JP4827866B2 - パケット監視装置 - Google Patents

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Description

本発明は、サーバからクライアントへと送信される時刻データを含むパケットを監視するパケット監視装置、例えば、通信ネットワークを介して、NTP(ネットワークタイムプロトコル)クライアントからの要求に応じてNTPサーバから送信されるパケットであって、時刻データ(タイムスタンプ)を含むNTPパケットを監視するNTPパケット監視装置に関する。
コンピュータの内部時計を、通信ネットワークを介して調整していくプロトコルの1つであるNTPは、stratumと呼ばれる最大16層の階層構造を有している。最上位のNTPサーバは、stratum1であり、GPS(Global Positioning System)、標準電波、原子時計などの協定世界時(UTC)に基づく時刻を刻む標準時刻源(stratum0)に直結されたNTPサーバとなる(例えば特許文献1参照)。NTPでは、下位のNTPサーバは、上位のNTPサーバに対してNTPクライアントとなる。下位のNTPサーバは、上位のNTPサーバに対して時刻を問い合わせる要求パケットを送信し、上位のNTPサーバは、その時刻データが含まれるNTPパケット(64バイト)を下位のNTPサーバに送信する。下位のNTPサーバは、上位のNTPサーバからのNTPパケットに含まれる時刻データに、自機の時刻を合わせる。NTPでは、このようにして、各コンピュータでの内部時計の調整が行われる。
図8に示されるように、下位のNTPサーバ(すなわちNTPクライアント5)は、複数の上位NTPサーバ1に、時刻を問い合わせることが可能である。この場合には、複数のNTPパケット6が各上位NTPサーバ1からNTPクライアント5に送信されるようになる。NTPクライアント5は、複数のNTPパケット6に含まれる時刻データを考慮して内部時計の調整を行う。例えば、NTPクライアント5は、複数のNTPパケット6に含まれる時刻データの平均を現在時刻として内部時計を調整することができる。
ところが、複数の上位のNTPサーバ1の中には、正常に動作しておらず、正確な時刻を計時していないものが含まれている場合もある。このような場合には、複数のNTPパケット6に含まれる時刻データの平均を現在時刻として採用すると、NTPクライアント5において、内部時計を正確に調整することが却って困難となる。
各上位NTPサーバ1からのNTPパケット6に含まれる時刻データには、ネットワークの揺らぎや通信遅延などにより、若干のずれがある。そこで、NTPクライアント5では、各上位NTPサーバ1からのNTPパケット6に含まれる時刻データの分散値を求め、分散値に基づく規定範囲(例えば3σ)外の時刻データがあった場合には、その時刻データを、内部時計の調整に用いないようにしている。
特開2006−10638号公報
このように、NTPクライアントでは、複数の上位のNTPサーバに対して、現在時刻の問い合わせを行っているが、その際には、統計的な手法を用いて、正常でない時刻データを、内部時計の調整に用いる時刻データから除外することにより、誤った時刻の取得を防止している。
しかしながら、上記統計的な手法を用いても、複数の上位のNTPサーバにおける時刻データの相対的な違いに基づいて、正常でない時刻データを推定し、その時刻データを除外することができるだけである。すなわち、この方法は、残りの時刻データが、正確な時刻を報知していることを保障するものではない。
また、上記統計的な手法を用いた場合には、異常な時刻データを正確に除外することができるようになるまでにある程度の時間が必要となる。したがって、それまでの間は、NTPクライアントにおいて、正常であるか否か不明である時刻データを参照して、内部時計を調整せざるをえないのが現状である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、クライアントにおける正確な時間調整を可能とするパケット監視装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係るパケット監視装置は、通信ネットワークを介して、クライアントからの要求に応じてサーバから送信される、時刻データを含む時刻データパケットを監視するパケット監視装置であって、標準時刻源からの同期信号に同期して計時を行う計時部と、前記通信ネットワークを介して送信されるパケットに相当する信号を受信する受信部と、前記受信部によりパケットが受信されたことを検出する検出部と、前記検出部による前記パケットの検出時の前記計時部による時刻データを記憶する記憶部と、前記受信部により受信されたパケットが、前記時刻データパケットであるか否かを判定する判定部と、前記受信部により受信されたパケットが、前記時刻データパケットであると判定された場合に、前記記憶部にサンプリング記憶された時刻データと前記受信された時刻データパケットに含まれる時刻データとの時間差を算出する時間差算出部と、前記受信された時刻データパケットに対して、前記算出された時間差に応じた処理を行うパケット処理部と、を備える。
また、前記パケット処理部は、前記時間差が規定値以内である場合には、前記受信された時刻データパケットを、前記通信ネットワークを介して前記クライアントにそのまま転送することとしてもよい。
また、前記パケット処理部は、前記時間差が規定値を超える場合には、前記受信された時刻データパケットを破棄することとしてもよい。
また、前記パケット処理部は、前記時間差が規定値を超える場合には、前記受信された時刻データパケットに、前記時刻データの誤差が大きいことを示す情報を追加した後、その時刻データパケットを、前記通信ネットワークを介して前記クライアントに送信することとしてもよい。
この場合、前記クライアントはNTP(ネットワークタイムプロトコル)クライアントであり、前記サーバはNTPサーバであり、前記時刻データパケットはNTPパケットであり、前記パケット処理部は、前記NTPパケットのリープインジケータ内に前記情報を追加することとしてもよい。
また、前記記憶部は、前記計時部の時刻データを複数記憶可能であることとしてもよい。
この場合、前記記憶部は、ファーストインファーストアウトメモリであることとしてもよい。
また、前記パケット処理部は、前記受信されたパケットが、前記時刻データパケットでないと判定された場合に、そのパケットを、前記通信ネットワークを介して前記クライアントにそのまま転送することとしてもよい。
本発明に係るパケット監視装置は、サーバから送信されるNTPパケット等の時刻データパケットに含まれる時刻データと、標準時刻源からの同期信号に同期して計時を行う計時部における時刻データとの時間差を演算し、その時間差に応じたパケット処理を行う。このようにすれば、クライアントが時刻データパケットを受信する前に、協定世界時(UTC)に基づく時刻との時間差(すなわち誤差)が大きい時刻データを含む時刻データパケットを見つけ出すことができるようになるので、クライアントにおいて、その時刻データを用いて内部時計の調整をしないようにすることができるようになる。この結果、クライアントにおいて正確な時間調整が可能となる。
次に、本発明の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1には、本実施形態に係るパケット監視装置としてのNTPパケット監視装置10が実装されたネットワーク構成が示されている。図1に示されるように、NTPパケット監視装置10は、上位NTPサーバとしてのNTPサーバ1と、下位NTPサーバとしてのNTPクライアント5との間の通信ネットワーク2に挿入されている。NTPパケット監視装置10は、NTPサーバ1とNTPクライアント5との間で、通信ネットワーク2を介して送受信されるパケットを中継する。通信ネットワーク2は、例えばLAN(Local Area Network)であり、本実施形態では、通信ネットワーク2をLANであるものとして説明を行う。
NTPパケット監視装置10には、標準時刻源3が接続されている。この標準時刻源3は、GPS(Global Positioning System)、標準電波、原子時計などの協定世界時(UTC)に基づく時刻を刻む時刻源である。この標準時刻源3は、周期的なパルスを発生し、そのパルス信号をNTPパケット監視装置10に入力している。このパルス信号は、1PPS信号と称される1秒周期のパルス信号である。NTPパケット監視装置10は、入力された1PPS信号に基づいて、内部の時刻を校正している。
図2には、NTPパケット監視装置10の内部構成が示されている。図2に示されるように、NTPパケット監視装置10の内部構造は、大別して、ハードウエアから成る物理層及びデータリンク層から成るネットワークインターフェイス層と、後述するパケット処理が行われるアプリケーション層とに階層化されている。
NTPパケット監視装置10のネットワークインターフェイス層には、受信部としての送受信部20、21と、計時部としての時計部23と、検出部としての受信パケット監視部24と、記憶部としてのTMレジスタ25と、LANコントローラ40、41とが設けられている。時計部23と、受信パケット監視部24と、TMレジスタ25とで、受信パケット時刻記録部30が構成されている。
送受信部20は、NTPサーバ1との間でパケットを送受信する通信用のハードウエア(通信用IC)である。送受信部20は、通信ネットワーク2を介して送信されるパケットに相当する電気信号を受信する。送受信部20は、その電気信号をデータ信号に変換して出力する。送受信部20は、そのパケットの受信が完了した時点で、受信割込信号を出力する。送受信部21は、NTPクライアント5との間でパケットを送受信する通信用のハードウエアであり、その構成は、送受信部20と同じである。送受信部21は、後述するLANコントローラ41から入力されるパケットを、電気信号に変換して通信ネットワーク2上に出力する。
時計部23は、標準時刻源3からの同期信号としての1PPS信号を入力し、その信号に同期して計時を行うハードウエアである。図3には、時計部23の詳細な構成が示されている。図3に示されるように、時計部23は、クロック補正回路31と、内部クロック32と、カウンタ33とを備えている。クロック補正回路31は、1PPS信号を入力し、内部クロック32から出力されるクロック信号の出力タイミングを補正する。内部クロック32は、例えば、高精度な水晶発振器であり、測定分解能より十分高速(例えば1MHz)なクロック信号を出力する。このクロック信号は、前述のようにクロック補正回路31によって、そのタイミングが補正されている。カウンタ33は、例えば、64ビットのカウンタであり、そのカウンタは、32ビットの秒カウンタと、32ビットのマイクロ秒カウンタとに分けられている。カウンタ33は、1PPS信号と、内部クロック32からのクロック信号とを入力し、1PPS信号が入力される毎に、秒カウンタがカウントアップされ、内部クロック信号により、マイクロ秒カウンタがカウントアップされる。1PPS信号が入力される度に、マイクロ秒カウンタがリセットされる。このカウンタ33のカウント値が、現在時刻データとなる。
以上の構成により、時計部23によって計時される時刻は、協定世界時(UTC)に従った時刻となり、その誤差は、10-9秒以下となっている。カウンタ33は、外部から時刻データ要求信号が入力された場合に、現在時刻データを外部に出力することができるようになっている。
受信パケット監視部24は、送受信部20でのパケットの受信が完了した時点で送受信部20から出力される受信割込信号を入力している。受信パケット監視部24は、送受信部20によりパケットが受信されたことを、この受信割込信号の入力により検出する。受信パケット監視部24は、パケットが受信されたことを、この受信割込信号により検出するのと同時に、時計部23のカウンタ33に対し、時刻データ要求信号を出力する。
TMレジスタ25は、複数の時刻データTM1〜TMnを記憶可能なファーストインファーストアウトメモリ(キューバッファ)である。TMレジスタ25には、時計部23のカウンタ33から出力される時刻データが記憶される。TMレジスタ25に記憶された時刻データは、後述するCPU50によって不図示の内部バスを介して読み出し可能となっている。
LANコントローラ40、41は、通信ネットワーク2を制御するためのコントローラLSIである。LANコントローラ40は、送受信部20から出力されるパケットを入力する。LANコントローラ40は、このパケットに基づいて、ネットワーク制御等を行うとともに、パケットを、アプリケーション層で使用できる状態に変換する。また、LANコントローラ41は、CPU50から受信したパケットに基づいて、ネットワーク制御等を行うとともに、そのパケットを送受信部21に入力できる状態、すなわちデータ信号に変換する。
以上述べた構成により、送受信部20でのパケットの受信が完了すると、それを受信パケット監視部24が検出し、そのときに、時計部23で計時されていた時刻データが、TMレジスタ25に記憶されるようになる。この間の処理は、すべてハードウエアで実現されており、送受信部20でのパケットの受信完了から、TMレジスタ25への時刻データの記憶までの遅れは、マイクロ秒オーダであり、非常に短くなっている。
NTPパケット監視装置10のアプリケーション層には、CPU50が設けられている。CPU50は、不図示のメモリに記憶されたパケット処理のプログラムを実行する。このプログラムの実行により、CPU50は、LANコントローラ40から送られるパケットを読み込んで、そのパケットの内容を解析する。また、CPU50は、不図示の内部バスを介して、TMレジスタ25から、時刻データを読み込むことができるようになっている。CPU50は、パケットの解析結果と、TMレジスタ25から読み出された時刻データとに基づいて、このNTPサーバ1からNTPクライアント5に送信されるNTPパケットに対するパケット処理を実行する。
なお、図2では、NTPサーバ1より受信したパケットをCPU50で処理して、NTPクライアント5に送信する流れしか示されていないが、本実施形態に係るNTPパケット監視装置10は、NTPクライアント5からのパケットを送受信部21で受信し、そのパケットを送受信部20からNTPサーバ1へ送信することができるようにもなっている。
次に、本実施形態に係るNTPパケット監視装置10のCPU50で実行されるパケット処理について図4のフローチャートを参照して説明する。図4に示されるように、CPU50は、パケットが受信されるまで待っている(ステップ201)。送受信部20でパケットが受信されると、前述のように受信割込信号が出力される。この受信割込の発生により、ステップ201における判断が肯定され、CPU50は、ステップ203に進む。
ステップ203では、CPU50は、内部バスを介して、TMレジスタ25から時刻データTMk(k=1〜n)を読み出す。次のステップ205では、CPU50は、受信したパケットの内容を解析し、そのパケットが、NTPパケットであるか否かを判定する。
そのパケットがNTPパケットでない場合には、ステップ205での判定は否定され、CPU50は、ステップ211に進み、そのままパケットの内容を変更することなく、LANコントローラ41に送信し、ステップ201に戻る。このパケットは、LANコントローラ41、送受信部21及び通信ネットワーク2を介して、NTPクライアント5に出力される。
一方、そのパケットが、NTPパケットである場合には、ステップ205での判定は肯定され、CPU50は、ステップ207に進み、パケットに含まれる時刻と、TMレジスタ25から読み出された時刻との時間差を算出する。
次のステップ209では、CPU50は、算出された時間差が規定値以内であるか否かを判定する。図5には、この判定の様子を示すタイミングチャートが示されている。図5では、TMレジスタ25に記憶された時刻データをTsとしており、規定値をδとしている。図5に示されるように、NTPパケットに記憶されていた時刻データTpが、白丸(±δ内)であった場合(すなわちδ≧|Ts−Tp|)には、ここでの判定は肯定され、NTPパケットに記憶されていた時刻が黒丸(±δ外)であった場合(すなわちδ<|Ts−Tp|)には、ここでの判定は否定される。なお、δとしては、任意であるが、例えば500マイクロ秒又は1ミリ秒を設定することができる。
この判定が肯定されれば、CPU50は、ステップ211に進み、パケットをLANコントローラ41にそのまま送信し、ステップ201に戻る。このパケットは、LANコントローラ41、送受信部21及び通信ネットワーク2を介して、NTPクライアント5に出力される。
一方、この判定が否定されれば、CPU50は、ステップ213に進み、パケットを破棄し、ステップ201に戻る。ここで、CPU50は、NTPクライアント5に対する警告パケットを生成し、NTPクライアント5に送るようにしてもよい。
以降、CPU50が、パケットを受信するごとに、上述した処理が繰り返される。
図6には、本実施形態に係るNTPパケット監視装置10が組み込まれたネットワークでのNTPパケットの送信の様子の一例が示されている。NTPクライアント5から3台の上位NTPサーバ1に対し、時刻データの送信要求が送信されて、図6に示されるように、各上位NTPサーバ1からそれぞれNTPパケット6A、6B、6Cが送信されるものとする。
NTPパケット6A、6B、6Cは、この順で、NTPパケット監視装置10によって受信されたとする。この場合、NTPパケット監視装置10のTMレジスタ25には、最初にNTPパケット6Aが受信されたときの時刻データTM1が記憶され、次に、NTPパケット6Bが受信されたときの時刻データTM2が記憶され、最後に、NTPパケット6Cが受信されたときの時刻データTM3が記憶されるようになる。
そして、NTPパケット監視装置10のCPU50は、最初に、NTPパケット6Aに含まれる時刻データと、TMレジスタ25に最初に記憶されていた時刻データTM1との時間差を算出する。また、CPU50は、NTPパケット6Bに含まれる時刻データと、TMレジスタ25に次に記憶されていた時刻データTM2との時間差を算出する。さらに、CPU50は、NTPパケット6Cに含まれる時刻データと、TMレジスタ25に記憶されていた時刻データTM3との時間差を算出する。このように、複数の時刻データを記憶するTMレジスタ25を備えているため、複数のNTPパケットを受信した場合でも、すべてのNTPパケットについて、TMレジスタ25に記憶された時刻データとの時間差を測定し、それぞれのNTPパケットの時刻データの良否を判定することができるようになる。
ここで、NTPパケット6Cにおける時間差が規定値を超えていたものとする。この場合、NTPパケット監視装置10は、NTPパケット6Cを破棄し、NTPパケット6A、6BをNTPクライアント5に送信する。NTPクライアント5では、誤差が小さいと判定されたNTPパケット6A、6Bに含まれる時刻データを用いて、内部時計の調整を行う。
以上詳細に説明したように、本実施形態に係るNTPパケット監視装置10によれば、NTPサーバ1から送信されるNTPパケット6に含まれる時刻データと、標準時刻源3からの同期信号に同期して計時を行う時計部23における時刻データTMkとの時間差を演算し、その時間差に応じたパケット処理を行う。このようにすれば、NTPクライアント5がNTPパケット6を受信する前に、協定世界時(UTC)に基づく時刻との時間差(すなわち誤差)が大きい時刻データを含むNTPパケット(例えば図6のNTPパケット6C)を見つけ出すことができるようになるので、NTPクライアント5において、その時刻データを用いて内部時計の調整をしないようにすることができるようになる。この結果、NTPクライアント5において正確な時間調整が可能となる。
本実施形態では、CPU50は、上記時間差が規定値内である場合には、受信したNTPパケット6をそのままNTPクライアント5に転送する。時間差の少ない、すなわち誤差の少ない時刻データを有するNTPパケットは、そのままの状態で、NTPクライアント5の時間調整に用いられる。
また、本実施形態では、上記時間差が規定値を超える場合には、NTPパケット6を破棄した。このようにすれば、NTPクライアント5では、誤差の大きいNTPパケット6を受信しなくなるので、その時刻データを時間調整に用いないようにすることができる。
なお、CPU50では、時間差が規定値を超える場合に、NTPパケット6を破棄せず、そのNTPパケットの時刻データの誤差が大きいことを示す情報を追加して、NTPクライアント5に送信するようにしてもよい。この場合には、誤差の大きいNTPパケット6も、NTPクライアント5で受信されるようになるが、NTPクライアント5側で、内部時計の調整にそのNTPパケット6に含まれる時刻データを用いないようにすればよい。
なお、この情報を追加するパケット内のロケーションとしては、例えば、リープ(うるう)インジケータを選択することができる。リープインジケータは、NTPパケット6内に含まれる2ビットのデータ列(これをLIビットともいう)であり、うるう秒を調整するためのインジケータである。このインジケータでは、値00、01、10がそれぞれ、”うるう秒なし”、”+のうるう秒”、”−のうるう秒”であることを示している。そこで、本実施形態では、値11を用いる。すなわち、このリープインジケータの値が11に設定されていた場合には、時刻データの誤差が大きいことを示しているとすることができる。
この場合、CPU50では、図4のステップ213で、NTPパケットを破棄することなく、そのNTPパケット内のリープインジケータの値に”11”を設定し、LANコントローラ41に送るようにすればよい。NTPクライアント5では、このNTPパケットの受信後、リープインジケータを参照して、その値が”11”に設定されていた場合には、そのNTPパケットに含まれる時刻データを、内部時計の調整に用いないようにすればよい。
この追加情報は、NTPクライアント5に対する警告であるとみなすことができる。NTPクライアント5は、この警告にしたがって、そのNTPパケットに含まれる時刻データを用いないようにすることができる。
また、上記実施形態によれば、時刻データを記憶するTMレジスタ25を、その時刻データを複数記憶可能なメモリとし、そのメモリをファーストインファーストアウトメモリとした。このようにすれば、複数のパケットを連続して受信した場合にも対応可能である。
なお、時間差の算出方法は、図5に示されるようなものには限られない。例えば、通信ネットワーク2の遅延を考慮して、NTPサーバ1の時刻データと標準時刻源3の時刻データとの時間差を算出することも可能である。図7に示されるように、NTPクライアント5からの時刻データの要求パケットが、NTPパケット監視装置10を通過した時刻Trとする。この時刻Trを、NTPパケット監視装置10で記憶しておく。
要求パケットが、NTPパケット監視装置10から出てNTPサーバ1に到達する時間と、その要求パケットに応じたNTPパケットが、NTPサーバ1から出てNTPパケット監視装置10に到達するまでの時間は、ほぼ等しいと考えられる。したがって、NTPパケット監視装置10においてNTPパケット6が受信されたときに、TMレジスタ25に記憶された時刻データをTsであるとすると、NTPサーバ1が、NTPクライアント5からの要求パケットを受信し実際にNTPパケット6を送信する時刻は、時刻Tsよりも、(Tr−Ts)/2だけ早い時刻Ts’であると考えられる。そこで、CPU50は、時刻Trと時刻Tsを用いて、この時刻Ts’を算出する。そして、CPU50は、この時刻Ts’を基準として、NTPパケットに含まれる時刻データTpとTs’との時間差を算出し、算出された時間差が、規定値δを超えているか否かを判定し、その判定結果に応じたパケット処理を行うようにすることができる。
また、上記実施形態に係るNTPパケット監視装置10は、受信されたパケットが、NTPパケットでないと判定された場合に、そのパケットを、通信ネットワーク2を介してNTPクライアント5にそのまま送信する。NTPサーバ1からNTPクライアント5へ送信されるNTPパケット6以外のパケットとしては、例えば、ARP(アドレス解決プロトコル)のパケットがある。このように、上記実施形態に係るNTPパケット監視装置10は、通信ネットワーク2上のすべてのパケットを受信し、チェックするようにすれば、NTPサーバ1の異常を、漏れなく、いち早く発見することができるようになる。
なお、上記実施形態では、時計部23は、内部クロックを有するものとしたが、外部の水晶発振器からの内部クロックを入力して計時を行うようなものであってもよい。
また、上記実施形態では、送受信部20、21とLANコントローラ40、41とを別々としたが、これらは一体であってもよい。
なお、上記実施形態では、通信ネットワーク2をLANとしたが、WAN(Wide Area Network)であってもよく、NTPが実装されている通信ネットワークであれば、本発明を適用可能である。例えば、NTPサーバ1と、NTPクライアント5との間に、インターネットが介在していてもよい。
なお、上記実施形態では、NTPパケットを監視するNTPパケット監視装置について説明したが、本発明は、タイムプロトコルなどの他のプロトコルのパケットにも適用可能である。すなわち、本発明は、時刻データが含まれるパケットであれば適用可能である。
本発明の一実施形態に係るNTPパケット監視装置が組み込まれたネットワークの構成を示すブロック図である。 NTPパケット監視装置の構成を示すブロック図である。 時計部の構成を示すブロック図である。 本発明の一実施形態に係るNTPパケット監視装置のCPUで実行されるパケット処理の動作を示すフローチャートである。 NTPパケット監視装置での時間差の判定を示すタイミングチャートである。 本発明の一実施形態に係るNTPパケット監視装置が組み込まれたネットワークでのパケットの送信の様子の一例を示す図である。 NTPパケット監視装置での時間差の判定の変形例を示すタイミングチャートである。 従来のNTPのネットワーク構成を示す図である。
符号の説明
1 NTPサーバ
2 通信ネットワーク
3 標準時刻源
5 NTPクライアント
6、6A、6B、6C NTPパケット
10 NTPパケット監視装置
20、21 送受信部
23 時計部
24 受信パケット監視部
25 TMレジスタ
30 受信パケット時刻記録部
31 クロック補正回路
32 内部クロック
33 カウンタ
40、41 LANコントローラ
50 CPU

Claims (8)

  1. 通信ネットワークを介して、クライアントからの要求に応じてサーバから送信される、時刻データを含む時刻データパケットを監視するパケット監視装置であって、
    標準時刻源からの同期信号に同期して計時を行う計時部と、
    前記通信ネットワークを介して送信されるパケットに相当する信号を受信する受信部と、
    前記受信部によりパケットが受信されたことを検出する検出部と、
    前記検出部による前記パケットの検出時の前記計時部による時刻データを記憶する記憶部と、
    前記受信部により受信されたパケットが、前記時刻データパケットであるか否かを判定する判定部と、
    前記受信部により受信されたパケットが、前記時刻データパケットであると判定された場合に、前記記憶部にサンプリング記憶された時刻データと前記受信された時刻データパケットに含まれる時刻データとの時間差を算出する時間差算出部と、
    前記受信された時刻データパケットに対して、前記算出された時間差に応じた処理を行うパケット処理部と、を備えるパケット監視装置。
  2. 前記パケット処理部は、
    前記時間差が規定値以内である場合には、
    前記受信された時刻データパケットを、前記通信ネットワークを介して前記クライアントにそのまま転送することを特徴とする請求項1に記載のパケット監視装置。
  3. 前記パケット処理部は、
    前記時間差が規定値を超える場合には、
    前記受信された時刻データパケットを破棄することを特徴とする請求項1又は2に記載のパケット監視装置。
  4. 前記パケット処理部は、
    前記時間差が規定値を超える場合には、
    前記受信された時刻データパケットに、前記時刻データの誤差が大きいことを示す情報を追加した後、その時刻データパケットを、前記通信ネットワークを介して前記クライアントに送信することを特徴とする請求項1に記載のパケット監視装置。
  5. 前記クライアントはNTP(ネットワークタイムプロトコル)クライアントであり、前記サーバはNTPサーバであり、前記時刻データパケットはNTPパケットであり、
    前記パケット処理部は、
    前記NTPパケットのリープインジケータ内に前記情報を追加することを特徴とする請求項4に記載のパケット監視装置。
  6. 前記記憶部は、
    前記計時部の時刻データを複数記憶可能であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のパケット監視装置。
  7. 前記記憶部は、ファーストインファーストアウトメモリであることを特徴とする請求項6に記載のパケット監視装置。
  8. 前記パケット処理部は、
    前記受信されたパケットが、前記時刻データパケットでないと判定された場合に、そのパケットを、前記通信ネットワークを介して前記クライアントにそのまま転送することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のパケット監視装置。
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