JP4826789B2 - 触媒の製造方法および触媒体 - Google Patents
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さらに、最近では、常温においてホルムアルデヒドを効率的に酸化分解できる触媒が見出され、数10ppm以上のホルムアルデヒド環境においては100%に近い酸化分解性能を有している。触媒の利用は、吸着剤の定期的交換や高額なプラズマ分解装置に比較してコストメリットがある(例えば特許文献1、2参照。)。図9に、従来の二酸化チタン(TiO2)、白金(Pt)、二酸化マンガン(MnO2)を含む一般的な触媒の構成の製造フローを模式的に示す。二酸化チタン(TiO2)粒子21表面に、例えば、塩化白金(PtCl2)層22が形成され、乾燥された後、空気または酸素(O2)ガス中において仮焼き熱処理、還元酸化熱処理が行われ、二酸化チタン粒子21に白金粒子24が析出されて、触媒27が形成される。この触媒27に、二酸化マンガン粒子29が混合され、支持材としてのハニカムセラミック26に添着され、触媒体28が作製される。
本発明の実施の形態に係る触媒は、二酸化チタンあるいは二酸化マンガンの金属酸化物粒子に、この金属酸化物粒子の表面の一部が被覆材として前記金属酸化物とは異なる二酸化マンガンあるいは二酸化チタンにより被覆され、二酸化チタンの表面に貴金属粒子が担持されている。すなわち、二酸化チタンを担体として、貴金属である白金が0.5質量%以上担持され、さらに二酸化マンガンとが複合化されて触媒が構成されている。あるいは、この触媒を支持材に添着させて触媒体として構成されている。
図1は、本発明の実施の形態1に係る触媒体の製造フローと構成断面図を示すものである。
図において、1は金属酸化物である二酸化チタン粒子で、2は二酸化チタン粒子1の表面に形成された塩化白金層、3は塩化白金層2の表面に形成された塩化マンガン層、4は二酸化チタン粒子1表面に塩化白金層2と塩化マンガン層3からなる触媒前駆体、5は触媒前駆体が添着された支持材であるハニカムセラミック、6は二酸化チタン粒子表面に析出された白金粒子、7は塩化マンガン層3が還元酸化されて生成された被覆材となる二酸化マンガン層、8は二酸化チタン粒子1に担持された白金粒子6と二酸化マンガン層7からなる触媒、9はハニカムセラミック5に触媒8が添着された触媒体である。
二酸化チタン(TiO2)粒子1に脱イオン水(図示せず)が加えられ、攪拌しながら塩化白金酸溶液([PtCl4]2−)(図示せず)が添加されて、吸着により二酸化チタン粒子表面に塩化白金(PtCl2)層2が形成される。乾燥させた後、新たに脱イオン水(図示せず)が加えられ、攪拌しながら塩化マンガン溶液(図示せず)が添加され、塩化白金層2上に塩化マンガン(MnCl2)層3が形成される。乾燥された後、空気または酸素(O2)ガス中において仮焼き熱処理が行われ、触媒前駆体粒子4が生成される。次に、二酸化チタン粒子1の表面の一部を露出させるために、塩化マンガン層3で被覆された二酸化チタン粒子1はボールミルで破砕される。この後、支持材としてコージエライト(2MgO・2Al2O3・5SiO2)ハニカムセラミック5(以下、ハニカムセラミックと称する)に、この触媒前駆体粒子4が添着される。その後、水素ガス(H2)による還元熱処理が行われて二酸化チタン粒子1表面に白金(Pt)粒子6が析出され、さらに、酸化熱処理が行われることにより塩化マンガン層3が二酸化マンガン(MnO2)層7に変換され、また、二酸化チタン1が活性化されて触媒8が生成される。その結果、触媒8がハニカムセラミック5に添着された触媒体9が作製される。
図3は、本発明の実施の形態2に係る触媒体の製造フローと構成断面図を示すものである。
図において、11は金属酸化物である二酸化マンガン粒子で、12は二酸化マンガン粒子11の表面に形成された金属チタン層、13は金属チタン層12が酸化されて生成された二酸化チタン層、14は二酸化チタン層13の表面に形成された塩化白金層、15は二酸化マンガン粒子11と二酸化チタン層13と塩化白金層14からなる触媒前駆体、16は触媒前駆体が添着された支持材であるハニカムセラミック、17は二酸化チタン層13の表面に析出された白金粒子、18は二酸化マンガン粒子11と白金粒子17が担持された二酸化チタン層13からなる触媒、19はハニカムセラミック16に触媒18が添着された触媒体である。
金属酸化物粒子であるマンガン酸化物の二酸化マンガン粒子11に蒸着により金属チタン層12が形成される。次に、酸化熱処理が行われ金属チタン層12が二酸化チタン層13に変換される。この後、二酸化チタン層13が形成された二酸化マンガン粒子11に脱イオン水が加えられ、攪拌しながら塩化白金酸溶液が添加され、吸着により二酸化チタン層13表面に塩化白金層14が形成される。乾燥された後、空気または酸素ガス中において仮焼き熱処理が行われ、触媒前駆体15が生成される。次に、二酸化マンガン粒子11の一部を露出させるために、被覆材である二酸化チタン層13で被覆された二酸化マンガン粒子11はボールミルで破砕される。その後、支持材としてハニカムセラミック16に、この触媒前駆体が添着される。その後、還元熱処理が行われ二酸化チタン層13表面に白金粒子17が析出され、さらに、酸化熱処理が行われ二酸化チタン層13が活性化されて触媒18が生成される。その結果、触媒18がハニカムセラミック16に添着された触媒体19が作製される。
図4は、本発明の実施の形態3に係る触媒体の製造フローと構成断面図を示すものである。
図において、21は金属酸化物である二酸化チタン粒子で、22は二酸化チタン粒子21の表面に形成された塩化白金層、23は二酸化チタン粒子表面に塩化白金層が形成された触媒前駆体、24は支持材であるハニカムセラミック、25はハニカムセラミック24の表面に塗布、形成された被覆材となる二酸化マンガン層、26は二酸化チタン粒子21表面に析出された白金粒子、27は白金粒子26が担持された二酸化チタン粒子21からなる触媒、28はハニカムセラミック24の二酸化マンガン層25に触媒27が添着された触媒体である。
二酸化チタン粒子21に脱イオン水(図示せず)が加えられ、攪拌しながら塩化白金酸溶液(図示せず)が添加されて、吸着により二酸化チタン粒子表面に塩化白金層22が形成される。乾燥後、空気または酸素ガス中において仮焼き熱処理が行われ、触媒前駆体粒子23が生成される。この後、支持材であるハニカムセラミック24に、二酸化マンガンが塗布され二酸化マンガン層25が形成される。この二酸化マンガン層25に触媒前駆体23の一部が埋設されるように添着される。次に、還元熱処理が行われて二酸化チタン粒子21表面に白金粒子26が析出され、酸化熱処理により二酸化チタン粒子21が活性化されて触媒27が生成される。その結果、触媒27がハニカムセラミック24に添着された触媒体28が作製される。
(1)構成原料が安価で入手しやすく、製造プロセス、使用条件いずれも簡単である。
(2)反応空間速度SV値が100,000/hrから1,500,000/hrの条件下において、室温環境下で1ppm以下の低濃度のホルムアルデヒドを無害な二酸化炭素と水とに転化することができる。
(3)反応空間速度SV値が100,000/hrから1,500,000/hrの条件下において、1ppm以下の低濃度のホルムアルデヒドを室温環境下でホルムアルデヒドの除去率が70%以上に達している。
(4)触媒の使用量が少なく、光照射、電気や熱源などを必要とせず、常温で使用することができ、エネルギーを節約することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。但し、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
まず、20gの二酸化チタン粒子1に脱イオン水300mlが加えられ、攪拌しながら二酸化チタン重量の2.0質量%の白金を含有する塩化白金酸溶液が添加され、2時間攪拌して塩化白金層2が形成された後、乾燥される。次に、この塩化白金層2が形成された二酸化チタン粒子1に脱イオン水が加えられ、さらに、二酸化チタン重量の10質量%のマンガンを含有する塩化マンガン溶液が添加され、6時間攪拌混合して塩化白金層2の上に、塩化マンガン層3が形成された後、60℃でロータリーエバポレーターを用いて乾燥され、さらに400℃で1時間仮焼き熱処理され、得られた乾燥粉末は、二酸化チタン粒子1の表面の一部を露出させるために、ボールミルにより粉砕される。粉砕粉の観察分析を実施したところ、二酸化チタン粒子に塩化マンガンが部分的に付着している粉末であることがわかる。その後、さらに500℃で1時間焼成されて、粒子状の触媒前駆体4が得られる。
まず、10gの二酸化チタン粒子1に脱イオン水200mlが加えられ、攪拌しながら二酸化チタン重量の1質量%の白金を含有する塩化白金酸溶液が添加され、2時間攪拌し塩化白金層2が形成された後に、40℃でロータリーエバポレーターを用いて乾燥され、その後500℃で1時間仮焼き熱処理されて粉末状の触媒前駆体が得られる。得られた触媒前駆体は、さらに、水素ガスによる還元雰囲気の中で、200℃まで加熱され、二酸化チタン粒子1表面に白金粒子6が析出され、さらに酸素ガスによる酸化処理が120℃で1時間行われ、粒子状の触媒10が得られた。
まず、真空蒸着法により二酸化マンガン粒子11表面に蒸着により金属チタン(Ti)層12が形成され、その後、酸素ガスを流しながら500℃にて酸化処理が行われ、二酸化マンガン粒子11の表面にアナタース型二酸化チタン層13が形成される。得られた複合粒子に脱イオン水が加えられ、さらに塩化白金酸溶液が加えられ、攪拌された後、溶液はステンレスのバットに移し替えられ、約150℃のサンドマット上で、煮沸乾燥され、塩化白金層14が形成される。得られた粒子は400℃で1時間仮焼き熱処理され、触媒前駆体15が得られる。この触媒前駆体15は、二酸化マンガン粒子11の表面の一部を露出させるために、ジェットミルにより破砕され、ウォッシュコート法によりハニカムセラミック16に添着される。さらに、水素ガスによる還元雰囲気の中で200℃、1時間加熱処理される。これにより、二酸化チタン層13表面に白金粒子17が析出され、さらに酸素ガスによる酸化処理が110℃で1時間行われ、図3に示す触媒体19が得られる。
まず、10gの二酸化チタン粒子21に脱イオン水200mlが加えられ、攪拌しながら二酸化チタン重量の1質量%の白金を含有する塩化白金酸溶液が添加され、2時間攪拌し塩化白金層22が形成された後に、40℃でロータリーエバポレーターを用いて乾燥され、その後500℃で1時間仮焼き熱処理されて粒子状の触媒前駆体23が得られる。得られた触媒前駆体23は、二酸化マンガンが塗布されたハニカムセラミック24にウォッシュコート法により添着され、その一部が二酸化マンガン層25に埋設された。200℃の水素ガスを含む還元雰囲気にて1時間熱処理された後、さらに酸素ガスによる酸化処理が120℃で1時間行われて、二酸化チタン粒子21表面に白金粒子26が析出され、二酸化チタン21が活性化されて触媒27が生成される。その結果、触媒27がハニカムセラミック24に添着された触媒体28が得られる。また、二酸化マンガンが表面に塗布されていないハニカムセラミックに、実施例4と同様の方法で作製された白金が担持された二酸化チタンの触媒が添着された触媒体と比較した。
図4の触媒体の製造フローと構成断面図と実施例4を参照して説明する。まず、91.9%から99.9%の間で純度の異なる二酸化チタン粒子21を6種類準備し、各々に脱イオン水200mlが加えられ、攪拌しながら二酸化チタン重量の1質量%の白金を含有する塩化白金酸溶液が添加され、2時間攪拌し塩化白金層22が形成された後に、40℃でロータリーエバポレーターを用いて乾燥される。その後500℃で1時間、空気中で仮焼き熱処理して粒子状の触媒前駆体23が得られる。その後、二酸化マンガンが塗布されたハニカムセラミック24に添着され、その一部が二酸化マンガン層25に埋設された。250℃の水素ガスを含む還元雰囲気にて1時間熱処理された後、さらに酸素ガスによる酸化処理が120℃で1時間行われて、二酸化チタン粒子21表面に白金粒子26が析出され、二酸化チタン21が活性化されて触媒27が生成される。その結果、触媒27がハニカムセラミック24に添着された触媒体28が得られる。
図4の触媒体の製造フローと構成断面図と実施例4を参照して説明する。まず、10gの二酸化チタン粒子21に200mlの脱イオン水を加え、攪拌しながら二酸化チタン重量を0.25質量%から2質量%まで変化させた白金を含有する塩化白金酸溶液を添加し、2時間攪拌し塩化白金層22が形成された後に、40℃でロータリーエバポレーターを用いて乾燥した。その後200℃から600℃の仮焼き熱処理を実施し、得られた触媒前駆体23は、二酸化マンガンが塗布されたハニカムセラミック24にウォッシュコート法により添着され、その一部が二酸化マンガン層25に埋設された。その後、二酸化マンガンが塗布されたハニカムセラミック24に添着され、その一部が二酸化マンガン層25に埋設された。300℃の水素ガスを含む還元雰囲気にて1時間熱処理された後、さらに酸素ガスによる酸化処理が120℃で1時間行われて、二酸化チタン粒子21表面に白金粒子26が析出され、二酸化チタン21が活性化されて触媒27が生成される。その結果、触媒27がハニカムセラミック24に添着された触媒体28が得られる。
5、16、24 ハニカムセラミック
6、17、26 白金粒子
7、25 二酸化マンガン層
8、18、27 触媒
9、19、28 触媒体
11 二酸化マンガン粒子
13 二酸化チタン層
Claims (5)
- 二酸化チタン粒子に塩化白金酸溶液を添加して吸着により前記二酸化チタン粒子の表面に塩化白金層を形成する塩化白金層形成工程と、
塩化マンガン溶液を添加し前記塩化白金層上に塩化マンガン層を形成する塩化マンガン層形成工程と、
仮焼き熱処理で触媒前駆体粒子を生成する工程と、
前記触媒前駆体粒子を破砕して前記二酸化チタン粒子の内部を露出させる露出工程と、
支持材に破砕された前記触媒前駆体粒子を添着させる添着工程と、
還元酸化熱処理工程とを経て、
アルデヒド類または有機酸類の酸化分解除去反応工程に用いる触媒を製造する方法。 - 金属チタン層を二酸化マンガン粒子に蒸着して形成する蒸着工程と、
前記金属チタン層を二酸化チタン層に変換する酸化熱処理工程と、
塩化白金酸溶液を添加して吸着により二酸化チタン層の表面に塩化白金層を形成する塩化白金層形成工程と、
仮焼き熱処理で触媒前駆体粒子を生成する工程と、
前記触媒前駆体粒子を破砕して前記二酸化マンガン粒子の内部を露出させる露出工程と、
支持材に破砕された前記触媒前駆体粒子を添着させる添着工程と、
還元酸化熱処理工程とを経て、
アルデヒド類または有機酸類の酸化分解除去反応工程に用いる触媒を製造する方法。 - 二酸化チタン粒子に塩化白金酸溶液を添加して吸着により前記二酸化チタン粒子の表面に塩化白金層を形成する塩化白金層形成工程と、
仮焼き熱処理で触媒前駆体粒子を生成する工程と、
還元酸化熱処理工程と、
硝酸マンガン溶液を添加し前記塩化白金層上に硝酸マンガン層を形成して触媒前駆体粒子を生成する硝酸マンガン層形成工程と、
前記触媒前駆体粒子を破砕して前記二酸化チタン粒子の内部を露出させる露出工程と、
支持材に破砕された前記触媒前駆体粒子を添着させる添着工程と、
還元酸化熱処理工程とを経て、
アルデヒド類または有機酸類の酸化分解除去反応工程に用いる触媒を製造する方法。 - 二酸化チタンの純度は、95%以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の触媒を製造する方法。
- 支持材は、コージエライトハニカムセラミックであり、
請求項1から4のいずれか1項に記載の触媒を製造する方法によって製造されたことを特徴とする触媒体。
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