以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施の形態の参考例として、一般的な画像伝送システムの構成を示す図である。以下、「画像(picture)」は、静止画像及び動画像の両方を意味し、主に動画像の1つ1つのフレームの意味する。「映像(video)」は動画像を意味する。しかし、本発明の各実施の形態を説明する上で、両者に明確な違いはなく、実質的に同じ意味である。
図1では、ユーザ宅の図中、左側に設けられたリビングにデジタルテレビジョン放送を受信する受信機(以下、デジタルTVという。)11、AVアンプリファイア12、及び再生装置151が設置されており、デジタルTV11及びAVアンプリファイア12、並びにAVアンプリファイア12及び再生装置151がHDMIケーブル13及びHDMIケーブル15により接続されている。
また、リビングには、ハブ16が設置されており、デジタルTV11及び再生装置151は、LAN(Local Area Network)ケーブル17及びLANケーブル18によりハブ16に接続されている。さらに、図中、リビングの右側に設けられた寝室には、デジタルTV19が設置されており、デジタルTV19は、LANケーブル20を介してハブ16に接続されている。
たとえば、再生装置151に記録されているコンテンツが再生されて、デジタルTV11に画像が表示される場合、再生装置151は、コンテンツを再生させるための画素データ及び音声データをデコードし、その結果得られた非圧縮の画素データ及び音声データをHDMIケーブル15、AVアンプリファイア12、及びHDMIケーブル13を介してデジタルTV11に供給する。そして、デジタルTV11は、再生装置151から供給された画素データ及び音声データに基づいて、画像を表示させたり、音声を出力したりする。
また、再生装置151に記録されているコンテンツが再生されて、デジタルTV11及びデジタルTV19に同時に画像が表示される場合、再生装置151は、圧縮された、コンテンツを再生させるための画素データ及び音声データをLANケーブル18、ハブ16、及びLANケーブル17を介してデジタルTV11に供給するとともに、LANケーブル18、ハブ16、及びLANケーブル20を介してデジタルTV19に供給する。
そして、デジタルTV11及びデジタルTV19は、再生装置151から供給された画素データ及び音声データをデコードし、その結果得られた非圧縮の画素データ及び音声データに基づいて画像を表示させたり、音声を出力したりする。
さらに、デジタルTV11が、テレビジョン放送されている番組を再生するための画素データ及び音声データを受信した場合、受信された音声データがたとえば5.1チャンネルサラウンドの音声データなどであり、デジタルTV11が受信した音声データをデコードすることができないときには、デジタルTV11は、音声データを光信号に変換してAVアンプリファイア12に送信する。
AVアンプリファイア12は、デジタルTV11から送信されてきた光信号を受信して光電変換し、これにより得られた音声データをデコードする。そして、AVアンプリファイア12は、デコードされた非圧縮の音声データを必要に応じて増幅し、AVアンプリファイア12に接続されたサラウンドスピーカにて音声を再生する。これにより、デジタルTV11は、受信した画素データをデコードし、デコードされた画素データで画像を表示させ、AVアンプリファイア12に供給した音声データに基づいて、AVアンプリファイア12で音声を出力することで5.1チャンネルサラウンド番組を再生する。
図2は、本発明を適用した一実施の形態の画像伝送システムの構成を示す図である。
画像伝送システムは、デジタルTV31、増幅器32、再生装置33、及びデジタルTV34により構成され、デジタルTV31及び増幅器32、並びに増幅器32及び再生装置33は、HDMI(R)に準拠した通信ケーブルであるHDMI(R)ケーブル35及びHDMI(R)ケーブル36により接続されている。また、デジタルTV31及びデジタルTV34は、Ethernet(登録商標)などのLAN用のLANケーブル37により接続されている。
図2の例では、デジタルTV31、増幅器32、及び再生装置33が、ユーザ宅の図中、左側に設けられたリビングに設置されており、デジタルTV34が、リビングの右側に設けられた寝室に設置されている。
再生装置33は、たとえばDVDプレーヤ、ハードディスクレコーダなどからなり、コンテンツを再生するための画素データ及び音声データをデコードし、その結果得られた非圧縮の画素データ及び音声データを、HDMI(R)ケーブル36を介して増幅器32に供給する。
増幅器32は、たとえばAVアンプリファイアなどからなり、再生装置33から画素データ及び音声データの供給を受け、供給された音声データを必要に応じて増幅する。また、増幅器32は、再生装置33から供給され、必要に応じて増幅された音声データ、及び画素データを、HDMI(R)ケーブル35を介してデジタルTV31に供給する。デジタルTV31は、増幅器32から供給された画素データ及び音声データに基づいて画像を表示したり、音声を出力したりして、コンテンツを再生する。
また、デジタルTV31及び増幅器32は、HDMI(R)ケーブル35を利用して、たとえばIP通信などの双方向の通信を高速に行うことができ、増幅器32及び再生装置33もHDMI(R)ケーブル36を利用して、たとえばIP通信などの双方向の通信を高速に行うことができる。
すなわち、たとえば再生装置33は、増幅器32とIP通信を行うことで、IPに準拠したデータとして、圧縮された画素データ及び音声データを、HDMI(R)ケーブル36を介して増幅器32に送信することができ、増幅器32は、再生装置33から送信されてきた、圧縮された画素データ及び音声データを受信することができる。
また、増幅器32は、デジタルTV31とIP通信を行うことで、IPに準拠したデータとして、圧縮された画素データ及び音声データを、HDMI(R)ケーブル35を介してデジタルTV31に送信することができ、デジタルTV31は、増幅器32から送信されてきた、圧縮された画素データ及び音声データを受信することができる。
したがって、デジタルTV31は、受信した画素データ及び音声データを、LANケーブル37を介してデジタルTV34に送信することができる。また、デジタルTV31は、受信した画素データ及び音声データをデコードし、これにより得られた非圧縮の画素データ及び音声データに基づいて、画像を表示したり、音声を出力したりしてコンテンツを再生する。
デジタルTV34は、LANケーブル37を介してデジタルTV31から送信されてきた画素データ及び音声データを受信してデコードし、デコードにより得られた非圧縮の画素データ及び音声データに基づいて、画像を表示したり、音声を出力したりしてコンテンツを再生する。これにより、デジタルTV31及びデジタルTV34において、同一あるいは異なるコンテンツを同時に再生することができる。
さらに、デジタルTV31が、テレビジョン放送されているコンテンツとしての番組を再生するための画素データ及び音声データを受信した場合、受信された音声データがたとえば5.1チャンネルサラウンドの音声データなどであり、デジタルTV31が受信した音声データをデコードすることができないときには、デジタルTV31は、増幅器32とIP通信することで、受信した音声データをHDMI(R)ケーブル35を介して増幅器32に送信する。
増幅器32は、デジタルTV31から送信されてきた音声データを受信してデコードするとともに、必要に応じてデコードされた音声データを増幅する。そして、増幅器32に接続されたスピーカ(図示せず)により5.1チャンネルサラウンド音声を再生する。
デジタルTV31は、HDMI(R)ケーブル35を介して増幅器32に音声データを送信するとともに、受信した画素データをデコードし、デコードにより得られた画素データに基づいて画像を表示させて番組を再生する。
このように、図2の画像伝送システムにおいては、HDMI(R)ケーブル35やHDMI(R)ケーブル36により接続されているデジタルTV31、増幅器32、再生装置33などの電子機器は、HDMI(R)ケーブルを用いて高速にIP通信することができるため、図1のLANケーブル17に対応するLANケーブルは必要とされない。
また、デジタルTV31とデジタルTV34とをLANケーブル37で接続することで、デジタルTV31がHDMI(R)ケーブル36、増幅器32、及びHDMI(R)ケーブル35を介して再生装置33から受信したデータを、さらにLANケーブル37を介してデジタルTV34に送信することができるので、図1のLANケーブル18及びハブ16に対応するLANケーブルや電子機器も必要ない。
図1に示したように、従来の画像伝送システムにおいては、送受信するデータや通信方式によって、それぞれ異なる種類のケーブルが必要であり、電子機器同士を接続するケーブルの配線が煩雑であった。これに対して、図2に示した画像伝送システムにおいては、HDMI(R)ケーブルにより接続された電子機器間では、高速にIP通信などの双方向の通信を行うことができるので、電子機器の接続を簡素化することができる。つまり、従来は複雑であった電子機器同士を接続するケーブルの配線を、より簡単にすることができる。
次に、図3は、HDMI(R)ケーブルにより互いに接続された電子機器のそれぞれに内蔵されたHDMI(R)ソース及びHDMI(R)シンク、たとえば図2の増幅器32内に設けられたHDMI(R)ソース、及び、デジタルTV31内に設けられたHDMI(R)シンクの構成例を示している。
HDMI(R)ソース71とHDMI(R)シンク72とは、1本のHDMI(R)ケーブル35で接続されており、HDMI(R)ソース71及びHDMI(R)シンク72は、現行のHDMI(R)との互換性を保ちながら、HDMI(R)ケーブル35を利用して、高速で双方向のIP通信を行うことができる。
HDMI(R)ソース71は、1の垂直同期信号から次の垂直同期信号までの区間から、水平帰線区間(水平ブランキングエリア)及び垂直帰線区間(垂直ブランキングエリア)を除いた区間であるアクティブ映像エリアにおいて、非圧縮の1画面分の画像の画素データに対応する差動信号を、複数のチャンネルで、HDMI(R)シンク72に一方向に送信するとともに、水平帰線区間または垂直帰線区間において、少なくとも画像に付随する音声データや制御データ、その他の補助データ等に対応する差動信号を、複数のチャンネルで、HDMI(R)シンク72に一方向に送信する。
すなわち、HDMI(R)ソース71は、トランスミッタ81を有する。トランスミッタ81は、たとえば、非圧縮の画像の画素データを対応する差動信号に変換し、複数のチャンネルである3つのTMDSチャンネル#0,#1,#2で、HDMI(R)ケーブル35を介して接続されているHDMI(R)シンク72に、一方向にシリアル伝送する。
トランスミッタ81内に設けられた、これらのTMDSチャンネル#0,#1及び#2は、第1の送信チャンネルとして機能する。また、レシーバ82内に設けられた、これらのTMDSチャンネル#0,#1及び#2は、第1の受信チャンネルとして機能する。
また、トランスミッタ81は、非圧縮の画像に付随する音声データ、さらには、必要な制御データ、その他の補助データ等を、対応する差動信号に変換し、3つのTMDSチャンネル#0,#1,#2でHDMI(R)ケーブル35を介して接続されているHDMI(R)シンク72に、一方向にシリアル伝送する。
さらに、トランスミッタ81は、3つのTMDSチャンネル#0,#1,#2で送信する画素データに同期したピクセルクロックを、TMDSクロックチャンネルで、HDMI(R)ケーブル35を介して接続されているHDMI(R)シンク72に送信する。ここで、1つのTMDSチャンネル#i(i=0,1,2)では、ピクセルクロックの1クロックの間に、10ビットの画素データが送信される。
HDMI(R)シンク72は、アクティブビエリア区間において、複数のチャンネルで、HDMI(R)ソース71から一方向に送信されてくる、画素データに対応する差動信号を受信するとともに、水平帰線区間または垂直帰線区間において、複数のチャンネルで、HDMI(R)ソース71から一方向に送信されてくる、音声データや制御データに対応する差動信号を受信する。
すなわち、HDMI(R)シンク72は、レシーバ82を有する。レシーバ82は、TMDSチャンネル#0,#1,#2で、HDMI(R)ケーブル35を介して接続されているHDMI(R)ソース71から一方向に送信されてくる、画素データに対応する差動信号と、音声データや制御データに対応する差動信号を、同じくHDMI(R)ソース71からTMDSクロックチャンネルで送信されてくるピクセルクロックに同期して受信する。
HDMI(R)ソース71とHDMI(R)シンク72とからなるHDMI(R)システムの伝送チャンネルには、HDMI(R)ソース71からHDMI(R)シンク72に対して、画素データ及び音声データを、ピクセルクロックに同期して、一方向にシリアル伝送するための伝送チャンネルとしての3つのTMDSチャンネル#0乃至#2と、ピクセルクロックを伝送する伝送チャンネルとしてのTMDSクロックチャンネルとの他に、DDC(Display Data Channel)83やCECライン84と呼ばれる伝送チャンネルがある。
DDC83は、HDMI(R)ケーブル35に含まれる図示せぬ2本の信号線からなり、HDMI(R)ソース71が、HDMI(R)ケーブル35を介して接続されたHDMI(R)シンク72から、E-EDID(Enhanced Extended Display Identification Data)を読み出すのに使用される。
すなわち、HDMI(R)シンク72は、レシーバ82の他に自身の設定や性能に関する情報であるE-EDIDを記憶しているEDIDROM(EDID ROM(Read Only Memory))85を有している。HDMI(R)ソース71は、HDMI(R)ケーブル35を介して接続されているHDMI(R)シンク72から、そのHDMI(R)シンク72のEDIDROM85が記憶しているE-EDIDをDDC83を介して読み出し、そのE-EDIDに基づき、HDMI(R)シンク72の設定や性能、すなわち、たとえばHDMI(R)シンク72(を有する電子機器)が対応している画像のフォーマット(プロファイル)、たとえばRGB(Red,Green,Blue)や、YCbCr4:4:4,YCbCr4:2:2などを認識する。
なお、図示していないが、HDMI(R)ソース71もHDMI(R)シンク72と同様に、E-EDIDを記憶し、必要に応じてそのE-EDIDをHDMI(R)シンク72に送信することができる。
CECライン84は、HDMI(R)ケーブル35に含まれる図示せぬ1本の信号線からなり、HDMI(R)ソース71とHDMI(R)シンク72との間で、制御用のデータの双方向通信を行うのに用いられる。
また、HDMI(R)ソース71及びHDMI(R)シンク72は、DDC83またはCECライン84を介して、たとえば、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.3に準拠したフレームをHDMI(R)シンク72及びHDMI(R)ソース71に送信することにより、双方向のIP通信を行うことができる。
さらに、HDMI(R)ケーブル35には、Hot Plug Detectと呼ばれるピンに接続される信号線86が含まれており、HDMI(R)ソース71及びHDMI(R)シンク72は、この信号線86を利用して、新たな電子機器、つまりHDMI(R)シンク72またはHDMI(R)ソース71の接続を検出することができる。
次に、図4及び図5は、HDMI(R)ケーブル35と接続される、HDMI(R)ソース71またはHDMI(R)シンク72に設けられた図示せぬコネクタのピン配列(pin assignment)を示している。
なお、図4及び図5においては、左欄(PINの欄)に、コネクタのピンを特定するピン番号を記載してあり、右欄(Signal Assignmentの欄)に、同一行の左欄に記載されているピン番号で特定されるピンに割り当てられている信号の名称を記載してある。
図4は、HDMI(R)のタイプA(Type-A)と呼ばれるコネクタのピン配列を示している。
TMDSチャンネル#iの差動信号TMDS Data#I+とTMDS Data#i-が伝送される差動信号線である2本の信号線は、TMDS Data#i+が割り当てられているピン(ピン番号が1,4,7のピン)と、TMDS Data#i-が割り当てられているピン(ピン番号が3,6,9のピン)に接続される。
また、制御用のデータであるCEC信号が伝送されるCECライン84は、ピン番号が13であるピンに接続され、ピン番号が14のピンは空きピンとなっている。双方向のIP通信を、この空きピンを利用して行うことができれば、現行のHDMI(R)との互換性を保つことができる。そこで、CECライン84及びピン番号が14のピンに接続される信号線を用いて差動信号を伝送することができるように、ピン番号が14のピンに接続される信号線と、CECライン84とは、差動ツイストペア結線されてシールドされ、ピン番号が17番のピンに接続されるCECライン84及びDDC83のグランド線に接地されている。
さらに、E-EDIDなどのSDA(Serial Data)信号が伝送される信号線は、ピン番号が16であるピンに接続される。SDA信号の送受信時の同期に用いられるクロック信号であるSCL(Serial Clock)信号が伝送される信号線は、ピン番号が15であるピンに接続される。図3のDDC83は、SDA信号が伝送される信号線、及びSCL信号が伝送される信号線から構成される。
また、SDA信号が伝送される信号線、及びSCL信号が伝送される信号線は、CECライン84及びピン番号が14のピンに接続される信号線と同様に、差動信号を伝送することができるように差動ツイストペア結線されてシールドされ、ピン番号が17番のピンに接続されるグランド線に接地されている。
さらに、新たな電子機器の接続を検出するための信号が伝送される信号線86は、ピン番号が19であるピンに接続される。
図5は、HDMI(R)のタイプC(Type-C)またはタイプミニと呼ばれるコネクタのピン配列を示している。
TMDSチャンネル#iの差動信号TMDS Data#i+とTMDS Data#i-が伝送される差動信号線である2本の信号線は、TMDS Data#i+が割り当てられているピン(ピン番号が2,5,8のピン)と、TMDS Data#i-が割り当てられているピン(ピン番号が3,6,9のピン)に接続される。
また、CEC信号が伝送されるCECライン84は、ピン番号が14であるピンに接続され、ピン番号が17のピンは空き(Reserved)ピンとなっている。ピン番号が17のピンに接続される信号線と、CECライン84とは、タイプAにおける場合と同様に差動ツイストペア結線されてシールドされ、ピン番号が13番のピンに接続されるCECライン84及びDDC83のグランド線に接地されている。
さらに、SDA信号が伝送される信号線は、ピン番号が16であるピンに接続され、SCL信号が伝送される信号線は、ピン番号が15であるピンに接続される。また、SDA信号が伝送される信号線、及びSCL信号が伝送される信号線は、タイプAにおける場合と同様に、差動信号を伝送することができるように差動ツイストペア結線されてシールドされ、ピン番号が13番のピンに接続されるグランド線に接地されている。さらに、また、新たな電子機器の接続を検出するための信号が伝送される信号線86は、ピン番号が19であるピンに接続される。
次に図6は、CECライン84、及びHDMI(R)のコネクタの空きピンに接続される信号線を用いて、半二重通信方式によるIP通信を行うHDMI(R)ソース71及びHDMI(R)シンク72の構成を示す図である。なお、図6は、HDMI(R)ソース71及びHDMI(R)シンク72における、半二重通信に関する部分の構成例を示している。また、図6において図3における場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
HDMI(R)ソース71は、トランスミッタ81、切り替え制御部121、及びタイミング制御部122から構成される。また、トランスミッタ81には、変換部131、復号部132、及びスイッチ133が設けられている。
変換部131には、HDMI(R)ソース71とHDMI(R)シンク72との間での双方向のIP通信により、HDMI(R)ソース71からHDMI(R)シンク72に送信されるデータである、Txデータが供給される。Txデータは、たとえば圧縮された画素データや音声データなどとされる。
変換部131は、たとえば差動アンプリファイアにより構成され、供給されたTxデータを2つの部分信号からなる差動信号に変換する。また、変換部131は、変換により得られた差動信号をCECライン84、及びトランスミッタ81に設けられた図示せぬコネクタの空きピンに接続される信号線141を介してレシーバ82に送信する。すなわち、変換部131は、変換により得られた差動信号を構成する一方の部分信号をCECライン84、より詳細にはトランスミッタ81に設けられた信号線であって、HDMI(R)ケーブル35のCECライン84に接続される信号線を介してスイッチ133に供給し、差動信号を構成する他方の部分信号を信号線141、より詳細には、トランスミッタ81に設けられた信号線であって、HDMI(R)ケーブル35の信号線141に接続される信号線、及び信号線141を介してレシーバ82に供給する。
復号部132は、たとえば差動アンプリファイアにより構成され、その入力端子が、CECライン84及び信号線141に接続されている。復号部132は、タイミング制御部122の制御に基づいて、CECライン84及び信号線141を介してレシーバ82から送信されてきた差動信号、つまりCECライン84上の部分信号及び信号線141上の部分信号からなる差動信号を受信し、元のデータであるRxデータに復号して出力する。ここで、Rxデータとは、HDMI(R)ソース71とHDMI(R)シンク72との間での双方向のIP通信により、HDMI(R)シンク72からHDMI(R)ソース71に送信されるデータをいい、たとえば画素データや音声データの送信を要求するコマンドなどとされる。
スイッチ133には、データを送信するタイミングにおいて、HDMI(R)ソース71からのCEC信号、または変換部131からのTxデータに対応する差動信号を構成する部分信号が供給され、データを受信するタイミングにおいて、レシーバ82からのCEC信号、またはレシーバ82からのRxデータに対応する差動信号を構成する部分信号が供給される。スイッチ133は、切り替え制御部121からの制御に基づいて、HDMI(R)ソース71からのCEC信号、若しくはレシーバ82からのCEC信号、またはTxデータに対応する差動信号を構成する部分信号、若しくはRxデータに対応する差動信号を構成する部分信号を選択して出力する。
すなわち、スイッチ133は、HDMI(R)ソース71がHDMI(R)シンク72にデータを送信するタイミングにおいて、HDMI(R)ソース71から供給されたCEC信号、または変換部131から供給された部分信号のうちのいずれかを選択し、選択したCEC信号または部分信号を、CECライン84を介してレシーバ82に送信する。
また、スイッチ133は、HDMI(R)ソース71がHDMI(R)シンク72から送信されてきたデータを受信するタイミングにおいて、CECライン84を介してレシーバ82から送信されてきたCEC信号、またはRxデータに対応する差動信号の部分信号を受信し、受信したCEC信号または部分信号を、HDMI(R)ソース71または復号部132に供給する。
切り替え制御部121はスイッチ133を制御して、スイッチ133に供給される信号のうちのいずれかが選択されるようにスイッチ133を切り替える。タイミング制御部122は、復号部132による差動信号の受信のタイミングを制御する。
また、HDMI(R)シンク72は、レシーバ82、タイミング制御部123、及び切り替え制御部124から構成される。さらに、レシーバ82には、変換部134、スイッチ135、及び復号部136が設けられている。
変換部134は、たとえば差動アンプリファイアにより構成され、変換部134にはRxデータが供給される。変換部134は、タイミング制御部123の制御に基づいて、供給されたRxデータを2つの部分信号からなる差動信号に変換し、変換により得られた差動信号をCECライン84及び信号線141を介してトランスミッタ81に送信する。すなわち、変換部134は、変換により得られた差動信号を構成する一方の部分信号をCECライン84、より詳細にはレシーバ82に設けられた信号線であって、HDMI(R)ケーブル35のCECライン84に接続される信号線を介してスイッチ135に供給し、差動信号を構成する他方の部分信号を信号線141、より詳細には、レシーバ82に設けられた信号線であって、HDMI(R)ケーブル35の信号線141に接続される信号線、及び信号線141を介してトランスミッタ81に供給する。
スイッチ135には、データを受信するタイミングにおいて、トランスミッタ81からのCEC信号、またはトランスミッタ81からのTxデータに対応する差動信号を構成する部分信号が供給され、データを送信するタイミングにおいて、変換部134からのRxデータに対応する差動信号を構成する部分信号、またはHDMI(R)シンク72からのCEC信号が供給される。スイッチ135は、切り替え制御部124からの制御に基づいて、トランスミッタ81からのCEC信号、若しくはHDMI(R)シンク72からのCEC信号、またはTxデータに対応する差動信号を構成する部分信号、若しくはRxデータに対応する差動信号を構成する部分信号を選択して出力する。
すなわち、スイッチ135は、HDMI(R)シンク72がHDMI(R)ソース71にデータを送信するタイミングにおいて、HDMI(R)シンク72から供給されたCEC信号、または変換部134から供給された部分信号のうちのいずれかを選択し、選択したCEC信号または部分信号を、CECライン84を介してトランスミッタ81に送信する。
また、スイッチ135は、HDMI(R)シンク72がHDMI(R)ソース71から送信されてきたデータを受信するタイミングにおいて、CECライン84を介してトランスミッタ81から送信されてきたCEC信号、またはTxデータに対応する差動信号の部分信号を受信し、受信したCEC信号または部分信号を、HDMI(R)シンク72または復号部136に供給する。
復号部136は、たとえば差動アンプリファイアにより構成され、その入力端子が、CECライン84及び信号線141に接続されている。復号部136は、CECライン84及び信号線141を介してトランスミッタ81から送信されてきた差動信号、つまりCECライン84上の部分信号及び信号線141上の部分信号からなる差動信号を受信し、元のデータであるTxデータに復号して出力する。
切り替え制御部124はスイッチ135を制御して、スイッチ135に供給される信号のうちのいずれかが選択されるようにスイッチ135を切り替える。タイミング制御部123は、変換部134による差動信号の送信のタイミングを制御する。
また、HDMI(R)ソース71及びHDMI(R)シンク72が、CECライン84及び空きピンに接続される信号線141と、SDA信号が伝送される信号線及びSCL信号が伝送される信号線とを用いて、全二重通信方式によるIP通信を行う場合、HDMI(R)ソース71及びHDMI(R)シンク72は、たとえば図7に示すように構成される。なお、図7において、図6における場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
HDMI(R)ソース71は、トランスミッタ81、切り替え制御部121、及び切り替え制御部971から構成される。また、トランスミッタ81には、変換部131、スイッチ133、スイッチ181、スイッチ182、及び復号部183が設けられている。
スイッチ181には、データを送信するタイミングにおいて、HDMI(R)ソース71からのSDA信号が供給され、データを受信するタイミングにおいて、レシーバ82からのSDA信号、またはレシーバ82からのRxデータに対応する差動信号を構成する部分信号が供給される。スイッチ181は、切り替え制御部971からの制御に基づいて、HDMI(R)ソース71からのSDA信号、若しくはレシーバ82からのSDA信号、またはRxデータに対応する差動信号を構成する部分信号を選択して出力する。
すなわち、スイッチ181は、HDMI(R)ソース71がHDMI(R)シンク72から送信されてくるデータを受信するタイミングにおいて、SDA信号が伝送される信号線であるSDAライン191を介してレシーバ82から送信されてきたSDA信号、またはRxデータに対応する差動信号の部分信号を受信し、受信したSDA信号または部分信号を、HDMI(R)ソース71または復号部183に供給する。
また、スイッチ181は、HDMI(R)ソース71がHDMI(R)シンク72にデータを送信するタイミングにおいて、HDMI(R)ソース71から供給されたSDA信号を、SDAライン191を介してレシーバ82に送信するか、またはレシーバ82に何も送信しない。
スイッチ182には、データを送信するタイミングにおいて、HDMI(R)ソース71からのSCL信号が供給され、データを受信するタイミングにおいて、レシーバ82からのRxデータに対応する差動信号を構成する部分信号が供給される。スイッチ182は、切り替え制御部971からの制御に基づいて、SCL信号またはRxデータに対応する差動信号を構成する部分信号のうちのいずれかを選択して出力する。
すなわち、スイッチ182は、HDMI(R)ソース71がHDMI(R)シンク72から送信されてくるデータを受信するタイミングにおいて、SCL信号が伝送される信号線であるSCLライン192を介してレシーバ82から送信されてきた、Rxデータに対応する差動信号の部分信号を受信し、受信した部分信号を復号部183に供給するか、または何も受信しない。
また、スイッチ182は、HDMI(R)ソース71がHDMI(R)シンク72にデータを送信するタイミングにおいて、HDMI(R)ソース71から供給されたSCL信号を、SCLライン192を介してレシーバ82に送信するか、または何も送信しない。
復号部183は、たとえば差動アンプリファイアにより構成され、その入力端子が、SDAライン191及びSCLライン192に接続されている。復号部183は、SDAライン191及びSCLライン192を介してレシーバ82から送信されてきた差動信号、つまりSDAライン191上の部分信号及びSCLライン192上の部分信号からなる差動信号を受信し、元のデータであるRxデータに復号して出力する。
切り替え制御部971はスイッチ181及びスイッチ182を制御して、スイッチ181及びスイッチ182のそれぞれについて、供給される信号のうちのいずれかが選択されるようにスイッチ181及びスイッチ182を切り替える。
また、HDMI(R)シンク72は、レシーバ82、切り替え制御部124、及び切り替え制御部972から構成される。さらに、レシーバ82には、スイッチ135、復号部136、変換部184、スイッチ185、及びスイッチ186が設けられている。
変換部184は、たとえば差動アンプリファイアにより構成され、変換部184にはRxデータが供給される。変換部184は、供給されたRxデータを2つの部分信号からなる差動信号に変換し、変換により得られた差動信号をSDAライン191及びSCLライン192を介してトランスミッタ81に送信する。すなわち、変換部184は、変換により得られた差動信号を構成する一方の部分信号をスイッチ185を介してトランスミッタ81に送信し、差動信号を構成する他方の部分信号をスイッチ186を介してトランスミッタ81に送信する。
スイッチ185には、データを送信するタイミングにおいて、変換部184からのRxデータに対応する差動信号を構成する部分信号、またはHDMI(R)シンク72からのSDA信号が供給され、データを受信するタイミングにおいて、トランスミッタ81からのSDA信号が供給される。スイッチ185は、切り替え制御部972からの制御に基づいて、HDMI(R)シンク72からのSDA信号、若しくはトランスミッタ81からのSDA信号、またはRxデータに対応する差動信号を構成する部分信号を選択して出力する。
すなわち、スイッチ185は、HDMI(R)シンク72がHDMI(R)ソース71から送信されてくるデータを受信するタイミングにおいて、SDAライン191を介してトランスミッタ81から送信されてきたSDA信号を受信し、受信したSDA信号をHDMI(R)シンク72に供給するか、または何も受信しない。
また、スイッチ185は、HDMI(R)シンク72がHDMI(R)ソース71にデータを送信するタイミングにおいて、HDMI(R)シンク72から供給されたSDA信号、または変換部184から供給された部分信号を、SDAライン191を介してトランスミッタ81に送信する。
スイッチ186には、データを送信するタイミングにおいて、変換部184からの、Rxデータに対応する差動信号を構成する部分信号が供給され、データを受信するタイミングにおいて、トランスミッタ81からのSCL信号が供給される。スイッチ186は、切り替え制御部972からの制御に基づいて、Rxデータに対応する差動信号を構成する部分信号、またはSCL信号のうちのいずれかを選択して出力する。
すなわち、スイッチ186は、HDMI(R)シンク72がHDMI(R)ソース71から送信されてくるデータを受信するタイミングにおいて、SCLライン192を介してトランスミッタ81から送信されてきたSCL信号を受信し、受信したSCL信号をHDMI(R)シンク72に供給するか、または何も受信しない。
また、スイッチ186は、HDMI(R)シンク72がHDMI(R)ソース71にデータを送信するタイミングにおいて、変換部184から供給された部分信号を、SCLライン192を介してトランスミッタ81に送信するか、または何も送信しない。
切り替え制御部972はスイッチ185及びスイッチ186を制御して、スイッチ185及びスイッチ186のそれぞれについて、供給される信号のうちのいずれかが選択されるようにスイッチ185及びスイッチ186を切り替える。
ところで、HDMI(R)ソース71とHDMI(R)シンク72とがIP通信を行う場合に、半二重通信が可能であるか、全二重通信が可能であるかは、HDMI(R)ソース71及びHDMI(R)シンク72のそれぞれの構成によって定まる。そこで、HDMI(R)ソース71は、HDMI(R)シンク72から受信したE-EDIDを参照して、半二重通信を行うか、全二重通信を行うか、またはCEC信号の授受による双方向通信を行うかの判定を行う。
HDMI(R)ソース71が受信するE-EDIDは、たとえば図8に示すように、基本ブロックと拡張ブロックとからなる。
E-EDIDの基本ブロックの先頭には、"E-EDID1.3 Basic Structure"で表されるE-EDID1.3の規格で定められたデータが配置され、続いて"Preferred timing"で表される従来のEDIDとの互換性を保つためのタイミング情報、及び"2nd timing"で表される従来のEDIDとの互換性を保つための"Preferred timing"とは異なるタイミング情報が配置されている。
また、基本ブロックには、"2nd timing"に続いて、"Monitor NAME"で表される表示装置の名前を示す情報、及び"Monitor Range Limits"で表される、アスペクト比が4:3及び16:9である場合についての表示可能な画素数を示す情報が順番に配置されている。
これに対して、拡張ブロックの先頭には、"Speaker Allocation"で表される左右のスピーカに関する情報が配置され、続いて"VIDEO SHORT"で表される、表示可能な画像サイズ、フレームレート、インターレースであるかプログレッシブであるかを示す情報、アスペクト比などの情報が記述されたデータ、"AUDIO SHORT"で表される、再生可能な音声コーデック方式、サンプリング周波数、カットオフ帯域、コーデックビット数などの情報が記述されたデータ、及び"Speaker Allocation"で表される左右のスピーカに関する情報が順番に配置されている。
また、拡張ブロックには、"Speaker Allocation"に続いて、"Vender Specific"で表されるメーカごとに固有に定義されたデータ、"3rd timing"で表される従来のEDIDとの互換性を保つためのタイミング情報、及び"4th timing"で表される従来のEDIDとの互換性を保つためのタイミング情報が配置されている。
さらに、"Vender Specific"で表されるデータは、図9に示すデータ構造となっている。すなわち、"Vender Specific"で表されるデータには、1バイトのブロックである第0ブロック乃至第Nブロックが設けられている。
"Vender Specific"で表されるデータの先頭に配置された第0ブロックには、"Vendor-Specific tag code(=3)"で表されるデータ"Vender Specific"のデータ領域を示すヘッダ、及び"Length(=N)"で表されるデータ"Vender Specific"の長さを示す情報が配置される。
また、第1ブロック乃至第3ブロックには、"24bit IEEE Registration Identifier(0x000C03)LSB first"で表されるHDMI(R)用として登録された番号"0x000C03"を示す情報が配置される。さらに、第4ブロック及び第5ブロックには、"A"、"B"、"C"、及び"D"のそれぞれにより表される、24bitのシンク機器の物理アドレスを示す情報が配置される。
第6ブロックには、"Supports-AI"で表されるシンク機器が対応している機能を示すフラグ、"DC-48bit"、"DC-36bit"、及び"DC-30bit"のそれぞれで表される1ピクセル当たりのビット数を指定する情報のそれぞれ、"DC-Y444"で表される、シンク機器がYCbCr4:4:4の画像の伝送に対応しているかを示すフラグ、及び"DVI-Dual"で表される、シンク機器がデュアルDVI(Digital Visual Interface)に対応しているかを示すフラグが配置されている。
また、第7ブロックには、"Max-TMDS-Clock"で表されるTMDSのピクセルクロックの最大の周波数を示す情報が配置される。さらに、第8ブロックには、"Latency"で表される映像と音声の遅延情報の有無を示すフラグ、"Full Duplex"で表される全二重通信が可能であるかを示す全二重フラグ、及び"Half Duplex"で表される半二重通信が可能であるかを示す半二重フラグが配置されている。
ここで、たとえばセットされている(たとえば"1"に設定されている)全二重フラグは、HDMI(R)シンク72が全二重通信を行う機能を有している、つまり図7に示した構成とされることを示しており、リセットされている(たとえば"0"に設定されている)全二重フラグは、HDMI(R)シンク72が全二重通信を行う機能を有していないことを示している。
同様に、セットされている(たとえば"1"に設定されている)半二重フラグは、HDMI(R)シンク72が半二重通信を行う機能を有している、つまり図6に示した構成とされることを示しており、リセットされている(たとえば"0"に設定されている)半二重フラグは、HDMI(R)シンク72が半二重通信を行う機能を有していないことを示している。
また、"Vender Specific"で表されるデータの第9ブロックには、"Video Latency"で表されるプログレッシブの映像の遅延時間データが配置され、第10ブロックには、"Audio Latency"で表される、プログレッシブの映像に付随する音声の遅延時間データが配置される。さらに、第11ブロックには、"Interlaced Video Latency"で表されるインターレースの映像の遅延時間データが配置され、第12ブロックには、"Interlaced Audio Latency"で表される、インターレースの映像に付随する音声の遅延時間データが配置される。
HDMI(R)ソース71は、HDMI(R)シンク72から受信したE-EDIDに含まれている全二重フラグ及び半二重フラグに基づいて、半二重通信を行うか、全二重通信を行うか、またはCEC信号の授受による双方向通信を行うかの判定を行い、その判定結果にしたがって、HDMI(R)シンク72との双方向の通信を行う。
たとえば、HDMI(R)ソース71が図6に示した構成とされている場合、HDMI(R)ソース71は、図6に示したHDMI(R)シンク72とは半二重通信を行うことができるが、図7に示したHDMI(R)シンク72とは半二重通信を行うことができない。
そこで、HDMI(R)ソース71は、HDMI(R)ソース71が設けられた電子機器の電源がオンされると通信処理を開始し、HDMI(R)ソース71に接続されたHDMI(R)シンク72の有する機能に応じた双方向の通信を行う。
以下、図10のフローチャートを参照して、図6に示したHDMI(R)ソース71による通信処理について説明する。
ステップS11において、HDMI(R)ソース71は、HDMI(R)ソース71に新たな電子機器が接続されたか否かを判定する。たとえば、HDMI(R)ソース71は、信号線86が接続されるHot Plug Detectと呼ばれるピンに対して付加された電圧の大きさに基づいて、HDMI(R)シンク72が設けられた新たな電子機器が接続されたか否かを判定する。
ステップS11において、新たな電子機器が接続されていないと判定された場合、通信は行われないので、通信処理は終了する。
これに対して、ステップS11において、新たな電子機器が接続されたと判定された場合、ステップS12において、切り替え制御部121はスイッチ133を制御し、データの送信時においてHDMI(R)ソース71からのCEC信号が選択され、データの受信時においてレシーバ82からのCEC信号が選択されるように、スイッチ133を切り替える。
ステップS13において、HDMI(R)ソース71は、DDC83を介してHDMI(R)シンク72から送信されてきたE-EDIDを受信する。すなわち、HDMI(R)シンク72は、HDMI(R)ソース71の接続を検出するとEDIDROM85からE-EDIDを読み出し、読み出したE-EDIDを、DDC83を介してHDMI(R)ソース71に送信するので、HDMI(R)ソース71は、HDMI(R)シンク72から送信されてきたE-EDIDを受信する。
ステップS14において、HDMI(R)ソース71は、HDMI(R)シンク72との半二重通信が可能であるか否かを判定する。すなわち、HDMI(R)ソース71は、HDMI(R)シンク72から受信したE-EDIDを参照して、図9の半二重フラグ"Half Duplex"がセットされているか否かを判定し、たとえば半二重フラグがセットされている場合、HDMI(R)ソース71は、半二重通信方式による双方向のIP通信、つまり半二重通信が可能であると判定する。
ステップS14において、半二重通信が可能であると判定された場合、ステップS15において、HDMI(R)ソース71は、双方向の通信に用いるチャンネルを示すチャンネル情報として、CECライン84及び信号線141を用いた半二重通信方式によるIP通信を行う旨の信号を、スイッチ133及びCECライン84を介してレシーバ82に送信する。
すなわち、半二重フラグがセットされている場合、HDMI(R)ソース71は、HDMI(R)シンク72が図6に示した構成であり、CECライン84及び信号線141を用いた半二重通信が可能であることが分かるので、チャンネル情報をHDMI(R)シンク72に送信して、半二重通信を行う旨を通知する。
ステップS16において、切り替え制御部121はスイッチ133を制御し、データの送信時において変換部131からのTxデータに対応する差動信号が選択され、データの受信時においてレシーバ82からのRxデータに対応する差動信号が選択されるように、スイッチ133を切り替える。
ステップS17において、HDMI(R)ソース71の各部は、半二重通信方式により、HDMI(R)シンク72との双方向のIP通信を行い、通信処理は終了する。すなわち、データの送信時において、変換部131は、HDMI(R)ソース71から供給されたTxデータを差動信号に変換し、変換により得られた差動信号を構成する部分信号のうちの一方をスイッチ133に供給し、他方の部分信号を信号線141を介してレシーバ82に送信する。スイッチ133は、変換部131から供給された部分信号を、CECライン84を介してレシーバ82に送信する。これにより、Txデータに対応する差動信号がHDMI(R)ソース71からHDMI(R)シンク72に送信される。
また、データの受信時において、復号部132は、レシーバ82から送信されてきたRxデータに対応する差動信号を受信する。すなわち、スイッチ133は、CECライン84を介してレシーバ82から送信されてきた、Rxデータに対応する差動信号の部分信号を受信し、受信した部分信号を復号部132に供給する。復号部132は、スイッチ133から供給された部分信号、及び信号線141を介してレシーバ82から供給された部分信号からなる差動信号を、タイミング制御部122の制御に基づいて、元のデータであるRxデータに復号し、HDMI(R)ソース71に出力する。
これにより、HDMI(R)ソース71は、HDMI(R)シンク72と制御データや画素データ、音声データなど、各種のデータの授受を行う。
また、ステップS14において、半二重通信が可能でないと判定された場合、ステップS18において、HDMI(R)ソース71の各部は、CEC信号の送受信を行うことでHDMI(R)シンク72との双方向の通信を行い、通信処理は終了する。
すなわち、データの送信時において、HDMI(R)ソース71は、スイッチ133及びCECライン84を介して、CEC信号をレシーバ82に送信し、データの受信時において、HDMI(R)ソース71は、スイッチ133及びCECライン84を介してレシーバ82から送信されてきたCEC信号を受信することで、HDMI(R)シンク72との制御データの授受を行う。
このようにして、HDMI(R)ソース71は、半二重フラグを参照し、半二重通信が可能なHDMI(R)シンク72と、CECライン84及び信号線141を用いて半二重通信を行う。
このように、スイッチ133を切り替えて送信するデータ、及び受信するデータを選択し、HDMI(R)シンク72と、CECライン84及び信号線141を用いた半二重通信、つまり半二重通信方式によるIP通信を行うことで、従来のHDMI(R)との互換性を保ちつつ、高速の双方向通信を行うことができる。
また、HDMI(R)ソース71と同様に、HDMI(R)シンク72も、HDMI(R)シンク72が設けられた電子機器の電源がオンされると通信処理を開始し、HDMI(R)ソース71との双方向の通信を行う。
以下、図11のフローチャートを参照して、図6に示したHDMI(R)シンク72による通信処理について説明する。
ステップS41において、HDMI(R)シンク72は、HDMI(R)シンク72に新たな電子機器が接続されたか否かを判定する。たとえば、HDMI(R)シンク72は、信号線86が接続されたHot Plug Detectと呼ばれるピンに対して付加された電圧の大きさに基づいて、HDMI(R)ソース71が設けられた新たな電子機器が接続されたか否かを判定する。
ステップS41において、新たな電子機器が接続されていないと判定された場合、通信は行われないので、通信処理は終了する。
これに対して、ステップS41において、新たな電子機器が接続されたと判定された場合、ステップS42において、切り替え制御部124はスイッチ135を制御し、データの送信時においてHDMI(R)シンク72からのCEC信号が選択され、データの受信時においてトランスミッタ81からのCEC信号が選択されるように、スイッチ135を切り替える。
ステップS43において、HDMI(R)シンク72は、EDIDROM85からE-EDIDを読み出し、読み出したE-EDIDを、DDC83を介してHDMI(R)ソース71に送信する。
ステップS44において、HDMI(R)シンク72は、HDMI(R)ソース71から送信されてきたチャンネル情報を受信したか否かを判定する。
すなわち、HDMI(R)ソース71からは、HDMI(R)ソース71及びHDMI(R)シンク72が有する機能に応じて、双方向の通信のチャンネルを示すチャンネル情報が送信されてくる。たとえば、HDMI(R)ソース71が図6に示すように構成される場合、HDMI(R)ソース71とHDMI(R)シンク72とは、CECライン84及び信号線141を用いた半二重通信が可能であるので、HDMI(R)ソース71からHDMI(R)シンク72には、CECライン84及び信号線141を用いたIP通信を行う旨のチャンネル情報が送信されてくる。HDMI(R)シンク72は、スイッチ135及びCECライン84を介してHDMI(R)ソース71から送信されてきたチャンネル情報を受信し、チャンネル情報を受信したと判定する。
これに対して、HDMI(R)ソース71が半二重通信を行う機能を有していない場合、HDMI(R)ソース71からHDMI(R)シンク72には、チャンネル情報が送信されてこないので、HDMI(R)シンク72は、チャンネル情報を受信していないと判定する。
ステップS44において、チャンネル情報を受信したと判定された場合、処理はステップS45に進み、切り替え制御部124は、スイッチ135を制御し、データの送信時において変換部134からのRxデータに対応する差動信号が選択され、データの受信時においてトランスミッタ81からのTxデータに対応する差動信号が選択されるように、スイッチ135を切り替える。
ステップS46において、HDMI(R)シンク72の各部は、半二重通信方式により、HDMI(R)ソース71との双方向のIP通信を行い、通信処理は終了する。すなわち、データの送信時において、変換部134は、タイミング制御部123の制御に基づいてHDMI(R)シンク72から供給されたRxデータを差動信号に変換し、変換により得られた差動信号を構成する部分信号のうちの一方をスイッチ135に供給し、他方の部分信号を信号線141を介してトランスミッタ81に送信する。スイッチ135は、変換部134から供給された部分信号を、CECライン84を介してトランスミッタ81に送信する。これにより、Rxデータに対応する差動信号がHDMI(R)シンク72からHDMI(R)ソース71に送信される。
また、データの受信時において、復号部136は、トランスミッタ81から送信されてきたTxデータに対応する差動信号を受信する。すなわち、スイッチ135は、CECライン84を介してトランスミッタ81から送信されてきた、Txデータに対応する差動信号の部分信号を受信し、受信した部分信号を復号部136に供給する。復号部136は、スイッチ135から供給された部分信号、及び信号線141を介してトランスミッタ81から供給された部分信号からなる差動信号を元のデータであるTxデータに復号し、HDMI(R)シンク72に出力する。
これにより、HDMI(R)シンク72は、HDMI(R)ソース71と制御データや画素データ、音声データなど、各種のデータの授受を行う。
また、ステップS44において、チャンネル情報を受信していないと判定された場合、ステップS47において、HDMI(R)シンク72の各部は、CEC信号の送受信を行うことでHDMI(R)ソース71との双方向の通信を行い、通信処理は終了する。
すなわち、データの送信時において、HDMI(R)シンク72は、スイッチ135及びCECライン84を介して、CEC信号をトランスミッタ81に送信し、データの受信時において、HDMI(R)シンク72は、スイッチ135及びCECライン84を介してトランスミッタ81から送信されてきたCEC信号を受信することで、HDMI(R)ソース71との制御データの授受を行う。
このようにして、HDMI(R)シンク72は、チャンネル情報を受信すると、HDMI(R)シンク72と、CECライン84及び信号線141を用いて半二重通信を行う。
このように、HDMI(R)シンク72がスイッチ135を切り替えて送信するデータ、及び受信するデータを選択し、HDMI(R)ソース71とCECライン84及び信号線141を用いた半二重通信を行うことで、従来のHDMI(R)との互換性を保ちつつ、高速の双方向通信を行うことができる。
また、HDMI(R)ソース71が図7に示す構成とされる場合、HDMI(R)ソース71は、通信処理において、E-EDIDに含まれる全二重フラグに基づいてHDMI(R)シンク72が全二重通信を行う機能を有しているかを判定し、その判定結果に応じた双方向の通信を行う。
以下、図12のフローチャートを参照して、図7に示したHDMI(R)ソース71による通信処理について説明する。
ステップS71において、HDMI(R)ソース71は、HDMI(R)ソース71に新たな電子機器が接続されたか否かを判定する。ステップS71において、新たな電子機器が接続されていないと判定された場合、通信は行われないので、通信処理は終了する。
これに対して、ステップS71において、新たな電子機器が接続されたと判定された場合、ステップS72において、切り替え制御部971は、スイッチ181及びスイッチ182を制御し、データの送信時において、スイッチ181によりHDMI(R)ソース71からのSDA信号が選択され、スイッチ182によりHDMI(R)ソース71からのSCL信号が選択され、さらにデータの受信時において、スイッチ181によりレシーバ82からのSDA信号が選択されるように、スイッチ181及びスイッチ182を切り替える。
ステップS73において、切り替え制御部121はスイッチ133を制御し、データの送信時においてHDMI(R)ソース71からのCEC信号が選択され、データの受信時においてレシーバ82からのCEC信号が選択されるように、スイッチ133を切り替える。
ステップS74において、HDMI(R)ソース71は、DDC83のSDAライン191を介してHDMI(R)シンク72から送信されてきたE-EDIDを受信する。すなわち、HDMI(R)シンク72は、HDMI(R)ソース71の接続を検出するとEDIDROM85からE-EDIDを読み出し、読み出したE-EDIDを、DDC83のSDAライン191を介してHDMI(R)ソース71に送信するので、HDMI(R)ソース71は、HDMI(R)シンク72から送信されてきたE-EDIDを受信する。
ステップS75において、HDMI(R)ソース71は、HDMI(R)シンク72との全二重通信が可能であるか否かを判定する。すなわち、HDMI(R)ソース71は、HDMI(R)シンク72から受信したE-EDIDを参照して、図9の全二重フラグ"Full Duplex"がセットされているか否かを判定し、たとえば全二重フラグがセットされている場合、HDMI(R)ソース71は、全二重通信方式による双方向のIP通信、つまり全二重通信が可能であると判定する。
ステップS75において、全二重通信が可能であると判定された場合、ステップS76において、切り替え制御部971は、スイッチ181及びスイッチ182を制御し、データの受信時において、レシーバ82からのRxデータに対応する差動信号が選択されるようにスイッチ181及びスイッチ182を切り替える。
すなわち、切り替え制御部971は、データの受信時において、レシーバ82から送信されてくる、Rxデータに対応した差動信号を構成する部分信号のうち、SDAライン191を介して送信されてくる部分信号がスイッチ181により選択され、SCLライン192を介して送信されてくる部分信号がスイッチ182により選択されるように、スイッチ181及びスイッチ182を切り替える。
DDC83を構成するSDAライン191及びSCLライン192は、HDMI(R)シンク72からHDMI(R)ソース71にE-EDIDが送信された後は利用されないので、つまりSDAライン191及びSCLライン192を介したSDA信号やSCL信号の送受信は行われないので、スイッチ181及びスイッチ182を切り替えて、SDAライン191及びSCLライン192を、全二重通信によるRxデータの伝送路として利用することができる。
ステップS77において、HDMI(R)ソース71は、双方向の通信のチャンネルを示すチャンネル情報として、CECライン84及び信号線141と、SDAライン191及びSCLライン192とを用いた全二重通信方式によるIP通信を行う旨の信号を、スイッチ133及びCECライン84を介してレシーバ82に送信する。
すなわち、全二重フラグがセットされている場合、HDMI(R)ソース71は、HDMI(R)シンク72が図7に示した構成であり、CECライン84及び信号線141と、SDAライン191及びSCLライン192とを用いた全二重通信が可能であることが分かるので、チャンネル情報をHDMI(R)シンク72に送信して、全二重通信を行う旨を通知する。
ステップS78において、切り替え制御部121はスイッチ133を制御し、データの送信時において変換部131からのTxデータに対応する差動信号が選択されるように、スイッチ133を切り替える。すなわち、切り替え制御部121は、変換部131からスイッチ133に供給された、Txデータに対応する差動信号の部分信号が選択されるようにスイッチ133を切り替える。
ステップS79において、HDMI(R)ソース71の各部は、全二重通信方式により、HDMI(R)シンク72との双方向のIP通信を行い、通信処理は終了する。すなわち、データの送信時において、変換部131は、HDMI(R)ソース71から供給されたTxデータを差動信号に変換し、変換により得られた差動信号を構成する部分信号のうちの一方をスイッチ133に供給し、他方の部分信号を信号線141を介してレシーバ82に送信する。スイッチ133は、変換部131から供給された部分信号を、CECライン84を介してレシーバ82に送信する。これにより、Txデータに対応する差動信号がHDMI(R)ソース71からHDMI(R)シンク72に送信される。
また、データの受信時において、復号部183は、レシーバ82から送信されてきたRxデータに対応する差動信号を受信する。すなわち、スイッチ181は、SDAライン191を介してレシーバ82から送信されてきた、Rxデータに対応する差動信号の部分信号を受信し、受信した部分信号を復号部183に供給する。また、スイッチ182は、SCLライン192を介してレシーバ82から送信されてきた、Rxデータに対応する差動信号の他方の部分信号を受信し、受信した部分信号を復号部183に供給する。復号部183は、スイッチ181及びスイッチ182から供給された部分信号からなる差動信号を、元のデータであるRxデータに復号し、HDMI(R)ソース71に出力する。
これにより、HDMI(R)ソース71は、HDMI(R)シンク72と制御データや画素データ、音声データなど、各種のデータの授受を行う。
また、ステップS75において、全二重通信が可能でないと判定された場合、ステップS80において、HDMI(R)ソース71の各部は、CEC信号の送受信を行うことでHDMI(R)シンク72との双方向の通信を行い、通信処理は終了する。
すなわち、データの送信時において、HDMI(R)ソース71は、スイッチ133及びCECライン84を介して、CEC信号をレシーバ82に送信し、データの受信時において、HDMI(R)ソース71は、スイッチ133及びCECライン84を介してレシーバ82から送信されてきたCEC信号を受信することで、HDMI(R)シンク72との制御データの授受を行う。
このようにして、HDMI(R)ソース71は、全二重フラグを参照し、全二重通信が可能なHDMI(R)シンク72と、CECライン84及び信号線141、並びにSDAライン191及びSCLライン192を用いて全二重通信を行う。
このように、スイッチ133、スイッチ181、及びスイッチ182を切り替えて送信するデータ、及び受信するデータを選択し、HDMI(R)シンク72とCECライン84及び信号線141、並びにSDAライン191及びSCLライン192を用いた全二重通信を行うことで、従来のHDMI(R)との互換性を保ちつつ、高速の双方向通信を行うことができる。
また、HDMI(R)シンク72が図7に示した構成とされる場合においても、HDMI(R)シンク72は、図6に示したHDMI(R)シンク72における場合と同様に、通信処理を行って、HDMI(R)ソース71との双方向の通信を行う。
以下、図13のフローチャートを参照して、図7に示したHDMI(R)シンク72による通信処理について説明する。
ステップS111において、HDMI(R)シンク72は、HDMI(R)シンク72に新たな電子機器が接続されたか否かを判定する。ステップS111において、新たな電子機器が接続されていないと判定された場合、通信は行われないので、通信処理は終了する。
これに対して、ステップS111において、新たな電子機器が接続されたと判定された場合、ステップS112において、切り替え制御部972は、スイッチ185及びスイッチ186を制御し、データの送信時において、スイッチ185によりHDMI(R)シンク72からのSDA信号が選択され、さらにデータの受信時において、スイッチ185によりトランスミッタ81からのSDA信号が選択され、スイッチ186によりトランスミッタ81からのSCL信号が選択されるように、スイッチ185及びスイッチ186を切り替える。
ステップS113において、切り替え制御部124はスイッチ135を制御し、データの送信時においてHDMI(R)シンク72からのCEC信号が選択され、データの受信時においてトランスミッタ81からのCEC信号が選択されるように、スイッチ135を切り替える。
ステップS114において、HDMI(R)シンク72は、EDIDROM85からE-EDIDを読み出し、読み出したE-EDIDを、スイッチ185及びDDC83のSDAライン191を介してHDMI(R)ソース71に送信する。
ステップS115において、HDMI(R)シンク72は、HDMI(R)ソース71から送信されてきたチャンネル情報を受信したか否かを判定する。
すなわち、HDMI(R)ソース71からは、HDMI(R)ソース71及びHDMI(R)シンク72が有する機能に応じて、双方向の通信のチャンネルを示すチャンネル情報が送信されてくる。たとえば、HDMI(R)ソース71が図7に示すように構成される場合、HDMI(R)ソース71とHDMI(R)シンク72とは全二重通信が可能であるので、HDMI(R)ソース71からHDMI(R)シンク72には、CECライン84及び信号線141と、SDAライン191及びSCLライン192とを用いた全二重通信方式によるIP通信を行う旨のチャンネル情報が送信されてくるので、HDMI(R)シンク72は、スイッチ135及びCECライン84を介してHDMI(R)ソース71から送信されてきたチャンネル情報を受信し、チャンネル情報を受信したと判定する。
これに対して、HDMI(R)ソース71が全二重通信を行う機能を有していない場合、HDMI(R)ソース71からHDMI(R)シンク72には、チャンネル情報が送信されてこないので、HDMI(R)シンク72は、チャンネル情報を受信していないと判定する。
ステップS115において、チャンネル情報を受信したと判定された場合、処理はステップS116に進み、切り替え制御部972は、スイッチ185及びスイッチ186を制御し、データの送信時において変換部184からのRxデータに対応する差動信号が選択されるように、スイッチ185及びスイッチ186を切り替える。
ステップS117において、切り替え制御部124は、スイッチ135を制御し、データの受信時においてトランスミッタ81からのTxデータに対応する差動信号が選択されるように、スイッチ135を切り替える。
ステップS118において、HDMI(R)シンク72の各部は、全二重通信方式により、HDMI(R)ソース71との双方向のIP通信を行い、通信処理は終了する。すなわち、データの送信時において、変換部184は、HDMI(R)シンク72から供給されたRxデータを差動信号に変換し、変換により得られた差動信号を構成する部分信号のうちの一方をスイッチ185に供給し、他方の部分信号をスイッチ186に供給する。スイッチ185及びスイッチ186は、変換部184から供給された部分信号を、SDAライン191及びSCLライン192を介してトランスミッタ81に送信する。これにより、Rxデータに対応する差動信号がHDMI(R)シンク72からHDMI(R)ソース71に送信される。
また、データの受信時において、復号部136は、トランスミッタ81から送信されてきたTxデータに対応する差動信号を受信する。すなわち、スイッチ135は、CECライン84を介してトランスミッタ81から送信されてきた、Txデータに対応する差動信号の部分信号を受信し、受信した部分信号を復号部136に供給する。復号部136は、スイッチ135から供給された部分信号、及び信号線141を介してトランスミッタ81から供給された部分信号からなる差動信号を元のデータであるTxデータに復号し、HDMI(R)シンク72に出力する。
これにより、HDMI(R)シンク72は、HDMI(R)ソース71と制御データや画素データ、音声データなど、各種のデータの授受を行う。
また、ステップS115において、チャンネル情報を受信していないと判定された場合、ステップS119において、HDMI(R)シンク72の各部は、CEC信号の送受信を行うことでHDMI(R)ソース71との双方向の通信を行い、通信処理は終了する。
このようにして、HDMI(R)シンク72は、チャンネル情報を受信すると、HDMI(R)シンク72と、CECライン84及び信号線141、並びにSDAライン191及びSCLライン192を用いて全二重通信を行う。
このように、HDMI(R)シンク72がスイッチ135、スイッチ185、及びスイッチ186を切り替えて送信するデータ、及び受信するデータを選択し、HDMI(R)ソース71とCECライン84及び信号線141、並びにSDAライン191及びSCLライン192を用いた全二重通信を行うことで、従来のHDMI(R)との互換性を保ちつつ、高速の双方向通信を行うことができる。
なお、図7の例では、HDMI(R)ソース71は、CECライン84及び信号線141に変換部131が接続され、SDAライン191及びSCLライン192に復号部183が接続された構成とされているが、CECライン84及び信号線141に復号部183が接続され、SDAライン191及びSCLライン192に変換部131が接続された構成とされてもよい。
そのような場合、スイッチ181及びスイッチ182がCECライン84及び信号線141に接続されるとともに復号部183に接続され、スイッチ133がSDAライン191に接続されるとともに変換部131に接続される。
また、図7のHDMI(R)シンク72についても同様に、CECライン84及び信号線141に変換部184が接続され、SDAライン191及びSCLライン192に復号部136が接続された構成とされてもよい。そのような場合、スイッチ185及びスイッチ186がCECライン84及び信号線141に接続されるとともに変換部184に接続され、スイッチ135がSDAライン191に接続されるとともに復号部136に接続される。
さらに、図6において、CECライン84及び信号線141が、SDAライン191及びSCLライン192とされてもよい。つまり、HDMI(R)ソース71の変換部131及び復号部132と、HDMI(R)シンク72の変換部134及び復号部136とがSDAライン191及びSCLライン192に接続され、HDMI(R)ソース71とHDMI(R)シンク72とが半二重通信方式によるIP通信を行うようにしてもよい。さらに、この場合、信号線141が接続されるコネクタの空きピンを用いて電子機器の接続を検出するようにしてもよい。
さらに、HDMI(R)ソース71及びHDMI(R)シンク72のそれぞれが、半二重通信を行う機能、及び全二重通信を行う機能の両方を有するようにしてもよい。そのような場合、HDMI(R)ソース71及びHDMI(R)シンク72は、接続された電子機器の有する機能に応じて、半二重通信方式または全二重通信方式によるIP通信を行うことができる。
HDMI(R)ソース71及びHDMI(R)シンク72のそれぞれが、半二重通信を行う機能、及び全二重通信を行う機能の両方を有する場合、HDMI(R)ソース71及びHDMI(R)シンク72は、たとえば図14に示すように構成される。なお、図14において、図6または図7にける場合と対応する部分には、同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
図14に示すHDMI(R)ソース71は、トランスミッタ81、切り替え制御部121、タイミング制御部122、及び切り替え制御部971から構成され、トランスミッタ81には、変換部131、復号部132、スイッチ133、スイッチ181、スイッチ182、及び復号部183が設けられている。すなわち、図14のHDMI(R)ソース71は、図7に示したHDMI(R)ソース71に、図6のタイミング制御部122及び復号部132がさらに設けられた構成とされている。
また、図14に示すHDMI(R)シンク72は、レシーバ82、タイミング制御部123、切り替え制御部124、及び切り替え制御部972から構成され、レシーバ82には、変換部134、スイッチ135、復号部136、変換部184、スイッチ185、及びスイッチ186が設けられている。すなわち、図14のHDMI(R)シンク72は、図7に示したHDMI(R)シンク72に、図6のタイミング制御部123及び変換部134がさらに設けられた構成とされている。
次に、図14のHDMI(R)ソース71及びHDMI(R)シンク72による通信処理について説明する。
まず、図15のフローチャートを参照して、図14のHDMI(R)ソース71による通信処理について説明する。なお、ステップS151乃至ステップS154の処理のそれぞれは、図12のステップS71乃至ステップS74の処理のそれぞれと同様であるので、その説明は省略する。
ステップS155において、HDMI(R)ソース71は、HDMI(R)シンク72との全二重通信が可能であるか否かを判定する。すなわち、HDMI(R)ソース71は、HDMI(R)シンク72から受信したE-EDIDを参照して、図9の全二重フラグ"Full Duplex"がセットされているか否かを判定する。
ステップS155において、全二重通信が可能であると判定された場合、すなわち図14、または図7に示したHDMI(R)シンク72がHDMI(R)ソース71に接続されている場合、ステップS156において、切り替え制御部971は、スイッチ181及びスイッチ182を制御し、データの受信時において、レシーバ82からのRxデータに対応する差動信号が選択されるようにスイッチ181及びスイッチ182を切り替える。
一方、ステップS155において、全二重通信が可能でないと判定された場合、ステップS157において、HDMI(R)ソース71は、半二重通信が可能であるか否かを判定する。すなわち、HDMI(R)ソース71は、受信したE-EDIDを参照して、図9の半二重フラグ"Half Duplex"がセットされているか否かを判定する。換言すれば、HDMI(R)ソース71は、図6に示したHDMI(R)シンク72がHDMI(R)ソース71に接続されたか否かを判定する。
ステップS157において、半二重通信が可能であると判定された場合、またはステップS156において、スイッチ181及びスイッチ182が切り替えられた場合、ステップS158において、HDMI(R)ソース71は、チャンネル情報を、スイッチ133及びCECライン84を介してレシーバ82に送信する。
ここで、ステップS155において全二重通信が可能であると判定された場合には、HDMI(R)シンク72は、全二重通信を行う機能を有しているので、HDMI(R)ソース71は、チャンネル情報として、CECライン84及び信号線141と、SDAライン191及びSCLライン192とを用いたIP通信を行う旨の信号を、スイッチ133及びCECライン84を介してレシーバ82に送信する。
また、ステップS157において半二重通信が可能であると判定された場合には、HDMI(R)シンク72は、全二重通信を行う機能は有していないが、半二重通信を行う機能を有しているので、HDMI(R)ソース71は、チャンネル情報として、CECライン84及び信号線141を用いたIP通信を行う旨の信号を、スイッチ133及びCECライン84を介してレシーバ82に送信する。
ステップS159において、切り替え制御部121は、スイッチ133を制御し、データの送信時において変換部131からのTxデータに対応する差動信号が選択され、データの受信時においてレシーバ82から送信されてくるRxデータに対応する差動信号が選択されるように、スイッチ133を切り替える。なお、HDMI(R)ソース71とHDMI(R)シンク72とが全二重通信を行う場合には、HDMI(R)ソース71におけるデータの受信時には、レシーバ82から、CECライン84及び信号線141を介してRxデータに対応する差動信号は送信されてこないので、復号部132には、Rxデータに対応する差動信号は供給されない。
ステップS160において、HDMI(R)ソース71の各部は、HDMI(R)シンク72との双方向のIP通信を行い、通信処理は終了する。
すなわち、HDMI(R)ソース71がHDMI(R)シンク72と全二重通信を行う場合、及び半二重通信を行う場合、データの送信時において、変換部131は、HDMI(R)ソース71から供給されたTxデータを差動信号に変換し、変換により得られた差動信号を構成する部分信号のうちの一方をスイッチ133及びCECライン84を介してレシーバ82に送信し、他方の部分信号を信号線141を介してレシーバ82に送信する。
また、HDMI(R)ソース71がHDMI(R)シンク72と全二重通信を行う場合、データの受信時において、復号部183は、レシーバ82から送信されてきたRxデータに対応する差動信号を受信し、受信した差動信号を、元のデータであるRxデータに復号して、HDMI(R)ソース71に出力する。
これに対して、HDMI(R)ソース71がHDMI(R)シンク72と半二重通信を行う場合、データの受信時において、復号部132は、タイミング制御部122の制御に基づいて、レシーバ82から送信されてきたRxデータに対応する差動信号を受信し、受信した差動信号を、元のデータであるRxデータに復号して、HDMI(R)ソース71に出力する。
これにより、HDMI(R)ソース71は、HDMI(R)シンク72と制御データや画素データ、音声データなど、各種のデータの授受を行う。
また、ステップS157において、半二重通信が可能でないと判定された場合、ステップS161において、HDMI(R)ソース71の各部は、CECライン84を介してCEC信号の送受信を行うことでHDMI(R)シンク72との双方向の通信を行い、通信処理は終了する。
このようにして、HDMI(R)ソース71は、全二重フラグ及び半二重フラグを参照し、通信相手であるHDMI(R)シンク72の有する機能に応じて、全二重通信または半二重通信を行う。
このように、通信相手であるHDMI(R)シンク72の有する機能に応じて、スイッチ133、スイッチ181、及びスイッチ182を切り替えて送信するデータ、及び受信するデータを選択し、全二重通信または半二重通信を行うことで、従来のHDMI(R)との互換性を保ちつつ、より最適な通信方法を選択して、高速の双方向通信を行うことができる。
次に、図16のフローチャートを参照して、図14のHDMI(R)シンク72による通信処理について説明する。なお、ステップS191乃至ステップS194の処理のそれぞれは、図13のステップS111乃至ステップS114の処理のそれぞれと同様であるので、その説明は省略する。
ステップS195において、HDMI(R)シンク72は、スイッチ135及びCECライン84を介してHDMI(R)ソース71から送信されてきたチャンネル情報を受信する。なお、HDMI(R)シンク72に接続されているHDMI(R)ソース71が、全二重通信を行う機能も、半二重通信を行う機能も有していない場合には、HDMI(R)ソース71からHDMI(R)シンク72には、チャンネル情報は送信されてこないので、HDMI(R)シンク72は、チャンネル情報を受信しない。
ステップS196において、HDMI(R)シンク72は、受信したチャンネル情報に基づいて、全二重通信を行うか否かを判定する。たとえば、HDMI(R)シンク72は、CECライン84及び信号線141と、SDAライン191及びSCLライン192とを用いたIP通信を行う旨のチャンネル情報を受信した場合、全二重通信を行うと判定する。
ステップS196において、全二重通信を行うと判定された場合、ステップS197において、切り替え制御部972は、スイッチ185及びスイッチ186を制御し、データの送信時において変換部184からのRxデータに対応する差動信号が選択されるように、スイッチ185及びスイッチ186を切り替える。
また、ステップS196において、全二重通信を行わないと判定された場合、ステップS198において、HDMI(R)シンク72は、受信したチャンネル情報に基づいて、半二重通信を行うか否かを判定する。たとえば、HDMI(R)シンク72は、CECライン84及び信号線141を用いたIP通信を行う旨のチャンネル情報を受信した場合、半二重通信を行うと判定する。
ステップS198において、半二重通信を行うと判定されるか、またはステップS197においてスイッチ185及びスイッチ186が切り替えられた場合、ステップS199において、切り替え制御部124は、スイッチ135を制御し、データの送信時において、変換部134からのRxデータに対応する差動信号が選択され、データの受信時においてトランスミッタ81からのTxデータに対応する差動信号が選択されるように、スイッチ135を切り替える。
なお、HDMI(R)ソース71とHDMI(R)シンク72とが全二重通信を行う場合、HDMI(R)シンク72におけるデータの送信時には、変換部134からトランスミッタ81にRxデータに対応する差動信号が送信されないので、スイッチ135には、Rxデータに対応する差動信号は供給されない。
ステップS200において、HDMI(R)シンク72の各部は、HDMI(R)ソース71との双方向のIP通信を行い、通信処理は終了する。
すなわち、HDMI(R)シンク72がHDMI(R)ソース71と全二重通信を行う場合、データの送信時において、変換部184は、HDMI(R)シンク72から供給されたRxデータを差動信号に変換し、変換により得られた差動信号を構成する部分信号のうちの一方を、スイッチ185及びSDAライン191を介してトランスミッタ81に送信し、他方の部分信号をスイッチ186及びSCLライン192を介してトランスミッタ81に送信する。
また、HDMI(R)シンク72がHDMI(R)ソース71と半二重通信を行う場合、データの送信時において、変換部134は、HDMI(R)シンク72から供給されたRxデータを差動信号に変換し、変換により得られた差動信号を構成する部分信号のうちの一方を、スイッチ135及びCECライン84を介してトランスミッタ81に送信し、他方の部分信号を信号線141を介してトランスミッタ81に送信する。
さらに、HDMI(R)シンク72がHDMI(R)ソース71と全二重通信を行う場合、及び半二重通信を行う場合、データの受信時において、復号部136は、トランスミッタ81から送信されてきたTxデータに対応する差動信号を受信し、受信した差動信号を元のデータであるTxデータに復号してHDMI(R)シンク72に出力する。
また、ステップS198において、半二重通信を行わないと判定された場合、すなわち、たとえばチャンネル情報が送信されてこなかった場合、ステップS201において、HDMI(R)シンク72の各部は、CEC信号の送受信を行うことでHDMI(R)ソース71との双方向の通信を行い、通信処理は終了する。
このようにして、HDMI(R)シンク72は、受信したチャンネル情報に応じて、すなわち通信相手であるHDMI(R)ソース71の有する機能に応じて全二重通信または半二重通信を行う。
このように、通信相手であるHDMI(R)ソース71の有する機能に応じて、スイッチ135、スイッチ185、及びスイッチ186を切り替えて送信するデータ、及び受信するデータを選択し、全二重通信または半二重通信を行うことで、従来のHDMI(R)との互換性を保ちつつ、より最適な通信方法を選択して、高速の双方向通信を行うことができる。
また、互いに差動ツイストペア結線されてシールドされ、グランド線に接地されたCECライン84及び信号線141と、互いに差動ツイストペア結線されてシールドされ、グランド線に接地されたSDAライン191及びSCLライン192とが含まれているHDMI(R)ケーブル35により、HDMI(R)ソース71と、HDMI(R)シンク72とを接続することで、従来のHDMI(R)ケーブルとの互換性を保ちつつ、半二重通信方式または全二重通信方式による高速の双方向のIP通信を行うことができる。
以上のように、1または複数の送信するデータのうちのいずれかを送信するデータとして選択し、選択したデータを所定の信号線を介して通信相手に送信し、通信相手から送信されてくる1または複数の受信するデータのうちのいずれかを受信するデータとして選択し、選択したデータを受信するようにすることで、HDMI(R)ソース71とHDMI(R)シンク72との間では、HDMI(R)としての互換性を保ちつつ、つまり、非圧縮の画像の画素データをHDMI(R)ソース71からHDMI(R)シンク72に対して、一方向に高速伝送することができるとともに、HDMI(R)ケーブル35を介して高速の双方向のIP通信を行うことができる。
その結果、HDMI(R)ソース71を内蔵する、たとえば、図2の再生装置33などの電子機器であるソース機器が、DLNA(Digital Living Network Alliance)等のサーバの機能を有し、HDMI(R)シンク72を内蔵する、たとえば、図2のデジタルTV31などの電子機器であるシンク機器が、Ethernet(登録商標)などのLAN用の通信インターフェースを有している場合には、たとえば、直接またはHDMI(R)ケーブルで接続された増幅器32などの電子機器を介した双方向のIP通信によって、ソース機器からシンク機器に、HDMI(R)ケーブルを介してコンテンツを伝送し、さらに、シンク機器から、そのシンク機器のLAN用の通信インターフェースに接続されている他の機器(たとえば、図2のデジタルTV34など)に、ソース機器からのコンテンツを伝送することができる。
さらに、HDMI(R)ソース71とHDMI(R)シンク72との間の双方向のIP通信によれば、HDMI(R)ケーブル35により接続された、HDMI(R)ソース71を内蔵するソース機器と、HDMI(R)シンク72を内蔵するシンク機器との間で、制御のためのコマンドやレスポンスを高速にやりとりすることができ、したがって、レスポンスの速い機器間制御が可能となる。
次に、上述した一連の処理は、専用のハードウェアにより行うこともできるし、ソフトウェアにより行うこともできる。一連の処理をソフトウェアによって行う場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、たとえば、HDMI(R)ソース71やHDMI(R)シンク72を制御するマイクロコンピュータ等にインストールされる。
そこで、図17は、上述した一連の処理を実行するプログラムがインストールされるコンピュータの一実施の形態の構成例を示している。
プログラムは、コンピュータに内蔵されている記録媒体としてのEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-only Memory)305やROM303に予め記録しておくことができる。
あるいはまた、プログラムは、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory),MO(Magneto Optical)ディスク,DVD(Digital Versatile Disc)、磁気ディスク、半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体に、一時的あるいは永続的に格納(記録)しておくことができる。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することができる。
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体からコンピュータにインストールする他、ダウンロードサイトから、デジタル衛星放送用の人工衛星を介して、コンピュータに無線で転送したり、LAN、インターネットといったネットワークを介して、コンピュータに有線で転送し、コンピュータでは、そのようにして転送されてくるプログラムを、入出力インターフェース306で受信し、内蔵するEEPROM305にインストールすることができる。
コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)302を内蔵している。CPU302には、バス301を介して、入出力インターフェース306が接続されており、CPU302は、ROM(Read Only Memory)303やEEPROM305に格納されているプログラムを、RAM(Random Access Memory)304にロードして実行する。これにより、CPU302は、上述したフローチャートにしたがった処理、あるいは上述したブロック図の構成により行われる処理を行う。
ここで、本明細書において、コンピュータに各種の処理を行わせるためのプログラムを記述する処理ステップは、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいは個別に実行される処理(たとえば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含むものである。
また、プログラムは、1のコンピュータにより処理されるものであっても良いし、複数のコンピュータによって分散処理されるものであっても良い。
本実施の形態では、HDMI(R)ソース71とHDMI(R)シンク72との間で、データの選択タイミングや、差動信号の受信タイミング、送信タイミングを必要に応じて制御することにより、双方向のIP通信を行うようにしたが、双方向の通信は、IP以外のプロトコルで行うことが可能である。
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
以上説明した実施形態によれば、双方向通信を行うことができる。特に、たとえば非圧縮の画像の画素データと、その画像に付随する音声データとを、一方向に高速伝送することができる通信インターフェースにおいて、互換性を保ちつつ、高速の双方向通信を行うことが可能となる。
ところで、既に述べた技術と重複する部分もあるが、映像音声機器の多くが双方向番組視聴、高度なリモートコントロール、電子番組表の受信などの目的でLAN通信機能を実装しつつある。
映像音声機器間にそのネットワークを形成する手段としてはCAT5のような専用ケーブルの敷設、無線通信、電灯線通信などの選択肢がある。
しかし、専用ケーブルは機器間の接続を煩雑にするし、無線や電灯線接続には複雑な変調回路と送受信機が高価であるという不利益がある。
そこで、前述した実施形態においては、HDMIに新たなコネクタ電極を追加することなくLAN通信機能を追加する技術が開示されている。
HDMIは1本のケーブルで映像と音声のデータ伝送と接続機器情報の交換及び認証と機器制御データの通信を行うインターフェースであることから、これにLAN機能が追加されて専用ケーブルも無線等も用いることなくLAN通信が可能になることの優位性は大きい。
ところで、前述した実施形態として開示された技術は、LAN通信に用いる差動伝送路が接続機器情報の交換及び認証と機器制御データの通信をかねている。
HDMIにおいては接続機器情報の交換及び認証を行うDDCにも機器制御データの通信を行うCECにも接続機器電気的特性が寄生容量やインピーダンスの点で厳密に制約されている。
具体的には、機器のDDC端子寄生容量は50pF以下でなければならず、インピーダンスはLOW出力時には200Ω以下でグランドGNDに接地されHIGH状態では2kΩ程度で電源にプルアップされている必要がある。
一方、高速の信号を伝達するLAN通信には通信の安定のために送受信端は少なくとも高周波帯域では100Ω程度で終端されていなければならない。
図19は既存のHDMIソース機器401とシンク機器402のDDCラインに常時接続でLAN通信のための送信機404と送信機405をAC結合した状況を示す。
DDCの寄生容量制約を満たすためにはDDCラインに追加されるLAN送受信回路は十分小さな容量を介したAC結合を持つ必要があり、LAN信号が大きく減衰し歪を受けることから、これを補償する送受信回路が複雑で高価になるおそれがある。
また、DDC通信で状態がHIGHとLOWを遷移することはLAN通信を阻害するおそれがある。すなわち、DDC通信期間中はLANが機能しないおそれがある。
そこで、以下では、さらに好適な実施形態として、基本的に、1本のケーブルで映像と音声のデータ伝送と接続機器情報の交換及び認証と機器制御データの通信とLAN通信を行うインターフェースにおいて、LAN通信が1対の差動伝送路を介した双方向通信で行われ、伝送路のうちの少なくとも片方のDCバイアス電位によってインターフェースの接続状態が通知されるという、特徴を有する通信システムについて説明する。
以下に説明する技術では、前述した実施形態のように選択部を必ずしも持つ必要がない。
図18は、伝送路のうちの少なくとも片方のDCバイアス電位によってインターフェースの接続状態が通知される通信システムの第1の構成例を示す回路図である。
図19は、イーサネット(登録商標)(Ethernet(登録商標))が用いられる場合のシステムの構成例を示す図である。
この通信システム400は、図18に示すように、LAN機能拡張HDMI(以下EH)ソース機器401、EHシンク機器402、EHソース機器とEHシンク機器を接続するEHケーブル403、イーサネット(登録商標)トランスミッタ404及びイーサネット(登録商標)レシーバ405を含んで構成されている。
EHソース機器401は、LAN信号送信回路411、終端抵抗412、AC結合容量413,414、LAN信号受信回路415、減算回路416、プルアップ抵抗421、ローパルスフィルタを形成する抵抗422及び容量423、比較器424、プルダウン抵抗431、ローパスフィルタを形成する抵抗432及び容量433、並びに比較器434を有している。
EHシンク機器402は、LAN信号送信回路441、終端抵抗442、AC結合容量443,444、LAN信号受信回路445、減算回路446、プルダウン抵抗451、ローパルスフィルタを形成する抵抗452及び容量453、比較器454、チョークコイル461、並びに電源電位と基準電位間に直列接続された抵抗462及び463を有している。
EHケーブル403の中には、リザーブ(Reserved)ライン501とHPDライン502からなる差動伝送路があり、リザーブライン501のソース側端子511とHPDライン502のソース側端子512、リザーブライン501のシンク側端子521とHPDラインのシンク側端子522が形成されている。リザーブライン501とHPDライン502は、差動ツイストペアとして結線されている。
この場合、リザーブ(Reserved)ライン501のソース側端子511及びHPDライン502のソース側端子512は、第2の送信チャンネルとして機能する。また、リザーブライン501のシンク側端子521及びHPDラインのシンク側端子522は、第2の受信チャンネルとして機能する。
このような構成を有する通信システム400においては、ソース機器401内において端子511と端子512はAC結合容量413、414を介して終端抵抗412、LAN信号送信回路411、及びLAN信号受信回路415に接続される。
減算回路416は、LAN信号送信回路411が出力した電流が終端抵抗412及び伝送路501、502を負荷として生じる送信信号電圧と、EHシンク機器402が送信した信号である受信信号電圧の和信号SG417を受信する。
減算回路416においては、和信号SG412から送信信号SG411を差し引いた信号SG413がシンクから伝送された正味の信号である。
シンク機器402内にも同様の回路網があり、これらの回路によりソース機器4011とシンク機器402が双方向のLAN通信を実行する。
また、HPDライン502は、上述のLAN通信の他にDCバイアスレベルでケーブル403がシンク機器402に接続されたことをソース機器401に伝達する。
シンク機器402内の抵抗462、463とチョークコイル461はケーブル403がシンク機器402に接続されるとHPDライン502を、端子522を介して約4Vにバイアスする。
ソース機器401はHPDライン502のDCバイアスを抵抗432と容量433からなるローパスフィルタで抽出し、比較器434で基準電位Vref2(たとえば1.4V)と比較する。
ケーブル403がソース機器402に接続されていなければ端子512の電位はプルダウン抵抗431で基準電位Vref2より低く、接続されていれば高い。
したがって、比較器434の出力信号SG415がHIGHならばケーブル403とシンク機器402が接続されていることを示す。
一方、比較器434の出力信号SG415がLOWならばケーブル403とシンク機器402が接続されていないことを示す。
本第1の構成例ではさらに、リザーブライン501のDCバイアス電位でケーブル403の両端に接続された機器がEH対応機器であるか、非対応のHDMI機器であるかを相互に認識する機能を有する。
EHソース機器401はリザーブライン501を抵抗421でプルアップ(+5V)し、EHシンク機器402は抵抗451でプルダウンする。
これらの抵抗421,451はEH非対応機器には存在しない。
EHソース機器401は、比較器424で、抵抗422及び容量423からなるローパスフィルタを通過したリザーブライン501のDC電位を基準電圧Vref1と比較する。
シンク機器402が、EH対応でプルダウンがあるときには、リザーブライン501電位が2.5Vとなり、非対応で開放のときは5Vとなるので基準電位Vref1を3.75Vとすればシンク機器の対応・非対応が識別できる。
シンク機器402は、比較器454で、抵抗452及び容量453からなるローパスフィルタを通過したリザーブライン501のDC電位を基準電圧Vref3と比較する。
ソース機器402が、EH対応でプルアップ機能を持てば2.5Vとなり、非対応であれば0Vとなるから、基準電位を1.25Vとすればソース機器のEH対応・非対応が識別できる。
このように、本第1の構成例によれば、1本のケーブル403で映像と音声のデータ伝送と接続機器情報の交換及び認証と機器制御データの通信とLAN通信を行うインターフェースにおいて、LAN通信が1対の差動伝送路を介した双方向通信で行われ、伝送路のうちの少なくとも片方のDCバイアス電位によってインターフェースの接続状態が通知されることから、物理的にSCLライン、SDAラインをLAN通信につかわない空間的分離を行うことが可能となる。
その結果、その分割によりDDCに関して規定された電気的仕様と無関係にLAN通信のための回路を形成することができ、安定で確実なLAN通信が安価に実現できる。
なお、図18に示したプルアップ抵抗421が、EHソース機器401内ではなく、EHケーブル403に設けられているようにしてもよい。そのような場合、プルアップ抵抗421の端子のそれぞれは、EHケーブル403内に設けられたラインのうち、リザーブライン501、及び電源(電源電位)に接続されるライン(信号線)のそれぞれに接続される。
さらに、図18に示したプルダウン抵抗451及び抵抗463がEHシンク機器402内ではなく、EHケーブル403に設けられているようにしてもよい。そのような場合、プルダウン抵抗451の端子のそれぞれは、EHケーブル403内に設けられたラインのうち、リザーブライン501、及びグランド(基準電位)に接続されるライン(グランド線)のそれぞれに接続される。また、抵抗463の端子のそれぞれは、EHケーブル403内に設けられたラインのうち、HPDライン502、及びグランド(基準電位)に接続されるライン(グランド線)のそれぞれに接続される。
図20は、伝送路のうちの少なくとも片方のDCバイアス電位によってインターフェースの接続状態が通知される通信システムの第2の構成例を示す回路図である。
この通信システム600は、基本的に第1の構成例と同様に、1本のケーブルで映像と音声のデータ伝送と接続機器情報の交換及び認証と機器制御データの通信とLAN通信を行うインターフェースにおいて、LAN通信が2対の差動伝送路を介する単方向通信でおこなわれ、伝送路のうちの少なくともひとつのDCバイアス電位によってインターフェースの接続状態が通知さてる構成を有し、さらに、少なくとも二つの伝送路がLAN通信とは時分割で接続機器情報の交換と認証の通信に使われることを特徴とする。
この通信システム600は、図20に示すように、LAN機能拡張HDMI(以下EH)ソース機器601、EHシンク機器602、EHソース機器とEHシンク機器を接続するEHケーブル603を含んで構成されている。
EHソース機器601は、LAN信号送信回路611、終端抵抗612,613、AC結合容量614〜617、LAN信号受信回路618、インバータ620、抵抗621、ローパルスフィルタを形成する抵抗622及び容量623、比較器624、プルダウン抵抗631、ローパスフィルタを形成する抵抗632及び容量633、比較器634、NORゲート640、アナログスイッチ641〜644、インバータ635、アナログスイッチ646,747、DDCトランシーバ651,652、並びにプルアップ抵抗653,654を有している。
EHシンク機器602は、LAN信号送信回路661、終端抵抗662,663、AC結合容量664〜667、LAN信号受信回路668、プルダウン抵抗671、ローパルスフィルタを形成する抵抗672及び容量673、比較器674、チョークコイル681、電源電位と基準電位間に直列接続された抵抗682及び683、アナログスイッチ691〜694、インバータ695、アナログスイッチ696,697、DDCトランシーバ701,702、並びにプルアップ抵抗703を有している。
EHケーブル603の中には、リザーブライン801とSCLライン803からなる差動伝送路とSDAライン804とHPDライン802からなる差動伝送路があり、それらのソース側端子811と〜814、並びにシンク側端子821〜824が形成されている。
リザーブライン801とSCLライン803、並びにSDAライン804とHPDライン802は、差動ツイストペアとして結線されている。これらに接続される端子811〜814が、第2の送信チャンネルとして機能する。
このような構成を有する通信システム600においては、ソース機器601内で端子811、813はAC結合容量614、615及びアナログスイッチ641、642を介してLAN送信信号SG611をシンクに送信する送信回路611及び終端抵抗612に接続する。
端子814,812は、AC結合容量616,617とアナログスイッチ643、644を介してシンク機器602からのLAN信号を受信する受信回路618及び終端抵抗613に接続する。
シンク機器602内では、端子821〜824はAC結合容量664,665,666,667とアナログスイッチ691〜694を介して送受信回路668、661と終端抵抗662,663に接続する。
アナログスイッチ641〜644、691〜694はLAN通信を行うときに導通し、DDC通信を行うときは開放にする。
ソース機器601は、端子813と端子814を、別のアナログスイッチ646、647を介してDDCトランシーバ651、652及びプルアップ抵抗653、654に接続する。
シンク機器602は、端子823と端子824を、アナログスイッチ696、697を介してDDCトランシーバ701、702及びプルアップ抵抗703に接続する。
アナログスイッチ646、647,696,697はDDC通信を行うときに導通し、DLAN通信を行うときは開放にする。
リザーブライン801の電位によるEH対応機器の認識機構は、ソース機器601の抵抗62がインバータ620に駆動されていること以外は、基本的に、第1の構成例の場合と同じである。
インバータ620の入力がHIGHのとき抵抗621はプルダウン抵抗となるのでシンク機器602からみるとEH非対応機器がつながれたのと同じ0V状態になる。
この結果、シンク機器602のEH対応識別結果を示す信号SG623はLOWとなり、信号SG623で制御されるアナログスイッチ691〜694は開放され、信号SG623をインバータ695で反転した信号で制御されるアナログスイッチ696、697は導通する。
この結果、シンク機器602はSCLライン803とSDAライン804をLAN送受信機から切り離し、DDC送受信機に接続した状態になる。
一方、ソース機器601ではインバータ620の入力がNORゲート640にも入力されてその出力SG614をLOWにする。
NORゲート640の出力信号SG614に制御されたアナログスイッチ641〜6444は開放され、信号SG614をインバータ645で反転した信号で制御されるアナログスイッチ646、647は導通する。
この結果、ソース機器601もSCLライン803とSDAライン804をLAN送受信機から切り離し、DDC送受信機に接続した状態になる。
逆に、インバータ620の入力がLOWのときは、ソース機器601もシンク機器602もともにSCLライン803とSDAライン804をDDC送受信機から切り離し、LAN送受信機に接続した状態になる。
HPDライン802のDCバイアス電位による接続確認のための回路631〜634、681〜683は第1の構成例と同様の機能を有する。
すなわち、HPDライン802は、上述のLAN通信の他にDCバイアスレベルでケーブル803がシンク機器602に接続されたことをソース機器601に伝達する。
シンク機器602内の抵抗682、683とチョークコイル681はケーブル603がシンク機器602に接続されるとHPDライン802を、端子822を介して約4Vにバイアスする。
ソース機器601はHPDライン802のDCバイアスを抵抗632と容量633からなるローパスフィルタで抽出し、比較器634で基準電位Vref2(たとえば1.4V)と比較する。
ケーブル603がソース機器602に接続されていなければ端子812の電位はプルダウン抵抗631で基準電位Vref2より低く、接続されていれば高い。
したがって、比較器634の出力信号SG613がHIGHならばケーブル803とシンク機器602が接続されていることを示す。
一方、比較器634の出力信号SG613がLOWならばケーブル603とシンク機器602が接続されていないことを示す。
このように、本第2の構成例によれば、1本のケーブルで映像と音声のデータ伝送と接続機器情報の交換及び認証と機器制御データの通信とLAN通信を行うインターフェースにおいて、LAN通信が2対の差動伝送路を介する単方向通信でおこなわれ、伝送路のうちの少なくともひとつのDCバイアス電位によってインターフェースの接続状態が通知さてる構成を有し、さらに、少なくとも二つの伝送路がLAN通信とは時分割で接続機器情報の交換と認証の通信に使われることから、SCLライン、SDAラインをスイッチでLAN通信回路に接続する時間帯とDDC回路に接続する時間帯に分ける時分割を行うことができ、この分割によりDDCに関して規定された電気的仕様と無関係にLAN通信のための回路を形成することができ、安定で確実なLAN通信が安価に実現できる。
なお、図20に示した抵抗621が、EHソース機器601内ではなく、EHケーブル603に設けられているようにしてもよい。そのような場合、抵抗621の端子のそれぞれは、EHケーブル603内に設けられたラインのうち、リザーブライン801、及び電源(電源電位)に接続されるライン(信号線)のそれぞれに接続される。
さらに、図20に示したプルダウン抵抗671及び抵抗683がEHシンク機器602内ではなく、EHケーブル603に設けられているようにしてもよい。そのような場合、プルダウン抵抗671の端子のそれぞれは、EHケーブル603内に設けられたラインのうち、リザーブライン801、及びグランド(基準電位)に接続されるライン(グランド線)のそれぞれに接続される。また、抵抗683の端子のそれぞれは、EHケーブル603内に設けられたラインのうち、HPDライン802、及びグランド(基準電位)に接続されるライン(グランド線)のそれぞれに接続される。
以上説明したように、図2〜図17に関連付けた実施形態では、HDMI19極の中のSDAとSCLを第1の差動ペアとし、CECとReservedを第2のペアとして各々で単方向通信を行なう全二重通信が実現されていた。
ところが、SDAとSCLはHが1.5KΩプルアップでLがローインピーダンスのプルダウンであり、CECもHが27KΩプルアップでLがローインピーダンスのプルダウンの通信を行なうものである。
既存HDMIとのコンパチビリティを持つためにそれらの機能を保持することは、伝送線路の終端を整合終端する必要がある高速データ通信を行なうLANの機能を共有することは困難となるおそれがある。
そこで、第1の構成例では、SDA、SCL、CECラインを使うのを避けてReservedとHPDを差動のペアとして1対双方向通信による全二重通信を行うように構成した。
HPDはDCレベルによるフラグ信号であるからAC結合によるLAN信号の注入とDCレベルによるプラグ情報の伝送は両立する。Reservedには新たにHPDと類似の方法でDCレベルによるLAN機能を持つ端末であることを相互に認識する機能を追加する。
第2の構成例では、HPDとSDAとSCLとReservedで2対の差動ペアをつくり各々で単方向通信を行なう2対全二重通信を行うように構成した。
HDMIにおいてSDAとSCLによるバースト状のDDC通信は常に送信機がマスターとなりそのタイミングを制御している。
この例では、送信機がDDC通信をするときはSDA、SCLラインをDDC用のトランシーバに接続し、DDC通信を行わないときはラインをLAN用のトランシーバに接続するようにアナログスイッチを操作する。
このスイッチ操作信号はReservedラインのDCレベルで受信機にも伝達され、受信機側でも同様のSW切り替えを行う。
以上の構成を採用することにより、第1の効果としてはSCL、SDA、CEC通信がLAN通信によるノイズを受けることが無くなり、常に安定なDDCとCECの通信が確保できる。
それは、第1の構成例ではLANを物理的にそれらのラインから分離したこと、第2の構成例では、スイッチにてDDC通信中はLAN信号をラインからは切断することにより達成される。
第2の効果としてはLAN通信が理想的な終端をもつラインで行われるのでマージンの大きい安定な通信が可能になること。
これは第1の構成例ではLAN信号がReserved ,HPDというDCでベルしか伝達しないラインに重畳されるためLAN通信に必要な十分広い周波数にわたって終端インピーダンスを理想値に保つことができるのであり、第2の構成例ではLAN通信を行う時にだけスイッチによりDDC通信には許されないLAN用の終端回路が接続されるからである。
図21のA〜Eは、本構成例の通信システムにおける双方向通信波形を示す図である。
図21のAはEHシンク機器から送った信号波形を、図21のBはEHシンク機器が受けた信号波形を、図21のCはケーブルを通る信号波形を、図21のDはEHソース機器が受けた信号を、図21のEはEHソース機器から送った信号波形を、それぞれ示している。
図22は、本発明の一実施の形態に係るフレームレート変換システムの構成を示すブロック図である。
このフレームレート変換システムは、送信装置としての再生装置151と、この再生装置151にケーブル4を介して接続された、受信装置としての表示装置161とを含む。再生装置151及び表示装置161は分離されている。再生装置151として、例えば、ディスクプレーヤ、デジタルチューナ、カメラ一体型VTR、圧縮符号化されたデータを復号する復号装置等、様々なSTB(Set Top Box)が挙げられる。表示装置161は、例えば、TV、ディスプレイデバイス等である。
再生装置151は、復号部152及び送信インターフェース153を含む。例えば、MPEG(Moving Picture Experts Group)等、動きベクトルを用いた圧縮符号化方式で符号化された符号化映像データが、復号部152に供給される。圧縮符号化方式は、MPEGに限られず、後述のように動きベクトルが用いられるものであれば、何でもよい。復号部152は、例えばMPEG規格のデコーダである。
復号部152内では、周知のように、量子化変換係数、動きベクトル、復号した各ピクチャの予測補償の形態を示す識別子、復号したピクチャの表示順序を示す識別子等が、可変長復号化回路(図示略)によって復号される。また、復号部152内では、復号されたそれらの情報が逆量子化回路や動き補償回路(図示略)に供給される。予測補償の形態を示す識別子は、画像内予測(Iピクチャ)、順方向予測(Pピクチャ)、双方向予測(Bピクチャ)のうちのいずれであるかを示す。これら量子化変換係数、動きベクトル、予測補償の形態を示す識別子、表示順序を示す識別子のうち、動きベクトルと、予測補償の形態を示す識別子と、表示順序を示す識別子とが、参照制御情報として送信インターフェース203に供給される。
送信インターフェース153は、復号部152により復号された映像データを受け取り、この映像データ及び上記参照制御情報を、ケーブル4を介して表示装置161に送信する。送信インターフェース153は、例えば上記したHDMIソース71(図3参照)、EHソース401(図18参照)及びEHソース601(図20参照)のうちいずれか1つで構成される。
ケーブル4は、例えば上記したHDMIケーブル35(図3参照)、EHケーブル403(図18参照)及びEHケーブル603(図20参照)のうちいずれか1つが用いられる。
再生装置151は、CPU41、RAM42、ROM43等の必要な回路を有する。上記した再生装置151内の各ブロックは、CPU41による制御にしたがって機能する。
表示装置161は、受信インターフェース163及びフレームレート変換部162を含む。フレームレート変換部162は、映像バッファ164、動きベクトルバッファ165、補間ベクトル生成部166、補間フレーム生成部167及びセレクタ168を含む。
受信インターフェース163は、ケーブル4に接続され、ケーブル4を介して再生装置151から送信された映像データを受信する。受信インターフェース163は、例えば上記HDMIシンク72、EHシンク402及びEHシンク602のうちいずれか1つで構成される。
送信インターフェース153は、復号された映像データ(その他音声データ、補助データ等も)を、上記第1の送信チャンネルとしてのTMDSチャンネルを用いて送信する。送信インターフェース153は、一方、上記第2の送信チャンネルとしての高速データラインを用いて参照制御情報を送信する。
つまり、ケーブル4がHDMIケーブル35である場合、高速データラインとは、CECライン及びHPDラインのうち少なくとも一方である。ケーブル4がEHケーブル403である場合、高速データラインとは、リザーブライン501及びHPDライン502のうち少なくとも一方である。あるいは、ケーブル4がEHケーブル603である場合、高速データラインとは、リザーブライン801及びSCLラインの組合せ、SDAライン及びHPDラインの組合せのうち少なくとも一方である。
受信インターフェース163は、参照制御情報が分離された映像データと、参照制御情報中の、各ピクチャについての予測補償の形態の識別子及び表示順序の識別子とを、実フレームのピクチャとして映像バッファ164に供給する。また、受信インターフェース163は、参照制御情報中の動きベクトルを、動きベクトルバッファ165に供給する。さらに、受信インターフェース163は、参照制御情報を用いて、表示装置161内の各部を制御する制御信号を出力する。
表示装置161は、CPU51、RAM52、ROM53等、必要な回路を有する。表示装置161内の各ブロックは、CPU51による制御にしたがって機能する。
受信インターフェース163は、参照制御情報のうち、例えば予測補償の形態を示す識別子及び表示順序を示す識別子を出力し、これがCPU51に供給されてもよい。この場合、CPU51が上記制御信号を生成する。
補間ベクトル生成部166は、動きベクトルバッファ165に記憶された動きベクトルのうち、補間フレームの前後の実フレームのピクチャの予測に用いられた動きベクトルを用いて、補間ベクトルを生成する。例えば、動きベクトルの長さは実フレーム間の時間間隔に対応した長さである。また、ハイフレームレートの表示では実フレームに挟まれるようにして補間フレームを生成する。したがって、補間ベクトル生成部166は、動きベクトルを実フレームと補間フレームの時間間隔に比例した長さに変換する等して補間ベクトルを生成する。
補間フレーム生成部167は、補間フレームの前後の実フレームのピクチャを映像バッファ164から前述の識別子に基づいて読み出す。そして、補間フレーム生成部167は、補間ベクトル生成部166が生成した補間ベクトルを用いて、それらのピクチャに挟まれる補間フレームを予測によって生成する。
セレクタ168は、変換後のフレームレートに合わせた表示タイミングで、映像バッファ164内のピクチャ(実フレーム)と、補間フレーム生成部167が生成した補間フレームとのうちの一方ずつのフレームを選択して出力する。このようにしてセレクタ168から出力される、ハイフレームレート化が実行された映像データは、表示装置161内の図示しない表示駆動回路に供給されて、表示装置161に画面表示される。
映像バッファ164内のピクチャのうち、セレクタ168に選択され、かつ補間フレームの生成にも不要となったピクチャは、受信インターフェース163から新たに供給されるピクチャにより上書きされる等して消去される。また、動きベクトルバッファ165内の動きベクトルのうち、補間ベクトルの生成に不要となった動きベクトルも、受信インターフェース163から新たに供給される動きベクトルにより上書きされる等して消去される。
次に、以上のように構成されたフレーム変換システムの動作を説明する。図23は、再生装置151の処理を示すフローチャートであり、図24は、表示装置161の処理を示すフローチャートである。
図23に示すように、再生装置151では、復号部152が、一定量の符号化映像データを復号する(ステップS1)。復号された映像データと、復号時に得られた参照制御情報(動きベクトル及び前述の識別子)は、送信インターフェース153に供給され、送信インターフェース153はこれらを表示装置161に送信する(ステップS2)。その後、ステップS1に戻り、次の一定量の符号化映像データについての処理が繰り返される。
図24に示すように、表示装置161では、受信インターフェース163が、送信された映像データ及び参照制御情報を受信する(ステップS21)。
映像データに、参照制御情報中の各ピクチャについての予測補償の形態の識別子及び表示順序の識別子がそれぞれ付加されて、これが映像バッファ164に記録される(ステップS22)。ステップS22において、映像バッファ164内に不要になったピクチャがある場合には、その不要なピクチャは上書きにより消去される。また、参照制御情報中の動きベクトルは、動きベクトルバッファ165に記録される(ステップS23)。ステップS22において、動きベクトルバッファ165内に不要になった動きベクトルがある場合には、その不要なピクチャは上書きにより消去される。
続いて、CPU51は、補間フレームを生成するために必要な量のピクチャが映像バッファ164に記録されたか否かを判定する(ステップS24)。NOであった場合には、ステップS21に戻ってステップS21〜S24の処理が繰り返される。
このステップS24は、次のような意味を持っている。補間フレームを生成する場合には、前後の実フレームのピクチャが用いられるので、補間フレームの後に表示される実フレームのピクチャも必要である。例えば、図25に示すように、補間フレーム生成部167は、実フレームであるIピクチャとB1ピクチャとの間のC1という補間フレームを、動きベクトルを用いて生成するとする。この場合、Iピクチャ、B1ピクチャ、動きベクトル73を半分にした補完ベクトルが必要となる。動きベクトル73は、IとB1との間の動きベクトルである。
また、Iピクチャが表示装置161に入力された後、映像バッファ164からそれが読み出されるまでには遅延時間T1が存在する。さらに、補間フレームC1を生成するための時間T2が必要になる。したがって、表示装置161が補間フレームC1を表示できるのは、実フレームのB1ピクチャが入力された時間とB2ピクチャが入力された時間との間になる。
実フレームであるB1ピクチャとB2ピクチャとの間に、C2という補間フレームが生成される場合や、実フレームであるB2ピクチャとPピクチャとの間に、C3という補間フレームが生成される場合も、上記と同様である。
なお、図25の例では、B1ピクチャが映像バッファ164に記録されるタイミングと、Iピクチャが表示されるタイミングが同じになっている。同様に、B2ピクチャが記録されるタイミングと、B1ピクチャが記録されるタイミング等も同じになっている。もちろんこれらのタイミングは同じでなくてもよい。
図25の例では、直近の前後の実フレームを用いて補間フレームが生成された。しかし、さらに時間的に離れた実フレームが用いられてもよい。例えば、図25に示すように、補間フレームC1を生成するために、I及びB2の間の動きベクトル76を4分の1にした補間ベクトルと、B2ピクチャとが用いられればよい。あるいは、I及びPの間の動きベクトル78を6分の1にした補間ベクトルと、Pピクチャとが用いられてもよい。これらの場合には、さらに、補間フレームが表示されるタイミングが遅れることになる。
そこで、図24のステップS24においては、補間フレームの生成に必要な量のピクチャが記録されたか否かが判定される。そのピクチャの量が不十分な場合には、ステップS21〜S24の処理が繰り返される。
このステップS24においてYESの場合、補間ベクトル生成部166は、動きベクトルバッファ165に記録された動きベクトルのうち、補間フレームの前後の実フレームのピクチャの予測に用いられた動きベクトルを用いて補間ベクトルを生成する(ステップS25)。
続いて、補間フレーム生成部167は、補間フレームの前後の実フレームのピクチャを映像バッファ164から識別子に基づいて読み出し、補間ベクトル生成部166により生成された補間ベクトルを用いて、それらのピクチャに挟まれる補間フレームを予測によって生成する(ステップS26)。
セレクタ168は、変換後のフレームレートに合わせた表示タイミングで、映像バッファ164内のピクチャと、補間フレーム生成部167により生成された補間フレームとのうちの一方ずつのフレームを選択して出力する(ステップS27)。その後ステップS21に戻る。
以上のように、本実施の形態では、第1の送信チャンネル及び第2の受信チャンネルを結ぶラインを介して参照制御情報が送信される。これにより、ブランキングエリアに参照制御情報が重畳される場合に比べ、(単位時間当りの)参照制御情報の送信データ量を多くすることができる。
また、送信インターフェース153及び受信インターフェース163がHDMIである場合、従来では、CECラインにより各種の制御情報が送信されていた。しかし、本実施の形態に係るフレームレート変換システムは、このような第2の送信チャンネル及び第2の受信チャンネルを結ぶ高速データラインを介して、それら各種の制御情報を送受信することができる。
本実施の形態では、復号部152を備えた再生装置151と、フレームレート変換部167を備えた表示装置161とが分離されている場合であっても問題なくフレームレート変換することができる。つまり、表示装置161は、フレームレート変換後の次のフレームを表示するまでの限られた時間内に動きベクトル検出を行うための高い処理能力を持つ検出ユニットや、その検出処理のための電力消費を必要とすることなく、動きベクトルを用いて自然な補間フレームを生成してフレームレートを変換することができる。
本実施の形態では、再生装置151の側で補間フレームを生成しないので、再生装置151と表示装置161とを接続するケーブル4として、ハイフレームレート映像に対応した高い伝送データ量のケーブルを用いる必要もなくなる。
本実施の形態では、表示装置161が復号しないので、動きベクトルを用いた各種の符号化方式に対応した再生装置(復号部152の代わりに、MPEG以外の動きベクトルを用いた符号化方式に対応した復号部が設けられ、その復号部から、映像データ及び参照制御情報が送信インターフェース153へ供給されるように構成された再生装置)からの出力映像データが、表示装置に入力されてハイフレームレート化を実現することができる。
本実施の形態では、再生装置151は、映像データを送信する第1の送信チャンネルとは別に、その参照制御情報を送信する第2の送信チャンネルを有する。これにより再生装置151は、大容量の参照制御情報を送信することが可能となる。従来では、参照制御情報が映像データのブランキングエリアに重畳される場合、そのブランキングエリア内のデータの許容量の観点から、参照制御情報が圧縮されてブランキングエリアに重畳される場合もあった。しかし、そのような参照制御情報の圧縮のための回路及び消費電力が不要となる。
図26は、本発明の他の実施の形態に係るフレームレート変換システムの構成を示すブロック図である。これ以降の説明では、図22等に示した実施の形態に係るフレームレート変換システムが含むブロックや機能等について同様のものは説明を簡略化または省略し、異なる点を中心に説明する。
このフレームレート変換システムは、再生装置201及び表示装置231を含む。
再生装置201の送信インターフェース203は、スイッチ204(204a、204b)、重畳部205、制御部206、第1の送信チャンネル207及び第2の送信チャンネル208を有する。
重畳部205は、復号部202から供給された、復号された映像データのブランキングエリアに、上述した参照制御情報を重畳する回路である。重畳部205によってこの参照制御情報が重畳された映像データは、第1の送信チャンネル207及びケーブル4を介して表示装置231に送信される。
重畳部205、スイッチ204a、204bは、送信インターフェース203内に設けられている必要はなく、例えば、送信インターフェース203外であって、再生装置201に設けられていてもよい。
送信インターフェース203がHDMIである場合、第1の送信チャンネル207は、TMDSの送信チャンネルであり、第2の送信チャンネル208は、高速データラインに対応するチャンネルである。高速データラインの構成は、上述した通りである。
制御部206は、所定のタイミングで、スイッチ204を用いて、重畳部205による重畳処理と、重畳部205による重畳処理をしないで、入力された映像データをそのまま第1の送信チャンネル207から送信する処理とを切り替える。
制御部206は、スイッチ204aを重畳部205に接続させるときは、スイッチ204bも重畳部205に接続させる。反対に、制御部206は、スイッチ204aを重畳部205に接続させないときは、映像データを第1の送信チャンネル207から送信し、かつ、スイッチ204bも重畳部205に接続させないで参照制御情報を第2の送信チャンネル208から送信する。あるいは、スイッチ204b(204a)は、スイッチ204a(204b)に連動して、ラインをそのようにスイッチングしてもよい。
以下、スイッチ204a及び204bが重畳部205に接続されている状態を便宜的に状態Aといい、そうでない場合を状態Bという。
表示装置231の受信インターフェース233は、分離部235、第1の受信チャンネル237及び第2の受信チャンネル238を有する。
分離部235は、第1の受信チャンネル237で受信された映像データのブランキングエリアから、参照制御情報を分離する回路である。映像データのブランキングエリアに参照制御情報が重畳されていない場合、入力された映像データがそのままフレームレート変換部162へ供給される。また、受信インターフェース233は、映像データのブランキングエリアに参照制御情報が重畳されていない場合、第2の受信チャンネル238を介して参照制御情報を受信する。
分離部235は、受信インターフェース233内に設けられている必要はなく、例えば、受信インターフェース233外であって、表示装置231内に設けられていてもよい。
受信インターフェース233がHDMIである場合、第1の受信チャンネル237は、TMDSの受信チャンネルであり、第2の受信チャンネル238は、高速データラインである。
送信インターフェース203及び受信インターフェース163がHDMIである場合、次に述べるようにして参照制御情報が映像データに重畳されればよい。
図27は、HDMIにおける、ビデオフレーム中のオーディオ/AUXの送信期間であるデータアイランドエリアの例(アクティブビデオが720×480ピクセルの場合の例)を示す図である。各アクティブラインの138ピクセル分の水平ブランキングエリアと、45ライン分の垂直ブランキングエリアとのそれぞれ所定のピクセル位置に、データアイランドエリアとが分散して位置している。
図22の再生装置151及び表示装置161が、HDMI規格に則って映像データを送受信する(それぞれHDMIソース、HDMIシンク)場合には、重畳部205及び分離部235が、それぞれ、HDMIトランスミッタ81及びHDMIレシーバ82(図3参照)の一部として構成されてもよい。重畳部205が、図27のデータアイランドエリアにAUXデータの一種として参照制御情報を重畳し、分離部235が、このデータアイランドエリアから参照制御情報を分離すればよい。
次に、以上のように構成された、図26に示したフレームレート変換システムの動作を説明する。図28は、再生装置201の処理を示すフローチャートである。図29は、表示装置231の処理を示すフローチャートである。
復号部152が、一定量の符号化映像データを復号する(ステップS31)。CPU41は、例えば参照制御情報のデータ量が、ブランキングエリアに重畳され得る、参照制御情報の許容データ量を超えるか否かを判定する(ステップS32)(判定手段)。例えばCPU41は、映像データの1フレーム分(または複数フレームごとの)の水平及び垂直ブランキングエリア内に定められた所定のピクセル位置に、例えばその1フレーム分の映像データの参照制御情報が収まるか否かを判定する。
参照制御情報のデータ量が、ブランキングエリアに重畳され得る、参照制御情報の許容データ量を超えない場合、制御部206は、スイッチ204を状態Aとする。これにより、制御部206は、ブランキングエリアに参照制御情報を重畳して、この映像データを第1の送信チャンネル207から送信する(ステップS33)。
参照制御情報のデータ量が、ブランキングエリアに重畳され得る、参照制御情報の許容データ量を超える場合、制御部206は、スイッチ204を状態Bとする。これにより、復号された映像データがそのまま第1の送信チャンネル207から送信され、かつ、復号時に得られる参照制御情報が第2の送信チャンネル208から送信される(ステップS34)。
ここで、再生装置201と表示装置231とがネットワークを介して接続されることも想定される。第2の送信チャンネル208及び第2の受信チャンネル238が、例えばイーサネット(登録商標)の場合、ネットワークはLANである。このように、第2の送信チャンネル208と第2の受信チャンネル238との間にネットワークが接続されている場合、そのネットワークに輻輳が発生する可能性がある。そこで、ステップS5において、制御部206は、そのネットワークに輻輳が発生しているか否かを判定する(ステップS35)(判定手段)。輻輳が発生していない場合、ステップS34の処理を続行する。輻輳が発生している場合、CPU41はステップS32の処理に戻る。
なお、ネットワークに輻輳が発生したか否かの判定は、パケットロスの回数または率、あるいは遅延時間等に応じて判定されればよい。あるいは輻輳が発生したか否かの判定は、その他の公知の方法によって実行されてもよい。また、送信装置は、輻輳の定義をユーザが選択または設定できるようにカスタマイズ可能とされてもよい。
図29に示すように、表示装置231では、第1の受信チャンネル237で受信された映像データに参照制御信号が重畳されている場合は、分離部235により映像データから参照制御情報が取り出される(ステップS51a)。ステップS52〜57は、図24で示したステップS22〜27と同様の処理である。第1の受信チャンネル237で受信された映像データに参照制御信号が重畳されていない場合、第2の受信チャンネル238を介して参照制御情報が受信される(ステップS51b)。
以上のように、参照制御情報の経路が適宜切り替えられるので、再生装置201は、参照制御情報を効率良く送信することができる。
本発明に係る実施の形態は、以上説明した実施の形態に限定されず、他の種々の実施形態が考えられる。
フレームレート変換システムは、図3に示した構成に限られない。例えば、図3において、表示装置161の代わりとして、少なくともフレームレートの変換の機能を備える装置(PC(Personal Computer)等も含む)が用いられればよい。この場合、そのフレームレート変換装置に表示装置が接続されればよい。
上記第2のチャンネルとしての高速データラインとしては、イーサネット(登録商標)を例に挙げたが、例えばATM(Asynchronous Transfer Mode)、DTM(Dynamic synchronous Transfer Mode)等のプロトコル、Wi-Fi等の無線によるプロトコル、あるいはUSB(Universal Serial Bus)であってもよい。あるいは、送信インターフェース203及び受信インターフェース163が無線によるインターフェースとされてもよい。HDMIが無線によるものであってもよい。
図28に示したフローチャートは、ステップS35の判定処理がなく、ステップS34で終了する処理であってもよい。あるいは、再生装置201の送信処理のデフォルトが、第2の送信チャンネル208を用いた参照制御情報の送信処理であり(重畳処理なし)、必要に応じて(例えばステップS32の判定処理により)ステップS23が実行されてもよい。
最後に、図26〜図29で説明した実施の形態の変更例を、以下に挙げることにする。
上記実施の形態では、再生装置201の重畳部205は、参照制御情報を非圧縮で映像データのブランキングエリアに重畳していた。しかし、重畳部205は、参照制御情報を圧縮して映像データのブランキングエリアに重畳し、表示装置231の分離部235が、映像データのブランキングエリアから分離した参照制御情報を伸張するようにしてもよい。これにより、送信される信号の限られたブランキングエリアの帯域を効率的に利用することが可能となる。
上記実施の形態では、全ての動きベクトルが映像データのブランキングエリアに重畳された。そうではなく、例えばマクロブロックの差分が小さい動きベクトルのような有効な動きベクトルだけが映像データのブランキングエリアに重畳されてもよい。これにより、複数の映像からの動きベクトルによって高効率で圧縮を行うMPEG-4等が扱われる場合に、送信される信号の限られたブランキングエリアの帯域を効率的に利用することが可能となる。
再生装置201が表示装置231に映像データ等を送信するだけでなく、逆に、表示装置231内のCPU51が再生装置201に制御信号を送ってもよい。これにより、再生装置201がその制御信号を受信し、再生の開始を指示したり、参照制御情報の送信の可否を確認したり、その受信の可否を指示したり、その伝送データ量を指示してもよい。例えば、HDMI規格に則った機器は、前述のようにCECプロトコルの双方向制御用の制御信号を送信することができるので、このCECプロトコルによって再生装置201に制御信号を送ってもよい。これにより、上記実施の形態を適用した機器同士の間だけで参照制御情報が送信されたり、動的に伝送データ量が制御されることが可能となる。
表示装置231が再生装置201からの映像データを受信し、表示装置231が、その受信された映像データ以外の映像を表示している場合でも、分離部235がその入力映像データから参照制御情報を分離してもよい。そして、表示装置231は、予測補償の形態の識別子及び表示順序の識別子を付加した映像データを映像バッファ164に記録させ、動きベクトルを動きベクトルバッファ165に記録させるようにすればよい。これにより、表示装置231は、その後、その入力映像データのハイフレームレート化を実行して表示する際に、図25にT1として示した遅延時間を待つ必要がなくなるので、迅速に映像を表示することができる。
圧縮符号化映像データの復号の順序と復号したピクチャの表示順序とが同じであるような場合や、表示装置231が復号したピクチャの表示順序を一義的に分かっているような場合には、表示順序の識別子が参照制御情報に含まれなくてもよい。また、各ピクチャの予測補償の形態(Iピクチャ、Pピクチャ、Bピクチャのうちのいずれであるか等)が動きベクトルそのものから判明するような場合には、予測補償の形態の識別子が参照制御情報に含まれなくてもよい。
なお、これまで説明した映像の「フレーム」には、「フィールド」の概念も含まれる。例えば図28に示したステップ32の判定処理における許容データ量が、1または複数フィールドごとの許容データ量として設定されていてもよい。