JP4828030B2 - 高温計測用半導体式圧力センサ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧力を検出する気体や液体の被圧力検出体に薬品剤が入っていてもその薬品環境下での影響を受けることなく高感度で圧力を検出する高温計測用半導体式圧力センサに関する。
【0002】
【従来の技術】
高温計測用半導体式圧力センサは、高温の気体や液体の流体圧力を検出するもので、例えば、ポリマ溶融体の流体圧力検出のため射出成形機や、排圧力検出のためガスタービンエンジンなどに取り付けられ利用されている。
【0003】
従来の高温計測用半導体式圧力センサは、例えば、特表平5−507150号公報に記載されたものがあり、図2は、従来の高温計測用半導体式圧力センサ30の取付外観図を示す。
【0004】
図2に示すように、高温計測用半導体式圧力センサ30は、高温の気体や液体を搬送する搬送管などに設ける圧力センサ取付部39に取り付けられ、矢印Pに示すように加わる流体圧力を検出するものである。
【0005】
図3は、従来の高温計測用半導体式圧力センサ30の断面図を示す。
【0006】
図3に示すように、高温計測用半導体式圧力センサ30は、円柱形状のセラミックのボディー本体部31と、ボディー本体部31の端部に接合層32を介し取り付けられ気体や液体の流体圧力を受ける円形薄板形状の結晶質サファイアダイアフラム33と、ボディー本体部31に形成される凹部31aの位置で結晶質サファイアダイアフラム33に積層される感圧抵抗素子34と、感圧抵抗素子34に接続する信号線37と、ネジ部35とにより構成されている。
【0007】
高温計測用半導体式圧力センサ30により搬送管内を流れる高温の気体や液体の流体圧力を検出するときには、高温計測用半導体式圧力センサ30は、圧力センサ取付部39に取り付けられ、矢印Pに示すように気体や液体の流体圧力が結晶質サファイアダイアフラム33に加わると、結晶質サファイアダイアフラム33は、その圧力を受け凹部31a側に撓み、感圧抵抗素子34によりその圧力変化が信号線37より出力され圧力検出が行われる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の高温計測用半導体式圧力センサ30には、次のような問題があった。
【0009】
高温計測用半導体式圧力センサ30は、上記したごとく、搬送管内を流れる気体や液体の流体圧力を結晶質サファイアダイアフラム33の撓みにより検出することができるが、流体に酸性物質やアルカリ性物質などの薬品剤を含む場合や、高温下で熱励起により副生成物として酸性物質やアルカリ性物質などの薬品剤を流体に生成する場合がある。
【0010】
ボディー本体部31は、熱変形を少なくするためセラミックが使用されており、また、接合層32は、接合強度を上げるため薬品剤に対し反応するセラミックガラスが素材に入っているため、酸性物質やアルカリ性物質などの薬品剤に対し化学変化を受け入れる恐れがある。
【0011】
そのため、高温計測用半導体式圧力センサ30は、ボディー本体部31と接合層32が薬品剤に対し影響を受け結晶質サファイアダイアフラム33の応力バランスが変化し、圧力を誤検出する場合がある。
【0012】
さらに、高温計測用半導体式圧力センサ30は、高検出精度を得るため高感度での圧力検出が要求される場合があり、薬品剤に対し化学変化を受けることを避けると共に高感度での圧力検出も要求されている。
【0013】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、圧力を検出する気体や液体の被圧力検出体に薬品剤が入っていてもその薬品環境下での影響を受けることなく高感度で圧力を検出することができる高温計測用半導体式圧力センサを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の高温計測用半導体式圧力センサは、感圧抵抗素子を積層する結晶質サファイア層と、底部と円筒部とをチタン合金で一体に形成し前記底部に前記結晶質サファイア層が直接圧力を受けるような切欠部を設け前記結晶質サファイア層を前記底部の内側に接合するボディー本体部とを備え、前記底部は、該底部を撓みやすくする溝または窪みを円周方向に沿って設け、前記結晶質サファイア層を受圧部とし前記受圧部の外側にかかる圧力を検出することとした。
【0015】
また、感圧抵抗素子を積層する結晶質サファイア層と、円筒部とチタン合金の底部とを接合して形成し前記底部に前記結晶質サファイア層が直接圧力を受けるような切欠部を設け前記結晶質サファイア層を前記底部の内側に接合するボディー本体部とを備え、前記底部は、該底部を撓みやすくする溝または窪みを円周方向に沿って設け、前記結晶質サファイア層を受圧部とし前記受圧部の外側にかかる圧力を検出することとした。
【0017】
さらに、前記結晶質サファイア層は、銀または金を主成分としチタンを含有する接合層を介し前記底部に接合することとした。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を基に説明する。
【0019】
図1は、本発明に関わる高温計測用半導体式圧力センサ10を示し、図1(A)は、断面図を示し、図1(B)は、平面図を示す。
【0020】
図1に示すように、この高温計測用半導体式圧力センサ10は、感圧抵抗素子14を積層した結晶質サファイア層13と、円筒部11Aと底部11Bとを有し、底部11Bには切欠部11cが形成され結晶質サファイア層13を内側に接合するカップ形状のチタン合金のボディー本体部11と、このボディー本体部11に取り付けられるチタン合金のネジ部15とにより構成され、結晶質サファイア層13を受圧部とし、切欠部11cより結晶質サファイア層13の外側にかかる圧力を検出するものである。
【0021】
結晶質サファイア層13は、銀または金を主成分としチタンを含有する接合層12を介し底部11Bの内側に接合しており、接合層12は薬品環境下での影響を受けることはない。支持部16は、アルミナを主成分とし円筒部11Aの内側に補強支持材として取り付けられている。
【0022】
ボディー本体部11は、底部11Bの中央部に切欠部11cを設け、結晶質サファイア層13が直接圧力を受けるように形成している。また、底部11Bには、結晶質サファイア層13を撓み易くするために、円周方向に沿って溝11dを設けている。
【0023】
感圧抵抗素子14は、例えばP型半導体素子を半導体の製造技術を応用し結晶質サファイア層13に積層するもので、予め定めた位置に複数個設定することができ、結晶質サファイア層13が圧力を受け撓むことにより長さや断面積が変化して感圧抵抗素子14の抵抗値が変化するものであり、ホイートストン・ブリッジの回路構成にして圧力に応じた電圧信号を出力する。感圧抵抗素子14は、支持部16と絶縁チューブ18の中を通り増幅回路(図示せず)に接続する信号線17に接続している。
【0024】
高温計測用半導体式圧力センサ10により搬送管内を流れる気体や液体の流体圧力を検出するときには、高温計測用半導体式圧力センサ10は、ネジ部15により搬送管に設けられる取付部(図示せず)に取り付けられ、矢印Pに示すように流体圧力が切欠部11cから結晶質サファイア層13に加わったとき結晶質サファイア層13は内側に撓み、その撓みを結晶質サファイア層13に積層した感圧抵抗素子14により検出して圧力信号として感圧抵抗素子14に接続する信号線17より出力し、圧力の検出が行われる。
【0025】
ボディー本体部11は、耐熱性のあるチタン合金で形成しているため熱の影響を受け難く、さらに、結晶質サファイア層13は、ボディー本体部11の底部11Bに溝11dが設けているため撓みやすく、切欠部11cから直接圧力を受けるため感度良く流体の圧力を検出することができる。
【0026】
なお、高温計測用半導体式圧力センサ10では、ボディー本体部11は、耐熱性のあるチタン合金で形成する例に付き説明したが、セラミックで形成しチタン合金酸化層を外側に被覆して薬品剤の影響を受けることなく圧力を検出ようにすることもできる。
【0027】
また、高温計測用半導体式圧力センサ10では、底部11Bは、円周方向に沿って内側に溝11dを設けるようにしたが、溝11dの代わりにそれぞれ窪みを設けるようにすることもできる。さらに、溝11dを底部11Bの外側端部に設けることもできる。また、円筒部11Aと底部11Bは、断面外周を円形形状にしたがこれに限定することなく、多角形状などにもすることができ、円筒部11Aは、断面外周円形形状や多角形状の中空とすることができる。
【0028】
また、ボディー本体部11は、円筒部11Aと底部11Bとをそれぞれ別体で形成し接合部11eでロウ付けなどで接合するカップ形状のチタン合金とすることもできる。その場合、底部11Bは、円筒部11Aに対し別体となっているため、感圧抵抗素子14を積層した結晶質サファイア層13を接合した後に円筒部11Aに接合することができ、ボディー本体部11の組立をさらに容易にすることができる。
【0029】
また、ボディー本体部11は、チタン合金で形成する例に付き説明したが、底部11Bはセラミックで形成しチタン酸化層を外側に被覆して、薬品剤の影響を受けることなく圧力を検出できるようにすることもできる。
【0030】
さらに、高温計測用半導体式圧力センサ10は、搬送管内を流れる気体や液体の流体圧力を検出することとしたが、これに限定されることなく、容器内の圧力を検出することもできる。
【0031】
以上、高温計測用半導体式圧力センサ10は、搬送管内に酸性物質やアルカリ性物質などの薬品剤を含む流体が流れても、ボディー本体部11はチタン合金で形成しているため薬品剤の影響を受けることはなく、また、結晶質サファイア層13と接合層12も材質上薬品剤の影響を受けることはないため薬品剤の影響を受けることはなく、結晶質サファイア層13は圧力を直接受け高感度で圧力を検出することができる。ネジ部15もチタン合金で形成されているため、薬品剤の影響を受けることがない。
【0032】
【発明の効果】
本発明の高温計測用半導体式圧力センサは、感圧抵抗素子を積層する結晶質サファイア層と、底部と円筒部とをチタン合金で一体に形成し前記底部に切欠部を設け前記結晶質サファイア層を内側に接合するボディー本体部とを備え、前記結晶質サファイア層を受圧部とし前記受圧部の外側にかかる圧力を検出することとしたため、圧力を検出する気体や液体の被圧力検出体に薬品剤が入っていてもその薬品環境下での影響を受けることなく高感度で高温の圧力を検出することができる。
【0033】
また、感圧抵抗素子を積層する結晶質サファイア層と、円筒部とチタン合金の底部とを接合して形成し前記底部に切欠部を設け前記結晶質サファイア層を内側に接合するボディー本体部とを備え、前記結晶質サファイア層を受圧部とし前記受圧部の外側にかかる圧力を検出することとしたため、圧力を検出する気体や液体の被圧力検出体に薬品剤が入っていてもその薬品環境下での影響を受けることなく高感度で高温の圧力を検出することができる。また、感圧抵抗素子を積層した結晶質サファイア層を底部に接合した後に、円筒部と底部とを接合することができ、ボディー本体部の組立をさらに容易にすることができる。
【0034】
また、前記底部は、円周方向に沿って内側もしくは外側に溝または窪みを設けることたしたため、撓みやすく高感度で圧力を検出することができる。
【0035】
さらに、前記結晶質サファイア層は、銀または金を主成分としチタンを含有する接合層を介し前記底部に接合することとしたため、薬品環境下での影響を受けることなく、結晶質サファイア層と底部とを強い強度で確実に接合することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に関わる実施例の高温計測用半導体式圧力センサの断面図を示す。
【図2】従来の高温計測用半導体式圧力センサの取付外観図を示す。
【図3】従来の高温計測用半導体式圧力センサの断面図を示す。
【符号の説明】
10 高温計測用半導体式圧力センサ
11 ボディー本体部
11A 円筒部
11B 底部
11c 切欠部
11d 溝
11e 接合部
12 接合層
13 結晶質サファイア層
14 感圧抵抗素子
15 ネジ部

Claims (3)

  1. 感圧抵抗素子を積層する結晶質サファイア層と、底部と円筒部とをチタン合金で一体に形成し前記底部に前記結晶質サファイア層が直接圧力を受けるような切欠部を設け前記結晶質サファイア層を前記底部の内側に接合するボディー本体部とを備え、
    前記底部は、該底部を撓みやすくする溝または窪みを円周方向に沿って設け、
    前記結晶質サファイア層を受圧部とし前記受圧部の外側にかかる圧力を検出する
    ことを特徴とする高温計測用半導体式圧力センサ。
  2. 感圧抵抗素子を積層する結晶質サファイア層と、円筒部とチタン合金の底部とを接合して形成し前記底部に前記結晶質サファイア層が直接圧力を受けるような切欠部を設け前記結晶質サファイア層を前記底部の内側に接合するボディー本体部とを備え、
    前記底部は、該底部を撓みやすくする溝または窪みを円周方向に沿って設け、
    前記結晶質サファイア層を受圧部とし前記受圧部の外側にかかる圧力を検出する
    ことを特徴とする高温計測用半導体式圧力センサ。
  3. 前記結晶質サファイア層は、銀または金を主成分としチタンを含有する接合層を介し前記底部に接合することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の高温計測用半導体式圧力センサ。
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