JP4834088B2 - Edge無線システムにおけるビット誤り確率(bep)の推定 - Google Patents

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Description

この開示は、全般的に無線通信装置に関し、さらに具体的には、基地局と移動局との間の無線チャネルにおける、前記ビット誤り確率(bit error probability)(BEP)を推定する方法に関する。
移動体電気通信の発達に伴い、移動局へのデータ伝送が高速化すると、新しいタイプのサービスを移動体加入者に提供することが可能になる。これらサービスの利用は、データレートをさらに増加する要求を生じさせることになる。欧州電気通信標準化協会(European Telecommunications Standards Institute)(ETSI)は最初の標準として汎用パケット無線サービス(General Packet Radio Service)(GPRS)を導入し、グローバル・システム・フォー・モバイル・コミュニケーションズ(Global System for Mobile communications)(GSM)に基づいてパケット交換データ(packet-switched data)を移動局に供給することによりデータレートを増加させる。次いで、GSMデータサービスを拡張するものとして、ETSIは、拡張GPRS(Enhanced GPRS)(EGPRS)と呼ばれるパケット交換部とともに、GMS進化型高速データレート(Enhanced Data rates for GSM Evolution)(EDGE)標準を公表した。EDGEとEGPRSは、両者合わせて、電気通信産業協会(Telecommunications Industry Association)(TIA)発行のTIA/EIA−136−370標準に記載されている。GSMを基本とする高速データ送信をさらに拡張するものとして、第3世代パートナシッププロジェクト(3rd Generation Partnership Project)(3GPP)で規定されたGSM/EDGE無線アクセスネットワーク(GSM/EDGE radio access network)(GERAN)標準がある。TIAは、そのEGPRS−136標準にTIA/EIA−136−370−A改訂版のGERAN拡張を記載した。簡素化するため、本明細書では、前記EDGE、EGPRS、TIA/EIA−136−370およびTIA/EIA−136−370−A標準を集合的に「EDGE標準」と呼ぶ。
前記EDGE標準でパケットデータ・トラヒックに専用の前記物理層は、パケットデータチャネル(Packet Data Channel)(PDCH)と呼ばれている。前記EDGE標準の前記物理層は、ETSI標準TS 145.008(3GPP TS 45.008)で規定されている。シグナリング(signaling)・チャネル、トラヒック・チャネルは両方とも、前記PDCH上で送信される。前記シグナリング・チャネルのうちの一つは、パケット関連制御チャネル(Packet Associated Control Channel)(PACCH)である。前記PDCH上で送信される前記トラヒック・チャネルは、パケットデータ・トラヒックチャネル(Packet Data Traffic Channel)(PDTCH)と呼ばれている。
基本GSMと異なり、前記GSM高速版のいくつかは、マルチプルの(multiple)データレートでデータを送信する。例えば、データは前記PDTCH上で9つの異なるデータレートで送信される。「リンク・アダプテーション(link adaptation)」と呼ばれるプロセスでは、前記無線チャネルの前記データレートは、前記チャネル環境に基づいて調節される。前記チャネル環境が良好で前記無線チャネルの前記信号対雑音比(signal-to-noise ratio)が高い場合、より高速のデータレートでデータを送信することができる。逆に、前記チャネル環境が悪く前記信号対雑音比が低い場合、データはより低速のデータレートで送信されなければならない。特定の変調及び符号化(coding)方式(modulation and coding scheme)(MCS)を用いて、前記チャネルの前記信号対雑音比の割には高速すぎるデータレートでデータを送信すると、データを消失する場合がある。リンク・アダプテーションは、前記無線チャネル上に一時的に存在する前記信号対雑音比において、特定のMCSを使用し、確実にサポートされ得る最速のデータレートを用いることにより、全体としてのデータ・スループットを向上させる。前記EDGE標準は、前記PACCHで定期的に前記チャネル環境を前記基地局に報告することを前記移動局に義務付けている。前記基地局と前記移動局との間の前記チャネル環境は、前記ビット誤り確率(BEP)で表現される。前記BEPは、前記無線チャネルを介して前記移動局が受信する信号の、実際の前記ビット誤り率(bit error rate)(BER)の期待値である。次いで、前記基地局は、前記PACCHで通知される前記チャネル環境に応じて、適切なデータレートで前記PDTCHのデータを前記移動局に送信する。
リンク・アダプテーションは、前記移動局が実際の前記BERを最も正確に推定するBEPを報告するときに、最も効率良く機能することができる。前記BEPを推定する方法の一つは、前記BERそのものを計算してみることである。「再符号化(re-encoding)」方法は、復号処理で訂正されるビット誤りの個数を決定することに基づいている。畳込み(convolutional)復号器で行われるような誤り制御復号は、前記無線チャネルにおいて導入されるビット誤りを訂正するよう試みる。前記移動局の前記畳込み復号器およびブロック・デインタリーバ(deinterleaver)から出力されるフレームは、再符号化され、再インタリーブされる。その結果得られた再符号化ビットは、次いで、訂正されたビット誤りの数を決定するために前記ブロック・デインタリーバによって受信された前記ビットと比較される。しかし、前記再符号化方法は、前記無線チャネルによって導入された誤りの全てを前記誤り制御復号が訂正するという仮定に依存するため、不正確な結果をもたらす。そのため、前記再符号化方法を使用して得られる前記BEPは、前記各種MCS方式を用いて前記無線チャネル上で前記ビットを送信するために使用される種々のMCS方式により用いられる冗長の程度(degree of redundancy)により変化する。チャネル環境が悪い場合でも、データの高い冗長レベル(redundancy level)は、誤り制御復号がすべてのビットを正しく復号することを可能にし、したがって、より正確な推定BERが得られる。一方、前記チャネル環境が悪く、データの冗長レベルが低ければ、前記誤り制御復号はすべての誤ビットを訂正することができず、前記BERの推定結果は不正確になる。したがって、MCS9などの冗長度がより低いMCS方式を使って前記BERを正確に推定するには、MCS5などの冗長度がより高いMCS方式を使う場合に比べ、より良いチャネル品質が必要となる。
図1(従来技術)は、前記データの異なる冗長レベルで異なるMCSsにより変調された2個のチャネルからのデータに関して前記再符号化法を用いて得られた前記推定BEPを比較している。誤りは、前記チャネルを高い冗長度符号を用いて変調されたチャネルにより導入されたほうが少ない。曲線10は、1.89の冗長レベルにおいて、ガウスの最小シフトキーイング (Gaussian minimum shift keying)(GMSK)で変調されたチャネルの前記信号対雑音比と前記BEPとの関係を示している。別の曲線11は、1.0の冗長レベルにおいて、GMSKで変調されたチャネルの前記信号対雑音比と前記BEPとの関係を示している。前記再符号化方法は、雑音レベルが高いところでは、1.0の冗長レベルで変調されたチャネルの前記BEPの方が、1.89の冗長レベルで変調された前記チャネルの前記BEPより低く、したがって、より不正確であることを示している。したがって、ある与えられた信号対雑音比における前記推定BEPは、前記EDGE仕様が要求するように、前記データの前記冗長レベルと無関係とはならない。
図2(従来技術)は、3つの異なる冗長レベルで送信され、オクタル位相シフトキーイング(octal phase shift keying)(8−PSK)で変調されたデータに関して前記再符号化方法を使用して得られた前記BEPを比較している。曲線12は、冗長レベルが2.70のチャネルの前記信号対雑音比と前記BEPとの関係を示している。曲線13は、冗長レベルが1.32のチャネルの前記信号対雑音比と前記BEPとの関係を示している。曲線14は、冗長レベルが1.0のチャネルの前記信号対雑音比と前記BEPとの関係を示している。曲線12〜14は、前記再符号化方法が、冗長レベルが低下すると前記BEPが低下して前記チャネル状態が向上することを不正確に示すことを表している。
二番目の前記BEPの推定方法は、PDCHを搬送する無線周波(RF(radio) frequency)信号の前記信号対雑音比をまず測定することを含む。前記移動局により受信されるPDCHのBERと前記測定された信号対雑音比との関係は、実験室で経験的に決定される。前記測定された信号対雑音比の関数として変化する前記BER値は、次いで前記移動局のルックアップ・テーブル(lookup table)に格納される。この方法では、前記移動局がRF信号における信号対雑音比の推定器(estimator)を具備していることが必要とされる。前記BEPは、前記推定された信号対雑音比を使用し、前記ルックアップ・テーブル中の対応する前記BERを探索する(look up)ことにより決定される。この方法における前記BEPの精度は、前記RF信号の前記推定信号対雑音比の精度に依存する。前記チャネル状態が信号干渉やフェージングの影響を受ける場合は、RF信号の信号対雑音比を正確に定めるのが困難なことがあり、前記BEP推定は不正確になりがちである。
RF信号の信号対雑音比の直接推定を必要とせずに、そして前記移動局の前記畳込み復号器の出力を再符号化せずに、ビット誤り確率(BEP)を正確に決定する方法が求められている。さらに、前記無線チャネル上でデータを送信するために用いられる変調及び符号化方式(MCS)の冗長の程度ににより影響されない前記BEPを決定する方法が求められている。
[発明の概要]
分布パラメータマッピング方法(distribution parameter mapping method)は、前記EDGE標準で特定されている9つの変調及び符号化方式(MCSs)の1つを用いて基地局から移動局に無線周波(RF)信号で送信されるバースト中のビットのビット誤り確率(BEP)を推定する。前記分布パラメータマッピング方法を使用して推定される前記BEPは、前記RF信号上のデータを変調するために用いられる特定のMCSの符号冗長の程度(degree of code redundancy)により影響されない。回路は、前記バーストの復調されたI及びQサンプルから等化された多ビット軟判定(multi-bit soft decisions)が、ガウス分布とライス分布のいずれに良く似通っているかを決定する。ガウス分布を有する軟判定に関して、平均(μ)と分散(σ)に関する統計パラメータが決定される。ライス分布を有する軟判定に関して、統計パラメータAおよびσが決定される。前記RF信号の信号対雑音比は、軟判定がガウス分布の場合は比(ratio)μ/σで、軟判定がライス分布の場合は比A/σで表現される。軟判定がガウス分布であるバーストの前記BEPは、前記移動局の不揮発性メモリに格納されているガウスルックアップ・テーブルの経験的に決定されたBEPに、前記比μ/σをマッピングすることにより決定される。ライス分布については、ライスルックアップ・テーブルの経験的に決定されたBEPに、前記比A/σがマッピングされる。各無線ブロック(radio block)の4個のバーストに関する前記推定BEPsは、次いで、平均され、濾波され、前記EDGE標準にしたがって32レベルのうちの1つに量子化される。次いで、前記平均BEPの量子化レベルは、前記基地局に報告され、前記基地局が前記信号の推定BEPに適するMCSを用いて後続の無線ブロックを送信することを可能にする。
分布パラメータマッピングを行って前記BEPを推定する移動局の回路は、等化器、分布アナライザ、BEP推定器、ルックアップ・テーブル、アベレージャ(averager)、フィルタおよび非線形量子化器を含む。前記等化器は、移動局の復調器からバーストで受信された復調されたI及びQサンプルから記号間干渉を除去する。各バーストについて、前記等化器は、複数の多ビット軟判定の1つの分布を出力し、前記多ビット軟判定は、引き続いて前記移動局により、データのフレーム(frames of data)を有する単一ビット硬判定に処理される。前記分布アナライザは、前記等化器から前記多ビット軟判定の分布を受信し、前記多ビット軟判定の分布と似通っている分布のタイプを決定する。例えば、前記多ビット軟判定の分布は、ガウス分布あるいはライス分布に似ている場合がある。前記分布アナライザは、分布タイプ識別子を出力する。
前記BEP推定器は前記分布アナライザから前記分布タイプ識別子を受信するだけでなく、前記等化器から前記多ビット軟判定の分布を受信する。前記BEP推定器は、分布のタイプに応じて、前記多ビット軟判定の分布の種々の統計パラメータを計算する。前記軟判定がガウス分布の場合、前記BEP推定器は、平均(μ)と分散(σ)の統計パラメータを計算する。前記軟判定がライス分布の場合、前記BEP推定器は統計パラメータAとσを計算する。前記BEP推定器はまた、ガウス分布に対しては比μ/σを、ライス分布に対しては比A/σを計算する。前記比μ/σおよびA/σは、前記I及びQサンプルの信号対雑音比と相関する。
前記BEP推定器は、前記移動局に格納されているガウスのルックアップ・テーブルの経験的に決定されたBEPに前記比μ/σをマッピングすることにより、ガウス分布の軟判定を含むバーストのBEPを推定する。ライス分布の多ビット軟判定の分布を含むバーストの前記BEPは、前記移動局に格納されているライスルックアップ・テーブルの経験的に決定されたBEPに前記比A/σをマッピングすることにより推定される。
前記アベレージャは次いで、4個のバーストからの前記推定BEPsを平均し、MEAN_BEPを発生する。前記フィルタは前記MEAN_BEPを濾波し、濾波されたMEAN_BEPを出力する。前記非線形量子化器は、前記濾波されたMEAN_BEPを32のレベルのうちの1つに量子化し、対数スケール上で前記4個のバーストのBEPを表現する1つのある値(MEAN_BEP_0からMEAN_BEP_31)を出力する。
他の実施形態と利点は、以下の詳細な説明で述べる。本概要は、本発明の定義付けを目的とするものではない。本発明は、特許請求の範囲で定義付けている。
以下の添付図面は本発明の実施形態について示しており、同一構成要素には同一数字を付している。
[詳細な説明]
ここで、本発明のいくつかの実施形態について詳細に説明する。本発明の実施例は、添付図面で示している。
図3は、分布パラメータマッピングを行ってビット誤り確率(BEP)を決定する、移動局の回路20の簡易ブロック図である。前記BEPは、前記EDGE標準に従う種々の変調及び符号化方式(MCSs)を用いて、無線周波(RF)信号で基地局から移動局へ送信されるパケットデータチャネル(PDCH)の前記ビット誤り率(BER)の推定値である。
図4は、回路20が前記BEPを決定するため分布パラメータマッピングを使用するステップを示す流れ図である。前記分布パラメータマッピング方法は、前記RF信号上のデータを変調するために用いられる前記MCSの冗長の程度により影響されない。図3に示される、回路20の個々の要素の動作は、図4にリストされたステップとの関連で詳細に説明される。最初のステップ21において、入力RF信号22が、回路20を含む前記移動局のアンテナ23により受信される。ステップ24において、RF受信機25は、後続のデジタル・ベースバンド処理のために入力RF信号22をデジタル同相(in-phase)(I)および直交(quadrature)(Q)サンプル26に変換する。図3の実施形態において、前記デジタル・ベースバンドのレイヤ1処理は、デジタル・ベースバンド・プロセッサ27により実行される。デジタル・ベースバンド・プロセッサ27は、デジタル移動局モデム28の一部である。RF受信機25は、デジタル移動局モデム28とは別のRFアナログチップ29に組み込まれている。
回路20により決定される前記BEPは、入力RF信号22で送信される前記PDCHの前記チャネル状態の表示(indication)である。前記EDGE物理層仕様(ETSI standard TS145.008;3GPP standard TS45.008)は、移動局が前記パケット関連制御チャネル(PACCH)でPDCHの前記チャネル状態を基地局に定期的に(periodically)報告するものと規定している。前記基地局は、前記チャネル状態に関して前記移動局をポーリングする(polls)。前記PACCHは、出力RF信号30によって基地局に送信されて戻される。前記移動局は前記BEPを使って、前記基地局に報告される前記チャネル状態を得る。前記チャネル状態は、32個のBEPレベルのうちの一つとして表わされる。次いで、前記基地局は、前記PACCH中に示された前記BEPレベルに依存する適切なデータレートで、前記PDTCHのデータを前記PDCH上で前記移動局に送信して戻す。
前記BEPレベルに依存して、データは、前記EDGE標準の異なる9種類のデータレートで送信される。図5は、前記9つのデータレートに関連した9種類のMCSsをリストしている。第1の4個のMCSs(MCS1〜MCS4)は、基本GSMで用いられるガウスの最小シフトキーイング(GMSK)変調を使用する。より高いデータレートをサポートするためのGSM標準の主な改良は、オクタル位相シフトキーイング(8−PSK)として知られる、より高レベルの変調技術の前記EDGE標準における導入であった。上位5個のMCSs(MCS5〜MCS9)は、8−PSK変調を用いる。前記EDGE標準は、周波数分割多元接続(frequency division multiple access)(FDMA)と時分割多元接続(time division multiple access)(TDMA)の組み合わせを使用する狭帯域システムを記述している。前記EDGE送信に割り当てられる周波数帯域は、まず、種々の200kHzキャリア信号に分割される。図5は、単一の200kHzキャリアと1個のタイムスロットを用いたときに、前記リストされた変調及び符号化方式により達成可能なデータレートをリストしている。前記データレートは、マルチプルの200kHzキャリア、例えば6個のキャリア等、を同時に使用することにより増加されることができる。前記マルチプルのキャリア信号は、次いで変調され、入力RF信号22および出力RF信号30等の1個のRF信号で送信される。各キャリア信号は、8個のタイムスロットに分割される。前記データレートは、マルチプルのタイムスロット、例えば、8つのタイムスロットの全て、を使用することによりさらに増加されることができる。前記EDGEは、パケット交換データの送信を行う。各パケットは、複数のフレームから構成され、1つのデータメッセージ(data message)および制御情報(control information)を含む。各フレームは、適切な一タイムスロット中に1個のバーストとして送信される。前記複数のフレームは、無線ブロックで前記キャリア信号により送信される。各無線ブロックは、一連の4個のバーストとして送信される4個のフレームである。各バーストは4.615msであり、各無線ブロックは20msである。
最初の4個のMCSsは、ほとんど符号化を行わないもの(MSC4)から高度の冗長性をもつ符号化(MSC1)を提供する異なる符号化方式を備えている。図5にリストされた符号レート(code rate)は、符号冗長度の逆数である。より高い符号冗長度は、チャネルフェージングにかかわらずデータが認識されることを可能にするが、データレートは低くなる。例えば、MSC1のデータレートは1チャネル当たり9.05kbpsであり、MSC4のデータレートは1チャネル当たり21.4kbpsである。より低いフェージングやノイズの期間中に符号冗長度を動的に下げることにより、より高いネットワーク性能を実現することができる。チャネル状態に依存してスループットを最大化するように符号冗長度と変調技術を適応させることを「リンク・アダプテーション」と呼んでいる。
上位5個のMCSsは、GMSK変調で記号当たり1ビットを搬送する代わりに、8−PSK信号が変調記号当たり3ビットを搬送できるため、より高いデータレートをサポートする。したがって、8−PSKを使用する前記MCSsの前記データレートは、約3倍高速である。しかし、8−PSKを使用する信号伝搬(propagation)は、GMSKに比べて減じられる。そのため、8−PSK変調の前記高いデータレートを使用する信号で達成されるカバレージエリアは狭くなる。
リンク・アダプテーションの一つのモードでは、前記移動局は、一つの一時ブロックフロー(temporary block flow)(TBF)において、前記8タイムスロットのそれぞれに関する平均BEPに基づいて前記BEPレベルの報告を行う。図4の方法は、特定の1個のタイムスロットに関する前記平均BEPに基づいて1個のBEPレベルを決定することを示している。リンク・アダプテーションの二番目のモードでは、前記移動局は、前回のメッセージ以降に前記移動局が最も多くの無線ブロックを受信している変調に関する平均BEPに基づく前記BEPレベルを報告する。前記BEPレベルは、前記TBFの全タイムスロットにわたって平均された前記主要な変調に関する前記BEP測定の変動の係数と平均に基づく。前記EDGE標準では、タイムスロットの全てに関する集合的な(collective)チャネル状態測定値に基づいて一TBFの1つのキャリアに割り当てられる全てのタイムスロットに関して単一のMCSが使用されることが規定されている。
デジタル・ベースバンド・プロセッサ27は、前記I及びQサンプル26をRF受信機25から受信し、単一ビット硬判定(single-bit hard decisions)31を含むフレームを出力する。前記単一ビット硬判定31は、ビタビ(Viterbi)復号器などの畳込み復号器32により出力される。前記フレームは、データとして処理されるか、または音声復号器で通話(speech)として解析される。回路20は、畳込み復号器32の出力を再符号化せずに入力RF信号22で送信されるPDCHの信号対雑音比を推定する。その代りに、回路20は前記PDCHの信号対雑音比を推定するために、前記デジタル・ベースバンドのレイヤ1処理の一部として発生される多ビット軟判定33の解析を行う。
ステップ34において、変調検波器35は、RF受信機25から前記I及びQサンプル26を受信し、データが入力RF信号22の前記キャリア信号で変調された変調方式のタイプを決定する。前記EDGE標準では、前記変調方式はGMSKか8−PSKのいずれか一方である。GMSK変調と8−PSK変調の異なる位相特性に基づいてGMSKあるいは8−PSKのいずれかで変調されたI及びQサンプルを区別するために、検波アルゴリズムが使用される。例えば、一つの検波方法では、まず前記データがGMSKで変調されていると仮定し、次いで、π−バイ(by)−4回転を実施する。次いで、このGMSK仮説に関して信号対雑音比の推定を行う。次いで、前記データが8−PSKで変調されているものと仮定して回転を行い、再度、信号対雑音比の推定を行う。この方法は、前記変調方式が、信号対雑音比が最大であった前記変調仮定に対応することを決定する。
次いで、ステップ36において、前記I及びQサンプル26が復調される。ステップ34で識別された変調方式に依存して、前記I及びQサンプル26は、GMSK復調器37または8−PSK復調器38のいずれかにより復調される。GMSK復調器37は、GMSKを採用するMCS1〜MCS4で変調されたI及びQサンプル26を復調する。8−PSK復調器38は、8−PSKを採用するMCS5〜MCS9で変調されたI及びQサンプル26を復調する。図3の実施形態において、GMSK復調器37および8−PSK復調器38は、デジタル・ベースバンド・プロセッサ27内の専用ハードウェアである。他の実施形態では、GMSK復調器37および8−PSK復調器38により行われるGMSKおよび8−PSK復調は、デジタル・ベースバンド・プロセッサ27の一部であるディジタル信号プロセッサやマイクロコントローラによって行われる。
GMSK復調器37が出力する前記復調されたI及びQサンプル41および8−PSK復調器38が出力する前記復調されたI及びQサンプル42は、ベースバンドで複数の記号を構成する。変調方式に応じて、1個の復調されたサンプルは、例えば、1、2あるいは10等のさまざまな数のビットを有することができる。前記復調されたサンプルは、GMSKでは正および負の数を表し、8−PSKでは実数および虚数を表す。一記号ビット当たり、1個の同相サンプルと1個の直交サンプルが存在する。GMSKでは、1個の無線ブロックの4個のバーストのそれぞれに116個の記号が存在する。8−PSKでは、バースト当たり348個(3×116)の記号が存在する。
ステップ39において、等化器40は復調されたI及びQサンプル41、42を等化し、前記多ビット軟判定33を出力する。したがって、各I及びQサンプルビットに1個の多ビット軟判定値が割り当てられる。前記多ビット軟判定33は、前記記号の記号間干渉が除去された複数の記号を構成する。記号間干渉は、一つの記号が一時的に他の記号に重ねて変調されると生じる。一実施例において、前記多ビット軟判定33のそれぞれは、16ビットの2の補数符号付デジタル値である。
回路20は、前記多ビット軟判定33に基づいて前記BEPを推定する。前記多ビット軟判定33はまた、音声およびデータ情報を含む前記複数のフレーム中に含まれる単一ビット硬判定31を得るためにデジタル・ベースバンド・プロセッサ27によりさらに処理される。量子化器41は、前記多ビット軟判定33を、前記多ビット軟判定33のビット数から入手可能なデジタル状態の数よりも少ない数のレベルに量子化する。ブロック・デインタリーバ42は、量子化器41から量子化された記号43を受信し、デインタリーブされた記号44を出力する。前記畳込み復号器32は次いで、前記デインタリーブされた記号44を復号し、前記単一ビット硬判定31を出力する。
前記BEPの推定を行う前記分布パラメータマッピング方法に説明を戻すと、回路20は、次いで前記多ビット軟判定33の統計的分布のタイプを決定する。ステップ45において、分布アナライザ46が各バーストの前記軟判定33が対応する統計的分布のタイプを決定する。前記分布アナライザ46は、次いで、対応する分布タイプ識別子47を出力する。例えば、前記多ビット軟判定33の値の分布は、分布タイプ:ガウス(Gaussian)分布、ライス(Rice)分布、レイリー(Rayleigh)分布、ポアソン(Poisson)分布、あるいはラプラス(Laplace)分布の一つに類似する場合がある。前記多ビット軟判定33の分布は典型的に、ガウス分布またはライス分布のいずれかに類似する。前記信号対雑音比があまり大きく向上したり劣化したりしない静的チャネルでは、前記多ビット軟判定33の分布は典型的に、ガウス分布に類似する。一方、前記基地局と前記移動局間に見通し線経路が存在する場合、前記無線チャネルは、普通はライスのフェージングモデルで記述され、前記多ビット軟判定33の分布は典型的に、ライス分布に類似する。分布アナライザ46は、周知のアルゴリズムを使って、前記多ビット軟判定33の分布が最も似ている統計的分布タイプを決定する。例えば、前記分布のタイプは、前記分布の最大値、前記分布内の最大値の位置(location)、および前記分布の広がり
(spread)によって認識されることができる。
BEP推定器48は、等化器40により出力される各バーストに関する前記軟判定33を受信する。さらに、BEP推定器47は、分布タイプ識別子47を受信する。判定(decision)ステップ49において、BEP推定器48は、いずれの統計パラメータを計算すべきかを決定する。前記軟判定33がガウス分布に類似することを、前記分布タイプ識別子47が示す場合、BEP推定器48はステップ50に進み、統計パラメータμ(ミュー)およびσ(シグマ)を計算する。前記軟判定33がライス分布に類似することを、前記分布タイプ識別子47が示す場合、BEP推定器48はステップ51に進み、統計パラメータAおよびσを計算する。
ステップ50の以下の例において、前記統計パラメータμおよびσは、判定ステップ49で軟判定の分布がガウス分布に似ていることが判明したその軟判定から計算される。したがって、軟判定の分布は、図6に示すガウス分布確率密度関数(probability density function)(PDF)52に類似する。ガウス分布PDF52において、μは分布p(x)の平均であり、σは分布p(x)の分散である。この例では、等化器40が出力する多ビット軟判定33のそれぞれは4ビットの2の補数符号付デジタル値である。前記軟判定33はGMSKで変調されたI及びQサンプルから等化されたため、1個のバーストに116個の軟判定が存在する。前記116個の値は次のとおりである:15×[1100];30×[1101];15×[1110];15×[0000];30×[0001];11×[0010]、ただし、[1100]=−4;[1101]=−3;[1110]=−2;[0000]=0;[0001]=1;および[0010]=2である。前記統計パラメータμおよびσは、まず前記サンプル分布に関して前記ガウス分布DPFの第二および第四モーメント(moments)を決定することにより計算される。前記第二モーメントは、分布中のエレメントの数で除算された、二乗された各エレメントの和として定義される。前記第四モーメントは、分布中のエレメントの数で除算された、四乗された各エレメントの和として定義される。上記にリストされた116個の軟判定のサンプル分布について、第二モーメントは5.552、第四モーメントは57.897である。前記第二モーメントおよび第四モーメントはまた、前記平均(μ)および前記分散(σ)の項(terms)で表わされることができる。
図6は、前記第二モーメントの等式53と前記第四モーメントの等式54を示しており、それぞれμとσの項で表現されている。前記平均(μ)および前記分散(σ)は、この2つの等式を2個の変数について解くことにより決定される。等式55は、前記第二モーメントおよび前記第四モーメントの項でμを表現している。等式56は、前記第二モーメントおよび前記第四モーメントの項でσを表している。上記にリストした116個の軟判定のサンプル分布について、μは2.039であり、σは1.181であることが決定される。
図4の次のステップに説明を戻すと、ステップ57において、前記BEPは、商μ/σをルックアップ・テーブルのBEP値にマッピングすることにより決定される。分散(σ)で除算された平均(μ)の商は、1つのある分布を有するデータの信号対雑音比を示す。前記サンプルガウス分布について、商μ/σは1.727である。チャネルのデータがガウス分布に似ているチャネルに関する前記BERと商μ/σとの関係は、実験室で経験的に決定される。次いで、図3に示すように、その結果がプロセッサ可読媒体59のガウスルックアップ・テーブル58に格納される。次いで、前記商μ/σにより推定される信号対雑音比に基づいて前記BEPを推定するために、前記ルックアップ・テーブルが使用される。BEP推定器48は、一バーストの多ビット軟判定33の各分布に関して1個のBEP値を決定する。前記サンプルガウス分布の1.727の信号対雑音比について、BEP値60は0.050であることが決定される。
判定ステップ61において、回路20は、前記無線ブロックの4個のバーストのそれぞれの前記BEP値60が決定されたか否かを決定する。4個のBEP値がまだ決定されていない場合、BEP推定器48は、次のGMSKバーストに関する116個の軟判定の次の分布についての前記BEPを決定する。前記バーストが8−PSKで変調されている場合、BEP推定器48は、一バースト当たり348個の軟判定を有する分布に関する前記BEPを決定する。
ステップ51に説明を戻すと、判定ステップ49で前記分布がライス分布に類似することが判明したと仮定すると、上記にリストされた軟判定のサンプル分布から前記統計パラメータAおよびσが計算される。したがって、この例では、前記サンプル分布が図6のライス確率密度関数(PDF)62に似ていることがわかる。前記統計パラメータAおよびσは、まず前記サンプル分布に関してライス分布DPFの第二および第四モーメントを決定することにより計算される。ある1つの分布の前記第二および第四モーメントの値は、前記分布が異なるタイプの分布に類似すると特徴付けられると変化しない。それ故、ライス分布の前記第二および第四モーメントの値は、ガウス分布について上記で計算されたもの同じである。
図6は、前記第二モーメントの等式63と前記第四モーメントの等式64を示しており、それぞれAとσの項で表わされている。それで、これら2つの等式を2個の変数について解き、前記第二および第四モーメントの項でAを表す等式65を得る。さらに、等式66は、前記第二および第四モーメントの項でσを表す。上記にリストされた116個の軟判定のサンプル分布がライス分布に類似すると仮定すると、Aは1.391、σは1.345であることが決定される。
ステップ67において、前記BEPは、次いで商A/σをルックアップ・テーブルのBEP値にマッピングすることにより決定される。前記サンプルライス分布について、商A/σは1.035である。データがライス分布に類似するチャネルに関する前記BERと前記商A/σとの関係もまた、実験室で経験的に決定される。前記経験的決定の結果は、次いで、プロセッサ可読媒体59内のライスルックアップ・テーブル68に格納される。次いで、前記商A/σに基づいてBEPを推定するために、ライスルックアップ・テーブル68が使用される。。この例において、前記サンプルライス分布の商A/σが1.035に等しい場合、BEP値60は0.079であることが決定される。
ステップ69において、1無線ブロックの4個のバーストのそれぞれの前記BEP値が決定されたことを回路20が判定ステップ61で決定すると、アベレージャ70は4個のBEP値60の平均を計算する。アベレージャ70は、前記4個のBEP値60の平均を表す信号MEAN_BEP71を出力する。
ステップ72において、フィルタ73は、前記MEAN_BEP71を受信し、濾波する。フィルタ73は、無限インパルス応答(infinite impulse response)(IIR)フィルタ等のデジタル・ローパスフィルタである。フィルタ73は、濾波されたMEAN_BEP74を出力する。
ステップ75において、非線形量子化器76は、濾波されたMEAN_BEP74を32個の非線形レベルまたはインターバルのうちの1つに量子化する。非線形量子化器76は、対数スケールで前記平均の、濾波されたBEPを表現するMEAN_BEP_0〜MEAN_BEP_31(77)の32個の値のうちの1つを出力する。前記量子化されたMEAN_BEP77は次いで、RFアナログチップ29のRF送信機78により受信される。一実施形態において、デジタル・ベースバンド・プロセッサ27のほとんどの回路は、分布アナライザ46、BEP推定器48、アベレージャ48、フィルタ73および非線形量子化器76を含む、ディジタルシグナル・プロセッサ(DSP)79の一部である。
ステップ80において、前記平均BEPのレベルの前記量子化MEAN_BEP77(MEAN_BEP_0〜MEAN_BEP_31)は、出力RF信号30によりPACCHで前記基地局に送信されて戻される。前記基地局は次いで、前記量子化されたMEAN_BEP77に基づいて選択されるMCSを用いて後続の無線ブロックを送信する。例えば、前記基地局は、前記量子化MEAN_BEP77によって記述されるチャネル状態下でサポートされることのできる最も速いデータレートを備えたMCSを選択する。
図7は、、1つの無線ブロックに関して量子化されたMEAN_BEP77を得るために回路20で実施される種々のステップを示す流れ図である。図7は、ステップ50と57(GMSKの場合)およびステップ50と57(8−PSKの場合)が一無線ブロックの4個のバーストそれぞれに対して行われ、一方ステップ69(平均)、72(濾波)および75(量子化)が一無線ブロックにつき1回だけ行われることを示している。
図8は、−6dB〜10dBの範囲の信号対雑音比においてMCS4で変調されたチャネルに関するBEP値を決定するために分布パラメータ・マッピングを使った結果を示している。前記BEP値は、フェージングを示さない一定の信号強度を有する静的チャネル上で送信されたバーストから推定される。したがって、前記BEPを導出するために用いられる前記多ビット軟判定33の分布は、ガウス分布に類似する。前記BEP値は図4のステップ50までの方法を使用して得られ、前記BEP値60は比μ/σを前記ガウスルックアップ・テーブル58にマッピングすることにより決定される。曲線81は、前記チャネルの前記実際の前記ビット誤り率(BER)を−6dB〜10dBの信号対雑音比の範囲にわたって示している。前記実際のBERは、数千の無線ブロックで既知のビットシーケンスを送信し、前記復調されたI及びQサンプルからのビットを前記既知のビットシーケンスと比較することにより決定される。曲線82は、分布パラメータマッピングを用いて各信号対雑音比において得られた前記推定BEP値60を示す。各信号対雑音比について図8に示されている推定されたBEP値60は、前記既知のビットシーケンスが送信された前記数千のバーストの中から最も多い回数生じたBEP値である。
図9は、図8の4個の連続したBEP値60の複数の群から得られる量子化されたMEAN_BEP77の値を示す。より低い信号対雑音比では、前記量子化MEAN_BEP77はゼロに近い値を割り当てられる。より高い信号対雑音比では、前記量子化されたMEAN_BEP77は32に近い値を割り当てられる。曲線83は、分布パラメータマッピングを使用して得られた推定された、量子化された平均BEP値を示している。曲線84は、実際のBERを示す復調されたI及びQサンプルを用いて出力される量子化レベルの値を示している。
図10は、信号対前記MEAN_BEP値71が正しく決定されて、正しい量子化レベルとして前記基地局に報告される、−6dB〜10dBの信号対雑音比における、確率を示している。前記EDGE標準は、前記量子化レベルの値を発生する回路の試験方法を規定している。前記試験は、前記移動局により報告される前記量子化されたMEAN_BEP値77のある割合が、例えば3つの量子化レベルのような、正しい量子化レベルの狭い範囲内に収まることを要求している。例えば、5dBの信号対雑音比において、試験に合格するには、少なくとも65%の前記量子化されたMEAN_BEP値77が、量子化レベルMEAN_BEP_11、MEAN_BEP_12、およびMEAN_BEP_13のうちの1つ内に収まらなければならない。点曲線85は、前記EDGE標準に従うようにMCS1〜MCS4(GMSK)で変調されたチャネルのBEPを推定するときの、許容可能な量子化レベルを達成する最低確率を示している。曲線86は、分布パラメータマッピングを用いて得られる量子化されたMEAN_BEP77が許容可能な量子化レベル内に収まる確率を示している。
図11は、分布パラメータマッピングを使ってBEP値を求めた結果を示しており、8−PSKを採用するMCS9で変調されたチャネルから得られた結果である。前記BEP値は、フェージングを示さない静的チャネル上で送信されたバーストから推定される。図8と同様に、前記BEP値60は、比μ/σを前記ガウスルックアップ・テーブル58のBEP値に対してマッピングすることにより決定される。曲線87は、前記チャネルの前記実際のBERを−1dB〜20dBの範囲の信号対雑音比にわたって示している。曲線88は、分布パラメータマッピングを用いて各信号対雑音比で得られた前記BEP値60を示す。各信号対雑音比についてプロットされた図11中の前記推定BEP値60は、前記既知のビットシーケンスが送信された数千のバーストの中から最も多い回数得られたBEP値である。
図12は、図11と同じ信号対雑音比にわたってMCS9で変調されたチャネルから得られるBEP値である。しかし、前記BEP値および前記実際のBER値は、各信号対雑音比において異なるバーストにわたって変動する。図12にプロットした前記BEP値と前記実際のBER値は、前記既知のビットシーケンスが特定の信号対雑音比で送信されたマルチプルのバースト中で最も回数の多かった3個のBEPあるいはBER値の平均を表す。曲線89は、−1dB〜20dBの各信号対雑音比における前記実際のBERを示している。曲線90は、分布パラメータマッピングを用いて各信号対雑音比で得られた前記BEP値を示す。
図13は、図11の前記BEP値60から得られた前記量子化されたMEAN_BEP77の値を示す。前記量子化されたMEAN_BEP77の値は、0〜32の範囲にある。曲線91は、分布パラメータマッピングを使用して得られた前記推定され、量子化された平均BEP値を示している。曲線92は、前記実際のBER値から得られた量子化レベルを示す。
図14は、前記MEAN_BRP値71がチャネルから正しく決定されて、正しいす量子化レベルとして前記基地局に報告される−1dB〜20dBの信号対雑音比における確率を示している。点線93は、前記EDGE標準に従うために各信号対雑音比で達成されなければならない最低確率を示している。点曲線93は、MCS5〜MCS9(8−PSK)で変調されたチャネルからの平均BEP値から得られる量子化レベルに適用される。曲線94は、前記EDGE標準で規定された試験を用いて、分布パラメータマッピングを使用して得られた量子化されたMEAN_BEP77が正しい量子化レベルである確率を示す。
図15は、MCS9で変調されたチャネルから得られるBEP値を決定するために分布パラメータマッピングを使用した結果を示す。図11の結果と異なり、図15のBEP値は、フェージングチャネル上で送信されたバーストから推定されている。図15で解析されたチャネルはTU50チャネルであり、それは移動局が時速50kmで移動している典型的な都市環境のチャネルである。したがって、前記BEPを導出するのに用いられる前記多ビット軟判定33の分布は、ライス分布に類似する。前記BEP値は図4に示すステップ51までの方法で得られ、前記BEP値60は比A/σを前記ライスルックアップ・テーブル68のBEP値にマッピングすることにより決定される。曲線95は、−1dB〜27dBの信号対雑音比の範囲にわたって前記チャネルの前記実際のBERを示している。曲線96は、分布パラメータマッピングを用いて各信号対雑音比で得られた前記BEP値60を示す。約7dBより上の信号対雑音比において、図15のフェージングチャネルのBERは、図11の静的チャネルのBERより大きく、ここで、両チャネルはMCS9を用いて変調されている。各信号対雑音比について図15でプロットされた前記推定されたBEP値60は、前記既知のビットシーケンスが送信された数千のバーストの中から最も多い回数得られたBEP値である。
理解しやすくするために、ある特定の実施形態と関連付けて本発明を説明したが、本発明はそれに限定されるものではない。デジタル・ベースバンド・プロセッサ27のほとんどの回路は、DSP79の一部として上述されている。他の実施形態では、回路20の構成要素のいくつかは、DSP79とは別のプロセッサ上で動作する命令の集合(sets)として実現される。例えば、前記別のプロセッサは、ARMプロセッサとすることができる。前記命令は、プロセッサ可読媒体59に格納され、前記別のプロセッサが、前記命令を実行する前に、プロセッサ可読媒体59から前記命令を読み出す。したがって、プロセッサ可読媒体59は、ガウスルックアップ・テーブル58やライスルックアップ・テーブル68のみならず、プログラム命令も格納する。この場合、プロセッサ可読媒体59は、読み出し専用メモリ(read only memory)(ROM)等の不揮発性メモリの一種である。一実施形態において、例えば、等化器40、分布アナライザ46、BEP推定器48、アベレージャ70、および非線形量子化器76のそれぞれは、前記別のプロセッサ上で動作する一組の命令として実現される。
前記開示の実施形態についての上記説明は、当業者なら誰でも本発明を製造でき、または使用できるようにするために供されている。これらの実施形態に対するさまざまな改変は当業者にとって自明であり、本明細書で定義されている全般的な思想は、本発明の精神と要旨を逸脱しない範囲で、他の実施形態に適用できる。したがって、本発明は、本明細書で示す実施形態に限定することを意図されてはおらず、本明細書で開示した思想や新規な特徴と合致する最大限の範囲が認められるべきものである。
それぞれが異なる符号冗長レベルを有する2つのGMSK変調及び符号化方式(MCSs)で変調されたデータの種々の信号対雑音比で再符号化方法を用いて得られたビット誤り確率(BEP)をプロットした線図(従来技術)。 それぞれが異なる符号冗長レベルを有する3つの異なる8−PSK MCSsで変調されたデータの種々の信号対雑音比で再符号化方法を用いて得られたBEPをプロットした線図(従来技術)。 分布パラメータマッピングを用いてBEPを決定する回路の簡単化されたブロック図。 図3の回路が用いる分布パラメータマッピングを実行するステップの流れ図。 前記EDGE標準で特定された9つのMCSsの、データ送信レートを示す表。 分布パラメータマッピングで用いられるガウス分布とライス分布の統計パラメータ導出の等式を示す図。 一つの無線ブロック中の4つのバーストに関する、量子化され、濾波された平均BEPを得るために用いられる図4の分布パラメータマッピング方法のあるステップを示すフローチャート。 MCS4(GMSK方式の一つ)で変調された静的チャネルにおいて、分布パラメータマッピングで得られた前記チャネルのBEPを種々の信号対雑音比に対してプロットした線図。 図8の4つの連続したBEP値からのグループから得られた種々の信号対雑音比において量子化された平均BEPをプロットした線図。 図9の量子化平均BEPが適正な量子化レベルに収まる確率を種々の信号対雑音比に対して示した線図。 MCS9(8−PSK方式の一つ)で変調された静的チャネルにおいて、分布パラメータマッピングで得られた前記チャネルのBEPを種々の信号対雑音比に対してプロットした線図。 MCS9で変調された静的チャネルにおいて、分布パラメータマッピングで得られ前記チャネルのBEP値を種々の信号対雑音比に対してプロットした線図ここにおいて前記BEP値は、各信号対雑音比でBEP値推定を行った多くのバーストの中で最も一般的であったいくつかのBEP値の平均値である。 図11の4つの連続したBEP値のグループから得られた信号対雑音比において量子化された平均BEPをプロットした線図。 図13の量子化平均BEPが適正な量子化レベルに収まる確率を種々の信号対雑音比に対して示した線図。 MCS9で変調されたフェージングチャネルにおいて、分布パラメータマッピングで得られた前記チャネルのBEPを種々の信号対雑音比に対してプロットした線図。

Claims (37)

  1. (a)信号を受信することと、
    (b)前記信号をIおよびQサンプルに変換し、前記IおよびQサンプルを復調することと、
    (c)前記復調されたIおよびQサンプルを等化して、複数の多ビット軟判定を得ることと、
    (d)前記複数の多ビット軟判定の統計的分布のタイプをガウス分布またはライス分布のいずれかであるかを決定することと、
    (e)前記分布の平均および分散を計算し、前記平均および前記分散に基づいてBEPを推定することと、
    を備える方法。
  2. 前記IおよびQサンプルは、GMS進化型高速データレート(EDGE)標準に準拠する変調および符号化方式(MCS)で変調および符号化されたものである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記IおよびQサンプルを復調することは、前記信号の変調方式を決定し、前記変調方式に依存して復調することである、請求項1に記載の方法。
  4. 前記平均と前記分散の計算は、前記分布の前記タイプに基づいて行われる、請求項1に記載の方法。
  5. (a)復調されたIおよびQサンプルを等化して複数の多ビット軟判定を得ることと、ここにおいて前記復調されたIおよびQサンプルはビット誤り確率(BEP)を示す、ここにおいて前記複数の多ビット軟判定は分布を有する、ここにおいて前記分布は平均と分散を有すると、
    (b)前記分布のタイプを決定することと、なお、前記分布のタイプは、ガウス分布およびライス分布からなる群から選択される、
    (c)前記分布の前記平均と前記分散を計算することと、
    (d)前記分布の前記平均と前記分散に基づいて前記BEPを推定することと
    を具備する方法。
  6. (c)前記平均と前記分散の計算は、前記分布の前記タイプに基づいて行われる、請求項5に記載の方法。
  7. (e)前記複数の多ビット軟判定をデインタリーブすることと、
    (f)前記デインタリーブされた複数の多ビット軟判定を畳込み復号し、単一ビット硬判定を得ることと
    をさらに具備する、請求項5に記載の方法。
  8. 前記多ビット軟判定は記号を具備する、ここにおいて各記号は3ビットを有する、請求項5に記載の方法。
  9. フレーム・ペイロードは前記複数の多ビット軟判定を具備する、請求項5に記載の方法。
  10. 無線ブロックは4組の複数多ビット軟判定から構成される、請求項5に記載の方法。
  11. (d)の前記BEPの前記推定は、前記平均を前記分散で割ったものに等しい比を用いてルックアップ・テーブルの中で前記BEPを見出すことを含む、請求項5に記載の方法。
  12. (a)の前に、
    (e)IおよびQサンプルを復調し、復調されたIおよびQサンプルを得ること、ここにおいて前記復調は、ガウスの最小シフトキーイング(GMSK)およびオクタル位相シフトキーイング(8−PSK)からなる群から選択される変調方式を含む、
    をさらに具備する、請求項5に記載の方法。
  13. (e)第二の復調されたIおよびQサンプルを等化して第二の複数の多ビット軟判定を得ること、ここにおいて前記第二の復調されたIおよびQサンプルは第二のBEPを示す、
    (f)平均BEPを決定すること、ここにおいて前記平均BEPは複数のビット誤り確率の平均である、ここにおいて前記複数のビット誤り確率は少なくとも前記BEPと前記第二のBEPを含む、
    (g)前記平均BEPを濾波し、濾波された平均BEPを得ることと
    をさらに具備する、請求項5に記載の方法。
  14. (h)前記濾波された平均BEPを量子化すること
    をさらに具備する、請求項13に記載の方法。
  15. (a)復調されたIおよびQサンプルを等化して複数の多ビット軟判定を得ること、ここにおいて前記復調されたIおよびQサンプルはビット誤り確率(BEP)を示す、ここにおいて前記複数の多ビット軟判定は分布を有する、ここにおいて前記分布は平均と分散を有する、
    (b)前記分布のタイプを決定すること、なお、前記分布のタイプは、ガウス分布およびライス分布からなる群から選択される、
    (c)前記分布の前記平均と前記分散を計算すること、
    (d)前記分布の前記平均と前記分散に基づいて前記BEPを推定すること
    を行うために無線装置において操作可能な命令を格納するためのプロセッサ可読媒体。
  16. 前記平均と前記分散は、前記分布の前記タイプに基づいて(c)において計算される、請求項15に記載のプロセッサ可読媒体。
  17. (e)前記複数の多ビット軟判定をデインタリーブすることと、
    (f)前記デインタリーブされた複数の多ビット軟判定を畳込み復号し、単一ビット硬判定を得ることと
    を行うために無線装置において操作可能な命令をさらに格納する、請求項15に記載のプロセッサ可読媒体。
  18. 前記BEPは、前記平均を前記分散で割ったものに等しい比を用いてルックアップ・テーブルの中で前記BEPを見出すことにより(d)で推定される、請求項15に記載のプロセッサ可読媒体。
  19. (e)IおよびQサンプルを復調し、復調されたIおよびQサンプルを得ること、ここにおいて前記IおよびQサンプルは、ガウスの最小シフトキーイング(GMSK)およびオクタル位相シフトキーイング(8−PSK)からなる群から選択される変調方式を用いて復調される、
    を行うために無線装置において操作可能な命令をさらに格納する、請求項15に記載のプロセッサ可読媒体。
  20. (e)第二の復調されたIおよびQサンプルを等化して第二の複数の多ビット軟判定を得ること、ここにおいて前記第二の復調されたIおよびQサンプルは第二のBEPを示す、
    (f)平均BEPを決定すること、ここにおいて前記平均BEPは複数のビット誤り確率の平均である、ここにおいて前記複数のビット誤り確率は少なくとも前記BEPと前記第二のBEPを含む、
    (g)前記平均BEPを濾波し、濾波された平均BEPを得ること
    を行うために無線装置において操作可能な命令をさらに格納する、請求項15に記載のプロセッサ可読媒体。
  21. (h)前記濾波された平均BEPを量子化すること
    を行うために無線装置において操作可能な命令をさらに格納する、請求項20に記載のプロセッサ可読媒体。
  22. (a)復調されたIおよびQサンプルを等化して、複数の多ビット軟判定を得るための手段、ここにおいて前記復調されたIおよびQサンプルはビット誤り確率(BEP)を示す、ここにおいて前記複数の多ビット軟判定は分布を有する、ここにおいて前記分布は平均と分散を有する、
    (b)前記分布のタイプを決定するための手段、なお、前記分布のタイプは、ガウス分布およびライス分布からなる群から選択される、
    (c)前記分布の前記平均および前記分散を計算するための手段、
    (d)前記分布の前記平均および前記分散に基づいて、前記BEPを推定するための手段
    を具備する装置。
  23. (c)の前記手段は、前記分布の前記タイプに基づいて、前記平均および前記分散を計算する、請求項22に記載の装置。
  24. (e)前記複数の多ビット軟判定をデインタリーブするための手段、
    (f)前記デインタリーブされた複数の多ビット軟判定を畳込み復号し、単一ビット硬判定を得るための手段
    をさらに具備する、請求項22に記載の装置。
  25. (e)IおよびQサンプルを復調し、復調されたIおよびQサンプルを得るための手段、ここにおいて(e)の前記手段は、ガウスの最小シフトキーイング(GMSK)およびオクタル位相シフトキーイング(8−PSK)を含む群から選択される変調方式を用いて前記IおよびQサンプルを復調する
    をさらに具備する、請求項22に記載の装置。
  26. (e)第二の復調されたIおよびQサンプルを等化して、第二の複数の多ビット軟判定を得るための手段、ここにおいて前記第二の復調されたIおよびQサンプルは第二のBEPを示す、
    (f)平均BEPを決定するための手段、ここにおいて前記平均BEPは複数のビット誤り確率の平均である、ここにおいて前記複数のビット誤り確率は、少なくとも前記BEPと前記第二のBEPを含む、
    (g)前記平均BEPを濾波し、濾波された平均BEPを得るための手段
    をさらに具備する、請求項22に記載の装置。
  27. 多ビット軟判定の分布を受信し、多ビット軟判定の分布のタイプを決定する分布アナライザ、ここにおいて前記多ビット軟判定の分布はある分布タイプを示す、ここにおいて前記分布アナライザは前記分布タイプを決定する、なお、前記分布のタイプは、ガウス分布およびライス分布からなる群から選択される、
    前記多ビット軟判定の分布を受信するビット誤り確率推定器、ここにおいて前記ビット誤り確率推定器は前記多ビット軟判定の分布の統計パラメータを計算する、
    ルックアップ・テーブル、ここにおいて前記ビット誤り確率推定器は前記統計パラメータを前記ルックアップ・テーブルの前記BEPにマッピングすることによりビット誤り確率(BEP)を決定する
    を具備する回路。
  28. 前記多ビット軟判定の分布の前記統計パラメータは、前記多ビット軟判定の信号対雑音比に近似する、ここにおいて前記ルックアップ・テーブルは、前記多ビット軟判定の分布の前記統計パラメータを前記多ビット軟判定のビット誤り確率に相関させる、請求項27に記載の回路。
  29. 前記分布タイプはライス分布である場合、前記統計パラメータは平均(A)と分散(シグマ)を含む、ここにおいて前記ビット誤り確率推定器は商A/シグマを前記ルックアップ・テーブルの前記BEPにマッピングすることにより前記BEPを決定する、請求項27に記載の回路。
  30. 前記分布タイプはガウス分布である場合、前記統計パラメータは平均(ミュー)と分散(シグマ)を含む、ここにおいて前記ビット誤り確率推定器は商ミュー/シグマを前記ルックアップ・テーブルの前記BEPにマッピングすることにより前記BEPを決定する、請求項27に記載の回路。
  31. 前記分布アナライザ、および前記ビット誤り確率推定器は、デジタル・ベースバンド・プロセッサ内の専用ハードウェアである、請求項27に記載の回路。
  32. 前記ビット誤り確率推定器は、プロセッサ可読媒体上に格納された命令を実行するプロセッサである、請求項27に記載の回路。
  33. 前記多ビット軟判定の分布を出力する等化器をさらに具備する、請求項27に記載の回路。
  34. 前記多ビット軟判定に基づいて、硬判定ビットを出力する畳込み復号器をさらに具備する、請求項27に記載の回路。
  35. 復調されたIおよびQサンプルを受信し、多ビット軟判定を出力する等化器と、
    前記多ビット軟判定の統計的分布を決定するための手段と、なお、前記分布のタイプは、ガウス分布およびライス分布からなる群から選択される、
    前記選択された多ビット軟判定の統計的分布に基づいて、ビット誤り確率(BEP)を推定するための手段と、を具備する回路。
  36. 前記手段は、前記多ビット軟判定の統計的分布に基づいて前記BEPを推定する、請求項35に記載の回路。
  37. 前記復調されたIおよびQサンプルは、GMS進化型高速データレート(EDGE)標準標準に準拠する変調および符号化方式(MCS)を用いて復調される、請求項35に記載の回路。
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