JP4834058B2 - 最大デューティサイクルを高めた一定オン時間利用電圧調整器 - Google Patents

最大デューティサイクルを高めた一定オン時間利用電圧調整器 Download PDF

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Description

この出願は2006年9月11日提出の米国特許出願第11/530548号(平成19年8月22日提出の日本特許出願特願2007−216153)「任意の等価直列抵抗を伴う出力キャパシタの利用を可能にするための固定オン時間制御利用電圧調整器におけるリプル発生」と少なくとも1名の共通の発明者を有する一部継続出願であり、同出願を参照してその出願の明細書の記載内容をこの明細書に組み入れる。
また、この出願はこの出願と同日付で提出され同一譲受人に譲渡された米国特許出願第11/955,150号(平成20年12月12日提出の日本特許出願特願2008−317264「出力電圧精度を高めた内部リプル発生型の固定オン時間利用電圧調整器」)と関連しており、同出願を参照してその出願の明細書の内容をこの明細書に組み入れる。
この発明はスイッチング型電圧調整器、すなわちDC−DC変換器に関し、より詳しくいうと、マルチモードオン時間・オフ時間制御利用型の一定オン時間バック電圧調整器に組み入れる制御スキームに関する。
DC電圧調整器、すなわちスイッチング型電圧調整器は一つのDC電圧レベルをもう一つのDC電圧レベルにエネルギー変換する。これらのタイプのスイッチング型電圧調整器はDC−DC変換器とも呼ばれる。スイッチングモード電源と呼ばれることもあるスイッチング型電圧調整器は、キャパシタ、インダクタおよび変成器などの低損失回路部品と、入力側から出力側へのエネルギーの離散的パケット移送のためのオンオフ動作を行うパワースイッチとにより、電源供給機能を提供する。そのエネルギー移送の調整に饋還回路すなわち帰還回路を用い、回路の所望の負荷限界値の範囲内に一定出力電圧を維持するようにしている。
スイッチング型電圧調整器は、入力電圧のステップアップもしくはステップダウン、またはそれら両方の機能をもたらすように構成できる。より詳細に述べると、「バックコンバータ」とも呼ばれるバック(buck)スイッチング型電圧調整器は入力電圧をステップダウンし、「ブーストコンバータ」とも呼ばれるブーストスイッチング型電圧調整器は入力電圧をステップアップする。バック−ブーストスイッチング型電圧調整器、すなわちバック−ブースト変換器は、ステップアップ機能とステップダウン機能との両方をもたらす。
スイッチング型電圧調整器の動作は周知であり、次のとおり一般化して説明できる。すなわち、パワースイッチのオンへの切換時に出力フィルタ回路のインダクタにエネルギーを加えて、そのインダクタを流れる電流がビルドアップできるようにする。パワースイッチがオフになると、インダクタの両端子にかかる電圧が逆極性になり、電荷が出力フィルタ回路の出力キャパシタおよび負荷に転送される。その出力キャパシタによって出力電圧は比較的一定の電圧に維持される。同期制御動作のための第2のパワースイッチを用いることもある。
スイッチング型電圧調整器は、集積化した(内部)パワースイッチまたは外部パワースイッチを用いて構成することができる。スイッチング型電圧調整器を集積回路(IC)で構成してパワースイッチをそのICに外付けした場合は、そのスイッチング電圧調整器ICは「スイッチング型電圧調整器コントローラ」または変換器コントローラと呼ばれることもあり、それによって、そのコントローラが、比較的一定の出力電圧を発生するように出力フィルタ回路に接続した外付けパワースイッチ駆動用の制御信号を生ずることを表す。スイッチング型電圧調整器コントローラは、そのコントローラの電圧変換機能に応じて、バック(buck)コントローラ、ブーストコントローラ、またはバック−ブーストコントローラと呼ばれることもある。
固定オン時間制御付きのバックスイッチング型電圧調整器、すなわち「バック電圧調整器」は、パルス幅変調(PWM)モード時の軽負荷動作の効率が高いこと、外部信号との同期を取りやすいこと、比較的長いオフ時間の制御が容易であること、高い入力電圧を低い出力電圧に調整するための固定のオン時間がごく短いこと、など重要な利点があるために、この業界で推賞されている。
固定オン時間(すなわち、一定オン時間)電圧調整器はリプルモード制御による電圧調整器の一つのタイプであり、ヒステレティック電圧調整器はリプルモード制御によるスイッチング型電圧調整器のもう一つのタイプである。概括的にいうと、リプルモード電圧調整器は出力信号の中のリプル成分に基づいて出力電圧を調整する。パワースイッチのスイッチング動作のために、スイッチング型電圧調整器は切換対象の出力インダクタを通じてリプル電流を生ずる。このリプル電流が、負荷と並列に挿入された出力キャパシタの等価直列抵抗(ESR)を主因として出力電圧リプルとなって現れる。
ヒステレティック電圧調整器は、比較器を用いて、リプルを含む調整対象の出力電圧をヒステリシス制御電圧帯と比較する。ヒステリシス上限値以上では上記ヒステレティックコントローラが出力インダクタを低い値に切り換え、下限値以下では上記ヒステレティックコントローラが出力インダクタを高い値に切り換える。一方、固定オン時間電圧調整器は、上記ヒステレティックコントローラと同様に動作するものの、出力リプルが単一の基準点以下に下がったときは、固定時間長にわたり出力インダクタを高い値に切り換える。上記固定オン時間長の終わりの時点で出力リプルが依然として上記単一の基準点よりも低い場合は、出力インダクタを、固定のオン時間にわたり再び高い値に切り換える前に最小のオフ時間にわたり低い値に切り換える。
リプルモード制御による電圧調整器においては、上記出力リプルは出力電圧調整に有用ではあるものの、出力電圧の雑音成分および負荷電圧限界値の点では不都合である。したがって、出力リプルを最小に留める要求が低ESRキャパシタの設計および製造を促してきた。出力キャパシタのESRを下げると出力リプル信号を大幅に下げることができる。リプルを下げることによって、雑音を最小に抑えるとともに負荷電圧変動を低下させることができるが、リプルモードの電圧調整は困難になる。また、リプルの大きさを抑えると、比較電圧差が小さくなり、正確で迅速な比較が非常に困難になる。
そのために、固定オン時間電圧調整器のメーカーは、出力電圧に最小限のリプル電圧を確保して実効的リプルモード制御を実行できるようにするために、出力キャパシタの等価直列抵抗(ESR)を最小値に定めている。すなわち、ESR値の大きい出力キャパシタを固定オン時間電圧調整器すべてに用いることを余儀なくされる。出力キャパシタ自体のESR値が十分に大きくないときは、所要リプル電圧最小値を生ずるための直列抵抗を出力キャパシタに加えることをメーカーが示唆することもある。
ESR値の大きい出力キャパシタへの上述の要求を満たす一つの手法は、制御ループに電流饋還を加えるやり方である。もう一つの手法は、バーチャルリプル発生器を用いて、インダクタ電流比例のバーチャルリプルを内部的に発生するやり方である。これらの手法によって、リプルモード電圧調整器でもESR値の小さい出力キャパシタを利用できるようになるが、電圧調整器はそれだけ複雑になりコスト高になる。
出力信号が最小値以上のリプル電圧成分を含むことが上述のとおり要求されるので、固定オン時間電圧調整器の用途は出力電圧中のリプル電圧成分の存在を許容する用途に限られる。また、ESR値の大きいタンタルキャパシタよりは通常コスト安のセラミックキャパシタなどESR値が零であるキャパシタは、制御ループの適切な動作に必要なESR最小値条件を満たさないので利用できない。
USP 5 773 966 特願2007−216153
したがって、この発明の目的は単純な回路構成で所要リプル電圧を発生し最大デューティサイクルを高めた一定オン時間スイッチング型電圧調整器を提供することである。
この発明の一つの実施例によると、集積回路の形に構成されて入力電圧を受け、スイッチング出力電圧をスイッチ出力ノードに生ずるように饋還制御ループを用いてハイ側のスイッチおよびロウ側のスイッチを制御するバックスイッチング型電圧調整器であって、前記スイッチ出力ノードを前記集積回路に外付けしたLCフィルタ回路に接続して出力ノードにほぼ一定の大きさの調整ずみの電圧、すなわち饋還電圧ノードに饋還電圧を生ずる前記バックスイッチング型電圧調整器の内部の分圧器に饋還される調整ずみの電圧を生ずるようにしたバックスイッチング型電圧調整器において、前記ハイ側スイッチの制御のための第1の信号、すなわち第1のオン時間の経過時または最大オン時間の経過時に前記ハイ側スイッチをオフに切り換え、前記第1のオン時間が少なくとも最小オン時間であって前記饋還電圧が基準電圧以下に留まるとき前記最大オン時間に延長され、前記最大オン時間が第1の最大オン時間とその第1の最大オン時間よりも長い延長ずみの最大オン時間とを含み、前記第2の延長ずみの最大オン時間を、先行のスイッチングサイクルの期間中にハイ側スイッチに用いた場合に適用するオン時間制御回路を含むバックスイッチング型電圧調整器が得られる。
この発明のもう一つの側面によると、入力電圧を受け、スイッチング出力電圧をスイッチ出力ノードに生ずるように饋還制御ループを用いてハイ側のスイッチおよびロウ側のスイッチを制御するバックスイッチング型電圧調整器であって、前記スイッチ出力ノードをLCフィルタ回路に接続して出力ノードにほぼ一定の大きさの調整ずみの出力電圧、すなわち饋還電圧ノードに饋還電圧を生ずる前記バックスイッチング型電圧調整器の内部の分圧器に帰還される調整ずみの出力電圧を生ずるようにしたバックスイッチング型電圧調整器における方法において、前記ハイ側スイッチに対して、少なくとも最小オン時間の長さに等しく前記饋還電圧が基準電圧以下に留まるとき最大オン時間に延長される第1のオン時間長を設定する過程と、第1の最大時間またはその第1の最大オン時間よりも長い延長ずみの最大オン時間を最大オン時間として設定する過程と、先行のスイッチングサイクルの期間中に前記ハイ側スイッチに最小オフ時間が用いられていなかった場合に前記第1の最大オン時間を適用する過程と、先行のスイッチングサイクルの期間中に前記ハイ側スイッチに最小オフ時間を用いられていた場合に前記第2の、すなわち延長ずみの最大オン時間を適用する過程と、前記ハイ側スイッチをオフに切り換える第1の信号、すなわち前記第1のオン時間長の経過時、または前記第1もしくは第2の最大オン時間の経過時に前記ハイ側スイッチをオフに切り換える第1の信号を生ずる過程とを含む方法が得られる。
回路構成が単純で最大デューティサイクルを高めた一定オン時間利用型電圧調整器を提供できる。
この発明の原理によると、固定(一定)オン時間・最小オフ時間制御ループを用いたバックスイッチング型電圧調整器は、スイッチ出力電圧を用いて所要リプル電圧信号を内部で発生するとともに、そのリプル電圧信号を電圧調整器の饋還制御ループに注入するリプル注入回路を含む。発生すべきリプル電圧の大きさは、この電圧調整器と一体に組み入れることもでき外付けすることもできるフィードフォワードキャパシタによって調整する。このようにして、このバック電圧調整器は、任意の値のESRを有する出力キャパシタに適応できるように形成できる。より詳しく述べると、このバック電圧調整器に接続した出力キャパシタのESR値が大きい場合は、スイッチ出力電圧からリプルをほとんどまたは全く発生しないようにリプル注入回路をプログラムするようにフィードフォワードキャパシタを用いる。一方、上記出力キャパシタのESR値が零またはそれに近い値である場合は、スイッチ出力電圧から所要のリプル電圧を生ずるリプル注入回路をプログラムするようにフィードフォワードキャパシタを用いる。
リプル注入回路を組み入れたこの発明のバックスイッチング型電圧調整器は、従来技術によるこの種の回路に比べて多数の利点を有する。まず、このスイッチング型電圧調整器は出力キャパシタのESRが如何なる値であっても対処できる。すなわち、リプルをほとんど含まない出力電圧を生ずるようにESR値の小さいセラミックキャパシタなどの出力キャパシタを用いることを可能にする。一方、リプル注入回路により、スイッチ出力電圧を用いて、所要リプル電圧をそのリプル電圧が調整ずみ出力電圧に悪影響を及ぼさない形で内部的に発生できる。
この発明の一つの側面によると、リプル注入回路は、スイッチ出力電圧と饋還電圧との間に直列に接続して挿入した第1のキャパシタおよび第1の抵抗器と、出力電圧と饋還電圧との間に接続したフィードフォワードキャパシタとを併せ備える。一つの実施例では、上記第1のキャパシタおよび第1の抵抗器を、このバックスイッチング型電圧調整器の集積回路に上記抵抗器分圧回路と併せて搭載し、フィードフォワードキャパシタをそのスイッチング型電圧調整器集積回路に外付けで接続する。もう一つの実施例では、そのフィードフォワードキャパシタもスイッチング型電圧調整器集積回路に組み入れる。そのフィードフォワードキャパシタは、内付けの場合は、発生すべきリプルの所要量の調整のために所望のキャパシタンスを選択するようにプログラム可能な容量値を備えるキャパシタの形に形成できる。
この発明のもう一つの側面によると、一定オン時間・可変オフ時間饋還制御ループを用いるバッキングスイッチング型電圧調整器は、精度を高めたリプル注入回路、すなわち電圧調整器の饋還制御ループの中の饋還電圧ノードとは別の点にリプル電圧信号を注入するリプル注入回路を備える。この構成により、出力電圧の誤差は抑えられ、出力電圧の精度は著しく高められる。一つの実施例では、リプル注入回路に饋還電圧を受ける利得段を含み、その利得段の出力ノードにリプル電圧を注入する。饋還電圧増幅のために利得段を用い、その利得段をバイパスする点にリプル電圧信号を注入することによって、調整ずみ出力電圧に混入する電圧誤差を大幅に抑えることができる。
一つの実施例では、リプル注入回路に、饋還電圧および第1の基準電圧を受ける演算相互コンダクタンス増幅器(OTA)の形で具体化した利得段を含める。このリプル注入回路は、スイッチング出力電圧と上記OTAの出力端子との間に直列接続で挿入した第1のキャパシタおよび第1の抵抗器をさらに備える。また、このリプル注入回路は出力電圧と上記OTAの出力端子との間に挿入したフィードフォワードキャパシタを含む。精度を高めたこのリプル注入回路をさらに詳しく述べる。
図1はこの発明の一つの実施例によるリプル注入回路を組み入れた固定オン時間・最小オフ時間バックスイッチング型電圧調整器の概略図である。図1を参照すると、バックスイッチング型電圧調整器システム10は、出力LCフィルタ回路に接続したバックスイッチング型電圧調整器(以下、「バック電圧調整器」ともいう)100を含む。バック電圧調整器100は入力電圧VINを受けてスイッチ出力電圧VSW(端子104)をインダクタL1および出力キャパシタCOUTから成る出力LCフィルタ回路に供給する。この出力LCフィルタ回路は実質的に一定の大きさのDC出力電圧VOUTを出力電圧ノード114に生ずる。実際の具体的回路では、出力電圧VOUTは図1に示すとおり負荷116を駆動するように供給する。出力キャパシタCOUTは、図1に点線の直列回路で示すとおり、特定の値のESRを伴う。ESRが零である出力キャパシタを用いた場合は上記図1のESRの抵抗値は零であり抵抗器両端子短絡と等価になる。
バック電圧調整器100は固定オン時間・可変オフ時間饋還制御ループを具体化している。この明細書では、固定オン時間を「一定オン時間」とも呼ぶ。以下の説明では、電圧調整器100の固定オン時間饋還制御ループをまず述べ、その饋還制御ループに所望の量のリプルを注入するリプル注入回路を次に述べる。
図1を参照すると、バック電圧調整器100は端子102に入力電圧VINを受ける。一対のパワースイッチM1およびM2をその端子102と接地電位端子PGND106との間に直列に接続する。この回路構成において、電圧調整器100は、上記パワースイッチとそれ以外の回路部分との雑音分離のために、互いに別々の接地端子PGNDおよびSGNDを含む。雑音分離用に別個の接地電位端子接続を用いることは周知であり、この発明の構成に重要ではない。この実施例では、パワースイッチM1はPMOSトランジスタで構成し、パワースイッチM2はNMOSトランジスタで構成し、それらトランジスタを駆動回路134からの駆動信号で制御する。スイッチ出力電圧VSWはこれらパワースイッチM1およびM2の共通接続ノード122に得られる。スイッチ出力電圧VSWはSW端子104経由でインダクタL1および出力キャパシタCOUTから成るLCフィルタ回路に供給し、このLCフィルタでフィルタ処理して実質的に一定振幅のDC出力電圧VOUTを出力電圧ノード114に生ずる。このDC出力電圧VOUTを負荷116の駆動に用いる。
DC出力電圧VOUTはスイッチ出力電圧VSW調整用の饋還制御ループを構成するように電圧調整器100に饋還する。より詳細に述べると、出力電圧VOUTを抵抗器R1およびR2から成る分圧回路にFB端子108経由で饋還する。出力電圧VOUTの分圧出力である饋還電圧VFB(ノード124)を比較器126の第1の入力端子(負入力端子)に加え、比較器126の第2の入力端子(正入力端子)には基準電圧VREF(ノード138)を加える。基準電圧VREFは、入力電圧VINの供給を受ける基準電圧発生回路136で発生する。基準電圧発生回路136は周知であり、入力電圧VINを受けて所望の大きさの電圧を生ずる任意の回路で構成できる。
比較器126は饋還電圧VFBと基準電圧VREFとの間の差を表す誤差電圧信号VERRを生ずる。固定オン時間制御ループを形成するように、出力電圧信号VERRをオンタイマー128の開始入力端子に供給するとともに論理回路132に供給する。オンタイマー128はその開始入力信号のアサート時に所定のオン継続時間長を生じ、その所定のオン時間長の終了を表す終了出力を生ずる。饋還電圧VFBが基準電圧VREF以下に低下した場合は誤差信号VCOMP_OUTをアサートし、オンタイマー128にプログラムずみのオン時間長を始動させる。そのオン時間始動時にオンタイマー128は論理回路132へのバス129に制御信号を供給して論理回路132にハイ側スイッチM1をオン状態に切り換えさせる。これによって、インダクタL1経由の電流がビルドアップ可能になる。ハイ側スイッチM1は固定時間長だけオン状態に留まる。オン時間長が満了すると、オンタイマー128が論理回路132に指示してハイ側スイッチM1をオフにロウ側スイッチM2をオンに切り換えさせる。
最小オフ時間制御を実現するために、オンタイマー128からの終了出力信号をオフタイマー130の開始入力端子に供給する。したがって、オン時間が満了すると、オフタイマー130にプログラムされていたオフ時間長が始動する。オフタイマー130は、オフ時間長の終了を表すように終了出力信号を論理回路132に供給し、その時点で、饋還電圧VFBが基準電圧以下であればパワートランジスタM1はオン状態に戻り得る。このようにして、最小オン時間を饋還ループに実現する。
比較器126,オンタイマー128およびオフタイマー130の動作を通じて論理回路132は駆動回路134への制御信号を発生し、パワースイッチM1およびM2が交互にオンオフ状態になりスイッチ出力電圧VSWを生ずるようにする。この実施例では、饋還制御ループを、電圧調整器100のオン時間が動作周波数一定保持のために互いに異なる入力電圧および互いに異なる出力電圧に適応できるように形成する。
図2は、図1のスイッチング型電圧調整器システム10に実現した一定オン時間・最小オフ時間饋還制御ループ動作を図解する流れ図である。図2を参照すると、饋還制御ループの動作の開始時に饋還電圧VFBを基準電圧VREFと比較する(ステップ204)。饋還電圧VFBが基準電圧VREF以下であれば、制御ループは固定のオン時間にわたりハイ側スイッチM1をオンに切り換え、ロウ側スイッチM2をオフに切り換える(ステップ206)。この固定のオン時間のあと、ハイ側スイッチM1は最小オフ時間にわたりオフに切り換わり、ロウ側スイッチM2はオンに切り換わる(ステップ208)。そのあと、制御ループは比較ステップ204に戻る。饋還電圧VFBが基準電圧VREF以上であれば、何ら切換を行わず、ハイ側スイッチM1はオフ状態に留まり、ロウ側スイッチM2はオン状態に留まる。しかし、饋還電圧VFBが基準電圧VREF以下になれば、ハイ側スイッチM1は固定オン時間にわたり再びオンに切り換わる(ステップ206)。制御ループは饋還電圧VFBを基準電圧VREF以上に保つように継続して動作する。
図2の流れ図に示すとおり、図1のバックスイッチング型電圧調整器システム10は、饋還電圧が基準電圧VREF以上の場合にオフ時間を最小オフ時間(minオフ)から定格オフ時間に増加させることによってオフ時間を調整する。連続電流モードの場合は、このバック電圧調整器の動作周波数は安定しており、デューティサイクルは次式、すなわち
Figure 0004834058
で与えられる。ここでConstTonは一定オン時間を表し、Contr.Toffはオフ時間を表す。上記一定オン時間が次式、すなわち
ConstTon ≒ 1/Vin (式2)
で与えられるとすると、スイッチ出力電圧の周波数はVINの関数としてほぼ一定になる。用途によっては、スイッチ出力電圧の一定周波数が望ましい。
図1に戻ると、バックスイッチング型電圧調整器100は、フィードフォワードキャパシタCFFとの連携動作によりスイッチング出力電圧から所定量のリプルを生じ、スイッチング型電圧調整器システム10の饋還制御ループにリプル電圧信号を注入するリプル注入回路120を含む。このリプル注入回路およびフィードフォワードキャパシタCFFを備えることにより、この発明のバック電圧調整器100はESTの値に関わりなく出力キャパシタCOUTに接続できる。すなわち、セラミックキャパシタなどのESR零のキャパシタも出力キャパシタCOUTとして使うことができるので、出力電圧VOUTのリプル成分を最小にすることができる。一方、この発明の上記リプル注入回路およびフィードフォワードキャパシタは饋還制御ループに必要なリプルをもたらすように動作する。ESRの大きいキャパシタを用いた場合は、この発明のリプル注入回路は、リプル発生が不要であるので、フィードフォワードキャパシタで不活性化できる。
リプル注入回路120は、ノード122とノード124との間に互いに直列接続で挿入した第1のキャパシタCINJおよび抵抗器RINJを含む。一つの実施例では、第1のキャパシタCINJの一つの端子をスイッチング出力電圧ノードSWに接続し、もう一つの端子を抵抗器RINJに接続し、その抵抗器RINJをキャパシタCINJと饋還電圧VFB(ノード124)との間に接続する。もう一つの実施例では、キャパシタCINJと抵抗器RINJとの接続順序を逆にする。リプル注入回路120は抵抗器R1およびR2から成る分圧器と共同して所望の電圧レベルおよび所望のリプル量を備える饋還電圧VFBを生ずる。この電圧調整器においては、リプル注入回路120をスイッチ電圧出力ノード122に接続してリプル電圧信号をスイッチング出力電圧VSWから生ずるようにする。すなわち、リプル電圧信号はスイッチ出力電圧VSWの分圧出力信号であり、その電圧VSWの周波数を備える。饋還電圧VFBノード124に得られるリプル電圧信号の大きさはフィードフォワードキャパシタCFFの容量値で定まる。フィードフォワードキャパシタCFFは出力電圧VOUTノード114と電圧調整器100のフィードフォワード(FFWD)端子110との間に接続する。FFWD端子110は饋還電圧VFBノード124に直接に接続する。すなわち、フィードフォワードキャパシタCFFは出力電圧VOUTノード114と饋還電圧VFBノード124との間に接続する。
このリプル電圧をキャパシタCINJおよびフィードフォワードキャパシタCFFで分圧する。スイッチ出力電圧VSWをキャパシタCINJに加えると、そのキャパシタCINJは微分回路として作用する。スイッチ電圧VSWの切換速度が十分に高い場合は、キャパシタCINJは短絡回路として作用する。このようにして、スイッチ出力電圧VSWを分圧してリプル電圧信号を生ずる。一つの実施例では、リプル電圧のピークピーク値は約20mVである。
フィードフォワードキャパシタCFFは直列接続の抵抗器R1およびR2と並列に接続され、キャパシタCINJと協動して容量性分圧回路を構成する。したがって、リプル電圧信号のピークピーク電圧はフィードフォワードキャパシタCFFの容量値の関数になる。すなわち、フィードフォワードキャパシタCFFの容量値を、任意のESR値の出力キャパシタCOUTで電圧調整器100が動作できるようにリプル注入回路をプログラムするのに用いるのである。
より詳細に述べると、フィードフォワードキャパシタCFFは出力電圧VOUTと饋還電圧VFBとをAC結合する。キャパシタCFFの容量がごく大きい場合は、キャパシタCFFは出力電圧VOUTノード114に現れるAC信号に対して短絡回路として作用する。すなわち、リプル注入回路は大容量CFFで短絡され、饋還電圧VFBノードに注入されるべきリプル電圧信号は生じない。代わりに、リプル電圧成分を含む出力電圧VOUTがFB端子108経由で饋還制御ループの分圧器に印加される。すなわち、饋還電圧VFBは所要リプルを含む出力電圧信号VOUTから発生する。
一方、キャパシタCFFの容量がごく小さいか零である場合は、キャパシタCFFは出力電圧VOUTノード114に現れるAC信号に対してオープンの回路になる。その場合、キャパシタCINJおよび抵抗器RINJを含むリプル注入回路で生じたリプル信号は饋還電圧VFBノード124に通過し、リプル最大値を饋還制御ループに供給する。
実際の具体的回路では、ESRの十分に大きい出力キャパシタCOUTを用いた場合は、饋還制御ループへのリプル電圧信号の発生のためのリプル注入回路120は不要である。リプル注入回路からのリプル電圧信号を必要としない場合は、容量値の大きいフィードフォワードキャパシタCFFを用い、リプル注入回路のキャパシタCINJを実質的に短絡し、リプル注入回路からのリプル電圧信号をキャパシタCFFで相殺するようにする。
一方、ESRがごく小さいか零である出力キャパシタCOUTを用いた場合は、リプル注入回路120を用いて饋還制御ループへの所要リプル電圧信号を生ずる。すなわち、容量値の小さいフィードフォワードキャパシタCFFを、リプル注入回路120によりスイッチ出力電圧VSWから生じたリプル信号が饋還電圧ノード124に通過できるようにするために用いる。
上述のとおり、フィードフォワードキャパシタCFFはリプル注入回路120から供給すべきリプル電圧の大きさを調整するように動作する。一つの実施例では、フィードフォワードキャパシタCFFの容量値は220pF乃至2.2uFの範囲にする。そうすると、電圧調整器100は、任意のESR値の出力キャパシタで、フィードフォワードキャパシタの対応容量値を選ぶだけで動作できる。フィードフォワードキャパシタは、リプル注入回路と容量性分圧回路を構成するほかに、饋還制御ループに零をもたらすことによって過渡応答特性の安定性を改善する。
さらに、リプル注入回路の発生するリプル電圧信号はインダクタL1へのスイッチ出力電圧VSWのACバージョンであるから、リプル電圧信号は入力電圧VINに比例する。制御ループ安定性の観点から見ればリプルの大きい方が望ましいが、精度(負荷調整、出力電圧リプル)の観点から見れば入力電圧は変動時の影響を最小にするようにリプルを最小にする必要がある。
この実施例では、フィードフォワードキャパシタCFFをバック電圧調整器のICに外付けしてフィードフォワードキャパシタの互いに異なる容量値を出力キャパシタCOUTのESR特性との相互調整に使えるようにする。すなわち、注入リプル電圧の大きさをフィードフォワードキャパシタCFFの容量で微調整できる。しかし、他の実施例では、リプル注入回路およびフィードフォワードキャパシタCFFの両方を電圧調整器ICに組み入れてシステム10の外付け部品を減らすこともできる。そのようにICに組み入れた場合は、フィードフォワードキャパシタCFFは出力キャパシタのESR値の所定の範囲に適した容量値とする。
リプル注入回路およびフィードフォワードキャパシタを含むこの発明のバック電圧調整器は慣用のものに比べて多数の利点を有する。例えば、一つの従来技術による手法では、出力電圧VOUTからリプル電圧を発生するのに、リプル電圧のごく小さい残留値を増幅している。リプル電圧信号が実際にごく小さい場合は、リプルを複製するのも雑音信号からリプル信号を弁別するのも非常に難しい。対照的に、この発明のリプル注入回路はスイッチ出力電圧からリプル信号を発生する。したがって、スイッチ出力電圧の分圧に単純な回路を利用でき、このリプル信号を雑音の影響なしに発生できる。
[出力電圧精度の改善]
図1のバック電圧調整器において、DC出力電圧VOUTはほぼ一定の大きさで電圧リプルのほとんどない電圧である。リプル注入回路120からのリプル電圧信号を負饋還電圧VFBノード124で注入する。このリプル注入回路が構成する制御ループは利得が小さいので精度は限られる。動作の際には、リプル電圧信号の平均DC電圧(中間値)は比較器基準電圧VREFに等しくなければならない。しかし、饋還電圧VFBにリプル電圧を注入すると、リプル信号の平均DC電圧は、ハイ側のスイッチのオンへの切換えの遅れなど種々の要因により、基準電圧VREFからずれる。その結果、出力電圧VOUTがDCオフセット電圧成分を含むことになり、それがバック電圧調整器の動作精度に影響を及ぼす。
図3は図1の一定オン時間電圧調整器の饋還電圧VFBの波形図である。図3を参照すると、注入リプルを含む饋還電圧VFBの波形190が示してある。図3の波形図は、パワースイッチの「オン」抵抗を零と仮定して示してある。時点零では、ハイ側スイッチM1は一定のオン時間tONを通じてオンである。リプルのピークピーク値ΔVは次式、すなわち、
Figure 0004834058
で与えられる。
上記一定のオン時間の経過のあとハイ側スイッチをオフにすると、饋還電圧VFBは減少する。この饋還電圧VFBが基準電圧VREFのレベル(線194)まで低下すると、ハイ側スイッチM1が伝搬遅延tdelayのあと再びオンになる。基準電圧VREF以下に饋還電圧VFBが低下する低下値の大きさΔVは次式、すなわち、
Figure 0004834058
で与えられる。
ハイ側スイッチのオンへの切換えが遅れるために、平均饋還電圧AVG_VFB(線192)は基準電圧VREF(線194)からずれる。この平均饋還電圧AVG_VFBと基準電圧VREFとの間の差が誤差電圧VERR2、すなわち1/2ΔV−ΔVで与えられる誤差電圧VERR2である。この誤差電圧VERR2に饋還電圧分圧比を乗算して出力電圧VOUTの誤差を算出する。したがって、出力電圧VOUTに現れる残留DC電圧誤差は、饋還端子に電圧誤差として現れる誤差の(VOUT/VREF)倍になる。その結果、出力電圧VOUTは拡大電圧誤差を抱え込むことになり、精度が低下する。例えば、誤差電圧VERR2が10mV、出力電圧VOUTが1.8V、基準電圧VREFが0.9Vである場合は、出力電圧に表れる残留DC電圧誤差は10mV×(1.8/0.9)=20mVとなり、出力電圧VOUTにオフセット20mVが生ずる。
さらに、時間長ΔtONおよびtdelayが互いに独立のパラメータであるために、DC出力電圧VOUTの精度が低下する。また、電圧ΔVおよびΔVが入力電圧VINおよび出力電圧VOUTに応じて変動し電圧調整機能に悪影響を及ぼす。また、実際の具体的構成では、「オン」抵抗は零ではない。したがって、出力電圧VOUTは負荷の大きさに応じて変動する。これらの要因により、調整ずみ出力電圧VOUTの精度が低下し、望ましくない結果をもたらす。
この発明のもう一つの側面によると、一定オン時間・可変オフ時間制御ループを用いたバックスイッチング型電圧調整器は、精度を高めたリプル注入回路、すなわち電圧調整器の饋還制御ループの中の饋還電圧ノードとは別の点にリプル電圧信号を注入するリプル注入回路を組み入れる。図4は、この発明の一つの実施例により出力電圧精度を高めたリプル注入制御スキームを組み入れた一定オン時間電圧調整器の概略図である。図4に示した構成要素のうち図1に示した構成要素と共通のものは、説明の単純化のために共通の参照数字を付けて同図に示してある。
図4を参照すると、バックスイッチング型電圧調整器システム40は、出力LCフィルタ回路に接続したバックスイッチング型電圧調整器(バック電圧調整器)400を含む。バック電圧調整器400は入力電圧VINを受けて、インダクタL1および出力キャパシタCOUTから成る出力LCフィルタ回路にスイッチング電圧VSW(端子404)を供給する。出力LCフィルタ回路は出力電圧ノード414にほぼ一定の大きさのDC出力電圧VOUTを生ずる。実際の具体化回路では、出力電圧VOUTを図4に示すとおり負荷416を駆動するように供給する。出力キャパシタCOUTはある値のESR、すなわちこのキャパシタと直列接続で挿入するものとして点線で図示した抵抗ESRを伴う。ESRを零とした出力キャパシタを用いた場合は、ESRの抵抗値は零となり短絡と等価になる。
バック電圧調整器400は一定オン時間・可変オフ時間饋還制御ループを具体化する。バック電圧調整器400の一定オン時間饋還制御ループの動作は図1のバック電圧調整器100の動作と同じであるので、ここでは詳細しない。バック電圧調整器400は、出力電圧精度を高めるリプル注入回路420を含む。饋還制御ループに所望の量のリプルを注入して出力電圧精度を高めるリプル注入回路420の構成および動作を次に述べる。
バックスイッチング型電圧調整器400は、スイッチング出力電圧から一定量のリプルを生ずるとともにバックスイッチング型電圧調整器システム40の饋還制御ループにそのリプル電圧信号を注入するようにフィードフォワードキャパシタCFFと協動するリプル注入回路420を含む。より詳細に述べると、リプル注入回路420は、饋還制御ループの中の饋還電圧VFBの生ずる点とは別の点で上記リプル電圧信号を注入する。これによって、後述のとおりこのリプル電圧信号に起因する出力電圧VOUTへの電圧誤差の影響を大幅に軽減する。
リプル注入回路420は、バック電圧調整器400の饋還電圧ノード424と誤差比較器426との間に挿入した増幅器450を含む。増幅器450は饋還電圧VFBを非反転入力端子に、基準電圧VREFを反転入力にそれぞれ受けるように接続を施す。増幅器450は饋還電圧VFBと基準電圧VREFとの間の差を表す出力電圧Vを出力端子452に生ずる。より詳細に述べると、ノード414の出力電圧VOUTを饋還端子(FB)408経由で抵抗器R1およびR2から成る分圧回路の出力ノード424に生ずる。出力電圧VOUTの分圧出力である饋還電圧VFBを増幅器450で基準電圧VREFと比較して出力電圧Vを生ずる。
この出力電圧Vを誤差比較器426の反転入力端子に供給して、その比較器426の非反転入力端子への第2の基準電圧VREF2と比較する。基準電圧発生器436は基準電圧VREFおよびVREF2を発生する。第2の基準電圧VREF2は誤差比較器426および増幅器450を適切な共通モードレベルにバイアスするように選んだDC電圧である。誤差比較器426は上記出力電圧Vと第2の基準電圧VREF2との差を評価して両者間の差を表す出力電圧信号VCOMP_OUTを生ずる。出力電圧VCOMP_OUTは制御回路432に供給してバック電圧調整器400の一定オン時間・可変オフ時間制御ループを完結させる。制御回路432は、一定オン時間・可変オフ時間饋還制御ループを実現するためのタイマーだけでなく制御論理回路を含む。
この実施例において、増幅器450は相互コンダクタンス(Gm)増幅器などの高出力インピーダンスを伴う増幅器である。また、増幅器450は、高いDC利得を備えるものの交流利得は1である増幅器である。一つの実施例では、増幅器450は高出力インピーダンスで低Gmの演算相互コンダクタンス増幅器(OTA)で構成する。増幅器450の出力インピーダンスが高い場合は、その増幅器は、その増幅器出力端子から上記誤差比較器への注入リプル電圧信号のフィードフォワード伝達を可能にする。増幅器450をOTAとして具体化してある場合は、バックスイッチング型電圧調整器システム40は、スイッチング型電圧調整器システム10で得られた良好な過渡応答特性と饋還制御ループの安定性とを、追加の増幅器を要することなく維持することができる。上記の低GmのOTAはごく低い周波数で利得だけを上げるだけの動作を行い、高い周波数では位相保存を損なうことなく利得1を有する。
リプル注入回路420は、スイッチング出力電圧VSW(ノード422)と増幅器450の出力端子452との間に直列接続の形で挿入した抵抗器RINJおよび第1のキャパシタCINJを備える。バック電圧調整器400のフィードフォワードFFWD端子410は増幅器450の出力端子452にも接続する。増幅器450の出力端子452は饋還制御ループのリプル注入ノードとなり、そのリプル注入ノード452は饋還電圧ノード424から独立している。増幅器450の出力インピーダンスは高く、それによって、リプル電圧信号の入力端子452へのリプル電圧信号の注入を可能にしている。上記フィードフォワードキャパシタCFFをバック電圧調整100の出力電圧VOUT(ノード414)とフィードフォワードFFWD端子410との間に接続した場合は、フィードフォワードキャパシタCFFを、出力電圧VOUT(ノード414)とリプル注入ノード452との間に接続する。リプル注入ノード452でリプル信号が生じた場合、そのリプル信号の量はフィードフォワードキャパシタCFFの容量値で定まる。
リプル注入回路420はスイッチング出力電圧ノード422に接続して、リプル電圧信号がスイッチング出力電圧VSWから生ずるようにする。すなわち、リプル電圧信号はスイッチング出力電圧VSWの分圧出力であり、そのスイッチング出力電圧のスイッチング周波数を備える。リプル注入回路とフィードフォワードキャパシタCFFとを含むことによって、この発明のバック電圧調整器400は、任意のESRを伴う出力キャパシタCOUTに接続できる。すなわち、セラミックキャパシタなどの零ESRのキャパシタを出力キャパシタCOUTとして用い、出力電圧VOUTにおけるリプル電圧を最小にすることができる。一方、この発明のリプル注入回路およびフィードフォワードキャパシタは饋還制御ループに必要なリプルを供給するように動作する。ESRの大きいキャパシタを用いた場合は、この発明のリプル注入回路は、リプル発生が不要であるため、フィードフォワードキャパシタCFFで非活性状態にすることができる。
リプル注入回路420の発生するリプル電圧信号は、抵抗器RINJの抵抗値、キャパシタCINJの容量値およびフィードフォワードキャパシタCFFの容量値に左右される。抵抗器RINJおよびキャパシタCINJは低域フィルタとして作用し、キャパシタCINJおよびキャパシタCFFで容量性分圧されたノード452のリプル電圧を生ずる。より詳細に述べると、このリプル電圧信号の大きさは式(オン時間)*(VIN−VOUT)/RINJ/(CINJ+CFF)で与えられる。このようにして、スイッチング出力電圧VSWをリプル電圧信号の発生のために分圧する。一つの実施例では、このリプル電圧のピークピーク値は約20mVである。
フィードフォワードキャパシタCFFはキャパシタCINJとともに容量性分圧器を構成する。すなわち、リプル電圧信号のピークピーク電圧値はフィードフォワードキャパシタCFFの容量値の関数になる。したがって、フィードフォワードキャパシタCFFの容量値を、バック電圧調整器400が任意のESR値を伴う出力キャパシタCOUTと協動できるようにリプル注入回路をプログラムするのに用いる。より詳細に述べると、フィードフォワードキャパシタCFFを出力電圧VOUTと電圧Vとの間にAC結合で挿入する。キャパシタCFFの容量が非常に大きい場合は、キャパシタCFFは出力電圧VOUTノード414へのAC信号に対しては短絡回路になる。したがって、リプル注入回路は大容量のフィードフォワードキャパシタCFFで短絡され、上記リプル注入回路の発生したリプル信号はリプル注入ノード452には注入されない。代わりに、リプル電圧成分を含む出力電圧VOUTがFB端子408経由で饋還制御ループの分圧器に供給される。したがって、饋還電圧VFBは所要リプル含有の出力電圧信号VOUTから生ずる。
一方、キャパシタCFFの容量値がごく小さいか零である場合は、キャパシタCFFは出力電圧VOUTノード114に現れるAC信号に対しては開回路になる。この場合は、キャパシタCINJおよび抵抗器RINJのリプル注入回路の発生したリプル信号はリプル注入ノード452に進み、リプルの最大値を饋還制御ループに供給する。
したがって、実際の具体化回路では、ESR値の十分に大きい出力キャパシタCOUTを用いると、饋還制御ループへの任意のリプル電圧信号のリプル注入回路420は不要になる。リプル注入回路からのリプル電圧信号が不要になると、容量値の大きいフィードフォワードキャパシタCFFを用い、そのキャパシタCFFでリプル注入回路のキャパシタCINJの効果を短絡し、リプル注入回路の発生したリプル信号をフィードフォワードキャパシタCFFで相殺する。
一方、ESRがごく小さいか零である出力キャパシタCOUTを用いるときは、饋還制御ループに必要なリプル電圧信号の供給をリプル注入回路420に依存する。この場合は容量値の小さいフィードフォワードキャパシタCFFを用いて、リプル注入回路420がスイッチング出力電圧VSWから発生したリプル信号をリプル注入ノード452に伝達されるようにする。このようにして、フィードフォワードキャパシタCFFは、リプル注入回路420の供給するリプル電圧の大きさを調節するように作用する。一つの実施例では、フィードフォワードキャパシタCFFの容量値は220pF乃至2.2nFの範囲にある。
上述のとおり、バック電圧調整器400は、フィードフォワードキャパシタに対応の容量値を選ぶだけで、任意のESR値の出力キャパシタと協動することができる。バック電圧調整器400の中のリプル注入回路420は、バック電圧調整器100の中のリプル注入回路420の上述の利点とほぼ同じ利点をもたらすので利点についてはこれ以上の説明は省略する。
上述の構成に示されるとおり、リプル注入回路420はバック電圧調整器400の饋還制御ループに変形を加えたものである。動作の際には、電圧Vが基準電圧VREF2以下に低下すると、ハイ側のスイッチM1が一定のオン時間tONにわたりオンに切り換わる。この一定のオン時間tONが経過したのち、少なくとも最小オフ時間にわたりハイ側のスイッチM1がオフに切り換わり、ロウ側のスイッチM2がオンに切り換わる。電圧Vが基準電圧VREF2以下に低下すると、ハイ側スイッチM1が再びオンに切り換わる。リプル注入回路420がリプル電圧信号を増幅器450の出力電圧Vに注入する。すなわち、このリプル電圧は増幅器450の利得段よりもあとの段階で注入される。
バック電圧調整器の場合と同様に、誤差比較器426の入力における電圧Vの電圧波形は、電圧VREF2について対象となり、入力電圧VIN、出力電圧VOUTおよび負荷電流に伴って変動する。しかし、精度の低い比較器入力は、饋還電圧ノード424でなくリプル注入ノード452に移されている。饋還電圧ノード424において結果的に現れる電圧誤差は、リプル注入ノードにおける電圧誤差を増幅器450の利得で除した値に等しい。増幅器450の利得段を挿入することによって、出力電圧VOUTにおけるDC誤差は大幅に抑えられる。より詳細に述べると、饋還電圧ノードにおけるオフセット誤差は、電圧Vの平均DC電圧のオフセット誤差の1/A倍になる(ここで、Aは増幅器450のDC利得)。出力電圧COUTに伴うDC誤差は、増幅器450のDC利得によって大幅に低減された値になり、その結果、出力電圧は高い精度に向けて電圧調整することができる。一つの実施例では、増幅器450のDC利得Aは600以上である。したがって、誤差電圧VERR2が10mVである場合は、出力電圧VOUTに現れる残留DC電圧誤差はわずか16μVになり、誤差の大幅な低減と著しい精度向上を達成する。
[代替の実施例]
用途によっては、バックスイッチング型電圧調整器システム40は不連続伝導モード(DCM)での動作に適用できよう。DCMではロウ側スイッチM2は逆方向への電流伝導は許容されない。電流が逆方向になる場合は、ロウ側スイッチM2をオフに切り換えて、出力キャパシタで負荷電流を電圧Vが基準電圧VREF2以下に低下するまで供給し、その時点でハイ側スイッチM1を再びオンに切り換えるようにする。
しかし、負荷がごく軽い場合は、饋還電圧VFBが長時間にわたって基準電圧VREFよりも高くなることがあり得る。その期間中は増幅器450が電圧Vを電圧VREFよりもずっと高いレベルに引き上げる。次に、負荷の急変が起こると、電圧Vは、饋還制御ループがハイ側スイッチを再びオンに切り換える前に、大幅に低下する必要がある。この発明の代替の実施例によると、電圧Vの変動を制限するようにリプル注入回路にクランプ回路を付加して、負荷条件変動中にDCMで動作しているバック電圧調整器の過渡応答特性を改善する。
図5は、この発明の代替実施例による出力電圧精度改善型リプル注入制御スキームを組み入れた一定オン時間電圧調整器の概略図である。説明を単純にするために、図5における構成要素のうち図4と共通なものは共通の参照数字を付けて示してある。図5を参照すると、バックスイッチング型電圧調整器システム50の中のバック電圧調整器500は、クランプ回路560が付加されていることを除き、図4のバック電圧調整器400と同じ構成を備える。したがって、バック電圧調整器500の動作はクランピング動作を除きバック電圧調整器400と同じであるので、詳述しない。クランプ回路560はリプル注入ノード552に接続され、そのノード552の電圧Vを基準電圧VREF2よりもΔVだけ高い値に制限する。したがって、電圧Vは軽負荷動作状態でもVREF2+ΔVを超えることはない。負荷に変動が起こると、饋還制御ループがハイ側スイッチをオンに切り換える動作をする前に電圧VがΔVだけ低下する。一つの実施例では、このΔVの値は約15mVである。
図4および図5に示した実施例では、フィードフォワードキャパシタCFFをバック電圧調整器400および500の集積回路に外付けにして、出力キャパシタCOUTのESR特性との整合をとれるように多様なキャパシタCFF容量値を選ぶことを可能にしている。注入リプル電圧の大きさは上述の構成におけるフィードフォワードキャパシタンスCFFにより微調整できる。しかし、他の実施例では、バックスイッチング型電圧調整器システム40および50の外付け部品の数を減らすために、リプル注入回路およびフィードフォワードキャパシタCFFの両方をバック電圧調整器集積回路に組み入れることもできる。組み入れた場合は、そのキャパシタCFFの容量値は、出力キャパシタのESR値の一定範囲の値に整合する値とする。
また、図4および図5に示した実施例では、増幅器450および550並びに抵抗器R1およびR2から成る分圧器を含むリプル注入回路は、バック電圧調整器400および500の集積回路に一体化した形で示してある。さらに、クランプ回路560はバック電圧調整器500の集積回路に一体化した形で示してある。これらの実施例において、リプル注入回路の一つ以上の構成部品をバック電圧調整器の集積回路に外付けすることもできる。一つの集積回路に組み入れるべき回路素子の量は設計上の選択事項である。この発明のリプル注入回路の具体化は集積化の特定の度合いに限定されない。一つの実施例では分圧器R1/R2および上記OTAをバック電圧調整器の集積回路に外付けする。これら分圧器R1/R2、フィードフォワードキャパシタCFF、演算相互コンダクタンス増幅器、注入キャパシタCINJ、注入抵抗器RINJおよびクランプ回路のうちの任意のいずれかをバック電圧調整器集積回路に外付けまたは内付けで接続できる。回路集積化の度合いはこの発明の実施に格別に重要ではない。
図6はこの発明の一つの実施例による図4(クランプ回路なし)および図5の一定オン時間電圧調整器に組み入れ可能な演算相互コンダクタンス増幅器およびクランプ回路の回路図である。図6を参照すると、トランジスタM1、M2、M3およびM4が、饋還電圧VFBおよび基準電圧VREFを受け出力電圧Vを受ける演算相互コンダクタンス増幅器(OTA)600を構成している。OTA600は、出力電圧Vにリプル電圧信号を注入することを可能にするように出力ノード602で高い出力インピーダンスを備える。
図6においては、クランプ回路620を組み入れた形でOTA600を示してある。クランプ回路620はオプションであり、図4のOTAの具体的回路では用いられていない。クランプ回路620は、図5の実施例で示したとおり出力電圧Vのクランピングが必要な場合に、OTAに組み入れる。クランプ回路620は出力電圧Vをクランプ電圧Vclampと比較する増幅器622を含む。増幅器622からの出力信号はNPNバイポーラトランジスタQ1のベース端子に供給する。トランジスタQ1は出力電圧Vのノード602と接地電位点との間に接続され、出力電圧Vをクランプ電圧Vclampに維持する。一つの実施例ではクランプ電圧VclampをVREF+ΔVに設定する。図7は、図6のクランプ回路620を具体化するのに利用可能なクランプ回路の回路図である。
[マルチモードオン時間・オフ時間制御]
上述のバック電圧調整器では、一定オン時間制御・可変オフ時間制御スキームをハイ側スイッチおよびロウ側スイッチのスイッチング動作制御に適用している。より詳細に述べると、上述の式(2)で与えられる一定オン時間は入力電圧VINの関数である。バック電圧調整器の動作周波数は、オフ時間が最小オフ時間から増加するように調整されるに伴ってデューティサイクルが変動する一方で、安定している。この動作状態では、饋還電圧VFBが一定オン時間の終わりに基準電圧VREF以下になっても、ハイ側スイッチはオフに切り換わり、ロウ側スイッチは、オン側スイッチが再びオンに切り換わる前の最小オフ時間にわたりオンに切り換わる。上記最小オフ時間は、制御回路のセットアップ時間、特に誤差比較器のセットアップに必要な時間を十分に確保するために必要となる。場合によっては、ハイ側スイッチを饋還電圧が基準電圧に到達するまでオン状態に保つほうが望ましい場合もある。
また、バック電圧調整器は理想的な条件の下ではデューティサイクル100%に達するが、上記最小オフ時間の必要性がバック電圧調整器のデューティサイクルのデューティサイクルに制限をもたらす。また、上記スイッチのオンへの切換えやオフへの切換えに伴う遅延もデューティサイクルに制限をもたらす。さらに、電流制限モードや不連続伝導モードなどの場合のように、ロウ側スイッチに電流検出が必要な場合は、その電流検出機能を確保するのに十分な時間を与えなければならない。その場合に達成可能なデューティサイクル最大値Dmaxは次式、すなわち、
max=ton/(ton+toff,min
に制限される。
オン時間tonを増加させることによってデューティサイクルを大きくすることは可能であるが、オン時間tonの増大は望ましくない結果をもたらすことがあり得る。まず、オン時間の増大はインダクタ電流リプルの増大をもたらし、実際的であるとは限らない。次に、オン時間をあまり長くすることはできない。饋還電圧VFBが基準電圧VREF以上になるまでオン時間の延長を許容することはできるが、そのような状態は特に短絡状態がある場合は不都合な結果に直結することがあり得る。短絡状態では、饋還電圧は基準電圧以上に上昇することはできず、ハイ側スイッチはオフ状態に切り換わり得ず、インダクタ電流が極端に大きくなる。最後に、オン時間を延ばしすぎると、過渡応答特性が劣化する。負荷電流が小さい値から大きい値に急増した場合を想定してみる。電流急増は饋還電圧VFBを基準電圧VREF以下の値に低下させるので、電圧調整器ループはオン時間tonをできるだけ長くしようとする。オン時間tonを延ばしすぎると、インダクタ電流は負荷電流よりもずっと大きくなり、ハイ側スイッチのオフへの切換えおよびロウ側スイッチのオンへの切換えの際に、インダクタに蓄えられていたエネルギーのために出力電圧が目標値を行きすぎる結果になる。
この発明の一つの側面によると、バックスイッチング型電圧調整器は一定オン時間・可変オフ時間制御ループ実現のためのマルチモードオン時間・オフ時間制御スキームを具体化する。このマルチモードオン時間・オフ時間制御スキームは、バックスイッチング型電圧調整器の高デューティサイクル動作を可能にするように、図1、図4および図5のバックスイッチング型電圧調整器に組み入れることができる。図8はこの発明の一つの実施例によるバックスイッチング型電圧調整器にマルチモードオン時間・オフ時間制御スキームを具体化するオン時間・オフ時間制御回路の論理図である。一つの実施例では、オン時間制御回路800を、この発明によるマルチモードオン時間・オフ時間制御スキームを実現するように、バック電圧調整器100の論理回路132、またはバック電圧調整器400および500の制御回路432および532に具体化する。なお、図8は互いに異なる動作信号とオン時間制御回路のタイマーとの間の論理関係を図解するだけのものであって、オン時間制御回路の文字どおりの具体化の図解を意図するものではない。上述の説明に接した当業者には、このオン時間制御回路が多様な回路素子の利用により多様な方法で具体化できることが理解されよう。
図8を参照すると、オン時間制御回路900は、ハイ側スイッチをオンに切り換えるTop_Switch_On信号を生ずる第1の論理回路810と、ハイ側スイッチをオフに切り換えるTop_Switch_Off信号を生ずる第2の論理回路820とを含む。このマルチモードオン時間・オフ時間制御スキームの動作は次のとおりである。第1の論理回路810では、饋還電圧VFBが基準電圧VREF以下で最小オフ時間に到達したときTop_Switch_On信号をアサートする。ハイ側スイッチがオンに切り換わった状態で、Normal_Off信号がアサートされるかForce_Off信号がアサートされると、Top_Switch_Off信号がアサートされる。最小オン時間ton_minに到達するか饋還電圧VFBが基準電圧VREF以上になったときは、Normal_Off信号がアサートされる。このようにして、ハイ側スイッチが少なくとも最小オン時間ton_minにわたってオンに切り換わり、饋還電圧VFBが基準電圧VREF以上になるまでオン状態に留まる。しかし、オン時間制御回路900はハイ側スイッチに二つの最大オン時間限界を課する。最大オン時間ton_max1または最大オン時間ton_max2に達すると、Force_Off信号がアサートされる。このForce_Off信号がアサートされると、Top_Switch_Off信号がアサートされ、饋還電圧VFBの値とは無関係にハイ側スイッチはオフに切り換わる。すなわち、Force_Off信号がアサートされると、ハイ側スイッチは、饋還電圧VFBが基準電圧以下であってもオフに切り換わる。
上記二つの最大オン時間限界は、第1の最大オン時間ton_max1および第2の延長ずみの最大オン時間ton_max2を設定するように作用する。第2の最大オン時間ton_max2は第1の最大オン時間ton_max1よりも長い。動作の際には、第1の最大オン時間ton_max1を適用するが、特定の条件の下では、オン時間を第2のオン時間ton_max2に延長することを許容する。さらに後述するとおり、第1の最大オン時間ton_max1は先行スイッチングサイクルの中のオフ時間が最小オフ時間でなかった場合に選択し、第2の延長最大オン時間ton_max2は先行スイッチングサイクルの中のオフ時間が最小オフ時間であった場合に選択する。
マルチモードオン時間・オフ時間制御スキームの動作は次のとおりである。デューティサイクルか低いか中程度の場合は、このオン時間制御回路は一定オン時間を具体化してハイ側スイッチのオフ時間を電圧調整動作を実現するように制御する。デューティサイクルが高い場合は、オフ時間を最小オフ時間に固定してオン時間制御回路でオン時間を電圧調整動作を実現するように制御する。上記限界値では、最大デューティサイクルton,max/(ton,max+toff,min)を実現する。この最大デューティサイクルは、ton,maxが特定の条件の下で大きい値まで選択的に延長を許容された場合に100%近い値になる。最大オン時間延長は、大きい値の第2の最大オン時間を含む二つの最大オン時間を用いて実現する。
図9はこの発明の一つの実施例による最大オン時間制御回路の概略図である。図9を参照すると、最大オン時間制御回路900は第1の最大オン時間ton_max1または第2の最大オン時間ton_max2の経過時点でForce_Off信号を発生する。最大オン時間制御回路900では、第1の最大オン時間ton_max1をキャパシタCと電流源960とNMOSトランジスタM11とから成る第1のタイマー回路で設定する。動作の際には、ハイ側スイッチがオフに切り換わる(Top_Switch_Off信号がアサートされている)と、トランジスタM11がオンに切り換わってキャパシタCを放電させる。その時点でノード962の電圧VTMAXは接地電位またはその近傍になる。比較器940はキャパシタC(ノード962)の電圧VTMAXをDC電圧VDCと比較する。電圧VTMAXがDC電圧VDCよりも低い場合は比較器940は論理ロウのForce_Off信号を生ずる。
Top_Switch_Off信号がアサート解除されてハイ側スイッチをオンに切り換えると、トランジスタM11はオフに切り換わり、電流源960がキャパシタCを充電可能になる。キャパシタCの上側端子(ノード962)の電圧VTMAXが電圧VDCに達すると、比較器940の状態が切り換わり、論理ハイのレベルのForce_Off信号を生ずる。Force_Off信号の論理ハイのレベルは、Force_Off信号がアサートされていること、したがってTop_Switch_Off信号がアサートされていることを表す。このようにして、キャパシタCの容量、すなわちキャパシタCを電圧VDCまで充電するための時間が第1の最大オン時間ton,max1を設定する。
この発明の一つの実施例によると、最大オン時間制御回路900はある条件の下では第2の、すなわち延長ずみの最大オン時間ton,max2を設定する。それらの条件の下では、最大オン時間が、先行のスイッチングサイクルで最小オフ時間が用いられていた場合は、第1の最大オン時間ton,max1を超えて延びることを許容される。それを可能にするために、最大オン時間制御回路900は、最小オフ時間が先行スイッチングサイクルで用いられていた場合にキャパシタCをキャパシタCに並列接続で付加するように作用する第2のタイマー回路を含む。キャパシタCおよびキャパシタCの容量の合計が、それらキャパシタの電圧VTMAXをDC電圧VDCまで充電する時間を長くし、それによって最大オン時間をton,max2に延長する。先行スイッチングサイクルでオフ時間が最小オフ時間よりも長かった場合は、最大オン時間は延長されず、キャパシタCによって定まる最大オン時間が維持される。
この第2のタイマー回路の構成および動作を図9およびその関連のタイミング図である図10を参照して次に述べる。この第2のタイマー回路は、最小オフ時間到達時にアサートされる信号toff,min_reachedを受ける単安定回路970を含む。この単安定回路970はパルスtoff、min_reached(波形1004)を発生する。このパルスtoff,min_reachedと、ハイ側スイッチのオンへの切換えを表すTop_Switch_On信号との論理積をANDゲート972でとる。したがって、ハイ側スイッチがパルスtoff,min_reachと同時にオンに切り換わると、その切り換わりは、先行スイッチングサイクルで最小オフ時間が用いられたことを表す。したがって、ANDゲート972の出力がアサートされる。最小オフ時間の終わりにハイ側スイッチがオンに切り換わらなければ、ANDゲート972の出力はアサートされない。
ANDゲート972の出力はフリップフロップ回路974のセット入力端子Sに加える。一方、回路974のリセット入力端子RにはTop_Switch_Off信号を加える。回路974の出力QであるIncrease_ton,max信号はNMOSトランジスタM12のゲート端子に加える。NMOSトランジスタM12のドレーン端子はノード962に接続し、ソース端子はキャパシタCに接続する。Increase_ton,max信号がアサートされると、トランジスタM12はオンに切り換わってキャパシタCをキャパシタCに並列に接続する。Increase_ton,max信号がアサートされない場合は、トランジスタM12はオフ状態になる。
Increase_ton,max信号は、ANDゲート972の出力がアサートされて、フリップフロップ回路974の出力Qが論理ハイのレベルになったときにアサートされる。Top_Switch_Off信号がアサートされると、フリップフロップ回路974の出力Qは論理ロウのレベルにリセットされる。回路974のセット入力にもリセット入力にもアサートがない場合は、出力Qはそれ以前の論理状態に留まる。
この第2のタイマー回路の動作は次のとおりである。最小オフ時間に到達すると(時点A)、toff,min_reached信号がアサートされて、単安定回路970がパルスtoff,min_reached(波形1004)を生ずる。次に、Top_Switch_On信号がアサートされてハイ側スイッチを同時にオンに切り換えると(時点A)、ANDゲート972の出力がアサートされる。したがって、フリップフロップ回路974はセットされ、Increase_ton,max信号(波形1006)がアサートされる。その結果、トランジスタM12がオンに切り換わり、キャパシタCがキャパシタCに並列に接続されて最大オン時間を長くする。パルスtoff,min_reachedのために、ANDゲート972の出力はそのパルスの持続時間だけ回路974のセット入力Sに加えられる。しかし、Increase_ton,max信号は、Top_Switch_Off信号がアサートされて(時点B)Increase_ton,max信号をリセットするまで、アサートされた状態に留まる。
一方、次のスイッチングサイクルでは、最小オフ時間に到達するもののTop_Switch_On信号がアサートされていないとき(時点C)は、ANDゲート972には出力はなく、Increase_ton,max信号はリセット状態のままである。すなわち、最小オフ時間には到達しているもののハイ側スイッチがオンに切り換わっていない場合は最大オン時間制御回路900は先行スイッチングサイクルに最小オフ時間がなかったと判定する。その場合は最大オン時間の延長は不要である。
最大オン時間制御回路900は、バック電圧調整器の中に具体化すると、その電圧調整器の動作の改善に多様な利点をもたらす。まず、最大オン時間制御回路900は二つの最大オン時間、すなわち第1の最大オン時間ton_max1および第2の、すなわち延長ずみの最大オン時間ton_max2を提供する。延長ずみの最大オン時間はより高いデューティサイクルの必要な条件のときだけ提供される。すなわち、延長ずみの最大オン時間は先行スイッチングサイクルが最小オフ時間を用いた場合だけ提供される。デューティサイクルが低いか中程度の場合は、バック電圧調整器は上記二つの最大オン時間に影響されない。すなわち、この制御ループは最小オフ時間toff,minよりも大きいオフ時間を制御しているからである。デューティサイクルがより高い場合は、バック電圧調整器は最小オフ時間toff,minを用いオン時間tonを制御することによって電圧調整動作を開始する。その領域では、オン時間tonを、通常は最大オン時間ton,max1の到達前で饋還電圧VFBが基準電圧VREFに達するまで、延長する。しかし、デューティサイクルが引き続き長くなるに伴って、所要オン時間は第1の最大オン時間ton,max1よりも大きくなる。デューティサイクルをより高くできるようにするために、特定の条件の下で第2の、すなわち延長ずみの最大オン時間ton,max2を用いる。最大オン時間ton,maxは先行スイッチングサイクルが最小オフ時間を用いたときだけ延長するので、過渡的オーバーシュートは避けられる。過渡状態の期間中は、オフ時間が最小オフ時間よりも通常長いので、最大オン時間は延長されない。
図11はこの発明の代替実施例による最大オン時間制御回路の概略図である。図11を参照すると、最大オン時間制御回路1100は上述の最大オン時間制御回路900と同じ構成を備えるが、短絡状態に対する保護回路を付加してある。より詳細に述べると、この最大オン時間制御回路1100は短絡回路状態の発生時に最大オン時間延長動作をディスエーブルするように構成してある。すなわち、短絡回路状態が生ずると、出力電流は電流限界値に到達する。この最大オン時間制御回路1100では、Not_In_Current_Limit信号をANDゲート1172に送って、パルスtoff,min_reachedおよびパルスTop_Switch_Onとの間の論理積をとる。したがって、ANDゲート1172は、上述の二つの状態(最小オフ時間到達時およびハイ側スイッチのオンへの切換時)に加えて、出力電流が電流制限を受けていないときだけその出力をフリップフロップ回路1174のセット入力端子に送って、バックスイッチング型電圧調整器の出力に短絡回路がないことを表すことができる。このようにして、最大オン時間の延長をスイッチング型電圧調整器における短絡状態の検出時に回避する。
上に述べてきた詳しい説明は、この発明の特定の実施例を例示するためのものであって限定を意図するものではない。この発明の範囲内で多数の変形および改変が可能である。すなわち、この発明は添付特許請求の範囲の各請求項のみによって画定される。
低コストで性能改善したスイッチング型電圧調整器の製造に利用できる。
この発明の一つの実施例によるリプル注入制御スキームを組み入れた固定(一定)オン時間電圧調整器の概略図。 図1の電圧調整器に用いた一定オン時間・最小オフ時間制御ループの説明図。 図1の一定オン時間電圧調整器の饋還電圧VFBを表す電圧波形図。 この発明の一つの実施例による出力電圧精度を高めたリプル注入制御スキーム付きの一定オン時間電圧調整器の概略図。 この発明の代替実施例による出力電圧精度を高めたリプル注入制御スキーム付きの一定オン時間電圧調整器の概略図。 図4(クランプ回路なし)および図5の一定オン時間電圧調整器に組み入れ可能な演算相互コンダクタンス増幅器およびクランプ回路の回路図。 図5の一定オン時間電圧調整器に組み入れ可能なクランプ回路の回路図。 この発明の一つの実施例によるバックスイッチング型電圧調整器におけるマルチモードオン時間・オフ時間制御スキームの具体化のためのオン時間・オフ時間制御回路の論理回路図。 この発明の一つの実施例による最大オン時間制御回路の概略図。 図9の最大オン時間制御回路の動作を示すタイミング図。 この発明のもう一つの実施例による最大オン時間制御回路の概略図。
符号の説明
10,40,50 バック(buck)スイッチング型電圧調整器システム
100,400,500 バックスイッチング型電圧調整器
102,104,106,108,110,112;
402,404,406,408,410,412;
502,503,506,508,510,512 端子
114,414,514 出力電圧VOUTノード
116,416,516 負荷
120,420,520 リプル注入回路
126,426,526 誤差比較回路
128 オンタイマー
130 オフタイマー
132 論理回路
134 駆動回路
432,532 制御回路
M1,M2 トランジスタパワースイッチ
136,436,536 基準電圧VREF発生回路
206 一定オン時間にわたりスイッチM1をオンにする
208 最小オフ時間にわたりスイッチM1をオフにする

Claims (12)

  1. 集積回路の形に構成されて入力電圧を受け、スイッチング出力電圧をスイッチ出力ノードに生ずるように饋還制御ループを用いてハイ側のスイッチおよびロウ側のスイッチを制御するバックスイッチング型電圧調整器であって、前記スイッチ出力ノードを前記集積回路に外付けしたLCフィルタ回路に接続して出力ノードにほぼ一定の大きさの調整ずみの電圧、すなわち饋還電圧ノードに饋還電圧を生ずる前記バックスイッチング型電圧調整器の内部の分圧器に饋還される調整ずみの電圧を生ずるようにしたバックスイッチング型電圧調整器において、
    最小オン時間および可変オフ時間饋還制御ループでハイ側スイッチを制御するための第1の信号、すなわち複数のオン時間長、すなわち
    (1)少なくとも最小のオン時間を有し前記饋還電圧が基準電圧以上のとき終了する第1のオン時間長と、
    (2)第1の最大オン時間、すなわち最小オン時間が先行スイッチングサイクルの期間中にハイ側スイッチに用いられなかったときに用いられる第1の最大オン時間である第2のオン時間長と、
    (3)前記第1の最大オン時間よりも大きい第2の最大オン時間、すなわち前記最小オフ時間が先行スイッチングサイクルの期間中にハイ側スイッチに用いられていた場合に用いられる第2の最大オン時間である第3のオン時間長と
    から成る複数のオン時間長のうちの最短の時間長の経過時に前記ハイ側スイッチをオフに切り換える第1の信号を生ずるオン時間制御回路
    を含むバックスイッチング型電圧調整器。
  2. 前記第1の最大オン時間を第1のキャパシタで設定し、前記第2の最大オン時間を前記第1のキャパシタに並列に第2のキャパシタを付加することによって設定する請求項1記載のバックスイッチング型電圧調整器。
  3. 前記第1の最大オン時間を第1のキャパシタ容量値で設定し、前記第2の最大オン時間を前記第1のキャパシタ容量値への第2のキャパシタ容量値の付加によって設定する請求項1記載のバックスイッチング型電圧調整器。
  4. 前記第2の最大オン時間を、先行スイッチングサイクルの期間中に前記ハイ側スイッチに最小オフ時間を用いていた場合、および前記スイッチング型電圧調整器の出力電流が電流制限を受けていなかった場合に、適用する請求項1記載のバックスイッチング型電圧調整器。
  5. 前記オン時間制御回路が前記第1の最大オン時間または前記第2の最大オン時間の終わりに第2の信号を発生する最大オン時間制御回路を含み、その最大オン時間制御回路が、
    第1のノードと接地ノードとの間に、前記第1の信号による制御を受ける第1のトランジスタと並列接続で挿入した第1のキャパシタと、前記第1のキャパシタを充電するように接続を施した電流源とを含む第1のタイマー回路と、
    前記第1のノードにおける第1の電圧と第2のDC基準電圧とを比較して、前記第2の信号、すなわち前記第1の電圧が前記第2のDC基準電圧以上の値であるときにアサートされる前記第2の信号である出力電圧を生ずる比較器と
    を含み、
    前記ハイ側スイッチがオフに切り換わったとき前記第1の信号がアサートされて前記第1のトランジスタをオンに切り換えて前記第1のキャパシタを放電させ、前記ハイ側スイッチがオンに切り換わったとき前記第1の信号がアサート解除されて前記第1のトランジスタをオフに切り換えて前記電流源による前記第1のキャパシタの充電を可能にして前記第1の電圧を上昇させ、前記第1の最大オン時間が、前記第1の電圧が前記第2のDC基準電圧に達するまでに要する時間を含む請求項1記載のバックスイッチング型電圧調整器。
  6. 前記最大オン時間制御回路が、
    前記第1のノードと前記接地電位ノードとの間に第2のキャパシタと直列接続で挿入した第2のトランジスタであって、先行のスイッチングサイクルの期間中にハイ側スイッチに最小オフ時間が用いられていた場合にアサートされて前記第2のトランジスタをオンに切り換える第3の信号に制御される第2のトランジスタ
    をさらに含み、
    前記第2のトランジスタがオンに切り換わって前記第2のキャパシタを前記第1のキャパシタと並列に接続し、前記第2の最大オン時間が、前記第1および第2のキャパシタの充電により前記第1の電圧が前記第2のDC基準電圧に達するまでに要する時間を含む請求項5記載のバックスイッチング型電圧調整器。
  7. 前記第2のタイマー回路が、
    前記最小オフ時間に達したことを表す最小オフ時間パルスを生ずる単安定回路と、
    前記最小オフ時間パルスおよび第4の信号を受けて、前記最小オフ時間パルスの期間中に前記第4の信号がアサートされたときアサート中の出力信号を生ずる第1の論理ゲートと、
    前記第1の論理ゲートの出力信号を受けるセット入力端子と、前記第1の信号を受けるリセット入力端子と、前記第3の信号を生ずる出力端子とを有するフリップフロップ回路と
    をさらに含む請求項6記載のバックスイッチング型電圧調整器。
  8. 前記第1の論理ゲートが、前記スイッチング型電圧調整器の出力電流が電流制限を受けていないことを表す第5の信号をさらに受け、前記第4の信号が前記最小オフ時間パルスの期間中にアサートされるとともに前記第5の信号がアサートされたとき前記第1の論理ゲートが出力信号を生ずる請求項7記載のバックスイッチング型電圧調整器。
  9. 入力電圧を受け、スイッチング出力電圧をスイッチ出力ノードに生ずるように饋還制御ループを用いてハイ側のスイッチおよびロウ側のスイッチを制御するバックスイッチング型電圧調整器であって、前記スイッチ出力ノードをLCフィルタ回路に接続して出力ノードにほぼ一定の大きさの調整ずみの出力電圧、すなわち饋還電圧ノードに饋還電圧を生ずる前記バックスイッチング型電圧調整器の内部の分圧器に帰還される調整ずみの出力電圧を生ずるようにしたバックスイッチング型電圧調整器における方法において、
    前記ハイ側スイッチに対して、少なくとも最小オン時間だけ継続し前記饋還電圧が基準電圧以上のときに終了する第1のオン時間長を設定する過程と、
    最小オフ時間が先行スイッチングサイクルの期間中に前記ハイ側スイッチに用いられなかった場合に用いられる第1の最大オン時間である第2のオン時間長を設定する過程と、
    最小オフ時間が先行スイッチングサイクルの期間中に前記ハイ側スイッチに用いられていた場合に用いられる第2の最大オン時間、すなわち前記第1の最大オン時間以上の第2の最大オン時間である第3の最大オン時間長を設定する過程と、
    前記ハイ側スイッチを最小オン時間および可変オフ時間饋還ループでオフに切り換える第1の信号、すなわち前記第1、第2および第3のオン時間長のうちの最短の時間長の経過時に前記ハイ側スイッチをオフに切り換える第1の信号を生ずる過程と
    を含む方法。
  10. 第1の最大オン時間である第2のオン時間を設定する過程が第1のキャパシタを充電することにより前記第1の最大オン時間を設定することを含み、第2の最大オン時間である第3のオン時間長を設定する過程が、前記第1のキャパシタおよびその第1のキャパシタに並列接続した第2のキャパシタを充電することにより前記第2の最大オン時間を設定することを含む請求項9記載の方法。
  11. 第1の最大オン時間である第2のオン時間長を設定する過程が前記第1のキャパシタを充電することによって前記第1の最大オン時間を設定することを含み、第2の最大オン時間である第3のオン時間長を設定する過程が前記第1のキャパシタとこの第1のキャパシタに並列接続した第2のキャパシタを充電することによって前記第2の最大オン時間を設定することを含む請求項9記載の方法。
  12. 前記第1の最大オン時間よりも長い前記第2の最大オン時間である第3のオン時間長を設定する過程が、先行のスイッチングサイクルの期間中に最小オフ時間が前記ハイ側スイッチに用いられていた場合、および前記スイッチング型電圧調整器の出力電流が電流制限を受けていない場合に、第2の最大オン時間を設定することを含む請求項9記載の方法。
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