JP4831467B2 - ヨーネ病診断用プライマーおよびウロコルチン遺伝子の発現量測定によるヨーネ病の診断法 - Google Patents

ヨーネ病診断用プライマーおよびウロコルチン遺伝子の発現量測定によるヨーネ病の診断法 Download PDF

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本発明は、ヨーネ病診断用プライマーおよびウロコルチン遺伝子の発現量測定によるヨーネ病の診断法に関する。
ヨーネ病は、抗酸菌の一種であるヨーネ菌に起因する慢性肉芽腫性下痢性伝染病である。我が国の牛群におけるヨーネ病汚染は、1980年以降その発生頭数、発生地はともに拡大傾向にあり、2004年には発生頭数が1100頭を超え、家畜の法定伝染病として最大の発生件数である。ヨーネ病は、出生後早期に経口的にヨーネ菌に感染することで成立するが、ヨーネ病の感染から発症までのプロセスは未だ不明の部分が多く、個体レベルでの感染経過の差異が他の疾病に類を見ないほど大きい。しかも、感染のステージにより診断可能な技術が限られており、現在でも尚、全ての感染動物を診断するに至っていない。
これまで、ヨーネ菌がヒト難病疾患であるクローン病の原因であるとする仮説や論文が出されてきた。また、2005年にランセット誌に、クローン病患者の半数の血液から本菌が分離されたという報告が出され、これに先駆けて、米国の市販牛乳の約3%がヨーネ菌生菌に汚染されていたという報告がされた。このように、家畜衛生上、公衆衛生上もこの病気を早期診断して清浄化する社会的ニーズは非常に高まっている。
ヨーネ病の診断法に関する従来技術およびその問題点について、以下に説明する。
ELISA法による抗体検出法(免疫学的診断):家畜法定伝染病に定められている公式の診断法にはまず、特異抗体の検出をELISA法により行う技術がある。この方法は、被検動物から血清を得て、血清中のヨーネ菌に対する特異抗体を高感度化した抗原抗体反応により検出する技術である。現在、伝染病予防法に沿って、キットが市販されて使用されている。
しかし、この方法で診断可能な感染動物は、感染後期のステージに至り、特異抗体の上昇しているものに限定される。よって、抗体の上昇していない不顕性感染時期の感染動物には無効である。また、抗体のレベルは感染の経過により増減があり、検出時期とタイミングが適切でないと的確な診断が行われない。特に、感染前期〜中期には、ELISA法による診断は困難である点が問題である。
細菌分離法(細菌学的診断):これは、被検動物の糞便からヨーネ菌を分離同定することにより、感染を証明する診断技術である。具体的には、マイコバクチンという鉄キレートを添加した培地で増殖すること、およびPCR法による遺伝子診断を合わせて同定を行う。近年、ELISA法による抗体反応が全く陰性でありながら、本方法で陽性となる感染動物も多いことが知られるようになり、その診断価値はある。
この方法は、抗体の検出される時期や、それ以前の感染ステージの不顕性感染動物の診断に有効であるが、不顕性感染後期以前には糞便中への排菌数も少なく、不定期であるため、頻回の検査でも検出されないことが多い。また、ヨーネ菌の菌分離には最低2〜3カ月要し、時には培養をより長く行わなければ最小の菌塊(コロニー)を見つけることができないほど超遅発育性の抗酸菌であるため、培養で確認する期間にも感染動物が排菌を続けて農場の汚染が進んでしまう可能性があるという大きな問題がある。
PCR法(細菌学的診断):近年、ヨーネ菌DNAにおける特異的挿入配列IS900の検出を、ポリメラーゼチェーンリアクション(Polymerase chain reaction:PCR)法で行うことにより、糞便中のヨーネ菌の有無を早期鑑別することが可能になってきた(特許文献1参照)。前項の方法では菌の分離培養に長時間を要するが、本方法では短時間のうちにヨーネ菌のDNAの分離と同定が可能であるため、汚染状況の把握に用いられるようになっている。
しかし、この方法も、感染動物が一定程度の菌を糞便に排菌するステージでないと診断ができず、感染初期〜前期の感染動物の診断は困難である。また、排菌は持続的に起こらないことや、感染前期以前には感染動物体内での菌増殖が著しくはなく、そのため排菌自体が激しく起こらないため、PCR法によっても診断できない個体はかなり多いと推定される。
ヨーニン反応(免疫学的診断):結核におけるツベルクリン反応と同等の細胞性免疫を検出する診断技術であり、家畜伝染病予防法に規定されている。具体的には、ヨーネ菌抗原(ヨーニンPPD)を被検動物の尾根部皮内に接種後、2〜3日後の皮膚の発赤や腫れを測定して診断する方法である。ヨーネ病の早期診断に有効な技術の一つである。
しかし、抗原の接種と測定の2度にわたって技術者が農場に出向く必要があるため、手間がかかるという問題がある。また、細胞性免疫反応は感染の進行とともに低下するため、感染初期以外のステージでは有効でない。本方法は、同じく細胞性免疫診断技術である次項のIFNγ/ELISA法に比べて、感度が低いことが知られている。
IFNγ/ELISA法(免疫学的診断):ヨーニン反応と同様に、感染動物のヨーネ菌に対する細胞性免疫反応を検出する方法である(特許文献2参照)。ヨーニン反応より高感度で、実施者が被検動物の血液を一度採取すれば、検査が可能である点が省力的である。具体的には、採取された血液に抗原(ヨーニンPPD)を添加して一晩培養後、上清中のIFNγ濃度を免疫学的にELISA法により測定することで診断を行う。
しかし、ヨーニン反応と同様、細胞性免疫反応の比較的低い時期の感染動物では判定が困難である。
抗IL-10添加・IFNγ/ELISA法(免疫学的診断):本発明者らが開発した方法(特許文献3参照)で、上記IFNγ/ELISA法の実験系に、IFNγの産生の妨げとなるインターロイキン10(IL-10)の働きを抑制する中和抗体を添加して、その反応性を30倍ほど高感度化した技術である。本方法によれば、上記ELISA法、細菌分離法、PCR法などによっても検出できない感染初期〜前期の不顕性感染動物に対する診断摘発が可能である。しかし、ヨーネ病の病理発生機序の複雑さから、本技術で診断できない感染動物がいる可能性もある。
病理学的診断:バイオプシーや死後の動物の組織を病理組織学的に観察して、ヨーネ病に特徴的な病変を確認することにより診断を行う技術である。しかし、バイオプシーを行い生前診断できるステージは、感染がかなり進んだ後期に限られる。また、死後の検査が主体になるため、生前診断法としては利用が限られている。
このように、ヨーネ病は診断困難期が長く、従来普及しているヨーネ病の診断方法は、いずれも適用可能な感染ステージが限定されている。特に、感染初期〜前期の不顕性感染動物に対しては、確実に検出できる診断法がなかった。
一方、ウロコルチン(Ucn)は、コルチコトロピン放出因子(CRF)ファミリーに属する神経ペプチドであり、副腎皮質ホルモンの分泌制御に関与していることが知られている。しかし、ウシにおけるUcnの存在およびその遺伝子については全く知られていない。また、動物種を問わず、Ucnの発現変動が感染症において定量的に観察されたという報告はない。さらに、Ucnの発現変動を感染症診断に応用するという報告もされていない。
特開2004−65244号公報 特開2005−95101号公報 WO2005/029079号公報
我が国そして世界の畜産業界を大きく脅かしているヨーネ病の清浄化を図るため、有効な早期診断法に対するニーズは非常に高まっている。このような状況下において、本発明は、ヨーネ病感染動物を、特異抗体上昇以前の感染初期〜前期においても高感度にかつ迅速に診断することができるヨーネ病の診断法の提供を目的とする。
本発明者らは、新規ペプチドであるウシUcnをコードするcDNA(DDBJ Accession No. AB201710)の同定を行い、そして、このウシUcnのmRNAの定量的発現量の比較をリアルタイムRT-PCR法で実施するためのプライマーを作成した。
さらに、このプライマーをもって、リアルタイムRT-PCR法を正常ウシおよびヨーネ病感染ウシの細胞において実施したところ、ウシUcnがヨーネ病感染ウシに特徴的な発現動態を示すことが明らかとなった。そこで本発明者らは、これらの知見をもとに、Ucnの発現変動をヨーネ病の診断指標として利用可能であることを見出し、本発明を完成させるに至ったのである。
すなわち、〔請求項1〕記載の本発明は、被検動物(ヒトを除く)から採取した血液細胞を、ヨーネ菌抗原の存在下および非存在下でそれぞれ培養した後、各培養物におけるウロコルチン遺伝子の発現量を測定して、両者の測定値を比較し、;以下(A)および(B)の現象を利用してヨーネ菌感染の有無を判定することを特徴とする、ヨーネ病の診断方法である。
(A):ヨーネ菌感染動物の血液細胞をヨーネ菌抗原非存在下で培養すると、ウロコルチン遺伝子発現量が増加する。
(B):ヨーネ菌感染動物の血液細胞をヨーネ菌抗原存在下で培養すると、ウロコルチン遺伝子発現量が減少する。
〔請求項2〕記載の本発明は、前記被検動物がウシである、請求項1に記載の診断方法である。
〔請求項3〕記載の本発明は、前記ウロコルチン遺伝子の発現量の測定が、配列番号2に記載の塩基配列のプライマー, および, 配列番号3に記載の塩基配列のプライマー、からなる1対のプライマーを用いて、定量性のあるRNA検出法により行うものである、請求項1又は2に記載の診断方法である。
〔請求項4〕記載の本発明は、前記ヨーネ菌感染の有無の判定が、以下の式(1)によって求めたC値が0.3以上の場合はヨーネ菌に感染していると判定するものである、請求項1〜3のいずれかに記載の診断方法である。
Figure 0004831467
(式中のAは、前記血液細胞をヨーネ菌抗原非存在下で培養した培養物におけるウロコルチン遺伝子の発現量、;Bは前記血液細胞をヨーネ菌抗原存在下で培養した培養物におけるウロコルチン遺伝子の発現量、;を示す。)
〔請求項5〕記載の本発明は、前記定量性のあるRNA検出法が、リアルタイムRT-PCR法である請求項3又は4に記載の診断方法である。
本発明に係る診断法は、感染初期〜中期の不顕性感染時期にあるヨーネ病感染ウシに有効であり、高感度かつ迅速なウシヨーネ病の診断法を提供するものであり、ヨーネ病の診断摘発淘汰を行う際の有効な技術である。早期診断技術が従来のIFNγ/ELISA法にほぼ限られている現状において、本発明は、新たな鍵分子であるウシUcnをターゲットにした全く新しい診断法を提供することにより、結核やブルセラ病と同様に、ヨーネ病を清浄化するための一助となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
公開されたヒトゲノム・データベースの検索によって、ヒト、ラット、マウスのUcnとかなりの配列相同性を有するウシUcn遺伝子が同定された。ウシのマクロファージをリポ多糖(LPS)により刺激して得たmRNAをもとに、cDNAの全長配列が増幅され、上記により同定されたウシUcnの配列情報をもとに、当該遺伝子のcDNA配列(配列表の配列番号1参照)が決定された。このcDNA配列は遺伝子バンクに登録された(DDBJ Accession No. AB201710)。既知のヒト・マウス・ラットのUcnとの配列相同性比較を行ったところ、この新しい配列がウシに特異的な配列を含むことが分かり、ウシウロコルチンと命名された新しいウシの神経ペプチドをコードする遺伝子であることが明らかになった。
なお、上述のmRNAの取得、cDNAの増幅、塩基配列の決定などは、常法により行うことができる。
本発明は、ウシヨーネ病診断用プライマーであって、配列表の配列番号1記載の塩基配列またはその相補鎖から選択された領域を定量性のあるRNA検出法により増幅することができる1対のプライマーである。
このプライマーは、以下に説明するヨーネ病の診断法において、定量性のあるRNA検出法によりUcnのmRNAの発現量を測定するために用いられる。したがって、このプライマーは、定量性のあるRNA検出法により配列表の配列番号1記載の塩基配列またはその相補鎖から選択された領域を増幅できるものであれば特に限定されない。
本発明において、「定量性のあるRNA検出法」とは、試料中のRNA発現量を定量(測定)することができる方法を指す。たとえばリアルタイムRT-PCR法、RT-PCR法などの定量RT-PCR法や、RT-LAMP法、DNAマイクロアレイ法などが挙げられる。なお、上記定量RT-PCR法については、ワンステップ法だけでなく、まず逆転写酵素によりcDNAを作成した後、PCR法で増幅させる方法なども含まれる。中でもリアルタイムRT-PCR法は、市販のキットを用いて行なうことができ、再現性の高い検査が実施できるので好ましい。
前述のウシUcn遺伝子のcDNA配列は、GC含量が非常に高い。一般に、GC含量の高い領域を上記の手法により増幅することは困難とされる。その理由として、GC含量が高い場合、G-C間の水素結合力が非常に強く、熱変性時に二本鎖DNAが完全に解離しなかったり、完全に解離しても、その後に一本鎖DNAの分子内水素結合が起こることで、高次構造を形成したりし、その結果S/N比が非常に低かったり、シグナルがでなかったりすることがある。
本発明者らは、ウシUcn遺伝子のcDNA配列の一部を増幅するためのプライマーを得るために試行錯誤を重ねた結果、複数の実用可能なプライマー(配列表の配列番号2から12)を見出した。これらのプライマーについては、後記の実施例において、実際にウシヨーネ病の診断に適用可能であることが証明されている。
なお、これらのプライマーを遺伝子の増幅に用いる場合は、配列番号2、4〜8から選ばれた1のプライマーと、配列番号3、9〜12から選ばれた1のプライマーとを組み合わせて用いる。特に、配列番号2および3の組み合わせが好ましい。
次に、請求項に係る本発明は、ヨーネ病に感染した動物由来の細胞においてウロコルチン遺伝子の発現量が有意に増大する現象を利用したヨーネ病の診断方法であり、具体的には、被検動物から採取した血液細胞を、ヨーネ菌抗原の存在下および非存在下で培養後、培養物におけるウロコルチン遺伝子の発現量を測定し、該測定値を、正常牛から採取した血液細胞について同様に処理して測定して得た発現量の標準線と対比して判定することを特徴とするものである。
請求項に係る診断方法においては、まず、被検動物の血液細胞をヨーネ菌抗原の存在下および非存在下で培養する。
被検動物とは、ヨーネ菌に感染する可能性があり、本発明の診断法の対象となる動物を意味する。動物としては、我が国におけるヨーネ病汚染が拡大傾向にある牛の他、めん羊、山羊、水牛等の反芻動物が挙げられる。また、ヨーネ菌感染が報告されている野生の鹿や牛の仲間(偶蹄類)等の反芻動物以外の動物が挙げられる。更に、被検動物としてヒトを対象とすることにより、ヒトのクローン病(厚生労働省指定難病)におけるヨーネ菌抗原の関与をも明らかにすることができる。
本発明においては被検動物の血液細胞をサンプルとして供試する。被検動物の血液細胞としては、たとえば末梢血液細胞、末梢血単核細胞、末梢血単球等を挙げることができ、中でも末梢血液細胞が好ましい。この血液細胞は、被検動物から採取したものをそのまま全血として、あるいは適宜希釈して培養に供することができる。このとき、後述のようにUcnの発現量を測定した際に、被検動物が健康な動物の場合と感染動物の場合との間に統計的有意差が観察可能となる範囲の希釈濃度とすることが好ましい。なお、血液細胞を採取する際には、ヘパリン等により凝固防止処理を行うことが好ましい。
ヨーネ菌抗原としては、ヨーネ菌PPD(ヨーネ菌の培養上清:ヨーニンPPD)、ヨーネ菌生菌、ヨーネ菌加熱死菌可溶化抗原(ライセート)等を用いることができるが、中でも、反応性が的確であったことから、ライセートを用いることが好ましい。
ヨーネ菌PPDは、例えば、Manual of Standards for Diagnostic Protocols(Office International des Epizooties(OIE).2000.Manual of standards for diagnostic tests and vaccines.Paratuberculosis (Johne's disease).http://www.oie.int/eng/normes/mmanual/A 00043.htm.)に記載の方法に従って調製することができる。
即ち、ヨーネ菌(例えば、KAG-1)を、Middlebrook 7H9液体培地等で培養後、得られる菌液から菌体を除去して得られる培養液を、限外濾過により濃縮する。濃縮された液に対し、40w/v%トリクロール酢酸水溶液を加えて、十分混和した後、生じた沈殿を遠心により集め、洗浄する。洗浄後の沈殿をリン酸緩衝液に溶解して、透析によりトリクロール酢酸を除去後、濾過滅菌したものを、ヨーネ菌PPDとして用いる。
尚、すぐに使用しない場合は、-10〜-30℃にて冷凍保存する。
ヨーネ菌生菌及びヨーネ菌加熱死菌可溶化抗原は、Joram J.Buza1,Yasuyuki Mori,Abusaleh M.Bari,Hirokazu Hikono,Aodon-geril,Sachiyo Hirayama,Yujing Shu and Eiichi Momotani(2003).Mycobacterium avium subsp.paratuberculosis Infection Causes Suppression of RANTES,MCP-1 and TNF-α Expression in Peripheral Blood of Experimentally Infected Cattle.(Infection and Immunity in press)に記載の方法に従って調製することができる。
即ち、ヨーネ菌生菌は、ヨーネ菌(Mycobacterium avium subsp. paratuberculosis、ATCC 10698株)をMiddlebrook OACD Enrichmentとマイコバクチンを添加したMiddlebrook 7H9 broth(Difco Laboratories,USA)で37℃、15 日間培養した後、遠心により菌を集め、リン酸緩衝液にて洗浄後,0.01% Tween 80を添加したリン酸緩衝液に浮遊し、適当な濃度に調整して用いることができる。
一方、ヨーネ菌加熱死菌可溶化抗原は、上記ヨーネ菌生菌と同様にして調製した菌体を65℃、30分間加熱殺菌し、微細なビーズ(直径0.5mmのジルコニウムとシリカの混合物)とともに密閉チューブに入れ、Mini-Bead beater (Biospec社)を用い、高速振動(毎分5000回)することにより破砕(ビーズビーダー法)し、これを4℃、14,000(×g)にて遠心して、上清を採取し、0.45μmのフィルターを通して滅菌したものを用いることができる。
尚、すぐに使用しない場合は、-20℃以下で保存する。
ヨーネ菌抗原の添加量は、後述のようにUcnの発現量を定量した際に、被検動物が健康な場合と感染動物の場合との間に統計的有意差が観察可能となる範囲で添加することが望ましい。好ましい添加量は、例えば、ヨーネ菌抗原としてライセートを用いる場合は10μg/ml、ヨーネ菌PPDの場合は0.5μg/ml、ヨーネ菌生菌の場合は60×10CFU/mlである。
なお、対照として上記血液細胞をヨーネ菌抗原を添加せずに同様に培養を行う。
培養条件は、被検動物の血液細胞にヨーネ菌抗原を添加して培養するのであれば、特に限定されず、被検動物や培養する細胞、用いる刺激剤の種類などに応じて適宜設定すればよい。たとえば、ウシの全血を用いる場合は、37℃、5%炭酸ガス(CO)、湿潤条件などの条件下で培養することができる。
培養は培地を使用せずに行うことができるが、培地を使用する場合は、ペニシリン、ストレプトマイシンおよび10%FCSを添加したRPMI1640培地、ダルベッコMEM培地(Dulbecco's Modified Eagle's Medium)、ハムF12培地(Ham's Nutrient Mixture F12)、イーグルMEM培地Minimum Essential Medium(EMEM)等の動物細胞用基本培地の中から適宜選択して使用することができるが、中でも、ペニシリン、ストレプトマイシンおよび10%FCSを添加したRPMI1640培地が好ましい。
培養時間は、被検動物や培養する細胞、用いる刺激剤の種類等に応じて、後述のようにUcnの発現量を測定した際に、被検動物が健康な動物の場合と感染動物の場合との間に統計的有意差が観察可能となる範囲で適宜設定することができる。例えば、37℃、5%炭酸ガス(CO)で培養する場合、通常は1〜24時間である。
尚、培養後は、必要に応じて細胞を遠心分離して、得られる上清(タンパク質)を、Ucnのタンパク質発現量の定量に供することもできる。
請求項4に係る本発明の診断法においては、続いて、培養物中のUcn遺伝子の発現量を測定する。
Ucn遺伝子の発現量の測定は、mRNA量や蛋白質量を常法で測定することにより行うことができ、具体的には、リアルタイムRT-PCR法、RT-PCR法といった定量RT-PCR法や、RT-LAMP法、DNAマイクロアレイ法、ELISA法等を用いることができる。中でも、細胞からのmRNA抽出やリアルタイムRT-PCR法は、上記プライマー以外は市販のキットを用いて行うことが可能であるため、再現性の高い検査が実施できるという点で、リアルタイムRT-PCR法が好ましい。
得られた測定値を、正常牛から採取した血液細胞について上記と同様に処理して測定して得た発現量の標準線と対比して判定することができる。
本発明の診断法において、被検動物がウシの場合のリアルタイムRT-PCR法を用いた検査手順の一例を挙げると、以下の通りである。
まず、ウシの末梢血液を頚静脈から採取し、48wellの組織培養プレートに1mlずつ分注する。次に、血液をヨーネ菌ライセート(10μl)の存在下ないし非存在下で、37℃、5%CO下で24時間培養する。培養後、血液細胞からトリゾール法(Gibco, BRL, Life Technologies)などの方法によりtotal RNAを分離する。
続いて、得られたTotal RNA、配列表の配列番号2および3記載のプライマー対、および、サイバーグリーンリアルタイムRT-PCRキットにより、UcnのmRNAの発現量を定量する。内部標準にはGAPDHのプライマーを用いてmRNAの測定を行う。標準線作成のための対照には、ウシ末梢血単球を6時間LPS刺激して得たtotal RNAを用いた。
本発明の診断法においては、このようにして測定したUcn遺伝子の発現量を、ヨーネ菌抗原を添加して培養した場合と無添加の場合とで比較することによって、ヨーネ病感染の有無を判定する。すなわち、ヨーネ病感染動物では、抗原無添加条件で培養するとUcn遺伝子の発現量が上昇するが、抗原添加により当該発現量が有意に低下する。一方、非感染動物にあっては、ヨーネ菌抗原の添加の有無にかかわらず、Ucn遺伝子発現量の有意な変動が認められない。
たとえば、UcnのmRNA発現量の測定結果を用いたヨーネ病感染の有無の判定は、下記の数1により行うことができる。
(数1)
(A−B)/A=C
式中、Aはヨーネ菌抗原無添加培養した場合の測定値(Control)、Bはヨーネ菌抗原添加培養した場合の測定値を示す。
この式により求めたC値が0.3以上あれば、被検動物がヨーネ病に感染していることが分かる。一方、Cが0.3未満の値であれば、被検動物がヨーネ病に感染していないことが分かる。
以下に実施例等を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
(実施例1)ウシウロコルチン(Ucn)cDNAのクローニングおよびプライマーの設計
(1)ウシ抹消血球単核細胞(PBMC)の単離と培養
頸部血液サンプルからのウシ抹消血球単核細胞の単離は、Ficoll-Paque PLUS(スウェーデン、ウプサラのアマーシャムバイオサイエンス社製)を用いた密度勾配遠心分離により、該キット添付の指示に従って行った。得られた細胞は10%ウシ胎児血清を含むRPMI 1640培地(米国、ミズーリ州セントルイス、シグマ社製)に再懸濁し、3×10cell/100mm直径組織培養プレート(マサチューセッツ州ケンブリッジ、コスター社製)となるようにして1時間培養した。次いで、該細胞を10μg/mlの大腸菌由来リポポリサッカライド(LPS、シグマ製)で刺激し、6時間培養した。
(2)Total RNAの分離
上記によりLPS刺激を行ったPBMCから、トリゾール試薬(メリーランド州ロックヴィル、ライフテクノロジーズ社製)を添付のプロトコルに従って用いて、Total RNAを単離した。
(3)ウシウロコルチン(Ucn)cDNAのクローニング
ウシウロコルチン(Ucn)mRNAの塩基配列を決定するため、cDNAのクローニングを、5’-及び3’-rabid amplification of cDNA ends (RACE)と関連した逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)法により、SMART(登録商標)RACE cDNA増幅キット(米国、BDバイオサイエンシスクローンテック社製)を用いて、添付のプロトコルに従って行った。次いで、上記のtotal RNAにPowerScript(登録商標)逆転写酵素を用いてfirst-strand cDNAを合成した。
すなわち、5’-RACEのためのfirst-strand cDNA合成は、オリゴ(dT)プライマー(5’-cDNA合成(5'-CDS)プライマー)とアダプターオリゴヌクレオチド(SAMRT IIオリゴ)を用いて行った。3’-RACEについては、その5’-末端にアダプター部分を有する3’-cDNA合成(3'-CDS)プライマーを用いた。First-strand cDNAの増幅のために、外部遺伝子特異的プライマー(GSP)及び内部nested遺伝子特異的プライマー(NGSP)を設計した。その際、ヒト(NM-003353)、マウス(NM-021290)並びにラット(NM-019150)のUcnの保存された塩基配列に基づいて、5’-と3’-RACE PCR断片の間に重複領域ができるように設計した。
5’-RACE PCRは、5’-GSP(配列表の配列番号13)又は5’-NGSP(配列番号14)と、UPMないしNUP(5’-CDSのアダプターオリゴヌクレオチド配列用プライマー、米国、BDバイオサイエンスクローンテック社製)により、Advantage 2 Polymerase(米国、BDバイオサイエンスクローンテック社製)を用い、以下の条件で行った:94℃で1分間を1サイクル、94℃で30秒間、55℃で30秒間、72℃で1分間、72℃で最終伸展を5分間、を30サイクル。3’-RACE PCRについては、3’-GSP(配列番号15)又は3’-NGSP(配列番号16)と、UPMないしNUP(3’-CDSのアダプター部分用プライマー)を用い、以下の条件で行った:94℃で1分間を1サイクル、94℃で1分間、60℃で1分間、72℃で2分間、同じく72℃で最終伸展を5分間、を35サイクル。
上記により得られたRACE-PCR産物のアガロースゲル電気泳動後、所定サイズの断片をMicrocon(登録商標)Centrifugal Filter(米国マサチューセッツ州、ミリポアコーポレーション社製)を用いて精製し、pCR(登録商標)2.1 VectorにTOPO TA Cloning(登録商標)Kit(米国、インヴィトロゲン社製)を用いてサブクローニングした。
(4)DNA配列の決定及び分析
2本鎖DNA配列の決定は、DNAシークエンスアナライザー(ABI PRISM-3100、米国、アプライドバイオシステムズ社製)に関連してABI PRISM BigDye(登録商標)ターミネーターサイクルシークエンシングキット(米国、アプライドバイオシステムズ社製)を用いて、北海道システムサイエンス株式会社により行われた。RACEによって起こり得る配列決定の間違いを避けるため、DNA配列の決定は5’-、3’-RACEそれぞれの4つのPCR反応による8つの独立したクローンについて行った。これらの配列の重複領域を結合することによりcDNA配列を得た(配列表の配列番号1)。DNA及び推定タンパク配列の分析と比較は、GENETYX-WINソフトウェアVer.7(日本国、ソフトウェアデベロップメント株式会社製)を用いて行った。
このcDNA配列は遺伝子バンクに登録された(DDBJ Accession No. AB201710)。このcDNA配列から推定されたアミノ酸配列について、既知のヒト・マウス・ラットのUcnとの配列相同性比較を行ったところ、この新しい配列が、ウシに特異的な配列を含むことが分かり、ウシウロコルチンと命名された新しいウシの神経ペプチドをコードする遺伝子であることが明らかになった。
ウシウロコルチン(bUcn)およびヒト(hUcn)、マウス(mUcn)、ラット(rUcn)のアミノ酸配列の比較結果を図1に示す。図中の枠内は、Ucnとしての活性を示す成熟ペプチド(Mature peptide)を示す。この部分の相同性は特に高くなっている。
(5)ヨーネ病診断用プライマーの設計
後述のリアルタイムRT-PCRで用いるプライマーは、ウシゲノム情報に基づいてPrimer Express version1.5ソフトウェア(カリフォルニア州フォスターシティ、アプライドバイオシステムズ社製)を用いて設計された(配列表の配列番号2〜12)。なお、これらのプライマーを用いてリアルタイムRT-PCR法をウシ末梢血細胞に対して実施したところ、ウシUcnのmRNAが特異的に増幅されることが確認できた。
(実施例2)リアルタイム逆転写−PCR(RT-PCR)
(1)ヨーネ病感染ウシと非感染健康対照ウシについて
被検動物のヨーネ病感染ウシとしては、生後1週目に20.7×10CFUのヨーネ菌(M.avium subsp. paratuberculosis)を経口投与され、その後去勢された雄のホルスタイン(採血時には25ヶ月齢)を5頭用いた。この被検動物は、前述のIFN-γ/ELISA法による診断ではヨーネ菌感染に陽性であったが、現在の公定法である前述の抗体検出法や、PCR法及び細菌分離法による排泄物中への排菌の検出結果では陰性であった。
一方、非感染健康対照ウシとしては、ヨーネ病感染ウシと年齢の一致する去勢された雄のホルスタイン5頭を用いた。
(2)ヨーネ菌抗原(ライセート)の調製
ヨーネ菌ライセートを以下のようにして調製した。
すなわち、ヨーネ菌(Mycobacterium avium subsp. paratuberculosis、ATCC 10698株)をMiddlebrook OACD Enrichmentとマイコバクチンを添加したMiddlebrook 7H9 broth(Difco Laboratories,USA)で37℃、15 日間培養した後、遠心により菌を集め、リン酸緩衝液にて洗浄後、0.01% Tween 80を添加したリン酸緩衝液に浮遊し、適当な濃度に調整した。このようにして調製した菌体を65℃、30分間加熱殺菌し、微細なビーズ(直径0.5mmのジルコニウムとシリカの混合物)とともに密閉チューブに入れ、Mini-Bead beater (Biospec社)を用い、高速振動(毎分5000回)することにより破砕(ビーズビーダー法)し、これを4℃、14,000(×g)にて遠心して、上清を採取し、0.45μmのフィルターを通して滅菌してヨーネ菌ライセートを得た。
(3)末梢血液の培養
次に、ヨーネ病感染ウシおよび非感染健康対照ウシの末梢血液を頚静脈から、ヘパリン加真空採血管(Venoject II、テルモ製)により採取した。この末梢血液を24-well組織培養プレート(スミロン社製)に1mlずつ分注し、以下の異なる刺激剤を添加して刺激した。
すなわち、非特異的な刺激物であるCon-A(Nacarai tesque, Kyoto, Japan)、大腸菌由来LPS(シグマ社製)、又は(2)で調製したヨーネ菌ライセートをそれぞれ10μg/mlとなるように各wellに添加して、湿潤条件下、37℃、5%COで24時間培養した。
なお、対照として、上記刺激剤の代わりに等量のPRMI1640培地を添加して同様に培養した。
0,1,3,6,12及び24時間の各培養時間経過後、血液細胞からトリゾール試薬(Gibco, BRL, Life Technologies)によりtotal RNAを分離した。
(4)ウロコルチンmRNAの発現量の定量
続いて、上記の各刺激剤による刺激条件下での経時的に得られたTotal RNA、実施例1で得られたプライマー、および、SYBR Green リアルタイムRT-PCRキット(東京、Qiagen社製)を用いたリアルタイムRT-PCRにより、UcnのmRNAの発現量を測定した。
なお、同じTotal RNAに対して内部標準としてGAPDHのプライマー(配列表の配列番号17、18)を用いてRNAの定量を行った。
SYBR Green リアルタイムRT-PCRキットに含まれる25-μlワンステップRT-PCR mixtureは、マスターミックス12.5μl、フォワード及びリバースプライマー各1.25μlずつ、RT mix 0.25μl、RNase-free水8.75μl、及び鋳型RNA1μl(50〜200ng含有)から構成される。リアルタイムサイクラーの条件は、50℃で30分間、95℃で15分間の後、94℃で15秒間、60℃で30秒間、72℃で30秒間を40サイクルである。
ウロコルチンmRNAの相対的発現量は、10倍ずつ段階希釈した参照mRNAサンプル(6時間LPS刺激抹消血単核細胞)におけるUcnとGAPDHのmRNA発現量から作成した標準曲線(http://www.ambion.com./techlib/tn/85/857.html)を基に標準化された。データは繰り返し測定し、分散分析を行った。P値<0.05は有意と思われる。
(5)結果
図2−4において、ヨーネ病感染ウシ(a)および非感染健康ウシ(b)におけるUcnのmRNA発現量(平均値)の変化を経時的に示す。図中、横軸は、ヨーネ菌抗原(ライセート)の共存下(−○−)あるいは非共存下(−●−)での培養時間(h)を示し、縦軸は、同サンプル中の変動しない内部標準であるGADPH mRNA発現量と比較したUcn mRNAの発現量を示す。なお、星印は、抗原添加時の測定値と無添加時の測定値の間で有意差(p<0.05)があることを示す。
図2の(a)、(b)を比較すると、ヨーネ病感染ウシと非感染ウシとの間のUcn mRNA発現量の差は、いずれの培養条件(ヨーネ菌抗原の添加/無添加)においても歴然としており、統計学的に有意であった(p<0.05)。
また、図2(a)から分かるように、感染ウシでは、無刺激培養(抗原無添加)ではUcn発現量が高まり、逆に抗原刺激培養下ではUcn発現量が低下傾向にあった。この発現量の差は、どの培養時間においても有意なものであった。
一方、図2(b)から分かるように、非感染健康ウシ(対照)では、無刺激培養時でもUcnの発現量の顕著な上昇は見られなかったが、抗原添加培養時では、無刺激培養時に比して若干上昇するものの、統計学的有意差は観察されなかった。
一方、図3の(a)、(b)を比較すると、LPS刺激を行ったヨーネ病感染ウシと非感染ウシとの間のUcn mRNA発現量に明確な差は見られなかった。また、図3(a)から分かるように、感染ウシでは、無刺激培養(LPS無添加)ではUcn発現量の上昇が見られたが、LPS刺激培養下でもUcn発現量が上昇し、両試験区の間の差は明確にならなかった。
また、図4においても図3と同様の傾向が見られた。
さらに、ヨーネ菌ライセート(表1)、LPS(表2)およびCon-A(表3)により刺激した場合の測定値を下記の数2にあてはめて求めた値(C値)を、以下に示す。
(数2)
(A−B)/A=C
式中、Aはヨーネ菌抗原無添加培養した場合の測定値、Bはヨーネ菌抗原添加培養した場合の測定値を示す。
Figure 0004831467
Figure 0004831467
Figure 0004831467
表1では、感染ウシでは全ての培養時間においてC値が0.3以上であるのに対して、非感染ウシでは全てC値が0.3未満であった。したがって、本発明の診断法によれば、感染ウシと非感染ウシとの間のUcn発現量の違いが明確に現れ、Ucn発現量の比較によりヨーネ病感染の有無が判定可能であることが明らかになった。
これに対して表2では、ヨーネ菌ライセートに代えて、大腸菌由来のLPSで刺激した場合には、感染ウシのC値が0.3以上にはならなかった。このように、LPSによる刺激では、感染ウシと非感染ウシとの間のUcn発現量の違いが明確に現れず、ヨーネ病感染の有無の判定には不適であることが分かった。
また、表3では、ヨーネ菌ライセートに代えて、非特異的な刺激物であるCon-Aで刺激をした場合、感染ウシのC値は0.3付近であったが、非感染ウシのC値も上昇が著しく、ヨーネ菌ライセートで刺激した場合とは全く異なった結果が得られた。このように、Con-Aによる刺激では、感染ウシと非感染ウシとの間のUcn発現量の違いが見られず、ヨーネ病感染の有無の判定には不適であることが分かった。
なお、配列表の配列番号2,3記載のプライマーの代わりに配列番号4〜12記載のプライマーを用いた場合でも、上記と同様の方法で測定可能であった。
本発明に係る診断法は、感染初期〜中期のヨーネ病感染ウシに有効であり、高感度かつ迅速なウシヨーネ病の診断法を提供するものである。本発明は、新たな鍵分子であるウシUcnをターゲットにした全く新しい診断法であり、ヨーネ病の清浄化に寄与するものである。
また、ウロコルチンは、ストレス制御に関与する重要な分子であるばかりか、免疫制御においても重要な役割を持っていることが分かりつつある。それゆえ、本発明に係るプライマーは、ヨーネ病の診断だけでなく、創薬のターゲット遺伝子を検出あるいは単離する手段などとして、家畜衛生、獣医領域において広く応用可能であると思われる。
ウシウロコルチン(bUcn)のcDNA配列から推定されたアミノ酸配列について、ヒト(hUcn)およびマウス(mUcn)、ラット(rUcn)のUcnアミノ酸配列との配列相同性比較を行った結果を示す。図中の枠内は、Ucnとしての活性を示す成熟ペプチドを示す。 ヨーネ菌抗原(ライセート)の共存下(−○−)あるいは非共存下(−●−)でのヨーネ病感染ウシ(a)、および非感染健康ウシ(b)におけるUcnのmRNA発現量の変化を経時的に示す。図中、横軸は、培養時間(h)を示し、縦軸は、GADPH mRNA発現量と比較したUcn mRNAの発現量を示す。なお、星印は、抗原添加時の測定値と無添加時の測定値の間で有意差(p<0.05)があることを示す。 LPSの共存下(−○−)あるいは非共存下(−●−)でのヨーネ病感染ウシ(a)、および非感染健康ウシ(b)におけるUcnのmRNA発現量の変化を経時的に示す。図中、横軸は、培養時間(h)を示し、縦軸は、GADPH mRNA発現量と比較したUcn mRNAの発現量を示す。なお、星印は、抗原添加時の測定値と無添加時の測定値の間で有意差(p<0.05)があることを示す。 コンカナバリンA (Con A)の共存下(−○−)あるいは非共存下(−●−)でのヨーネ病感染ウシ(a)、および非感染健康ウシ(b)におけるUcnのmRNA発現量の変化を経時的に示す。図中、横軸は、培養時間(h)を示し、縦軸は、GADPH mRNA発現量と比較したUcn mRNAの発現量を示す。なお、星印は、抗原添加時の測定値と無添加時の測定値の間で有意差(p<0.05)があることを示す。

Claims (5)

  1. 被検動物(ヒトを除く)から採取した血液細胞を、ヨーネ菌抗原の存在下および非存在下でそれぞれ培養した後、各培養物におけるウロコルチン遺伝子の発現量を測定して、両者の測定値を比較し、;以下(A)および(B)の現象を利用してヨーネ菌感染の有無を判定することを特徴とする、ヨーネ病の診断方法。
    (A):ヨーネ菌感染動物の血液細胞をヨーネ菌抗原非存在下で培養すると、ウロコルチン遺伝子発現量が増加する。
    (B):ヨーネ菌感染動物の血液細胞をヨーネ菌抗原存在下で培養すると、ウロコルチン遺伝子発現量が減少する。
  2. 前記被検動物がウシである、請求項1に記載の診断方法。
  3. 前記ウロコルチン遺伝子の発現量の測定が、配列番号2に記載の塩基配列のプライマー, および, 配列番号3に記載の塩基配列のプライマー、からなる1対のプライマーを用いて、定量性のあるRNA検出法により行うものである、請求項1又は2に記載の診断方法。
  4. 前記ヨーネ菌感染の有無の判定が、以下の式(1)によって求めたC値が0.3以上の場合はヨーネ菌に感染していると判定するものである、請求項1〜3のいずれかに記載の診断方法。
    Figure 0004831467
    (式中のAは、前記血液細胞をヨーネ菌抗原非存在下で培養した培養物におけるウロコルチン遺伝子の発現量、;Bは前記血液細胞をヨーネ菌抗原存在下で培養した培養物におけるウロコルチン遺伝子の発現量、;を示す。)
  5. 前記定量性のあるRNA検出法が、リアルタイムRT-PCR法である請求項3又は4に記載の診断方法。
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