値「0」の入力データを出力する。遅延データ設定部27は、この数値「0」の入力データを、遅延データとして遅延データメモリ28に記憶させる。
以上の前準備が完了した後、ユーザは、テストディスク1をディスク再生装置2にセットし、ディスク再生装置2の入力部45を操作する。制御部44は、入力部45からの入力指示に基づいて、この駆動モータ41によるテストディスク1の回転駆動と、光ピックアップ42によるテストディスク1からのデータ読み取り位置との制御を開始する。
テストディスク1の回転駆動を開始すると、制御部44は、光ピックアップ42でテストディスク1のデータ記録エリアなどを走査し、テストディスク1のメディア種類や記録フォーマットなどを判定し、その記録フォーマットに応じた最初の再生位置からデータの読み込みを開始する。テストディスク1の最初に再生される位置には、選択画面データが記録されている。したがって、光ピックアップ42は、テストディスク1に記録されている選択画面データに応じた波形信号を出力する。
この選択画面データに応じた波形信号は、ヘッドアンプ43を介して、デモジュレータ46に入力される。デモジュレータ46は、選択画面データに応じた波形信号に基づくMPEG信号を生成する。MPEG信号分離部47は、このMPEG信号を、MPEGストリーム信号とデジタルオーディオ符号化信号とに分離する。MPEGストリームデコーダ52は、MPEGストリーム信号をデコードし、映像D/A変換部53は、MPEGストリームデコーダ52によりデコードされた信号に基づいて、アナログ映像信号を生成し、アナログ映像出力端子54へ出力する。
ディスク再生装置2のアナログ映像出力端子54には、接続ケーブル8により、プラズマディスプレイ装置3のアナログ映像入力端子11と、オーディオアンプ装置4のアナログ映像入力端子21とが接続されている。アナログ映像出力端子54へ出力されたアナログ映像信号は、これらのアナログ映像入力端子11,21に入力される。
プラズマディスプレイ装置3の映像A/D変換部12は、そのアナログ映像入力端子11に入力されたアナログ映像信号をサンプリングし、信号処理部13は、サンプリングデータに基づいて二次元画像データを生成し、ディスプレイドライバ14は、二次元画像データに基づいて、プラズマ発光表示部15のアドレス電極および表示電極の印加電圧を制御する。プラズマ発光表示部15では、アドレス電極と表示電極との電位差が高電圧になった放電セルがそれぞれの表示色で蛍光する。
これにより、プラズマディスプレイ装置3のプラズマ発光表示部15には、図6に示すテストデータの選択画面81が表示される。
プラズマディスプレイ装置3にテストデータの選択画面81が表示されたら、ユーザは、その選択画面81に表示される複数の選択オブジェクト82の中から、動画に対する音声の再生遅延量の値として、試してみたい値を表示する選択オブジェクト82を選択する。具体的には、ユーザは、ディスク再生装置2の入力部45を操作し、入力部45は、ユーザの操作に基づいて選択オブジェクト82を選択する。入力部45は、選択した選択オブジェクト82の対応情報に基づいて、選択した選択オブジェクト82に対応する再生データを特定し、その再生データの読み出しを指示する。制御部44は、その再生データが記録されているディスク位置に光ピックアップ42を移動する。光ピックアップ42は、選択した選択オブジェクト82に対応する再生データに応じた波形信号を出力する。
再生データに応じた波形信号は、ヘッドアンプ43を介して、デモジュレータ46に入力される。デモジュレータ46は、再生データに応じた波形信号に基づくMPEG信号を生成する。このMPEG信号には、再生データにおいてMPEGデータのプライベートストリームのデータとして記録されている時報の音の開始タイミングの値が含まれている。
MPEG信号分離部47は、このMPEG信号を、MPEGストリーム信号とデジタルオーディオ符号化信号とに分離する。MPEGストリームデコーダ52は、MPEGストリーム信号をデコードし、映像D/A変換部53は、MPEGストリームデコーダ52によりデコードされた信号に基づいて、アナログ映像信号を生成し、アナログ映像出力端子54へ出力する。
この再生データに基づくアナログ映像信号は、図5に示すアナログ映像信号の信号波形を有する。映像D/A変換部53は、各表示画面の信号波形に、再生データにおいてMPEGデータのプライベートストリームのデータとして記録されている時報の音の開始タイミングの値を重畳する。具体的にはたとえば、映像D/A変換部53は、図5の左から二番目の表示画面62に示す場合のように、各表示画面の信号波形の第20番目の水平走査周期において、各表示画面の信号波形に、時報の音の開始タイミングの値をデータとして重畳する。
なお、各表示画面の信号波形の第20番目の水平走査周期には、「EIAJ(社団法人 日本電子機械工業会:現在は社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA)) CPR−1204」として規格化されたビデオID信号が重畳されることがある。このビデオID信号は、表示画面のアスペクト比、3D情報、プルダウン情報、頭出し情報、ビデオの録画年月日、文字情報、信号形式などを伝送するための20ビットの信号である。
そして、この各表示画面の信号波形の第20番目の水平走査周期に、時報の音の開始タイミングの値をデータとして重畳する場合、たとえば以下のような方法が考えられる。具体的な例としては、ビデオID信号の「Word1」と同じビット位置に、ビデオID信号の「Word1」として未定義である「1011」を、時報の音の開始タイミングの値であることを示すヘッダとして使う。また、ビデオID信号の「Word2」と同じビット位置に、その時報の音の開始タイミングの値(ずれ情報)を記述する。
「Word2」は、1バイトである。そのため、このビデオID信号の「Word2」と同じビット位置にその時報の音の開始タイミングの値(ずれ情報)を記述する場合に、1ミリ秒を「1」としてずれ値を記載すれば、0から255ミリ秒までのずれ値を1ミリ秒単位で記述することができる。2ミリ秒を「1」としてずれ値を記載すれば、0から511ミリ秒までのずれ値を2ミリ秒単位で記述することができる。
「EIAJ CPR−1204」では、各表示画面の信号波形の第283番目の水平走査周期にも、各表示画面の信号波形の第20番目の水平走査周期と同一のデータ重畳することを規定している。したがって、第20番目の水平走査周期の替わりに、あるいは、第20番目の水平走査周期とともに、第283番目の水平走査周期に、時報の音の開始タイミングの値を重畳するようにしてもよい。
また、たとえば第20番目の水平走査周期には、時報の音の開始タイミングの値の上位ビットデータを重畳し、第283番目の水平走査周期には、時報の音の開始タイミングの値の下位ビットデータを重畳するようにしてもよい。第20番目の水平走査周期と第283番目の水平走査周期とに分けて、時報の音の開始タイミングの値を重畳することで、たとえば1ミリ秒を「1」としてずれ値を記載したとしても、0から65535ミリ秒までのずれ値を1ミリ秒単位で記述することが可能となる。
図1に戻り、ディスク再生装置2のアナログ映像出力端子54へ出力されたアナログ映像信号は、プラズマディスプレイ装置3のアナログ映像入力端子11と、オーディオアンプ装置4のアナログ映像入力端子21に入力される。
プラズマディスプレイ装置3は、アナログ映像入力端子11に入力されたアナログ映像信号に基づく動画を、プラズマ発光表示部15に表示する。図5に示すように、プラズマディスプレイ装置3は、アナログの時計の秒針が55秒の位置から03秒の位置まで移動する動画を表示する。
オーディオアンプ装置4のアナログ映像入力端子21にアナログ映像信号が入力されると、ディレイ抽出部23は、このアナログ映像信号から、それに重畳されている再生遅延量の値を抽出する。ディレイ抽出部23は、具体的には、各表示画面の信号波形の第20番目の水平走査周期の波形成分から、時報の音の開始タイミングの値に対応する波形を抽出し、その波形に応じたデジタル値を生成する。ディレイ抽出部23は、抽出した再生遅延量の値を表示部24に出力する。表示部24は、再生遅延量の値を表示する。これにより、たとえば再生遅延量の値が「0」秒である再生データを再生しているときには、表示部24には「0秒」を意味する表示が表示される。
また、上述したように、ディスク再生装置2のMPEG信号分離部47は、MPEG信号を、MPEGストリーム信号と、デジタルオーディオ符号化信号とに分離する。ディスク再生装置2の音声D/A変換部49は、このデジタルオーディオ符号化信号に基づいてアナログ音声信号を生成し、アナログ音声出力端子50へ出力する。ディスク再生装置2のアナログ音声出力端子50には、接続ケーブル8により、オーディオアンプ装置4のアナログ音声入力端子31が接続されている。
オーディオアンプ装置4の音声A/D変換部32は、アナログ音声入力端子31に入力されるアナログ音声信号をサンプリングする。デジタル遅延回路29は、このサンプリングしたデータを、遅延データメモリ28が記憶する遅延データの値に相当する時間で遅らせて出力する。遅延データメモリ28には、遅延データとして「0」秒が記憶されている。したがって、デジタル遅延回路29は、音声A/D変換部32がサンプリングしたデータを遅延させることなく直ちに出力する。音声D/A変換部33は、デジタル遅延回路29から出力されるデジタル値に応じたレベルを出力する。これにより、音声D/A変換部33からは、アナログ音声入力端子31に入力されるアナログ音声信号がほとんど遅延されずに出力される。
オーディオアンプ装置4のアンプ回路34は、音声D/A変換部33から出力される遅延されたアナログ音声信号を増幅し、アナログ音声出力端子35へ出力する。アナログ音声出力端子35には、スピーカ5が接続される。スピーカ5は、アナログ音声信号に信号化されている所定の音声を出力する。これにより、スピーカ5は、再生データの音声を出力する。スピーカ5は、所定のタイミングで、時を告げる「ボーン」という音を2秒間の長さで出力する。図5の再生データの場合、スピーカ5は、再生データの開始からほぼ5秒程度の後に時を告げる「ボーン」という音を出力しはじめる。
以上のように、ディスク再生装置2の入力部45が選択オブジェクト82を選択すると、プラズマディスプレイ装置3は、その選択された選択オブジェクト82に対応する再生データの動画を表示する。オーディオアンプ装置4に接続されたスピーカ5は、その再生データの音声を、その再生データに応じた遅延時間のタイミングで出力する。オーディオアンプ装置4の表示部24は、その再生データにおける時報の音の開始タイミングの値を再生遅延量の値として表示する。
これにより、ユーザは、テストディスク1に記録されている複数の再生データを選択画面81で選択することで1つずつ再生し、それらの複数の再生データにおける動画と音声とのずれ方の違いを聞き比べることができる。
そのため、たとえば、図5のアナログの時計の動画における秒針の動きに対して遅れることなく音声が出力される再生データを視聴したときに、「ボーン」という時報がなってから秒針68が00秒の位置となるように感じる場合には、その再生データより再生遅延量が大きい再生データを選択して視聴する。ユーザは、このような再生データの視聴を繰り返し、「ボーン」という時報がなったときに秒針68が00秒の位置となるように感じる再生データ、すなわちアナログの時計の動画における秒針68の動きと、時を告げる音声とが一致していると感じる再生データを探す。なお、秒針68の動きと、時を告げる音声とが一致していると感じるものが無い場合には、最も一致していると感じる再生データを探す。そして、ユーザは、その再生データを再生しているときにオーディオアンプ装置4の同期OKボタンを押す。
オーディオアンプ装置4の入力部26は、ユーザの操作に基づいて、その時のディレイ抽出部23から出力されたデータを遅延データメモリ28に設定する。
遅延データメモリ28に「0」以外の値の遅延データが記憶されている場合、デジタル遅延回路29は、音声A/D変換部32から入力されるデジタル値を、その遅延データの値に相当する時間で遅らせて音声D/A変換部33へ出力する。したがって、オーディオアンプ装置4のアナログ音声入力端子31に入力されるアナログ音声信号は、遅延データメモリ28に記憶されている値の分で遅延されてから、アナログ音声出力端子35からスピーカ5へ出力される。スピーカ5は、その値の分だけ遅れて音声を出力することになる。
したがって、「0」以外の再生遅延量の値を設定した後では、図5に示すアナログの時計の動画における秒針68の動きに対して遅れることなく音声が出力される再生データ、すなわち同期した再生データを再生すると、その再生遅延量の値の分だけ音声の出力が遅れる。
その結果、図5に示すように、アナログの時計の動画における秒針68の動きに対して遅れることなく音声が出力される再生データを視聴したときに、プラズマディスプレイ装置3に表示される秒針が00秒の位置となるときに、スピーカ5から「ボーン」という音声が聞こえるようになる。このように、図1または図7に示す同期調整システムを用いることで、プラズマディスプレイ装置3とオーディオアンプ装置4とが同期するように調整することができる。
なお、たとえば図1に示す同期調整システムを用いてプラズマディスプレイ装置3とオーディオアンプ装置4とが同期するように調整した後に、ディスク再生装置2、プラズマディスプレイ装置3およびオーディオアンプ装置4の接続は、図7のように変更してもよい。このように接続関係を変更したとしても、プラズマディスプレイ装置3内での動画表示の遅延を相殺するようにオーディオアンプ装置4は音声の出力タイミングを遅らせているので、プラズマディスプレイ装置3とオーディオアンプ装置4との同期は確保される。
以上のように、この実施の形態1に係る同期調整システムでは、テストディスク1に記憶されている複数の再生データの中から1つを選択し、その選択した再生データをディスク再生装置2で再生し、その選択した再生データの動画をプラズマディスプレイ装置3に表示し、且つ、その選択した再生データの音声をオーディオアンプ装置4に接続されたスピーカ5から出力することができる。
また、オーディオアンプ装置4は、選択した再生データにおける動画に対する音声の再生遅延量の値を表示部24に表示し、入力部26から入力された数値を、アナログ音声信号の出力を遅延させる遅延データとして遅延データメモリ28に記憶する。
したがって、この実施の形態1に係る同期調整システムを用いることで、アナログ映像信号に基づいてプラズマディスプレイ装置3が表示する動画と、アナログ音声信号に基づいてオーディオアンプ装置4が出力する音声とを同期させるように調整することができる。
しかも、この実施の形態1に係る同期調整システムでは、テストディスク1に記憶されている再生データを、ディスク再生装置2で再生することで、同期調整のためにプラズマディスプレイ装置3へ入力させるアナログ映像信号と、オーディオアンプ装置4へ入力させるアナログ音声信号とを発生している。
また、ユーザは、動画に対する音声の再生遅延量が予め判っている複数の再生データをその遅延量の値に基づいて選択して再生することができるので、再生遅延量を変えたときの動画と音声とのずれ具合を容易に比較することができる。したがって、たとえば、動画と音声とが同期している単一の時報の動画および音声をディスク再生装置2などにおいて再生し、その状況下で遅延量を調整することで、動画と音声とが一致する遅延量を自らの感覚のみで探す場合にくらべて、ユーザは、動画と音声とが一致しているか否かを容易に判断することができる。なお、このような効果を得るためには、複数の再生データに、それら複数の再生遅延量同士の差が所定の一定値となるような組合せのもの(たとえば、再生遅延量が10ミリ秒、20ミリ秒、30ミリ秒の組合せのもの)が含まれるようにするのが望ましい。
また、プラズマディスプレイ装置3とオーディオアンプ装置4とを組み合わせて使用する場合において事前にこの実施の形態1に係る同期調整システムを用いてそれらの動画と音声とが同期するように調整することで、たとえばディスク再生装置2で映画、コンサート、録画番組などを再生したときに、動画に対する音のずれによる違和感を感ずることなく鑑賞することができる。
実施の形態2.
本発明の実施の形態2に係る同期調整システムは、テストディスク1と、ディスク再生装置2と、プラズマディスプレイ装置3と、オーディオアンプ装置4と、スピーカ5と、を有する。これらの接続関係は、図1と同様である。
図8は、本発明の実施の形態2に係るオーディオアンプ装置4の構成を示すブロック図である。オーディオアンプ装置4は、選択指示入力手段の一部および遠隔入力ユニットとしてのリモコンユニット91と、選択指示入力手段の一部および受信ユニットとしての受光部92と、モード判定部93と、設定手段としての遅延データ設定部94と、を有する。
リモコンユニット91は、オーディオアンプ装置4とは別体に形成され、図示外のテンキーや選択ボタンなどの操作ボタンを有し、この操作ボタンに対する操作に基づいて、数値や指示を出力する。リモコンユニット91は、数値や指示を、赤外線に乗せて無線送信する。
受光部92は、赤外線を受光する。受光部92は、受光した赤外線から、数値や指示を抽出して出力する。
モード判定部93は、オーディオアンプ装置4のモードを判定する。オーディオアンプ装置4は、通常のモードと、遅延データ設定モードとを有する。通常のモードでは、オーディオアンプ装置4は、アナログ音声入力端子に入力された信号を、遅延データメモリ28に設定された時間で遅延してアナログ音声出力端子から出力する。遅延データ設定モードでは、オーディオアンプ装置4は、遅延データメモリに遅延データを設定するための処理を実行する。
遅延データ設定部94は、ディレイ抽出部23が抽出した再生遅延量の値を、遅延データとして遅延データメモリ28に記憶させる。
なお、オーディオアンプ装置4のこれ以外の構成要素は、実施の形態1のオーディオアンプ装置4の同名の構成要素と同じ機能を有するものであり、実施の形態1と同一の符号を付して説明を省略する。また、本発明の実施の形態2に係るテストディスク1、ディスク再生装置2、プラズマディスプレイ装置3、ならびに、スピーカ5についての詳細な構成要素は、実施の形態1に係る同名のものの構成要素と同じ機能を有するものであり、実施の形態1と同一の符号を付して説明を省略する。
次に、本発明の実施の形態2に係る音声同期システムを用いた、プラズマディスプレイ装置3とオーディオアンプ装置4との同期を調整する調整方法について説明する。
ユーザは、まず、接続ケーブル8を用いて、図1あるいは図7に示すように、ディスク再生装置2と、プラズマディスプレイ装置3と、オーディオアンプ装置4とを接続する。
ディスク再生装置2、プラズマディスプレイ装置3およびオーディオアンプ装置4を互いに接続した後、ユーザは、リモコンユニット91を操作して、オーディオアンプ装置4を遅延データ設定モードに設定する。リモコンユニット91は、ユーザの操作に基づいて、遅延データ設定モードに設定する指示を赤外線送信する。オーディオアンプ装置4の受光部92は、この赤外線を受光し、遅延データ設定モードに設定する指示をモード判定部93へ出力する。
モード判定部93は、受光部92から入力された指示に基づいて、オーディオアンプ装置4を遅延データ設定モードに設定する。具体的には、モード判定部93は、遅延データメモリ28をリセットする。遅延データメモリ28は、リセットされることで、遅延データの値として「0」秒を記憶する。
オーディオアンプ装置4が遅延データ設定モードで動作しはじめた後、ユーザは、テストディスク1をディスク再生装置2にセットし、ディスク再生装置2の入力部45を操作する。これにより、テストディスク1の再生が開始され、ディスク再生装置2からアナログ映像信号とアナログ音声信号とが出力される。プラズマディスプレイ装置3のプラズマ発光表示部15には、まず、図6に示すテストデータの選択画面81が表示される。
プラズマディスプレイ装置3にテストデータの選択画面81が表示されたら、ユーザは、その選択画面81に表示される複数の選択オブジェクト82の中から、選択オブジェクト82を選択する。これにより、ディスク再生装置2からは、選択された再生データの動画を含むアナログ映像信号と、選択された再生データの音声を含むアナログ音声信号と、が出力される。アナログ映像信号の各表示画面の信号波形の第20番目の水平走査周期には、再生データにおける動画に対する音声の再生遅延量の値が重畳される。
プラズマディスプレイ装置3は、ディスク再生装置2から出力されたアナログ映像信号に基づいて、図5に示すような動画を表示する。オーディオアンプ装置4のディレイ抽出部23は、このアナログ映像信号の各表示画面の信号波形の第20番目の水平走査周期の波形成分から、再生遅延量の値を抽出する。オーディオアンプ装置4の表示部24は、この再生遅延量の値を表示する。
オーディオアンプ装置4の音声A/D変換部32は、ディスク再生装置2から出力されたアナログ音声信号をサンプリングする。デジタル遅延回路29は、このサンプリングしたデータを、遅延データメモリ28が記憶する遅延データの値に相当する時間で遅らせて出力する。遅延データ設定モードの最初では、遅延データメモリ28には、遅延データとして「0」秒が記憶されている。したがって、デジタル遅延回路29は、音声A/D変換部32がサンプリングしたデータを遅延させることなく直ちに出力する。音声D/A変換部33は、デジタル遅延回路29から出力されるデジタル値に応じたレベルを出力する。これにより、音声D/A変換部33からは、アナログ音声入力端子31に入力されるアナログ音声信号がほとんど遅延されずに出力される。スピーカ5は、このアナログ音声信号に基づいて、アナログ音声信号に信号化されている所定の音声を出力する。スピーカ5は、所定のタイミングで、時を告げる「ボーン」という音を2秒間の長さで出力する。
ユーザは、テストディスク1に記録されている複数の再生データを選択画面81で選択することで1つずつ再生し、それらの複数の再生データにおける動画に対する音声のずれ方の違いを聞き比べる。再生する再生データが変わると、それに基づいてアナログ映像信号に含まれる再生遅延量の値も変わり、ディレイ抽出部23が抽出する再生遅延量の値も変わる。
そして、ユーザは、プラズマディスプレイ装置3に表示される所定の動画と、スピーカ5から出力される所定の音声とが同期したと判断したら、リモコンユニット91を操作する。リモコンユニット91は、ユーザの操作に基づいて、選択指示を赤外線送信する。受光部92は、この赤外線を受光し、選択指示を遅延データ設定部94へ出力する。遅延データ設定部94は、選択指示が入力されると、その選択指示が入力されたときにディレイ抽出装置が抽出している再生遅延量の値を、遅延データとして遅延データメモリ28に記憶させる。以上の処理により、遅延データ設定モードは、終了する。
遅延データ設定モードが終了した時点において遅延データメモリ28に「0」以外の値の遅延データが記憶されている場合には、デジタル遅延回路29は、その後に音声A/D変換部32から入力されるデジタル値を、その遅延データの値に相当する時間で遅らせて音声D/A変換部33へ出力する。したがって、オーディオアンプ装置4のアナログ音声入力端子31に入力されるアナログ音声信号は、遅延データメモリ28に記憶されている値の分で遅延されてから、アナログ音声出力端子35からスピーカ5へ出力される。スピーカ5は、その値の分だけ遅れて音声を出力することになる。その結果、プラズマディスプレイ装置3に表示される動画とオーディオアンプ装置4から出力される音声とは同期する。
以上のように、この実施の形態2に係る同期調整システムでは、テストディスク1に記憶されている複数の再生データの中から1つを選択し、その選択した再生データをディスク再生装置2で再生し、その選択した再生データの動画をプラズマディスプレイ装置3に表示し、且つ、その選択した再生データの音声をオーディオアンプ装置4に接続されたスピーカ5から出力することができる。また、オーディオアンプ装置4は、リモコンユニット91の選択信号に基づいて、ディレイ抽出部23が抽出している再生遅延量の値を、遅延データとして遅延データメモリに記憶する。したがって、プラズマディスプレイ装置3とオーディオアンプ装置4とを同期させることができる。
また、ユーザは、動画に対する音声の再生遅延量が予め判っている複数の再生データをその遅延量の値に基づいて選択して再生することができるので、特に、動画に対して音声が遅延している再生データを選択して再生することができるので、再生遅延量を変えたときの動画と音声とのずれ具合を容易に比較することができる。したがって、たとえば、動画と音声とが同期している単一の時報の動画および音声をディスク再生装置2などにおいて再生し、その状況下で遅延量を調整することで、動画と音声とが一致する遅延量を自らの感覚のみで探す場合にくらべて、ユーザは、動画と音声とが一致しているか否かを容易に判断することができる。なお、このような効果を得るためには、複数の再生データに、それら複数の再生遅延量同士の差が所定の一定値となるような組合せのもの(たとえば、再生遅延量が10ミリ秒、20ミリ秒、30ミリ秒の組合せのもの)が含まれるようにするのが望ましい。
また、プラズマディスプレイ装置2とオーディオアンプ装置4とを組み合わせて使用する場合において事前にこの実施の形態2に係る同期調整システムを用いてそれらの動画と音声とが同期するように調整することで、たとえばディスク再生装置2で映画、コンサート、録画番組などを再生したときに、動画に対する音のずれによる違和感を感ずることなく鑑賞することができる。
実施の形態3.
図9は、本発明の実施の形態3に係る同期調整システムを示す図である。同期調整システムは、プラズマディスプレイ装置3と、オーディオアンプ装置4と、スピーカ5と、を有する。
図10は、図9中のオーディオアンプ装置4の構成を示すブロック図である。オーディオアンプ装置4は、モード判定部101と、信号発生手段としてのテストデータ発生部102と、映像入力切替手段としての映像入力切替回路103と、音声入力切替回路103と、を有する。
モード判定部101は、オーディオアンプ装置4のモードを判定する。オーディオアンプ装置4は、通常のモードと、遅延データ設定モードとを有する。通常のモードでは、オーディオアンプ装置4は、アナログ音声入力端子に入力された信号を、遅延データメモリ28に設定された時間で遅延してアナログ音声出力端子から出力する。遅延データ設定モードでは、オーディオアンプ装置4は、遅延データメモリに遅延データを設定するための処理を実行する。
テストデータ発生部102は、アナログ映像信号を、映像入力切替回路103へ出力する。テストデータ発生部102が出力するアナログ映像信号は、実施の形態1のディスク再生装置2が出力するものと同じものである。テストデータ発生部102は、アナログ音声信号をサンプリングしたアナログ音声サンプリング信号を、音声入力切替回路104へ出力する。アナログ音声サンプリング信号は、実施の形態1のディスク再生装置2のオーディオデコーダ48が出力する信号と同じものである。
また、テストデータ発生部102は、アナログ映像信号およびアナログ音声サンプリング信号を、所定の再生遅延量で出力する。テストデータ発生部102は、その再生遅延量の値を、表示部24に出力する。表示部24は、再生遅延量の値を表示する。
なお、テストデータ発生部102のさらに詳しい構成要素は、たとえば実施の形態1のディスク再生装置2を参考にすればよい。テストデータ発生部102は、たとえば、図示外の半導体メモリに、時計の秒針が55秒の位置から03秒の位置まで動く動画および時を告げる「ボーン」という音声のデータをたとえばMPEG信号として記憶し、図示外のMPEG信号分離部がこのMPEG信号を読み出してMPEGストリーム信号とデジタルオーディオ符号化信号とに分離し、図示外のMPEGストリームデコーダがMPEGストリーム信号をデコードし、図示外の映像D/A変換部がこのデコードされた映像の信号に基づいてアナログ映像信号を生成し、さらに、図示外のオーディオデコーダがデジタルオーディオ符号化信号をデコードしてアナログ音声サンプリング信号を生成するようにすればよい。
映像入力切替回路103は、アナログ映像入力端子21と、テストデータ発生部102とが接続される。映像入力切替回路103は、アナログ映像入力端子21とテストデータ発生部102との中から一方を選択し、選択したものからのアナログ映像信号をアナログ映像出力端子へ出力する。
音声入力切替回路103は、アナログ音声入力端子31が接続される。音声入力切替回路103は、通常、アナログ音声入力端子31からのアナログ音声信号を音声A/D変換部32へ出力する。音声入力切替回路103は、ミュート状態では、音声A/D変換部32へアナログ音声信号を出力しない。
なお、オーディオアンプ装置4のこれ以外の構成要素は、実施の形態1のオーディオアンプ装置4の同名の構成要素と同じ機能を有するものであり、実施の形態1と同一の符号を付して説明を省略する。また、本発明の実施の形態2に係るプラズマディスプレイ装置3、ならびに、スピーカ5についての詳細な構成要素は、実施の形態1に係る同名のものの構成要素と同じ機能を有するものであり、実施の形態1と同一の符号を付して説明を省略する。
次に、本発明の実施の形態3に係る音声同期システムを用いた、プラズマディスプレイ装置3とオーディオアンプ装置4との同期を調整する調整方法について説明する。
ユーザは、まず、接続ケーブル8を用いて、図9に示すように、オーディオアンプ装置4のアナログ映像出力端子22と、プラズマディスプレイ装置3のアナログ映像入力端子11とを接続する。
プラズマディスプレイ装置3およびオーディオアンプ装置4を互いに接続した後、ユーザは、入力部26を操作して、オーディオアンプ装置4を遅延データ設定モードに設定する。入力部26は、遅延データ設定モードに設定する指示をモード判定部101へ出力する。
モード判定部101は、入力部26から入力された指示に基づいて、オーディオアンプ装置4を遅延データ設定モードに設定する。具体的には、モード判定部101は、映像入力切替回路103にテストデータ発生部102を選択させ、音声入力切替回路104に入力信号をミュートさせ、テストデータ発生部102に信号の出力開始を指示する。
ユーザは、オーディオアンプ装置4を遅延データ設定モードに設定した後、入力部26を操作し、動画に対する音声の再生遅延量の値を入力する。入力部26は、入力された再生遅延量の値をテストデータ発生部102へ出力する。なお、入力部26は、たとえばユーザによる図示外のアップダウンキーなどの操作に基づいて、所定の再生遅延量の値を生成してテストデータ発生部102へ出力するようにしてもよい。
テストデータ発生部102は、アナログ映像信号およびアナログ音声サンプリング信号の出力を開始する。テストデータ発生部102は、アナログ映像信号の出力を開始してから、入力部26から入力された再生遅延量の値に相当する時間の後に、アナログ音声サンプリング信号の出力を開始する。また、テストデータ発生部102は、出力する動画に対する出力する音声の再生遅延量の値を表示部24に表示させる。
テストデータ発生部102から出力されたアナログ映像信号は、映像入力切替回路103およびアナログ映像信号出力端子22を介して、オーディオアンプ装置4から出力される。オーディオアンプ装置4から出力されたアナログ映像信号は、プラズマディスプレイ装置3に入力される。プラズマディスプレイ装置3は、入力されたアナログ映像信号に基づく動画を表示する。
テストデータ発生部102から出力されたアナログ音声サンプリング信号は、音声D/A変換部33に入力される。音声D/A変換部33は、アナログ音声サンプリング信号の値に応じたレベルを出力する。音声D/A変換部33は、アナログ音声サンプリング信号に基づくアナログ音声信号を出力する。音声D/A変換部33から出力されるアナログ音声信号は、アンプ回路34で増幅され、オーディオアンプ装置4のアナログ音声出力端子35からスピーカ5へ出力される。スピーカ5は、アナログ音声信号に基づく音声を出力する。
ユーザは、プラズマディスプレイ装置3に表示される動画と、オーディオアンプ装置4から出力される音声とを視聴する。ユーザは、動画と音声とのずれ方の違いを聞き比べる。
そして、ユーザは、プラズマディスプレイ装置3に表示される動画と、スピーカ5から出力される所定の音声とが同期していないと判断したら、入力部26を操作し、新たな再生遅延量の値を入力する。たとえば、動画より音声が先行していると判断したら、ユーザは、表示部24に表示されている再生遅延量の値より大きな値を入力する。動画より音声が遅れていると判断したら、ユーザは、表示部24に表示されている再生遅延量の値より小さな値を入力する。入力部26は、入力された数値をテストデータ発生部102へ出力する。テストデータ発生部102は、新たに入力された数値の再生遅延量にて、アナログ映像信号とアナログ音声サンプリング信号とを出力する。テストデータ発生部102は、新たに入力された数値を表示部24に表示させる。
なお、入力部26は、たとえばユーザによる図示外のアップダウンキーなどの操作に基づいて、その入力時に設定されている再生遅延量の値を所定値ずつ増減させた再生遅延量の値を生成し、その生成した再生遅延量の値をテストデータ発生部102へ出力するようにしてもよい。
ユーザは、画面を選択して、プラズマディスプレイ装置3に表示される動画と、スピーカ5から出力される所定の音声とが同期していると判断する画面になったら、表示部24に表示されている再生遅延量の値を入力する。表示部24には、そのときに表示している再生遅延量の値が出力される。
遅延データ設定部27は、入力部26からある値が入力されると、その値を遅延データとして遅延データメモリ28に記憶させる。以上の処理により、遅延データ設定モードは、終了する。
遅延データ設定モードにおいて遅延データメモリ28に「0」以外の値の遅延データが記憶された場合、デジタル遅延回路29は、その後の通常のモードにおいては、音声A/D変換部32から入力されるデジタル値を、その遅延データの値に相当する時間で遅らせて音声D/A変換部33へ出力する。したがって、オーディオアンプ装置4のアナログ音声入力端子31に入力されるアナログ音声信号は、遅延データメモリ28に記憶されている値の分で遅延されてから、アナログ音声出力端子35からスピーカ5へ出力される。スピーカ5は、その値の分だけ遅れて音声を出力することになる。その結果、プラズマディスプレイ装置3に表示される動画とオーディオアンプ装置4から出力される音声とは同期する。
以上のように、この実施の形態3に係る同期調整システムでは、オーディオアンプ装置4のテストデータ生成部102が、ある再生遅延量で動画および音声を出力する。また、オーディオアンプ装置4の遅延データ設定部27は、入力部26から入力された再生遅延量の値を遅延データとして遅延データメモリ28に記憶させる。したがって、プラズマディスプレイ装置3とオーディオアンプ装置4とを同期させることができる。
しかも、この実施の形態3に係る同期調整システムでは、オーディオアンプ装置4において同期調整に使用する動画および音声を生成して出力しているので、たとえば同期調整のためのアナログ映像信号とアナログ音声信号とを発生する専用の映像及び音声信号発生装置を使用することなく同期調整をすることができる。
その結果、プラズマディスプレイ装置3とオーディオアンプ装置4とを購入したユーザが自宅において、特別な専用機器を購入したりすることなく、簡単に、それらの同期調整を実施することができる。
また、ユーザは、動画に対する音声の再生遅延量を自ら選択あるいは設定して再生データを再生することができるので、特に、動画に対して音声が遅延している再生データを選択あるいは設定して再生することができるので、再生遅延量を変えたときの動画と音声とのずれ具合を容易に比較することができる。したがって、たとえば、動画と音声とが同期している単一の時報の動画および音声をディスク再生装置2などにおいて再生し、その状況下で遅延量を調整することで、動画と音声とが一致する遅延量を自らの感覚のみで探す場合にくらべて、ユーザは、動画と音声とが一致しているか否かを容易に判断することができる。なお、このような効果を得るためには、再生データの再生遅延量は、たとえば10ミリ秒、20ミリ秒、30ミリ秒などのように、所定の一定値毎に変化するように設定あるいは選択できるようにするのが望ましい。
また、プラズマディスプレイ装置2とオーディオアンプ装置4とを組み合わせて使用する場合において事前にこの実施の形態3に係る同期調整システムを用いてそれらの動画と音声とが同期するように調整することで、たとえばディスク再生装置2で映画、コンサート、録画番組などを再生したときに、動画に対する音のずれによる違和感を感ずることなく鑑賞することができる。
なお、この実施の形態3では、テストデータ発生部102は、アナログ音声サンプリング信号を音声D/A変換部33へ出力している。この他にもたとえば、テストデータ発生部102は、アナログ音声信号を音声入力切替回路104へ出力するようにしてもよい。ただし、この場合、テストデータ発生部102は、オーディオデコーダの後段として、図示外の音声D/A変換部が必要となる。しかも、テストデータ発生部102が出力するアナログ音声信号は、デジタル遅延回路29を介して音声D/A変換部33へ出力される。そのため、遅延データ設定モードでは、その最初において、遅延データメモリ28をリセットする必要がある。遅延データ設定モードの最初において遅延データメモリ28をリセットした場合、その後に遅延データ設定モードを中断したとしても、遅延データメモリ28には、それまでに使用していた遅延データが記憶されなくなる。
実施の形態4.
本発明の実施の形態4に係る同期調整システムは、プラズマディスプレイ装置3と、オーディオアンプ装置4と、スピーカ5と、を有する。これらの接続関係は、図9と同様である。
図11は、本発明の実施の形態4に係るオーディオアンプ装置4の構成を示すブロック図である。オーディオアンプ装置4は、選択指示入力手段の一部および遠隔入力ユニットとしてのリモコンユニット111と、選択指示入力手段の一部および受信ユニットとしての受光部112と、設定手段としての遅延データ設定部113と、を有する。
リモコンユニット111は、オーディオアンプ装置4とは別体に形成され、図示外のテンキーや選択ボタンなどの操作ボタンを有し、この操作ボタンに対する操作に基づいて、数値や指示を出力する。リモコンユニット111は、数値や指示を、赤外線に乗せて無線送信する。
受光部112は、赤外線を受光する。受光部112は、受光した赤外線から、数値や指示を抽出して出力する。
遅延データ設定部113は、テストデータ発生部102が出力する再生遅延量の値を、遅延データとして遅延データメモリ28に記憶させる。
なお、オーディオアンプ装置4のこれ以外の構成要素は、実施の形態3のオーディオアンプ装置4の同名の構成要素と同じ機能を有するものであり、実施の形態3と同一の符号を付して説明を省略する。また、本発明の実施の形態4に係るプラズマディスプレイ装置3、ならびに、スピーカ5についての詳細な構成要素は、実施の形態1に係る同名のものの構成要素と同じ機能を有するものであり、実施の形態1と同一の符号を付して説明を省略する。
次に、本発明の実施の形態4に係る音声同期システムを用いた、プラズマディスプレイ装置3とオーディオアンプ装置4との同期を調整する調整方法について説明する。
ユーザは、まず、接続ケーブル8を用いて、図9に示すように、オーディオアンプ装置4のアナログ映像出力端子22と、プラズマディスプレイ装置3のアナログ映像入力端子11とを接続する。
プラズマディスプレイ装置3およびオーディオアンプ装置4を互いに接続した後、ユーザは、リモコンユニット111を操作して、オーディオアンプ装置4を遅延データ設定モードに設定する。リモコンユニット111は、ユーザの操作に基づいて、遅延データ設定モードに設定する指示を赤外線送信する。オーディオアンプ装置4の受光部112は、この赤外線を受光し、遅延データ設定モードに設定する指示をモード判定部101へ出力する。
モード判定部101は、受光部112から入力された指示に基づいて、オーディオアンプ装置4を遅延データ設定モードに設定する。具体的には、モード判定部101は、映像入力切替回路103にテストデータ発生部102を選択させ、音声入力切替回路104に入力信号をミュートさせ、テストデータ発生部102に信号の出力開始を指示する。
ユーザは、オーディオアンプ装置4を遅延データ設定モードに設定した後、リモコンユニット111を操作する。リモコンユニット111は、再生遅延量の値をテストデータ発生部102へ送信する。なお、リモコンユニット111は、たとえばユーザによる図示外のアップダウンキーなどの操作に基づいて、所定の再生遅延量の値を生成して赤外線で送信すればよい。受光部112は、リモコンユニット111が出力した赤外線を受光し、その赤外線に含まれる再生遅延量の値をテストデータ発生部102へ出力する。
テストデータ発生部102は、アナログ映像信号およびアナログ音声サンプリング信号の出力を開始する。テストデータ発生部102は、アナログ映像信号の出力を開始してから、受光部112から入力された再生遅延量の値に相当する時間の後に、アナログ音声サンプリング信号の出力を開始する。これにより、プラズマディスプレイ装置3は、動画を表示し、スピーカ5は音声を出力する。また、テストデータ発生部102は、出力する動画に対する出力する音声の再生遅延量の値を表示部24に表示させる。
ユーザは、プラズマディスプレイ装置3に表示される動画と、オーディオアンプ装置4から出力される音声とを視聴する。ユーザは、動画と音声とのずれ方の違いを聞き比べる。
そして、ユーザは、プラズマディスプレイ装置3に表示される動画と、スピーカ5から出力される所定の音声とが同期していないと判断したら、リモコンユニット111を操作する。リモコンユニット111は、新たな再生遅延量の値を生成して送信する。テストデータ発生部102は、受光部112を介して新たに入力された数値の再生遅延量にて、アナログ映像信号とアナログ音声サンプリング信号とを出力する。プラズマディスプレイ装置3とオーディオアンプ装置4は、新たな再生遅延量に基づいて動画および音声を出力する。
なお、リモコンユニット111は、たとえばユーザによる図示外のアップダウンキーなどの操作に基づいて、その入力時に設定されている再生遅延量の値を所定値ずつ増減させた再生遅延量の値を生成し、その生成した再生遅延量の値を送信するようにしてもよい。
ユーザは、プラズマディスプレイ装置3に表示される動画と、スピーカ5から出力される所定の音声とが同期していると判断したら、リモコンユニット111を操作する。この操作は、たとえば図示外の確定キーに対するものであればよい。リモコンユニット111は、設定指示を送信する。受光部112は、設定指示を含む赤外線を受光し、その赤外線に含まれる設定指示を遅延データ設定部113へ出力する。
遅延データ設定部113は、受光部112から設定指示が入力されると、そのときにテストデータ発生部102が出力している再生遅延量の値を取得し、その取得した再生遅延量の値を遅延データとして遅延データメモリ28に記憶させる。以上の処理により、遅延データ設定モードは、終了する。
遅延データ設定モードにおいて遅延データメモリ28に「0」以外の値の遅延データが記憶されている場合、デジタル遅延回路29は、その後の通常のモードにおいては、音声A/D変換部32から入力されるデジタル値を、その遅延データの値に相当する時間で遅らせて音声D/A変換部33へ出力する。したがって、オーディオアンプ装置4のアナログ音声入力端子31に入力されるアナログ音声信号は、遅延データメモリ28に記憶されている値の分で遅延されてから、アナログ音声出力端子35からスピーカ5へ出力される。スピーカ5は、その値の分だけ遅れて音声を出力することになる。その結果、プラズマディスプレイ装置3に表示される動画とオーディオアンプ装置4から出力される音声とは同期する。
以上のように、この実施の形態4に係る同期調整システムでは、オーディオアンプ装置4のテストデータ生成部102が、ある再生遅延量の値で動画および音声を出力する。また、オーディオアンプ装置4の遅延データ設定部113は、リモコンユニット111にて選択指示がなされたときにテストデータ発生部102が出力している再生遅延量の値を遅延データとして遅延データメモリ28に記憶させる。したがって、プラズマディスプレイ装置3とオーディオアンプ装置4とを同期させることができる。
しかも、この実施の形態4に係る同期調整システムでは、オーディオアンプ装置4において同期調整に使用する動画および音声を生成して出力しているので、たとえば同期調整のためのアナログ映像信号とアナログ音声信号とを発生する専用の映像及び音声信号発生装置を使用することなく同期調整をすることができる。
その結果、プラズマディスプレイ装置3とオーディオアンプ装置4とを購入したユーザが自宅において、特別な専用機器を購入したりすることなく、簡単に、それらの同期調整を実施することができる。
また、ユーザは、動画に対する音声の再生遅延量を自ら選択あるいは設定して再生データを再生することができるので、特に、動画に対して音声が遅延している再生データを選択あるいは設定して再生することができるので、再生遅延量を変えたときの動画と音声とのずれ具合を容易に比較することができる。ユーザは、再生遅延量を変化させたときの、動画と音声とのずれ方の変化の程度を学習することができる。したがって、たとえば、動画と音声とが同期している単一の時報の動画および音声をディスク再生装置2などにおいて再生し、その状況下で遅延量を調整することで、動画と音声とが一致する遅延量を自らの感覚のみで探す場合にくらべて、ユーザは、動画と音声とが一致しているか否かを容易に判断することができる。なお、このような効果を得るためには、再生データの再生遅延量は、たとえば10ミリ秒、20ミリ秒、30ミリ秒などのように、所定の一定値毎に変化するように設定あるいは選択できるようにするのが望ましい。
また、プラズマディスプレイ装置2とオーディオアンプ装置4とを組み合わせて使用する場合において事前にこの実施の形態4に係る同期調整システムを用いてそれらの動画と音声とが同期するように調整することで、たとえばディスク再生装置2で映画、コンサート、録画番組などを再生したときに、動画に対する音のずれによる違和感を感ずることなく鑑賞することができる。
以上の各実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の例であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
たとえば、上記各実施の形態では、ディスク再生装置2、プラズマディスプレイ装置3およびオーディオアンプ装置4の間で、アナログ映像信号およびアナログ音声信号を送受している。この他にもたとえば、ディスク再生装置2、プラズマディスプレイ装置3およびオーディオアンプ装置4の間で、少なくもと動画を含むデジタル映像信号および少なくとも音声を含むデジタル音声信号を送受するようにしてもよい。
このようなデジタル映像信号あるいはデジタル音声信号として使用できる信号としては、たとえばMPEG−TSなどのMPEG信号がある。MPEG−TSには、動画および音声を格納することができる。したがって、このようにデジタルの信号で動画および音声を送受する場合、動画および音声を1つのデジタル信号として上記機器間で送受するようにしてもよい。また、MPEG−TSでは、そのプライベートストリームに任意の情報を格納することができる。したがって、映像に対する音声の再生遅延量の値は、このプライベートストリームに格納して伝送すればよい。
図12は、ディスク再生装置2、プラズマディスプレイ装置3およびオーディオアンプ装置4を、IEEE(the Institute of Electrical and Electronic Engineers)1394規格に準拠した光ケーブル121で接続した場合の同期調整システムを示す図である。なお、図12には、映像および信号の伝送系のみを示している。IEEE1394は、複数の機器同士を光ケーブル121などで接続し、これらの機器間でデジタルデータを伝送するための規格である。機器間でデジタルデータを伝送するための規格としては、この他にもUSB(Universal Serial Bus)などがある。
図12において、ディスク再生装置2は、MPEG信号を送出するトランシーバ122を有し、プラズマディスプレイ装置3およびオーディオアンプ装置4は、MPEG信号を受信するレシーバ123,124を有する。ディスク再生装置2が、テストディスク1の再生データに基づいて生成するMPEG信号は、トランシーバ122から各レシーバ123,124に送信される。
プラズマディスプレイ装置3のMPEG信号分離部125は、レシーバ123が受信したMPEG信号から、動画のデータを分離する。信号処理部13は、動画のデータに基づいて表示画面毎の二次元画像データを生成する。これにより、プラズマディスプレイ装置3のプラズマ発光表示部15には、MPEG信号に基づく動画が表示される。
オーディオアンプ装置のMPEG信号分離部126は、レシーバ124が受信したMPEG信号をMPEGストリーム信号とデジタルオーディオ符号化信号とに分離する。デジタル遅延回路29は、デジタルオーディオ符号化信号を、図示外の遅延データメモリに記憶されている遅延データの値に基づいて遅延させて出力する。ディレイ抽出部23は、MPEGストリーム信号のプライベートストリームから、映像に対する音声の再生遅延量の値を抽出し、表示部24に表示させる。
このように図12に示す同期調整システムでは、ディスク再生装置2、プラズマディスプレイ装置3およびオーディオアンプ装置4の間で、動画および音声を有するMPEG信号を送受し、このMPEG信号の動画および音声に基づいて、プラズマディスプレイ装置3およびオーディオアンプ装置4が同期するように調整することができる。
図13は、プラズマディスプレイ装置3およびオーディオアンプ装置4を、IEEE1394規格に準拠した光ケーブル121で接続した場合の同期調整システムを示す図である。なお、図13には、映像および信号の伝送系のみを示している。
オーディオアンプ装置4は、MPEGテストデータ発生部131と、トランスミッタレシーバ132と、を有する。MPEGテストデータ発生部131は、同期調整のための動画および音声を含むMPEG信号を出力する。トランスミッタレシーバ132は、このトランスミッタレシーバ132を光ケーブル121およびMPEG信号分離部126へ出力する。プラズマディスプレイ装置3は、そのレシーバ123がこのMPEG信号を受信し、MPEG信号に基づく画像をプラズマ発光表示部15に表示する。
オーディオアンプ装置4のMPEG信号分離部126は、トランスミッタレシーバ132から入力されるMPEG信号を分離する。デジタル遅延回路29は、デジタルオーディオ符号化信号を、図示外の遅延データメモリに記憶されている遅延データの値に基づいて遅延させて出力する。ディレイ抽出部23は、MPEGストリーム信号のプライベートストリームから、映像に対する音声の再生遅延量の値を抽出し、表示部24に表示させる。
このように図13に示す同期調整システムでは、オーディオアンプ装置4からプラズマディスプレイ装置3へ動画および音声を有するMPEG信号を送信し、このMPEG信号の動画および音声に基づいて、プラズマディスプレイ装置3およびオーディオアンプ装置4が同期するように調整することができる。
上記実施の形態1および3では、再生データにおける動画に対する音声の再生遅延量の値を、オーディオアンプ装置4の表示部24に表示している。この他にたとえば、再生データにおける動画に対する音声の再生遅延量の値は、ディスク再生装置2やプラズマディスプレイ装置3に表示するようにしてもよい。特に、プラズマディスプレイ装置3に表示する表示画面内に、再生データにおける動画に対する音声の再生遅延量の値を表示するようにしてもよい。
上記各実施の形態では、再生データにおける動画および音声として、アナログ時計の動画および時報を使用している。この他にもたとえば、メトロノームの動画とメトロノーム音とか、歌っている人(の口)の動画とその歌声とか、バイオリン(の弓の)などの弦楽器の動画とその音色とか、太鼓などの打楽器の動画とその音とか、白黒で反転する動画とそれに合わせた音などといった組合せの動画および音声を、再生データに共通する動画および音声として使用してもよい。
上記各実施の形態では、複数の再生データは、動画と音声とが同期しているものと、動画より音声が送れているものとで構成されている。この他にもたとえば、複数の再生データの中に、動画より音声が進んでいるものが含まれていてもよい。近年のオーディオアンプ装置などにおいては、その内部でDSP(Digital Signal Processor)などを使用しているものがある。そのような音声の信号処理には、わずかであるが時間がかかり、その時間の分だけ音声の出力が遅れる場合がある。複数の再生データの中に、動画より音声が進んでいる再生データを含めることで、このような場合においても動画と音声とを同期するように調整することが可能となる。
上記各実施の形態では、複数の再生データは、再生遅延量が10ミリ秒毎に異なる組合せとなっている。この他にもたとえば、複数の再生データは、再生遅延量が1ミリ秒毎に異なる組合せとなっていても、再生遅延量が100ミリ秒毎に異なる組合せとなっていてもよい。特に、ディスク再生装置2やオーディオアンプ装置4の内部において、記憶する複数の再生データの再生遅延量を微調整できるようにするなどして、プラズマディスプレイ装置3に入力する映像に対する音声の再生遅延量を連続的に可変できるようにしてもよい。
上記実施の形態1および2では、テストディスク1を再生するディスク再生装置2から、同期調整のための映像信号と音声信号とを出力している。この他にもたとえば、テレビジョン受信装置やチューナ装置にて、映像と音声とが同期している放送電波を受信し、それに基づいて出力される映像信号と音声信号とを用いて、プラズマディスプレイ装置とオーディオアンプ装置との同期を調整するようにしてもよい。また、オーディオビジュアルのコンテンツを記録再生できるハードディスクレコーダなどの他の再生装置から、同期調整に使用する映像信号と音声信号とを出力するようにしてもよい。
上記各実施の形態では、プラズマディスプレイ装置とオーディオアンプ装置とを組み合わせた場合において、映像と音声との同期を調整する場合を例として説明している。この他にもたとえば、ディスプレイ装置としては、液晶ディスプレイ装置、ブラウン管を用いたディスプレイ装置などがある。これら他のディスプレイ装置とオーディオアンプ装置とを組み合わせた場合においても、装置内での信号処理や映像信号の伝送経路と音声信号の伝送経路との違いなどに基づいて、再生する映像と音声との間にずれが生じることがある。このような装置の組合せであったとしても、本発明の各実施の形態に係る同期調整システムを用いて同期するように調整することで、違和感を感ずることなく映画などを鑑賞することができるようになる。