次に添付図面を参照して本発明による固体撮像装置の一実施例を詳細に説明する。図1を参照すると、本発明による固体撮像装置の実施例は、設定対応制御機能部108で生成した制御信号116をドライバ30に供給し、垂直駆動信号における蓄積部44のロー電圧を異ならせ、蓄積部44を受光部42よりも相対的に強く電子が除かれる、すなわちピニング状態にして、暗電流を効果的に抑制し、受光部42で信号電荷の滞在時間を短くして、消費電力を低減させ、発熱も防止することができる。
本実施例は、本発明の固体撮像装置をディジタルカメラ10に適用した場合である。本発明と直接関係のない部分について図示および説明を省略する。以下の説明で、信号はその現れる接続線の参照番号で指示する。
ディジタルカメラ10は、図1に示すように、光学系12、メカニカルシャッタ14、撮像部16、前処理部18、バッファメモリ20、信号処理部22、操作部24、システム制御部26、タイミング信号発生器28、ドライバ30、メディアIF(InterFace)回路32、メディア34、モニタ36および温度センサ38を含む。
光学系12は、被写界からの入射光を撮像部14にて操作部22の操作に応じた画像を結像させる機能を有する。光学系12は操作部22のズーム操作や半押し操作に応じて画角や焦点距離を調整する。
メカニカルシャッタ14は、入射光の光束を絞ったり、入射光の供給する開閉を調整する、露出時間をもたらしたりして、入射光を所定の光量に調整する機能を有する。
撮像部16には、入射光の到来方向に受光素子の配設位置に対応させて色フィルタセグメントが配された固体撮像素子40を含む。固体撮像素子40は、入射光を色分解し、この分解された色成分の光を受光素子で色属性を有する信号電荷に変換し、電気信号を出力する機能を有する。本実施例の固体撮像素子40には、図2に示すように、フレームインターライントランスファ(FIT)型であり、受光部42、蓄積部44、水平転送部46および出力アンプ48が含まれる。
固体撮像素子40は、たとえば受光部42の入射光側に単板の色フィルタを用い、色フィルタセグメントと受光素子とを対応させて、配される。受光部42には、受光素子が2次元状に配され、受光素子それぞれでは入射光の入射に応じて信号電荷が生成される。生成された信号電荷は、フィールドシフトゲートを介して、受光素子に隣接した垂直転送路に読み出される。垂直転送路は、受光素子の間に垂直方向にCCD(Charge Coupled Device)が1本ずつ配される。受光部42は、受光素子が露出に応じて光電変換により蓄積した信号電荷を、垂直方向に映像の垂直ブランキング期間にフレーム転送する。受光部42には、たとえば4相の垂直画像駆動信号(φVI(Vertical Image)1〜φVI4)50が印加される転送電極が形成される。垂直転送は、4相の垂直画像駆動信号(φVI1〜φVI4)50で駆動される。垂直に転送された信号電荷は蓄積部44に転送される。
蓄積部44は、たとえばアルミニウム薄膜で遮光された面積を受光部42の面積と同程度形成されている。蓄積部44には、たとえば8相の垂直蓄積駆動信号(φVS(Vertical Store)1〜φVS8)52が印加される転送電極が形成される。蓄積部44は、供給された信号電荷を8相の垂直蓄積駆動信号(φVS1〜φVS8)52を用い、ライン転送する。蓄積部44は、水平転送路46に最も近くにライン転送された信号電荷を図示しないラインメモリを介して水平転送路46に供給する。水平転送路46は、供給される2相の水平駆動信号(φH1およびφH2)54により出力アンプ48に向けて信号電荷を転送する。出力アンプ48は、リセット信号(φRS)56により基板に信号電荷を廃棄した後、供給される信号電荷をフローティングディフュージョンでアナログ電圧信号に変換し、出力する。
図1に戻って、撮像部16は、固体撮像素子40からアナログ信号58を前処理部18に出力する。
前処理部18はアナログフロントエンド(AFE)機能を有する。この機能は、相関二重サンプリング(CDS)によるアナログ信号58に対するノイズ低減機能と、このノイズ低減したアナログ電気信号に対してクランプ回路でクランプする機能と、クランプしたアナログ電気信号に対してあらかじめ操作部24で設定されたISO(International Organization for Standardization)感度に応じてゲイン調整する機能と、ゲイン調整されたアナログ電気信号をディジタル化、すなわちA/D変換する機能とを含む。A/D変換機能は、図示しないA/D変換器で実現され、ゲイン調整されたアナログ電気信号をクランプ回路に戻す。前処理部18は、ディジタル化した画像データ60を画像メモリ20に出力する。
画像メモリ20は、供給される画像データ60を一時格納し、出力する機能を有する。画像メモリ部20は、図示しない制御信号に応じて入力した画像データ60を画像データ62として、バス64、信号線66を介して信号処理部22に出力する。
信号処理部22は、図3に示すように、オフセット補正部68、WB(White Balance)補正部70、ガンマ変換部72、同時化処理部74、輪郭強調部76、ノイズリダクション部78、彩度強調部80、画像拡縮処理部82および圧縮処理部84を含む。オフセット補正部68は、たとえば色毎の画像データに対してそれぞれオフセットレベルを調整して、補正する機能を有する。オフセット補正部68は、供給される画像データ66にオフセット補正して、WB補正部70に出力する。
WB補正部70は、供給される画像データに対して撮影時の光源に応じたホワイトバランス(WB)で調整し、画像補正する機能を有する。WB補正部70は、供給される画像データにWB補正して、ガンマ変換部72に出力する。ガンマ変換部72は、供給される画像データを入力として、この入力に対して非線形の補正であるガンマ補正して、出力する機能を有する。ガンマ変換部72は、供給される画像データに対してガンマ補正を施して、同時化処理部74に出力する。同時化処理部74は、供給される画像データにおいて色属性の存在しない色の画像データを周囲の画像データから補間して、生成する機能を有する。同時化処理部74は、供給されるガンマ補正した画像データを用いて、補間することにより同時化し、色毎にプレーンな画像データを生成する。同時化処理部74は、生成したプレーンな画像データを図示しないYC変換処理部に供給する。YC変換処理部は供給されるコンポーネント信号に対してマトリクス処理を施して輝度信号Yと色差信号(B-Y)および(R-Y)を生成する。YC変換処理部は、生成した輝度信号Yと色差信号(B-Y)および(R-Y)を画像データとして輪郭強調部76に出力する。
輪郭強調部76は、供給される画像データに含まれる輪郭、すなわちエッジを抽出し、抽出した輪郭を強調する機能を有する。輪郭強調部76は、供給される画像データに対する輪郭強調を処理し、処理した画像データをノイズリダクション部78に供給する。ノイズリダクション部78は、輪郭強調した画像データに含まれるノイズ成分を除去する機能を有する。ノイズリダクション部78は、輪郭強調した画像データのノイズ成分を除去し、ノイズ除去した画像データを彩度強調部80に供給する。彩度強調部80は、供給される画像データに対する彩度を調整する機能を有する。彩度強調部80は、供給される画像データにおける彩度を強調させ、調整した画像データを画像拡縮処理部82に出力する。画像拡縮処理部82は、供給される画像データに対して操作部24から供給される指示信号に応じて拡大/縮小する、いわゆる電子ズームさせる機能を有する。画像拡縮処理部82は、供給される画像データを所望の画像の大きさに調整し、圧縮処理部84に供給する。圧縮処理部84は、供給される画像データの記録モードにおける設定指示に応じて圧縮する機能と、画像データの再生モードで記録指示の逆処理である画像データの伸長処理機能とを有する。図1に戻って、圧縮処理部84は、記録に応じて画像データを所定の方式により圧縮し、圧縮した画像データを信号線66、バス64および信号線86を介して、メディアIF回路32に供給する。
信号処理部22は、図示しないがAF(Automatic Focusing)演算機能、AE(Automatic Exposure)演算機能を含む。AF演算機能は、供給される画像データを基に被写体と撮像部16の焦点面または撮像面との間の焦点距離(合焦距離)を演算により最適な焦点距離を算出する機能である。AE演算機能は、供給される画像データを基に被写体にとって最適な露出量を演算により算出する機能である。AF演算機能およびAE演算機能は、算出した焦点距離と露出量をそれぞれシステム制御部26に、信号線66、バス64および信号線88を介して、出力する。
また、信号処理部22は、生成したY/C信号をたとえば液晶モニタ用の信号に変換する機能も有する。信号処理部22は、液晶モニタ用の信号、画像データ90をモニタ36に出力する。
操作部24は、電源スイッチ、ズームボタン、メニュー表示切替スイッチ、選択キー、動画モード設定部、連写速度設定部およびレリーズシャッタボタンを含む。とくに、メニュー表示切替スイッチで切り替えることにより、ISO感度を設定するISO設定機能部92を含む。ISO感度設定機能部92は、図4に示すように、ISO 100ないしISO 1600までのスイッチ94、96、98、100および102を含む。ISO感度設定機能部92は、選択したISO感度を操作指示信号104として、システム制御部26に出力する。
また、操作部24においてレリーズシャッタボタンは、半押し/全押し操作に応じてディジタルカメラ10の動作タイミングや動作モードを選択している。レリーズシャッタボタンは、半押し操作に応じてAEおよびAFの動作をさせる。この動作は動画表示で得られる画像を用いて適正とする絞り、シャッタ速度および合焦距離を求める。さらに、レリーズシャッタボタンは、全押し操作により記録開始/記録終了のタイミングをシステム制御部26に送り、ディジタルカメラ10の設定モードに応じた動作タイミングを提供する。設定モードには、静止画記録および動画記録等がある。操作部24は、操作指示信号104としてシステム制御部26に供給する。
システム制御部26は、操作部24からの操作指示信号104に応じた各種の制御信号を生成する機能を有する。システム制御部26には、図1に示すように、デバイスパラメータテーブル106、設定対応制御機能部108および温度測定機能部110が含まれる。デバイスパラメータテーブル106は、ディジタルカメラ10における設定、すなわちISO感度、閃光発光の有無、省電力の有無、省電力開始までの数値、1枚の画像データ量等の設定情報および設定閾値を格納する。設定閾値には、感度閾値および温度閾値等がある。デバイスパラメータテーブル106には、後述するように、蓄積部44のISO感度毎の転送モードを切り替える感度閾値がそれぞれ格納されている。設定対応制御機能部108は、設定に応じた制御信号を生成する機能を有する。設定対応制御機能部108は、蓄積部44のISO感度閾値と設定されたISO感度とを比較し、この比較に応じた転送モードで制御するように、制御信号114を生成する。転送モードの制御は、別な手法として後述する。温度測定機能部110は、温度センサ38からの検出情報112が供給され、検出情報112を基に固体撮像素子40の裏面側等に配設することによって固体撮像素子40の温度またはこの素子40の近傍における周囲温度を算出する機能を有する。
また、設定対応制御機能部108では、供給された温度情報112の示す温度が所定の温度範囲内にあるか否かを判断する。温度閾値は、たとえば上限温度として50℃である。後段の判断において本実施例における感度閾値の一つは、ISO 800である。設定対応制御機能部108は、各種の閾値と設定のパラメータとを比較して、制御信号114および116を生成し、タイミング信号発生器28およびドライバ30にそれぞれ、出力する。制御信号114は、操作部24からの操作指示信号104に応じてタイミング信号発生器28を制御する。また、制御信号116は、ドライバ30におけるメカニカルシャッタ14の絞りおよび開閉動作、ならびに駆動信号におけるロー電圧VLのレベルを制御する。ロー電圧VLのレベルは、蓄積部44におけるロー電圧VLSをVLIおよびVLSのいずれかに設定する。電圧VLSは、電圧VLIより低い。これはロー電圧VLのレベルを異ならせ、蓄積部44を受光部42よりも相対的に強く電子が除かれる、すなわちピニング状態を生じさせる電圧にすることを意味する。
なお、設定対応機能部108は、所定の温度に限定するものでなく、上限温度と下限温度のいずれか一方だけや両方の温度範囲を判断基準の温度に用いるようにしてもよい。
さらに、システム制御部26は、制御信号88および118も生成する。制御信号88は、バス64を介して、信号処理部22やストレージIF回路32に供給される。制御信号118は、前処理部18におけるISO感度に応じたアナログゲインを制御する。
タイミング信号発生器28は、撮像部14用の垂直画像、垂直蓄積および水平同期信号、フィールドシフトゲート信号、垂直および水平タイミング信号、OFD(Over-Flow Drain)信号、ならびにリセット信号等、各種のタイミング信号を生成する機能を有する。また、この機能は、駆動モードが感度、温度、走査に応じた各種のタイミング信号120を生成する。タイミング信号発生器28は、各種のタイミング信号120をドライバ30に出力する。また、タイミング信号発生器28は、図示しないがサンプリング信号を前処理部18に出力する。
ここで、タイミング信号発生器28は、とくに、供給される制御信号114に応じて8相の垂直蓄積同期信号VS1〜VS8を生成する。垂直蓄積同期信号は、後述するように、別法として、1-2転送、2-3転送、3-4転送、4-5転送、5-6転送、および6-7転送のうち、いずれかの転送信号として生成されるようにしてもよい。1-2転送、2-3転送、3-4転送、4-5転送、5-6転送、および6-7転送とは、水平走査中に信号電荷を待機させる電極数がそれぞれ、1ないし6電極になることを意味する。
ドライバ30は、図5に示すように、垂直(V)ドライバ122、水平(H)ドライバ124、リセット(RS)ドライバ126およびメカニカルシャッタ(MS)ドライバ128を含む。垂直(V)ドライバ122は、垂直画像(VI)ドライバ130および垂直蓄積(VS)ドライブ132を含む。垂直画像(VI)ドライバ130には、本実施例で4本の異なる位相の垂直画像同期信号VI1〜VI4、ならびに信号レベルを規定する垂直画像VIにおける電圧Lレベル(VLI)134および接地レベル(GND)136が入力される。垂直画像(VI)ドライバ130は、4相の垂直画像駆動信号(φVI1〜φVI4)50を出力する。
また、垂直蓄積(VS)ドライブ132には、本実施例で8本の異なる位相、すなわち転送相数8の垂直蓄積同期信号VS1〜VS8、ならびに信号レベルを規定する垂直画像VSにおける電圧Lレベル(VLS)138および接地レベル(GND)136が入力される。ここで、電圧のLレベル(VLS)138には、設定に対する判断処理に応じて電圧を電圧VLIまたはVLSが独立に制御され、設定される。垂直画像(VS)ドライバ132は、4相または8相の垂直蓄積駆動信号を出力する。図5の垂直蓄積駆動信号は、8相の垂直蓄積駆動信号(φVS1〜φVS8)52の出力を示す。
なお、垂直蓄積駆動信号の転送相数は、8相に限定されるものでなく、12相でもよい。一般的に、垂直蓄積駆動信号の転送相数は、垂直画像駆動信号の転送相数を整数倍した相数にすることが好ましい。
水平(H)ドライバ124は、2相の水平同期信号を入力し、水平駆動信号(φH1およびφH2)54を生成し、出力する。リセット(RS)ドライバ126は、リセット同期信号を入力し、リセット駆動信号(φRS)56を生成し、出力する。さらに、メカニカルシャッタ(MS)ドライバ128は、システム制御部26から供給される制御信号116により絞り、開閉タイミングおよび露出時間をもたらす駆動信号(φMS)140を生成し、出力する。図1に戻って、ドライバ30は、これら駆動信号をまとめて、駆動信号142として撮像部16およびメカニカルシャッタ14に出力する。
メディアIF回路32は、たとえば扱う記録媒体に応じて画像データの記録/再生を制御するインタフェース制御機能を有する。メディアIF回路32は、画像データ144を半導体記録媒体であるPC(Personal Computer)カードに対する書込み/読出し制御したりUSB(Universal Serial Bus)コントローラの内蔵にともないの書込み/読出し制御したりすることができる。メディア34には、各種の半導体カードの規格がある。
モニタ36には、液晶モニタ等が用いられる。モニタ36は、信号処理部22から供給される画像データ90を表示する。
温度センサ38は、固体撮像素子40の裏面側に配設することによる固体撮像素子40の温度またはこの素子40の近傍における周囲温度の温度情報112を出力し、システム制御部26に供給する。システム制御部26は、供給される温度情報112を温度に変換し、温度を測定する。
このように構成することによりFIT型CCDにおいて従来よりも一層簡単な構成でありながら、従来と同レベルに暗電流を低減させることができる。
次に本発明の固体撮像装置を適用したディジタルカメラ10の動作について説明する。ディジタルカメラ10の電源投入ボタンを操作し、電源投入する。この電源投入後、所定の時間毎に温度測定は、温度センサ38からの検出情報112をシステム制御部26に出力する。システム制御部26は、供給される温度情報112を温度に変換し、温度Tを設定対応制御機能部108に供給する。図6に示すように、この電源投入後、レリーズシャッタボタンが全押しされたか判断する(ステップS10)。レリーズシャッタボタンが全押しされなかった場合(NO)、この判断処理に戻る(ステップS10へ)。また、レリーズシャッタボタンが全押しされた場合(YES)、ISO感度の判断処理に進む(ステップS12へ)。
次にISO感度がISO 800より低いか否かを判断する(ステップS12)。ISO感度がISO 800より低い場合(YES)、温度の判断処理に進む(ステップS14へ)。また、ISO感度がISO 800以上の場合(NO)、蓄積部44における電圧LレベルVLSの低い設定に進む(ステップS16へ)。
温度の判断処理は、設定対応制御機能部108で測定した温度が温度閾値50℃より低い場合(YES)、蓄積部44における電圧LレベルVLSの高い設定に進む(ステップS18へ)。また、測定した温度が温度閾値50℃以上の場合(NO)、蓄積部44における電圧LレベルVLSの低い設定に進む(ステップS16へ)。
蓄積部44における電圧LレベルVLSの低い設定(ステップS16)は、図7に示すように、受光部42における電圧LレベルVLIよりも低いレベルにすることである(VLS<VLI)。本実施例の電圧VLSは-10V、電圧VLIは-8Vである。この設定により単位時間あたりの暗電流量は、最も低くすることができる。また、蓄積部44における電圧LレベルVLSの高い設定(ステップS18)は、図7に示すように、受光部42における電圧LレベルVLIと同じ電圧に設定することである(VLS=VLI)。
なお、VLS<VLIの設定は、上述したように条件に応じて設定してもよいが、常時でもよい。
ここで、図7からわかるように、単位時間あたりの暗電流量は、ロー電圧VLが高くなるに従い増加していく。ところで、実際に電荷待機電極は、ミドル電圧VM、たとえば0Vの状態に置かれることから、通常電圧VMが印加される電極での暗電流は避けがたい。しかしながら、信号電荷の数、すなわち電子数が多いとき、高温は問題にならない。
蓄積部44における電圧LレベルVLSを低く設定することにより固体撮像素子40は、水平走査期間中に待機している蓄積部44を強いピニング状態にして、暗電流の発生を効果的に低減させることができる。また、この設定は、蓄積部44におけるラインシフト中での消費電力を極力減らすことができるから、発熱によるノイズ発生も低減させることができる。
図6に戻って、これらの設定の後、ディジタルカメラ10は設定に応じたパラメータ制御により撮影する(ステップS20)。撮影により得られた信号電荷を画像データ58に変換し、前処理部18、画像メモリ20を介して、信号処理部22に供給する。信号処理部22では、前述した各部で供給される画像データ66に画像処理を施す(ステップS22)。画像処理した画像データ66は、バス64、メディアIF回路32を介して、メディア34に供給される。ディジタルカメラ10は、供給した画像データ144を記録する(ステップS24)。ディジタルカメラ10は、この記録とともに、モニタ36に撮影した画像を表示し、この後、撮影処理を終了する。
このように動作させることにより待機している蓄積部44を強いピニング状態にして、暗電流の発生を効果的に低減させ、蓄積部44におけるラインシフト中での消費電力を極力減らすことができることから、発熱によるノイズ発生も低減させることができる。
次に本発明に係る固体撮像装置を適用したディジタルカメラ10における蓄積部44の転送について説明する。蓄積部44の転送は、転送相数が多いほど転送パターンが増える。転送パターンは転送を可能にする信号電荷量の選択や暗電流を低減させる効果の選択をもたらす。転送パターンには、前述したように、8相の場合、1-2転送、2-3転送、3-4転送、4-5転送、5-6転送および6-7転送がある。これらの転送パターンを利用して、蓄積部44は、ISO感度に応じて駆動させるパターンを細かく設定できる。蓄積部44に対する転送パターンまたはモードを図8に示す。水平走査期間中の信号電荷を待機させる電極は、ミドル電圧VM状態の電極数で表わされる。この待機電極が多いほど、転送可能な信号電荷量は多くすることができる。しかしながら、暗電流は増える。
設定対応制御機能部108が、設定したISO感度に応じて転送パターンを自動的に設定する場合、たとえば4相の転送相数は8相の転送相数に比べて少ない。このため、設定対応制御機能部108は、4相転送でISO 800以上に1-2転送、ISO 400以下に2-3転送で分けるしかない。このような場合、ISO感度1600での信号電荷量は、さらに少なくなる。このことからわかるように、ミドル電圧が印加される電極VMの面積は、もっと小さくて済む。しかしながら、4相の転送では、電極VMの面積をより小さくする設定ができない。また、4相の転送では、ISO感度が400以下の場合、転送する信号電荷量のマージンまたは許容量をとるために電極VMの面積は、逆にもっと広げたい。しかしながら、このような設定はできない。
そこで、蓄積部44の転送相数は、受光部42の転送相数より多く設定する。本実施例で蓄積部44の転送相数は、受光部42の転送相数4を倍の8相に設定する。これにより設定対応制御機能部108は、蓄積部44の転送において4相の転送ではできなかったISO 1600において1-2転送、ISO 800で2-3転送を設定し、ISO 400で4-5転送、ISO 200以下に5-6転送を設定することができる。設定対応制御機能部108は、ISO感度に応じた制御信号114を生成し、タイミング信号発生器28に供給する。
タイミング信号発生器28は、供給される制御信号114に応じた垂直蓄積同期信号を含むタイミング信号120を生成し、ドライバ30に出力する。ドライバ30は、供給されるタイミング信号120に応じた垂直駆動信号(φVS1〜φVS8)52を生成し、固体撮像素子40に出力する。
一方、固体撮像素子40は、図示しないが、メカニカルシャッタ14が閉じることにより遮光される。固体撮像素子40には、垂直同期信号が供給された後、水平転送路46に対して所定の期間にわたってスミア掃出しされる。固体撮像素子40の受光部42にはトランスファシフトゲート(TG)パルスが印加される。受光素子での露光期間中に光電変換で得られた信号電荷は、垂直転送路に読み出される。読み出された信号電荷は、垂直ブランキング期間中に蓄積部44にフレーム転送される。さらに、遮光された蓄積部44に供給された信号電荷は、映像期間中、1ラインずつ水平転送路46にライン転送される。このライン転送を、図9ないし図12に示すように、時間拡大して、表示する。このライン転送では、水平同期信号HDがレベル“L”の水平同期期間中に生成した垂直駆動信号(φVS1〜φVS8)52がVSドライバ132から供給される。供給される垂直駆動信号(φVS1〜φVS8)52は、図9ないし図12に示すように、8相の4種類の転送モード、すなわち1-2転送、2-3転送、4-5転送および5-6転送が出力される。図9ないし図12の(A)から(I)に示す垂直蓄積駆動信号φVS1〜φVS8は、それぞれ、1-2転送、2-3転送、4-5転送および5-6転送における8つの位相それぞれを示すものである。
なお、垂直蓄積駆動信号の転送相数は、前述したように、8相に限定されるものでなく、12相でもよい。一般的に、垂直蓄積駆動信号の転送相数は、垂直画像駆動信号の転送相数を整数倍した相数にすることが好ましい。
このように動作させることにより垂直転送における信号電荷の転送量とトレードオフ関係にある暗電流を細かく低減させることができる。